特許第6788416号(P6788416)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6788416
(24)【登録日】2020年11月4日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】研削装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 49/04 20060101AFI20201116BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   B24B49/04 Z
   B24B7/04 A
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-148309(P2016-148309)
(22)【出願日】2016年7月28日
(65)【公開番号】特開2018-15842(P2018-15842A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 健展
(72)【発明者】
【氏名】山中 聡
(72)【発明者】
【氏名】宮本 弘樹
【審査官】 山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−017787(JP,A)
【文献】 特開2006−193066(JP,A)
【文献】 特開2011−086479(JP,A)
【文献】 特開2010−038765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 49/00
7/00
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状ワークを保持する保持面を有する保持テーブルと、該保持テーブルに保持された板状ワークを研削砥石が環状に配設された研削ホイールで研削する研削手段と、該研削手段を該保持面に対して垂直方向に研削送りする研削送り手段と、該保持テーブルに保持され該研削手段により研削される板状ワークの厚みを測定する厚み測定手段と、少なくとも研削送り手段を制御する制御手段とを備え、
該厚み測定手段は、該保持テーブルの該保持面の高さを測定する保持面測定手段と、
該保持面で保持した板状ワークの上面の高さを測定する上面測定手段と、
該上面測定手段が測定した値と該保持面測定手段が測定した値との差を板状ワーク厚みとして算出する算出手段と、を備え、
さらに、該上面測定手段とは別に該保持面で保持した板状ワークの上面の高さを測定する第2の上面測定手段を備え、
該算出手段は、該第2の上面測定手段が測定した値と該保持面測定手段が測定した値との差を第2の板状ワーク厚みとして算出し、
該制御手段は、該研削砥石による研削によって該保持面に保持された板状ワークが所定の厚みより薄くなることを防止するために該算出手段が算出した該板状ワーク厚みと該第2の板状ワーク厚みとのいずれかが予め設定した厚みに達したら該研削手段を該保持面から遠ざかる方向に移動させ研削を終了させる研削装置。
【請求項2】
板状ワークを保持する保持面を有する保持テーブルと、該保持テーブルに保持された板状ワークを研削砥石が環状に配設された研削ホイールで研削する研削手段と、該研削手段を該保持面に対して垂直方向に研削送りする研削送り手段と、該保持テーブルに保持され該研削手段により研削される板状ワークの厚みを測定する厚み測定手段と、少なくとも研削送り手段を制御する制御手段とを備え、
該厚み測定手段は、該保持テーブルの該保持面の高さを測定する保持面測定手段と、
該保持面で保持した板状ワークの上面の高さを測定する上面測定手段と、
該上面測定手段が測定した値と該保持面測定手段が測定した値との差を板状ワーク厚みとして算出する算出手段とを備え、
さらに、該保持面測定手段とは別に該保持面の高さを測定する第2の保持面測定手段と、
該上面測定手段とは別に該保持面で保持した板状ワークの上面の高さを測定する第2の上面測定手段と、
該第2の上面測定手段が測定した値と該第2の保持面測定手段が測定した値との差を板状ワーク厚みとして算出する第2の算出手段とを備え、
該制御手段は、該研削砥石による研削によって該保持面に保持された板状ワークが所定の厚みより薄くなることを防止するために該算出手段が算出した板状ワーク厚みと該第2の算出手段が算出した板状ワーク厚みとのいずれかが予め設定した厚みに達したら該研削手段を該保持面から遠ざかる方向に移動させ研削を終了させる研削装置。
【請求項3】
前記厚み測定手段は、前記第2の保持面測定手段が測定した値と前記上面測定手段が測定した値との差を板状ワーク厚みとして算出する第3の算出手段と、
前記保持面測定手段が測定した値と前記第2の上面測定手段が測定した値との差を板状ワーク厚みとして算出する第4の算出手段と、を備え、
前記制御手段は、該研削砥石による研削によって該保持面に保持された板状ワークが所定の厚みより薄くなることを防止するために前記算出手段、前記第2の算出手段、該第3の算出手段、該第4の算出手段がそれぞれ算出した板状ワーク厚みのいずれかが予め設定した厚みに達したら該研削手段を該保持面から遠ざかる方向に移動させ研削を終了させる請求項2記載の研削装置。
【請求項4】
前記保持面測定手段、前記上面測定手段、前記第2の保持面測定手段又は前記第2の上面測定手段が故障していることを判断する判断手段を備え、
該判断手段は、前記算出手段、前記第2の算出手段、前記第3の算出手段、前記第4の算出手段がそれぞれ算出した板状ワーク厚みと予め設定した厚みとの差が予め設定した許容値よりも大きい板状ワーク厚みを算出した該算出手段、該第2の算出手段、該第3の算出手段、該第4の算出手段にそれぞれ対応する該保持面測定手段、該上面測定手段、該第
2の保持面測定手段、該第2の上面測定手段が故障していると判断する請求項3記載の研削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状ワークを所定の厚みに研削する研削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
板状ワークを研削する研削装置においては、板状ワークの厚みを監視する必要があり、例えば接触式の厚み測定手段を用いて板状ワークの厚みを測定している(例えば下記の特許文献1を参照)。厚み測定手段は、板状ワークの上面高さを測定する測定器と、板状ワークを保持する保持テーブルの保持面の高さを測定する測定器とにより構成され、それぞれの測定器で測定した測定値の差を板状ワークの厚みとして算出することができる。そして、板状ワークの研削中に厚み測定手段で測定した板状ワーク厚みが設定値に達したら研削を終了している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5025200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記の厚み測定手段を構成する各測定器が故障することがある。例えば、板状ワークの上面高さを測定する測定器が故障した場合は、故障した測定器が板状ワークの上面に追従しないで遅れて降下するため、板状ワークの上面高さを正常に測定することができず、装置が板状ワークを実際の厚みよりも厚く判断してしまう。そのため、研削後の板状ワークの厚みが所定の厚みよりも薄くなり、板状ワークを破棄しなければならないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、厚み測定手段が故障して板状ワークの厚みを実際の厚みより厚く判断してしまい、板状ワークの厚みが所定の厚みより薄くなるのを防ぐことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、板状ワークを保持する保持面を有する保持テーブルと、該保持テーブルに保持された板状ワークを研削砥石が環状に配設された研削ホイールで研削する研削手段と、該研削手段を該保持面に対して垂直方向に研削送りする研削送り手段と、該保持テーブルに保持され該研削手段により研削される板状ワークの厚みを測定する厚み測定手段と、少なくとも研削送り手段を制御する制御手段とを備え、該厚み測定手段は、該保持テーブルの該保持面の高さを測定する保持面測定手段と、該保持面で保持した板状ワークの上面の高さを測定する上面測定手段と、該上面測定手段が測定した値と該保持面測定手段が測定した値との差を板状ワーク厚みとして算出する算出手段と、を備え、さらに、該上面測定手段とは別に該保持面で保持した板状ワークの上面の高さを測定する第2の上面測定手段を備え、該算出手段は、該第2の上面測定手段が測定した値と該保持面測定手段が測定した値との差を第2の板状ワーク厚みとして算出し、該制御手段は、該研削砥石による研削によって該保持面に保持された板状ワークが所定の厚みより薄くなることを防止するために該算出手段が算出した該板状ワーク厚みと該第2の板状ワーク厚みとのいずれかが予め設定した厚みに達したら該研削手段を該保持面から遠ざかる方向に移動させ研削を終了させる。
【0007】
また、本発明は、板状ワークを保持する保持面を有する保持テーブルと、該保持テーブルに保持された板状ワークを研削砥石が環状に配設された研削ホイールで研削する研削手段と、該研削手段を該保持面に対して垂直方向に研削送りする研削送り手段と、該保持テーブルに保持され該研削手段により研削される板状ワークの厚みを測定する厚み測定手段と、少なくとも研削送り手段を制御する制御手段とを備え、該厚み測定手段は、該保持テーブルの該保持面の高さを測定する保持面測定手段と、該保持面で保持した板状ワークの上面の高さを測定する上面測定手段と、該上面測定手段が測定した値と該保持面測定手段が測定した値との差を板状ワーク厚みとして算出する算出手段とを備え、さらに、該保持面測定手段とは別に該保持面の高さを測定する第2の保持面測定手段と、該上面測定手段とは別に該保持面で保持した板状ワークの上面の高さを測定する第2の上面測定手段と、該第2の上面測定手段が測定した値と該第2の保持面測定手段が測定した値との差を板状ワーク厚みとして算出する第2の算出手段とを備え、該制御手段は、該研削砥石による研削によって該保持面に保持された板状ワークが所定の厚みより薄くなることを防止するために該算出手段が算出した板状ワーク厚みと該第2の算出手段が算出した板状ワーク厚みとのいずれかが予め設定した厚みに達したら該研削手段を該保持面から遠ざかる方向に移動させ研削を終了させる。
【0008】
上記厚み測定手段は、上記第2の保持面測定手段が測定した値と上記上面測定手段が測定した値との差を板状ワーク厚みとして算出する第3の算出手段と、上記保持面測定手段が測定した値と上記第2の上面測定手段が測定した値との差を板状ワーク厚みとして算出する第4の算出手段と、を備え、上記制御手段は、該研削砥石による研削によって該保持面に保持された板状ワークが所定の厚みより薄くなることを防止するために上記算出手段、上記第2の算出手段、該第3の算出手段、該第4の算出手段がそれぞれ算出した板状ワーク厚みのいずれかが予め設定した厚みに達したら該研削手段を該保持面から遠ざかる方向に移動させ研削を終了させる。
【0009】
さらに、上記研削装置は、上記保持面測定手段、上記上面測定手段、上記第2の保持面測定手段又は上記第2の上面測定手段が故障していることを判断する判断手段を備え、該判断手段は、上記算出手段、上記第2の算出手段、上記第3の算出手段、上記第4の算出手段がそれぞれ算出した板状ワーク厚みと予め設定した厚みとの差が予め設定した許容値よりも大きい板状ワーク厚みを算出した該算出手段、該第2の算出手段、該第3の算出手段、該第4の算出手段にそれぞれ対応する該保持面測定手段、該上面測定手段、該第2の保持面測定手段、該第2の上面測定手段が故障していると判断する。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる研削装置は、板状ワークを保持する保持面を有する保持テーブルと、保持テーブルに保持された板状ワークを研削する研削手段と、研削手段を保持面に垂直方向に研削送りする研削送り手段と、保持テーブルに保持され研削手段により研削される板状ワークの厚みを測定する厚み測定手段と、少なくとも研削送り手段を制御する制御手段とを備え、厚み測定手段は、保持テーブルの保持面の高さを測定する保持面測定手段と、保持面で保持した板状ワークの上面の高さを測定する上面測定手段と、上面測定手段が測定した値と保持面測定手段が測定した値との差を板状ワーク厚みとして算出する算出手段とを備え、さらに、上面測定手段とは別に保持面で保持した板状ワークの上面の高さを測定する第2の上面測定手段を備え、算出手段は、第2の上面測定手段が測定した値と保持面測定手段が測定した値との差を第2の板状ワーク厚みとして算出し、制御手段は、算出手段が算出した板状ワーク厚みと第2の板状ワーク厚みとのいずれかが予め設定した厚みに達したら研削を終了させる構成としたため、例えば、上面測定手段が故障したとしても、故障していない第2の上面測定手段を用いることができるため、実際の板状ワークの厚みよりも厚い厚みを算出することなく、板状ワークの厚みを正確に測定することができる。よって、板状ワークが所定の厚みよりも薄く研削されることを防止でき、板状ワークを破棄する必要がなくなる。
【0011】
また、本発明にかかる研削装置は、板状ワークを保持する保持面を有する保持テーブルと、保持テーブルに保持された板状ワークを研削する研削手段と、研削手段を保持面に垂直方向に研削送りする研削送り手段と、保持テーブルに保持され研削手段により研削される板状ワークの厚みを測定する厚み測定手段と、少なくとも研削送り手段を制御する制御手段とを備え、保持テーブルの保持面の高さを測定する保持面測定手段と、保持テーブルの保持面で保持した板状ワークの上面の高さを測定する上面測定手段と、上面測定手段が測定した値と保持面測定手段が測定した値との差を板状ワーク厚みとして算出する算出手段とを備え、さらに、保持面測定手段とは別に保持テーブルの保持面の高さを測定する第2の保持面測定手段と、上面測定手段とは別に保持テーブルの保持面で保持した板状ワークの上面の高さを測定する第2の上面測定手段と、第2の上面測定手段が測定した値と第2の保持面測定手段が測定した値との差を板状ワーク厚みとして算出する第2の算出手段とを備え、制御手段は、算出手段が算出した板状ワーク厚みと第2の算出手段が算出した板状ワーク厚みとのいずれかが予め設定した厚みに達したら研削を終了させる構成としたため、例えば、保持測定手段が故障したとしても、故障していない第2の保持面測定手段を用いることができるため、実際の板状ワークの厚みよりも薄い厚みを算出することなく、板状ワークの厚みを正確に測定することができる。よって、板状ワークが所定の厚みに達するまで、精度よく研削することが可能とな
【0012】
上記厚み測定手段は、上記第2の保持面測定手段が測定した値と上記上面測定手段が測定した値との差を板状ワーク厚みとして算出する第3の算出手段と、上記保持面測定手段が測定した値と上記第2の上面測定手段が測定した値との差を板状ワーク厚みとして算出する第4の算出手段とを備えたため、上記算出手段,上記第2の算出手段,該第3の算出手段及び該第4の算出手段によって、4通りの組み合わせによる算出によって板状ワークの厚みをそれぞれ算出でき、該保持測定手段,該上面測定手段、該第2の保持面測定手段又は該第2の上面測定手段のいずれかが故障したとしても、故障していない測定手段を用いることができ、板状ワークの厚みを正確に算出することができる。
【0013】
さらに、上記研削装置は、上記保持面測定手段,上記上面測定手段,上記第2の保持面測定手段又は上記第2の上面測定手段が故障していることを判断する判断手段を備え、該判断手段は、上記算出手段,上記第2の算出手段,上記第3の算出手段,上記第4の算出手段がそれぞれ算出した板状ワーク厚みと予め設定した厚みとの差が予め設定した許容値よりも大きい板状ワーク厚みを算出した算出手段にそれぞれ対応する測定手段が故障していると判断するため、板状ワークの厚みを正確に把握して精度よく研削することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】研削装置の第1例の構成を示す斜視図である。
図2】研削装置の第1例に備える厚み測定手段の構成を示す平面図である。
図3】研削装置の第2例の構成を示す斜視図である。
図4】研削装置の第2例に備える厚み測定手段の構成を示す平面図である。
図5】研削装置の第3例の構成を示す斜視図である。
図6】研削装置の第3例に備える厚み測定手段の構成を示す平面図である。
図7】研削装置の第3例に備える厚み測定手段の保持面測定手段が故障した状態で板状ワークの厚みを測定する動作を説明する平面図である。
図8】研削装置の第3例に備える厚み測定手段の第2の上面測定手段が故障した状態で板状ワークの厚みを測定する動作を説明する平面図である。
図9】研削装置の第3例に備える厚み測定手段の保持面測定手段及び第2の上面測定手段が故障した状態で板状ワークの厚みを測定する動作を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1 第1の実施形態
図1に示す研削装置1は、被加工物である板状ワークを所定の厚みに研削する研削装置の第1例である。研削装置1は、Y軸方向に延在する装置ベース2と、装置ベース2のY軸方向後部側に立設されたコラム3とを有している。装置ベース2には、板状ワークを保持する保持面4aを有する保持テーブル4を備えている。保持テーブル4の保持面4aの周囲は、枠体5によって囲繞されており、枠体5の上面が保持面4aと同じ高さを有する基準面5aとなっている。保持テーブル4の周囲は、カバー6によって覆われており、図示しない移動手段によりY軸方向に移動することができる。
【0016】
研削装置1は、保持テーブル4に保持された板状ワークを研削する研削手段10と、研削手段10を保持テーブル4の保持面4aに対して垂直方向(Z軸方向)に研削送りする研削送り手段20とを備える。研削手段10は、コラム3の側方において研削送り手段20を介して配設されている。研削手段10は、Z軸方向の軸心を有するスピンドル11と、スピンドル11を回転可能に支持するスピンドルハウジング12を保持するホルダ13と、スピンドル11の上端に接続されたモータ14と、スピンドル11の下端にマウント15を介して配設された研削ホイール16と、研削ホイール16の下部に環状に装着され板状ワークを研削する研削砥石17とを備える。モータ14がスピンドル11を回転させることにより、研削ホイール16を所定の回転速度で回転させることができる。
【0017】
研削送り手段20は、Z軸方向に延在するボールネジ21と、ボールネジ21の一端に接続されたモータ22と、ボールネジ21と平行に延在する一対のガイドレール23と、一方の面がホルダ13に連結された昇降板24とを備える。昇降板24の他方の面には一対のガイドレール23が摺接し、昇降板24の中央部に形成されたナットにはボールネジ21が螺合している。そして、モータ22によってボールネジ21が回動することにより、一対のガイドレール23に沿って昇降板24をZ軸方向に昇降させて研削手段10をZ軸方向に昇降させることができる。
【0018】
装置ベース2の上面には、保持テーブル4に保持され研削手段10によって研削される板状ワークの厚みを測定する厚み測定手段30を備える。厚み測定手段30は、保持テーブル4の保持面4aの高さを測定する保持面測定手段32と、保持テーブル4の保持面4aで保持した板状ワークの上面の高さを測定する上面測定手段31と、上面測定手段31が測定した測定値と保持面測定手段32が測定した測定値との差を板状ワークの厚みとして算出する算出手段35とを備え、さらに、上面測定手段31とは別に保持面4aで保持した板状ワークの上面の高さを測定する第2の上面測定手段33を備える。
【0019】
上面測定手段31,保持面測定手段32及び第2の上面測定手段33は、接触式のハイトゲージである。上面測定手段31及び保持面測定手段32は、装置ベース2の上面に立設された接続部7の端部に接続されている。上面測定手段31は、保持テーブル4の保持面4a側に位置し、保持面4aに保持される板状ワークの上面に接触させるための測定子31aを備える。上面測定手段31は、測定子31aが保持テーブル4に保持される板状ワークの上面に接触したときの高さを板状ワークの上面高さとして測定することができる。保持面測定手段32は、枠体5の基準面5a側に位置し、基準面5aに接触させるための測定子32aを備える。保持面測定手段32は、測定子32aが基準面5aに接触したときの高さを保持テーブル4の保持面4aの高さとして測定することができる。
【0020】
第2の上面測定手段33は、装置ベース2の上面に立設された接続部8の端部に接続されている。第2の上面測定手段33は、上面測定手段31と対向した位置で、かつ保持テーブル4の保持面4a側に位置し、保持面4aに保持される板状ワークの上面に接触させるための測定子33aを備える。第2の上面測定手段33は、上面測定手段31と同様に、測定子33aが保持テーブル4に保持される板状ワークの上面に接触したときの高さを
板状ワークの上面高さとして測定することができる。
【0021】
算出手段35は、保持面測定手段32が測定した測定値と上面測定手段31が測定した測定値との差を板状ワーク厚みとして算出することができる。また、算出手段35は、保持面測定手段32が測定した測定値と第2の上面測定手段33が測定した測定値との差を第2の板状ワーク厚みとして算出することができる。
【0022】
研削装置1は、少なくとも研削送り手段20を制御する制御手段40を備え、制御手段40は、算出手段35に接続されている。制御手段40は、CPUや、メモリなどの記憶素子を備えている。メモリには板状ワークの所定の厚み等が予め記憶される。そして、制御手段40は、算出手段35が算出した板状ワーク厚みと第2の板状ワーク厚みとのいずれかが予め制御手段40に設定した厚みに達したら研削送り手段20を制御することにより、板状ワークの研削を終了させることができる。
【0023】
次に、研削装置1において、図2に示す板状ワークWを研削しながら板状ワークWの厚みを測定する動作について説明する。板状ワークWは、円形板状の被加工物の一例であって、その上面Waが研削される被研削面となっている。研削装置1による板状ワークWの研削を開始する前には、ゼロリセットと称される工程を実施して厚み測定手段30が保持テーブル4の保持面4aと接触する高さ位置を原点(厚み測定の基準値[0])とし、その原点を制御手段40に設定しておく。また、研削前の板状ワークWの厚み(例えば1mm)及び研削後の所定の厚み(例えば200μm)も制御手段40に予め設定しておく。
【0024】
板状ワークWの研削を開始する場合は、図1に示す保持テーブル4の保持面4aに板状ワークWを載置し、図示しない吸引源によって保持面4aで板状ワークWを吸引保持したら、保持テーブル4を回転させながら研削手段10の下方に移動させる。次いで、研削送り手段20により、研削手段10を保持テーブル4の保持面4aに対して垂直方向に下降させる。そして、研削手段10は、研削ホイール16を回転させながら、研削砥石17で板状ワークWを押圧しながら所定の厚みに至るまで研削する。
【0025】
板状ワークWの研削中は、図2に示すように、厚み測定手段30によって板状ワークWの厚みの変化を監視する。図中の点線で示す算出パターンC1は、上面測定手段31と保持面測定手段32との組み合わせによって板状ワークWの厚みを算出する場合を示し、図中の点線で示す算出パターンC2は、第2の上面測定手段33と保持面測定手段32との組み合わせによって板状ワークWの厚みを算出する場合を示している。
【0026】
算出パターンC1では、保持面測定手段32の測定子32aを枠体5の基準面5aに接触させて、図1に示した保持面4aの高さを測定し、その測定値を算出手段35に送るとともに、上面測定手段31の測定子31aを板状ワークWの上面Waに接触させて、板状ワークWの上面Waの高さを測定し、その測定値を算出手段35に送る。算出手段35は、保持面測定手段32が測定した測定値と上面測定手段31が測定した測定値との差を求めて板状ワーク厚みとして算出する。算出された板状ワーク厚みは制御手段40に送られる。
【0027】
また、算出パターンC2では、第2の上面測定手段33の測定子33aを板状ワークWの上面Waに接触させて、板状ワークWの上面Waの高さを測定し、その測定値を算出手段35に送る。算出手段35は、保持面測定手段32が測定した測定値と第2の上面測定手段33が測定した測定値との差を求めて第2の板状ワーク厚みとして算出する。算出された第2の板状ワーク厚みは制御手段40に送られる。
【0028】
次いで、制御手段40は、算出手段35が算出した板状ワーク厚みと第2の板状ワーク
厚みとのいずれかが予め制御手段40に設定した所定の厚みに達したら板状ワークWの研削を終了させる。例えば、図2に示す上面測定手段31が故障した場合、測定子31aが板状ワークWの上面Waに追従せずに遅れて降下するため、算出パターンC1で板状ワークWの厚みを正確に測定することができない。つまり、異常が発生した算出パターンC1では実際の板状ワークWの厚みよりも厚い厚みを算出してしまうおそれがある。そのため、制御手段40は、正常な算出パターンC2によって算出された第2の板状ワーク厚みが所定の厚みに達したら、研削送り手段20を制御することで、研削手段10を上昇させ、研削を終了させる。
【0029】
このように、研削装置1は、板状ワークWを保持する保持面4aを有する保持テーブル4と、保持テーブル4に保持された板状ワークWを研削する研削手段10と、研削手段10を保持面4aに垂直方向に研削送りする研削送り手段20と、保持テーブル4に保持され研削手段10により研削される板状ワークWの厚みを測定する厚み測定手段30と、少なくとも研削送り手段20を制御する制御手段40とを備え、厚み測定手段30は、保持テーブル4の保持面4aの高さを測定する保持面測定手段32と、保持面4aで保持した板状ワークWの上面Waの高さを測定する上面測定手段31と、上面測定手段31が測定した測定値と保持面測定手段32が測定した測定値との差を板状ワーク厚みとして算出する算出手段35とを備え、さらに、上面測定手段31とは別に保持面4aで保持した板状ワークWの上面Waの高さを測定する第2の上面測定手段33を備え、算出手段35は、第2の上面測定手段33が測定した測定値と保持面測定手段32が測定した測定値との差を第2の板状ワーク厚みとして算出し、制御手段40は、算出手段35が算出した板状ワーク厚みと第2の板状ワーク厚みとのいずれかが予め設定した所定の厚みに達したら研削を終了させる構成としたため、上面測定手段31又は第2の上面測定手段33のいずれか一方が故障したとしても、故障していない他方を用いることができるため、板状ワークWの厚みを正確に測定することができる。よって、板状ワークWが所定の厚みよりも薄く研削されることを防止でき、板状ワークWを破棄することがない。
【0030】
2 第2の実施形態
図3に示す研削装置1Aは、被加工物である板状ワークを所定の厚みに研削する研削装置の第2例である。研削装置1Aは、保持テーブル4に保持され研削手段10によって研削される板状ワークの厚みを測定する厚み測定手段30Aと、少なくとも研削送り手段20を制御する制御手段40aとを備え、厚み測定手段30A及び制御手段40aを備えた点以外は、上記の研削装置1と同様の構成となっている。
【0031】
厚み測定手段30Aは、保持テーブル4の保持面4aの高さを測定する保持面測定手段32と、保持テーブル4の保持面4aで保持した板状ワークの上面の高さを測定する上面測定手段31と、上面測定手段31が測定した測定値と保持面測定手段32が測定した測定値との差を板状ワーク厚みとして算出する算出手段35aとを備え、さらに、保持面測定手段32とは別に保持テーブル4の保持面4aの高さを測定する第2の保持面測定手段34と、上面測定手段31とは別に保持テーブル4の保持面4aで保持した板状ワークの上面の高さを測定する第2の上面測定手段33と、第2の上面測定手段33が測定した測定値と第2の保持面測定手段34が測定した測定値との差を板状ワーク厚みとして算出する第2の算出手段36とを備える。上面測定手段31,保持面測定手段32及び第2の上面測定手段33の構成及び配設位置は、上記の研削装置1と同様である。
【0032】
第2の保持面測定手段34は、装置ベース2の上面に立設された接続部8の端部に接続されている。第2の保持面測定手段34は、保持面測定手段32と対向した位置で、かつ枠体5の基準面5a側に位置し、基準面5aに接触させるための測定子34aを備える。第2の保持面測定手段34は、測定子34aが基準面5aに接触したときの高さを保持テーブル4の保持面4aの高さとして測定することができる。
【0033】
算出手段35aは、保持面測定手段32が測定した測定値と上面測定手段31が測定した測定値との差を板状ワーク厚みとして算出することができる。また、第2の算出手段36は、第2の保持面測定手段34が測定した測定値と第2の上面測定手段33が測定した測定値との差を板状ワーク厚みとして算出することができる。制御手段40aは、算出手段35a及び第2の算出手段36に接続されている。制御手段40aのメモリには板状ワークの所定の厚み等が予め記憶される。そして、制御手段40aは、算出手段35aが算出した板状ワーク厚みと第2の算出手段36が算出した板状ワーク厚みとのいずれかが予め制御手段40aに設定した所定の厚みに達したら研削送り手段20を制御することにより、板状ワークの研削を終了させることができる。
【0034】
次に、研削装置1Aにおいて、図4に示す板状ワークWを研削しながら板状ワークWの厚みを測定する動作について説明する。研削装置1Aによる板状ワークWの研削を開始する前には、研削装置1と同様に、ゼロリセットを実施して厚み測定手段30Aが保持テーブル4の保持面4aと接触する高さ位置を原点として制御手段40aに設定しておく。研削前の板状ワークWの厚み及び研削後の所定の厚みも制御手段40aに予め設定しておく。なお、板状ワークWの研削動作は、上記の研削装置1と同様である。
【0035】
板状ワークWの研削中は、図4に示すように、厚み測定手段30Aによって板状ワークWの厚みの変化を監視する。図中の点線で示す算出パターンC1は、第1の実施形態と同様に、上面測定手段31と保持面測定手段32との組み合わせによって板状ワークWの厚みを算出する場合を示しており、算出手段35aが、保持面測定手段32が測定した測定値と上面測定手段31が測定した測定値との差を求めて板状ワーク厚みとして算出する。そして、算出された板状ワーク厚みは制御手段40aに送られる。
【0036】
図中の点線で示す算出パターンC2は、第2の上面測定手段33と第2の保持面測定手段34との組み合わせによって板状ワークWの厚みを算出する場合を示している。算出パターンC2では、第2の保持面測定手段34の測定子34aを基準面5aに接触させて、図3に示した保持面4aの高さを測定し、その測定値を第2の算出手段36に送るとともに、第2の上面測定手段33の測定子33aを板状ワークWの上面Waに接触させて、板状ワークWの上面Waの高さを測定し、その測定値を第2の算出手段36に送る。第2の算出手段36は、第2の保持面測定手段34が測定した測定値と第2の上面測定手段33が測定した測定値との差を求めて板状ワーク厚みとして算出する。算出された板状ワーク厚みは制御手段40aに送られる。
【0037】
次いで、制御手段40aは、算出手段35aが算出した板状ワーク厚みと第2の算出手段36が算出した板状ワーク厚みとのいずれかが予め制御手段40aに設定した所定の厚みに達したら板状ワークWの研削を終了させる。例えば、保持面測定手段32がゼロリセットの実施前又はゼロリセットの実施後に故障した場合、測定子32aが基準面5aに対して降下しないため、算出パターンC1で板状ワークWの厚みを正確に測定することができない。つまり、異常が発生した算出パターンC1では実際の板状ワークWの厚みよりも薄い厚みを算出してしまうおそれがある。そのため、制御手段40aは、正常な算出パターンC2によって算出された板状ワーク厚みが所定の厚みに達したら、研削送り手段20を制御することで、研削手段10を上昇させ、研削を終了させる。
【0038】
このように、研削装置1Aは、板状ワークWを保持する保持面4aを有する保持テーブル4と、保持テーブル4に保持された板状ワークWを研削する研削手段10と、研削手段10を保持面4aに垂直方向に研削送りする研削送り手段20と、保持テーブル4に保持され研削手段10により研削される板状ワークWの厚みを測定する厚み測定手段30Aと、少なくとも研削送り手段20を制御する制御手段40aとを備え、保持テーブル4の保
持面4aの高さを測定する保持面測定手段32と、保持テーブル4の保持面4aで保持した板状ワークの上面の高さを測定する上面測定手段31と、上面測定手段31が測定した測定値と保持面測定手段32が測定した測定値との差を板状ワーク厚みとして算出する算出手段35aとを備え、さらに、保持面測定手段32とは別に保持テーブル4の保持面4aの高さを測定する第2の保持面測定手段34と、上面測定手段31とは別に保持テーブル4の保持面4aで保持した板状ワークの上面の高さを測定する第2の上面測定手段33と、第2の上面測定手段33が測定した測定値と第2の保持面測定手段34が測定した測定値との差を板状ワーク厚みとして算出する第2の算出手段36とを備え、制御手段40aは、算出手段35aが算出した板状ワーク厚みと第2の算出手段36が算出した板状ワーク厚みとのいずれかが予め設定した厚みに達したら研削を終了させる構成としたため、保持面測定手段32又は第2の保持面測定手段34のいずれか一方が故障したとしても、故障していない他方を用いることができるため、板状ワークWの厚みを正確に測定することができる。よって、板状ワークWが所定の厚みに達するまで、精度よく研削することが可能となる。また、研削装置1Aは、上記の研削装置1と同様に、上面測定手段31又は第2の上面測定手段33のいずれか一方が故障したとしても、故障していない他方を用いることができるため、板状ワークWの厚みを正確に測定でき、所定の厚みに研削して板状ワークWを破棄することがない。
【0039】
3 第3の実施形態
図5に示す研削装置1Bは、被加工物である板状ワークを所定の厚みに研削する研削装置の第3例である。研削装置1Bは、保持テーブル4に保持され研削手段10によって研削される板状ワークの厚みを測定する厚み測定手段30Bと、少なくとも研削送り手段20を制御する制御手段40bと、保持面測定手段32、上面測定手段31、第2の保持面測定手段34又は第2の上面測定手段33が故障していることを判断する判断手段50とを備え、厚み測定手段30B,制御手段40b及び判断手段50を備えた点以外は、上記の研削装置1と同様となっている。
【0040】
厚み測定手段30Bは、上記の厚み測定手段30Aの構成に加えて、第2の保持面測定手段34が測定した測定値と上面測定手段31が測定した測定値との差を板状ワーク厚みとして算出する第3の算出手段37と、保持面測定手段32が測定した測定値と第2の上面測定手段33が測定した測定値との差を板状ワーク厚みとして算出する第4の算出手段38とを備える。上面測定手段31,保持面測定手段32,第2の上面測定手段33及び第2の保持面測定手段34の構成及び配設位置は上記の第2の実施形態と同様である。
【0041】
制御手段40bは、算出手段35a,第2の算出手段36,第3の算出手段37及び第4の算出手段38に接続されている。制御手段40bのメモリには板状ワークの所定の厚み等が予め記憶される。そして、制御手段40bは、算出手段35a,第2の算出手段36,第3の算出手段37及び第4の算出手段38が算出したそれぞれの板状ワーク厚みのいずれかが予め制御手段40bに設定した厚みに達したら、研削送り手段20を制御することにより、板状ワークの研削を終了させることができる。
【0042】
判断手段50は、算出手段35a,第2の算出手段36,第3の算出手段37,第4の算出手段38がそれぞれ算出した板状ワーク厚みと予め設定した厚みとの差が予め設定した許容値よりも大きい板状ワーク厚みを算出した算出手段35a,第2の算出手段36,第3の算出手段37,第4の算出手段38にそれぞれ対応する保持面測定手段32,上面測定手段31,第2の保持面測定手段34,第2の上面測定手段33が故障していると判断することが可能となっている。
【0043】
次に、研削装置1Bにおいて、図6に示す板状ワークWを研削しながら板状ワークWの厚みを測定する動作について説明する。研削装置1Bによる板状ワークWの研削を開始す
る前には、研削装置1と同様に、ゼロリセットを実施して厚み測定手段30Bが保持テーブル4の保持面4aと接触する高さ位置を原点として制御手段40bに設定しておく。研削前の板状ワークWの厚み及び研削後の所定の厚みも制御手段40bに予め設定しておく。また、制御手段40bには、厚み測定手段30Bによって測定される板状ワーク厚みと所定の厚みとの差の許容範囲を示す許容値を予め設定しておく。さらに、判断手段50が故障していると判断した測定手段は使用しないことを研削装置1Bに設定しておくとよい。なお、板状ワークWの研削動作は、上記の研削装置1と同様である。
【0044】
板状ワークWの研削中は、厚み測定手段30Bによって板状ワークWの厚みの変化を監視する。図中の点線で示す算出パターンC3は、第2の保持面測定手段34と上面測定手段31との組み合わせによって板状ワークWの厚みを算出する場合を示し、図中の点線で示す算出パターンC4は、保持面測定手段32と第2の上面測定手段33との組み合わせによって板状ワークWの厚みを算出する場合を示している。図中の点線で示す算出パターンC1及び算出パターンC2は、第2の実施形態と同様である。
【0045】
算出パターンC3では、第2の保持面測定手段34の測定子34aを基準面5aに接触させて、図5に示した保持面4aの高さを測定し、その測定値を第3の算出手段37に送るとともに、上面測定手段31の測定子31aを板状ワークWの上面Waに接触させて、板状ワークWの上面Waの高さを測定し、その測定値を第3の算出手段37に送る。第3の算出手段37は、第2の保持面測定手段34が測定した測定値と上面測定手段31が測定した測定値との差を求めて板状ワーク厚みとして算出する。算出された板状ワーク厚みは制御手段40bに送られる。
【0046】
算出パターンC4では、保持面測定手段32の測定子32aを基準面5aに接触させて、図5に示した保持面4aの高さを測定し、その測定値を第4の算出手段38に送るとともに、第2の上面測定手段33の測定子33aを板状ワークWの上面Waに接触させて、板状ワークWの上面Waの高さを測定し、その測定値を第4の算出手段38に送る。第4の算出手段38は、保持面測定手段32が測定した測定値と第2の上面測定手段33が測定した測定値との差を求めて板状ワーク厚みとして算出する。算出された板状ワーク厚みは制御手段40bに送られる。
【0047】
次いで、制御手段40bは、算出手段35a,第2の算出手段36,第3の算出手段37及び第4の算出手段38がそれぞれ算出した板状ワーク厚みのいずれかが予め制御手段40bに設定した所定の厚みに達したら板状ワークWの研削を終了させる。ここで、図7に示すように、保持面測定手段32が故障している場合(黒色を施して図示した部分)は、測定子32aが基準面5aに対して降下しないため、算出パターンC2,C3の測定値よりも算出パターンC1,C4(網掛けを施して図示した部分)の測定値の方が大きくなる。算出パターンC1,C4によって算出された測定値が許容値を超えている場合、実際の板状ワークWの厚みよりも大きい厚みを算出したものとして異常が発生していると確認することができる。そのため、図5に示した判断手段50は、算出パターンC1,C4の双方に対応する保持面測定手段32が故障していると判断する。そして、制御手段40bは、算出パターンC2又はC3が算出した板状ワーク厚みのいずれかが予め設定した厚みに達したら、研削送り手段20を制御することで、研削手段10を上昇させ、研削を終了させることができる。故障した保持面測定手段32は継続して使用されず、修理や交換等される。
【0048】
図8に示すように、例えば、第2の上面測定手段33が故障している場合(黒色を施して図示した部分)は、測定子33aが板状ワークWの上面Waに追従せずに遅れて降下するため、算出パターンC1,C3の測定値よりも、算出パターンC2,C4(網掛けを施して図示した部分)の測定値の方が大きくなる。この算出パターンC2,C4によって算
出された測定値が許容値を超えている場合、実際の板状ワークWの厚みよりも大きい厚みを算出したものとして異常が発生していると確認することができる。そのため、図5に示した判断手段50は、算出パターンC2,C4の双方に対応する第2の上面測定手段33が故障していると判断する。そして、制御手段40bは、正常な算出パターンC1又はC3が算出した板状ワーク厚みのいずれかが予め設定した厚みに達したら、研削送り手段20を制御することで、研削手段10を上昇させ、研削を終了させる。故障した第2の上面測定手段33は継続して使用されず、修理や交換等される。
【0049】
図9に示すように、例えば、保持面測定手段32及び第2の上面測定手段33が故障している場合(黒色を施して図示した部分)は、算出パターンC3の測定値よりも、算出パターンC1,C2及びC4(網掛けを施して図示した部分)の測定値の方が大きくなる。算出パターンC1,C2及びC4によって算出された測定値が許容値を超えている場合、実際の板状ワークWの厚みよりも大きい厚みを算出したものとして異常が発生していると確認することができる。そのため、図5に示した判断手段50は、算出パターンC1,C2及びC4に対応する保持面測定手段32及び第2の上面測定手段33が故障していると判断する。そして、制御手段40bは、算出パターンC3が算出した板状ワーク厚みが予め設定した厚みに達したら、研削送り手段20を制御することで、研削手段10を上昇させ、研削を終了させる。故障した保持面測定手段32及び第2の上面測定手段33は継続して使用されず、修理や交換等される。
【0050】
このように、研削装置1Bは、保持テーブル4に保持され研削手段10によって研削される板状ワークの厚みを測定する厚み測定手段30Bと、研削送り手段20を制御する制御手段40bとを備え、厚み測定手段30Bは、上記の厚み測定手段30Aの構成に加えて、第2の保持面測定手段34が測定した測定値と上面測定手段31が測定した測定値との差を板状ワーク厚みとして算出する第3の算出手段37と、保持面測定手段32が測定した測定値と第2の上面測定手段33が測定した測定値との差を板状ワーク厚みとして算出する第4の算出手段38とを備えたため、4通りの組み合わせ(算出パターンC1,C2,C3及びC4)によって板状ワークWの厚みをそれぞれ算出でき、いずれかの測定手段が故障したとしても、板状ワークWの厚みを正確に算出することができる。
また、研削装置1Bは、保持面測定手段32、上面測定手段31、第2の保持面測定手段34又は第2の上面測定手段33が故障していることを判断する判断手段50とを備え、判断手段50は、算出手段35a,第2の算出手段36,第3の算出手段37,第4の算出手段38がそれぞれ算出した板状ワーク厚みと予め設定した厚みとの差が予め設定した許容値よりも大きい板状ワーク厚みを算出した算出手段にそれぞれ対応する測定手段が故障していると判断するため、板状ワークWの厚みを正確に把握して精度よく研削することが可能となる。
【符号の説明】
【0051】
1,1A,1B:研削装置 2:装置ベース 3:コラム 4:保持テーブル
4a:保持面 5:枠体 5a:基準面 6:カバー 7,8:接続部
10:研削手段 11:スピンドル 12:スピンドルハウジング 13:ホルダ
14:モータ 15:マウント 16:研削ホイール 17:研削砥石
20:研削送り手段 21:ボールネジ 22:モータ 23:ガイドレール
24:昇降板
30,30A,30B:厚み測定手段 31:上面測定手段 31a:測定子
32:保持面測定手段 32a:測定子 33:第2の上面測定手段 33a:測定子
34:第2の保持面測定手段 34a:測定子
35,35a:算出手段 36:第2の算出手段 37:第3の算出手段
38:第4の算出手段 40,40a,40b:制御手段 50:判断手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9