特許第6788668号(P6788668)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6788668ブロックコポリマーの自己組織化のための組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6788668
(24)【登録日】2020年11月4日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】ブロックコポリマーの自己組織化のための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 33/04 20060101AFI20201116BHJP
   C08L 25/04 20060101ALI20201116BHJP
   C08F 220/12 20060101ALI20201116BHJP
   C08F 212/06 20060101ALI20201116BHJP
   C08F 212/32 20060101ALI20201116BHJP
   C09D 133/06 20060101ALI20201116BHJP
   C09D 125/02 20060101ALI20201116BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20201116BHJP
   C09D 125/14 20060101ALI20201116BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   C08L33/04
   C08L25/04
   C08F220/12
   C08F212/06
   C08F212/32
   C09D133/06
   C09D125/02
   C09D5/00 D
   C09D5/00 Z
   C09D125/14
   B32B27/30 A
   B32B27/30 B
【請求項の数】16
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2018-519469(P2018-519469)
(86)(22)【出願日】2016年10月13日
(65)【公表番号】特表2018-538382(P2018-538382A)
(43)【公表日】2018年12月27日
(86)【国際出願番号】EP2016074614
(87)【国際公開番号】WO2017064199
(87)【国際公開日】20170420
【審査請求日】2019年8月16日
(31)【優先権主張番号】14/885,328
(32)【優先日】2015年10月16日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】キム・イフン
(72)【発明者】
【氏名】イン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ウー・ヘンペン
(72)【発明者】
【氏名】シャン・ジエンホゥイ
(72)【発明者】
【氏名】リン・グァンヤン
【審査官】 三宅 澄也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−528015(JP,A)
【文献】 特表2015−528026(JP,A)
【文献】 特表2011−518652(JP,A)
【文献】 特表2011−523504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C 19/00− 19/44
C08F 6/00−246/00
301/00
C08F 4/00− 4/58
4/72− 4/82
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造(1)の少なくとも一つの単位、構造(2)の少なくとも一つの単位、構造(3)の少なくとも一つの単位、
【化1】
及び構造(1’)を有する一つの末端基を有する少なくとも一つのランダムコポリマーを含む組成物:
【化2】
式中、Rは、C〜Cアルキル、C〜Cフルオロアルキル、C〜C部分フッ素化アルキル部分、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロフルオロアルキル、C〜C部分フッ素化シクロアルキル、及びC〜Cヒドロキシアルキルからなる群から選択され;R、R及びRは、独立して、H、C〜Cアルキル、CF及びFからなる群から選択され;Rは、H、C〜Cアルキル、C〜C部分フッ素化アルキル部分、及びC〜Cフルオロアルキルからなる群から選択され;nは1〜5の範囲であり、Rは、H、F、C〜Cアルキル及びC〜Cフルオロアルキルからなる群から選択され;mは1〜3の範囲であり;n’は1〜5の範囲であり;n’’は1〜5の範囲であり;n’’’は1〜5の範囲であり;RはC〜Cアルキルであり;Xは−CNまたはアルキルオキシカルボニル部分R−O−(C=O)−(RはC〜Cアルキルである)であり;
そして
【化3】
は、該ランダムコポリマーに対する末端基の結合点を表し、
ここで、該組成物は、更に、溶剤を含む
【請求項2】
前記コポリマーが、グラフト、架橋しておりかつブロックコポリマーに対して中性層である層を形成することができる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記コポリマーが、グラフト、架橋しておりかつフォトレジスト用の有機溶剤中に可溶ではない中性層である層を形成することができる、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記コポリマーが、グラフト、架橋しておりかつ水性アルカリ性現像剤中に可溶ではない中性層である層を形成することができる、請求項1〜3のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項5】
がC〜Cアルキルからなる群から選択され;R、R及びRが、独立して、H及びC〜Cアルキルからなる群から選択され;Rが、H、C〜Cアルキルからなる群から選択され、そしてn=1であり;そしてRが、H、C〜Cアルキルからなる群から選択され、そしてm=1である、請求項1〜4のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項6】
構造(3)の単位が10モル%〜45モル%の範囲である、請求項1〜のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項7】
前記ブロックコポリマーがポリ(スチレン−b−メチルメタクリレート)である、請求項2〜のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項8】
酸発生剤を更に含む、請求項1〜のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項9】
熱酸発生剤を更に含む、請求項1〜のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項10】
構造(1)の少なくとも一つの繰り返し単位、構造(2)の少なくとも一つの繰り返し単位、構造(3)の少なくとも一つの繰り返し単位、
【化4】
及び構造(1’)を有する一つの末端基を有するランダムコポリマー:
【化5】
式中、Rは、C〜Cアルキル、C〜Cフルオロアルキル、C〜C部分フッ素化アルキル部分、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロフルオロアルキル、C〜C部分フッ素化シクロアルキル、及びC〜Cヒドロキシアルキルからなる群から選択され;R、R及びRは、独立して、H、C〜Cアルキル、CF及びFからなる群から選択され;Rは、H、C〜Cアルキル、C〜C部分フッ素化アルキル部分、及びC〜Cフルオロアルキルからなる群から選択され、nは1〜5の範囲であり、Rは、H、F、C〜Cアルキル及びC〜Cフルオロアルキルからなる群から選択され、そしてmは1〜3の範囲であり、及びn’は1〜5の範囲であり、そしてn’’は1〜5の範囲であり、n’’’は1〜5の範囲であり、RはC〜Cアルキルであり、そしてXは−CNまたはアルキルオキシカルボニル部分R−O−(C=O)−であり、ここでRはC〜Cアルキルであり、
そして
【化6】
は、該ランダムコポリマーに対する前記末端基の結合点を表す。
【請求項11】
コポリマーのグラフト及び架橋したコーティングを基材上に形成する方法であって、次のステップ:
a)請求項1〜のいずれか一つに記載の組成物のコーティングを基材上に形成するステップ;
b)このコーティングを90℃〜180℃の間の温度で加熱して、溶剤を除去しそしてコポリマーのグラフトしたコーティング層を形成するステップ;
c)このグラフトしたコーティング層を200℃〜250℃の間の温度で加熱して、架橋されたコポリマーコーティング層を形成するステップ;
を含む前記方法。
【請求項12】
自己組織化したブロックコポリマーコーティング層を中性層コーティング上に形成する方法であって、次のステップ:
a)請求項1〜のいずれか一つに記載の組成物のコーティングを基材上に形成するステップ;
b)このコーティングを90℃〜180℃の間の温度で加熱して、溶剤を除去しそしてコポリマーのグラフトしたコーティング層を形成するステップ;
c)このグラフトしたコーティング層を200℃〜250℃の間の温度で加熱してコポリマーを架橋して、中性コーティング層を形成するステップ;
d)上記中性コーティング層の上にブロックコポリマーを施与し、そしてこのブロックコポリマー層の誘導自己組織化が起こるまでアニールするステップ;
を含む前記方法。
【請求項13】
画像を形成するために使用されるブロックコポリマー層のグラフォエピタキシ誘導自己組織化方法であって、次のステップ:
a)請求項1〜のいずれか一つに記載の組成物のコーティングを基材上に形成するステップ;
b)このコーティングを90℃〜180℃の間の温度で加熱して、グラフトしたコーティング層を形成するステップ;
c)このグラフトしたコーティング層を200℃〜300℃の間の温度で加熱して、架橋及びグラフトした中性層を形成するステップ;
d)この架橋及びグラフトした中性層上にフォトレジスト層のコーティングを提供するステップ;
e)露光及び現像を介してフォトレジスト層中にパターンを形成するステップ;
f)エッチング耐性ブロックと高エッチング可能ブロックとを含むブロックコポリマーを前記フォトレジストパターン上に施与し、そして誘導自己組織化が起こるまでアニールするステップ;及び
g)前記ブロックコポリマーをエッチングし、それによって前記コポリマーの高エッチング可能ブロックを除去してパターンを形成するステップ;
を含む前記方法。
【請求項14】
フォトレジスト層中のパターンが、電子線、ブロードバンド、193nm液浸リソグラフィ、13.5nm、193nm、248nm、365nm及び436nmからなる群から選択される画像形成リソグラフィによって形成される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
画像を形成するために使用されるブロックコポリマー層のケモエピタキシ誘導自己組織化方法であって、次のステップ:
a)請求項1〜のいずれか一つに記載の組成物のコーティングを基材上に形成するステップ;
b)このコーティングを90℃〜180℃の間の温度で加熱して、溶剤を除去しそしてグラフトしたコーティング層を形成するステップ;
c)このグラフトしたコーティング層を200℃〜300℃の間の温度で加熱して、架橋及びグラフトした中性層を形成するステップ;
d)この架橋及びグラフトした中性層上にフォトレジスト層のコーティングを提供するステップ;
e)露光及び現像を介してフォトレジスト層中にパターンを形成し、それによって中性層がレジストによって覆われていない領域を形成するステップ;
f)被覆されていない中性層を処理するステップ;
g)フォトレジストを除去するステップ;
h)エッチング耐性ブロックと高エッチング可能ブロックとを含むブロックコポリマーを中性層上に施与し、そして誘導自己組織化が起こるまでアニールするステップ;及び
i)前記ブロックコポリマーをエッチングし、それによって前記コポリマーの高エッチング可能ブロックを除去してパターンを形成するステップ;
を含む前記方法。
【請求項16】
フォトレジスト層中のパターンが、電子線、ブロードバンド、193nm液浸リソグラフィ、ブロードバンド、13.5nm、193nm、248nm、365nm及び436nmからなる群から選択される画像形成リソグラフィによって形成される、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ポリマー、新規組成物、及び誘導自己組織性ブロックコポリマー(BCP)のマイクロドメインを整列させるために該新規組成物を使用する新規方法に関する。該組成物及び方法は、電子デバイスの製造に有用である。
【背景技術】
【0002】
ブロックコポリマーの誘導自己組織化は、ナノスケールオーダーの図形の微小寸法(CD)を達成できる微細電子デバイスの製造のためのより一層小さなパターン化された図形を生成するために有用な方法である。誘導自己組織化法は、マイクロリソグラフィ技術の解像能力を拡張するために望ましい。慣用のリソグラフィ法では、基材または層状基材上にコーティングされたフォトレジストに対してマスクを介して露光するために紫外線(UV)を使用し得る。ポジ型もしくはネガ型フォトレジストが有用であり、そしてこれらは、慣用の集積回路(IC)プラズマ加工を用いた乾式現像を可能とするためにケイ素などの耐火性元素を含むこともできる。ポジ型フォトレジストでは、マスクを通過したUV放射線が、フォトレジスト中で光化学的反応を引き起こして、露光された領域が、現像剤溶液を用いてまたは慣用のICプラズマ加工によって除去されるようになる。これとは反対に、ネガ型フォトレジストでは、マスクを通過したUV放射線が、放射線に曝された領域を現像剤溶液を用いてまたは慣用のICプラズマ加工では除去され難くする。次いで、集積回路図形、例えばゲート、ビアまたはインターコネクタを、基材または層状基材中にエッチングし、そして残りのフォトレジストを除去する。慣用のリソグラフィ露光プロセスを用いた場合は、集積回路図形の図形寸法は制限される。パターン寸法の更なる縮小は、収差、焦点、プロキシミティ効果、達成可能な最小露光波長及び達成可能な最大開口数に関連した制限の故に放射線露光を用いては達成が困難である。大規模集積へのニーズの故に、デバイスの回路寸法及び図形は絶え間なく縮小されてきた。過去は、図形の最終の解像度は、それ自体に制限のある、フォトレジストの露光に使用される光の波長に依存してきた。ブロックコポリマー画像形成を用いたグラフォエピタキシ及びケモエピタキシなどの誘導集合技術は、CD変動を減少しながら解像度を向上するために使用される非常に望ましい技術である。これらの技術は、慣用のUVリソグラフィ技術を増強するか、あるいはEUV、電子線、ディープUVまたは液浸リソグラフィを使用する方策において更により高い解像度及びCDコントロールを可能とするために使用することができる。誘導自己組織性ブロックコポリマーは、エッチング耐性のコポリマー性単位のブロックと、エッチングされやすいコポリマー性単位のブロックを含み、このブロックコポリマーは、基材上でコーティング、整列及びエッチングされた時に、非常に高密度のパターンの領域を与える。
【0003】
グラフォエピタキシ誘導自己組織化方法では、ブロックコポリマーは、慣用のリソグラフィ(紫外線、ディープ紫外線、電子線、極端紫外線(EUV)露光源)を用いてプリパターン化されてライン/スペース(L/S)またはコンタクトホール(CH)パターンなどの繰り返しのトポグラフィ図形が形成されている基材の周りに自己組織化する。L/S誘導自己組織化アレイの一例では、ブロックコポリマーは、予めパターン化されたライン間のトレンチ中に異なるピッチの並行なライン−スペースパターンを形成できる自己整列したラメラ領域を形成して、トポグラフィカルライン間のトレンチ中の空間をより微細のパターンに分割することによりパターン解像度を増強することができる。例えば、ミクロ相分離することができ、かつプラズマエッチングに耐性のある炭素を豊富に含むブロック(例えばスチレンや、またはSi、Ge、Tiのような何らかの他の元素を含むもの)とプラズマエッチングまたは除去性が高いブロックとを含むジブロックコポリマーは、高解像度のパターン画定を供することができる。高エッチング性ブロックの例は、酸素を豊富に含みかつ耐火性元素を含まず、高エッチング性ブロックを形成することができるモノマー、例えばメチルメタクリレートを含み得る。自己組織化パターンを画定するエッチングプロセスに使用されるプラズマエッチングガスは、典型的には、集積回路(IC)の製造に用いられるプロセスに使用されるガスである。このようにして、慣用のリソグラフィ技術によって画定可能なものと比べて非常に微細なパターンを典型的なIC基材中に生成でき、そうしてパターンの増倍が達成される。同様に、慣用のリソグラフィによって画定されるコンタクトホールまたはポストのアレイの周りでの誘導自己組織化によって適当なブロックコポリマーがそれ自体で整列するグラフォエピタキシを用いることによってコンタクトホールなどの図形もより密度高く生成でき、そうしてエッチングした時にコンタクトホールのより密度の高いアレイを与えるエッチング可能なドメインとエッチング耐性のドメインとのより密度の高いアレイを形成する。その結果、グラフォエピタキシは、パターン調整及びパターン増倍の両方を提供する可能性を持つ。
【0004】
化学エピタキシまたはピン止め化学エピタキシでは、ブロックコポリマーの自己アセンブリは、異なる化学親和性の領域を持つが、自己組織化プロセスを誘導するトポグラフィを持たないかまたは僅かにしか持たない表面の周りに形成される。例えば、基材の表面を慣用のリソグラフィ(UV、DUV、電子線、EUV)を用いてパターン化することによって、表面ケミストリが照射によって変性された露光領域が、露光されておらず化学的変化がない領域と交互している異なる化学親和性の表面をライン・アンド・スペース(L/S)パターンで生成できる。これらの領域はトポグラフィの差異は持たないが、ブロックコポリマーセグメントの自己組織化を誘導する表面化学的差異またはピン止めを示す。具体的には、エッチング耐性の繰り返し単位(例えばスチレン繰り返し単位)及び高速エッチング性の繰り返し単位(例えばメチルメタクリレート繰り返し単位)を含むブロックセグメントを持つブロックコポリマーの誘導自己組織化は、パターン上でのエッチング耐性ブロックセグメントと高エッチング性のブロックセグメントの正確な配置を可能とするだろう。この技術は、これらのブロックコポリマーを正確に配置すること、及びその後に、プラズマまたはウェットエッチング加工の後に基材中にパターンをパターン転写することを可能にする。化学的エピタキシは、これを、化学的差異の変化によって微調整して、ラインエッジラフネス及びCDコントロールの向上を助けて、パターンの調整を可能とすることができるという利点を有する。繰り返しコンタクトホール(CH)アレイなどの他のタイプのパターンも、ケモエピタキシを用いてパターン調整することができる。
【0005】
中性層は、誘導自己組織化に使用されたブロックコポリマーのいずれのブロックセグメントにも親和性を持たない、基材上のまたは処理された基材の表面上の層である。ブロックコポリマーの誘導自己組織化のグラフォエピタキシ法では中性相が有用である、というのも、これらは、基材に対するエッチング耐性ブロックポリマーセグメント及び高エッチング性ブロックポリマーセグメントの適切な配置をもたらす誘導自己組織化のためのブロックポリマーセグメントの適切な配置または配向を可能とするからである。例えば、慣用の放射線リソグラフィで画定されたライン・アンド・スペース図形を含む表面では、中性層は、ブロックセグメントが基材の表面に対して垂直に配向するようにブロックセグメントが配向することを可能とするが、このような配向は、慣用のリソグラフィで画定されるライン間の長さに対するブロックコポリマー中のブロックセグメントの長さに依存するパターン調整とパターン増倍の両方に理想的な配向である。基材が、ブロックセグメントのうちの一つとあまりに強く相互作用すると、このセグメントがその表面上に平坦に横たわって、セグメント及び基材との間の接触面が最大化されるだろう;このような表面は、慣用のリソグラフィにより生成された図形に基づいたパターンの調整またはパターン増倍のいずれかを達成するために使用できる望ましい垂直な整列を乱すことになるであろう。基材の選択された小さな領域を変性またはピン止めして、これらを、ブロックコポリマーの一つのブロックと強く相互作用するようにし、基材の残部は中性層でコーティングされた状態で残すことは、ブロックコポリマーのドメインを所望の方向に整列させるのに有用であり得、そしてこれは、パターン増倍のために使用されるピン止めケモエピタキシまたはグラフォエピタキシの基本となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US8691925
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
新規コポリマー及び溶剤から構成された新規調合物からコーティングでき、かつコーティングの後に、半導体(例えば、Si、GaAs、及び類似物)、金属(Cu、W、Mo、Al、Zr、Ti、Hf、Au及び類似物)及び金属酸化物(酸化銅、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン及び類似物)基材上に、簡単なスピンコートを行い、その後、ポストコートベークすることにより、この層のグラフトによる基材に対する化学結合及び架橋の両方をもたらして架橋、グラフトした中性ポリマー層を形成することができる、該新規コポリマーへの要望がある。また、層へと形成した時に自己組織化ブロックコポリマーに対し中性のままで残るものの、誘導自己組織化技術の加工ステップによってなおもダメージを受けず、及び誘導自己組織化用材料及びプロセスのリソグラフィ性能を更に高めることができ、特に加工ステップの数を減らし及び良好なリソグラフィ性能を持ってより良好なパターン解像度を供し、及び施与された基材からの中性層のディウェッティングによって引き起こされる欠陥の形成を被らない、新規組成物中に使用できる新規ポリマーへの要望もある。本発明は、自己組織化用ブロックコポリマーに対して中性の架橋及びグラフトした層を形成しそして良好なリソグラフィ性能を持ってパターンを供する、新規方法、新規コポリマー及び新規組成物に関する。更に、中性層ポリマーにグラフト機能及び架橋機能の両方を兼ね備えることによって、驚くべきことに、中性層コポリマーが架橋機能のみを組み入れた場合に図らずしも発見された中性層のディウェッティングの問題が回避される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
構造(1)の少なくとも一つの単位、構造(2)の少なくとも一つの単位、構造(3)の少なくとも一つの単位、
【0009】
【化1】
及び次の構造(1’)を有する一つの末端基を有する少なくとも一つの新規ランダムコポリマーを含む新規組成物:
【0010】
【化2】
式中、Rは、C〜Cアルキル、C〜Cフルオロアルキル、C〜C部分フッ素化アルキル部分、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロフルオロアルキル、C〜C部分フッ素化シクロアルキル、及びC〜Cヒドロキシアルキルからなる群から選択され;R、R及びRは、独立して、H、C〜Cアルキル、CF及びFからなる群から選択され;Rは、H、C〜Cアルキル、C〜C部分フッ素化アルキル部分、及びC〜Cフルオロアルキルからなる群から選択され、nは1〜5の範囲であり、Rは、H、F、C〜Cアルキル及びC〜Cフルオロアルキルからなる群から選択され、そしてmは1〜3の範囲であり、及びn’は1〜5の範囲であり、そしてn’’は1〜5の範囲であり、n’’’は1〜5の範囲であり、RはC〜Cアルキルであり、そしてXは−CNまたはアルキルオキシカルボニル部分R−O−(C=O)−であり、ここでRはC〜Cアルキルであり、そして
【0011】
【化3】
は該コポリマーに対する末端基の結合点を表す。
【0012】
また本発明は、この新規組成物を用いた自己組織化または誘導自己整列リソグラフィを使用してパターンを形成するための新規方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1a〜1cは、自己整列プロセスを示す。
図2図2a〜2iは、ネガトーンライン増倍のためのプロセスを示す。
図3図3a〜3gは、ポジトーン増倍のためのプロセスを示す。
図4図4a〜4dは、コンタクトホールプロセスを示す。
図5図5は、合成例1からのコポリマーでできた調合物からスピンコートされたフィルムのディウェッティング欠陥のSEM画像を示す。
図6図6は、合成例2bからのコポリマーでできた調合物からスピンコートされたフィルム上でのブロックコポリマーの自己組織化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において、アルキルとは、線状もしくは分岐状であることができる飽和炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert−ブチル及び類似物)を指し、シクロアルキルは、一つの飽和環を含む炭化水素(例えばシクロヘキシル、シクロプロピル、シクロペンチル及び類似物)を指し、フルオロアルキルは、全ての水素がフッ素で置き換えられた線状もしくは分岐状飽和アルキル基を指し、シクロフルオロアルキルは、全ての水素がフッ素で置き換えられたシクロアルキル基を指し、部分フッ素化アルキルは、一部の水素がフッ素で置き換えられた線状もしくは分岐状飽和アルキル基を指し、部分フッ素化シクロアルキルは、一部の水素がフッ素で置き換えられたシクロアルキル基を指し、ヒドロキシアルキルは、少なくとも一つのヒドロキシ部分で置換されたアルキルもしくはシクロアルキル基(例えば、−CH−CH−OH、CH−CH(OH)−CH及び類似物)を指す。
【0015】
本発明は、高い解像度及び良好なリソグラフィ性を持ってパターンを形成するための、新規コポリマー、組成物、及び新規自己組織化及び誘導自己組織化方法に関する。該新規ポリマー及び溶剤を含む該新規組成物は、ブロックコポリマーの自己組織化及び誘導自己組織化と共に使用するための中性層を形成することができる。該中性層は、配向制御層であって、該層は、高解像度リソグラフィを得るために、中性層上にコーティングされたブロックコポリマーを、基材に対して所望の方向に整列させることを可能にする。また本発明は、該中性層組成物を使用する、グラフォエピタキシ及びケモエピタキシなどのブロックコポリマーの誘導自己組織化に使用するための新規方法にも関する。本発明は、UVリソグラフィ(450nm〜10nm)、液浸リソグラフィ、EUVまたは電子線などの慣用のリソグラフィ技術で作製された目的図形の解像度またはCD均一性の更なる改善をもたらす。本発明は、架橋及びグラフトの両方が可能な少なくとも一種の新規ランダムコポリマーを含む新規組成物に関する。一種超のこのような新規コポリマーを、本新規組成物中に使用してよい。該新規組成物は、ランダムコポリマー(複数種可)のみを含む。該新規コポリマーは、該新規コポリマー及び溶剤から構成された新規組成物からコーティングされた時に、自己組織化及び誘導自己組織化方法に使用されるブロックコポリマーの整列に関して中性の相互作用を有するが、該新規コポリマーは、高度の架橋及び基材に対する高度のグラフトの両方が可能であり、そのため、該中性層は中性のままであり、そして中性層上で起こるプロセス、例えば中性層上にコーティングされた層との相互混合、現像、照射、ストリッピングなどによっては害のある作用を受けない。該新規コポリマーは、基材上にコーティングした時に、後続の加工からの中性層に対する望ましくないダメージを防ぎかつそれと同時に基材からの中性層の剥離によって起こる分岐状剥離欠陥(branching delamination defect)を防ぐ、ブロックコポリマーに対する最適なレベルの中性と、最適なレベルの架橋及び基材に対するグラフトとの両方を持って、層を形成する新規組成物を図らずしも提供する。
【0016】
以前に本発明者らは、US8691925(特許文献1)において、中性層用途に使用されるコポリマー中に多量の架橋性ベンゾシクロブテン部分が存在すると、この特徴を備えない多くの他の中性層材料の場合は必要な溶剤処理ステップが排除されたことを示した。なお、前記特許文献の内容は本明細書中に掲載されたものとする。通常、このような溶剤処理は、高いポストアプライドベーク温度(例えば200℃)の後でも部分的に架橋された表面材料を除去するために必要とされる。これは、約2モル%を超える架橋性単位(3)を導入すると、自己組織化性ブロックコポリマーに対する中性を破壊するという考えとは正反対であった。しかし、多量の架橋ベンゾシクロブテン部分を含む中性層が中性を維持する一方で、図らずしも、これらのポリマーから形成した一部のフィルムは、残念ながら、固化後に、ディウェッティング欠陥を招く剥離プロセスを被る傾向があった。
【0017】
該新規コポリマーは、該新規ポリマー及び溶剤を含む組成物中に配合されそして新規プロセスを介して基板上にコーティングされた時に、ディウェッティング欠陥無しに、それがコーティングされた基材にわたって非常に良好なフィルム均一性を持って架橋された層及びグラフトした層を提供及び維持でき、及び自己組織化を含む加工中にブロックコポリマーに対し中性層としても働くことが図らずしも見出された。
【0018】
該新規コポリマーは架橋性ベンゾシクロブテン部分を含み、該新規コポリマーは、構造(1)の少なくとも一つの単位、構造(2)の少なくとも一つの単位、及び構造(3)の少なくとも一つの単位、
【0019】
【化4】
及び以下の構造(1’)を有するベンジル系アルコール部分を含む一つの末端基を有するコポリマーを含む:
【0020】
【化5】
式中、Rは、C〜Cアルキル、C〜Cフルオロアルキル、C〜C部分フッ素化アルキル部分、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロフルオロアルキル、C〜C部分フッ素化シクロアルキル、及びC〜Cヒドロキシアルキルからなる群から選択され;R、R及びRは、独立して、H、C〜Cアルキル、CF及びFからなる群から選択され;Rは、H、C〜Cアルキル、C〜C部分フッ素化アルキル部分、及びC〜Cフルオロアルキルからなる群から選択され、nは1〜5の範囲であり、Rは、H、F、C〜Cアルキル及びC〜Cフルオロアルキルからなる群から選択され、そしてmは1〜3の範囲であり、及びn’は1〜5の範囲であり、そしてn’’は1〜5の範囲であり、n’’’は1〜5の範囲であり、RはC〜Cアルキルであり、そしてXは−CNまたはアルキルオキシカルボニル部分R−O−(C=O)−であり、ここでRはC〜Cアルキルであり、
そして
【0021】
【化6】
は該コポリマーに対する末端基の結合点を表す。
一つの態様では、n’’’は1である。この新規ポリマー及び溶剤を含む新規組成物は、一種または複数の新規コポリマー及び溶剤を含んでよい。
【0022】
本発明の新規組成物は、上記の新規コポリマー及び溶剤を含む。
【0023】
該新規組成物をコーティングするための該新規方法は、基材上にこの新規組成物をコーティングし、そして先ず、そのフィルムを比較的低温でベークして溶剤の除去及びベンジル系末端基を介した上記基材上への該コポリマーのグラフトを起こし、その後、比較的高い温度でベークして、懸垂ベンゾシクロブタン基を介した該中性層コポリマーの架橋を起こすことを含む。
【0024】
この新規コポリマーでは、構造(3)のベンゾシクロブテン部分を有する繰り返し単位は、架橋のための部位を有するコポリマーを提供し、他方で、構造(1’)の末端基部分を含むベンジル系アルコールは、該新規ポリマーが、このポリマーと溶剤とを含む本発明の新規組成物中に配合されそして基材上にフィルムとしてコーティングされた時に、この基材上にグラフトされることを可能にする反応性部位を提供して、新規の架橋及びグラフトしたポリマーフィルムを形成する。このグラフト及び架橋フィルムを形成できる基材の例は、半導体(例えばSi、GaAs及び類似物)、金属(Cu、W、Mo、Al、Zr、Ti、Hf、Au及び類似物)及び金属酸化物(酸化銅、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン及び類似物)である。本発明の一つの態様では、このようなグラフト及び架橋されたフィルムは、基材上にコーティングされた該新規の架橋及びグラフトしたフィルムの上面にコーティングされたブロックコポリマーフィルムのドメインの自己組織化に対する中性の層として働く。
【0025】
本発明の一つの態様では、これらの新規コポリマーは、架橋性ベンゾシクロブタン懸垂基である架橋性単位(3)を2モル%超の高いレベルで含む。本発明の他の態様の一つでは、繰り返し単位(3)は、10モル%を超える割合で存在する。
【0026】
一つの態様では、該新規コポリマーは、構造4によって表すことができ、ここでX、Y及びZは、各々の繰り返し単位のモル%である。一つの態様では、X、Y及びZの合計は、存在する繰り返し単位の100%であり、他の可変部は先に定義した通りである。本発明のこの観点の一つの態様では、n’’’は1である。
【0027】
他の態様の一つでは、該新規コポリマーは、構造4’によって表すことができ、ここでX、Y及びZは、各々の繰り返し単位のモル%である。一つの態様では、X、Y及びZの合計は、存在する繰り返し単位の100%であり、他の可変部は先に定義した通りである。
【0028】
更に別の態様では、該新規コポリマーは、構造4’’によって表すことができ、ここでX、Y及びZは、各々の繰り返し単位のモル%である。一つの態様では、X、Y及びZの合計は、存在する繰り返し単位の100%であり、他の可変部は先に定義した通りである。
【0029】
更に別の態様では、該新規コポリマーは、構造4’’’によって表すことができ、ここでX、Y及びZは、各々の繰り返し単位のモル%である。一つの態様では、X、Y及びZの合計は、存在する繰り返し単位の100%であり、他の可変部は先に定義した通りである。
【0030】
【化7】
【0031】
該新規ランダムコポリマーは、構造(1’’)、(2’’)及び(3’’)を有するモノマーの混合物を重合するために使用される構造(5)を有するジアゾ系開始剤を用いて製造することができ、ここで式中、Rは、C〜Cアルキル、C〜Cフルオロアルキル、C〜C部分フッ素化アルキル部分、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロフルオロアルキル、C〜C部分フッ素化シクロアルキル、及びC〜Cヒドロキシアルキルからなる群から選択され;R、R及びRは、独立して、H、C〜Cアルキル、CF及びFからなる群から選択され;Rは、H、C〜Cアルキル、C〜C部分フッ素化アルキル部分、及びC〜Cフルオロアルキルからなる群から選択され、nは1〜5の範囲であり、Rは、H、F、C〜Cアルキル及びC〜Cフルオロアルキルからなる群から選択され、そしてmは1〜3の範囲であり、及びn’は1〜5の範囲であり、そしてn’’は1〜5の範囲であり、nは1〜5の範囲であり、RはC〜Cアルキルであり、そしてXは−CNまたはアルキルオキシカルボニル部分R−O−(C=O)−であり、ここでRはC〜Cアルキルである。本発明の一つの観点では、n’’’は1である。
【0032】
【化8】
【0033】
この開始剤は、構造(6)を有する末端基を生成し、ここで可変部は先に定義した通りである。本発明の一つの観点では、n’’’は1である。
【0034】
【化9】
【0035】
他の態様の一つでは、ジアゾ系開始剤は構造(5’)を有し、
【0036】
【化10】
【0037】
構造(6a)を有する末端基を生成する。
【0038】
【化11】
【0039】
更に別の態様の一つでは、該ジアゾ系開始剤は構造(5’’)を有し、そして構造(7)を有する末端基を生成する。
【0040】
【化12】
【0041】
構造(5)、(5’)または(5’’)のジアゾ系開始剤は、構造(1’’)、(2’’)及び(3’’)を有するモノマーの混合物と反応させた時に、水素末端基(−H)、及びベンジル系アルコール部分を有する末端基を供する。このポリマー構造は、基材上にグラフトできるベンジル系アルコール部分と、架橋可能な懸垂ベンゾシクロブテン部分を含む繰り返し単位との両方を提供する。本発明によるコポリマーの一つの態様では、該ポリマーは、構造3の単位の濃度が10モル%を超えるように合成され;単位(3)を10モル%を超えて含んでも、これはブロックコポリマーに対する中性を破壊せず、そして望ましくないプロセスダメージに対する中性フィルムの耐性、例えば有機溶剤中で検出可能な膜減りを示さないという、ポストアプライドベーク後の溶剤に対する中性フィルムの耐性を劇的に向上するという利点を有し、図らずしも、基材上でグラフト反応を起こすことができる構造(1’)を有する反応性ベンジルアルコール末端基の付加が、このような反応性末端基が存在しない場合に起こるディウェッティング欠陥を防止することが見出された。
【0042】
このようにして、該新規中性層の中性及び欠陥形成のない該中性層の良好な濡れを、レジストコーティング、レジストソフトベーク、レジスト暴露、PEBレジストポジチューン及びレジストネガチューン現像、及び有機溶剤及びTMAH現像剤を用いたレジスト剥離などの通常のリソグラフィ加工ステップに対して維持することができる。
【0043】
更に別の態様の一つでは、該新規ランダムコポリマーは、単位1、2及び3を含み、ここで単位1は約5モル%〜約90モル%の範囲であり;単位2は約5モル%〜約90モル%の範囲であり、そして単位3は約10モル%〜約60モル%の範囲である。他の態様の一つでは、該中性層は、単位1、2及び3を含み、ここで単位1は約20モル%〜約80モル%の範囲であり;単位2は約20モル%〜約80モル%の範囲であり、そして単位3は約15モル%〜約45モル%の範囲である。
【0044】
一つの態様では、ここで中性層として使用される新規ランダムコポリマーは、約3,000〜約500,000g/モル、または他の態様では約4,000〜約200,000g/モル、または他の態様では約5,000〜約150,000の範囲の重量平均分子量(M)を有する。一つの態様では、多分散性(PD)(M/M)は、約1.5〜約8、または約2.0〜約4、または約2.0〜約3.0の範囲である。分子量のM及びMは両方とも、例えば、ポリスチレン標準に対してキャリブレートした一般のキャリブレーション法を用いてゲル透過クロマトグラフィにより測定できる。
【0045】
該新規コポリマー及び溶剤から構成された組成物の一つの態様の一例では、これは、単一の新規コポリマーまたは異なる分子量、ベンゾシクロブテン懸垂基を含む繰り返し単位(3)(例えば、4−ビニル−ベンゾシクロブテンから誘導された繰り返し単位)の異なる濃度、異なるコモノマー比などを有する複数の新規コポリマーのブレンドから構成されていることができる。ベンゾシクロブテン含有モノマー性単位(3)は、様々な量のモノマー性繰り返し単位(1)、(2)、例えばスチレン及びメチルメタクリレートと使用することもでき、またこれらに加えて、該ポリマーは、単一の重合可能なビニル基を有するモノマーから誘導された他の繰り返し単位から構成されていることもできる。これらの繰り返し単位の組成は、幅広い混合組成範囲で対応する繰り返し単位を含むブロックコポリマーに対する中性を実質的に維持しながら、非常に大きく変えることができる。これは、例えば、L/SまたはCHパターンなどの繰り返し図形の所与の配列にパターン調整及び/またはパターン増倍を付与する際のグラフォエピタキシまたはケモエピタキシなどの特定の自己誘導アプローチの効率を最大化するために、異なる比率の繰り返し単位を含む二種の異なる中性ポリマーを含む二元ブレンドの組成を調節することによって、中性層を最適化することを可能にする。該新規組成物には単一のコポリマーも使用し得る。本発明の一つの態様では、該中性層組成物は、二種以上の異なる組成の該新規コポリマーのブレンドを含む。該新規組成物は、構造1、2及び3の単位のモル%濃度が異なる2種以上のコポリマーのブレンドを含んでよい。一例としては、該組成物は、モノマー性単位のモル比が異なる第一及び第二コポリマーを含み;第一のコポリマーでは、構造1の単位は約5モル%〜約90モル%であり、単位2の構造は約5モル%〜約90モル%であり、そして構造3は約10モル%〜約60モル%であり;第二のコポリマーでは、構造1の単位は約5モル%〜約90モル%であり、単位2の構造は約5モル%〜約90モル%であり、そして構造3は約10モル%〜約60モル%である。
【0046】
中性層として使用し得る該新規組成物の固形成分は、これらの固形成分を溶解する一種の溶剤または複数の溶剤の混合物と混合される。適当な溶剤には、例えばグリコールエーテル誘導体、例えばエチルセロソルブ、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、またはジエチレングリコールジメチルエーテル;グリコールエーテルエステル誘導体、例えばエチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、またはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA);カルボキシレート、例えばエチルアセテート、n−ブチルアセテート及びアミルアセテート;二塩基性酸のカルボキシレート、例えばジエトキシレート及びジメチルマロネート;グリコール類のジカルボキシレート、例えばエチレングリコールジアセテート及びプロピレングリコールジアセテート;及びヒドロキシカルボキシレート、例えばメチルラクテート、エチルラクテート(EL)、エチルグリコラート、及びエチル−3−ヒドロキシプロピオネート;ケトンエステル、例えばメチルピルベートまたはエチルピルベート;アルコキシカルボン酸エステル、例えばメチル3−メトキシプロピオネート、エチル3−エトキシプロピオネート、エチル2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオネート、またはメチルエトキシプロピオネート;ケトン誘導体、例えばメチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンまたは2−ヘプタノン;ケトンエーテル誘導体、例えばジアセトンアルコールメチルエーテル;ケトンアルコール誘導体、例えばアセトールまたはジアセトンアルコール;ケタールまたはアセタール、例えば1,3ジオキサラン及びジエトキシプロパン;ラクトン、例えばブチロラクトン;アミド誘導体、例えばジメチルアセトアミドまたはジメチルホルムアミド、アニソール、及びこれらの混合物などが挙げ得る。
【0047】
該新規組成物は、溶剤の他に、コーティングを容易にするための添加剤として界面活性剤を含んでよい。
【0048】
また、該新規組成物は、任意選択的に、酸発生剤、例えば熱酸発生剤及び/または光酸発生剤を含んでよい。このような添加剤は、懸垂ベンゾシクロブタン基(すなわち、繰り返し単位3中の基)の架橋をアシストするためには必要ではないが、これらの添加剤は、酸を放出することによって、基材上でのベンジルアルコール末端基部分(すなわち、末端基1’)のグラフト反応をアシストし得る。これは、基材表面でのグラフト反応のより高いレベルを達成するのを助け得る他、またコーティング後のグラフトを起こすのに必要なベーク温度を低めることも可能にする。
【0049】
適当な熱酸発生剤には、オニウム塩、ハロゲン含有化合物、パーフルオロベンゼンスルホネートエステル、パーフルオロアルカンスルホネートエステルなどが挙げられる。非限定的に、上記の調合物のための例示的な熱酸発生剤には、トリ−C〜C−アルキルアンモニウムp−トルエンスルホネート、C〜C−アルキルアンモニウムデシルベンゼンスルホネート、トリ−C〜C−アルキルアンモニウムパーフルオロブタン−1−スルホネート、トリ−C〜C−アルキルアンモニウムトリフルオロメタン−スルホネート、N−ヒドロキシフタルイミドトリフルオロメタン−スルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−1−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−1−オクタンスルホネート、ビス(フェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドパーフルオロ−1−ブタンスルホネート、2−ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、4−ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、2−ニトロベンジルパーフルオロブタンスルホネート、4−ニトロベンジルパーフルオロブタンスルホネート、または上記物質の少なくとも一つを含む組み合わせなどが挙げられる。適当な光酸発生剤には、例えば、芳香族及び脂肪族のスルホニウム塩及びヨードニウム塩などが挙げられる。
【0050】
本発明の一つの態様は、(その様々な態様のいずれでも)該新規コポリマー及び溶剤を含む該新規組成物から基材上にこのコポリマーのグラフト及び架橋されたコーティングを形成する方法であって、該方法は、ステップa)〜c)を含む方法である:
a)基材上に該新規コポリマー組成物のコーティングを形成するステップ;
b)このコーティングを90℃〜180℃の間の温度で加熱して、溶剤を除去しそしてグラフトしたコポリマーコーティング層を形成するステップ;
c)このコーティングを220℃〜250℃の間の温度で加熱して、架橋されたコポリマーコーティング層を形成するステップ。
【0051】
この方法の他の態様の一つでは、溶剤を除去しそして基材上にコポリマーをグラフトする該新規組成物ステップb)において、このステップは、約90℃〜180℃または約150℃〜180℃または約160℃〜175℃または約165℃〜170℃の範囲の温度で行ってよい。溶剤を除去し、基材上にコポリマーをグラフトするための時間は、約1〜10分間または約2〜5分間である。この態様の更に別の観点の一つでは、架橋ベークc)は、約220℃〜300℃、または他の態様の一つでは約220℃〜250℃または更に別の態様の一つでは約230℃〜240℃で行われる。ステップc)における該コポリマーフィルム中で架橋するための加熱時間は1〜10分間または他の態様の一つでは2〜5分間である。
【0052】
この発明の他の態様の一つでは、該新規組成物を基材上にコーティングし、そして一度加熱して溶剤を除去し及び基材上にコポリマーをグラフトし、そして第二の加熱を行ってフィルムを架橋する。典型的なフィルムの厚さは、加熱後に約3nm〜約50nm、または約3nm〜約30nm、または約4nm〜約20nm、または約5nm〜約20nm、または約10nm〜約20nmの範囲である。溶剤を除去し及び基材上にコポリマーをグラフトするためには、そのフィルムは、約90℃〜180℃または約150℃〜180℃または約160℃〜175℃または約165℃〜170℃の範囲の温度で加熱することができる。溶剤を除去し及び基材上にコポリマーをグラフトするための加熱時間は、約1〜10分間または他の態様の一つでは約2〜5分間である。
【0053】
熱酸発生剤が添加剤として存在する場合には、溶剤除去及びグラフト化を起こすために必要な温度は、約90℃〜約170℃または約100℃〜約170℃であってよい。この場合もまた、溶剤を除去し及び基材上にコポリマーをグラフトするための時間は、約1〜10分間または他の態様の一つでは約2〜5分間である。
【0054】
光酸発生剤が存在する場合には、約90〜約150℃の範囲での溶剤のみを除去するためのベークの後に、UV、ディープUVまたはVUV放射線を用いた任意選択のブランケット照射ステップの間に酸が放出される。高酸性度光酸(すなわち、pK<−2)を放出する光酸発生剤のための照射ステップに続いて、後続のグラフトベークステップは無しにグラフトを行うこと、または約90〜約150℃の温和なグラフトベークステップを続けることが可能となり得る。他の場合は、比較的低い酸性度の光酸(すなわちpH≧−2)を放出するための光酸発生剤のためには、約90〜約200℃の範囲のベーク温度を使用し得る。
【0055】
一般的に、溶剤を除去し及び基材にコポリマーをグラフトさせるための加熱時間は1〜10分間または他の態様の一つでは2〜5分間である。
【0056】
溶剤/グラフトベークが完了した後、架橋ベークが約200℃〜約300℃または他の態様の一つでは約220℃〜約300℃または他の態様の一つでは約220℃〜約250℃または更に別の態様の一つでは約230℃〜約240℃で行われる。コポリマーフィルムを架橋するための加熱時間は1〜10分間または他の態様の一つでは2〜5分間である。架橋されたフィルムが形成されたら、そのコーティングを、任意の自己誘導組織化技術を用いて最終的にパターンを形成するための更なる加工のために使用してよく、この場合、架橋及びグラフトした層が、自己組織化プロセスにおいて中性層として使用される。このような技術の例は、該新規のコーティング、グラフト及び架橋した組成物でコーティングされた未パターン化基材上での自己組織化;該新規のコーティング、グラフト及び架橋した組成物でコーティングされた基材が、この層を覆うトポグラフィパターンも含むグラフォエピタキシ;及び該新規のコーティング、グラフト及び架橋した組成物でコーティングされた基材が、表面に中性層がない領域でパターン化され及びそれがピン止め領域として働くことを可能とする異なる化学組成を有するケモエピタキシである。該新規コポリマー組成物によって形成された架橋及びグラフトした中性層は、該架橋された中性層が使用されるリソグラフィプロセスの間に起こるかもしれない如何なるダメージ、例えば有機溶剤(例えば中性相の上にコーティングを形成するために使用された溶剤、溶媒現像剤など)からの溶解、水性アルカリ性現像剤中への溶解、中性層の上にコーティングされたフォトレジストに画像を形成するために使用したプロセス(例えば電子線、EUV、ディープUVなど)からのダメージ、またはフォトレジスト剥離液中への溶解にも拘わらず、中性のままである。架橋された層は、フォトレジストのコーティングに使用される溶剤、例えばPGMEA、PGME、ELなどの溶剤中に可溶性ではない。
【0057】
本発明の該新規組成物によって可能となる未パターン化基材上でのブロックコポリマーの自己組織化プロセスの具体的な態様の一つは次のステップから構成され、ここで該新規組成物によって形成された架橋及びグラフトしたコーティングは中性層として働く:
a)本発明の該新規コポリマー組成物のコーティングを基材上に形成するステップ;
b)このコーティングを90℃〜180℃の間の温度で加熱して、溶剤を除去しそしてグラフトしたコポリマーコーティング層を形成するステップ;
c)このコーティングを200℃〜300℃の間の温度で加熱して、架橋されたコポリマーを形成して、中性コーティング層を形成するステップ;
d)上記中性コーティング層の上にブロックコポリマーを施与し、そしてこのブロックコポリマー層の誘導自己組織化が起こるまでアニールするステップ。
【0058】
この態様において、ステップb)及びc)における温度は、本発明の該新規コポリマーのグラフト、架橋したコーティングを形成する方法について上述したように変えることができる。また、これらのステップの各々のベーク時間も前述のように変えることができる。本発明のこの観点の他の態様の一つでは、ステップd)の後にステップe)を設けて、そこで自己組織化したブロックコポリマードメインを使用して、基材中へのエッチングに対して選択的なバリアを供することによって、基材中に画像を形成する。この選択性は、それぞれ基材をエッチングするために使用される、化学的エッチング液に対する組織化ブロックドメインの異なる反応性によってまたはプラズマエッチングステップに対する異なる反応性によって付与し得る。一例は、一つのブロックがプラズマエッチング耐性ブロックであり、他方がプラズマで高エッチング可能である場合である。自己組織化ブロックコポリマーによる基材中へのこの選択的エッチングは、基材中への画像の提供のために使用し得る。
【0059】
グラフト及び架橋した中性層のコーティングをパターン化された基材上に形成することができる本発明の該新規コポリマー組成物と使用し得る誘導自己組織化プロセスの具体例は、グラフォエピタキシ及びケモエピタキシである。
【0060】
これの一つの態様は、グラフォエピタキシ誘導自己組織化プロセスは次のステップを含む:
a)本発明の該新規コポリマー組成物のコーティングを基材上に形成するステップ;
b)このコポリマーコーティング層を90℃〜180℃の間の温度で加熱して、溶剤を除去しそしてグラフトしたコポリマーコーティングを形成するステップ;
c)このグラフトしたコポリマーコーティング層を200℃〜300℃の間の温度で加熱して、架橋された中性層を形成するステップ;
d)この架橋、グラフトした中性層上にフォトレジスト層のコーティングを提供するステップ;
e)フォトレジスト中にパターンを形成するステップ;
f)このパターン上にブロックコポリマー溶液のコーティングを施与し、ここで該ブロックコポリマーは、エッチング耐性ブロック及びエッチング可能なブロックを含み、そして該ブロックコポリマーの誘導自己組織化が起こるまでアニールするステップ。
【0061】
この態様のグラフォエピタキシにおいて、ステップb)及びc)における温度は、本発明の該新規コポリマーのグラフト、架橋したコーティングを形成する方法について上述したように変えることができる。また、これらのステップの各々のベーク時間も前述のように行うことができる。本発明のこの観点の他の態様の一つでは、ステップf)の後にステップg)を設けて、そこで自己組織化したブロックコポリマードメインを使用して、基材中へのエッチングに対して選択的なバリアを供することによって、基材中に画像を形成する。この選択的エッチングは、それぞれ基材をエッチングするために使用される、化学的エッチング液に対する組織化ブロックドメインの異なる反応性によってまたはプラズマエッチングステップに対する異なる反応性によって付与し得る。一例は、一つのブロックがプラズマエッチング耐性ブロックであり、他方がプラズマで高エッチング可能である場合である。自己組織化ブロックコポリマーによる基材中への選択的エッチングは、基材中への画像の提供のために使用し得る。次いで、この画像は、メモリまたは論理デバイスを製造するための方法に使用される特定の層中に構造を画定することによって微細電子デバイスの製造に使用し得る。ステップe)ではネガ型またはポジ型レジストを使用し得る。また、ステップe)で形成されるフォトレジストパターンを形成するために使用される放射線は、電子線、ブロードバンド、193nm液浸リソグラフィ、13.5nm、193nm、248nm、365nm及び436nm放射線からなる群から選択してよい。
【0062】
誘導自己組織化の他の態様の一つは、次のステップを含むブロックコポリマー層のケモエピタキシ誘導自己組織化の方法である:
a)請求項1のコポリマー組成物のコーティングを基材上に形成するステップ;
b)このコポリマーコーティング層を90℃〜180℃の間の温度で加熱して、溶剤を除去しそしてグラフトしたコポリマーコーティング層を形成するステップ;
c)このグラフトしたコポリマーコーティング層を200℃〜300℃の間の温度で加熱して、架橋されたコーティングを形成して中性層を形成するステップ;
d)この架橋及びグラフトした中性層上にフォトレジスト層のコーティングを提供するステップ;
e)フォトレジスト層形成領域中にパターンを形成し、ここで該架橋及びグラフトした中性層領域はフォトレジストによって被覆されないステップ;
f)被覆されていない中性層を処理するステップ;
g)フォトレジストを除去するステップ;
h)エッチング耐性ブロックと高エッチング可能ブロックとを含むブロックコポリマーを中性層上に施与し、そして誘導自己組織化が起こるまでアニールするステップ。
【0063】
この態様のケモエピタキシにおいて、ステップb)及びc)における温度は、本発明の該新規コポリマーのグラフト、架橋したコーティングを形成する方法について上述したように変えることができる。また、これらのステップの各々のベーク時間も前述のように行うことができる。ステップf)では、その処理は、被覆されていない中性層を、液状エッチング液またはプラズマエッチャントと反応させて、これを、ステップh)でコーティングされるブロックコポリマーの一方のブロックに対して誘導自己組織化の時に高程度の選択性を示すピン止め領域に変える処理であってよい。本発明のこの観点の他の態様の一つでは、ステップh)の後にステップi)を設けて、そこで自己組織化したブロックコポリマードメインを使用して、基材中へのエッチングに対して選択的なバリアを供することによって、基材中に画像を形成する。この選択的エッチングは、それぞれ基材をエッチングするために使用される、化学的エッチング液に対する組織化ブロックドメインの異なる反応性によってまたはプラズマエッチングステップに対する異なる反応性によって付与し得る。一例は、一つのブロックがプラズマエッチング耐性ブロックであり、他方がプラズマで高エッチング可能である場合である。自己組織化ブロックコポリマーによる基材中への選択的エッチングは、基材中への画像の提供のために使用し得る。次いで、この画像は、メモリまたは論理デバイスを製造するための方法に使用される特定の層中に構造を画定することによって微細電子デバイスの製造に使用し得る。ステップe)ではネガ型またはポジ型レジストを使用し得る。また、ステップe)で形成されるフォトレジストパターンを形成するための放射線は、電子線、ブロードバンド、193nm液浸リソグラフィ、13.5nm、193nm、248nm、365nm及び436nm放射線からなる群から選択してよい。
【0064】
自己組織化プロセス並びにグラフォエピタキシまたはケモエピタキシなどの誘導自己組織化プロセスでは、中性層を形成することができる該新規コポリマー組成物と共同して使用するためのブロックコポリマーは、自己組織化を介してドメインを形成し得るものであれば任意のブロックコポリマーであることができる。自己会合する傾向のある同じタイプのブロックによって、ミクロドメインが形成される。典型的には、この目的に使用されるブロックコポリマーは、モノマーから誘導された繰り返し単位が、組成的に、構造的にまたはその両方で異なりかつ相分離及びドメイン形成ができるブロックに整列するポリマーである。これらのブロックは、一方のブロックは削除し、他方のブロックは表面上にそのまま維持でき、そうして表面上にパターンを供するのに使用できる異なる性質を有する。それ故、ブロックは、プラズマエッチング、溶剤エッチング、水性アルカリ性溶液を用いた現像剤エッチングなどによって選択的に削除することができる。有機モノマーをベースとするブロックコポリマーでは、一つのブロックは、ポリジエンも包含するポリオレフィン系モノマー、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)及びこれらの混合物などのポリ(アルキレンオキシド)を始めとするポリエーテルからできていることができ;他のブロックは、ポリ((メタ)アクリレート)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオルガノシロキサン、ポリオルガノゲルマン及び/またはこれらの混合物などの異なるモノマーからできていることができる。ポリマー鎖中のこれらのブロックは、それぞれ、モノマーから誘導された一種またはそれ超の繰り返し単位を含むことができる。必要なパターン及び使用する方法のタイプに依存して、異なるタイプのブロックコポリマーを使用し得る。例えば、これらは、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、ターポリマーまたはマルチブロックコポリマーから成っていてよい。これらのブロックコポリマーのブロックは、それら自体が、ホモポリマーまたはコポリマーから成っていてよい。異なるタイプのブロックコポリマーも自己組織化に使用でき、例えば樹脂状ブロックコポリマー、超分岐ブロックコポリマー、グラフトブロックコポリマー、有機ジブロックコポリマー、有機マルチブロックコポリマー、線状ブロックコポリマー、星形ブロックコポリマー、両親媒性無機ブロックコポリマー、両親媒性有機ブロックコポリマー、または異なるタイプのブロックコポリマーから少なくともなる混合物などがある。
【0065】
有機ブロックコポリマーのブロックは、C2−30オレフィンなどのモノマー、C1−30アルコールから誘導される(メタ)アクリレートモノマー、無機含有モノマー、例えばSi、Ge、Ti、Fe、Alをベースとするモノマーから誘導される単位を含んでもよい。C2−30オレフィンをベースとするモノマーは、単独でまたは一種の他のオレフィン性モノマーとの組み合わせで、高エッチング耐性のブロックを構成することができる。このタイプのオレフィン性モノマーの具体例は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1,3−ブタジエン、イソプレン、ジヒドロピラン、ノルボルネン、無水マレイン酸、スチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−メチルスチレン、アルファ−メチルスチレンまたはこれらの混合物である。高エッチング可能な単位の例は、(メタ)アクリレートモノマー、例えば(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたはこれらの混合物から誘導することができる。
【0066】
一つのタイプの高エッチング耐性繰り返し単位を含むブロックコポリマーの説明に役立つ例は、スチレンから誘導される繰り返し単位のみを含むポリスチレンブロックと、メチルメタクリレートから誘導された繰り返し単位のみを含む他のタイプの高エッチング可能なポリメチルメタクリレートブロックであろう。これらは一緒になって、ブロックコポリマーであるポリ(スチレン−b−メチルメタクリレート)を形成し、ここでbはブロックのことを指す。
【0067】
パターン化された中性層上での誘導自己組織化に使用されるグラフォエピタキシ、ケモエピタキシまたはピン止めケモエピタキシに有用なブロックコポリマーの具体的で非限定的な例は、ポリ(スチレン−b−ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−b−ブタジエン)、ポリ(スチレン−b−イソプレン)、ポリ(スチレン−b−メチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−b−アルケニル芳香族類)、ポリ(イソプレン−b−エチレンオキシド)、ポリ(スチレン−b−(エチレン−プロピレン))、ポリ(エチレンオキシド−b−カプロラクトン)、ポリ(ブタジエン−b−エチレンオキシド)、ポリ(スチレン−b−t−ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−b−t−ブチルメタクリレート)、ポリ(エチレンオキシド−b−プロピレンオキシド)、ポリ(スチレン−b−テトラヒドロフラン)、ポリ(スチレン−b−イソプレン−b−エチレンオキシド)、ポリ(スチレン−b−ジメチルシロキサン)、ポリ(メチルメタクリレート−b−ジメチルシロキサン)、または上記のブロックコポリマーの少なくとも一つを含む組み合わせである。これらの全てのポリマー性材料は、ICデバイスの製造に典型的に使用されるエッチング技術に対し耐性のある繰り返し単位に富む少なくとも一つのブロックと、これらの同じ条件下に迅速にエッチングされる少なくとも一つのブロックとの存在という点で共通する。これは、誘導自己組織化されたポリマーが、基材にパターン転写され、パターン調整またはパターン増倍のいずれかをもたらすことを可能とする。
【0068】
典型的には、グラフォエピタキシ、ケモエピタキシまたはピン止めケモエピタキシなどの誘導自己組織化に使用されるブロックコポリマーは、約3,000〜約500,000g/モルの範囲の重量平均分子量(M)、及び約1,000〜約60,000の数平均分子量(M)、及び約1.01〜約6、または1.01〜約2、または1.01〜約1.5の多分散性(M/M)を有する。分子量のM及びMは両方とも、例えば、ポリスチレン標準に対してキャリブレートした一般のキャリブレーション法を用いてゲル透過クロマトグラフィにより測定できる。これは、ポリマーブロックが、所与の表面に付与された時に自然発生的に、または純粋に熱的な処理を用いることで、または自己組織化が起こるようにセグメントの流れを高めるためにポリマーフレームワークに溶剤蒸気を吸収させることでアシストされた熱的プロセスを介して、自己組織化するための十分な可動性を持つことを保証する。
【0069】
フィルムを形成するためのブロックコポリマーの溶解に適した溶剤は、ブロックコポリマーの溶解性要件で変わり得る。ブロックコポリマーアセンブリのための溶剤の例には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エトキシエチルプロピオネート、アニソール、エチルラクテート、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、アミルアセテート、n−ブチルアセテート、n−アミルケトン(MAK)、ガンマ−ブチロラクトン(GBL)、トルエン及び類似物などが挙げられる。一つの態様では、特に有用なキャスト溶剤には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、ガンマ−ブチロラクトン(GBL)、またはこれらの溶剤の組み合わせなどが挙げられる。
【0070】
該ブロックコポリマー組成物は、無機含有ポリマー;小分子、無機含有分子、界面活性剤、光酸発生剤、熱酸発生剤、クエンチャ、硬化剤、架橋剤、鎖延長剤、及び類似物などを包含する添加剤;並びに上記の少なくとも一つを含む組み合わせからなる群から選択される追加の成分及び/または添加剤を含むことができ、ここで前記追加の成分及び/または添加剤の一種以上は、ブロックコポリマーと一緒に共集合化して、ブロックコポリマーアセンブリを形成する。
【0071】
該ブロックコポリマー組成物は、慣用のリソグラフィによって表面上に画定された該新規中性層のパターンに施与され、ここでその中性表面は、該新規組成物から形成された架橋されたコーティングである。適用及び溶剤除去の後、ブロックコポリマーは、次いで慣用のリソグラフィプロセスで生成された基材表面の実際のトポグラフィ図形またはパターン化された化学的差異のいずれかを介して、中性層上に慣用のリソグラフィ加工によって形成された特定のパターンによって誘導されて自己組織化を起こす。パターン転写のための標準的なIC加工の後でのパターンとミクロ相分離距離との相対的なピッチに依存して、同じ解像度を維持したパターン調整が達成され、及び/または慣用のリソグラフィで画定された図形の間に多相境界が形成される場合にはパターン増倍も達成し得る。
【0072】
スピン技術(スピンドライイングも含む)によるブロックコポリマーの施与が、自己誘導化ブロックコポリマーアセンブリを形成するのに十分であり得る。自己誘導化ドメイン形成の他の方法は、施与時、ベーク時、アニール時またはこれらの操作の一つ以上の組み合わせの時に起こり得る。こうして、上記の方法によって配向したブロックコポリマー組織が作製され、これは、中性表面に対し垂直に配向したシリンダ型のミクロドメインを含むかまたは中性表面に対し垂直に配向したラメラ型ドメインを含むミクロ相分離ドメインを有する。一般的に、ミクロ相分離ドメインは、中性表面に対し垂直に配向したラメラ型ドメインであり、これは、ブロックコポリマーアセンブリに並行なライン/スペースパターンを供する。こうして配向したドメインは、後の加工条件下に熱的に安定していることが望ましい。そのため、有用なジブロックコポリマー、例えばポリ(スチレン−b−メチルメタクリレート)を含むブロックコポリマーアセンブリの層をコーティングし、及び任意選択的にベーク及び/またはアニールした後に、ブロックコポリマーのドメインは、中性表面上に形成しかつそれに対し垂直に留まり、そうして基材表面上に高耐性領域と高エッチング可能領域とを与え、これを、更に基材層中にパターン転写することができる。誘導自己組織化ブロックコポリマーパターンは、既知の技術を用いて下にある基材中に転写される。一つの例では、湿式エッチングまたはプラズマエッチングを、任意にUV露光と組み合わせて、使用し得る。湿式エッチングは酢酸を用いたものであることができる。標準的なプラズマエッチングプロセス、例えば酸素を含むプラズマを使用してよく;追加的に、アルゴン、一酸化炭素、二酸化炭素、CF、CHFもプラズマ中に存在してよい。図1a〜1cは、中性層が変性されてパターン化化学的親和性を画定するプロセスを例示している(図1a)。次いで、ブロックコポリマーを、化学的に変性された中性層上にコーティングしそしてアニールして、基材表面に対して垂直のドメインを形成する(図1b)。これらのドメインのうちの一つを次いで除去して、基材表面上にパターンを形成する(図1c)。
【0073】
本発明では、誘導自己組織化パターンを形成するために使用される最初のフォトレジストパターンは、ネガ型もしくはポジ型フォトレジストのいずれかを用いて、またはポジトーンもしくはネガトーン現像プロセスのいずれかを用いて画定でき、そして慣用のリソグラフィ技術、例えば電子線、イオンビーム、X線、EUV(13.5nm)、ブロードバンド、またはUV(450nm〜10nm)露光、液浸リソグラフィなどを用いて画像形成可能である。一つの態様では、本発明は、乾式リソグラフィまたは液浸リソグラフィのいずれかを用いた193nm像様露光に特に有用である。193nmリソグラフィには、商業的に入手できるポジ型193nmフォトレジストを使用でき、例えば非限定的な例には、AZ AX2110P(ニュージャージー州、ソマービル在のEMD Performance Materials Corp.から入手可能)、Shin−Etsu Chemical Corp.のフォトレジスト、Japan Synthetic RubberのJSR Micro、及びFujifilm、TOKから入手できる他のフォトレジストなどがある。これらのフォトレジストは、露光後及びポスト露光ベーク後に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドを含む水性アルカリ性現像剤を用いて現像してポジトーンパターンとすることができるか、またはn−アミルケトン(MAK)、n−ブチルアセテート、アニソールなどの有機溶剤を用いて現像して、ネガトーンパターンとすることができる。その代わりに、193nm露光にも、商業的に入手可能なネガトーンフォトレジストを使用してよい。本発明の一つの格別な特徴は、中性層の高レベルの架橋にもかかわらず、驚くべきことに、ブロックコポリマーに対する中性層の中性が維持されることである。高レベルの架橋は、フォトレジストでのオーバーコート、フォトレジストのベーク、フォトレジストの露光、各々のタイプのフォトレジストについて上述したように使用した現像剤を用いたフォトレジストパターンの現像、剥離条件などのプロセスステップが行われる時に必要とされ;しかし、該新規中性フィルムはなおも中性を維持して、トポグラフィリソグラフィ図形間でのブロックコポリマードメインの適切な配向を可能とする。中性は、図1a〜1cに示すように、配列プロセスの間に、ブロックコポリマーのドメインが中性表面上に形成しかつそれに対し垂直に留まるように、ブロックコポリマーの配向を制御するために必要である。図1a〜1cは、該ブロックコポリマーがどのようにそれ自体で、基材に対して垂直なドメインへと配向し、そしてこれらのドメインの一つが除去されて基材上にパターンを与えるかを示している。
【0074】
中性層がコーティングされる基材は、デバイスによって要求される任意のものである。一つの例では、基材は、ケイ素もしくはチタン含有ARC(酸素プラズマに対し高エッチング耐性)のコーティングを施した高炭素含有有機層の層でコーティングされたウェハである。これは、パターン化されたブロックコポリマーからこれらのコーティング中へのパターン転写を可能にする。適当な基材には、限定はされないが、ケイ素、金属表面でコーティングされたケイ素基材、銅でコーティングされたケイ素ウェハ、銅、アルミニウム、ポリマー性樹脂、二酸化ケイ素、金属、ドープした二酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、タンタル、ポリシリコン、セラミック、アルミニウム/銅混合物、ガラス、コーティングされたガラス;ヒ化ガリウム及び他のこのような第III/V族化合物などが挙げられる。これらの基材は、反射防止コーティング(複数可)でコーティングしてよい。基材は、上記の材料からできた任意数の層を含んでよい。
【0075】
本発明では、グラフォエピタキシまたは(ピン止め)ケモエピタキシを含む様々な方法を使用して、基材に対するブロックコポリマーの配向を制御するために、特に架橋後に中性を維持しながら、上記のようにリソグラフィプロセスに対し耐性のある中性層を用いることにより上記のブロックコポリマーの誘導自己組織化を達成でき;この誘導自己組織化ブロックコポリマーコーティングは、次いで、ブロックコポリマーの高エッチング可能なドメインを削除するためにプラズマまたは湿式エッチングを用いて高解像度パターンを形成するために使用される。このパターンは、次いで更に基材中に転写することができる。このようにして、様々な高解像度図形を基材中にパターン転写して、パターン調整、パターン増倍またはこれらの両者を達成し得る。
【0076】
一例として、グラフォエピタキシ用途では、任意のフォトレジストを用いて画像形成されたフォトレジストパターンなどの構造が、基材上にコーティングされた該新規中性層上に標準的なリソグラフィ技術を用いて形成される。リソグラフィプロセスに耐性がありかつ架橋後に中性を維持するものであれば他の中性層を使用してよい。中性層の上面にフォトレジストを用いた標準的なリソグラフィを介して画像形成されたトポグラフィ図形のピッチは、ブロックコポリマーアセンブリのピッチよりも大きい。これらのトポグラフィフォトレジスト図形は、典型的には、紫外線露光、ベークまたはこれらの両方の組み合わせによって硬化して、ブロックコポリマーとフォトレジストとの相互混合を回避する。硬化条件は、使用したフォトレジストのタイプによって決定される。一例として、硬化は、UV露光を用いてまたは用いずに200℃で2分間のベークであることができる。該ブロックコポリマー組成物はコーティングを形成するために使用され、次いで上述のように処理されて自己誘導ドメインを形成する。その結果、ブロックコポリマーアセンブリのドメイン(自発的か、溶剤処理を介してかまたはアニールによる熱的に)は、クリティカルな中性層を覆うトポグラフィパターンの拘束によって強制されて、微細なトポグラフィフォトレジストパターンの空間周波数を増倍するように配列する、すなわち高エッチング速度領域及びエッチング耐性領域のドメインが、基材表面に対して垂直に形成される。空間周波数のこの増倍は、トポグラフィパターンの所与の方向に沿った図形の繰り返しセットの数である。それ故、ブロックコポリマーアセンブリ中の生じたパターン(パターン化されたブロックコポリマーアセンブリの空間周波数)は、元々の微細なトポグラフィパターンの空間周波数に対して二倍、三倍、更には四倍にすることができる。これらのドメインの分離は、ドメインの繰り返しセットを含む構造が、パターン化フォトレジストトポグラフィの間に、このトポグラフィパターンの空間周波数の少なくとも二倍の(所与の方向におけるドメインの繰り返しセットの数によって与えられる)ドメインの空間周波数を持って形成されるように起こる。
【0077】
一つの態様では、本発明は、グラフォエピタキシのために、ポジトーンフォトレジストパターンを使用する方法に関する。リソグラフィプロセスに耐性がありかつ架橋後に中性を維持する中性層を使用し得る。該プロセスは、該新規中性層組成物のコーティングを基材表面上に形成し;この中性層をベークして、架橋した中性層を形成し;ポジ作用型フォトレジスト層のコーティングを前記中性層上に提供し;フォトレジスト中にポジ型パターンを形成し;任意選択的に、ハードベーク、UV露光またはこれらの二つの組み合わせによってポジ型フォトレジストパターンを硬化し;エッチング耐性ブロックとエッチングに不安定なブロックとを含むブロックコポリマーを残留ポジ型フォトレジストパターン上に施与し、そして残留フォトレジスト図形及び中性層によって支配される誘導自己組織化が起こって、基材表面に対して垂直なドメインが形成するまでフィルムスタックをアニールし;そしてブロックコポリマーをエッチングして、前記のエッチングに不安定なブロックが除去されて、元々の残留パターンのラインを増倍させることを含む。前記中性層は、前述したようにリソグラフィ加工の間に中性層に対しダメージが与えられることのないものである。
【0078】
他の態様の一つでは、本発明は、グラフォエピタキシに使用するために、ネガトーンフォトレジストパターンを使用する方法に関する。リソグラフィプロセスに耐性がありかつ架橋後に中性を維持する中性層を使用し得る。該プロセスは、該新規中性層のコーティングを基材上に形成し;この中性層をベークして、架橋した中性層を形成し;ネガ作用型フォトレジスト層のコーティングを前記中性層上に提供し;フォトレジスト中にネガトーンパターンを形成し;任意選択的に、ハードベーク、UV露光またはこれらの二つの組み合わせによってフォトレジストパターンを硬化し;エッチング耐性ブロックとエッチングに不安定なブロックとを含むブロックコポリマーを、前記パターンを含む基材に施与し、そして残留フォトレジスト図形及び中性層によって支配される誘導自己組織化が起こって、基材表面に対して垂直なドメインが形成するまでフィルムスタックをアニールし;そしてブロックコポリマーをエッチングして、前記のエッチングに不安定なブロックが除去されて、元々の残留パターンのラインを増倍させることを含む。前記中性層は、前述したようにリソグラフィ加工の間に中性層に対しダメージが与えられることのないものである。
【0079】
ケモエピタキシでは、基材表面は、ブロックコポリマーの一つのブロックに対して特定の化学的親和性を有するピン止め表面図形を該新規中性層中に提供し、そしてこの親和性及び中性層の存在がブロックコポリマーの整列を配向させる。リソグラフィプロセスに耐性がありかつ架橋後に中性を維持する中性層を使用し得る。前記ピン止め図形は、該新規中性層の表面上のパターン化されたフォトレジスト図形、または該新規中性層中のパターン化された開口、またはパターン化されたピン止め表面を供するように適切に表面が処理されたパターン化された中性層であってよい。化学的差異を有するピン止め図形は、化学的差異を持つパターン化された表面を暴露するためのフォトレジストのリソグラフィ画像形成及び/または中性層のエッチングなどの任意の方法によって、またはリソグラフィ技術の任意の他の組み合わせによって生成することができる。ピン止め図形は、中性層を除去することなく、中性層のパターン化された表面の化学的処理によっても生成することができる。典型的には、基材上にコーティングされた中性層を含み、その上にフォトレジスト層がコーティングされている基材上にスタックが形成される。
【0080】
ネガトーン(未露光の領域が除去されてパターンを形成する場合)ライン増倍ケモエピタキシの一つの態様では、該新規中性層のコーティングを、基材上、例えば反射防止性基材または任意の他のタイプの基材上に形成し;前記中性層を加熱して、架橋された中性層を形成し;フォトレジスト層のコーティングを、前記架橋された中性層の上に形成し;そしてフォトレジストを画像形成して、前記中性層及び基材スタック上に未露光の領域中に開口または現像されたトレンチを有するパターンを形成する。典型的には、ネガトーンは、未露光の領域を開口させるネガ型フォトレジストを使用してまたはフォトレジスト中に潜像を形成した後に未露光の領域を除去するために有機溶剤を使用するポジ型フォトレジストを使用して、狭い開口を有するトレンチを形成することによって得られる。リソグラフィプロセスに耐性がありかつ架橋後に中性を維持する中性層を使用し得る。中性層上にパターンが形成されたら、トレンチを処理して化学的親和性を有するようにする。化学的親和性は、任意の技術、例えば中性層の除去、ウェットエッチングまたはプラズマエッチングによって達成できるか、あるいはブロックコポリマーの一つのブロックに対して特定の化学的親和性を有する表面が形成するように処理することができる。典型的には、中性層をエッチングするために酸素含有プラズマが使用され、そうして基材上にパターン化された中性層が形成される。次いで、フォトレジストが除去される。該フォトレジストは、湿式剥離剤、例えばこの特定のフォトレジストのために使用される有機溶剤系剥離剤を用いて、または水性アルカリ性現像剤によって除去し得る。中性層中の該開口は、ブロックコポリマーの一方のブロックに対してのみ化学的親和性を有する。一例として、基材表面がケイ素反射防止コーティングまたは酸化物である場合には、これはブロックコポリマーのアクリレートブロックに対しては親和性を有するが、スチレンブロックに対しては親和性を持たず、そうしてパターン化されたピン止め表面が形成される。本発明の一つの格別な特徴は、中性層の高レベルの架橋にもかかわらず、驚くべきことに、中性層の中性が維持されることである。高レベルの架橋は、各々のタイプのフォトレジストについて先に記載したように、フォトレジストでオーバーコートするか、またはフォトレジストパターンを使用した現像剤で現像するか、またはフォトレジストを剥離する時に必要とされ;そうして、上記の方法によって生成されたピン止め領域の間でのブロックコポリマードメインの適切な配向を可能とする。次いで、該ブロックコポリマー組成物をパターン化された中性層上に施与して層を形成し、そして処理(例えば加熱してアニール)して、中性層と除去もしくは処理された中性層とのパターンを含む基材に対して垂直な、エッチング耐性ブロック及びエッチングに不安定なブロックのドメインを有する自己整列したブロックコポリマーを形成し;そして該ブロックコポリマーをエッチングして、エッチングに不安定なブロックを除去して、元々のリソグラフィパターンのライン増倍をもたらす。一方のブロックの除去は、プラズマによってまたはウェットエッチングによって行ってよい。その結果、ブロックコポリマーアセンブリ中の生じたパターン(パターン化されたブロックコポリマーアセンブリの空間周波数)は、元々の微細な化学パターンの空間周波数に対して二倍、三倍、更には四倍にすることができる。こうして配向したドメインは、加工条件下に熱的に安定しているべきである。例えば、有用なジブロックコポリマー、例えばポリ(スチレン−b−メチルメタクリレート)を含むブロックコポリマーアセンブリの層を、化学的にパターン化された中性層上にコーティングする場合は、メチルメタクリレートブロックセグメントは、エッチングまたは処理された領域の中性層と優先的に相互作用し;これは、ブロックコポリマーのドメインをピン止め部位の間に拘束するピン止め部位を生成し、そして該新規中性層はブロックコポリマーのブロックセグメントを中性表面に対して垂直に留め、そして中性層中の化学的パターンによって拘束される。これらのドメインは、中性層上のブロックの横方向の分離によって、中性層中の拘束性化学的パターンの間に形成する。これらのドメインの分離は、ドメインの繰り返しセットを含む構造が、化学的にパターン化された中性層上に、この中性層中の元々の化学的パターンの空間周波数の少なくとも二倍の(所与の方向におけるドメインの繰り返しセットの数によって与えられる)ドメインの空間周波数を持って形成されるように起こる。最後に、既に述べたように、誘導自己組織化したブロックコポリマーパターンは、標準的なプラズマまたは湿式エッチングプロセスを用いて下にある基材中に転写される。
【0081】
ポジトーンライン増倍ケモエピタキシの一つの態様では、化学的ピン止めを生成するために慣用のポジ型フォトレジストを使用してよい。これは、基材上にコーティングされた本発明の中性層上に前述したようなポジ型フォトレジストをコーティングし、そして画像が過剰露光されるようにこのフォトレジストを画像形成して、フォトレジストパターンの寸法を減少させて、非常に浅い残留フォトレジスト図形、例えばその上にブロックコポリマーを施与し得る残留ラインを生成することによって成し遂げられる。この非常に浅い図形は、非常に小さなトポグラフィ、例えば10nm〜100nmの幅、5nm〜30nmの高さのオーダーのトポグラフィを有する。これらの残留図形は、ブロックコポリマーがこれらの残った残留図形を有する中性層の表面に施与された時に、中性層上でピン止め領域として機能する。前述のように、該ブロックコポリマーは、前記残留図形をピン止め領域として使用して誘導自己配列ドメインを形成し、そして中性層により強いられて、この配列は基材に対して垂直なドメインを与える。最後に、既に述べたように、誘導自己組織化したブロックコポリマーパターンは、標準的なプラズマまたはウェットエッチングプロセスを用いて下にある基材中に転写される。
【0082】
図2〜4は、ブロックコポリマーの誘導自己組織化を用いてナノメータオーダーの高解像度図形を得るために該新規中性下層を使用する新規プロセスを詳しく記載するものである。
【0083】
本方法では、任意のタイプの基材を使用し得る。一例として、基材としては、高炭素下層のコーティング及びケイ素反射防止コーティングを有する基材を使用してよい。高炭素下層は、約20nm〜約2ミクロンのコーティング厚を有することができる。この上に、約10nm〜約100nmのケイ素反射防止コーティングがコーティングされる。該新規中性層組成物は、ケイ素反射防止コーティング上にコーティングを形成するために使用される。該中性層はコーティング及びベークされ、約3nm〜約30nm、または約4nm〜約20nm、または約5nm〜約20nm、または約10nm〜約20nmの厚さの架橋した層を形成する。この架橋した中性層上に、スピンコート、ベーク及び画像形成などの慣用の技術を用いて形成及び画像形成されるフォトレジストがコーティングされる。図2a〜2iは、ネガトーンライン増倍プロセスを示す。図3a〜3gは、ポジトーンライン増倍プロセスを示す。図4a、4dは、コンタクトホール増倍のためのプロセスを示す。
【0084】
図2a〜2iは、ネガトーンプロセスを用いた増倍ライン形成のための新規プロセスを示す。図2aでは多層スタックが基材上に形成されており、ここでこのスタックは、高炭素下層及びケイ素反射防止コーティング層と、該新規の架橋された中性層とフォトレジスト層とを含む基材を含んでいる。任意の基材を使用し得る。リソグラフィプロセスに耐性がありかつ架橋後に中性を維持するものであれば任意の中性層を使用し得る。フォトレジストは、利用可能なものであれば任意のものでよく、例えば193nmフォトレジスト、液浸193nmフォトレジスト、電子線フォトレジスト、EUVフォトレジスト、248nmフォトレジスト、ブロードバンド、365nm、436nmなどがある。フォトレジスト層は慣用の技術を用いて画像形成されてパターンを形成する。図2bに示すように、ネガトーンフォトレジストを使用し得るし、または未露光の領域を現像除去して非常に狭いトレンチを形成するのに有機溶剤を使用するポジトーンフォトレジストも使用し得る。該新規下層は、層を除去するためのプラズマエッチング、層の表面を変性するためのプラズマエッチング、または材料の更なる堆積による層の化学的処理及び任意の他のピン止め法などの技術を用いて処理して、ブロックコポリマーの一方のブロックに対して特定の化学的親和性を有するピン止め表面を形成する。図2cに示すように、中性層を除去するために酸素を含むプラズマを使用し得る。次いで、フォトレジストを、図2dに示すように溶剤ストリッパまたはプラズマエッチングを使用して剥ぎ取る。フォトレジストの除去に既知の任意の有機溶剤などの溶剤を使用してよく、例えばPGMEA、PGME、エチルラクテートなどがある。フォトレジストは、露光されたフォトレジストの除去に通常使用されるような水性アルカリ性現像剤中でフォトレジストパターンを現像することによって除去してもよい。基材上の中性層は、フォトレジスト加工ステップの後でもなおもその中性を維持している。パターン化された中性層上に、ブロックコポリマーを含む組成物をコーティングしそして処理して(例えばアニール)、ブロックコポリマーの交互セグメントの自己誘導整列パターンを形成する(図2e)。中性である層は、ブロックコポリマーを整列させて高エッチング耐性の領域及び低エッチング耐性の領域を与えて、パターン増倍を図2eに示すように達成できるようにするために必要であり;中性層が十分に中性ではない場合には、表面に対し並行な望ましくない配向が達成されるであろう。次いで、図2fに示すように、引き続くエッチングはブロックコポリマーの高エッチング性ブロックを除去して、非常に高い解像度のパターン化表面を残す。ブロックの一方を除去する典型的なエッチングは、上述の通り湿式エッチングまたはプラズマエッチングであろう。次いで、図2g〜2iに示すように、パターンを、反射防止コーティングスタック用のエッチング液を用いて、プラズマエッチングによってより下のスタック層中に転写し得る。典型的なエッチングは、基材に依存してプラズマエッチングであろう。
【0085】
図3a〜3gは、ポジトーンプロセスを用いた増倍ライン形成のための新規プロセスを示している。多層スタックを、図3aにおいて基材中性層及びフォトレジスト層上に形成し、ここで基材は、高炭素下層及びケイ素反射防止コーティング層を含む。リソグラフィプロセスに耐性がありかつ架橋後に中性を維持するものであれば任意の中性層を使用し得る。フォトレジストは、利用可能なものであれば任意のものでよく、例えば193nmフォトレジスト、液浸193nmフォトレジスト、電子線フォトレジスト、EUVフォトレジスト、248nmフォトレジストなどがある。フォトレジスト層は慣用の技術を用いて画像形成されてパターンを形成する。図3bに示すようにポジトーンフォトレジストを使用して微細なフォトレジストラインを形成する。場合によっては、フォトレジストをオーバー露光、すなわち高いエネルギー線量で露光して、非常に微細なパターンを形成する。ブロックコポリマーを使用する自己整列パターンを形成するために、該新規中性下層上の非常に微細なフォトレジストパターンを使用する。ブロックコポリマーを含む組成物をコーティングしそして処理して(例えばアニール)、ブロックコポリマーの交互セグメントの自己誘導整列パターンを形成する。中性である層は、該ブロックコポリマーを整列させて高エッチング耐性の領域及び低エッチング耐性の領域を与えて、パターン増加を図3cに示すように達成できるようにするために必要であり;中性層が十分に中性ではない場合には、図示のものに対し垂直な望ましくない配向が達成されるであろう。次いで、図3dに示すように、引き続くエッチングはブロックコポリマーの高エッチング性ブロックを除去して、非常に高い解像度のパターン化表面を残す。典型的なエッチングは、上述の通り湿式エッチングまたはプラズマエッチングであろう。次いで、パターンは、図3e〜gに示すように、プラズマエッチングによってより下のスタック層中に転写し得る。典型的なエッチングは、基材に依存してプラズマエッチングであろう。
【0086】
図4a〜4dは、ケモエピタキシプロセスを用いた増倍コンタクトホールを形成するための新規方法を示す。多層スタックを基材上に形成し、ここでこのスタックは、基材(例えばケイ素反射防止コーティング層、チタン反射防止コーティング、二酸化ケイ素など)、該新規中性層及びフォトレジスト層を含んでいる。リソグラフィプロセスに耐性がありかつ架橋後に中性を維持する中性層を使用し得る。フォトレジストは、利用可能なものであれば任意のものでよく、例えば193nmフォトレジスト、液浸193nmフォトレジスト、電子線フォトレジスト、EUVフォトレジスト、248nmフォトレジストなどがある。フォトレジスト層は慣用の技術を用いて画像形成されてパターンを形成する(図4a)。該新規下層は、層を除去するためのプラズマエッチング、層の表面を変性するためのプラズマエッチング、または材料の更なる堆積による層の化学的処理及び任意の他のピン止め法などの技術を用いて処理してピン止め表面を形成する。図4bに示すように中性層を除去するために酸素を含むプラズマを使用し得る。次いで、フォトレジストを、溶剤ストリッパまたはプラズマエッチングを使用して剥ぎ取る。フォトレジストの除去のために既知の有機溶剤、例えばPGMEA、PGME、エチルラクテートなどの溶剤を使用し得る。露光されたフォトレジストの除去に使用される水性アルカリ性現像剤中でパターンを現像することによってフォトレジストを使用してもよい。基材上の中性層は、フォトレジスト加工ステップの後でもなおもその中性を維持している。パターン化された中性層上に、ブロックコポリマーを含む組成物をコーティングしそして処理して(例えばアニール)、ブロックコポリマーの交互セグメントの自己誘導整列コンタクトホールパターンを形成する(図4c)。中性のままの層は、該ブロックコポリマーの所望の配向を起こして、高エッチング耐性の領域及び低エッチング耐性の領域を与えて、パターン増倍を達成できるようにするために必要であり;中性層が十分に中性ではない場合には、図示のものに対し垂直な望ましくない配向が達成されるであろう。次いで、図4dに示すように、引き続くエッチングはブロックコポリマーの高エッチング性ブロックを除去して、非常に高い解像度のパターン化表面を残す。典型的なエッチングは、上述の通り湿式エッチングまたはプラズマエッチングであろう。次いでパターンを、プラズマエッチングによって下の方のスタック層中に転写し得る。典型的なエッチングは、基材に依存してプラズマエッチングであろう。このプロセスは、パターン調整及びパターンピッチ周波数増倍の両方に使用できる。
【0087】
上記の方法は、実施できる新規方法を記載するものである。この方法は、本発明の新規中性層組成物を使用することができる。
【0088】
上記で引用した文献はそれぞれ、全ての目的に関してその全体が本明細書中に掲載されたものとする。以下の具体例は、本発明の組成物を製造、利用する方法を詳細に説明する。しかし、これらの例は、本発明の範囲を如何様にも限定もしくは減縮することを意図したものではなく、本発明を実施するために排他的に使用しなければならない条件、パラメータまたは値を教示するものと解釈するべきものではない。
【実施例】
【0089】
コポリマーの分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィを用いて測定した。化学品は、他に記載がなければ、Sigma−Aldrich Corporation(ミズーリ州、セントルイス)から得たものである。
【0090】
合成例1:グラフト可能なベンジル系アルコール末端基を含まない、AIBNを用いて合成したメチルスチレン、メチルメタクリレート及び4−ビニルベンジルシクロブテンのコポリマー
冷却器、温度制御器、加熱マントル及び機械的攪拌機を備えた1000mlフラスコをセットアップした。80.0グラム(0.46モル)のスチレン、30.8グラム(0.31モル)のメチルメタクリレート、60グラム(0.46モル)の4−ビニルベンゾシクロブテン、2.56グラムのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)開始剤、及び400グラムの2−ブタノンを、前記フラスコに加えた。機械的攪拌機のスイッチを入れ、約120rpmに設定した。次いで、この反応溶液を、室温で約30分間、この溶液中に窒素を激しくバブリングすることによって脱気した。30分脱気した後、加熱マントルのスイッチを入れ、そして温度制御器を80℃に設定し、そして攪拌された反応混合物をこの温度で20時間維持した。この時間の後、加熱マントルのスイッチを切り、そしてこの反応溶液を約40℃まで放冷した。次いで、この反応混合物を12Lのメタノール中に注ぎ入れ、この際、この添加中、機械的攪拌によって攪拌した。この添加中、ポリマーが析出した。析出したポリマーを濾過して集めた。集められたポリマーを減圧炉中で40℃で乾燥した。約100グラムのポリマーが得られた。この乾燥したポリマーを400グラムのTHF中に溶解し、次いで0.2μmナイロンフィルタに通して濾過した。次いで、この濾過された溶液を、12Lメタノールの攪拌された溶液中で再び析出させ、析出したポリマーを集め、そして前述したように40℃で真空下に乾燥した。このようにして、89グラム(収率52%)のポリマーが乾燥後に得られた。このポリマーは、約28kのMw及び1.8の多分散性(PD)を有していた。
【0091】
合成例2a:構造(5’’)の開始剤の合成
【0092】
【化13】
(1)5.0gの4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)を約100mLのメタノール中に混ぜ入れることによって溶液を調製した。この溶液に、メタノール中の等モル量のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド5水和物からなる溶液を攪拌しながらゆっくりと加え;攪拌を、添加完了後に30分間続けた。次いで、この溶液を、ロータリーエバポレーターを用いて室温で濃縮し、そして残渣をジエチルエーテル中に注ぎ入れた。これは、攪拌した時に、粘性の油状物を生成した。前記油状物を、ジエチルエーテルとアセトンとの混合物中に混ぜ入れることによって、白色の固形物に変えた。室温で乾燥すると、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)のアンモニウム塩5.5gが生じた。
(2)4gの4−(クロロメチル)ベンジルアルコールを30mlのアセトン中に溶解することによって溶液を調製した。この溶液に、25gのアセトン中に溶解した5.7gのヨウ化ナトリウムを加えた。この混合物を、室温で17時間攪拌した。生じた塩化ナトリウムを濾過して除去した。次いで、濾液をロータリーエバポレーターを用いて小体積にまで濃縮し、そして攪拌された脱イオン水中に注ぎ入れた。得られた白色の固形物を単離し、脱イオン(DI)水で徹底的に洗浄し、そして減圧炉中で乾燥した。収量:5gの4−(ヨウ素メチル)ベンジルアルコール。
(3)ステップ(2)で得られた4−(ヨウ素メチル)ベンジルアルコール4.9gをジメチルスルホキシド(DMSO)11g中に溶解することによって溶液を調製した。この溶液に、DMSO100g中に溶解したステップ(1)で製造されたアンモニウム塩4.3gを加えた。この反応混合物を18時間室温で攪拌した。ヨウ化テトラメチルアンモニウムを濾別して濾液を得た。この濾液を攪拌しながら脱イオン水中に注ぎ入れた。生じた固形物を濾過し、水で徹底的に洗浄し、そして室温で乾燥して、二つのベンジルアルコール基を持つアゾ開始剤4g、すなわち(E)−ビス(4−ヒドロキシフェニル)4,4’−(ジアゼン−1,2−ジイル)ビス(4−シアノペンタノエート)を得た。H−1 NMR(CDCl):7.32ppm(二重項,8H,芳香族CH);5.09ppm(一重項,4H,ベンジルエステルCH−O−);4.65ppm(二重項,4H,ベンジルアルコールCH−OH);2.38ppm(多重項,8H,CH),2.1(ブロード,2H,OH),1.65(二重項,6H,CH)。
【0093】
合成例2b:構造(7)のグラフト可能なベンジル系アルコール末端基を有する構造(5’’)の開始剤を用いて合成した、メチルスチレン、メチルメタクリレート及び4−ビニルベンジルシクロブテンのコポリマー
【0094】
【化14】
冷却器、温度制御器、加熱マントル及び機械的攪拌機を備えた500mlフラスコをセットアップした。このフラスコに、46.8グラム(0.45モル)のスチレン、60.2グラム(0.60モル)のメチルメタクリレート、58.6グラム(0.45モル)の4−ビニルベンゾシクロブテン、合成例2aで製造した構造(5’’)の1.32グラムのジアゾ系開始剤、及び200グラムの2−ブタノンを加えた。機械的攪拌機のスイッチを入れ、そして約120rpmに設定した。次いで、この反応溶液を、室温で約30分間、この溶液中に窒素を激しくバブリングすることによって脱気した。この時間の後、加熱マントルのスイッチを入れ、そして温度制御器を80℃に設定し、そして攪拌された反応混合物をこの温度で20時間維持した。この時間の後、加熱マントルのスイッチを切り、そしてこの反応溶液温度を約40℃まで放冷した。次いで、この冷却された反応混合物を5Lのメタノール中に注ぎ入れ、この際、この添加中、機械的攪拌によって攪拌した。この添加中、ポリマーが析出した。析出した固形ポリマーを濾過して集めた。このポリマーを次いで減圧炉中で40℃で乾燥した。このようにして約80グラムのポリマーが得られた。この乾燥したポリマーを300グラムのTHF中に溶解し、次いで0.2μmナイロンフィルタに通して濾過した。次いで、この濾過されたポリマーを、前述のように、メタノールの攪拌された溶液中で再び析出させ、濾過して集め、そして40℃で真空下に乾燥した。このようにして、約76グラム(収率45%)のポリマーが得られた。このポリマーは、約100kのMw及びPD=2.5を有していた。
処方例1:0.01μmフィルタに通して濾過した例1(PGMEA中0.3重量%)から構成される溶液をPGME中で調製した。
処方例2:ナイロン0.01μmフィルタに通して濾過した例2b(PGMEA中0.3重量%)から構成される溶液をPGME中で調製した。
【0095】
試験例1:合成例1からスピンコートしたフィルム上のコーティング欠陥の検査
Si−Arc(SHB−9480、Shin−Etsu Chemical Co.,Ltd.)を、1500rpmで12インチケイ素ウェハ上にスピンコートし、そして220℃で2分間ベークした。処方例1を、前記のSi−ARCフィルムの上面にコーティングし、そしてフィルムの架橋(film x−linking)のために250℃で2分間ベークした。次いで、デフェクトツール(KLA−2360)を用いてコーティングを検査した。欠陥像を、図5に示すようにSEM(SEMvision cX)で撮影した。この際、基材上の材料ディウェッティングコーティング欠陥の大きな樹木形の領域が観察された。
【0096】
試験例2:合成例2bからスピンコートしたフィルム上のコーティング欠陥の検査
Si−Arc(SHB−9480、Shin−Etsu Chemical Co.,Ltd.)を、1500rpmで12インチケイ素ウェハ上にスピンコートし、そして220℃で2分間ベークした。処方例2を基材上にコーティングし、そして170℃で2分間ベークして、先ず、基材上に末端官能基をグラフトし、次いでフィルムの架橋のために240℃で2分間再びベークした。次いで、フィルムを欠陥検査ツール(KLA−2360)を用いて検査した。ディウェッティング欠陥は観察できなかった。
【0097】
試験例3:合成例2bのフィルム上でのブロックコポリマーの自己組織化
Si−Arc(SHB−9480、Shin−Etsu Chemical Co.,Ltd.)を、1500rpmで12インチケイ素ウェハ上にスピンコートし、そして220℃で2分間ベークした。処方例2を基材上にコーティングし、そして170℃で2分間ベークして、先ず、基材上に末端官能基をグラフトし、次いでフィルムの架橋のために240℃で2分間再びベークした。このコーティングの上面に、ブロックコポリマー溶液としてAZEMBLYTMEXP PME−120を1500rpmでコーティングし、そして250℃で2分間ベークした。ブロックコポリマーの自己組織化を示す画像をNanoSEM(NanoSEM 3D、Applied Materials,Inc.)で撮影し、そして代表的な画像を図6に示す。
本願は、特許請求の範囲に記載の発明に係るものであるが、本願の開示は以下も包含する:
1.
構造(1)の少なくとも一つの単位、構造(2)の少なくとも一つの単位、構造(3)の少なくとも一つの単位、
【化15】
及び次の構造(1’)を有する一つの末端基を有する少なくとも一つのランダムコポリマーを含む組成物:
【化16】
式中、Rは、C〜Cアルキル、C〜Cフルオロアルキル、C〜C部分フッ素化アルキル部分、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロフルオロアルキル、C〜C部分フッ素化シクロアルキル、及びC〜Cヒドロキシアルキルからなる群から選択され;R、R及びRは、独立して、H、C〜Cアルキル、CF及びFからなる群から選択され;Rは、H、C〜Cアルキル、C〜C部分フッ素化アルキル部分、及びC〜Cフルオロアルキルからなる群から選択され;nは1〜5の範囲であり、Rは、H、F、C〜Cアルキル及びC〜Cフルオロアルキルからなる群から選択され;mは1〜3の範囲であり;n’は1〜5の範囲であり;n’’は1〜5の範囲であり;n’’’は1〜5の範囲であり;RはC〜Cアルキルであり;Xは−CNまたはアルキルオキシカルボニル部分R−O−(C=O)−(RはC〜Cアルキルである)であり;
そして
【化17】
は、該ランダムコポリマーに対する末端基の結合点を表し、
ここで、該組成物は、更に、溶剤を含み、好ましくはRはC〜Cアルキルからなる群から選択され;R、R及びRは、独立して、H及びC〜Cアルキルからなる群から選択され;Rは、H、C〜Cアルキルからなる群から選択され、そしてn=1であり;そしてRは、H、C〜Cアルキルからなる群から選択され、そしてm=1である。
2.
前記コポリマーが、グラフト、架橋しておりかつブロックコポリマーに対して中性層である層を形成することができる、上記1に記載の組成物。
3.
前記コポリマーが、グラフト、架橋しておりかつフォトレジスト用の有機溶剤中に可溶ではない中性層である層を形成することができる、上記1または2に記載の組成物。
4.
前記コポリマーが、グラフト、架橋しておりかつ水性アルカリ性現像剤中に可溶ではない中性層である層を形成することができる、上記1〜3のいずれか一つに記載の組成物。
5.
構造(3)の単位が10モル%〜45モル%の範囲である、上記1〜4のいずれか一つに記載の組成物。
6.
前記ブロックコポリマーがポリ(スチレン−b−メチルメタクリレート)である、上記2〜5のいずれか一つに記載の組成物。
7.
酸発生剤を更に含む、上記1〜6のいずれか一つに記載の組成物。
8.
熱酸発生剤を更に含む、上記1〜7のいずれか一つに記載の組成物。
9.
構造(1)の少なくとも一つの繰り返し単位、構造(2)の少なくとも一つの繰り返し単位、構造(3)の少なくとも一つの繰り返し単位、
【化18】
及び次の構造(1’)を有する一つの末端基を有するランダムコポリマー:
【化19】
式中、Rは、C〜Cアルキル、C〜Cフルオロアルキル、C〜C部分フッ素化アルキル部分、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロフルオロアルキル、C〜C部分フッ素化シクロアルキル、及びC〜Cヒドロキシアルキルからなる群から選択され;R、R及びRは、独立して、H、C〜Cアルキル、CF及びFからなる群から選択され;Rは、H、C〜Cアルキル、C〜C部分フッ素化アルキル部分、及びC〜Cフルオロアルキルからなる群から選択され、nは1〜5の範囲であり、Rは、H、F、C〜Cアルキル及びC〜Cフルオロアルキルからなる群から選択され、そしてmは1〜3の範囲であり、及びn’は1〜5の範囲であり、そしてn’’は1〜5の範囲であり、n’’’は1〜5の範囲であり、RはC〜Cアルキルであり、そしてXは−CNまたはアルキルオキシカルボニル部分R−O−(C=O)−であり、ここでRはC〜Cアルキルであり、
そして
【化20】
は、該ランダムコポリマーに対する前記末端基の結合点を表し、
該組成物は更に溶剤を含む。
10.
コポリマーのグラフト及び架橋したコーティングを基材上に形成する方法であって、次のステップ:
a)上記1〜8のいずれか一つに記載の組成物のコーティングを基材上に形成するステップ;
b)このコーティングを90℃〜180℃の間の温度で加熱して、溶剤を除去しそしてコポリマーのグラフトしたコーティング層を形成するステップ;
c)このグラフトしたコーティング層を200℃〜250℃の間の温度で加熱して、架橋されたコポリマーコーティング層を形成するステップ;
を含む前記方法。
11.
自己組織化したブロックコポリマーコーティング層を中性層コーティング上に形成する方法であって、次のステップ:
a)上記1〜8のいずれか一つに記載の組成物のコーティングを基材上に形成するステップ;
b)このコーティングを90℃〜180℃の間の温度で加熱して、溶剤を除去しそしてコポリマーのグラフトしたコーティング層を形成するステップ;
c)このグラフトしたコーティング層を200℃〜250℃の間の温度で加熱してコポリマーを架橋して、中性コーティング層を形成するステップ;
d)上記中性コーティング層の上にブロックコポリマーを施与し、そしてこのブロックコポリマー層の誘導自己組織化が起こるまでアニールするステップ;
を含む前記方法。
12.
画像を形成するために使用されるブロックコポリマー層のグラフォエピタキシ誘導自己組織化方法であって、次のステップ:
a)上記1〜8のいずれか一つに記載の組成物のコーティングを基材上に形成するステップ;
b)このコーティングを90℃〜180℃の間の温度で加熱して、グラフトしたコーティング層を形成するステップ;
c)このグラフトしたコーティング層を200℃〜300℃の間の温度で加熱して、架橋及びグラフトした中性層を形成するステップ;
d)この架橋及びグラフトした中性層上にフォトレジスト層のコーティングを提供するステップ;
e)フォトレジスト層中にパターンを形成し、好ましくはフォトレジスト層中のこのパターンは、電子線、ブロードバンド、193nm液浸リソグラフィ、13.5nm、193nm、248nm、365nm及び436nmからなる群から選択される画像形成リソグラフィによって形成されるステップ;
f)エッチング耐性ブロックと高エッチング可能ブロックとを含むブロックコポリマーを前記フォトレジストパターン上に施与し、そして誘導自己組織化が起こるまでアニールするステップ;及び
g)前記ブロックコポリマーをエッチングし、それによって前記コポリマーの高エッチング可能ブロックを除去してパターンを形成するステップ;
を含む前記方法。
13.
画像を形成するために使用されるブロックコポリマー層のケモエピタキシ誘導自己組織化方法であって、次のステップ:
a)上記1〜8のいずれか一つに記載の組成物のコーティングを基材上に形成するステップ;
b)このコーティングを90℃〜180℃の間の温度で加熱して、溶剤を除去しそしてグラフトしたコーティング層を形成するステップ;
c)このグラフトしたコーティング層を200℃〜300℃の間の温度で加熱して、架橋及びグラフトした中性層を形成するステップ;
d)この架橋及びグラフトした中性層上にフォトレジスト層のコーティングを提供するステップ;
e)フォトレジスト層中にパターンを形成し、それによって中性層がレジストによって覆われていない領域を形成し、好ましくはフォトレジスト層中のこのパターンは、電子線、ブロードバンド、193nm液浸リソグラフィ、ブロードバンド、13.5nm、193nm、248nm、365nm及び436nmからなる群から選択される画像形成リソグラフィによって形成されるステップ;
f)被覆されていない中性層を処理するステップ;
g)フォトレジストを除去するステップ;
h)エッチング耐性ブロックと高エッチング可能ブロックとを含むブロックコポリマーを中性層上に施与し、そして誘導自己組織化が起こるまでアニールするステップ;及び
i)前記ブロックコポリマーをエッチングし、それによって前記コポリマーの高エッチング可能ブロックを除去してパターンを形成するステップ;
を含む前記方法。
14.
上記12で形成された画像を使用して製造される微細電子デバイス。
15.
上記13で形成された画像を使用して製造される微細電子デバイス。
図1a
図1b
図1c
図2
図3
図4
図5
図6