特許第6784963号(P6784963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6784963
(24)【登録日】2020年10月28日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】ビタミンD3誘導体及びその薬学的用途
(51)【国際特許分類】
   C07C 401/00 20060101AFI20201109BHJP
   A61K 31/593 20060101ALI20201109BHJP
   C07D 495/04 20060101ALI20201109BHJP
   C07D 209/48 20060101ALI20201109BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20201109BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20201109BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20201109BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20201109BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20201109BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20201109BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
   C07C401/00CSP
   A61K31/593
   C07D495/04 103
   C07D209/48
   A61P3/00
   A61P1/16
   A61P3/04
   A61P3/10
   A61P9/00
   A61P35/00
   A61P43/00 111
【請求項の数】12
【全頁数】92
(21)【出願番号】特願2017-534365(P2017-534365)
(86)(22)【出願日】2015年12月24日
(65)【公表番号】特表2018-502100(P2018-502100A)
(43)【公表日】2018年1月25日
(86)【国際出願番号】JP2015006462
(87)【国際公開番号】WO2016103722
(87)【国際公開日】20160630
【審査請求日】2018年12月21日
(31)【優先権主張番号】62/096,575
(32)【優先日】2014年12月24日
(33)【優先権主張国】US
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、「革新的先端研究開発支援事業 ユニットタイプ「疾患における代謝産物の解析および代謝制御に基づく革新的医療基盤技術の創出」研究領域」「ケミカルバイオロジーによる脂質内因性分子の新機能研究」委託研究開発、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願。 平成27年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、「次世代がん研究シーズ戦略的育成プログラム(01)」「「転写機能をターゲットとした創薬」(転写を標的とした革新的抗がん化合物シーズ)」委託研究開発
(73)【特許権者】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(73)【特許権者】
【識別番号】504132881
【氏名又は名称】国立大学法人東京農工大学
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(74)【代理人】
【識別番号】100152331
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100134876
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 真琴
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 瑞貴
(72)【発明者】
【氏名】浅野 理沙
(72)【発明者】
【氏名】長澤 和夫
(72)【発明者】
【氏名】上杉 志成
【審査官】 伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−064924(JP,A)
【文献】 OVES, D. et al.,The Journal of Organic Chemistry,2003年,Vol. 68,pp. 1154-1157
【文献】 OVES, D. et al.,Bioorganic & Medicinal Chemistry,2006年,Vol. 14,pp. 928-937
【文献】 GLEBOCKA, A. et al.,Archives of Biochemistry and Biophysics,2012年,Vol. 523,pp48-57
【文献】 SHIMAZAKI, M. et al.,Bioorganic & Medicinal Chemistry,2006年,Vol. 14,pp. 4645-4656
【文献】 MICHALAK, K. et al.,The Journal of Organic Chemistry,2011年,Vol. 76,pp. 6906-6911
【文献】 MARCZAK, S. et al.,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2001年,Vol. 11,pp. 63-66
【文献】 FUJISHIMA, T. et al.,Bioorganic & Medicinal Chemistry,2000年,Vol. 8,pp. 123-134
【文献】 WANG, X. X. et al.,American Journal of Physiology Renal Physiology,2011年,Vol. 300,pp. F801-F810
【文献】 領田 優太、他,日本薬学会第133年会 予稿集,公益社団法人日本薬学会,2013年,29K-pm09S
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】
(I)
[式中、
A及びRBの一方はヒドロキシルであり他方はNR12であり;
1及びR2はそれぞれ独立して水素1-4アルキル;同一又は異なる少なくとも1つのハロゲンで置換されていてもよいC1-4アルキルカルボニル1-4アルキルスルホニルベンジルオキシカルボニル3〜6員シクロアルキル−C1-4アルキル;ハロゲン、ハロ−C1-4アルキル、−S−ハロ−C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロ−C1-4アルコキシ、ニトロ、シアノ、C1-4アルコキシカルボニル及びC6-10アリールからなる群から独立して選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよいC6-10アリールカルボニル;C1-4アルキル、ニトロ及びジ−(C1-4アルキル)アミノからなる群から独立して選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよいC6-10アリールスルホニル;ハロゲン及びヒドロキシルからなる群から独立して選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい5〜6員飽和ヘテロシクリル−C1-4アルキル5〜6員ヘテロアリール及び以下の式:
【化2】

で示される基から選択されるか;或いは
1及びR2は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、C6-10アリール環と縮合していてもよい含窒素オキソ置換飽和5〜6員ヘテロ環を形成していてもよく;
3は水素又は=CH2であり、但し、R1及びR2が同時に水素ではない
で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
3が=CH2である、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
3が水素である、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
以下の式のいずれか:
【化3】
[式中、1及びR2は請求項1で定義されたとおりであり、R3は請求項1〜3のいずれかに定義されたとおりである
で示される、請求項1〜のいずれか記載の化合物。
【請求項5】
2が水素である、請求項1〜のいずれか記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
以下の化合物から選択される、請求項1記載の化合物:
【化4-1】

【化4-2】


【化4-3】

【化4-4】
【請求項7】
治療を必要とする対象における、代謝性疾患、肝疾患、肥満、糖尿病、心血管疾患及びがんからなる群から選択される疾患の治療用医薬組成物であって、治療的有効量の請求項1〜のいずれか記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物。
【請求項8】
疾患が、肥満、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、脂肪肝又はがんである、請求項記載の医薬組成物。
【請求項9】
化合物が、以下の化合物から選択される、請求項7又は8に記載の医薬組成物。

【化5-1】

【化5-2】

【化5-3】
【請求項10】
それを必要とする対象における、SREBP活性の阻害用医薬組成物であって、治療的有効量の請求項1〜のいずれか記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物。
【請求項11】
化合物が、以下の化合物から選択される、請求項10に記載の医薬組成物。

【化6-1】

【化6-2】

【化6-3】
【請求項12】
有効成分としての請求項1〜のいずれか記載の化合物又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ビタミンD誘導体及びそれを必要とする対象における代謝性疾患、肝疾患、糖尿病、がん、肥満又は心血管疾患から選択される疾患を治療するための薬学的又は医学的用途を対象とする。
【背景技術】
【0002】
ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)は脂質ホメオスタシスに関与する転写因子のファミリーの一つである。SREBPは脂肪酸、トリグリセリド、コレステロール及びリン脂質の生合成及び摂取と関連する遺伝子の発現を調整することによりすべての組織における脂質代謝を制御する。その脂質代謝における重要な役割のため、SREBPはメタボリック・シンドロームと強く関連している。例えば、高カロリーの食事又は肥満により誘発される高インスリンレベルは、SREBPを過剰に活性化し、これによりトリグリセリドの蓄積を引き起こし、脂肪肝疾患を誘発する。SREBPの過剰な活性化はまた、コレステロールレベルを増加させ、インスリン受容体基質−2を抑制し、脂質異常症、動脈硬化及びインスリン耐性を引き起こす。さらに、SREBPの活性化はがんの増殖及び肝炎ウイルスが脂肪肝疾患を引き起こすことと相関することが多い(非特許文献1)。SREBP活性化が複数の疾患に関与することから、その転写因子は重要な薬剤標的とされてきた。今日までSREBP活性化経路を直接阻害する「内因性」分子として知られているものはステロールだけである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】J. A. Menendez and R. Lupu, Nat. Rev. Cancer, 2007, 7, 763-777; A. J. Brown, Biochem. J., 2008, 416, e15-e17
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、SREBP阻害剤として有用であり、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)などの代謝性疾患;脂肪肝などの肝疾患;糖尿病;がん;肥満;心血管疾患などの疾患の治療に有用な化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らはSREBP阻害剤として新規ビタミンD誘導体を見いだした。本発明におけるビタミンD誘導体は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)などの代謝性疾患;脂肪肝などの肝疾患;糖尿病;がん;肥満;心血管疾患などの疾患の治療に有用である。
【0006】
ある側面において、本発明は、一般式(I):
【化1】
(I)
[式中、
及びRはそれぞれ独立してヒドロキシル、NR又はハロゲンから選択され;
及びRはそれぞれ独立して水素、C1−4アルキル、適宜置換されていてもよいC1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルスルホニル、C1−4アルコキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、3〜6員シクロアルキル−C1−4アルキル、適宜置換されていてもよいC6−10アリールカルボニル、適宜置換されていてもよいC6−10アリールスルホニル、適宜置換されていてもよい5〜6員飽和ヘテロシクリル−C1−4アルキル、5〜6員ヘテロアリール又は以下の式:
【化2】
で示される基から選択されるか;或いは
及びRは、適宜、それらが結合する窒素原子と一緒になって、適宜C6−10アリール環と縮合していてもよい含窒素オキソ置換飽和5〜6員ヘテロ環を形成していてもよく;
は水素又は=CHである]
で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を対象とする。
【0007】
別の側面において、本発明はまた、治療を必要とする対象に、治療的有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する工程、又はビタミンD、ビタミンD3、及び25−OHVitD3、1,25−ジ−OHVitD3及び24,25−ジ−OHVitD3などのビタミンD3の既知の誘導体を投与する工程を含む、対象における代謝性疾患、肝疾患、肥満、糖尿病、心血管疾患又はがんから選択される疾患の治療方法も対象とする。
【0008】
別の側面において、本発明はまた、治療を必要とする対象に、治療的有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する工程、又はビタミンD、ビタミンD3、及び25−OHVitD3、1,25−ジ−OHVitD3及び24,25−ジ−OHVitD3などのビタミンD3の既知の誘導体を投与する工程を含む、対象におけるSREBPの阻害方法も対象とする。
【0009】
さらに別の側面において、本発明はまた、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分とし、薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物も対象とする。
【0010】
さらに別の側面において、本発明はまた、非アルコール性脂肪性肝炎などの代謝性疾患;脂肪肝などの肝疾患;糖尿病;がん;肥満;又は心血管疾患の治療のための医薬の製造における式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用も対象とする。
【0011】
さらに別の側面において、本発明はまた、非アルコール性脂肪性肝炎などの代謝性疾患;脂肪肝などの肝疾患;糖尿病;がん;肥満;又は心血管疾患の治療に用いるための式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩も対象とする。
【発明の効果】
【0012】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩はSREBP阻害活性を有し、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)などの代謝性疾患;脂肪肝などの肝疾患;糖尿病;がん;肥満;心血管疾患などの疾患の治療に有用でありうる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、PLAP−BPアッセイによるビタミンD(VD)誘導体の評価を示す。VD誘導体の濃度を10μMに設定した。ステロールは10μg/mLコレステロール及び1.0μg/mL 25−ヒドロキシコレステロール(25−HC)の混合物であった。細胞をDMSOで処理した場合、PLAPの分泌はトランスフェクトされたSREBP開裂活性化タンパク質(SCAP)の量に比例して増大した。ステロール、既知のSREBP阻害剤の添加により、PLAPの分泌の増大が抑制された。25(OH)D及び1,25(OH)DはステロールよりもPLAPの分泌を阻害した。各値は二つの独立した実験の平均を示す。25−OHVitD3は25−ヒドロキシビタミンD[25(OH)D]を意味し;1,25−ジ−OHVitD3は1α,25−ジ−ヒドロキシビタミンD[1,25(OH)D]を意味し;24,25−ジ−OHVitD3は24,25−ジ−ヒドロキシビタミンDを意味する。
【0014】
図2図2は、レポーターアッセイにおけるSREBPの活性化における25(OH)Dの効果を示す。トランスフェクトされた細胞は、脂質フリー血清を含む培地にてDMSOのみ、ステロール(10μg/mL コレステロール及び1.0μg/mL 25−HC)又は種々の濃度の25(OH)Dで処理した。ルシフェラーゼ活性は20時間インキュベーション後に測定し、データをβ−ガラクトシダーゼ活性に正規化した。値は三つの独立した実験の平均値±標準偏差である。
【0015】
図3図3は、VD誘導体のSREBP−2への効果を示す。CHO−K1細胞はDMSOのみ又は各化合物(5μM)で18時間処理した。SREBP−2の前駆体及び成熟型のレベルをウェスタン・ブロットで分析した。アクチンのウェスタン・ブロットをローディング対照として下方パネルに示す。
【0016】
図4図4は、25(OH)Dの添加後、異なる時間にてSCAP及びSREBP−2への25(OH)Dの効果を示す。CHO−K1細胞をDMSOのみ又は25(OH)D(5μM)で処理した。示された時間のインキュベーションの後、SCAP並びにSREBP−2の前駆体及び成熟型のレベルをウェスタン・ブロットにより分析した。アクチンのウェスタン・ブロットをローディング対照として下方パネルに示す。
【0017】
図5図5は、MG−132の存在下又は非存在下でのMyc−SCAPへの25(OH)Dの効果を示す。CHO−K1細胞は、MG−132(10μM)の存在下又は非存在下にてDMSOのみ又は25(OH)D(5μM)で5時間処理した。Myc−SCAPのレベルをウェスタン・ブロットにより分析した。アクチンのウェスタン・ブロットをローディング対照として下方パネルに示す。
【0018】
図6図6は、SCAPのユビキチン化への25(OH)Dの効果を示す。CHO−K1細胞をDMSOのみ(−)又は25(OH)D(5μM、+)で処理した。2時間のインキュベーションの後、ディッシュにMG−132(10μM)を加えた。2時間インキュベーションした後、細胞を採取し、モノクローナル抗c−Myc結合アガロースビーズで免疫沈降させた。SCAPのユビキチン化をウェスタン・ブロットで分析した。
【0019】
図7図7は、化合物22a、22b、28、32、36、38及び39のSREBP−2への効果を示す。CHO−K1細胞をDMSOのみ又は各分子(5μM)で16時間処理した。SREBP−2の前駆体及び成熟型レベルをウェスタン・ブロットで分析した。アクチンのウェスタン・ブロットをローディング対照として下方パネルに示す。細胞を実施例化合物で処理した場合、SREBPの成熟型レベルはDMSOのものよりも低かった。
【0020】
図8図8は、化合物72−74、76、77、85−87、89−91及び98のSREBP−2への効果を示す。CHO−K1細胞をDMSOのみ又は各分子(5μM)で16時間処理した。SREBP−2の前駆体及び成熟型レベルをウェスタン・ブロットで分析した。アクチンのウェスタン・ブロットをローディング対照として下方パネルに示す。細胞を実施例化合物で処理した場合、SREBPの成熟型レベルはDMSOのものよりも低かった。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書において用いられる用語「アルキル」は、好ましくは1〜4の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖炭化水素基を意味し、例えばメチル、エチル、ノルマル−プロピル、イソプロピル、ノルマル−ブチル、イソブチル、tert−ブチルなどが挙げられる。
【0022】
本明細書において用いられる用語「アルコキシ」は、上記アルキル基が酸素原子に結合した一価基を意味し、好ましくは1〜4の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の基であってもよい。アルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、ノルマル−プロポキシ、イソプロポキシ、ノルマル−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。
【0023】
本明細書において用いられる用語「アルキルカルボニル」は、上記アルキル基がカルボニル基に結合した基を意味し、好ましくはC1−4アルキルカルボニルである。アルキルカルボニル基としては、例えばアセチル、エチルカルボニル、ノルマル−プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、ノルマル−ブチルカルボニル、イソブチルカルボニル、tert−ブチルカルボニルなどが挙げられる。
【0024】
本明細書において用いられる用語「アルキルスルホニル」は、上記アルキル基がスルホニル基に結合した基を意味し、好ましくはC1−4アルキルスルホニルである。アルキルスルホニル基としては、例えばメチルスルホニル、エチルスルホニル、ノルマル−プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ノルマル−ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、tert−ブチルスルホニルなどが挙げられる。
【0025】
本明細書において用いられる用語「アルコキシカルボニル」は、上記アルコキシ基がカルボニル基に結合した基を意味し、好ましくはC1−4アルコキシカルボニルである。アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ノルマル−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ノルマル−ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニルなどが挙げられる。
【0026】
本明細書において用いられる用語「シクロアルキル」は、好ましくは3〜6の炭素原子を有する飽和脂肪族単環式炭化水素環を意味する。シクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。好ましいシクロアルキル基は3〜6員シクロアルキルであり、より好ましくはシクロプロピルである。
【0027】
本明細書において用いられる用語「アリール」は、好ましくは6〜10の炭素原子を有する単環式芳香族炭化水素環又は多環式芳香族炭化水素環の一価基を意味する。アリール基としては、例えばフェニル、ナフチルなどが挙げられる。好ましいアリールはC6−10アリールであり、より好ましくはフェニル又はナフチルである。
【0028】
本明細書において用いられる用語「アリールカルボニル」は、上記アリール基がカルボニル基に結合した基を意味し、好ましくはC6−10アリールカルボニルである。アリールカルボニル基としては、例えばベンゾイル、ナフチルカルボニルなどが挙げられる。好ましいアリールカルボニルとしては、ベンゾイルなどが挙げられる。
【0029】
本明細書において用いられる用語「アリールスルホニル」は、上記アリール基がスルホニル基に結合した基を意味し、好ましくはC6−10アリールスルホニルである。アリールスルホニル基としては、例えばフェニルスルホニル、ナフチルスルホニルなどが挙げられる。好ましいアリールスルホニルとしては、フェニルスルホニルなどが挙げられる。
【0030】
本明細書において用いられる用語「ヘテロシクリル」又は「ヘテロ環」は、独立して窒素、酸素又は硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子、好ましくは1又は2のヘテロ原子及び炭素原子を有する飽和又は一部不飽和5〜6員単環式基の一価基を意味する。ヘテロシクリル基としては、例えばピロリジニル、オキサゾリニル、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニルなどが挙げられる。好ましいヘテロシクリル基としては、ピロリジニル、ピペリジル、モルホリニルなどが挙げられる。
【0031】
本明細書において用いられる用語「ヘテロアリール」は、独立して窒素、酸素又は硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子及び炭素原子を有する芳香環式基の一価基を意味し、好ましくは5〜6員ヘテロアリール基である。ヘテロアリール基としては、例えばピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジニルなどが挙げられる。好ましいヘテロアリール基としては、チアゾリル、ピリジルなどが挙げられる。
【0032】
本明細書において用いられる用語「適宜C6−10アリール環と縮合していてもよい含窒素オキソ置換飽和5〜6員ヘテロ環」は、少なくとも1つのオキソ基で置換された環に少なくとも1つの窒素原子を含む上記ヘテロシクリル環を意味し、例えばγ−ラクタム、δ−ラクタム、フタルイミジルなどが挙げられる。
【0033】
本明細書において用いられる用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などを意味する。
【0034】
適宜置換されていてもよいアルキルカルボニルは、同一又は異なる少なくとも1つのハロゲンで適宜置換されていてもよい上記アルキルカルボニルを意味する。適宜置換されていてもよいアルキルカルボニルにおける置換基としては、同一又は異なる1〜9、好ましくは1〜3のハロゲン原子が挙げられ、具体的には3つのフッ素原子である。
【0035】
適宜置換されていてもよいアリールカルボニルは、ハロゲン、ハロ−C1−4アルキル、−S−ハロ−C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロ−C1−4アルコキシ、ニトロ、シアノ、C1−4アルコキシカルボニル及びC6−10アリールからなる群から選択される同一又は異なる少なくとも1つの基で適宜置換されていてもよい上記アリールカルボニルを意味する。適宜置換されていてもよいアリールカルボニルにおける好ましい置換基としては、クロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル、メトキシカルボニル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、シアノ、−S−CF、フェニルなどからなる群から選択される同一又は異なる1〜4の基が挙げられる。
【0036】
適宜置換されていてもよいアリールスルホニルは、C1−4アルキル及びニトロからなる群から選択される同一又は異なる少なくとも1つの基で適宜置換されていてもよい上記アリールスルホニルを意味する。適宜置換されていてもよいアリールスルホニルにおける好ましい置換基としては、メチル、ニトロなどが挙げられる。
【0037】
適宜置換されていてもよい5〜6員飽和ヘテロシクリル-アルキルは、ハロゲン及びヒドロキシルからなる群から選択される同一又は異なる少なくとも1つの基で適宜置換されていてもよい上記ヘテロシクリルで置換された上記アルキルを意味する。適宜置換されていてもよい5〜6員飽和ヘテロシクリル-アルキルにおける好ましい置換基としては、フルオロ、ヒドロキシなどが挙げられる。
【0038】
ある側面において、本発明は以下の項又は実施態様に向けられる。
項1:一般式(I):
【化3】
(I)
[式中、
及びRはそれぞれ独立してヒドロキシル、NR又はハロゲンから選択され;
及びRはそれぞれ独立して水素、C1−4アルキル、適宜置換されていてもよいC1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルスルホニル、C1−4アルコキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、3〜6員シクロアルキル−C1−4アルキル、適宜置換されていてもよいC6−10アリールカルボニル、適宜置換されていてもよいC6−10アリールスルホニル、適宜置換されていてもよい5〜6員飽和ヘテロシクリル−C1−4アルキル、5〜6員ヘテロアリール又は以下の式:
【化4】
で示される基から選択されるか;或いは
及びRは、適宜、それらが結合する窒素原子と一緒になって、適宜C6−10アリール環と縮合していてもよい含窒素オキソ置換飽和5〜6員ヘテロ環を形成していてもよく;
は水素又は=CHである]
で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0039】
項2:R及びRがそれぞれ独立して水素、C1−4アルキル、同一又は異なる少なくとも1つのハロゲンで適宜置換されていてもよいC1−4アルキルカルボニル、C1−4アルキルスルホニル、C1−4アルコキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、3〜6員シクロアルキル−C1−4アルキル、適宜ハロゲン、ハロ−C1−4アルキル、−S−ハロ−C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロ−C1−4アルコキシ、ニトロ、シアノ、C1−4アルコキシカルボニル及びC6−10アリールからなる群から選択される同一又は異なる少なくとも1つの基で置換されていてもよいC6−10アリールカルボニル、適宜C1−4アルキル、ニトロ及びジ−(C1−4アルキル)アミノからなる群から選択される同一又は異なる少なくとも1つの基で置換されていてもよいC6−10アリールスルホニル、適宜ハロゲン及びヒドロキシルからなる群から選択される同一又は異なる少なくとも1つの基で置換されていてもよい5〜6員飽和ヘテロシクリル−C1−4アルキル、5〜6員ヘテロアリール又は以下の式:
【化5】
で示される基から選択されるか;或いは
及びRが、適宜、それらが結合する窒素原子と一緒になって、適宜C6−10アリール環と縮合していてもよい含窒素オキソ置換飽和5〜6員ヘテロ環を形成していてもよく;
但し、R及びRが同時に水素ではない、項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0040】
項3:Rが=CHである、項1又は2のいずれか記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
項4:Rが水素である、項1又は2のいずれか記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
項5:以下の式のいずれか:
【化6】
[式中、Xはハロゲンであり、その他の記号は項1と同義である]
で示される、項1〜4のいずれか記載の化合物。
項6:Rが水素である、項1〜5のいずれか記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0041】
項7:Xがフルオロであり;
がtert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、アセチル、p−メチルフェニルスルホニル、o−ニトロフェニルスルホニル、p−トリフルオロメチルベンゾイル、p−ブロモベンゾイル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、p−メトキシベンゾイル、p−フルオロベンゾイル、p−[(トリフルオロメチル)チオ]ベンゾイル、2,3,4,5−テトラフルオロベンゾイル、2,4,5−トリフルオロベンゾイル、3,4−ジメトキシベンゾイル、2,3,4−トリフルオロベンゾイル、3,4−ジフルオロベンゾイル、2,4−ジフルオロベンゾイル、3−クロロ−4−フルオロベンゾイル、2−クロロ−4−フルオロベンゾイル、p−ニトロベンゾイル、2−トリフルオロメチル−4−フルオロベンゾイル、3−トリフルオロメチル−4−フルオロベンゾイル、p−トリフルオロメトキシベンゾイル、p−シアノベンゾイル、p−メトキシカルボニルベンゾイル、p−フェニルベンゾイル、2−モルホリニルエチル、2−(4−フルオロピペリジニル)エチル、2−(4−ヒドロキシピペリジニル)エチル、2−ピリジル、2−チアゾリル、シクロプロピルメチル、エチル、ブチル、メチルスルホニル、トリフルオロメチルカルボニル、5−ジメチルアミノ−1−ナフチルスルホニル又は以下の構造:
【化7】
で示される基から選択され、
が水素であるか;或いは
及びRがそれらが結合する窒素原子と一緒になってγ−ラクタム、δ−ラクタム又はフタルイミジルを形成していてもよい、項1〜5のいずれか記載の化合物。
項8:Xがフルオロであり;
がアセチル、トリフルオロメチルカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、メチルスルホニル、5−ジメチルアミノ−1−ナフチルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル、o−ニトロフェニルスルホニル、p−トリフルオロメチルベンゾイル、p−ブロモベンゾイル、p−[(トリフルオロメチル)チオ]ベンゾイル又は以下の構造:
【化8】
で示される基から選択され、
が水素であるか;或いは
及びRがそれらが結合する窒素原子と一緒になってフタルイミジルを形成していてもよい、項5記載の化合物。
【0042】
項9:以下の構造を有する、項1記載の化合物:
【化9-1】


【化9-2】









【化9-3】










【化9-4】
【0043】
項10:治療を必要とする対象に、治療的有効量の項1〜9のいずれか記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する工程、又はビタミンD、ビタミンD3、及び25−OHVitD3、1,25−ジ−OHVitD3及び24,25−ジ−OHVitD3などのビタミンD3の既知の誘導体を投与する工程を含む、対象における代謝性疾患、肝疾患、肥満、糖尿病、心血管疾患又はがんの治療方法。
項11:疾患が体重減少の誘導による肥満(obesity through the induction of weight loss)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、脂肪肝又はがんである、項10記載の方法。
【0044】
項12:治療を必要とする対象に、治療的有効量の項1〜9のいずれか記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与する工程、又はビタミンD、ビタミンD3、及び25−OHVitD3、1,25−ジ−OHVitD3及び24,25−ジ−OHVitD3などのビタミンD3の既知の誘導体を投与する工程を含む、対象におけるSREBPの阻害方法。
項13:項1〜9のいずれか記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分とし、薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
項14:非アルコール性脂肪性肝炎などの代謝性疾患、脂肪肝などの肝疾患、糖尿病、がん、肥満又は心血管疾患の治療薬の製造における項1〜9のいずれか記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
項15:非アルコール性脂肪性肝炎などの代謝性疾患、脂肪肝などの肝疾患、糖尿病、がん、肥満又は心血管疾患の治療に用いるための項1〜9のいずれか記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0045】
ある態様において、R及びRの一方はヒドロキシルであり、他方はNR又はハロゲンである。
【0046】
ある態様において、R及びRとしては、それぞれ独立して、水素、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、アセチル、p−メチルフェニルスルホニル、o−ニトロフェニルスルホニル、p−トリフルオロメチルベンゾイル、p−ブロモベンゾイル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、p−メトキシベンゾイル、p−フルオロベンゾイル、p−[(トリフルオロメチル)チオ]ベンゾイル、2,3,4,5−テトラフルオロベンゾイル、2,4,5−トリフルオロベンゾイル、3,4−ジメトキシベンゾイル、2,3,4−トリフルオロベンゾイル、3,4−ジフルオロベンゾイル、2,4−ジフルオロベンゾイル、3−クロロ−4−フルオロベンゾイル、2−クロロ−4−フルオロベンゾイル、p−ニトロベンゾイル、2−トリフルオロメチル−4−フルオロベンゾイル、3−トリフルオロメチル−4−フルオロベンゾイル、p−トリフルオロメトキシベンゾイル、p−シアノベンゾイル、p−メトキシカルボニルベンゾイル、p−フェニルベンゾイル、2−モルホリニルエチル、2−(4−フルオロピペリジニル)エチル、2−(4−ヒドロキシピペリジニル)エチル、2−ピリジル、2−チアゾリル、シクロプロピルメチル、エチル、ブチル、メチルスルホニル、トリフルオロメチルカルボニル、5−ジメチルアミノ−1−ナフチルスルホニル、及び以下のプローブ構造:
【化10】
で示される基などが挙げられる。
【0047】
別の態様において、R及びRはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、例えばγ−ラクタム、δ−ラクタム又はフタルイミジルを形成していてもよい。
【0048】
さらに別の態様において、Rは=CHである。
さらに別の態様において、Rは水素である。
【0049】
本明細書において用いられる薬学的に許容される塩は、当分野において知られた、過剰な毒性を有しない、任意の塩を意味する。具体的には、薬学的に許容される塩としては、無機酸、有機酸、無機塩基又は有機塩基との塩を挙げることができる。そのような無機酸としては、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸及びリン酸が挙げられる。そのような有機酸としては、酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、p−トルエンスルホン酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸及び酒石酸が挙げられる。そのような無機塩基としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム及び亜鉛が挙げられる。そのような有機塩基としては、アルギニン及びリジンが挙げられる。好ましい薬学的に許容される塩は無機酸との塩であり、具体的には塩酸酸である。
【0050】
本明細書において用いられる薬学的に許容される担体としては、種々の慣用の有機又は無機の担体物質、例えば当分野において通常用いられる賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動促進剤及び滑沢剤などの固形製剤における物質、及び当分野において通常用いられる溶剤、可溶化剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤及び無痛化剤などの液体製剤における物質が挙げられる。本発明の医薬組成物には、防腐剤、抗酸化剤、着色剤及び甘味料などの当分野において通常用いられる添加物を適宜加えてもよい。
【0051】
式(I)の化合物は、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、サル及びヒトなどの哺乳類に治療的有効量にて経口又は非経口投与してもよい。式(I)の化合物の治療的有効量は対象、疾患、投与形態、投与経路などに応じて変化しうるが、式(I)の化合物の治療的有効量は一般に、例えば1日あたり約0.01mg〜約0.1mgから約1g〜約10gの範囲であり、一度に又は分けて数回で投与してもよい。
【0052】
誤解を避けるために、上記一般的な記載において、化合物、方法、使用及び組成物の異なる特徴に関する一般的な好ましい態様及び選択肢の提示により、それらが矛盾することなく組合せ可能であり、同じ文脈において示される限り、通常、異なる特徴についての一般的な好ましい態様及び選択肢の一般的な組合せの提示を構成することを確認する。
【0053】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の製造方法を以下に示すが、これらに限定されない。例えば、以下に示すスキームは本発明の典型的な化合物のための例示の製法を示す。各工程で得られた化合物は、適宜、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの既知の方法により単離又は精製してもよく、単離又は精製しないで次の工程に用いてもよい。
【0054】
本明細書において、例えば以下の略語を用いることがある:
Ac: アセチル
Bz: ベンゾイル
Ts: トルエンスルホニル
TMS: トリメチルシリル
TES: トリエチルシリル
Tf: トリフルオロメチルスルホニル
Boc: tert-ブトキシカルボニル
Ns: o-ニトロベンゼンスルホニル
Cbz: ベンジルオキシカルボニル
TBS: tert-ブチルジメチルシリル
HMDS: ビス(トリメチルシリル)アミド
PPTS: ピリジニウム p-トルエンスルホネート
NPhTh: フタルイミド
TBAF: フッ化テトラブチルアンモニウム
McCl: 塩化クロロメチルスルホニル
TPAP: テトラプロピルアンモニウム過ルテニウム酸塩
DIBAL: ジイソブチルアルミニウムヒドリド
TFAA: 無水トリフルオロ酢酸
DMAP: ジメチルアミノピリジン
HOBt: 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
TFA: トリフルオロ酢酸
NHS: N-ヒドロキシスクシンイミド
DCC: N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド
EDC: 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
DMT-MM: 4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド
DIPEA: N,N-ジイソプロピルエチルアミン
TEA: トリエチルアミン
THF: テトラヒドロフラン
DMSO: ジメチルスルホキシド
DMF: ジメチルホルムアミド
NMM: N-メチルモルホリン
NMO: N-メチルモルホリン N-オキシド
DIAD: ジイソプロピルアゾジカルボキシレート
DAST: 三フッ化N,N-ジエチルアミノ硫黄
【0055】
カップリング反応を経由した製法
が=CHである式(I)の化合物は、以下の手順に従い製造してもよい:
【化11】
式中、X’’はハロゲンであり、その他の記号は項1と同義である。
【0056】
工程1a
式[a1]の化合物を、トルエンなどの溶媒中、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(すなわち、Pd(PPh)などのパラジウム触媒及びトリエチルアミンなどの塩基の存在下、式[a2]の化合物とカップリングさせて式[a3]の化合物を得ることができる。反応温度は室温〜約100℃の範囲、好ましくは約90℃であってもよい。
化合物[a1]及び化合物[a2]は以下の中間体化合物の製法のいずれかに従い製造してもよい。
工程2a
式[a3]の化合物におけるtert−ブチルジメチルシリル及びトリエチルシリル基などの保護基は、テトラヒドロフランなどの溶媒中、3HF・EtN及びHF・ピリジンなどのフッ化水素などの塩基で処理することにより脱保護して式[a4]の化合物を得ることができる。反応温度は反応が進行しうる任意の温度であってもよく、好ましくは室温である。
工程3a
及びRは同時に水素ではない(例えばRはアリールスルホニルであり、Rは水素である)式[a3]の化合物は、トリフェニルホスフィンなどの有機ホスフィン化合物及びジイソプロピルアゾジカルボキシレートなどのアゾカルボン酸エステルをテトラヒドロフランなどの溶媒中で用いて、光延反応を行ってもよい。得られた化合物を続けて処理するか、又は式[a3]の化合物を、ジエチルエーテルなどのエーテルなどの溶媒中、ナトリウムヒドリドなどの塩基の存在下、1−ドデカンチオールなどのチオールで処理して、式[a5]の化合物を得ることができる。反応温度は0℃から室温の範囲、好ましくは室温であってもよく、又は0℃から始めて室温まで上昇させて段階的に変化させてもよい。
工程4a
式[a5]の化合物をジクロロメタンなどの溶媒中、トリエチルアミンなどの塩基存在下、RX’(ここに、X’はハロゲン又はヒドロキシルである)で処理して、式[a3]の化合物を得ることができる。反応温度は、反応が進行しうる任意の温度であってもよく、好ましくは0℃である。次いで、得られた化合物[a3]は工程2aに従い脱保護されて、式[a4]の化合物を得ることができる。
【0057】
ジュリア・カップリング反応を経由した製法
が水素である式(I)の化合物は、以下の手順に従い製造してもよい:
【化12】
式中、RB1はフタルイミジル又はベンジルオキシであり、RB2はアミノ又はヒドロキシルであり、その他の記号は項1と同義である。
【0058】
工程1b
式[b1]の化合物をテトラヒドロフランなどの溶媒中、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(すなわち、LiHMDS)などの塩基の存在下、式[b2]の化合物で処理し、式[b3]の化合物を得ることができる。反応温度は−78℃から室温の範囲であってもく、好ましくは−78℃から始めて室温まで上昇させて段階的に変化させてもよい。
化合物[b1]及び化合物[b2]は以下の中間体化合物の製法のいずれかに従い製造してもよい。
工程2b
式[b3]の化合物をメタノール及びエタノールなどの溶媒中、ヒドラジン水和物及び炭酸カリウムなどの塩基で処理して、式[b4]の化合物を得てもよい。反応温度は室温から約60℃の範囲であってもよい。
工程3b
式[b4]の化合物はジクロロメタンなどの溶媒中、トリエチルアミンなどの塩基の存在下、RX’(ここに、X’はハロゲン又はヒドロキシル)で処理し、次いで工程2aに従い、脱保護して式[b5]の化合物を得ることができる。RX’との反応温度は、反応が進行しうる任意の温度であってもよく、好ましくは0℃である。
工程4b
あるいは、式[b4]の化合物を、ジクロロメタンなどの溶媒中、三フッ化N,N−ジエチルアミノ硫黄(すなわち、DAST)などのフッ素化剤で処理し、次いで工程2aに従って脱保護し、式[b6]の化合物を得ることができる。フッ素化反応の温度は、反応が進行しうる任意の温度であってもよく、好ましくは−78℃である。
【0059】
中間体化合物14a及び14bの製法
【化13】
式中、Rは項1と同義であり、X’はハロゲン又はヒドロキシルである。
【0060】
中間体化合物16の製法
【化14】
反応式において、化合物57は、Antonio MourinoらChem. Eur. J. 2010, 16, 1432-1435に記載の方法などの当分野で一般的な方法に従い、化合物56から製造してもよい。
【0061】
特に、本発明におけるRが=CHである式(I)の化合物の製造方法を、上記で製造した中間体化合物又は上記反応式と同様に製造することができる。その誘導体を用いた以下の反応式に例示する。
【0062】
化合物18a、18b、19a及び19bの製造方法
【化15】
化合物18a及び18bの誘導体もまた、上記と同様の方法で製造することができる。
【化16-1】

【化16-2】
反応式において、Rは項1と同義である。
【0063】
化合物28、32、36及び39の製造方法
【化17-1】

【化17-2】
反応式において、Rは項1と同義であり、X’はハロゲン又はヒドロキシルである。
【0064】
あるいは、本発明におけるRが以下の式の基である式(I)の化合物:
【化18】
は、以下の反応式に従い製造してもよい。
【0065】
化合物106の製造方法
【化19】
【0066】
さらに、本発明におけるRが水素である式(I)の化合物の製造方法を以下の反応式に例示する。
【0067】
中間体化合物66の製造方法
【化20】
反応式において、化合物61は、John H. WhiteらProc. Natl. Acad. Soc. 2008, 105, 8250-8255に記載の方法などの当分野に一般的な方法に従い、化合物60から製造してもよい。
【0068】
中間体化合物67の製造方法
【化21】
【0069】
中間体化合物81及び93の製造方法
【化22-1】

【化22-2】
【化23】
【化24】
【0070】
中間体化合物72〜77及びその誘導体の製造方法
【化25】
反応式において、Rは項1と同義であり、X’はハロゲン又はヒドロキシルである。
【0071】
化合物82〜84及びその誘導体の製造方法
【化26】

反応式において、Rは項1と同義であり、X’はハロゲン又はヒドロキシルである。
【0072】
化合物98の製造方法
【化27】
【実施例】
【0073】
特に明記しなければ、アルゴン雰囲気下、新鮮な乾燥溶媒を用いて製造を実施した。すべての製造は、Merckシリカゲル60 F254プレコートプレート(0.25 mm)を用いた薄層クロマトグラフィーによりモニターし、UV及びp−アニスアルデヒド染色により視覚化した。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、Cicaから購入したシリカゲル(粒径40-100 μm)又はFUJI SILYSIA CHEMICAL LTDから購入したNHシリカゲル(NH-DM1020)を用いて加圧下で行った。1H NMRスペクトルをJNM-ECX 400又はJNM-AL 300で記録した。スペクトルはCDCl31H NMR; δ = 7.26 ppm)又はCD3OD(1H NMR; δ = 3.34 ppm)の残留溶媒シグナルに従い内部標準化した。1H NMRスペクトルデータは以下のとおり記録する:ケミカルシフト(δ ppm)(多重度、カップリング定数(Hz)、積分)。多重度及び修飾子の略語は以下のとおりである:s = シングレット, d = ダブレット, t = トリプレット, q = カルテット, m = マルチプレット, br = ブロード。質量スペクトルは、メタノールを溶媒として用いたESI-MS型JEOL JMS-T100X分光計又はDMSOを溶媒として用いたFAB-MS型JEOL JMS-MS700V分光計で記録した。
【0074】
参考例1
【化28】
BH3-SMe2(100 mL, 1.05 mol)のTHF(200 mL)溶液に、L-リンゴ酸(50 g, 0.37 mol;東京化成工業株式会社から購入)のTHF(400 mL)溶液を0℃にて滴加した後、反応混合物を室温まで昇温した。16時間撹拌した後、反応混合物を0℃まで冷却し、次いでMeOH(400 mL)を添加した。さらに室温で30分後、混合物を溶媒留去した。さらに、残渣をMeOH(200 mL)で6回及びアセトン(200 mL)で2回溶媒留去した。
【0075】
参考例2
【化29】
アセトン(600 mL)中の粗製トリオール1にp-TsOH・H2O(4.0 g)を添加した。21時間撹拌した後、Et3N(2 mL)を添加した。さらに30分後、混合物を溶媒留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル;3:1〜1:1)、アセタール2(31.0 g, 57%, 2工程)を無色油状物として得た。
【0076】
参考例3
【化30】
塩化オキサリル(2.1 mL, 24.1 mmol)のCH2Cl2(110 mL)溶液を-78℃まで冷却し、乾燥DMSO(4.3 mL, 60.24 mmol)を滴加した。同温にて30分間撹拌した後、アセタール2(1.8 g, 12.1 mmol)のCH2Cl2(10 mL)溶液を滴加し、反応混合物を1時間撹拌した。懸濁液にEt3N(16.8 mL, 120 mmol)を滴加した後、反応混合物を室温まで昇温した。さらに1時間後、エチル(トリフェニルホスホラニリデン)アセテート(8.4 g, 24.1 mmol)を添加し、1日間撹拌した。H2Oを加えて反応を停止し、水層をCH2Cl2で3回抽出した。集めた混合物をMgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル;15:1〜5:1)、エチルエステル3(2.38 g, 91%)を黄色油状物として得た。
【0077】
参考例4
【化31】
エチルエステル3(2.55 g, 11.9 mmol)のCH2Cl2(120 mL)溶液にヘキサン中のジイソブチルアルミニウムヒドリド(27.4 mL, 27.4 mmol, 1.0 M)を添加した。2時間撹拌した後、MeOH(19 mL)を注意深く加えて反応を停止した。混合物に飽和ロッシェル塩水溶液(33 mL)を添加し、30分間撹拌した。有機層を飽和ロッシェル塩水溶液で3回洗浄し、水層をCHCl3で3回抽出した。集めた混合物をMgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル;6:1〜2:1)、アルコール4(1.80 g, 88%)を無色油状物として得た。
【0078】
参考例5
【化32】
アリルアルコール4(636 mg, 3.69 mmol)のピリジン(3.7 mL)溶液に、塩化ベンゾイル(0.64 mL, 5.54 mmol)を0℃にて滴加した後、反応混合物を室温まで昇温した。2時間撹拌した後、反応混合物にH2Oを添加した。水層を酢酸エチルで3回抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。集めた混合物をMgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル;30:1)、ベンゾエートエステル5(991 mg, 97%)を無色油状物として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.05-7.40 (m, 5H), 5.90-5.74 (m, 2H), 4.78 (d, J = 4.80 Hz, 1H), 4.21-4.12 (m, 1H), 4.03 (dd, J = 7.89, 6.18 Hz, 1H), 1.98 (dd, J = 7.89, 7.20 Hz, 1H), 2.48-2.28 (m, 2H), 1.41 (s, 3H), 1.35 (s, 3H).
13C NMR (300 MHz, CDCl3) δ 166.26, 132.89,z 130.64, 129.54, 128.28, 126.98, 109.00, 74.95, 68.75, 65.18, 36.45, 26.81, 25.56.
HR-MS ESI C16H20Na1O4 [M+Na]+ 計算値: 299.12593, 実測値: 299.12835.
[α]25 D = +5.40 (CHCl3中c = 2.1)
【0079】
参考例6
【化33】
ベンゾエートエステル5(991 mg, 3.59 mmol)に、酢酸(15.4 mL)及びH2O(2.6 mL)を添加した。室温にて12時間撹拌した後、反応混合物を溶媒留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル;1:1)、ジオール6(825 mg, 97%)を無色油状物として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.04-7.39 (m, 5H), 5.91-5.72 (m, 2H), 4.77 (d, J = 5.49 Hz, 1H), 4.17 (dddd, J = 6.53, 6.53, 6.53, 3.09 Hz, 1H), 3.64 (dd, J = 11.31, 3.09 Hz, 1H), 3.46 (dd, J = 11.31, 7.23 Hz, 1H), 2.25 (dd, J = 6.54 Hz, 2H).
13C NMR (300 MHz, CDCl3) δ 166.49, 133.00, 131.11, 130.03, 129.55, 128.32, 127.18, 71.28, 66.13, 65.27, 36.24.
HR-MS ESI C13H16Na1O4 [M+Na]+ 計算値: 259.09463, 実測値: 259.09503.
[α]25 D = -6.18 (CHCl3中c = 2.0)
【0080】
参考例7
【化34】
ジオール6(3.81 g, 16.1 mmol)のピリジン(32 mL)溶液に、p-トルエンスルホニルクロリド(3.69 g, 19.3 mmol)を0℃にて添加した後、反応混合物を室温までゆっくりと昇温させた。4時間撹拌した後、H2Oで反応を停止した。水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル;5:1〜1:1)、トシレート7(4.93 g, 78%)を無色油状物として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.04-7.31 (m, 9H), 5.85-5.69 (m, 2H), 4.74 (d, J = 4.80 Hz, 2H), 4.04 (dd, J = 12.69, 6.51 Hz, 1H), 3.96-3.91 (m, 2H), 2.42 (s, 3H), 2.42-2.26 (m, 2H).
13C NMR (300 MHz, CDCl3) δ 166.30, 145.09, 132.98, 132.43, 130.01, 129.91, 129.70, 129.55, 128.32, 128.02, 127.90, 72.92, 68.60, 64.97, 35.82, 21.60.
HR-MS ESI C20H22Na1O6S1 [M+Na]+ 計算値: 413.10348, 実測値: 413.10279.
[α]25 D = +5.36 (CHCl3中c = 2.0)
【0081】
参考例8
【化35】
トシレート7(4.93 g, 12.6 mmol)のTHF(120 mL)溶液にNaH(1.01 g, 25.2 mmol, 60%)を0℃にて添加した後、反応混合物を室温まで昇温した。8時間撹拌した後、飽和NH4Cl水溶液で反応を停止した。水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル;1:0〜6:1)、エポキシド8(2.55 g, 93%)を無色油状物として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.06-7.40 (m, 5H), 5.92-5.77 (m, 2H), 4.79 (d, J = 4.80 Hz, 2H), 3.03-2.98 (m, 1H), 2.76 (dd, J = 4.83 Hz, 1H), 2.51 (dd, J = 4.83, 2.76 Hz, 1H), 2.36-2.33 (m, 2H).
13C NMR (300 MHz, CDCl3) δ 166.24, 132.89, 130.10, 129.82, 129.54, 128.27, 126.97, 65.09, 50.99, 46.51, 35.00.
HR-MS ESI C13H14Na1O3 [M+Na]+ 計算値: 241.08406, 実測値: 241.08341.
[α]25 D = -2.69 (CHCl3中c = 2.1)
【0082】
参考例9
【化36】
トリメチルシリルアセチレン(3.60 mL, 25.7 mmol)のTHF(18 mL)溶液にn-BuLiのヘキサン溶液(8.1 mL, 21.05 mmol, 2.6 M)を-78℃にて滴加し、30分間撹拌した。エポキシド8(2.55 g, 11.7 mmol)のTHF(5 mL)溶液及びBF3-OEt2(1.8 mL, 14 mmol)を同温にて滴加した後、反応混合物を室温まで2時間かけて昇温させた。飽和NH4Cl水溶液で反応を停止し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル;30:1〜10:1)、アルコール9(3.61 g, 98%)を無色油状物として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.05-7.39 (m, 5H), 5.93-5.74 (m, 2H), 4.78 (d, J = 5.85 Hz, 2H), 3.82-3.78 (m, 1H), 2.51-2.26 (m, 4H), 0.14 (s, 9H).
13C NMR (300 MHz, CDCl3) δ 166.28, 132.87, 131.08, 130.06, 129.52, 128.25, 127.37, 102.74, 87.67, 69.04, 65.19, 38.93, 28.12, -0.03.
HR-MS ESI C18H24Na1O3Si1 [M+Na]+ 計算値: 339.13924, 実測値: 339.14268.
[α]25 D = -2.89 (CHCl3中c = 3.5)
【0083】
参考例10
【化37】
アルコール9(3.61 g)にイミダゾール(4.67 g, 68.48 mmol)及びtert-ブチルジメチルシリルクロリド(6.88 g, 45.65 mmol)を室温にて添加した後、DMFを試薬が溶解するまで添加した。4時間撹拌した後、反応混合物をジエチルエーテルで希釈し、飽和NaHCO3水溶液を加えることで反応を停止した。水層をジエチルエーテルで3回抽出した。集めた有機抽出物をH2O及び飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 100:1〜20:1)、シリルエーテル10(4.52 g, 92%)を無色油状物として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.07-7.41 (m, 5H), 5.92-5.70 (m, 2H), 4.78 (d, J = 5.85 Hz, 2H), 3.91-3.83 (m, 1H), 2.49-2.24 (m, 4H), 0.88 (s, 9H), 0.15 (s, 9H), 0.08 (s, 3H), 0.06 (s, 3H).
13C NMR (300 MHz, CDCl3) δ 166.46, 132.98, 131.88, 130.38, 129.71, 128.41, 126.90, 104.36, 86.51, 70.78, 65.53, 39.91, 28.60, 25.90, 18.16, 0.17, -4.36, -4.51.
HR-MS ESI C18H24Na1O3Si1 [M+Na]+ 計算値: 453.22572 , 実測値: 453.22357.
[α]25 D = -5.34 (CHCl3中c = 2.4)
【0084】
参考例11
【化38】
アリルアルコール10(8.28 g, 19.22 mmol)のMeOH(64 mL)溶液に炭酸カリウム(7.97g, 57.67 mmol)を0℃にて添加した後、反応混合物を室温まで冷却した。18時間撹拌した後、H2Oで反応を停止した。水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 10:1〜5:1)、アリルアルコール11(4.74 g, 97%)を無色油状物として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 5.72-5.69 (m, 2H), 4.1 (d, J = 4.1 Hz, 2H), 3.89-3.81 (m, 1H), 2.43-2.24 (m, 2H), 2.31 (dd, J = 6.18, 2.73 Hz, 2H), 1.98 (t, J = 2.76 Hz, 1H), 0.88 (s, 9H), 0.07 (s, 3H), 0.05 (s, 3H).
【0085】
参考例12
【化39】
アリルアルコール11(1.46 g, 5.73 mmol)のCH2Cl2(57 mL)溶液にトリクロロアセチルイソシアネート(1.4 mL, 11.46 mmol)を0℃にて添加した。反応はシリカゲルプレートの薄層クロマトグラフィー(溶離液: 4:1 酢酸エチル〜ヘキサン)によりモニターした。15分後、出発物質のスポットが完全に新たなスポットに変換した後、反応混合物を減圧濃縮した。残渣のMeOH(36 mL)溶液にH2O(8.2 mL)及び炭酸カリウム(3.2 g, 22.93 mmol)を0℃で添加した後、反応混合物を室温まで昇温させた。2時間撹拌した後、反応混合物にH2Oを添加し、水層をCH2Cl2で3回抽出し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルパッドを通してろ過し、カーバメート12を得た。
【0086】
参考例13
【化40】
カーバメート12(5.73 mmol)及びEt3N(3.2 mL, 22.93 mmol)のCH2Cl2(230 mL)溶液に無水トリフルオロ酢酸(1.2 mL, 8.60 mmol)を0℃にて滴加した。1時間撹拌した後、有機層をH2O及び飽和食塩水で洗浄した。集めた有機抽出物をNa2SO4で乾燥し、減圧濃縮して粗製イソシアネート13とした。
【0087】
参考例14
【化41】
t-BuOK(0.64 g, 5.73 mmol)及びt-BuOH(1.1 mL, 11.46 mmol)のTHF(30 mL)懸濁液を0℃まで冷却した。THF(8 mL)中の粗製イソシアネート13(5.73 mmol)をゆっくり滴加した。反応はシリカゲルプレートの薄層クロマトグラフィー(溶離液: 4:1 酢酸エチル〜ヘキサン)によりモニターした。25分撹拌した後、出発物質のスポットが完全に新たなスポットに変換した。反応混合物に酢酸(0.33 mL, 5.73 mmol)及びH2O(19 mL)を添加した後、Boc2Oをアミンが消失するまで添加した。13時間撹拌した後、アミンが完全に生成物に変換した後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 100:1〜20:1)、Bocアミン14をジアステレオマー混合物(14a:14bの比は1H NMRで2:1と決定した)として得た。
【0088】
参考例15
【化42】
ジアステレオマー混合物14(5.73 mmol)のTHF(11 mL)溶液にフッ化テトラブチルアンモニウムのTHF溶液(5.7 mL, 1 M)を添加した。2.5時間撹拌した後、反応混合物を溶媒留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 50:1〜1:1)、アルコール15a(0.72 g, 52%)及びアルコール15b(0.39 g, 28%)単一ジアステレオマーとして得た。
15a: 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 5.90-5.78 (m, 1H), 5.24-5.12 (m, 2H), 4.76 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 4.42 (br, 1H), 3.82 (br, 1H), 2.51-2.33 (m, 2H), 2.04 (t, J = 2.4 Hz, 1H), 1.79-1.60 (m, 2H), 1.45 (s, 9H).
15b: 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 5.84-5.72 (m, 1H), 5.24-5.11 (m, 2H), 4.72 (br, 1H), 4.25 (br, 1H), 3.93-3.85 (m, 1H), 2.51-2.35 (m, 2H), 2.06 (t, J = 2.4 Hz, 1H), 1.78-1.65 (m, 2H), 1.44 (s, 9H).
【0089】
参考例16
【化43】
アルコール15a(35 mg, 0.146 mmol)にイミダゾール(60 mg, 0.875 mmol)及びtert-ブチルジメチルシリルクロリド(88 mg, 0.583 mmol)を室温にて添加した後、DMFを試薬が溶解するまで添加した。2時間撹拌した後、反応混合物をジエチルエーテルで希釈し、飽和NaHCO3水溶液を加えることで反応を停止した。水層をジエチルエーテルで3回抽出した。集めた有機抽出物をH2O及び飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 30:1)、14a(52 mg, q.y.)を無色油状物として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 5.83-5.72 (m, 1H), 5.18-5.07 (m, 2H), 4.26 (br, 1H), 4.01-3.93 (m, 1H), 2.43-2.27 (m, 2H), 2.01 (t, J = 2.4 Hz, 1H), 1.79-1.72 (br, 2H), 1.42 (s, 9H), 0.90 (s, 9H), 0.10 (s, 3H), 0.09 (s, 3H).
14aについて記載した手順と同様にして、14b(35 mg, q.y.)を15b(23 mg, 0.094 mmol)から無色油状物として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 5.83-5.72 (m, 1H), 5.21-5.08 (m, 2H), 4.75 (br, 1H), 4.22-4.13 (m, 1H), 3.94-3.86 (m, 1H), 2.40-2.37 (m, 2H), 2.00 (t, J = 2.8 Hz, 1H), 1.86-1.59 (m, 2H), 1.43 (s, 9H), 0.91 (d, J = 3.5 Hz, 9H), 0.09 (s, 3H), 0.08 (d, J = 1.7 Hz, 3H).
【0090】
参考例17
【化44】
塩化アセチル(1.1 mL, 15.09 mmol)をEtOH(5.0 mL)に0℃にてゆっくり滴加した。30分間撹拌した後、この溶液をアルコール15(0.12 g, 0.50 mmol)に添加した。さらに2時間撹拌した後、反応混合物を溶媒留去した。残渣をEt2Oで洗浄し、アミンを黄色固体として得た。上記アミン(0.50 mmol)のH2O(5 mL)溶液に酢酸(0.086 mL, 1.5 mmol)、DMT-MM(0.60 g, 2.01 mmol)、N-メチルモルホリン(0.33 mL, 3.01 mmol)を添加し、2時間撹拌した。水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 1:2〜0:1)、アセトアミドα及びβを単一ジアステレオマーとして得た。α-アセトアミド(約0.33 mmol)にイミダゾール(92 mg, 1.34 mmol)及びtert-ブチルジメチルシリルクロリド(102 mg, 0.67 mmol)を室温にて添加した後、DMFを試薬が溶解するまで添加した。1時間撹拌した後、反応混合物をジエチルエーテルで希釈し、飽和NaHCO3水溶液を加えることで反応を停止した。水層をジエチルエーテルで3回抽出した。集めた有機抽出物をH2O及び飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 4:1〜2:1)、20a(82.0 mg, 55%, 3工程)を無色油状物として得た。
20aについて記載した手順と同様にして、20b(37.2 mg, 25%, 3工程)をβ-アセトアミド(約0.17 mmol)から無色油状物として得た。
【0091】
参考例18
【化45】
アルコール15a(0.62 g, 2.61 mmol)のピリジン(2.5 mL)溶液に無水酢酸(2.5 mL)を室温にて添加した。5.5時間撹拌した後、反応混合物を溶媒留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 10:1〜5:1)、アセテートエステル23(0.72 g, 99%)を得た。
【0092】
参考例19
【化46】
塩化アセチル(2.8 mL, 38.58 mmol)をEtOH(13.0 mL)に0℃にてゆっくりと滴下した。30分間撹拌した後、この溶液をアセテートエステル23(0.72 g, 2.57 mmol)に添加した。さらに3時間撹拌した後、反応混合物を溶媒留去した。残渣をEt2Oで洗浄し、アミン24を黄色固体として得た。
【0093】
参考例20
【化47】
粗製アミン24(2.57 mmol)のCH2Cl2(13 mL)溶液にEt3N(0.9 mL, 6.17 mmol)、o-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(0.68 g, 3.09 mmol)を0℃にて添加した後、反応混合物を室温まで昇温させた。6.5時間撹拌した後、H2Oを加えることで反応を停止した。水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルパッドを通してろ過し、アセテートエステルを無色油状物として得た。アセテートエステル(2.57 mmol)のMeOH(9 mL)溶液に炭酸カリウム(0.53 g, 3.86 mmol)を0℃にて添加した後、反応混合物を室温まで昇温させた。15時間撹拌した後、H2Oを添加し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 4:1〜1:1)、ノシレート25(0.82 g, 99%)を無色油状物として得た。
【0094】
参考例21
【化48】
ノシレート25(0.82 g, 2.53 mmol)にイミダゾール(0.69 g, 10.14 mmol)及びtert-ブチルジメチルシリルクロリド(0.77 g, 5.07 mmol)を室温にて添加した後、DMFを試薬が溶解するまで添加した。3時間撹拌した後、反応混合物をジエチルエーテルで希釈し、飽和NaHCO3水溶液で反応を停止した。水層をジエチルエーテルで3回抽出した。集めた有機抽出物をH2O及び飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 15:1〜5:1)、26(1.03 g, 93%)を無色油状物として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.08-7.68 (m, 4H), 5.73 (d, J = 6.18 Hz, 1H), 5.55 (ddd, J = 13.08, 7.56, 5.52 Hz, 1H), 5.05 (dd, J = 12.72, 0.69 Hz, 1H), 4.90 (dd, J = 7.56, 0.69 Hz, 1H), 4.24-4.15 (m, 1H), 4.09-4.03 (m, 1H), 2.40 (ddd, J = 12.36, 3.09, 2.40 Hz, 1H), 2.32 (ddd, J = 12.36, 5.85, 2.07 Hz, 1H), 2.00 (t, J = 2.07 Hz, 1H), 1.89 (ddd, J = 10.65, 6.87, 2.07 Hz, 1H), 1.76 (ddd, J = 10.65, 5.85, 2.73 Hz, 1H), 0.92 (s, 9H), 0.17 (s,3H), 0.13 (s, 3H).
【0095】
参考例22
【化49】
粗製アミン24(21.9 mg, 0.105 mmol)のCH2Cl2(0.8 mL)溶液にEt3N(0.035 mL, 0.25 mmol)、p-トルエンスルホニルクロリド(24.2 mg, 0.126 mmol)を0℃にて添加した後、反応混合物を室温まで昇温させた。14時間撹拌した後、H2Oで反応を停止した。水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルパッドを通してろ過し、アセテートエステル(23.9 mg、純粋でない)を無色油状物として得た。アセテートエステル(0.071 mmol)のMeOH(0.7 mL)溶液に炭酸カリウム(15 mg, 0.11 mmol)を0℃にて添加した後、反応混合物を室温まで昇温させた。3時間撹拌した後、H2Oを添加し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 4:1〜1:1)、トシレート29(19.9 mg, 95%)を無色油状物として得た。
【0096】
参考例23
【化50】
トシレート29(19.9 mg, 0.068 mmol)にイミダゾール(19 mg, 0.271 mmol)及びtert-ブチルジメチルシリルクロリド(21 mg, 0.135 mmol)を室温にて添加した後、DMFを試薬が溶解するまで添加した。3時間撹拌した後、反応混合物をジエチルエーテルで希釈し、飽和NaHCO3水溶液で反応を停止した。水層をジエチルエーテルで3回抽出した。集めた有機抽出物をH2O及び飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 6:1〜3:1)、30(26.8 mg, 97%)を無色油状物として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.73-7.27 (m, 4H), 5.70 (d, J = 5.16 Hz, 1H), 5.63 (ddd, J = 17.19, 10.29, 6.54 Hz, 1H), 5.12 (dd, J = 17.19, 1.05 Hz, 1H), 5.01 (dd, J = 10.29, 1.05 Hz, 1H), 4.04-3.90 (m, 2H), 2.42 (s, 3H), 2.25 (ddd, J = 16.83, 4.80, 2.73 Hz, 1H), 2.10 (ddd, J = 16.83, 8.22, 2.73 Hz, 1H), 1.95 (t, J = 2.73 Hz, 1H), 1.85- 1.67 (m, 2H), 0.92 (s, 9H), 0.12 (s,3H), 0.10 (s, 3H).
【0097】
参考例24
【化51】
粗製アミン24(26.7 mg, 0.122 mmol)のCH2Cl2(1.0 mL)溶液にEt3N(0.041 mL, 0.293 mmol)、クロロギ酸ベンジル(0.021 mL, 0.147 mmol)を0℃にて添加した後、反応混合物を室温まで昇温させた。14時間撹拌した後、反応をH2Oで停止した。水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 4:1〜1:1)、NHCbz 33(18.6 mg, 56%)を無色油状物として得た。
【0098】
参考例25
【化52】
NHCbz 33(16.0 mg, 0.059 mmol)のCH2Cl2(0.6 mL)溶液に2,6-ルチジン(0.041 mL, 0.351 mmol)及びtert-ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(0.046 mL, 0.176 mmol)を室温にて添加した。2時間撹拌した後、飽和NaHCO3水溶液を加えることで反応を停止した。水層をCH2Cl2で3回抽出した。集めた有機抽出物をMgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 10:1〜3:1)、34(21.4 mg, 94%)を無色油状物として得た。
【0099】
参考例26
【化53】
イミダゾール(12.0 mg, 0.0461 mmol)、TBSCl(4μL, 0.0690 mmol)を続けて4-ヒドロキシピペリジン(306.7 mg, 3.032 mmol)のジクロロメタン(10.0 mL)溶液に室温にて添加し、1日間撹拌した。反応混合物をH2O、飽和NaHCO3水溶液及び飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残留試薬を除去するために、残渣をトルエンで共沸し、粗生成物(692.3 mg, 純粋でない)を得た。当該粗生成物(692.3 mg)のアセトニトリル(1.5 mL)溶液に2-ブロモエタノール(0.45 mL, 6.367 mmol)及び炭酸カリウム(0.67 g, 4.851 mmol)を室温にて添加した後、混合物を4時間還流下加熱した。反応混合物をセライトパッドを通してろ過し、得られたろ液を濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(NHシリカゲル, ヘキサン/酢酸エチル; 10:0〜1:1)で精製し、51(500.9 mg, 64%)を得た。
【0100】
参考例27
【化54】
ビタミンD2(8.0 g, 20.2 mmol;東京化成工業株式会社から購入)のジクロロメタン(270 mL)溶液にメタノール(112 mL)を添加し、溶液を-78℃まで冷却した。オゾンを-78℃にて3時間溶液に通過させた。溶液に窒素を流して残留オゾンを除去した後、得られた混合物をNaBH4(4.56 g, 120 mmol)で処理し、30分間-78℃にて撹拌した後、室温まで昇温させた。0.5 M HCl水溶液を添加して反応を停止し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 6:1〜2:1)、ジオール55(4.46 g, >99%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ 4.09 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 3.64 (dd, J = 3.3, 10.6 Hz, 1H), 3.39 (dd, J = 6.6, 10.6 Hz, 1H), 1.99 (dd, J = 2.6, 13.2 Hz, 1H), 1.88-1.76 (m, 3H), 1.63-1.29 (m. 9H), 1.20-1.12 (m. 2H), 1.03 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 0.95 (s, 3H)
【0101】
参考例28
【化55】
ジオール55(1.00 g, 4.71 mmol)のTHF(20 mL)溶液にイミダゾール(960 mg, 14.14 mmol)、トリフェニルホスフィン(1.20 g, 5.65 mmol)、ヨージド(1.32 g, 5.18 mmol)を-20℃にて続けて添加し、15分間撹拌した。反応混合物を室温まで昇温させた。さらに2時間撹拌した後、混合物を0℃まで冷却し、次いで飽和NaHCO3水溶液を添加した。水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和Na2S2O3水溶液及びH2Oで洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 10:1)、ヨージド56(1.41 g, 93%)を得た。
【0102】
参考例29
【化56】
Antonio MourinoらChem. Eur. J. 2010, 16, 1432-1435に記載の方法に従い、本工程を実施した。活性化亜鉛(8.32 g, 127.26 mmol)のピリジン(90 mL)懸濁液にアクリル酸メチル(13.3 mL, 148 mmol)及びNiCl2・6H2O(3.78 g, 15.91 mmol)を室温にて続けて添加した。混合物を60℃にて1時間撹拌した後、0℃まで冷却した。ヨージド56(3.42 g, 10.61 mmol)のピリジン(10 mL)溶液を滴下した。反応混合物を2時間撹拌した後、酢酸エチルで希釈した。混合物をセライトパッドを通してろ過した。ろ液を1M HCl水溶液で2回洗浄し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物をH2O及び飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。ピリジン塩酸塩を綿栓でろ過することで除去し、ろ液を溶媒留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 8:1〜4:1)、メチルエステル57(2.77 g, 93%)を得た。
【0103】
参考例30
【化57】
乾燥ジエチルエーテル (46 mL)中の活性化マグネシウム(2.91 g, 119.6 mmol)にヨウ化メチル(5.7 mL, 92 mmol)を0℃にて滴加した。メチルエステル57(5.17 g, 18.30 mmol)の乾燥ジエチルエーテル(90 mL)溶液に上記グリニャール試薬(46 mL, 2 m)を-78℃にて滴加した。混合物を同温にて15分間撹拌した後、室温まで昇温させた。2.5時間撹拌した後、飽和NH4Cl水溶液を注意深く添加することにより反応を停止した。水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 4:1〜2:1)、ジオール58(4.59 g, 89%)を得た。
【0104】
参考例31
【化58】
ジオール58(300 mg, 1.06 mmol)の乾燥アセトニトリル(10 mL)溶液にモレキュラー・シーブス4オングストローム(530 mg)及びN-メチルモルホリンN-オキシド(250 mg, 2.12 mmol)を添加し、30分間撹拌した。テトライソプロピルアンモニウム過ルテニウム酸塩(15 mg, 0.043 mmol)を添加した後、反応混合物を室温まで昇温させた。2.5時間撹拌した後、混合物をシリカゲルパッドを通してろ過し、ろ液を溶媒留去して粗製ケトンを得た。(ブロモメチル)トリフェニルホスホニウムブロミド(2.32 g, 5.31 mmol)のトルエン(50 mL)懸濁液を室温にて30分間超音波処理し、トルエン(50 mL)で50℃にて3回エバポレーションした。懸濁液に乾燥THF(7 mL)を添加し、0℃まで冷却した。ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドのTHF(2.8 mL, 5.20 mmol, 1.9 M)溶液を滴加した。30分間撹拌した後、上記粗製ケトン(1.06 mmol)のTHF(1.2 mL)溶液を滴加した。さらに3時間後、飽和NH4Cl水溶液を数滴添加して反応を停止した。混合物をろ過し、ろ液を溶媒留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 20:1〜10:1)、ブロモオレフィン59(239 mg, 63%, 2工程)を得た。
【0105】
参考例32
【化59】
ブロモオレフィン59(0.51 g, 1.45 mmol)のCH2Cl2(7.2 mL)溶液に2,6-ルチジン(0.34 mL, 2.89 mmol)を添加し、トリエチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(0.42 mL, 1.88 mmol)を滴加した。2.5時間撹拌した後、飽和NaHCO3水溶液を加えることで反応を停止した。水層をCH2Cl2で3回抽出した。集めた有機抽出物をMgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/ジクロロメタン; 10:1)、ジオール16(0.62 g, 91%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 5.64 (s, 1H), 2.89-2.84 (m, 1H), 2.04-1.15 (m, 18H), 1.18 (s, 6H), 0.97-0.62 (m, 12H), 0.56 (s, 3H), 0.56 (q, J = 7.89 Hz, 2H).
【0106】
参考例33
【化60】
4-[3-(トリフルオロメチル)-3H-ジアジリン-3-イル]安息香酸(0.500 g, 2.17 mmol;東京化成工業株式会社から購入)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(0.250 g, 2.17 mmol)のジクロロメタン(15 mL)溶液にN,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.450 g, 2.17 mmol)を0℃にて添加し、混合物を室温にて終夜撹拌した。沈殿物をろ別し、ろ液を減圧濃縮し、粗生成物を得た。5-メチル L-グルタメート(0.380 g, 2.36 mmol)のアセトニトリル/H2O(10:3, 13 mL)溶液に粗生成物及びトリエチルアミン(0.660 g, 6.52 mmol)を添加し、混合物を室温にて終夜撹拌した。混合物を溶媒留去し、残渣を酢酸エチルに溶解し、HCl水溶液(1 M)、水、飽和食塩水で洗浄し、乾燥した(MgSO4)。溶媒を留去し、粗生成物102(0.890 g)を得、次の工程にさらなる精製をせずに用いた。
【0107】
参考例34
【化61】
粗製物102(0.890 g)及びN-Boc-4,7,10-トリオキサ-1,13-トリデカンジアミン(0.690 g, 2.15 mmol)のジクロロメタン(10 mL)中の混合物に1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(0.50 g, 2.6 mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(0.32 g, 2.85 mmol)及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(0.35 g, 2.59 mmol)を0℃にて添加し、混合物を室温にて終夜撹拌した。混合物を飽和NaHCO3水溶液、水及び飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン; 2:1)で精製し、103(0.760 g, 1.13 mmol, 3工程で52%)を得た。
【0108】
参考例35
【化62】
103(0.760 g, 1.13 mmol)のジクロロメタン(10 mL)溶液にトリフルオロ酢酸(2 mL)を0℃にて添加し、混合物を室温にて2時間撹拌した。溶媒を留去し、残渣をクロロホルムに溶解し、飽和Na2CO3水溶液、水及び飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮し、粗生成物(0.60 g)を得た。粗生成物(0.60 g)のN,N’-ジメチルホルムアミド(5 mL)溶液にNHS-ビオチン(0.36 g, 1.04 mmol)及びトリエチルアミン(0.32 g, 3.12 mmol)を添加し、混合物を室温にて終夜撹拌した。溶媒を留去し、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し(メタノール:クロロホルム; 1:10)、104(0.70 g, 0.87 mmol, 複数工程で77%)を得た。
【0109】
参考例36
【化63】
104(0.56 g, 0.70 mmol)のテトラヒドロフラン(3 mL)及び水(1 mL)中の混合物に水酸化リチウム一水和物(59 mg, 1.4 mmol)を0℃にて添加し、混合物を室温にて2時間撹拌した。混合物をHCl水溶液(1 M)で酸性化し、クロロホルムで3回抽出した。集めた抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し(メタノール:クロロホルム; 1:3)、105(0.46 g, 0.59 mmol, 84%)を得た。
【0110】
参考例37
【化64】
John H. WhiteらProc. Natl. Acad. Soc. 2008, 105, 8250-8255に記載の方法に従い、本工程を実施した。1,2-ジオール61(3.69 g, 9.442 mmol)をD-(-)-キナ酸60(4.72 g, 24.562 mmol)から39%収率で得た。
【0111】
参考例38
【化65】
ジオール61(7.69 g, 19.680 mmol)のCH2Cl2(190 mL)溶液にベンズアルデヒドジメチルアセタール及びピリジニウムp-トルエンスルホネートを室温にて添加した。7時間撹拌した後、飽和NaHCO3水溶液で反応をクエンチした。水層をCH2Cl2で3回抽出した。集めた有機抽出物をMgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/ジクロロメタン; 50:1)、残留試薬(ベンズアルデヒドジメチルアセタール)を含むベンジリデンアセタール(12.76 g)を得た。上記ベンジリデンアセタール(12.76g)のTHF(480 mL)溶液にTBAF・3H2Oの溶液(65 mL, THF中1.0 M)を0℃にて添加した。5時間撹拌した後、反応混合物を飽和NH4Cl水溶液で反応停止した。水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 50:1〜2:1)、アルコール62(5.38 g, 75%)を得た。
【0112】
参考例39
【化66】
アルコール62(0.57 g, 1.556 mmol)のCH2Cl2(5.0 mL)溶液にピリジン(0.50 mL, 6.222 mmol)及びクロロメチルスルホニルクロリド(0.28 mL, 3.111 mmol)を0℃にて添加した。2時間撹拌した後、飽和NH4Cl水溶液で反応を停止した。水層をCH2Cl2で3回抽出した。集めた有機抽出物をMgSO4で乾燥し、減圧濃縮し、粗製モノキレート(monochlate)を得た。粗製モノキレートのDMF(7.8 mL)溶液にナトリウムアジド(0.51 mg, 7.778 mmol)を室温にて添加した後、混合物を60℃まで昇温させ、4.5時間撹拌した。反応混合物をH2Oで反応停止した。水層をエチルエーテルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 50:1)、アジド63(0.35 g, 62からの収率58%)を得た。
【0113】
参考例40
【化67】
トリメチルホスフィン(1.40 mL, 1.355 mmol, トルエン中1.0 M)及び蒸留水(0.23 mL)の溶液をアジド63(0.35 g, 0.903 mmol)のTHF(9.0 mL)溶液に室温にて添加した。21時間撹拌した後、混合物を50℃にて濃縮し、粗製アミンを得た。粗製アミンのTHF(9.0 mL)溶液にN-カルボエトキシフタルイミド(0.50 mg, 2.258 mmol)を室温にて添加した。22時間撹拌した後、混合物に飽和Na2CO3水溶液(1 mL)を添加し、激しく撹拌した。さらに10分後、水層をエチルエーテルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 10:1〜6:1)、アジド64(0.31 g, 63からの収率69%)を得た。
【0114】
参考例41
【化68】
フタルイミド64(334.0 mg, 1.355 mmol)のエタノール(6.8 mL)溶液に水酸化パラジウム(34 mg, 10 wt%, 東京化成工業株式会社から20%/約50%含水炭素)を室温にて添加した。反応容器をパージし、水素下に置き、15時間激しく撹拌した。反応混合物をセライトパッドを通してろ過し、ろ液を濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 10:1〜1:1)、ジオール65(177.8 mg, 53%)及び出発物質(92.6 mg, 34%回収)を得た。
【0115】
参考例42
【化69】
65(155.2 mg, 0.383 mmol)のメタノール(16.7 mL)溶液に過ヨード酸ナトリウム(368 mg, 1.722 mmol)の蒸留水(2.4 mL)溶液を0℃にて滴加した。17時間撹拌した後、反応混合物を水で希釈し、水層をジクロロメタンで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 15:1〜1:1)、ケトン66(114.7 mg, 80%)及び出発物質65(18.2 mg, 12%回収)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.88-7.82 (m, 2H), 7.77-7.71 (m, 2H), 4.43 (dddd, J = 13.07, 12.73, 4.47, 4.13 Hz, 1H), 3.94 (dddd, J = 11.01, 10.66, 6.19, 4.47 Hz, 1H), 3.35 (dd, J = 14.10, 13.07 Hz, 1H), 2.75-2.63 (m, 2H), 2.58-2.43 (m, 2H), 2.19-2.10 (m, 1H), 0.87 (s, 9H), 0.07 (s, 3H), 0.06 (s, 3H).
【0116】
参考例43
【化70】
ジオール58(0.91 g, 3.211 mmol)の乾燥ジクロロメタン(11 mL)溶液にモレキュラー・シーブス4A(1.61 g)及びN-メチルモルホリンN-オキシド(0.75 g, 6.422 mmol)を添加し、30分間撹拌した。テトライソプロピルアンモニウム過ルテニウム酸塩(45 mg, 0.128 mmol)を添加した後、反応混合物を室温まで昇温させた。2時間撹拌した後、混合物をシリカゲルパッドを通してろ過し、ろ液を溶媒留去し、粗製ケトンを得た。ナトリウムヒドリド(0.77 g, 19.266 mmol, 60% オイルで安定化)のTHF(20 mL)懸濁液にトリエチルホスホノアセテート(5.8 mL, 28.900 mmol)を0℃にて添加し、室温まで昇温させた。当該溶液に上記ケトン(3.211 mmol)のTHF(12 mL)溶液を添加した。3日間撹拌した後、H2Oで反応を停止し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 15:1〜10:1)、α,β-不飽和エステル99(1.09 g, 97%)を無色油状物として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 5.45 (s, 1H), 4.14 (q, J = 7.22 Hz, 2H), 3.87-3.82 (m, 1H), 2.13-1.20(m, 18H), 1.28 (t, J = 7.22 Hz, 3H), 1.21 (s, 6H), 0.94 (d, J = 6.19 Hz, 3H), 0.57 (s, 3H).
【0117】
参考例44
【化71】
α,β-不飽和エステル99(0.80 g, 2.278 mmol)のCH2Cl2(23 mL)溶液にジイソブチルアルミニウムヒドリドのヘキサン(6.8 mL, 6.835 mmol, 1.0 M)溶液を添加した。2時間撹拌した後、MeOH(5 mL)を注意深く添加して反応を停止した。混合物に飽和ロッシェル塩水溶液(8 mL)を添加し、30分間撹拌した。有機層を飽和ロッシェル塩水溶液で3回洗浄し、水層をCHCl3で3回抽出した。集めた混合物をMgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 5:1〜1:1)、アリルアルコール100(0.77 g, q.y.)を無色油状物として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 5.21 (dd, J = 7.22, 6.88 Hz, 1H), 4.20 (dd, J = 6.19, 5.85 Hz, 2H), 2.64-2.59 (m, 1H), 2.01-1.20(m, 18H), 1.21 (s, 6H), 0.93 (d, J = 6.19 Hz, 3H), 0.54 (s, 3H).
【0118】
参考例45
【化72】
トリフェニルホスフィン(104.0 mg, 0.395 mmol)、2-メルカプトベンゾチアゾール(66 mg, 0.395 mmol)をアリルアルコール100(75.5 mg, 0.247 mmol)のジクロロメタン(0.80 mL)溶液に0℃にて添加した後、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(77μL, 0.395 mmol)を滴加した。1時間撹拌した後、反応混合物にH2Oを加えることで反応を停止した。水層をジクロロメタンで3回抽出した。集めた有機抽出物をMgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 10:1〜5:1)、残留試薬を含むチオエーテル(0.247 mmol)とした。チオエーテル(0.247 mmol)のエタノール(3.3 mL)溶液に過酸化水素(1.3 mL, 30%水溶液)及び七モリブデン酸六アンモニウム四水和物(97 mg, 0.079 mmol)を室温にて添加した。3時間撹拌した後、10% Na2S2O3水溶液で反応を停止した。水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 5:1〜3:1)、アルコール101(0.18 g, 94%)を得た。
【0119】
参考例46
【化73】
アルコール101(1.04 g, 2.127 mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(7 mL)溶液にイミダゾール(0.43 g, 6.382 mmol)及びN,N-ジメチルアミノ-4-ピリジン(52 mg, 0.425 mmol)を室温にて添加した後、クロロトリエチルシラン(0.89 mL, 5.318 mmol)を滴加した。6時間撹拌した後、反応混合物をH2Oで反応停止した。水層をエチルエーテルで3回抽出した。集めた有機抽出物をH2O及び飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 40:1〜20:1)、ベンゾチアゾリルスルホン67(1.28 g, 100%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.22-7.56 (m, 4H), 5.01 (dd, J = 7.79, 7.79 Hz, 1H), 4.43 (dd, J = 14.20, 8.70 Hz, 1H), 4.20 (dd, J = 14.20, 6.87 Hz, 1H), 2.56-2.53 (m, 1H), 1.90-1.81 (m, 3H), 1.62-1.15(m, 15H), 1.17 (s, 6H), 0.93 (t, J = 7.79 Hz, 9H), 0.84 (d, J = 6.41 Hz, 3H), 0.55 (q, J = 7.79 Hz, 6H), 0.25 (s, 3H).
【0120】
参考例47
【化74】
アルコール62(1.22 g, 3.353 mmol)のCH2Cl2(190 mL)溶液にモレキュラー・シーブス4A及びN-メチルモルホリンN-オキシドを室温にて添加した。15分間撹拌した後、テトラプロピルアンモニウム過ルテニウム酸塩を0℃にて添加した。さらに1時間後、反応混合物をシリカゲルパッドを通してろ過し、ろ液を濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/ジクロロメタン; 15:1〜5:1)、ケトン78a(0.48 g, 39%)及び78b(0.63 g, 52%)を得た。
【0121】
参考例48
【化75】
ケトン78a(130.5 mg, 0.360 mmol)のエタノール(3.6 mL)溶液に水素化ホウ素ナトリウム(27.2 mg, 0.720 mmol)を添加した。3.5時間撹拌した後、反応混合物をH2O及び飽和食塩水で反応停止し、次いで水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 15:1〜5:1)、cis-アルコール79a(16.5 mg, 21%)及びtrans-アルコール62a(41.8 mg, 52%)を無色油状物として得た。
79aについて記載した方法と同様にして、cis-アルコール79b(47.8 mg, 36%)及びtrans-アルコール62b(61.5 mg, 47%)を78b(79.5 mg, 0.219 mmol)から無色油状物として得た。
【0122】
参考例49
【化76】
64について記載した方法と同様にして、79a及び79b(0.84 g, 2.291 mmol)からフタルイミド80(0.70 g, 62%)を泡状非晶質固体として得た。
【0123】
参考例50
【化77】
フタルイミド80(46.4 mg, 0.094 mmol)のエタノール(1.0 mL)溶液に水酸化パラジウム(5 mg, 10 wt%, 東京化成工業株式会社から20%/約50%含水炭素)を室温にて添加した。反応容器を水素でパージし、5.5時間激しく撹拌した。反応混合物をセライトパッドを通してろ過し、ろ液を濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 10:1〜1:1)、ジオール(19.2 mg, 50%)及び出発物質(12.7 mg, 27%回収)を得た。上記ジオール(19.2 mg, 0.047 mmol)のメタノール(2.1 mL)溶液に過ヨード酸ナトリウム(46 mg, 0.213 mmol)の蒸留水(0.3 mL)溶液を0℃にて滴加した。7時間撹拌した後、反応混合物を水で希釈し、水層をジクロロメタンで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 15:1〜2:1)、ケトン81(13.9 mg, 79%)を無色固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.87-7.70 (m, 4H), 5.05 (dddd, J = 12.38, 12.04, 4.47, 4.47 Hz, 1H), 4.52-4.46 (m, 1H), 3.31 (dd, J = 13.76, 12.73 Hz, 1H), 2.75-2.47 (m, 3H), 2.02-1.94 (m, 1H), 0.90 (s, 9H), 0.08 (s, 6H).
【0124】
参考例51
【化78】
アルコール79a及び79b(0.82 g, 2.2436 mmol)のCH2Cl2(22.0 mL)溶液にトリエチルアミン(0.94 mL, 6.735 mmol)、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(60.5 mg, 0.495 mmol)及び塩化ベンゾイル(0.52 mL, 4.513 mmol)を0℃にて添加した後、混合物を室温まで昇温し、2時間撹拌した。飽和NaHCO3水溶液で反応を停止した。水層をCH2Cl2で3回抽出した。集めた有機抽出物をMgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 20:1)、92(0.96 mg, 91%)を無色固体として得た。
【0125】
参考例52
【化79】
ベンゾエートエステル92(0.96 g, 2.047 mmol)の酢酸エチル(41 mL)溶液に水酸化パラジウム(97.8 mg, 10 wt%, 東京化成工業株式会社から20%/約50%含水炭素)を室温にて添加した。反応容器をパージし、水素下に置き、2時間激しく撹拌した。反応混合物をセライトパッドを通してろ過し、ろ液を濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 5:1〜2:1)、ジオール(0.77 g, 99%)を無色固体として得た。上記ジオール(0.77 g, 2.017 mmol)のメタノール(84 mL)溶液に過ヨード酸ナトリウム(2.00 g, 9.335 mmol)の蒸留水(12 mL)溶液を0℃にて滴加した。1.5時間撹拌した後、反応混合物を水で希釈し、水層をジクロロメタンで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 10:1〜5:1)、ケトン93(0.68 g, 97%)を無色固体として得た。
【0126】
実施例1
NHBoc VD3 18a及び18b
【化80】
16(109 mg, 0.231 mmol)及び14a(36 mg, 0.101 mmol)のトルエン(1.0 mL)及びEt3N(1.0 mL)の溶液にPd(PPh3)4(10-20 mol%)を室温にて添加した後、反応混合物を90℃にて加熱した。3.5時間撹拌した後、反応混合物をシリカゲルカラムのパッドを通してろ過し、ろ液を溶媒留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 100:1)、17a(19 mg, 0.025 mmol, 純粋でない)を得た。17a(19 mg, 0.025 mmol)のTHF(1 mL)溶液に3HF-Et3N(0.050 mL, 0.299 mmol)を室温にて添加した。シリカゲルプレートの薄層クロマトグラフィー(溶離液: 1:1 酢酸エチル〜ヘキサン)により反応をモニターした。飽和NaHCO3により反応を停止し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 5:2〜2:1)、1α-NHBoc VD3 18a(7.2 mg, 2工程14%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 6.35 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 5.99 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 5.22 (s, 1H), 4.95 (s, 1H), 4.51-4.08 (m, 3H), 2.81 (d, J = 12.5 Hz, 1H), 2.56 (d, J = 12.5 Hz, 1H), 2.35-0.85 (m, 39H), 1.45 (s, 9H), 1.21 (s, 6H), 0.93 (d, J = 6.2 Hz, 3H), 0.53 (s, 3H);
HRMS (ESI) C32H53N1Na1O4 [M+Na]+ 計算値: 538.3872, 実測値: 538.3882.
18aについて記載した手順と同様にして、16(59 mg, 0.124 mmol)及び14b(19 mg, 0.054 mmol)から1β-NHBoc VD3 18b(3.5 mg, 13%)を無色油状物として得た。
【0127】
実施例2
1-アミノ-25(OH)D 19a及び19b
【化81】
塩化アセチル(0.080 mL, 1.13 mmol)をEtOH(1.1 mL)に0℃にてゆっくりと滴加した。30分間撹拌した後、この溶液をジオール18a(15.9 mg, 0.0308 mmol)に添加した。さらに6時間撹拌した後、反応混合物を溶媒留去した。残渣をEt2Oで洗浄し、19a(13.01 mg, 93%)を黄色固体として得た。
1H NMR (300 MHz, MeOH-d4) δ 6.45 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 6.04 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 5.28 (s, 1H), 5.17 (s, 1H), 4.19-4.11 (m, 1H), 4.07-4.02 (m, 1H), 2.89 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 2.57 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 2.41-1.13 (m, 27H), 0.97 (d, J = 6.2 Hz, 3H), 0.58 (s, 3H);
HRMS (ESI) C27H46N1O2 [M+H]+ 計算値: 416.3529, 実測値: 416.3532.
19aについて記載した手順と同様にして、19b(2.82 mg, 92%)を18b(3.5 mg, 0.00678 mmol)から黄色固体として得た。
1H NMR (300 MHz, MeOH-d4) δ 6.50 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 6.01 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 5.38 (s, 1H), 5.19 (s, 1H), 4.11-4.01 (m, 1H), 3.92-3.86 (m, 1H), 2.89 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 2.57 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 2.42-1.14 (m, 27H), 0.97 (d, J = 6.2 Hz, 3H), 0.57 (s, 3H).
【0128】
実施例3
NHAc VD3 22a及び22b
【化82】
16(106 mg, 0.225 mmol)及び20a(40.6 mg, 0.137 mmol)のトルエン(1.4 mL)及びEt3N(1.4 mL)の溶液にPd(PPh3)4(10〜20 mol%)を室温にて添加した後、反応混合物を90℃にて加熱した。5時間撹拌した後、反応混合物をシリカゲルカラムパッドを通してろ過し、ろ液を溶媒留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 6:1〜3:1)、21a(9.7 mg, 10%)を得た。21a(9.7 mg, 0.014 mmol)のTHF(0.3 mL)溶液に3HF-Et3N(0.030 mL, 0.18 mmol)を室温にて添加した。シリカゲルプレートの薄層クロマトグラフィー(溶離液: 3:2:1 クロロホルム:酢酸エチル:メタノール)により反応をモニターした。反応混合物に飽和NaHCO3水溶液を加えることで反応を停止した。水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 1:10〜0:1)、1α-NHAc VD3 22a(5.87 mg, 90%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.38 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 5.97 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 5.37 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 5.20 (s, 1H), 4.96 (s, 1H), 4.77 (dd, J = 13.7, 6.0 Hz, 1H), 4.10-4.05 (m, 1H), 2.81 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 2.57 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 2.35-0.83 (m, 32H), 1.99 (s, 3H), 1.21 (s, 6H), 0.93 (d, J = 6.0 Hz, 3H), 0.52 (s, 3H);
HRMS (ESI) C29H47N1Na1O3 [M+Na]+ 計算値: 480.3454, 実測値: 480.3458.
22aについて記載した手順と同様にして、1β-NHAc VD3 22b(10.6 mg, 79%)を16(104 mg, 0.221 mmol)及び20b(37.2 mg, 0.126 mmol)から無色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.46 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 6.36 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 5.95 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 5.27 (s, 1H), 4.95 (s,1H), 4.70-4.65 (m, 1H), 4.18-4.13 (m, 1H), 2.81 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 2.59 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 2.36-0.81 (m, 32H), 1.94 (s, 3H), 1.21 (s, 6H), 0.92 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 0.52 (s, 3H).
【0129】
実施例4
1α-NHNs VD3 28
【化83】
16(64.0 mg, 0.136 mmol)及び26(39.3 mg, 0.090 mmol)のトルエン(0.9 mL)及びEt3N(0.9 mL)溶液にPd(PPh3)4(10-20 mol%)を室温にて添加した後、反応混合物を90℃にて加熱した。5時間攪拌した後、反応混合物をシリカゲルカラムパッドに通してろ過し、ろ液を溶媒留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 10:1)、27(12.4 mg, 47%)を得た。27(12.4 mg, 0.015 mmol)のTHF(0.3 mL)溶液に3HF-Et3N(0.31 mL, 1.92 mmol)を室温にて添加した。反応はシリカゲルプレート上の薄層クロマトグラフィー(溶離液: 1:1 酢酸エチル:ヘキサン)によりモニターした。反応は飽和NaHCO3水溶液により停止した。水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 3:1〜1:2)、1α-NHNs VD3 28(6.51 mg, 90%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.20-7.24 (m, 4H), 6.36 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 5.74 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 5.41 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 5.04 (s, 1H), 4.82 (s, 1H), 4.37-4.09 (m, 2H), 2.78 (d, J = 11.9 Hz, 1H), 2.55 (d, J = 11.9 Hz, 1H), 2.31-0.80 (m, 30H), 1.23 (s, 6H), 0.93 (d, J = 6.5 Hz, 3H), 0.51 (s, 3H);
HRMS (ESI) C33H48N2Na1O6S1 [M+Na]+ 計算値: 623.3131, 実測値: 623.3161.
【0130】
実施例5
1α-NHTs VD3 32
【化84】
16(47.0 mg, 0.099 mmol)及び30(26.8 mg, 0.066 mmol)のトルエン(0.65 mL)及びEt3N(0.65 mL)溶液にPd(PPh3)4(10-20 mol%)を室温にて添加した後、反応混合物を90℃にて加熱した。6時間撹拌した後、反応混合物をシリカゲルカラムパッドに通してろ過し、ろ液を溶媒留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 10:1)、31(5.1 mg, 10%)を得た。31(5.1 mg, 0.00639 mmol)のTHF(0.13 mL)溶液に3HF-Et3N(0.091 mL, 0.556 mmol)を室温にて添加した。反応はシリカゲルプレート上の薄層クロマトグラフィー(溶離液: 1:1 酢酸エチル:ヘキサン)によりモニターした。反応混合物に飽和NaHCO3水溶液を加えることで反応を停止した。水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 2:1〜1:1)、1α-NHTs VD3 32(2.20 mg, 60%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.73 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.29 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 6.33 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 5.80 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 4.93 (s, 1H), 4.64 (s, 1H), 4.37 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 4.16-4.01 (m, 2H), 2.79-2.73 (m, 2H), 2.43 (s, 3H), 2.24-0.80 (m, 30H), 1.22 (s, 6H), 0.94 (d, J = 6.2 Hz, 3H), 0.54 (s, 3H);
HRMS (FAB) C34H51NNaO4S [M+Na]+ 計算値: 592.3437, 実測値: 592.3433.
【0131】
実施例6
1α-NHCbz VD3 36
【化85】
16(45.7 mg, 0.097 mmol)及び34(21.4 mg, 0.055 mmol)のトルエン(0.55 mL)及びEt3N(0.55 mL)溶液にPd(PPh3)4(10-20 mol%)を室温にて添加した後、反応混合物を90℃にて加熱した。6時間撹拌した後、反応混合物をシリカゲルカラムパッドに通してろ過し、ろ液を溶媒留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 75:1〜40:1)、35(5.6 mg, 13%)を得た。35(5.6 mg, 0.0072 mmol)のTHF(0.145 mL)溶液に3HF-Et3N(0.13 mL, 0.818 mmol)を室温にて添加した。反応はシリカゲルプレート上の薄層クロマトグラフィー(溶離液: 1:1 酢酸エチル:ヘキサン)によりモニターした。反応混合物を飽和NaHCO3水溶液でクエンチした。水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 2:1〜1:1)、1α-NHCbz VD3 36(1.16 mg, 29%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.36 (s, 5H), 6.36 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 5.97 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 5.23 (s, 1H), 5.12-5.09 (m, 2H), 4.97 (s, 1H), 4.57-4.46 (m, 1H), 4.12-4.06 (m, 1H), 2.84-0.81 (m, 32H), 1.22 (s, 6H), 0.93 (d, J = 6.2 Hz, 3H), 0.51 (s, 3H).
HRMS (FAB) Calcd for C35H51NNaO4 [M+Na]+: 572.3716, 実測値: 572.3717.
【0132】
実施例7
アミン37
【化86】
1-ドデカンチオール(0.0040 mL, 0.01411 mmol)のジエチルエーテル(0.10 mL)溶液にNaH(1.00 mg, 0.01881 mmol, オイルにより安定化 60%)を0℃にて添加し、30分間撹拌した。その懸濁液にジエチルエーテル(0.10 mL)中のノシレート27(7.8 mg, 0.00941 mmol)を添加した後、反応混合物を室温まで昇温させた。さらに2時間後、H2Oにより反応を停止した。水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 4:1〜1:1)、アミン 37(4.6 mg, 76%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 6.27 (d, J = 11.34 Hz, 1H), 5.98 (d, J = 11.34 Hz, 1H), 5.17 (s, 1H), 4.91 (s, 1H), 4.16-4.08 (m, 1H), 3.76-3.69 (m, 1H), 2.85-2.77 (m, 1H), 2.49-0.80 (m, 25H), 1.18 (s, 6H), 0.94 (t, J = 7.89 Hz, 9H), 0.86 (s, 9H), 0.56 (q, J = 7.89 Hz, 6H), 0.54 (s, 3H), 0.59 (s, 6H).
【0133】
実施例8
1α-NH(p-CF3Bz) VD3 38
【化87】
アミン 37(5.2 mg, 0.00807 mmol)のCH2Cl2(0.20 mL)溶液にEt3N(0.0028 mL, 0.02018 mmol)を添加し、p-(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロリド(0.0014 mL, 0.00969 mmol)を-20℃にて注意深く滴下した。1.5時間撹拌した後、飽和NaHCO3水溶液により反応を停止した。水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 30:1〜15:1)、ベンズアミド(6.0 mg, 91%, 純粋でない)を得た。ベンズアミド(6.0 mg, 7.35 μmol)のTHF(0.20 mL)溶液に3HF-Et3N(0.14 mL, 0.878 mmol)を室温にて添加した。反応はシリカゲルプレート上の薄層クロマトグラフィー(溶離液: 2:1 酢酸エチル:ヘキサン)によりモニターした。反応混合物に飽和NaHCO3水溶液を加えることで反応を停止した。水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 2:1〜1:a1)、1α-NH(p-CF3Bz) VD3 38(2.0 mg, 46%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.83 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.67 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 6.45 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 6.03 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 5.99 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 5.31 (s, 1H), 5.03 (s, 1H), 5.00-4.95 (m, 1H), 4.12-4.06 (m, 1H), 2.84 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 2.65 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 2.39-0.81 (m, 30H), 1.21 (s, 6H), 0.93 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 0.46 (s, 3H);
HRMS (ESI) C35H48F3N1Na1O3 [M+Na]+ 計算値: 610.3484, 実測値: 610.3458.
【0134】
実施例9
1α-NH(p-BrBz) VD3 39
【化88】
38について記載した手順と同様にして、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc; 1:3〜1:10)により精製した1α-NH(p-CF3Bz) VD3 39(1.77 mg, 19%)を37(7.3 mg, 11.33 μmol)から固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.59-7.52 (m, 4H), 6.45 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 5.99 (d, J = 15.6 Hz, 1H), 5.96 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 5.29 (s, 1H), 5.01 (s, 1H), 4.98-4.92 (m, 1H), 4.10-4.02 (m, 1H), 2.83 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 2.64 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 2.38-0.83 (m, 30H), 1.21 (s, 6H), 0.94 (d, J = 5.9 Hz, 3H), 0.49 (s, 3H);
HRMS (ESI) C34H48Br1N1Na1O3 [M+Na]+ 計算値: 622.2695, 実測値: 622.2683.
【0135】
実施例10
1α-NH(p-OMeBz) VD3 40
【化89】
38について記載した手順と同様にして、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル; 1:3〜1:10)により精製した1α-NH(p-OMeBz) VD3 40(2.46 mg, 52%)を37(5.6 mg, 8.69 μmol)から固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.68 (d, J = 8.72 Hz, 2H), 6.89 (d, J = 8.72 Hz, 2H), 6.44 (d, J = 11.44 Hz, 1H), 6.01 (d, J = 11.44 Hz, 1H), 5.93 (d, J = 8.28 Hz, 1H), 5.30 (s, 1H), 5.00 (s, 1H), 4.97-4.92 (m, 1H), 4.13-4.04 (m, 1H), 3.85 (s, 3H), 2.86-0.83 (m, 22H), 2.35 (dd, J = 12.80, 7.80 Hz, 1H) 1.20 (s, 6H), 0.93 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 0.51 (s, 3H);
HR-MS ESI C35H51N1Na1O4 [M+Na]+ 計算値: 572.37158, 実測値: 572.36923.
【0136】
実施例11
1α-NH(p-SCF3Bz) VD3 41
【化90】
38について記載した手順と同様にして、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル; 3:1〜1:1)により精製した1α-NH(p-SCF3Bz) VD3 41(118.88 mg, 74%)を37(166.2 mg, 0.258 mmol)から固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.75 (d, J = 8.25 Hz, 2H), 7.68 (d, J = 8.25 Hz, 2H), 6.45 (d, J = 10.98 Hz, 1H), 6.07 (d, J = 7.92 Hz, 1H), 5.99 (d, J = 10.98 Hz, 1H), 5.30 (s, 1H), 5.01 (s, 1H), 4.95 (dd, J = 11.67, 6.87 Hz, 1H), 4.12-4.04 (m, 1H), 2.86-1.15 (m, 23H), 1.21 (s, 6H), 0.93 (d, J = 5.82 Hz, 3H), 0.48 (s, 3H);
HR-MS ESI C35H48F3N1Na1O3S1 [M+Na]+ 計算値: 642.32047, 実測値: 642.31973.
【0137】
実施例12
1α-NH(2,3,4,5-テトラフルオロBz) VD3 42
【化91】
38について記載した手順と同様にして、フラッシュクロマトグラフィー(NH シリカゲル, ヘキサン/酢酸エチル; 1:1)により精製した1α-NH(2,3,4,5-テトラフルオロBz) VD3 42(2.21 mg, 61%)を37(3.8 mg, 5.899μmol)から固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.80-7.72 (m, 1H), 6.52 (dd, J = 11.92, 7.32 Hz, 1H), 6.46 (d, J = 11.44 Hz, 1H), 5.97 (d, J = 11.44 Hz, 1H), 5.30 (s, 1H), 5.03 (s, 1H), 4.98-4.92 (m, 1H), 4.11-4.04 (m, 1H), 2.86-1.15 (m, 22H), 2.35 (dd, J = 13.28, 7.80 Hz, 1H), 1.21 (s, 6H), 0.93 (d, J = 5.52 Hz, 3H), 0.48 (s, 3H);
HR-MS ESI C34H45F4N1Na1O3 [M+Na]+ 計算値: 614.32333, 実測値: 614.32730.
【0138】
実施例13
1α-NH(2,4,5-トリフルオロBz) VD3 43
【化92】
38について記載した手順と同様にして、フラッシュクロマトグラフィー(NH シリカゲル, ヘキサン/酢酸エチル; 1:1)により精製したを37(23.5 mg, 0.037 mmol)から固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.00-7.93 (m, 1H), 6.98-6.92 (m, 1H), 6.62 (dd, J = 13.28, 8.24 Hz, 1H), 6.44 (d, J = 11.00 Hz, 1H), 5.97 (d, J = 11.00 Hz, 1H), 5.29 (s, 1H), 5.01 (s, 1H), 4.99-4.92 (m, 1H), 4.12-4.04 (m, 1H), 2.85-1.15 (m, 22H), 2.35 (dd, J = 12.84, 7.80 Hz, 1H), 1.21 (s, 6H), 0.93 (d, J = 6.44 Hz, 3H), 0.47 (s, 3H);
HR-MS ESI C34H46F3N1Na1O3 [M+Na]+ 計算値: 596.33275, 実測値: 596.33404.
【0139】
実施例14
1α-NH(3,4-ジメトキシBz) VD3 44
【化93】
38について記載した手順と同様にして、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル; 1:3)により精製した1α-NH(3,4-ジメトキシBz) VD3 44(1.76 mg, 78%)を37(2.5 mg, 3.881 μmol)から固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.46-7.44 (m, 1H), 7.17-7.13 (m, 1H), 6.80 (d, J = 8.58 Hz, 1H), 6.44 (d, J = 10.65 Hz, 1H), 6.01 (d, J = 10.65 Hz, 1H), 5.96 (d, J = 8.25 Hz, 1H), 5.30 (s, 1H), 5.01 (s, 1H), 5.00-4.92 (m, 1H), 4.16-4.05 (m, 1H), 3.94 (s, 3H), 3,91 (s,3H), 2.86-1.15 (m, 23H), 1.21 (s, 6H), 0.93 (d, J = 6.18 Hz, 3H), 0.50 (s, 3H);
HR-MS ESI C36H53N1Na1O5 [M+Na]+ 計算値: 602.38214, 実測値: 602.38563.
【0140】
実施例15
1α-NH(プロピオニル) VD3 45
【化94】
38について記載した手順と同様にして、フラッシュクロマトグラフィー(クロロホルム/酢酸エチル/メタノール; 18:1:1)により精製した1α-NH(プロピオニル) VD3 45(1.31 mg, 72%)を37(2.5 mg, 3.881 μmol)から固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 6.39 (d, J = 11.34 Hz, 1H), 5.96 (d, J = 11.34 Hz, 1H), 5.33 (d, J = 8.58 Hz, 1H), 5.20 (s, 1H), 4.96 (s, 1H), 4.85-4.74 (m, 1H), 4.10-4.01 (m, 1H), 2.85-1.15 (m, 23H), 2.21 (q, J = 7.56 Hz, 2H), 1.21 (s, 6H), 1.15 (t, J = 7.56 Hz, 3H), 0.93 (d, J = 6.18 Hz, 3H), 0.51 (s, 3H);
HR-MS ESI C30H49N1Na1O3 [M+Na]+ 計算値: 494.36101, 実測値: 494.36202.
【0141】
実施例16
1α-NH(ブチリル) VD3 46
【化95】
38について記載した手順と同様にして、フラッシュクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール; 20:1)により精製した1α-NH(ブチリル) VD3 46(1.84 mg, 98%)を37(2.5 mg, 3.881 μmol)から固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 6.39 (d, J = 11.34 Hz, 1H), 5.96 (d, J = 11.34 Hz, 1H), 5.33 (d, J = 8.25 Hz, 1H), 5.21 (s, 1H), 4.95 (s, 1H), 4.84-4.75 (m, 1H), 4.10-4.00 (m, 1H), 2.84-1.15 (m, 23H), 2.16 (t, J = 7.56 Hz, 2H), 1.66 (q, J = 7.56 Hz, 2H), 1.21 (s, 6H), 0.95 (t, J = 7.56 Hz, 3H), 0.93 (d, J = 6.18 Hz, 3H), 0.52 (s, 3H);
HR-MS ESI C31H51N1Na1O3 [M+Na]+ 計算値: 508.37666, 実測値: 508.37541.
【0142】
実施例17
1α-NHEt VD3 47
【化96】
トリフェニルホスフィン(12.0 mg, 0.0461 mmol)、エタノール(4μL, 0.0690 mmol)及びジイソプロピルアゾジカルボキシレート(9.0μL, 0.0461 mmol)をノシルアミド28(19.1 mg, 0.0230 mmol)のTHF(0.43 mL)溶液に室温にて添加し、12時間撹拌した。反応混合物にH2Oを加えることで反応を停止した。水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 20:1)、エチル化ノシルアミド(13.0 mg, 66%, 純粋でない)を得た。1-ドデカンチオール(7.2μL, 0.0303 mmol)のジエチルエーテル(100μL)溶液にナトリウムヒドリド(1.2 mg, 0.0288 mmol, オイルにより安定化 60%)を0℃にて添加し、30分間撹拌した。その懸濁液を上記エチル化ノシルアミド(13.0 mg, 0.0152 mmol)のジエチルエーテル(200μL)溶液に添加した。さらに8時間後、反応をH2Oで停止した。水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 10:1〜1:1)、エチルアミン(5.8 mg, 57%)を得た。HF・Py(83.5 mg, 0.842 mmol)をエチルアミン(5.8 mg, 8.628μmol)のTHF(0.50 mL)溶液に室温にて添加した。反応はシリカゲルプレート上の薄層クロマトグラフィー(溶離液: 3:2:1 クロロホルム:酢酸エチル:メタノール)によりモニターした。反応混合物に飽和NaHCO3水溶液を加えることで反応を停止した。水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(NH シリカゲル, クロロホルム/メタノール; 100:1)、1α-NHEt VD3 47(3.93 mg, 86%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 6.38 (d, J = 11.31 Hz, 1H), 5.99 (d, J = 11.31 Hz, 1H), 5.12 (d, J = 2.04 Hz, 1H), 4.97 (d, J = 2.04 Hz, 1H), 4.13-4.04 (m, 1H), 3.33 (t, J = 4.47 Hz,, 1H), 2.81 (dd, J = 11.67, 3.78 Hz, 1H), 2.68 (dd, J = 11.34, 7.23 Hz, 1H), 2.65-1.15 (m, 22H), 2.52 (dd, J = 11.34, 7.23 Hz, 1H), 1.21 (s, 6H), 1.08 (t, J = 7.20 Hz, 3H), 0.93 (d, J = 6.18 Hz, 3H), 0.51 (s, 3H);
HR-MS ESI C29H50N1O2 [M+H]+ 計算値: 444.38415, 実測値: 444.38318.
【0143】
実施例18
1α-NHBu VD3 48
【化97】
47について記載した手順と同様にして、フラッシュクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール; 200:1)により精製した1α-NHBu VD3 48(4.70 mg, 36%)を28(20.4 mg, 0.0246 mmol)から固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 6.38 (d, J = 11.31 Hz, 1H), 5.98 (d, J = 11.31 Hz, 1H), 5.13 (d, J = 2.40 Hz, 1H), 4.98 (d, J = 2.40 Hz, 1H), 4.13-4.02 (t, J = 4.11 Hz. 1H), 2.84-1.15 (m, 29H), 1.21 (s, 6H), 0.93 (d, J = 6.51 Hz, 3H), 0.89 (t, J = 7.20 Hz, 3H), 0.51 (s, 3H);
HR-MS ESI C31H54N1O2 [M+H]+ 計算値: 472.41545, 実測値: 472.41701.
【0144】
実施例19
1α-NH(シクロプロピルメチル) VD3 49
【化98】
47について記載した手順と同様にして、フラッシュクロマトグラフィー(クロロホルム/酢酸エチル/メタノール; 6:4:1〜3:2:2)により精製した1α-NH(シクロプロピルメチル) VD3 49(8.95 mg, 38%)を28(41.2 mg, 0.0497 mmol)を固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 6.41 (d, J = 11.34 Hz, 1H), 5.92 (d, J = 11.34 Hz, 1H), 5.13 (d, J = 2.07 Hz, 1H), 5.01 (d, J = 2.07 Hz, 1H), 4.20-4.09 (m, 1H), 3.39 (t, J = 4.11 Hz, 1H), 2.85-1.15 (m, 30H), 1.21 (s, 6H), 0.93 (d, J = 6.51 Hz, 3H), 0.52 (s, 3H);
HR-MS ESI C31H52N1O2 [M+H]+ 計算値: 470.39980, 実測値: 470.39797.
【0145】
実施例20
1α-NH(2-モルホリノエチル) VD3 50
【化99】
47について記載した手順と同様にして、フラッシュクロマトグラフィー(クロロホルム/酢酸エチル/メタノール; 6:4:1〜クロロホルム/メタノール; 1:1)により精製した1α-NH(2-モルホリノエチル) VD3 50(2.56 mg, 15%)を28(38.9 mg, 0.0469 mmol)から固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 6.38 (d, J = 11.34 Hz, 1H), 5.98 (d, J = 11.34 Hz, 1H), 5.21 (s, 1H), 5.04 (s, 1H), 4.18-4.08 (m, 1H), 3.68 (t, J = 4.47 Hz, 4H), 3.48-3.42 (m, 1H), 2.83-1.15 (m, 31H), 1.21 (s, 6H), 0.93 (d, J = 6.18 Hz, 3H), 0.50 (s, 3H);
HR-MS ESI C33H57N2O3 [M+H]+ 計算値: 529.43692, 実測値: 529.43542.
【0146】
実施例21
1α-NH(2-(4-ヒドロキシ ピペリジル)エチル) VD3 52
【化100】
47について記載した手順と同様にして、フラッシュクロマトグラフィー(NH シリカゲル, クロロホルム/酢酸エチル/メタノール; 18:1:1)により精製した1α-NH(2-(4-ヒドロキシ ピペリジル)エチル) VD3 52(4.22 mg, 20%)を28(43.5 mg, 0.0525 mmol)から固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 6.36 (d, J = 11.34 Hz, 1H), 6.01 (d, J = 11.34 Hz, 1H), 5.16 (d, J = 2.07 Hz, 1H), 4.98 (d, J = 2.07 Hz, 1H), 4.16-4.05 (m, 1H), 3.72-3.62 (m, 1H), 3.34 (t, J = 4.47 Hz, 1H), 2.83-1.15 (m, 34H), 1.21 (s, 6H), 0.93 (d, J = 5.82 Hz, 3H), 0.51 (s, 3H);
HR-MS ESI C34H59N2O3 [M+H]+ 計算値: 543.45257, 実測値: 543.44912.
【0147】
実施例22
1α-NHMs VD3 53
【化101】
38について記載した手順と同様にして、フラッシュクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール; 15:1)により精製した1α-NHMs VD3 53(1.49 mg, 70%)を37(2.8 mg, 4.347μmol)から固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 6.41 (d, J = 11.34 Hz, 1H), 5.95 (d, J = 11.34 Hz, 1H), 5.36 (s, 1H), 5.06 (s, 1H), 4.34-4.25 (m, 1H), 4.14-4.04 (m, 1H), 2.83 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 2.98 (s, 3H), 2.83-1.15 (m, 23H), 1.21 (s, 6H), 0.93 (d, J = 6.18 Hz, 3H), 0.52 (s, 3H);
HR-MS ESI C28H47N1Na1O4S1 [M+Na]+ 計算値: 516.31235, 実測値: 516.31391.
【0148】
実施例23
1α-NH(p-フルオロBz) VD3 54
【化102】
38について記載した手順と同様にして、フラッシュクロマトグラフィー(NHシリカ, ヘキサン/酢酸エチル; 20:1)により精製した1α-NH(p-フルオロBz) VD3 54(1.89 mg, 48%)を37(4.7 mg, 7.296μmol)から固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.72 (dd, J = 8.72, 5.04 Hz,, 2H), 7.08 (t, J = 8.72 Hz, 2H), 6.45 (d, J = 11.00 Hz, 1H), 6.00 (d, J = 11.00 Hz, 1H), 5.94 (d, J = 7.80 Hz, 1H), 5.30 (s, 1H), 5.01 (s, 1H), 4.98-4.91 (m, 1H), 4.12-4.04 (m, 1H), 2.84 (dd, J = 12.84, 3.68 Hz, 1H), 2.64 (dd, J = 12.84, 3.68 Hz, 1H), 2.35 (dd, J = 12.84, 7.80 Hz, 1H), 2.21-1.15 (m, 20H), 1.21 (s, 6H), 0.94 (d, J = 5.96 Hz, 3H), 0.50 (s, 3H);
HR-MS ESI C34H48F1N1Na1O3 [M+Na]+ 計算値: 560.35159, 実測値: 560.35351.
【0149】
実施例24
【化103】
105(4.9 mg, 0.0062 mmol)及び19a(1.4 mg, 0.0031 mmol)のメタノール(1.0 mL)撹拌溶液に4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(1.7 mg, 0.0062 mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.54μL, 0.0031 mmol)を0℃にて添加し、混合物を室温にて終夜撹拌した。溶媒を留去し、残渣をHPLCにより精製し、106(1.9 mg, 0.0016 mmol, 51%)を得た。
1H NMR (CD3OD) δ 0.51 (s, 3H), 0.94-3.36 (m, 47H), 3.48-3.64 (m, 20H), 4.03-4.81 (m, 4H), 4.88 (s, 1H), 5.15 (s, 1H), 5.96 (d, 1H), 6.32 (d, 1H), 7.35 (d, 2H), 8.01 (d, 2H);
HRMS (FAB) C61H90F3N8NaO10S [M+Na]+ 計算値: 1207.6429, 実測値: 1207.6427.
【0150】
実施例25
19-ノル 1β-NPhth-3β-OTBS VD3 68及び1α-OTBS-3α-NPhth VD3 69
【化104】
ベンゾチアゾリルスルホン67(61.9 mg, 0.102 mmol)のTHF(1.0 mL)溶液にリチウム ビス(トリメチルシリル)アミド(90μL, 0.116 mmol, 1.3 M/THF)を-78℃にて滴加した。1時間撹拌した後、ケトン66(29.0 mg, 0.078 mmol)のTHF(1.0 mL)溶液を添加した。混合物を2時間同温にて撹拌した後、室温まで昇温させ、3時間撹拌した。反応混合物に水を加えることで反応を停止し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 15:1)、68(12.2 mg, 21%)、69(24.0 mg, 40%)及び出発物質67(26.9 mg, 44%回収)を得た。
68; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.85-7.81 (m, 2H), 7.73-7.69 (m, 2H), 6.23 (d, J = 11.45 Hz, 1H), 5.73 (d, J = 11.45 Hz, 1H), 4.20-4.10 (m, 1H), 3.67 (dddd, J = 10.99, 10.76, 5.95, 4.58 Hz, 1H), 2.82-1.15 (m, 25H), 1.18 (s, 6H), 0.95-0.91 (m, 12H), 0.88 (s, 9H), 0.57 (s, 3H), 0.55 (q, J = 7.79 Hz, 6H), 0.08 (s,3H), 0.05 (s, 3H).
69; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.84-7.80 (m, 2H), 7.72-7.68 (m, 2H), 6.23 (d, J = 11.45 Hz, 1H), 5.85 (d, J = 11.45 Hz, 1H), 4.14 (dddd, J = 12.82, 12.36, 4.12, 4.12 Hz, 1H), 3.58 (dddd, J = 10.99, 10.53, 6.42, 4.12 Hz, 1H), 3.03-2.97 (m, 2H), 2.79-2.74 (m, 1H), 2.49 (ddd, J = 12.36, 12.36, 10.99 Hz , 1H), 2.22 (dd, J = 12.36, 3.66 Hz, 1H), 2.02-1.15 (m, 20H), 1.19 (s, 6H), 0.95 (t, J = 7.79 Hz, 9H), 0.93 (d, J = 6.41 Hz, 3H), 0.89 (s, 9H), 0.56 (q, J = 7.79 Hz, 6H), 0.56 (s, 3H), 0.09 (s,3H), 0.06 (s, 3H).
【0151】
実施例26
19-ノル 1β-アミノ-3β-OTBS VD3 70及び1α-OTBS-3α-アミノ VD3 71
【化105】
68(16.7 mg, 0.0219 mmol)のエタノール(0.55 mL)溶液にヒドラジン水和物(5.3μL, 0.110 mmol)を室温にて添加した。混合物を1.5時間60℃にて撹拌した。反応混合物を綿栓プラグに通してろ過し、ろ液を濃縮して粗製の70を得た。
70について記載した手順と同様にして、粗製の71を37(19.5 mg, 0.0256 mmol)から得た。
【0152】
実施例27
19-ノル 1β-NHTs-3β-OH VD3 72及び1α-OH-3α-NHTs VD3 73
【化106】
粗製の70(約0.011 mmol)のCH2Cl2(0.60 mL)溶液にトリメチルアミン(4.0μL, 0.028 mmol)及びp-トルエンスルホニルクロリド(2.5 mg, 0.013 mmol)を0℃にて添加した。2.5時間撹拌した後、反応混合物に水を加えることで反応を停止し、水層をジクロロメタンで3回抽出し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(NHシリカゲル, ヘキサン/酢酸エチル; 30:1〜4:1)、1β-NHTs-3β-OTBS VD3(6.4 mg, 73%)を無色油状物として得た。HF・Py(121.0 mg, 1.221 mmol)を上記1β-NHTs-3β-OTBS VD3(6.4 mg, 8.139μmol)のTHF(0.60 mL)溶液に添加し、混合物を20時間撹拌した。反応混合物に飽和NaHCO3水溶液を加えることで反応を停止し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 3:1〜1:2)、1β-NHTs-3β-OH VD3 72(4.29 mg, 94%)を白色固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.76 (d, J = 8.26 Hz, 2H), 7.29 (d, J = 8.26 Hz, 2H), 6.26 (d, J = 11.35 Hz, 1H), 5.69 (d, J = 11.35 Hz, 1H), 5.20 (d, J = 8.94 Hz, 1H), 3.95-3.87 (m, 1H), 3.54-3.44 (m, 1H), 2.76 (dd, J = 11.70, 3.78 Hz, 1H), 2.45-2.36 (m, 1H), 2.43 (s, 3H), 2.28 (dd, J = 13.42, 6.88 Hz, 1H), 2.15 (dd, J = 11.42, 6.54 Hz, 1H), 2.05-1.20 (m, 21H), 1.23 (s, 6H), 0.94 (d, J = 6.19 Hz, 3H), 0.54 (s, 3H).
HR-MS ESI C33H51N1Na1O4S1 [M+Na]+ 計算値: 580.34365, 実測値: 580.34011.
72について記載した手順と同様にして、1α-OTBS-3α-NHTs VD3 73(131.4 mg, 83%)を71(約0.283 mmol)から白色固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.76 (d, J = 8.26 Hz, 2H), 7.30 (d, J = 8.26 Hz, 2H), 6.10 (d, J = 11.01 Hz, 1H), 5.76 (d, J = 11.01 Hz, 1H), 5.20 (d, J = 8.60 Hz, 1H), 3.88-3.81 (m, 1H), 3.48-3.40 (m, 1H), 2.74-2.70 (m, 1H), 2.53 (dd, J = 13.07, 3.44 Hz, 1H), 2.43 (s, 3H), 2.34-1.20 (m, 23H), 1.22 (s, 6H), 0.94 (d, J = 6.19 Hz, 3H), 0.56 (s, 3H).
HR-MS ESI C33H51N1Na1O4S1 [M+Na]+ 計算値: 580.34365, 実測値: 580.34781.
【0153】
実施例28
19-ノル 1β-NH(p-SCF3Bz)-3β-OH VD3 74及び1α-OH-3α-NH(p-SCF3Bz) VD3 75
【化107】
粗製70(約0.011 mmol)のCH2Cl2(0.60 mL)溶液にトリメチルアミン(4.0μL, 0.028 mmol)及び(p-トリフルオロメチルチオ)塩化ベンゾイル(2.2μL, 0.013 mmol)を0℃にて添加した。1時間撹拌した後、反応混合物に水を加えることで反応を停止し、水層をジクロロメタンで3回抽出し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 10:1〜6:1)、1β-NH(p-SCF3Bz)-3β-OTBS VD3(7.6 mg, 82%)を無色油状物として得た。HF・Py(129.3 mg, 1.304 mmol)を上記1β-NH(p-SCF3Bz)-3β-OTBS VD3(7.6 mg, 9.087μmol)のTHF(0.60 mL)溶液に添加し、混合物を20時間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO3水溶液で反応停止し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 3:1〜1:2)、1β-NH(p-SCF3Bz)-3β-OH VD3 74(3.24 mg, 59%)を白色固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.73-7.64 (m, 4H), 7.50 (d, J = 8.26 Hz, 1H), 6.34 (d, J = 11.35 Hz, 1H), 5.72 (d, J = 11.35 Hz, 1H), 4.51-4.46 (m, 1H), 3.31-3.27 (m, 1H), 2.94 (dd, J = 13.42, 3.78 Hz, 1H), 2.79-2.74 (m, 1H), 2.60-2.56 (m, 1H), 2.35-1.20 (m, 22H), 1.21 (s, 6H), 0.90 (d, J = 6.54 Hz, 3H), 0.50 (s, 3H).
HR-MS ESI C34H48F3N1Na1O3S1 [M+Na]+ 計算値: 630.32047, 実測値: 630.31864.
74について記載した手順と同様にして、1α-OTBS-3α-NHTs VD3 75(5.06 mg, 65%)を71(約0.013 mmol)から白色固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.80-7.67 (m, 4H), 7.33 (d, J = 8.26 Hz, 1H), 6.29 (d, J = 11.01 Hz, 1H), 5.84 (d, J = 11.01 Hz, 1H), 4.40-4.32 (m, 1H), 4.23-4.18 (m, 1H), 2.76-2.68 (m, 1H), 2.60 (dd, J = 14.10, 5.85 Hz, 1H), 2.54-1.21 (m, 22H), 2.37 (dd, J = 14.10, 5.85 Hz, 1H), 1.22 (s, 6H), 0.94 (d, J = 6.19 Hz, 3H), 0.55 (s, 3H).
HR-MS ESI C34H48F3N1Na1O3S1 [M+Na]+ 計算値: 630.32047, 実測値: 630.32327.
【0154】
実施例29
19-ノル 1β-NPhth-3β-OH VD3 76及び1α-OH-3α-NHPhth VD3 77
【化108】
HF・Py(150.0 mg, 1.513 mmol)を上記1β-NPhth-3β-OTBS VD3 68(12.2 mg, 16.005μmol)のTHF(0.60 mL)溶液に添加し、混合物を20時間撹拌した。反応混合物に飽和NaHCO3水溶液を加えることで反応を停止し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 3:1〜1:1)、1β-NPhth-3β-OH VD3 76(8.54 mg, 100%)を白色固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.86-7.70 (m, 4H), 6.27 (d, J = 11.35 Hz, 1H), 5.72 (d, J = 11.35 Hz, 1H), 4.24-4.13 (m, 1H), 3.72 (dddd, J = 11.01, 10.66, 6.88, 4.47 Hz, 1H), 2.81-2.74 (m, 2H), 2.61 (dd, J = 12.07, 4.13 Hz, 1H), 2.39 (ddd, J = 12.04, 11.70, 11.70 Hz, 1H), 2.25-1.19 (m, 21H), 1.20 (s, 6H), 0.93 (d, J = 6.54 Hz, 3H), 0.56 (s, 3H).
HR-MS ESI C34H47N1Na1O4 [M+Na]+ 計算値: 556.34028, 実測値: 556.34468.
76について記載した手順と同様にして、1α-OH-3α-NHPhth VD3 77(8.76 mg, 94%)を69(13.3 mg, 17.448μmol)から白色固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.85-7.69 (m, 4H), 6.25 (d, J = 11.35 Hz, 1H), 5.86 (d, J = 11.35 Hz, 1H), 4.17 (dddd, J = 12.38, 12.38, 4.13, 3.78 Hz, 1H), 3.72 (dddd, J = 11.01, 11.01, 6.54, 4.13 Hz, 1H), 3.16 (dd, J = 12.73, 4.13 Hz, 2H), 3.00 (dd, J = 12.38, 12.38 Hz, 1H), 2.77 (dd, J = 12.04, 3.78 Hz, 1H), 2.46 (ddd, J = 12.04, 11.70, 11.70 Hz, 1H), 2.77 (dd, J = 12.38, 3.78 Hz, 1H), 2.17-1.21 (m, 19H), 1.22 (s, 6H), 0.94 (d, J = 6.19 Hz, 3H), 0.55 (s, 3H).
HR-MS ESI C34H47N1Na1O4 [M+Na]+ 計算値: 556.34028, 実測値: 556.34111.
【0155】
実施例30
19-ノル 1α-NPhth-3β-OTBS VD3 82及び1α-OTBS-3β-NPhth VD3 83
【化109】
ベンゾチアゾリルスルホン67(202.0 mg, 0.334 mmol)のTHF(2.0 mL)溶液にリチウム ビス(トリメチルシリル)アミド(0.28 mL, 0.336 mmol, 1.3 M/THF)を-78℃にて滴加した。1時間撹拌した後、ケトン81(72.4 mg, 0.194 mmol)のTHF(1.0 mL)溶液を添加した。混合物を2時間同温にて撹拌した後、室温まで昇温させ、0.5時間撹拌した。反応混合物を水で反応停止し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 30:1〜15:1)、82(21.5 mg, 15%)、83(33.8 mg, 22%)及び出発物質67(98.7 mg, 49%回収)を得た。
82; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.84-7.68 (m, 4H), 6.14 (d, J = 10.99 Hz, 1H), 5.77 (d, J = 10.99 Hz, 1H), 4.64 (dddd, J = 11.91, 11.91, 4.58, 44.12 Hz, 1H), 4.26-4.22 (m, 1H), 2.89-1.14 (m, 25H), 1.17 (s, 6H), 0.93(t, J = 10.99 Hz, 9H), 0.91 (d, J = 6.41 Hz, 3H), 0.89 (s, 9H), 0.54 (q, J = 8.24 Hz, 6H), 0.51 (s, 3H), 0.06 (s,3H), 0.05 (s, 3H).
【0156】
実施例31
19-ノル 1α-アミノ-3β-OTBS VD3 84
【化110】
70について記載した手順と同様にして、粗製84を82(3.8 mg, 4.985μmol)から得た。
【0157】
実施例32
19-ノル 1α-NHTs-3β-OH VD3 85
【化111】
72について記載した手順と同様にして、1α-NHTs-3β-OH VD3 85(1.58 mg, 52%)を粗製84(約5.422μmol)から白色固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.77-7.29 (m, 4H), 6.27 (d, J = 11.35 Hz, 1H), 5.59 (d, J = 11.35 Hz, 1H), 5.20 (d, J = 8.94 Hz, 1H), 4.00-3.93 (m, 1H), 3.69-3.60 (m, 1H), 2.44 (s, 3H), 2.28-1.20 (m, 24H), 1.23 (s, 6H), 0.95 (d, J = 6.19 Hz, 3H), 0.56 (s, 3H).
HR-MS FAB C33H51N1Na1O4S1 [M+Na]+ 計算値: 580.3437 , 実測値: 580.3435.
【0158】
実施例33
19-ノル 1α-NH(p-SCF3Bz)-3β-OH VD3 86
【化112】
74について記載した手順と同様にして、1α-NH(p-SCF3Bz)-3β-OH VD3 86(1.70 mg, 56%)を粗製84(約4.985μmol)から白色固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.73-7.65 (m, 4H), 6.42 (d, J = 11.35 Hz, 1H), 6.03 (d, J = 8.26 Hz, 1H), 5.83 (d, J = 11.35 Hz, 1H), 4.55-4.48 (m, 1H), 3.97-3.88 (m, 1H), 2.85-1.20 (m, 25H), 1.21 (s, 6H), 0.93 (d, J = 5.85 Hz, 3H), 0.43 (s, 3H).
HR-MS FAB C34H48F3N1Na1O3S1 [M+Na]+ 計算値: 630.3205, 実測値: 630.3207.
【0159】
実施例34
19-ノル 1α-NPhth-3β-OH VD3 87
【化113】
76について記載した手順と同様にして、1α-NPhth-3β-OH VD3 87(1.46 mg, 52%)を粗製84(約5.248μmol)から白色固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.85-7.69 (m, 4H), 6.29 (d, J = 11.01 Hz, 1H), 5.80 (d, J = 11.01 Hz, 1H), 4.60-4.49 (m, 1H), 4.34-4.25 (m, 1H), 2.94-1.20 (m, 25H), 1.20 (s, 6H), 0.92 (d, J = 6.19 Hz, 3H), 0.51 (s, 3H).
HR-MS FAB C34H48N1O4 [M+H]+ 計算値: 534.3583, 実測値: 534.3567.
【0160】
実施例35
19-ノル 1α-NHAc-3β-OH VD3 88
【化114】
76について記載した手順と同様にして、1α-NHAc-3β-OH VD3 88(2.15 mg, 76%)を粗製84(約5.422μmol)から白色固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 6.25 (d, J = 10.32 Hz, 1H), 5.82 (d, J = 10.32 Hz, 1H), 4.70-4.55 (m, 1H), 4.06-3.96 (m, 1H), 2.87-1.15 (m, 28H), 1.16 (s, 6H), 0.97 (d, J = 5.50 Hz, 3H), 0.56 (s, 3H).
HR-MS FAB C28H47N1Na1O3 [M+Na]+ 計算値: 468.3454, 実測値: 468.3454.
【0161】
実施例36
19-ノル 1α-NHMs-3β-OH VD3 89
【化115】
76について記載した手順と同様にして、1α-NHMs-3β-OH VD3 89(1.64 mg, 55%)を粗製84(約5.422μmol)から白色固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 6.32 (d, J = 11.01 Hz, 1H), 5.81 (d, J = 11.01 Hz, 1H), 4.08-4.00 (m, 1H), 3.84-3.76 (m, 1H), 2.98 (s, 3H), 2.78 (dd, J = 13.42, 4.13 Hz, 1H), 2.69 (dd, J = 13.42, 4.13 Hz, 1H), 2.49 (dd, J = 13.42, 4.13 Hz, 1H), 2.29 (dd, J = 13.07, 7.22 Hz, 1H), 2.19 (dd, J = 13.07, 7.22 Hz, 1H), 2.05-1.20 (m, 20H), 1.22 (s, 6H), 0.94 (d, J = 6.19 Hz, 3H), 0.54 (s, 3H).
HR-MS FAB C27H47N1Na1O4S1 [M+Na]+ 計算値: 504.3124, 実測値: 504.3121.
【0162】
実施例37
19-ノル 1α-NH(トリフルオロアセチル)-3β-OH VD3 90
【化116】
76について記載した手順と同様にして、1α-NH(トリフルオロアセチル)-3β-OH VD3 90(2.04 mg, 75%)を粗製84(約5.422μmol)から白色固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 6.38 (d, J = 11.35 Hz, 1H), 6.13 (d, J = 7.91 Hz, 1H), 5.77 (d, J = 11.35 Hz, 1H), 4.37-4.25 (m, 1H), 3.95 (dddd, J = 7.91, 7.91, 4.13, 4.13 Hz, 1H), 2.80 (dd, J = 11.70, 3.78 Hz, 1H), 2.57-1.20 (m, 24H), 1.22 (s, 6H), 0.94 (d, J = 6.19 Hz, 3H), 0.51 (s, 3H).
HR-MS FAB C28H45F3N1O3 [M+H]+ 計算値: 500.3351, 実測値: 500.3340.
【0163】
実施例38
19-ノル 1α-NHDns-3β-OH VD3 91
【化117】
76について記載した手順と同様にして、1α-NHDns-3β-OH VD3 91(1.72 mg, 51%)を粗製84(約5.422μmol)から白色固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.56-7.17 (m, 6H), 6.23 (d, J = 11.70 Hz, 1H), 5.60 (d, J = 11.70 Hz, 1H), 4.54 (d, J = 8.26 Hz, 1H), 3.92-3.85 (m, 1H), 3.65-3.54 (m, 1H), 2.90 (s, 6H), 2.76-1.23 (m, 25H), 1.24 (s, 6H), 0.95 (d, J = 6.19 Hz, 3H), 0.53 (s, 3H).
HR-MS FAB C38H56N2Na1O4S1 [M+Na]+ 計算値: 659.3859, 実測値: 659.3860.
【0164】
実施例39
19-ノル 1-OBz-3-OTBS VD3 94
【化118】
ベンゾチアゾリルスルホン67(558.1 mg, 0.924 mmol)及びケトン93(214.7 mg, 0.616 mmol)のTHF(12.3 mL)溶液にリチウム ビス(トリメチルシリル)アミド(0.94 mL, 1.232 mmol, 1.3 M/THF)を-78℃にて滴加した。混合物を1時間同温にて撹拌した後、室温まで昇温させ、0.5時間撹拌した。反応混合物に水を加えることで反応を停止し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 75:1〜10:1)、異性体混合物として94(379.1 mg, 83%)、及び出発物質67(112.9 mg, 20%回収)を得た。
【0165】
実施例40
19-ノル 1β-OBz-3β-OTBS VD3 95及び1α-OTBS-3α-OBz VD3 96
【化119】
94(496.7 mg, 0.674 mmol)をメタノール(13.5 mL)に溶解した後、溶液に炭酸カリウム(372.5 mg, 2.695 mmol)を室温にて添加し、13時間撹拌した。反応混合物を飽和NH4Cl水溶液で反応停止し、水層をジクロロメタンで3回抽出した。集めた有機抽出物をMgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 15:1〜5:1)、95(118.0 mg, 44%)及び異性体96(192.6 mg, 45%)を得た。
【0166】
実施例41
19-ノル 1α-F-3β-OTBS VD3 97
【化120】
95(87.2 mg, 0.138 mmol)のジクロロメタン(2.8 mL)溶液にN,N-ジエチルアミノサルファートリフルオリド(27.3μL, 0.207 mmol)を-78℃にて添加した。1時間撹拌した後、反応混合物に飽和NaHCO3水溶液を加えることで反応を停止し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物をMgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 75:1〜50:1)、97(54.5 mg, 62%)を得た。
【0167】
実施例42
19-ノル 1α-F-3β-OH VD3 98
【化121】
HF・Py(120.3 mg, 1.213 mmol)を97(54.5 mg, 0.085 mmol)のTHF(1.7 mL)溶液に添加し、混合物を16時間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO3水溶液を加えることで反応停止し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーし(ヘキサン/酢酸エチル; 10:1〜1:1)、1α-F-3β-OH VD3 98(12.9 mg, 37%)を白色固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 6.31 (d, J = 11.35 Hz, 1H), 5.80 (q, J = 11.35 Hz, 1H), 4.66 (ddddd, J = 48.16, 7.91,7.57, 3.78, 3.78 Hz, 1H), 3.77 (dddd, J = 7.91, 7.57, 3.78, 3.78 Hz, 1H) 2.79-1.18(m, 25H), 1.19 (s, 6H), 0.92 (d, J = 6.54 Hz, 3H), 0.53 (s, 3H).
HR-MS ESI C26H43F1Na1O2 [M+Na]+ 計算値: 429.31448, 実測値: 429.31441.
【0168】
実験例1:PLAP-BPアッセイ
280の内因性脂質関連化合物からなる化合物ライブラリー内の化合物を、レポーター遺伝子の発現を阻害する能力についてスクリーニングした。この遺伝子では、ステロール調節エレメント(SRE)を三回繰り返し、ルシフェラーゼの発現を制御する。脂質の枯渇は、SREドメインに結合し、転写因子として機能してルシフェラーゼを発現するSREBPを活性化する。SREBP応答レポーター構築物を、対照のβ-ガラクトシダーゼ(β-gal)レポーター遺伝子とともに、CHO-K1細胞(chinese hamster ovary cell)に同時遺伝子導入した。レポーター遺伝子における構成的に活性化したアクチンプロモーターはβ-galの発現を活発にする。SREBP応答レポーター遺伝子からのルシフェラーゼ発現レベルをβ-gal発現レベル正規化した。
【0169】
レポーター遺伝子の発現レベルを40%以上減少させた11の化合物をヒット化合物として最初のスクリーニングから選択した。Sakaiら(Mol. Cell 1998, 2, 505-514)により開発されたレポーターアッセイを用いて、選択したヒット化合物がER-ゴルジ移行及びSREBPのタンパク質分解プロセシングに影響するか否かを決定し、偽陽性の結果を与えた化合物を除外した。このアッセイにおいて、NH2末端DNA結合ドメイン(PLAP-BP2513-1141)が欠如したSREBP-2フラグメントと縮合した、分泌型アルカリホスファターゼを用い、蛍光ホスファターゼ基質の蛍光発光変化を通して、ゴルジ体への移行及びプロセシングをモニターした。細胞をPLAP-BP2513-1141及びSCAPをコードしたプラスミドで同時遺伝子導入すると、PLAPホスファターゼが分泌し、蛍光発光シグナルが生成した。11のヒット化合物のうち、ビタミンD3(VD)誘導体は、DMSO対照に比べて、分泌が有意に減少した(図1)。特に二つの化合物、25-ヒドロキシビタミンD3 [25(OH)D]及び1α,25-ジヒドロキシビタミンD3 [1,25(OH)2D]は、コレステロールよりもPLAP分泌をより顕著に抑制した。
【0170】
実験例1−A:細胞培養手順
CHO-K1細胞を培地A(100 units/mLペニシリン、100μg/mL硫酸ストレプトマイシン及び5%(v/v)ウシ胎仔血清を補充した、Ham's F-12培地及びDulbecco's modified Eagle培地の1:1混合培地)中、加湿5% CO2下37℃にて維持した。
【0171】
実験例1−B:PLAP-BPアッセイ手順(図1
0日目に、CHO-K1細胞を、培地A中、2.0×104細胞/ウェルにて96ウェルプレートに添加した。1日目に、細胞にpCMV-PLAP-BP2513-1141(0.1μg/ウェル)、pCMV-SCAP(0〜2.0μg/ウェル)及びβ-galレポーター遺伝子を同時に遺伝子導入した。β-ガラクトシダーゼの発現は、プロトコールに従い、FuGENE(登録商標)HDトランスフェクション試薬(Promega)を用いてアクチンプロモーター(pAc-β-gal, 0.1μg/ウェル)により制御した。培養の5時間後、PBSで細胞を洗浄した後、VD誘導体(10μM)又はステロール(10μg/mLのコレステロール及び1.0μg/mLの25-ヒドロキシコレステロール)の非存在下又は存在下、培地B(100 units/mLペニシリン、100μg/mL硫酸ストレプトマイシン、5% (v/v)脂質枯渇血清、50μMコンパクチン及び50μMメバロン酸リチウムを補充した、Ham's F-12培地及びDulbecco's modified Eagle培地の1:1混合培地)中にてインキュベーションした。20時間後、培地のアリコートを分泌アルカリホスファターゼ活性についてアッセイした。各ウェル中の細胞を溶解させ、β-ガラクトシダーゼ活性の測定に用いた。アルカリホスファターゼ活性をβ-ガラクトシダーゼの活性により正規化した。
【0172】
実験例2:ルシフェラーゼレポーターアッセイ
25(OH)Dは、レポーターアッセイにおいて濃度依存的にSREBPの活性化を阻害し、1.0μMのIC50値を有した(図2、第1表)。VD誘導体により媒介されるSREBPの阻害はSREBP-2のウェスタン・ブロット分析により確認した(図3)。細胞を25-ヒドロキシコレステロール [25-HC]で処理すると、SREBPの成熟型が消失し、SREBPの前駆体が蓄積して、25-HCがSREBP-SCAP複合体のERからゴルジ体への輸送を阻害したことを示した。これに対し、25(OH)Dで処理すると、成熟型及び前駆体の両方の濃度が減少し、VD誘導体がSREBPの前駆体濃度を軽減したことが示され、結果的に成熟型の濃度が軽減し、SREBP活性化が阻害された。
【0173】
実験例2−A:ルシフェラーゼレポーターアッセイ手順(図2及び第1表)
0日目にて、CHO-K1細胞を、培地A中、1.0×104細胞/ウェルにて96ウェルプレートに添加した。1日目にて、プロトコールに従い、FuGENE(登録商標)HDトランスフェクション試薬(Promega)を用いて細胞にSRE-1活性化ルシフェラーゼレポーター遺伝子(pSRE-Luc)及びpAc-β-galで20/1比にて同時遺伝子導入した。8〜12時間インキュベーション後、細胞をPBS緩衝液で洗浄した後、特定の試験化合物を含む培地Bにてインキュベーションした。各化合物のDMSO中のストック溶液を調製し、培地Bに添加し、200倍(v/v)希釈した(0.5% DMSO)。20〜24時間のインキュベーション後、各ウェル中の細胞をレポーター溶解緩衝液(Promega)で凍結融解することにより溶解し、アリコートを用いてルシフェラーゼ及びβ-ガラクトシダーゼ活性を測定した。ルシフェラーゼ活性をSteady-Glo(登録商標)ルシフェラーゼアッセイシステム(Promega)を用いて測定し、β-ガラクトシダーゼ活性をβ-ガラクトシダーゼ酵素アッセイシステム(Promega)を用いて測定した。ルシフェラーゼ活性をβ-ガラクトシダーゼ活性に正規化した。
【0174】
実験例2−B:ウェスタン・ブロット分析手順(図3,4,5,6,7及び8)
0日目にて、CHO-K1細胞を、培地A中、3.0×105細胞/ウェルにて6ウェルプレートに添加した。1日目にて、細胞をPBSで洗浄した後、特定の試験化合物(5μM)の非存在下又は存在下、培地Bにてインキュベーションした。16時間のインキュベーション後、細胞を冷PBSで3回洗浄し、緩衝液A(50 mM Tris-HCl (pH 7.5), 150 mM NaCl, 1% (v/v) Nonidet P40, 0.5% (w/v) デオキシコール酸ナトリウム, 8M尿素及びプロテアーゼ阻害剤カクテル(ナカライ))で溶解させた。細胞溶解物を25G針に16回通過させ、7,000 g、4℃にて10分間遠心分離した。上清を新たなチューブに移し、ペレットを緩衝液Aで抽出した。得られた緩衝液を7,000 g、4℃にて10分間遠心分離し、上清を先のものと合わせた。得られた溶解物を0.20容量の6×SDSサンプル緩衝液(ナカライ)と混合し、室温にて30分間インキュベーションした。サンプルを10% SDS-PAGEゲルにて分離し、SREBP-2(IgG-7D4)、SCAP(IgG-9D5)、c-Myc(IgG1-MC045)及びアクチン(AC-40)に対するマウスモノクローナル抗体を用いてブロットした。増強させた化学発光を用いて(ECLプライムウェスタンブロット検出試薬, GE Healthcare)、ImageQuant LAS 500(GE Healthcare)上に特異的なバンドを視覚化した。
【0175】
SREBP阻害メカニズム
25(OH)DのSCAPレベルに対する効果もまた、ウェスタンブロット分析により確認した(図4)。細胞を25(OH)Dで処理すると、SCAPレベル並びにSREBPレベルが減少した。さらに、SCAPレベルの減少は、25(OH)Dによって媒介され、一般的なプロテアーゼ阻害剤であるMG-132(図5)の添加によりキャンセルされ、25(OH)DはSCAPのユビキチン化を促進した(図6)。SREBPがSCAPと複合体を形成できない場合、SREBPの前駆体は急速に分解する(R. B. Rawsonら J. Biol. Chem. 1999, 274, 28549)。これらの結果により、25(OH)DがSCAPのユビキチン−プロテアーゼ分解を刺激し、SREBPの前駆体濃度が減少することが示唆された。
【0176】
ヒドロキシル化VD誘導体のSREBP阻害メカニズムの発見にもかかわらず、これらの内因性分子自体は、その従来から知られるカルシウムホメオスタシスに関する働きを持っているため、SREBPの特異的な薬理学的介入に用いることができない。例えば、活性VDRアゴニスト1,25(OH)2Dに変換される25(OH)Dの過剰用量の投与により、血清カルシウム濃度が増大し、これにより腎臓結石が形成されやすい。そのVDR活性を排除する可能性のある方法の一つは、C1位の代謝ヒドロキシル化を防止することである。実施例化合物18a、22a、22b、28、32、36、38、39及び106はVDRアゴニスト又は変換されてVDRアゴニストとなる可能性は低い。
【0177】
レポーターアッセイにより、これらの実施例化合物は0.5〜16μMの範囲のIC50値でSREBPの活性化を阻害したことが示された(第1表)。実施例化合物22a、22b、28、32、36、38及び39(図7)及び実施例化合物72-74、76、77、85-87、89-91及び98(図8)により媒介されるSREBP活性化の阻害は、SREBP-2のウェスタン・ブロット分析により確認した。細胞を誘導体で処理すると、DMSOで処理した場合に比べて、SREBPの成熟型の濃度が減少した。
【0178】
第1表.SREBPの活性化に対する1-N-VD誘導体の阻害効果
【表1】
a すべての値は3回の独立し実験の平均である。
【産業上の利用可能性】
【0179】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)などの代謝性疾患、脂肪肝などの肝疾患、糖尿病、がん、肥満、心血管疾患などの疾患の治療のために有用でありうる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8