(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、非特許文献1に示されるような方法では、舗装表面が滑る状態になってから、該表面を物理的に削り、粗面を形成するため、粗面を形成する間、交通を遮断する必要がある。交通遮断を行うと、交通渋滞を招くおそれがある。また、工事が大がかりとなる。よって、この方法では、手間やコストといった面で、舗装の維持管理に負担がかかる。
【0010】
一方、特許文献1、2に示されるような舗装構造では、舗装シートや多孔質舗装材を別途に施工する必要があるため、施工性に優れているとはいい難い。
【0011】
上記事情に鑑み、本発明は、維持管理の負担を抑制しつつ、経年的な舗装表面の滑り抵抗の低下を抑制することができ、施工性にも優れたコンクリート舗装及びその施工方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るコンクリート舗装は、
セメント及び骨材を有するモルタルと、該モルタルよりも密度が小さく、且つ、前記モルタルよりも弾性係数が小さい第1の粒子とを含むコンクリート組成物を硬化してなるコンクリート舗装であって、
前記第1の粒子が、前記コンクリート舗装の表面部に配されてなる。
【0013】
モルタルよりも密度が小さい第1の粒子は、コンクリート舗装が施工される際、表面側に移動し易い。よって、上記構成によれば、コンクリート舗装の表面部に第1の粒子が配され易くなるため、施工が効率的となる。
また、モルタルよりも弾性係数が小さい第1の粒子が表面部に配されていることから、車両の通行が繰り返されることによって、車両との摩擦で、比較的弾性係数が小さい第1の粒子は変形し易い一方、比較的弾性係数が大きいモルタルは変形し難い。よって、第1の粒子の変形に、該第1の粒子の周囲に配されたモルタルの変形が追従できず、その結果、第1の粒子よりも先に、モルタルが削れて凹み、これによって、経年的に、表面部に滑り抵抗が付与される。
さらに、車両の通行の繰り返しによって、モルタルがさらに削れると、第1の粒子が表面部から外れて除去されて、これに起因する凹みが形成されるため、経年的に、表面部に滑り抵抗が付与される。さらに、年を経て、第1の粒子が外れて形成された凹みが削れたとしても、車両との摩擦によって、より底面部側の第1の粒子が表面に露出し、上記モルタルの削れによる凹みが形成される。このように凹みの形成が繰り返されて、経年的に、表面部に滑り抵抗が付与される。
ここで、車両の通行の繰り返しによって経年的に滑り抵抗が低下する原因の1つに、施工時に表面に浮上し、外部環境に露出している微細成分(レイタンス)が、車両との摩擦で磨かれて滑り易い層状の成分に変化したことも挙げられる。
しかし、上記第1の粒子が除去された場合には、これに伴ってレイタンスの層が破壊され、これによっても、滑り抵抗が付与される。
このように、モルタルと第1の粒子との間の弾性係数の差に起因して、経年的に滑り抵抗が付与される。
また、施工後にショットブラスト等による作業を行わなくても滑り抵抗が付与されるため、維持管理の手間が省ける。
よって、コンクリート舗装が、維持管理の負担を抑制しつつ、経年的な舗装表面の滑り抵抗の低下を抑制することができ、施工性にも優れたものとなる。
【0014】
上記構成のコンクリート舗装においては、前記第1の粒子は、弾性材料によって形成された粒子であることが好ましい。
【0015】
かかる構成によれば、第1の粒子が弾性材料によって形成されていることによって、経年的な車両の通行に伴って、第1の粒子が弾性変形を繰り返すことになり、これにより、第1の粒子が舗装の表面部から外れ易くなる。
よって、経年的な舗装表面の滑り抵抗の低下をより抑制することができる。
【0016】
本発明に係るコンクリート舗装は、
セメント及び骨材を有するモルタルと、該モルタルよりも密度が小さく、且つ、前記モルタルよりも強度が小さい第2の粒子とを含むコンクリート組成物を硬化してなるコンクリート舗装であって、
前記第2の粒子は、前記コンクリート舗装の表面部に配されてなる。
【0017】
モルタルよりも密度が小さい第2の粒子は、コンクリート舗装が施工される際、表面側に移動し易い。よって、上記構成によれば、コンクリート舗装の表面部に第2の粒子が配され易くなるため、施工が効率的となる。
また、モルタルよりも強度が小さい第2の粒子が表面部に配されていることから、車両の通行が繰り返されることによって、車両との摩擦で、モルタルが削れるよりも先に、第2の粒子が潰れて凹み、これによって、経年的に、表面部に滑り抵抗が付与される。
さらに、車両の通行の繰り返しによって上記凹みが経年的に削れたとしても、その一方、この通行の繰り返しによる車両との摩擦で舗装表面全体が擦り減ることになる。その結果、より底面部側の第2の粒子が表面に露出することになり、上記のような潰れによる凹みの形成が繰り返されて、経年的に、表面部に滑り抵抗が付与される。
ここで、車両の通行の繰り返しによって経年的に滑り抵抗が低下する原因の1つに、施工時に表面に浮上し、外部環境に露出している微細成分(レイタンス)が、車両との摩擦で磨かれて滑り易い層状の成分に変化したことも挙げられる。
しかし、上記第2の粒子の潰れに伴ってレイタンスの層が破壊されるため、これによっても、滑り抵抗が付与される。
このように、モルタルと第2の粒子との間の強度の差に起因して、経年的に滑り抵抗が付与される。
また、ショットブラスト等による作業を行わなくても滑り抵抗が付与されるため、維持管理の手間が省ける。
よって、コンクリート舗装が、維持管理の負担を抑制しつつ、経年的な舗装表面の滑り抵抗の低下を抑制することができ、施工性にも優れたものとなる。
【0018】
上記構成のコンクリート舗装においては、前記第2の粒子は、多孔質材料によって形成された粒子であることが好ましい。
【0019】
かかる構成によれば、第2の粒子が多孔質材料によって形成されていることによって、第2の粒子が潰れ易くなるため、経年的な舗装表面の滑り抵抗の低下をより抑制することができる。
【0020】
本発明に係るコンクリート舗装の施工方法は、
前記のコンクリート舗装を施工するコンクリート舗装の施工方法であって、
前記コンクリート組成物に振動を加えることによって、前記第1の粒子を表面部に配する方法である。
【0021】
かかる構成によれば、上記コンクリート組成物に振動を加えるだけで、第1の粒子を表面部に存在させることができ、これによって、上記のように滑り抵抗を付与できる。
よって、維持管理の負担を抑制しつつ、経年的に滑り抵抗の低下を抑制可能なコンクリート舗装を効率的に施工し得る。
【0022】
本発明に係るコンクリート舗装の施工方法は、
前記コンクリート舗装の施工方法であって、
前記コンクリート組成物に振動を加えることによって、前記第2の粒子を表面部に配する方法である。
【0023】
かかる構成によれば、上記コンクリート組成物に振動を加えるだけで、第2の粒子を表面部に存在させることができ、これによって、上記のように滑り抵抗を付与できる。
よって、維持管理の負担を抑制しつつ、経年的に滑り抵抗の低下を抑制可能なコンクリート舗装を効率的に施工し得る。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、維持管理の負担を抑制しつつ、経年的な舗装面の滑り抵抗の低下を抑制することができ、施工性にも優れたコンクリート舗装及びその施工方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係るコンクリート舗装及びその施工方法について説明する。
【0026】
まず、本発明の第1実施形態のコンクリート舗装及びその施工方法について説明する。
【0027】
本実施形態のコンクリート舗装は、
セメント及び骨材を有するモルタルと、該モルタルよりも密度が小さく、且つ、前記モルタルよりも弾性係数が小さい第1の粒子とを含むコンクリート組成物を硬化してなるコンクリート舗装であって、
前記第1の粒子が、前記コンクリート舗装の表面部に配されてなる。
【0028】
前記モルタルは、セメント及び骨材を有する。
【0029】
前記セメントとしては、従来公知のセメントが挙げられる。かかるセメントとしては、例えば、JIS R 5210(2009)に記載のポルトランドセメントが挙げられる。また、セメントの種類は、適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。例えば早期の強度を確保する点を考慮すれば、前記セメントは、早強ポルトランドセメントが好ましい。
【0030】
前記骨材としては、従来公知のコンクリート材料と共に使用される粗骨材、細骨材が挙げられる。これらは、いずれか使用されても、併用されてもよい。
【0031】
前記細骨材は、JIS A 0203(2014)に規定の、10mm網ふるいを全部通過し、5mm網ふるいを質量で85質量%以上通過する骨材である。
【0032】
前記粗骨材としては、従来公知の、コンクリートに使用される粗骨材が挙げられる。かかる粗骨材としては、例えば、道路用砕石の7号〜3号砕石が挙げられ、その粒径は、5mm〜40mmであることが好ましい。
【0033】
前記細骨材としては、従来公知の、コンクリートに使用される細骨材が挙げられる。かかる細骨材としては、例えば、JIS A5005(2009)「コンクリート用砕石及び砕砂」、JISA5308(2009)の附属書A「レディーミクストコンクリート用骨材」に記載される細骨材が挙げられ、その粗粒率は、2.20〜3.2であることが好ましく、2.50〜2.90であることがより好しい。
【0034】
前記モルタルは、上記水、セメント、及び骨材の他に、従来公知の、コンクリートに使用される添加剤を有していてもよい。
【0035】
前記第1の粒子は、上記モルタルよりも密度が小さく、且つ、上記モルタルよりも弾性係数が小さいものである。
【0036】
第1の粒子が、上記モルタルよりも密度が小さいことによって、コンクリート舗装の表面部に配され易くなる。
第1の粒子が、上記モルタルよりも弾性係数が小さいものであることによって、車両の通行の繰り返しによる摩擦が経年的に舗装の表面部に加えられたときに、比較的弾性係数が小さい第1の粒子は変形し易い一方、比較的弾性係数が大きいモルタルは変形し難い。よって、第1の粒子の変形に、該第1の粒子の周囲に配されたモルタルの変形が追従できず、その結果、上記モルタルよりも削れ難くなる。すなわち、上記モルタルの方が、第1の粒子よりも先に削れて凹み易くなる。また、さらに経年的に第1の粒子の周囲のモルタルが削れると、残った第1の粒子は、表面部から外れて除去されることになる。
【0037】
通常、上記モルタルの密度は、絶乾密度で、1.8〜2.5g/cm
3程度である。
従って、第1の粒子の密度は、絶乾密度で、1.8g/cm
3未満が好ましく、1.2g/cm
3未満がより好ましい。
また、第1の粒子の密度は、絶乾密度で、0.1g/cm
3以上が好ましく、0.5g/cm
3以上がより好ましい。
第1の粒子の密度が1.8g/cm
3未満であることによって、硬化前のモルタル中を第1の粒子が浮上し易くなる。
第1の粒子の密度が0.1g/cm
3以上であることによって、車両の走行による第1の粒子の破壊が生じ難いという利点がある。
上記モルタルの絶乾密度は、JIS Z8807(2012)「固体の密度及び比重の測定方法 幾何学的測定による密度及び比重の測定方法」によって測定される値であり、第1の粒子の絶乾密度は、JIS A1109「細骨材の密度吸水率試験方法」によって測定される値である。
【0038】
通常、上記モルタルの弾性係数(硬化後の弾性係数)は、10〜35GPa程度である。
かかるモルタルの弾性係数は、JIS A1149(2006)「コンクリートの静弾性係数試験方法」に従って測定される値である。具体的には、第1の粒子が存在していないφ10cm×高さ15cmの領域について、上記JIS A1149(2006)に従って測定される値である。
従って、第1の粒子の弾性係数は、1〜3000MPa(0.001〜3GPa)が好ましく、2〜100MPaがより好ましい。
第1の粒子の強度が3000MPa以下であることによって、硬化後のモルタルよりも、変形し易くなる。これにより、第1の粒子の変形に、モルタルの変形がより追従し難くなるため、モルタルが削れ易くなる。
第1の粒子の弾性係数が1MPa以上であることによって、第1の粒子が潰れることを、より抑制し得る。
かかる第1の粒子の弾性係数は、JIS K6254(2010)「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−応力・ひずみ特性の求め方」の「静的せん断弾性率」の測定方法に従って測定される値である。
なお、上記モルタル及び第1の粒子の弾性係数は、材料に固有の値である。
【0039】
上記第1の粒子は、上記モルタルよりも密度が小さく、且つ、上記モルタルよりも弾性係数が小さいものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、弾性材料から形成された粒子であることが好ましい。
第1の粒子が弾性材料によって形成されていることによって、経年的な車両の通行に伴って、第1の粒子が弾性変形を繰り返すことができ、これにより、第1の粒子が舗装の表面部から外れ易くなる。
よって、経年的な舗装表面の滑り抵抗の低下をより抑制することができる。
かかる弾性材料から形成された粒子としては、ゴムチップ等のゴム材料によって形成された粒子、発泡スチロールを減容したEPS骨材や、硬質ウレタン等の樹脂材料によって形成された粒子が挙げられる。
【0040】
第1の粒子の粒度は、JIS A5308(2009)の附属書A「レディーミクストコンクリート用骨材」の砂の粒度に適合するものであることが好ましい。
また、第1の粒子の粒度は、JIS A1102「骨材のふるい分け試験方法」に従って測定したとき、5mmのふるいを98%以上通過し、且つ、0.15mmのふるいを2%以下通過するようなものであることがより好ましく、さらに、2.5mmのふるいを全通(100質量%通過)し、且つ、0.6mm(600μm)のふるいを通過しない(0質量%通過する)ようなものであることが一層好ましい。
なお、上記ふるいの寸法は、JISA5308(2009)の附属書A「レディーミクストコンクリート用骨材」に記載された呼び寸法である。
第1の粒子の粒度が、0.15mmのふるいを2%以下通過するものであることによって、第1の粒子が小さ過ぎてモルタルと共に削れてしまうことがより抑制され、これにより、モルタルの方が、第1の粒子よりも先に削れて凹み易くなる。
第1の粒子の粒度が、5mmのふるいを98%以上通過するものであることによって、振動を加えることによって、第1の粒子を表面部に配しやすくなる。
【0041】
コンクリート組成物(100vol%)中のセメントの配合量は、8〜20vol%が好ましく、10〜17vol%がより好ましい。
【0042】
コンクリート組成物(100vol%)中の骨材の配合量は、55〜75vol%が好ましく、60〜70vol%がより好ましい。
骨材が、粗骨材を有する場合、粗骨材の配合量は、27〜45vol%が好ましく、
32〜45vol%がより好ましい。
骨材が、細骨材を有する場合、細骨材の配合量は、20〜37vol%が好ましく、
25〜35vol%がより好ましい。
【0043】
水/セメント比(質量)は、30〜60%が好ましく、35〜55%がより好ましい。
水/セメント比が30%未満であると、コンクリート組成物の粘性が過度に上昇し、モルタルよりも密度が小さい第1の粒子(及び、後述する第2の粒子)が表面部に配置され難くなる。これに対し、水/セメント比が30%以上であることによって、コンクリート組成物の粘性の過度の上昇をより抑制し、第1の粒子が表面部に配され易くなる。
また、水/セメント比が60%を超えると、必要とする強度が発揮され難くなる。これに対し、水/セメント比が60%以下であることによって、必要とする強度がより発揮され易くなる。
【0044】
コンクリート組成物中の第1の粒子の配合量は、0.5vol%以上が好ましく、1vol%以上がより好ましく、3vol%以上がさらに好ましい。
第1の粒子の配合量は、12vol%以下が好ましく、10vol%以下がより好ましく、5vol%以下がさらに好ましい。
第1の粒子の配合量が、0.5vol%以上であることによって、コンクリート舗装の表面部に、十分に第1の粒子を配することができ、これにより、舗装表面において、第1の粒子とモルタルとの強度差が発生している領域の分布が増加するため、滑り抵抗をより付与し易くなる。
第1の粒子の配合量が12vol%以下であることによって、コンクリート舗装の強度低下をより抑制できるという利点がある。
【0045】
第1の粒子は、コンクリート舗装の表面から深さ0.01m以内の領域に、単位体積(1m
3)当たり5〜20vol%配されていることが好ましい。
このように第1の粒子が表面部に5vol%以上配されていることによって、舗装表面において、第1の粒子とモルタルとの弾性係数の差が発生している領域の分布を増加させ易くなるため、滑り抵抗をより付与し易くなる。また、経年的に舗装の表面部全体が擦り減っても、第1の粒子を外部環境に露出させ易くなるため、滑り抵抗をより付与し易くなる。
第1の粒子が表面部に20vol%以下配されていることによって、より適度に弾性係数の小さい領域と大きい領域とが存在することになり、これにより、弾性係数の大きいモルタルの領域が変形に追従できずに削れ易くなり、その結果、滑り抵抗を付与し易くなる。
上記表面部における表面から深さ0.01mまでの領域での単位体積当たりの第1の粒子の配合量は、以下のようにして測定される値である。すなわち、コンクリート舗装の表面部を、φ10cm×表面からの深さ10cmで切り出して得られた固形物(φ10cm×深さ10cm)を、さらに表面から深さ1cmとなる位置で切断して、φ10cm×深さ1cmの切り出し片を得る。得られた切り出し片の上面をジョークラッシャ等の破砕機で破砕し、第1の粒子を分取することによって第1の粒子の体積を測定し、得られた体積を、切り出し片の体積に対する百分率(%)として算出して測定され得る。
【0046】
上記した本実施形態のコンクリート舗装の施工方法は、特に限定されるものではない。
例えば、本実施形態のコンクリート舗装に施工方法として、
上記セメント及び骨材を有するモルタルと、上記第1の粒子とを含む上記コンクリート組成物に振動を加えることによって、上記第1の粒子を表面部に配する方法を採用し得る。
【0047】
具体的には、本実施形態のコンクリート舗装の施工方法では、
上記セメント及び骨材を有する上記モルタルと、該モルタルよりも密度が小さく、且つ、該モルタルよりも弾性係数が小さい上記第1の粒子とを混合してコンクリート組成物を作製する混合工程と、
得られたコンクリート組成物を路盤上に打設する打設工程と、
打設したコンクリート組成物に、これが硬化する前に振動を加えて第1の粒子を表面部に配する振動工程とを実施し、振動が加えられたコンクリート組成物を硬化させることによって、コンクリート舗装を施工する。
【0048】
前記混合工程では、それぞれ所定の含有量となるようにセメント、骨材、第1の粒子、及び、水を、従来公知の混合手段を用いて混合して混合物(コンクリート組成物)を得る。
各成分の配合量は、前述したように設定し得る。
【0049】
打設工程では、混合工程で得られたコンクリート組成物を従来公知の打設手段を用いて路盤上に打設する。
【0050】
振動工程では、バイブレータ等の従来公知の装置を用いて、打設されたコンクリート組成物に、これが硬化する前に、振動を加える。
振動を加えるタイミング、加える振動の強さ、振動を加える時間等は、第1の粒子が表面部に浮上するような程度に、適宜設定され得る。
【0051】
振動工程で振動が加えられたコンクリート組成物を、適宜養生しながら放置することによって硬化させ、コンクリート舗装を得る。
【0052】
本実施形態のコンクリート舗装によれば、以下の作用効果が奏される。
モルタルよりも密度が小さい第1の粒子は、コンクリート舗装が施工される際、表面側に移動し易い。よって、上記構成によれば、コンクリート舗装の表面部に第1の粒子が配され易くなるため、施工が効率的となる。
また、モルタルよりも弾性係数が小さい第1の粒子が表面部に配されていることから、車両の通行が繰り返されることによって、車両との摩擦で、比較的弾性係数が小さい第1の粒子は変形し易い一方、比較的弾性係数が大きいモルタルは変形し難い。よって、第1の粒子の変形に、該第1の粒子の周囲に配されたモルタルの変形が追従できず、その結果、第1の粒子よりも先に、モルタルが削れて凹み、これによって、経年的に、表面部に滑り抵抗が付与される。
さらに、車両の通行の繰り返しによって、モルタルがさらに削れると、第1の粒子が表面部から外れて除去されて、これに起因する凹みが形成されるため、経年的に、表面部に滑り抵抗が付与される。さらに、年を経て、第1の粒子が外れて形成された凹みが削れたとしても、車両との摩擦によって、より底面部側の第1の粒子が表面に露出し、上記モルタルの削れによる凹みが形成される。このように凹みの形成が繰り返されて、経年的に、表面部に滑り抵抗が付与される。
ここで、車両の通行の繰り返しによって経年的に滑り抵抗が低下する原因の1つに、施工時に表面に浮上し、外部環境に露出している微細成分(レイタンス)が、車両との摩擦で磨かれて滑り易い層状の成分に変化したことも挙げられる。
しかし、上記第1の粒子が除去された場合には、これに伴ってレイタンスの層が破壊され、これによっても、滑り抵抗が付与される。
このように、モルタルと第1の粒子との間の弾性係数の差に起因して、経年的に滑り抵抗が付与される。
また、施工後にショットブラスト等による作業を行わなくても滑り抵抗が付与されるため、維持管理の手間が省ける。
よって、コンクリート舗装が、維持管理の負担を抑制しつつ、経年的な舗装表面の滑り抵抗の低下を抑制することができ、施工性にも優れたものとなる。
【0053】
また、本実施形態のコンクリート舗装の施工方法によれば、上記コンクリート組成物に振動を加えるだけで、第1の粒子を表面部に存在させることができ、これによって、上記のように滑り抵抗を付与できる。
よって、維持管理の負担を抑制しつつ、経年的に滑り抵抗の低下が抑制されたコンクリート舗装を効率的に施工し得る。
【0054】
次に、本発明の第2実施形態のコンクリート舗装及びその施工方法について説明する。
【0055】
本実施形態のコンクリート舗装は、
セメント及び骨材を有するモルタルと、該モルタルよりも密度が小さく、且つ、前記モルタルよりも強度が小さい第2の粒子とを含むコンクリート組成物を硬化してなるコンクリート舗装であって、
前記第2の粒子が、前記コンクリート舗装の表面部に配されてなる。
【0056】
本実施形態のコンクリート舗装及びその施工方法は、第1の粒子に代えて第2の粒子を用いる点以外は、第1実施形態と同様であるため、以下、第1実施形態と異なる点について記載し、説明を繰り返さない。
【0057】
第2の粒子は、上記モルタルよりも密度が小さく、且つ、上記モルタルよりも強度が小さいものである。
【0058】
第2の粒子が、上記モルタルよりも密度が小さいことによって、コンクリート舗装の表面部に配され易くなる。
第2の粒子が、上記モルタルよりも強度が小さいことによって、車両の通行の繰り返しによる摩擦が経年的に舗装の表面部に加えられたときに、上記モルタルよりも潰れ易くなる。すなわち、第2の粒子の方が、上記モルタルよりも先に削れて凹み易くなる。
【0059】
前述した第1実施形態の通り、通常、上記モルタルの密度は、絶乾密度で、1.8〜2.5g/cm
3程度である。
従って、第2の粒子の密度は、絶乾密度で、1.8g/cm
3未満が好ましく、1.2g/cm
3未満がより好ましい。
また、第2の粒子の密度は、絶乾密度で、0.05g/cm
3以上が好ましく、0.1g/cm
3以上がより好ましい。
第2の粒子の密度が1.8g/cm
3未満であることによって、硬化前のモルタル中を第2の粒子が浮上し易くなる。
第2の粒子の密度が0.05g/cm
3以上であることによって、コンクリート組成物を混合する際に材料分離が生じ難いという利点がある。
上記絶乾密度は、前述した第1実施形態と同様にして測定される値である。
【0060】
モルタルの圧縮強度は、通常、15〜80N/mm
2程度である。
かかるモルタルの圧縮強度は、第2の粒子が存在していないφ100mm×高さ150mmの領域について、JIS A1108(2006)「コンクリートの圧縮強度試験方法」に従って測定された圧縮強度の値である。
これに対し、第2の粒子の強度は、1〜10N/mm
2が好ましく、1〜5N/mm
2がより好ましい。
かかる第2の粒子の強度は、円筒形の型枠を用いてφ10cm×深さ10cmとなるように第2の粒子を一様に充填し、充填した第2の粒子に上面からφ10mmの円板を用いて荷重をかけ、容積が半分になったときの荷重を、単位面積当たりの力で表した値である。
ここで、通常、上記モルタルは、上記と同様、円筒状の型枠を用いてφ10cm×深さ10cmとなるように打設し、硬化させた後、上記と同様にφ10mmの円板を用いて55N/mm
2まで荷重をかけても、容積が変化しない(圧縮されない)。
よって、第2の粒子の上記強度が10N/mm
2以下であれば、モルタルよりも十分に強度が小さくなる。
また、第2の粒子の上記強度が10N/mm
2以下であることによって、硬化後のモルタルよりも、より削れ易くなる。
一方、第2の粒子の上記強度が1N/mm
2以上であることによって、コンクリート組成物の練り混ぜ時に第2の粒子が破壊することをより抑制し得る。
【0061】
上記第2の粒子は、上記モルタルよりも密度が小さく、且つ、上記モルタルよりも強度が小さいものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、多孔質材料から形成された粒子であることが好ましい。
第2の粒子が多孔質材料によって形成されていることによって、第2の粒子が潰れ易くなるため、経年的な舗装表面の滑り抵抗の低下をより抑制することができる。
かかる多孔質材料から形成された粒子としては、パーライト等の多孔質無機材料から形成された粒子等が挙げられる。
【0062】
第2の粒子の粒度は、JISA5308(2009)の附属書A「レディーミクストコンクリート用骨材」の砂の粒度に適合するものであることが好ましい。また、第2の粒子の粒度は、JIS A1102(2014)「骨材のふるい分け試験方法」に従って測定したとき、5mmのふるいを98%以上通過し、且つ、0.15mmのふるいを2%以下通過するようなものであることがより好ましく、さらに、2.5mmのふるいを全通(100質量%通過)し、且つ、0.6mm(600μm)のふるいを通過しない(0質量%通過する)ようなものであることが一層好ましい。
なお、ふるいの寸法は、JISA5308(2009)の附属書A「レディーミクストコンクリート用骨材」に記載された呼び寸法である。
第2の粒子の粒度が、0.15mmのふるいを2%以下通過するものであることによって、車両走行時に第2の粒子がより潰れ易くなり、加えて、コンクリート舗装表面に凹凸が形成され易くなる。
第2の粒子の粒径が、5mmのふるいを98%以上通過するものであることによって、振動を加えることによって、第2の粒子を表面部に配しやすくなる。
なお、第2の粒子が0.1mm未満であると、振動を与えてもコンクリート組成物中の骨材に付着するため、第2の粒子が浮揚し難くなり、舗装表面に凹凸が形成され難くなる。
【0063】
コンクリート組成物中の第2の粒子の配合量は、0.5vol%以上が好ましく、1vol%以上がより好ましく、3vol%以上がさらに好ましい。
第2の粒子の配合量は、12vol%以下が好ましく、10vol%以下がより好ましく、5vol%以下がさらに好ましい。
第2の粒子の配合量が、0.5vol%以上であることによって、コンクリート舗装の表面部に、十分に第2の粒子を配することができ、これにより、舗装表面において、第2の粒子とモルタルとの強度差が発生している領域の分布が増加するため、滑り抵抗をより付与し易くなる。
第2の粒子の配合量が12vol%以下であることによって、コンクリート舗装の強度低下をより抑制できるという利点がある。
【0064】
第2の粒子は、コンクリート舗装の表面から深さ0.01m以内の領域に、単位体積(1m
3)当たり5〜20vol%配されていることが好ましい。
このように第2の粒子が表面部に5vol%以上配されていることによって、舗装表面において、第2の粒子とモルタルとの強度の差が発生している領域の分布を増加させ易くなるため、滑り抵抗をより付与し易くなる。また、経年的に舗装の表面部全体が擦り減っても、第2の粒子を外部環境に露出させ易くなるため、滑り抵抗をより付与し易くなる。
第2の粒子が表面部に20vol%以下配されていることによって、より適度に強度の小さい領域と大きい領域とが存在することになり、これにより、強度の小さい第2の粒子が潰れ易くなり、その結果、滑り抵抗を付与し易くなる。
上記表面部における表面から深さ0.01mまでの領域での単位体積当たりの第2の粒子の配合量は、以下のようにして測定される値である。すなわち、コンクリート舗装の表面部を、φ10cm×表面からの深さ10cmで切り出して得られた固形物(φ10cm×深さ10cm)を、さらに表面から深さ1cmとなる位置で切断して、φ10cm×深さ1cmの切り出し片を得る。得られた切り出し片について、JIS Z 8807「固体の密度及び比重の測定方法」で密度を測定し、密度と、元の配合とから約算して求めることによって、測定され得る。
【0065】
上記した本実施形態のコンクリート舗装の施工方法は、特に限定されるものではない。
例えば、本実施形態のコンクリート舗装に施工方法として、
上記セメント及び骨材を有するモルタルと、上記第2の粒子とを含む上記コンクリート組成物に振動を加えることによって、上記第2の粒子を表面部に配する方法を採用し得る。
【0066】
具体的には、本実施形態のコンクリート舗装の施工方法では、
上記セメント及び骨材を有する上記モルタルと、該モルタルよりも密度が小さく、且つ、モルタルよりも強度が小さい上記第2の粒子とを混合してコンクリート組成物を作製する混合工程と、
得られたコンクリート組成物を路盤上に打設する打設工程と、
打設したコンクリート組成物に、これが硬化する前に振動を加えて第2の粒子を表面部に配する振動工程とを実施し、振動が加えられたコンクリート組成物を硬化させることによって、コンクリート舗装を施工する。
【0067】
前記混合工程、打設工程、振動工程は、前述した第1実施形態と同様にして、実施し得る。
振動工程では、振動を加えるタイミング、加える振動の強さ、振動を加える時間等は、第2の粒子が表面部に浮上するような程度に、適宜設定され得る。
【0068】
振動工程で振動が加えられたコンクリート組成物を、適宜養生しながら放置することによって硬化させ、コンクリート舗装を得る。
【0069】
本実施形態のコンクリート舗装によれば、以下の作用効果が奏される。
モルタルよりも密度が小さい第2の粒子は、コンクリート舗装が施工される際、表面側に移動し易い。よって、上記構成によれば、コンクリート舗装の表面部に第2の粒子が配され易くなるため、施工が効率的となる。
また、モルタルよりも強度が小さい第2の粒子が表面部に配されていることから、車両の通行が繰り返されることによって、車両との摩擦で、モルタルが削れるよりも先に、第2の粒子が潰れて凹み、これによって、経年的に、表面部に滑り抵抗が付与される。
さらに、車両の通行の繰り返しによって上記凹みが経年的に削れたとしても、その一方、この通行の繰り返しによる車両との摩擦で舗装表面全体が擦り減ることになる。その結果、より底面部側の第2の粒子が表面に露出することになり、上記のような潰れによる凹みの形成が繰り返されて、経年的に、表面部に滑り抵抗が付与される。
ここで、車両の通行の繰り返しによって経年的に滑り抵抗が低下する原因の1つに、施工時に表面に浮上し、外部環境に露出している微細成分(レイタンス)が、車両との摩擦で磨かれて滑り易い層状の成分に変化したことも挙げられる。
しかし、上記第2の粒子の潰れに伴ってレイタンスの層が破壊されるため、これによっても、滑り抵抗が付与される。
このように、モルタルと第2の粒子との間の強度の差に起因して、経年的に滑り抵抗が付与される。
また、ショットブラスト等による作業を行わなくても滑り抵抗が付与されるため、維持管理の手間が省ける。
よって、コンクリート舗装が、維持管理の負担を抑制しつつ、経年的な舗装表面の滑り抵抗の低下を抑制することができ、施工性にも優れたものとなる。
【0070】
また、本実施形態のコンクリート舗装の施工方法によれば、上記コンクリート組成物に振動を加えるだけで、第2の粒子を表面部に存在させることができ、これによって、上記のように滑り抵抗を付与できる。
よって、維持管理の負担を抑制しつつ、経年的に滑り抵抗の低下が抑制されたコンクリート舗装を効率的に施工し得る。
【実施例】
【0071】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0072】
1.振動によるコンクリート中での第1及び第2の粒子の分布の確認
(1)使用材料
下記表1に示す材料を使用した。
【0073】
【表1】
【0074】
(2)配合
下記表2に示す配合を設定した。
【0075】
【表2】
【0076】
(3)試験
下記表3に示す試験を実施した。
密度の結果を、上中下にカットする前の密度を100としたときの割合(%)で、表4に示す。また、圧縮強度の結果を、表5に示す。
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
【表5】
【0080】
表4に示すように、比較例1では、第1または第2の粒子が配合されていないため、供試体の作製時に振動を与えても、供試体の上部と下部とで大きな密度差は生じなかった。
これに対し、実施例1〜4では、第1または第2の粒子が配合されているため、供試体の上部の密度が小さくなり、下部の密度が大きくなった。この結果、振動を加えることによって、第1または第2の粒子を浮上させ、表面部に配し得ることがわかった。また、第1または第2の粒子が表面部に比較的多く配されることによって、舗装表面において、第1の粒子が変形し易く、または、第2の粒子が潰れ易くなる。
また、表5に示すように、ゴムチップまたはパーライトの配合量が少ない方が、圧縮強度が大きい傾向にあった。
なお、表3では、モルタルの密度の測定方法として、JIS Z8807(2012)の「固体の密度及び比重の測定方法」のうち、「幾何学的測定による密度及び比重の測定方法」を採用したが、この方法で測定しても、前述した「幾何学的測定による密度及び比重の測定方法」と同様の値が得られる。
【0081】
2.コンクリート舗装表面の滑り抵抗の低減抑制効果の確認
(1)使用材料
下記表6に示す材料を使用した。
【0082】
【表6】
【0083】
(2)配合
下記表7に示す配合に設定した。
【0084】
【表7】
【0085】
(3)試料の作製及び評価
・コンクリート組成物の作製及び評価
上記表7の配合でセメントと、第1または第2の粒子と、細骨材と、粗骨材と、水とを混合して、コンクリート組成物を得た。
得られたコンクリート組成物について、下記表8に示すようにスランプ試験を行って、フレッシュ性状を調べた。
結果を表9に示す。
【0086】
また、JIS K6254(2010)「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−応力・ひずみ特性の求め方」の「静的せん断弾性率」の測定方法に従って測定されたゴムチップの弾性係数は、9MPaであった。この結果を、表11に示す。
なお、この弾性係数は、ゴムチップに分断(微細化)する前の成形体について測定された値であり、材料に固有のものとして測定された値である。
一方、円筒形の型枠を用いてφ10cm×深さ10cmとなるようにパーライトを一様に充填し、充填したパーライトに上面からφ10mmの円板を用いて荷重をかけ、容積が半分になったときの荷重を、単位面積当たりの力で表すことによって、パーライトの強度を測定した結果、パーライトの強度は、1.5N/mm
2であった。この結果を、表11に示す。
【0087】
・供試体(コンクリート舗装)の作製及び評価
上記で得られたコンクリート組成物を、下記表8に示すように、300×300×100mmの型枠を用いて打設し、棒バイブレータを用いて下記表8に示す条件で振動を加えつつ締め固めた。締め固め後、表面をこて仕上げした。こて仕上げした後、比較例2については、ほうき目を施した供試体と、ほうき目を施さない供試体とを作製し、実施例については、ほうき目を施さない供試体を作製した。
なお、比較例2のほうき目を施さない供試体については、100×100×400mmの型枠を用いたこと、及び、棒バイブレータの代わりに突き棒で突いたこと以外は、上記と同様にして、供試体を作製した。
得られた供試体について、下記表8に示す条件で、滑り抵抗試験を行った。滑り抵抗試験は舗装調査・試験法便覧S02−1「振り子式スキッドレジスタンステスタによるすべり抵抗測定方法」に従った。
具体的には、まず、滑り抵抗の初期値を、上記滑り抵抗試験によって測定した。
その後、ホイールトラッキング(WT)試験装置を用いて、供試体表面にすりへり作用を付与した。具体的には、舗装調査・試験方法便覧B003「ホイールトラッキング試験方法」及びB004「水浸ホイールトラッキング試験方法」を参考に、WT試験装置のソリッドタイヤに#100番の布やすりを巻き付け、走行速度42回/min、走行距離230±10mm、トラバース速度300mm/min、試験温度20℃で走行回数1万回のトラバースを行い、トラバース後の滑り抵抗を、上記滑り抵抗試験によって測定した。なお、WT試験装置は形式NKW−110A−C.W、ニッケン(株)製を用いた。
結果を表10に示す。
【0088】
また、実施例5、6の供試体においては、10秒、30秒の振動によって、ゴムチップ及びパーライトが表面部に浮上しており、深さ50mmよりも底面部側には、これらが存在していなかった。
そこで、下記表8に示すように、別途、φ100×深さ200mmの型枠を用い、棒バイブレータを用いて1箇所で振動すること以外は上記と同様にして供試体を作製し、供試験体の表面側から深さ50mmまでの部分を切り取って除去して、φ100mm×高さ150mmの切り取り片を作製し、この切り取り片について、JIS A1149「コンクリートの静弾性係数試験方法」に従って弾性係数を測定した。結果を表11に示す。
また、同様の切り取り片について、JIS A1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」に従って圧縮強度を測定した。結果を表11に示す。
【0089】
【表8】
【0090】
【表9】
【0091】
【表10】
【0092】
【表11】
【0093】
表10に示すように、第1及び第2の粒子を添加しない供試体では、ほうき目を施したため、トラバース前のBPNは高いが、トラバース後では、ほうき目がなくなり、供試体表面が磨かれた状態となったため、BPNが低下した。
一方、第1の粒子としてゴムチップを添加した供試体では、振動によって第1の粒子が上面に浮上した。また、供試体の上面に対するトラバースによって、該上面にて第1の粒子よりも強度が小さいモルタルが削れ、これによって、BPNが増加した。なお、さらにトラバースを繰り返せば、第1の粒子が外れて除去され得る。
さらに、第2の粒子としてパーライトを添加した供試体では、振動によって第2の粒子が上面に浮上した。また、供試体の上面に対するトラバースによって、第2の粒子が潰れて凹みが形成され、これによって、BPNが増加した。
また、比較例2のほうき目を施していない供試体と、実施例5、6の供試体とを比較すると、実施例5、6では、第1の粒子または第2の粒子を配合することによって、ほうき目を施さなくても、BPNを上昇させ得ることがわかる。
なお、表11には、各コンクリートの弾性係数及び圧縮強度を示すが、各コンクリートのモルタル部分の弾性係数は、各コンクリートの弾性係数と略同様の値となり、各コンクリートのモルタル部分の圧縮強度は、各コンクリートの圧縮強度よりも大きな値となる。
【0094】
本実施形態のコンクリート舗装及びその施工方法は、上記の通りであるが、本発明は、上記実施形態に特に限定されるものではない。例えば、上記第1実施形態のコンクリート舗装に上記第2実施形態の第2の粒子を配合しても、上記第2実施形態のコンクリート舗装に上記第1実施形態の第1の粒子を配合してもよい。
【0095】
以上のように本発明の実施の形態及び実施例について説明を行なったが、各実施の形態及び実施例の特徴を適宜組み合わせることも当初から予定している。また、今回開示された実施の形態及び実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態及び実施例ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。