特許第6789614号(P6789614)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6789614
(24)【登録日】2020年11月6日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】不揮発性金属材料をエッチングする方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/8239 20060101AFI20201116BHJP
   H01L 27/105 20060101ALI20201116BHJP
   H01L 43/12 20060101ALI20201116BHJP
   H01L 43/08 20060101ALI20201116BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20201116BHJP
   H01L 21/308 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   H01L27/105 447
   H01L43/12
   H01L43/08 Z
   H01L21/302 105A
   H01L21/308 F
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-63653(P2015-63653)
(22)【出願日】2015年3月26日
(65)【公開番号】特開2015-216360(P2015-216360A)
(43)【公開日】2015年12月3日
【審査請求日】2018年3月23日
(31)【優先権主張番号】61/971,032
(32)【優先日】2014年3月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/325,190
(32)【優先日】2014年7月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サマンサ・エス.・エイチ.・タン
(72)【発明者】
【氏名】ウェンビン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】メイファ・シェン
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ピー.・ジャネク
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・マークス
(72)【発明者】
【氏名】ハーミート・シン
(72)【発明者】
【氏名】トルステン・リル
【審査官】 宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−332045(JP,A)
【文献】 特開2001−240985(JP,A)
【文献】 特開2013−016587(JP,A)
【文献】 特開2007−158361(JP,A)
【文献】 特開2012−038815(JP,A)
【文献】 特表2013−524515(JP,A)
【文献】 特開2006−060172(JP,A)
【文献】 特開2009−253303(JP,A)
【文献】 特表2012−508471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/8239
H01L 21/3065
H01L 21/308
H01L 27/105
H01L 43/08
H01L 43/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードマスクの下に、かつピン止め層を伴う磁気トンネル接合(MTJ)スタックの上に、Ru含有層を配されたスタックをエッチングする方法であって、
ドライエッチングによって、導電材料層を有する前記ハードマスクをパターン形成することと、
前記パターン形成されたハードマスクを使用して前記Ru含有層をエッチングすることと、
前記MTJスタックをエッチングすることと、
前記MTJスタックに誘電体材料を被せることと、
前記MTJスタックへの被せに続いて、前記ピン止め層をエッチングすることと、
を備え、
前記ハードマスクをエッチングすること、前記Ru含有層をエッチングすること、前記MTJスタックをエッチングすること、前記MTJスタックへの被せを行うこと、および前記ピン止め層をエッチングすることは、1つのプラズマ処理チャンバの中で実施される、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記MTJスタックのエッチングは、化学エッチャントガスに代わり、不活性ガスから形成されるプラズマによる低バイアススパッタリングを使用する、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記低バイアススパッタリングは、10ボルトから500ボルトのバイアスを提供する、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記Ru含有層をエッチングすることは、ウェットエッチングを提供する、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記MTJスタックは、少なくとも1枚のCoFe層と、少なくとも1枚のMgO層とを含む、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記ピン止め層は、少なくとも1枚のPtMn層を含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記Ru含有層のエッチングは、ヒポクロリットおよび/またはO3ベースの化学剤を使用する、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記Ru含有層をエッチングすることは、ウェットエッチングを提供する、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記MTJスタックは、少なくとも1枚のCoFe層と、少なくとも1枚のMgO層とを含む、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記ピン止め層は、少なくとも1枚のPtMn層を含む、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
前記MTJスタックをエッチングすることは、不活性衝撃ガスを使用し、これは、化学エッチャントガスを伴うことなく物理的衝撃を提供する、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、
前記被せの誘電体材料は、シリコンベースの誘電体材料である、方法。
【請求項13】
ピン止め層上の磁気トンネル接合(MTJ)スタック上のRu含有層上のハードマスクを含むスタックをエッチングする方法であって、
ドライエッチングによって、導電材料層を有する前記ハードマスクをパターン形成することと、
前記パターン形成されたハードマスクを使用して前記Ru含有層をエッチングすることであって、ヒポクロリットおよび/またはO3ベースの化学剤を使用する前記Ru含有層のエッチングと、
前記MTJスタックを前記ピン止め層までエッチングして、前記MTJスタックをパターン形成することと、
前記ハードマスク、前記Ru含有層、および前記パターン形成されたMTJスタックの各側壁を、前記ピン止め層の上面まで、誘電体材料で密封することと、
前記ピン止め層をエッチングすることと、
を備える方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記MTJスタックをエッチングすることは、化学エッチャントガスに代わり、不活性ガスから形成されるプラズマによる低バイアススパッタリングを使用し、前記低バイアススパッタリングは、10ボルトから500ボルトのバイアスを提供する、方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であって、
前記MTJスタックは、少なくとも1枚のCoFe層と、少なくとも1枚のMgO層とを含む、方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法であって、
前記MTJスタックを密封することは、シリコンベースの誘電体材料によって前記MTJスタックを密封する、方法。
【請求項17】
ハードマスクの下に配されたRu含有層の下に配されたMTJスタックの下にピン止め層を配されたスタックをエッチングする方法であって、
前記ハードマスクをドライエッチングによってエッチングすることと、
前記Ru含有層をエッチングすることと、
前記MTJスタックをエッチングすることと、
前記MTJスタックに誘電体材料を被せることと、
SOCl2/ピリジン混合物、HBr/DMSO混合物、またはCCl4と、DMSO、アセトニトリル、ベンゾニトリル、またはジメチルホルムアミド(DMF)の少なくとも1つと、の混合物を含む、貴金属に対して選択性の化学剤によって前記ピン止め層をエッチングすることと、
を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づいて、2014年3月27日に出願され発明の名称を「METHODS TO ETCH AND TO REMOVE POST ETCH METALLIC RESIDUE(エッチングの方法およびエッチング後の金属残留物を除去する方法)」とする米国仮特許出願第61/971,032号の優先権を主張する。該出願は、あらゆる目的のために、参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、半導体素子の製造中にマスクを通して不揮発性材料の層をエッチングすることに関する。本発明は、特に、金属磁気トンネル接合(MTJ)スタックをエッチングすることに関する。
【0003】
半導体ウエハの処理中は、金属を含有する層に特徴がエッチングされることがある。磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)または抵抗性ランダムアクセスメモリ(RRAM(登録商標))素子の形成では、複数の薄い金属層または金属膜を順次エッチングすることができる。MRAMの場合は、磁気トンネル接合スタックを形成するために、複数の薄い金属層を形成することができる。
【発明の概要】
【0004】
上記を実現するためにおよび本発明の目的にしたがって、ハードマスクの下にかつピン止め層を伴う磁気トンネル接合(MTJ)スタックの上にRu含有層を配されたスタックをエッチングする方法が提供される。ハードマスクは、ドライエッチングによってエッチングされる。Ru含有層は、ヒポクロリット(次亜鉛素酸塩)および/またはO3ベースの化学剤を使用してエッチングされる。MTJスタックは、エッチングされる。MTJスタックには、誘電体材料が被せられる。ピン止め層は、MTJへの被せに続いてエッチングされる。
【0005】
本発明の別の一顕現では、ピン止め層上の磁気トンネル接合(MTJ)スタック上のRu含有層上のハードマスクを含むスタックをエッチングする方法が提供される。ハードマスク、Ru含有層、およびMTJスタックは、エッチングされる。MTJスタックは、密封される。ピン止め層は、エッチングされる。
【0006】
本発明の別の一顕現では、ハードマスク層の下に配されたRu含有層の下に配されたMTJスタックの下にピン止め層を配されたスタックをエッチングする方法が提供される。ハードマスクは、ドライエッチングによってエッチングされる。Ru含有層は、エッチングされる。MTJスタックは、エッチングされる。MTJスタックには、誘電体材料が被せられる。ピン止め層は、SOCl2/ピリジン混合物、HBr/DMSO混合物、またはCCl4とDMSO、アセトニトリル、ベンゾニトリル、またはジメチルホルムアミド(DMF)の少なくとも1つとの混合物を含む、貴金属に対して選択性の化学剤によってエッチングされる。
【0007】
本発明のこれらのおよびその他の特徴は、下記の図面と併せて以下の発明の詳細な説明のなかでさらに詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明は、添付の図面において、限定的なものではなく例示的なものとして示され、図中、類似の参照符号は、同様の要素を指すものとする。
【0009】
図1】本発明の一実施形態を示したハイレベルフローチャートである。
【0010】
図2A】本発明の一実施形態にしたがって処理されるスタックを示した概略図である。
図2B】本発明の一実施形態にしたがって処理されるスタックを示した概略図である。
図2C】本発明の一実施形態にしたがって処理されるスタックを示した概略図である。
図2D】本発明の一実施形態にしたがって処理されるスタックを示した概略図である。
図2E】本発明の一実施形態にしたがって処理されるスタックを示した概略図である。
図2F】本発明の一実施形態にしたがって処理されるスタックを示した概略図である。
図2G】本発明の一実施形態にしたがって処理されるスタックを示した概略図である。
【0011】
図3】エッチングに使用可能なエッチングリアクタを示した概略図である。
【0012】
図4】本発明の実施形態において使用されるコントローラを実現するのに適したコンピュータシステムを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明は、添付の図面に示されたその幾つかの好ましい実施形態を参照にして、詳細に説明される。以下の説明では、本発明の完全な理解を与えるために、数々の具体的詳細が明記されている。しかしながら、当業者にならば、本発明が、これらの詳細の一部または全部を伴わなくても実施可能であることが明らかである。また、本発明を不必要に不明瞭にしないために、周知のプロセス工程および/または構造の詳細な説明は、省略されている。
【0014】
理解を促すために、図1は、本発明の一実施形態において使用されるプロセスを示したハイレベルフローチャートである。ハードマスクの下にかつ磁気トンネル接合(MTJ)スタックの上にRu含有層を配されたスタックを伴う基板が提供される。ハードマスクは、エッチングされるまたは開口される(工程104)。Ru含有層は、ヒポクロリットおよび/またはオゾンベースの化学剤を使用してエッチングされる(工程108)。MTJスタックは、エッチングされる(工程112)。エッチングされたMTJスタックは、密封される(工程116)。磁気ピン止め層は、エッチングされる(工程120)。このような磁気ピン止め層は、あらゆる目的のために参照によって本明細書に組み込まれるDevelopment of the magnetic tunnel junction MRAM at IBM: From first junctions to a 16-Mb MRAM demonstrator chip, IBM J. RES. & DEV. VOL. 50 NO. 1 JANUARY 2006で説明されている。
【0015】
実施例
図2Aは、スタック200を示した断面図であり、このスタックは、この実施例では、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)のために使用される。この実施例では、スタック200のボトム層は、基板を覆って形成されるタンタルベリリウム(TaBe)層204である。TaBe層204を覆ってプラチナマンガン(PtMn)層208が形成される。PtMn層208を覆って第1のコバルト鉄(CoFe)層212が形成される。第1のCoFe層212を覆って第1のルテニウム(Ru)層216が形成される。第1のRu層216を覆って第2のCoFe層220が形成される。第2のCoFe層220を覆って第1の酸化マグネシウム(MgO)層224が形成される。第1のMgO層224を覆って第3のCoFe層228が形成される。第3のCoFe層228を覆って第2のMgO層232が形成される。第2のMgO層232を覆ってチタン(Ti)層236が形成される。Ti層236を覆って第4のCoFe層240が形成される。第4のCoFe層240を覆って第1のタンタル(Ta)層248が形成される。第1のTa層248を覆って第2のRu層252が形成される。第2のRu層252を覆って第2のTa層256が形成される。第2のTa層256を覆って窒化チタン(TiN)層260および窒化シリコン(SiN)層264を含むマスクがパターン形成される。この実施例では、第1のCoFe層212および第1のTa層248を含むこれら両者の間の層が、磁気トンネル接合(MTJ)層268を形成する。PtMn層208およびTaBe層204は、ピン止め層270を形成する。ピン止め層270は、その他の材料で形成されてもよい。
【0016】
一実施形態では、1つのプラズマエッチングチャンバの中で、全ての処理を実施することができる。図3は、このような一実施形態を実施するために使用可能なエッチングリアクタを示した概略図である。本発明の1つ以上の実施形態において、エッチングリアクタ300は、チャンバ壁350によって囲われたエッチングチャンバ349内に、ガス入口を提供するガス分配板306と、チャック308とを含んでいる。エッチングチャンバ349内において、スタックを上に形成される基板304が、チャック308の上に位置決めされる。チャック308は、基板304を保持するために、静電チャック(ESC)としてESC源348からのバイアスを提供することができる、または基板304を保持するために、別の把持力を使用することができる。加熱ランプなどの熱源310が、金属層を加熱するために提供される。エッチングチャンバ349には、分配板306を通じて前駆体ガス源324がつながれる。
【0017】
図4は、本発明の実施形態において使用されるコントローラ335を実現するのに適したコンピュータシステム400を示したハイレベルブロック図である。コンピュータシステムは、集積回路、プリント回路基板、および小型携帯用端末から巨大スーパコンピュータに至る数多くの物理的形態をとることができる。コンピュータシステム400は、1つ以上のプロセッサ402を含み、さらに、(グラフィックス、テキスト、およびその他のデータを表示するための)電子ディスプレイ装置404と、メインメモリ406(例えばランダムアクセスメモリ(RAM))と、記憶装置408(例えばハードディスクドライブ)と、着脱式記憶装置410(例えば光ディスクドライブ)と、ユーザインターフェース装置412(例えばキーボード、タッチ画面、キーパッド、マウス、またはその他のポインティングデバイスなど)と、通信インターフェース414(例えばワイヤレスネットワークインターフェース)とを含むことができる。通信インターフェース414は、リンクを通じてコンピュータシステム400と外部装置との間でソフトウェアおよびデータが移行されることを可能にする。システムは、また、上記の装置/モジュールを接続された通信インフラストラクチャ416(例えば通信バス、クロスオーバー、またはネットワーク)も含んでいてよい。
【0018】
通信インターフェース414を通じて伝達される情報は、ワイヤもしくはケーブル、光ファイバ、電話回線、携帯電話リンク、無線周波数リンク、および/またはその他の通信チャネルを使用して具現化可能な信号搬送通信リンクを通じて通信インターフェース414によって受信可能である電子信号、電磁信号、光信号、またはその他の信号などの信号の形態をとることができる。このような通信インターフェースによって、1つ以上のプロセッサ402は、上述された方法の工程を実施する過程においてネットワークから情報を受信するまたはネットワークに情報を出力することができると考えられる。さらに、本発明の方法の実施形態は、プロセッサ上のみで実行することができる、または処理の一部分を共有する遠隔プロセッサと連携してインターネットなどのネットワークを通じて実行することができる。
【0019】
「非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体」という用語は、一般に、メインメモリ、二次メモリ、着脱式記憶装置、ならびにハードディスク、フラッシュメモリ、ディスクドライブメモリ、CD−ROM、およびその他の形態の永続メモリのような記憶装置などの媒体を言い、搬送波または信号などの一過性の対象を含むと見なされてはならない。コンピュータコードの例には、コンパイラによって作成されるなどのマシンコード、およびインタープリタを使用してコンピュータによって実行される高水準コードを含むファイルがある。コンピュータ読み取り可能媒体は、搬送波に盛り込まれたコンピュータデータ信号によって伝送されプロセッサによって実行可能である一連の命令を表すコンピュータコードであってもよい。
【0020】
ハードマスクが、エッチングされるまたは開口される(工程104)。この実施例では、ハードマスクは、Ta層256である。Ta層256をエッチングするためのマスクとして、SiN層264およびTiN層260が使用される。この実施形態では、Ta層256をエッチングするために、プラズマエッチングが使用される。この実施形態では、エッチングガスとしてCl2を使用するドライエッチングを使用することができる。図2Bは、Ta層256がエッチングされた後のスタック200を示した断面図である。
【0021】
第2のRu層252が、ヒポクロリットおよび/またはオゾンベースの化学剤を使用してエッチングされる(工程108)。一実施形態では、ヒポクロリットおよびオゾン化学剤をベースにしたエッチングを提供するために、プラズマエッチングを使用することができる。別の一実施形態では、ヒポクロリットおよびオゾンベースの化学剤は、ウェットエッチングに使用することができる。このような一実施形態では、第2のRu層252をエッチングする前に、酸化シリコン残留物を除去するために希釈フッ化水素(dHF)による事前洗浄を使用することができる。第2のRu層252をエッチングするためのウェットエッチングでは、NaClO水溶液を使用することができる。この実施例では、Ruエッチングは、NaClO水溶液を使用してウェットエッチングされる。その他のヒポクロリットエッチングプロセスには、pH>12であるNaフリー溶液中のHClO、有機溶媒中の有機ヒポクロリットR−OCl、Rを含むアルキル(−CH3、−CH2CH3、−C(CH33など)、シクロアルキル、または芳香族カルボニルがある。図2Cは、第2のRu層252がエッチングされた後のスタック200を示した断面図である。pH>12であるオゾン含有水溶液を使用したRuウェットエッチングの例には、オゾン飽和NaOH、NH4OH、または水酸化テトラメチルアンモニウム溶液がある。
【0022】
MTJスタック268は、ピン止め層内への落ち込みを伴ってエッチングされる(工程112)。落ち込みは、MTJとピン止め層との境界を密閉するために、引き続き誘電体による被せを行うことを可能にする。この実施形態では、MTJスタック268をエッチングするために、低バイアスイオンスパッタリングが使用される。この実施形態では、この工程中に使用されるガスは、基本的にアルゴン(Ar)からなる。好ましくは、低バイアスは、10ボルトから500ボルトの間のバイアスを提供する。より好ましくは、低バイアスは、20ボルトから300ボルトの間である。最も好ましくは、低バイアスは、100ボルトから200ボルトの間である。化学エッチャントガスを伴わずに不活性衝撃ガスのみを伴う低バイアスイオンスパッタリングは、MTJ堆積が少ないMTJエッチングを提供することが、予期せず見いだされた。化学エッチャントガスは、化学反応を使用してエッチングを行う成分を伴うガスである。不活性衝撃ガスは、エッチングのために化学反応を使用するのではなく、物理的衝撃のみを使用する。図2Dは、第2のMTJスタック268がエッチングされた後のスタック200を示した断面図である。
【0023】
エッチングされたMTJスタック268は、誘電体材料からなる共形絶縁層272を堆積させることによって密封される(工程116)。この被せ層272は、底部層をエッチングするための後続プロセスによって引き起こされていただろう損傷をMTJスタックが受けないようにするために、開口されたMTJスタックを封じ込める。等しく重要なのは、被せ層が、後続の層をエッチングするプロセスを、MTJスタック268をエッチングするプロセスからも隔離することである。MTJの損傷として共通する2つのカテゴリには、MTJ不足の原因となる、MTJ側壁に再堆積するエッチング生成物、およびMTJ層と反応して磁気特性を低下させる、エッチング化学剤がある。したがって、被せ層を伴うことなくスタック全体がエッチングされていた従来のプロセスでは、MTJスタックが損傷された。H2O、酸素、ハロゲンベースの化学剤によるエッチング、またはプラズマシステムによるエッチングなど、MgOまたはCoFeBを損傷させるいかなるエッチングプロセスも許容不可能である。適切な被せ層の選択は、開口されたMTJを、後続のプロセスフローにおける不具合または劣化から隔離することを可能にする。理想的な被せ層は、したがって、後続の層をエッチングするためにおよびMTJの電気/磁気特性を劣化から維持するためにMgO/CoFeBと相溶性のないものを含む多岐にわたるプロセスを活用するための窓を開くものである。SiN、SiC、SiCN、SiO2、SiOC、SiOCH3、SiOCHxCH3、Siなどのシリコンベースの誘電体膜、炭素ベースの誘電体膜(炭素、ポリマ)、窒化化合物(BN)など、多岐にわたる絶縁性被せ層が選択可能である。この実施例では、SiO2およびSiNを伴う被せ層が、実例として挙げられている。エッチングされたスタックを覆ってSiO2の層を堆積させるために、SiH4およびO2からプラズマが形成される。別の一実施形態では、SiNの層が堆積される。図2Eは、SiO2の堆積層272が堆積された後のスタック200を示した断面図である。
【0024】
堆積層272は、MTJスタック268の側壁が密封された状態で下位のPtMn層208を露出させるために、エッチバック(開口)される。この実施形態では、堆積層を開口させるために、CF4およびArによるプラズマ開口プロセスが使用される。図2Fは、堆積層272が開口された後のスタック200を示した断面図である。堆積層272の底部は、完全に除去されている。堆積層272の側壁は、薄くはなるかもしれないが、依然、MTJスタック268を密封したままである。
【0025】
ピン止め層270は、エッチングされる(工程120)。一実施形態では、ピン止め層270は、ドライプラズマエッチングによってエッチングされる。別の一実施形態では、ピン止め層270は、ウェットエッチングを使用してエッチングされる。例として、様々な比率で塩化チオニル(SOCl2)を伴うピリジン混合物、およびアセトニトリルが例として挙げられるがそれには限定されない有機溶媒に希釈された混合物が挙げられる。PtMnおよびその他の貴金属含有ピン止め層をエッチングするために、HBrとDMSOとの混合物も使用される。PtMnおよびその他の貴金属含有ピン止め層をエッチングするために、CCl4と、DMSO、アセトニトリル、ベンゾニトリル、またはジメチルホルムアミド(DMF)の少なくとも1つとの混合物も使用される。図2Gは、ピン止め層270がエッチングされた後のスタック200を示した断面図である。スタック202をMRAMにするためには、堆積層272を除去するなどのさらなる処理工程を使用することができる。
【0026】
本発明の一部の実施形態は、従来の技術に勝る多くの利点をもたらす。例えば、MTJスタック268を密封することによって、ピン止め層のエッチング中(工程120)におけるMTJスタック268の損傷が回避される。また、MTJスタック268のエッチングのために、化学エッチングまたは高バイアスイオンスパッタリングに代わって低バイアスイオンスパッタリングを使用することによって、MTJスタック268の損傷がさらに軽減される。MTJスタック268の化学エッチングは、MTJスタック268層の一部を損なうだろう。低バイアスイオンスパッタリングは、MTJスタック268材料の再堆積を抑えられることが、予期せず見いだされた。再堆積される材料は、層間の短絡を引き起こす恐れがあるので、再堆積されるMTJ材料の低減は、デバイスの品質を向上させる。このような再堆積材料の除去は、MTJ層を損傷させる恐れがある。MTJスタック268の損傷は、MRAMの磁気特性に対し、望ましくない変化を引き起こすだろう。第2のRu層252のエッチングのためにヒポクロリットおよび/またはオゾンベースの化学剤を使用すると、Ru層252に対する選択エッチングが向上されることが、予期せず見いだされた。これは、MTJスタック268のエッチングに使用されるものとは異なるエッチングレシピを必要とする。Ruは、極めて不活性である。ヒポクロリットは、不活性なRuを酸化させるために必要とされる強い酸化剤である。これら2つの工程における異なる選択エッチングは、結果として、MTJスタック268の損傷および再堆積を低減させる。その他の実施形態では、MTJスタック268は、その他の層を含んでいてよい、または別の順番であってよい、またはさらに多いもしくは少ない層を有していてよい。MTJスタック268は、MRAMを形成するために不可欠な形態である。
【0027】
本発明は、幾つかの好ましい実施形態の観点から説明されているが、本発明の範囲に含まれるものとして、代替形態、置換形態、変更形態、および代わりとなる様々な均等物がある。また、本発明の方法および装置を実現する多くの代替のやり方があることも、留意されるべきである。したがって、以下の添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨および範囲に含まれるものとして、このようなあらゆる代替形態、置換形態、および代わりとなる様々な均等物を含むことを意図される。
本発明は、たとえば、以下のような態様で実現することもできる。
適用例1:
ハードマスクの下に、かつピン止め層を伴う磁気トンネル接合(MTJ)スタックの上に、Ru含有層を配されたスタックをエッチングする方法であって、
ドライエッチングによって前記ハードマスクをエッチングすることと、
前記Ru含有層をエッチングすることであって、該エッチングは、ヒポクロリットおよび/またはO3ベースの化学剤を使用する、ことと、
前記MTJスタックをエッチングすることと、
前記MTJスタックに誘電体材料を被せることと、
前記MTJへの被せに続いて、前記ピン止め層をエッチングすることと、
を備える方法。
適用例2:
適用例1の方法であって、
前記MTJのエッチングは、化学エッチャントガスに代わり、不活性ガスから形成されるプラズマによる低バイアススパッタリングを使用する、方法。
適用例3:
適用例2の方法であって、
前記低バイアススパッタリングは、10ボルトから500ボルトのバイアスを提供する、方法。
適用例4:
適用例3の方法であって、
前記Ru含有層をエッチングすることは、ウェットエッチングを提供する、方法。
適用例5:
適用例4の方法であって、
前記MTJスタックは、少なくとも1枚のCoFe層と、少なくとも1枚のMgO層とを含む、方法。
適用例6:
適用例5の方法であって、
前記ピン止め層は、少なくとも1枚のPtMn層を含む、方法。
適用例7:
適用例6の方法であって、
前記ハードマスクをエッチングすること、前記Ru含有層をエッチングすること、前記MTJ層をエッチングすること、前記MTJ層への被せを行うこと、および前記ピン止め層をエッチングすることは、1つのプラズマ処理チャンバの中で実施される、方法。
適用例8:
適用例7の方法であって、
前記MTJスタックをエッチングすることは、不活性衝撃ガスを使用し、これは、化学エッチャントガスを伴うことなく物理的衝撃を提供する、方法。
適用例9:
適用例8の方法であって、
前記被せの誘電体材料は、シリコンベースの誘電体材料である、方法。
適用例10:
適用例1の方法であって、
前記Ru含有層をエッチングすることは、ウェットエッチングを提供する、方法。
適用例11:
適用例1の方法であって、
前記MTJスタックは、少なくとも1枚のCoFe層と、少なくとも1枚のMgO層とを含む、方法。
適用例12:
適用例1の方法であって、
前記ピン止め層は、少なくとも1枚のPtMn層を含む、方法。
適用例13:
適用例1の方法であって、
前記ハードマスクをエッチングすること、前記Ru含有層をエッチングすること、前記MTJ層をエッチングすること、前記MTJ層への被せを行うこと、および前記ピン止め層をエッチングすることは、1つのプラズマ処理チャンバの中で実施される、方法。
適用例14:
適用例1の方法であって、
前記MTJスタックをエッチングすることは、不活性衝撃ガスを使用し、これは、化学エッチャントガスを伴うことなく物理的衝撃を提供する、方法。
適用例15:
適用例1の方法であって、
前記被せの誘電体材料は、シリコンベースの誘電体材料である、方法。
適用例16:
ピン止め層上の磁気トンネル接合(MTJ)スタック上のRu含有層上のハードマスクを含むスタックをエッチングする方法であって、
前記ハードマスク、前記Ru含有層、および前記MTJスタックをエッチングすることと、
前記MTJスタックを密封することと、
前記ピン止め層をエッチングすることと、
を備える方法。
適用例17:
適用例16の方法であって、
前記MTJをエッチングすることは、化学エッチャントガスに代わり、不活性ガスから形成されるプラズマによる低バイアススパッタリングを使用し、前記低バイアススパッタリングは、10ボルトから500ボルトのバイアスを提供する、方法。
適用例18:
適用例16の方法であって、
前記MTJスタックは、少なくとも1枚のCoFe層と、少なくとも1枚のMgO層とを含む、方法。
適用例19:
適用例16の方法であって、
前記MTJスタックを密封することは、シリコンベースの誘電体材料によって前記MTJスタックを密封する、方法。
適用例20:
ハードマスク層の下に配されたRu含有層の下に配されたMTJスタックの下にピン止め層を配されたスタックをエッチングする方法であって、
前記ハードマスクをドライエッチングによってエッチングすることと、
前記Ru含有層をエッチングすることと、
前記MTJスタックをエッチングすることと、
前記MTJスタックに誘電体材料を被せることと、
SOCl2/ピリジン混合物、HBr/DMSO混合物、またはCCl4と、DMSO、アセトニトリル、ベンゾニトリル、またはジメチルホルムアミド(DMF)の少なくとも1つと、の混合物を含む、貴金属に対して選択性の化学剤によって前記ピン止め層をエッチングすることと、
を備える方法。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3
図4