【実施例】
【0042】
以下、本実施形態を実施例によりさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれら実施例に限定されるものではない。
【0043】
金属粒子及び加熱助剤の影響を調べるため、表1に示すように、マイクロ波加熱用アンモニア分解触媒及びマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物を調製し、アンモニア転化率を測定した。
【0044】
【表1】
【0045】
[実施例1]
含浸法(incipient−wetness法)にて、γ−アルミナにコバルトを担持させ、γ−アルミナを95質量%、コバルトを5質量%含むコバルト担持γ−アルミナを調製した。具体的には、硝酸コバルト水溶液に、γ−アルミナを含浸させ、110℃で12時間乾燥後、500℃で3時間焼成した。焼成物は室温まで冷却させてペレット状に加圧成形した後粉砕し、250〜500μmになるようにふるい分けた。なお、γ−アルミナに担持させる金属粒子として、硝酸コバルト(和光純薬工業株式会社製 硝酸コバルト(II)六水和物特級)を用いた。また、担体として、γ−アルミナ(住友化学株式会社製AKS−GT00)を用いた。
【0046】
このようにして得られたコバルト担持γ−アルミナを、600℃、1気圧のH
2雰囲気中で2時間放置する水素前処理を行い、マイクロ波加熱用アンモニア分解触媒を調製した。
【0047】
[実施例2]
硝酸コバルトに代え、硝酸ニッケル(和光純薬工業株式会社製 硝酸ニッケル(II)六水和物 特級)を用いた以外は、実施例1と同様の方法にてマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒を調製した。
【0048】
[実施例3]
硝酸コバルトに代え、硝酸鉄(和光純薬工業株式会社製 硝酸鉄(III)九水和物99.9%)を用いた以外は、実施例1と同様の方法にてマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒を調製した。
【0049】
[実施例4]
実施例1と同様の方法により得られた100質量部のコバルト担持γ−アルミナと、10質量部のSiC加熱助剤 (和光純薬工業株式会社製 粒径50nm) とを混合した。このようにして得られた混合物を、600℃、1気圧のH
2雰囲気中で2時間放置する水素前処理を行い、マイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物を調製した。
【0050】
[実施例5]
硝酸コバルトに代え、硝酸ニッケル(和光純薬工業株式会社製 硝酸ニッケル(II)六水和物 特級)を用いた以外は、実施例4と同様の方法にてマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物を調製した。
【0051】
[実施例6]
硝酸コバルトに代え、硝酸鉄(和光純薬工業株式会社製 硝酸鉄(III)九水和物99.9%)を用いた以外は、実施例4と同様の方法にてマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物を調製した。
【0052】
<アンモニア転化率>
各実施例のマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒0.1gが充填された石英製反応管を、
図1に示すような水素製造装置内に設置した。その後、石英製反応管に40mL/分の流量でアンモニアを供給しながら、マイクロ波加熱用アンモニア分解触媒にマイクロ波を照射した。この時、温度を250℃から600℃まで50℃ごとに昇温して、所望の温度に達してから10分後以降の生成ガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフで定量した。この時のマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒の温度(℃)とアンモニア転化率(%)との関係を
図2に示す。なお、アンモニア転化率は、アンモニアが分解して生成した水素の割合を示し、アンモニアが完全に水素に分解した場合のアンモニア転化率を100%とした。
【0053】
図2の結果より、加熱助剤を混合した実施例4〜6のマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物は、実施例1〜3の加熱助剤を用いていないマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒と比較して、アンモニア転化率が高いことが分かった。
【0054】
次に、金属粒子の担持量の影響を調べるため、表2に示すように、マイクロ波加熱用アンモニア分解触媒を調製し、アンモニア転化率を測定した。
【0055】
【表2】
【0056】
[実施例7]
γ−アルミナの含有量を99質量%、コバルトの含有量を1質量%とした以外は、実施例1と同様の方法にてマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒を調製した。
【0057】
[実施例8]
実施例1と同様の方法により、γ−アルミナの含有量が95質量%、コバルトの含有量が5質量%のマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒を調製した。
【0058】
[実施例9]
γ−アルミナの含有量を90質量%、コバルトの含有量を10質量%とした以外は、実施例1と同様の方法にてマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒を調製した。
【0059】
[実施例10]
γ−アルミナの含有量を80質量%、コバルトの含有量を20質量%とした以外は、実施例1と同様の方法にてマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒を調製した。
【0060】
実施例1と同様に、実施例7〜10で得られたマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒のアンモニア転化率(%)を測定した。結果を
図3に示す。また、この時のマイクロ波出力(W)と、マイクロ波加熱用アンモニア分解触媒の温度(℃)との関係を
図4に示す。
【0061】
図3の結果より、金属粒子の担持量が増加するほど、アンモニア転化率が高くなることが分かった。また、
図4の結果より、マイクロ波出力が100W未満であっても、金属粒子の担持量が1〜5質量%の場合は550℃まで、10質量%の場合は600℃まで加熱できることが分かった。一方、マイクロ波出力が100W未満においては、金属粒子の担持量が20質量%の場合、450℃までしか加熱できなかった。おそらく、金属粒子の担持量が増えて金属粒子が凝集することで、金属的な性質が増加し、マイクロ波の吸収効率が低下したためと考えられる。
【0062】
次に、加熱方法の影響を調べるため、表3に示すように、マイクロ波加熱用アンモニア分解触媒及びマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物を調製し、アンモニア転化率を測定した。
【0063】
【表3】
【0064】
[実施例11]
実施例1と同様の方法により、マイクロ波加熱用アンモニア分解触媒を調製し、アンモニア転化率を測定した。結果を
図5に示す。
【0065】
[実施例12]
実施例4と同様の方法により、マイクロ波加熱用アンモニア分解触媒を調製し、アンモニア転化率を測定した。結果を
図5に示す。
【0066】
[実施例13]
マイクロ波に代え、電気炉を用いて加熱した以外は、実施例1と同様の方法により、マイクロ波加熱用アンモニア分解触媒を調製し、アンモニア転化率を測定した。結果を
図5に示す。
【0067】
図5の結果より、同じコバルト担持γ−アルミナ触媒を用いた場合でも、一般的な電気炉による加熱より、マイクロ波加熱の方が、触媒の活性が著しく高くなることが分かった。また、SiC加熱助剤を加えると、触媒の活性がより高くなることが分かった。
【0068】
次に、担体の影響を調べるため、表4に示すように、マイクロ波加熱用アンモニア分解触媒を調製し、アンモニア転化率を測定した。
【0069】
【表4】
【0070】
[実施例14]
実施例1と同様の方法により、担体としてγ−アルミナを用いたマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒を調製した。
【0071】
[実施例15]
γ−アルミナに代えて、イットリア安定ジルコニア(YSZ)(アルドリッチ社製 nano powder)を用いた以外は、実施例1と同様の方法にてマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒を調製した。
【0072】
実施例1と同様に、実施例14及び15で得られたマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒のアンモニア転化率(%)を測定した。結果を
図6に示す。また、この時のマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒の温度(℃)とマイクロ波出力(W)との関係を
図7に示す。
【0073】
図6の結果より、γ−アルミナ担体を用いた場合と比較し、YSZ担体を用いた場合はアンモニア転化率が向上することが分かった。また、
図7の結果より、γ−アルミナ担体を用いた場合は、マイクロ波出力を増加させるにつれマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒の温度が高くなり、100Wのマイクロ波出力で550℃まで達することが分かった。一方、YSZ担体を用いた場合は、温度が高くなるほど、必要なマイクロ波出力が小さくなり、27W程度のマイクロ波出力で600℃に達することが分かった。
【0074】
次に、加熱助剤を添加した場合の担体の影響を調べるため、表5に示すように、マイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物を調製し、アンモニア転化率を測定した。
【0075】
【表5】
【0076】
[実施例16]
実施例4と同様の方法により、担体としてγ−アルミナを用いたマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物を調製した。
【0077】
[実施例17]
γ−アルミナ担体に代えて、MgO(宇部興産株式会社製 500A)担体を用いた以外は、実施例4と同様にしてマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物を調製した。
【0078】
[実施例18]
γ−アルミナ担体に代えて、ZrO
2(和光純薬工業株式会社製 酸化ジルコニウム(IV))担体を用いた以外は、実施例4と同様にしてマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物を調製した。
【0079】
[実施例19]
γ−アルミナ担体に代えて、イットリア安定ジルコニア(YSZ)(アルドリッチ社製 nano powder)担体を用いた以外は、実施例4と同様にしてマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物を調製した。
【0080】
[実施例20]
γ−アルミナ担体に代えて、NaY型ゼオライト(東ソー株式会社製 HSZ−320AA)担体を用いた以外は、実施例4と同様にしてマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物を調製した。
【0081】
[実施例21]
γ−アルミナ担体に代えて、超安定化Y(USY)型ゼオライト(東ソー株式会社製 HSZ−330HUA)担体を用いた以外は、実施例4と同様にしてマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物を調製した。
【0082】
[実施例22]
γ−アルミナ担体に代えて、P25TiO
2(ルチル−アナターゼ混晶型TiO
2 アエロジル社製)担体を用いた以外は、実施例4と同様にしてマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物を調製した。
【0083】
[実施例23]
γ−アルミナ担体に代えて、ルチル型TiO
2(関東化学株式会社製 酸化チタン(IV))担体を用いた以外は、実施例4と同様にしてマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物を調製した。
【0084】
[実施例24]
γ−アルミナ担体に代えて、アナターゼ型TiO
2(和光純薬工業株式会社製 酸化チタン(IV)) 担体を用いた以外は、実施例4と同様にしてマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物を調製した。
【0085】
実施例11〜13と同様に、実施例16〜24で得られたマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物を、マイクロ波で加熱した場合と、電気炉で加熱した場合のアンモニア転化率(%)を測定した。結果を
図8に示す。なお、
図8のアンモニア転化率は、500℃で加熱した場合の結果を棒グラフで示している。また、この時のマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物の温度(℃)とマイクロ波出力(W)との関係を
図9に示す。
【0086】
図8の結果より、電気炉で加熱するより、マイクロ波で加熱した方が、マイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物のアンモニア転化率が高いことが分かった。特に、γ−アルミナ担体、YSZ担体、USY担体を用いた場合が、アンモニア転化率が高かった。また、
図9の結果より、用いる担体によって、マイクロ波出力が異なることが分かった。この時、特にZrO
2担体、NaY型ゼオライト担体、USY型ゼオライト担体、TiO
2担体を用いた場合に特に消費電力が低いことが分かった。
【0087】
次に、キレート剤の影響を調べるため、表6に示すように、マイクロ波加熱用アンモニア分解触媒を調製し、アンモニア転化率を測定した。
【0088】
【表6】
【0089】
[実施例25]
実施例1と同様の方法により、担体としてキレート処理をしていないγ−アルミナを用いてマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒を調製した。
【0090】
[実施例26]
キレート処理していないγ−アルミナ担体に代えて、キレート処理したγ−アルミナ担体を用いた以外は、実施例1と同様にしてマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒を調製した。キレート処理は、含浸法(incipient−wetness法)にて行った。具体的には、γ−アルミナに、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)(株式会社同仁化学研究所製 EDTA・2Na)を含浸させ、60℃で予備乾燥後、さらに110℃で本乾燥を行った。得られたマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒は、γ−アルミナを95質量部、コバルトを5質量部、EDTAの乾燥体を5質量部含んでいた。
【0091】
実施例1と同様に、実施例25及び26で得られたマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒のアンモニア転化率(%)を測定した。結果を
図10に示す。また、この時のマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒の温度(℃)とマイクロ波出力(W)との関係を
図11に示す。
【0092】
図10の結果より、キレート処理した実施例26の触媒は、キレート処理していない実施例25の触媒より、アンモニア転化率が向上することが分かった。おそらく、担体表面での金属粒子の分散性が高くなり、金属粒子の粒径が小さくなり、金属粒子の表面積が増えたためと考えられる。また、
図11の結果より、キレート処理した実施例26の触媒は、キレート処理していない実施例25の触媒より、必要なマイクロ波出力が大幅に低減することが分かった。
【0093】
次に、助触媒の影響を調べるため、表7に示すように、マイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物を調製し、アンモニア転化率を測定した。
【0094】
【表7】
【0095】
[実施例27]
実施例4と同様の方法により、助触媒を担持しないマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物を調製した。
【0096】
[実施例28]
コバルトに加え、γ−アルミナにマグネシウムを助触媒として担持させた以外は、実施例4と同様の方法によりマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物を調製した。
【0097】
具体的には、実施例4と同様にしてコバルト担持γ−アルミナを準備した。そして、Mg(NO
3)
2・6H
2O(和光純薬工業株式会社製 含量99.5%)を用い、含浸法にて、コバルト担持γ−アルミナに担持させ、110℃で12時間乾燥、500℃で3時間焼成した。焼成物は室温まで冷却した後、ペレット状に加圧成形した。その後、ペレット状に加圧成形した焼成物を粉砕し、250〜500μmになるようにふるい分け、コバルト−マグネシウム担持γ−アルミナを得た。この時、コバルト−マグネシウム担持γ−アルミナは、γ−アルミナを90質量%、コバルトを5質量%、マグネシウムを5質量%含んでいた。その後、実施例4と同様の方法にて、コバルト−マグネシウム担持γ−アルミナにSiC加熱助剤を加え、600℃、1気圧のH
2流通雰囲気中で2時間放置する水素前処理を行い、マイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物を調製した。
【0098】
[実施例29]
Mg(NO
3)
2・6H
2Oに代えて、KNO
3(和光純薬工業株式会社製 特級)を用いた以外は、実施例28と同様にしてマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物を調製した。
【0099】
[実施例30]
Mg(NO
3)
2・6H
2Oに代えて、Ca(NO
3)
2・4H
2O(和光純薬工業株式会社製 含量99.9%)を用いた以外は、実施例28と同様にしてマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物を調製した。
【0100】
[実施例31]
Mg(NO
3)
2・6H
2Oに代えて、RbNO
3(和光純薬工業株式会社製)を用いた以外は、実施例28と同様にしてマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物を調製した。
【0101】
実施例1と同様に、実施例27〜31で得られたマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物のアンモニア転化率(%)を測定した。結果を
図12に示す。なお、
図12のアンモニア転化率は、350℃及び450℃で加熱した場合の結果を棒グラフで示している。また、この時のマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物の温度(℃)とマイクロ波出力(W)との関係を
図13に示す。
【0102】
図12の結果より、アルカリ金属を含む助触媒を担持させることにより、アンモニア転化率が向上する場合があることが分かった。特にカリウムを助触媒として担持させた場合に、アンモニア転化率が向上することが分かった。また、
図13の結果より、アルカリ金属を含む助触媒を担持させることにより、加熱に必要なマイクロ波出力を低減させることが可能であることが分かった。この場合も、特にカリウムを助触媒として担持させた場合に、マイクロ波出力を低減できることが分かった。
【0103】
前処理の影響を調べるため、表8に示すように、マイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物を調製した。
【0104】
【表8】
【0105】
[実施例32]
実施例4と同様の方法にて、600℃、1気圧のH
2流通雰囲気中で2時間放置する水素前処理を行い、マイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物を調製した。
【0106】
[実施例33]
H
2に代えて、NH
3を用いて前処理した以外は、実施例4と同様の方法にてマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物を調製した。
【0107】
[実施例34]
実施例1と同様の方法にて、600℃、1気圧のH
2流通雰囲気中で2時間放置する水素前処理を行い、マイクロ波加熱用アンモニア分解触媒を調製した。
【0108】
[実施例35]
H
2に代えて、NH
3を用いて前処理した以外は、実施例1と同様の方法にてマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒を調製した。
【0109】
実施例11〜13と同様に、実施例32及び33で得られたマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物をマイクロ波で加熱した場合のアンモニア転化率(%)を測定した。同様に、実施例34及び35で得られたマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒を電気炉で加熱した場合のアンモニア転化率(%)を測定した。結果を
図14に示す。
【0110】
図14の結果より、電気炉で加熱をした場合は、水素前処理に代えてアンモニア前処理をしても、アンモニア転化率に大きな差はなかった。しかし、マイクロ波で加熱した場合は、アンモニア前処理の方が、水素前処理よりもアンモニア転化率が向上することが分かった。
【0111】
実施例33のアンモニア転化率が向上した原因を調査するため、以下のような分析を行った。
【0112】
<前処理後のマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒の表面分析>
実施例32及び33で得られたマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物の表面をXPSで分析した。結果を表9に示す。
【0113】
【表9】
【0114】
<昇温脱離ガス分析>
実施例33で得られたマイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物について、昇温脱離ガス分析を行った。結果を
図15に示す。
図15中、質量数2のスペクトルはH
2、質量数16のスペクトルはNH
2+、質量数17のスペクトルはNH
3とOH
−、質量数18のスペクトルはH
2O、質量数28のスペクトルはN
2に対応する。
【0115】
また、
図15中、250℃のピークは、マイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物に、物理的に吸着したアンモニアの離脱によるものである。また、400℃のピークは、窒素を含む表面吸着種の分解によるものである。これはアンモニア処理によって表面の窒素濃度が増加したXPSの結果と一致する。
【0116】
表9や
図15の結果より、マイクロ波加熱用アンモニア分解触媒混合物の表面に窒素を含む吸着種が存在し、これがアンモニア転化率向上に作用することが分かった。
【0117】
以上、本発明を実施形態によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。