特許第6789406号(P6789406)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6789406化合物、これを含むコーティング組成物およびこれを含む有機発光素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6789406
(24)【登録日】2020年11月5日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】化合物、これを含むコーティング組成物およびこれを含む有機発光素子
(51)【国際特許分類】
   C07D 307/91 20060101AFI20201116BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20201116BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20201116BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20201116BHJP
   C07F 7/10 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   C07D307/91CSP
   H05B33/22 D
   H05B33/14 B
   H05B33/10
   C09K11/06 635
   C07F7/10 R
   C09K11/06 660
【請求項の数】14
【全頁数】44
(21)【出願番号】特願2019-548617(P2019-548617)
(86)(22)【出願日】2018年6月20日
(65)【公表番号】特表2020-511447(P2020-511447A)
(43)【公表日】2020年4月16日
(86)【国際出願番号】KR2018006966
(87)【国際公開番号】WO2018236146
(87)【国際公開日】20181227
【審査請求日】2019年9月6日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0077893
(32)【優先日】2017年6月20日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0070242
(32)【優先日】2018年6月19日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ヨンウク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジェチョル・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジェスン・ペ
(72)【発明者】
【氏名】デホ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ソクヒ・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ソンギョン・カン
(72)【発明者】
【氏名】クァンヒョン・キム
【審査官】 二星 陽帥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−173973(JP,A)
【文献】 特開平08−179526(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0096227(KR,A)
【文献】 特開2013−155294(JP,A)
【文献】 特表2010−525054(JP,A)
【文献】 ADACHI, C. et al,Durability Characteristics of Aminopyrene Dimer Molecules as an Emitter in Organic Multilayered Electroluminescent Diodes,Jpn. J. Appl. Phys.,1996年,Vol. 35, Part 1, No. 9A,pp. 4819-4825
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 307/91
C07F 7/10
C09K 11/06
H01L 51/50
H05B 33/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1Aで表される化合物:
【化1】
前記化学式1Aにおいて、
Ar1〜Ar6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
Ar7およびAr8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換の2価のヘテロ環基であり、
R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;または置換もしくは非置換のアルキル基であり、
mおよびnは、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、0〜8の整数であり、mが2以上の場合、R1は、互いに同一または異なり、nが2以上の場合、R2は、互いに同一または異なり、
Lは、置換もしくは非置換のアルキレン基;置換もしくは非置換のシクロアルキレン基;または下記構造式の中から選択され、
【化2】
前記構造式において、rは、1〜20の整数であり、
R3〜R6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアルキル基;または置換もしくは非置換のアリール基であり、
R7は、直接結合;置換もしくは非置換のアルキレン基;置換もしくは非置換のシクロアルキレン基;または置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
【化3】
は、前記Ar7およびAr8と結合する位置を意味する。
【請求項2】
前記Ar1〜Ar6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;置換もしくは非置換のナフチル基;置換もしくは非置換のジベンゾフラン基;置換もしくは非置換のジベンゾチオフェン基;または置換もしくは非置換のフルオレン基であり、
前記Ar7およびAr8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のフェニレン基;置換もしくは非置換のビフェニリレン基;置換もしくは非置換の2価のナフタレン基;置換もしくは非置換の2価のジベンゾフラン基;置換もしくは非置換の2価のジベンゾチオフェン基;または置換もしくは非置換の2価のフルオレン基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記Ar1〜Ar6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、下記構造式の中から選択され、
【化4】
前記構造式において、R8およびR9は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアルキル基;または置換もしくは非置換のアリール基であり、
R10は、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のフルオロアルキル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のシクロアルキル基であり、
pは、1〜7の整数であり、qは、1〜5の整数であり、sは、1〜9の整数であり、tは、1〜4の整数であり、uは、1〜3の整数であり、p、q、s、tおよびuが2以上の場合、R10は、互いに同一または異なり、
【化5】
は、前記化学式1AのNと結合する位置を意味し、
前記Ar7およびAr8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、前記構造式の中から選択され、前記構造式において、R10中の1つが化学式1AのLと結合するものである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記R10は、水素;重水素;メチル基;エチル基;イソプロピル基;tert−ブチル基;2−エチルヘキシル基;トリメチルシリル基;トリフェニルシリル基;tert−ブチルジメチルシリル基;シクロプロピル基;シクロブチル基;シクロペンチル基;シクロヘキシル基;フッ素基;シアノ基;またはトリフルオロメチル基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
前記R1およびR2は、水素である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
前記Ar2〜Ar5は、互いに同一であり、
前記Ar1およびAr6は、互いに同一であり、
前記Ar7およびAr8は、互いに同一である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
下記化学式1で表される化合物:
【化6】
前記化学式1において、
Ar1およびAr2のうちの少なくとも1つは、置換もしくは非置換のジベンゾフラン基;置換もしくは非置換のジベンゾチオフェン基;または置換もしくは非置換のフルオレン基であり、
残りは、置換もしくは非置換のフェニル基;または置換もしくは非置換のナフチル基であり、
Ar3〜Ar6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
Ar7およびAr8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換の2価のヘテロ環基であり、
R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;または置換もしくは非置換のアルキル基であり、
mおよびnは、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、0〜8の整数であり、mが2以上の場合、R1は、互いに同一または異なり、nが2以上の場合、R2は、互いに同一または異なり、
Lは、置換もしくは非置換のアルキレン基;置換もしくは非置換のシクロアルキレン基;または下記構造式の中から選択され、
【化7】
前記構造式において、rは、1〜20の整数であり、
R3〜R6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアルキル基;または置換もしくは非置換のアリール基であり、
R7は、直接結合;置換もしくは非置換のアルキレン基;置換もしくは非置換のシクロアルキレン基;または置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
【化8】
は、前記Ar7およびAr8と結合する位置を意味する。
【請求項8】
前記化学式1Aは、下記構造式のうちのいずれか1つで表されるものである、請求項1に記載の化合物:
【化9】
【化10】
【化11】
(上記化学式において、Dは、Dの記号がつけられたフェニレン基の4つの水素原子が重水素原子に置換されていることを意味し、Dは、Dの記号がつけられたフェニル基の5つの水素原子が重水素原子に置換されていることを意味する。)
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物を含むコーティング組成物。
【請求項10】
前記コーティング組成物は、有機発光素子用である、請求項9に記載のコーティング組成物。
【請求項11】
第1電極と、第1電極に対向して備えられた第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層とを含む有機発光素子であって、
前記有機物層のうちの1層以上は、請求項9に記載のコーティング組成物を含むものである有機発光素子。
【請求項12】
請求項9に記載のコーティング組成物を熱処理して乾燥させることにより、1層以上の有機物層を形成する工程を含む、請求項11に記載の有機発光素子の製造方法
【請求項13】
前記コーティング組成物を含む有機物層は、正孔輸送層、正孔注入層、または正孔輸送および正孔注入を同時に行う層である、請求項11に記載の有機発光素子。
【請求項14】
前記コーティング組成物を含む有機物層は、発光層である、請求項11に記載の有機発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、化合物、前記化合物を含むコーティング組成物、およびこれを含む有機発光素子に関する。
【0002】
本明細書は、2017年6月20日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2017−0077893号、および2018年6月19日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2018−0070242号の出願日の利益を主張し、その内容はすべて本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
有機発光現象は、特定の有機分子の内部プロセスによって電流が可視光に変換される例の一つである。有機発光現象の原理は次の通りである。アノードとカソードとの間に有機物層を位置させた時、2つの電極の間に電流をかけると、カソードとアノードからそれぞれ電子と正孔が有機物層に注入される。有機物層に注入された電子と正孔は、再結合してエキシトン(exciton)を形成し、このエキシトンが再び基底状態に落ちながら光を発する。このような原理を利用する有機発光素子は、一般的に、カソードおよびアノードと、その間に位置した有機物層、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層を含む有機物層とから構成される。
【0004】
有機発光素子で使用される物質としては、純粋な有機物質、または有機物質と金属とが錯体をなす錯化合物が大部分を占めており、用途によって、正孔注入物質、正孔輸送物質、発光物質、電子輸送物質、電子注入物質などに区分される。ここで、正孔注入物質や正孔輸送物質としては、p−タイプの性質を有する有機物質、すなわち、酸化されやすく、酸化時に電気化学的に安定した状態を有する有機物が主に使用されている。一方、電子注入物質や電子輸送物質としては、n−タイプの性質を有する有機物質、すなわち、還元されやすく、還元時に電気化学的に安定した状態を有する有機物が主に使用されている。発光層物質としては、p−タイプの性質とn−タイプの性質を同時に有する物質、すなわち酸化および還元状態ですべて安定した形態を有する物質が好ましく、エキシトンが形成された時、これを光に変換する、発光効率の高い物質が好ましい。
【0005】
前述のほかに、有機発光素子で使用される物質は、次の性質を追加的に有することが好ましい。
第一に、有機発光素子で使用される物質は、熱的安定性に優れていることが好ましい。有機発光素子内では、電荷の移動によるジュール熱(joule heat)が発生するからである。現在、正孔輸送層物質として主に使用されるNPBは、ガラス転移温度が100℃以下の値を有するので、高い電流を必要とする有機発光素子では使用しにくい問題がある。
第二に、低電圧駆動可能な高効率の有機発光素子を得るためには、有機発光素子内に注入された正孔または電子が円滑に発光層に伝達されると同時に、注入された正孔と電子が発光層の外部に抜け出ないようにしなければならない。このために、有機発光素子に使用される物質は、適切なバンドギャップ(band gap)とHOMOまたはLUMOエネルギー準位を有しなければならない。現在、溶液塗布法によって製造される有機発光素子において、正孔輸送物質として使用されるPEDOT:PSSの場合、発光層物質として使用される有機物のLUMOエネルギー準位に比べて、LUMOエネルギー準位が低いため、高効率長寿命の有機発光素子の製造に困難がある。
【0006】
その他にも、有機発光素子で使用される物質は、化学的安定性、電荷移動度、電極や隣接した層との界面特性などに優れていなければならない。すなわち、有機発光素子で使用される物質は、水分や酸素による物質の変形が少なくなければならない。また、適切な正孔または電子移動度を有することにより、有機発光素子の発光層で正孔と電子の密度がバランスをとるようにしてエキシトンの形成を極大化しなければならない。そして、素子の安定性のために、金属または金属酸化物を含む電極との界面を良くしなければならない。
【0007】
したがって、当技術分野では、上記の要件を備えた有機物の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書は、化合物、これを含むコーティング組成物およびこれを含む有機発光素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書は、下記化学式1で表される化合物を提供する。
【化1】
前記化学式1において、
Ar1〜Ar6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
Ar7およびAr8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換の2価のヘテロ環基であり、
R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;または置換もしくは非置換のアルキル基であり、
mおよびnは、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、0〜8の整数であり、mが2以上の場合、R1は、互いに同一または異なり、nが2以上の場合、R2は、互いに同一または異なり、
Lは、置換もしくは非置換のアルキレン基;置換もしくは非置換のシクロアルキレン基;または下記構造式の中から選択され、
【化2】
前記構造式において、rは、1〜20の整数であり、
R3〜R6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアルキル基、または置換もしくは非置換のアリール基であり、
R7は、直接結合;置換もしくは非置換のアルキレン基;置換もしくは非置換のシクロアルキレン基;または置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
【化3】
は、前記Ar7およびAr8と結合する位置を意味する。
【0010】
また、本明細書は、前述した化合物を含むコーティング組成物を提供する。
【0011】
さらに、本明細書は、第1電極と、前記第1電極に対向して備えられた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層とを含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、前述したコーティング組成物を含むものである有機発光素子を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る化合物は、有機発光素子の有機物層材料として使用可能であり、前記化合物は、溶液工程が可能で、素子の大面積化が可能である。特に、溶解度を増大させる物質として用いて発光物質を連結させることにより、有機発光素子の発光層を溶液工程で形成することができ、これによって工程性を大きく改善することができる。
【0013】
本明細書の一実施態様に係る化合物は、有機発光素子の有機物層材料として使用可能であり、低い駆動電圧、高い発光効率および高い寿命特性を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本明細書の一実施態様に係る有機発光素子の例を示すものである。
図2】本明細書の製造例1による化合物3のMassデータである。
図3】本明細書の製造例2による化合物5のMassデータである。
図4】本明細書の製造例3による化合物7のMassデータである。
図5】本明細書の製造例4による化合物9のMassデータである。
図6】本明細書の製造例5による化合物11のMassデータである。
図7】本明細書の製造例6による化合物12のMassデータである。
図8】本明細書の製造例7による化合物13のMassデータである。
図9】本明細書の製造例1−1による化合物14のMassデータである。
図10】本明細書の製造例1−2による化合物15のMassデータである。
図11】本明細書の製造例1−3による化合物16のMassデータである。
図12】本明細書の製造例2−1による化合物24のMassデータである。
図13】本明細書の製造例2−1による化合物27のMassデータである。
図14】本明細書の製造例2−1による化合物28のMassデータである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0016】
本明細書において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているとする時、これは、ある部材が他の部材に接している場合のみならず、2つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0017】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0018】
本願明細書全体において、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ」の用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群より選択される1つ以上の混合または組み合わせを意味するものであって、前記構成要素からなる群より選択される1つ以上を含むことを意味する。
【0019】
本明細書の一実施態様は、下記化学式1で表される化合物を提供する。
【化4】
前記化学式1において、
Ar1〜Ar6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
Ar7およびAr8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換の2価のヘテロ環基であり、
R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素、または置換もしくは非置換のアルキル基であり、
mおよびnは、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、0〜8の整数であり、mが2以上の場合、R1は、互いに同一または異なり、nが2以上の場合、R2は、互いに同一または異なり、
Lは、置換もしくは非置換のアルキレン基;置換もしくは非置換のシクロアルキレン基;または下記構造式の中から選択され、
【化5】
前記構造式において、rは、1〜20の整数であり、
R3〜R6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアルキル基、または置換もしくは非置換のアリール基であり、
R7は、直接結合;置換もしくは非置換のアルキレン基;置換もしくは非置換のシクロアルキレン基;または置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
【化6】
は、前記Ar7およびAr8と結合する位置を意味する。
【0020】
本発明の一実施態様では、前記化学式1の化合物は、適当な有機溶媒に対して溶解性を有する化合物が好ましい。
【0021】
本発明の一実施態様に係る化合物は、ピレニル基の両側にアミン基が存在して対称性が強化されて、有機発光素子の作製時、高い発光効率および高い寿命の特性を有し、ピレニル基がダイマーとして存在し、モノマーとして存在する化合物と比較して溶解度およびコーティング性が向上して、溶液工程を可能にして工程性を向上させることができ、また、本発明の一実施態様に係る化合物が前記リンカー(L)を有することにより、リンカーを有しない化合物と比較して発光波長が短波長に移動して青色ドーパントとしての使用に好適であり、リンカーがアリール基の場合と比較してコンジュゲーション長が減少して、発光波長が短波長に移動して青色ドーパントとしての使用に好適である。
【0022】
以下、本明細書の置換基を以下に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
【0023】
本明細書において、
【化7】
は、他の置換基または結合部に結合する部位を意味する。
【0024】
本明細書において、前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合した水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は、水素原子が置換される位置すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0025】
本明細書において、「置換もしくは非置換の」という用語は、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;アルキル基;シクロアルキル基;フルオロアルキル基;アリール基;およびヘテロ環基からなる群より選択された1個以上の置換基で置換もしくは非置換であるか、前記例示された置換基のうち2以上の置換基が連結された置換もしくは非置換であることを意味する。
【0026】
本明細書において、ハロゲン基の例としては、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素がある。
【0027】
本明細書において、前記アルキル基は、直鎖、分枝鎖もしくは環鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、1〜50のものが好ましい。具体例としては、メチル、エチル、プロピル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、1−メチル−ブチル、1−エチル−ブチル、ペンチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、ヘプチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、3−メチルシクロペンチル、2,3−ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、3−メチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、2,3−ジメチルシクロヘキシル、3,4,5−トリメチルシクロヘキシル、4−tert−ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、オクチル、n−オクチル、tert−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、1−エチル−プロピル、1,1−ジメチル−プロピル、イソヘキシル、2−メチルペンチル、4−メチルヘキシル、5−メチルヘキシルなどがあるが、これらに限定されない。
【0028】
前記アルキル基は、アリール基またはヘテロアリール基で置換されて、アリールアルキル基またはヘテロアリールアルキル基として作用できる。前記アリール基、ヘテロ環基は、後述するアリール基またはヘテロ環基の例示の中から選択されてもよい。
【0029】
本明細書において、シクロアルキル基は特に限定されないが、炭素数3〜60のものが好ましく、具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、3−メチルシクロペンチル、2,3−ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、3−メチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、2,3−ジメチルシクロヘキシル、3,4,5−トリメチルシクロヘキシル、4−tert−ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどがあるが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書において、フルオロアルキル基は、前記アルキル基の水素がフッ素に置換されたものを意味し、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基などがあるが、これらに限定されない。
【0031】
本明細書において、前記アリール基が単環式アリール基の場合、炭素数は特に限定されないが、炭素数6〜25のものが好ましい。具体的には、単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基(クアテルフェニル)などになってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0032】
前記アリール基が多環式アリール基の場合、炭素数は特に限定されないが、炭素数10〜30のものが好ましい。具体的には、多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、フルオレニル基などになってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0033】
本明細書において、前記フルオレニル基は置換されていてもよいし、隣接した置換基が互いに結合して環を形成してもよい。
【0034】
前記フルオレニル基が置換される場合、
【化8】
などになってもよい。ただし、これらに限定されるものではない。
【0035】
前記アリール基は、アルキル基で置換されて、アリールアルキル基として作用できる。前記アルキル基は、前述した例示の中から選択されてもよい。
【0036】
本明細書において、ヘテロ環基は、炭素でない原子、異種原子を1以上含むものであって、具体的には、前記異種原子は、O、N、Se、およびSなどからなる群より選択される原子を1以上含むことができる。炭素数は特に限定されないが、炭素数2〜30のものが好ましく、前記ヘテロ環基は、単環式もしくは多環式であってもよい。ヘテロ環基の例としては、チオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、ピリジン基、ピリミジン基、トリアジン基、トリアゾール基、キノリニル基、キナゾリン基、カルバゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾカルバゾール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、フェナントロリン基(phenanthroline)、イソオキサゾール基、チアジアゾール基、およびジベンゾフラン基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
本明細書において、アリーレン基は、アリール基に結合位置が2つあるもの、すなわち2価の基を意味する。これらは、それぞれ2価の基であることを除けば、前述したアリール基の説明が適用可能である。
【0038】
本発明の一実施態様において、前記Ar1〜Ar6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2〜30のヘテロ環基である。
【0039】
本発明の一実施態様において、前記Ar1〜Ar6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;置換もしくは非置換のナフチル基;置換もしくは非置換のジベンゾフラン基;置換もしくは非置換のジベンゾチオフェン基;または置換もしくは非置換のフルオレン基である。
【0040】
本発明の一実施態様において、前記Ar1〜Ar6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、重水素、アルキル基、シクロアルキル基、シリル基、またはアリール基で置換もしくは非置換のフェニル基;重水素、アルキル基、シクロアルキル基、シリル基、またはアリール基で置換もしくは非置換のビフェニル基;重水素、アルキル基、シクロアルキル基、シリル基、またはアリール基で置換もしくは非置換のナフチル基;または重水素、アルキル基、シクロアルキル基、シリル基、またはアリール基で置換もしくは非置換のジベンゾフラン基である。
【0041】
本発明の一実施態様において、前記Ar1〜Ar6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、重水素、アルキル基、またはシリル基で置換もしくは非置換のフェニル基;ビフェニル基;ナフチル基;またはアルキル基、シクロアルキル基、シリル基、またはアリール基で置換もしくは非置換のジベンゾフラン基である。
【0042】
本発明の一実施態様において、前記Ar1〜Ar6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、重水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ブチルジフェニルシリル基、またはトリメチルシリル基で置換もしくは非置換のフェニル基;ビフェニル基;ナフチル基;またはブチル基、シクロヘキシル基、トリメチルシリル基、またはフェニル基で置換もしくは非置換のジベンゾフラン基である。
【0043】
本発明の一実施態様において、前記Ar7およびAr8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換の炭素数6〜30のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2〜30の2価のヘテロ環基である。
【0044】
本発明の一実施態様において、前記Ar7およびAr8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のフェニレン基;置換もしくは非置換のビフェニリレン基;置換もしくは非置換の2価のナフタレン基;置換もしくは非置換の2価のジベンゾフラン基;置換もしくは非置換の2価のジベンゾチオフェン基;または置換もしくは非置換の2価のフルオレン基である。
【0045】
本発明の一実施態様において、前記Ar7およびAr8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、重水素で置換もしくは非置換のフェニレン基;ビフェニリレン基;2価のナフタレン基;2価のジベンゾフラン基;2価のジベンゾチオフェン基;または2価のフルオレン基である。
【0046】
本発明の一実施態様において、前記Ar7およびAr8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のフェニレン基;または置換もしくは非置換のナフタレン基である。
【0047】
本発明の一実施態様において、前記Ar7およびAr8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、重水素で置換もしくは非置換のフェニレン基;または重水素で置換もしくは非置換の2価のナフタレン基である。
【0048】
本発明の一実施態様において、前記Ar7およびAr8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、重水素で置換もしくは非置換のフェニレン基;または2価のナフタレン基である。
【0049】
本発明の一実施態様において、前記Ar1〜Ar8における「置換もしくは非置換」は、ハロゲン基、シアノ基、アルキル基、フルオロアルキル基、シリル基、シクロアルキル基、アリール基、およびヘテロ環基からなる群より選択される1以上の置換基で置換されるか、非置換であることを意味する。
【0050】
本発明の一実施態様において、前記Ar1〜Ar8における「置換もしくは非置換」は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フッ素基、シアノ基、トリフルオロメチル基、フェニル基、ナフチル基、およびジベンゾフラン基からなる群より選択される1以上の置換基で置換されるか、非置換であることを意味する。
【0051】
本発明の一実施態様において、前記Ar1〜Ar6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、下記構造式の中から選択され、
【化9】
前記構造式において、R8およびR9は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換のアルキル基;または置換もしくは非置換のアリール基であり、
R10は、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のフルオロアルキル基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のシクロアルキル基であり、
pは、1〜7の整数であり、qは、1〜5の整数であり、sは、1〜9の整数であり、tは、1〜4の整数であり、uは、1〜3の整数であり、p、q、s、tおよびuが2以上の場合、R10は、互いに同一または異なり、
【0052】
【化10】
は、化学式1のNと結合する位置を意味し、
前記Ar7およびAr8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、前記構造式の中から選択され、前記構造式において、R10中の1つが化学式1のLと結合する。
【0053】
本発明の一実施態様において、前記R8およびR9は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基である。
【0054】
本発明の一実施態様において、前記R8およびR9は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基である。
【0055】
本発明の一実施態様において、前記R8およびR9は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、メチル基、またはエチル基である。
【0056】
本発明の一実施態様において、前記R10は、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基;置換もしくは非置換の炭素数1〜20のフルオロアルキル基;置換もしくは非置換のシリル基;または置換もしくは非置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基である。
【0057】
本発明の一実施態様において、前記R10は、水素;重水素;メチル基;エチル基;イソプロピル基;tert−ブチル基;2−エチルヘキシル基;トリメチルシリル基;トリフェニルシリル基;tert−ブチルジメチルシリル基;シクロプロピル基;シクロブチル基;シクロペンチル基;シクロヘキシル基;フッ素基;シアノ基;またはトリフルオロメチル基である。
【0058】
本発明の一実施態様において、前記R1およびR2は、水素である。
【0059】
本発明の一実施態様において、前記R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素またはアルキル基である。
【0060】
本発明の一実施態様において、前記R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;メチル基;エチル基;プロピル基;またはブチル基である。
【0061】
本発明の一実施態様において、前記R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;またはプロピル基である。
【0062】
本発明の一実施態様において、前記R1およびR2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素;またはイソプロピル基である。
【0063】
本発明の一実施態様において、前記Ar2〜Ar5は、互いに同一であり、前記Ar1およびAr6は、互いに同一であり、前記Ar7およびAr8は、同一である。
【0064】
本発明の一実施態様において、Ar1およびAr2のうちの少なくとも1つは、置換もしくは非置換のジベンゾフラン基;置換もしくは非置換のジベンゾチオフェン基;または置換もしくは非置換のフルオレン基であり、残りは、置換もしくは非置換のフェニル基;または置換もしくは非置換のナフチル基である。
【0065】
本発明の一実施態様において、前記Lは、アルキレン基;または下記構造式の中から選択される。
【化11】
【0066】
本発明の一実施態様において、前記Lは、メチレン基;エチレン基;プロピレン基;ブチレン基;シクロペンチレン基 ;シクロヘキシレン基;または下記構造式の中から選択される。
【化12】
【0067】
本発明の一実施態様において、前記rは、1〜5の整数である。
【0068】
本発明の一実施態様において、前記rは、2または3である。
【0069】
本発明の一実施態様において、前記R7は、直接結合、エチレン基、シクロヘキシレン基、またはフェニレン基である。
【0070】
本発明の一実施態様において、前記R3〜R6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、メチル基またはフェニル基である。
【0071】
本明細書の一実施態様において、前記Lは、下記構造式の中から選択される。
【化13】
【0072】
本発明の一実施態様において、前記化学式1は、下記構造式のうちのいずれか1つで表される。
【化14】
【化15】
【化16】
【0073】
本発明の一実施態様において、前記化学式1の化合物を含むコーティング組成物を提供する。
【0074】
本発明の一実施態様において、前記コーティング組成物は、有機発光素子用である。
【0075】
本発明の一実施態様において、前記コーティング組成物は、前記化学式1の化合物および溶媒を含む。
【0076】
本発明の一実施態様において、前記コーティング組成物は、液状であってもよい。前記「液状」は、常温および常圧で液体状態であることを意味する。
【0077】
本発明の一実施態様において、前記溶媒は、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、メシチレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテートなどのエステル系溶媒;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオールなどの多価アルコールおよびその誘導体;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノールなどのアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒;およびN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒;メチルベンゾエート、ブチルベンゾエート、3−フェノキシベンゾエートなどのベンゾエート系溶媒;テトラリンなどの溶媒が例示されるが、本願発明の一実施態様に係る化合物を溶解または分散させる溶媒であれば十分であり、これらを限定しない。
もう一つの実施態様において、前記溶媒は、1種単独で使用するか、または2種以上の溶媒を混合して使用することができる。
【0078】
もう一つの実施態様において、前記溶媒の沸点は、好ましくは40〜250℃、さらに好ましくは60〜230℃であるが、これに限定されない。
【0079】
もう一つの実施態様において、前記単独あるいは混合溶媒の粘度は、好ましくは1〜10CP、さらに好ましくは3〜8CPであるが、これに限定されない。
【0080】
もう一つの実施態様において、前記コーティング組成物の濃度は、好ましくは0.1〜20wt/v%、さらに好ましくは0.5〜5wt/v%であるが、これに限定されない。
【0081】
本明細書はまた、前記コーティング組成物を含む有機発光素子を提供する。
【0082】
本発明の一実施態様は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に備えられる1層以上の有機物層とを含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、化学式1の化合物を含むコーティング組成物を含むものである有機発光素子である。
【0083】
本発明の一実施態様において、前記コーティング組成物を含む有機物層は、正孔輸送層、正孔注入層、または正孔輸送および正孔注入を同時に行う層である。
【0084】
他の実施態様において、前記コーティング組成物を含む有機物層は、発光層である。
【0085】
もう一つの実施態様において、前記コーティング組成物を含む有機物層は、発光層であり、前記発光層は、前記化合物を発光層のホストとして含む。
【0086】
本発明の実施態様において、前記コーティング組成物を含む有機物層は、発光層であり、前記発光層は、前記化合物を発光層のドーパントとして含む。
【0087】
本発明の実施態様において、前記コーティング組成物を含む有機物層は、発光層であり、前記発光層は、前記化合物を発光層のドーパントとして含み、ホストとしてフルオレン誘導体を含む。
【0088】
本発明の実施態様において、前記コーティング組成物を含む有機物層は、発光層であり、前記発光層は、前記化合物を発光層のドーパントとして含み、ホストとしてポリ(9,9−ジ−n−オクチルフルオレニル−2,7−ジイル)を含む。
【0089】
本発明の実施態様において、前記コーティング組成物を含む有機物層は、発光層であり、前記発光層は、前記化合物を発光層のドーパントとして含み、ホストとしてフルオレン誘導体を1:1〜1:50の重量比で含む。
【0090】
本発明の実施態様において、前記コーティング組成物を含む有機物層は、発光層であり、前記発光層は、前記化合物を発光層のドーパントとして含み、ホストとしてフルオレン誘導体を6:100 の重量比で含む。
【0091】
本発明の一実施態様において、前記有機発光素子は、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、電子阻止層、および正孔阻止層からなる群より選択される1層または2層以上をさらに含む。
【0092】
本発明の一実施態様において、第1電極は、カソードであり、第2電極は、アノードである。
【0093】
本発明の一実施態様において、第1電極は、アノードであり、第2電極は、カソードである。
【0094】
もう一つの実施態様において、有機発光素子は、基板上に、アノード、1層以上の有機物層、およびカソードが順次に積層された構造(normal type)の有機発光素子であってもよい。
【0095】
もう一つの実施態様において、有機発光素子は、基板上に、カソード、1層以上の有機物層、およびアノードが順次に積層された逆方向構造(inverted type)の有機発光素子であってもよい。
【0096】
本発明の有機発光素子の有機物層は、単層構造からなってもよいが、2層以上の有機物層が積層された多層構造からなってもよい。例えば、本発明の有機発光素子は、有機物層として、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などを含む構造を有することができる。しかし、有機発光素子の構造はこれに限定されず、より少数の有機層を含んでもよい。
【0097】
例えば、本発明の一実施態様に係る有機発光素子の構造は、図1に例示されている。
図1には、基板101上に、アノード201、正孔注入および輸送層301、発光層501、およびカソード601が順次積層された有機発光素子の構造が例示されている。
前記図1にて、正孔注入および輸送層301、または発光層501は、化学式1で表される化合物を含むコーティング組成物を含む。
前記図1は、有機発光素子を例示したものであり、これに限定されない。
【0098】
前記有機発光素子が複数の有機物層を含む場合、前記有機物層は、同一の物質または異なる物質で形成される。
【0099】
本発明の有機発光素子は、有機物層のうちの1層以上が前記化合物を含むコーティング組成物を含むことを除けば、当技術分野で知られている材料および方法で製造される。
例えば、本発明の有機発光素子は、基板上に、アノード、有機物層、およびカソードを順次積層させることにより製造することができる。この時、スパッタリング法(sputtering)や電子ビーム蒸発法(e−beam evaporation)のようなPVD(Physical Vapor Deposition)方法を利用して、基板上に金属または導電性を有する金属酸化物またはこれらの合金を蒸着させてアノードを形成し、その上に正孔注入層、正孔輸送層、発光層および電子輸送層を含む有機物層を形成した後、その上にカソードとして使用可能な物質を蒸着させることにより製造される。このような方法以外にも、基板上に、カソード物質から有機物層、アノード物質を順に蒸着させて有機発光素子を作ることができる。
【0100】
本発明はまた、前記コーティング組成物を含む有機発光素子の製造方法を提供する。
具体的には、本発明の一実施態様において、基板を用意するステップと、前記基板上にカソードまたはアノードを形成するステップと、前記カソードまたはアノード上に1層以上の有機物層を形成するステップと、前記有機物層上にアノードまたはカソードを形成するステップとを含み、前記有機物層のうちの1層以上は、前記コーティング組成物を含む。
【0101】
本発明の一実施態様において、前記コーティング組成物を含む有機物層は、スピンコーティングを利用して形成される。
【0102】
他の実施態様において、前記コーティング組成物を含む有機物層は、印刷法によって形成される。
【0103】
本発明の態様において、前記印刷法は、例えば、インクジェットプリンティング、ノズルプリンティング、オフセットプリンティング、転写プリンティング、またはスクリーンプリンティングなどがあるが、これらに限定されない。
【0104】
本発明の一実施態様に係るコーティング組成物は、構造的な特性により溶液工程が好適で印刷法によって形成可能なため、素子の製造時に時間および費用的に経済的な効果がある。
【0105】
本発明の一実施態様において、前記コーティング組成物を含む有機物層を形成するステップは、前記カソードまたはアノード上に前記コーティング組成物をコーティングするステップと、前記コーティングされたコーティング組成物を熱処理または光処理するステップとを含む。
【0106】
本発明の一実施態様において、前記コーティング組成物を熱処理して乾燥したものである。
【0107】
本発明の一実施態様において、前記コーティング組成物を含む有機物層を熱処理する時間は、好ましくは1時間以内、さらに好ましくは30分以内である。
【0108】
本発明の一実施態様において、前記コーティング組成物を用いて形成された有機物層を熱処理する雰囲気は、好ましくは、アルゴン、窒素などの不活性気体である。
【0109】
前記コーティング組成物を用いて形成された有機物層を形成するステップにおいて、前記熱処理または光処理ステップを含む場合には、コーティング組成物に含まれた複数のフルオレン基が架橋を形成して薄膜化された構造が含まれた有機物層を提供することができる。この場合、前記コーティング組成物を用いて形成された有機物層の表面上に蒸着された溶媒によって溶解するか、形態学的に影響を受けたり分解されるのを防止することができる。
【0110】
したがって、前記コーティング組成物を含む有機物層が熱処理または光処理ステップを含んで形成された場合には、溶媒に対する抵抗性が増加して溶液蒸着および架橋方法を繰り返し行って多層を形成することができ、安定性が増加して素子の寿命特性を増加させることができる。
【0111】
本発明の一実施態様において、前記化合物を含むコーティング組成物は、高分子結合剤に混合して分散させたコーティング組成物を用いることができる。
【0112】
本発明の一実施態様において、高分子結合剤としては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また、可視光に対する吸収が強くないものが好ましく用いられる。高分子結合剤としては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)およびその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)およびその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンなどが例示される。
【0113】
また、本発明の一実施態様に係る化合物は、カルバゾールおよびアミン基を含むことにより、有機物層に化合物単独で含むこともでき、化合物を含むコーティング組成物を熱処理または光処理により薄膜化を進行させてもよいし、他のモノマーと混合したコーティング組成物を用いて共重合体として含ませてもよい。さらに、他の高分子と混合したコーティング組成物を用いて共重合体、または混合物を含むことができる。
【0114】
前記アノード物質としては、通常、有機物層への正孔注入が円滑となるように仕事関数の大きい物質が好ましい。本発明で使用可能なアノード物質の具体例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属、またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO:Sbのような金属と酸化物との組み合わせ;ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ[3,4−(エチレン−1,2−ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロールおよびポリアニリンのような導電性高分子などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0115】
前記カソード物質としては、通常、有機物層への電子注入が容易となるように仕事関数の小さい物質であることが好ましい。カソード物質の具体例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズおよび鉛のような金属、またはこれらの合金;LiF/AlまたはLiO/Alのような多層構造の物質などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0116】
前記正孔注入層は、電極から正孔を注入する層で、正孔注入物質としては、正孔を輸送する能力を有し、アノードからの正孔注入効果、発光層または発光材料に対して優れた正孔注入効果を有し、発光層で生成された励起子の電子注入層または電子注入材料への移動を防止し、また、薄膜形成能力の優れた化合物が好ましい。正孔注入物質のHOMO(highest occupied molecular orbital)がアノード物質の仕事関数と周辺の有機物層のHOMOとの間であることが好ましい。正孔注入物質の具体例としては、金属ポルフィリン(porphyrin)、オリゴチオフェン、アリールアミン系の有機物、ヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン系の有機物、キナクリドン(quinacridone)系の有機物、ペリレン(perylene)系の有機物、アントラキノンおよびポリアニリンとポリチオフェン系の導電性高分子などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0117】
前記正孔輸送層は、正孔注入層から正孔を受け取って発光層まで正孔を輸送する層で、正孔輸送物質としては、アノードや正孔注入層から正孔輸送を受けて発光層に移しうる物質で、正孔に対する移動性の大きい物質が好適である。具体例としては、アリールアミン系の有機物、導電性高分子、および共役部分と非共役部分が共にあるブロック共重合体などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0118】
前記発光物質としては、正孔輸送層と電子輸送層から正孔と電子の輸送をそれぞれ受けて結合させることにより可視光線領域の光を発しうる物質であって、蛍光や燐光に対する量子効率の良い物質が好ましい。具体例としては、8−ヒドロキシ−キノリンアルミニウム錯体(Alq);カルバゾール系化合物;二量体化スチリル(dimerized styryl)化合物;BAlq;10−ヒドロキシベンゾキノリン−金属化合物;ベンゾキサゾール、ベンズチアゾールおよびベンズイミダゾール系の化合物;ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)系の高分子;スピロ(spiro)化合物;ポリフルオレン、ルブレンなどがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0119】
前記発光層は、ホスト材料およびドーパント材料を含むことができる。ホスト材料は、縮合芳香族環誘導体またはヘテロ環含有化合物などがある。具体的には、縮合芳香族環誘導体としては、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、ナフタレン誘導体、ペンタセン誘導体、フェナントレン化合物、フルオランテン化合物などがあり、ヘテロ環含有化合物としては、カルバゾール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ラダー型フラン化合物、ピリミジン誘導体などがあるが、これらに限定されない。また、高分子化合物を使用することができ、ポリ−1,4−フェニレンや、ポリフルオレンのような高分子化合物などがあるが、これらに限定されない。
【0120】
ドーパント材料としては、芳香族アミン誘導体、スチリルアミン化合物、ホウ素錯体、フルオランテン化合物、金属錯体などがある。具体的には、芳香族アミン誘導体としては、置換もしくは非置換のアリールアミノ基を有する縮合芳香族環誘導体であって、アリールアミノ基を有するピレン、アントラセン、クリセン、ペリフランテンなどがあり、スチリルアミン化合物としては、置換もしくは非置換のアリールアミンに少なくとも1個のアリールビニル基が置換されている化合物で、アリール基、シリル基、アルキル基、シクロアルキル基、およびアリールアミノ基からなる群より1または2以上選択される置換基が置換もしくは非置換である。具体的には、スチリルアミン、スチリルジアミン、スチリルトリアミン、スチリルテトラアミンなどがあるが、これらに限定されない。また、金属錯体としては、イリジウム錯体、白金錯体などがあるが、これらに限定されない。
【0121】
前記電子輸送層は、電子注入層から電子を受け取って発光層まで電子を輸送する層で、電子輸送物質としては、カソードから電子注入をきちんと受けて発光層に移しうる物質であって、電子に対する移動性の大きい物質が好適である。具体例としては、8−ヒドロキシキノリンのAl錯体;Alqを含む錯体;有機ラジカル化合物;ヒドロキシフラボン−金属錯体などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。電子輸送層は、従来技術により使用されているような、任意の所望のカソード物質と共に使用可能である。特に、適切なカソード物質の例は、低い仕事関数を有し、アルミニウム層またはシルバー層が後に続く通常の物質である。具体的には、セシウム、バリウム、カルシウム、イッテルビウム、およびサマリウムであり、各場合、アルミニウム層またはシルバー層が後に続く。
【0122】
前記電子注入層は、電極から電子を注入する層で、電子を輸送する能力を有し、カソードからの電子注入効果、発光層または発光材料に対して優れた電子注入効果を有し、発光層で生成された励起子の正孔注入層への移動を防止し、また、薄膜形成能力の優れた化合物が好ましい。具体的には、フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、フレオレニリデンメタン、アントロンなどとそれらの誘導体、金属錯体化合物および含窒素5員環誘導体などがあるが、これらに限定されない。
【0123】
前記金属錯体化合物としては、8−ヒドロキシキノリナトリチウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナト)亜鉛、ビス(8−ヒドロキシキノリナト)銅、ビス(8−ヒドロキシキノリナト)マンガン、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)ガリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリナト)クロロガリウム、ビス(2−メチル−8−キノリナト)(o−クレゾラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−キノリナト)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリナト)(2−ナフトラート)ガリウムなどがあるが、これらに限定されない。
【0124】
前記正孔阻止層は、正孔のカソード到達を阻止する層で、一般的に、正孔注入層と同じ条件で形成される。具体的には、オキサジアゾール誘導体やトリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、BCP、アルミニウム錯体(aluminum complex)などがあるが、これらに限定されない。
【0125】
本発明に係る有機発光素子は、使用される材料によって、前面発光型、後面発光型、または両面発光型であってもよい。
【0126】
本発明の一実施態様において、前記化合物は、有機発光素子以外にも、有機太陽電池または有機トランジスタに含まれる。
【実施例】
【0127】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明に係る実施例は種々の異なる形態に変形可能であり、本発明の範囲が以下に述べる実施例に限定されると解釈されない。本発明の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0128】
製造例1
【化17】
【0129】
化合物1 11.3g、化合物2 24.7g、Pd(dba)((トリス(ジベンジリデンアセトン(ジパラジウム)(Tris(dibenzylideneacetone)dipalladium))2.75g、BINAP((2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフタレン)(2,2’−Bis(diphenylphosphino)−1,1’−binaphthalene))5.60g、ナトリウムtert−ブトキシド(Sodium tert−butoxide)9.61gを丸底フラスコに入れて、トルエンを500mLを入れて溶解させた後、80℃で2時間撹拌した。室温に冷却した後、セライトパッドを通過させ、分別漏斗を使用してエチルアセテートで抽出後、回転蒸発器で溶媒を除去した。カラムクロマトグラフィーによって化合物3を19.5g(収率:70%)得た。化合物3のMassグラフ(マススペクトル)を図2に示した。
【0130】
製造例2
【化18】
【0131】
化合物4 6.0g、化合物2 5.0g、Pd(dba) 915mg、BINAP1.87g、ナトリウムtert−ブトキシド2.88gを丸底フラスコに入れて、トルエンを50mLを入れて溶解させた後、80℃で2時間撹拌した。室温に冷却した後、セライトパッドを通過させ、分別漏斗を使用してエチルアセテートで抽出後、回転蒸発器で溶媒を除去した。カラムクロマトグラフィーによって化合物5を5.17g(収率:82%)得た。化合物5のMassグラフを図3に示した。
【0132】
製造例3
【化19】
【0133】
製造例2において、化合物4の代わりに化合物6 5.4gを用いたことを除けば、製造例2の方法と同様にして化合物7(3.7g、62%)を得た。化合物7のMassグラフを図4に示した。
【0134】
製造例4
【化20】
【0135】
製造例2において、化合物4の代わりに化合物8 3.73gを用いたことを除けば、製造例2の方法と同様にして化合物9(3.57g、69%)を得た。化合物9のMassグラフを図5に示した。
【0136】
製造例5
【化21】
【0137】
化合物5 3.15g、化合物10 10.8g、Pd(dba) 1.37g、P(tBu) 910mg、ナトリウムtert−ブトキシド2.88gを丸底フラスコに入れて、トルエンを100mLを入れて溶解させた後、80℃で30分間撹拌した。室温に冷却した後、セライトパッドを通過させ、分別漏斗を使用してエチルアセテートで抽出後、回転蒸発器で溶媒を除去した。カラムクロマトグラフィーによって化合物11を1.90g(収率:32%)得た。化合物11のMassグラフを図6に示した。
【0138】
製造例6
【化22】
【0139】
製造例5において、化合物5の代わりに化合物7 3.01gを用いたことを除けば、製造例5の方法と同様にして化合物12(1.45g、25%)を得た。化合物12のMassグラフを図7に示した。
【0140】
製造例7
【化23】
【0141】
製造例5において、化合物5の代わりに化合物9 2.59gを用いたことを除けば、製造例5の方法と同様にして化合物13(1.99g、37%)を得た。化合物13のMassグラフを図8に示した。
【0142】
製造例1−1
【化24】
【0143】
化合物3 2.23g、化合物11 5.95g、Pd(dba) 366mg、P(tBu) 243mg、ナトリウムtert−ブトキシド1.15gを丸底フラスコに入れて、トルエンを20mLを入れて溶解させた後、80℃で30分間撹拌した。室温に冷却した後、セライトパッドを通過させ、分別漏斗を使用してエチルアセテートで抽出後、回転蒸発器で溶媒を除去した。カラムクロマトグラフィーによって化合物14を2.66g(収率:42%)得た。化合物14のMassグラフを図9に示した。
【0144】
製造例1−2
【化25】
【0145】
製造例1−1において、化合物11の代わりに化合物12 5.80gを用いたことを除けば、製造例1−1の方法と同様にして化合物15(2.43g、39%)を得た。化合物15のMassグラフを図10に示した。
【0146】
製造例1−3
【化26】
【0147】
製造例1−1において、化合物11の代わりに化合物13 5.38gを用いたことを除けば、製造例1−1の方法と同様にして化合物16(2.71g、46%)を得た。化合物16のMassグラフを図11に示した。
【0148】
製造例2−1
【化27】
【0149】
化合物22 23.6gをTHF1000mlに溶解させた後、−78℃でnBuLi40ml(2.5M in hexane)を入れて30分間撹拌後、室温で1時間撹拌した。化合物23 10gを入れて2時間撹拌した。アンモニウムクロライド溶液200mlと水200mlを入れて10分間撹拌後、分別漏斗を使用してメチレンクロライドで抽出後、回転蒸発器で溶媒を除去した。カラムクロマトグラフィーによって化合物24を27.9g(収率:61%)得た。化合物24のMassグラフを図12に示した。
【0150】
【化28】
【0151】
化合物25を6.6g、化合物26を5.3g、Pd(dba) 662mg、BINAP 1.35g、ナトリウムtert−ブトキシド2.09gを丸底フラスコに入れて、トルエンを75mLを入れて溶解させた後、80℃で2時間撹拌した。室温に冷却した後、セライトパッドを通過させ、分別漏斗を使用してエチルアセテートで抽出後、回転蒸発器で溶媒を除去した。カラムクロマトグラフィーによって化合物27を4.8g(収率:50%)得た。化合物27のMassグラフを図13に示した。
【0152】
【化29】
【0153】
製造例1−3において、化合物3の代わりに化合物27 2.64gを用いたことを除けば、製造例1−3の方法と同様にして化合物28(1.85g、29%)を得た。化合物28のMassグラフを図14に示した。
【0154】
製造例3−1
【化30】
【0155】
製造例1において、化合物1の代わりに化合物29 13.3gを用いたことを除けば、製造例1の方法と同様にして化合物30(18.5g、62%)を得た。MS:[M+H]+=599
【0156】
【化31】
【0157】
製造例1−3において、化合物3の代わりに化合物30 2.4gを用いたことを除けば、製造例1−3の方法と同様にして化合物31(2.11g、35%)を得た。MS:[M+H]+=1514
【0158】
【化32】
【0159】
化合物32を3.72g、化合物26を3.66g、Pd(dba) 916mg、BINAP 1.87g、ナトリウムtert−ブトキシド2.88gを丸底フラスコに入れて、トルエンを100mLを入れて溶解させた後、80℃で2時間撹拌した。室温に冷却した後、セライトパッドを通過させ、分別漏斗を使用してエチルアセテートで抽出後、回転蒸発器で溶媒を除去した。カラムクロマトグラフィーによって化合物33を2.71g(収率:47%)得た。MS:[M+H]+=577
【0160】
【化33】
【0161】
製造例1−3において、化合物3の代わりに化合物33 2.30gを用いたことを除けば、製造例1−3の方法と同様にして化合物34(2.15g、36%)を得た。MS:[M+H]+=1492
【0162】
比較例1の化合物の合成
【化34】
【0163】
製造例1−1において、化合物11の代わりに化合物17 2.81gを用いたことを除けば、製造例1−1の方法と同様にして化合物18(1.96g、51%)を得た。
【0164】
比較例2の化合物の合成
【化35】
【0165】
製造例1−3において、化合物3の代わりに化合物19 1.35gを用いたことを除けば、製造例1−3の方法と同様にして化合物20(1.90g、38%)を得た。
【0166】
比較例3の化合物
【化36】
【0167】
実施例1
ITO(indium tin oxide)が50nmの厚さに薄膜コーティングされたガラス基板を、洗剤を溶かした蒸留水に入れて超音波洗浄した。この時、洗剤としてはフィッシャー社(Fischer Co.)製品を用い、蒸留水としてはミリポア社(Millipore Co.)製品のフィルタ(Filter)で2次濾過した蒸留水を使用した。ITOを30分間洗浄した後、蒸留水で2回繰り返し超音波洗浄を10分間進行させた。蒸留水洗浄が終わった後、イソプロピルアルコール、アセトン、メタノールの溶剤で超音波洗浄をし乾燥させた後、プラズマ洗浄機に輸送させた。また、酸素プラズマを用いて前記基板を5分間洗浄した後、真空蒸着機に基板を輸送させた。
【0168】
このように用意されたITO透明電極上に、AI4083(PEDOT/PSS polymer、Heraeus Precious Metals GmbH&Co.KGのCLEVIOSTM P VP AI4083)を1000rpmで60秒間スピンコーティングし、80℃で2分ベーキング(baking)し、120℃で15分ベーキング(baking)して、60nmの正孔注入および輸送層を形成した。
【0169】
前記正孔注入および輸送層上に、ポリ(9,9−ジ−n−オクチルフルオレニル−2,7−ジイル)(Poly(9,9−di−n−octylfluorenyl−2,7−diyl))(sigma Aldrich)と前記製造例1−1の化合物14とを100:6の重量部で0.5wt%トルエン溶液を製造して5000rpmでスピンコーティングし、80℃で2分ベーキング(baking)し、120℃で30分ベーキング(baking)して55nmの厚さの発光層を形成した。
【0170】
これを、窒素ガス雰囲気下、130℃で10分間乾燥させた後、リチウムフルオライド(LiF)を約1nmの膜厚さに蒸着し、最後にアルミニウムを100nmの膜厚さに蒸着して陰極を形成した。
【0171】
前記過程で、陰極のリチウムフルオライドは0.3Å/sec、アルミニウムは2Å/secの蒸着速度を維持し、蒸着時の真空度は2×10−7〜5×10−6torrを維持して、有機発光素子を作製した。
素子の構造:ITO(50nm)/AI4083(60nm)/EML(55nm)/LiF(1nm)/Al(100nm)
【0172】
実施例2
前記実施例1において、化合物14の代わりに化合物15を用いたことを除き、実施例1と同様の方法で有機発光素子を作製した。
【0173】
実施例3
前記実施例1において、化合物14の代わりに化合物16を用いたことを除き、実施例1と同様の方法で有機発光素子を作製した。
【0174】
実施例4
前記実施例1において、化合物14の代わりに化合物28を用いたことを除き、実施例1と同様の方法で有機発光素子を作製した。
【0175】
実施例5
前記実施例1において、化合物14の代わりに化合物31を用いたことを除き、実施例1と同様の方法で有機発光素子を作製した。
【0176】
実施例6
前記実施例1において、化合物14の代わりに化合物34を用いたことを除き、実施例1と同様の方法で有機発光素子を作製した。
【0177】
比較例1
【0178】
前記実施例1において、化合物14の代わりに化合物18を用いたことを除き、実施例1と同様の方法で有機発光素子を作製した。
【0179】
比較例2
前記実施例1において、化合物14の代わりに化合物20を用いたことを除き、実施例1と同様の方法で有機発光素子を作製した。
【0180】
比較例3
前記実施例1において、化合物14の代わりに化合物21を用いたことを除き、実施例1と同様の方法で有機発光素子を作製した。
【0181】
【表1】
【0182】
本明細書に係る化合物を、有機発光素子におけるブルードーパントとして用いた時、電圧;効率;および寿命において性能に優れ、特に、寿命の面から、比較例の化合物と比較して、本願発明の化合物が優れていることが分かる。
【符号の説明】
【0183】
101:基板
201:アノード
301:正孔注入および輸送層
501:発光層
601:カソード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14