特許第6789547号(P6789547)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6789547
(24)【登録日】2020年11月6日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】閉塞物除去方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 9/032 20060101AFI20201116BHJP
   F28G 9/00 20060101ALI20201116BHJP
   B01J 3/00 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   B08B9/032 321
   F28G9/00 B
   B01J3/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-565959(P2019-565959)
(86)(22)【出願日】2019年4月26日
(86)【国際出願番号】JP2019018104
【審査請求日】2019年11月28日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度〜平成30年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「再生可能エネルギー熱利用技術開発/その他再生可能エネルギー熱利用システム導入拡大に資する革新的技術開発/食品廃棄物の超臨界ガス化による再生可能熱の創生」にかかる委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(73)【特許権者】
【識別番号】592148878
【氏名又は名称】株式会社東洋高圧
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 泰孝
(72)【発明者】
【氏名】谷川 博昭
(72)【発明者】
【氏名】内山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】谷口 直彦
(72)【発明者】
【氏名】松村 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】野口 琢史
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−189588(JP,A)
【文献】 特開2002−224690(JP,A)
【文献】 特表平11−504254(JP,A)
【文献】 特開2009−279573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 9/027−9/032
F28G 9/00
B01J 3/00
C02F 1/74
C02F 11/08
C10J 3/72
C10J 3/78
F17D 5/00
C02F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理液が導入される内管及び熱媒が導入される外管を有する熱交換器と、前記熱交換器を通過した前記被処理液を超臨界水によって分解する反応器と、前記熱交換器に対して前記反応器とは反対側に配置され且つ第1配管によって前記内管と接続されるブロー弁と、前記ブロー弁に対する前記熱交換器とは反対側に配置され且つ第2配管によって前記ブロー弁と接続される流量抑制装置と、を備える超臨界水反応装置に対する閉塞物除去方法であって、
前記反応器側から前記内管に水を供給し、且つ前記内管の内部の圧力を7MPa以上とする逆流工程と、
前記逆流工程の後、前記第1配管、前記ブロー弁、前記第2配管、及び前記流量抑制装置を介して前記内管の水を排出するブロー工程と、
を含む閉塞物除去方法。
【請求項2】
前記逆流工程において、前記反応器の出口の温度は、100℃以下である
請求項1に記載の閉塞物除去方法。
【請求項3】
前記ブロー工程において、前記内管の水は、複数回に分けて排出される
請求項1又は2に記載の閉塞物除去方法。
【請求項4】
前記ブロー工程において、前記内管の水は、3回に分けて排出される
請求項1又は2に記載の閉塞物除去方法。
【請求項5】
前記内管は、内壁に溶接のビードを備える
請求項1から4のいずれか1項に記載の閉塞物除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超臨界水反応装置に用いられる閉塞物除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオマス(焼酎残渣又は下水汚泥等)を超臨界水でガス化する技術が知られている。超臨界水反応装置には、内管及び外管を有する二重管式熱交換器が用いられる。バイオマスを含む被処理液が内管に供給され、被処理液を加熱するための熱媒が外管に供給される。例えば特許文献1には、二重管式熱交換器が用いられた装置の一例が記載されている。特許文献1には、清水を逆流させることによって内管を洗浄することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−189588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、内管の閉塞物を除去しやすくするためには、水を逆流させた時に内管の内部の圧力をある程度高くすることが望ましい。しかし、内管の内部の圧力を高くすると、ブローした時にブロー弁が詰まることがある。ブローした時に流量又は流速が過大となると、配管内に滞留した閉塞物が急激にブロー弁へ流れ込む。弁体内部の屈曲した流路の内壁に閉塞物が衝突し付着して堆積することによってブロー弁が詰まる。このため、閉塞物をより除去しやすく且つブロー弁の詰まりを抑制できる閉塞物除去方法が求められている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、超臨界水反応装置における熱交換器の内管の閉塞物より除去しやすく且つブロー弁の詰まりを抑制できる閉塞物除去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様に係る閉塞物除去方法は、被処理液が導入される内管及び熱媒が導入される外管を有する熱交換器と、前記熱交換器を通過した前記被処理液を超臨界水によって分解する反応器と、前記熱交換器に対して前記反応器とは反対側に配置されるブロー弁と、前記ブロー弁に対する前記熱交換器側又は前記熱交換器とは反対側に配置される流量抑制装置と、を備える超臨界水反応装置に対する閉塞物除去方法であって、前記反応器側から前記内管に水を供給し、且つ前記内管の内部の圧力を7MPa以上とする逆流工程と、前記逆流工程の後、前記ブロー弁を介して前記内管の水を排出するブロー工程と、を含む。
【0007】
これにより、逆流工程において、被処理液の流れ方向の下流側から閉塞物に高い圧力が加わる。このため、閉塞物が内管から剥れやすくなる。つまり、閉塞物が堆積し付着した時の流れ方向とは逆方向からの力が加わることによって、閉塞物が内管から剥れやすくなる。例えば、内管の内部につきだした突合せ溶接部のビードにおいて、被処理液の流れ方向の上流側に衝突して付着した閉塞物に、被処理液の流れ方向に対する逆方向の力が加わる。このため、閉塞物が被処理液の流れ方向の上流側へ押されてビードから剥がされる。その後、ブロー工程において、閉塞物が水の流れによってさらに内管から剥され、内管の外に排出される。7MPa以上の高圧によって閉塞物が排出される。内管から排出された閉塞物及び水は、ブロー弁を通過する。流量抑制装置が設けられていることによって、ブロー弁を通過する水の流量が制限される。このため、ブロー弁を通過する水の流速が抑制される。ブロー弁への閉塞物の急激な流入が抑制される。その結果、ブロー弁が詰まりにくくなる。したがって、本開示の閉塞物除去方法は、超臨界水反応装置における熱交換器の内管の閉塞物より除去しやすく且つブロー弁の詰まりを抑制できる。
【0008】
閉塞物除去方法の望ましい態様として、前記逆流工程において、前記反応器の出口の温度は、100℃以下である。これにより、逆流工程において、閉塞物が内管からより剥れやすくなる。つまり、蒸気よりも密度及び粘性が高い水の高い洗浄効果を利用することによって、閉塞物が内管からより剥がれやすくなる。また、温度が高いので有機物、特にタール又はチャー等の閉塞物の粘性が低下して流動性が増し、閉塞物が内管からより剥がれやすくなる。また、常温の状態から高温への温度スイングによる配管の熱伸び又は閉塞物と配管の熱伸び差によって、閉塞物が内管からより剥がれやすくなる。したがって、本開示の閉塞物除去方法は、超臨界水反応装置における熱交換器の内管の閉塞物をより除去できる。
【0009】
閉塞物除去方法の望ましい態様として、前記ブロー工程において、前記内管の水は、複数回に分けて排出される。これにより、ブロー弁への閉塞物の急激な流入がより抑制される。したがって、本開示の閉塞物除去方法は、ブロー弁の詰まりをより抑制できる。
【0010】
閉塞物除去方法の望ましい態様として、前記ブロー工程において、前記内管の水は、3回に分けて排出される。これにより、ブロー弁への閉塞物の急激な流入がより抑制される。したがって、本開示の閉塞物除去方法は、ブロー弁の詰まりをより抑制できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、超臨界水反応装置における熱交換器の内管の閉塞物より除去しやすく且つブロー弁の詰まりを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態に係る超臨界水反応装置の模式図の一例である。
図2図2は、本実施形態に係る熱交換器の模式図である。
図3図3は、本実施形態に係る閉塞物除去方法を示すフローチャートである。
図4図4は、逆流工程における超臨界水反応装置の模式図である。
図5図5は、逆流工程における熱交換器の模式図である。
図6図6は、ブロー工程における超臨界水反応装置の模式図である。
図7図7は、ブロー工程における熱交換器の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0014】
(実施形態)
図1は、本実施形態に係る超臨界水反応装置の模式図の一例である。図2は、本実施形態に係る熱交換器の模式図である。本実施形態に係る超臨界水反応装置1は、加水分解によってバイオマスを、水素、メタン、エタン、一酸化炭素及び二酸化炭素等を含むガスに変化させるための装置である。バイオマスは、例えば焼酎残渣又は下水汚泥等である。
【0015】
図1に示すように、超臨界水反応装置1は、調整タンク11と、破砕機12と、主ポンプ13と、熱交換器3と、予熱器14と、反応器15と、冷却器16と、減圧器17と、気液分離器18と、ガスタンク19と、触媒回収器20と、水タンク22と、補助ポンプ25と、第1弁41と、第2弁42と、第3弁43と、流量抑制装置27と、を備える。
【0016】
調整タンク11は、バイオマス、水及び触媒を混合するための容器である。触媒は、例えば粉末状の活性炭である。調整タンク11は、被処理液(バイオマス、水及び触媒の懸濁液)を作製する。反応物は破砕機12に送られる。
【0017】
破砕機12は、被処理液の中のバイオマスを破砕するための装置である。破砕機12は、バイオマスの粒径を小さくし且つ実質的に均一にする。バイオマスの粒径のばらつきは小さい方が好ましい。
【0018】
主ポンプ13は、バイオマスが破砕された後の被処理液に圧力を加えるための装置である。図1に示すように主ポンプ13は、配管101を介して熱交換器3に接続されている。
【0019】
熱交換器3は、反応前の被処理液と、反応器15で生成された生成物との間で熱交換するための装置である。図2に示すように熱交換器3は、内管31と、内管31の外側に配置された外管32と、を備える。すなわち、熱交換器3は二重管式熱交換器である。反応前の被処理液が内管31に供給される。反応器15で生成された生成物が外管32に供給される。外管32は断熱材で覆われている。熱交換器3は、例えば溶接によって形成された複数の管がねじ込み継手で接合されることで形成されている。熱交換器3の長さは例えば100m程度である。
【0020】
予熱器14は、熱交換器3を通過した被処理液の温度を所定の温度まで上昇させるための装置である。予熱器14は、配管103で熱交換器3の内管31と接続されている。予熱器14には、例えば燃料、酸素及びガスタンク19に貯留されたガスが供給される。燃料は例えば液化石油ガス(LPG:Liquefied Petroleum Gas)等である。燃料及びガスタンク19のガスが燃焼することで予熱器14の温度が上昇する。なお、必ずしもガスタンク19に貯留されたガスが予熱器14に供給されなくてもよい。また、燃料は、ガスに限らない。例えば、燃料は、石油又は石炭等でもよい。また、電気ヒータ又は高温蒸気によって、被処理液の温度を所定の温度まで上昇させてもよい。
【0021】
反応器15は、予熱器14を通過した被処理液を、超臨界水を用いて分解するための装置である。反応器15は、配管104で予熱器14と接続されている。超臨界水は、水の臨界温度(374℃)以上の温度及び水の臨界圧力(22.064MPa)以上の圧力を有する水蒸気である。例えば、反応器15における超臨界水の温度は約600℃である。反応器15における超臨界水の圧力は約25MPaである。超臨界水の誘電率は、2以上30以下程度である。また、超臨界水は、高いイオン積([H][OH])を有する。反応器15には、例えば燃料、酸素及びガスタンク19に貯留されたガスが供給される。燃料及びガスタンク19のガスが燃焼することで生じた熱により超臨界水が生成される。なお、必ずしもガスタンク19に貯留されたガスが反応器15に供給されなくてもよい。また、燃料は、ガスに限らない。例えば、燃料は、石油又は石炭等でもよい。また、電気ヒータ又は高温蒸気によって、被処理液の温度を所定の温度まで上昇させてもよい。反応器15で生成された生成物(ガス、灰分、活性炭及び水の混合物)は、配管105を介して熱交換器3の外管32に送られる。
【0022】
熱交換器3の外管32に供給された生成物は、内管31を通過する被処理液と熱交換する。すなわち、外管32に供給された生成物は、被処理液を加熱する熱媒である。外管32を通過したガスの生成物は、例えば約120℃まで下がる。
【0023】
冷却器16は、熱交換器3を通過した生成物の温度を所定の温度まで低下させるための装置である。冷却器16は、配管106で熱交換器3の外管32と接続されている。
【0024】
減圧器17は、冷却器16を通過した生成物の圧力を降下させるための装置である。減圧器17は、配管107で冷却器16と接続されている。
【0025】
気液分離器18は、生成物を灰分、活性炭及び水を含む液体成分と、ガスとに分離するための装置である。気液分離器18は、配管108で減圧器17に接続されている。
【0026】
ガスタンク19は、気液分離器18で液体成分と分離されたガスを貯留する容器である。ガスタンク19は、予熱器14及び反応器15に接続されており、ガスを予熱器14及び反応器15に供給することができる。
【0027】
触媒回収器20は、気液分離器18でガスと分離された液体成分から触媒を回収するための装置である。触媒回収器20は、例えば触媒と灰分との間の沈降速度(終端速度)の違いを利用して液体成分から触媒を分離する。
【0028】
水タンク22は、主ポンプ13に接続されたタンクである。水タンク22は、水を貯留している。被処理液が反応器15に送られている時、水タンク22の水は、使用されない。水タンク22の清水は、熱交換器3を清掃する時に使用される。なお、水タンク22は、補助ポンプ25に接続されていてもよい。
【0029】
補助ポンプ25は、冷却器16を通過した生成物の圧力を調整するためのポンプである。補助ポンプ25は、超臨界水反応装置1の圧力調整ポンプであるといえる。補助ポンプ25は、配管107に接続されている。補助ポンプ25は、必要に応じて配管107を流れる生成物の圧力を増加させる。
【0030】
第1弁41、第2弁42及び第3弁43は、三方弁である。第1弁41及び第2弁42は、配管101に設けられる。第2弁42は、第1弁41に対して熱交換器3側に配置される。第2弁42は、ブロー弁である。第3弁43は、配管106に設けられる。第1弁41と第3弁43とは、配管102で接続される。反応器15で被処理液が分解されている時、被処理液は、主ポンプ13から第1弁41及び第2弁42を経て熱交換器3に至る。第3弁43は、内管31の中の流体を外部に排出する時に用いられる弁である。なお、第1弁41、第2弁42及び第3弁43について、弁の種類は特に限定されない。第1弁41、第2弁42及び第3弁43は、必ずしも三方弁でなくてもよい。配管101及び配管106において、第1弁41、第2弁42及び第3弁43の他にも弁が設けられてもよい。
【0031】
流量抑制装置27は、流量を抑制して流体の圧力を降下させるための装置である。流量抑制装置27は、例えば、キャピラリーチューブである。つまり、流量抑制装置27として、金属で形成された毛細管が用いられる。流量抑制装置27は、前後の圧力差によって所定量の流体を通過させることができる。流量抑制装置27は、配管101から分岐する配管109に設けられる。配管109は、第2弁42を介して配管101に接続される。配管109の一端は、開放されている。流量抑制装置27は、第2弁42に対して熱交換器3とは反対側(下流側)に配置される。なお、第2弁42の代わりに3つのジョイント部を備える配管継手(分岐継手、ティーズとも呼ばれる)を配置し、且つ配管継手と流量抑制装置27との間又は流量抑制装置27の下流側にブロー弁を設置してもよい。これにより、ブロー弁を閉じ且つ第1弁41の主ポンプから内管31への流路を開ければ、被処理液を配管101から内管31へ流すことができる。また、第1弁41の主ポンプから第3弁43への流路を開け且つブロー弁を開けば、内管31から配管109へブローを行うことができる。
【0032】
被処理液が熱交換器3で加熱される過程において、例えばチャー又はタール等を含む副生成物が生成される。また、副生成物には、Mg(マグネシウム)、P(リン)、Ca(カルシウム)、K(カリウム)等の無機物が含まれることが多い。チャー又はタール、及び無機物を含む副生成物は、内管31の内壁に付着する。特に、内管31の内壁にある溶接のビード又は内管31の屈曲部周辺で副生成物が堆積しやすい。また、高温部(被処理液の流れ方向の下流側)においては、低温部(被処理液の流れ方向の上流側)よりも副生成物の生成速度が早いので、副生成物が堆積しやすい。被処理液が高温部に達するまでに、微粒子が集合するために必要な時間が経過するため、高温部において副生成物が沈降しやすい。また、超臨界水反応装置1が停止してから再び起動する時に、熱交換器3が加熱される。熱交換器3の温度が上昇する過程においても、副生成物が生成される。内管31の内壁に堆積した副生成物の量が多くなると、副生成物が内管31の閉塞物39となり、内管31が閉塞する可能性がある。
【0033】
仮に内管31が副生成物によって閉塞した場合、超臨界水反応装置1は停止させられる。超臨界水反応装置1が停止すると、被処理液の流れが停止する一方、熱交換器3の温度は、ある程度の時間において高いままである。このため、被処理液が過熱され炭化が進行する。また、内管31内の圧力低下に伴い水分が蒸発しやすくなるので、被処理液が触媒(活性炭)と共に固形化する。また、閉塞物39が内管31の一部(溶接のビード又は内管31の屈曲部周辺等)に集積し、閉塞物39の圧密が生じることがある。このため、閉塞物39を除去するための清掃が必要となる。
【0034】
図3は、本実施形態に係る閉塞物除去方法を示すフローチャートである。図4は、逆流工程における超臨界水反応装置の模式図である。図5は、逆流工程における熱交換器の模式図である。図6は、ブロー工程における超臨界水反応装置の模式図である。図7は、ブロー工程における熱交換器の模式図である。
【0035】
内管31に堆積した副生成物は、超臨界水反応装置1の起動時に、本実施形態の閉塞物除去方法によって除去される。超臨界水反応装置1の起動時とは、被処理液が反応器15へ送られていない時であって、反応器15の温度が十分に下がっている時である。図5に示すように、本実施形態に係る閉塞物除去方法は、逆流工程P1と、ブロー工程P2と、を含む。
【0036】
逆流工程P1において、作業者は、内管31に水を供給し、且つ内管31の内部の圧力が7MPa以上である状態を所定時間に亘って保持する。逆流工程P1において、反応器15の出口の温度は、100℃以下である。作業者は、第1弁41、第2弁42及び第3弁43を操作する。作業者は、図4に示すように、配管101と配管106との間の流体の流れが許容される状態を形成する。これにより、主ポンプ13によって、図5に示すように水タンク22の水が反応器15側から内管31に導入される。被処理液が反応器15に供給されている時の被処理液の流れる方向とは逆方向に水が流される。すなわち、逆流工程P1では、内管31において水が逆流させられる。内管31の内部の圧力は、主ポンプ13によって7MPa以上に上昇させられる。
【0037】
ブロー工程P2において、作業者は、第2弁42を介して内管31の水を排出する。作業者は、図6に示すように、熱交換器3と配管109との間の流体の流れが許容される状態を形成する。第2弁42は、熱交換器3と配管109との間の流体の流れが許容されるように開けられる。これにより、内管31の水は、配管109の開放端に向かって放出される。内管31の水は流量抑制装置27を通過して放出される。その後、第2弁42は、熱交換器3と配管109との間の流体の流れが遮断されるように閉められる。ブロー工程P2において、内管31の水は、複数回に分けて排出される。すなわち、第2弁42は、複数回開閉される。例えば本実施形態のブロー工程P2において、内管31の水は、3回に分けて排出される。すなわち、第2弁42は、3回開閉される。超臨界水反応装置1の起動中又は超臨界水ガス化反応中にブロー工程P2を行う場合は、ブロー工程P2の後、反応器15を、迅速に臨界圧力以上の圧力とすることが望ましい。
【0038】
なお、内管31に水を供給する方法は、特に限定されない。逆流工程P1において、必ずしも水タンク22の水が内管31に供給されなくてもよい。例えば、逆流工程P1において、加熱された反応器15で生じる水蒸気が内管31に供給されてもよい。また、主ポンプ13に代えて補助ポンプ25によって、水が内管31に供給されてもよい。内管31の内部の圧力は、主ポンプ13に代えて補助ポンプ25によって、7MPa以上に上昇させられてもよい。
【0039】
ブロー工程P2において、内管31の水は、必ずしも複数回に分けて排出されなくてもよい。ブロー工程P2において、内管31の水は、一度に排出されてもよい。すなわち、ブロー工程P2における第2弁42の開閉操作は、1回であってもよい。
【0040】
以上で説明したように、本実施形態の閉塞物除去方法は、超臨界水反応装置1に対する閉塞物除去方法である。超臨界水反応装置1は、熱交換器3と、反応器15と、ブロー弁(第2弁42)と、流量抑制装置27と、を備える。熱交換器3は、被処理液が導入される内管31及び熱媒が導入される外管32を有する。反応器15は、熱交換器3を通過した被処理液を超臨界水によって分解する。ブロー弁(第2弁42)は、熱交換器3に対して反応器15とは反対側に配置される。流量抑制装置27は、ブロー弁(第2弁42)に対する熱交換器3側又は熱交換器3とは反対側に配置される。閉塞物除去方法は、逆流工程P1と、ブロー工程P2と、を含む。逆流工程P1では、反応器15側から内管31に水を供給し、且つ内管31の内部の圧力を7MPa以上とする。ブロー工程P2では、逆流工程P1の後、ブロー弁(第2弁42)を介して内管31の水を排出する。
【0041】
これにより、逆流工程P1において、被処理液の流れ方向の下流側から閉塞物に高い圧力が加わる。このため、閉塞物が内管31から剥れやすくなる。つまり、閉塞物が堆積し付着した時の流れ方向とは逆方向からの力が加わることによって、閉塞物が内管31から剥れやすくなる。例えば、内管31の内部につきだした突合せ溶接部のビードにおいて、被処理液の流れ方向の上流側に衝突して付着した閉塞物に、被処理液の流れ方向に対する逆方向の力が加わる。このため、閉塞物が被処理液の流れ方向の上流側へ押されてビードから剥がされる。その後、ブロー工程P2において、閉塞物が水の流れによってさらに内管31から剥され、内管31の外に排出される。7MPa以上の高圧によって閉塞物が排出される。内管31から排出された閉塞物及び水は、ブロー弁(第2弁42)を通過する。流量抑制装置27(例えばキャピラリーチューブ)が設けられていることによって、ブロー弁(第2弁42)を通過する水の流量が制限される。このため、ブロー弁(第2弁42)を通過する水の流量又は流速が抑制される。これにより、ブロー弁(第2弁42)への閉塞物の急激な流入が抑制される。その結果、ブロー弁(第2弁42)が詰まりにくくなる。したがって、本実施形態の閉塞物除去方法は、超臨界水反応装置1における熱交換器3の内管31の閉塞物より除去しやすく且つブロー弁(第2弁42)の詰まりを抑制できる。
【0042】
なお、逆流工程P1により熱交換器3内を昇圧した後にブロー工程P2で内管31の水を一気に排出する。このため、ブロー工程P2では外管32の流量よりも内管31の流量が多くなり、内管31内の高温の水を外管32の常温の水で常温まで冷却することができない。その結果、ガス化運転中も常温が保たれる内管31の第2弁42付近まで高温の水が通水されて高温となる。温度が高いので有機物、特にタール又はチャー等の閉塞物の粘性が低下して流動性が増し、閉塞物が内管31からより剥がれやすくなる。また、常温から高温への温度スイングによる配管の熱伸び又は閉塞物と配管の熱伸び差によっても、閉塞物が内管31からより剥がれやすくなる。
【0043】
本実施形態の閉塞物除去方法では、逆流工程P1において、反応器15の出口の温度は、100℃以下であることが望ましい。これにより、逆流工程P1において、閉塞物が内管31からより剥れやすくなる。つまり、蒸気よりも密度及び粘性が高い水の高い洗浄効果を利用することによって、閉塞物が内管31からより剥がれやすくなる。したがって、本実施形態の閉塞物除去方法は、超臨界水反応装置1における熱交換器3の内管31の閉塞物をより除去できる。
【0044】
また、温度が高いので有機物、特にタール又はチャー等の閉塞物の粘性が低下して流動性が増し、閉塞物が内管31からより剥がれやすくなる。また、常温の状態から高温への温度スイングによる配管の熱伸び又は閉塞物と配管の熱伸び差によって、閉塞物が内管31からより剥がれやすくなる。
【0045】
本実施形態の閉塞物除去方法では、ブロー工程P2において、内管31の水は、複数回に分けて排出されることが望ましい。これにより、ブロー弁(第2弁42)への閉塞物の急激な流入がより抑制される。したがって、本実施形態の閉塞物除去方法は、ブロー弁(第2弁42)の詰まりをより抑制できる。
【0046】
本実施形態の閉塞物除去方法では、ブロー工程P2において、内管31の水は、3回に分けて排出されることが望ましい。これにより、ブロー弁(第2弁42)への閉塞物の急激な流入がより抑制される。したがって、本実施形態の閉塞物除去方法は、ブロー弁(第2弁42)の詰まりをより抑制できる。
【符号の説明】
【0047】
1 超臨界水反応装置
3 熱交換器
11 調整タンク
12 破砕機
13 主ポンプ
14 予熱器
15 反応器
16 冷却器
17 減圧器
18 気液分離器
19 ガスタンク
20 触媒回収器
22 水タンク
25 補助ポンプ
27 流量抑制装置
31 内管
32 外管
39 閉塞物
41 第1弁
42 第2弁(ブロー弁)
43 第3弁
101、102、103、104、105、106、107、108、109 配管
P1 逆流工程
P2 ブロー工程
【要約】
閉塞物除去方法は、被処理液が導入される内管及び熱媒が導入される外管を有する熱交換器と、熱交換器を通過した被処理液を超臨界水によって分解する反応器と、熱交換器に対して反応器とは反対側に配置されるブロー弁と、ブロー弁に対する熱交換器側又は熱交換器とは反対側に配置される流量抑制装置と、を備える超臨界水反応装置に対する閉塞物除去方法である。閉塞物除去方法は、逆流工程と、ブロー工程と、を含む。逆流工程では、反応器側から内管に水を供給し、且つ内管の内部の圧力を7MPa以上とする。ブロー工程では、逆流工程の後、ブロー弁を介して内管の水を排出する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7