【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の高分子組成物は、第1ブロックおよび第2ブロックを含むブロック共重合体を含む。本発明において高分子組成物は、一般的に知られている化学的架橋と、物理的方式による物理的架橋構造を同時に具現できる成分を含む組成物を指すことができる。前記高分子組成物は、例えば、粘着剤組成物を形成し得る高分子組成物であってもよい。
【0008】
ブロック共重合体は、例えば、トリブロック共重合体の形態である第1ブロックおよび第2ブロックを含み、前記第2ブロックが前記第1ブロックの両末端にそれぞれ結合されているブロック共重合体であってもよい。本発明において第2ブロックが第1ブロックの両末端に結合されているというのは、第1ブロックの鎖の両末端を介して共有結合にて第2ブロックが連結されていることを意味する。
【0009】
ブロック共重合体は、例えば、ガラス転移温度が20℃以上の第1ブロックと、ガラス転移温度が10℃以下の第2ブロックとを含むことができる。本明細書において「所定ブロックのガラス転移温度」は、当該ブロックに含まれる単量体だけで形成された重合体から測定されるガラス転移温度を意味する。一例示で、前記第1ブロックのガラス転移温度は、20℃以上、40℃以上または60℃以上であってもよい。また、前記第1ブロックのガラス転移温度の上限は、特に限定されないが、例えば、200℃以下、180℃以下または160℃以下であってもよい。一例示で、前記第2ブロックのガラス転移温度は、10℃以下、0℃以下または−10℃以下であってもよい。前記第2ブロックのガラス転移温度の下限は、特に限定されないが、例えば、−80℃以上、−70℃以上、−60℃以上であってもよい。第1ブロックと第2ブロックのガラス転移温度を前記範囲内に調節することによって、第1ブロックと第2ブロックが後述する微細相分離構造を有するようになり、応力緩和点を含む構造を形成し得る物理的架橋を形成する。上記のようにブロック共重合体が物理的架橋を形成することによって、優れた粘着信頼性、再作業性および切断性を有する粘着剤層を形成し得る架橋性組成物を提供することができる。
【0010】
本発明において、例えば、第1ブロックは、トリブロック共重合体の形態であってもよい。前記トリブロック共重合体は、例えば、AブロックとBブロックを含み、前記AブロックがBブロックの両末端にそれぞれ結合されていてもよい。本発明においてAブロックがBブロックの両末端に結合されているというのは、Aブロックの鎖の両末端を介して共有結合にてBブロックが連結されていることを意味する。第1ブロックが前述したA−B−A形態のトリブロック構造を有することによって、本発明の光学フィルムが付着したディスプレイが駆動される条件で発生する熱によるディスプレイの曲げ現象を効果的に緩和することができ、これによる光漏れ現象をも顕著に改善することができる。
【0011】
本発明において第1ブロックのAブロックとBブロックは、微細相分離構造を示すことが好ましい。微細相分離構造を形成することによって、第1ブロックよりなる物理的架橋構造内に外部応力を効果的に分散させることができるBブロックよりなる応力緩和構造を含み、優れた応力緩和特性を有する粘着剤層を形成し得る高分子組成物を提供することができる。
【0012】
前記第1ブロックは、微細相分離現象を通じてスフィア、シリンダー、ジャイロイド、ラメラ相を形成し得る。微細相分離現象の相の種類は、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope、AFM)を利用して高分子の表面をイメージ化するか、高倍率の電子顕微鏡で観察することによって把握することができる。本発明の第1ブロックは、その相の種類を特に限定しないが、スフィア相である場合、粘着特性と物理的架橋特性に優れた高分子組成物を提供することができる。
【0013】
本発明において第1ブロックは、前述した第1ブロックのガラス転移温度を満たすことができると、その組成が特に限定されるものではないが、例えば、互いにガラス転移温度が異なるAブロックとBブロックを含むことができる。前述したAブロックのガラス転移温度は、30℃以上、40℃以上または50℃以上であってもよい。前記Aブロックのガラス転移温度の上限は、特に限定されないが、例えば、200℃以下、180℃以下または160℃以下であってもよい。前述したBブロックのガラス転移温度は、0℃以下、−10℃以下、または−20℃以下であってもよい。前記Bブロックのガラス転移温度の下限は、特に限定されないが、例えば、−80℃以上、−70℃以上、−60℃以上であってもよい。AブロックとBブロックのガラス転移温度の範囲を前記のように調節することによって、光学フィルムが付着したディスプレイが駆動される条件で発生する熱によるディスプレイの曲げ現象を効果的に緩和することができ、これによる光漏れ現象をも顕著に改善することができる。
【0014】
Aブロックは、前述したガラス転移温度を満たすことができると、その組成が特に限定されるものではないが、例えば、アルキルメタクリレート、アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、スチレン、スチレン誘導体、マレイミドおよびアクリロニトリルよりなる群から選ばれた一つ以上に由来する重合単位を主成分として含むことができる。一例示で、アルキルメタクリレートおよびN−アルキルアクリルアミドとして、凝集力、ガラス転移温度および粘着性の調節などを考慮して、炭素数が1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキル基を有するものが使用できる。一例示で、スチレン誘導体として、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレンおよびビニルトルエンのうち一つ以上が使用できる。Aブロックは、好ましくは、メチルメタクリレートおよびスチレンよりなる群から選ばれた一つ以上に由来する重合単位を主成分として含むことができる。または、Aブロックは、メチルメタクリレートおよびスチレンに由来する重合単位を主成分として含むことができる。本発明において主成分として含むというのは、50重量%、55重量%、65重量%、75重量%または95重量%を超過して含むことを意味する。Aブロックが前述した重合単位を主成分として含むことによって、光学積層体およびディスプレイ装置に適した粘着剤層を形成し得る高分子組成物を提供することができる。
【0015】
Bブロックは、前述したガラス転移温度を満たすことができると、その組成が特に限定されるものではないが、例えば、アルキルアクリレート、オレフィン化合物、ジエン化合物およびアルキレンオキシドよりなる群から選ばれた一つ以上に由来する重合単位を主成分として含むことができる。一例示で、アルキルアクリレートとして、凝集力、ガラス転移温度および粘着性の調節などを考慮して、炭素数が1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルアクリレートが使用できる。一例示で、オレフィン化合物およびジエン化合物として、凝集力、ガラス転移温度および粘着性の調節などを考慮して、炭素数が1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のオレフィン化合物およびジエン化合物が使用できる。一例示で、アルキレンオキシドとして、凝集力、ガラス転移温度および粘着性の調節などを考慮して、炭素数が1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキレン基を有するアルキレンオキシドが使用できる。Bブロックは、好ましくは、ブチルアクリレート、エチレングリコールまたは2−エチルヘキシルアクリレートに由来する重合単位を主成分として含むことができる。Bブロックが前述した重合単位を主成分として含むことによって、光学積層体およびディスプレイ装置に適した粘着剤層を形成し得る高分子組成物を提供することができる。
【0016】
第1ブロックは、例えば、数平均分子量(Mn)が15,000以上、20,000以上、または25,000以上であってもよい。第1ブロックの数平均分子量(Mn)の上限は、150,000以下、100,000以下または50,000以下であってもよい。第1ブロックは、例えば、多分散度(PDI;Mw/Mn)、すなわち重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比率が3以下、2.2以下または1.4以下であってもよい。多分散度(Mw/Mn)の下限は、1.01以上、1.15以上または1.3以上であってもよい。本発明において数平均分子量および重量平均分子量は、例えば、GPC(Gel Permeation Chromatograph)を使用して実施例で提示された方法で測定することができる。第1ブロックの数平均分子量および多分散度を前記のような範囲に調節することによって、耐久性および寸法安定性に優れた粘着剤層を形成し得る高分子組成物を提供することができる。
【0017】
第2ブロックは、前述したガラス転移温度を満たすことができると、その組成が特に限定されるものではないが、例えば、アルキルアクリレートに由来する重合単位を主成分として含むことができる。一例示で、アルキルアクリレートとして、凝集力、ガラス転移温度および粘着性の調節などを考慮して、炭素数が1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルアクリレートが使用できる。好ましくは、前記アルキルアクリレートは、ブチルアクリレートであってもよい。第2ブロックが前述した重合単位を主成分として含むことによって、光学積層体およびディスプレイ装置に適した粘着剤層を形成し得る高分子組成物を提供することができる。
【0018】
また、第2ブロックは、例えば、アルキルアクリレート100重量部に対して0.1重量部以上、0.3重量部以上または0.5重量部以上の架橋性単量体に由来する重合単位をさらに含むことができる。また、第2ブロックは、例えば、アルキルアクリレート100重量部に対して5重量部以下、3.3重量部以下、または1.5重量部以下の架橋性単量体に由来する重合単位をさらに含むことができる。第2ブロックが前述した範囲の架橋性単量体に由来する重合単位を含むことによって、曲げの抑制特性に優れ、温度変化によって接着力が維持される粘着剤層を形成し得る高分子組成物を提供することができる。
【0019】
ブロック共重合体が物理的架橋構造を形成するためには、第1ブロックと第2ブロックが互いに混ざらず(immiscible)、微細相分離構造を示すことが好ましい。本発明のブロック共重合体は、例えば、前述したガラス転移温度を有する第1ブロックおよび第2ブロックを含むことによって、第1ブロックと第2ブロックが微細相分離構造を形成し得る。また、本発明のブロック共重合体は、例えば、前述した重合単位を含む第1ブロックと第2ブロックを含み、微細相分離構造を形成し得る。
【0020】
微細相分離構造を形成することによって、第1ブロックよりなる物理的架橋構造内に外部応力を効果的に分散させることができる第2ブロックよりなる応力緩和構造を含み、優れた応力緩和特性を有する粘着剤層を形成し得る高分子組成物を提供することができる。
【0021】
前記ブロック共重合体は、微細相分離現象を通じてスフィア、シリンダー、ジャイロイド、ラメラ相を形成し得る。微細相分離現象の相の種類は、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope、AFM)を利用して高分子の表面をイメージ化するか、高倍率の電子顕微鏡で観察することによって把握することができる。本発明のブロック共重合体は、その相の種類を特に限定しないが、スフィア相である場合、粘着特性と物理的架橋特性に優れた高分子組成物を提供することができる。
【0022】
一例示で、ブロック共重合体は、前記第1ブロックまたは第2ブロックが化学的架橋性官能基を含むことができる。化学的架橋性官能基としては、ヒドロキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基、グリシジル基、アミン基、アルコキシシリル基またはビニル基などが例示できる。好ましくは、本発明の架橋性官能基は、ヒドロキシ基であってもよい。第1ブロックまたは第2ブロックが架橋性官能基を含むことによって、高分子組成物が優れた粘着信頼性、再作業性および切断性を有する粘着剤層を形成し得る。
【0023】
前記架橋性官能基は、例えば、ガラス転移温度が低い第2ブロックに含まれ得る。ガラス転移温度が相対的に低い第2ブロックに架橋性官能基が含まれることによって、曲げの抑制特性に優れ、温度変化によって接着力が維持される粘着剤層を形成し得る高分子組成物を提供することができる。
【0024】
ブロック共重合体は、例えば、前記第1および第2ブロックの合計重量を基準として第2ブロックの重量比が65重量%以上、75重量%以上80重量%以上または85重量%以上であってもよい。第2ブロックの重量比の上限は、95重量%以下、93重量%以下、91重量%以下、または87重量%以下であってもよい。ガラス転移温度が低い第2ブロックの重量比が前記範囲を満たすことによって、曲げの抑制特性に優れた粘着剤層を形成し得る高分子組成物を提供することができる。
【0025】
ブロック共重合体は、例えば、数平均分子量(Mn)が10万以上、15万以上または20万以上であってもよい。ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)の上限は、80万以下、60万以下、40万以下であってもよい。ブロック共重合体は、例えば、多分散度(PDI;Mw/Mn)、すなわち重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比率が5以下、4.1以下または3.2以下であってもよい。多分散度(Mw/Mn)の下限は、1.1以上、1.45以上または1.8以上であってもよい。ブロック共重合体の数平均分子量および多分散度を前記のような範囲に調節することによって、耐久性および寸法安定性に優れた粘着剤層を形成し得る高分子組成物を提供することができる。
【0026】
前記ブロック共重合体を製造する方法は、特に限定されず、通常の方式で製造することができる。ブロック重合体は、例えば、LRP(Living Radical Polymerization)方式で重合することができ、その例としては、有機希土類金属複合体を重合開始剤として使用するか、または、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として使用してアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩などの無機酸塩の存在の下に合成するアニオン重合法、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として使用して有機アルミニウム化合物の存在の下に合成するアニオン重合法、重合制御剤として原子移動ラジカル重合剤を使用する原子移動ラジカル重合法(ATRP)、重合制御剤として原子移動ラジカル重合剤を使用し、且つ、電子を発生させる有機または無機還元剤の下で重合を行うARGET(Activators Regenerated by Electron Transfer)原子移動ラジカル重合法(ATRP)、ICAR(Initiators for continuous activator regeneration)原子移動ラジカル重合法(ATRP)、無機還元剤、可逆的付加開裂連鎖移動剤を使用する可逆的付加開裂連鎖移動による重合法(RAFT)、または有機テルル化合物を開始剤として使用する方法などがあり、このような方法のうち適切な方法が選択されて適用され得る。
【0027】
一例示で、二官能性開始剤を使用してBブロックよりなる二官能性高分子開始剤を製造し、Aブロックにて鎖延長反応を行って、A−B−A形態の二官能性トリブロック高分子開始剤を第1ブロックとして製造する。その後、第2ブロックにて鎖延長反応を行って、本発明のブロック共重合体を製造する。
【0028】
本発明の高分子組成物は、多官能性架橋剤を含むことができる。多官能性架橋剤としては、本発明のブロック共重合体が含む架橋性官能基と反応して架橋作用ができる官能基を少なくとも2個以上有するものであれば、その種類が特に限定されるものではないが、例えば、イソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、アジリジン架橋剤または金属キレート架橋剤などが使用でき、好ましくは、イソシアネート系架橋剤が使用できる。
【0029】
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートまたはナフタレンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物であるか、または前記ジイソシアネート化合物をポリオールと反応させた化合物が使用でき、前記でポリオールとしては、例えば、トリメチロールプロパンなどが使用できる。
【0030】
粘着剤組成物には、前記のうち一種または二種以上の架橋剤が使用され得るが、使用され得る架橋剤が前記に限定されるものではない。
【0031】
一例示で、多官能性架橋剤は、高分子組成物にブロック共重合体100重量部に対して0.05重量部以上または0.1重量部以上含まれ得る。多官能性架橋剤の含量の上限は、0.35重量部以下または0.3重量部以下であってもよい。このような範囲で高分子組成物で形成した粘着剤層のゲル分率、凝集力、粘着力および耐久性などを優秀に維持することができる。
【0032】
また、本発明は、光学積層体に関する。
例示的な光学積層体は、光学フィルムと;前記光学フィルムの一面に形成されている粘着剤層とを含むことができる。前記粘着剤層は、例えば、前記光学フィルムをディスプレイ装置の液晶パネルなどや他の光学フィルムに付着するための粘着剤層であってもよい。前記粘着剤層は、前述した本発明の高分子組成物の架橋物を主成分として含むことができる。前記で光学フィルムとしては、偏光フィルム、位相差フィルムまたは輝度向上フィルムなどや前記のうち2種以上が積層された積層体が例示され得る。
【0033】
本発明において光学積層体は、光学フィルムが偏光フィルムである光学積層体であってもよい。前記光学積層体に含まれる偏光フィルムの種類は、特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール系偏光フィルムなどのようにこの分野において公知となっている一般的な種類を制限なしに採用することができる。
【0034】
偏光フィルムは、様々な方向に振動しながら入射する光から一方の方向に振動する光のみを抽出できる機能性フィルムである。このような偏光フィルムは、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向されている形態であってもよい。偏光フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、ポリビニルアセテート系樹脂をケル化して得られる。この場合、使用できるポリビニルアセテート系樹脂には、ビニルアセテートの単独重合体はもちろん、ビニルアセテートおよび前記と共重合可能な他の単量体の共重合体をも含まれ得る。前記でビニルアセテートと共重合可能な単量体の例には、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類およびアンモニウム基を有するアクリルアミド類などの一種または二種以上の混合が挙げられるが、これに限定されるものではない。ポリビニルアルコール系樹脂のケル化度は、通常、85モル%〜100モル%程度、好ましくは、98モル%以上であってもよい。前記ポリビニルアルコール系樹脂は、さらに変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールまたはポリビニルアセタルなどをも使用できる。また、ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常、1,000〜10,000程度または1,500〜5,000程度であってもよい。
【0035】
偏光フィルムは、前記のようなポリビニルアルコール系樹脂フィルムを延伸(例えば、一軸延伸)する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色し、該二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着したポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸(boric acid)水溶液で処理する工程およびホウ酸水溶液で処理した後に水洗する工程などを経て製造することができる。前記で二色性色素としては、ヨード(iodine)や二色性の有機塩料などが使用できる。
【0036】
また、偏光板は、前記偏光フィルムの一面または両面に付着した保護フィルムをさらに含むことができ、この場合、前記粘着剤層は、前記保護フィルムの一面に形成されていてもよい。保護フィルムの種類は、特に限定されず、例えば、TAC(Triacetyl cellulose)のようなセルロース系フィルム;ポリカーボネートフィルムまたはPET(poly(ethylene terephthalet))のようなポリエステル系フィルム;ポリエーテルスルホン系フィルム;またはポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムまたはシクロ系やノルボルネン構造を有する樹脂やエチレン−プロピレン共重合体などを使用して製造されるポリオレフィン系フィルムなどの一層または二層以上の積層構造のフィルムなどが使用できる。
【0037】
また、前記偏光板は、保護層、反射層、防眩層、位相差板、広視野角補償フィルムおよび輝度向上フィルムよりなる群から選ばれた一つ以上の機能性層をさらに含むことができる。
【0038】
また、本発明は、粘着型光学フィルムに関する。本発明の例示的な粘着型光学フィルムは、光学フィルムに下塗り層を介して粘着剤層が設けられる。前記粘着剤層は、ベースポリマーとして、ガラス移転温度が0℃以下、−10℃以下または−20℃以下である(メタ)アクリル系重合体(A’)セグメントおよびガラス移転温度が30℃以上、40℃以上または50℃以上である(メタ)アクリル系重合体(B’)セグメントを有するブロック共重合体を含有する粘着剤により形成され得る。前記A’セグメントのガラス転移温度の下限は、特に限定されないが、例えば、−80℃以上、−70℃以上または−60℃以上であってもよい。前記B’セグメントのガラス転移温度の上限は、特に限定されないが、例えば、200℃以下、180℃以下または160℃以下であってもよい。A’およびB’セグメントのガラス転移温度の範囲を前記のように調節することによって、光学フィルムが付着したディスプレイが駆動される条件で発生する熱によるディスプレイの曲げ現象を効果的に緩和することができ、これによる光漏れ現象をも顕著に改善することができる。
【0039】
A’セグメントは、前述したガラス転移温度を満たすことができると、その組成が特に限定されるものではないが、例えば、アルキルアクリレート、オレフィン化合物、ジエン化合物およびアルキレンオキシドよりなる群から選ばれた一つ以上に由来する重合単位を主成分として含むことができる。一例示で、アルキルアクリレートとして、凝集力、ガラス転移温度および粘着性の調節などを考慮して、炭素数が1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルアクリレートが使用できる。一例示で、オレフィン化合物およびジエン化合物として、凝集力、ガラス転移温度および粘着性の調節などを考慮して、炭素数が1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のオレフィン化合物およびジエン化合物が使用できる。一例示で、アルキレンオキシドとして、凝集力、ガラス転移温度および粘着性の調節などを考慮して、炭素数が1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキレン基を有するアルキレンオキシドが使用できる。
A’セグメントは、好ましくは、ブチルアクリレート、エチレングリコールまたは2−エチルヘキシルアクリレートに由来する重合単位を主成分として含むことができる。A’セグメントが前述した重合単位を主成分として含むことによって、粘着型光学フィルムに適した粘着剤層を形成し得るベースポリマーを提供することができる。
【0040】
B’セグメントは、前述したガラス転移温度を満たすことができると、その組成が特に限定されるものではないが、例えば、アルキルメタクリレート、アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、スチレン、スチレン誘導体、マレイミドおよびアクリロニトリルよりなる群から選ばれた一つ以上に由来する重合単位を主成分として含むことができる。一例示で、アルキルメタクリレートおよびN−アルキルアクリルアミドとして、凝集力、ガラス転移温度および粘着性の調節などを考慮して、炭素数が1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキル基を有するものが使用できる。一例示で、スチレン誘導体として、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレンおよびビニルトルエンのうち一つ以上が使用できる。B’セグメントは、好ましくは、メチルメタクリレートおよびスチレンよりなるグンに選択された一つ以上に由来する重合単位を主成分として含むことができる。または、B’セグメントは、メチルメタクリレートおよびスチレンに由来する重合単位を主成分として含むことができる。B’セグメントが前述した重合単位を主成分として含むことによって、粘着型光学フィルムに適した粘着剤層を形成し得るベースポリマーを提供することができる。
【0041】
本発明において、例えば、ベースポリマーは、トリブロック共重合体として、A’およびB’セグメントがB’−A’−B’形態に連結されていてもよい。ベースポリマーが前述したB’−A’−B’形態に連結されたトリブロック構造を有することによって、本発明の粘着型光学フィルムが付着したディスプレイが駆動される条件で発生する熱によるディスプレイの曲げ現象を効果的に緩和することができ、これによる光漏れ現象をも顕著に改善することができる。
【0042】
本発明においてベースポリマーのA’セグメントとB’セグメントは、微細相分離構造を示すことが好ましい。ベースポリマーは、微細相分離構造を形成することによって、ベースポリマーの物理的架橋構造内に外部応力を効果的に分散させることができるA’セグメントよりなる応力緩和構造を含み、優れた応力緩和特性を有する粘着剤層を形成し得る。
【0043】
本発明においてベースポリマーは、例えば、B’セグメントに連結されており、ガラス転移温度が10℃以下、0℃以下または−10℃以下である重合体(C)セグメントをさらに含むことができる。前記Cセグメントのガラス転移温度の下限は、特に限定されないが、例えば、−80℃以上、−70℃以上または−60℃以上であってもよい。前記Cセグメントのガラス転移温度を前記範囲内に調節することによって、ベースポリマーとCセグメントが後述する微細相分離構造を有するようになり、応力緩和点を含む構造を形成し得る物理的架橋を形成する。前記のようにベースポリマーが物理的架橋を形成することによって、優れた粘着信頼性、再作業性および切断性を有する粘着剤層を形成し得る架橋性組成物を提供することができる。
【0044】
Cセグメントは、前述したガラス転移温度を満たすことができると、その組成が特に限定されるものではないが、例えば、アルキルアクリレートに由来する重合単位を主成分として含むことができる。一例示で、アルキルアクリレートとして、凝集力、ガラス転移温度および粘着性の調節などを考慮して、炭素数が1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルアクリレートが使用できる。好ましくは、前記アルキルアクリレートは、ブチルアクリレートであってもよい。Cセグメントが前述した重合単位を主成分として含むことによって、光学積層体およびディスプレイ装置に適した粘着剤層を含む粘着型光学フィルムを提供することができる。
【0045】
一例示で、Cセグメントが化学的架橋性官能基を含むことができる。化学的架橋性官能基としては、ヒドロキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基、グリシジル基、アミン基、アルコキシシリル基またはビニル基などが例示できる。好ましくは、本発明の架橋性官能基はヒドロキシ基であってもよい。Cセグメントが架橋性官能基を含むことによって、優れた粘着信頼性、再作業性および切断性を有する粘着剤層を含む粘着型光学フィルムを提供することができる。
【0046】
ベースポリマーは、例えば、Cセグメントの重量比が65重量%以上、75重量%以上、80重量%以上または85重量%以上であってもよい。Cセグメントの重量比の上限は、95重量%以下、93重量%以下、91重量%以下、または87重量%以下であってもよい。ガラス転移温度が低いCセグメントの重量比が前記範囲を満たすことによって、曲げの抑制特性に優れた粘着剤層を含む粘着型光学フィルムを提供することができる。
【0047】
前記ベースポリマーの分子量、多分散度および製造方法は、前述した本発明の高分子組成物のブロック共重合体の分子量、多分散度および製造方法において説明したものと同様なので説明を省略する。
【0048】
下塗り層は、ポリマー類および酸化防止剤を含有する下塗り剤により形成される。前記ポリマー類の材料は、粘着剤層と光学フィルム、例えば液晶光学補償層のうちいずれにも良好な密着性を示し、凝集力に優れた被膜を形成し得るものが好ましい。
【0049】
前記ポリマー類としては、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂および分子中にアミノ基を含むポリマー類が挙げられる。ポリマー類の使用形態は、溶剤可溶型、水分散形および水溶解型のうちいずれでも良い。例えば、水溶性ポリウレタン、水溶性ポリエステル、水溶性ポリアミドなどや水分酸性樹脂(エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン、(メタ)アクリル系エマルジョンなど)が挙げられる。また、水分散型は、ポリウレタン、ポリエステルおよびポリアミドなどの各種の樹脂を乳化剤を使用してエマルジョン化したもの、または、前記樹脂中に水分酸性親水基のアニオン基、カチオン基またはノニオン 基を導入して乳化物にしたもの等が使用できる。また、イオン高分子錯体が使用できる。
【0050】
ポリマー類は、粘着剤層に、例えば、イソシアネート系化合物を含む場合には、イソシアネート系化合物と反応性を有する官能基を有することが好ましい。前記ポリマー類としては、分子中にアミノ基を含むポリマー類が好ましい。特に末端に1級アミノ基を有するものが好適に使用され、イソシアネート系化合物との反応により一層堅固に密着し、耐久性が向上する。末端に1級アミノ基を有するポリマーは、末端に1級アミノ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
【0051】
分子中にアミノ基を含むポリマー類としては、ポリエチレンイミン系、ポリアリルアミン系、ポリビニルアミン系、ポリビニルピリジン系、ポリビニルピロリジン系およびジメチルアミノアクリル酸エチルなどのアミノ基含有単量体の重合体などが挙げられる。これらのうちでも、ポリエチレンイミン系が好ましい。ポリエチレンイミン系材料としては、ポリエチレンイミン構造を有するものが好ましく、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸エステルへのエチレンイミン付加物および/またはポリエチレンイミン付加物が挙げられる。特に末端に1級アミノ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステルであるポリアクリル酸エステルへのエチレンイミン付加物および/またはポリエチレンイミン付加物が好ましい。
【0052】
ポリエチレンイミンは、特に限定されず、種々のものが使用できる。ポリエチレンイミンの重量平均分子量は、特に限定されないが、一般的に100〜100万程度である。例えばポリエチレンイミンの市販品の例としては、株式会社日本触媒のエポミンSPシリーズ(SP−003、SP006、SP012、SP018、SP103、SP110およびSP200等)、エポミンP−1000等が挙げられる。これらのうちでも、エポミンP−1000が好ましい。
【0053】
ポリアクリル酸エステルへのエチレンイミン付加物および/またはポリエチレンイミン付加物のポリアクリル酸エステルは、後述するアクリル系粘着剤のベースポリマー(アクリル系ポリマー)を構成するアルキル(メタ)アクリレートおよびその共重合単量体をエマルジョン重合することによって得られる。共重合単量体としては、エチレンイミンなどを反応させるためにカルボキシル基などの官能基を有する単量体が使用される。カルボキシル基などの官能基を有する単量体の使用比率は、反応させるエチレンイミンなどの比率に応じて適宜調整する。また、共重合単量体としては、スチレン系単量体を使用することが好ましい。また、アクリル酸エステル中のカルボキシル基などに別途合成したポリエチレンイミンを反応させることによって、ポリエチレンイミンをグラフト化した付加物を使用してもよい。例えば市販品の例としては、株式会社日本触媒のポリメントNK−380が挙げられる。
【0054】
また、アクリル系重合体エマルジョンのエチレンイミン付加物および/またはポリエチレンイミン付加物などが使用できる。例えば市販品の例としては、株式会社日本触媒のポリメントSK−1000が挙げられる。
【0055】
前記の他に、末端に1級アミノ基を有するポリマーとしては、ポリアクリル酸エステル中のカルボキシル基または水酸基を過量のジイソシアネートと反応させ、また、過量のジアミンと反応させて、末端に1級アミノ基を導入したものが挙げられる。また、末端に1級アミノ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステルは、前記(メタ)アクリル酸エステルと末端に1級アミノ基を有する単量体を共重合することによって得られる。末端に1級アミノ基を有する単量体としては、例えばアミノエチル(メタ)アクリレートおよびアミノプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0056】
また、下塗り層には、前記ポリマー類の他に、必要に応じて、また、本発明の目的を逸脱しない範囲で酸化防止剤などの各種添加剤を適宜使用してもよい。
【0057】
下塗り層が含有する酸化防止剤としては、フェノール系、リン系、硫黄系およびアミン系の酸化防止剤が挙げられ、これらの中から選択される少なくとも一つ以上が使用できる。これらのうちでも、フェノール系酸化防止剤が好ましい。
【0058】
フェノール系酸化防止剤の具体的な例としては、単環フェノール化合物として、2、6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2、6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2、6−ジシクロヘキシル−4−メチルフェノール、2、6−ジイソプロピル−4−エチルフェノール、2、6−ジ−t−アミル−4−メチルフェノール、2、6−ジ−t−オクチル−4−n−プロピルフェノール、2、6−ジシクロヘキシル−4−n−オクチルフェノール、2−イソプロピル−4−メチル−6−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−エチル−6−t−オクチルフェノール、2−イソブチル−4−エチル−6−t−ヘキシルフェノール、2−シクロヘキシル−4−n−ブチル−6−イソプロピルフェノール、スチレン化混合クレゾール、DL−α−トコフェロールおよびステアリルβ−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンエステル(propionate)等が挙げられ、二環フェノール化合物として、2、2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4、4’−ブチレンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4、4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2、2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4、4’−メチレンビス(2、6−ジ−t−ブチルフェノール)、2、2’−メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール]、2、2’−エチリデンビス(4、6−ジ−t−ブチルフェノール)、2、2’−ブチリデンビス(2−t−ブチル−4−メチルフェノール)、3、6−ジオキサオクタメチレンビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオンエステル(propionate)]、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンエステル(propionate)]、1、6−ヘキサンジオールビス[3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンエステル(propionate)]および2、2’−チオジエチレンビス[3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンエステル(propionate)]などが挙げられ、三環フェノール化合物として、1、1、3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1、3、5−トリス(2、6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート、1、3、5−トリス[(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、トリス(4−t−ブチル−2、6−ジメチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートおよび1、3、5−トリメチル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンなどが挙げられ、四環フェノール化合物として、テトラキス[メチレン−3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンエステル(propionate)]メタンなどが挙げられ、リン含有フェノール化合物として、ビス(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウムおよびビス(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)ニッケルなどが挙げられる。
【0059】
リン系酸化防止剤の具体的な例としては、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリストリデシルホスファイト、トリスイソデシルホスファイト、フェニルジイソオクチルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2、4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、テトラトリデシル−4、4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)−ジホスファイト、4、4’−イソプロピリデン−ジフェノールアルキルホスファイト(但し、アルキルは炭素数12〜15程度)、4、4’−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ビフェニル)ホスファイト、テトラ(トリデシル)−1、1、3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、トリス(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスファイト、水素化−4、4’−イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)ビス[4、4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)]1、6−ヘキサンジオールジホスファイト、ヘキサトリデシル−1、1、3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ジホスファイト、トリス[4、4’−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)]ホスファイト、トリス(1、3−ジステアロイルオキシイソプロピル)ホスファイト、9、10−ジヒドロ−9−ホスファフェナントレン−10−オキシド、テトラキス(2、4−ジ−t−ブチルフェニル)−4、4’−ビフェニレンジホスホナイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニル4、4’−イソプロピリデンジフェノールペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2、4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2、6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトおよびフェニルビスフェノール−A−ペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
【0060】
硫黄系酸化防止剤としては、ジアルキルチオジブロピオネートおよびアルキルチオプロピオン酸の多価アルコールエステルを使用することが好ましい。ここで使用されるジアルキルチオジブロピオネートとしては、炭素数6〜20のアルキル基を有するジアルキルチオジブロピオネートが好ましく、また、アルキルチオプロピオン酸の多価アルコールエステルとしては、炭素数4〜20のアルキル基を有するアルキルチオプロピオン酸の多価アルコールエステルが好ましい。この場合、多価アルコールエステルを構成する多価アルコールの例としては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールおよびトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートなどが挙げられる。このようなジアルキルチオジブロピオネートとしては、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネートおよびジステアリルチオジプロピオネートなどが挙げられる。なお、アルキルチオプロピオン酸の多価アルコールエステルとしては、例えば、グリセリントリブチルチオプロピオンエステル(propionate)、グリセリントリオクチルチオプロピオンエステル(propionate)、グリセリントリラウリルチオプロピオネート、グリセリントリステアリルチオプロピオンエステル(propionate)、トリメチロールエタントリブチルチオプロピオンエステル(propionate)、トリメチロールエタントリオクチルチオプロピオンエステル(propionate)、トリメチロールエタントリラウリルチオプロピオネート、トリメチロールエタントリステアリルチオプロピオンエステル(propionate)、ペンタエリスリトールテトラブチルチオプロピオンエステル(propionate)、ペンタエリスリトールテトラオクチルチオプロピオンエステル(propionate)およびペンタエリスリトールテトララウリルチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラステアリルチオプロピオンエステル(propionate)等が挙げられる。
【0061】
アミン系酸化防止剤の具体的な例としては、ビス(2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2、2、6、6−テトラメチルピペリジンエタノールとの重縮合物、N、N’、N”、N’”−テトラキス−(4、6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2、2、6、6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン2−イル)−4、7−ジアザデカン−1、10−ジアミン、ジブチルアミン1、3、5−トリアジンN、N’−ビス(2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル1、6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ[{6−(1、1、3、3−テトラメチルブチル)アミノ−1、3、5−トリアジン2、4−ジイル}{(2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、テトラキス(2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1、2、3、4−ブタンテトラカルボキシレート、2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス−(1、2、6、6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、ビス−(N−メチル−2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1、1’−(1、2−エタンジイル)ビス(3、3、5、5−テトラメチルピペラジノン)、(ミックスト2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1、2、3、4−ブタンテトラカルボキシレート、(ミックスト1、2、2、6、6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1、2、3、4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト[2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル/β、β、β’ 、β’−テトラメチル−3、9−[2、4、8、10−テトラオキサスピロ(5、5)ウンデカン]ジエチル]−1、2、3、4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト[1、2、2、6、6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β、β、β’、β’−テトラメチル−3、9−[2、4、8、10−テトラオキサスピロ(5、5)ウンデカン]ジエチル]−1、2、3、4−ブタンテトラカルボキシレート、N、N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2、4−ビス[N−ブチル−N−(1、2、2、6、6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1、3、5−トリアジン縮合物、ポリ[6−N−モルホリル−1、3、5−トリアジン2、4−ジイル][(2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミド]、N、N’−ビス(2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1、2−ジブロモエタンとの縮合物および[N−(2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2−メチル−2−(2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]プロピオンアミドなどが挙げられる。
【0062】
下塗り層がポリマー類および酸化防止剤を含む場合、一般的にポリマー類100重量部に対して酸化防止剤0.01〜500重量部を含むことができる。酸化防止剤の使用比率が前記範囲に該当する場合、投錨性と外観が良好であり、酸化防止性能に優れた下塗り層を提供することができる。酸化防止剤の使用比率は、好ましくは、ポリマー類100重量部に対して0.1〜300重量部、または1〜100重量部である。
【0063】
また、下塗り層は、前記ポリマー類と共に架橋剤を含有することができる。例えば、アミノ基を含むポリマー類と反応する架橋剤を混合して架橋させて、下塗り層の強度を向上させることができる。アミノ基を含むポリマー類と反応する架橋剤としては、エポキシ化合物などが挙げられる。本発明の粘着型光学フィルムの製造は、例えば、光学フィルム、例えば、液晶光学補償層に下塗り層を形成し、粘着剤層を形成することによって行う。
【0064】
下塗り層の形成は、例えば、前記ポリマー類および酸化防止剤を含有する下塗り剤溶液をコーティング法、ディッピング法、スプレー法などの塗工法を利用して塗布し、乾燥して行われる。下塗り層の厚さは、10〜5000nmまたは50〜500nmが好ましい。下塗り層の厚さが薄くなると、下塗り層が十分な強度を示さないため、十分な密着性が得られない場合がある。また、あまりにも厚い場合、光学特性の低下を招くことができる。なお、下塗り層の塗布量(固形分)は、1平方メートル当たり0.1〜5立方センチメートル、0.1〜1立方センチメートル、または0.1〜0.5立方センチメートルであることが好ましい。
【0065】
粘着剤層の形成は、前記下塗り層上に積層することによって行う。形成方法としては、特に限定されず、粘着剤(溶液)を塗布して乾燥する方法、粘着剤層を設けた離型シートにより転写する方法などが使用できる。塗布法は、リバースコーティング、グラビアコーティングなどのロールコーティング法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法、スプレー法などを採用することができる。
【0066】
離型シートの構成材料としては、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂フィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、これらのラミネート体などの適当な薄葉体などが挙げられる。離型シートの表面には、粘着剤層からの剥離性を向上させるために、必要に応じてシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの剥離処理が実施されていてもよい。
【0067】
また、本発明は、ディスプレイ装置、例えば、液晶ディスプレイ装置に関する。例示的な表示装置は、液晶パネルおよび前記液晶パネルの一面または両面に付着した前記偏光板または光学積層体を含むことができる。前記偏光板または光学積層体は、前記記述した粘着剤により液晶パネルに付着していてもよい。
【0068】
前記装置において液晶パネルとしては、例えば、TN(twisted nematic)型、STN(super twisted nematic)型、F(ferroelectic)型またはPD(polymer dispersed)型のようなパッシブマトリクス方式のパネル;2端子型(two terminal)または3端子型(three terminal)のようなアクティブマトリクス方式のパネル;横電界型(IPS;In Plane Switching)パネルおよび垂直配向型(VA;Vertical Alignment)パネルなどの公知のパネルがすべて適用され得る。
【0069】
また、液晶表示装置のその他の構成、例えば、カラーフィルター基板またはアレイ基板のような上下部基板などの種類も特に限定されず、この分野に公知となっている構成が制限なしに採用され得る。