特許第6789958号(P6789958)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6789958イソソルビドエトキシラトジ(メタ)アクリラートを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6789958
(24)【登録日】2020年11月6日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】イソソルビドエトキシラトジ(メタ)アクリラートを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 493/04 20060101AFI20201116BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20201116BHJP
【FI】
   C07D493/04 101D
   !C07B61/00 300
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-545358(P2017-545358)
(86)(22)【出願日】2016年2月24日
(65)【公表番号】特表2018-512386(P2018-512386A)
(43)【公表日】2018年5月17日
(86)【国際出願番号】EP2016053857
(87)【国際公開番号】WO2016135190
(87)【国際公開日】20160901
【審査請求日】2019年2月21日
(31)【優先権主張番号】62/120,917
(32)【優先日】2015年2月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア ミスケ
(72)【発明者】
【氏名】フリーデリケ フライシュハーカー
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ フレッケンシュタイン
(72)【発明者】
【氏名】マーティン カラー
(72)【発明者】
【氏名】ウルリーク シュテンゲル
(72)【発明者】
【氏名】マチュー ブランショ
(72)【発明者】
【氏名】クラウディア シュテーア
(72)【発明者】
【氏名】リテシュ ナイル
【審査官】 伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−084535(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0274042(US,A1)
【文献】 特開昭55−127381(JP,A)
【文献】 特開昭49−135916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
(i)イソソルビドをイソソルビドエトキシラートへエトキシル化する工程
(ii)触媒としてリン酸カリウムおよび安定剤の存在下、アルキル(メタ)アクリラート中に結合されているアルコールと共沸物を形成する共留剤の存在下で、アルキル(メタ)アクリラートとイソソルビドエトキシラートとを反応させる工程、
(iii)共留剤およびアルコールからなる共沸物を連続的に留去する工程、ここで、工程(ii)および(iii)を、イソソルビドエトキシラートの少なくとも95%がジエステルに反応するまで同時に実施する、
(iv)触媒を、イソソルビドエトキシラトジ(メタ)アクリラートを含有する生成物混合物から分離する工程、
(v)未反応のアルキル(メタ)アクリラートおよび共留剤を、前記生成物混合物から留去する工程
を含む、アルキル(メタ)アクリラートとイソソルビドエトキシラートとのエステル交換によりイソソルビドエトキシラトジ(メタ)アクリラートを製造する方法。
【請求項2】
前記共留剤が、アルキル(メタ)アクリラートであることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記共留剤が、アルキル(メタ)アクリラートとは異なる別の溶媒であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記共留剤が、n−ヘプタンおよびシクロヘキサンからなる群から選択されていることを特徴とする、請求項3記載の方法。
【請求項5】
アルキル(メタ)アクリラートが、メチル(メタ)アクリラートまたはエチル(メタ)アクリラートであることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記安定剤が、ヒドロキノンモノメチルエーテルであることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
工程(iii)において留去された、共留剤およびアルコールからなる前記共沸物から、水による洗浄により前記アルコールを分離し、前記共留剤を反応容器中に返送することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
工程(v)の後に、4質量%未満の副成分含有率を有するイソソルビドエトキシラトジ(メタ)アクリラートが得られることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
工程(v)の後に、2質量%未満の副成分含有率を有するイソソルビドエトキシラトジ(メタ)アクリラートが得られることを特徴とする、請求項8記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルキル(メタ)アクリラートとイソソルビドエトキシラートとのエステル交換により、イソソルビドエトキシラトジ(メタ)アクリラートを製造する方法、イソソルビドエトキシラトジ(メタ)アクリラート自体、ならびにその使用に関する。
【0002】
E2BADMA(それぞれ2個のエチレンオキシド単位でアルコキシル化されたビスフェノールAのジメタクリラート)およびE3BADMA(それぞれ3個のエチレンオキシド単位でアルコキシル化されたビスフェノールAのジメタクリラート)は、架橋剤として、例えばコーティングおよびドリルホール用混合物中で使用されるビスフェノールA系ジメタクリラートである。これらは迅速な反応時間において優れており、この迅速な反応時間により、二成分系混合物はすでに短い時間の後に部分的に耐荷重性(teillastfest)となり、数時間後には、最終引張り強さに到達している。さらにこれらは、非常に良好な凝集/接着比を有する高いポリマー密度、低い収縮率および低い脆化傾向と同時の良好な結晶化耐性(Kristallisationsfestigkeit)、ならびに高い湿潤力を有し、毛管亀裂における良好なクリープ性を保証する。
【0003】
独国特許出願公開第4131458号明細書(DE4131458A1)は、アルコキシル化ビスフェノールのジ(メタ)アクリラートおよび合成樹脂のための硬化剤を含有する合成樹脂を含む、化学的固定技術のための二成分系接着材料を開示する。
【0004】
特定の適用に関して、類似の特性プロフィールを有する、ビスフェノールA不含の架橋剤が求められる。
【0005】
イソソルビドは、再生可能な原料をベースとしたジオールであり、構造的にビスフェノールAに対する代替物として提供される。というのもイソソルビドは、同様に硬質の基本骨格を有するからである。
【0006】
イソソルビドからジ(メタ)アクリラートを製造するための1つの可能性は、適切な触媒の存在下、イソソルビドの(メタ)アクリル酸によるエステル化、またはメチルアクリラート、エチルアクリラートもしくはメチルメタクリラートとイソソルビドとのエステル交換である。イソソルビドの双方のOH基は、比較的低い反応性を有する第二級OH基であり、ここでさらに、双方のOH基の相対的反応性は非常に異なる。したがって、不完全な反応が見込まれる。
【0007】
独国特許出願公開第2317226号明細書(DE2317226A1)は、触媒としてチタンアルコラートおよび安定剤として2,6−ジ−tert−ブチルパラクレゾール(TBK)の存在下で、メチル(メタ)アクリラートのエステル交換により、C10〜C18アルカノールの混合物から(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法を開示している。その際、作業は活性炭の存在下で行われる。反応の終了後に水を添加し、これによりチタンアルコラートは加水分解されて水酸化チタン/酸化チタンになり、活性炭に吸着される。固体は濾別され、反応生成物は水蒸気蒸留にかけられる。
【0008】
国際公開第2009/080380号(WO2009/080380)は、触媒としてチタンアルコラートの存在下で、メチル(メタ)アクリラートと相応するアルコールとのエステル交換により、C〜C22アルコールのメタクリラートを製造する方法を開示している。例1において、安定剤としてヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)および触媒としてテトライソプロピルチタナートの存在下で、メチルメタクリラートと2−エチルヘキサノールとを反応させる。その際、メタノール/メチルメタクリラートからなる共沸混合物を留去する。未反応のメチルメタクリラートの留去後に、触媒を含有する2−エチルヘキシルメタクリラートを真空中(約30mbar)精製蒸留に供する。その際、99.4%の純度を有する2−エチルヘキシルメタクリラートが得られる。
【0009】
本発明の課題は、副生成物が僅かに形成されるのみの、イソソルビドの(メタ)アクリラートを製造する方法を提供することである。
【0010】
前記課題は、以下の工程を含む、アルキル(メタ)アクリラートとイソソルビドエトキシラートとのエステル交換により、イソソルビドエトキシラトジ(メタ)アクリラートを製造する方法により解決される:
(i)イソソルビドをイソソルビドエトキシラートへエトキシル化する工程、
(ii)触媒としてリン酸カリウムおよび安定剤の存在下、アルキル(メタ)アクリラートにおいて結合されているアルコールと共沸物を形成する共留剤の存在下で、アルキル(メタ)アクリラートとイソソルビドエトキシラートとを反応させる工程、
(iii)共留剤およびアルコールからなる共沸物を連続的に留去する工程、ここで、工程(ii)および(iii)を、イソソルビドエトキシラートが実質的に完全に反応するまで同時に実施する、
(iv)触媒を、イソソルビドエトキシラトジ(メタ)アクリラートを含有する生成物混合物から分離する工程、
(v)未反応のアルキル(メタ)アクリラートおよび共留剤を、前記生成物混合物から留去する工程。
【0011】
意外にも、触媒としてリン酸カリウムの存在下、アルキル(メタ)アクリラートとイソソルビドエトキシラートとのエステル交換により、イソソルビドエトキシラトジ(メタ)アクリラートが高収率で形成されることが見いだされた。
【0012】
イソソルビドをイソソルビドエトキシラートへエトキシル化することにより、イソソルビドの異なる反応性の反応に不活性な第二級OH基を、本質的に同じ反応性の反応性第一級OH基に部分的に変換する。これらは触媒としてリン酸カリウムの存在下、アルキル(メタ)アクリラートと非常に良好にイソソルビドエトキシラトジ(メタ)アクリラートへ反応する。
【0013】
僅かな当量のEO(例えば3当量のEO)のみを用いてアルコキシル化する場合、依然として第二級OH基の割合を有するアルコール混合物が得られる。EOをより大きいモル比で使用すると、第一級アルコールの割合は上昇するが、より長いポリアルキレンオキシド鎖もまた形成される。これにより、架橋剤の特性に影響を及ぼし、そうすると架橋剤は、より柔軟な構造を有する。
【0014】
アルコキシル化によって生じたアルコール混合物の反応率は、最も簡単にはOH価の測定によって分析することができる。これは、物質1gあたりのmgKOH単位における累積パラメータとしてのOH基の含有量を示し、アルコールの特定のモル質量を仮定して、質量%に換算することができる。
【0015】
工程(v)の後に得られる生成物中のOH価によって測定され、例えばイソソルビド3EOとして計算されるアルコール含有量は、有利には2質量%未満、とりわけ好ましくは1質量%未満である。
【0016】
そのほか、工程(v)の後に得られる生成物は、なおも痕跡量の共留剤およびアルキル(メタ)アクリラートを含有することができる。これらは、工程(v)の後に得られる生成物中に2質量%まで、好ましくは1質量%までの総量で含有されていてよい。
【0017】
工程(v)の後に得られる生成物の全ての副成分(イソソルビドエトキシラート、イソソルビドエトキシラートのモノエステル、共留剤およびアルキル(メタ)アクリラート、ここでイソソルビドエトキシラートおよびイソソルビドエトキシラートのモノエステルは、OH価によって測定され、かつイソソルビド3EOとして計算される)の量は、一般的に4質量%まで、好ましくは2質量%までである。
【0018】
第一工程(i)において、イソソルビドをエチレンオキシドでエトキシル化してイソソルビドエトキシラートにする。一般的に、イソソルビドエトキシラート1モルあたり2〜4モルのエチレンオキシド、好ましくは2〜3.5モルのエチレンオキシドが反応される。
【0019】
エトキシル化は、ガス状エチレンオキシドを用いて、塩基性または酸性触媒の存在下で、100〜500kPaの圧力、有利には120〜220℃の温度で、例えば欧州特許出願公開第2174941号明細書(EP2174941)に記載されているように実施することができる。適切な塩基性触媒は、例えばNaOHもしくはKOH、またはナトリウムメチラートもしくはカリウムメチラートである。
【0020】
工程(ii)において、触媒としてリン酸カリウムおよび安定剤の存在下、アルキル(メタ)アクリラートにおいて結合されているアルコールと共沸物を形成する共留剤の存在下で、アルキル(メタ)アクリラートとイソソルビドエトキシラートとを反応させ、ここで同時に、工程(iii)において共留剤およびアルコールからなる共沸物を、イソソルビドエトキシラートが実質的に完全に反応するまで留去する。すなわちエステル交換は、工程(ii)および(iii)からなる。
【0021】
適切なアルキル(メタ)アクリラートは、C〜Cアルキル(メタ)アクリラートである。一般的に、メチル(メタ)アクリラートまたはエチル(メタ)アクリラートが使用され、エステル交換反応では、メタノールまたはエタノールがアルコールとして放出される。
【0022】
アルキル(メタ)アクリラートとイソソルビドエトキシラートとの反応は、触媒として固体で、懸濁したリン酸カリウムの存在下で行われる。
【0023】
アルキル(メタ)アクリラートとイソソルビドエトキシラートとの反応は、さらに1つまたは複数の安定剤(重合禁止剤)の存在下で行われる。適切な安定剤は、例えば、N−オキシド(ニトロキシルラジカルまたはN−オキシルラジカル、すなわち、少なくとも1つのNO基を有する化合物)、例えば4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート、4,4′,4′′−トリス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル)ホスファイトまたは3−オキソ−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−N−オキシル;場合により1つまたは複数のアルキル基を有する一価または多価のフェノール、例えばアルキルフェノール、例えばo−、m−もしくはp−クレゾール(メチルフェノール)、2−tert−ブチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−メチル−4−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−tert−ブチル−4−メチルフェノール、4−tert−ブチル−2,6−ジメチルフェノールまたは6−tert−ブチル−2,4−ジメチルフェノール;キノン、例えばヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2−メチルヒドロキノンまたは2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン;ヒドロキシフェノール、例えば、カテコール(1,2−ジヒドロキシベンゾール)またはベンゾキノン;アミノフェノール、例えばp−アミノフェノール;ニトロソフェノール、例えばp−ニトロソフェノール;アルコキシフェノール、例えば2−メトキシフェノール(グアヤコール、カテコールモノメチルエーテル)、2−エトキシフェノール、2−イソプロポキシフェノール、4−メトキシフェノール(ヒドロキノンモノメチルエーテル)、モノ−もしくはジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール;トコフェロール、例えばα−トコフェロールならびに2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチル−7−ヒドロキシベンゾフラン(2,2−ジメチル−7−ヒドロキシクマラン)、芳香族アミン、例えばN,N−ジフェニルアミンまたはN−ニトロソジフェニルアミン;フェニレンジアミン、例えばN,N′−ジアルキル−p−フェニレンジアミン、ここでアルキル基は同じかまたは異なっていてよく、それぞれ互いに無関係に炭素原子1〜4個からなり、直鎖状または分枝鎖状であってよく、例えばN,N′−ジメチル−p−フェニレンジアミンまたはN,N′−ジエチル−p−フェニレンジアミン、ヒドロキシルアミン、例えばN,N′−ジエチルヒドロキシルアミン、イミン、例えば、メチルエチルイミンまたはメチレンバイオレット、スルホンアミド、例えばN−メチル−4−トルエンスルホンアミドまたはN−tert−ブチル−4−トルエンスルホンアミド、オキシム、例えばアルドオキシム、ケトオキシムまたはアミドオキシム、例えばジエチルケトオキシム、メチルエチルケトオキシムまたはサリチルアルドオキシム、リン含有化合物、例えばトリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィット、トリエチルホスフィット、次亜リン酸、または亜リン酸のアルキルエステル;硫黄含有化合物、例えばジフェニルスルフィドまたはフェノチアジンまたはこれらの混合物であってよい。
【0024】
ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、2−tert−ブチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、6−tert−ブチル−2,4−ジ−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールおよび2−メチル−4−tert−ブチルフェノールが好ましい。
【0025】
とりわけ好ましいのは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MeHQ)である。
【0026】
有利には、付加的に、重合禁止剤として酸素を使用することができる。
【0027】
さらなる安定化のため、酸素含有ガス、好ましくは空気、または空気および窒素からなる混合物(リーン空気)が存在していてよい。
【0028】
エステル交換反応(工程(ii)および(iii))は、一般的に、60〜140℃、好ましくは70〜110℃の温度で実施される。その際、共留剤およびアルコールからなる共沸物は、連続的に留去される。
【0029】
メタノールまたはエタノールにより共沸混合物を形成する適切な共留剤は、まずメチルアクリラートおよびメチルメタクリラートならびにエチルアクリラートおよびエチルメタクリラート自体である。別個の共留剤としては、とりわけシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、ヘキサンおよびヘプタン、ならびにこれらの混合物が適している。好ましいのは、メチルアクリラート、メチルメタクリラート、エチルアクリラートおよびエチルメタクリラート、ならびにこれらと、n−ヘプタンおよびシクロヘキサンとの混合物である。共留剤という用語は、この意味において、出発物質自体ならびに場合により付加的に使用される別個の溶媒を包含する。
【0030】
有利な実施形態では、共留剤として別個の溶媒は使用されない。この場合、出発物質であるアルキル(メタ)アクリラート自体が共留剤として機能を果たす。
【0031】
共留剤は、引き続き再び反応器中で補充することができる。このために、アルコールおよび共留剤からなる共沸混合物は、有利な実施形態では適切な塔を介して留去され、混合容器中で水と撹拌され、次いで相分離器中へと移される。その際、アルコール、一般的にメタノールまたはエタノールは、水中で溶解し、有機相は上層として分離する。有機相は、有利には塔頂を介して反応混合物に再び供給され、これによって僅かな損失を除いて循環内に送られる。しかしまた、択一的に新しい共留剤を供給することができ、共留剤アルコール混合物の後処理を、別個の工程で行うことができるか、または共留剤の補充を完全にもしくは部分的に省略することができる。
【0032】
一般的に、アルキル(メタ)アクリラートは、化学量論的過剰量で使用される。有利には、メチル(メタ)アクリラートの過剰量は、エステル化されるべきヒドロキシル基1つあたり5〜1000モル%、とりわけ好ましくは50〜500モル%、特に100〜400モル%である。
【0033】
触媒は、イソソルビドエトキシラートの量に対して0.1〜10モル%の濃度、好ましくは0.1〜5モル%の濃度で使用される。
【0034】
エステル交換は大気圧で、しかしまた正圧または負圧でも実施することができる。一般的にエステル交換は、300〜1000mbar、好ましくは300〜700mbar(大気圧=1000mbar)で実施することができる。反応時間は、一般的に1〜24時間、有利には3〜18時間、とりわけ好ましくは3〜10時間である。エステル交換(工程(ii)および(iii))は、連続的に、例えば撹拌釜カスケードにおいて、または非連続的に行うことができる。
【0035】
反応は、このような反応に適切な全ての反応器中で実施することができる。このような反応器は、当業者に公知である。好ましくは、反応を撹拌釜式反応器中で行う。
【0036】
バッチを混合するために、任意の装置、例えば撹拌装置を使用することができる。混合はまた、ガスの供給、有利には酸素含有ガスにより行うことができる。
【0037】
形成されたアルコール、一般的にメタノールまたはエタノールの除去は、連続的にまたは段階的にそれ自体公知のやり方で共留剤の存在下で共沸蒸留により行う。付加的に、メタノールは、ガスによるストリッピングによっても除去することができる。
【0038】
好ましい実施形態では、工程(iii)で留去された、共留剤およびアルコールからなる共沸物から、アルコールを水による洗浄によって分離し、共留剤を反応容器中へ返送する。
【0039】
工程(ii)および(iii)は、使用されるイソソルビドエトキシラートが実質的に完全に反応するまで実施される。これは、イソソルビドエトキシラートが95%まで、好ましくは97%まで、とりわけ好ましくは98%までジエステルに反応している場合である。反応率は、最も簡単にOH価の測定によって分析することができる。これは、物質1gあたりのmgKOH単位における累積パラメータとしてのOH基の含有量を示し、アルコールの特定のモル質量を仮定して、質量%に換算することができる。
【0040】
工程(iv)において、固体触媒を、イソソルビドエトキシラトジ(メタ)アクリラートを含有する生成物混合物から、例えば濾過または遠心分離により分離する。
【0041】
濾過は、例えば圧力濾過ヌッチェで実施することができる。方法技術的に、本発明による方法における濾過のために、自体公知の全ての濾過方法および濾過装置、例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第7版、2013年、電子版、Filtration、1.Fundamentals und Filtration 2.Equipmentの章に記載されているような方法および装置を使用することができる。例えば、これらはキャンドルフィルター、フィルタープレス、プレート圧力フィルター、バッグフィルターまたはドラムフィルターであってよい。有利には、キャンドルフィルターまたはプレート圧力フィルターが使用される。濾過は、濾過助剤ありまたは濾過助剤なしで実施することができる。適切な濾過助剤は、珪藻土、パーライトおよびセルロースに基づいた濾過助剤である。
【0042】
適切な遠心分離機およびセパレーターは専門家に公知である。方法技術的に、本発明による方法における遠心分離のために、自体公知の全ての遠心分離方法および遠心分離装置、例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第7版、2013年、電子版、Centrifuges、Filtering und Centrifuges、Sedimentingの章に記載されているような方法および装置を使用することができる。
【0043】
触媒の分離は、水の添加による水性抽出としてもまた行うことができる。
【0044】
このため、まだ未反応のアクリル(メタ)アクリラートおよび場合により別個の共留剤、ならびに安定剤および触媒を含有する生成物混合物を水と接触させる。複数の洗浄工程、例えば3つの洗浄工程を実施することも可能である。一般的に洗浄水の量は、洗浄工程1つあたり、生成物混合物の0.1〜2倍、好ましくは0.2〜0.5倍である。
【0045】
洗浄は、例えば撹拌容器または他の従来の装置、例えば塔またはミキサーセトラー装置内で実施することができる。
【0046】
方法技術的に、本発明による方法における洗浄のために、例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第6版、1999年、電子版、「Liquid−Liquid Extraction−Apparatus」の章に記載されているような自体公知の全ての抽出法および洗浄法ならびに洗浄装置を使用することができる。例えば、これらは、一段階または多段階、好ましくは一段階抽出、ならびに並流式または向流式での抽出であってよい
【0047】
洗浄された反応混合物は、場合により貯蔵安定剤と混合され、これによって目的生成物中、安定剤の所望の濃度、例えば100ppmが達成される。この方法で任意に調節可能な濃度は、最終生成物のそれぞれの仕様に依存し、例えば市販のアルキル(メタ)アクリラートに関して、15〜200ppmの範囲にある。たいてい、貯蔵安定剤として、フェノール、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、6−tert−ブチル−2,4−ジメチルフェノール、ヒドロキノンおよびヒドロキノンモノメチルエーテルの群から選択される安定剤、好ましくは、ヒドロキノンモノメチルエーテルが使用される。
【0048】
引き続き、蒸留工程(v)において、未反応のアルキル(メタ)アクリラートおよび場合により別個の共留剤、ならびに場合により水を生成物混合物から留去する。この蒸留は一般的に、40〜100℃、好ましくは60〜80℃の温度、2〜700mbarの可変圧力で行われる。付加的にこれらの成分を、ガスによる、有利には酸素含有ガスによるストリッピングにより除去することができる。
【0049】
蒸留による分離は、例えば二重壁加熱部および/または内側の加熱コイルを有する撹拌釜において減圧下で行われる。
【0050】
当然ながら蒸留は、流下膜式蒸発器または薄膜式蒸発器においても行うことができる。そのために反応混合物は、好ましくは何度も循環において減圧下で、例えば20〜700mbar、好ましくは30〜500mbar、とりわけ好ましくは50〜150mbar、40〜80℃の温度で前記装置によって導かれる。
【0051】
不活性ガス、好ましくは、酸素含有ガス、とりわけ好ましくは空気、または空気および窒素からなる混合物(リーン空気)を、反応混合物の体積に対して、例えば0.1〜1、好ましくは0.2〜0.8およびとりわけ好ましくは0.3〜0.7m/mhで蒸留装置に導入することが有利であり得る。
【0052】
工程(iv)および(v)の実施後、上述の純度を有する生成物が底部生成物として残る。
【0053】
本発明の対象はまた、イソソルビドジ(メタ)アクリラートの、二成分系接着材料用樹脂成分としての使用である。
【0054】
化学的固定技術のための本発明による二成分系接着材料は、以下のものを含有する:
I イソソルビドジ(メタ)アクリラートを含有する、23℃で100〜10000(mPa・s)の粘度を有する合成樹脂、および
II 合成樹脂のための硬化剤。
【0055】
本発明による接着材料の1つの成分は、充填剤の不在下で測定した、100〜10000、有利には200〜2000、とりわけ500〜1500mPa・sの粘度(23℃で)を有する合成樹脂である。これは、イソソルビドジ(メタ)アクリラートを含有する。
【0056】
合成樹脂は、他の硬化性樹脂、例えばポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、またはエポキシド樹脂を2〜20質量%、ならびに耐衝撃性改質の目的で、熱可塑性樹脂、例えばポリアミドもしくはポリエステル、またはゴムを2〜20質量%含有することができる。
【0057】
ペルオキシド硬化のために促進剤が必要な場合、それらは目的に応じて、空間的に樹脂と一緒に、つまり硬化剤とは別に配置される。適切な促進剤は、芳香族アミン、例えばN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン;トルイジンおよびキシリジン、例えばN,N−ジイソプロピリデンパラトルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)キシリジン;さらにCo塩、Mn塩、Sn塩またはCe塩、例えばナフテン酸コバルト、ならびにアミン促進剤およびコバルト促進剤の混合物である。一般的に促進剤は、合成樹脂中に、有利には0.5〜5質量%の量で含まれている。
【0058】
通常、既製の2チャンバーカートリッジ(2−Kammerpatrone)の形態が選択される。カートリッジとして有利には、その大きい方のチャンバーが樹脂を、小さい方のチャンバーが硬化剤を含有する、2チャンバーカートリッジ(Zweikammerkartusche)が使用される。大きい方のチャンバーは、小さい方のチャンバーよりも約5〜10倍大きな容積を有する。
【0059】
そのほか、合成樹脂成分を含有するチャンバー中には、充填剤もまた存在していてよい。接着材料のための強化充填剤として、例えば、石英、ガラス、コランダム、磁器、陶器、重晶石、軽晶石、タルクおよびチョークが使用される。充填剤は、砂、粉、または特別な成形体(円筒形、球体など)の形態で、樹脂溶液および/または硬化剤(開始剤)に混合される。充填剤は、繊維(繊維状充填剤)として使用することができる。球状の不活性物質(球形)が好ましく、大幅な強化作用をもたらす。
【0060】
硬化剤は、樹脂とは空間的に離して配置されている。好ましい硬化剤は、低温で分解する有機過酸化物である。特に好適なのは、ベンゾイルペルオキシドおよびメチルエチルケトンペルオキシド、さらにtert−ブチルペルベンゾエート、シクロヘキサノンペルオキシド、ラウリルペルオキシドおよびクメンヒドロペルオキシド、ならびに様々なペルオキシドの混合物である。過酸化物は、有利には0.5〜10質量%、有利には1〜5質量%の量で使用される。硬化剤は、目的に応じて不活性充填剤上に塗布され、ここで、寸法で0.5〜3mmまたは3〜6mmの粒度を有する石英砂が好ましい。
【0061】
発泡性接着材料の場合、目的に応じて炭酸塩を樹脂に加え、酸成分は、硬化剤と一緒にチャンバー内に、または別個の第3のチャンバー内に充填することができる。
【0062】
本発明による二成分系接着材料は、ドリルホール内のアンカーを固定するための目地剤(Duebelmasse)として使用することができる。このようなアンカーは、良好な亀裂伝播特性、低い収縮応力および無機受容材料、例えばコンクリートおよび天然石、ならびに発泡体およびキャビティブロックへの優れた接着性を有する。
【0063】
本発明を以下の例により詳細に説明する。
【0064】
実施例
例1
イソソルビド(5110g、35.0モル)を、3当量のエチレンオキシド(4620g、105モル)および触媒量のKOH(48.3g、0.863モル)と、160〜180℃で最大5バールの加圧反応器において反応させた。反応の終了後、生成物を冷却し、酢酸で中和した。
【0065】
例2
リン酸カリウムの存在下でのイソソルビド3EOのエステル交換:
エステル交換を、空気を導入しながら、アンカー型撹拌機、空気導入口、分離塔および液体分配器を備えた750mLの二重ジャケット反応器において行った。この装置中に、イソソルビド3EO(OH価 415mgKOH/g)200g、メチルヒドロキノン(MEHQ)0.06gおよびメチルメタクリラート(MMA、MEHQ15ppmで安定化)600gを室温で装入した。リン酸カリウム9.4gを添加し、反応混合物を80℃の浴温で加熱し、浴温を、反応の進行において100℃に適合させた。圧力を300mbar(絶対)、後に400mbar(絶対)に調整し、連続的にメタノールおよびMMAの共沸物を留去し、ここで塔底温度は60℃から80℃へ上昇した。還流比は2:1、後に10:1(還流:流出)であった。反応の終了後、生成物を、紙フィルターを介して濾過し、反応混合物を真空下で濃縮した。反応生成物は、2mgKOH/gのOH価を有し、これはイソソルビド3EOの残存アルコールとして計算して0.5%未満のアルコール、またはイソソルビド3EOのモノメタクリル酸エステルとして計算して1.2%のアルコールに相当する(全ての記載は、他に記載のない限り質量%である)。
【0066】
比較例1
リン酸カリウムの存在下でのイソソルビドのエステル交換:
アンカー型撹拌機、空気導入口、分離塔および液体分配器を備えた1.6Lの二重ジャケット反応器においてエステル交換を行った。還流比は10:1、後に10:3(還流:流出)、撹拌速度は180rpm、かつ空気導入量は1.5L/hであった。この装置中に、イソソルビド175g、メチルヒドロキノン(MEHQ)0.48gおよびメチルメタクリラート(MMA、MEHQ15ppmで安定化)1200gを室温で装入した。リン酸カリウム19.1gを添加し、反応混合物を80℃の浴温で加熱し、浴温を、反応の進行において100℃に適合させた。圧力を400mbar(絶対)に調整し、連続的にメタノールおよびMMAの共沸物を留去し、ここで塔底温度は75℃から82℃へ上昇した。反応の終了後、生成物を、紙フィルターを介して濾過し、反応混合物を真空下で濃縮した。反応混合物は、以下の組成を有した(GC面積%):イソソルビド(0%)、モノメタクリラート合計(4.3%)、副生成物合計10%(これ以上分析せず)、目的生成物ジメタクリラート(85.7%超)。
【0067】
比較例2
イソソルビド3EOのエステル化:
温度計、撹拌機、水分離器および空気導入口を備えた1Lの四ツ口フラスコに、シクロヘキサン(96g)、イソソルビド3EO(271g;OH価415mgKOH/g)、MeHQ(0.34g)、50%の次亜リン酸(0.84g)および酢酸Cu(II)溶液(5%、3g)を装入した。続いて、メタクリル酸(120g、MeHQ200ppmで安定化)を計量供給した。メタンスルホン酸(9.6g)を追加した。これを加熱した。3時間40分後、さらにメタクリル酸69gを計量供給した。反応の進行と共に、シクロヘキサンの一部を蒸留により除去した。83〜108℃の内部温度で水は留出した。12時間後に反応を中断した。冷却後、反応混合物をシクロヘキサン200mLと混合し、15%の食塩溶液、NaOH溶液、そしてもう一度15%の食塩溶液で抽出した。相分離後、有機相を真空下で濃縮した。反応生成物は、16mgKOH/gのOH価を有していた。これは、イソソルビド3EOの残存アルコールとして計算して3.9%のアルコール、またはイソソルビド3EOのモノメタクリル酸エステルとして計算して9.7%のアルコールに相当する。
【0068】
比較例3
Ti触媒の存在下でのイソソルビド3EOのエステル交換:
塔、冷却器、液体分配器、アンカー型撹拌機ならびに空気導入口を有する0.75Lのフランジ反応器中に、エチルアクリラート(750g)、MeHQ(0.4g)、PTZ(0.04g)ならびにイソソルビド3EO(340g;OH価415.5mgKOH/g)を装入し、空気を導入および撹拌しながら95℃の浴温で加熱した。300mbarの圧力でエチルアクリラート(EA)105gを留去した。エチルアクリラート105gならびにチタンテトライソプロポキシラート(14.3g)を計量供給し、さらに92℃の塔底温度に加熱した。反応混合物は初めのうちは濁っており、後に清澄であった。エチルアクリラートを3:1の還流比で留去した。EAを蒸留物中のEAに相応する量で、何回かに分けて計量供給した。塔底温度は、反応の進行と共に102℃へ上昇した。一定の間隔で塔底試料および蒸留試料を取り出し、反応の進行を観察した。最大925mbarの真空にした。5時間後に反応を中断し、バッチを冷却した。
【0069】
反応混合物に水25mlを混合し、紙フィルターを介して濾別し、真空下で濃縮した。
【0070】
反応生成物は、27mgKOH/gのOH価を有していた。これは、イソソルビド3EOの残存アルコールとして計算して6.5%のアルコール、またはイソソルビド3EOのモノアクリル酸エステルとして計算して15.6%のアルコールに相当する。
【0071】
比較例4
Ti触媒の存在下でのイソソルビド3EOのエステル交換:
塔、冷却器、液体分配器、アンカー型撹拌機ならびに空気導入口を有する0.75Lのフランジ反応器中に、メチルメタクリラート(750g)、MeHQ(0.26g)、PTZ(0.03g)ならびにイソソルビド3EO(338g;OH価415.5mgKOH/g)を装入し、空気を導入および撹拌しながら95℃の浴温で加熱した。300mbarの圧力でメチルメタクリラート105gを留去した。メチルメタクリラート105gならびにチタンテトライソプロポキシラート(14.2g)を計量供給し、さらに98℃の塔底温度に加熱した。反応混合物は、初めのうちは濁っており、後に清澄であった。メチルメタクリラートを10:3、後に5:3の還流比で留去した。メチルメタクリラートを蒸留物中のメチルメタクリラートに相応する量で、何回かに分けて計量供給した。塔底温度は、反応の進行と共に105℃へ上昇した。一定の間隔で塔底試料および蒸留試料を取り出し、反応の進行を観察した。最大900mbarの真空にした。12時間後に反応を中断し、バッチを冷却した。
【0072】
反応混合物に水30mlを混合し、紙フィルターを介して濾別し、真空下で濃縮した。
【0073】
反応生成物は、21mgKOH/gのOH価を有していた。これは、イソソルビド3EOの残存アルコールとして計算して5.1%のアルコール、またはイソソルビド3EOのモノメタクリル酸エステルとして計算して12.7%のアルコールに相当する。
【0074】
比較例5
Sn触媒の存在下でのイソソルビド3EOのエステル交換:
塔、冷却器、液体分配器、アンカー型撹拌機ならびに空気導入口を有する0.75Lのフランジ反応器中に、エチルアクリラート(481g)、MeHQ(0.61g)、PTZ(0.61g)、シクロヘキサン(89g)、二塩化ジメチル錫(0.46g)、メタノール中で30%のナトリウムメチラート溶液(0.32g)、ならびにイソソルビド3EO(406g;OH価415.5mgKOH/g)を装入し、空気を導入および撹拌しながら91℃の塔底温度に加熱した。沸騰開始後、20:1の還流比を調整し、還流比を反応の進行と共に2:1まで変化させた。エチルアクリラートおよびシクロヘキサンを、留去した量に相応する量で、何回かに分けて計量供給した。
【0075】
塔底温度は、反応の進行と共に106℃へ上昇した。一定の間隔で塔底試料を取り出し、反応の進行を観察した。
【0076】
21時間後に試験を中断した。反応生成物は、44mgKOH/gのOH価を有していた。これは、イソソルビド3EOの残存アルコールとして計算して10.6%のアルコール、またはイソソルビド3EOのモノアクリル酸エステルとして計算して25.5%のアルコールに相当する。