(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
Q’が、アントラセン、クリセン、ピレン、ベンゾフルオレン、ナフトフラン、ナフトジフラン、それらの置換誘導体、およびそれらの重水素化類似体からなる群から選択される化合物に由来する、請求項2に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面中の対象物は、簡潔にかつ明確にするために例示されたものであり、必ずしも縮図として描かれたものではないことは、当業者には明らかである。例えば、図中の対象物のいくつかの寸法は、実施形態の理解を深める一助となるように、他の対象物に対して誇張されている場合もある。
【0016】
以下に詳細に記載される、式Iを有する化合物が提供される。
【0017】
さらに、以下に詳細に説明されるように(a)式Iを有するホスト化合物と(b)光活性ドーパントとを含む電気活性組成物が提供される。
【0018】
さらに、任意の式Iを有する化合物を含む少なくとも1つの層を有する電子デバイスが提供される。
【0019】
さらに、電気活性組成物を含む光活性層を有する電子デバイスが提供される。
【0020】
多くの態様および実施形態が、上述されており、例示的なものにすぎず、限定的なものではない。本明細書を読んだ後、当業者は、他の態様および実施形態が、本発明の範囲から逸脱せずに可能であることを理解する。
【0021】
任意の1つ以上の実施形態の他の特徴および利点が、以下の詳細な説明から、および請求項から明らかである。詳細な説明は最初に用語の定義および説明を記載し、その後、式Iの化合物、電気活性組成物、電子デバイス、および最後に実施例を記載する。
【0022】
1.用語の定義および説明
後述の実施形態の詳細を扱う前に、いくつかの用語が定義または明らかにされる。
【0023】
「用語の定義および説明」において使用されるとき、R、R’およびR’’および任意の他の記号は総称であり、式中で定義されるそれらと同じであっても異なっていてもよい。
【0024】
用語「アルキル」は、脂肪族炭化水素に由来する基を意味することを意図し、直鎖、分岐状、または環状基を包含する。化合物「に由来する」基は、1つ以上のHまたはDの除去によって形成されるラジカルを示す。用語「分岐状アルキル」は、少なくとも1つの第二または第三炭素を有する脂肪族炭化水素に由来する基を意味することを意図する。いくつかの実施形態において、アルキルは1〜20個の炭素原子を有する。
【0025】
用語「芳香族化合物」は、4n+2の非局在化π電子を有する少なくとも1つの不飽和環状基を含む有機化合物を意味することを意図する。
【0026】
用語「アリール」は、少なくとも1つの結合点を有する芳香族化合物に由来する基を意味することを意図する。この用語は、単環を有する基および単結合によって接合されるかまたは一緒に縮合され得る複数環を有する基を包含する。炭化水素アリール基は、環構造中に炭素だけを有する。ヘテロアリール基は、環構造中に少なくとも1個のヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態において、炭化水素アリール基は6〜30個の環炭素を有する。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は3〜30個の環炭素を有する。
【0027】
「アルコキシ」は、基−OR(式中、Rがアルキルである)を意味することを意図する。
【0028】
用語「アリールオキシ」は、基−OR(式中、Rがアリールである)を意味することを意図する。
【0029】
別記しない限り、全ての基は、置換または非置換であり得る。限定されないが、アルキルまたはアリールなどの置換されていてもよい基は、同一であっても異なっていてもよい1つ以上の置換基で置換されてもよい。適した置換基には、D、アルキル、アリール、ニトロ、シアノ、−N(R’)(R’’)、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルコキシカルボニル、ペルフルオロアルキル、ペルフルオロアルコキシ、アリールアルキル、シリル、シロキシ、シロキサン、チオアルコキシ、−S(O)
2−、−C(=O)−N(R’)(R’’)、(R’)(R’’)N−アルキル、(R’)(R’’)N−アルコキシアルキル、(R’)(R’’)N−アルキルアリールオキシアルキル、−S(O)
s−アリール(式中、s=0〜2)または−S(O)
s−ヘテロアリール(式中、s=0〜2)が含まれる。各R’およびR’’は独立に、置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、またはアリール基である。特定の実施形態においてR’およびR’’は、それらが結合している窒素原子と一緒に、環系を形成することができる。また、置換基は架橋基であってもよい。また、有効水素を有する前述の基のいずれも、重水素化されてもよい。
【0030】
用語「電荷輸送」は、層、材料、部材または構造に言及している場合、このような層、材料、部材または構造が、比較的効率良くかつ小さい電荷損失で、このような層、材料、部材または構造の厚みを通したこのような電荷の移動を容易にすることを意味することを意図する。正孔輸送材料は正電荷を容易にし、電子輸送材料は負電荷を容易にする。発光材料もまたいくつかの電荷輸送性質を有していてよいが、用語「電荷輸送層、材料、部材または構造」は、その一次機能が発光である層、材料、部材または構造を包含するようには意図されていない。
【0031】
用語「化合物」は、化学結合を破壊せずに物理的手段によって原子をそれらの相当する分子から分離することができない、原子をさらに含有する分子から構成される非荷電物質を意味することを意図する。この用語は、オリゴマーおよびポリマーを包含することが意図される。
【0032】
用語「重水素化(されている)」は、少なくとも1つの水素(「H」)がジュウテリウム(「D」)で置換されていることを意味することを意図する。用語「重水素化類似体」は、1つ以上の利用可能な水素がジュウテリウムで置換されている化合物または基の構造類似体を指す。重水素化化合物または重水素化類似体中、ジュウテリウムは、天然存在度レベルの少なくとも100倍存在している。以下に示される表記
【0033】
【化2】
は、化合物が任意の利用可能な位置で重水素化されることおよびジュウテリウム置換基の総数がx〜yであることを示す。例えば、以下に示される化合物は、任意の利用可能な位置で8〜10個のジュウテリウム置換基を有する。
【0035】
用語「ドーパント」は、ホスト材料を含有する層中で、その層の電子的特性、または放射線の放出、受容、もしくはフィルタリングの目標波長を、そのような材料のない層の電子的特性、または放射線の放出、受容、もしくはフィルタリングの波長に比べて変化させる材料を意味することを意図する。用語「ホスト材料」は、ドーパントが分散される材料を意味することを意図する。ホスト材料は、電子的特性、または放射線を放出、受容、もしくはフィルタする能力を有する場合も有さない場合もある。いくつかの実施形態において、ホスト材料はドーパントよりも高い濃度で存在している。
【0036】
用語「電気活性」は、それが層または材料に言及する場合、デバイスの動作を電子的に促進する層または材料を示すことが意図される。電気活性材料の例には、限定されないが、電荷(電荷は電子または正孔のどちらでもあり得る)を伝導、注入、輸送、もしくは阻止する材料、または放射線を放射する材料もしくは放射線を受ける時に電子・正孔対の濃度の変化を示す材料が含まれる。不活性材料の例には、限定されないが、平坦化材料、絶縁材料、および環境バリア材が含まれる。
【0037】
接頭辞「フルオロ」は、基中の1個以上の水素原子がフッ素原子で置換されていることを示すことが意図される。
【0038】
用語「ゲルミル」は、基R
3Ge(式中、Rが出現ごとに同一であるかまたは異なり、H、D、C1〜20アルキル、重水素化アルキル、フルオロアルキル、アリール、または重水素化アリールである)を指す。
【0039】
接頭辞「ヘテロ」は、1個以上の炭素原子が異なる原子で置換されていることを示す。いくつかの実施形態において、ヘテロ原子はO、N、S、またはそれらの組み合わせである。
【0040】
用語「液体組成物」は、材料が溶解して溶液を形成している液体媒体、材料が分散されて分散体を形成する液体媒体、または材料が懸濁されて懸濁液またはエマルションを形成する液体媒体を意味することを意図する。
【0041】
用語「光活性」は、(発光ダイオードまたは化学セルでのような)印加電圧によって活性化される時に発光するか、(ダウンコンバート燐光体デバイスでのような)光子の吸収後に発光するか、または(光検出器または光起電力セルでのような)輻射エネルギーに応答し、印加バイアス電圧を使用してまたは使用せずに信号を生成する材料または層を指す。
【0042】
用語「シロキサン」は、基R
3SiOR
2Si−(式中、Rが出現ごとに同一であるかまたは異なり、H、D、C1〜20アルキル、重水素化アルキル、フルオロアルキル、アリール、または重水素化アリールである)を指す。いくつかの実施形態において、Rアルキル基中の1つ以上の炭素がSiで置換される。
【0043】
用語「シロキシ」は、基R
3SiO−(式中、Rが出現ごとに同一であるかまたは異なり、H、D、C1〜20アルキル、重水素化アルキル、フルオロアルキル、アリール、または重水素化アリールである)を指す。
【0044】
用語「シリル」は、基R
3Si−(式中、Rが出現ごとに同一であるかまたは異なり、H、D、C1〜20アルキル、重水素化アルキル、フルオロアルキル、アリール、または重水素化アリールである)を指す。いくつかの実施形態において、Rアルキル基中の1つ以上の炭素がSiで置換される。
【0045】
以下に示されるように置換基の結合が1つ以上の環を貫通する構造において、
【0046】
【化4】
置換基Rが1つ以上の環上の任意の利用可能な位置で結合していてもよいことが意味される。
【0047】
語句「に隣接した(adjacent to)」は、デバイス中の層を指すために使用されるとき、1つの層が別の層のすぐ隣りにあることを必ずしも意味しない。他方、語句「隣接したR基(adjacent R groups)」は、化学式中で隣り同士であるR基(すなわち、結合によって連結した原子上にあるR基)を指すために使用される。典型的な隣接したR基は以下に示される:
【0049】
本明細書において、特に明示的に述べられないか、または使用に関連して反対に示されない限り、本明細書の主題の実施形態が、ある特定の特徴または要素を含む、包含する、含有する、有する、それらからなる、またはそれらによって若しくはそれらから構成されると述べられまたは記載される場合、明示的に述べられたまたは記載されたものに加えて1つ以上の特徴または要素が実施形態で存在してもよい。本明細書の開示された主題の代わりの実施形態が、ある特定の特徴または要素から本質的になると記載され、この実施形態では、操作の原理または実施形態の際立った特性を実質的に変更する特徴および要素はそこに存在しない。本明細書の記載された主題の更なる代わりの実施形態が、ある特定の特徴または要素からなると記載され、この実施形態において、またはその実態のない変形形態では、具体的に述べられまたは記載された特徴または要素のみが存在する。
【0050】
さらに、明確にそれとは反対を述べられない限り、「または(or)」は、包括的な「または」を意味し、排他的な「または」を意味しない。例えば、条件A「または」Bは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真であり(または存在し)かつBが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)かつBが真である(または存在する)、ならびにAおよびBの両方ともが真である(または存在する)。
【0051】
また、「a」または「an」の使用は、ここに記載された要素および成分を記載するために使用される。これは便宜上、および本発明の範囲の一般的な意味を与えるためになされているにすぎない。この記述は、1つまたは少なくとも1つを含むように解釈されなければならず、且つそれが別の意味を有することが明らかでない限り、単数は複数も含む。
【0052】
元素の周期表の縦列に相当する族番号が、CRC Handbook of Chemistry and Physics,81
st Edition(2000〜2001年)に見られるように「新表記法」規約を使用する。
【0053】
他に定義されない限り、本明細書に使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に記載されるものと同様のまたは同等な方法および材料を本発明の実施形態の実施または試験において使用することができるが、適切な方法および材料は、以下に記載される。本明細書に記載された全ての出版物、特許出願、特許、および他の文献が、特定の節が引用されるのでなければ、それらの全体において参照によってここに援用するものとする。不一致がある場合、定義を含む本明細書が優先される。さらに、材料、方法、および実施例は例示にすぎず、限定的であることを意図しない。
【0054】
ここに記載されていない範囲まで、特定の材料、処理動作、および回路に関する多くの詳細は従来のものであり、有機発光ダイオードディスプレイ、光検出器、光起電力セル、および半導体部材技術のテキストおよびその他の情報源に見出すことができる。
【0056】
【化6】
[式中、
R
1が出現ごとに同一であるかまたは異なり、D、アルキル、シリル、ゲルミル、重水素化アルキル、重水素化シリル、および重水素化ゲルミルからなる群から選択され、
aが0〜7の整数であり、
bが0〜8の整数であり、
cが0〜4の整数であり、
dが0〜7の整数である]を有する化合物が提供される。
【0057】
式Iのいくつかの実施形態において、a=0である。
【0058】
式Iのいくつかの実施形態において、a=1である。
【0059】
式Iのいくつかの実施形態において、a=2である。
【0060】
式Iのいくつかの実施形態において、a=3である。
【0061】
式Iのいくつかの実施形態において、a=4である。
【0062】
式Iのいくつかの実施形態において、a=5である。
【0063】
式Iのいくつかの実施形態において、a=6である。
【0064】
式Iのいくつかの実施形態において、a=7である。
【0065】
式Iのいくつかの実施形態において、a>0である。
【0066】
式Iのいくつかの実施形態において、b=0である。
【0067】
式Iのいくつかの実施形態において、b=1である。
【0068】
式Iのいくつかの実施形態において、b=2である。
【0069】
式Iのいくつかの実施形態において、b=3である。
【0070】
式Iのいくつかの実施形態において、b=4である。
【0071】
式Iのいくつかの実施形態において、b=5である。
【0072】
式Iのいくつかの実施形態において、b=6である。
【0073】
式Iのいくつかの実施形態において、b=7である。
【0074】
式Iのいくつかの実施形態において、b=8である。
【0075】
式Iのいくつかの実施形態において、b>0である。
【0076】
式Iのいくつかの実施形態において、c=0である。
【0077】
式Iのいくつかの実施形態において、c=1である。
【0078】
式Iのいくつかの実施形態において、c=2である。
【0079】
式Iのいくつかの実施形態において、c=3である。
【0080】
式Iのいくつかの実施形態において、c=4である。
【0081】
式Iのいくつかの実施形態において、c>0である。
【0082】
式Iのいくつかの実施形態において、d=0である。
【0083】
式Iのいくつかの実施形態において、d=1である。
【0084】
式Iのいくつかの実施形態において、d=2である。
【0085】
式Iのいくつかの実施形態において、d=3である。
【0086】
式Iのいくつかの実施形態において、d=4である。
【0087】
式Iのいくつかの実施形態において、d=5である。
【0088】
式Iのいくつかの実施形態において、d=6である。
【0089】
式Iのいくつかの実施形態において、d=7である。
【0090】
式Iのいくつかの実施形態において、d>0である。
【0091】
式Iのいくつかの実施形態において、a=b=c=d=0である。
【0092】
式Iのいくつかの実施形態において、a+b+c+d=1〜26である。
【0093】
式Iのいくつかの実施形態において、a+b+c+d=1〜10である。
【0094】
式Iのいくつかの実施形態において、a+b+c+d=1〜4である。
【0095】
式Iのいくつかの実施形態において、a+b+c+d=1〜26であり、R
1=Dである。
【0096】
式Iのいくつかの実施形態において、a+b+c+d=5〜26であり、R
1=Dである。
【0097】
式Iのいくつかの実施形態において、a+b+c+d=15〜26であり、R
1=Dである。
【0098】
式Iのいくつかの実施形態において、a+b+c+d=20〜26であり、R
1=Dである。
【0099】
式Iのいくつかの実施形態において、a+b+c+d=26であり、R
1=Dである。
【0100】
式Iのいくつかの実施形態において、a〜dの少なくとも1つがゼロでなく、少なくとも1つのR
1=Dである。
【0101】
式Iのいくつかの実施形態において、a>0であり、少なくとも1つのR
1=Dである。
【0102】
式Iのいくつかの実施形態において、b>0であり、少なくとも1つのR
1=Dである。
【0103】
式Iのいくつかの実施形態において、c>0であり、少なくとも1つのR
1=Dである。
【0104】
式Iのいくつかの実施形態において、d>0であり、少なくとも1つのR
1=Dである。
【0105】
式Iのいくつかの実施形態において、a〜dの少なくとも1つがゼロでなく、少なくとも1つのR
1=1〜6個の炭素を有する、いくつかの実施形態において、1〜4個の炭素を有するアルキルまたは重水素化アルキルである。
【0106】
式Iのいくつかの実施形態において、a〜dの少なくとも1つがゼロでなく、少なくとも1つのR
1=トリメチルシリルまたはその重水素化類似体である。
【0107】
式Iのいくつかの実施形態において、a〜dの少なくとも1つがゼロでなく、少なくとも1つのR
1=トリメチルゲルミルまたはその重水素化類似体である。
【0108】
化合物上の位置が以下のように区別され得る:
【0110】
式Iのいくつかの実施形態において、a>0であり、少なくとも1つのR
1=Dである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのR
1=Dであり、位置1〜7の少なくとも1つの上に存在している。
【0111】
式Iのいくつかの実施形態において、a>0であり、少なくとも1つのR
1が、1〜6個の炭素を有するアルキルまたは重水素化アルキルである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのR
1がアルキルまたは重水素化アルキルであり、位置2、3、4、および5の少なくとも1つの上に存在している。
【0112】
式Iのいくつかの実施形態において、a>0であり、少なくとも1つのR
1がトリメチルシリルまたは重水素化トリメチルシリルである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのR
1がトリメチルシリルまたは重水素化トリメチルシリルであり、位置2、3、4、および5の少なくとも1つの上に存在している。
【0113】
式Iのいくつかの実施形態において、a>0であり、少なくとも1つのR
1がトリメチルゲルミルまたは重水素化トリメチルゲルミルである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのR
1がトリメチルゲルミルまたは重水素化トリメチルゲルミルであり、位置2、3、4、および5の少なくとも1つの上に存在している。
【0114】
式Iのいくつかの実施形態において、b>0であり、少なくとも1つのR
1=Dである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのR
1=Dであり、位置8〜15の少なくとも1つの上に存在している。
【0115】
式Iのいくつかの実施形態において、b>0であり、少なくとも1つのR
1が、1〜6個の炭素を有するアルキルまたは重水素化アルキルである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのR
1がアルキルまたは重水素化アルキルであり、位置9、10、13、および14の少なくとも1つの上に存在している。
【0116】
式Iのいくつかの実施形態において、b>0であり、少なくとも1つのR
1がトリメチルシリルまたは重水素化トリメチルシリルである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのR
1がトリメチルシリルまたは重水素化トリメチルシリルであり、位置9、10、13、および14の少なくとも1つの上に存在している。
【0117】
式Iのいくつかの実施形態において、b>0であり、少なくとも1つのR
1がトリメチルゲルミルまたは重水素化トリメチルゲルミルである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのR
1がトリメチルゲルミルまたは重水素化トリメチルゲルミルであり、位置9、10、13、および14の少なくとも1つの上に存在している。
【0118】
式Iのいくつかの実施形態において、c>0であり、少なくとも1つのR
1=Dである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのR
1=Dであり、位置16〜19の少なくとも1つの上に存在している。
【0119】
式Iのいくつかの実施形態において、d>0であり、少なくとも1つのR
1=Dである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのR
1=Dであり、位置20〜26の少なくとも1つの上に存在している。
【0120】
式Iのいくつかの実施形態において、d>0であり、少なくとも1つのR
1が、1〜6個の炭素を有するアルキルまたは重水素化アルキルである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのR
1がアルキルまたは重水素化アルキルであり、位置20、23、24、25、および26の少なくとも1つの上に存在している。
【0121】
式Iのいくつかの実施形態において、d>0であり、少なくとも1つのR
1がトリメチルシリルまたは重水素化トリメチルシリルである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのR
1がトリメチルシリルまたは重水素化トリメチルシリルであり、位置20、23、24、25、および26の少なくとも1つの上に存在している。
【0122】
式Iのいくつかの実施形態において、d>0であり、少なくとも1つのR
1がトリメチルゲルミルまたは重水素化トリメチルゲルミルである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのR
1がトリメチルゲルミルまたは重水素化トリメチルゲルミルであり、位置20、23、24、25、および26の少なくとも1つの上に存在している。
【0123】
式Iのいくつかの実施形態において、a=1であり、R
1が位置2、3、4、および5の1つの上に存在している。
【0124】
式Iのいくつかの実施形態において、b=1であり、R
1が位置9、10、13、および14の1つの上に存在している。
【0125】
式Iのいくつかの実施形態において、d=1であり、R
1が位置20、23、24、25、および26の1つの上に存在している。
【0126】
式Iのいくつかの実施形態において、a〜dの少なくとも1つがゼロでなく、少なくとも1つのR
1がアルキルまたは重水素化アルキルであり、位置2、3、4、5、9、10、13、14、20、23、24、25、および26の少なくとも1つの上に存在している。
【0127】
式Iのいくつかの実施形態において、a〜dの少なくとも1つがゼロでなく、少なくとも1つのR
1がトリメチルシリルまたは重水素化トリメチルシリルであり、位置2、3、4、5、9、10、13、14、20、23、24、25、および26の少なくとも1つの上に存在している。
【0128】
式Iのいくつかの実施形態において、a〜dの少なくとも1つがゼロでなく、少なくとも1つのR
1がトリメチルゲルミルまたは重水素化トリメチルゲルミルであり、位置2、3、4、5、9、10、13、14、20、23、24、25、および26の少なくとも1つの上に存在している。
【0129】
式Iのいくつかの実施形態において、a〜dの少なくとも1つがゼロでなく、少なくとも1つのR
1が、アルキル、トリメチルシリル、トリメチルゲルミル、およびそれらの重水素化類似体からなる群から選択され、位置2、3、4、5、9、10、13、14、20、23、24、25、および26の少なくとも1つの上に存在している。
【0130】
式Iの上述の実施形態のいずれも、互いに矛盾しない限り、1つ以上の別の実施形態と組み合わせることができる。例えば、a=1である実施形態を少なくとも1つのR
1がアルキルである実施形態と、b=1であり、少なくとも1つのR
1がDである実施形態と組み合わせることができる。同じことが、上に記載された他の互いに矛盾しない実施形態についても言える。当業者は、いずれの実施形態が互いに矛盾するか理解でき、その結果、本出願により予期される実施形態の組み合わせを容易に決定できるであろう。
【0131】
C−C結合をもたらす任意の技術を使用して式Iの化合物を製造することができる。Suzuki、Yamamoto、およびStilleカップリングならびに金属触媒および酸化直接アリール化などの様々なこのような技術が公知である。
【0132】
重水素化前駆材料を使用して同様な方法でまたは、より一般的には、トリフルオロメタンスルホン酸など、Bronsted酸H/D交換触媒の存在下でまたは三塩化アルミニウムまたは二塩化エチルアルミニウムなど、ルイス酸H/D交換触媒の存在下でベンゼン−d6などの重水素化溶媒で非重水素化化合物を処理することによって、重水素化化合物を調製することができる。
【0133】
典型的な調製物が実施例において示される。
【0134】
式Iを有する化合物のいくつかの非限定的な例が以下に示される。
【0138】
化合物を電子デバイスのための層に形成することができる。用語「層」は、用語「薄膜」と交換可能に使用され、所望の領域を覆うコーティングを指す。この用語は大きさによって限定されるものではない。この領域は、デバイス全体と同じくらい大きくても、あるいは実際の表示装置など特定の機能領域と同じくらい小さくても、あるいは単一のサブピクセルと同じくらい小さくてもよい。層および薄膜は、蒸着、液体堆積(連続技術および不連続技術)、および熱転写を含め、従来の任意の堆積技術で形成できる。連続液体堆積技術には、限定されないが、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、スロットダイコーティング、吹付けコーティング、および連続ノズルコーティングが含まれる。不連続液体堆積技術には、限定されないが、インクジェット印刷、グラビア印刷、およびスクリーン印刷が含まれる。
【0139】
いくつかの実施形態において、式Iを有する新規な化合物はデバイス内で正孔輸送材料として使用することができる。
【0140】
いくつかの実施形態において、式Iを有する新規な化合物はエレクトロルミネセンスであり、デバイス内で発光材料として使用することができる。
【0141】
いくつかの実施形態において、式Iを有する新規な化合物はエレクトロルミネセンス材料のためのホストとして使用することができる。
【0142】
いくつかの実施形態において、式Iを有する新規な化合物はデバイス内で電子輸送材料として使用することができる。
【0143】
3.電気活性組成物
電気活性組成物は、(a)式Iを有するホスト化合物と(b)光活性ドーパントとを含む。
【0144】
式Iを有するホスト化合物は上に詳細に説明されている。
【0145】
電気活性組成物内でドーパントとして使用することができるエレクトロルミネセンス(「EL」)材料には、限定されないが、小分子有機ルミネセント化合物、ルミネセント金属錯体、共役ポリマー、およびそれらの混合物が含まれる。小分子ルミネセント有機化合物の例には、限定されないが、クリセン、ピレン、ペリレン、ルブレン、クマリン、アントラセン、スチルベン、チアジアゾール、ベンゾフルオレン、ナフトフラン、それらの誘導体、それらの重水素化類似体、およびそれらの混合物が含まれる。金属錯体の例には、限定されないが、イリジウムおよび白金などの金属の金属キレート化オキシノイド化合物およびシクロメタル化錯体が含まれる。共役ポリマーの例には、限定されないが、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリ(スピロビフルオレン)、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレン)、それらのコポリマー、それらの重水素化類似体およびそれらの混合物が含まれる。
【0146】
いくつかの実施形態において、ドーパントは重水素化される。
【0147】
いくつかの実施形態において、ドーパントは小有機ルミネセント化合物である。
【0148】
いくつかの実施形態において、ドーパントは、非ポリマースピロビフルオレン化合物、フルオランテン化合物、それらの置換誘導体、およびそれらの重水素化類似体からなる群から選択される。
【0149】
いくつかの実施形態において、ドーパントは、アリールアミン基を有する化合物である。いくつかの実施形態において、ドーパントは以下の式IIまたは式III:
【0150】
【化11】
[式中、
Aが出現ごとに同一であるかまたは異なり、3〜60個の環炭素原子を有する炭化水素アリールまたはヘテロアリール基であり、
Q’が、3〜60個の環炭素原子を有する炭化水素アリールまたはヘテロアリールであり、
pおよびqが独立に1〜6の整数である]を有する。
【0151】
上記の式のいくつかの実施形態において、それぞれの式中のQ’は少なくとも3つの縮合環を有する。
【0152】
式IIおよび式IIIのいくつかの実施形態において、pおよびqは1に等しい。
【0153】
式IIおよび式IIIのいくつかの実施形態において、Q’はスチリルまたはスチリルフェニル基である。
【0154】
式IIおよび式IIIのいくつかの実施形態において、Q’は少なくとも2つの縮合環を有する芳香族基である。いくつかの実施形態において、Q’は、ナフタレン、ナフタリン、アントラセン、クリセン、ピレン、テトラセン、キサンテン、ペリレン、クマリン、ローダミン、キナクリドン、ルブレン、フェナントレン、ベンゾフルオレン、ナフトフラン、ナフトジフラン、ナフトトリフラン、ナフトテトラフラン、それらの置換誘導体、およびそれらの重水素化類似体からなる群から選択される化合物に由来する。
【0155】
式IIおよび式IIIのいくつかの実施形態において、Q’は、アントラセン、クリセン、ピレン、ベンゾフルオレン、ナフトフラン、ナフトジフラン、それらの置換誘導体、およびそれらの重水素化類似体からなる群から選択される化合物に由来する。
【0156】
式IIおよび式IIIのいくつかの実施形態において、Aは、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、ナフチルフェニル、アントラニル、それらの置換誘導体、およびそれらの重水素化類似体からなる群から選択される。
【0157】
いくつかの実施形態において、ドーパントは以下の式:
【0158】
【化12】
[式中、
Yが出現ごとに同一であるかまたは異なり、3〜60個の炭素原子を有する芳香族基であり、
Q’’が芳香族基、二価トリフェニルアミン残基、または単結合である]を有する。
【0159】
いくつかの実施形態において、ドーパントはアリールアセンである。いくつかの実施形態において、ドーパントは不斉アリールアセンである。
【0160】
いくつかの実施形態において、ドーパントは青色発光性である。用語「青色発光性」は、約400〜500nmの範囲の波長において発光最大を有する放射線を放射することができる材料を意味することを意図する。いくつかの実施形態において、約445〜490nmの範囲の波長において発光最大を有する。いくつかの実施形態において、ドーパントは、C.I.E.色度スケール(国際照明委員会、1931)に従って0.15未満、いくつかの実施形態において、0.10未満、いくつかの実施形態において、0.090未満のフォトルミネッセンスy−座標を有する。
【0161】
いくつかの実施形態において、ドーパントは、式III(式中、p=q=1であり、Q’が、アントラセン、クリセン、ピレン、ベンゾフルオレン、ナフトフラン、ナフトジフラン、それらの置換誘導体、およびそれらの重水素化類似体からなる群から選択される化合物に由来する)を有する。
【0162】
いくつかの実施形態において、ドーパントの、式Iを有するホスト化合物に対する重量比は2:98〜50:50、いくつかの実施形態において、3:97〜30:70、いくつかの実施形態において、5:95〜20:80の範囲である。
【0163】
いくつかの実施形態において、驚くべきことにおよび予想外に、ここに記載される新規な電気活性組成物を含有するデバイスは、同様なアントラセンホスト化合物に対して増加した寿命を有する。いくつかの実施形態において、式Iを有する非重水素化化合物を有する新規な電気活性組成物を含有するデバイスは、同様な重水素化アントラセンホスト化合物とほぼ同じ寿命を有する。
【0164】
いくつかの実施形態において、驚くべきことにおよび予想外に、ここに記載される新規な電気活性組成物を含有するデバイスは、同様なアントラセンホスト化合物に対して増加した効率を有する。
【0165】
4.電子デバイス
ここに記載された少なくとも1つの化合物を含有する1つ以上の層を有することから利益を得る有機電子デバイスには、限定されないが、(1)電気エネルギーを放射線に変換するデバイス(例えば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、照明デバイス、照明器具、またはダイオードレーザー)、(2)エレクトロニクスプロセスによって信号を検出するデバイス(例えば、光検出器、光導電セル、フォトレジスタ、フォトスイッチ、フォトトランジスタ、光電管、赤外検出器、バイオセンサー)、(3)放射線を電気エネルギーに変換するデバイス(例えば、光起電力デバイスまたは太陽電池)、(4)1つの波長の光をより長い波長の光に変換するデバイス(例えば、ダウンコンバート燐光体デバイス);および(5)1つ以上の有機半導体層を備える1つ以上の電子部品を備えるデバイス(例えば、トランジスタまたはダイオード)が含まれる。本発明による組成物の他の使用には、メモリ記憶デバイスのためのコーティング材料、帯電防止薄膜、バイオセンサー、エレクトロクロミックデバイス、固体電解質コンデンサ、再充電可能バッテリなどのエネルギー蓄積装置、および電磁遮蔽用途が含まれる。
【0166】
ここに記載される新規な組成物を含有する有機電子デバイス構造物の1つの図解が
図1に示される。デバイス100は、第1の電気コンタクト層、アノード層110および第2の電気コンタクト層、カソード層160、ならびにそれらの間の光活性層140を有する。付加的な層が任意選択により存在していてもよい。緩衝層と称されることもある、正孔注入層120がアノードに隣接していてもよい。正孔輸送材料を含有する正孔輸送層130が正孔注入層に隣接していてもよい。電子輸送材料を含有する電子輸送層150がカソードに隣接していてもよい。選択肢として、デバイスは、アノード110の隣に1つ以上の付加的な正孔注入層または正孔輸送層(図示せず)および/またはカソード160の隣に1つ以上の付加的な電子注入層または電子輸送層(図示せず)を使用してもよい。層120〜150は個々におよび一括して有機活性層と称される。
【0167】
いくつかの実施形態において、完全色を達成するために、発光層は異なった色のそれぞれのためのサブピクセル単位でピクセル化される。ピクセル化されたデバイスの図解が
図2に示される。デバイス200は、アノード110、正孔注入層120、正孔輸送層130、光活性層140、電子輸送層150、およびカソード160を有する。光活性層はサブピクセル141、142、143に分けられ、それらは層全体にわたって繰り返される。いくつかの実施形態において、サブピクセルは赤、青および緑色放射を示す。3つの異なったサブピクセル単位が
図2に示されるが、2つまたは3つを超えるサブピクセル単位を用いてもよい。
【0168】
図1を参照して異なった層がさらにここで考察される。。しかしながら、考察は
図2およびその他の形態にも当てはまる。
【0169】
いくつかの実施形態において、異なった層は、以下の範囲の厚さを有する:アノード110、500〜5000Å、いくつかの実施形態において、1000〜2000Å;正孔注入層120、50〜2000Å、いくつかの実施形態において、200〜1000Å;正孔輸送層130、50〜3000Å、いくつかの実施形態において、200〜2000Å;光活性層140、10〜2000Å、いくつかの実施形態において、100〜1000Å;電子輸送層150、50〜2000Å、いくつかの実施形態において、100〜1000Å;カソード160、200〜10000Å、いくつかの実施形態において、300〜5000Å。層厚さの所望の比率は、使用される材料の正確な性質に左右される。
【0170】
ここに説明される式Iを有する新規な化合物の1つ以上が、デバイスの電気活性層の1つ以上に存在していてもよい。
【0171】
いくつかの実施形態において、式Iを有する新規な化合物は、層130中の正孔輸送材料として有用である。
【0172】
いくつかの実施形態において、式Iを有する新規な化合物は層140中の光活性材料として有用である。いくつかの実施形態において、式Iを有する新規な化合物は、1つ以上のホスト材料中で光活性ドーパント材料として存在している。
【0173】
いくつかの実施形態において、新規な式Iを有する化合物とドーパントとを含む組成物は光活性層140として有用である。
【0174】
いくつかの実施形態において、有機電子デバイスはアノード、カソード、およびそれらの間の少なくとも1つの有機活性層を備え、そこで有機活性層は式Iの化合物を含有する。
【0175】
いくつかの実施形態において、有機電子デバイスはアノードと、カソードと、それらの間の光活性層とを備え、そこで光活性層は、式Iを有する化合物とドーパントとを含む組成物を含有する。
【0176】
いくつかの実施形態において、有機電子デバイスはアノードと、カソードと、それらの間の光活性層とを備え、さらに、式Iの化合物を含有する付加的な有機活性層を備える。いくつかの実施形態において、付加的な有機活性層は正孔輸送層である。
【0177】
アノード110は、正電荷キャリアを注入するために特に効率的である電極である。それは、例えば金属、混合金属、合金、金属酸化物または混合金属酸化物を含有する材料から製造され得るか、またはそれは導電性ポリマー、およびそれらの混合物であり得る。適した金属には11族金属、4族、5族、および6族の金属、ならびに8族〜10族遷移金属が含まれる。アノードが光透過性である場合、酸化インジウムスズなどの12族、13族および14族金属の混合金属酸化物が一般的に使用される。また、アノードは、“Flexible light−emitting diodes made from soluble conducting polymer,”Nature vol.357,pp477 479 (11 June 1992)に記載されるようにポリアニリンなどの有機材料を含有してもよい。アノードおよびカソードの少なくとも1つは、発生された光を観察することができるように少なくとも部分的に透明であるのがよい。
【0178】
任意選択の正孔注入層120は正孔注入材料を含有する。用語「正孔注入層」または「正孔注入材料」は、電気的導体または半導体材料を意味することが意図され、限定されないが、下位層の平坦化、電荷輸送および/または電荷注入特性、酸素または金属イオンなどの不純物の捕捉および有機電子デバイスの性能を促進するかまたは改善するための他の態様を含めた1つ以上の機能を有機電子デバイスにおいて有してもよい。正孔注入材料はポリマー、オリゴマー、または小分子であってもよく、溶液、分散体、懸濁液、エマルション、コロイド状混合物、または他の組成物の形態であってもよい。
【0179】
正孔注入層は、しばしばプロトン酸がドープされる、ポリアニリン(PANI)またはポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)などのポリマー材料で形成され得る。プロトン酸は、例えば、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)等であり得る。正孔注入層120は、銅フタロアシアニンおよびテトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタン系(TTF−TCNQ)などの電荷移動化合物等を含有することができる。いくつかの実施形態において、正孔注入層120は、導電性ポリマーとコロイド形成ポリマー酸との分散体から製造される。このような材料は、例えば、米国特許出願公開第2004−0102577号明細書、米国特許出願公開第2004−0127637号明細書、および米国特許出願公開第2005−0205860号明細書に記載されている。
【0181】
いくつかの実施形態において、層130は、式Iを有する化合物を含有する。いくつかの実施形態において、層130は式Iを有する化合物だけを含有し、操作の原理または層の際立った特性を実質的に変更する付加的な材料はそこに存在していない。
【0182】
いくつかの実施形態において、層130は他の正孔輸送材料を含有する。正孔輸送層のための正孔輸送材料の例は、例えば、KirkOthmer Encyclopedia of Chemical Technology,Fourth Edition,Vol.18,p.837860,1996,Y.Wang著に要約されている。正孔輸送小分子およびポリマーの両方を使用することができる。一般的に使用される正孔輸送分子には、限定されないが、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(TDATA);4,4’,4’’−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(MTDATA);N,N’ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD);4、4’−ビス(カルバゾル−9−イル)ビフェニル(CBP);1,3−ビス(カルバゾル−9−イル)ベンゼン(mCP);1,1ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC);N,N’ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル]−4,4’−ジアミン(ETPD);テトラキス(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA);α−フェニル4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS);p(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH);トリフェニルアミン(TPA);ビス[4(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチルフェニル)メタン(MPMP);1フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPRまたはDEASP);1,2トランス−ビス(9H−カルバゾル−9−イル)シクロブタン(DCZB);N,N,N’,N’テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB);N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス−(フェニル)ベンジジン(α−NPB);およびポルフィリン化合物、例えば銅フタロアシアニンが含まれる。一般的に使用される正孔輸送ポリマーには、限定されないが、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシラン、ポリ(ジオキシチオフェン)、ポリアニリン、およびポリピロールが含まれる。また、上述したもののような正孔輸送分子をポリスチレンおよびポリカーボネートなどのポリマー中にドープすることによって正孔輸送ポリマーを得ることができる。いくつかの場合、トリアリールアミンポリマー、特にトリアリールアミン−フルオレンコポリマーが使用される。いくつかの場合、ポリマーおよびコポリマーは架橋性である。架橋性正孔輸送ポリマーの例は、例えば、米国特許出願公開第2005−0184287号明細書およびPCT出願国際公開第2005/052027号パンフレットに見出すことができる。いくつかの実施形態において、正孔輸送層はテトラフルオロ−テトラシアノキノジメタンおよびペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸−3,4,9,10−二無水物などのp型ドーパントがドープされる。
【0183】
デバイスの適用に応じて、光活性層140は、(発光ダイオードまたは発光電気化学セルでのような)印加電圧によって活性化される発光層、(ダウンコンバート燐光体デバイスでのような)光を吸収し、より長い波長を有する光を放射する材料の層、または(光検出器または光起電力デバイスでのような)輻射エネルギーに応答し、印加バイアス電圧を使用してまたは使用せずに信号を生成する材料の層であり得る。
【0184】
いくつかの実施形態において、光活性層は、光活性材料として式Iを有する化合物を含有する。いくつかの実施形態において、光活性層はホスト材料をさらに含む。ホスト材料の例には、限定されないが、クリセン、フェナントレン、トリフェニレン、フェナントロリン、トリアジン、ナフタレン、アントラセン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、フェニルピリジン、カルバゾール、インドロカルバゾール、インドロインドール、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、ベンゾジフラン、ナフトフラン、ナフトジフラン、金属キノリネート錯体、それらの置換誘導体、それらの重水素化類似体、およびそれらの組み合わせが含まれる。いくつかの実施形態において、ホスト材料は重水素化される。
【0185】
いくつかの実施形態において、光活性層は、ホスト材料として式Iを有する化合物と光活性ドーパントとを含有する。光活性ドーパントは、上に詳細に説明されたような有機エレクトロルミネセンス(「EL」)材料であり得る。
【0186】
いくつかの実施形態において、光活性層は、第2のホスト材料をさらに含有する。第2のホスト材料の例には、限定されないが、クリセン、フェナントレン、トリフェニレン、フェナントロリン、トリアジン、ナフタレン、アントラセン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、フェニルピリジン、カルバゾール、インドロカルバゾール、インドロインドール、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、ベンゾジフラン、ナフトフラン、ナフトジフラン、金属キノリネート錯体、それらの置換誘導体、およびそれらの重水素化類似体が含まれる。
【0187】
いくつかの実施形態において、第2のホストは、トリフェニレン、カルバゾール、インドロカルバゾール、インドロインドール、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、ナフトジフラン、それらの置換誘導体、およびそれらの重水素化類似体からなる群から選択される。
【0188】
いくつかの実施形態において、式Iを有するホスト材料の、第2のホスト材料に対する重量比は、10:1〜1:10、いくつかの実施形態において、3:1〜1:3の範囲である。
【0189】
いくつかの実施形態において、光活性層140は光活性ドーパントと式Iを有するホスト材料とを含有する。
【0190】
いくつかの実施形態において、光活性層140は光活性ドーパントと式Iを有するホスト材料とだけを含有し、操作の原理または層の際立った特性を実質的に変更する付加的な材料はそこに存在しない。
【0191】
いくつかの実施形態において、光活性層140は、光活性ドーパントと、式Iを有するホスト材料と、第2のホスト材料とを含有する。
【0192】
いくつかの実施形態において、光活性層140は、光活性ドーパントと、第1の式Iを有するホスト材料と、第2のホスト材料とだけを含有し、操作の原理または層の際立った特性を実質的に変更する付加的な材料はそこに存在しない。
【0193】
ドーパントの、全ホスト材料に対する重量比は、2:98〜50:50、いくつかの実施形態において、3:97〜30:70、いくつかの実施形態において、5:95〜20:80の範囲である。
【0194】
任意選択の層150は、電子輸送を促進すると共にまた、層界面での励起子の消滅を防ぐための閉じ込め層としても役立つように機能することができる。好ましくは、この層は電子移動度を促進し、励起子の消滅を低減する。
【0195】
いくつかの実施形態において、層150は他の電子輸送材料を含有する。任意選択の電子輸送層150において使用され得る電子輸送材料の例には、金属キレート化オキシノイド化合物、例えばトリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(AlQ)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(p−フェニルフェノラト)アルミニウム(BAlq)、テトラキス−(8−ヒドロキシキノラト)ハフニウム(HfQ)およびテトラキス−(8−ヒドロキシキノラト)ジルコニウム(ZrQ)などの金属キノレート誘導体など;およびアゾール化合物、例えば2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、および1,3,5−トリ(フェニル−2−ベンゾイミダゾール)ベンゼン(TPBI)など;キノキサリン誘導体、例えば2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリンなど;4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DPA)およびフェナントロリン、例えば2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DDPA)など;トリアジン;フラーレン;およびそれらの混合物が含まれる。いくつかの実施形態において、電子輸送材料は、金属キノレートおよびフェナントロリン誘導体からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、電子輸送層はn−ドーパントをさらに含有する。N−ドーパント材料は公知である。n−ドーパントには、限定されないが、1族および2族金属;1族および2族金属塩、例えばLiF、CsF、およびCs
2CO
3;1族および2族金属有機化合物、例えばLiキノレート;および分子n−ドーパント、例えばロイコ染料、金属錯体、例えばW
2(hpp)
4(式中、hpp=1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−2H−ピリミド−[1,2−a]−ピリミジンである)およびコバルトセン、テトラチアナフタセン、ビス(エチレンジチオ)テトラチアフルバレン、複素環ラジカルまたはジラジカル、および複素環式ラジカルまたはジラジカルのダイマー、オリゴマー、ポリマー、ジスピロ化合物および多環が含まれる。
【0196】
任意選択の電子注入層が電子輸送層の上に堆積されてもよい。電子注入材料の例には、限定されないが、Li含有有機金属化合物、LiF、Li
2O、Liキノレート、Cs含有有機金属化合物、CsF、Cs
2O、およびCs
2CO
3が含まれる。この層は、下にある電子輸送層、上にあるカソード、または両方と反応してもよい。電子注入層が存在しているとき、堆積された材料の量は一般的に1〜100Å、いくつかの実施形態において1〜10Åの範囲である。
【0197】
カソード160は、電子または負電荷キャリアを注入するために特に効率的である電極である。カソードは、アノードよりも低い仕事関数を有する任意の金属または非金属であり得る。カソード用の材料は、1族のアルカリ金属(例えば、Li、Cs)、2族(アルカリ土類)金属、稀土類元素およびランタニド、ならびにアクチニドを含めた12族金属から選択され得る。アルミニウム、インジウム、カルシウム、バリウム、サマリウムおよびマグネシウムなどの材料、ならびに組み合わせを使用することができる。
【0198】
有機電子デバイスにおいて他の層を有することが知られている。例えば、注入される正電荷の量を制御するおよび/または層のバンドギャップ整合を提供する、または保護層として機能する、アノード110と正孔注入層120との間の層(図示せず)があり得る。銅フタロアシアニン、オキシ窒化ケイ素、フルオロカーボン、シランなどの当技術分野に公知の層、または例えばPtなどの金属の極薄層を使用することができる。あるいは、アノード層110、活性層120、130、140、および150、またはカソード層160のうちのいくつかまたは全てを表面処理して、電荷キャリア輸送効率を増加させることができる。構成層それぞれの材料の選択は好ましくは、高いエレクトロルミネセンス効率を有するデバイスを提供するためにエミッター層中の正電荷および負電荷のバランスをとることによって決定される。
【0199】
それぞれの機能性層は2つ以上の層から構成され得るということは理解されたい。
【0200】
デバイス層は蒸着、液体堆積、および熱転写などの任意の堆積技術、または技術の組み合わせによって形成され得る。ガラス、プラスチック、および金属などの基材を使用することができる。熱蒸発、化学蒸着等の従来の蒸着技術を使用することができる。有機層は、限定されないがスピンコーティング、浸漬コーティング、ロールツーロール技術、インクジェット印刷、連続ノズル印刷、スクリーン−印刷、グラビア印刷等などの従来のコーティングまたは印刷技術を使用して、適した溶媒中の溶液または分散体から適用され得る。
【0201】
液体堆積方法については、特定の化合物または関連したクラスの化合物のための適した溶媒は、当業者によって容易に決定され得る。
【0202】
いくつかの実施形態において、正孔輸送層は、液体媒体中の正孔輸送材料と任意の付加的な材料との液相堆積によって形成される。いくつかの実施形態において、液体媒体は1つ以上の有機溶媒を含有する。いくつかの実施形態において、有機溶媒は芳香族溶媒である。いくつかの実施形態において、有機液体は、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、アニソール、N−メチル−2−ピロリドン、テトラリン、1−メトキシナフタレン、シクロヘキシルベンゼン、およびそれらの混合物から選択される。正孔輸送材料は、0.2〜5パーセント(w/v)、いくつかの実施形態において、0.4〜3パーセント(w/v)の濃度において液体媒体中に存在し得る。
【0203】
いくつかの実施形態において、光活性層は、液体媒体中の光活性材料および任意のホスト材料との液相堆積によって形成される。液体媒体として使用されてもよい溶媒の適したクラスには、限定されないが、脂肪族炭化水素(例えばデカン、ヘキサデカン、およびデカリン)、ハロゲン化炭化水素(例えば塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ベンゾトリフルオリド、およびペルフルオロヘプタン)、芳香族炭化水素(例えば非置換およびアルキル−およびアルコキシ置換ベンゼン、トルエンおよびキシレン)、芳香族エーテル(例えばアニソール、ジベンジルエーテル、およびフッ素化誘導体)、ヘテロ芳香族化合物(例えばピリジン)極性溶媒(例えばテトラヒドロピラン、ジメチルアセトアミド、Nメチルピロリドン、および例えばアセトニトリルなどのニトリル)、エステル(例えばエチルアセテート、プロピレンカーボネート、メチルベンゾエート、および例えばトリブチルホスフェートなどの燐酸エステル)、アルコールおよびグリコール(例えばイソプロパノールおよびエチレングリコール)、グリコールエーテルおよび誘導体(例えばプロピレングリコールメチルエーテルおよびプロピレングリコールメチルエーテルアセテート)、ケトン(例えばシクロペンタノンおよびジイソブチルケトン)、およびそれらの混合物が含まれる。
【0204】
いくつかの実施形態において、デバイスは、全ての層の蒸着によって製造される。
【0205】
いくつかの実施形態において、デバイスは、正孔注入層、正孔輸送層、および光活性層の液体堆積によって、ならびにアノード、電子輸送層、電子注入層およびカソードの蒸着によって製造される。
【0206】
ここに記載された新規な組成物を使用して製造されたデバイスの効率は、デバイス中の他の層を最適化することによってさらに改良され得るということは理解されたい。例えば、Ca、BaまたはLiFなどのより効率的なカソードを使用することができる。また、造形基材と、動作電圧の低下をもたらすかまたは量子効率を増加させる新規な正孔輸送材料とが適用できる。また、付加的な層を加えて様々な層のエネルギーレベルを調整し、エレクトロルミネセンスを促進することができる。
【0207】
いくつかの実施形態において、デバイスは順に、以下の構造:アノード、正孔注入層、正孔輸送層、光活性層、電子輸送層、電子注入層、カソードを有する。
【0208】
本明細書に記載されるものと同様のまたは同等な方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、適切な方法および材料は、以下に記載される。さらに、材料、方法、および実施例は説明のためのものにすぎず、限定することを意図するものではない。本明細書に記載される全ての刊行物、特許出願、特許及びおよび他の参照文献は、参照によりその全体が組み込まれる。
【実施例】
【0209】
本明細書に記載される概念は、以下の実施例においてさらに説明され、実施例は、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものではない。
【0210】
合成例1
この実施例は、式Iを有する化合物、化合物1の調製を説明する。
【0211】
化合物は以下のスキームによって調製することができる:
【0212】
【化13】
(式中、Pd/Pはホスフィン化合物と組み合わせたパラジウム触媒を表わし、Δは加熱を示す。)
【0213】
等モル量の材料1および2をトルエン中に溶解することができる。これに4モル当量の2M Na
2CO
3溶液を添加することができ、かつ溶液をアルゴンで30分間スパージすることができる。これに0.05モル当量のPd(PPh
3)
4を添加することができ、かつ混合物を6時間90℃で撹拌することができる。冷却後に、反応混合物を濾過して濃縮し、材料3を得ることができる。
【0214】
材料3をジクロロメタン中でBr
2で臭素化して材料4を得ることができる。
【0215】
等モル量の材料4および5をトルエン中に溶解することができる。これに4モル当量の2M Na
2CO
3溶液を添加することができ、かつ溶液をアルゴンで30分間スパージすることができる。これに0.05モル当量のPd(PPh
3)
4を添加することができ、かつ混合物を6時間90℃で撹拌することができる。冷却後に、反応混合物を濾過して濃縮し、化合物1を得ることができる。化合物1をカラムクロマトグラフィーによって精製することができる。
【0216】
合成例2
この実施例は式Iを有する化合物、化合物2の調製を説明する。
【0217】
化合物は以下のスキームによって調製することができる:
【0218】
【化14】
【0219】
窒素雰囲気下で、4モル当量のAlCl
3をペルジュウテロベンゼン中に溶解された合成実施例1からの10モル当量の化合物1に添加することができる。得られた混合物を室温で6時間撹拌することができ、その後にD
2O(50mL)を添加することができる。層を分離することができ、有機層を乾燥させて濃縮し、化合物2を得ることができる。粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製することができる。
【0220】
合成比較例A
以下のスキームにおいて示されるように、比較化合物Aを合成実施例1に似た方法で製造することができる。
【0221】
【化15】
【0222】
合成比較例B
以下のスキームにおいて示されるように、比較化合物Bを合成実施例2に似た方法で製造することができる。
【0223】
【化16】
【0224】
デバイス実施例:
(1)材料
比較化合物Bは上に示された構造を有する。
ドーパントD−1は、ビス(ジアリールアミノ)ベンゾフルオレンである。このような材料は、例えば、米国特許第8,465,848号明細書に記載されている。
ET−1はアリールホスフィンオキシドである。
ET−2はリチウムキノレートである。
HIJ−1は、電気導電性ポリマーとポリマーフッ素化スルホン酸との水性分散体から製造される正孔注入材料である。
HIJ−2は、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリルである。
HTM−1はアリールアミノ−フェナントレンである。
NPDは、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミンである。
【0225】
(2)デバイスの製造
OLEDデバイスは、溶液加工と熱蒸発技術との組み合わせによって製造された。Thin Film Devices,Inc製のパターン化された酸化インジウムスズ(ITO)被覆ガラス基材を使用した。これらのITO基材は、30ohms/平方のシート抵抗および80%光の透過率を有するITO被覆Corning1737ガラスをベースとしている。パターン化ITO基材を洗剤水溶液中で超音波清浄し、蒸留水で洗った。その後、パターン化ITOをアセトン中で超音波清浄し、イソプロパノールで洗い、窒素ストリーム中で乾燥させた。
【0226】
デバイスの製造の直前に、清浄されたパターン化ITO基材をUVオゾンで10分間処理した。冷却直後に、HIJ−1の水性分散体をITO表面の上にスピンコートし、加熱して溶媒を除去し、短絡低減層(「SRL」)を形成した。次に、加工物を真空チャンバ内に置いた。次に、適切なマスクを使用して熱的蒸発によって順次に、正孔注入材料、第1の正孔輸送材料、第2の正孔輸送材料、光活性およびホスト材料、電子輸送材料、電子注入材料、およびAlカソードを堆積させて、正孔注入層(「HIL」)、1つ以上の正孔輸送層(「HTL」)、光活性層または発光層(「EML」)、電子輸送層(「ETL」)、および電子注入層(「EIL」)、その後に、カソードを形成した。チャンバをベントし、ガラス蓋、乾燥剤、および紫外線硬化性エポキシを使用してデバイスを封入した。
【0227】
(3)デバイスの特性決定
OLED試料を特性決定するため、それらの(1)電流−電圧(IV)曲線、(2)エレクトロルミネセンス輝度対電圧、および(3)エレクトロルミネセンススペクトル対電圧を測定した。3つの全ての測定を同時に実施し、コンピュータによって制御した。特定の電圧でのデバイスの電流効率は、LEDのエレクトロルミネセンス輝度をデバイスを運転するために必要とされる電流密度で割ることによって求められる。単位はcd/Aである。電力効率は、電流効率を動作電圧で割った値である。単位はlm/Wである。Minolta CS−100測色計またはPhotoresearch PR−705測色計のどちらかを使用して色座標を決定した。
【0228】
デバイスの実施例1〜3
(参考)
これらの実施例は、ホスト材料として式Iを有する新規な化合物を含有する光活性層を有するデバイスの性能を説明する。
【0229】
デバイスは、順に、構造を有した(全てのパーセンテージは層の全重量に基づいた重量による):
ガラス基材
アノード: ITO(50nm)
SRL: HIJ−1(100nm)
HIL: HIJ−2(7nm)
HTL1: NPD(90nm)
HTL2: HTM−1(20nm)
EML:表1に示されるようなホストおよびドーパントD−1(25nm)
ETL: ET−1:ET−2(1:1重量比)(26.2nm)
EIL: ET−2(3.5nm)
カソード: Al(100nm)
【0230】
結果を表1に示す。
【0231】
【表1】
【0232】
特に断りがない限り、全てのデータは1000ニトにおけるものである。比はホスト:ドーパント重量比であり;CEはcd/A単位の電流効率であり;EQE=パーセンテージとしての外部量子効率であり;CIExおよびCIEyC.I.E.色度スケール(国際照明委員会、1931)によるxおよびy色座標を意味し;Vは電圧@15mA/cm
2であり;T80は、デバイスが16.5mA/cm
2の電流密度および50℃において初期輝度の80%に達するためのh単位の時間である。
【0233】
デバイス実施例4〜6および比較例A
これらの実施例は、ホスト材料として式Iを有する新規な化合物を含有する光活性層を有するデバイスの性能を説明する。
【0234】
デバイスは、ホストおよび比が表2に示されること以外は、デバイス実施例1〜3におけるのと同じ構造を有した。
【0235】
結果を表2に示す。
【0236】
【表2】
【0237】
特に断りがない限り、全てのデータは1000ニトにおけるものである。比はホスト:ドーパント重量比であり;CEはcd/A単位の電流効率であり;EQE=パーセンテージとしての外部量子効率であり;CIExおよびCIEyはC.I.E.色度スケール(国際照明委員会、1931)によるxおよびy色座標を意味し;Vは電圧@15mA/cm
2であり;T80は、デバイスが16.5mA/cm
2の電流密度および50℃において初期輝度の80%に達するためのh単位の時間である。
【0238】
一般的な説明または実施例において上述される作業の全てが必要であるわけではなく、特定の作業の一部が必要でなくてもよく、1つ以上のさらなる作業が、記載されている作業に加えて行われてもよいことに留意されたい。さらにまた、作業が列挙される順序は、必ずしも作業が行われる順序ではない。
【0239】
上記の本明細書において、本発明は、特定の実施形態を参照して説明されている。しかしながら、様々な改変および変更が、以下の特許請求の範囲に説明する本発明の範囲から逸脱することなく行い得ることを当業者なら理解されるであろう。したがって、本明細書は、限定的な意味ではなく例示に関連し、全てのそのような修正形態が本発明の範囲内に含まれるように意図される。
【0240】
利益、他の利点、および問題の解決策が特定の実施形態に関して前述された。しかしながら、利益、他の利点および問題の解決策、ならびに利益、任意の利点または問題の解決策を生じ得るか、またはより強調させ得る任意の特徴は、任意のまたは全ての請求項の重要であるか、必要とされるか、または不可欠な特徴として解釈されない。
【0241】
明確にするために、特定の特徴が別個の実施形態の文脈でここに記載され、また、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが理解されるべきである。反対に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で記載される様々な特徴はまた、別個で、または任意の下位組み合わせで提供されてよい。ここに指定された様々な範囲の数値の使用は、記載範囲内の最小値および最大値が両方とも「約」という語によって先行されるかのように近似値として記載される。この方法において、記載範囲の上下に僅かな差を用いて、範囲内の値と実質的に同じ結果を実現できる。また、これらの範囲の開示は、1つの値の成分のいくつかが異なる値の成分のいくつかと混ぜられる時に生じ得る小数値を含む最小平均値と最大平均値との間のあらゆる値を含む連続した範囲であると意図される。さらに、より広いおよびより狭い範囲が開示されるとき、1つの範囲からの最小値を別の範囲からの最大値と一致させることは本発明の予想の範囲内であり逆もまた同様である。