【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の目的は、半導体ウェハを両面研磨する方法であって、室温でのショアA硬度が少なくとも80であり、3%未満の室温での圧縮率を有する研磨パッドが、上側研磨板および下側研磨板に取り付けられ、半導体ウェハは、上側研磨板と下側研磨板との間で両面研磨され、研磨パッドは、研磨パッドを上側研磨板および下側研磨板に接合し、中間層として2つの接合された研磨パッド間に少なくとも3%の室温での圧縮率を有するパッドを配置し、およびその後、ある期間、2つの研磨パッドをその間に配置されるパッドとともに加圧することによって、上側研磨板および下側研磨板に取り付けられることを特徴とする、方法によって達成される。
【0015】
本発明によれば、中間パッド層が、パッド加圧中、上側研磨パッドと下側研磨パッドと間に設けられる。上側研磨パッドおよび下側研磨パッドは、硬質でかろうじて圧縮可能である。中間層として用いられるパッドは、研磨パッドよりもより圧縮性がある。
【0016】
材料の圧縮率は、すべての側におけるどの圧力変化がある体積変化をもたらすために必要とされるかについて説明する。圧縮率は、JIS L−1096(織布についてのテスト方法)に類似して判定される。
【0017】
中間層として用いられるパッドは、パッド加圧に用いられるのみである。パッド加圧後は、研磨システムから取り除かれる。
【0018】
発泡研磨パッド(発泡パッド)および繊維構造を有する研磨パッド(不織パッド)の両者は、高パッド硬度および低パッド圧縮率を有する研磨パッドとして好適である。
【0019】
1つの実施形態では、室温(23℃±2℃)で80〜100(DIN EN ISO 868)のショアA硬度を有する研磨パッドが用いられる。
【0020】
低いまたは非常に低い圧縮率を有する研磨パッドの使用が好ましい。
好ましくは、研磨パッドの圧縮率は2.5%未満である。特に好ましくは、研磨パッドの圧縮率は2.2%未満である。非常に特に好ましくは、研磨パッドの圧縮率は2.0%未満である。述べられた圧縮率は、室温(23℃±2℃)で判定されるべきである。
【0021】
1つの実施形態では、研磨パッドまたはその作業表面は、熱可塑性または熱硬化性ポリマからなり、多孔質マトリックスを有する(発泡パッド)。
【0022】
研磨パッドのための材料として多様な材料が可能であり、たとえば、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリエステル等である。
【0023】
1つの実施形態では、研磨パッドまたはその作業表面は、固体微細多孔質ポリウレタンからなる。
【0024】
1つの実施形態では、研磨パッドは、発泡板またはフェルト基材またはポリマで満たされた繊維基材からなる(不織パッド)。
【0025】
研磨パッドの厚さは0.7〜1.5mmであり得る。1つの実施形態では、研磨パッドの厚さは0.7〜1.3mm、非常に特に好ましくは0.75〜1.1mmである。
【0026】
本発明の文脈において、特に硬質発泡研磨パッドの場合、2つの加圧されることとなるパッド間に、パッド加圧中に、圧縮可能な中間層が配置されるときに、研磨板への十分な接着が確保され得るのみである。
【0027】
1つの実施形態では、中間層として用いられるパッドは、フェルトまたは繊維基材、すなわち不織布からなる。
【0028】
フェルトは、植物または動物起源の化学繊維または天然繊維から生成され得る。
1つの実施形態では、PUエラストマ繊維から製造されるフェルトである。
【0029】
中間層の厚さは1.0〜3.0mmであり得る。1つの実施形態では、中間層の厚さは1.5〜2.6mmである。
【0030】
1つの実施形態では、中間層として用いられるパッドの圧縮率は3〜10%である。非常に特に好ましくは、中間層として用いられるパッドの圧縮率は3.2〜7.6%である。述べられた圧縮率は、室温(23℃±2℃)において判定されるべきである。
【0031】
対照的に、3%未満または10%より大きい圧縮率を有するパッドが中間層として用いられる場合、研磨パッドの研磨板への均一な接着は一般的に達成されない。
【0032】
好ましい実施形態では、中間層として用いられるパッドは、ともに接合される2つのパッド層を備える。好ましい実施形態によれば、1つのパッド層の厚さは0.7〜1.3mmである。
【0033】
たとえば、2つのパッド層を取り付けるのに、両面接着フィルムが好適である。
パッド加圧におけるこのような中間層の使用は、局所的な凹凸を補い、研磨板全体にわたる均一な接着を達成する。
【0034】
パッド加圧動作の前に、研磨パッドは、研磨機器のそれぞれの研磨板に接合される。
この目的のために、上記方法の1つの実施形態では、研磨パッドは、各々それらの裏面に接着フィルムを有する。たとえば、研磨パッドの裏面に適用される市販の両面接着フィルムが好適である。
【0035】
さらなる実施形態では、研磨板は、研磨パッドの接合前に加熱される。たとえば、研磨板は、40〜50℃の温度まで加熱され得る。その結果、同時に起こるその接着性の上昇とともに、接着フィルムの粘度が低下する。
【0036】
研磨パッドの接合後、研磨パッドは、必要であれば、冷却される。1つの実施形態では、研磨板は、一般的に10〜50℃の間の所望の研磨温度まで冷却される。
【0037】
研磨パッドの接合前後における研磨板の加熱および冷却は、好ましくは、研磨板の内部温度制御要素によって達成される。
【0038】
好ましい実施形態では、研磨板は1〜最大数時間にわたって冷却される。
さらなる実施形態では、研磨板は、以下により詳細に説明されるパッド加圧の間、冷却される。
【0039】
1つの実施形態では、2つのかろうじて圧縮可能な研磨パッドが、ある期間、その間に配置されるより圧縮性のあるパッドとともに加圧される加圧動作が行われる。
【0040】
好ましくは、パッド加圧は、少なくとも11000Paの圧力で行われる。
1つの実施形態では、加圧動作は、1時間以上の期間の間行われる。
【0041】
加圧動作は、好ましくは、研磨パッドの製造者によって推奨される接合温度で行われる。
【0042】
1つの実施形態では、加圧動作は、室温で行われる。
従来技術において、研磨パッドとともに加圧するときの研磨パッド間の中間層は、現在までに想定されている。研磨パッドは、研磨板に接合され、その後ともに加圧された。比較的軟質なパッドの場合、これは研磨された半導体ウェハの品質を害することなく可能でもあった。しかしながら、硬質な研磨パッドの場合、たとえば中間層としての軟質で圧縮可能なフェルトパッドが、研磨された半導体ウェハの品質についての要求を満たすために必要とされる。
【0043】
中間層のない硬質パッドを用いるとき、ある場合において、加圧動作後に、内側領域におけるパッドが不十分に加圧された、すなわちパッドが研磨板に対して不十分な接着を有していたことが既に目立っていた。対照的に、本発明の中間層の使用の場合、研磨パッドは加圧動作の後十分に加圧され、研磨パッドのより良好でより均質な接着を達成し、研磨された半導体ウェハのより良好な品質をもたらす。
【0044】
本発明の1つの実施形態では、このような態様で研磨板に取り付けられる研磨パッド間の半導体ウェハの二面研磨の前に、いわゆるパッドドレスが行われる。これに関連して、研磨板に接合される研磨パッドは、研磨機器の特定の個々の板形状に研磨動作の前に適合される。関連性のある方法は、従来技術からの原理において知られており、たとえば、文献EP2 345 505 A2またはUS6,682,405B2に記載されている。
【0045】
研磨板は通常、最大±50μmの局所的な凹凸の差を示し得るため、パッドドレスは有利である。その目的は、一般的にダイアモンド研磨剤を含む好適な工具によって研磨板上に配置される研磨パッドの機械処理によって、研磨パッドの所望の形状、ひいては研磨間隙の所望の形状、および研磨パッドのパッド表面(作業表面)の所望の特性の両方を設定することである。研磨板上に配置される研磨パッドは、ある研磨機器および研磨間隙について各時、最適化される。
【0046】
1つの実施形態では、2つの研磨パッドのパッドドレス、すなわち研磨パッドの作業表面の処理は、研磨パッド表面が半導体ウェハと接触する各場合において研磨されることとなる半導体ウェハによって形成され、かつ研磨パッドの内側縁部から外側縁部まで延在する研磨間隙が、研磨パッドの内側縁部および外側縁部において異なる高さを有するように実行される。言い換えれば、研磨パッドは、外側縁部とは異なる中央部におけるパッド厚さを有する。
【0047】
上記方法の1つの実施形態では、研磨間隙の高さ、すなわち上側研磨パッドと下側研磨パッドとの間の特定の距離は、研磨パッドの内側縁部よりも外側縁部において低い。
【0048】
研磨のために、半導体ウェハは、好適に寸法決めされたキャリアのスロットに入れられる。好ましくは、研磨パッドの作業層間に形成される作業間隙の中への研磨の間に、液体が供給される。上記液体は、好ましくは、研磨剤懸濁液である。研磨剤懸濁液として、たとえば、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化アンモニウム(NH4OH)、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)等の添加物を任意に有する、コロイド状の分散シリカの使用が特に好適である。半導体ウェハの表面および裏面の同時研磨では、面当たり15μm以下、好ましくは面当たり5μm〜12μmの表面除去が存在する。