(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0044】
添付の図面および以下の説明において、本明細書に記載された主題の1または複数の実施形態の詳細について説明する。他の特徴、態様、および、利点については、説明、図面、および、特許請求の範囲から明らかになる。縮尺図であると特に明記されていない限りは、以下の図の相対的な寸法は、正確な縮尺で描かれていない場合があることに注意されたい。
【0045】
本明細書で用いられているように、「半導体ウエハ」という用語は、半導体材料(例えば、シリコン)製のウエハと、一般的に半導体として識別されていないが、通例、半導体材料を上に提供される材料(例えば、誘電体および/または導電体)製のウエハと、の両方を指しうることを理解されたい。シリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウエハが、かかる例の1つである。本開示に記載の装置および方法は、200mm、300mm、および、450mm直径の半導体ウエハなど、複数のサイズの半導体ウエハの処理に利用できる。
【0046】
半導体基板上に薄膜を蒸着させるための動作は、一般に、
図1に示すような基板処理装置で実行されうる。
図1は、単一の処理ステーションを備えた処理チャンバを有する基板処理装置を示す概略図である。
【0047】
簡単のために、処理装置100は、低圧環境を維持するために処理チャンバ本体102を有する独立型の処理ステーションとして図示されている。しかしながら、複数の処理ステーションが、共通の処理ツール環境に(例えば、共通の反応チャンバ内に)含まれてもよいことがわかる。さらに、いくつかの実施形態において、処理装置100の1または複数のハードウェアパラメータ(本明細書に記載のパラメータなど)が、1または複数のシステムコントローラによってプログラム的に調整されてよいことがわかる。
【0048】
いくつかの実施形態において、コントローラは、システムの一部であってよく、そのシステムは、本明細書に記載の例の一部であってよい。かかるシステムは、1または複数の処理ツール、1または複数のチャンバ、処理のための1または複数のプラットフォーム、前駆体供給装置、および/または、特定の処理構成要素(ウエハペデスタル、ガスフローシステムなど)など、半導体処理装置を備えうる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および、処理後に、システムの動作を制御するための電子機器と一体化されてよい。電子機器は、「コントローラ」と呼ばれてもよく、システムの様々な構成要素または副部品を制御しうる。コントローラは、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、高周波(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置および動作設定、ならびに、ツールおよび他の移動ツールおよび/または特定のシステムと接続または結合されたロードロックの内外へのウエハ移動など、本明細書に開示の処理のいずれを制御するようプログラムされてもよい。
【0049】
概して、コントローラは、命令を受信する、命令を発行する、動作を制御する、洗浄動作を可能にする、エンドポイント測定を可能にすることなどを行う様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/または、ソフトウェアを有する電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または、プログラム命令(例えば、ソフトウエア)を実行する1または複数のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含みうる。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形態でコントローラに伝えられて、半導体ウエハに対するまたは半導体ウエハのための特定の処理を実行するための動作パラメータ、もしくは、システムへの動作パラメータを定義する。動作パラメータは、いくつかの実施形態において、1または複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/または、ウエハのダイの加工中に1または複数の処理工程を達成するために処理エンジニアによって定義されるレシピの一部であってよい。
【0050】
コントローラは、いくつかの実施形態において、システムと一体化されるか、システムに接続されるか、その他の方法でシステムとネットワーク化されるか、もしくは、それらの組み合わせでシステムに結合されたコンピュータの一部であってもよいし、かかるコンピュータに接続されてもよい。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあってもよいし、ウエハ処理のリモートアクセスを可能にできるファブホストコンピュータシステムの全部または一部であってもよい。コンピュータは、製造動作の現在の進捗を監視する、過去の製造動作の履歴を調べる、複数の製造動作からの傾向または性能指標を調べる、現在の処理のパラメータを変更する、現在の処理に従って処理工程を設定する、もしくは、新たな処理を開始するために、システムへのリモートアクセスを可能にしうる。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)が、ネットワーク(ローカルネットワークまたはインターネットを含みうる)を介してシステムに処理レシピを提供してよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力またはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを備えてよく、パラメータおよび/または設定は、リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例において、コントローラは、データの形式で命令を受信し、命令は、1または複数の動作中に実行される処理工程の各々のためのパラメータを指定する。パラメータは、実行される処理のタイプならびにコントローラがインターフェース接続するまたは制御するよう構成されたツールのタイプに固有であってよいことを理解されたい。したがって、上述のように、コントローラは、ネットワーク化されて共通の目的(本明細書に記載の処理および制御など)に向けて動作する1または複数の別個のコントローラを備えることなどによって分散されてよい。かかる目的のための分散コントローラの一例は、チャンバでの処理を制御するために協働するリモートに配置された(プラットフォームレベルにある、または、リモートコンピュータの一部として配置されるなど)1または複数の集積回路と通信するチャンバ上の1または複数の集積回路である。
【0051】
図1に戻ると、処理ステーション100は、分配シャワーヘッド106に処理ガスを供給するための反応物質供給システム101と流体連通している。反応物質供給システム101は、シャワーヘッド106への供給に向けて処理ガスを混合および/または調整するための混合容器
104を備える。1または複数の混合容器入口バルブ120が、混合容器
104への処理ガスの導入を制御しうる。
【0052】
いくつかの反応物質が、気化およびその後の処理チャンバ102への供給の前に、液体の形態で収容されてよい。
図1の実施形態は、混合容器
104に供給される液体反応物質を気化させるための気化ポイント103を備える。いくつかの実施形態において、気化ポイント103は、加熱された液体注入モジュールであってよい。いくつかのさらなる実施形態において、気化ポイント103は、加熱された気化器であってもよい。
【0053】
いくつかの実施形態において、気化ポイント103の上流に、液体フローコントローラ(LFC)が、気化および処理チャンバ102への供給に向けて液体の質量流量を制御するために提供されてよい。例えば、LFCは、LFCの下流に配置された熱マスフローメータ(MFM)を含みうる。次いで、LFCのプランジャバルブが、MFMと電気通信して比例積分微分(PID)コントローラによって提供されたフィードバック制御信号に応答して調節されてよい。
【0054】
シャワーヘッド106は、処理ガスおよび/または反応物質(例えば、薄膜前駆体)を処理ステーションの基板112に分配し、その流れは、シャワーヘッドの上流の1または複数のバルブ(例えば、バルブ120、120A、105)によって制御される。
図1に示した実施形態において、基板112は、シャワーヘッド106の下方に配置されており、ペデスタル108上に図示されている。シャワーヘッド106は、任意の適切な形状を有してよく、基板112へ処理ガスを分配するための任意の適切な数および配列のポートを有してよいことがわかる。
【0055】
いくつかの実施形態において、微小空間107が、シャワーヘッド106の下方に配置されている。処理チャンバの空間全体ではなく基板付近の処理ステーション内の微小空間でALD処理などの蒸着処理を実行することで、反応物質暴露時間および一掃時間を短縮する、処理条件(例えば、圧力、温度など)を変更するための時間を短縮する、処理ステーションロボットの処理ガスへの暴露を制限するなど、を実現できる。微小空間のサイズの例は、0.1リットルから2リットルまでの間の体積を含むが、これに限定されない。
【0056】
いくつかの実施形態において、ペデスタル108は、微小空間107に基板112を暴露させるため、および/または、微小空間107の体積を変化させるために、上下されてよい。例えば、基板搬送段階中に、ペデスタル108は、ペデスタル108上に基板112をロードできるように下げられてよい。基板処理段階の蒸着中に、ペデスタル108は、微小空間107内に基板112を配置するように上げられてよい。いくつかの実施形態において、微小空間107は、基板112とペデスタル108の一部とを完全に取り囲んで、蒸着処理中にフローインピーダンスの高い領域を作りうる。
【0057】
任意選択的に、ペデスタル108は、微小空間107内の処理圧力、反応物質濃度などを調節するために、蒸着処理中の一部の間に下げられてよい、および/または、上げられてよい。処理チャンバ本体102が処理中にベース圧力のままである1つのシナリオにおいて、ペデスタル108を下げることにより、微小空間107の排気を可能にしてよい。いくつかの実施形態において、ペデスタルの高さは、適切なシステムコントローラによってプログラム的に調節されてよいことがわかる。
【0058】
本明細書に記載の微小空間の変更の例では、高さ調節可能なペデスタルに言及しているが、いくつかの実施形態において、微小空間107の体積を変化させるために、シャワーヘッド
106の位置をペデスタル108に対して調節してもよいことがわかる。さらに、ペデスタル108および/またはシャワーヘッド106の垂直位置は、本開示の範囲内の任意の適切なメカニズムによって変更されてよいことがわかる。いくつかの実施形態において、ペデスタル108は、基板112の向きを回転させるための回転軸を備えてよい。いくつかの実施形態において、これらの調節の例の内の1または複数は、先述の動作の全部または一部を実行するためのマシン読み取り可能な命令を有する1または複数の適切なシステムコントローラによってプログラム的に実行されてよいことがわかる。
【0059】
さらに、
図1において、シャワーヘッド106およびペデスタル108は、プラズマに電力供給するために、RF電源114および整合回路網116と電気的に通信する。いくつかの実施形態において、プラズマエネルギは、処理ステーション圧力、ガス濃度、RF源電力、RF源周波数、および、プラズマ電力パルスタイミングの内の1または複数を制御することにより、(例えば、適切なマシン読み取り可能な命令を有するシステムコントローラを用いて)制御されてよい。例えば、RF電源114および整合回路網116は、所望の組成のラジカル種を有するプラズマを形成するために、任意の適切な電力で動作されてよい。同様に、RF電源114は、任意の適切な周波数のRF電力を供給してよい。いくつかの実施形態において、RF電源114は、高周波RF電源および低周波RF電源を互いに独立して制御するよう構成されてよい。低周波RF周波数の例は、50kHzから500kHzの間の周波数を含みうるが、これに限定されない。高周波RF周波数の例は、1.8MHzから2.45GHzの間の周波数を含みうるが、これに限定されない。任意の適切なパラメータが、表面反応にプラズマエネルギを提供するために離散的または連続的に調整されてよいことがわかる。非限定的な一例において、プラズマ電力は、連続的に電力供給されたプラズマと比べて基板表面とのイオン衝撃を削減するために、間欠的にパルス化されてよい。
【0060】
いくつかの実施形態において、ペデスタル108は、ヒータ110を用いて温度制御されてよい。さらに、いくつかの実施形態において、処理装置100のための圧力制御が、バタフライバルブ118など1または複数のバルブ式真空源によって提供されてよい。
図1の実施形態に示すように、バタフライバルブ118は、下流の真空ポンプ(図示せず)によって提供された真空をスロットル調整する。しかしながら、いくつかの実施形態において、処理装置100の圧力制御は、処理チャンバ102に導入される1または複数のガスの流量を変化させることによって調節されてもよい。いくつかの実施形態において、1または複数のバルブ式真空源(バタフライバルブ118など)は、適切なALD動作段階中に処理ステーションの周りの空間から薄膜前駆体を除去するために用いられてよい。
【0061】
処理装置100は、クリーンルームまたは製造施設に設置される時に、設備(図示せず)に接続されてよい。設備は、処理ガス、真空、温度制御、および、環境粒子制御を提供する配管を備えうる。特定の実施形態において、本明細書に詳述する技術および処理は、50℃未満、100℃未満、200℃未満の周囲温度、もしくは、基板処理、欠陥検出、または、欠陥特定に適した任意の温度で実行されてよい。これらの設備は、製造施設に設置される時に、処理装置100に接続されてよい。さらに、処理装置100は、典型的なオートメーションを用いてロボット技術により半導体ウエハを処理装置100の内外に移送することを可能にする移送チャンバに接続されてよい。
【0062】
限定はしないが、システムの例は、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、蒸着チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属メッキチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバまたはモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層蒸着(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラックチャンバまたはモジュール、レーザ計測装置、電子発生装置、ならびに、基板欠陥検出または特定に関連するかまたは利用されうる任意のその他の半導体処理システムを含みうる。
【0063】
いくつかの実施形態において、システムコントローラに関連したユーザインターフェースがあってもよい。ユーザインターフェースは、表示スクリーン(装置および/または処理条件のグラフィカルソフトウェアディスプレイ)と、ポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイクなどのユーザ入力デバイスと、を含みうる。
【0064】
図1に記載した基板処理装置などの装置を用いて蒸着処理(ALD処理など)で基板上に材料の膜を形成するための基本的な動作シーケンスが、
図2に示されている。
図2は、蒸着処理によって基板上に材料の膜を形成するための基本的な動作シーケンスを示すチャートである。
図2は、4サイクルの蒸着サイクルのための処理工程を示しており、各サイクルは、前駆体供給、RF電力供給、反応ガス供給、および、処理チャンバ加圧という処理工程を含んでいる。特定の実施形態において、
図2に示した各蒸着サイクルは、100ミリ秒、1秒、2秒、5秒、または、10秒未満の期間内で実行されてよい。
図2の処理工程は、それらに対応するラインで示されており、ブール値(オンまたはオフのいずれか)として提示されている。対応するラインが
図2に示す「オン」位置にある場合、その処理工程はオンであり、対応するラインが
図2に示す「オフ」位置にある場合、その処理工程はオフである。
【0065】
すべての4つの蒸着サイクル中、処理チャンバは、加圧されてよい。1つの蒸着サイクル202が、
図2で強調されている。この蒸着サイクル202において、蒸着サイクルの第1の段階は、ドーズ段階204であってよい。ドーズ段階204中、前駆体が処理チャンバに供給されるが、RF電力はオフであり、反応ガスは供給されない。ドーズ段階204中、基板は、前駆体を吸着して、吸着層を基板上に形成しうる。
【0066】
ドーズ段階204の後、蒸着サイクル202のパージ段階206があってよい。パージ段階206中、前駆体供給は停止するが、RF電力はまだオフであり、反応ガスもまだ供給されない。パージ段階206は、吸着した前駆体の周りの空間から、少なくとも一部の未吸着の膜前駆体および/または反応副生成物を除去しうる。
【0067】
パージ段階206の後、蒸着サイクル202は、変換段階208に入ってよい。変換段階208中は、RF電力がオンになり、反応ガスも供給される。変換段階208中、吸着した膜前駆体は、基板上に膜層を形成するように反応しうる。
【0068】
最後に、変換段階208の終了後、蒸着サイクル202は、RF後パージ段階210に入ってよい。RF後パージ210段階は、吸着した前駆体を反応させた後に、膜層の周りの空間から、存在するすべての脱着した膜前駆体および/または反応副生成物を除去しうる。
【0069】
特定の実施形態において、ドーズ段階は、基板が前駆体で完全に飽和する前に終了されてよい。かかる実施形態は、蒸着サイクル当たり、より短い処理時間を可能にして、より高い基板スループットにつながりうる。これは、特にALD処理に当てはまりうることであり、ALD処理は、通例、処理工程当たり数十回ないし数百回の蒸着サイクルを有するため、蒸着サイクル当たりに節約されるすべての時間に、サイクル回数が乗じられる。しかしながら、かかる実施形態において、基板は、前駆体で完全には飽和されないので、不均一にドーズされうる。不均一にドーズされた基板は、処理される時に不均一になり、基板の特定の部分が基板の他の部分よりも大きい厚さを有しうる。不均一な基板は、処理後の基板の品質に影響しうる。
【0070】
いくつかの実施形態では、多層の蒸着膜が、例えば、或る組成を有する複数の層を連続的に共形蒸着し、次いで、別の成分を有する複数の層を共形蒸着し、その後、これら2つのシーケンスを潜在的に繰り返して交互に行うことによって形成された交互の組成を持つ領域/部分を含んでよい。蒸着ALD膜のこれらの態様の一部は、例えば、2012年9月7日出願の米国特許出願第13/607,386号「CONFORMAL DOPING VIA PLASMA ACTIVATED ATOMIC LAYER DEPOSITION AND CONFORMAL FILM DEPOSITION」(代理人整理番号NOVLP488)に記載されており、この出願は、参照によって全ての目的で本明細書にその全体が組み込まれる。交互の組成を持つ部分を有する共形膜のさらなる例(下側のターゲットIC構造または基板領域にドープするために用いられる膜など)と、これらの膜の形成方法については、以下に詳述されている:2011年4月11日出願の米国特許出願第13/084,399号「PLASMA ACTIVATED CONFORMAL FILM DEPOSITION」(代理人整理番号NOVLP405);2011年9月23日出願の米国特許出願第13/242,084号「PLASMA ACTIVATED CONFORMAL DIELECTRIC FILM DEPOSITION」、すなわち、米国特許第 8,637,411号(代理人整理番号NOVLP427);2011年9月1日出願の米国特許出願第13/224,240号「PLASMA ACTIVATED CONFORMAL DIELECTRIC FILM DEPOSITION」(代理人整理番号NOVLP428);2012年9月7日出願の米国特許出願第13/607,386号「CONFORMAL DOPING VIA PLASMA ACTIVATED ATOMIC LAYER DEPOSITION AND CONFORMAL FILM DEPOSITION」(代理人整理番号NOVLP488);および、2014年2月28日出願の米国特許出願第14/194,549号「CAPPED ALD FILMS FOR DOPING FIN−SHAPED CHANNEL REGIONS OF 3−D IC TRANSISTORS」;これらは各々、参照によって全ての目的で本明細書にその全体が組み込まれる。
【0071】
上で参照した明細書で詳述されているように、ALD処理は、しばしば、共形の酸化シリコン膜(SiOx)を蒸着させるために用いられるが、先述の組み込まれた明細書にも開示されているように、他の化学物質の共形誘電体膜を蒸着させるために用いられてもよい。ALDで形成された誘電体膜は、いくつかの実施形態において、炭化シリコン(SiC)材料、窒化シリコン(SiN)材料、炭窒化シリコン(SiCN)材料、または、それらの組み合わせを含んでよい。シリコン−炭素−酸化物およびシリコン−炭素−酸窒化物、ならびに、シリコン−炭素−窒化物が、いくつかの実施形態のALD形成された膜に形成されてもよい。これらのタイプの膜を蒸着する方法、技術、および、動作については:2012年6月12日出願の米国特許出願第13/494,836号「REMOTE PLASMA BASED DEPOSITION OF SiOC CLASS OF FILMS」(代理人整理番号NOVLP466/NVLS003722);2013年5月31日出願の米国特許出願第13/907,699号「METHOD TO OBTAIN SiC CLASS OF FILMS OF DESIRED COMPOSITION AND FILM PROPERTIES」(代理人整理番号LAMRP046/3149);米国特許出願第14/062,648号「GROUND STATE HYDROGEN RADICAL SOURCES FOR CHEMICAL VAPOR DEPOSITION OF SILICON−CARBON−CONTAINING FILMS」;および、2014年2月28日出願の米国特許出願第14/194,549号「CAPPED ALD FILMS FOR DOPING FIN−SHAPED CHANNEL REGIONS OF 3−D IC TRANSISTORS」に詳述されており、これらは各々、参照によって全ての目的で本明細書にその全体が組み込まれる。
【0072】
ALDによる膜蒸着の他の例は、上で列挙して参照によって組み込まれた特許出願に記載されるように、ドーパント含有膜を蒸着させるための化学物質を含む(米国特許出願第13/084,399号、第13/242,084号、第13/224,240号、および、第14/194,549号)。それらに記載されているように、様々なドーパント含有薄膜前駆体が、ホウ素ドープケイ酸塩ガラス(BSG)、リンドープケイ酸塩ガラス(PSG)、ホウ素リンドープケイ酸塩ガラス(BPSG)、ヒ素(As)ドープケイ酸塩ガラス(ASG)などのドーパント含有膜を形成するために用いられてよい。ドーパント含有膜は、B
2O
3、B
2O、P
2O
5、P
2O
3、As
2O
3、As
2O
5などを含みうる。したがって、ホウ素以外のドーパントを有するドーパント含有膜が実現可能である。例としては、ガリウム、リン、または、ヒ素ドーパント、もしくは、半導体基板のドープに適切な他の元素(他のIII価およびV価の元素など)が含まれる。
【0073】
ALD処理条件に関して、ALD処理は、様々な温度で実行されてよい。いくつかの実施形態において、ALD反応チャンバ内の適切な温度は、約25℃から450℃の間、約50℃から300℃の間、約20℃から400℃の間、約200℃から400℃の間、または、約100℃から350℃の間、の範囲でありうる。
【0074】
同様に、ALD処理は、様々なALD反応チャンバ圧力で実行されてよい。いくつかの実施形態において、反応チャンバ内の適切な圧力は、約10mTorrから10Torrの間、約20mTorrから8Torrの間、約50mTorrから5Torrの間、または、約100mTorrから2Torrの間、の範囲であってよい。
【0075】
様々なRF電力レベルが、
変換段階208で用いられる場合にプラズマを生成するために用いられてよい。いくつかの実施形態において、適切なRF電力は、約100Wから10kWの間、約200Wから6kWの間、約500Wから3kWの間の間、または、約1kWから2kWの間、の範囲であってよい。
【0076】
様々な膜前駆体流量が、
ドーズ段階204で用いられてよい。いくつかの実施形態において、適切な流量は、約0.1mL/分から10mL/分の間、約0.5mL/分から5mL/分の間、または、約1mL/分から3mL/分の間、の範囲であってよい。
【0077】
様々なガス流量が、様々な動作で用いられてよい。いくつかの実施形態において、一般的なガス流量は、約1L/分から20L/分の間、または、約2L/分から10L/分の間、の範囲であってよい。
パージ段階206及びRF後パージ段階210の任意選択的な不活性パージ工程については、用いられるバースト流量が、約20L/分から100L/分の間、または、約40L/分から60L/分の間、の範囲であってよい。
【0078】
再び、いくつかの実施形態において、ベースへのポンピング工程とは、1または複数の真空ポンプを直接作用させることによって、反応チャンバをベース圧力までポンプで減圧することである。いくつかの実施形態において、ベース圧力は、通例、ほんの数ミリTorrであってよい(例えば、約1から20mTorrの間)。さらに、上述のように、ベースへのポンピング工程は、不活性パージを伴っても伴わなくてもよく、したがって、1または複数のバルブが真空ポンプへの導通路を開いた時に搬送ガスが流れてもよいし流れなくてもよい。
【0079】
また、再び、複数回のALDサイクルが、共形層のスタックを形成するために繰り返されてよい。いくつかの実施形態において、各層は、実質的に同じ組成を有してよいが、別の実施形態において、連続的にALD蒸着された層が、異なる成分を有してもよく、また、特定のかかる実施形態において、上述のように、組成が層から層へ交互に変わってもよいし、異なる組成を有する一連の層の繰り返しがあってもよい。したがって、実施形態に応じて、上で列挙して参照によって組み込まれた特許出願(米国特許第13/084,399号、13/242,084号、および、13/224,240号)に開示されたような特定の積層工学概念は、これらの膜内のホウ素、リン、または、ヒ素の濃度を調節するために利用できる。
【0080】
図3は、蒸着処理中の処理チャンバ内の前駆体の流れを示す基板処理ステーションの概略図である。基板処理ステーション300は、シャワーヘッド302と、基板306を支持するペデスタル304とを備える。
【0081】
処理ガス308が、シャワーヘッド302を介して基板306に供給される。特定の実施形態において、処理ガス308は、前駆体もしくは前駆体および搬送ガスの組み合わせであってよい。基板は、前駆体を吸着して、基板306上に吸着層を形成しうる。蒸着サイクルの特定の段階中に、前駆ガスまたはその他の処理ガスが、処理ガス308の代わりにシャワーヘッド302を介して流れてよい。
【0082】
さらに、
図3において、パージガス310が、シャワーヘッド302の外側に沿って流れている。特定の実施形態において、パージガス310は、シャワーヘッド302の背面上の蒸着を防止しうる。
【0083】
基板処理ステーション300の内部を巡る処理ガス308およびパージガス310の流れは、基板306の不均一なドーズにつながりうる。不均一なドーズは、処理後の基板の不均一性につながりうる。特定の実施形態において、基板306の表面上の処理ガス308の流れが、基板306の表面上の領域312の不均一なドーズにつながりうる。さらに、パージガス310の流れが、基板306の表面上の領域314Aおよび314Bの不均一なドーズにつながりうる。いくつかの実施形態における不均一なドーズの結果が、
図9A〜Cに示されている。
【0084】
図3の処理ガス308は、基板処理装置内の処理ガス供給システムを通して供給されてよい。処理ガス供給システムは、流路およびバルブの構成を含んでよい。前駆体ガス供給システムで利用できるバルブは、空気圧作動式および電気作動式のダイアフラムシールバルブまたはベローズシールバルブと、ALDバルブなどのマニホルドバルブ(Swagelok社のDPシリーズバルブ、ならびに、Fujikin社のMEGAシリーズ、スタンダードシリーズ、および、電気制御バルブなど)とを含む。
図4は、基板処理ステーションのための典型的な前駆体供給システムを示す概略図である。
【0085】
図4は、前駆体供給システム400を示す。
図4では、処理ガス源402が、流路404に接続されている。第1の流路404は、2つのさらなる流路(すなわち、シャワーヘッド流路406および迂回流路410)に接続されている。シャワーヘッド流路406は、シャワーヘッド408に通じている。迂回流路410は、迂回ダンプ412に通じている。
【0086】
シャワーヘッド408は、基板処理チャンバ内の基板が処理ガスから前駆体をドーズされるように、基板処理チャンバに処理ガスを導入しうる。特定の実施形態において、シャワーヘッドは、処理ガスを供給するための別の技術に代えられてもよい。特定の実施形態において、基板処理中、処理ガスは、第1の流路404を通して連続的に流れてよい。かかる実施形態において、処理ガスは、シャワーヘッド408が処理ガスを受け入れる状態にない時に、迂回ダンプ412に流れうる。
【0087】
特定の実施形態において、第1の流路404からシャワーヘッド流路406への処理ガスの流れは、シャワーヘッドバルブ414によって制御される。第1の流路404から迂回流路410への処理ガスの流れは、迂回バルブ416によって制御される。かかる実施形態では、常に、シャワーヘッドバルブ414および迂回バルブ416の一方のみが開きうる。特定の実施形態において、開閉動作中にバルブ414および416の間の重複があってよく、その場合、いずれかのバルブ414または416が閉じる前に両方のバルブが短期間だけ開状態になる。特定の別の実施形態において、シャワーヘッド流路406または迂回バルブ416のいずれかに処理ガスの流れを制御することは、単一のバルブまたは複数のバルブによってなされてよい。単一のバルブを用いた構成において、単一のバルブは、処理ガスがシャワーヘッド流路406または迂回バルブ416のいずれか一方に流れることを選択的に可能にする。
【0088】
本発明者は、処理後の基板の均一性を改善するために、
図4に示した前駆体供給システムの改良を考案した。かかる改良された前駆体供給システムは、多段前駆体供給システムと呼ばれてもよく、蒸気ベースの供給システムおよび液体供給システムの両方を備えるように実施されてよい。蒸気ベースの供給システムは、アンプルを用いて、前駆体を気化させてよい。液体供給システムは、気化器を用いて、前駆体を気化させてよい。
図5Aは、基板処理ステーションのための多段前駆体供給システムの構成を示す概略図である。
【0089】
図5Aの多段前駆体供給システム500Aは、第1の流路504に接続された第1の処理ガス源502と、第2の流路520に接続された第2の処理ガス源512とを備える。特定の実施形態において、第1の処理ガス源502からの第1の処理ガスは、前駆体および/または搬送ガスを含む処理ガスであってよい。さらに、第2の処理ガス源518からの第2の処理ガスは、前駆体および/または搬送ガスを含む処理ガスであってよい。第1および第2の処理ガスに用いられる前駆体および/または搬送ガスは、同様であってもよいし異なってもよい。搬送ガスは、アルゴン、窒素(N2)、酸素(O2)、亜酸化窒素(N2O)、ヘリウム、その他の不活性ガス、または、これらのガスの混合物などのガスであってよい。特定の別の実施形態において、搬送ガス源が、第1の流路および第2の流路の間で共有され、さらなる前駆体源が、第1の流路および/または第2の流路に接続されてもよい。かかる実施形態において、搬送ガスおよび前駆体は、シャワーヘッドに入る前の或る時点で混合されてよい。特定の実施形態において、本明細書に記載された図面の単一のバルブは、複数のバルブに代えられてもよい。
【0090】
第1の流路504は、シャワーヘッド流路506および第1の迂回流路510に流体接続されている。シャワーヘッド流路506は、シャワーヘッド508に通じており、第1の迂回流路510は、第1の迂回ダンプ512Aに通じている。第1の流路504からシャワーヘッド流路506への処理ガスの流れは、第1のシャワーヘッドバルブ524によって制御される。第1の流路504から第1の迂回流路510への処理ガスの流れは、第1の迂回バルブ526によって制御される。特定の実施形態では、常に、第1のシャワーヘッドバルブ524および第1の迂回バルブ526の一方のみが開きうる。さらに、特定の実施形態において、第1の流路は、シャワーヘッドに直接接続されてもよく、場合によっては、第1の流路およ
びシャワーヘッドの間の処理ガス流を制御する第1のシャワーヘッドバルブを伴う。かかる実施形態において
、シャワーヘッド流路はなくてもよい。
【0091】
第2の流路520は、シャワーヘッド流路506および第2の迂回流路522に流体接続されている。第2の迂回流路522は、第2の迂回ダンプ512Bに通じている。第2の流路520からシャワーヘッド流路506への処理ガスの流れは、第2のシャワーヘッドバルブ528によって制御される。第2の流路520から第2の迂回流路522への処理ガスの流れは、第2の迂回バルブ530によって制御される。特定の実施形態では、常に、第2のシャワーヘッドバルブ528および第2の迂回バルブ530の一方のみが開きうる。
【0092】
特定の実施形態において、多段前駆体供給システム500Aは、本開示において別の箇所で述べるように、コントローラによって制御されてよい。特定の実施形態において、多段前駆体供給システム500Aは、後の期間に第2の処理ガス源518からシャワーヘッド508に処理ガスを供給する前に、まず、処理ガスを第1の処理ガス源502からシャワーヘッド508に供給する。第1の処理ガスおよび第2の処理ガスの供給期間は、重複してもよい。第1の処理ガスおよび第2の処理ガスの供給期間のタイミングについては、本開示の他の箇所でより詳細に説明されている。
【0093】
図5Bは、基板処理ステーションのための多段前駆体供給システムの別の構成を示す概略図である。多段前駆体供給システム500Bは、供給システム500Aと構成が類似している。多段前駆体供給システム500Bでは、第1のシャワーヘッドバルブ524および第1の迂回バルブ526が、第1の流路バルブ532で置き換えられている。特定の実施形態において、第1の流路バルブ532は、処理ガス流を第1の流路504からシャワーヘッド流路506または第1の迂回流路510のいずれかに向かって選択的に方向付けるように構成されてよい。
【0094】
さらに、
図5Aの供給システム500Aの第2のシャワーヘッドバルブ528および第2の迂回バルブ530は、
図5Bの多段前駆体供給システム500Bにおける第2の流路バルブ534で置き換えられている。第2の流路バルブ534は、第1の流路バルブ532と同様の構成を有してよい。特定の実施形態において、第2の流路バルブ534は、処理ガス流を第2の流路520からシャワーヘッド流路506または第2の迂回流路522のいずれかに向かって選択的に方向付けてよい。
【0095】
図5Cは、基板処理ステーションのための多段前駆体供給システムのさらに別の構成を示す概略図である。多段前駆体供給システム500Cは、供給システム500Aと構成が類似している。多段前駆体供給システム500Cでは、第2の流路520が、第1の流路504の部分につながっている。したがって、第1のシャワーヘッドバルブ524は、シャワーヘッド508への第1の処理ガスおよび
第2の処理ガスの両方の流れを制御しうる。かかる構成は、第1および第2の処理ガスがシャワーヘッドへの流入を同時に停止するようにタイミングを合わせる場合に用いられてよい。かかる場合、第1のシャワーヘッドバルブ524は、両方の処理ガスの流れを同時に遮断しうる。
【0096】
多段前駆体供給システムは、第2の処理ガスの供給が第1の処理ガスの供給を補うことを可能にする。本発明者は、処理ガスの供給にさらなる第2の処理ガスを追加することが、処理後の基板の均一性改善につながりうることに気付いた。
図6Aは、多段前駆体供給システムを用いた蒸着処理の動作シーケンスの一例を示すフローチャートである。
図6Aに示す動作シーケンスは、処理後の基板の均一性改善につながりうるものであり、
図5A〜Cの多段前駆体供給システムのいずれかを基板処理装置の一部として用いて実行されてよい。
図6Aに概説するシーケンスの一部については、
図5Aの多段前駆体供給システム500Aを参照する例を用いて説明する。
【0097】
特定の実施形態において、処理ガス源からの第1および/または第2の処理ガスの流れは、マスフローコントローラ(MFC)によって制御されてよい。特定の実施形態におけるMFCは、処理ガスの流量を変更する時、リードタイム(準備期間)を有しうる。かかる実施形態において、前駆体供給システムは、処理ガスが基板処理中に連続的に流れ、処理ガスが流路内のバルブの作動によってシャワーヘッドに流れるか否かを制御することを可能にする。
【0098】
ブロック602で、第1の流路(
図5Aの第1の流路504など)に流体接続され、第1の流路からシャワーヘッドへの流れを調節するように設計された1または複数のバルブが、「フローオフ」状態に設定される。「フローオフ」状態は、処理ガスがシャワーヘッドに達することを防ぐバルブの状態であってよい。
図5Aの多段前駆体供給システム500Aの例を用いると、バルブの「フローオフ」状態が、閉状態の第1のシャワーヘッドバルブ524を有することにより、第1の処理ガス源502からの第1の処理ガスがシャワーヘッド508に流れることを防ぎうる。特定の実施形態において、第1の迂回バルブ526、もしくは、処理ガスを迂回ダンプまたは真空へ方向付けうるその他のバルブは、第1の処理ガスがシャワーヘッド508に到達できない時に、第1の処理ガスがダンプまたは真空へ迂回されることを可能にしうる。かかる状態は、第1の処理ガスが流れ続けることを可能にし、第1のシャワーヘッドバルブ524が閉じられた時に、第1の流路504を処理ガスで満たす。
【0099】
ブロック604で、第1の処理ガスは、第1の処理ガス源(
図5Aの第1の処理ガス源502など)から第1の流路を通して流れる。ブロック604で、第1の流路バルブは、まだ、第1の処理ガスがシャワーヘッドに達するように設計された「フローオフ」状態にある。
【0100】
ブロック606で、第2の流路(
図5Aの第2の流路520など)に流体接続され、第2の流路からシャワーヘッドへの流れを調節するように設計された1または複数のバルブが、ブロック602について記載した「フローオフ」状態と同様の「フローオフ」状態に設定される。次いで、ブロック608で、第2の処理ガスは、第2の処理ガス源(
図5Aの第2の処理ガス源518など)から第2の流路を通して流れる。ブロック608で、第2の流路バルブは、まだ、第2の処理ガスがシャワーヘッドに達するように設計された「フローオフ」状態にある。
【0101】
ブロック610に進むと、ブロック602に記載したバルブが、「フローオン」状態に設定されてよい。「フローオン」状態は、処理ガスがシャワーヘッドに達することを可能にするバルブの状態であってよい。次いで、シャワーヘッドは、基板処理チャンバに処理ガスを分散してよい。
図5Aの多段前駆体供給システム500Aの例に戻ると、バルブの「フローオン」状態が、開状態の第1のシャワーヘッドバルブ524を有することにより、第1の処理ガス源502からの第1の処理ガスがシャワーヘッド508に流れることを可能にしうる。かかる状態における第1の迂回バルブ526が、閉状態であることにより、第1の処理ガスが第1の流路を通して迂回ダンプまたは真空に達することを防いで、第1の処理ガス源によって供給された第1の処理ガスすべてがシャワーヘッドに到達することを可能にしうる。
【0102】
ブロック610の後のブロック612において、ブロック606に記載したバルブが、「フローオン」状態に設定されてよい。ブロック612の「フローオン」状態は、ブロック610に記載した「フローオン」状態と同様であってよい。バルブがブロック612で「フローオン」状態に設定されると、第2の処理ガスが、シャワーヘッドに流れうる。第1および第2の処理ガスの両方がシャワーヘッドを通って流れているブロック612においてシャワーヘッドを通る全処理
ガスの体積流量は、第1の処理ガスだけがシャワーヘッドを通って流れているブロック610における体積流量よりも高くてよい。特定の実施形態において、第2の処理ガスは、搬送ガスであってよい。かかる実施形態において、第2の処理ガスの流れをシャワーヘッドに導入することが、処理後の基板の均一性改善につながりうる。
【0103】
第1および第2の処理ガスの両方が、ブロック610および612でシャワーヘッドに流れていた後、ブロック602および606に記載した流路1および2のバルブが、「フローオフ」状態に戻されてよい。したがって、バルブが「フローオフ」状態に戻された後、第1および第2の処理ガスは、シャワーヘッド内に流れえない。ブロック610および612は、蒸着サイクルのドーズ段階中に実行されてよい。ブロック614は、蒸着サイクルのドーズ段階の終了付近に実行されてよい。
【0104】
バルブがブロック614において「フローオフ」状態に設定された後、蒸着サイクルの残りが実行されてよい。蒸着サイクルの残りが実行された後、シーケンスは、ブロック610に戻り、別の蒸着サイクルのための別のドーズ段階を実行してよい。基板処理のために所望の回数の蒸着サイクルが実行されるまで、複数回の蒸着サイクルが実行されてよい。
【0105】
図6Bは、多段前駆体供給システムを用いた蒸着処理の動作シーケンスの別の例を示すフローチャートである。
図6Bに示すシーケンスは、
図6Aに示したシーケンスと類似する。ただし、
図6Aでは、第1の流路および第2の流路からシャワーヘッドへの処理ガスの流れを調節する両方のバルブをほぼ同時に「フローオフ」状態に戻すが、
図6Bに示すシーケンスでは、ブロック614Aに示すように、第1の流路からシャワーヘッドへの第1の処理ガスの流れを制御するバルブを第1の期間に「フローオフ」状態に戻す。第1の期間の後、第2の流路からシャワーヘッドへの第2の処理ガスの流れを制御するバルブが、ブロック614Bで「フローオフ」状態に戻される。
【0106】
図6Bに示すシーケンスにおいて、第2の処理ガスは、第1の処理ガスがシャワーヘッドを通して流れるのを停止した後、シャワーヘッドを通して流れ続けてよい。かかるシーケンスは、前駆体がシャワーヘッド流路を通して流れた後に、第2の処理ガス(前駆体を含まない搬送ガスであってよい)がシャワーヘッド内の流路をパージすることを可能にしうる。また、第1の処理ガスの流れが止まった後に第2の処理ガスを流し続けることは、いくつかの実施形態において、処理後の基板の均一性を改善しうる。
【0107】
図6Cは、多段前駆体供給システムを用いた蒸着処理の動作シーケンスのさらなる例を示すフローチャートである。
図6Cに示すシーケンスは、
図6Aに示したシーケンスと類似する。ただし、
図6Aでは、第1の流路および第2の流路からシャワーヘッドへの処理ガスの流れを調節する両方のバルブをほぼ同時に「フローオフ」状態に戻すが、
図6Cに示すシーケンスでは、ブロック614Cに示すように、第2の流路からシャワーヘッドへの第2の処理ガスの流れを制御するバルブを第1の期間に「フローオフ」状態に戻す。第1の期間の後、第1の流路からシャワーヘッドへの第1の処理ガスの流れを制御するバルブが、ブロック614Dで「フローオフ」状態に戻される。特定の実施形態において、第2の処理ガスの流れが止まった後に第1の処理ガスを流し続けることが、処理後の基板の均一性を改善しうる。
【0108】
よりよい理解のために、
図6Aに記載したシーケンスについて説明する。
図7Aは、
図5Aの多段前駆体供給システムを用いた前駆体供給動作シーケンスにおける工程を示す図である。
図7A〜Dに示すシーケンスは、
図6Aに記載したシーケンスである。別の実施形態において、
図5Bおよび5Cに記載した多段前駆体供給システムを用いて、
図6Aに記載したシーケンスを実行してもよい。
【0109】
図7A〜Dでは、
図5Aの前駆体供給システムの流路が、実線および点線を用いて図示されている。実線で示す流路は、処理ガスが流れている流路である。点線で示す流路は、処理ガスが流れていないか、もしくは、最小限の処理ガスが流れている流路である。黒塗りで示したバルブは、そのバルブを通る流れを許容しないように設計された「オフ」状態にあるバルブである。黒の輪郭の白抜きで示したバルブは、そのバルブを通る流れを許容するように設計された「オン」状態にあるバルブである。
【0110】
図6Aのブロック602〜08に対応する
図7Aでは、多段前駆体供給システム700が、「オフ」状態にある第1のシャワーヘッドバルブ724および第2のシャワーヘッドバルブ728と、「オン」状態にある第1の迂回バルブ726および第2の迂回バルブ730とを有する。結果的に、第1の処理ガスは、第1の流路704を介して第1の迂回バルブ726を通り、第1の迂回流路710を介して第1の迂回ダンプ712Aへと流れる。第2の処理ガスは、第2の流路720を介して第2の迂回バルブ730を通り、第2の迂回流路722を介して第2の迂回ダンプ712Bへと流れる。かかる状態において、第1および第2の処理ガスは、第1および第2の流路を通して流れることを許容されているが、迂回ダンプへと迂回されるため、基板処理チャンバには流れない。
【0111】
第1のシャワーヘッドバルブ724および第2のシャワーヘッドバルブ728が「オフ」状態にあるため、第1の処理ガスも
第2の処理ガスも、シャワーヘッド流路706を通して全く流れないか、もしくは、最小限だけ流れる。したがって、処理ガスは、シャワーヘッド708を通して全く流れないか、もしくは、最小限だけ流れる。
【0112】
図7Bは、
図5Aの多段前駆体供給システムを用いた前駆体供給動作シーケンスにおけるさらなる工程を示す図である。
図7Bは、
図6Aのブロック610に対応する。
【0113】
図7Bにおいて、第1のシャワーヘッドバルブ724は、
図7Aの「オフ」状態から
図7Bに示す「オン」状態に切り替えられており、第1の処理ガスが、第1の流路704からシャワーヘッド流路706を経てシャワーヘッド708に流れ、基板処理チャンバ内に分散されることが可能になっている。したがって、シャワーヘッド流路706は、
図7Bではシャワーヘッド流路706を通る処理ガスの流れがあることを示している。
【0114】
さらに、第1の迂回バルブ726は、「オフ」状態に切り替えられており、第1の流路
704へ流れる第1の処理ガスが、第1の迂回ダンプ712Aに迂回されることを防いでいる。したがって、第1の迂回流路710は、
図7Bでは処理ガスの流れがないことを示している。
【0115】
図7Bにおいて、第2のシャワーヘッドバルブ728は「オフ」状態のままであり、第2の迂回バルブ730は「オン」状態のままである。したがって、第2の処理ガスの流れは、
図7Aから変更されていない。
【0116】
図7Cは、
図5Aの多段前駆体供給システムを用いた前駆体供給動作シーケンスにおける別の工程を示す図である。
図7Cは、
図6Aのブロック612に対応する。
【0117】
図7Cにおいて、第2のシャワーヘッドバルブ728は、
図7Aおよび
図7Bの「オフ」状態から
図7Cに示す「オン」状態に切り替えられており、第2の処理ガスが、第2の流路720からシャワーヘッド流路706を経てシャワーヘッド708に流れ、基板処理チャンバ内に分散されることが可能になっている。
図7Cに示す実施形態において、第1および第2の処理ガスは、シャワーヘッド流路706および/またはシャワーヘッド708内で混合しうる。
【0118】
さらに、第2の迂回バルブ730は、「オフ」状態に切り替えられており、
第2の流路
720へ流れる第2の処理ガスが、第2の迂回ダンプ712Bに迂回されることを防いでいる。したがって、第2の迂回流路722は、
図7Cでは処理ガスの流れがないことを示している。
【0119】
図7Dは、
図5Aの多段前駆体供給システムを用いた前駆体供給動作シーケンスにおけるさらなる工程を示す図である。
図7Dは、
図6Aのブロック614に対応する。
【0120】
図7Dにおいて、多段前駆体供給システム700のバルブは、
図7Aに示した状態に戻される。したがって、この時点で、第1および第2の処理ガスは、それぞれ、第1の迂回ダンプ712Aおよび第2の迂回ダンプ712Bに流れている。
シャワーヘッド流路706に流れ込んでいる処理ガスの量は全くないか、もしくは、最小限の量である。
【0121】
図7A〜Dは、多段前駆体供給システムを利用したシーケンスの例である。別の実施形態では、異なるバルブ開閉タイミングを利用してもよく、異なる構造および数のバルブ、流路、および、その他の状態要素を多段前駆体供給システムに用いてもよい。
【0122】
図8は、蒸着処理中に多段前駆体供給システムを用いて前駆体を流すための基本的な動作シーケンスを示すグラフである。
図8に示すシーケンスは、
図6Bに示したシーケンスに対応する。
【0123】
図8は、2つのグラフを示す。上側のグラフは、第1の流路および第2の流量を制御するバルブのバルブタイミングを示す。
図8は、第1および第2の処理ガスに関連する搬送ガスの流量を示す。
図8は、第1および第2の処理ガスによって運ばれる前駆体の流量を示していないが、特定の実施形態において、第1および/または第2の搬送ガスが、その流れの中で前駆体も運びうる。グラフのx軸は、経過時間(秒)に対応する。チャートのy軸は、搬送ガス流量に対応する。
【0124】
上側のグラフは、バルブを通してシャワーヘッドに入る第1および第2の搬送ガス(それぞれ、CG1およびCG2)の流量を示すことにより、バルブのバルブタイミングを図示している。バルブ(第1の処理ガスの流れを制御するバルブなど)が「フローオフ」状態にある時、グラフは、対応する処理ガスの流量(この例では、第1の処理ガスの流量)を、グラフ下端の0として示しうる。かかる状況は、例えば、第1の搬送ガス(CG1)について約0から0.2秒の期間に示されている。バルブが「フローオン」状態である時、グラフは、対応する搬送ガスの流量をグラフ上部に近い値で示しうる。かかる状況は、例えば、第1の搬送ガスについて約0.2から0.35秒の間の期間に示されている。
【0125】
下側のグラフは、シャワーヘッドを通る全搬送ガス流量を示している。両方のバルブが「フローオフ」状態にある時、グラフは、全搬送ガス流の流量をグラフ下端の0として示しうる。バルブの一方または両方が「フローオン」状態にある時、グラフは、全搬送ガス流の流量をゼロでない値で示しうる。かかる状況は、例えば、全搬送ガス流について約0.2から0.36秒の間の期間に示されている。下側のグラフにおける全搬送ガス流量は、上側のグラフの第1および第2の搬送ガスの同じ時間の流量を合計したものである。
【0126】
0秒から約0.7秒まで期間は、1つの蒸着サイクルの例を示す。その期間中、蒸着サイクルのドーズ工程が、約0.2から0.36秒までの期間に実行される。その期間の前、0から約0.2秒までの期間中、第1および第2の搬送ガスの流量を制御する両方のバルブは、「フローオフ」状態にある。
【0127】
約0.2秒で、シャワーヘッドへの第1の搬送ガスの流量を制御するバルブは、「フローオン」状態に切り替えられ、第1の搬送ガスは(第1の搬送ガスによって運ばれる任意の前駆体と共に)、シャワーヘッドに流れ込んで、第1の基板処理チャンバ内に配置された基板に分散されうる。0.2秒の時点は、例えば、
図6Bのブロック610に対応しうる。
【0128】
約0.2秒から0.25秒までの期間中、第1の搬送ガスは、シャワーヘッドに流れうるが、第2の搬送ガスは、シャワーヘッドに流れえない。第2の搬送ガスは、いくつかの実施形態において、ダンプまたは真空に流れ込んでよい。
【0129】
約0.25秒で、シャワーヘッドへの第2の搬送ガスの流量を制御するバルブは、「フローオン」状態に切り替えられる。次いで、第2の搬送ガスは、任意のシャワーヘッド流路およびシャワーヘッドに流れて、第1の搬送ガスと混合し、第1の基板処理チャンバ内に配置された基板に分散されうる。0.25秒の時点で、シャワーヘッドへの第2の搬送ガスの追加の流量が、シャワーヘッドを通る搬送ガスの流量を約2倍にする。別の実施形態において、第1の搬送ガス流量は、0.3標準リットル毎分(slm)から20slmの範囲であってよく、第2の搬送ガス流量は、0.3slmから20slmの範囲であってよい。0.25秒の時点は、例えば、
図6Bのブロック612に対応しうる。
【0130】
約0.25秒から0.35秒までの期間中、第1および第2の搬送ガスが、シャワーヘッドに流れうる。約0.35秒の時点で、シャワーヘッドへの第1の搬送ガスの流量を制御するバルブは、「フローオフ」状態に切り替えられ、第1の搬送ガスは、シャワーヘッドへの流入を停止する。しかしながら、第2の搬送ガスは、まだ、シャワーヘッドに流れている。0.35秒の時点は、例えば、
図6Bのブロック614Aに対応しうる。
【0131】
約0.36秒の時点で、シャワーヘッドへの第2の搬送ガスの流量を制御するバルブは、「フローオフ」状態に切り替えられ、第2の搬送ガスは、シャワーヘッドへの流入を停止する。したがって、この時点で、シャワーヘッドには搬送ガスが流れ込まない。第2の搬送ガスは、例えば、第1の搬送ガスの流れによって蒸着された任意の前駆体をシャワーヘッドおよび/または基板処理チャンバからパージするために、第1の搬送ガスよりもわずかに遅れて停止してもよい。0.36秒の時点は、例えば、
図6Bのブロック614Bに対応しうる。
【0132】
0.36秒以降すなわち蒸着サイクルの残りでは、搬送ガスの流量を制御するバルブは、「フローオフ」状態であり、シャワーヘッドへの搬送ガスの流れは、全くないかまたは最小限である。
【0133】
いくつかの図で本明細書において説明した技術および装置は、処理ガスおよび/または搬送ガスを2つの異なる時間間隔で導入するためのバルブを有する多段前駆体供給システムを示しうる。ただし、特定の実施形態において、技術および/または装置は、別の時点または同時に、第3、第4、第5などの処理ガスおよび/または搬送ガスを導入するように状態されてもよい。第3、第4、第5などの処理ガスおよび/または搬送ガスの導入は、本明細書に記載の装置のいずれかと同様のタイミングおよび/またはバルブ状態を利用してよい。
【0134】
図9Aは、様々な前駆体供給状態を用いて処理されたウエハ例のウエハ均一性を示すグラフである。
図9Aは、様々な処理ガス供給技術に従って処理された4つの基板の厚さを示す。
【0135】
図9A、
図9B、および、
図9Cにおいて、x軸は、基板の中心からの点の半径方向距離を示しており、グラフ最左点(中心から−150mm)に始まり、グラフ中央で0(中心)、グラフ最右点(中心から150mm)に至る。y軸は、処理後の基板の正規化された厚さを示しており、基板中心の厚さが1.00であり、1.00よりも大きい値は基板中心の厚さよりも大きい厚さを示し、1.00未満の値は基板中心の厚さよりも小さい厚さを示す。
【0136】
図9Aは、1600W基板処理動作に従って処理された4つの異なるウエハ(ウエハ902〜08)の厚さを示す。ウエハ902のための処理ガスは、6標準リットル毎分(slm)の処理ガス流量で1段階で供給された。グラフに示すように、結果として得られるウエハ902は、「M」字形の厚さプロファイルを有しており、基板は、中心から離れるにつれて厚さを増し、中心から約+/−70mmの位置で厚さが減少に転じる。
【0137】
ウエハ904は、最初に3slmの処理ガスを供給し、後の期間にさらなる3slmの処理ガスを最初の3slmの処理ガスに追加する2段階の処理ガス供給技術を用いて処理された。それでも、ウエハ904の厚さプロファイルは、「M」字形のプロファイルであるが、「M」のピークは、ウエハ902のピークよりもかなり低い。ウエハ904は、概して、ウエハ902よりも均一である。
【0138】
ウエハ906は、最初に6slmの処理ガスを供給し、後の期間にさらなる3slmの処理ガスを最初の6slmの処理ガスに追加する2段階の処理ガス供給を用いて処理された。ウエハ906の厚さプロファイルは、中心の低い点と両端の高い点とを備えた「V」字形である。ウエハ906の高い点は、ウエハ902および904の高い点よりもかなり低い。したがって、ウエハ906は、ウエハ902または904のいずれよりも均一である。
【0139】
ウエハ908は、最初に6slmの処理ガスを供給し、後の期間にさらなる6slmの処理ガスを最初の6slmの処理ガスに追加する2段階の処理ガス供給を用いて処理された。ウエハ908の厚さプロファイルおよび均一性は、ウエハ906と類似している。したがって、処理ガス供給の第2段階を導入することが、この実施形態においては、より均一な処理後の基板につながると思われる。
【0140】
図9Bは、様々な前駆体供給状態を用いて処理されたウエハ例の様々なウエハ均一性を示すさらなるグラフである。
図9Bは、1600W基板処理動作に従って処理された4つの異なるウエハ(ウエハ910〜16)の厚さを示す。
【0141】
ウエハ910は、9.5slmの処理ガスの1段階処理ガス供給を用いて処理された。ウエハ910は、
図9Aのウエハ902と同様の「M」字形の厚さプロファイルを有する。ただし、ウエハ910の基板の厚さは、おそらく、
図9Aのウエハ902に供給された処理ガスの流量に比べて、ウエハ910に供給された処理ガスの流量が高いことにより、基板の縁部付近で横ばいになる。とはいえ、ウエハ910も、あまり均一ではない。
【0142】
ウエハ912は、最初に6slmの処理ガスを供給し、後の期間にさらなる3slmの処理ガスを最初の6slmの処理ガスに追加する2段階の処理ガス供給を用いて処理された。ウエハ912の厚さプロファイルは、中心の低い点と両端の高い点とを備えた「V」字形である。ウエハ912は、ウエハ910よりも均一である。
【0143】
ウエハ914は、最初に9.5slmの処理ガスを供給し、後の期間にさらなる9slmの処理ガスを最初の9.5slmの処理ガスに追加する2段階の処理ガス供給を用いて処理された。ウエハ914の厚さプロファイルは、中心の低い点と両端の高い点とを備えた「V」字形であり、ウエハ912の厚さプロファイルと類似している。ただし、ウエハ914のプロファイルは、中心からかなり平坦であり、中心から半径の約半分の位置から、基板の縁部に向かって厚さが増している。
【0144】
ウエハ916は、最初に6slmの処理ガスを供給し、後の期間にさらなる6slmの処理ガスを最初の6slmの処理ガスに追加する2段階の処理ガス供給を用いて処理された。ウエハ916の厚さプロファイルおよび均一性は、ウエハ912および914のプロファイルと類似している。ウエハ912〜16の厚さプロファイルは、処理ガス供給の第2段階を導入することがより均一な処理後の基板につながりうることを示す。さらに、ウエハ912〜16の厚さプロファイルは、第1および/または第2段階に供給される処理ガスの量を較正することが、さらに均一な厚さプロファイルにつながりうることを示唆しうる。
【0145】
図9Cは、様々な前駆体供給状態を用いて処理されたウエハ例の様々なウエハ均一性を示す別のグラフである。
図9Cは、500W基板処理動作に従って処理された3つの異なるウエハ(ウエハ918〜22)の厚さを示す。
【0146】
ウエハ918は、3slmの処理ガスを1段階で供給して処理された。ウエハ918は、
図9Aのウエハ902と同様の「M」字形の厚さプロファイルを有する。ウエハ920も、1段階の処理ガス供給で処理され、ウエハ918に用いた流量の倍である6slmの処理ガスが供給された。ウエハ920も、「M」字形の厚さプロファイルを有するが、ウエハ920のプロファイルのピークは、ウエハ918のプロファイルのピークよりも低い。
【0147】
ウエハ922は、最初に3slmの処理ガスを供給し、後の期間にさらなる3slmの処理ガスを最初の3slmの処理ガスに追加する2段階の処理ガス供給を用いて処理された。したがって、ウエハ922は、処理ガス供給の第2段階中に合計6slmの処理ガスを供給される。ウエハ922の厚さプロファイルは、ウエハ920の厚さプロファイルと類似するが、ウエハ920よりもピークが低い。したがって、1段階ではなく2段階で処理ガスを供給することは、(ウエハ922が、最初から全6slmではなく、第1段階で最初の3slmの処理ガス供給を受けるために)2段階の実施形態でサイクル中に供給される全処理ガスが少ない場合であっても、より均一な処理後の基板につながりうる。
【0148】
上述の装置/処理は、例えば、半導体デバイス、ディスプレイ、LED、光起電力パネルなどの加工または製造のために、リソグラフィパターニングツールまたは処理と共に用いられてもよい。通例、必ずしもそうとは限らないが、かかるツール/処理は、共通の製造施設で一緒に利用または実行されている。薄膜のリソグラフィパターニングは、通例、以下の工程の一部または全部を含み、各工程は、複数の可能なツールで実現される:(1)スピンオンまたはスプレーオンツールを用いて、ワークピース(すなわち、基板)上にフォトレジストを塗布する工程;(2)ホットプレートまたは炉またはUV硬化ツールを用いて、フォトレジストを硬化させる工程;(3)ウエハステッパなどのツールで可視光またはUVまたはX線にフォトレジストを暴露させる工程;(4)ウェットベンチなどのツールを用いて、選択的にレジストを除去することによってパターニングするためにレジストを現像する工程;(5)ドライエッチングツールまたはプラズマ支援エッチングツールを用いて、下層の膜またはワークピースにレジストパターンを転写する工程;ならびに、(6)RFプラズマまたはマイクロ波プラズマレジストストリッパなどのツールを用いて、レジストを除去する工程。
【0149】
特定の記載された実施形態のいずれかにおける特徴が、互いに適合しないと明確に特定されていない限り、また、周りの文脈から、特徴が相互に排他的であり、相補および/またはサポートの点で容易に組み合わせ不可能であると示唆されない限りは、本開示全体が、相補的な実施形態の具体的な特徴を選択的に組み合わせて1または複数の包括的であるがやや異なる技術的解決法を提供できることを予期および想定することが理解される。したがって、上記の説明は、単に例示のためのものであり、本開示の範囲内で細部の変形が可能であることが理解される。
本発明は、以下の適用例としても実現可能である。
<適用例1>
蒸着処理中に基板への前駆体のドーズ量を制御する方法であって、
(a)ALD蒸着サイクルのドーズ段階の第1の期間中に、第1の搬送ガスと前記前駆体とを含む第1の処理ガスを前記基板に流す工程と、
(b)前記ALD蒸着サイクルの前記ドーズ段階の第2の期間中に、第2の処理ガスを前記基板に流す工程であって、前記第2の期間は前記第1の期間が始まった後に始まり、前記第1および第2の期間は少なくとも部分的に重複し、前記第2の処理ガスは第2の搬送ガスを含み、前記第2の処理ガスは前記第2の期間が前記第1の期間と重複する期間の少なくとも一部の間に前記基板への供給前に前記第1の処理ガスと混合し、工程(a)から工程(b)で全処理ガスの体積流量が増大する、工程と、
(c)工程(a)および(b)における流れを停止する工程と、
(d)工程(c)後に、工程(a)および(b)での前記ALD蒸着サイクルとは異なるALD蒸着サイクル中に、前記基板に対して工程(a)および(b)を繰り返す工程と、
を備える、方法。
<適用例2>
適用例1に記載の方法であって、
前記第1の処理ガスの少なくとも一部が、前記基板上に吸着され、
前記方法は、さらに、工程(c)の後、かつ、工程(d)の前に、前記吸着した前駆体を反応させて、前記基板上に薄膜層を形成する工程を備える、方法。
<適用例3>
適用例2に記載の方法であって、
前記吸着した前駆体を反応させる工程は、前記基板が、吸着した前駆体で完全には飽和していない時に実行される、方法。
<適用例4>
適用例1〜3のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第2の処理ガスは、前記前駆体を含まない、方法。
<適用例5>
適用例1〜3のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第1の期間は、前記第2の期間が終わった後に終わる、方法。
<適用例6>
適用例1〜3のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第2の期間は、前記第1の期間が終わった後に終わる、方法。
<適用例7>
適用例6に記載の方法であって、
前記第1の期間が終わった後に続く前記第2の期間の一部に供給される前記処理ガスは、少なくとも一部の未吸着の前駆体を前記基板の周りの空間から除去する、方法。
<適用例8>
適用例1〜3のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第1の処理ガスは、第1の流路を通して供給され、
前記第2の処理ガスは、第2の流路を通して供給され、
前記第2の流路は、前記第1の流路に流体接続され、
前記第2の処理ガスは、前記第1の流路の少なくとも一部で前記第1の処理ガスと混合する、方法。
<適用例9>
適用例1〜3のいずれか一項に記載の方法であって、
工程(a)から工程(c)は、約5秒以下の期間で実行される、方法。
<適用例10>
適用例1〜3のいずれか一項に記載の方法であって、
前記基板は、約450mm以下の直径を有する、方法。
<適用例11>
適用例1〜3のいずれか一項に記載の方法であって、さらに、
(e)工程(a)の後に、前記ALD蒸着の前記ドーズ段階の第3の期間中に、第3の処理ガスを前記基板に流す工程であって、前記第3の期間は前記第1の期間が始まった後に始まり、前記第1および第3の期間は少なくとも部分的に重複し、前記第3の処理ガスは第3の搬送ガスを含み、前記第3の処理ガスは前記第3の期間が前記第1の期間と重複する期間の少なくとも一部の間に前記基板への供給前に少なくとも前記第1の処理ガスと混合し、工程(a)から工程(e)で全処理ガスの体積流量が増大する、工程
を備える、方法。
<適用例12>
適用例1〜3のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第2の搬送ガスは、前記第1の搬送ガス、および、前記第1の搬送ガスとは異なる搬送ガス、からなる群より選択される、方法。
<適用例13>
装置であって、
基板を受けるように構成された基板ホルダと、
シャワーヘッド流入口を備えると共に、前記基板ホルダによって受けられた前記基板に処理ガスを供給するように構成されたシャワーヘッドと、
1または複数の第1のバルブを備えると共に、前記シャワーヘッド流入口に流体接続された第1の流路と、
1または複数の第2のバルブを備えると共に、前記第1の流路に流体接続された第2の流路と、
1または複数のコントローラであって、
(a)前記1または複数の第1のバルブをフローオン位置に切り替えて、ALD蒸着サイクルのドーズ段階の第1の期間中に、第1の搬送ガスと前駆体とを含む第1の処理ガスを前記基板に流す工程と、
(b)前記1または複数の第2のバルブをフローオン位置に切り替えて、前記ALD蒸着サイクルの前記ドーズ段階の第2の期間中に、第2の処理ガスを前記基板に流す工程であって、前記第2の期間は前記第1の期間が始まった後に始まり、前記第1および第2の期間は少なくとも部分的に重複し、前記第2の処理ガスは前記搬送ガスを含み、前記第2の処理ガスは前記第2の期間が前記第1の期間と重複する期間の少なくとも一部の間に前記第1の処理ガスと混合し、工程(a)から工程(b)で全処理ガスの体積流量が増大する、工程と、
(c)工程(a)の後に、前記1または複数の第1のバルブをフローオフ位置に切り替えて、前記第1の処理ガスを前記基板に流すことを停止する工程と、
(d)工程(b)の後に、前記1または複数の第2のバルブをフローオフ位置に切り替えて、前記第2の処理ガスを前記基板に流すことを停止する工程と、
(e)工程(c)および(d)の後に、工程(a)および(b)での前記ALD蒸着サイクルとは異なるALD蒸着サイクル中に、前記基板に対して工程(a)および(b)を繰り返す工程と、
を実行するように構成された、コントローラと、
を備える、装置。
<適用例14>
適用例13に記載の装置であって、
前記第1の処理ガスの少なくとも一部が、前記基板上に吸着され、
前記1または複数のコントローラは、さらに、
(f)工程(c)および(d)の後、かつ、工程(e)の前に、前記吸着した前駆体を反応させて、前記基板上に薄膜層を形成する工程を実行するように構成されている、装置。
<適用例15>
適用例14に記載の装置であって、
工程(f)が始まる時、前記基板は、吸着した前駆体で完全には飽和していない、装置。
<適用例16>
適用例13に記載の装置であって、
前記1または複数のコントローラは、さらに、前記1または複数の第1のバルブが開き、前記1または複数の第2のバルブが閉じられた時に、前記第2の流路を前記第2の処理ガスで満たすように構成されている、装置。
<適用例17>
適用例16に記載の装置であって、さらに、
前記第2の流路に流体接続された迂回路を備え、
前記1または複数のコントローラは、さらに、
(f)前記1または複数の第2のバルブが前記フローオフ位置にある時に、前記第2の流路からの前記第2の処理ガスを前記迂回路を通して流す工程を実行するように構成されている、装置。
<適用例18>
適用例17に記載の装置であって、さらに、
前記迂回路内に1または複数の迂回バルブを備え、
工程(f)は、前記1または複数の第2のバルブがフローオフ位置に切り替えられた時に、前記1または複数の迂回バルブをフローオン位置に切り替える工程を含む、装置。
<適用例19>
適用例13〜18のいずれか一項に記載の装置であって、
前記第2の流路は、前記第1の流路で終端しており、
前記第2の処理ガスは、前記第2の流路が前記第1の流路で終端する位置の下流の前記第1の流路の少なくとも一部で前記第1の処理ガスと混合する、装置。
<適用例20>
適用例13〜18のいずれか一項に記載の装置であって、
前記第1の期間は、前記第2の期間が終わった後に終わる、装置。
<適用例21>
適用例13〜18のいずれか一項に記載の装置であって、
前記第2の期間は、前記第1の期間が終わった後に終わる、装置。
<適用例22>
適用例21に記載の装置であって、
前記第1の期間が終わった後に続く前記第2の期間の一部に供給される前記処理ガスは、少なくとも一部の未吸着の前駆体を前記基板の周りの空間から除去するために用いられる、装置。
<適用例23>
適用例13〜18のいずれか一項に記載の装置であって、
前記1または複数のコントローラは、約5秒以下の期間中に工程(a)から(d)を実行するように構成されている、装置。
<適用例24>
適用例13〜18のいずれか一項に記載の装置であって、
前記基板は、約450mm以下の直径を有する、装置。
<適用例25>
適用例13〜18のいずれか一項に記載の装置であって、さらに、
1または複数の第3のバルブを有し、前記第1の流路に流体接続された第3の流路を備え、
前記1または複数のコントローラは、さらに、
(f)前記1または複数の第3のバルブをフローオン位置に切り替えて、前記ALD蒸着サイクルの前記ドーズ段階の第3の期間中に、第3の処理ガスを前記基板に流す工程であって、前記第3の期間は前記第1の期間が始まった後に始まり、前記第1および第3の期間は少なくとも部分的に重複し、前記第3の処理ガスは第3の搬送ガスを含み、前記第3の処理ガスは前記第3の期間が前記第1の期間と重複する期間の少なくとも一部の間に少なくとも前記第1の処理ガスと混合し、工程(a)から工程(f)で全処理ガスの体積流量が増大する、工程と、
(g)工程(f)の後に、前記1または複数の第3のバルブをフローオフ位置に切り替えて、前記第3の処理ガスを前記基板に流すことを停止する工程と、
を実行するように構成されている、装置。
<適用例26>
適用例13〜18のいずれか一項に記載の装置であって、
前記第2の搬送ガスは、前記第1の搬送ガス、および、前記第1の搬送ガスとは異なる搬送ガス、からなる群より選択される、装置。
<適用例27>
適用例13〜18のいずれか一項に記載の装置であって、さらに、
前記第1の流路に流体接続されると共に、前記第1の処理ガスの前記前駆体を供給するように構成された前駆体源と、
少なくとも前記第1の流路に流体接続されると共に、少なくとも前記第1の処理ガスの前記第1の搬送ガスを供給するように構成された搬送ガス源と、
を備える、装置。
<適用例28>
適用例27に記載の装置であって、
前記搬送ガス源は、さらに、前記第2の流路に流体接続されており、前記第2の処理ガスの前記第2の搬送ガスを供給するように構成されている、装置。
<適用例29>
適用例13〜18のいずれか一項に記載の装置であって、
少なくとも工程(b)における前記第2の処理ガスの流量は、マスフローコントローラによって制御されない、装置。