(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の冷却通路は、前記冷媒を前記加熱部の一端側から他端側に通過させる第一冷却通路と、前記冷媒を前記加熱部の他端側から一端側に通過させる第二冷却通路と、を含む
請求項1から8の何れか一項に記載の基板加熱装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の加熱工程は、比較的低温で溶媒を蒸発させる第一工程と、比較的高温でポリアミック酸を硬化させる第二工程とを含む。そのため、基板の加熱温度を第一工程の温度から第二工程の温度まで高める間に長時間を要する。一方、第二工程の後に比較的低温で処理を行ったり基板を降温したりする場合には、基板を加熱する加熱部を降温させることがある。しかし、加熱部の降温時間は基板の加熱温度に比例して長時間を要するため、加熱部の降温に要するタクトタイムを短縮化する上で課題があった。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明は、加熱部の降温に要するタクトタイムを短縮化することが可能な基板加熱装置及び基板加熱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る基板加熱装置は、溶液を塗布した基板の収容空間の雰囲気を減圧する減圧部と、前記基板の一方側に配置されるとともに、前記基板を加熱可能な加熱部と、前記基板の他方側に配置されるとともに、前記基板を赤外線によって加熱可能な赤外線ヒータと、前記加熱部と前記赤外線ヒータとの間に配置されるとともに、前記加熱部に向かう前記赤外線を反射する反射面と、を含むことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、加熱部と赤外線ヒータとの間に配置されるとともに加熱部に向かう赤外線を反射する反射面を含むことで、加熱部に赤外線が吸収されることを回避することができるため、赤外線による加熱部の昇温を抑制することができる。そのため、赤外線による加熱部の昇温に伴う加熱部の降温時間を考慮する必要がない。したがって、加熱部の降温に要するタクトタイムを短縮化することができる。加えて、反射面によって反射された赤外線の少なくとも一部は基板に吸収されるため、基板の加熱を促進することができる。一方、反射面によって反射された赤外線による基板の温度上昇分を踏まえて、赤外線ヒータの出力を低減することができる。ところで、オーブンで熱風を循環させて基板を加熱する方式であると、熱風の循環によって基板の収容空間に異物が巻き上げられる可能性がある。これに対し、この構成によれば、基板の収容空間の雰囲気を減圧した状態で基板を加熱することができるため、基板の収容空間に異物が巻き上げられることはなく、好適である。
【0008】
上記の基板加熱装置において、前記反射面を有する赤外線反射部を更に含み、前記加熱部は、前記赤外線反射部を載置可能な載置面を含んでいてもよい。
この構成によれば、基板の収容空間の雰囲気を減圧して真空状態とした場合、加熱部における載置面と赤外線反射部との間を真空断熱することができる。すなわち、載置面と赤外線反射部との界面における隙間を断熱層として機能させることができる。そのため、赤外線による加熱部の昇温を抑制することができる。一方、基板の収容空間に窒素を供給(N
2パージ)した場合、載置面と赤外線反射部との間の真空断熱を解除することができる。そのため、加熱部が降温しているときは赤外線反射部も降温していると推定することができる。
【0009】
上記の基板加熱装置において、前記加熱部と前記赤外線反射部との間には、前記赤外線反射部を前記加熱部に着脱可能とする着脱構造が設けられていてもよい。
この構成によれば、赤外線反射部が加熱部から着脱可能とされるため、赤外線反射部のメンテナンス性を向上することができる。例えば、反射面に傷がついた場合であっても、赤外線反射部のみを交換すれば済むため、メンテナンス性に優れる。
【0010】
上記の基板加熱装置において、前記着脱構造は、前記載置面から突出する突出部と、前記赤外線反射部に形成されるとともに、前記突出部が挿し込まれる挿込部と、を含んでいてもよい。
この構成によれば、赤外線反射部の挿込部を載置面の突出部に挿し込むことによって、赤外線反射部を加熱部に容易に取り付けることができる。加えて、赤外線反射部を載置面に単に載置する場合と比較して、載置面の面内において赤外線反射部の位置ズレを抑制することができる。
【0011】
上記の基板加熱装置において、前記突出部は、第一凸部と、前記載置面の面内で前記第一凸部から離反する第二凸部と、を含み、前記挿込部は、前記第一凸部が挿し込まれる第一凹部と、少なくとも第一凸部と前記第二凸部との離反方向への前記赤外線反射部の膨張又は収縮を許容するように前記第二凸部が挿し込まれる第二凹部と、を含んでいてもよい。
この構成によれば、赤外線反射部の第一凹部を第一凸部に挿し込むとともに、第二凹部を第二凸部に挿し込むことによって、第一凸部を基準として赤外線反射部の位置決めを行うことができる。加えて、赤外線反射部が熱膨張又は熱収縮したとしても、少なくとも第一凸部と第二凸部との離反方向への赤外線反射部の膨張又は収縮を第二凹部で許容することができる。
【0012】
上記の基板加熱装置において、前記載置面は、前記載置面の面内で区画された複数の載置領域を含み、前記赤外線反射部は、前記複数の載置領域ごとに分割された複数の赤外線反射板を含んでいてもよい。
この構成によれば、複数の載置領域ごとに分割された赤外線反射板をそれぞれ載置することができるため、赤外線反射部を大サイズの1枚の板部材とした場合と比較して、赤外線反射部を載置面に容易に載置することができる。ところで、赤外線反射部をG6サイズ(縦150cm×横185cm)以上の1枚の板部材とした場合には、そのままのサイズでは反射面の鏡面処理が困難となる可能性がある。これに対し、この構成によれば、分割された赤外線反射板ごとに反射面の鏡面処理を容易に行うことができる。
【0013】
上記の基板加熱装置において、隣り合う2つの前記赤外線反射板は、間隔をあけて配置されていてもよい。
この構成によれば、赤外線反射部が熱膨張したとしても、2つの赤外線反射板が隣り合う方向への赤外線反射部の膨張を間隔で許容することができる。
【0014】
上記の基板加熱装置において、前記反射面には、前記基板を支持可能な複数の基板支持凸部が設けられていてもよい。
この構成によれば、基板が基板支持凸部で支持されることによって、反射面と基板との間に隙間が形成されるため、基板との接触により反射面に傷がつくことを回避することができる。
【0015】
上記の基板加熱装置において、前記加熱部を冷却可能な冷却機構を更に含んでいてもよい。
この構成によれば、加熱部を自然空冷する場合と比較して、加熱部の降温レートを大きくすることができるため、加熱部を短時間で降温することができる。したがって、加熱部の降温に要するタクトタイムをより一層短縮化することができる。
【0016】
上記の基板加熱装置において、前記冷却機構は、前記加熱部の内部に配置されるとともに、冷媒を通過可能とする冷媒通過部を含んでいてもよい。
この構成によれば、加熱部を外部から冷却する場合と比較して、加熱部を内部から効率的に冷却することができるため、加熱部を短時間で降温することができる。
【0017】
上記の基板加熱装置において、前記冷媒通過部は、前記反射面を有する赤外線反射部を載置可能な載置面と平行な一方向に延びるとともに、前記載置面と平行でかつ前記一方向と交差する方向に並ぶ複数の冷却通路を含んでいてもよい。
この構成によれば、加熱部を万遍なく効率的に冷却することができるため、加熱部全体を短時間で降温することができる。
【0018】
上記の基板加熱装置において、前記複数の冷却通路は、前記冷媒を前記加熱部の一端側から他端側に通過させる第一冷却通路と、前記冷媒を前記加熱部の他端側から一端側に通過させる第二冷却通路と、を含んでいてもよい。
この構成によれば、複数の冷却通路が冷媒を加熱部の一端側から他端側に向けてのみ通過させる場合と比較して、加熱部の一端側と他端側とで温度差が生じることを抑制することができる。すなわち、加熱部の一端側と他端側とで温度差が相殺されるため、温度分布のバランスを改善することができる。したがって、加熱部を効率的に均一に冷却することができる。
【0019】
上記の基板加熱装置において、前記第一冷却通路と前記第二冷却通路とは、前記載置面と平行でかつ前記一方向と交差する方向に交互に配置されていてもよい。
この構成によれば、載置面と平行でかつ第一方向と交差する方向においても温度差が生じることを抑制することができる。すなわち、載置面と平行でかつ第一方向と交差する方向においても温度差が相殺されるため、面内の温度分布のバランスを改善することができる。したがって、加熱部を万遍なく効率的に均一に冷却することができる。
【0020】
上記の基板加熱装置において、前記冷媒通過部は、前記加熱部の一端側と他端側とにおいて前記複数の冷却通路に連結される冷却マニホールドを更に含み、前記冷却マニホールドを選択的に加熱可能な補助加熱部を更に含んでいてもよい。
この構成によれば、冷却マニホールドを介して複数の冷却通路に冷媒を一括して流すことができるため、加熱部を効率的に冷却することができる。加えて、冷却マニホールド付近が降温しそうな場合であっても、補助加熱部によって冷却マニホールドを選択的に加熱することができるため、冷却マニホールド付近の領域と他の領域とで温度差が生じることを抑制することができる。したがって、加熱部を効率的に均一に冷却することができる。
【0021】
上記の基板加熱装置において、前記基板、前記加熱部及び前記赤外線ヒータを収容可能なチャンバを更に含んでいてもよい。
この構成によれば、チャンバ内で基板の加熱温度を管理することができるため、基板を効果的に加熱することができる。加えて、チャンバ内で加熱部の温度を管理することができるため、加熱部を効果的に降温することができる。
【0022】
上記の基板加熱装置において、前記基板、前記加熱部及び前記赤外線ヒータは、共通の前記チャンバに収容されていてもよい。
この構成によれば、共通のチャンバ内で基板への加熱部による加熱処理と赤外線ヒータによる加熱処理とを一括して行うことができる。すなわち、加熱部及び赤外線ヒータが互いに異なるチャンバに収容された場合のように、異なる2つのチャンバ間で基板を搬送させるための時間を要しない。したがって、基板の加熱処理をより一層効率良く行うことができる。加えて、異なる2つのチャンバを備えた場合と比較して、装置全体を小型化することができる。
【0023】
上記の基板加熱装置において、前記溶液は、前記基板の第一面にのみ塗布されており、前記加熱部は、前記基板の第一面とは反対側の第二面の側に配置されていてもよい。
この構成によれば、加熱部から発せられた熱が、基板の第二面の側から第一面の側に向けて伝わるようになるため、基板を効果的に加熱することができる。加えて、加熱部で基板を加熱している間に、基板に塗布された溶液の揮発又はイミド化(例えば、成膜中のガス抜き)を効率良く行うことができる。
【0024】
上記の基板加熱装置において、前記加熱部及び前記赤外線ヒータの少なくとも一方は、前記基板を段階的に加熱可能であってもよい。
この構成によれば、加熱部及び赤外線ヒータが基板を一定の温度でのみ加熱可能な場合と比較して、基板に塗布された溶液の成膜条件に適合するように、基板を効率良く加熱することができる。したがって、基板に塗布された溶液を段階的に乾燥させ、良好に硬化させることができる。
【0025】
上記の基板加熱装置において、前記加熱部及び前記赤外線ヒータの少なくとも一方と前記基板との相対位置を調整可能な位置調整部を更に含んでいてもよい。
この構成によれば、前記位置調整部を備えない場合と比較して、基板の加熱温度を調整し易くなる。例えば、基板の加熱温度を高くする場合には加熱部及び赤外線ヒータと基板とを近接させ、基板の加熱温度を低くする場合には加熱部及び赤外線ヒータと基板とを離反させることができる。したがって、基板を段階的に加熱し易くなる。
【0026】
上記の基板加熱装置において、前記位置調整部は、前記基板を前記加熱部と前記赤外線ヒータとの間で移動可能とする移動部を含んでいてもよい。
この構成によれば、基板を加熱部と赤外線ヒータとの間で移動させることによって、加熱部及び赤外線ヒータの少なくとも一方を定位置に配置した状態で、基板の加熱温度を調整することができる。したがって、加熱部及び赤外線ヒータの少なくとも一方を移動可能とする装置を別途設ける必要がないため、簡素な構成で基板の加熱温度を調整することができる。
【0027】
上記の基板加熱装置において、前記加熱部と前記赤外線ヒータとの間には、前記基板を搬送可能とする搬送部が設けられており、前記搬送部には、前記移動部を通過可能とする通過部が形成されていてもよい。
この構成によれば、基板を加熱部と赤外線ヒータとの間で移動させる場合に、通過部を通過させることができるため、搬送部を迂回して基板を移動させる必要がない。したがって、搬送部を迂回して基板を移動させるための装置を別途設ける必要がないため、簡素な構成で基板の移動をスムーズに行うことができる。
【0028】
上記の基板加熱装置において、前記移動部は、前記基板の第一面とは反対側の第二面を支持可能かつ前記第二面の法線方向に移動可能な複数のピンを含み、前記複数のピンの先端は、前記第二面と平行な面内に配置されていてもよい。
この構成によれば、基板を安定して支持した状態で、基板を加熱することができるため、基板に塗布された溶液を安定して成膜させることができる。
【0029】
上記の基板加熱装置において、前記加熱部には、前記加熱部を前記第二面の法線方向に開口する複数の挿通孔が形成されており、前記複数のピンの先端は、前記複数の挿通孔を介して前記第二面に当接可能とされていてもよい。
この構成によれば、複数のピンと加熱部との間での基板の受け渡しを短時間で行うことができるため、基板の加熱温度を効率良く調整することができる。
【0030】
上記の基板加熱装置において、前記加熱部は、ホットプレートであってもよい。
この構成によれば、基板の加熱温度を基板の面内で均一化させることができるため、膜特性を向上させることができる。例えば、ホットプレートの一面と基板の第二面とを当接させた状態で基板を加熱することによって、基板の加熱温度の面内均一性を高めることができる。
【0031】
上記の基板加熱装置において、前記基板の温度を検知可能な温度検知部を更に含んでいてもよい。
この構成によれば、基板の温度をリアルタイムで把握することができる。例えば、温度検知部の検知結果に基づいて基板を加熱することによって、基板の温度が目標値からずれることを抑制することができる。
【0032】
上記の基板加熱装置において、前記基板に塗布された前記溶液から揮発した溶媒を回収可能な回収部を更に含んでいてもよい。
この構成によれば、溶液から揮発した溶媒が工場側へ排出されることを防ぐことができる。また、回収部を減圧部(真空ポンプ)のラインに接続した場合には、溶液から揮発した溶媒が再び液化して真空ポンプ内に逆流することを防ぐことができる。さらに、溶液から揮発した溶媒を、洗浄液として再利用することができる。例えば、洗浄液は、ノズル先端の洗浄、ノズルに付着した液をかき取る部材に付着した液の洗浄等に用いることができる。
【0033】
本発明の一態様に係る基板加熱方法は、溶液を塗布した基板の収容空間の雰囲気を減圧する減圧工程と、前記基板の一方側に配置されている加熱部を用いて前記基板を加熱する第一加熱工程と、前記基板の他方側に配置されている赤外線ヒータを用いて前記基板を赤外線によって加熱する第二加熱工程と、を含み、前記第二加熱工程では、前記加熱部と前記赤外線ヒータとの間に配置されている反射面を用いて前記加熱部に向かう前記赤外線を反射することを特徴とする。
【0034】
この方法によれば、第二加熱工程において加熱部と赤外線ヒータとの間に配置されている反射面を用いて加熱部に向かう赤外線を反射することで、加熱部に赤外線が吸収されることを回避することができるため、赤外線による加熱部の昇温を抑制することができる。そのため、赤外線による加熱部の昇温に伴う加熱部の降温時間を考慮する必要がない。したがって、加熱部の降温に要するタクトタイムを短縮化することができる。加えて、反射面によって反射された赤外線の少なくとも一部は基板に吸収されるため、基板の加熱を促進することができる。一方、反射面によって反射された赤外線による基板の温度上昇分を踏まえて、赤外線ヒータの出力を低減することができる。
【0035】
上記の基板加熱方法において、前記第二加熱工程では、前記加熱部を冷却してもよい。
この方法によれば、第二加熱工程の後に加熱部を冷却する場合と比較して、加熱部を短時間で降温することができる。したがって、加熱部の降温に要するタクトタイムをより一層短縮化することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、加熱部の降温に要するタクトタイムを短縮化することができる基板加熱装置及び基板加熱方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX方向、水平面内においてX方向と直交する方向をY方向、X方向及びY方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ方向とする。
【0039】
(第一実施形態)
<基板加熱装置>
図1は、第一実施形態に係る基板加熱装置1の斜視図である。
図1に示すように、基板加熱装置1は、チャンバ2、減圧部3、ガス供給部4、加熱部5、赤外線ヒータ6、位置調整部7、搬送部8、温度検知部9、回収部11、揺動部12、赤外線反射部30及び制御部15を備えている。制御部15は、基板加熱装置1の構成要素を統括制御する。便宜上、
図1においては、チャンバ2、減圧部3及びガス供給部4を二点鎖線で示している。
【0040】
<チャンバ>
チャンバ2は、基板10、加熱部5及び赤外線ヒータ6を収容可能である。基板10、加熱部5及び赤外線ヒータ6は、共通のチャンバ2に収容されている。チャンバ2は、直方体の箱状に形成されている。具体的に、チャンバ2は、矩形板状の天板21と、天板21と対向する矩形板状の底板22と、天板21及び底板22の外周縁に繋がる矩形枠状の周壁23とによって形成されている。例えば、周壁23の−X方向側には、チャンバ2に対して基板10の搬入及び搬出をするための基板搬出入口23aが設けられている。
【0041】
チャンバ2は、基板10を密閉空間で収容可能に構成されている。例えば、天板21、底板22及び周壁23の各接続部を溶接等で隙間なく結合することで、チャンバ2内の気密性を向上することができる。
【0042】
<減圧部>
減圧部3は、底板22の−Y方向側の基板搬出入口23a寄りの角部に接続されている。減圧部3は、チャンバ2内を減圧可能である。例えば、減圧部3は、ポンプ機構等の減圧機構を備えている。減圧機構は、真空ポンプ13を備えている。なお、減圧部3の接続部位は、底板22の−Y方向側の基板搬出入口23a寄りの角部に限定されない。減圧部3は、チャンバ2に接続されていればよい。
【0043】
減圧部3は、ポリイミド膜(ポリイミド)を形成するための溶液(以下「ポリイミド形成用液」という。)が塗布された基板10の収容空間の雰囲気を減圧可能である。例えば、ポリイミド形成用液は、ポリアミック酸又はポリイミドパウダーを含む。ポリイミド形成用液は、矩形板状をなす基板10の第一面10a(上面)にのみ塗布されている。なお、溶液は、ポリイミド形成用液に限定されない。溶液は、基板10に所定の膜を形成するためのものであればよい。
【0044】
<ガス供給部>
ガス供給部4は、周壁23の+X方向側の天板21寄りの角部に接続されている。ガス供給部4は、チャンバ2の内部雰囲気の状態を調整可能である。ガス供給部4は、窒素(N
2)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)等の不活性ガスをチャンバ2内へ供給する。なお、ガス供給部4の接続部位は、周壁23の+X方向側の天板21寄りの角部に限定されない。ガス供給部4は、チャンバ2に接続されていればよい。また、基板降温時にガスを供給することで基板冷却に使用してもよい。
【0045】
ガス供給部4により、チャンバ2の内部雰囲気の酸素濃度を調整することができる。チャンバ2の内部雰囲気の酸素濃度(質量基準)は、低いほど好ましい。具体的には、チャンバ2の内部雰囲気の酸素濃度を、100ppm以下とすることが好ましく、20ppm以下とすることがより好ましい。
例えば、後述のように、基板10に塗布されたポリイミド形成用液を硬化するときの雰囲気において、このように酸素濃度を好ましい上限以下とすることにより、ポリイミド形成用液の硬化を進行しやすくすることができる。
【0046】
<加熱部>
加熱部5は、チャンバ2内の下方に配置されている。加熱部5は、基板10を第一の温度で加熱可能である。加熱部5は、基板10を段階的に加熱可能である。例えば、第一の温度を含む温度範囲は、20℃以上かつ300℃以下の範囲である。加熱部5は、基板10の第一面10aとは反対側の第二面10b(下面)の側に配置されている。
【0047】
加熱部5は、矩形板状をなしている。加熱部5は、赤外線反射部30を下方から支持可能である。例えば、加熱部5は、ホットプレートである。
【0048】
図2は、加熱部5及びその周辺構造を示す側面図である。
図2に示すように、加熱部5は、加熱源であるヒータ5bと、ヒータ5bを覆うベースプレート5cと、を備えている。
ヒータ5bは、XY平面に平行な面状発熱体である。
ベースプレート5cは、ヒータ5bを上方から覆うアッパープレート5dと、ヒータ5bを下方から覆うロアプレート5eと、を備えている。アッパープレート5d及びロアプレート5eは、矩形板状をなしている。アッパープレート5dの厚みは、ロアプレート5eの厚みよりも厚くなっている。
【0049】
なお、
図2において、符号18は加熱部5におけるヒータの温度を検知可能なヒータ温度検知部、符号19は加熱部5におけるアッパープレート5dの温度を検知可能なプレート温度検知部をそれぞれ示す。例えば、ヒータ温度検知部18及びプレート温度検知部19は、熱電対等の接触式温度センサである。
【0050】
図3は、加熱部5の上面図である。
図3に示すように、加熱部5(すなわち、アッパープレート5d)は、赤外線反射部30を載置可能な載置面5a(上面)を備えている。載置面5aは、赤外線反射部30の裏面に沿う平坦面をなしている。載置面5aは、アルマイト処理を施されている。載置面5aは、載置面5aの面内で区画された複数(例えば、本実施形態では4つ)の載置領域A1,A2,A3,A4を含んでいる。載置領域A1,A2,A3,A4は、平面視でX方向に長手を有する長方形形状をなしている。なお、載置領域A1,A2,A3,A4の数は4つに限定されず、適宜変更することができる。
【0051】
<赤外線ヒータ>
図1に示すように、赤外線ヒータ6は、チャンバ2内の上方に配置されている。赤外線ヒータ6は、第一の温度よりも高い第二の温度で基板10を加熱可能である。赤外線ヒータ6は、加熱部5とは別個独立して設けられている。赤外線ヒータ6は、基板10を段階的に加熱可能である。例えば、第二の温度を含む温度範囲は、200℃以上かつ600℃以下の範囲である。赤外線ヒータ6は、基板10の第一面10aの側に配置されている。
【0052】
赤外線ヒータ6は、天板21に支持されている。赤外線ヒータ6は、チャンバ2内の天板21寄りで定位置に固定されている。例えば、赤外線ヒータ6のピーク波長範囲は、1.5μm以上かつ4μm以下の範囲である。なお、赤外線ヒータ6のピーク波長範囲は、上記範囲に限らず、要求仕様に応じて種々の範囲に設定することができる。
【0053】
<位置調整部>
位置調整部7は、チャンバ2の下方に配置されている。位置調整部7は、加熱部5及び赤外線ヒータ6と基板10との相対位置を調整可能である。位置調整部7は、移動部7aと駆動部7bとを備える。移動部7aは、上下(Z方向)に延びる柱状の部材である。移動部7aの上端は、加熱部5の下面に固定されている。駆動部7bは、移動部7aを上下に移動可能とする。移動部7aは、基板10を加熱部5と赤外線ヒータ6との間で移動可能とする。具体的に、移動部7aは、基板10が赤外線反射部30に支持された状態で、駆動部7bの駆動によって、基板10を上下に移動させる(
図11及び
図12参照)。
【0054】
駆動部7bは、チャンバ2の外部に配置されている。そのため、仮に駆動部7bの駆動に伴いパーティクルが発生したとしても、チャンバ2内を密閉空間とすることによって、チャンバ2内へのパーティクルの侵入を回避することができる。
【0055】
<搬送部>
搬送部8は、チャンバ2内において、加熱部5と赤外線ヒータ6との間に配置されている。搬送部8は、基板10を搬送可能である。搬送部8には、移動部7aを通過可能とする通過部8hが形成されている。搬送部8は、基板10の搬送方向であるX方向に沿って配置された複数の搬送ローラ8aを備えている。
【0056】
複数の搬送ローラ8aは、周壁23の+Y方向側と−Y方向側とに離反して配置されている。すなわち、通過部8hは、周壁23の+Y方向側の搬送ローラ8aと、周壁23の−Y方向側の搬送ローラ8aとの間の空間である。
【0057】
例えば、周壁23の+Y方向側及び−Y方向側のそれぞれには、Y方向に延びる複数のシャフト(不図示)がX方向に沿って配置されている。各搬送ローラ8aは、駆動機構(不図示)によって、各シャフトの回りに回転駆動されるようになっている。
【0058】
図4は、搬送ローラ8a、基板10及び加熱部5の配置関係を説明するための図である。
図4は、基板加熱装置1の上面図に相当する。便宜上、
図4においては、チャンバ2を二点鎖線で示す。
図4において、符号L1は、周壁23の+Y方向側の搬送ローラ8aと、周壁23の−Y方向側の搬送ローラ8aとが離反する間隔(以下「ローラ離反間隔」という。)である。また、符号L2は、基板10のY方向の長さ(以下「基板長さ」という。)である。また、符号L3は、加熱部5のY方向の長さ(以下「加熱部長さ」という。)である。なお、加熱部長さL3は、赤外線反射部30のY方向の長さと実質的に同じ長さである。
【0059】
図4に示すように、ローラ離反間隔L1は、基板長さL2よりも小さくかつ加熱部長さL3よりも大きい(L3<L1<L2)。ローラ離反間隔L1が加熱部長さL3よりも大きいことによって、移動部7aは、加熱部5及び赤外線反射部30と共に通過部8hを通過できるようになっている(
図11及び
図12参照)。
【0060】
<温度検知部>
図1に示すように、温度検知部9は、チャンバ2外に配置されている。温度検知部9は、基板10の温度を検知可能である。具体的に、温度検知部9は、天板21の上部に設置されている。天板21には、不図示の窓が取り付けられている。温度検知部9は、天板21の窓越しに基板10の温度を検知する。例えば、温度検知部9は、放射温度計等の非接触温度センサである。なお、
図1では温度検知部9を1つのみ図示しているが、温度検知部9の数は1つに限らず、複数であってもよい。例えば、複数の温度検知部9を天板21の中央部及び四隅に配置することが好ましい。
【0061】
<回収部>
回収部11は、減圧部3(真空ポンプ13)のラインに接続されている。回収部11は、基板10に塗布されたポリイミド形成用液から揮発した溶媒を回収可能である。
【0062】
<揺動部>
揺動部12は、チャンバ2内において、基板10の−X方向側に配置されている。揺動部12は、基板10を揺動可能である。例えば、揺動部12は、基板10が加熱されている状態において、基板10をXY平面に沿う方向又はZ方向に沿う方向に揺動させる。なお、揺動部12の配置位置は、チャンバ2内における基板10の−X方向側に限定されない。例えば、揺動部12は、位置調整部7に設けられていてもよい。
【0063】
<赤外線反射部>
赤外線反射部30は、赤外線ヒータ6から加熱部5に向かう赤外線を反射する反射面30aを備えている。反射面30aは、加熱部5と赤外線ヒータ6との間に配置されている。
【0064】
反射面30aは、鏡面仕上げを施されている。具体的に、反射面30aの表面粗さ(Ra)は、0.01μm程度、Rmax0.1μm程度とされている。なお、反射面30aの表面粗さ(Ra)は、東京精密社製の測定機器(サーフコム1500SD2)で測定している。
【0065】
図5は、赤外線反射部30の上面図である。
図5に示すように、反射面30aには、基板10を支持可能な複数(例えば、本実施形態では80個)の基板支持凸部35(
図1では図示略)が設けられている。なお、基板支持凸部35の数は80個に限定されず、適宜変更することができる。
【0066】
基板支持凸部35は、円柱状のピンである。なお、基板支持凸部35は、円柱状に限定されない。例えば、基板支持凸部35は、角柱状であってもよく、適宜変更することができる。
【0067】
複数の基板支持凸部35は、反射面30aの面内においてX方向及びY方向に一定の間隔をあけて配置されている。例えば、基板支持凸部35の配置間隔は、50mm程度とされている。例えば、基板支持凸部35の高さは、1mm程度とされている。例えば、基板支持凸部35の高さは、0.1mm〜1mmの範囲で調整可能である。なお、基板支持凸部35の配置間隔、基板支持凸部35の高さは上記寸法に限定されず、反射面30aと基板10との間に隙間を形成した状態で基板10を支持可能な範囲において適宜変更することができる。
【0068】
赤外線反射部30は、複数(例えば、本実施形態では4つ)の載置領域A1,A2,A3,A4(
図3参照)ごとに分割された複数(例えば、本実施形態では4つ)の赤外線反射板31,32,33,34を備えている。なお、赤外線反射板31,32,33,34の数は4つに限定されず、適宜変更することができる。
【0069】
複数の赤外線反射板31,32,33,34は、互いに実質的に同じ大きさとされている。これにより、各載置領域A1,A2,A3,A4において載置する赤外線反射板31,32,33,34を共用することができる。なお、赤外線反射板31,32,33,34の大きさは、互いに異ならせてもよく、適宜変更することができる。
【0070】
赤外線反射板31,32,33,34は、X方向に長手を有する長方形板状をなしている。1つの赤外線反射板31,32,33,34には、5行4列(すなわち、X方向に5個かつY方向に4個)の計20個の基板支持凸部35が配置されている。
【0071】
隣り合う2つの赤外線反射板31,32,33,34は、間隔S1,S2をあけて配置されている。間隔S1,S2は、隣り合う2つの赤外線反射板31,32,33,34の熱膨張を許容しうる大きさとされている。具体的に、X方向に隣り合う2つの赤外線反射板31,32,33,34の間隔S1は、X方向への赤外線反射板31,32,33,34の膨張を吸収可能な大きさとされている。Y方向に隣り合う2つの赤外線反射板31,32,33,34の間隔S2は、Y方向への赤外線反射板31,32,33,34の膨張を吸収可能な大きさとされている。
なお、赤外線反射板31,32,33,34の配置構造は上記に限らない。例えば、赤外線反射板31,32,33,34を側面から付勢部材で押し付けて固定してもよい。例えば、付勢部材としては、赤外線反射板31,32,33,34の膨張を吸収可能に伸縮するバネを用いることができる。
また、赤外線反射部30をG6サイズ(縦150cm×横185cm)以上の1枚の板部材とした場合には、前記板部材を側面からバネ等の付勢部材で押し付けて固定してもよい。ところで、前記板部材がG6サイズ以上であると、前記板部材1枚でもかなりの重量がある。しかし、前記板部材を側面からバネ等の付勢部材で押し付けて固定することによって、前記板部材を容易に固定することができる。
【0072】
<着脱構造>
図6は、加熱部5と赤外線反射部30との着脱構造40を示す斜視図である。
図7は、
図2において赤外線反射部30を取り外した状態を示す側面図である。なお、
図6では、第一載置領域A1及び第二載置領域A2にそれぞれ第一赤外線反射板31及び第二赤外線反射板32が配置されており、第三載置領域A3に第三赤外線反射板33を載置しようとする状態を示している。
【0073】
図6に示すように、加熱部5と赤外線反射部30(
図5参照)との間には、赤外線反射部30を加熱部5に着脱可能とする着脱構造40が設けられている。
着脱構造40は、載置面5aから突出する突出部41と、赤外線反射部30に形成されるとともに突出部41が挿し込まれる挿込部42と、を備えている。
【0074】
突出部41は、載置領域A1,A2,A3,A4におけるY方向中央に配置されている。突出部41は、第一凸部41aと、載置面5aの面内で第一凸部41aからX方向に離反する第二凸部41bと、を備えている。
【0075】
第一凸部41a及び第二凸部41bは、1つの載置領域A1,A2,A3,A4につき1つずつ配置されている。第一凸部41aは、載置領域A1,A2,A3,A4における−X方向側に配置されている。第二凸部41bは、載置領域A1,A2,A3,A4における+X方向側に配置されている。
図7に示すように、第一凸部41a及び第二凸部41bは、実質的に同じ高さとなっている。
【0076】
第一凸部41a及び第二凸部41bは、円柱状のピンである。なお、第一凸部41a及び第二凸部41bは、前記形状に限定されない。例えば、第一凸部41a及び第二凸部41bは、角柱状であってもよく、適宜変更することができる。
【0077】
図6に示すように、挿込部42は、赤外線反射板31,32,33,34における短手方向中央(すなわち、赤外線反射板31,32,33,34を載置面5aへ載置したときのY方向中央)に配置されている。挿込部42は、第一凸部41aが挿し込まれる第一凹部42aと、少なくとも第一凸部41aと第二凸部41bとの離反方向(X方向)への赤外線反射部30の膨張又は収縮を許容するように第二凸部41bが挿し込まれる第二凹部42bと、を備えている。
【0078】
第一凹部42a及び第二凹部42bは、1つの赤外線反射板31,32,33,34につき1つずつ配置されている。第一凹部42aは、赤外線反射板31,32,33,34における長手方向一方側(すなわち、赤外線反射板を載置面5aへ載置したときの−X方向側)に配置されている。第二凹部42bは、赤外線反射板31,32,33,34における長手方向他方側(すなわち、赤外線反射板31,32,33,34を載置面5aへ載置したときの+X方向側)に配置されている。
【0079】
第一凹部42aは、前記ピンが着脱可能に挿し込まれるように赤外線反射板31,32,33,34の厚み方向に窪む凹部である。第一凹部42aは、第一凸部41aの外形と実質的に同じ内形を有している。第一凹部42aは、平面視円形状をなしている。なお、第一凹部42aは、前記形状に限定されない。例えば、第一凹部42aは、平面視矩形状であってもよく、前記ピンの形状に合わせて適宜変更することができる。
【0080】
第二凹部42bは、前記ピンが着脱可能に挿し込まれるように赤外線反射板31,32,33,34の厚み方向に窪む凹部である。第二凹部42bは、第二凸部41bのX方向における外形よりも大きい内形を有し、かつ第二凸部41bのY方向における外形と実質的に同じ内形を有している。第二凹部42bは、平面視でX方向に長手を有する長円形状をなしている。なお、第二凹部42bは、前記形状に限定されない。例えば、第二凹部42bは、平面視でX方向に長手を有する長方形形状であってもよく、前記ピンの形状に合わせて適宜変更することができる。
【0081】
<冷却機構>
基板加熱装置1は、加熱部5を冷却可能な冷却機構50を更に備えている。
図8は、冷却機構50を示す上面図である。なお、
図8においては、便宜上、突出部41等の図示を省略している。
図8に示すように、冷却機構50は、加熱部5の内部に配置されるとともに、冷媒を通過可能とする冷媒通過部51を備えている。例えば、冷媒は、空気である。なお、冷媒は、空気等の気体に限定されない。例えば、冷媒は、水等の液体であってもよい。
【0082】
冷媒通過部51は、載置面5aと平行な一方向に延びるとともに、載置面5aと平行でかつ前記一方向と交差する方向に並ぶ複数(例えば、本実施形態では7本)の冷却通路51a,51bを備えている。すなわち、冷媒通過部51は、X方向に延びるとともにY方向に並ぶ複数の冷却通路51a,51bを備えている。
【0083】
複数の冷却通路51a,51bは、冷媒を加熱部5の一端側から他端側に通過させる複数(例えば、本実施形態では4本)の第一冷却通路51aと、冷媒を加熱部5の他端側から一端側に通過させる複数(例えば、本実施形態では3本)の第二冷却通路51bと、を備えている。すなわち、第一冷却通路51aを通る冷媒は、加熱部5の−X方向側から+X方向側に向けて流れる。第二冷却通路51bを通る冷媒は、加熱部5の+X方向側から−X方向側に向けて流れる。
【0084】
第一冷却通路51aと第二冷却通路51bとは、載置面5aと平行でかつ前記第一方向と交差する方向に1つずつ交互に配置されている。すなわち、第一冷却通路51aと第二冷却通路51bとは、Y方向に1つずつ交互に配置されている。
【0085】
冷媒通過部51は、加熱部5の一端側と他端側とにおいて複数の冷却通路51a,51bに連結される冷却マニホールド52,53を更に備えている。冷却マニホールド52,53は、加熱部5の−X方向側において複数の冷却通路51a,51bに連結される第一マニホールド52と、加熱部の+X方向側において複数の冷却通路51a,51bに連結される第二マニホールド53と、を備えている。
【0086】
第一マニホールド52は、複数の第一冷却通路51aの上流端(−X方向端)を連結するようにY方向に延びる第一上流連結路52aと、複数の第二冷却通路51bの下流端(−X方向端)を連結するようにY方向に延びる第二下流連結路52bと、を備えている。第一マニホールド52には、第一上流連結路52aに接続された第一上流配管54aと、第二下流連結路52bに接続された第二下流配管54bと、を備えた第一配管部54が設けられている。
【0087】
第二マニホールド53は、複数の第一冷却通路51aの下流端を連結するようにY方向に延びる第一下流連結路53aと、複数の第二冷却通路51bの上流端を連結するようにY方向に延びる第二上流連結路53bと、を備えている。第二マニホールド53には、第一下流連結路53aに接続された第一下流配管55aと、第二上流連結路53bに接続された第二上流配管55bと、を備えた第二配管部55が設けられている。
【0088】
例えば、第一上流配管54aの内部空間には、不図示の送風機によって空気が導入されるようになっている。これにより、送風機からの空気は、第一上流配管54a、第一上流連結路52aを経て複数の第一冷却通路51aをそれぞれ+X方向側に向けて流れた後、第一下流連結路53a、第一下流配管55aを経て外部に排出されるようになっている。
一方、第二上流配管55bの内部空間には、不図示の送風機によって空気が導入されるようになっている。これにより、送風機からの空気は、第二上流配管55b、第二上流連結路53bを経て複数の第二冷却通路51bをそれぞれ−X方向側に向けて流れた後、第二下流連結路52b、第二下流配管54bを経て外部に排出されるようになっている。
なお、空気の導入は、送風機に限らず、ドライエアーによる圧縮空気で行ってもよい。
【0089】
<補助加熱部>
基板加熱装置1は、冷却マニホールド52,53を選択的に加熱可能な補助加熱部を更に備えている。
図9は、加熱部5における加熱制御の一例を説明するための図である。
図9に示すように、加熱部5には、複数(例えは、本実施形態では3つ)の加熱領域H1,H2,H3が配置されている。具体的に、加熱部5のX方向中央部には、平面視で正方形状をなす第一加熱領域H1が配置されている。加熱部5の−X方向側であって第一マニホールド52寄りには、平面視でY方向に長手を有する長方形形状をなす第二加熱領域H2が配置されている。加熱部の+X方向側であって第二マニホールド53寄りには、第二加熱領域H2と実質的に同じ形状を有する第三加熱領域H3が配置されている。なお、加熱領域H1,H2,H3の数は、3つに限定されず、適宜変更することができる。
【0090】
加熱部5は、第一加熱領域H1、第二加熱領域H2及び第三加熱領域H3の少なくとも一つを選択的に加熱可能となっている。制御部15(
図1参照)は、加熱部5を制御して、第一加熱領域H1、第二加熱領域H2及び第三加熱領域H3の少なくとも一つを選択的に加熱させる。例えば、冷却マニホールド52,53付近が降温しそうな場合には、制御部15は、加熱部5を制御して、第一マニホールド52及び第二マニホールド53の少なくとも一つの近傍(すなわち、加熱部5における第二加熱領域H2及び第三加熱領域H3の少なくとも一つ)を選択的に加熱させる。加熱部5における第二加熱領域H2及び第三加熱領域H3は、補助加熱部として機能する。
【0091】
なお、補助加熱部は、前記領域H2,H3であることに限定されない。例えば、補助加熱部は、加熱部5とは別体のヒータであってもよいし、前記領域と前記ヒータとの組み合わせであってもよく、適宜変更することができる。
【0092】
<基板加熱方法>
次に、本実施形態に係る基板加熱方法を説明する。本実施形態では、上記の基板加熱装置1を用いて基板10を加熱する。基板加熱装置1の各部で行われる動作は、制御部15によって制御される。
【0093】
図10は、第一実施形態に係る基板加熱装置1の動作の一例を説明するための図である。
図11は、
図10に続く、第一実施形態に係る基板加熱装置1の動作説明図である。
図12は、
図11に続く、第一実施形態に係る基板加熱装置1の動作説明図である。
【0094】
便宜上、
図10〜
図12においては、基板加熱装置1の構成要素のうち、減圧部3、ガス供給部4、温度検知部9、回収部11、揺動部12、基板支持凸部35、冷却機構50及び制御部15の図示を省略する。
【0095】
本実施形態に係る基板加熱方法は、減圧工程、第一加熱工程及び第二加熱工程を含む。
減圧工程では、ポリイミド形成用液が塗布された基板10の収容空間の雰囲気を減圧する。
図10に示すように、減圧工程では、基板10が搬送ローラ8aに配置されている。また、減圧工程では、加熱部5は、底板22寄りに位置している。減圧工程において、加熱部5及び基板10は、加熱部5の熱が基板10に伝わらない程度に離反している。減圧工程において、加熱部5の電源はオンになっている。例えば、加熱部5の温度は、250℃程度になっている。一方、減圧工程において、赤外線ヒータ6の電源はオフになっている。
【0096】
減圧工程では、基板10の収容空間の雰囲気を大気圧から500Pa以下まで減圧する。例えば、減圧工程では、チャンバ内圧力を、大気圧から20Paまで徐々に下降させる。
【0097】
減圧工程では、チャンバ2の内部雰囲気の酸素濃度を可及的に低くする。例えば、減圧工程では、チャンバ2内の真空度を20Pa以下とする。これにより、チャンバ2内の酸素濃度を100ppm以下とすることができる。
【0098】
減圧工程の後、第一加熱工程では、基板10を第一の温度で加熱する。
図11に示すように、第一加熱工程では、加熱部5を上方に移動させて、基板10を赤外線反射部30の反射面30aに載置させる。具体的に、基板10を反射面30aに設けられた基板支持凸部35(
図5参照)に支持させる。これにより、反射面30aは基板10の第二面10bに近接するため、加熱部5の熱が赤外線反射部30を介して基板10に伝わるようになる。例えば、第一加熱工程において、加熱部5の温度は、250℃を維持している。そのため、基板温度は、250℃まで上昇可能とされている。一方、第一加熱工程において、赤外線ヒータ6の電源はオフのままとなっている。
【0099】
なお、第一加熱工程において、加熱部5は、通過部8h(
図1参照)内に位置している。便宜上、
図11において、移動前(減圧工程時の位置)の加熱部5を二点鎖線、移動後(第一加熱工程時の位置)の加熱部5を実線で示す。
【0100】
第一加熱工程では、減圧工程の雰囲気を保った状態で、基板温度が150℃から300℃の範囲で、基板10に塗布されたポリイミド形成用液が揮発又はイミド化するまで基板10を加熱する。例えば、第一加熱工程では、基板10を加熱する時間を10min以下とする。具体的には、第一加熱工程では、基板10を加熱する時間を3minとする。例えば、第一加熱工程では、基板温度を25℃から250℃まで緩やかに上昇させる。
【0101】
第一加熱工程の後、第二加熱工程では、第一の温度よりも高い第二の温度で基板10を加熱する。第二加熱工程では、第一加熱工程で用いる加熱部5とは別個独立して設けられている赤外線ヒータ6を用いて基板10を加熱する。
【0102】
図12に示すように、第二加熱工程では、加熱部5を第一加熱工程時の位置よりも更に上方に移動させて、基板10を赤外線ヒータ6に近接させる。例えば、第二加熱工程において、加熱部5の温度は、250℃を維持している。また、第二加熱工程において、赤外線ヒータ6の電源はオンとされる。例えば、赤外線ヒータ6は、450℃で基板10を加熱可能である。そのため、基板温度は、450℃まで上昇可能とされている。第二加熱工程では、第一加熱工程時よりも基板10が赤外線ヒータ6に近づくため、赤外線ヒータ6の熱が基板10に十分に伝わるようになる。
【0103】
なお、第二工程において、加熱部5は、搬送ローラ8a(
図1に示す通過部8h)の上方かつ赤外線ヒータ6の下方に位置している。便宜上、
図12において、移動前(第一加熱工程時の位置)の加熱部5を二点鎖線、移動後(第二加熱工程時の位置)の加熱部5を実線で示す。
【0104】
第二加熱工程では、減圧工程の雰囲気を保った状態で、基板温度が第一加熱工程の温度から600℃以下になるまで基板10を加熱する。例えば、第二加熱工程では、基板温度を250℃から450℃まで急峻に上昇させる。また、第二加熱工程では、チャンバ内圧力を20Pa以下に維持する。
【0105】
第二加熱工程では、加熱部5と赤外線ヒータ6との間に配置されている反射面30aを用いて加熱部5に向かう赤外線を反射する。これにより、加熱部5に赤外線が吸収されることを回避することができる。なお、反射面30aによって反射された赤外線の少なくとも一部は基板10に吸収される。
【0106】
加えて、第二加熱工程では、加熱部5を冷却する。例えば、第二加熱工程では、加熱部の内部に配置された冷媒通過部51に冷媒(空気)を通過させる(
図8参照)。
【0107】
第二加熱工程は、基板10を冷却させる冷却工程を含む。例えば、冷却工程では、減圧工程の雰囲気、もしくは低酸素雰囲気を保った状態で、基板温度が第二加熱工程の温度から基板10を搬送可能な温度になるまで基板10を冷却する。冷却工程では、赤外線ヒータ6の電源をオフにする。
【0108】
以上の工程を経ることにより、基板10に塗布されたポリイミド形成用液の揮発又はイミド化を行うとともに、基板10に塗布されたポリイミド形成用液のイミド化時の分子鎖の再配列を行い、ポリイミド膜を形成することができる。
【0109】
以上のように、本実施形態によれば、加熱部5と赤外線ヒータ6との間に配置されるとともに加熱部5に向かう赤外線を反射する反射面30aを含むことで、加熱部5に赤外線が吸収されることを回避することができるため、赤外線による加熱部5の昇温を抑制することができる。そのため、赤外線による加熱部5の昇温に伴う加熱部5の降温時間を考慮する必要がない。したがって、加熱部5の降温に要するタクトタイムを短縮化することができる。加えて、反射面30aによって反射された赤外線の少なくとも一部は基板10に吸収されるため、基板10の加熱を促進することができる。一方、反射面30aによって反射された赤外線による基板10の温度上昇分を踏まえて、赤外線ヒータ6の出力を低減することができる。ところで、オーブンで熱風を循環させて基板を加熱する方式であると、熱風の循環によって基板の収容空間に異物が巻き上げられる可能性がある。これに対し、本実施形態によれば、基板10の収容空間の雰囲気を減圧した状態で基板10を加熱することができるため、基板10の収容空間に異物が巻き上げられることはなく、好適である。
【0110】
また、反射面30aを有する赤外線反射部30を更に含み、加熱部5は、赤外線反射部30を載置可能な載置面5aを含んでいることで、基板10の収容空間の雰囲気を減圧して真空状態とした場合、加熱部5における載置面5aと赤外線反射部30との間を真空断熱することができる。すなわち、載置面5aと赤外線反射部30との界面における隙間を断熱層として機能させることができる。そのため、赤外線による加熱部5の昇温を抑制することができる。一方、基板10の収容空間に窒素を供給(N
2パージ)した場合、載置面5aと赤外線反射部30との間の真空断熱を解除することができる。そのため、加熱部5が降温しているときは赤外線反射部30も降温していると推定することができる。
【0111】
また、加熱部5と赤外線反射部30との間には赤外線反射部30を加熱部5に着脱可能とする着脱構造40が設けられていることで、赤外線反射部30が加熱部5から着脱可能とされるため、赤外線反射部30のメンテナンス性を向上することができる。例えば、反射面30aに傷がついた場合であっても、赤外線反射部30のみを交換すれば済むため、メンテナンス性に優れる。
【0112】
また、着脱構造40は、載置面5aから突出する突出部41と、赤外線反射部30に形成されるとともに突出部41が挿し込まれる挿込部42とを含んでいることで、赤外線反射部30の挿込部42を載置面5aの突出部41に挿し込むことによって、赤外線反射部30を加熱部5に容易に取り付けることができる。加えて、赤外線反射部30を載置面5aに単に載置する場合と比較して、載置面5aの面内において赤外線反射部30の位置ズレを抑制することができる。
【0113】
また、突出部41は、第一凸部41aと、載置面5aの面内で前記第一凸部41aから離反する第二凸部41bとを含み、挿込部42は、第一凸部41aが挿し込まれる第一凹部42aと、少なくとも第一凸部41aと第二凸部41bとの離反方向への赤外線反射部30の膨張又は収縮を許容するように第二凸部41bが挿し込まれる第二凹部42bとを含んでいることで、以下の効果を奏する。赤外線反射部30の第一凹部42aを第一凸部41aに挿し込むとともに、第二凹部42bを第二凸部41bに挿し込むことによって、第一凸部41aを基準として赤外線反射部30の位置決めを行うことができる。加えて、赤外線反射部30が熱膨張又は熱収縮したとしても、少なくとも第一凸部41aと第二凸部41bとの離反方向への赤外線反射部30の膨張又は収縮を第二凹部42bで許容することができる。
【0114】
また、載置面5aは、載置面5aの面内で区画された複数の載置領域A1,A2,A3,A4を含み、赤外線反射部30は、複数の載置領域A1,A2,A3,A4ごとに分割された複数の赤外線反射板31,32,33,34を含んでいることで、以下の効果を奏する。複数の載置領域A1,A2,A3,A4ごとに分割された赤外線反射板31,32,33,34をそれぞれ載置することができるため、赤外線反射部30を大サイズの1枚の板部材とした場合と比較して、赤外線反射部30を載置面5aに容易に載置することができる。ところで、赤外線反射部30をG6サイズ(縦150cm×横185cm)以上の1枚の板部材とした場合には、そのままのサイズでは反射面30aの鏡面処理が困難となる可能性がある。これに対し、この構成によれば、分割された赤外線反射板31,32,33,34ごとに反射面30aの鏡面処理を容易に行うことができる。
【0115】
また、隣り合う2つの赤外線反射板31,32,33,34は、間隔S1,S2をあけて配置されていることで、赤外線反射部30が熱膨張したとしても、2つの赤外線反射板31,32,33,34が隣り合う方向への赤外線反射部30の膨張を間隔S1,S2で許容することができる。
【0116】
また、反射面30aには、基板10を支持可能な複数の基板支持凸部35が設けられていることで、基板が基板支持凸部35で支持されることによって、反射面30aと基板10との間に隙間が形成されるため、基板10との接触により反射面30aに傷がつくことを回避することができる。
【0117】
また、加熱部5を冷却可能な冷却機構50を更に含んでいることで、加熱部5を自然空冷する場合と比較して、加熱部5の降温レートを大きくすることができるため、加熱部5を短時間で降温することができる。したがって、加熱部5の降温に要するタクトタイムをより一層短縮化することができる。
【0118】
また、冷却機構50は、加熱部5の内部に配置されるとともに冷媒を通過可能とする冷媒通過部51を含んでいることで、加熱部5を外部から冷却する場合と比較して、加熱部5を内部から効率的に冷却することができるため、加熱部5を短時間で降温することができる。
【0119】
また、冷媒通過部51は、載置面5aと平行な一方向に延びるとともに、載置面5aと平行でかつ前記一方向と交差する方向に並ぶ複数の冷却通路51a,51bを含んでいることで、加熱部5を万遍なく効率的に冷却することができるため、加熱部5全体を短時間で降温することができる。
【0120】
また、複数の冷却通路51a,51bは、冷媒を加熱部5の一端側から他端側に通過させる第一冷却通路51aと、冷媒を加熱部5の他端側から一端側に通過させる第二冷却通路51bとを含んでいることで、以下の効果を奏する。複数の冷却通路51a,51bが冷媒を加熱部5の一端側から他端側に向けてのみ通過させる場合と比較して、加熱部5の一端側と他端側とで温度差が生じることを抑制することができる。すなわち、加熱部5の一端側と他端側とで温度差が相殺されるため、温度分布のバランスを改善することができる。したがって、加熱部5を効率的に均一に冷却することができる。
【0121】
また、第一冷却通路51aと前記第二冷却通路51bとは、載置面5aと平行でかつ前記一方向と交差する方向に交互に配置されていることで、載置面5aと平行でかつ第一方向と交差する方向においても温度差が生じることを抑制することができる。すなわち、載置面5aと平行でかつ第一方向と交差する方向においても温度差が相殺されるため、面内の温度分布のバランスを改善することができる。したがって、加熱部5を万遍なく効率的に均一に冷却することができる。
【0122】
また、冷媒通過部51は、加熱部5の一端側と他端側とにおいて複数の冷却通路51a,51bに連結される冷却マニホールド52,53を更に含み、冷却マニホールド52,53を選択的に加熱可能な補助加熱部H2,H3を更に含んでいることで、以下の効果を奏する。冷却マニホールド52,53を介して複数の冷却通路51a,51bに冷媒を一括して流すことができるため、加熱部5を効率的に冷却することができる。加えて、冷却マニホールド52,53付近が降温しそうな場合であっても、補助加熱部H2,H3によって冷却マニホールド52,53を選択的に加熱することができるため、冷却マニホールド52,53付近の領域と他の領域とで温度差が生じることを抑制することができる。したがって、加熱部5を効率的に均一に冷却することができる。
【0123】
また、基板10、加熱部5及び赤外線ヒータ6を収容可能なチャンバ2を更に含むことで、チャンバ2内で基板10の加熱温度を管理することができるため、基板10を効果的に加熱することができる。加えて、チャンバ2内で加熱部5の温度を管理することができるため、加熱部5を効果的に降温することができる。
【0124】
また、基板10、加熱部5及び赤外線ヒータ6が共通のチャンバ2に収容されていることで、共通のチャンバ2内で基板10への加熱部5による加熱処理と赤外線ヒータ6による加熱処理とを一括して行うことができる。すなわち、加熱部5及び赤外線ヒータ6が互いに異なるチャンバ2に収容された場合のように、異なる2つのチャンバ2間で基板10を搬送させるための時間を要しない。したがって、基板10の加熱処理をより一層効率良く行うことができる。また、異なる2つのチャンバ2を備えた場合と比較して、装置全体を小型化することができる。
【0125】
また、ポリイミド形成用液が基板10の第一面10aにのみ塗布されており、加熱部5が基板10の第一面10aとは反対側の第二面10bの側に配置されていることで、以下の効果を奏する。加熱部5から発せられた熱が、基板10の第二面10bの側から第一面10aの側に向けて伝わるようになるため、基板10を効果的に加熱することができる。また、加熱部5で基板10を加熱している間に、基板10に塗布されたポリイミド形成用液の揮発又はイミド化(例えば、成膜中のガス抜き)を効率良く行うことができる。
【0126】
また、加熱部5及び赤外線ヒータ6の双方が基板10を段階的に加熱可能であることで、以下の効果を奏する。加熱部5及び赤外線ヒータ6が基板10を一定の温度でのみ加熱可能な場合と比較して、基板10に塗布されたポリイミド形成用液の成膜条件に適合するように、基板10を効率良く加熱することができる。したがって、基板10に塗布されたポリイミド形成用液を段階的に乾燥させ、良好に硬化させることができる。
【0127】
また、加熱部5及び赤外線ヒータ6と基板10との相対位置を調整可能な位置調整部7を更に含むことで、前記位置調整部7を備えない場合と比較して、基板10の加熱温度を調整し易くなる。例えば、基板10の加熱温度を高くする場合には加熱部5及び赤外線ヒータ6と基板10とを近接させ、基板10の加熱温度を低くする場合には加熱部5及び赤外線ヒータ6と基板10とを離反させることができる。したがって、基板10を段階的に加熱し易くなる。
【0128】
また、位置調整部7は、基板10を加熱部5と赤外線ヒータ6との間で移動可能とする移動部7aを含むことで、以下の効果を奏する。基板10を加熱部5と赤外線ヒータ6との間で移動させることによって、加熱部5及び赤外線ヒータ6の少なくとも一方を定位置に配置した状態で、基板10の加熱温度を調整することができる。したがって、加熱部5及び赤外線ヒータ6の少なくとも一方を移動可能とする装置を別途設ける必要がないため、簡素な構成で基板10の加熱温度を調整することができる。
【0129】
また、加熱部5と赤外線ヒータ6との間には、基板10を搬送可能とする搬送部8が設けられており、搬送部8には、移動部7aを通過可能とする通過部8hが形成されていることで、以下の効果を奏する。基板10を加熱部5と赤外線ヒータ6との間で移動させる場合に、通過部8hを通過させることができるため、搬送部8を迂回して基板10を移動させる必要がない。したがって、搬送部8を迂回して基板10を移動させるための装置を別途設ける必要がないため、簡素な構成で基板10の移動をスムーズに行うことができる。
【0130】
また、加熱部5がホットプレートであることで、基板10の加熱温度を基板10の面内で均一化させることができるため、膜特性を向上させることができる。例えば、ホットプレートの一面と基板10の第二面10bとを当接させた状態で基板10を加熱することによって、基板10の加熱温度の面内均一性を高めることができる。
【0131】
また、基板10の温度を検知可能な温度検知部9を更に含むことで、基板10の温度をリアルタイムで把握することができる。例えば、温度検知部9の検知結果に基づいて基板10を加熱することによって、基板10の温度が目標値からずれることを抑制することができる。
【0132】
また、基板10に塗布されたポリイミド形成用液から揮発した溶媒を回収可能な回収部11を更に含むことで、ポリイミド形成用液から揮発した溶媒が工場側へ排出されることを防ぐことができる。また、回収部11を減圧部3(真空ポンプ13)のラインに接続した場合には、ポリイミド形成用液から揮発した溶媒が再び液化して真空ポンプ13内に逆流することを防ぐことができる。さらに、ポリイミド形成用液から揮発した溶媒を、洗浄液として再利用することができる。例えば、洗浄液は、ノズル先端の洗浄、ノズルに付着した液をかき取る部材に付着した液の洗浄等に用いることができる。
【0133】
また、赤外線ヒータ6が基板10の第一面10aの側に配置されていることで、赤外線ヒータ6から発せられた熱が、基板10の第一面10aの側から第二面10bの側に向けて伝わるようになるため、加熱部5による加熱と赤外線ヒータ6による加熱とが相まって、基板10をより一層効果的に加熱することができる。
【0134】
また、赤外線ヒータ6の赤外線加熱によって、基板10を第二の温度まで短時間で昇温することができる。また、赤外線ヒータ6と基板10とを離反させた状態で基板10を加熱すること(いわゆる非接触加熱)ができるため、基板10を清浄に保つ(いわゆるクリーン加熱を行う)ことができる。
【0135】
また、赤外線ヒータのピーク波長範囲が1.5μm以上かつ4μm以下の範囲であることで、1.5μm以上かつ4μm以下の範囲の波長は、ガラス及び水等の吸収波長と一致するため、基板10及び基板10に塗布されたポリイミド形成用液をより一層効果的に加熱することができる。
【0136】
また、基板10を揺動可能な揺動部12を更に含むことで、基板10を揺動させつつ加熱することができるため、基板10の温度均一性を高めることができる。
【0137】
また、第二加熱工程において加熱部5と赤外線ヒータ6との間に配置されている反射面30aを用いて加熱部5に向かう赤外線を反射することで、加熱部5に赤外線が吸収されることを回避することができるため、赤外線による加熱部5の昇温を抑制することができる。そのため、赤外線による加熱部5の昇温に伴う加熱部5の降温時間を考慮する必要がない。したがって、加熱部5の降温に要するタクトタイムを短縮化することができる。加えて、反射面30aによって反射された赤外線の少なくとも一部は基板10に吸収されるため、基板10の加熱を促進することができる。一方、反射面30aによって反射された赤外線による基板10の温度上昇分を踏まえて、赤外線ヒータ6の出力を低減することができる。
【0138】
また、第二加熱工程において加熱部5を冷却することで、第二加熱工程の後に加熱部5を冷却する場合と比較して、加熱部5を短時間で降温することができる。したがって、加熱部5の降温に要するタクトタイムをより一層短縮化することができる。
【0139】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態について、
図13〜
図15を用いて説明する。
図13は、第二実施形態に係る基板加熱装置201の動作の一例を説明するための図である。
図14は、
図13に続く、第二実施形態に係る基板加熱装置201の動作説明図である。
図15は、
図14に続く、第二実施形態に係る基板加熱装置201の動作説明図である。
便宜上、
図13〜
図15においては、基板加熱装置201の構成要素のうち、減圧部3、ガス供給部4、搬送部8、温度検知部9、回収部11、揺動部12、基板支持凸部35、冷却機構50及び制御部15の図示を省略する。
【0140】
第二実施形態では、第一実施形態に対して、位置調整部207の構成が特に異なる。
図13〜
図15において、第一実施形態と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0141】
<位置調整部>
図13に示すように、位置調整部207は、収容部270、移動部275及び駆動部279を備えている。
収容部270は、チャンバ2の下側に配置されている。収容部270は、移動部275及び駆動部279を収容可能である。収容部270は、直方体の箱状に形成される。具体的に、収容部270は、矩形板状の第一支持板271と、第一支持板271と対向する矩形板状の第二支持板272と、第一支持板271及び第二支持板272の外周縁に繋がるとともに移動部275及び駆動部279の周囲を囲むように覆う囲い板273とによって形成されている。なお、囲い板273は設けられていなくてもよい。すなわち、位置調整部207は、少なくとも第一支持板271、移動部275及び駆動部279を備えていればよい。例えば、装置全体を覆う外装カバーが設けられていてもよい。
【0142】
第一支持板271の外周縁は、チャンバ2の周壁23の下端に接続されている。第一支持板271は、チャンバ2の底板としても機能する。第一支持板271には、加熱部205が配置されている。具体的に、加熱部205は、チャンバ2内で第一支持板271に支持されている。
【0143】
囲い板273と周壁23とは、上下に連続して連なっている。チャンバ2は、基板10を密閉空間で収容可能に構成されている。例えば、天板21、底板としての第一支持板271、及び周壁23の各接続部を溶接等で隙間なく結合することで、チャンバ2内の気密性を向上することができる。
【0144】
移動部275は、ピン276、伸縮管277及び基台278を備える。
ピン276は、基板10の第二面10bを支持可能かつ第二面10bの法線方向(Z方向)に移動可能である。ピン276は、上下に延びる棒状の部材である。ピン276の先端(上端)は、基板10の第二面10bに当接可能かつ基板10の第二面10bから離反可能とされている。
【0145】
ピン276は、第二面10bと平行な方向(X方向及びY方向)に間隔を空けて複数設けられている。複数のピン276は、それぞれ略同じ長さに形成されている。複数のピン276の先端は、第二面10bと平行な面内(XY平面内)に配置されている。
【0146】
伸縮管277は、第一支持板271と基台278との間に設けられている。伸縮管277は、ピン276の周囲を囲むように覆うとともに、上下に延びる管状の部材である。伸縮管277は、第一支持板271と基台278との間で上下に伸縮自在とされている。例えば、伸縮管277は、真空ベローズである。
【0147】
伸縮管277は、複数のピン276と同じ数だけ複数設けられている。複数の伸縮管277の先端(上端)は、第一支持板271に固定されている。具体的に、第一支持板271には、第一支持板271を厚み方向に開口する複数の挿通孔271hが形成されている。各挿通孔271hの内径は、各伸縮管277の外径と略同じ大きさとされている。例えば、各伸縮管277の先端は、第一支持板271の各挿通孔271hに嵌合固定されている。
【0148】
基台278は、第一支持板271と対向する板状の部材である。基台278の上面は、基板10の第二面10bに沿う平坦面をなしている。基台278の上面には、複数のピン276の基端(下端)及び複数の伸縮管277の基端(下端)が固定されている。
【0149】
複数のピン276の先端は、加熱部205を挿通可能とされている。加熱部205には、第一支持板271の各挿通孔271h(各伸縮管277の内部空間)に第二面10bの法線方向で重なる位置で、加熱部205を第二面10bの法線方向(ホットプレートの厚み方向)に開口する複数の挿通孔205hが形成されている。
【0150】
複数のピン276の先端は、赤外線反射部230を挿通可能とされている。赤外線反射部230には、第一支持板271の各挿通孔271h(各伸縮管277の内部空間)に第二面10bの法線方向で重なる位置で、赤外線反射部230を第二面10bの法線方向(赤外線反射板の厚み方向)に開口する複数の挿通孔230hが形成されている。
【0151】
複数のピン276の先端は、各伸縮管277の内部空間、加熱部205の各挿通孔205h及び赤外線反射部230の各挿通孔230hを介して、基板10の第二面10bに当接可能とされている。そのため、複数のピン276の先端によって、基板10がXY平面に平行に支持されるようになっている。複数のピン276は、チャンバ2内に収容される基板10を支持しつつチャンバ2内のZ方向に移動するようになっている(
図13〜
図15参照)。
【0152】
駆動部279は、チャンバ2の外部である収容部270内に配置されている。そのため、仮に駆動部279の駆動に伴いパーティクルが発生したとしても、チャンバ2内を密閉空間とすることによって、チャンバ2内へのパーティクルの侵入を回避することができる。
【0153】
<基板加熱方法>
次に、本実施形態に係る基板加熱方法を説明する。本実施形態では、上記の基板加熱装置201を用いて基板10を加熱する。基板加熱装置201の各部で行われる動作は、制御部15によって制御される。なお、第一実施形態と同様の工程については、その詳細な説明は省略する。
【0154】
本実施形態に係る基板加熱方法は、減圧工程、第一加熱工程及び第二加熱工程を含む。
減圧工程では、ポリイミド形成用液が塗布された基板10を減圧する。
図13に示すように、減圧工程では、基板10が加熱部205から離反している。具体的に、各伸縮管277の内部空間、加熱部205の各挿通孔205h及び赤外線反射部230の各挿通孔230hを介して複数のピン276の先端を基板10の第二面10bに当接させるとともに、基板10を上昇させることによって、基板10を加熱部205から離反させている。減圧工程において、加熱部205及び基板10は、加熱部205の熱が基板10に伝わらない程度に離反している。減圧工程において、加熱部205の電源はオンになっている。例えば、加熱部205の温度は、250℃程度になっている。一方、減圧工程において、赤外線ヒータ6の電源はオフになっている。
【0155】
減圧工程の後、第一加熱工程では、基板10を加熱部205の温度で加熱する。
図14に示すように、第一加熱工程では、複数のピン276の先端を基板10の第二面10bから離反させることによって、基板10を赤外線反射部230の反射面230aに載置させる。具体的に、基板10を反射面230aに設けられた基板支持凸部(不図示)に支持させる。これにより、反射面230aは基板10の第二面10bに近接するため、加熱部5の熱が赤外線反射部230を介して基板10に伝わるようになる。例えば、第一加熱工程において、加熱部205の温度は、250℃を維持している。そのため、基板温度は、250℃まで上昇可能とされている。一方、第一加熱工程において、赤外線ヒータ6の電源はオフのままとなっている。
【0156】
第一加熱工程の後、第二加熱工程では、第二の温度で基板10を加熱する。
図15に示すように、第二加熱工程では、基板10を第一加熱工程時の位置よりも更に上昇させることによって、基板10を赤外線ヒータ6に近接させる。例えば、第二加熱工程において、加熱部205の温度は、250℃を維持している。また、第二加熱工程において、赤外線ヒータ6の電源はオンとされる。例えば、赤外線ヒータ6は、450℃で基板10を加熱可能である。そのため、基板温度は、450℃まで上昇可能とされている。第二加熱工程では、第一加熱工程時よりも基板10が赤外線ヒータ6に近づくため、赤外線ヒータ6の熱が基板10に十分に伝わるようになる。
【0157】
その後、第一実施形態と同様の工程を経ることにより、基板10に塗布されたポリイミド形成用液の揮発又はイミド化を行うとともに、基板10に塗布されたポリイミド形成用液のイミド化時の分子鎖の再配列を行い、ポリイミド膜を形成することができる。
【0158】
以上のように、本実施形態によれば、移動部275が基板10の第二面10bを支持可能かつ第二面10bの法線方向に移動可能な複数のピン276を含み、複数のピン276の先端が第二面10bと平行な面内に配置されていることで、以下の効果を奏する。基板10を安定して支持した状態で、基板10を加熱することができるため、基板10に塗布されたポリイミド形成用液を安定して成膜させることができる。
【0159】
また、加熱部205には、加熱部205を第二面10bの法線方向に開口する複数の挿通孔205hが形成されており、各ピン276の先端が各挿通孔205hを介して第二面10bに当接可能とされていることで、以下の効果を奏する。複数のピン276と加熱部205との間での基板10の受け渡しを短時間で行うことができるため、基板10の加熱温度を効率良く調整することができる。
【0160】
なお、上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
また、上記実施形態においては、反射面を有する赤外線反射部を備えているが、これに限らない。例えば、赤外線反射部を備えることなく、加熱部の上面が赤外線を反射する反射面とされていてもよい。
【0161】
また、上記実施形態においては、基板、加熱部及び赤外線ヒータが共通のチャンバに収容されているが、これに限らない。例えば、加熱部及び赤外線ヒータが互いに異なるチャンバに収容されていてもよい。
【0162】
また、上記実施形態においては、加熱部及び赤外線ヒータの双方が基板を段階的に加熱可能であるが、これに限らない。例えば、加熱部及び赤外線ヒータの少なくとも一方が、基板を段階的に加熱可能であってもよい。また、加熱部及び赤外線ヒータの双方が、基板を一定の温度でのみ加熱可能であってもよい。
【0163】
また、上記実施形態においては、チャンバの内壁が赤外線を反射可能とされていてもよい。例えば、チャンバの内壁が、アルミニウム等の金属による鏡面(反射面)とされていてもよい。これにより、チャンバの内壁が赤外線を吸収可能とされている場合と比較して、チャンバ内の温度均一性を高めることができる。
【0164】
また、上記実施形態においては、搬送部として複数の搬送ローラを用いたが、これに限らない。例えば、搬送部としてベルトコンベアを用いてもよいし、リニアモータアクチュエータを用いてもよい。例えば、ベルトコンベア及びリニアモータアクチュエータは、X方向に継ぎ足し可能とされてもよい。これにより、X方向における基板の搬送距離を調整することができる。
【0165】
また、搬送部として
図4に示す構成(搬送部に通過部が形成されている構成)以外の構成を採用する場合には、加熱部の平面視サイズは、基板の平面視サイズと同等以上であってもよい。これにより、加熱部の平面視サイズが基板の平面視サイズよりも小さい場合と比較して、基板の加熱温度の面内均一性をより一層高めることができる。
【0166】
また、上記実施形態においては、減圧工程及び第一加熱工程において、加熱部の電源はオンになっており、赤外線ヒータの電源はオフになっているが、これに限らない。例えば、減圧工程及び第一加熱工程において、加熱部及び赤外線ヒータの電源がオンになっていてもよい。
【0167】
また、上記第二実施形態においては、複数のピンの先端が赤外線反射部を挿通可能とされている(すなわち、赤外線反射部には複数の挿通孔が形成されている)が、これに限らない。例えば、複数のピンの先端が赤外線反射部を挿通不能とされていてもよい。すなわち、赤外線反射部には挿通孔が形成されていなくてもよい。この場合、複数のピンの先端は、各伸縮管の内部空間及び加熱部の各挿通孔を介して、赤外線反射部の裏面に当接可能とされる。そのため、複数のピンの先端によって、赤外線反射部がXY平面に平行に支持されるようになる。複数のピンは、赤外線反射部を介してチャンバ内に収容される基板を支持しつつチャンバ内のZ方向に移動する。
【0168】
なお、上記において実施形態又はその変形例として記載した各構成要素は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わせることができるし、また、組み合わされた複数の構成要素のうち一部の構成要素を適宜用いないようにすることもできる。
【実施例】
【0169】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0170】
本発明者は、ホットプレート(加熱部)と赤外線ヒータとの間に配置されるとともにホットプレートに向かう赤外線を反射する反射面を備えた基板加熱装置を用いてポリイミド膜を成膜することによって、赤外線によるホットプレートの昇温を抑制することができることを以下の評価により確認した。
【0171】
(基板)
基板は、ガラス基板を用いた。
【0172】
(比較例)
比較例の基板加熱装置は、減圧部、ホットプレート及び赤外線ヒータを備えたものを用いた。すなわち、比較例においては、ホットプレートと赤外線ヒータとの間に上記反射面を備えていない。
【0173】
(実施例1)
実施例1の基板加熱装置は、減圧部、ホットプレート、赤外線ヒータ及び反射面を備えたものを用いた。すなわち、実施例1の基板加熱装置は、比較例に対して更に反射面(
図1に示す反射面30a)を備えている。
【0174】
(実施例2)
実施例2の基板加熱装置は、減圧部、ホットプレート、赤外線ヒータ、反射面及び冷却機構を備えたものを用いた。すなわち、実施例2の基板加熱装置は、実施例1に対して更に冷却機構(
図8に示す冷却機構50)を備えている。
【0175】
(処理条件)
以下、比較例及び実施例1におけるホットプレートの温度上昇の評価の処理条件を説明する。
ホットプレートの温度は250℃とした。赤外線による基板の加熱時間(すなわち、赤外線の照射時間)は10minとした。
【0176】
(ホットプレートの温度上昇評価結果)
図16は、比較例及び実施例1におけるホットプレートの温度上昇の評価結果を示す図である。
図16において、横軸は時間[min]、縦軸はホットプレートの温度[℃]を示す。
【0177】
図16に示すように、比較例の場合、ホットプレートの温度上昇は29.2℃、冷却にかかる時間は8minであった。
実施例1の場合、ホットプレートの温度上昇は0.1℃、冷却にかかる時間は0minであった。
以上により、ホットプレートの温度を250℃とし、かつ赤外線の照射時間を10minとした場合には、冷却機構を備えていなくても、赤外線によるホットプレートの昇温を抑制することができることが分かった。
【0178】
(処理条件)
以下、実施例1及び実施例2におけるホットプレートの温度上昇の評価の処理条件を説明する。
ホットプレートの温度は250℃とした。赤外線による基板の加熱時間(すなわち、赤外線の照射時間)は20minとした。
【0179】
(ホットプレートの温度上昇評価結果)
図17は、実施例1及び実施例2におけるホットプレートの温度上昇の評価結果を示す図である。
図17において、横軸は時間[min]、縦軸はホットプレートの温度[℃]を示す。
【0180】
図17に示すように、実施例1の場合、ホットプレートの温度上昇は10.3℃、冷却にかかる時間は9minであった。
実施例2の場合、ホットプレートの温度上昇は6℃、冷却にかかる時間は3minであった。
以上により、ホットプレートの温度を250℃とし、かつ赤外線の照射時間を20minとした場合には、赤外線の照射後にホットプレートを冷却機構により空冷することによって、ホットプレートを短時間で降温することができることが分かった。