特許第6789428号(P6789428)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6789428サンプルを検査する方法、センサ及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6789428
(24)【登録日】2020年11月5日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】サンプルを検査する方法、センサ及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20201116BHJP
   H04N 5/369 20110101ALI20201116BHJP
   H01L 27/148 20060101ALI20201116BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   G01N21/956 A
   H04N5/369 200
   H01L27/148 B
   H01L27/146 D
【請求項の数】20
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2020-54037(P2020-54037)
(22)【出願日】2020年3月25日
(62)【分割の表示】特願2017-559375(P2017-559375)の分割
【原出願日】2016年5月13日
(65)【公開番号】特開2020-112570(P2020-112570A)
(43)【公開日】2020年7月27日
【審査請求日】2020年3月26日
(31)【優先権主張番号】62/161,450
(32)【優先日】2015年5月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/172,242
(32)【優先日】2015年6月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/153,543
(32)【優先日】2016年5月12日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュアン ユン−ホ アレックス
(72)【発明者】
【氏名】フィールデン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン デイヴィッド エル
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ジンジン
(72)【発明者】
【氏名】リヨン キース
(72)【発明者】
【氏名】ワン マーク シ
【審査官】 蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−528286(JP,A)
【文献】 特開2015−090906(JP,A)
【文献】 特開2005−055196(JP,A)
【文献】 特開平09−139489(JP,A)
【文献】 特開2011−171467(JP,A)
【文献】 特開2008−205256(JP,A)
【文献】 特表2015−512562(JP,A)
【文献】 特開2013−175951(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0015301(US,A1)
【文献】 国際公開第2007/119626(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
G01J 1/00−1/60
H01L 27/14−27/148、31/00−31/20
H04N 5/30−5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを検査する方法であって、
サンプル上へと輻射を差し向け集束させるステップと、
サンプルから受け取った輻射をラインセンサへと差し向けるステップであり、そのラインセンサが基板上に位置する複数個の画素を備え、上記画素が、基板の上面に付されていてその画素の感光領域の上方に位置する抵抗性制御ゲートを備え、受け取った輻射を差し向ける一環として感光領域へと上記差し向けられた光を入射させるステップと、
所定のアパーチャ制御信号を用い抵抗性制御ゲートを駆動するステップであり、抵抗性制御ゲートによって感光領域内に生成される電界により、上記画素の第1感光部分内で光第1部分により生成された第1光電子が各抵抗性制御ゲートの第1端部の隣にある第1電荷蓄積領域内へと追いやられ且つ上記画素の第2感光部分内で光第2部分により生成された第2光電子が各抵抗性制御ゲートの第2端部へと追いやられるように駆動するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、更に、所定期間中に第1電荷蓄積領域内に蓄積された第1光電子を計測するステップを有する方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、輻射を差し向けるステップが、更に、サンプルから上記画素の感光領域の第1感光部分内へと差し向けられた共焦点像第1部分と、サンプルから上記画素の感光領域の第2感光部分内へと差し向けられた共焦点像第2部分と、を含む共焦点像を生成するステップを含む方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、輻射を差し向けるステップが、更に、サンプルから見て第1角度域内に位置する輻射第1部分を上記画素の感光領域の第1感光部分内へと差し向けるステップと、サンプルから見て第2角度域内に位置する輻射第2部分を上記画素の感光領域の第2感光部分内へと差し向けるステップと、を含む方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、上記画素の抵抗性制御ゲートを駆動するステップが、上記抵抗性制御ゲートの一方の端部及びその逆側にある端部に接する第1及び第2端部電極上に第1及び第2アパーチャ制御信号を発生させるステップと、上記抵抗性制御ゲートの中央部分に接する少なくとも1個の中央電極上に第3アパーチャ制御信号を発生させるステップと、を含む方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、抵抗性制御ゲートを駆動するステップが、更に、
第1期間中に、第1及び第2アパーチャ制御信号が第3アパーチャ制御信号よりも正になるようそれら第1、第2及び第3アパーチャ制御信号を生成するステップと、
第2期間中に、上記第1アパーチャ制御信号が上記第2及び第3アパーチャ制御信号よりも正になるようそれら第1、第2及び第3アパーチャ制御信号を生成するステップと、
を含む方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、上記画素の抵抗性制御ゲートを駆動するステップが、上記抵抗性制御ゲートの対応する端部にそれぞれ接する第1及び第2端部電極上に第1及び第2アパーチャ制御信号を発生させるステップと、上記抵抗性制御ゲートの対応する中央部分にそれぞれ接する第1、第2及び第3中央電極上にそれぞれ第3、第4及び第5アパーチャ制御信号を発生させるステップと、を含み、第1、第2及び第4アパーチャ制御信号を第3及び第5アパーチャ制御信号よりも正として上記画素の抵抗性制御ゲートにより感光領域内に電界を発生させ、その電界によって、第1光電子を第1電荷蓄積領域内へと追いやり第2光電子を上記抵抗性制御ゲートの第2端部へと追いやると共に、上記画素の第3感光部分内で光第3部分により生成された第3光電子を第1電荷蓄積領域と上記抵抗性制御ゲートの上記第2端部との間にある第2電荷蓄積領域内へと追いやる方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、輻射を差し向けるステップが、更に、サンプルから見て第1角度域内に位置する輻射第1部分を上記画素の感光領域の第1感光部分内へと差し向けるステップと、サンプルから見て第2角度域内に位置する輻射第2部分を上記画素の感光領域の第2感光部分内へと差し向けるステップと、サンプルから見て第3角度域内に位置する輻射第3部分を上記画素の感光領域の第感光部分内へと差し向けるステップと、を含む方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
上記ラインセンサが、基板の下面とサンプルとの間に位置する機械的アパーチャ構造を備え、
抵抗性制御ゲートを駆動するステップが、上記電界を調整することでその機械的アパーチャ構造の誤整列を正すステップを含む方法。
【請求項10】
センサであって、
上面及びその逆側にある下面を有する基板と、
基板上に位置する複数個の画素であり、各画素が、上記上面に付されていてその画素の連携先感光領域の上方にある抵抗性制御ゲート、および抵抗性制御ゲートの第1端部の隣にある少なくとも1つの転送ゲート、を備える複数個の画素と、
上記複数個の画素の抵抗性制御ゲートを横切り平行に延びる複数個の長尺なアパーチャ制御電極であり、各抵抗性制御ゲートの第1端部に接する第1端部電極、各抵抗性制御ゲートの第2端部に接する第2端部電極、並びに各抵抗性制御ゲートに接していて第1端部電極・第2端部電極間にある1個又は複数個の中央電極、を含む複数個のアパーチャ制御電極と、
上記複数個のアパーチャ制御電極を介し上記複数個の画素の抵抗性制御ゲート上にアパーチャ制御信号を同時印加するよう構成された制御回路であり、第1及び第2端部電極に印加される第1及び第2アパーチャ制御信号を少なくとも1個の中央電極に印加される第3アパーチャ制御信号よりも正として各抵抗性制御ゲートにより連携先感光領域内に電界を発生させ、各画素の第1感光部分内で光第1部分により生成された第1光電子をその電界によって各抵抗性制御ゲートの第1端部の隣にある第1電荷蓄積領域内へと追いやると共に、各画素の第2感光部分内で光第2部分により生成された第2光電子をその電界によって各抵抗性制御ゲートの第2端部へと追いやる制御回路と、
を備えるセンサ。
【請求項11】
請求項10に記載のセンサであって、更に、複数個の読み出しレジスタを有し各読み出しレジスタが上記複数個の画素のうち連携先画素の上記少なくとも1つの転送ゲートに可動作結合されている読み出し回路を備え、
上記制御回路が、更に、上記複数個の画素及び読み出し回路を作動させることで、読み出し動作中に上記複数個の画素の上記少なくとも1つの転送ゲートを介し第1電荷蓄積領域から上記複数個の読み出しレジスタへと第1光電子を転送させるよう構成されているセンサ。
【請求項12】
請求項10に記載のセンサであって、
上記1個又は複数個の中央電極が少なくとも3個の中央電極を含み、
上記制御回路が、各画素の第3感光部分内で光第3部分により生成された第3光電子が上記電界により第1電荷蓄積領域と上記抵抗性制御ゲートの第2端部との間にある第2電荷蓄積領域内へと追いやられるように、アパーチャ制御信号を生成するよう、構成されているセンサ。
【請求項13】
請求項10に記載のセンサであって、上記基板がエピタキシャルシリコン層を備えるセンサであり、更に、そのエピタキシャルシリコン層の下面の下方に形成された純ホウ素層を備えるセンサ。
【請求項14】
請求項10に記載のセンサであって、上記基板がエピタキシャルシリコン層を備えるセンサであり、更に、そのエピタキシャルシリコン層の下面の下方に形成された抗反射層を備えるセンサ。
【請求項15】
サンプルを検査又は計測するシステムであって、
光を生成するよう構成された照明源と、
その光を照明源からサンプルへと差し向け更にそのサンプルからセンサへと差し向けるよう構成された光学系と、
センサと、
を備え、そのセンサが、
上面及びその逆側にある下面を有する基板と、
基板上に位置する複数個の画素であり、各画素が、上記上面に付されていてその画素の連携先感光領域の上方に位置する抵抗性制御ゲートを備える複数個の画素と、
上記複数個の画素それぞれの抵抗性制御ゲートを過ぎり平行に延びその抵抗性制御ゲートに電気的に接続されている少なくとも3個のアパーチャ制御電極であり、各抵抗性制御ゲートの第1端部及びその逆側にある第2端部を過ぎりそれぞれ延びる第1及び第2端部電極、並びに第1端部電極・第2端部電極間に位置する1個又は複数個の中央電極、を含む少なくとも3個のアパーチャ制御電極と、
上記少なくとも3個のアパーチャ制御電極を介し上記複数個の画素の抵抗性制御ゲート上へとアパーチャ制御信号を同時印加することで、各抵抗性制御ゲートにより連携先感光領域内に電界を生成し、その連携先感光領域に入射した光により生成された光電子をその電界により少なくとも2部分に分離させるよう構成された制御回路と、
上記複数個の画素の少なくとも1つの側に配置された少なくとも1つの読み出し回路と、
を備えるシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムであって、上記1個又は複数個の中央電極が、複数個の中央電極を含み、
上記制御回路が、アパーチャ制御信号の組合せを複数通り生成し、ある組合せから別の組合せへと切り替えることで上記電界を調整可能とするよう構成されているシステム。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムであって、
上記1個又は複数個の中央電極が少なくとも3個の中央電極を含み、
上記制御回路が、光電子が少なくとも三部分に分割されるようにアパーチャ制御信号を生成するよう構成されているシステム。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムであって、
上記光学系が、更に、サンプルからセンサへと第1角度域内で差し向けられた光第1部分を各画素の連携先感光領域の第1感光部分内へと差し向けるよう、且つサンプルからセンサへと第2角度域内で差し向けられた光第2部分を各画素の連携先感光領域の第2感光部分内へと差し向けるよう構成されており、
上記抵抗性制御ゲートによって上記電界が生成され、各画素の第1感光部分内で光第1部分により生成された第1光電子がその電界によって各抵抗性制御ゲートの第1端部の隣にある第1電荷蓄積領域内へと追いやられ、各画素の第2感光部分内で光第2部分により生成された第2光電子がその電界によって各抵抗性制御ゲートの第2端部へと付勢されるシステム。
【請求項19】
請求項15に記載のシステムであって、上記基板が半導体膜を備え、上記センサが、更に、その半導体膜の下面上に位置する純ホウ素層を備えるシステム。
【請求項20】
請求項15に記載のシステムであって、更に、上記基板の下面の隣に位置する機械的アパーチャ構造であり、サンプルからの光の一部分がその機械的アパーチャ構造により阻止される機械的アパーチャ構造を備え、
上記制御回路が、更に、上記センサに対する機械的アパーチャ構造の誤整列を踏まえ上記電界を調整するよう構成されているシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、可視、UV、深UV(DUV)、真空UV(VUV)、極端UV(EUV)及びX線波長での輻射の感知並びに電子その他の帯電粒子の感知に適したラインセンサ及びそれに連携する電子回路に関し、またそうしたラインセンサを動作させる方法に関する。これらのセンサ及び回路は、フォトマスク、レティクル及び半導体ウェハ上のフィーチャ(形状素)を検査及び/又は計測するのに用いられるそれをはじめ、検査及び計量システムでの使用にひときわ適している。
【背景技術】
【0002】
(関連出願)
本願は、2015年5月14日付米国暫定特許出願第62/161,450号及び2015年6月8日付米国暫定特許出願第62/172,242号に基づく優先権を主張する出願であるので、この参照を以てそれらを本願に繰り入れることにする。
【0003】
本願は、発明者が同じで係属中であり「共焦点ライン検査光学系」(CONFOCAL LINE INSPECTION OPTICAL SYSTEM)と題する2015年4月21日付米国特許出願第14/691966号(出願公開第2015/0369750号)並びに「背面照明リニアセンサを用いる検査システム」(INSPECTION SYSTEM USING BACK SIDE ILLUMINATED LINEAR SENSOR)と題する2007年5月25日付米国特許出願第11/805,907号(出願公開第2011/0073982号)に関連する出願であるので、この参照を以てそれらを本願に繰り入れることにする。
【0004】
集積回路業界では、検査ツールの感度をどんどん高め、これまでになく小さな欠陥及び粒子を検出できるようにすることが求められており、また半導体ウェハ上の小さなフィーチャの寸法を正確に計測できる高精度計量ツールが求められている。半導体業界で現在製造されている半導体デバイスでのフィーチャ寸法は、20nm程度かそれを下回る寸法である。数年以内には、この業界で製造されるデバイスのフィーチャ寸法が5nm程度になるであろう。粒子や欠陥のサイズがほんの数nmでもウェハ歩留まりが下がりかねないし、フィーチャ寸法の変化が1nmの数十分の1かそれを下回る変化であっても、トランジスタやメモリデバイスの電気的性能に大きな変化又は故障が生じかねない。
【0005】
CMOS製造にて用いられる諸素材及び構造の全て又は大半をそれらツールで検査又は計測できるのなら、半導体検査及び計量ツールは大変に役立ちうる。異なる素材及び構造の反射率は互いに大きく異なるものである。柔軟性を持たせるためには、半導体検査及び計量ツールにて用いられる波長及び/又は照光角及び集光角を複数にすればよい。どの角度を用いるかの選択に際しては、通常、検査又は計測対象物に従い光路内の適正な場所へと相応形状及び寸法のアパーチャが換装されることとなる。
【0006】
本発明に関連する種類の様々な検査及び計量ツールが、例えば、「ローノイズセンサ及びローノイズセンサを用いた検査システム」(A Low-Noise Sensor And An Inspection System Using A Low-Noise Sensor)と題する2014年5月8日付米国特許出願第14/273,424号、「高密度ディジタイザ」(High-density digitizer)と題する2012年2月1日付米国特許出願第13/364,308号、「パルス照明を用いた移動画像の高速捕捉方法及び装置」(Method and apparatus for high speed acquisition of moving images using pulsed illumination)と題する2013年12月4日付米国特許出願第14/096,911号、「電子衝撃型電荷結合デバイス及びEBCCD検出器を用いた検査システム」(Electron-bombarded charge-coupled device and inspection systems using EBCCD detectors)と題する2012年12月10日付米国特許出願第13/710,315号、「ホウ素層付背面照明センサ」(Back-illuminated sensor with boron layer)と題する2013年3月10日付米国特許出願第13/792,166号、「ホウ素層付シリコン基板を有するフォトカソード」(Photocathode including silicon substrate with boron layer)と題する2013年7月22日付米国特許出願第13/947,975号、「高速検査用局所駆動及び信号処理回路付TDIセンサモジュール」(TDI sensor modules with localized driving and signal processing circuitry for high speed inspection)と題する2009年10月7日付特許文献1、「高スループット検査システムに適したセンサ用抗反射被覆」(Anti-reflective coating for sensors suitable for high throughput inspection systems)と題する2009年6月1日付特許文献2、「TDIセンサの連続クロッキング」(Continuous clocking of TDI sensors)と題する2009年10月27日付特許文献3、並びに「TDIセンサ連続クロッキング装置」(Apparatus for continuous clocking of TDI sensors)と題する2011年5月31日付特許文献4にて開示されている。これらの出願及び特許をこの参照を以て本願に繰り入れることにする。
【0007】
アパーチャ(絞り)は機械的装置であり多大な空間を占めかねない。アパーチャの機械的運動には1msecの数十又は数百分の一がかかりかねず、複数個のアパーチャで以てデータを集めることが必要な検査又は計測が低速になる。既存の検査又は計量システムに対しアパーチャを付加又は置換し新たな又は優れた能力を提供することは、空間的制約があるので難しかろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0188655号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2010/0301437号明細書
【特許文献3】米国特許第7,609,309号明細書
【特許文献4】米国特許第7,952,633号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2009/0180176号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2007/0002465号明細書
【特許文献7】米国特許第5,999,310号明細書
【特許文献8】米国特許第7,525,649号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2013/0114085号明細書
【特許文献10】米国特許第5,608,526号明細書
【特許文献11】米国特許第6,297,880号明細書
【特許文献12】米国特許第6,608,676号明細書
【特許文献13】米国特許第6,201,601号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2013/16346号明細書
【特許文献15】米国特許第5,181,080号明細書
【特許文献16】米国特許第4,999,014号明細書
【特許文献17】米国特許第5,877,859号明細書
【特許文献18】米国特許第6,429,943号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】"Multiparameter Measurements of Thin Films Using Beam-Profile Reflectivity," Fanton et al., Journal of Applied Physics, Vol.73, No.11, p.7035, 1993
【非特許文献2】"Simultaneous Measurement of Six Layers in a Silicon on Insulator Film Stack Using Spectrophotometry and Beam Profile Reflectometry," Leng et al., Journal of Applied Physics, Vol.81, No.8, page 3570, 1997
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そのため、既存の検査又は計量システムの動作中に各画素の感光領域のサイズを迅速且つ確実に調整できる可調アパーチャ付リニアセンサ、特に従来手法に係る上掲の短所のうち幾つか又は全てが克服される要領でそれを行えるものへのニーズが高まっている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明が目指しているのは、リニアセンサにおける画素アパーチャサイズの電気的な制御、特に非単調な電圧プロファイルを生成しその電圧プロファイルによって有効感光領域、即ち各画素による計測に際しそこから光電子が収集される領域を可制御的に調整(縮小又は拡大)することによる制御である。各画素は長尺な抵抗性制御ゲートを備える画素であり、半導体基板のうちその画素の抵抗性制御ゲートの下側(隣)にある部分によって、各画素の最高感光領域が定まる。従来型センサと同じく、制御電圧をそれぞれ端部電極を介し各画素の抵抗性制御ゲートの相対する端部に印加すると、その画素の感光領域内に相応な電界が生じるので、入射光がその画素の感光領域に入射したことにより生じた光電子が、当該相応な電界によって1個又は複数個の電荷蓄積領域へと追いやられる(駆逐される)ことになる。本発明では、1個又は複数個の中央配置制御電極が、各画素の抵抗性制御ゲートを過ぎり抵抗性制御ゲートの2個の端部間に配され、それに連携する制御回路が、2個の端部電極に印加されるそれに比べ負な制御電圧を指定された中央電極に印加し、非単調な(例.二部分型の)電圧プロファイルをそれによって選択的に生成するよう、構成される。即ち、その非単調電圧プロファイルに応じ画素内に生じる電界により、その画素の感光領域の第1部分即ち中央寄りのアパーチャ制御電極の第1側に存する部分で生じた光電子がその抵抗性制御ゲートの第1端の方へと追いやられ、またその画素の感光領域の第2部分即ち中央寄りのアパーチャ制御電極の第2側に存する部分で生じた光電子がその抵抗性制御ゲートの他端(第2端)の方へと追いやられる。こうして、非単調電圧プロファイルが生成され、抵抗性制御ゲートの第1端から集められた光電子電荷のみがそれに続き計測されるため、各画素の感光領域の有効サイズが、その画素の感光領域の第1部分のみが含まれるよう可制御的に調整されることとなる。
【0012】
サンプル(試料)を高速で検査又は計測する方法も開示される。本方法は、輻射をサンプル上に差し向け(指向させ)集束(合焦)させるステップと、そのサンプルから輻射を受け取り受け取った輻射をラインセンサへと差し向けるステップと、を有する。受け取る輻射は散乱輻射でも反射輻射でもよい。そのラインセンサ内にある抵抗性制御ゲートの長手方向を過ぎる電位勾配を電極により発生させ、その電位勾配の働きで抵抗性制御ゲートが発生させる電界によって、そのセンサ内の光電子を1個又は複数個の蓄積領域へと差し向ける。制御回路を然るべく構成し、抵抗性制御ゲートの中央寄りに存する1個又は複数個の電極にはより負な電圧、端部に位置する電極にはより正な電圧を印加することで電界、特にセンサの一領域にて生成された光電子を蓄積領域へと付勢(駆逐)する一方でそのセンサの他領域にて生成された光電子がその蓄積領域に達しないようにする電界を発生させる。
【0013】
本検査方法は、更に、抵抗性ゲートに付された諸電極に作用する電圧を実行中の検査又は計測に従い設定するステップを、有する方法とすることができる。ある実施形態によれば、それらの電圧を検査中又は計測中に変化させて集光プロセスを最適化することや、それら電圧を用い検査前校正期間中に各画素の有効アパーチャサイズを調整してセンサの全画素に均一なアパーチャサイズを持たせることができる。
【0014】
サンプルを検査するシステムも開示される。本システムは、照明源と、光検出を実行するよう構成されたデバイスと、照明源からの光をサンプルへと差し向けそのサンプルからの出射光又は反射光を上記デバイスに差し向けるよう構成された光学系と、駆動回路と、を備える。そのラインセンサは、それを過ぎる電位勾配を有する抵抗性ゲートが組み込まれていて、自センサ内の光電子をその電位勾配により蓄積領域へと差し向けるセンサとする。そのラインセンサは、抵抗性ゲートに付された複数個の電極を備え、センサの一領域から蓄積領域へと光電子が向かうよう、それでいて他の光電子がその蓄積領域に達しないよう、それら電極により電位勾配を調整可能なセンサとする。駆動回路は、それら複数個の電極のうち1個又は複数個に作用する電圧を設定することで、そのセンサのどの領域から光電子が蓄積領域へと差し向けられるかを制御する。
【0015】
ある実施形態によれば、ラインセンサを、更に半導体膜を備えるものとすることができる。他の実施形態によれば、その半導体膜を、同半導体膜の第1面上に形成された諸回路素子と、同半導体膜の第2面上に堆積された純ホウ素層と、を備えるものとすることができる。更に他の実施形態によれば、そのラインセンサを電子衝撃型ラインセンサで以て構成することができる。更に他の実施形態に係るシステムは、複数個のラインセンサを備えるものとすることができる。更に他の実施形態によれば、そのラインセンサを、光ナイフエッジその他の機械的アパーチャ構造を備え、電気的アパーチャ調整を利用しその機械的アパーチャ構造の誤整列(ミスアライメント)を正すもの、ひいては整列(アライメント)を簡略化し且つ製造コストを低減するものとすることができる。更に他の実施形態によれば、上記ナイフエッジ又はアパーチャをコンピュータ制御下で可動なものとし、コンピュータによる様々な検査モードの選択を、当該ナイフエッジその他の機械的アパーチャを適正に配置すること並びにラインセンサの抵抗性ゲート上の諸電極に作用する電圧を設定することにより行えるものとすることができる。
【0016】
サンプルをステージによって支持し、そのステージを検査中に光学系に対し動かすようにすればよい。センサからの電荷の読み出しをそのステージの運動に同期させるのがよい。
【0017】
この例の検査システムは、1個又は複数個の照明路を備え、様々な入射角及び/又は様々なアジマス角から、及び/又は、様々な波長及び/又は偏光状態で以て、その照明路によりサンプルを照明するものとすることができる。この例の検査システムは、1個又は複数個の集光路を備え、サンプルによって様々な方向に反射又は散乱された光をその集光路により集め、及び/又は、様々な波長及び/又は様々な偏光状態に対しその集光路が感応するものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】検査又は計量システム例を示す図である。
図2A】ライン照明及び1個又は複数個の集光チャネル付の検査システム例を示す図である。
図2B】ライン照明及び1個又は複数個の集光チャネル付の検査システム例を示す図である。
図3A】直交照明及び斜行照明付の検査システム例を示す図である。
図3B】複数個の計測サブシステムを有する計量システム例を示す図である。
図4】本発明のある実施形態に係る検査システム例及びそれに備わるラインセンサの概要を示す図である。
図5A】本発明の代替的実施形態に係り抵抗性制御ゲートに印加されうる電圧プロファイル例を示す図である。
図5B】本発明の代替的実施形態に係り抵抗性制御ゲートに印加されうる電圧プロファイル例を示す図である。
図5C】本発明の代替的実施形態に係り抵抗性制御ゲートに印加されうる電圧プロファイル例を示す図である。
図5D】本発明の代替的実施形態に係り抵抗性制御ゲートに印加されうる電圧プロファイル例を示す図である。
図6】本発明の他の具体的実施形態に係るラインセンサ例の画素を示す断面図である。
図7】本発明の他の具体的実施形態に係るラインセンサ例の画素の概要を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願には、半導体検査及び計量システム用の秀逸なセンサが記載されている。以下の記述を提示する目的は、本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)が、特定の用途及びそれへの諸要請を踏まえ本発明を実施及び使用できるようにすることにある。本願中で用いられている方向指示語例えば「上部」、「下部」、「上方」、「下方」、「より上」、「上へ」、「より下」、「下降」及び「下へ」は記述目的で位置関係を提示することを意図するものであり、絶対的な座標系を指定することを意図するものではない。いわゆる当業者には、記載されている諸実施形態に対する様々な修正が追々明らかになるであろうし、本願中で規定されている一般的諸原理は他の諸実施形態にも適用可能である。このように、本発明は、図示及び記述されている特定の諸実施形態への限定を旨とするものではなく、本願記載の原理及び新規特徴と齟齬しない最大の技術的範囲に従う。
【0020】
図1に、サンプル108例えばウェハ、レティクル又はフォトマスクを検査又は計測するよう構成された検査又は計量システムの例100を示す。サンプル108をステージ112上に配置しそのステージ112により運動を付与することで、サンプル108の諸領域を光学系の下方に来させることができる。ステージ112はX−Yステージ又はR−θステージで以て構成することができる。ある種の実施形態によれば、検査中にステージ112によってサンプル108の高さを調整し、合焦状態を保つことができる。他の諸実施形態によれば、対物レンズ105を調整して合焦状態を保つことができる。
【0021】
照明源102は1個又は複数個のレーザ及び/又は広帯域光源を備えるものとすることができる。照明源102はDUV及び/又はVUV輻射を発するものとすることができる。対物レンズ105を備える光学系103は、輻射をサンプル108に差し向け(指向させ)その上に集束(合焦)させる。光学系103は、ミラー、レンズ、偏光子及び/又はビームスプリッタをも備えるものとすることができる(簡略化のため図示せず)。サンプル108から反射又は散乱されてきた光は、光学系103によって集光、指向及び集束され、検出器アセンブリ104内にあるセンサ106上へと向かう。
【0022】
検出器アセンブリ104は本願記載のセンサのうち少なくとも1個を備えている。ある実施形態では、センサ106の出力が情報処理システム114に供給され、そこでその出力が分析される。情報処理システム114は、キャリア媒体116上に格納可能なプログラム命令118により構成設定される。ある実施形態では、情報処理システム114によって検査又は計量システム100及びセンサ106が制御され、ひいては本願記載の方法に従いサンプル108上の構造が検査又は計測される。
【0023】
ある実施形態によれば、照明源102を連続光源とすること、例えばアーク灯、レーザ励起プラズマ光源又はCWレーザとすることができる。他の実施形態によれば、照明源102をパルス光源とすること、例えばモード同期レーザ、Qスイッチレーザ又はQスイッチレーザ励起プラズマ光源とすることができる。検査又は計量システム100にQスイッチレーザが組み込まれている実施形態では、検出器アセンブリ104内の1個又は複数個のラインセンサがそのレーザパルスに対し同期化される。
【0024】
ある実施形態に係る検査又は計量システム100では、サンプル108上のラインが照明され、1個又は複数個の暗視野及び/又は明視野集光チャネルにて散乱光及び/又は反射光が集められる。この実施形態における検出器アセンブリ104はラインセンサ又は電子衝撃型ラインセンサを備えるものがよい。例えば、本実施形態のシステム100にて、本願記載の抵抗性ゲート構造を用い、散乱光及び/又は反射光の集光対象部分を選ぶのがよい。
【0025】
諸実施形態に係る検査又は計量システム100の更なる詳細については、「ウェハ検査システム」(Wafer inspection system)と題する2012年7月9日日付米国特許出願第13/554954号、「小型カタディオプトリック対物系を用いたスプリット場検査システム」(Split field inspection system using small catadioptric objectives)と題する2009年7月16日付特許文献5、「カタディオプトリック光学系内レーザ暗視野照明用ビーム送給システム」(Beam delivery system for laser dark-field illumination in a catadioptric optical system)と題する2007年1月4日付特許文献6、「広域ズーム能力を有する超広帯域UV顕微イメージングシステム」(Ultra-broadband UV microscope imaging system with wide range zoom capability)と題する1999年12月7日付特許文献7、「二次元イメージングを伴うレーザ照明を用いた表面検査システム」(Surface inspection system using laser line illumination with two dimensional imaging)と題する2009年4月28日付特許文献8、「動的に調整可能な半導体計量システム」(Dynamically Adjustable Semiconductor Metrology System)と題しWang et al.を発明者とする2013年5月9日付特許文献9、「集束ビーム分光エリプソメトリ方法及びシステム」(Focused Beam Spectroscopic Ellipsometry Method and System)と題しPiwonka−Corle et al.を発明者とする1997年3月4日付特許文献10、並びに「半導体上の多層薄膜スタックを分析する装置」(Apparatus for Analysing Multi-Layer Thin Film Stacks on Semiconductors)と題しRosencwaig et al.を発明者とする2001年10月2日付特許文献11に記載がある。これらの特許及び特許出願全てをこの参照を以て本願に繰り入れることにする。
【0026】
図2A及び図2Bに、本発明の他の例示的諸実施形態に係りセンサが組み込まれている暗視野検査システム及び/又は本願記載の方法の諸態様を示す。図2Aでは、照明光学系201に備わるレーザシステム220によって生成された光202がミラー又はレンズ203によって集束され、検査対象ウェハ又はフォトマスク(サンプル)211の表面上でライン205の態をなす。集光光学系210は、ライン205から散乱されてくる光を、レンズ及び/又はミラー212及び213を用いセンサ215へと差し向ける。集光光学系210の光軸214はライン205の照明面外にある。ある種の実施形態では、光軸214をライン205に対しほぼ直交させる。センサ215はアレイセンサ例えばリニアアレイセンサを備えている。センサ215を本願記載のセンサを備えるものとすること、及び/又は、本願記載の方法のうち一つを用いサンプル211を検査することができる。
【0027】
図2Bに、複数個の暗視野集光系231、232及び233を有し各集光系が図2Aの集光光学系210とほぼ同様な実施形態を示す。集光系231、232及び233は、図2Aの照明光学系201とほぼ同様の照明光学系との組合せで用いることができる。各集光系231、232及び233には本願記載のセンサが1個又は複数個組み込まれている。サンプル211はステージ221上に支持され、そのステージ221によってその検査対象エリアが光学系の下方へと動かされる。ステージ221をX−Yステージ又はR−θステージを以て構成すれば、好ましいことに、検査中にほぼ連続的にそのステージ221を動かしサンプルの広範囲を最短のデッドタイムで以て検査することができる。
【0028】
図2A及び図2Bに示した実施形態に係る検査システムの更なる詳細については、先に引用されており係属中であり「共焦点ライン検査光学系」(Confocal Line Inspection Optical System)と題しWang et al.を発明者とする2015年4月21日付米国特許出願第14/691,966号、「二次元イメージングを伴うレーザ照明を用いた表面検査システム」(Surface inspection system using laser line illumination with two dimensional imaging)と題する2009年4月28日付特許文献8、並びに「表面上のアノマリ及び/又はフィーチャを検出するシステム」(System for detecting anomalies and/or features of a surface)と題する2003年8月19日日付特許文献12に記載されている。これら特許及び特許出願全てをこの参照を以て本願に繰り入れることにする。
【0029】
図3Aに、直交照明ビーム,斜行照明ビーム双方を用いサンプル上の粒子又は欠陥を検出するよう構成されている検査システム300を示す。この構成ではレーザシステム330によってレーザビーム301が供給される。レンズ302はビーム301を集束させて空間フィルタ303に通す。レンズ304はそのビームを平行光化し偏向ビームスプリッタ305へと伝搬させる。ビームスプリッタ305は、直交する第1成分及び第2成分のうち第1偏光成分を直交照明チャネル、第2偏光成分を斜行照明チャネルへと通す。直交照明チャネル306では第1偏光成分が光学系307によって集束され、ミラー308によってサンプル309の表面方向へと反射される。サンプル309(例えばウェハ又はフォトマスク)によって散乱された輻射は放物面ミラー310によって集められ、センサ311方向へと集束される。
【0030】
斜行照明チャネル312では第2偏光成分がビームスプリッタ305によってミラー313へと反射され、そのビームがミラー313によって反射され、半波長板314を通り、光学系315によってサンプル309方向へと集束される。斜行チャネル312内の斜行照明ビームに由来する輻射がサンプル309によって散乱され、放物面ミラー310によって集められ、センサ311方向へと集束される。センサ311及び被照明エリア(サンプル309上にあり直交照明チャネル及び斜行照明チャネルに由来しているもの)が、放物面ミラー310の焦点にあることが望ましい。
【0031】
放物面ミラー310は、サンプル309からの散乱輻射を平行光化して平行光化ビーム316の態にする。その平行光化ビーム316が対物系317により集束され、検光子318を介しセンサ311方向に通される。なお、放物面形状以外の形状を有する湾曲鏡面も用いることができる。器具320によってビーム・サンプル309間相対運動を引き起こすこと、ひいてはサンプル309の表面を過ぎりスポットによりスキャンさせることができる。センサ311は本願記載のセンサ1個又は複数個で以て構成することができる。「サンプル検査システム」(Sample inspection system)と題する2001年3月13日付特許文献13、並びに「ウェハ検査」(Wafer Inspection)と題しRomanovsky et al.を発明者とする特許文献14には、検査システム300の更なる態様及び細部が記載されている。これらの文献をこの参照を以て本願に繰り入れることにする。
【0032】
図3Bに、複数個の計測サブシステムを有し本願記載のセンサが1個又は複数個組み込まれている計量システムの例350を示す。計量システム350は、ビームプロファイルエリプソメータ(BPE)10、ビームプロファイルリフレクトメータ(BPR)12、広帯域反射分光計(BRS)14、深紫外反射分光計(DUV)16、広帯域分光エリプソメータ(BSE)18及び参照エリプソメータ2を備えている。これら6個の光学計測装置で利用される光源は最少で3個、即ちレーザ20及び90並びに白色光源22にすることができる。レーザ20はプローブビーム24、白色光源22はプローブビーム26を発生させる(プローブビーム26はレンズ28によって平行光化されミラー29によってプローブビーム24と同じ経路沿いに差し向けられる)。レーザ20として理想的なのは、可視又は近IR波長、例えば670nm付近の波長で3mWの直線偏向ビームを発する固体レーザダイオードである。白色光源22として理想的なのは、約200nm〜800nm以上のスペクトラムをカバーする多色ビームをもたらす広帯域レーザ励起プラズマランプである。プローブビーム24/26はミラー30によって反射され、ミラー42を経てサンプル4へと通される。
【0033】
プローブビーム24/26は、レンズ32又はレンズ33で以てサンプルの表面上へと集束される。その好適な実施形態では2個のレンズ32/33がタレット(図示せず)内に実装され、プローブビーム24/26の経路内へとそのレンズを交互に移動可能とされる。レンズ32は高い数値開口(0.90NAオーダのそれ)を有する顕微対物レンズであるので、サンプル表面に対する入射角の大きな広がりを生成すること並びに約1μm直径のスポットサイズを生成することができる。レンズ33はより低い数値開口(0.1〜0.4NAオーダのそれ)を有する反射レンズであり、深UV光を約10〜15μmのスポットサイズまで集束させることができる。
【0034】
ビームプロファイルエリプソメトリ(BPE)については、この参照を以て本願に繰り入れられるところの1993年1月19日付特許文献15に記載がある。BPE10は1/4波長板34、偏光子36、レンズ38及びクアッド検出器40を備えている。動作時には、直線偏向されているプローブビーム24をレンズ32によってサンプル4上へと集束させる。サンプル表面から反射されてきた光は、レンズ32内を上方に抜け、ミラー42、30及び44を通り、ミラー46によってBPE10内へと差し向けられる。この反射プローブビームにおける光線の位置が、サンプルの表面に対する個別の入射角に対応している。1/4波長板34は、そのビームの偏光状態のうち一方の位相を90°遅延させる。直線偏光子36は、そのビームの二通りの偏光状態を互いに干渉させる。最大信号を得たいなら、この偏光子36の軸を、1/4波長板34の高速軸及び低速軸に対し45°の角度に向けるべきである。検出器40は放射方向に配置された4個の象限を有するクアッドセル検出器、即ち各象限によってプローブビームの1/4が中途捕獲されプローブビームのうちその象限に射突する部分のパワーに比例する個別の出力信号が生成される検出器である。各象限からの出力信号はプロセッサ48に送られる。特許文献15にて論じられている通り、ビームの偏光状態の変化を監視することにより、エリプソメトリ情報例えばΨ及びΔを求めることができる。
【0035】
ビームプロファイルリフレクトメトリ(BPR)については、この参照を以て本願に繰り入れられるところの1991年3月12日付特許文献16にて論じられている。BPR12は、レンズ50と、ビームスプリッタ52と、サンプルの反射率を計測するための2個のリニア検出器アレイ54及び56とを備えている。動作時には、直線偏向されているプローブビーム24をレンズ32によってサンプル4上へと集束させ、そのビーム内の様々な光線をある範囲の入射角にてサンプル表面に射突させる。サンプル表面から反射されてきた光は、レンズ32内を上方に抜け、ミラー42及び30を通り、ミラー44によってBPR12内へと差し向けられる。この反射プローブビームにおける光線の位置が、サンプルの表面に対する個別の入射角に対応している。レンズ50はそのビームを空間的、二次元的に拡大する。ビームスプリッタ52によりビームのs成分とp成分とが分離されるため、また検出器アレイ54及び56が互いに直交する向きであるため、s偏光についての情報とp偏光についての情報を分離することができる。入射角が大きな光線ほどアレイの両端に近いところに落着するであろう。検出器アレイ内の各素子の出力は別々の入射角に対応するものとなろう。検出器アレイ54/56では、その反射プローブビームを過ぎる強度が、サンプル表面に対する入射角に関連付けて計測される。検出器アレイ54/56は、本願記載の如く抵抗性ゲートを有する1個又は複数個のラインセンサを備えるものとすることができる。プロセッサ48は検出器アレイ54/56の出力を受け取り、薄膜層8の厚み及び屈折率を、諸種モデリングアルゴリズムを利用し、これら角度依存的な強度計測結果に基づき導出する。反復プロセス例えば最小自乗当てはめルーチンを用いる最適化ルーチンが通常は採用される。この種の最適化ルーチンの一例が非特許文献1に記載されている。別例が非特許文献2に現れている。
【0036】
広帯域反射分光計(BRS)14ではサンプル4が同時に複数通りの光波長で以て探査される。BRS14はレンズ32を用いると共に広帯域分光計58を備えており、その広帯域分光計58は本件技術分野にて周知であり用いられている任意種類のものにすることができる。この分光計58はレンズ60、アパーチャ62、散光素子64及び検出器アレイ66を備えている。動作中には、白色光源22からのプローブビーム26をレンズ32によりサンプル4上へと集束させる。そのサンプルの表面から反射されてきた光は、レンズ32内を上方に抜け、ミラー42によって(ミラー84を介し)分光計58へと差し向けられる。レンズ60はそのプローブビームを集束させ、分析するサンプル表面上の視野内にスポットを定めるアパーチャ62内に通す。散光素子64、例えば回折格子、プリズム又はホログラフィック板は、そのビームを、波長に応じて角度的に、検出器アレイ66内の個別検出器素子の方向へと分散させる。それら検出器素子によって、プローブビームに含まれる様々な波長の光の光強度が好ましくは同時に計測される。好適な実施形態では検出器アレイ66が本願記載のラインセンサを備える。更に、散光素子64を然るべく構成することで、ある方向については波長に応じ、それと直交する方向についてはサンプル表面に対する入射角に応じ光を分散させることもでき、ひいては波長,入射角双方に関連付けての同時計測が可能となる。そうした実施形態では、検出器アレイ66を、本願記載の如く構成された抵抗性ゲート付ラインセンサを備えるものにすることで、それぞれ別の入射角域に対応する2組又は3組のスペクトルを同時に集めるようにすることができる。プロセッサ48は、検出器アレイ66によって計測された強度情報を処理する。
【0037】
深紫外反射分光(DUV)ではサンプルが同時に複数通りの紫外光波長で以て探査される。DUV16では、BRS14でのそれと同じ分光計58を用いプローブビーム26が分析されるけれども、DUV16で用いられるのが集束レンズ32ではなく反射レンズ33である点で異なっている。DUV16を動作させる際には、反射レンズ33がプローブビーム26に対し整列するようレンズ32/33入りのタレットを回動させる。反射レンズ33が必要なのは、ソリッドな対物レンズではUV光をサンプル上へと十分集束させられないからである。
【0038】
広帯域分光エリプソメトリ(BSE)については、この参照を以て本願に繰り入れられAspnes et al.を発明者とする係属中の1999年3月2日付特許文献17にて論じられている。BSE(18)は、偏光子70、集束ミラー72、平行光化ミラー74、回動補償器76及び検光子80を備えている。動作時には、ミラー82はプローブビーム26の少なくとも一部分を偏光子70へと差し向け、その偏光子70はそのプローブビームについて既知の偏光状態、好ましくは直線偏向を発生させる。ミラー72はそのビームをある斜行角にて、理想的にはサンプル表面の法線に対し70°オーダの角度にて、サンプル表面上へと集束させる。周知のエリプソメトリ原理によれば、サンプルとの相互作用を経たビームである反射ビームは、一般に、そのサンプルの膜8及び基板6の組成及び厚みに応じた直線偏向円偏向混合状態を呈することとなろう。この反射ビームはミラー74により平行光化され、そのミラー74によって回動補償器76へと差し向けられる。補償器76は、互いに直交偏向されており対をなしている光ビーム成分間に相対的な位相遅延δ(位相差)をもたらす。補償器76は、そのビームの伝搬方向に対しほぼ平行な軸を中心にして、好ましくは電動モータ78により、角速度ωで回動される。検光子80好ましくはもう1個の直線偏光子では、自身に入射する偏光状態同士を混合させる。検光子80による送出光を計測することによって、その反射プローブビームの偏光状態を判別することができる。ミラー84はそのビームを分光計58へと差し向け、補償器/検光子コンビネーションを通過した反射プローブビームに含まれる様々な波長の光の強度を、その分光計58が検出器66上で同時に計測する。先に説明した通り、検出器66は、本願記載の抵抗性ゲート付ラインセンサを備えるものにするのが好ましい。プロセッサ48は検出器66の出力を受け取り、その検出器66により計測された強度情報を波長との関係で且つその回動軸を中心にした補償器76のアジマス(回動)角との関係で処理することで、特許文献17に記載の如くサンプル特性例えばエリプソメトリ値Ψ及びΔを解明する。
【0039】
検出器/カメラ86をミラー46の上方に配置し、それを用いサンプル4の反射ビームのずれを看取して整列及び集束目的に資することができる。
【0040】
BPE10、BPR12、BRS14、DUV16及びBSE18を校正すべく、計量システム350は、参照サンプル4と併用でき波長的に安定な校正用参照エリプソメータ2を備えている。エリプソメータ2は光源90、偏光子92、レンズ94及び96、回動補償器98、検光子352並びに検出器354を備えている。
【0041】
光源90は、既知の安定波長且つ安定強度を有する擬似単色プローブビーム356を供給する。ビーム356の波長は既知の定数又は計測値であり、システム350内の光学計測装置をエリプソメータ2によって正確に校正することができるよう、プロセッサ48に供給されている。
【0042】
ビーム356は偏光子92と相互作用して既知の偏光状態を発生させる。ある好適な実施形態では偏光子92が直線偏光子とされ、その直線偏光子が水晶ローションプリズムで形成されるが、一般的には、偏向が直線である必要はなく完全偏向である必要すらもない。偏光子92を方解石で製作してもよい。偏光子92のアジマス角は、その偏光子92から出射される直線偏向ビームに係る電気的ベクトルの平面が入射面に対しある既知の角度(これはビーム356の方向とサンプル4の表面に対する法線とにより定まる)となるよう方向設定されている。P偏光成分及びS偏光成分の反射強度がほぼ平衡したときに感度が最適になることからすれば、このアジマス角は30°オーダになるよう選ぶのが望ましい。ご理解頂くべきことに、光源90から発せられる光が都合のよい既知の偏光状態を有しているなら偏光子92は省略することができる。
【0043】
ビーム356は、レンズ94によってある斜行角にてサンプル4上へと集束される。素材のブルースター角又は擬似ブルースター角の付近でサンプル特性に対する感度が最高になることからすれば、サンプル表面の法線に対し70°オーダの角度にて、ビーム356をサンプル4上に入射させるのが理想的である。周知のエリプソメトリ原理によれば、サンプルとの相互作用を経たビームである反射ビームは、一般に、入射ビームの直線偏光状態とは対照的な直線偏向円偏向混合状態を呈することとなろう。レンズ96は、サンプル4での反射を経たビーム356を平行光化する。
【0044】
ビーム356は、その後、回動補償器(リターダ)98に通され、互いに直交偏向されており対をなしている光ビーム成分間に、その回動補償器98によって相対位相遅延δ(位相差)がもたらされる。位相差の量は、波長、補償器を形成するのに使用された素材の分散特性、並びにその補償器の厚みの関数である。補償器98は、ビーム356の伝搬方向に対しほぼ平行な軸を中心にして、好ましくは電動モータ351により、角速度ωで回動される。補償器98は任意の従来型波長板補償器例えば水晶製のそれとすることができる。補償器98の厚み及び素材は、所望位相差のビームが誘起されるように選ぶ。約90°の位相差が通常は好都合である。
【0045】
ビーム356は、その後、自身に入射した偏光状態を混合させる働きのある検光子352と相互作用する。この実施形態では検光子352がもう1個の直線偏光子、好ましくは入射面に対し45°のアジマス角をなすそれとされる。とはいえ、入来する偏光状態を適切に混ぜ合わせる働きのある任意の光学デバイスを、検光子として用いることができる。検光子352は水晶ローション又はウォラストンプリズムとするのが望ましい。
【0046】
ご理解頂くべきことに、補償器98は、(図6に示す如く)サンプル4・検光子352間に配置することも、サンプル4・偏光子92間に配置することもできる。これもまた注記すべきことに、偏光子70、レンズ94/96、補償器98及び検光子352の全てを、その作成中に、光源90によって供給される特定波長の光向けに最適化することにより、エリプソメータ2の正確性が高まる。
【0047】
ビーム356は、その後、その補償器/検光子コンビネーションを通過したビームの強度を計測する検出器354に入射する。プロセッサ48は、検出器354によって計測された強度情報を処理することで、検光子との相互作用を経た光の偏光状態、ひいてはそのサンプルのエリプソメトリパラメタを判別する。この情報処理の一環として、その回動軸を中心とした補償器のアジマス(回動)角に関連付けてビーム強度が計測される。こうして強度を補償器回動角の関数に関連付けて計測することは、補償器角速度が通常は既知且つ定数であるため、実効的には、ビーム356の強度を時間に関連付けて計測することである。
【0048】
この参照を以て本願に繰り入れられRosencwaig et al.を発明者とする2001年10月2日付特許文献11には、計量システム350が更に詳細に記載されている。この参照を以て本願に繰り入れられOpsal et al.を発明者とする2002年8月6日付特許文献18には、スキャタロメトリ計測向けに計量システム350をどのように用いればよいかが記載されている。この参照を以て本願に繰り入れられPiwonka−Corle et al.を発明者とする1997年3月4日付特許文献10には、計量システム350の代替的実施形態として、分光エリプソメータ及び分光光度計が組み込まれたものが記載されている。それら分光エリプソメータ及び分光光度計の一方又は双方に、本願記載の抵抗性ゲート付ラインセンサを組み込むことができる。
【0049】
図4に、本発明のある例示的実施形態に従いサンプル401を検査又は計測するシステム400の概要を示す。システム400は、大略、輻射(例.光)Lを生成するよう構成された照明源402と、照明源402からサンプル401へと輻射Lを差し向けるよう且つサンプル401から出射又は反射されてきた輻射をセンサ410へと差し向けるよう構成された光学システム(光学系)405と、を備えている。システム400は制御回路450をも備えており、これは、センサ410上に統合すること(即ちセンサ410の一部とすること)もセンサ410とは別体に製造することも可能である。
【0050】
ラインセンサ410は半導体基板411(例.pドープエピタキシャルシリコン)の上面412上に作り込まれており、大略、上面412の上方に形成された4個の感光画素420−1〜420−4と、少なくとも3個の長尺なアパーチャ制御電極430A、430B及び431と、1個又は複数個の読み出し回路440A及び440Bと、を備えている。いわゆる当業者には追々ご認識頂けるように、記述されているセンサは本発明に係る新規な特徴を述べるため大きく簡略化されているのであり、現実のラインセンサでは更なる回路構造が設けられ且つかなり多数の画素が利用される。
【0051】
図4に示すように、画素420−1〜420−4は長方形又は正方形の形状でありロー(行)をなして配列されている。画素420−1〜420−4は、それぞれ、抵抗性ポリシリコン制御ゲート421−1〜421−4及びバッファ/転送ゲート423A及び423Bを備えている。抵抗性制御ゲート421−1〜421−4は、全体として長尺な低濃度ドープポリシリコン構造であり、介在する誘電体層(図示せず)によって上面412に付されると共に、長手方向(即ちX軸方向沿いに測った方向)に沿い一方の端部とその逆側の端部との間に延設されている。例えば、画素420−1の抵抗性制御ゲート421−1は長手(X軸)方向に沿い第1端部421−1A・第2端部421−1B間に延設されている。抵抗性制御ゲート421−1〜421−4は、通常、幅方向に沿い互いにつながっている(即ち図4中のY軸方向に延びる途切れのないポリシリコン層の諸部分によりそれら制御ゲートが形成されている)が、実施形態によってはギャップによって分断されることもある。各抵抗性制御ゲート421−1〜421−4はその画素の連携先全感光(最高感光)領域を定めるゲートであり、基板411のうち各抵抗性制御ゲートの下方に位置する部分によってそうした連携先感光領域が概ね形成される。例えば、図4に示すように、画素420−1の連携先感光領域415420−1は、基板411の対応部分即ち抵抗性制御ゲート421−1の下方に存する部分によって形成される。バッファ/転送ゲート423A及び423Bは抵抗性制御ゲート421−1〜421−4の端部に対し隣り合わせに位置しており、既知技術を用い基板411上に作り込まれると共に、センサ410の動作中に画素420−1〜420−4によって集められた電荷の格納及び転送が可能となるよう構成されている。例えば、画素420−1のバッファ/転送ゲート423−1Aは、制御ゲート421−1の端部421−1Aの下方に電荷蓄積領域417420−1A即ちセンサ動作の積分期間中に電荷が集まる領域を生成するよう構成されると共に、集まった電荷をセンサ動作の読み出し期間中に電荷蓄積領域417420−1Aから読み出し領域419420−1Aへと(例.転送領域418420−1Aを介し)転送可能とするよう構成されている。
【0052】
本発明のある態様によれば、アパーチャ制御信号がアパーチャ制御電極430A、430B及び431を介し抵抗性制御ゲート421−1〜421−4に印加されるよう、ひいては抵抗性制御ゲート421−1〜421−4によって画素420−1〜420−4の感光領域内に電界が生成されるよう、制御回路450が構成される。アパーチャ制御電極430A、430B及び431は長尺な(例.金属製の)構造であり、画素420−1〜420−4を過ぎり平行に延びると共に、抵抗性制御ゲート421−1〜421−4の対応領域に電気的に接続されている。例えば、第1端部電極430Aは抵抗性制御ゲート421−1の第1端部421−1Aに接触しており、第2端部電極430Bは各抵抗性制御ゲート例えば421−1の第2端部421−1Bに接触しており、また中央電極431は第1端部電極430A・第2端部電極430B間に位置すると共に制御ゲート421−1の中央領域に接触している。センサの動作中には、制御回路450によって、第1アパーチャ制御信号V430Aが第1端部電極430A上に、第2アパーチャ制御信号V430Bが第2端部電極430B上に、そして第3アパーチャ制御信号V431が中央電極431上に印加される。諸動作期間のうち非単調電圧プロファイルが望まれる期間には、アパーチャ制御信号V430A及びV430Bがアパーチャ制御信号V431よりも正になるよう(即ちより正な電圧レベルを有することとなるよう)、制御回路450によって同時に、アパーチャ制御信号V430A、V430B及びV431が生成されアパーチャ制御電極430A、430B及び431上に印加される。例えば、アパーチャ制御信号V430A及びV430Bは0Vの電圧レベルで以て生成され、アパーチャ制御信号V431は−5Vの電圧レベルで以て生成される。各抵抗性制御ゲートの端部に対しより正な電圧レベル、各抵抗性制御ゲートの中央領域に対しより負な電圧レベルを印加することにより各抵抗性制御ゲートにて電界が発生し、連携先感光領域内で生成された光電子がその電界によって複数個の電荷蓄積領域のうち1個へと追いやられる(駆逐される)。例えば、図4に示すように、アパーチャ制御信号V430A、V431及びV430Bの作用で抵抗性制御ゲート421−1にて非単調電圧プロファイルE420−1(“V”字状電位図で示されるそれ)が生じ、その作用で発生する電界によって連携先感光領域415420−1が二部分415420−1A及び415420−1B、即ち概ね非単調電圧プロファイルE420−1の負ピーク値を挟み逆側に位置する二部分へと実効的に分割される。センサ410を非単調電圧プロファイルE420−1で以て動作させると、感光部分415420−1A内で生成された光電子(例.光電子P1)が、その非単調電圧プロファイルE420−1により生成された電界によって電荷収集領域417420−1A内へと追いやられ、感光部分415420−1B内で生成された光電子(例.光電子P2)がその電界によって電荷収集領域417420−1B内へと追いやられる。その上で、ある電荷収集領域群内に集まった電荷のみを(例.電荷収集領域417420−1Aから)読み出し計測すること並びにその他の電荷収集領域群内(例.電荷収集領域417420−1B内)に集まった電荷を無視(例.破棄)することにより、画素420−1〜420−4のアパーチャサイズが、感光部分415420−1Aのそれへと実効的に縮小されることになる。従って、本発明によれば、長尺な電気的接続(電極)430A、430B及び431を各抵抗性ゲート上の相異なる部位に接触させ、それにより電位勾配(電界)を生成可能としているので、画素420−1〜420−4のアパーチャサイズを電気的に制御することができる。抵抗性ゲートにて非単調電圧プロファイルを生成するにはこうした電気的接続が3個以上必要である。
【0053】
画素420−1〜420−4のすぐ隣には、電荷結合デバイス(CCD)読み出しレジスタ444Aを備える読み出し回路440Aが少なくとも1個ある。各読み出しレジスタ444Aは電荷変換増幅器446A及びバッファ447Aに接続されており、それにより出力信号458が生成されている。読み出しレジスタ444Aの制御は複数個のクロック信号454及び455によって行われており、これらは制御回路450により他の制御信号(図示せず)、例えばバッファゲート制御信号及び転送ゲート制御信号と併せ生成されている。クロック信号454及び455によって生成される二位相クロックを示したが、三位相クロックや四位相クロックを用いる読み出しレジスタも本件技術分野で知られており、用いることができよう。
【0054】
同じく図4に示すように、動作中には、照明源402によって生成された光Lが光学システム(光学系)405を介しサンプル401上へと差し向けられ、サンプル401から出射又は反射されてきた方向転換済の光が、同じく光学系405を介しセンサ410へと差し向けられて、センサ410にその下面(底面)413経由で入射する。本実施形態のある態様によれば、サンプル401からの輻射(光)Lを共焦点像の態でセンサ410へと差し向けるよう光学系405が構成される。ある具体的実施形態では、光学系405が、サンプル401から見て対応する角度域内に位置する輻射をセンサ410へと差し向けるよう、ひいては同様の構造的部位又は角度から送られてきた光が各画素の感光領域の同様の部位に向かうよう構成される。例えば、光学系405は、サンプル401からセンサ410へと差し向けられた第1角度域α1内の光第1部分L1を画素420−1の連携先感光領域415420−1の第1感光部分415420−1A内に差し向ける一方、サンプル401からセンサ410へと差し向けられた第2角度域α2内の光第2部分L2を感光領域415420−1の第2感光部分415420−1B内に差し向けるよう、構成されている。なお、第2感光部分415420−1Bよりも第1感光部分415420−1Aの方が抵抗性制御ゲート421−1の第1端部421−1Aに近く、第1感光部分415420−1Aよりも第2感光部分415420−1Bの方が第2端部421−1Bに近い。輻射(光)Lが各感光部分に入射し吸収されることで光電子が生じ、その光電子が、積分期間中に集められ更に後続の読み出し期間中に順次計測される。例えば、図4中の第1光電子P1は光部分L1に反応して感光領域415420−1の第1感光部分415420−1A内で生じたものであり、第2光電子P2は光部分L2に反応して第2感光部分415420−1B内で生じたものである。各画素420−1〜420−4内のどの部位にて光電子が蓄積されるかは、抵抗性制御ゲート421−1〜421−4上に生じる電圧プロファイルによって制御される。例えば、0V値を有するアパーチャ制御信号V430A及びV430B並びに負の5V(−5V)値を有するアパーチャ制御信号V431によって抵抗性制御ゲート421−1を制御すると、抵抗性制御ゲート421−1によって連携先感光領域415420−1内に非単調電圧プロファイルE420−1が生成され、そのプロファイルE420−1によって、光第1部分L1により第1感光部分415420−1A内で生成された第1光電子P1が第1電荷蓄積領域417420−1A内に追いやられるのと同時に、光第2部分L2により第2感光部分415420−1B内で生成された第2光電子P2が第2電荷蓄積領域417420−1B内に追いやられる。積分期間の終期には、バッファ/転送ゲート423A−1によって、電荷蓄積領域417420−1Aから転送領域418420−1A内へ、更に読み出しレジスタ444A−1の対応領域419420−1A内へという、蓄積済光電子電荷の転送が制御される。その上で、制御回路450により生成されるクロック信号454及び455を利用し、あるレジスタ444Aから次のレジスタへ、そして最終段のレジスタから電荷変換増幅器446A及びバッファ447Aへと、電荷の転送がシーケンシャルに制御される。その結果、上述の要領で各画素420−1〜420−4によって捕捉された電荷が転じて電圧又は電流出力信号458として制御回路450へと出力される。
【0055】
代替的な諸実施形態では、第2感光部分(例.図4中の感光部分415420−1B)に進入した光電子により生成された電荷が破棄(即ち接地への結合等で消去)されるか、選択されている感光部分(例.図4中の感光部分415420−1A)に進入した光電子により生成された電荷と同時にその電荷が読み出される。第2感光部分からの電荷の読み出しを行えるようにするため、センサ410では、オプションたる第2読み出し回路440Bを画素420−1〜420−4の第2端側に配置し、それに備わるレジスタ、増幅器及びバッファを転送ゲート423Bに結合させ、更に読み出し回路440Aを参照し上述した要領でそれらを機能させるようにしている。
【0056】
図4には、アパーチャ制御電極430A、430B及び431を用いサンプル401からの様々な角度での輻射を選択するすべを示したが、これに代わる実施形態として、制御電極430A、430B及び431を用いサンプル401の諸部位からの輻射を選択できるよう光学系405を構成するものがある。
【0057】
図5A図5Dは、4個以上のアパーチャ制御電極を用い抵抗性制御ゲートにて様々な電圧プロファイルを生成することで様々な非単調電圧プロファイルを生成するすべを示す概略図である。
【0058】
図5Aに、4個のアパーチャ制御電極(即ち抵抗性制御ゲート521の長手方向に沿い部位A及びDに存する端部電極525A及び525D並びに抵抗性制御ゲート521の長手方向に沿い部位B及びCに存する2個の中央電極525B及び525C)により抵抗性制御ゲート521(参考のため破線で示す)に適用することができる、様々な電圧体系を示す。図4を参照して上述したそれと同じ要領で電極525A〜525Dに様々な電圧を印加して抵抗性制御ゲート521内の諸部位間に電位差を発生させ、ひいては抵抗性制御ゲート521により様々な電界を発生させることで、有効画素アパーチャサイズを調整することができる。抵抗性制御ゲート521に印加できる様々な電位の例を図5A中に線501、503及び505で示す。ある実施形態では、サンプルを検査する(例.そのフィーチャを検出及び/又は計測する)プロセスのさなかに、電極525A〜525Dに印加されるアパーチャ制御信号(電圧)を変化させること(例.線501、503及び505により示されるそれの間で変化させること)で、個別期間中に抵抗性制御ゲート521により生成される電界を変化させる。
【0059】
図5Aにて線501により示されている電圧プロファイルは、部位D(これは端部電極525Dの在処に相当する)での−5Vと部位A(これは端部電極525Aの在処に相当する)での0Vとを結ぶ略直線的電圧勾配を呈している。部位B及びC(これらは中央電極525B及び525Cの在処に相当する)の電圧は0V値と−5V値の中間である。部位A及びDに印加される電圧によって抵抗性制御ゲート521に沿った略直線的電圧勾配がもたらされるので、略直線的電圧勾配501が欲しいときに部位B及びCの中央電極525B及び525Cを駆動する必要は必ずしもない。電圧を抵抗性制御ゲート521に作用させると、基板内で制御ゲート521の直下にある感光領域の表面付近に電荷が誘起され、その結果その基板内に電位勾配(電界)が発生する。電子は負に帯電しているので、各光電子はその周辺で最も正な電位に向かい速やかに移動してゆく。従って、図5Aの線501により示されるそれのような略直線的勾配では、光電子が部位A付近だけに蓄積してゆく。部位Aはコンタクト525Aの在処に相当しているので、この略直線的電位勾配により、対応画素の感光領域内で生成された光電子をほぼ全て、電極525Aの下にある電荷蓄積領域内に蓄積させることができ、それら蓄積された電荷を、図4を参照して上述した要領で読み出しレジスタへと順次転送することができる。
【0060】
図5A中の線503は、本発明のある例示的実施形態に従い抵抗性制御ゲート521上に生成される第2の電圧プロファイルを表している。部位Bは、関連するアパーチャ制御信号を中央電極525Bに印加することで−5Vに保持されており、部位A及びDは端部電極525A及び525Dを用い0Vに保持されている。部位Cは、−5Vと0Vの間にある中間電圧例えば−約2.5Vになるよう電極525Cによって駆動してもよいし、浮動したままにさせてもよい。この状態では有効画素アパーチャサイズが部位A・部位B間に定まる。即ち、基板内で抵抗性制御ゲート521の下方、部位A・部位B間に生じた光電子が、その領域で最も正な電位たる部位Aの下方へと速やかに移動してゆく。基板内で抵抗性制御ゲート521の下方、部位B・部位D間に生じた光電子は、画素中のその領域で最も正な電位たる部位D(例.電極525Dの下方)に隣り合う電荷蓄積領域へと速やかに移動してゆく。部位A付近に蓄積された電荷は読み出しレジスタ、例えば図4に示したレジスタ444A−1内へと画素外読み出しすることができる。部位Dに蓄積された電荷は、例えば部位D付近に配したオーバフロードレイン又はスカパドレインで以て集めることで破棄してもよいし、それに代え第2の読み出し回路例えば図4に示した回路440B内へと画素外読み出ししてもよい。この電圧勾配は、センサのうち部位A・部位B間にぶつかる光に対応する信号をセンサに集める一方、センサのうち部位B・部位D間にぶつかる光に対応する信号を分離させ又は破棄する点で、あたかもアパーチャ又はビームディバイダのように作用するものであり、その作用によって実効的に、センサのうち部位B・部位D間に到来する光が阻止又は分離される一方、センサのうち部位A・部位B間に到来する光が出力信号例えば図4に示した出力信号458のところへ送られることとなる。機械的アパーチャと異なり、このアパーチャを収容するために余計な物理的空間がセンサ前方で必要とされることはない。更に、これら電圧勾配が電気的に制御されるので、それらを非常に迅速に、例えば機械的アパーチャを切り替えうる時間に比べ非常に短い数μsec以下で切り替えることができる。
【0061】
図5A中の線505は、抵抗性制御ゲート521上の電圧プロファイルの更に別の例を示すと共に、抵抗性制御ゲート521に印加される電圧を変化させることで画素アパーチャサイズを調整するやり方を示すものである。この場合、関連するアパーチャ制御信号を電極525Cに印加することによって部位Cが−5Vに保持される一方、部位A及びDが端部電極525A及び525Dによって0Vに保持される(部位Bは浮動し又は中間電圧に保持される)。この状態では有効画素アパーチャサイズが部位A・部位C間となる。即ち、基板内で抵抗性制御ゲート521の下方、電極525A・電極525C間にて生じた光電子が、電極525Aの下方にありその領域で最も正な電位たる電荷蓄積領域へと、速やかに移動してゆく。基板内で抵抗性制御ゲート521の下方、電極525C・電極525D間にて生じた光電子は、電極525Dの下方にあり画素のその領域にて最も正な電位たる電荷蓄積領域へと、速やかに移動してゆく。部位A付近に蓄積されている電荷は読み出しレジスタ、例えば図4に示したレジスタ444A−1内へと画素外読み出しすることができ、部位D付近に蓄積されている電荷は読み出し回路例えば図4に示した回路440A内へと読み出し又は破棄することができる。
【0062】
図5Aの例では、抵抗性制御ゲート521に印加される電圧勾配を4個のコンタクト(電極)525A、525B、525C及び525Dによって制御するので4個の部位A、B、C及びDが利用されるが、(図4に示した例示的実施形態の如く)3個のコンタクトを用いることもできるであろうし、(後述の諸実施形態にて示す如く)5個以上のコンタクトを用いることもできる。コンタクトが3個なら、画素全体を選択して出力に振り向けることもできるし、その画素を二部分に分割することもできる(“アパーチャ”が1個)。コンタクトが4個なら、画素全体に加え、二通りの“アパーチャ”サイズ又は二通りの画素分割を選択対象にすることができる。コンタクトが5個以上なら三通り以上の“アパーチャ”サイズが可能となろう。
【0063】
図5Bに、抵抗性制御ゲート531の長手方向に沿い五通りの部位(A、B、C、D及びE)にそれぞれ配された5個のアパーチャ制御電極(即ちいずれも参照のため破線で示してある端部電極535A及び535E並びに3個の中央電極535B、535C及び535D)によって抵抗性制御ゲート531に適用することができる、様々な電圧体系を示す。図4及び図5Aを参照して上述したそれと同様の要領に従い、制御回路(図示せず)により電極535A〜535Eに様々な電圧を印加することで抵抗性制御ゲート531内の諸部位間に電位差を発生させ、ひいては抵抗性制御ゲート531によって関連する電界を発生させることで有効画素アパーチャサイズを調整することができる。図5B中の線510及び513は、図4のラインセンサ410と同様なラインセンサの対応画素の一部をなす抵抗性制御ゲート531に印加される、非単調電圧プロファイルを二例示すものである。
【0064】
図5B中の線510は第1期間中に生成される電圧プロファイルを示すものであり、その電圧プロファイルは、部位C(中央電極535C)での−5Vと部位A及びE(端部電極535A及び535E)での0Vを結ぶ二通りの略直線的電圧勾配で構成されている。この期間中には、部位B及びDに存する中央電極535B及び535Dを、浮動させる等して、0V値と−5V値の中間たる電圧に保つ。基板内で抵抗性制御ゲート531の下方、部位A・部位C間にて生じた光電子は、(端部電極535Aの下方にあり)その領域で最も正な電位たる部位Aの付近にある電荷蓄積領域へと、速やかに移動してゆく。基板内で抵抗性制御ゲート531の下方、部位C・部位E間にて生じた光電子は、画素のその領域にて最も正な電位たる部位Eの下方へと速やかに移動してゆく。この期間の終期には、部位A付近に蓄積されている電荷を読み出しレジスタ、例えば図4に示したレジスタ444A−1内へと画素外読み出しすることができる。部位E付近に蓄積されている電荷は、例えば、部位E付近に配されているオーバフロードレイン又はスカパドレインで以て集めることで破棄してもよいし、それに代え、第2の読み出し回路例えば図4に示した回路440B内へと画素外読み出ししてもよい。
【0065】
図5B中の線513は(例.第1期間に続く又は先立つ)第2期間中に生成される第2の電圧プロファイルを示すものであり、その電圧プロファイルは、部位B及びDに存する電極535B及び535Dに対しより負な電圧(例.−5V)を印加するのと同時に部位A、C及びEに存する電極535A、535C及び535Eに対しより正な電圧(例.0V)を印加することにより、四通りの略直線的電圧勾配で構成されている。基板内で抵抗性ゲート531の下方、部位A・部位B間にて生じた光電子は、その領域にて最も正な電位たる部位Aの下方へと速やかに移動してゆく。基板内で抵抗性制御ゲート531の下方、部位D・部位E間にて生じた光電子は、画素のその領域にて最も正な電位たる領域Eの下方へと速やかに移動してゆく。基板内で抵抗性ゲート531の下方、部位B・部位Dにて生じた光電子は、その領域にて最も正な電位たる部位Cの下方へと速やかに移動してゆく。部位A付近に蓄積されている電荷は読み出しレジスタ、例えば図4に示したレジスタ444A−1内へと画素外読み出しすることができる。部位E付近に蓄積されている電荷は第2の読み出し回路、例えば図4に示した回路440B内へと画素外読み出しすることができる。部位C付近に蓄積されている電荷は、例えばまず抵抗性制御ゲート531上の電圧プロファイルを(例.図5Aに示した501又は図5Bに示した510等のプロファイルへと)変化させることで、部位Cに蓄積されている電荷を一方又は双方の端寄り部位A及び/又はEへと追いやることによって、画素外に順次読み出すことができる。電荷がその画素の片側又は両側へと移動し終わった暁には、読み出し回路例えば図4に示した回路440A又は440Bへとそれを転送することができる。このような要領により、そのセンサが読み出し回路を2個(即ち図4に示した回路440A又は440B)しか有していなくても三通りの画像データ値を同時に集めうるよう、センサを構成することができる。
【0066】
図5Cに、抵抗性制御ゲート541の長手方向に沿い五通りの部位(A、B、C、D及びE)にそれぞれ配された5個のアパーチャ制御電極(即ち端部電極545A及び545E並びに3個の中央電極545B、545C及び545D)によって、図4のラインセンサ410と同様なラインセンサの対応画素の一部をなす抵抗性制御ゲート541に適用することができる、様々な電圧体系を示す。この例では、中央電極545B、545C及び545Dが、各画素の有効アパーチャサイズにインクリメンタルな微調整を施せるよう、部位Eの方向にずらされている。具体的には、図4及び図5Aを参照して上述したそれと同様の要領に従い、制御回路(図示せず)により電極545A〜545Eに様々な電圧を印加することで抵抗性制御ゲート541内の諸部位間に電位差を発生させ、ひいては抵抗性制御ゲート541によって関連する電界を発生させることで各画素の有効画素アパーチャサイズが調整されるようにしている。図5C中の線514、515及び516は、端部電極545A及び545Eに相対的に正な電圧(例.0V)を印加し、中央電極545B、545C及び545Dにはそれに代え対応する相対的に負な電圧(例.−5V)を印加することで生成される、非単調電圧プロファイルを三例示すものであり、これにより、相対的に小さなアパーチャサイズ(即ち部位A・部位B間)、中庸なアパーチャサイズ(即ち部位A・部位C間)及び相対的に大きなアパーチャサイズ(即ち部位A・部位D間)をそれぞれ生成することができる。前掲の例で説明した通り、部位Aに蓄積された電荷は各期間の終期に順次読み出される。図5Cに示した手法を用いることで、センサの全画素の有効アパーチャサイズを微調整して集光を最適化することや、そのセンサの全画素が均一なアパーチャサイズを有することとなるよう校正期間中に各画素の有効アパーチャサイズを調整することができる。
【0067】
図5Dに、抵抗性制御ゲート551の長手方向に沿い五通りの部位(A、B、C、D及びE)にそれぞれ配された5個のアパーチャ制御電極(即ち端部電極555A及び555E並びに3個の中央電極555B、555C及び555D)によって、図4のラインセンサ410と同様なラインセンサの対応画素の一部をなす抵抗性制御ゲート551に適用することができる、様々な電圧体系を示す。この例では、中央電極555B及び555Dが、フリンジ電界の生成によって各画素の有効アパーチャに更なるインクリメンタルな微調整を施せるよう、中央電極555C(中央の部位C)寄りに配されている。具体的には、図4及び図5Aを参照して上述したそれと同様の要領に従い、中央電極555Cに対し負電圧(例.−5V)、端部電極555A及び555Eに対しより正な電圧(例.0V)を印加することによって、線517により表される対称“V”字状の非単調電圧プロファイルが生成されている(中央電極555B及び555Dは浮動している)。有効画素アパーチャのエッジを右に(即ち部位Eの方に)シフトさせるため中央電極555Bに中間調整電圧(例.−2.5V)を印加すると、線518で示されている電圧プロファイルがもたらされるため、部位Eの方にシフトした相応な非対称電界が抵抗性ゲート電極541によって生成されることとなる。逆に、有効画素アパーチャのエッジを左に(即ち部位Aの方に)シフトさせるため中央電極555Dに中間調整電圧(例.−2.5V)を印加すると、線519で示されている電圧プロファイルがもたらされるため、部位Aの方にシフトした相応な非対称電界が抵抗性ゲート電極541によって生成されることとなる。図5Dに示した手法を用い、中央電極555B及び555Dに印加される調整電圧を変化させることにより、画素エッジの在処を動作中に連続的に調整することができる。
【0068】
図5A図5Dの例では−5V・0V間に跨がる電圧勾配を示したが、これは役立てることができる電圧域の一例に過ぎない。例えば、およそ−6V・−1V間に跨がる電圧勾配やおよそ−4V・+1V間に跨がる電圧勾配でも、−5V・0V間に跨がる勾配とほぼ同様の効果が得られるであろうし、またそれを代わりに用いることができるであろう。約5Vなる電圧差は、約100μm長の画素向けに都合のよい値であるが、より小さな電圧差を用いることが可能であろうし、とりわけその画素が約100μmより短い場合はそうであろう。その電圧差を5V超にすることもできよう。大きめの電圧差は、その画素が約150μmより長い場合にひときわ役立つであろう。電圧値が必須的に0V参照の任意選択を基準とすることにも注意されたい。0V参照として最も普通に選ばれるのは接地であるが、電子その他の帯電粒子の検出等、その用途によっては、接地とは別の電位でセンサ全体を浮動させることもありうる。本願中で用いられている例示的な電圧の場合、明示されていない限りは、その上に光(又は帯電粒子)が入射するセンサの表面が0Vを挟み数Vの範囲内であると想定することができる。
【0069】
図6に、本発明の他の具体的実施形態に係るラインセンサ例600の断面を示す。センサ600は、シリコンウェハ(図示せず)上に成長させた半導体膜601(例.低濃度pドープエピタキシャルシリコンの層)内に作り込まれ、更にその背面からの研磨又はエッチングに供されている。エピタキシャルシリコン601におけるドーパント濃度は約2×1013原子cm−3以下が望ましい。
【0070】
光699はセンサ600上に下側から入射する。ある実施形態によれば、数nm厚(例えば約2nm〜約6nm厚)の純ホウ素層602をエピタキシャルシリコン601の底面(被照明面)上に堆積させることで、センサ600の酸化を防ぐこと、並びにDUV輻射及び帯電粒子への露出による損傷に対しセンサ600を強靱化することができる。DUV光は半導体ウェハ上の小フィーチャの検査及び計測向けにとりわけ有用であるので、DUV輻射への連続露出下で複数年の寿命を呈するセンサは、半導体検査及び計量システムにおいてはひときわ有用となる。別の実施形態では純ホウ素層602が省略される。そうした実施形態は、センサ600上に入射するDUVの平均パワー密度が十分に低くセンサ劣化を抑えることができる場合、例えばDUVパワー密度が約20μWcm−2未満である場合に有用であろう(一般に短波長な光ほど損傷を及ぼしやすいので、極短波長で低めのパワー密度を用いるシステムでは純ホウ素層602から受益できるであろうし、波長が長めで高めのパワー密度を用いる別のシステムではホウ素層602無しでも許容可能なセンサ寿命が得られるであろう)。
【0071】
底面上への純ホウ素層602の堆積中に一部のホウ素がシリコン内に拡散するため、純ホウ素層602と隣り合わせに、ほんの数nm厚程の高濃度pドープシリコン層603が形成される。ある実施形態では、純ホウ素層602の堆積直後に数分に亘りセンサ600込みのウェハを高温例えば約800℃〜約900℃の温度に保持することによって、これが行われる。この高濃度pドープシリコン層603は、シリコンの背面付近で生じたあらゆる光電子をその底面から退けるビルトイン電界を発生させる。シリコン表面から10〜15nm内にて大半のDUV輻射が吸収されるので、このビルトイン電界は非常に重要である。それら光電子のうち幾ばくかが表面に達した場合に、それらが再結合して失われるためセンサ600の量子効率(QE)が下がる蓋然性が、高いからである。光電子をシリコン表面から特に迅速に退け、DUV波長でのQEを高くするには、強いビルトイン電界が必要である。純ホウ素層602がないセンサでは、イオンインプランテーションその他のドーピング技術を用い高濃度pドープシリコン層603を発生させねばならない。
【0072】
ある好適な実施形態では抗反射被覆680が下面613の下方に形成される(例.ホウ素被覆602上に堆積されるか、純ホウ素被覆602がない実施形態ではエピタキシャルシリコン601の下面613上に直に堆積される)。ホウ素及びシリコンは共にDUV光に対し高い吸収係数を有しているのでそれらは光を強く反射する。抗反射層680を用いることでセンサ600のQEを大きく改善することができる。抗反射被覆680は、誘電素材例えば二酸化シリコン、酸化アルミニウム及びフッ化マグネシウムの層を1個又は複数個備えるものとすることができる。DUV波長で動作させる必要がないセンサの場合、ここで列記したもののほか二酸化ハフニウム及び窒化シリコンを初めとする広範な素材を抗反射被覆680向けに用いることができる。
【0073】
帯電粒子センサでは、通常、抗反射被覆が必要でない。そうしたセンサでは、層680を省略することや、層680を薄い導電被覆例えば数nm厚の耐熱金属層を備えるものにすることができる。
【0074】
エピタキシャルシリコン601の上面上には誘電体層608が堆積又は成長されている。誘電体層608は二酸化シリコン層を備える構成でもよいし、2個又は3個の層を備える構成、例えば窒化シリコン・オン・二酸化シリコンや二酸化シリコン・オン・窒化シリコン・オン・二酸化シリコンとしてもよい。通常、誘電体層608の厚みは約50nm〜約200nmの範囲内である。n型シリコン層604は、光電子を集めるための埋込チャネルとして前面の下に生成されている。
【0075】
誘電体層608の頂部には複数個のゲート電極例えば630、635及び640が堆積、パターニングされている。通常、これらゲート電極はポリシリコン又はアルミニウムで形成されるが、他の金属及び半金属化合物(例えばTiN)を初めとする他の導電素材を用いることもできる。それらゲート電極に対しては電気的接続例えば631、636及び641をなすことができる。図6では抵抗性ゲート620の左側にあるゲート電極例えば630、635及び640のみが示されているが、抵抗性ゲート620の右側にも同様の構造を設け、図4中に読み出し回路440A及び440Bで示した如く画素の両側からの読み出しを可能としてもよい。
【0076】
好適な諸実施形態では、図示の通り例えば632にてゲート電極同士を重ね合わせることで、それら電極の縁付近におけるフリンジ電界の抑圧及び制御が図られる。それらゲート電極は誘電素材(図示せず)によって分離させる。
【0077】
抵抗性ゲート620、好ましくは非ドープ又は低濃度ドープ多結晶シリコン(ポリシリコン)で形成されるそれは感光画素に重なっている。その抵抗性ゲート上の諸部位に対して複数通りの電気的接続がなされる。それらの接続(即ちコンタクト)を621A、621B、621C及び621Dにより模式的に示す。4個の電気的接続が示されているが、3個用いるか、4個用いるか或いは5個以上用いるかは、何通りの集光モードが必要かによって左右されよう。先に説明した通り、抵抗性ゲート620内に電圧勾配を発生させるため、その抵抗性ゲート620に接続されている様々なコンタクト621A、621B、621C、621Dに対しては様々な電圧が印加される。図5A及び図5Bに示した通り、それらコンタクトに様々な電圧が印加される結果として、抵抗性ゲートの長手方向沿いの諸部位に様々な電圧が現れる。エピタキシャルシリコン601の表面での電位は、抵抗性ゲート620上の対応する部位の電圧に従い、部位によって違ってくる。こうした電位の違いによりエピタキシャル層601内に生じる電界によって、光電子がどこに集まるかが制御される。エピタキシャル層601が低濃度にドーピングされているので、自由キャリアはほとんど存在せず、表面付近の電荷に発する電界がエピタキシャル層601の全て又はほとんど全てに亘り延びることとなる。
【0078】
例えばコンタクト621Aがコンタクト621Dより正、コンタクト621B及び621Cが中間電圧であり、その結果抵抗性ゲート620のうちコンタクト621D・コンタクト621A間の部位上に略直線的電圧勾配が現れている場合、エピタキシャルシリコン601内電界によって光電子がコンタクト621Aの下方にある部位へと追いやられることになる。
【0079】
バッファゲート630が621Aよりも負な電圧に保持されているなら、電子がバッファゲート630の下方に移動することはなかろう。蓄積されている電荷を読み出すには、例えばコンタクト621Aに印加される電圧よりも正な電圧をコンタクト631に印加することによって、バッファゲート630に作用する電圧を上昇させればよい。相応な電圧をコンタクト636に印加し、それによって転送ゲート635上の電位を上昇させることで、バッファゲート630の下方から転送ゲート635の下方へと電子を移動させることができる。転送ゲート635上の電位が上昇するのと同時に又は僅かに遅くバッファゲート630上の電位を低下させることによって、画素から転送ゲート635の下方への電子の直接転送を阻止することができる。必要に応じ、オプション的な更なる転送ゲート、バッファゲート又は読み出しレジスタ例えば640を組み込むこともできる。最終的には、電子が浮動拡散領域(図示せず)へと転送されひいては出力増幅器に接続されることになる。
【0080】
バッファゲート、転送ゲート、読み出しレジスタ、浮動拡散領域及び出力増幅器はCCDにて周知であるので、ここでは更に詳細な記述をしないことにする。図6に示した構成は、単にラインセンサの動作を説明するために例示されたものである。本発明の技術的範囲から離隔することなく、様々な構成の読み出し構造を採ることができる。ある例示的実施形態では、バッファゲートを欠く単一の転送ゲートが用いられよう。他の例示的実施形態では複数個のバッファゲートが用いられよう。更に他の例示的実施形態では、読み出しレジスタが用いられず、個別の画素又は画素対がバッファ及び転送ゲートを介し別々の出力に接続されることとなりうる。広く用いられている半導体製造プロセスの詳細、特に本発明と直接に関わらないそれについては、記述の複雑化を避けるため盛り込まれていない。
【0081】
図7は、基板701の背面に接し又はこれを覆うように配された楔状光ナイフエッジ(機械的アパーチャ構造)760を備えるリニアセンサ700の画素、特にサンプルからセンサ700へと反射その他で差し向けられた光部分が光ナイフエッジ760によって阻止されるそれを示す概略断面図である。前述の諸実施形態と同じく、基板701の前面の上方にある誘電体層708上には抵抗性制御ゲート721が形成されており、抵抗性制御ゲート721の上面上には複数個のアパーチャ制御電極725A〜725Fが配されている。ある実施形態では、この参照を以てその全容が本願に繰り入れられ、本願出願人を出願人とし、係属中であり、「共焦点ライン検査光学系」(CONFOCAL LINE INSPECTION OPTICAL SYSTEM)と題する2015年4月21日付米国特許出願出願第14/691,966号にて教示されているスリット開口フィルタを用い、光ナイフエッジ760が実現される。本実施形態によれば、電極725A〜725Fに印加されるアパーチャ制御電圧の調整を行えるよう、ひいては抵抗性制御ゲート720内に生じる非単調電圧プロファイルE720によってアパーチャが調整されて光ナイフエッジ760の誤整列が正されるよう、システム700の制御回路(図示せず)が構成されているため、整列プロセスが大きく簡略化されることになる。
【0082】
上述した本発明の様々な構造実施形態及び方法実施形態は専ら本発明の諸原理を例証するためのものであり、本発明の技術的範囲を記載されている特定の諸実施形態に限定する趣旨のものではない。例えば、抵抗性ゲートに対し5個以上又は3個以下の接続をなしてもよい。ある実施形態に係るサンプル検査又は計測方法では、サンプルに対する検査又は計測の全継続期間に亘り、センサ上の抵抗性ゲートのコンタクトに一組の電圧が印加されよう。他の実施形態に係るサンプル検査又は計測方法では、そのサンプル上の部位によるパターンの違いに対処するため、抵抗性ゲートのコンタクトに印加される電圧が単一サンプルの検査又は計測中に調整されよう。
【0083】
これもまたご理解頂けるように、センサ及び方法についての記述のうち光の検出についての記述は、赤外、可視光、紫外、極端UV及びX線を初めとする様々な波長の電磁輻射の検出にも、また帯電粒子例えば電子の検出にも適用することができる。
【0084】
即ち、本発明は、後掲の特許請求の範囲及びそれらの均等物によってのみ限定される。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7