特許第6786720号(P6786720)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6786720
(24)【登録日】2020年10月30日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】半導体ウェハを両面研磨する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20201109BHJP
   B24B 37/08 20120101ALI20201109BHJP
   B24B 37/24 20120101ALI20201109BHJP
   B24B 37/22 20120101ALI20201109BHJP
【FI】
   H01L21/304 621A
   B24B37/08
   B24B37/24 C
   B24B37/22
   H01L21/304 622F
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-524196(P2019-524196)
(86)(22)【出願日】2017年10月27日
(65)【公表番号】特表2020-513682(P2020-513682A)
(43)【公表日】2020年5月14日
(86)【国際出願番号】EP2017077571
(87)【国際公開番号】WO2018086912
(87)【国際公開日】20180517
【審査請求日】2019年7月5日
(31)【優先権主張番号】102016222063.2
(32)【優先日】2016年11月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599119503
【氏名又は名称】ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Siltronic AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドゥチュケ,ブラディミール
【審査官】 鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−105854(JP,A)
【文献】 特開昭59−53151(JP,A)
【文献】 特開2006−346808(JP,A)
【文献】 特開2009−99980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/08
B24B 37/22
B24B 37/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェハを両面研磨する方法であって、
室温でのショアA硬度が少なくとも80であり、3%未満の室温での圧縮率を有する研磨パッドが、上側研磨板および下側研磨板に取り付けられ、
半導体ウェハが、上側研磨パッドと下側研磨パッドとの間で両面研磨され、
前記研磨パッドは、前記研磨パッドを前記上側研磨板および前記下側研磨板に接合し、中間層として2つの接合された前記研磨パッド間に少なくとも3%の室温での圧縮率を有するパッドを配置し、およびその後、ある期間、2つの前記研磨パッドをその間に配置される前記パッドとともに加圧することによって、前記上側研磨板および前記下側研磨板に取り付けられる、方法。
【請求項2】
前記研磨パッドは、PUをベースとする発泡パッドである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記研磨パッドは、80〜100の室温でのショアA硬度を有する、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
室温での前記研磨パッドの前記圧縮率は、2.5%未満である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
中間層として用いられる前記パッドは、室温で3.2〜7.6%の圧縮率を有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
中間層として用いられる前記パッドは、フェルトまたは繊維基材である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
中間層として用いられる前記パッドは、PUエラストマ繊維をベースとする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
中間層として用いられる前記パッドは、ともに接合される2つのパッドを備える、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記研磨パッドの厚さは、0.75〜1.1mmである、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
中間層として用いられる前記パッドの厚さは、1.5〜2.6mmである、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハを両面研磨する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
両面研磨(DSP)は、化学機械処理ステップの群からの方法である。半導体ウェハのDSP処理は、たとえば、US2003/054650A1に記載されており、そのために好適な装置は、DE 100 07 390 A1に記載されている。DSPは、アルカリ性溶液による化学エッチング、および、半導体ウェハと接触する硬質物質を含まない研磨パッドによって半導体ウェハと接触させる、したがって圧力および相対運動の下で半導体ウェハからの材料の除去をもたらす、水系溶媒に分散された遊離粒子による機械的浸食を含む。
【0003】
DSPでは、作業層は研磨パッドの形態であり、これらは連結(たとえば、面ファスナによる)によってまたはDSPにおいていわゆる研磨板ともよばれる作業ディスクへの真空によって、接着して、磁気的に取り付けられる。DSPシステムの両研磨板は、研磨パッドと接合される。DSP処理の高品質を確保するために、両研磨パッドは気泡なく接合されるべきである。同時に、研磨パッドが研磨板全体にわたって均一な強度で接着することが重要である。接着剤による必要な接着を達成するために、研磨板は研磨パッドの接合後に数時間圧力下で接合される。この処理は、パッド加圧ともよばれる。加圧は、接着剤が流れてより良好に接着することを可能にする。パッド加圧に適当な方法は、たとえば、EP 1 775 068 A1およびUS2008/0248728A1から知られる。
【0004】
研磨パッドは、熱可塑性または熱硬化性ポリマからなり得る。
発泡研磨パッド(発泡パッド)のための材料として多様な材料が可能であり、たとえば、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリエステル等である。ポリマから製造される研磨パッドは、たとえば、US2008/0102741A1に開示されている。
【0005】
しかしながら、研磨パッドは、発泡板またはフェルト基板またはポリマで充満される繊維基材(不織パッド)からなってもよい。このようなパッドは、たとえば、US5,510,175Aに記載されている。
【0006】
ドイツ公開明細書DE 10 2008 056 276 A1は、両面研磨機器の作業間隙を調節する方法を教示している。研磨対象となる基材が配置される上記作業パッドは、各々研磨パッド(作業表面)で覆われる、上側および下側作業ディスクによって形成される。調整装置によって、少なくとも1つの作業ディスクを変形することが可能であるため、作業間隙の形状が変化し、作業表面が可能な限り平行になる。作業間隙の形状の調節によって最大限に材料の除去が確保されることが意図される。
【0007】
US2014/0206261A1は、硬質でかろうじて圧縮可能な研磨パッドを使用する、半導体材料の少なくとも1つのウェハを同時に両面研磨する方法を開示しており、作業間隙の特定の形状が研磨パッドの適当な厚さ外形によって実現される。上記方法は、研磨された半導体ウェハの縁部に関して好影響を有する。
【0008】
軟質で圧縮可能な研磨パッドの場合、特にウェハは研磨パッドの作業表面の中へわずかに沈む。その結果、ウェハの他の領域よりもウェハの縁部領域に、より高い力がウェハに作用するため、縁部は増加された材料の除去によって研磨の間に丸くなる。
【0009】
この理由のために、硬質でかろうじて圧縮可能な研磨パッドの使用が有利である。硬質でかろうじて圧縮可能な研磨パッドを研磨板に絶対的に均一に、特に気泡または折り目なく接合することを可能にするために、研磨パッドの裏面は機器によって適用される接着フィルムを有し得る。
【0010】
研磨パッドを接合するとき、US2014/0206261A1にしたがって研磨板を加熱することが有利であり得る。これは研磨板の加熱が、同時に起こる接着フィルムの接着性の向上とともに接着フィルムの粘度の低下を生じさせるためである。その後、研磨パッドに覆われる研磨板は、少なくとも3時間の期間にわたって、接合のための温度設定から所望の処理温度まで冷却される。研磨パッドは、冷却動作全体の間、少なくとも10000Paの圧力で、対向する研磨板に対して押圧される。
【0011】
しかしながら、硬質でかろうじて圧縮可能な研磨パッドを用いるときには、従来のパッド加圧後に、研磨板への研磨パッドの不十分な接着が頻繁に起こるという問題がある。これは、上側研磨板と下側研磨板との間において、上側研磨パッドと下側研磨パッドとの間の特定の距離から生じる最大300μmの研磨間隙が存在するためである。対策を講じなければ、研磨パッドの不十分な接着は、研磨された半導体ウェハの品質にも影響を与える。
【0012】
JP2004140215A1は、軟質および硬質のパッドからなる研磨パッドの使用を開示している。2つのパッドは、両面接着剤テープによって互いに取り付けられ得る。半導体ウェハを研磨する硬質パッドは、発泡PUからなるパッドであり得る。軟質パッドは、研磨板と硬質パッドとの間の緩衝材として機能する。しかしながら、ここでも、ウェハの他の領域よりもウェハの縁部領域において、より高い力がウェハに作用するという問題が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
記載された問題が、本発明の目的を生じさせる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の目的は、半導体ウェハを両面研磨する方法であって、室温でのショアA硬度が少なくとも80であり、3%未満の室温での圧縮率を有する研磨パッドが、上側研磨板および下側研磨板に取り付けられ、半導体ウェハは、上側研磨板と下側研磨板との間で両面研磨され、研磨パッドは、研磨パッドを上側研磨板および下側研磨板に接合し、中間層として2つの接合された研磨パッド間に少なくとも3%の室温での圧縮率を有するパッドを配置し、およびその後、ある期間、2つの研磨パッドをその間に配置されるパッドとともに加圧することによって、上側研磨板および下側研磨板に取り付けられることを特徴とする、方法によって達成される。
【0015】
本発明によれば、中間パッド層が、パッド加圧中、上側研磨パッドと下側研磨パッドと間に設けられる。上側研磨パッドおよび下側研磨パッドは、硬質でかろうじて圧縮可能である。中間層として用いられるパッドは、研磨パッドよりもより圧縮性がある。
【0016】
材料の圧縮率は、すべての側におけるどの圧力変化がある体積変化をもたらすために必要とされるかについて説明する。圧縮率は、JIS L−1096(織布についてのテスト方法)に類似して判定される。
【0017】
中間層として用いられるパッドは、パッド加圧に用いられるのみである。パッド加圧後は、研磨システムから取り除かれる。
【0018】
発泡研磨パッド(発泡パッド)および繊維構造を有する研磨パッド(不織パッド)の両者は、高パッド硬度および低パッド圧縮率を有する研磨パッドとして好適である。
【0019】
1つの実施形態では、室温(23℃±2℃)で80〜100(DIN EN ISO 868)のショアA硬度を有する研磨パッドが用いられる。
【0020】
低いまたは非常に低い圧縮率を有する研磨パッドの使用が好ましい。
好ましくは、研磨パッドの圧縮率は2.5%未満である。特に好ましくは、研磨パッドの圧縮率は2.2%未満である。非常に特に好ましくは、研磨パッドの圧縮率は2.0%未満である。述べられた圧縮率は、室温(23℃±2℃)で判定されるべきである。
【0021】
1つの実施形態では、研磨パッドまたはその作業表面は、熱可塑性または熱硬化性ポリマからなり、多孔質マトリックスを有する(発泡パッド)。
【0022】
研磨パッドのための材料として多様な材料が可能であり、たとえば、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリエステル等である。
【0023】
1つの実施形態では、研磨パッドまたはその作業表面は、固体微細多孔質ポリウレタンからなる。
【0024】
1つの実施形態では、研磨パッドは、発泡板またはフェルト基材またはポリマで満たされた繊維基材からなる(不織パッド)。
【0025】
研磨パッドの厚さは0.7〜1.5mmであり得る。1つの実施形態では、研磨パッドの厚さは0.7〜1.3mm、非常に特に好ましくは0.75〜1.1mmである。
【0026】
本発明の文脈において、特に硬質発泡研磨パッドの場合、2つの加圧されることとなるパッド間に、パッド加圧中に、圧縮可能な中間層が配置されるときに、研磨板への十分な接着が確保され得るのみである。
【0027】
1つの実施形態では、中間層として用いられるパッドは、フェルトまたは繊維基材、すなわち不織布からなる。
【0028】
フェルトは、植物または動物起源の化学繊維または天然繊維から生成され得る。
1つの実施形態では、PUエラストマ繊維から製造されるフェルトである。
【0029】
中間層の厚さは1.0〜3.0mmであり得る。1つの実施形態では、中間層の厚さは1.5〜2.6mmである。
【0030】
1つの実施形態では、中間層として用いられるパッドの圧縮率は3〜10%である。非常に特に好ましくは、中間層として用いられるパッドの圧縮率は3.2〜7.6%である。述べられた圧縮率は、室温(23℃±2℃)において判定されるべきである。
【0031】
対照的に、3%未満または10%より大きい圧縮率を有するパッドが中間層として用いられる場合、研磨パッドの研磨板への均一な接着は一般的に達成されない。
【0032】
好ましい実施形態では、中間層として用いられるパッドは、ともに接合される2つのパッド層を備える。好ましい実施形態によれば、1つのパッド層の厚さは0.7〜1.3mmである。
【0033】
たとえば、2つのパッド層を取り付けるのに、両面接着フィルムが好適である。
パッド加圧におけるこのような中間層の使用は、局所的な凹凸を補い、研磨板全体にわたる均一な接着を達成する。
【0034】
パッド加圧動作の前に、研磨パッドは、研磨機器のそれぞれの研磨板に接合される。
この目的のために、上記方法の1つの実施形態では、研磨パッドは、各々それらの裏面に接着フィルムを有する。たとえば、研磨パッドの裏面に適用される市販の両面接着フィルムが好適である。
【0035】
さらなる実施形態では、研磨板は、研磨パッドの接合前に加熱される。たとえば、研磨板は、40〜50℃の温度まで加熱され得る。その結果、同時に起こるその接着性の上昇とともに、接着フィルムの粘度が低下する。
【0036】
研磨パッドの接合後、研磨パッドは、必要であれば、冷却される。1つの実施形態では、研磨板は、一般的に10〜50℃の間の所望の研磨温度まで冷却される。
【0037】
研磨パッドの接合前後における研磨板の加熱および冷却は、好ましくは、研磨板の内部温度制御要素によって達成される。
【0038】
好ましい実施形態では、研磨板は1〜最大数時間にわたって冷却される。
さらなる実施形態では、研磨板は、以下により詳細に説明されるパッド加圧の間、冷却される。
【0039】
1つの実施形態では、2つのかろうじて圧縮可能な研磨パッドが、ある期間、その間に配置されるより圧縮性のあるパッドとともに加圧される加圧動作が行われる。
【0040】
好ましくは、パッド加圧は、少なくとも11000Paの圧力で行われる。
1つの実施形態では、加圧動作は、1時間以上の期間の間行われる。
【0041】
加圧動作は、好ましくは、研磨パッドの製造者によって推奨される接合温度で行われる。
【0042】
1つの実施形態では、加圧動作は、室温で行われる。
従来技術において、研磨パッドとともに加圧するときの研磨パッド間の中間層は、現在までに想定されている。研磨パッドは、研磨板に接合され、その後ともに加圧された。比較的軟質なパッドの場合、これは研磨された半導体ウェハの品質を害することなく可能でもあった。しかしながら、硬質な研磨パッドの場合、たとえば中間層としての軟質で圧縮可能なフェルトパッドが、研磨された半導体ウェハの品質についての要求を満たすために必要とされる。
【0043】
中間層のない硬質パッドを用いるとき、ある場合において、加圧動作後に、内側領域におけるパッドが不十分に加圧された、すなわちパッドが研磨板に対して不十分な接着を有していたことが既に目立っていた。対照的に、本発明の中間層の使用の場合、研磨パッドは加圧動作の後十分に加圧され、研磨パッドのより良好でより均質な接着を達成し、研磨された半導体ウェハのより良好な品質をもたらす。
【0044】
本発明の1つの実施形態では、このような態様で研磨板に取り付けられる研磨パッド間の半導体ウェハの二面研磨の前に、いわゆるパッドドレスが行われる。これに関連して、研磨板に接合される研磨パッドは、研磨機器の特定の個々の板形状に研磨動作の前に適合される。関連性のある方法は、従来技術からの原理において知られており、たとえば、文献EP2 345 505 A2またはUS6,682,405B2に記載されている。
【0045】
研磨板は通常、最大±50μmの局所的な凹凸の差を示し得るため、パッドドレスは有利である。その目的は、一般的にダイアモンド研磨剤を含む好適な工具によって研磨板上に配置される研磨パッドの機械処理によって、研磨パッドの所望の形状、ひいては研磨間隙の所望の形状、および研磨パッドのパッド表面(作業表面)の所望の特性の両方を設定することである。研磨板上に配置される研磨パッドは、ある研磨機器および研磨間隙について各時、最適化される。
【0046】
1つの実施形態では、2つの研磨パッドのパッドドレス、すなわち研磨パッドの作業表面の処理は、研磨パッド表面が半導体ウェハと接触する各場合において研磨されることとなる半導体ウェハによって形成され、かつ研磨パッドの内側縁部から外側縁部まで延在する研磨間隙が、研磨パッドの内側縁部および外側縁部において異なる高さを有するように実行される。言い換えれば、研磨パッドは、外側縁部とは異なる中央部におけるパッド厚さを有する。
【0047】
上記方法の1つの実施形態では、研磨間隙の高さ、すなわち上側研磨パッドと下側研磨パッドとの間の特定の距離は、研磨パッドの内側縁部よりも外側縁部において低い。
【0048】
研磨のために、半導体ウェハは、好適に寸法決めされたキャリアのスロットに入れられる。好ましくは、研磨パッドの作業層間に形成される作業間隙の中への研磨の間に、液体が供給される。上記液体は、好ましくは、研磨剤懸濁液である。研磨剤懸濁液として、たとえば、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化アンモニウム(NH4OH)、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)等の添加物を任意に有する、コロイド状の分散シリカの使用が特に好適である。半導体ウェハの表面および裏面の同時研磨では、面当たり15μm以下、好ましくは面当たり5μm〜12μmの表面除去が存在する。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明の利点は、実施例および比較例に基づいて以下に明らかにされる。
別段の定めがない限り、先述の、ならびに以下の実施例および比較例におけるパラメータのすべては、周囲大気の圧力、すなわち約1000hPaで、および50%の相対気湿で判定される。
【0050】
ショアA硬度は、DIN EN ISO 868に従って判定される。タイプAデュロメータが用いられる(Zwick 3130 硬度テスタ)。硬質化鋼鉄ロッドの先端は材料に侵入する。侵入深さは、0〜100のスケールで測定される。鋼鉄スティックは、切頭円錐体の形状を有する。各場合において5つの測定が行われ、それから中央値が特定される。測定時間は15sであり、テスト対象となる材料は標準気候条件(23℃、50%気湿)下で1hの間保存された。デュロメータの印加された重量は12.5N±0.5である。
【0051】
比較例
比較例1
フェルト(PU)からなる研磨パッド、ショアA硬度23℃で60、圧縮率23℃で9.4%、厚さ1.27mm
中間層のないパッド加圧、圧力11000Pa、2時間
パッド加圧後、研磨板への研磨パッドの接着は良好である。
【0052】
比較例2
フェルト(PUエラストマ繊維からなる)からなる研磨パッド、ショアA硬度23℃で84、圧縮率23℃で2.6%、厚さ1.27mm
中間層のないパッド加圧、圧力11000Pa、2時間
パッド加圧後、研磨板への研磨パッドの内側領域の接着は乏しい。これは、半導体ウェハの研磨において品質欠陥を必然的にもたらす。
【0053】
比較例3
発泡研磨パッド(PU)、ショアA硬度23℃で93、圧縮率23℃で2.5%、厚さ1.06mm
中間層のないパッド加圧、圧力11000Pa、2時間
パッド加圧後、研磨板への研磨パッドの内側領域の接着は乏しい。これは、半導体ウェハの研磨において品質欠陥を必然的にもたらす。
【0054】
実施例1
フェルト(PUエラストマ繊維からなる)からなる研磨パッド、ショアA硬度23℃で84、圧縮率23℃で2.6%、厚さ1.27mm
パッド加圧における中間層の使用(圧力11000Pa、2時間)
中間層:両面PUフェルト、1つの層の厚さ1.27mm、圧縮率23℃での3.3%、ショアA硬度23℃で83
パッド加圧後、研磨板への研磨パッドの接着は優れている。
【0055】
実施例2
発泡研磨パッド(PU)、ショアA硬度23℃で84、圧縮率23℃で2.1%、厚さ0.86mm
パッド加圧における中間層の使用(圧力11000Pa、2時間)
中間層:両面PUフェルト、1つの層の厚さ1.27mm、圧縮率23℃で3.3%、ショアA硬度23℃で83
パッド加圧後、研磨板への研磨パッドの接着は優れている。
【0056】
示される実施形態の上記の説明は、例示として理解されるべきである。これによりなされる開示は、当業者が本発明およびそれに関する利点を理解し、当業者にとって明らかである記載された構造および方法に対する変形例および修正例を把握することを可能とする。したがって、すべてのこのような変形例および修正例ならびに等価物は、請求項の保護の範囲によってカバーされるべきである。