(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記排気手段に接続された前記石英ガスノズルが成膜用シリコン含有ガスを前記処理ガスとして供給する場合には、前記コーティング用ガスノズルは前記シリコン含有ガスを供給する請求項1に記載の基板処理装置。
前記排気手段に接続された前記石英ガスノズルが成膜用酸化ガスを前記処理ガスとして供給する場合には、前記コーティング用ガスノズルは前記酸化ガスを供給する請求項1に記載の基板処理装置。
前記排気手段に接続された前記石英ガスノズルが成膜用シリコン含有ガス又は成膜用酸化ガス以外のガスを前記処理ガスとして供給する場合には、前記コーティング用ガスノズルは前記シリコン含有ガス及び前記酸化ガスを供給する請求項1に記載の基板処理装置。
前記コーティング用ガスノズルは、前記シリコン含有ガスを前記処理容器内に供給する第1のコーティング用ガスノズルと、前記酸化ガスを前記処理容器内に供給する第2のコーティング用ガスノズルとを含む請求項4乃至6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
前記バイパス配管には、前記複数の石英ガスノズルの各々が切り替え接続可能であり、前記複数の石英ガスノズルを順次切り替えてコーティングすることが可能である請求項1乃至7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
前記バイパス配管が前記複数の石英ガスノズルに対応して複数設けられ、前記複数の石英ガスノズルの同時コーティングが可能である請求項1乃至7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
前記複数の石英ガスノズルを選択する工程と、前記選択した前記石英ガスノズルを前記バイパス配管に接続する工程は、前記複数の石英ガスノズルの総てについて、順次行われる請求項16に記載の処理ガスノズル内のパーティクルコーティング方法。
前記処理容器内にはコーティング用ガスノズルが設けられ、前記シリコン含有ガス及び前記酸化ガスの少なくとも一方は前記コーティング用ガスノズルから供給される請求項16乃至18のいずれか一項に記載の処理ガスノズル内のパーティクルコーティング方法。
前記シリコン含有ガスはアミノシランガスであり、前記酸化ガスはオゾンガスである請求項16乃至19のいずれか一項に記載の処理ガスノズル内のパーティクルコーティング方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る基板処理装置の一例を示した図である。
図1に示す通り、本実施形態に係る基板処理装置は、反応管10と、インナーチューブ11と、ヒーター20と、マニホールド30と、処理ガスノズル40と、処理ガス供給配管50と、バイパス配管52と、バルブ60〜67と、処理ガス供給源70と、シリコン含有ガス供給源71と、酸化ガス供給源72と、排気管80、82と、分岐排気管81と、自動圧力制御バルブ90と、真空ポンプ100と、圧力計110、111と、除害装置120と、テーブル130と、載置台131と、蓋体140と、昇降機構150と、コーティング用ガスノズル160と、コーティング用ガス供給配管170〜172と、ウエハボート180と、断熱材190と、筐体200と、制御部210と、を有する。また、処理ガスノズル40は吐出孔41を有し、蓋体140はフランジ部141を有する。駆動機構150は、アーム151と回転軸152とを有する。また、ウエハボート180には、複数のウエハWが載置される。
【0013】
図1に示す基板処理装置は、ウエハボート180上に複数枚のウエハWを縦方向に所定間隔を空けた状態で積載し、処理ガスノズル40から反応管10、正確にはインナーチューブ11内に処理ガスを供給しながらヒーター20で加熱してウエハに成膜処理を行う縦型熱処理装置として構成されている。本実施形態に係る基板処理装置は、処理ガスノズルを用いて基板処理を行う基板処理装置であれば、種々の基板処理装置に適用可能であるが、本実施形態においては、基板処理装置を縦型熱処理装置として構成した例を挙げて説明する。
【0014】
反応管10及びインナーチューブ11は、ウエハボート180に載置されたウエハWを収容し、ウエハWに加熱処理を施すための処理容器である。反応管10及びインナーチューブ11は、略円筒形状を有し、ウエハボート180に鉛直方向に積載された数十枚〜100枚のウエハWを一度にバッチ処理可能な高さを有する。なお、反応管10及びインナーチューブ11は、種々の材料から構成されてよいが、例えば、石英から構成されてもよい。また、
図1には示されていないが、インナーチューブ11の天井は開放されているか、インナーチューブ11の側面の排気管80側にスリットが形成されており、真空ポンプ100によりインナーチューブ11内が排気可能に構成されている。
【0015】
反応管10は、下端、つまり底面が開口しており、ウエハWを載置したウエハボート180の搬入及び搬出は、下端の開口から行う構成となっている。
【0016】
ヒーター20は、反応管10の周囲に設けられ、外側からインナーチューブ11内に載置されたウエハWを加熱処理するための加熱手段である。
【0017】
マニホールド30は、反応管10の内部に設けられた処理ガスノズル40に処理ガスを供給する処理ガス供給配管50を接続する箇所である。即ち、マニホールド30は、外部から処理ガス供給配管50が接続可能であるとともに、接続された処理ガス供給配管50が反応管10の内部に設けられた処理ガスノズル40と連通可能になるように構成されている。また、マニホールド30は、フランジに類似した外周側に張り出した形状を有する。
【0018】
処理ガスノズル40は、反応管10、正確にはインナーチューブ11の内部に処理ガスを供給するためのガス供給手段である。処理ガスノズル40は、石英で構成され、石英ガスノズル40と呼んでもよい。処理ガスノズル40は、マニホールド30からインナーチューブ11内に挿入され、インナーチューブ11の内周面に沿って縦に延び、内側を向いて設けられた複数の吐出孔41からウエハWに処理ガスを供給可能に構成されている。なお、処理ガスは、基板処理装置が成膜処理を行う場合には、成膜に必要なガスが供給され、他の処理を行う場合には、各々の用途に応じた処理ガスが供給される。
【0019】
処理ガスノズル40は、
図1においては、紙面の都合上1本しか示されていないが、複数の処理ガスノズル40が備えられてよい。基板処理装置で行う基板処理が成膜処理である場合には、互いに反応して反応生成物を生成する複数種類の処理ガスが供給される場合が多い。成膜用の処理ガスの場合、シリコン含有ガス、有機金属含有ガス等の原料ガスと、これらの原料ガスを酸化する酸化ガス、又は原料ガスを窒化する窒化ガスとの組み合わせで用いられる場合が多い。酸化ガスとしては、例えば、オゾン、酸素、水等が用いられ、窒化ガスとしては、アンモニアが用いられる場合が多い。その他、ウエハWのパージを行うためのパージガス供給用の処理ガスノズル40を設けてもよい。パージガスとしては、窒素ガスに代表される不活性ガスの他、Ar、He等の希ガスも用いられる。なお、処理ガスノズル40が複数本設けられる場合には、略円筒形の反応管10の周方向に沿って複数の処理ガスノズル40を配列するように設けてもよい。
【0020】
処理ガス供給配管50の反応管10に接続されない他端は処理ガス供給源70に接続され、処理ガス供給源70からガス供給配管50を介して処理ガスノズル40に処理ガスを供給可能な構成となっている。
【0021】
処理ガス供給配管50の分岐点51からバイパス配管52が分岐し、バイパス配管52は排気管82に接続され、排気管82を介して真空ポンプ100に接続されている。バイパス配管52は、処理ガスノズル40内のパーティクルを除去する際に用いられる配管である。
【0022】
処理ガス供給配管50には、バルブ60、61が設けられ、バイパス配管52にはバルブ62、63が設けられている。バルブ60は、処理ガス供給源70と処理ガスノズル40との接続を遮断する際に用いられるバルブである。本実施形態においては、バルブ60は必須ではなく、必要に応じて設けるようにもしてよい。バルブ61は、バイパス配管52と処理ガス供給源70との接続を遮断するためのバルブであり、処理ガスノズル40内のパーティクル除去を行うときに閉にされ、それ以外のときには開にされる。
【0023】
バルブ62は、バイパス配管52と処理ガス供給配管50との接続と遮断を切り替えるためのバルブである。バルブ63は、バイパス配管52と排気管82との接続と遮断を切り替えるためのバルブである。バルブ63は、本実施形態においては必須ではなく、必要に応じて設けるようにしてもよい。
【0024】
なお、バブル60〜63の動作の詳細は後述する。
【0025】
処理ガス供給源70は、処理ガスノズル40に処理ガスを供給するためのガス貯留源である。処理ガス供給源70は、用途に応じて種々の処理ガスを処理ガスノズル40に供給することができるが、例えば、成膜処理を行う場合の原料ガスを処理ガスノズル40に供給してもよい。
【0026】
排気管80、82は、反応管10の内部を排気するための管路であり、真空ポンプ100等の排気手段に接続され、反応管10内を排気可能に構成される。また、排気管80、82の途中経路には、圧力を自動調整する自動圧力制御バルブ90が設けられる。
【0027】
排気管82には、自動圧力制御バルブ90と真空ポンプ100との間において、バイパス配管63が接続される。これにより、真空ポンプ100を用いて、排気管82及びバイパス配管52を介して処理ガスノズル40内の排気が可能となる。
【0028】
真空ポンプ100は、反応管10内を真空排気するための排気手段であり、例えば、ドライポンプが使用される。なお、真空ポンプ100は、反応管10内を排気できれば、ドライポンプに限らず、種々の排気手段を用いてよい。
【0029】
なお、バイパス配管52には圧力計110が設けられ、圧力の測定が可能となっている。
【0030】
分岐排気管81は、排気管80の圧力を測定したり、反応管10の圧力を大気圧にするために圧力自動制御バルブ90を閉にしているときに、圧力を上げ過ぎて低下させたりする場合等に用いる配管である。排気管80の圧力を測定する場合には、バルブ64を開にして圧力計111で圧力を測定する。一方、蓋体140を下降させる際、反応管10の圧力を大気圧にするが、反応管10の内圧が大気圧よりも高くなった場合には、バルブ65を開放して圧力を低下させることができる。
【0031】
除害装置120は、真空ポンプ100の下流側に設けられ、有害物質を無害物質に変える処理を行う装置である。
【0032】
テーブル130は、ウエハボート180を載置する載置台131を支持するための支持テーブルである。
【0033】
載置台131は、テーブル130上に設けられ、テーブル130とともにウエハボート180を載置支持するための支持台である。なお、テーブル130及び載置台131も、例えば、石英で構成されてもよい。
【0034】
蓋体140は、反応管10の下端の開口を密閉可能な蓋部材である。蓋体140の上部にはシール材142を上面に有するフランジ部141が設けられ、反応管10の開口を密閉可能な構成となっている。フランジ部141は、例えば石英から構成されてもよい。
図1には示されていないが、シール材142が反応管10の外周側の底面の一部と接触し、密閉した状態で蓋体140を閉めることができる構成となっている。
【0035】
昇降機構150は、蓋体140を昇降させるための機構であり、アーム151及び回転軸152を有する。回転軸152は、昇降機構150に支持されたアーム151の先端に取り付けられており、蓋体140を貫通し、先端にテーブル130が固定されている。これにより、蓋体140を固定したまま回転させない一方、回転軸152でウエハボート180を回転させながら基板処理を行うことができる。昇降機構150は、ウエハボート180及び蓋体140等を一体的に昇降できるとともに、テーブル130、載置台131及びウエハボート180のみ回転可能に構成されている。なお、テーブル130を蓋体140側へ固定して設け、ウエハボート180を回転させることなくウエハWの処理を行うようにしてもよい。
【0036】
よって、蓋体140は、ウエハWが載置されたウエハボート180を支持した状態で昇降可能に構成されており、ウエハボート180を支持した状態で反応管10の下端の開口を密閉可能に構成されている。よって、ウエハボート180の反応管10への搬入及び反応管10からの搬出は、蓋体140の上方にウエハボート180が支持された状態で蓋体140を昇降させることにより行う。
【0037】
コーティング用ガスノズル160は、成膜処理を行う前に、処理ガスノズル40の内壁をSiO
2膜でコーティングすべく、シリコン含有ガス及び酸化ガスの少なくとも一方を反応管10内に供給するためのノズルである。処理ガスノズル40は石英で形成されているため、同じ材料であるSiO
2でコーティングすることにより、処理ガスノズル40を劣化させること無く、処理ガスノズル40内のパーティクルを固定することが可能である。即ち、処理ガスノズル40の内壁にパーティクルが存在していても、その上からSiO
2コーティング膜を被せるように形成することにより、パーティクルを移動させず、固定した状態で成膜処理を行うことができる。
【0038】
コーティング用ガス供給配管170〜172は、コーティング用ガスであるシリコン含有ガス及び酸化ガスをコーティング用ガスノズル160に供給するための配管である。コーティング用ガス供給配管171は、シリコン含有ガス供給源71に接続されたシリコン含有ガス供給用の配管である。コーティング用ガス供給配管171には、バルブ66が設けられている。
【0039】
一方、コーティング用ガス供給配管172は、酸化ガス供給源72に接続された酸化ガス供給用の配管である。コーティング用ガス供給配管172には、バルブ67が設けられている。
【0040】
また、コーティング用ガス供給配管170は、コーティング用ガス供給配管171とコーティング用ガス供給配管172の合流配管であり、ALD(Atomic Layer Deposition、原子層堆積法)成膜を行う場合には、シリコン含有ガスと酸化ガスが交互に供給されるため、コーティング用ガス供給配管170からは、常にシリコン含有ガス又は酸化ガスのいずれか一方が供給される。
【0041】
なお、コーティング用ガスノズル160及びバルブ66、67の切り替え動作の詳細については後述する。
【0042】
ウエハボート180は、上述のように、複数のウエハWを縦方向において所定間隔を有して、各々を水平に保持可能な基板保持具である。ウエハボート180も、例えば石英で構成されてもよい。
【0043】
断熱材190は、ヒーター20の熱が外部に漏れないようにするための手段である。反応管10及びヒーター20を覆うように設けられる。
【0044】
筐体200は、縦型熱処理装置全体を覆うハウジング手段である。筐体200の内部に断熱材190が充填され、外部に放出される熱を抑制する。
【0045】
制御部210は、縦型熱処理装置全体を制御する手段である。制御部210は、バルブ60〜67の開閉の切り替え及び真空ポンプ100の運転も制御する。制御部210は、種々の演算処理手段から構成されてよいが、例えば、CPU(中央処理装置、Central Processing Unit)及びROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリを有し、プログラムにより動作するマイクロコンピュータから構成されてもよいし、特性の用途向けに複数機能の回路を1つにまとめた集積回路であるASIC(Application Specific Integrated Circuit)等から構成されてもよい。制御部210は、演算処理機能を有し、熱処理装置全体を制御することができれば、種々の手段から構成されてよい。
【0046】
縦型熱処理装置は、
図1で示した構成の他、FOUP(Front Opener Unified Pod)等のウエハカセットからウエハボート180にウエハWを移載するウエハ移載機構等を備えるが、それらの要素は、本実施形態に係る基板処理装置の特徴部分との関連性は薄いため、本実施形態においては、その図示及び説明は省略する。
【0047】
次に、本発明の実施形態に係る処理ガスノズル内のパーティクルコーティング方法及び基板処理方法の原理について説明する。
【0048】
図2は、本発明の実施形態に係る処理ガスノズル内のパーティクルコーティング方法及び基板処理方法の原理について説明するための図である。
【0049】
図2(a)は、パーティクルP1が付着した処理ガスノズル40の内壁の状態を示した図である。パーティクルP1の種類は特に問わないが、石英起因の石英片であると仮定する。
【0050】
図2(b)は、本実施形態に係る処理ガスノズル内のパーティクルコーティング方法を実施した状態を示した図である。パーティクルP1の上を含む処理ガスノズル40の内壁の全面を覆うようにSiO
2コーティング膜220が形成される。これにより、パーティクルP1が固定され、処理ガスノズル40から噴き出してウエハW上に散布されることを防止することができる。SiO
2は、石英を構成する化合物でもあるため、処理ガスノズル40の内面を補強したような状態となり、処理ガスノズル40に悪影響を全く及ぼさない。この点、異物からなる膜をコーティングする場合とは大きく異なる。
【0051】
図2(c)は、成膜処理を実施した状態を示した図である。成膜処理においては、処理ガスノズル40からは成膜処理に用いられる1種類の処理ガスを供給するが、インナーチューブ11内に拡散している他の処理ガスが処理ガスノズル40内に混入し、SiO
2コーティング膜220上に成膜用の膜230がある程度堆積してしまう。パーティクルP1は、成膜処理時にも処理ガスノズル40内に固定され、ウエハW上に散布されることを防止することができる。なお、成膜処理で形成される膜230の種類は問わず、SiO
2コーティング膜220と同じくシリコン酸化膜であってもよいし、有機金属元素を含むhigh−k膜であってもよい。また、酸化膜に限らず、窒化膜であってもよい。このように、本実施形態に係る処理ガスノズル内のパーティクルコーティング方法は、種々のプロセスに適用することができる。また、石英起因のパーティクルP1が発生し易いのは成膜処理であるが、総ての種類のパーティクルP1に有効であるので、成膜処理に限らず、他の基板処理にも適用可能である。
【0052】
図2(d)は、ドライクリーニングを行った状態を示した図である。成膜処理後は、必要に応じてドライクリーニングを行うことにより、成膜された膜230を除去することができる。ドライクリーニングは、成膜毎に行ってもよいし、膜230の累積膜厚が所定厚さ(μm)に到達したときに実施するようにしてもよい。その際の累積膜厚は、処理ガスノズル40内で測定しなくてもよく、インナーチューブ11内のいずれかの箇所で行えば十分である。
【0053】
ドライクリーニングは、成膜処理に用いる膜230の除去を目的としているので、SiO
2コーティング膜220は除去されずに残る。
【0054】
なお、ドライクリーニング後に新たなパーティクルP2が発生する可能性があるが、新たなパーティクルP2はSiO
2コーティング膜220上に載ることになる。
【0055】
図2(e)は、2回目の処理ガスノズル内のパーティクルコーティング方法を実施した状態を示した図である。これにより、新たなパーティクルP2上にもSiO
2コーティング膜221が形成され、パーティクルP1、P2が処理ガスノズル40の内壁上に固定される。
【0056】
図2(f)は、2回目の成膜処理を実施した状態を示した図である。SiO
2コーティング膜221上に膜231が成膜されるが、パーティクルP1、P2は処理ガスノズル40内に固定されて留まり、成膜処理に悪影響を及ぼすことは無い。
【0057】
このように、本実施形態に係る処理ガスノズル内のパーティクルコーティング方法及び基板処理方法によれば、石英起因のパーティクルを含めて処理ガスノズル40内のパーティクルを固定することができ、基板処理時のパーティクルP1、P2のウエハW上への散布を防止することができる。
【0058】
図3は、処理ガスノズルの内部の下部への成膜量をシリコン含有膜の種類毎に示した図である。成膜時における処理ガスノズル40の下部は、成膜が行われる処理ガスノズル40の上部よりも低い温度となっており、成膜し難い状態となっている。しかしながら、
図3に示される通り、成膜領域外の比較的温度が低い処理ガスノズル40の下部であっても、SiO
2膜の成膜量は、他の種類のシリコン含有膜(ポリシリコン膜、SiN膜)よりも著しく多い。本実施形態に係る処理ガスノズル内のパーティクルコーティング方法では、このような低温でも成膜が可能なSiO
2膜の性質を利用し、成膜時のように反応管10内を高温にすること無く、低温で処理ガスノズル40の内部にSiO
2コーティング膜を形成している。
【0059】
次に、
図1で説明した本実施形態に係る基板処理装置、即ち縦型熱処理装置を用いて、本実施形態に係る処理ガスノズル内のパーティクルコーティング方法及び基板処理方法を実施するための動作について説明する。
【0060】
図4は、縦型熱処理装置を用いた本実施形態に係る処理ガスノズル内のパーティクルコーティング方法及び基板処理方法を説明するための図である。
図4においては、構成要素は
図1と同様であるので、同一の構成要素に同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0061】
本実施形態に係る処理ガスノズル内のパーティクルコーティング方法は、上述のように、成膜処理を行う前に実施される。よって、ウエハWを反応管10内に搬入しない状態で、かつ蓋体140は密閉した状態で行う。
【0062】
本実施形態に係る処理ガスノズル内のパーティクル除去方法では、まず、バルブ61を閉に切り替えるとともに、バルブ62を開に切り替える。また、バイパス配管52にバルブ63が設けられ、これが閉となっていた場合には、開に切り替える。つまり、処理ガスノズル40と処理ガス供給源70との接続経路をバルブ61で遮断するとともに、バルブ62及びバルブ63を開にし、処理ガスノズル40と真空ポンプ100との接続経路を、バイパス配管52を介して形成する。これにより、真空ポンプ100で処理ガスノズル40の内部を真空排気することが可能となる。なお、バルブ60は、成膜時も開であるので、そのまま開の状態が維持される。よって、バルブ60は存在しなくてもよい。
【0063】
また、自動圧力制御バルブ90を開から閉に切り替え、排気管80からの排気は停止させ、処理ガスノズル40からのみ排気が行われる状態とする。
【0064】
次いで、コーティング用ガスノズル160から、シリコン含有ガス及び酸化ガスの少なくとも一方を供給する。シリコン含有ガスは、シリコン元素を含有する種々のガスを用いてよいが、例えば、モノシランガスやジシランガス等のシランガスを用いるようにしてもよい。また、酸化ガスも、オゾンガス、酸素ガス、水等の用途に応じたガスを選択することができる。
【0065】
ここで、コーティング対象となる処理ガスノズル40が原料ガスを供給するノズルであり、他の処理ガスノズル40の中に酸化ガスを供給するノズルが存在する場合には、酸化ガスを他の処理ガスノズル40から供給し、コーティング用ガスノズル160からはシリコン含有ガスを供給すればよい。これにより、反応管10(正確にはインナーチューブ11)内に供給されたシリコン含有ガス及び酸化ガスは、処理ガスノズル40内に吸引され、処理ガスノズル40の内壁にSiO
2コーティング膜220を形成する。
【0066】
一方、コーティング対象となる処理ガスノズル40が酸化ガスを供給するノズルであり、他の処理ガスノズル40にシリコン含有ガスを供給するノズルが存在する場合には、そのノズルからシリコン含有ガスを供給し、コーティング用ガスノズル160からは、酸化ガスを供給すればよい。この場合にも、処理ガスノズル40の内壁にSiO
2コーティング膜220を形成することができる。
【0067】
また、複数本の処理ガスノズル40の中に、シリコン含有ガスを供給するノズルも酸化ガスを供給するノズルも含まれていない場合には、コーティング用ガスノズル160からシリコン含有ガス及び酸化ガスの双方を供給すればよい。ALD成膜では、異なる種類のガスの供給を交互に行うため、1本のコーティング用ガスノズル160から交互にシリコン含有ガスと酸化ガスを供給するようにすれば、ALD成膜によりコーティング対象の処理ガスノズル40の内壁にSiO
2コーティング膜220を形成することができる。更に、シリコン含有ガス供給用のコーティング用ガスノズル160と酸化ガス供給用のコーティング用ガスノズル160とを別個に設け、ALD成膜を行ってもよい。
【0068】
コーティング対象とする処理ガスノズル40は、順次切り替え可能であり、バイパス配管52に順次接続可能な構成とすればよい。即ち、コーティング対象とする処理ガスノズル40をバイパス配管52に接続してコーティングを行う、という作業を順次実施すればよい。バルブ等の切り替えにより、バイパス配管52への接続切替は容易に行うことができる。
【0069】
また、1本のバイパス配管52に複数本の処理ガスノズル40を同時に接続可能な構成としてもよい。これにより、複数本の処理ガスノズル40のコーティングを一度に行うことができ、コーティング時間を短縮することができる。ここで、バイパス配管52に接続する複数本の処理ガスノズル40は、総ての処理ガスノズル40であってもよいし、全体の中の一部、例えば、12本の処理ガスノズルが存在するときに、そのうちの3本を同時にバイパス配管52に接続する、という接続方法であってもよい。いずれの場合であっても、コーティング時間を短縮することができる。
【0070】
また、バイパス配管52を複数の処理ガスノズル40に1対1に対応させて複数本設け、総ての処理ガスノズル40内に同時にSiO
2コーティング膜220の形成を行ってもよい。この場合、バイパス配管52の本数は多くなるが、同時に総ての処理ガスノズル40内にSiO
2コーティング膜220を形成することが可能なため、コーティング時間を大幅に短縮できる。
【0071】
また、複数の処理ガスノズル40に1対1ではなく、半分、1/3の本数のバイパス配管52を設け、2回又は3回のコーティングで総ての処理ガスノズル40の内部にSiO
2コーティング膜220を形成することも可能である。
【0072】
このように、バイパス配管52への処理ガスノズル40の接続構成及びバイパス配管52の本数は、用途に応じて種々の構成とすることが可能である。
【0073】
このようにしてSiO
2コーティング膜220の形成を行った後は、バイパス配管52のバルブ62、63を閉にしてバイパス配管52の接続を遮断する。
【0074】
この後、成膜処理を行う場合には、蓋体140を下降させる。そして、載置台131上に複数枚のウエハWを保持したウエハボート180を設置し、蓋体140を上昇させて反応管10内に搬入し、蓋体140を閉じて反応管10を密閉する。
【0075】
次いで、自動圧力制御バルブ90を開にし、反応管10の内部の排気を開始する。
【0076】
反応管10内が所定の圧力に到達したら、バルブ61を開にし、処理ガスノズル40から処理ガスを供給し、成膜処理を行う。
図2(c)で説明したように、パーティクルP1は処理ガスノズル40内の内壁に固定されて留まるので、ウエハW上の成膜に悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【0077】
なお、成膜処理においては、インナーチューブ内にパージガス供給ノズルを適宜設置し、パージガスをインナーチューブ11内に適宜供給する工程を入れてもよい。特に、ALD成膜を行う場合には、供給する処理ガスの種類が変化する際、間にパージガスを供給する場合が多い。パージガスは、窒素ガスの他、Ar、He等の希ガスを用いることができる。
【0078】
成膜処理が終了したら、蓋体60を下降させてウエハボート180を搬出するが、その後、必要に応じて、ウエハWの無い状態で蓋体60を密閉してドライクリーニングを行うようにしてもよい。
【0079】
ドライクリーニングは、例えば、HF等のフッ素含有ガス、または、フッ素ガスと水素を用いて行ってもよい。ドライクリーニングは、専用のガスノズルを反応管10内に設け、そのガスノズルからHF等のフッ素含有ガスをクリーニングガスとして供給することにより行ってもよい。これにより、処理ガスノズル40の内壁に付着した膜230を除去することができる。
【0080】
なお、ドライクリーニングの頻度は、成膜毎でもよいし、所定の膜厚到達時でもよい。
【0081】
その後は、再びコーティング、成膜を繰り返すことにより、パーティクルを抑制した成膜処理を行うことができる。
【0082】
なお、コーティング工程は、成膜処理毎に行うことが好ましいが、必要に応じて、数回の成膜処理毎に1回行うようにしてもよい。用途に応じて、そのような調整は適宜行うことができる。
【0083】
また、バルブ60〜67、自動圧力制御バルブ90の開閉、真空ポンプ100の動作の制御は、制御部210で行うようにしてよい。
【0084】
本実施形態に係る基板処理装置、処理ガスノズル内のパーティクルコーティング方法及び基板処理方法によれば、石英製の処理ガスノズル40内部を同一化合物のSiO
2コーティングすることにより、処理ガスノズル40に何ら影響を与えることなくパーティクルP1、P2を処理ガスノズル40内に固定し、高品質の基板処理を行うことができる。
【0085】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。