特許第6787319号(P6787319)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6787319ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム、架橋性ゴム組成物、およびゴム架橋物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6787319
(24)【登録日】2020年11月2日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム、架橋性ゴム組成物、およびゴム架橋物
(51)【国際特許分類】
   C08F 236/12 20060101AFI20201109BHJP
   C08L 9/02 20060101ALI20201109BHJP
   C08K 5/14 20060101ALI20201109BHJP
   C08K 5/10 20060101ALI20201109BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20201109BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20201109BHJP
【FI】
   C08F236/12
   C08L9/02
   C08K5/14
   C08K5/10
   C08K3/04
   C08K3/36
【請求項の数】11
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-532531(P2017-532531)
(86)(22)【出願日】2016年7月27日
(86)【国際出願番号】JP2016072071
(87)【国際公開番号】WO2017022598
(87)【国際公開日】20170209
【審査請求日】2019年4月18日
(31)【優先権主張番号】特願2015-154794(P2015-154794)
(32)【優先日】2015年8月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】菅原 慎介
(72)【発明者】
【氏名】中井 章人
【審査官】 藤井 勲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−114940(JP,A)
【文献】 特開2008−195881(JP,A)
【文献】 特開2011−213844(JP,A)
【文献】 特開2013−008485(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/080989(WO,A1)
【文献】 特開2015−063634(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/080130(WO,A1)
【文献】 特開2016−006132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 236/00 − 236/22
C08L 9/00 − 9/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムに、架橋剤を配合してなる架橋性ゴム組成物であって、
前記ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムが、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a1)10〜40重量%、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体単位(a2)10〜60重量%、および共役ジエン単量体単位(a3)20〜70重量%を有し、ヨウ素価が35〜85である架橋性ゴム組成物。
【請求項2】
前記α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体単位(a2)が、アクリル酸n−ブチル単位および/またはアクリル酸メトキシエチル単位である請求項1に記載の架橋性ゴム組成物
【請求項3】
前記架橋剤が、有機過酸化物架橋剤である請求項1または2に記載の架橋性ゴム組成物。
【請求項4】
可塑剤をさらに含有する請求項1〜3のいずれかに記載の架橋性ゴム組成物。
【請求項5】
前記可塑剤が、アジピン酸エーテルエステル系可塑剤および/またはポリエーテルエステル系可塑剤である請求項に記載の架橋性ゴム組成物。
【請求項6】
前記可塑剤の含有量が、前記ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム100重量部に対して、3〜30重量部である請求項またはに記載の架橋性ゴム組成物。
【請求項7】
補強剤をさらに含有する請求項のいずれかに記載の架橋性ゴム組成物。
【請求項8】
前記補強剤が、カーボンブラックおよび/またはシリカである請求項に記載の架橋性ゴム組成物。
【請求項9】
前記補強剤の含有量が、前記ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム100重量部に対して、5〜300重量部である請求項またはに記載の架橋性ゴム組成物。
【請求項10】
請求項のいずれかに記載の架橋性ゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物。
【請求項11】
請求項10に記載のゴム架橋物からなるショックアブソーバシール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常態物性が良好であり、耐熱性、耐圧縮永久歪み性、および耐寒性に優れたゴム架橋物を与えるニトリル基含有高飽和共重合体ゴム、ならびに、該ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを用いて得られる架橋性ゴム組成物およびゴム架橋物に関する。
【背景技術】
【0002】
水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムに代表されるニトリル基含有高飽和共重合体ゴムは、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムなどの、主鎖構造に炭素−炭素間不飽和結合の多い、一般的なニトリル基含有共重合ゴムに比べて、耐熱性、耐油性、耐オゾン性などに優れているため、自動車用の各種燃料油ホース、O−リング、油中ベルト等に多く使用されている。
【0003】
このようなニトリル基含有高飽和共重合体ゴムとして、たとえば、特許文献1では、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単位(a)、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単位(b)、共役ジエン単位(c)および飽和化共役ジエン単位(d)をそれぞれ特定割合含有し、かつ、共役ジエン単位(c)および飽和化共役ジエン単位(d)の合計割合に対する飽和化共役ジエン単位(d)の割合が70重量%以上であり、かつ、補外ガラス転移開始温度(Tig)および補外ガラス転移終了温度(Teg)の差が10℃以下であるニトリル基含有高飽和共重合体ゴムが提案されている。
【0004】
この特許文献1に開示されているニトリル基含有高飽和共重合体ゴムは、共役ジエン単位(c)および飽和化共役ジエン単位(d)の合計の含有量に対する、飽和化共役ジエン単位(c)の含有量の割合が、70重量%以上、特に80重量%以上と非常に高く、ヨウ素価が低く抑えられたものである。そして、この特許文献1によれば、上記のような構成を採用することで、耐寒性、耐油性および動特性に優れたゴム架橋物の提供を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−114940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載のニトリル基含有高飽和共重合体ゴムは、耐寒性の指標であるTR10(ゴム架橋物を凍結させた後、昇温により試験片の長さが10%収縮(回復)する時の温度)が−36℃以下とされ、TR10に優れるものである。しかしその一方で、低温環境下で使用されるシール材においては、TR10が十分に低いことに加え、TR10と、TR70(ゴム架橋物を凍結させた後、昇温により試験片の長さが70%収縮(回復)する時の温度)との差ができるだけ小さいことが求められている。
このような状況に対し、上記特許文献1に記載のニトリル基含有高飽和共重合体ゴムは、TR10は十分に低いものの、TR70が比較的高く、TR10とTR70との差が比較的大きいものであり、次のような課題があった。すなわち、TR10は十分に低いため、これにより、低温環境下において衝撃が加えられた場合でも破壊が起こり難いという利点を有する(耐低温脆化性に優れる)ものであるが、TR70が高いため、低温環境下におけるシール性が必ずしも十分でなく、そのため、このような低温環境下での使用が予定されているシール材用途に適さない場合があった。
【0007】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、耐熱性、耐圧縮永久歪み性、および耐寒性に優れたゴム架橋物を与えるニトリル基含有高飽和共重合体ゴム、ならびに、該ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを用いて得られる架橋性ゴム組成物およびゴム架橋物を提供することを目的とする。特に、本発明は、耐寒性に関し、TR10が十分に低いことに加え、TR10とTR70との差(TR70−TR10)が小さく抑えられたものを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体単位、および共役ジエン単量体単位を所定の比率で有し、ヨウ素価が35〜85であるニトリル基含有高飽和共重合体ゴムにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明によれば、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a1)10〜40重量%、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体単位(a2)10〜60重量%、および共役ジエン単量体単位(a3)20〜70重量%を有し、ヨウ素価が35〜85であるニトリル基含有高飽和共重合体ゴムが提供される。
本発明のニトリル基含有高飽和共重合体ゴムにおいて、前記α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体単位(a2)が、アクリル酸n−ブチル単位および/またはアクリル酸メトキシエチル単位であることが好ましい。
【0010】
また、本発明によれば、上記ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムに、架橋剤を配合してなる架橋性ゴム組成物が提供される。
本発明の架橋性ゴム組成物において、前記架橋剤が、有機過酸化物架橋剤であることが好ましい。
本発明の架橋性ゴム組成物は、可塑剤をさらに含有することが好ましく、前記可塑剤が、アジピン酸エーテルエステル系可塑剤および/またはポリエーテルエステル系可塑剤であることが好ましい。前記可塑剤の含有量は、前記ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム100重量部に対して、3〜30重量部であることが好ましい。
また、本発明の架橋性ゴム組成物は、補強剤をさらに含有することが好ましく、前記補強剤が、カーボンブラックおよび/またはシリカであることが好ましい。前記補強剤の含有量が、前記ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム100重量部に対して、5〜300重量部であることが好ましい。
さらに、本発明によれば、上記架橋性ゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物が提供される。
また、本発明によれば、上記ゴム架橋物からなるショックアブソーバシールが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、常態物性が良好であり、耐熱性、耐圧縮永久歪み性、および耐寒性に優れたゴム架橋物を与えるニトリル基含有高飽和共重合体ゴム、ならびに、該ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを用いて得られる架橋性ゴム組成物およびゴム架橋物を提供することができる。特に、本発明によれば、耐寒性に関し、TR10が十分に低いことに加え、TR10と、TR70との差(TR70−TR10)が小さく抑えられたゴム架橋物を与えるニトリル基含有高飽和共重合体ゴム、ならびに、該ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを用いて得られる架橋性ゴム組成物およびゴム架橋物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム
本発明のニトリル基含有高飽和共重合体ゴムは、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a1)10〜40重量%、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体単位(a2)10〜60重量%、および共役ジエン単量体単位(a3)20〜70重量%を有し、ヨウ素価が35〜85の範囲にあるものである。
【0013】
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a1)を形成するα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、ニトリル基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物であれば限定されず、アクリロニトリル;α−クロロアクリロニトリル、α−ブロモアクリロニトリルなどのα−ハロゲノアクリロニトリル;メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなどのα−アルキルアクリロニトリル;などが挙げられる。これらのなかでも、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが好ましく、アクリロニトリルが特に好ましい。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体として、これらの複数種を併用してもよい。
【0014】
本発明のニトリル基含有高飽和共重合体ゴム中における、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a1)の含有割合は、全単量体単位中、10〜40重量%であり、好ましくは13〜30重量%、より好ましくは15〜25重量%である。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a1)の含有量が少なすぎると、得られるゴム架橋物の耐油性、および耐寒性(特に、TR10およびTR70)が低下してしまう。一方、多すぎると、得られるゴム架橋物のゴム耐寒性(特に、TR70)が低下してしまう。
【0015】
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体単位(a2)を形成する、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体としては、特に限定されないが、たとえば、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸アルキルエステル単量体、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸アルコキシアルキルエステル単量体、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸アミノアルキルエステル単量体、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸ヒドロキシアルキルエステル単量体、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸フルオロアルキルエステル単量体などが挙げられる。
これらのなかでも、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸アルキルエステル単量体、またはα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸アルコキシアルキルエステル単量体が好ましい。
【0016】
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸のアルキルエステル単量体としては、アルキル基として、炭素数が3〜10でアルキル基を有するものが好ましく、炭素数が3〜8であるアルキル基を有するものがより好ましく、炭素数が4〜6であるアルキル基を有するものがさらに好ましい。
【0017】
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸アルキルエステル単量体の具体例としては、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸アルキルエステル単量体;アクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシルなどのアクリル酸シクロアルキルエステル単量体;アクリル酸メチルシクロペンチル、アクリル酸エチルシクロペンチル、アクリル酸メチルシクロヘキシルなどのアクリル酸アルキルシクロアルキルエステル単量体;メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−オクチルなどのメタクリル酸アルキルエステル単量体;メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロペンチルなどのメタクリル酸シクロアルキルエステル単量体;メタクリル酸メチルシクロペンチル、メタクリル酸エチルシクロペンチル、メタクリル酸メチルシクロヘキシルなどのメタクリル酸アルキルシクロアルキルエステル単量体;クロトン酸プロピル、クロトン酸n−ブチル、クロトン酸2−エチルヘキシルなどのクロトン酸アルキルエステル単量体;クロトン酸シクロペンチル、クロトン酸シクロヘキシル、クロトン酸シクロオクチルなどのクロトン酸シクロアルキルエステル単量体;クロトン酸メチルシクロペンチル、クロトン酸メチルシクロヘキシルなどのクロトン酸アルキルシクロアルキルエステル単量体;などが挙げられる。
【0018】
また、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸アルコキシアルキルエステル単量体としては、アルコキシアルキル基として、炭素数が2〜8でアルコキシアルキル基を有するものが好ましく、炭素数が2〜6であるアルコキシアルキル基を有するものがより好ましく、炭素数が2〜4であるアルコキシアルキル基を有するものがさらに好ましい。
【0019】
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸アルコキシアルキルエステル単量体の具体例としては、アクリル酸メトキシメチル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシメチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸n−プロポキシエチル、アクリル酸i−プロポキシエチル、アクリル酸n−ブトキシエチル、アクリル酸i−ブトキシエチル、アクリル酸t−ブトキシエチル、アクリル酸メトキシプロピル、アクリル酸メトキシブチルなどのアクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体;メタクリル酸メトキシメチル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸n−プロポキシエチル、メタクリル酸i−プロポキシエチル、メタクリル酸n−ブトキシエチル、メタクリル酸i−ブトキシエチル、メタクリル酸t−ブトキシエチル、メタクリル酸メトキシプロピル、メタクリル酸メトキシブチルなどのメタクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体;などが挙げられる。
【0020】
これらα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体のなかでも、本発明の効果をより一層顕著なものとすることができるという点より、アクリル酸アルキルエステル単量体、アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体が好ましく、アクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸メトキシエチルがより好ましく、アクリル酸n−ブチルが特に好ましい。
【0021】
本発明のニトリル基含有高飽和共重合体ゴム中における、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体単位(a2)の含有量は、10〜60重量%であり、好ましくは25〜45重量%、より好ましくは30〜40重量%である。α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体単位(a2)の含有量が少なすぎても、また、多すぎても、得られるゴム架橋物の耐寒性(特に、TR10およびTR70)が悪化してしまう。
【0022】
共役ジエン単量体単位(a3)を形成する共役ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられる。これらのなかでも、1,3−ブタジエンが好ましい。
【0023】
本発明のニトリル基含有高飽和共重合体ゴム中における、共役ジエン単量体単位(a3)の含有割合(飽和化されているものも含む)は、全単量体単位中、20〜70重量%であり、好ましくは30〜60重量%、より好ましくは40〜50重量%である。共役ジエン単量体単位(a3)の含有割合が低すぎると、得られるゴム架橋物のゴム弾性が低下してしまう。一方、含有割合が高すぎると、得られるゴム架橋物の耐化学的安定性が損なわれる可能性がある。
【0024】
また、本発明のニトリル基含有高飽和共重合体ゴムは、上記各単量体単位以外に、これらの単量体単位を形成する単量体と共重合可能な他の単量体の単位を含有していてもよい。共重合可能なその他の単量体単位を形成する単量体としては、たとえば、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル単量体、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸単量体、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸無水物単量体、非共役ジエン単量体、α−オレフィン単量体、芳香族ビニル単量体、フッ素含有ビニル単量体、共重合性老化防止剤などが挙げられる。
【0025】
α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体としては、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノn−ブチルなどのマレイン酸モノアルキルエステル;マレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシル、マレイン酸モノシクロヘプチルなどのマレイン酸モノシクロアルキルエステル;マレイン酸モノメチルシクロペンチル、マレイン酸モノエチルシクロヘキシルなどのマレイン酸モノアルキルシクロアルキルエステル;フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸モノn−ブチルなどのフマル酸モノアルキルエステル;フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノシクロヘプチルなどのフマル酸モノシクロアルキルエステル;フマル酸モノメチルシクロペンチル、フマル酸モノエチルシクロヘキシルなどのフマル酸モノアルキルシクロアルキルエステル;シトラコン酸モノメチル、シトラコン酸モノエチル、シトラコン酸モノプロピル、シトラコン酸モノn−ブチルなどのシトラコン酸モノアルキルエステル;シトラコン酸モノシクロペンチル、シトラコン酸モノシクロヘキシル、シトラコン酸モノシクロヘプチルなどのシトラコン酸モノシクロアルキルエステル;シトラコン酸モノメチルシクロペンチル、シトラコン酸モノエチルシクロヘキシルなどのシトラコン酸モノアルキルシクロアルキルエステル;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノプロピル、イタコン酸モノn−ブチルなどのイタコン酸モノアルキルエステル;イタコン酸モノシクロペンチル、イタコン酸モノシクロヘキシル、イタコン酸モノシクロヘプチルなどのイタコン酸モノシクロアルキルエステル;イタコン酸モノメチルシクロペンチル、イタコン酸モノエチルシクロヘキシルなどのイタコン酸モノアルキルシクロアルキルエステル;などが挙げられる。
【0026】
α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル単量体としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジn−ブチルなどのマレイン酸ジアルキルエステルであってアルキル基の炭素数が1〜18のもの;フマル酸ジメチル、フマル酸ジn−ブチルなどのフマル酸ジアルキルエステルであってアルキル基の炭素数が1〜18のもの;マレイン酸ジシクロペンチル、マレイン酸ジシクロヘキシルなどのマレイン酸ジシクロアルキルエステルであってシクロアルキル基の炭素数が4〜16のもの;フマル酸ジシクロペンチル、フマル酸ジシクロヘキシルなどのフマル酸ジシクロアルキルエステルであってシクロアルキル基の炭素数が4〜16のもの;イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジn−ブチルなどのイタコン酸ジアルキルエステルであってアルキル基の炭素数が1〜18のもの:イタコン酸ジシクロヘキシルなどのイタコン酸ジシクロアルキルエステルであってシクロアルキル基の炭素数が4〜16のもの;などが挙げられる。
【0027】
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸単量体としては、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸無水物単量体としては、無水マレイン酸などが挙げられる。
【0028】
非共役ジエン単量体としては、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエンなどが挙げられる。
α−オレフィン単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが挙げられる。
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられる。
【0029】
フッ素含有ビニル単量体としては、フルオロエチルビニルエーテル、フルオロプロピルビニルエーテル、o−トリフルオロメチルスチレン、ペンタフルオロ安息香酸ビニル、ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンなどが挙げられる。
【0030】
共重合性老化防止剤としては、N−(4−アニリノフェニル)アクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)シンナムアミド、N−(4−アニリノフェニル)クロトンアミド、 N−フェニル−4−(3−ビニルベンジルオキシ)アニリン、N−フェニル−4−(4−ビニルベンジルオキシ)アニリンなどが挙げられる。
【0031】
これらの共重合可能なその他の単量体は、複数種類を併用してもよい。その他の単量体単位の含有量は、本発明のニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを構成する全単量体単位に対して、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
【0032】
本発明のニトリル基含有高飽和共重合体ゴムは、ヨウ素価が35〜85であり、好ましくは40〜70、より好ましくは40〜60である。本発明においては、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを、上述した各単量体を上記所定量含有し、かつ、このようにヨウ素価が所定の範囲にあるものとすることにより、得られるゴム架橋物を、耐熱性、および耐圧縮永久歪み性に優れたものとしながら、耐寒性を向上させることができるものである。特に、本発明によれば、耐寒性に関し、TR10が十分に低いことに加え、TR10とTR70との差(TR70−TR10)が小さく抑えられたものとすることができるものである。なお、TR10は、ゴム架橋物を凍結させた後、昇温により試験片の長さが10%収縮(回復)する時の温度(低温弾性回復率10%を示す温度)であり、TR10が十分に低いことにより、低温環境下において衝撃が加えられた場合でも破壊が起こり難いもの(耐低温脆化性に優れるもの)とすることができる。また、TR70は、ゴム架橋物を凍結させた後、昇温により試験片の長さが70%収縮(回復)する時の温度(低温弾性回復率70%を示す温度)であり、TR10とTR70との差(TR70−TR10)は、好ましくは21℃以下、より好ましくは19℃以下、さらに好ましくは18℃以下である。TR10とTR70との差(TR70−TR10)が小さいことにより、低温環境下におけるシール性を良好なものとすることができる。
【0033】
そして、本発明のニトリル基含有高飽和共重合体ゴムによれば、TR10が十分に低く、しかも、TR10とTR70との差(TR70−TR10)が小さく抑えられたゴム架橋物を与えることができ、該ゴム架橋物は、低温環境下において衝撃が加えられた場合でも破壊が起こり難く(耐低温脆化性に優れ)、しかも、低温環境下においても良好なシール性を示すものであるため、低温環境下で使用されるシール材用途に特に好適に用いることができるものである。
【0034】
なお、ヨウ素価が低すぎると、低温環境下においてニトリル基含有高飽和共重合体ゴムが結晶化を起こしやすくなり、TR70が高くなってしまい、結果として、TR10とTR70との差(TR70−TR10)が大きくなり、得られるゴム架橋物は、低温環境下におけるシール性に劣るものとなってしまう。一方、ヨウ素価が高すぎると、飽和化されてない共役ジエン単量体単位(c)の割合が多くなるため、飽和化されてない共役ジエン単量体単位(c)の二重結合部分の影響により、TR70が高くなってしまい、結果として、TR10とTR70との差(TR70−TR10)が大きくなり、得られるゴム架橋物は、低温環境下におけるシール性に劣るものとなってしまう。
【0035】
また、本発明のニトリル基含有高飽和共重合体ゴムのポリマー・ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、好ましくは10〜200、より好ましくは15〜150、さらに好ましくは15〜100、特に好ましくは30〜70である。ポリマー・ムーニー粘度を上記範囲とすることにより、得られるゴム架橋物の機械特性を損なうことなく、架橋性ゴム組成物とした場合における加工性を良好なものとすることができる。
【0036】
なお、本発明のニトリル基含有高飽和共重合体ゴムのヨウ素価を上記範囲とする方法としては、たとえば、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを製造する際における水素添加反応における、水素添加触媒の種類、水素添加触媒の量、反応温度、水素圧力および反応時間などを適宜調整することにより制御することができる。一例を挙げると、水素添加触媒の量を多くするほど、ヨウ素価は低くなる傾向にあり、また、同様に、反応温度、水素圧力を高くしたり、反応時間を長くしたりすることによっても、ヨウ素価は低くなる傾向にある。そのため、本発明においては、これらの条件を適宜調整することで、ヨウ素価を制御することができる。
【0037】
本発明のニトリル基含有高飽和共重合体ゴムの製造方法は、特に限定されないが、乳化剤を用いた乳化重合により上述の単量体を共重合してニトリル基含有共重合体ゴムのラテックスを調製し、これを水素化することにより製造することが好ましい。乳化重合に際しては、乳化剤、重合開始剤、分子量調整剤等の通常用いられる重合副資材を使用することができる。
【0038】
乳化剤としては、特に限定されないが、たとえば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等の非イオン性乳化剤;ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸およびリノレン酸等の脂肪酸の塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性乳化剤;α,β−不飽和カルボン酸のスルホエステル、α,β−不飽和カルボン酸のサルフェートエステル、スルホアルキルアリールエーテル等の共重合性乳化剤;などが挙げられる。乳化剤の使用量は、全単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部である。
【0039】
重合開始剤としては、ラジカル開始剤であれば特に限定されないが、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウム、過酸化水素等の無機過酸化物;t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル等のアゾ化合物;等を挙げることができる。これらの重合開始剤は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。重合開始剤としては、無機または有機の過酸化物が好ましい。重合開始剤として過酸化物を用いる場合には、重亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄等の還元剤と組み合わせて、レドックス系重合開始剤として使用することもできる。重合開始剤の使用量は、全単量体100重量部に対して、好ましくは0.01〜2重量部である。
【0040】
分子量調整剤としては、特に限定されないが、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、塩化メチレン、臭化メチレン等のハロゲン化炭化水素;α−メチルスチレンダイマー;テトラエチルチウラムダイサルファイド、ジペンタメチレンチウラムダイサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンダイサルファイド等の含硫黄化合物等が挙げられる。これらは単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、メルカプタン類が好ましく、t−ドデシルメルカプタンがより好ましい。分子量調整剤の使用量は、全単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜0.8重量部である。
【0041】
乳化重合の媒体には、通常、水が使用される。水の量は、全単量体100重量部に対して、好ましくは80〜500重量部である。
【0042】
乳化重合に際しては、さらに、必要に応じて安定剤、分散剤、pH調整剤、脱酸素剤、粒子径調整剤等の重合副資材を用いることができる。これらを用いる場合においては、その種類、使用量とも特に限定されない。
【0043】
そして、得られたニトリル基含有共重合体ゴムのラテックス中のニトリル基含有共重合体ゴムに対して、共役ジエン単量体単位(a3)の二重結合を選択的に水素添加する水素化反応を行うことにより、本発明のニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを製造することができる。
【0044】
水素添加は公知の方法によればよく、乳化重合で得られたニトリルゴムのラテックスを凝固した後、油層で水素添加する油層水素添加法や、重合で得られたラテックスをそのまま水素添加する水層水素添加法などが挙げられるが、これらのなかでも、油層水素添加法が好ましい。
【0045】
水素添加を油層水素添加法で行う場合、好適には上記乳化重合により調製したニトリル基含有共重合体ゴムのラテックスを塩析による凝固、濾別および乾燥を経て、有機溶媒に溶解する。次いで水素添加反応(油層水素添加法)を行い、得られた水素化物を大量の水中に注いで凝固、濾別および乾燥を行うことにより、本発明のニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを得ることができる。
【0046】
ラテックスの塩析による凝固には、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸アルミニウムなど公知の凝固剤を使用することができる。また、油層水素添加法の溶媒としては、乳化重合により得られたニトリル基含有共重合体ゴムを溶解する液状有機化合物であれば特に限定されないが、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、シクロヘキサノンおよびアセトンなどが好ましく使用される。
【0047】
油層水素添加法の触媒としては、公知の選択的水素化触媒であれば限定なく使用でき、パラジウム系触媒およびロジウム系触媒が好ましく、パラジウム系触媒(酢酸パラジウム、塩化パラジウムおよび水酸化パラジウムなど)がより好ましい。これらは2種以上併用してもよいが、その場合はパラジウム系触媒を主たる活性成分とすることが好ましい。これらの触媒は、通常、担体に担持させて使用される。担体としては、シリカ、シリカ−アルミナ、アルミナ、珪藻土、活性炭などが例示される。触媒使用量は、共重合体に対して好ましくは10〜5000重量ppm、より好ましくは100〜3000重量ppmである。
【0048】
あるいは、水素添加を水層水素添加法で行う場合、好適には上記乳化重合により調製したニトリル基含有共重合体ゴムのラテックスに、必要に応じて水を加えて希釈し、水素添加反応を行う。水層水素添加法は、水素化触媒存在下の反応系に水素を供給して水素化する水層直接水素添加法と、酸化剤、還元剤および活性剤の存在下で還元して水素化する水層間接水素添加法とが挙げられるが、これらの中でも、水層直接水素添加法が好ましい。
【0049】
水層直接水素添加法において、水層における共重合体の濃度(ラテックス状態での濃度)は、凝集を防止するため40重量%以下であることが好ましい。水素化触媒は、水で分解し難い化合物であれば特に限定されない。その具体例として、パラジウム触媒では、ギ酸、プロピオン酸、ラウリン酸、コハク酸、オレイン酸、フタル酸などのカルボン酸のパラジウム塩;塩化パラジウム、ジクロロ(シクロオクタジエン)パラジウム、ジクロロ(ノルボルナジエン)パラジウム、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸アンモニウムなどのパラジウム塩素化物;ヨウ化パラジウムなどのヨウ素化物;硫酸パラジウム・二水和物などが挙げられる。これらの中でもカルボン酸のパラジウム塩、ジクロロ(ノルボルナジエン)パラジウムおよびヘキサクロロパラジウム(IV)酸アンモニウムが特に好ましい。水素化触媒の使用量は、適宜定めればよいが、ニトリルゴム(a)に対し、好ましくは5〜6000重量ppm、より好ましくは10〜4000重量ppmである。
【0050】
水層直接水素添加法においては、水素添加反応終了後、ラテックス中の水素化触媒を除去する。その方法として、たとえば、活性炭、イオン交換樹脂などの吸着剤を添加して攪拌下で水素化触媒を吸着させ、次いでラテックスを濾過または遠心分離する方法を採ることができる。水素化触媒を除去せずにラテックス中に残存させることも可能である。
【0051】
そして、水層直接水素添加法においては、このようにして得られた水素添加反応後のラテックスについて、塩析による凝固、濾別および乾燥などを行なうことにより、本発明のニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを得ることができる。この場合における、凝固に続く濾別および乾燥の工程はそれぞれ公知の方法によって行なうことができる。
【0052】
架橋性ゴム組成物
本発明の架橋性ゴム組成物は、上記ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムと、架橋剤と、を含有してなるものである。本発明で使用される架橋剤は、本発明のニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを架橋できるものであればよく、特に限定されないが、硫黄架橋剤または有機過酸化物架橋剤などが挙げられ、これらのなかでも、有機過酸化物架橋剤が好ましい。
【0053】
硫黄架橋剤としては、粉末硫黄、沈降硫黄などの硫黄;4,4’−ジチオモルホリンやテトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、高分子多硫化物などの有機硫黄化合物;などが挙げられる。硫黄架橋剤の使用量は、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム100重量部に対して、好ましくは0.1〜5重量部であり、より好ましくは0.2〜4.5重量部、さらに好ましくは0.3〜4重量部である。硫黄架橋剤を使用する場合において、その使用量を上記範囲とすることにより、得られるゴム架橋物の耐圧縮永久歪み性および耐屈曲疲労性を良好なものとしながら、架橋密度を十分なものとすることができる。
【0054】
有機過酸化物架橋剤としては、ゴム工業分野で架橋剤として使用されているものであればよく、特に限定されないが、ジアルキルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類などが挙げられ、好ましくはジアルキルパーオキサイド類などが例示される。
【0055】
ジアルキルパーオキサイド類としては、たとえば、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンなどが挙げられる。
ジアシルパーオキサイド類としては、たとえば、ベンゾイルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイドなどが挙げられる。
パーオキシエステル類としては、たとえば、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなど)などが挙げられる。
【0056】
有機過酸化物架橋剤の使用量は、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム100重量部に対して、好ましくは1〜16重量部、より好ましくは1〜14重量部、さらに好ましくは1〜12重量部である。有機過酸化物架橋剤を使用する場合において、その使用量を上記範囲とすることにより、得られるゴム架橋物の耐圧縮永久歪み性およびゴム弾性を良好なものとしながら、架橋密度を十分なものとすることができる。
【0057】
架橋剤として硫黄架橋剤を使用する場合は、架橋助剤として、亜鉛華やステアリン酸、また、架橋促進剤として、グアニジン系架橋促進剤、チアゾール系架橋促進剤、チウラム系架橋促進剤、ジチオカルバミン酸塩系架橋促進剤などを併用することが好ましい。
また、架橋剤として有機過酸化物架橋剤を使用する場合は、架橋助剤として、トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミドなどを併用してもよい。
【0058】
架橋助剤は、単独で使用してもよいし、また、複数種を併用してもよく、クレイ、炭酸カルシウム、シリカなどに分散させ、架橋性ゴム組成物の加工性を改良したものを使用してもよい。架橋助剤の使用量は特に限定されず、架橋物の用途、要求性能、架橋剤の種類、架橋助剤の種類などに応じて決定すればよい。
【0059】
また、本発明の架橋性ゴム組成物には、本発明の効果がより一層顕著になることから可塑剤を配合することが好ましい。
【0060】
可塑剤としては特に限定されないが、たとえば、アジピン酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)、アジピン酸ジ(メトキシテトラエチレングリコール)、アジピン酸ジ(メトキシペンタエチレングリコール)、アジピン酸(メトキシテトラエチレングリコール)(メトキシペンタエチレングリコール)などのアジピン酸エーテルエステル系可塑剤;アゼライン酸ジブトキシエチル、アゼライン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)などのアゼライン酸エーテルエステル系可塑剤;セバシン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)などのセバシン酸エーテルエステル系可塑剤;フタル酸ジブトキシエチル、フタル酸ジ(ブトキシエトキシエチル)などのフタル酸エーテルエステル系可塑剤;イソフタル酸ジブトキシエチル、イソフタル酸ジ(ブトキシエトキシエチル)などのイソフタル酸エーテルエステル系可塑剤;アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジブチルなどのアジピン酸ジアルキルエステル系可塑剤;アゼライン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジn−ヘキシルなどのアゼライン酸ジアルキルエステル系可塑剤;セバシン酸ジn−ブチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)などのセバシン酸ジアルキルエステル系可塑剤;フタル酸ジブチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジn−オクチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジイソノニルなどのフタル酸ジアルキルエステル系可塑剤;フタル酸ジシクロヘキシルなどのフタル酸ジシクロアルキルエステル系可塑剤;フタル酸ジフェニル、フタル酸ブチルベンジルなどのフタル酸アリールエステル系可塑剤;イソフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、イソフタル酸ジイソオクチルなどのイソフタル酸ジアルキルエステル系可塑剤;テトラヒドロフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、テトラヒドロフタル酸ジn−オクチル、テトラヒドロフタル酸ジイソデシルなどのテトラヒドロフタル酸ジアルキルエステル系可塑剤;トリメリット酸トリ(2−エチルヘキシル)、トリメリット酸トリn−オクチル、トリメリット酸トリイソデシル、トリメリット酸トリイソオクチル、トリメリット酸トリn−ヘキシル、トリメリット酸トリイソノニル、トリメリット酸トリイソデシルなどのトリメリット酸誘導体;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などのエポキシ系可塑剤;トリクレジルホスフェートなどのリン酸エステル系可塑剤;商品名「アデカサイザーRS−700」(ADEKA社製)、商品名「アデカサイザーRS−735」(ADEKA社製)などのポリエーテルエステル系可塑剤;などが挙げられる。これらは一種単独でまたは複数種併せて用いることができる。
【0061】
これら可塑剤の中でも、その添加効果をより高めることができるという点より、アジピン酸エーテルエステル系可塑剤、ポリエーテルエステル系可塑剤が好ましい。
【0062】
本発明の架橋性ゴム組成物中における、可塑剤の配合量は、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム100重量部に対して、好ましくは3〜30重量部であり、より好ましくは4〜25重量部、さらに好ましくは5〜20重量部である。
【0063】
また、本発明の架橋性ゴム組成物には、上記成分以外に、ゴム分野において通常使用される配合剤、たとえば、カーボンブラックやシリカなどの補強剤、炭酸カルシウム、タルクやクレイなどの充填材、酸化亜鉛や酸化マグネシウムなどの金属酸化物、メタクリル酸亜鉛やアクリル酸亜鉛などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩、共架橋剤、架橋遅延剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、一級アミンなどのスコーチ防止剤、ジエチレングリコールなどの活性剤、シランカップリング剤、可塑剤、加工助剤、滑剤、粘着剤、潤滑剤、難燃剤、防黴剤、受酸剤、帯電防止剤、顔料、発泡剤などを配合することができる。これらの配合剤の配合量は、本発明の目的や効果を阻害しない範囲であれば特に限定されず、配合目的に応じた量を配合することができる。
これらのなかでも、少なくとも、カーボンブラックやシリカなどの補強剤を配合することが、強度向上の点より好ましく、補強剤の配合量は、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム100重量部に対して、好ましくは5〜300重量部であり、より好ましくは10〜200重量部、さらに好ましくは20〜100重量部である。補強剤の配合量がこの範囲であれば、加工性等を低下させることなく、得られるゴム架橋物の強度を適切に高めることができる。
【0064】
カーボンブラックとしては、たとえば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、オースチンブラック、グラファイトなどが挙げられる。これらは1種または複数種併せて用いることができる。
【0065】
シリカとしては、石英粉末、珪石粉末等の天然シリカ;無水珪酸(シリカゲル、アエロジル等)、含水珪酸等の合成シリカ;等が挙げられ、これらの中でも、合成シリカが好ましい。またこれらシリカはシランカップリング剤等で表面処理されたものであってもよい。
【0066】
シランカップリング剤としては特に限定されないが、その具体例としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトメチルトリメトキシラン、γ−メルカプトメチルトリエトキシラン、γ−メルカプトヘキサメチルジシラザン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピルジスルファンなどの硫黄を含有するシランカップリング剤;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤;N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプリピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシ基含有シランカップリング剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のビニル基含有シランカップリング剤;3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロロプロピル基含有シランカプリング剤;3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基含有シランカプリング剤;p−スチリルトリメトキシシラン等のスチリル基含有シランカップリング剤;3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド基含有シランカップリング剤;ジアリルジメチルシラン等のアリル基含有シランカップリング剤;テトラエトキシシラン等のアルコキシ基含有シランカップリング剤;ジフェニルジメトキシシラン等のフェニル基含有シランカップリング剤;トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のフロロ基含有シランカップリング剤;イソブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン等のアルキル基含有シランカップリング剤;アセトアルコキシアルミニウムジイソポロピレートなどのアルミニウム系カップリング剤;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデジル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートなどのチタネート系カップリング剤;などが挙げられる。これらは1種または複数種併せて用いることができる。
【0067】
共架橋剤としては、特に限定されないが、ラジカル反応性の不飽和基を分子中に複数個有する低分子または高分子の化合物が好ましく、たとえば、ジビニルベンゼンやジビニルナフタレンなどの多官能ビニル化合物;トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレートなどのイソシアヌレート類;トリアリルシアヌレートなどのシアヌレート類;N,N'−m−フェニレンジマレイミドなどのマレイミド類;ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、ジアリルセバケート、トリアリルホスフェートなどの多価酸のアリルエステル;ジエチレングリコールビスアリルカーボネート;エチレングリコールジアリルエーテル、トリメチロールプロパンのトリアリルエーテル、ペンタエリトリットの部分的アリルエーテルなどのアリルエーテル類;アリル化ノボラック、アリル化レゾール樹脂等のアリル変性樹脂;トリメチロールプロパントリメタクリレートやトリメチロールプロパントリアクリレートなどの、3〜5官能のメタクリレート化合物やアクリレート化合物;などが挙げられる。これらは1種または複数種併せて用いることができる。
【0068】
さらに、本発明の架橋性ゴム組成物には、本発明の効果が阻害されない範囲で上述したニトリル基含有高飽和共重合体ゴム以外のゴムを配合してもよい。ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム以外のゴムとしては、アクリルゴム、エチレン−アクリル酸共重合体ゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム、エピクロロヒドリンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、天然ゴムおよびポリイソプレンゴムなどを挙げることができる。ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム以外のゴムを配合する場合における配合量は、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム100重量部に対して、30重量部以下が好ましく、20重量部以下がより好ましく、10重量部以下が特に好ましい。
【0069】
本発明の架橋性ゴム組成物は、上記各成分を好ましくは非水系で混合することにより調製することができる。本発明の架橋性ゴム組成物を調製する方法に限定はないが、通常、架橋剤および熱に不安定な架橋助剤などを除いた成分を、バンバリーミキサ、インターミキサ、ニーダなどの混合機で一次混練した後、オープンロールなどに移して架橋剤や熱に不安定な架橋助剤などを加えて二次混練することにより調製できる。なお、一次混練は、通常、10〜200℃、好ましくは30〜180℃の温度で、1分間〜1時間、好ましくは1分間〜30分間行い、二次混練は、通常、10〜90℃、好ましくは20〜60℃の温度で、1分間〜1時間、好ましくは1分間〜30分間行う。
【0070】
ゴム架橋物
本発明のゴム架橋物は、上述した本発明の架橋性ゴム組成物を架橋してなるものである。
本発明のゴム架橋物は、本発明の架橋性ゴム組成物を用い、所望の形状に対応した成形機、たとえば、押出機、射出成形機、圧縮機、ロールなどにより成形を行い、加熱することにより架橋反応を行い、架橋物として形状を固定化することにより製造することができる。この場合においては、予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常、10〜200℃、好ましくは25〜120℃である。架橋温度は、通常、100〜200℃、好ましくは130〜190℃であり、架橋時間は、通常、1分〜24時間、好ましくは2分〜1時間である。
【0071】
また、架橋物の形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても内部まで十分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。
加熱方法としては、プレス加熱、スチーム加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる一般的な方法を適宜選択すればよい。
【0072】
このようにして得られる本発明のゴム架橋物は、上述した本発明のニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを用いて得られるものであり、耐熱性、耐圧縮永久歪み性、および耐寒性に優れたものであり、特に、耐寒性に関しては、TR10が十分に低いことに加え、TR10とTR70との差(TR70−TR10)が小さく抑えられたものである。
このため、本発明のゴム架橋物は、このような特性を活かし、O−リング、パッキン、ダイアフラム、オイルシール、シャフトシール、ベアリングシール、ウェルヘッドシール、ショックアブソーバシール、空気圧機器用シール、エアコンディショナの冷却装置や空調装置の冷凍機用コンプレッサに使用されるフロン若しくはフルオロ炭化水素または二酸化炭素の密封用シール、精密洗浄の洗浄媒体に使用される超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素の密封用シール、転動装置(転がり軸受、自動車用ハブユニット、自動車用ウォーターポンプ、リニアガイド装置およびボールねじ等)用のシール、バルブおよびバルブシート、BOP(Blow Out Preventar)、プラターなどの各種シール材;インテークマニホールドとシリンダヘッドとの連接部に装着されるインテークマニホールドガスケット、シリンダブロックとシリンダヘッドとの連接部に装着されるシリンダヘッドガスケット、ロッカーカバーとシリンダヘッドとの連接部に装着されるロッカーカバーガスケット、オイルパンとシリンダブロックあるいはトランスミッションケースとの連接部に装着されるオイルパンガスケット、正極、電解質板および負極を備えた単位セルを挟み込む一対のハウジング間に装着される燃料電池セパレーター用ガスケット、ハードディスクドライブのトップカバー用ガスケットなどの各種ガスケット;印刷用ロール、製鉄用ロール、製紙用ロール、工業用ロール、事務機用ロールなどの各種ロール;平ベルト(フィルムコア平ベルト、コード平ベルト、積層式平ベルト、単体式平ベルト等)、Vベルト(ラップドVベルト、ローエッジVベルト等)、Vリブドベルト(シングルVリブドベルト、ダブルVリブドベルト、ラップドVリブドベルト、背面ゴムVリブドベルト、上コグVリブドベルト等)、CVT用ベルト、タイミングベルト、歯付ベルト、コンベアーベルト、などの各種ベルト;燃料ホース、ターボエアーホース、オイルホース、ラジェターホース、ヒーターホース、ウォーターホース、バキュームブレーキホース、コントロールホース、エアコンホース、ブレーキホース、パワーステアリングホース、エアーホース、マリンホース、ライザー、フローラインなどの各種ホース;CVJブーツ、プロペラシャフトブーツ、等速ジョイントブーツ、ラックアンドピニオンブーツなどの各種ブーツ;クッション材、ダイナミックダンパ、ゴムカップリング、空気バネ、防振材、クラッチフェーシング材などの減衰材ゴム部品;ダストカバー、自動車内装部材、摩擦材、タイヤ、被覆ケーブル、靴底、電磁波シールド、フレキシブルプリント基板用接着剤等の接着剤、燃料電池セパレーターの他、エレクトロニクス分野など幅広い用途に使用することができる。
【0073】
特に、本発明のゴム架橋物は、耐寒性に関しては、TR10が十分に低いことに加え、TR10とTR70との差(TR70−TR10)が、好ましくは21℃以下、より好ましくは19℃以下、さらに好ましくは18℃以下と小さく抑えられたものであることから、低温環境下において使用される材料に好適に用いることができるものであり、具体的には、本発明のゴム架橋物は、低温環境下において使用されるシール材、ベルト、ホースまたはガスケットとして好適に用いることができ、ショックアブソーバシールなどの低温環境下において使用されるシール材用途として特に好適に用いることができる。
【0074】
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限られるものではない。以下において、特記しない限り、「部」は重量基準である。物性および特性の試験または評価方法は以下のとおりである。
【0075】
ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムの組成
ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを構成する各単量体単位の含有割合は、以下の方法により測定した。
すなわち、アクリロニトリル単位の含有割合は、JIS K6383に従い、ケルダール法により、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム中の窒素含量を測定することにより算出した。
1,3−ブタジエン単位および飽和化ブタジエン単位の含有割合は、ニトリル基含有共重合体ゴムを用いて、水素添加反応前と水素添加反応後のヨウ素価(JIS K6235による)を測定することにより算出した。
アクリル酸n−ブチル単位、アクリル酸メトキシエチル単位の含有割合は、上記各単量体単位に対する残り成分として算出した。
【0076】
ヨウ素価
ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムのヨウ素価は、JIS K6235に準じて測定した。
【0077】
常態物性(引張強度、伸び)
架橋性ゴム組成物を縦15cm、横15cm、深さ0.2cmの金型に入れ、加圧しながら170℃で20分間プレス成形してシート状架橋物を得た。これをギヤー式オーブンに移して170℃で4時間二次架橋して得られたシート状架橋物を3号形ダンベルで打ち抜いて試験片を作製した。この試験片を用いて、JIS K6251に従い、ゴム架橋物の引張強度および伸びを測定した。
【0078】
耐熱老化性
上記常態物性の評価に用いたシート状のゴム架橋物と同様のものを得た後、JIS3号形ダンベルで打ち抜き、試験片を作製した。得られた試験片を用いて、JIS K6257「加硫ゴムの老化試験方法」の4項「空気加熱老化試験(ノーマルオーブン法)」の規定に準拠して、135℃、168時間の条件でギヤーオーブンに保持することで空気加熱老化処理を行った。空気加熱老化処理を行った試験片(熱老化後の試験片)について、JIS K6251に従い、伸びを測定した。そして、得られた測定結果から、下記式より、伸び変化率を求めた。伸び変化率の絶対値が小さいほど、耐熱老化性に優れると判断できる。
伸び変化率(%)={((熱老化後の伸び)−(常態での伸び))/(常態での伸び)}×100
【0079】
耐寒性(TR10、TR70)
上記常態物性の評価と同様にして得たシート状架橋物を用いて、JIS K6261に従い、TR試験(低温弾性回復試験)によりゴム架橋物の耐寒性を測定した。具体的には、伸長させた試験片を凍結させ、温度を連続的に上昇させることによって伸長されていた試験片の回復性を測定し、昇温により試験片の長さが10%収縮(回復)した時の温度TR10、および、昇温により試験片の長さが70%収縮(回復)した時の温度TR70を測定した。TR10が低いほど、また、TR10とTR70との差(TR70−TR10)が小さいほど、耐寒性に優れると判断できる。
【0080】
圧縮永久歪み
架橋性ゴム組成物を、金型を用いて、加圧しながら温度170℃で20分間プレスすることにより一次架橋し、これをギヤー式オーブンに移して170℃で4時間二次架橋して、直径29mm、高さ12.5mmの円柱型のゴム架橋物を得た。そして、得られたゴム架橋物を用いて、JIS K6262に従い、ゴム架橋物を25%圧縮させた状態で、135℃の環境下に168時間置いた後、圧縮永久歪みを測定した。この値が小さいほど、耐圧縮永久歪み性に優れる。
【0081】
合成例1(ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A1)の製造)
反応器に、イオン交換水200部、および炭酸ナトリウム0.2部を仕込み、炭酸ナトリウムを溶解させた後、脂肪酸カリウム石鹸(脂肪酸のカリウム塩)2.25部を添加して石鹸水溶液を調製した。そして、得られた石鹸水溶液に、アクリロニトリル9部、アクリル酸n−ブチル39部、および、t−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.5部の順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン32部を仕込んだ。次いで、反応器内を5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部、還元剤、およびキレート剤適量を仕込み、重合反応を開始した。そして、重合転化率が60%になった時点で、アクリロニトリル10部、1,3−ブタジエン10部を添加し、重合転化率が85%になった時点で、濃度10%のハイドロキノン(重合停止剤)水溶液0.1部を加えて重合反応を停止し、水温60℃のロータリーエバポレータを用いて残留単量体を除去して、共重合体ゴムのラテックス(固形分濃度約25重量%)を得た。
【0082】
次いで、上記にて得られたラテックスを、その共重合体ゴム分に対して3重量%となる量の硫酸アルミニウムの水溶液に加えて攪拌してラテックスを凝固し、水で洗浄しつつ濾別した後、60℃で12時間真空乾燥して共重合体ゴムを得た。
【0083】
そして、得られた共重合体ゴムを、濃度12%となるようにアセトンに溶解し、これをオートクレーブに入れ、パラジウム・シリカ触媒を共重合体ゴムに対して400重量ppm加え、水素圧3.0MPaで水素添加反応を行なった。水素添加反応終了後、大量の水中に注いで凝固させ、濾別および乾燥を行なうことでニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A1)を得た。得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A1)の組成は、アクリロニトリル単位19重量%、アクリル酸n−ブチル単位34重量%、1,3−ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)47重量%であり、ヨウ素価は50であった。
【0084】
合成例2(ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A2)の製造)
水素添加反応を行う際における、パラジウム・シリカ触媒の使用量を450重量ppmとし、水素圧3.0MPaとした以外には、合成例1と同様にして、ニトリル基含有共重合体ゴム(A2)を得た。得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A2)の組成は、アクリロニトリル単位19重量%、アクリル酸n−ブチル単位34重量%、1,3−ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)47重量%であり、ヨウ素価は40であった。
【0085】
合成例3(ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A3)の製造)
水素添加反応を行う際における、パラジウム・シリカ触媒の使用量を350重量ppmとし、水素圧3.0MPaとした以外には、合成例1と同様にして、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A3)を得た。得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A3)の組成は、アクリロニトリル単位19重量%、アクリル酸n−ブチル単位34重量%、1,3−ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)47重量%であり、ヨウ素価は60であった。
【0086】
合成例4(ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A4)の製造)
水素添加反応を行う際における、パラジウム・シリカ触媒の使用量を300重量ppmとし、水素圧3.0MPaとした以外には、合成例1と同様にして、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A4)を得た。得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A4)の組成は、アクリロニトリル単位19重量%、アクリル酸n−ブチル単位34重量%、1,3−ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)47重量%であり、ヨウ素価は80であった。
【0087】
合成例5(ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A5)の製造)
重合開始時における、アクリロニトリルの添加量を6部、アクリル酸n−ブチルの添加量を50部、1,3−ブタジエンの添加量を28部にそれぞれ変更するとともに、重合転化率が60%になった時点における、アクリロニトリルの添加量を6部にそれぞれ変更した以外は、合成例1と同様にして、共重合体ゴムのラテックスを得て、合成例1と同様にして、水素添加反応を行うことで、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A5)を得た。得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A5)の組成は、アクリロニトリル単位12重量%、アクリル酸n−ブチル単位45重量%、1,3−ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)43重量%であり、ヨウ素価は50であった。
【0088】
合成例6(ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A6)の製造)
重合開始時における、アクリロニトリルの添加量を26部、アクリル酸n−ブチルの添加量を13部、1,3−ブタジエンの添加量を41部にそれぞれ変更した以外は、合成例1と同様にして、共重合体ゴムのラテックスを得て、合成例1と同様にして、水素添加反応を行うことで、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A6)を得た。得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A6)の組成は、アクリロニトリル単位36重量%、アクリル酸n−ブチル単位10重量%、1,3−ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)54重量%であり、ヨウ素価は50であった。
【0089】
合成例7(ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A7)の製造)
アクリル酸n−ブチル39部に代えて、アクリル酸メトキシエチル39部を使用した以外は、合成例1と同様にして、共重合体ゴムのラテックスを得て、合成例1と同様にして、水素添加反応を行うことで、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A7)を得た。得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A7)の組成は、アクリロニトリル単位19重量%、アクリル酸メトキシエチル単位34重量%、1,3−ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)47重量%であり、ヨウ素価は50であった。
【0090】
合成例8(ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A8)の製造)
水素添加反応を行う際における、パラジウム・シリカ触媒の使用量を600重量ppmとし、水素圧3.0MPaとした以外には、合成例1と同様にして、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A8)を得た。得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A8)の組成は、アクリロニトリル単位19重量%、アクリル酸n−ブチル単位34重量%、1,3−ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)47重量%であり、ヨウ素価は20であった。
【0091】
合成例9(ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A9)の製造)
水素添加反応を行う際における、パラジウム・シリカ触媒の使用量を250重量ppmとし、水素圧3.0MPaとした以外には、合成例1と同様にして、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A8)を得た。得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A9)の組成は、アクリロニトリル単位19重量%、アクリル酸n−ブチル単位34重量%、1,3−ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)47重量%であり、ヨウ素価は90であった。
【0092】
合成例10(ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A10)の製造)
重合開始時における、アクリロニトリルの添加量を4部、アクリル酸n−ブチルの添加量を29部、1,3−ブタジエンの添加量を53部にそれぞれ変更するとともに、重合転化率が60%になった時点における、アクリロニトリルの添加量を4部にそれぞれ変更した以外は、合成例1と同様にして、共重合体ゴムのラテックスを得て、合成例1と同様にして、水素添加反応を行うことで、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A10)を得た。得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A10)の組成は、アクリロニトリル単位8重量%、アクリル酸n−ブチル単位27重量%、1,3−ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)65重量%であり、ヨウ素価は50であった。
【0093】
合成例11(ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A11)の製造)
重合開始時における、アクリロニトリルの添加量を35部、アクリル酸n−ブチルの添加量を46部、1,3−ブタジエンの添加量を5部にそれぞれ変更するとともに、重合転化率が60%になった時点における、アクリロニトリルの添加量を10部、1,3−ブタジエンの添加量を4部にそれぞれ変更した以外は、合成例1と同様にして、共重合体ゴムのラテックスを得て、合成例1と同様にして、水素添加反応を行うことで、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A11)を得た。得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A11)の組成は、アクリロニトリル単位45重量%、アクリル酸n−ブチル単位43重量%、1,3−ブタジエン単位(飽和化されている部分を含む)12重量%であり、ヨウ素価は50であった。
【0094】
実施例1
バンバリーミキサを用いて、合成例1で得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A1)100部に、FEFカーボン(商品名「シーストSO」、東海カーボン社製、カーボンブラック)50部、アジピン酸エーテルエステル系可塑剤(商品名「アデカサイザー RS−107」、ADEKA社製、アジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル))5部、4,4’−ジ−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(商品名「ノクラックCD」、大内新興化学社製、老化防止剤)1.5部、2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩(商品名「ノクラック MBZ」、大内新興化学社製、老化防止剤)1.5部、ステアリン酸1部、酸化亜鉛(亜鉛華1号、正同化学社製)5部、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン40%品(商品名「VulCup(R) 40KE」、アルケマ社製、有機過酸化物架橋剤)6部を添加して混練することで、架橋性ゴム組成物を得た。
【0095】
そして、得られた架橋性ゴム組成物を用いて、上述した方法により、常態物性(引張強度、伸び)、耐熱老化性、耐寒性(TR10、TR70)、圧縮永久歪みの各測定を行った。結果を表1に示す。
【0096】
実施例2〜7
合成例1で得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A1)に代えて、合成例2〜7で得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A2)〜(A7)をそれぞれ使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0097】
実施例8
アジピン酸エーテルエステル系可塑剤(商品名「アデカサイザー RS−107」、ADEKA社製、アジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル))の代わりに、ポリエーテルエステル系可塑剤(商品名「アデカサイザー RS−700」、ADEKA社製、分子量約550)を使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0098】
実施例9
アジピン酸エーテルエステル系可塑剤(商品名「アデカサイザー RS−107」、ADEKA社製、アジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル))の代わりに、ポリエーテルエステル系可塑剤(商品名「アデカサイザー RS−735」、ADEKA社製、分子量約850)を使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0099】
実施例10
FEFカーボン(商品名「シーストSO」、東海カーボン社製、カーボンブラック)の配合量を80部に変更した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0100】
実施例11
FEFカーボン50部に代えて、シリカ(商品名「カープレックス(R)♯1120」、エボニック インダストリーズ社製)50部を使用するとともに、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名「Dynasylan(R)MEMO」、エボニック インダストリーズ社製、シランカップリング剤)0.5部をさらに配合した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0101】
実施例12
シリカ(商品名「カープレックス(R)♯1120」、エボニック インダストリーズ社製)の配合量を80部に変更した以外は、実施例11と同様にして、架橋性ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0102】
比較例1〜4
合成例1で得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A1)に代えて、合成例8〜11で得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A8)〜(A11)をそれぞれ使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ゴム組成物を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0103】
【表1】
【0104】
表1に示すように、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a1)10〜40重量%、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステル単量体単位(a2)10〜60重量%、および共役ジエン単量体単位(a3)20〜70重量%を有し、ヨウ素価が35〜85であるニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを用いて得られるゴム架橋物は、常態物性が良好であり、耐熱性、耐圧縮永久歪み性に優れ、しかも、耐寒性にも優れる(T10が十分に低く、TR70−TR10が小さい)ものであった(実施例1〜12)。
一方、ヨウ素価が35未満であるニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを用いた場合やヨウ素価が85超であるニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを用いた場合には、得られるゴム架橋物は、TR70が高く、TR70−TR10が大きなものとなり、耐寒性に劣る結果となった(比較例1,2)。
また、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a1)の含有量が10重量%未満であるニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを用いた場合には、得られるゴム架橋物は、TR70が高く、TR70−TR10が大きなものとなり、耐寒性に劣る結果となった(比較例3)。
さらに、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位(a1)の含有量が45重量%超であり、共役ジエン単量体単位(a3)の含有量が20重量%未満であるニトリル基含有高飽和共重合体ゴムを用いた場合には、得られるゴム架橋物は、TR10,TR70のいずれも高く、また、TR70−TR10が大きなものとなり、耐寒性に劣る結果となった(比較例4)。