特許第6787515号(P6787515)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6787515
(24)【登録日】2020年11月2日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】発光装置および面発光光源
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/60 20100101AFI20201109BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20201109BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20201109BHJP
【FI】
   H01L33/60
   H01L33/50
   H01L33/62
【請求項の数】12
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2020-78314(P2020-78314)
(22)【出願日】2020年4月27日
【審査請求日】2020年8月4日
(31)【優先権主張番号】特願2019-143128(P2019-143128)
(32)【優先日】2019年8月2日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【弁理士】
【氏名又は名称】梶谷 美道
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 章子
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100218981
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】中林 拓也
(72)【発明者】
【氏名】勝俣 敏伸
(72)【発明者】
【氏名】平出 紀明
【審査官】 大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−515863(JP,A)
【文献】 特開2018−207047(JP,A)
【文献】 特開2018−056367(JP,A)
【文献】 特開2017−033967(JP,A)
【文献】 特開2006−148147(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/110737(WO,A1)
【文献】 特開2008−159986(JP,A)
【文献】 特開2007−286611(JP,A)
【文献】 特開2016−225423(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0086211(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 − 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板上に配置され、かつ、前記配線基板の配線層に電気的に接続された複数の発光素子と、
前記配線基板上に配置され、前記複数の発光素子のそれぞれの側面を覆う光反射部材と、
前記複数の発光素子および前記光反射部材を覆う少なくとも1つの光拡散層と、
前記光拡散層の上方に位置する波長変換層と、
前記光拡散層と前記波長変換層との間に位置する複数の光反射層であって、それぞれが、前記複数の発光素子のうち対応する1つの上方に位置する、複数の光反射層と、
を備え、
前記光反射部材の上面は、少なくとも1つの凹面を含む凹部を有し、
前記凹面と前記光拡散層との間に空間が位置している、発光装置。
【請求項2】
前記凹面と前記光拡散層との間の距離は、平面視において前記発光素子から離れるにつれて拡大している、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
各光反射層の領域は、平面視において円形状または矩形状を有し、かつ、前記複数の発光素子のうち対応する1つの出射面を包含する、請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
平面視において、前記複数の光反射層のそれぞれは、ドット状の光反射パターンを有しており、
前記光反射パターンのドット密度は、前記複数の光反射層のそれぞれにおいて、前記光反射層の外側から中心に向けて高くなる、請求項1から3のいずれかに記載の発光装置。
【請求項5】
前記配線基板は、フレキシブルプリント基板である、請求項1から4のいずれかに記載の発光装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの光拡散層は、前記配線基板から前記波長変換層に向かって順に配置された、第1光拡散層、第2光拡散層および第3光拡散層を含み、
前記複数の光反射層は、前記第1光拡散層と、前記第2光拡散層との間に位置する、請求項1から5のいずれかに記載の発光装置。
【請求項7】
前記複数の光反射層は、前記第1光拡散層の上面上に配置されている、請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記波長変換層は、複数の第1領域および前記複数の第1領域を取り囲む第2領域であって、それぞれが蛍光体を含有する第1領域および第2領域を有し、
前記第1領域における前記蛍光体の濃度は、前記第2領域における前記蛍光体の濃度よりも高く、
各第1領域は、前記複数の発光素子のうち対応する1つの上方に位置する、請求項1から7のいずれかに記載の発光装置。
【請求項9】
前記波長変換層のうち前記第1領域における厚さは、前記第2領域における厚さよりも大きい、請求項8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記波長変換層は、複数の第1領域および前記複数の第1領域を取り囲む第2領域であって、それぞれが蛍光体を含有する第1領域および第2領域を有し、
前記波長変換層のうち前記第1領域における厚さは、前記第2領域における厚さよりも大きく、
各第1領域は、前記複数の発光素子のうち対応する1つの上方に位置する、請求項1から7のいずれかに記載の発光装置。
【請求項11】
前記波長変換層は、各第1領域上に配置された第2波長変換層を含み、
第2波長変換層中の前記蛍光体の濃度は、前記波長変換層の残余の部分における前記蛍光体の濃度よりも高い、請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の発光装置と、
前記波長変換層の上方に配置された拡散板と、
前記拡散板の上方に配置されたプリズムシートと、
を備える面発光光源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置および面発光光源に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1および2は、発光素子の側面が光反射部材で覆われた構造を有する発光装置を開示している。発光素子の側面を光反射部材で覆うことにより、発光素子の側面からの光の漏れが抑制され、その結果、発光輝度を向上させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−175759号公報
【特許文献2】特開2002−335020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液晶表示装置等の表示装置用直下型バックライトとして、複数の発光素子が2次元に配列された発光装置が提案されている。このような発光装置に対しては、光の取り出し効率の改善、よりいっそうの薄型化等の要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の発光装置は、非限定的で例示的な実施形態において、配線基板と、前記配線基板上に配置され、かつ、前記配線基板の配線層に電気的に接続された複数の発光素子と、前記配線基板上に配置され、前記複数の発光素子のそれぞれの側面を覆う光反射部材と、前記複数の発光素子および前記光反射部材を覆う少なくとも1つの光拡散層と、前記光拡散層の上方に位置する波長変換層と、前記光拡散層と前記波長変換層との間に位置する複数の光反射層であって、それぞれが、前記複数の発光素子のうち対応する1つの上方に位置する、複数の光反射層と、を備え、前記光反射部材の上面は、少なくとも1つの凹面を含む凹部を有し、前記凹面と前記光拡散層との間に空間が位置している。
【発明の効果】
【0006】
本開示の例示的な実施形態によれば、光源から出射する光の輝度ムラを抑制しながらも薄型化および/または小型化が可能な新規な発光装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示のある実施形態に係る発光装置200の構造の一例を模式的に示す断面図である。
図2】本実施形態に係る発光装置200の例示的な外観を示す模式的な上面図である。
図3図2に示される破線の矩形で囲まれた4×4個のセグメントを含む領域を拡大して模式的に示す図である。
図4図3に示すセグメント領域における配線パターンのレイアウト例を説明するための図である。
図5】本開示の他のある実施形態に係る発光装置200Aの構造の一例を模式的に示す断面図である。
図6】本開示のさらに他のある実施形態に係る発光装置200Bの構造の一例を模式的に示す断面図である。
図7】本開示のさらに他のある実施形態に係る発光装置200Cの構造の一例を模式的に示す断面図である。
図8】本開示のさらに他のある実施形態に係る発光装置200Dの構造の一例を模式的に示す断面図である。
図9】本開示のさらに他のある実施形態に係る発光装置200Eの構造の一例を模式的に示す断面図である。
図10】本開示のさらにある他の実施形態に係る面発光光源300の構造の一例を模式的に示す断面図である。
図11】本実施形態に係る面発光光源300の断面構造のうちの光源部100の縁の部分を例示する断面図である。
図12】発光装置200の例示的な製造方法に含まれる各製造工程を説明するための工程断面図である。
図13】発光装置200の例示的な製造方法に含まれる各製造工程を説明するための工程断面図である。
図14】上面40aの所定の位置に複数の光反射層60が形成された状態の光拡散層40を模式的に示す斜視図である。
図15】発光装置200の例示的な製造方法に含まれる各製造工程を説明するための工程断面図である。
図16】面発光光源300の例示的な製造方法に含まれる製造工程を説明するための工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態は、例示であり、本開示による発光装置は、以下の実施形態に限られない。例えば、以下の実施形態で示される数値、形状、材料、ステップ、そのステップの順序等は、あくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。以下に説明する各実施形態は、あくまでも例示であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の組み合わせが可能である。
【0009】
図面が示す構成要素の寸法、形状等は、わかり易さのために誇張されている場合があり、実際の発光装置および面発光光源における寸法、形状および構成要素間の大小関係を反映していない場合がある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略することがある。
【0010】
以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素を共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。以下の説明では、特定の方向または位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」およびそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向または位置をわかり易さのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向または位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品、製造装置等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。本開示において「平行」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が0°から±5°程度の範囲にある場合を含む。また、本開示において「垂直」または「直交」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が90°から±5°程度の範囲にある場合を含む。
【0011】
[1.発光装置200の構造]
図1は、本開示のある実施形態に係る発光装置200の構造の一例を示す断面図である。図2は、本実施形態に係る発光装置200の例示的な上面図である。図1に示す模式的な断面は、図2に示すA−A’線断面の一部に相当する。これらの図には、互いに直交するx軸、y軸、およびz軸が記載されている。本開示の図面中に示すx軸、y軸、およびz軸のそれぞれが示す方向は、全ての図面の間で共通である。
【0012】
発光装置200は、配線基板10と、配線基板10上に実装された光源部100とを有する。図1に例示する構成において、光源部100は、複数の発光素子20、光反射部材30、光拡散層40、波長変換層50および複数の光反射層60を有する。発光装置200の全体の厚さ(z方向の高さ)は、例えば0.60mm程度である。図2に例示するように、光源部100の平面視形状の典型例は、矩形である。光源部100のx方向の長さLxおよびy方向の長さLyは、例えば52.0mm程度である。
【0013】
複数の発光素子20は、配線基板10の上面10aにおいて、1次元または2次元に配列され得る。本実施形態では、複数の発光素子20は、互いに直交する2方向(ここではx方向およびy方向)に沿って2次元に配列されている。図2に示す例では、x方向に沿って26個の発光素子20が配列され、かつ、y方向に沿って26個の発光素子20が配列されている。すなわち、光源部100は、676個の発光素子20を有している。この例では、x方向の配列ピッチpxとy方向の配列ピッチpyとは、等しい。ここで、発光素子の配列ピッチとは、隣接する2つの発光素子の出射面に垂直な光軸L間の距離(図1参照)を意味する。配列ピッチpx、pyのそれぞれは、0.5mm以上10.0mm以下に設定し得る。本実施形態において、配列ピッチpxおよびpyのそれぞれは、2.0mm程度であり得る。
【0014】
図1に模式的に示すように、複数の発光素子20は、光源部100内に配置されている。図2に例示する構成において、光源部100は、それぞれが1つの発光素子20を有する676個の領域を含んでいる。以下では、説明の便宜のために、1つの発光素子を有する単位をセグメントまたは単位領域と呼ぶことがある。以下、各構成要素を詳細に説明する。
【0015】
(配線基板10)
配線基板10は上面10aおよび下面10bを有する。配線基板10の上面10a側に複数の発光素子20が配置され、支持される。配線基板10は、それぞれが配線パターンを有する複数の導体配線層(または金属層)と、絶縁層11とを有する。本実施形態では、配線基板10は、第1導体配線層12aおよび第2導体配線層12bを積層した構造を有する。第1導体配線層12aおよび第2導体配線層12bは、絶縁層11内に設けられたビア13を介して電気的に接続されている。絶縁層11の一部は、配線基板10の上面10aのうち発光素子20が実装された領域以外の領域を覆っている。なお、導体配線層が有する配線パターンについては後で詳しく説明する。
【0016】
配線基板10の典型例は、ロール・ツー・ロール方式で製造可能なフレキシブルプリント基板(FPC)である。本実施形態では、光源部100が実装される配線基板10としてFPCを例示する。FPCは、フィルム状の絶縁体(樹脂)と、例えば銅から形成された導体配線層とを有する。FPCの絶縁体を構成する樹脂材料として、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、BTレジン、ポリフタルアミド(PPA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を挙げることができる。配線基板10としてFPCを用いることにより、発光装置を軽量化、薄型化することができる。
【0017】
例えば、配線基板10のx方向の長さLxは、55.0mm程度であり、y方向の長さLyは、60.0mm程度である。配線基板10の厚さ(図中のz方向の高さ)は、適宜選択することができ、その厚さ(図中のz方向の高さ)は、0.170mm程度であり得る。
【0018】
耐熱性および耐光性に優れるという観点から、配線基板10の材料として、セラミックスを選択してもよい。その場合において、配線基板10は、リジット基板である。リジット基板は、湾曲可能な程度に薄型の基板であり得る。セラミックスとしては、例えば、アルミナ、ムライト、フォルステライト、ガラスセラミックス、窒化物系(例えば、AlN)、炭化物系(例えば、SiC)等が挙げられる。
【0019】
また、配線基板10の絶縁体は、ガラス繊維強化樹脂(ガラスエポキシ樹脂)等の複合材料によって形成されていてもよい。すなわち、上述した樹脂材料に、ガラス繊維、SiO、TiO、Al等の無機フィラーを混合してもよい。これにより、配線基板10の機械的強度を向上させることができる。また、熱膨張係数を低減させ、光反射率を向上させることが可能になる。
【0020】
図1に例示する構成において、第1導体配線層12aは、配線基板10の上面10a側に設けられている。複数の発光素子20のそれぞれが有する正極(アノード)21aおよび負極(カソード)21cは、第1導体配線層12aに電気的に接続されている。他方、第2導体配線層12bは、配線基板10の下面10b側に設けられている。第2導体配線層12bは、外部の制御回路(不図示)から配線基板10のコネクタC(図2参照)を介して複数の発光素子20に電力を供給するため配線パターンを有している。導体配線層の材料は、配線基板10の絶縁体に用いられる材料、製造方法等に応じて適宜選択され得る。例えば、配線基板10の絶縁体の材料としてエポキシ樹脂を用いる場合は、導体配線層の材料には、加工し易い材料を選択することが好ましい。例えば、銅、ニッケル等の金属層をメッキ、スパッタリング、蒸着、プレスによる貼り付けによって形成し、フォトリソグラフィー等によって金属層を所定の配線パターンに加工することにより、配線基板10の導体配線層を得られる。あるいは、印刷により、導体配線層を得てもよい。配線パターン上にソルダレジストをコーティングすることにより、配線パターンの表面の酸化が抑制される。
【0021】
配線基板10の絶縁体の材料としてセラミックスを用いる場合、導体配線層の材料として、セラミックスと同時焼成が可能な高融点金属を適用し得る。例えば、タングステン、モリブデン等の高融点金属から導体配線層を形成し得る。導体配線層は、多層構造を有していてもよい。例えば、導体配線層は、上述した方法で形成される高融点金属のパターンと、このパターン上にメッキ、スパッタリング、蒸着等により形成されたニッケル、金、銀等の他の金属を含む金属層とを有していてもよい。
【0022】
図3および図4を参照しながら、配線基板10に設けられ得る配線パターンの例を詳しく説明する。
【0023】
図3には、図2に示される破線の矩形で囲まれた4×4個のセグメントを含む領域(以下、単に「セグメント領域」と呼ぶことがある。)を拡大して示している。図4は、セグメント領域における配線パターンのレイアウト例を示している。
【0024】
2次元に配列された676個の発光素子20は、第1導体配線層12aに設けられた配線パターンに電気的に接続されている。第1導体配線層12aに設けられた配線パターンは、第2導体配線層12bに設けられた配線パターンにビア13を介して電気的に接続されている。第2導体配線層12bに設けられた配線パターンは、コネクタCに電気的に接続されている。このような電気的な接続関係により、外部の制御回路(不図示)から配線基板10のコネクタCを介して複数の発光素子20に電力を供給することが可能となる。
【0025】
図4は、各セグメントの発光素子20が有する正極21a、負極21cを、第1導体配線層12aに設けられた配線パターンに実装するための、アノード側およびカソード側のランド15a、15bの形状例を示す。図3および図4に示す例では、第1導体配線層12aは、それぞれがx方向に延びる複数の配線パターンPA1を含む。これら配線パターンPA1は、セグメントの4行4列の配列のy方向に沿って配置されており、各配線パターンPA1は、同一行に位置する複数のランド15aとの間の接続を有する。すなわち、各配線パターンPA1は、同一行に位置する複数の発光素子20の正極21a同士を電気的に接続する。複数の行に位置する複数の配線パターンPA1は、第2導体配線層12bに設けられた共通の配線パターンPA2にビア13を介して電気的に接続されている。配線パターンPA2は、y方向に沿って延びており、コネクタCに接続されている。この接続関係により、全ての発光素子20の正極21aに配線パターンPA2から共通の電圧駆動信号が供給される。
【0026】
また、第1導体配線層12aは、セグメント毎に設けられた、カソードの配線パターンPC1も含んでいる。カソードの配線パターンPC1は、カソード側のランド15bに接続されており、ビア13を介して配線パターンPC2に電気的に接続される。配線パターンPC2は、第2導体配線層12bにセグメント毎に設けられ、コネクタCに接続されている。この接続関係により、配線パターンPC2を介して、発光素子20の負極21cに電圧駆動信号がセグメント単位で供給される。
【0027】
上述したアノードおよびカソードの配線パターンは、発光素子をセグメント単位でマトリクス駆動することを可能とする。光源部100は、ローカルディミング動作を行うことができる。
【0028】
再び、図1を参照する。
【0029】
(発光素子20)
上述したとおり、本実施形態では、複数の発光素子20は、x方向およびy方向に沿って2次元に配列されており、x方向の配列ピッチpxとy方向の配列ピッチpyは、等しい。しかしながら、複数の発光素子20の配列は、この例に限られない。x方向とy方向との間で発光素子20の配列ピッチが異なっていてもよいし、複数の発光素子20の2次元配列の2方向は、直交していなくてもよい。また、配列ピッチは、等間隔に限られず、不等間隔であってもよい。例えば、配線基板10の中央から周辺に向かって間隔が広くなるように複数の発光素子20が配列されていてもよい。
【0030】
発光素子20は、半導体発光素子であり、発光素子20として、半導体レーザ、発光ダイオード等、公知の発光素子を利用することができる。本実施形態においては、発光素子20として発光ダイオードを例示する。発光素子20から出射される光の波長は、任意の波長を選択することができる。例えば、青色〜緑色の波長を有する光を発する発光素子として、ZnSe、窒化物系半導体(InAlGa1−x−yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、GaPを用いた素子を用いることができる。また、赤色の波長を有する光を発する発光素子として、GaAlAs、AlInGaP等の半導体を含む半導体発光素子を用いることができる。さらに、これら以外の材料から形成される半導体発光素子を発光素子20に用いることもできる。用いる半導体の組成、ならびに、発光素子の発光色、大きさおよび個数等は、目的、設計仕様に応じて適宜選択することができる。
【0031】
発光素子20は、例えば、透光性の基板と、基板の上に積層された半導体積層構造を有する。半導体積層構造は、活性層と、活性層を挟むn型半導体層およびp型半導体層とを含む。発光素子20は、短波長の光を出射することが可能な窒化物半導体(InAlGa1−x−yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を含むことが好ましい。これにより、後述する波長変換層50中の蛍光体を効率良く励起することができる。半導体の材料および/またはその混晶度によって発光波長を種々選択することができる。
【0032】
n型半導体層およびp型半導体層に負極21cおよび正極21aがそれぞれ電気的に接続されている。発光素子20は、光を出射する上面(または出射面)20aおよび上面20aとは反対側に位置する下面20bを有する。発光素子20は、同一面側に正負の電極を有していてもよいし、異なる面に正負の電極を有していてもよい。本実施形態における正極21aおよび負極21cは、ともに下面20b側に位置している。
【0033】
発光素子20の正極21aおよび負極21cは、配線基板10の上面10a側に設けられた第1導体配線層12aに電気的に接続され、かつ、固定されている。本実施形態では、配線基板10にFPCを用いることができる。発光素子20は、光源部100の形で配線基板10に実装されてもよいし、配線基板10に直接実装されてもよい。
【0034】
発光素子20は、典型的にはベアチップである。発光素子20は、上面20aから出射する光の出射角度を広くするためのレンズ等を備えていてもよい。配線基板10の上面10aから発光素子20の上面20aまでのz方向の高さは、例えば約0.425mmであり得る。
【0035】
発光装置200に設ける複数の発光素子20は、2種類以上の発光素子20を含み得る。複数の発光素子20は、例えば、青色の波長を有する光を発する発光素子、緑色の波長を有する光を発する発光素子および赤色の波長を有する光を発する発光素子を含み得る。発光装置200に用いる発光素子の種類を、発光装置200から出射される光の演色性を高める観点から決定することができる。
【0036】
(光反射部材30)
光反射部材30は、配線基板10上に配置され、配線基板10の上面10aおよび複数の発光素子20のそれぞれの側面20cを覆う部材である。光反射部材30は、正極21aおよび負極21cを覆い、かつ、発光素子20の下面20bと配線基板10の上面10aとの間の隙間を埋めるように形成され得る。ただし、アンダーフィル樹脂がその隙間に充填されていてもよい。アンダーフィル樹脂によって、発光素子20と配線基板10との間の熱膨張係数の差によって生じ得る応力を緩和したり、放熱性を高めたりすることが可能となる。
【0037】
光反射部材30は、樹脂と、樹脂に分散した反射材の粒子とを含む材料から形成される。反射材の粒子の例は、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛等の酸化物の粒子である。酸化物の粒子の平均粒子径は、例えば0.05μm以上30μm以下程度である。光反射部材30は、顔料、光吸収材、蛍光体等をさらに含んでいてもよい。光反射部材30を形成するための樹脂材料に、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂等を主成分とした光硬化性樹脂を用いることができる。光反射部材30における、光を散乱させる反射材の粒子は、均一に分布していてもよい。
【0038】
光反射部材30の上面30aは、少なくとも1つの凹面31aを含む凹部31を有する。図1に示すように、凹面31aと光拡散層40との間には、空間が位置している。換言すれば、光反射部材30の凹部31は、凹面31aと光拡散層40との間に空間を形成している。その結果、発光装置200は、凹面31aと光拡散層40との間に空間を有する。
【0039】
この空間の内部は、例えば空気によって満たされている。凹部31の形状は、光反射部材30の製造時に樹脂材料を硬化させた後に生じ得るひけによって規定され得る。典型的には、凹部31は、平面視において発光素子20から離れるにつれて凹面31aと光拡散層40との間の距離が拡大するような形状を有する。換言すれば、凹部31の深さ(z方向に沿った、凹面31aと光拡散層40との間の距離)は、平面視において発光素子20から離れるにつれて増大し得る。凹部31の深さは、例えば最大で30μm程度であり得る。凹部の形状、具体的には、ひけの凹面の曲率は、樹脂に含有される反射材の濃度を調整することによって制御することが可能であり、理論上は、複数の凹面の形状を精密に制御することも可能である。
【0040】
凹部31は、連続的に形成された複数の凹面31aを有する構造を備え得る。例えば、上面30aは、平面視において、光反射部材30の上面30aのうち複数の発光素子20の間の領域に連続的に形成された複数の凹面31aを有する凹部31を有し得る。より詳しく説明すると、凹部31は、それぞれがx方向に延びる複数の溝およびそれぞれがy方向に延びる複数の溝を含み得る。平面視において、x方向に延びる複数の溝のそれぞれは、y方向に隣接する2つの発光素子20の上面20aの間に位置し、y方向に延びる複数の溝のそれぞれは、x方向に隣接する2つの発光素子20の上面20aの間に位置する。x方向に延びる複数の溝とy方向に延びる複数の溝とは、互いに交差し得る。光反射部材30の上面30aのうち複数の発光素子20の複数の上面20aの領域以外の領域に、x方向に延びる複数の溝とy方向に延びる複数の溝とが形成され、これらが互いに交差することにより、凹部31は、上面30aに格子状に形成され得る。
【0041】
光反射部材30は、複数の発光素子20を保護する機能を有する。また、光反射部材30は、発光素子20のとりわけ側面20cから発せられる光を反射して、発光素子20の上方に導光する機能を有する。その結果、発光素子20から発せられる光の利用効率を向上させることができる。光反射部材30は、さらに、発光素子20から発せられた光のうち光拡散層40で拡散されて光源部100に様々な方向から入射する光を光源部100に関して配線基板10とは反対側に反射させる機能を有する。特に、上面30aが凹部31を有することにより、凹面31aと光拡散層40との間での光の反射回数を増加させ得るので、光の取り出し効率をさらに向上させることが可能となる。発光素子20の下面20b側にも光反射部材30を設けることにより、配線基板10の上面10aに向かう光を光反射部材30で反射して発光素子20の上方に導光することができる。その結果、発光素子20から発せられる光の利用効率を向上させることができる。
【0042】
(光拡散層40)
光拡散層40は、複数の発光素子20および光反射部材30の上方に位置し、発光素子20から発せられる光を拡散および導光する機能を有する。図1に例示する構成において、光拡散層40は、複数の発光素子20および光反射部材30を覆うシート状の部材である。光拡散層40は、単層であってもよいし、後述するように、複数のシートを含む積層構造を有していてもよい。光拡散層40の厚さは、例えば200μm程度であり得る。
【0043】
光拡散層40は、発光素子20および/または光反射部材30に接していてもよいし、発光素子20および光反射部材30から間隔をあけて光源部100に設けられていてもよい。図1に示す例では、光拡散層40の下面40bは、発光素子20の上面20aに直接接している。そのため、発光素子20から光拡散層40に効率的に光を導入可能であり、光の取り出し効率を向上させ得る。光反射部材30の上面30aに形成された凹部31が、平面視において発光素子20から離れるにつれて光拡散層40からの距離が大きくなるような形状の凹面31aを有すると、光拡散層40の面内の、発光素子20から離れた位置に効率よく導光し得る。換言すれば、光拡散層40の上面40a側(下面40bとは反対側)において、発光素子20の直上の領域と、発光素子20から離れた位置にある領域との間に極端な輝度差が生じることを抑制でき、輝度ムラ低減の効果が期待できる。
【0044】
光拡散層40は、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂等、可視光に対して吸収の少ない材料を母材として形成される。光拡散層40は、典型的には、光拡散材を含有する。光拡散材として、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の高屈折率材料の粒子(高屈折率微粒子)を用いることができる。光拡散層40の表面は、概ね平坦であってもよいし、微細な凹凸を有していてもよい。
【0045】
(波長変換層50)
波長変換層50は、光拡散層40の上方に位置し、発光素子20から出射されて光拡散層40を透過した光の少なくとも一部を吸収し、発光素子20から発せられる光の波長とは異なる波長の光を発する。例えば、波長変換層50は、発光素子20からの青色光の一部を波長変換して黄色光を発する。このような構成によれば、波長変換層50を通過した青色光と、波長変換層50から発せられた黄色光との混色によって、白色光が得られる。波長変換層50の厚さは、例えば、100μm以上200μm以下の範囲に設定し得る。本実施形態における波長変換層50の厚さは、例えば100μm程度であり得る。
【0046】
波長変換層50は、典型的には、樹脂中に蛍光体の粒子が分散された材料から形成される。蛍光体等の粒子を分散させる母材としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂もしくはフッ素樹脂、または、これらの樹脂の2種以上を含む樹脂を用いることができる。波長変換層50の材料に母材とは屈折率の異なる材料を分散させることにより、波長変換層50に光拡散の機能を付与してもよい。例えば、波長変換層50の母材に、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛等の粒子を分散させてもよい。
【0047】
蛍光体には、公知の材料を適用することができる。蛍光体の例は、KSF系蛍光体等のフッ化物系蛍光体、CASN等の窒化物系蛍光体、YAG系蛍光体、βサイアロン蛍光体等である。YAG系蛍光体は、青色光を黄色光に変換する蛍光体の例であり、KSF系蛍光体およびCASNは、青色光を赤色光に変換する蛍光体の例であり、βサイアロン蛍光体は、青色光を緑色光に変換する蛍光体の例である。蛍光体は、量子ドット蛍光体であってもよい。
【0048】
波長変換層50は、例えば青色光を、赤色光および緑色光にそれぞれ変換する複数種の蛍光体を含有し得る。その場合において、発光装置200は、発光素子20から発せられる青色光を波長変換層50に入射させることにより、赤、青、緑の光を混合して白色光を出射してもよい。
【0049】
上述した、光拡散層40および波長変換層50の積層構造によれば、発光素子20から発せられる光を先ず光拡散層40内で拡散させてから波長変換層50に入射させることができる。これにより、輝度ムラを低減し、輝度をよりいっそう均一化できる利点が得られる。
【0050】
発光装置200は、材料の異なる複数の部材から構成される。そのため、各部材の熱膨張係数の差に起因して応力が発生し、発光装置200に反りが生じることがあり得る。一般に、主として樹脂材料から形成された部材の方が、FPCよりも熱膨張し易い。例えば、発光装置200の動作時に発光素子20が発熱することによって内部温度が上昇し、配線基板10と、光反射部材30または光拡散層40等の部材との間の熱膨張係数の差に起因して発光装置200に反りが生じる場合がある。光反射部材30は、配線基板10よりも大きな熱膨膨張係数を有し得る。また、光拡散層40は、光反射部材30よりも大きな熱膨張係数を有し得る。例えば、配線基板10の熱膨膨張係数は、20ppm/℃程度であり、光反射部材30の熱膨張係数は、100ppm/℃程度であり、光拡散層40の熱膨張係数は、200ppm/℃程度である。そのため、発光素子20の発熱によって、熱膨張係数の大きい光拡散層40側に発光装置200が反る(発光装置200の中央部が図中の+z方向に凸となるように反る)可能性がある。
【0051】
本実施形態に係る発光装置200は、光反射部材30の上面30aに凹部31を有する。光反射部材30の上面30aに凹部31を有する構成によれば、凹部31が発光装置200の反りとは逆(図中の−z方向)に窪んでいることにより、光反射部材30および光拡散層40のように主として樹脂から形成された部材が膨張した場合であっても反りの程度が緩和される利点が得られる。このように、本開示の実施形態によれば、光反射部材30または光拡散層40と配線基板10との間の熱膨張係数の差に起因して生じ得る反りの程度を緩和することができる。
【0052】
(光反射層60)
図1に示すように、複数の光反射層60が光拡散層40と波長変換層50との間に配置される。この例では、複数の光反射層60のそれぞれは、光拡散層40の上面40a上に形成されている。各光反射層60は、複数の発光素子20のうち対応する1つの上方に位置する。
【0053】
この例では、光拡散層40の上面40aにおいて各発光素子20の出射面20aの上方に選択的に光反射層60が配置されることにより、光拡散層40と波長変換層50との間に、空間55が形成されている。換言すれば、複数の光反射層60の厚さによって規定される厚さを有する空気層が光拡散層40と波長変換層50との間に形成され得る。なお、光拡散層40上に付与された接着剤によって波長変換層50が光拡散層40の上方に配置される場合には、空間55は、接着剤によって充填され得る。
【0054】
光反射層60のそれぞれは、入射光の一部を透過し、一部を反射する半遮光層である。光反射層60の厚さは、例えば50μm以上100μm以下の範囲に設定し得る。本実施形態における光反射層60の厚さは、例えば50μm程度であり得る。光反射層60は、光反射部材30と同様に、樹脂と、樹脂に分散した反射材の粒子である、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の酸化物の粒子とを含む材料から形成され得る。酸化物の粒子の平均粒子径は、例えば0.05μm以上30μm以下程度である。光反射層60は、顔料、光吸収材、蛍光体等をさらに含んでいてもよい。光反射層60を形成するための樹脂材料には、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂等を主成分とした光硬化性樹脂を用いることができる。
【0055】
光反射層60は、光拡散層40と波長変換層50との間において各発光素子20の出射面20aの上方に選択的に配置される。複数の光反射層60のそれぞれの領域は、平面視において、複数の発光素子20のうち対応する1つの出射面20aを包含する。すなわち、各光反射層60の領域の面積は、出射面20aの面積に等しいか、またはそれよりも大きい。これにより、発光素子20の上方に向かう光の一部が光反射層60で反射される結果、発光素子20の直上の輝度が抑制される。各光反射層60の領域の中心は、対応する発光素子20の出射面20aに垂直な方向に延びる光軸L上に位置していることが好ましい。
【0056】
発光素子20の出射面20aが典型的には矩形状を有することに対応して、各光反射層60の領域は、平面視において、典型的には矩形状を有する。例えば、光反射層60の領域は、正方形であり、その一辺の長さは、0.5mm程度であり得る。平面視において、光反射層60は、その矩形状の一辺が発光素子20の矩形状の一辺と平行または垂直となるように光拡散層40上に形成されていてもよいし、光反射層60の矩形状の一辺が発光素子20の矩形状の一辺に対して傾斜するようにして光拡散層40上に形成されていてもよい。例えば、光反射層60の矩形状の一辺が、出射面20aの矩形状(例えば正方形)の対角線と平行となるように、光反射層60が光拡散層40上に設けられてもよい。なお、本開示の実施形態において各光反射層60の領域が平面視において矩形状を有することは、必須ではない。各光反射層60の領域は、平面視において円形状を有していてもよい。
【0057】
光反射層60を発光素子20の直上の位置に設けることにより、発光素子20から光軸Lに平行な方向に発せられる光の少なくとも一部が遮光され、光拡散層40の面内で効果的に拡散される結果、発光素子20の直上以外の領域における輝度を向上させることができる。換言すれば、発光装置200の上面における輝度ムラを効果的に抑制して、より均一な光を得ることができる。
【0058】
本実施形態では、発光素子20の出射面20aから光反射層60までの距離は、200μm程度と非常に短い。そのため、平面視において、例えば、光反射層60の領域が出射面20aに完全に重なるようにすることにより、光反射層60の面積を最小限としながら、発光素子20の直上の領域における輝度を抑制し、発光素子20の直上以外の領域における輝度を向上させることができる。光反射層60の領域が円形状であり、かつ発光素子20の出射面20aが正方形状を有する場合、光反射層60の領域の直径は、出射面20aの正方形状の対角線の長さに一致していてもよい。
【0059】
複数の光反射層60のそれぞれは、平面視において、ドット状の光反射パターンを有していてもよい。すなわち、各光反射層60は、それぞれがドット状に形成された複数の光反射部材の集合であってもよい。その場合において、光反射層60内における光反射パターンのドット密度は、光反射層60の領域の外側から中心に向けて高くされ得る。一例として、ドット状の光反射パターンは、光反射層60における光を散乱させる反射材の粒子の分布によって規定されるパターンであり得る。反射材の粒子は、発光素子20の配光角の絶対値が小さい領域(すなわち光軸Lからの傾きが小さい角度範囲)において、配光角の絶対値が大きい領域よりも高密度で分布し得る。このように、配光角の絶対値に応じて光透過率を変えることが可能であり、ドットの密度によって光の反射率または透過率を制御することができる。また、他の一例として、光反射層60の膜厚を制御することにより、配光角の絶対値に応じて光透過率を変えることが可能である。発光素子20の配光角の絶対値が小さくなるにつれて、つまり、光反射層60の領域の外側から光軸に近づくにつれて、光反射層60の膜厚を次第に大きくしてもよい。
【0060】
図5は、本開示の他のある実施形態に係る発光装置200Aの構造の一例を模式的に示す断面図である。図1に示す発光装置200と比較して、図5に示す発光装置200Aは、光源部100に代えて光源部100Aを有する。光源部100と光源部100Aとの間の相違点は、光源部100Aが、光拡散層40に代えて複層構造の光拡散層40Aを有している点である。
【0061】
図5に例示する構成において、光拡散層40Aは、第1光拡散層41、第2光拡散層42および第3光拡散層43を含む。図5に示すように、第1光拡散層41、第2光拡散層42および第3光拡散層43は、光源部100Aにおいて配線基板10から波長変換層50に向かってこの順に配置されている。換言すれば、第2光拡散層42は、第1光拡散層41と第3光拡散層43との間に位置しており、第1光拡散層41は、光反射部材30と第2光拡散層42との間に位置している。
【0062】
平面視において、対応する発光素子20の上面20aを覆うように複数の光反射層60が光源部100Aに設けられる点は、上述の発光装置200と同様である。図5に示す例では、複数の光反射層60は、第1光拡散層41、第2光拡散層42および第3光拡散層43のうち光反射部材30の最も近くに位置する第1光拡散層41の上面41a上に配置されている。換言すれば、この例では、複数の光反射層60は、第1光拡散層41と第2光拡散層42との間に位置している。第1光拡散層41と第2光拡散層42との間の空間は、空気で満たされていてもよいし、接着剤等の他の部材で充填されていてもよい。なお、第2光拡散層42と第3光拡散層43との間、および、第3光拡散層43と波長変換層50との間も、空気層が介在していてもよいし、接着剤等で充填されていてもよい。
【0063】
この例のように複数のシートの積層構造を有する光拡散層40Aにおける複数の光反射層60の配置は、光反射部材30の最も近くに位置する第1光拡散層41の上面41a上に限定されない。第2光拡散層42と第3光拡散層43との間、第3光拡散層43の上面43a上、または、第1光拡散層41の上面41aとは反対側の下面上等に複数の光反射層60を形成してもよい。ただし、本発明者の検討によれば、光反射部材30の上方の光拡散層が複数のシートを含む場合、輝度ムラ低減の観点からは、これらのシートのうち光反射部材30の最も近くに位置するシート(この例では第1光拡散層41)上に複数の光反射層60を形成することが有利である。
【0064】
図6は、本開示のさらに他のある実施形態に係る発光装置200Bの構造の一例を模式的に示す断面図である。図1に示す発光装置200と比較して、図6に示す発光装置200Bは、光源部100に代えて、波長変換層50Bをその一部に含む光源部100Bを有する。
【0065】
図6に例示する構成において、波長変換層50Bは、複数の第1領域R1を有する。これら複数の第1領域R1は、複数の発光素子20に対応して波長変換層50Bに設けられ、各第1領域R1は、複数の発光素子20のうち対応する1つの上方に位置している。また、波長変換層50Bは、平面視においてこれら複数の第1領域R1を取り囲むように形成された第2領域R2を有している。
【0066】
第1領域R1および第2領域R2は、ともに蛍光体の粒子が分散された領域である。ただし、この例において、第1領域R1における蛍光体の濃度と、第2領域R2おける蛍光体の濃度とは、互いに異なっている。ここでは、第1領域R1における蛍光体の濃度は、第2領域R2と比較して高くされている。より具体的には、図6に示す例において、波長変換層50Bは、複数の第1領域R1に配置された複数の第1部分51と、第2領域R2に配置された第2部分52とを含む。複数の第1部分51のそれぞれにおける蛍光体の濃度は、第2部分52における蛍光体の濃度よりも高い。
【0067】
一般に、半導体発光素子では、光軸に近い角度範囲に出射される光の強度は、光軸との間の角度の絶対値の大きな範囲と比較して大きい。そのため、例えば青色光を出射する半導体発光素子の上方に蛍光体層を配置した構成では、発光素子から離れた領域と比較して、発光素子直上の領域の青みが強くなりやすい。これは、光軸に近い角度範囲では、光軸との間の角度の絶対値の大きな範囲と比較して、光が蛍光体層内部を通過する距離が小さくなるためであると推察される。図6に示す例のように、波長変換層50Bのうち発光素子20の直上に位置する領域(第1領域R1)における蛍光体の濃度を選択的に高くすることにより、波長変換を受ける光の割合を増大させ得る。そのため、発光面における色ムラ低減の効果が期待できる。
【0068】
波長変換層50Bは、例えば、以下のようにして得られる。まず、蛍光体を含有する樹脂シートを得た後、第1領域R1に相当する部分をパンチング等によって除去し、樹脂シートに複数の貫通孔を形成する。その後、より高い蛍光体濃度を有する樹脂材料で貫通孔の内部を充填し、貫通孔内部の樹脂材料を硬化させることにより、貫通孔の位置に複数の第1部分51を形成できる。これにより、相対的に高い蛍光体濃度を有する複数の第1部分51と、第1部分51の周囲に位置する第2部分52とを含む波長変換層50Bが得られる。複数の第1部分51のそれぞれにおける平面視形状は、光反射層60の形状と同じかまたは相似な形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。
【0069】
図7は、本開示のさらに他のある実施形態に係る発光装置200Cの構造の一例を模式的に示す断面図である。図6を参照しながら説明した例と比較して、発光装置200Cの光源部100Cは、波長変換層50Bに代えて波長変換層50Cを有する。
【0070】
図6を参照しながら説明した例と同様に、波長変換層50Cは、複数の発光素子20に対応して発光素子20の上方に設けられた複数の第1部分51と、相対的に低い蛍光体濃度を有する第2部分52とを有する。ただし、図7に模式的に示すように、この例では、第2部分52が複数の発光素子20にわたって光源部100Cに設けられ、複数の第1部分51は、層状の第2部分52の上面52a上に配置されている。すなわち、この例では、波長変換層50Cのうち平面視において第1部分51と第2部分52とが重なる領域に、相対的に蛍光体濃度の高い第1領域R1が形成されている。あるいは、波長変換層50Cは、各第1領域R1上に配置された第2波長変換層としての第1部分51を含んでいるということもできる。第1部分51中の蛍光体の濃度は、波長変換層50Cの第2部分52における蛍光体の濃度よりも高い。
【0071】
図7に示すように、蛍光体を含有する層で複数の発光素子20を覆い、相対的に高い蛍光体濃度を有する第2の層を発光素子20の直上の位置にさらに配置することによっても、蛍光体濃度の異なる複数の領域を波長変換層に形成し得る。これにより、発光素子20の直上の第1領域R1における蛍光体濃度を波長変換層の他の領域と比較して高くすることができ、発光面における色ムラの発生を抑制し得る。
【0072】
図7に示す例では、層状の第2部分52と、第2部分52上の複数の第1部分51のそれぞれとの間で蛍光体濃度が異なっている。ただし、第2部分52上の複数の第1部分51のそれぞれにおける蛍光体濃度が、第2部分52における蛍光体濃度と同じであるような構成も可能である。図8に例示する発光装置200Dでは、光源部100Cに代えて、波長変換層50Dを含む光源部100Dが配線基板10上に配置されている。
【0073】
図6および図7に示す例と同様に、波長変換層50Dも、複数の発光素子20の上方に位置する複数の第1領域R1と、これら第1領域R1を取り囲む第2領域R2とを有している。図8に模式的に示すように、波長変換層50Dの第1領域R1における厚さは、第2領域R2における厚さよりも大きい。このように、波長変換層50Dのうち発光素子20の直上に位置する領域の厚さを選択的に大きくすることによっても、発光面のうち発光素子20の直上の領域における例えば青みを抑制し得る。
【0074】
波長変換層50Dは、例えば、蛍光体が分散された樹脂シートの主面の所定の領域に、蛍光体を含有する樹脂材料を付与し、付与された樹脂材料を硬化させることにより得ることができる。このとき、樹脂シートを形成するための材料と、樹脂シート状に付与する樹脂材料との間で蛍光体濃度を異ならせることにより、図7に示す波長変換層50Cを得ることができる。このような製法によれば、波長変換層50Cも、厚さの異なる複数の部分を含むことになる。なお、複数の第1領域R1の間で、蛍光体の種類を異ならせてもよい。
【0075】
図9は、本開示のさらに他のある実施形態に係る発光装置200Eの構造の一例を模式的に示す断面図である。図1を参照しながら説明した構成と比較して、図9に示す発光装置200Eは、配線基板10の導体配線層に電気的に接続された回路素子であって、発光素子20とは異なる回路素子をさらに有している。この例では、発光素子20とともに回路素子25が配線基板10に実装されており、回路素子25は、その全体が光反射部材30に覆われている。
【0076】
回路素子25は、例えば、2以上の発光素子20に接続されるドライバ、または、ツェナーダイオード等の保護素子であり得る。回路素子25として保護素子を配線基板10に配置する場合、回路素子25は、各単位領域の発光素子20に電気的に直列または並列に接続され得る。換言すれば、回路素子25は、それぞれが発光素子20を含む単位領域ごとに配線基板10に実装され得る。
【0077】
発光素子20だけでなく回路素子25を配線基板10に実装することにより、コネクタCに接続される外部の制御回路の構造を簡略化し得る。また、配線基板10上の回路素子25を光源部100の光反射部材30に埋め込むことにより、発光素子20から出射された光の回路素子25による吸収を回避でき、回路素子25を配線基板10に実装したことに起因して光の利用効率が低下することを回避できる。
【0078】
図10は、本開示のさらにある他の実施形態に係る面発光光源300の構造の一例を示す断面図である。面発光光源300は、上述の発光装置200または200A〜200Eのいずれかと、拡散板71と、プリズムアレイ層72および73を有する透光積層体70とを有する。透光積層体70の形状は、平面視において例えば矩形である。図10は、図1に示される断面構造を有する発光装置200上に透光積層体70を積層して得られる面発光光源300の断面構造を例示している。
【0079】
(拡散板71)
面発光光源300においては、波長変換層50の上に拡散板71を設けてもよい。換言すれば、拡散板71は、波長変換層50の上面50aから間隔をあけて面発光光源300に設けられてもよいし、上面50aの少なくとも一部に直接に接していてもよい。拡散板71は、入射する光を拡散させ、透過させる。光を拡散させる構造は、拡散板71の表面に凹凸を設けたり、拡散板71中に屈折率の異なる材料を分散させたりすることによって拡散板71に設けられる。拡散板71は、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂等、可視光に対して光吸収の少ない材料から形成される。拡散板71として、光拡散シート、ディフューザーフィルム等の名称で市販されている光学シートを利用してもよい。拡散板71の厚さは、例えば約0.443mmであり得る。
【0080】
(プリズムアレイ層72、73)
拡散板71の上方に位置するプリズムアレイ層72、73のそれぞれは、それぞれが所定の方向に延びる複数のプリズムが配列された構造を有する。例えば、プリズムアレイ層72は、図10において、それぞれがy方向に延びる複数のプリズムを有し、プリズムアレイ層73は、それぞれがx方向に延びる複数のプリズムを有する。本明細書では、プリズムアレイ層72、73を積層した構造を「プリズムシート」と呼ぶ。プリズムアレイ層72、73は、種々の方向から入射する光を、発光装置200に対向する表示パネル(不図示)に向かう方向(図中の+z方向)に屈折させる。これにより、面発光光源300の発光面である透光積層体70の上面70aから出射する光が主として上面70aに垂直(z軸に平行)な成分を多く含むこととなる結果、面発光光源300を正面(z方向)から見た場合の輝度を高めることができる。プリズムアレイ層72、73として、市販されているバックライト用の光学部材を広く利用できる。プリズムアレイ層72、73の厚さは、それぞれ、例えば0.07mm、0.09mm程度であり得る。
【0081】
透光積層体70は、2枚のプリズムアレイ層を積層した構造を有するシート状のプリズムシートを有し得る。プリズムシートの厚さは、0.08mm程度であり得る。このように、プリズムシートの厚さは、2枚のプリズムアレイ層を単純に積層した場合の厚さの半分程度に抑えることが可能である。プリズムシートとして、例えば3M社の高度構造光学複合体(ASOC)を用いることができる。このようなプリズムシートを採用することにより、面発光光源300を一層薄型化することが可能となる。そのような薄型の面発光光源300は、スマートフォン等の用途に特に有用である。プリズムシートは、拡散板71に直接に接していてもよいし、拡散板71から間隔をあけて透光積層体70に設けられてもよい。
【0082】
面発光光源300は、プリズムアレイ層73の上方に位置する反射型偏光層(不図示)をさらに有し得る。反射型偏光層は、表示パネル、例えば液晶表示パネルのバックライト側に配置された偏光板の偏光方向に一致する偏光方向の光を選択的に透過し、その偏光方向に垂直な方向の偏光をプリズムアレイ層72、73側へ反射させる。反射型偏光層から戻ってきた偏光の一部は、プリズムアレイ層72、73および拡散板71で再度反射する際に偏光方向が変化し、液晶表示パネルの偏光板の偏光方向を有する偏光に変換され、再び反射型偏光層に入射し、表示パネルへ出射する。これにより、発光装置200から出射する光の偏光方向を揃え、表示パネルの輝度向上に有効な偏光方向の光を高効率で得られる。
【0083】
近年、ビデオゲーム機、スマートフォン等の市場において要求される発光装置の厚さに関する仕様は、2.0mm未満であり、例えば1.5mm以上1.65mm以下という非常に厳しい仕様が要求されることがある。本開示の実施形態に係る発光装置200は、その要求を十分に満足し得る。さらに、光拡散層40と波長変換層50との間に設けられた複数の光反射層60によって、発光装置200の発光面から出射される光の輝度ムラを適切に抑制することが可能となる。
【0084】
図11は、図2に示されるA−A’線に沿って切断した場合における面発光光源300の断面構造のうちの光源部100の縁の部分を例示している。図11に例示する構成において、配線基板10および光源部100は、それらの周囲を覆うテープ80によって固定されている。テープ80の一部は、光源部100の波長変換層50の上面50aの縁に沿って枠状に形成されている。テープ80のうち波長変換層50の上面50a上に位置する部分は、接着層として機能し、その接着層により、光源部100の周囲を囲む矩形の枠90が光源部100上に固定される。拡散板71、プリズムアレイ層72および73を有する透光積層体70は、枠90によって光源部100上に固定される。この例では、枠90と透光積層体70との境界線70sに沿って、枠状のテープ81が枠90および透光積層体70の上面に設けられている。テープ80、81として、例えば日東電工社製の両面接着テープ(型番:No.5606BN)を用いることができる。
【0085】
このような組立て構造によれば、FPCの縁に枠を配置するスペースを確保する必要がなくなるため、光源部100を配置する領域を配線基板10の外縁付近まで拡大することが可能となる。このように、FPCのサイズを変更することなく、配線基板10としてのFPC上の領域を最大限に利用して光源部100をFPC上に配置することが可能となる。
【0086】
[2.発光装置200の製造方法]
図11から図16を参照して、発光装置200および面発光光源300の製造方法の一例を説明する。図12図13および図15に、発光装置200の製造方法に含まれる各製造工程を説明するための工程断面図を示している。図16に、面発光光源300の製造方法に含まれる製造工程を説明するための工程断面図を示している。
【0087】
まず、配線基板10としての例えばFPCと、複数の発光素子20とを準備する。次に、図12に示されるように、配線基板10に発光素子20を実装する。配線基板10に対する発光素子20の接合の強度を高める観点から、発光素子20の下面20bと配線基板10の上面10aとの間の空間にアンダーフィル樹脂を充填してもよい。
【0088】
次に、発光素子20が実装された状態の配線基板10を型枠内に配置し、例えばポッティングにより、光硬化樹脂材料を型枠内に注入する。配線基板10上に付与された樹脂材料を紫外線で照射して硬化させることにより、図13に示されるように、複数の発光素子20のそれぞれの側面を覆う光反射部材30を形成することができる。このとき、例えば、樹脂材料の硬化に伴うひけの形で樹脂材料の表面に凹部31を形成できる。なお、光反射部材30の形成前に配線基板10に回路素子25を実装することにより、図9に例示する発光装置200Eが得られる。
【0089】
次に、シート状の光拡散層40および波長変換層50を準備する。例えば、光拡散材が分散された樹脂材料を型枠内に注入して硬化させることにより、シート状の光拡散層が得られる。同様にして、蛍光体等の粒子が分散された樹脂材料を型枠に注入して硬化させることにより、シート状の波長変換層50を得ることができる。
【0090】
また、シート状の光拡散層40および波長変換層50のうち、例えば光拡散層40の一方の主面の所定の位置に、複数の光反射層60を形成する。例えば、反射材の粒子が分散された未硬化の樹脂材料を印刷法、インクジェット法等によって光拡散層40の一方の主面の所定の領域に付与する。このとき、光拡散層40上の所定の各領域に複数のドットの形で樹脂材料を付与してもよい。その後、樹脂材料を硬化させることにより、図14に示すように、光拡散層40上の所定の位置に複数の光反射層60を形成できる。光拡散層40上の各領域に複数のドットの形で樹脂材料を付与する場合、樹脂材料の効果により、光拡散層40上の各領域にドット状の光反射パターンを有する光反射層60を形成できる。ドットの粗密により、各光反射層60における光の反射率または透過率を制御可能である。
【0091】
次に、各発光素子20の出射面20aに接着剤を付与し、平面視において光反射層60が出射面20aに重なるようにして、複数の発光素子20の上方に光拡散層40を配置する。なお、枠を利用した固定等、他の方法により複数の発光素子20の上方に光拡散層40が配置される場合には、発光素子20と光拡散層40との間に接着剤が介在しないこともあり得る。
【0092】
このとき、図15に示すように、光拡散層40の主面のうち光反射層60の形成されていない側の主面が光反射部材30に対向させられる。また、対応する発光素子20の光軸L上に各光反射層60の領域の中心が位置するように、光反射部材30上に光拡散層40を配置する。各光反射層60の領域の面積を出射面20aの面積よりも大きくすることにより、光拡散層40のアライメント精度に対する要求が緩和され得る。
【0093】
次に、光拡散層40の上方に波長変換層50を配置する。例えば、少なくとも光拡散層40の上面40a上の複数の光反射層60を覆うように光拡散層40の上面40a側に接着剤を付与し、複数の光反射層60を介して光拡散層40と波長変換層50とを積層する。このとき、光拡散層40と波長変換層50との間の空間55が接着剤で充填されることもあり得る。複数の光反射層60のそれぞれの上面60aに選択的に接着剤を付与し、光拡散層40と波長変換層50とを積層した場合には、空間55に空気層が形成される。上記の工程を経て、発光装置200が得られる。
【0094】
必要に応じ、拡散板等の光学部材を波長変換層50の上方に配置する。例えば、図11に示されるように、配線基板10および発光装置200の周囲をテープ80で覆う。このとき、発光装置200の波長変換層50の縁に沿ってテープ80の一部を波長変換層50の上面50a上に配置する。これにより、波長変換層50の上面50aに枠状の接着層を形成できる。次に、接着層によって発光装置200の上に枠90を固定する。
【0095】
次に、図11および図16に示されるように、発光装置200の波長変換層50の上方に透光積層体70を配置して枠90によって透光積層体70を発光装置200に固定する。透光積層体70が有するプリズムアレイ層72としては、例えば、3M社製のプリズムフィルム(型番:BEF4 DML)を用いることができ、プリズムアレイ層73としては、3M社製のプリズムフィルム(型番:TBEF2 DT LS)を用いることができる。その後、透光積層体70の上面側に現れた、枠90と透光積層体70との境界線70sに沿って、枠状のテープ81を貼付する。枠90を利用した固定に代えて、レーザ溶着によって波長変換層50の上に透光積層体70を固定してもよい。上記の工程を経て、面発光光源300が得られる。
【0096】
本開示の実施形態に係る発光装置は、面発光光源300の部品として製造および販売され得る。例えば、部品のサプライヤーから発光装置200の供給を受けるメーカーは、本開示の実施形態に係る発光装置と、透光積層体70等の残りの構成部材とを上述した方法によって組み上げることにより、発光装置を備える面発光光源を製造および販売し得る。そのような面発光光源は、例えば液晶表示装置のバックライト光源として好適に利用され得る。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本開示の発光装置および面発光光源は、液晶ディスプレイのバックライト光源、各種照明器具等に利用できる。
【符号の説明】
【0098】
10 :配線基板
10a、20a、30a、40a、50a、60a、70a :上面
10b、20b、40b :下面
11 :絶縁層
12a :第1導体配線層
12b :第2導体配線層
13 :ビア
15a、15b :ランド
20 :発光素子
20c :側面
21a :正極
21c :負極
30 :光反射部材
31 :凹部
40、40A :光拡散層
50、50B〜50D :波長変換層
55 :空間
60 :光反射層
70 :透光積層体
71 :拡散板
72、73 :プリズムアレイ層
80、81 :テープ
90 :枠
100、100A〜100D :光源部
200、200A〜200E :発光装置
300 :面発光光源
【要約】
【課題】輝度ムラを抑制しながらも薄型化可能な発光装置を提供する。
【解決手段】発光装置200は、配線基板10と、配線基板上に配置され、かつ、配線基板の配線層に電気的に接続された複数の発光素子20と、配線基板上に配置され、複数の発光素子のそれぞれの側面を覆う光反射部材30と、複数の発光素子および光反射部材を覆う少なくとも1つの光拡散層40と、光拡散層の上方に位置する波長変換層50と、光拡散層と波長変換層との間に位置する複数の光反射層60であって、それぞれが、複数の発光素子のうち対応する1つの上方に位置する、複数の光反射層とを備える。光反射部材の上面30aは、少なくとも1つの凹面を含む凹部31を有し、凹面と光拡散層との間に空間が位置している。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16