(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
AEがBaまたはBaおよびSrの混合物またはBaおよびCaの混合物からなる群から選択され、それがAEの合計含量に関してそれぞれ最大10原子%のSrまたはCaを含む、請求項1に記載の化合物。
一次光源が近UVまたは青紫色LEDダイオードであり、光源がスペクトルの青色域において発光する少なくとも1種の化合物、スペクトルの緑色域において発光する少なくとも1種の化合物およびスペクトルのオレンジ色または赤色域において発光する少なくとも1種の化合物を含む、請求項11に記載の光源。
【背景技術】
【0002】
蛍光体変換発光ダイオード(LED)またはpc−LEDは、現在固体照明(SSL)についての主要な候補である。これは、高い輝度を他の照明デバイスと比較して小さな電力を適用して達成することができるそれらの省エネルギー特性による。また、それらが小型であることによって、例えば蛍光灯と比較して少量の蛍光体を使用することが可能になる。さらに、最終生産物、LEDランプが、以前は建築的観点から可能でない方法において使用され得る。
【0003】
原則として、加法混色によって白色発光無機LEDを得るための3つの異なるアプローチがある:
(1)RGB LED(赤色+緑色+青色LED)、ここで白色光は、赤色、緑色および青色スペクトル領域において発光する3種の異なる発光ダイオードからの光を混合することにより発生する。
【0004】
(2)補足システム、ここで発光半導体(一次光源)は、例えば青色光を発し、それは、1種以上の蛍光体(変換蛍光体)を励起し、それは次に、より長い波長の光を発する。今日使用されている白色LEDは、主として、青色LEDチップ((In)GaN、材料におけるInドーピングの量に依存して約440〜480nmで発光する)が蛍光体層によって被覆される概念に基づく。チップによって発せられた光の一部は透過され、青色構成成分を付与し、残りは蛍光体層によって吸収され、蛍光体発光が得られる。青色および黄色光を混合することによって、白色光が、次に生じる。あるいはまた、例えば緑色または黄色およびオレンジ色または赤色光を発光する2種以上の蛍光体を使用することが、可能である。
【0005】
(3)UV−または青紫色LED+RGB蛍光体、ここでスペクトルの近UVまたは青紫色域において発光する半導体(一次光源)は、環境に対して光を発し、ここで3種の異なる変換蛍光体は励起されて、赤色、緑色および青色スペクトル域において発光する。あるいはまた、黄色またはオレンジ色および青色を発光する2種の異なる蛍光体を使用することが、可能である。
【0006】
二部構成の補足系は、それらが1つのみの一次光源で、および−最も単純な場合においては−1つのみの変換蛍光体で白色光を生じることが可能であるという利点を有する。これらのシステムの最良に知られているのは、青色スペクトル域における光を発する一次光源としての窒化インジウムアルミニウムガリウムチップ、および青色域において励起され、黄色スペクトル域における光を発する変換蛍光体としてのセリウムドープイットリウムアルミニウムガーネット(YAG:Ce)からなる。数種のオルトケイ酸塩M
2SiO
4:Eu
2+(M=Ca、Sr、Ba)をまた、黄色−オレンジ色放射体として使用することができる。しかしながら、全体的な発光において赤色構成成分の欠如があるという事実により、青色および黄色構成成分を混合することによって得られた光の質は低い。
【0007】
改善は、2価のユウロピウムまたは3価のセリウムイオンでドープした赤色構成成分、例えば様々な窒化物およびオキシ窒化物、例えばM
2Si
5N
8:Eu
2+(M=Sr、Ba)の添加によって得られる。しかしながら、青色発光窒化インジウムガリウムLEDの使用の結果、また多くの困難、例えば蛍光体層の厚さおよび小さなストークスシフトに起因する発光団間の強いスペクトル的相互作用へのカラーポイントの強い依存性がもたらされる。さらに、および尚より重要なことに、2nm程度に小さいLEDチップの青色ピーク発光波長における偏差によって、カラーポイントの著しい変化がもたらされる。したがって、かかる系は、青色LEDチップの発光の小さな変化に対して極めて感受性である。
【0008】
使用する蛍光体に置かれた要件は、一般に以下のとおりである:
1.良好な光品質のための高い演色評価数(CRI)、
2.高い熱安定性、(T>150℃の動作温度で著しい発光強度低下なし)
3.蛍光体の高い量子効率(QE)、
4.440〜460nm(青色LEDチップの発光波長)での蛍光体の高い吸収、
5.高い化学安定性。
【0009】
興味深い代替法が最近作用し始め、ここで青色発光LEDチップを、近UVまたは青紫色LEDチップによって置き換える。特に、370〜430nmの発光範囲は、白色スペクトルへの変換の際のここでのストークス損失が未だ過度に大きくないので、興味深い。特に青紫色のLEDチップを使用する際のかかる配置の利点は、青紫色チップが青色チップと比較して動作温度の関数としてはるかに良好な性能を有することである。この効果は、「動作温度垂下」として文献において知られている。さらに、近UVまたは青紫色チップの波長の偏差の影響は、近UVまたは青紫色チップの完全な発光がより長い波長の光に変換されるので、最終的なLEDのカラーポイントについて顕著でない。既に、これらの利点は、近UVおよび青紫色LEDチップのための蛍光体を調査するために十分重要である。
【0010】
したがって、白色発光LEDのための基礎としての近UVおよび青紫色LEDは、LED光源の多くの開発の焦点であり、近UVおよび青紫色LEDのための新規な変換蛍光体の研究および開発は、近年強められた。この理由のために、スペクトルの近UVおよび青紫色域において励起することができる無機蛍光粉末はまた、特に、光源のための、特にpc−LEDのための変換蛍光体として今日重要性においてますます増大している。
【発明の概要】
【0011】
したがって、本発明の目的は、近UVまたは青紫色域において励起することができる新規な化合物を提供することにある。緑色発光蛍光体を提供することが特に望ましく、それは近UVまたは青紫色域において強い吸収を示すが、これによって色の混合が促進されて正確なカラーポイントが達成され、発光効果を低下させるいくつかの連続的な吸収および発光プロセスが回避されるので、スペクトルの青色域における吸収をほとんどまたは全く示さない。好ましくは、当該蛍光体は、高い発光効果を示さなければならない。
【0012】
本発明のさらなる目的は、複数の発光極大を有する蛍光体を提供することにあり、それは、より少数の異なる蛍光体がUV域における励起の際の白色光の発生に必要であることを意味する。
【0013】
驚くべきことに、ルミネセンスが2価のユウロピウム(Eu)イオンまたは他のドーパントから得られる以下に記載するアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体がこの目的を達成することが、見出された。これらの蛍光体を、近UVおよび青紫色域において励起し、スペクトル域の様々な部分において発光を示すことができる。410nmでの励起の下での蛍光体の発光は、420〜700nmにわたり、ピーク極大は、正確な組成に依存して約520nmの緑色スペクトル域にある。材料は、組成Ba
0.75Al
11O
17.25のβ−アルミナ構造から誘導される。
【0014】
その純粋な形態における、およびEu
2+ドーピングを有するβ−アルミナ構造のBaアルミン酸塩材料は、数年にわたって知られている(A.L.N. Stevels, J. of Luminescence 17 (1978), 121-133;S.R.Jansen, J.M. Migchels, H.T. Hintzen, R. Metselaar, J. Electrochem. Soc. 146 (2) (1999) 800-806;V. Pike, S. Patraw, A.L. Diaz, B.G. DeBoer, J. Solid State Chem. 173 (2003) 359-366)。その組成は、Ba
1−nAl
10.66(6)+4/3nO
17+nとして変化し、ここでnは、0から0.35まで変化する。さらに、一見したところこの範囲の外側の組成は、時々化学量論がBa
1に標準化されるので有効であり得る。与えられた式から、Ba
0.75Al
11O
17.25の組成が、n=0.25について誘導され得る。
【0015】
また、Baに富んだ組成をもたらす他の変化が知られているが、これらはβ−アルミナ構造を有し、時々またマグネトプランバイト(magnetoplumbite)構造と称される。かかる組成において、青色ルミネセンスのみが観察される。材料(β−アルミナ)およびそのルミネセンス特性が、254nmのUV光が可視線に変換される蛍光照明におけるその使用に関して調査されている。かかる刺激に際して、材料は青色光を発し、数種の組成物はまた青色光に加えてある量の緑色ルミネセンスを生じ得る。しかしながら、緑色発光は、文献中で、約40%までのみの量子効率で効率的でないものとして記載されており、それは、材料の内部限界であると言われている。
【0016】
したがって、本発明のさらなる目的は、先行技術と比較して高いルミネサンス効率を示す緑色発光蛍光体材料を提供することにある。
【0017】
本発明は、以下の式(1)で表される化合物に関する、
(AE)
a−d−v−yA
yM
1b−eM
2eM
3vE
c−e−yX
x+yN
e+v・D 式(1)
式中、以下のことが使用する記号および指数に該当する:
AEは、Ca、Sr、Baまたはこれらの元素の混合物からなる群から選択され;
Dは、Eu、Mn、Yb、Sm、Ceまたはこれらの元素の混合物からなる群から選択され;
Aは、Na、Kまたはこれらの元素の混合物からなる群から選択され;
【0018】
M
1は、B、Al、Ga、In、Tl、Scまたはこれらの元素の混合物からなる群から選択され;
M
2は、C、Si、Ge、Snまたはこれらの元素の混合物からなる群から選択され;
M
3は、Y、Lu、Laまたはこれらの元素の混合物からなる群から選択され;
【0019】
Eは、O、S、Se、Teまたはこれらの元素の混合物からなる群から選択され;
Xは、F、Cl、Br、Iまたはこれらの元素の混合物からなる群から選択され;
Nは、3価の窒化物イオンであり;
【0020】
0.65≦a≦1;
0≦y≦0.1a、ここでaは、上に定義した通りであり;
0≦v≦0.1a、ここでaは、上に定義した通りであり;
10.667≦b≦11.133;
17.00≦c≦17.35;
0≦x≦5;
0≦e≦5;
0.0584≦a/b≦0.0938;
0.0375≦a/c≦0.0588;
2a+3b=2c+x;
ただしAE=Baであり、M
1=Alである場合、x≠0またはy≠0またはv≠0またはe≠0である。
【0021】
a/bおよびa/cの比率について上に示した条件によって、X線粉末回析手法によって証明されるように、本発明の化合物がβ−アルミナ相において生成し、組成Ba
0.75Al
11O
17.25のβ−アルミナ構造から誘導されることが確実になる。以下の実験の章において提示したデータから明らかなように、本発明の材料は、またアルカリ金属Aもしくは3価の金属M
3もしくはハロゲン化物アニオンXを含む場合、あるいはそれぞれ、例えばAl
3+の代わりにSc
3+もしくは他の3価のカチオンで、またはAl
3+およびO
2−の代わりにSi
4+およびN
3−で修飾された場合に、β−アルミナの純粋なBa
0.75Al
11O
17.25構造を示す。
【0022】
ドーパントDを、アルカリ土類金属AEの格子部位で包含させる。Dが2価のカチオン、例えばEu
2+である場合、それは、アルカリ土類金属AEを直接交換する。Dが3価の金属、例えばCe
3+である場合、それは、アルカリ土類金属AEを交換し、3価の金属の追加的な荷電は、追加的な酸素の格子中の包含によって、またはより低い比率のアルカリ土類金属によって補償される。
【0023】
好ましいのは、以下の式(1a)で表される化合物である。
(AE)
a−d−v−yD
dA
yM
1b−eM
2eM
3vE
c−e−yX
x+yN
e+v 式(1a)
式中、記号および指数は、上に示した意味を有し、さらに0<d≦1である。
【0024】
本発明の化合物がSeまたはTeを元素Eとして含む場合、これらの元素は、好ましくは、すべての元素Eに関して≦1原子%の合計量において、より好ましくはすべての元素Eに関して≦0.1原子%の合計量において存在する。好ましくは、本発明の化合物は、SeまたはTeを含まない。
【0025】
本発明の化合物がBrまたはIを元素Xとして含む場合、これらの元素は、好ましくは、すべての元素Xに関して≦1原子%の合計量において、より好ましくはすべての元素Xに関して≦0.1原子%の合計量において存在する。好ましくは、本発明の化合物は、BrまたはIを含まない。
【0026】
本発明による化合物は、正確な組成に依存して、近UVおよび/または青紫色スペクトル域において、好ましくは約370〜430nmで励起され、通常青色または緑色スペクトル域において発光極大を示すことができる。ドーパントDに依存して、赤色域中の付加的な発光ピークは、例えば、Eu
2+およびMn
2+またはEu
2+およびEu
3+の組み合わせをドーパントDとして使用する場合に可能である。
【0027】
本出願の文脈において、UV光は、その発光極大が≦400nmである光を示し、近UV光は、その発光極大が370〜400nmである光を示し、青紫色光は、その発光極大が401〜430nmである光を示し、青色光は、その発光極大が431〜470nmである光を示し、シアン色光は、その発光極大が471〜505nmである光を示し、緑色光は、その発光極大が506〜560nmである光を示し、黄色光は、その発光極大が561〜575nmである光を示し、オレンジ色光は、その発光極大が576〜600nmである光を示し、赤色光は、その発光極大が601〜700nmである光を示す。
【0028】
本発明の好ましい態様において、AEは、BaまたはBaおよびSrの混合物またはBaおよびCaの混合物からなる群から選択される。特に好ましい態様において、AEは、BaまたはBaおよびSrの混合物またはBaおよびCaの混合物からなる群から選択され、それは、AEの合計含量に関して、それぞれ最大10原子%のSrまたはCa、特に好ましくはそれぞれ最大5原子%のSrまたはCa、最も好ましくはそれぞれ最大3原子%のSrまたはCaを含む。AEは、特に好ましくはBaを表す。
【0029】
本発明の化合物が元素M
3を含む場合、AEがBaのみを表すことが、好ましい。
本発明の好ましい態様において、ドーパントDは、Eu、Mnまたはこれらの元素の混合物からなる群から選択される。特に好ましい態様において、Dは、EuまたはEuおよびMnの混合物からなる群から選択され、それは、AE+Eu+Mnの合計量に関して最大10原子%のMnを含む。Dは、特に好ましくはEuを表す。
【0030】
式(1)で表される化合物の好ましい態様は、したがって以下の式(2)〜(7)
【化1】
式中、記号および指数は、上に示した意味を有し、ならびに
0≦z≦0.1、好ましくは≦0.05、特に好ましくは≦0.03であり;
0<d≦1である、
で表される化合物である。
【0031】
本発明の最も好ましい態様において、z=0である。
式(1)〜(7)による化合物のさらなる好ましい態様において、アルカリ金属Aは、NaまたはKから選択され、好ましくはKである。アルカリ金属Aの含量を記載する指数yは、好ましくは、範囲0≦y≦0.05a、特に好ましくは0≦y≦0.03aにおいて選択され、ここでaは、上に記載した意味を有する。
【0032】
本発明のさらなる好ましい態様において、M
1は、B、Al、Ga、In、Scまたはこれらの元素の2種の混合物からなる群から選択され、ここで好ましくは、M
1は、Alを含む。特に好ましくは、M
1は、AlまたはAlのGaとの、もしくはAlのInとの混合物からなる群から選択される。極めて特に好ましくは、M
1はAlである。M
1がAl以外の元素、例えばB、Ga、Inおよび/またはScを含む場合、これらの元素の合計量は、好ましくはM
1の合計量の≦10原子%、特に好ましくは≦5原子%、最も好ましくは≦3原子%である。
【0033】
式(1)で表される化合物の好ましい態様は、したがって、式(8)〜(11)
【化2】
式中、記号および指数は、上に示した意味を有し、ならびに
0≦w≦0.1であり;
0<d≦1である、
で表される化合物である。
【0034】
本発明の好ましい態様において、0≦w≦0.05、特に好ましくは0≦w≦0.03、最も好ましくはw=0である。
本発明のさらなる好ましい態様において、以下のことが、式(1a)〜(11)で表される化合物における指数dに該当する:0.03≦d≦0.25、好ましくは0.05≦d≦0.20。
【0035】
本発明の化合物が3価の元素M
3を含む場合、この元素は、好ましくはLaである。本発明の最も好ましい態様において、3価の元素M
3は存在せず、つまりv=0である。3価の元素M
3は、アルカリ土類金属AEを交換する。電荷は、3価の窒化物アニオンN
3−によって補償される。
【0036】
本発明の化合物において、3価の元素M
1および2価のアニオンEは、4価の元素M
2および3価の窒化物アニオンN
3−によって置き換えられ得る。4価の元素M
2が存在する場合、M
2は、好ましくは、Si、Geまたはその混合物からなる群から選択され、特に好ましくはSiである。M
2の含量は、指数eによって記載される。本発明の好ましい態様において、以下のことが、指数eに該当する:0≦e≦1、特に好ましくは0≦e≦0.2。本発明の最も好ましい態様において、e=0である。
【0037】
本発明のさらなる好ましい態様において、2価のアニオンEは、O、Sまたは当該元素の混合物からなる群から選択される。特に好ましくは、EはOである。
【0038】
本発明のさらなる好ましい態様において、本発明の化合物は、1価のアニオンXを含む。1価のアニオンXが存在する場合、Xは、好ましくは、F、Clまたはその混合物からなる群から選択され、特に好ましくはFである。1価のアルカリ金属Aおよび1価のアニオンXがアルカリ土類金属AEおよび2価のアニオンEを交換すること、および/または1価のアニオンXの電荷がアルカリ土類金属AEのより低い含量によって補償されること、および/または2価のアニオンEの一部が2つの1価のアニオンXによって置き換えられることのいずれかが、可能である。
【0039】
Xの存在によって、蛍光体の特に改善された特性、特に、いかなるアニオンXをも含まない蛍光体と比較して高い効率がもたらされることが、見出された。したがって、式(1)および好ましい式(2)〜(11)による本発明の化合物が1価のアニオンX、特にFを含むこと、つまり指数x≠0かつ/またはy≠0であることが、好ましい。本発明の好ましい態様において、以下のことが、指数xについて該当する:0<x+y≦2、好ましくは0.0005≦x+y≦1、特に好ましくは0.001≦x+y≦0.1、最も好ましくは0.001≦x+y≦0.05。
【0040】
本発明の好ましい態様において、以下のことが、指数aについて該当する:0.70≦a≦0.80。上に示したa:bおよびa:cの比率についての条件から、以下のことが、次に指数bおよびcについて該当する:
10.93≦b≦11.067および
17.2≦c≦17.3。
本発明の特に好ましい態様において、上に示した好ましいことが、同時に該当する。
【0041】
本発明の特に好ましい態様は、したがって式(2a)〜(11a)で表される化合物である。
【化3】
【0042】
式中、記号および指数は、以下の意味を有する:
AEは、BaまたはBaのCaとの、もしくはBaのSrとの混合物からなる群から選択され、ここでそれぞれCaまたはSrの最大量は、AE+Dの合計量に関して10原子%であり;
Dは、EuまたはEuおよびMnの混合物からなる群から選択され;
Aは、KまたはKおよびNaの混合物から選択され、ここでKおよびNaの合計量に関してのNaの最大量は、10原子%であり;
【0043】
M
1は、B、Al、Ga、In、Scまたはこれらの元素の2種の混合物、好ましくはAl、Ga、Inまたは2種のこれらの元素の混合物からなる群から選択され;
M
2は、Si、Geまたはこれらの元素の混合物からなる群から選択され;
M
3は、Y、LuおよびLaからなる群から選択され;
Oは、2価の酸素アニオンであり;
【0044】
0.70≦a≦0.80;
0≦z≦0.05;
0.03≦d≦0.25;
10.93≦b≦11.067;
17.2≦c≦17.3;
【0045】
ただし、式(2a)〜(5a)においてz=0およびM
1=Alである場合、x≠0またはy≠0またはe≠0であり;
かつさらに、式(6a)および(7a)においてM
1=Alである場合、x≠0またはy≠0またはv≠0またはe≠0であり;
かつさらに、式(8a)〜(11a)においてAE=Baおよびw=0である場合、x≠0またはy≠0またはv≠0またはe≠0である。
【0046】
残りの記号および指数は、上に記載した意味を有する。式(2a)〜(11a)の好ましい態様において、以下のことが、指数xおよびyについて該当する:0.0005≦x+y≦1、好ましくは0.001≦x+y≦0.1、最も好ましくは0.001≦x+y≦0.05。
【0047】
式(2a)〜(11a)による化合物の特に好ましい態様において、使用する記号および指数は、以下の意味を有する:
AEは、Baであり;
Dは、Euであり;
Aは、Kであり;
M
1は、Alであり;
M
2は、SiまたはGeからなる群から選択され;
M
3は、Laであり;
Xは、Fであり;
0.0005≦x+y≦1、好ましくは0.001≦x+y≦0.1、最も好ましくは0.001≦x+y≦0.05であり;
残りの記号および指数は、上に示した意味を有する。
【0048】
本発明の特に好ましい態様において、本発明の化合物を、以下の式(12)によって記載することができる:
Ba
a−d−yEu
dK
yAl
b−eM
2eO
c−e−yF
x+yN
e 式(12)
式中、使用する記号および指数は、上に示した意味を有する。
【0049】
本発明の特に好ましい態様において、指数e=0および本発明の化合物は、以下の式(13)で表される化合物から選択される、
Ba
a−d−yEu
dK
yAl
bO
c−yF
x+y 式(13)
式中、使用する記号および指数は、上に示した意味を有する。
【0050】
本発明はさらに、式(1)または好ましい態様の化合物の製造方法であって、以下のステップ:
a)AE、D、M
1、E、任意にXおよび/もしくは任意にAおよび/もしくは任意にM
2および/もしくはM
3ならびに/または任意にNを含む混合物の調製;ならびに
b)混合物の高い温度でのか焼
を含む、前記方法に関する。
【0051】
ここでのイオンAE、AおよびM
1を、好ましくは、対応する炭酸塩、酸化物、ハロゲン化物および/またはシュウ酸塩の形態において使用する。2価のアニオンがOと異なる場合、AE、Aおよび/またはM
1をまた、対応する硫化物、硫酸塩、セレン化物またはテルル化物の形態において使用することができる。好ましいのは、炭酸塩の使用である。本発明の化合物がハロゲンイオンXを含む場合、AE、Aおよび/またはM
1の部分をまた、対応するハロゲン化物、例えば(AE)X
2、AXおよび/またはM
1X
3、特に(AE)F
2、AFおよび/またはM
1F
3の形態において使用することができる。これらのハロゲン化物は、混合物におけるフラックスとして同時に作用する。
【0052】
ドーパントDを、好ましくは、酸化物またはシュウ酸塩の形態において使用する。D=Euについて、好ましいのは、酸化物Eu
2O
3の形態にあるEuの使用である。D=Mnである場合、好ましいのは、シュウ酸塩の形態における、特に水和物MnC
2O
4・2H
2OとしてのMnの使用である。あるいはまた、Mnをまた、炭酸塩MnCO
3の形態において使用することができる。本発明の化合物がハロゲン化物Xを含む場合、ドーパントDをハロゲン化物、例えばEuX
2またはEuX
3、特にEuF
2またはEuF
3の形態において使用することがまた、可能である。
【0053】
本発明の化合物がM
2および/またはM
3およびNを含む場合、好ましいのは、さらに対応する窒化物、例えば窒化物Si
3N
4の形態におけるSiならびに/またはYN、LuNおよび/もしくはLaNの形態におけるY、Luおよび/もしくはLaの使用である。
さらに、高純度金属、例えば金属性Siを、使用することができる。
【0054】
本発明によるプロセスのステップa)における混合物中のAE、M
1、D、Eならびに任意にXおよび/または任意にM
2および/または任意にAおよび/または任意にM
3および/または任意にNの比率は、反応生成物の所望の化学量論から発生し、つまり出発物質を、好ましくは生成物中の所望の比率に従って使用する。
【0055】
ステップa)における混合物を、好ましくは、乳鉢中で、または回転するベンチ上で調製する。このプロセスを、溶媒、例えばアセトンまたはアルコール、特にエタノール、プロパノールまたはイソプロパノール中で行うことができる。工業的規模において、ステップa)における混合物を、好ましくは、自動乳鉢ミル中で、または回転するベンチ上で調製する。
【0056】
混合物を、か焼の前に乾燥する。これを、好ましくは、空気中で、最初に室温で、次に乾燥キャビネット中で高い温度で、好ましくは60〜120℃で、特に約80℃で行う。
【0057】
ここで、フラクシング剤を混合物に加えることが、好ましい場合がある。好適なフラクシング剤は、例えばホウ酸H
3BO
3、フッ化アンモニウムNH
4F、フッ化アルミニウムAlF
3、フッ化バリウムBaF
2、フッ化ストロンチウムSrF
2、フッ化カルシウムCaF
2、フッ化ナトリウムNaFおよびフッ化カリウムKFである。フラクシング剤の残留物はまた、生成物中に残留し得る。
【0058】
本発明によるプロセスのステップb)における混合物のか焼を、好ましくは、還元下で、または少なくとも非酸化条件の下で行う。好ましいのは、ここで、3〜24h、特に好ましくは5〜16hの反応時間、および1100〜1700℃、特に好ましくは1300〜1600℃の範囲内の温度である。このプロセスを空気中で、または酸素を含む雰囲気中で行うことがまた、可能である。これによって、スペクトルの赤色域における追加的な発光が生じるEuドーパントのEu
2+からEu
3+への部分的酸化が生じ得る。
【0059】
非酸化条件または還元条件を、ここで、例えば、不活性ガス、アンモニア、一酸化炭素、フォーミングガスまたは水素または真空または酸素欠乏雰囲気を使用して確立する。好ましいのは、特に、N
2中に5〜90体積%の含量のH
2を有するフォーミングガス雰囲気である。
【0060】
か焼を、例えば、得られた混合物を窒化ホウ素中の高温炉またはコランダム容器中に導入することにより行うことができる。高温炉は、好ましい態様においてマッフル炉またはチャンバー炉である。
本発明による化合物をか焼ステップの後に例えば乳鉢中で粉砕することにより粉末状にするのが、好ましい。
【0061】
LEDにおいて使用するための本発明による蛍光体の体積分布の平均粒子サイズd
50は、通常50nm〜30μm、好ましくは1μm〜20μmである。ここでの粒子サイズを、好ましくはコールターカウンター測定によって決定する。
【0062】
尚さらなる態様において、本発明による化合物を被覆してもよい。この目的のために適しているのは、先行技術から当業者に知られており、蛍光体のために使用するすべてのコーティング法である。コーティングのために適している材料は、特に、金属酸化物および窒化物、特にアルカリ土類金属酸化物、例えばAl
2O
3、およびアルカリ土類金属窒化物、例えばAlN、ならびにSiO
2である。コーティングを、ここで、例えば、流動床方法によって、または湿式化学的方法によって行うことができる。好適なコーティング法は、例えば、JP 04-304290、WO 91/10715、WO 99/27033、US 2007/0298250、WO 2009/065480およびWO 2010/075908に開示されている。
【0063】
コーティングの目的は、一方で、蛍光体の例えば空気または湿気に対するより高い安定性であり得る。しかしながら、目的はまた、コーティングの表面およびコーティング材料の屈折率の好適な選択を通じて光の改善されたカップリングインおよびカップリングアウトであり得る。無機コーティングの代替として、またはそれに加えて、化合物をまた、有機物質で、例えばシロキサンで被覆してもよい。これは、LEDの生産の間に樹脂中の分散性に関して長所を有し得る。
【0064】
本発明は、再びさらに、本発明による化合物の、蛍光体または変換蛍光体としての、特に発光ダイオードの近UVまたは青紫色発光のより長い波長を有する光への部分的な、または完全な変換のための使用に関する。
本発明による化合物をまた、以下で蛍光体と称する。
【0065】
本発明は、したがってさらに、本発明による化合物を含む発光変換材料に関する。発光変換材料は、本発明による化合物からなり得、この場合において上に定義した用語「変換蛍光体」と等価であろう。本発明による発光変換材料がまた本発明による化合物に加えてさらなる変換蛍光体を含むことがまた、好ましい場合がある。この場合において、本発明による発光変換材料は、好ましくは少なくとも2種の変換蛍光体の混合物、好ましくは3種の変換蛍光体の混合物を含み、ここでその少なくとも1種は、本発明による化合物である。3種の変換蛍光体がスペクトルの青色、緑色、赤色域にある波長の光を発する蛍光体であるのが、特に好ましい。正確な組成に依存して、本発明の化合物は、緑色発光化合物として特に有用であり得る。
【0066】
本発明の化合物は、極めて良好な発光効率を示す。これは、特に、ハロゲンイオンXを含む化合物についての、特にフッ素を含む化合物についての場合である。
本発明による化合物によって、良好なLED品質が生じる。LED品質は、ここで、従来のパラメーター、例えば演色評価数(CRI)、相関色温度(CCT)、ルーメン等価もしくは絶対ルーメン、またはCIE xおよびy座標におけるカラーポイントによって記載される。
【0067】
演色評価数(CRI)は、当業者が熟知しており、人工光源の色再現忠実性を太陽光またはフィラメント光源(後者の2つは100のCRIを有する)のものと比較する無次元の照明量である。
相関色温度(CCT)は、当業者が熟知しており、単位ケルビンを有する照明量である。数値が高くなるに伴って、光の青色含量は高くなり、人工的な放射線源からの白色光は観察者に対してより低温の外見を呈する。CCTは、黒体放射体の概念に従い、その色温度は、CIE図式においていわゆるプランク曲線を記載する。
【0068】
ルーメン等価は、当業者が熟知しており、単位lm/Wを有し、単位ワットを有するある放射測定放射電力での光源のルーメンにおける光度計的光束の規模を記載する照明量である。ルーメン等価が高くなるに伴って、光源はより効率的になる。
ルーメンは、当業者が熟知しており、放射線源によって発せられた全可視線の評価基準である光源の光束を記載する光度計的照明量である。光束が大きくなるに伴って、光源は観察者に対してより明るい外見を呈する。
【0069】
CIE xおよびCIE yは、当業者が熟知しており、それによって光源の色を記載する標準的なCIE色図表(ここで標準的な観察者1931)における座標を表す。
上に述べたすべての量を、光源の発光スペクトルから当業者が熟知している方法によって計算することができる。
【0070】
本発明による蛍光体の励起性は、広範囲にわたり、それは、約250nm〜420nm、好ましくは350nm〜約420nmにわたる。本発明による蛍光体の励起曲線の極大は、正確な組成に依存して通常約350〜370nmである。これらの蛍光体が尚400〜420nmの域において強い吸光度を示すので、それらは、近UV LEDまたは青紫色LEDと共に使用するのに高度に好適である。
【0071】
本発明はさらに、少なくとも1つの一次光源および少なくとも1種の本発明による化合物を含む光源に関する。ここでの一次光源の発光極大は、通常350nm〜420nm、好ましくは370nm〜約420nmの範囲内であり、ここで一次放射線は、本発明による蛍光体によって部分的に、または完全により長い波長の放射線に変換される。
【0072】
本発明による光源の好ましい態様において、一次光源は、特に式In
iGa
jAl
kNで表され、式中0≦i、0≦j、0≦kおよびi+j+k=1である発光窒化インジウムアルミニウムガリウムである。
このタイプの光源の可能な形態は、当業者に知られている。これらは、様々な構造の発光LEDチップであり得る。
【0073】
本発明による対応する光源はまた、発光ダイオードまたはLEDとして知られている。
本発明による光源のさらなる好ましい態様において、一次光源は、ZnO、TCO(透明な伝導性酸化物)またはSiCに基づいたルミネセント配置である。
【0074】
本発明による光源のさらなる好ましい態様において、一次光源は、近UVまたは青紫色レーザーである。
本発明による光源のさらなる好ましい態様において、一次光源は、エレクトロルミネセンスおよび/またはフォトルミネセンスを示す源である。一次光源は、さらにまたプラズマまたは放電源であり得る。
【0075】
本発明による蛍光体を、個々に、または当業者が熟知している以下の蛍光体との混合物として使用することができる。本発明の蛍光体の正確な発光色に依存して、それらを、特に好ましくは、青色、緑色または赤色スペクトル域において発光する1種以上の蛍光体と組み合わせて使用する。本発明の蛍光体がスペクトルの青色域において発光する場合、それらを、好ましくは、スペクトルの緑色域において発光する蛍光体およびスペクトルの赤色域において発光するさらなる蛍光体と組み合わせて使用する。本発明の蛍光体がスペクトルの緑色域において発光する場合、それらを、好ましくは、スペクトルの青色域において発光する蛍光体およびスペクトルの赤色域において発光するさらなる蛍光体と組み合わせて使用する。本発明の蛍光体がスペクトルの赤色域において発光する場合、それらを、好ましくは、スペクトルの青色域において発光する蛍光体およびスペクトルの緑色域において発光するさらなる蛍光体と組み合わせて使用する。
【0076】
原理的に混合物に適している対応する蛍光体は、例えば以下のものである:
【化4】
【0080】
本発明による蛍光体または蛍光体の組み合わせを、適用に依存して、樹脂(例えばエポキシもしくはシリコーン樹脂)中に分散させるか、または、好適なサイズ比率の場合において、一次光源上に直接配置するか、もしくはあるいはまたそこから遠隔に配置することができる(後者の配置はまた「遠隔蛍光体技術」を含む)。遠隔蛍光体技術の利点は、当業者に知られており、例えば以下の刊行物によって明らかにされている:Japanese J. of Appl. Phys. Vol. 44, No. 21 (2005). L649-L651。
【0081】
さらなる態様において、蛍光体と一次光源との間の光学的結合を光伝導性配置によって達成するのが、好ましい。これによって、一次光源を中央の位置で設置し、蛍光体に光伝導性装置、例えば光ファイバーによって光学的に結合されることが可能になる。このようにして、単に光学的スクリーンを形成するように配置することができる1種または種々の蛍光体、および一次光源に結合される光導波路からなる、照明の希望に適合したランプを達成することが、可能である。このようにして、強い一次光源を電気的設置に好ましい位置に配置し、光導波路にさらなる電気的配線のない任意の所望の位置で、しかし代わりに光導波路を敷設することによってのみ結合される蛍光体を含むランプを設置することが、可能である。
【0082】
本発明はさらに、特にディスプレイデバイスの背面照射のための照明ユニットであって、それが少なくとも1つの本発明による照明ユニットを含むことを特徴とする前記照明ユニット、および背面照射を有するディスプレイデバイス、特に液晶ディスプレイデバイス(LCディスプレイ)であって、それが少なくとも1つの本発明による光源を含むことを特徴とする前記ディスプレイデバイスに関する。
【0083】
LEDにおいて使用するために、蛍光体をまた、任意の所望の外形、例えば球状粒子、プレートレットおよび構造化した材料およびセラミックスに変換することができる。これらの形状を、本発明において用語「成形した本体」の下で要約する。成形した本体は、好ましくは「蛍光体本体」である。本発明は、したがってさらに本発明による蛍光体を含む成形した本体に関する。対応する成形した本体の生産および使用は、多数の刊行物から当業者が熟知している。
【0084】
光路長、つまりセラミックスルミネセンス変換スクリーンにおけるセラミックス層の厚さを、粉末層と比較して低下した散乱のために増加させることができるので、透光性セラミックスの形態にある本発明による蛍光体を使用することがまた、有利である。本発明は、したがってさらに、本発明による少なくとも1種の化合物を含むセラミックスに関する。セラミックスは、次に本発明による化合物のみからなってもよい。しかしながら、それはまた、マトリックス材料および/またはさらなる蛍光体を含んでもよい。好適なマトリックス材料は、例えばSiO
2、Y
2O
3またはAl
2O
3である。
【0085】
本発明による化合物は、以下の有利な特性を有する:
1)本発明による化合物は、高いフォトルミネセンス量子効率を有する。これは、さらによりハロゲンアニオンX、特にフッ素を含む化合物についての場合である。
2)本発明による化合物は、スペクトルの青色域における吸収をほとんど、またはまったく示さず、したがって近UVまたは青紫色LEDを一次光源として使用するfpc−LED(完全に蛍光体変換されたLED)において使用するのに高度に適している。
【0086】
3)本発明による化合物は、正確な組成に依存して緑色発光を示す。緑色発光蛍光体を見出すことは特にまれであり、それは、本質的にスペクトルの青色域において吸収しない。
4)本発明による化合物は、高い化学的安定性を有する。
【0087】
ここで記載した本発明のすべての変形を、それぞれの態様が相互に排他的でない限り互いと組み合わせることができる。特に、特定の特に好ましい態様を得るためにここで記載した様々な変形を正確に組み合わせることは、常習的な最適化の一部として、この明細書の教示に基づいて明白な操作である。以下の例は、本発明を例示し、特に記載した本発明変形のかかる例示的な組み合わせの結果を示すことを意図する。しかしながら、それらを、いかなる方法においても限定的であると見なすべきではなく、代わりに一般化を刺激するように意図する。調製において使用するすべての化合物または構成成分は、知られており、商業的に入手できるか、または既知の方法によって合成することができる。例において示す温度は、常に℃にある。さらに、記載およびまた例の両方において、組成物において加える構成成分の量は常に合計100%まで加えられることは、言うまでもない。百分率データは、常に所与の関連において見なされるべきである。
【0088】
例
試料の相形成を、各場合においてX線回折法によってチェックした。この目的のために、Bragg-Brentano幾何学によるRigaku Miniflex IIX線回折計を、使用した。使用した放射線源は、Cu−Kα放射線(λ=0.15418nm)を有するX線管であった。管を、15mAの電流強さおよび30kVの電圧で操作した。測定を、10°・min
−1で10〜80°の角度範囲において行った。
【0089】
反射スペクトルを、Edinburgh Instruments Ltd.蛍光分光計を使用して決定した。この目的のために、試料を、BaSO
4で被覆した積分球中に配置し、測定した。反射スペクトルを、250〜800nmの範囲において記録した。使用する白色標準は、BaSO
4(Alfa Aesar99.998%)であった。450WのXeランプを、励起源として使用した。
【0090】
励起スペクトルおよび発光スペクトルを、粉末試料のためのミラー光学を取り付けたEdinburgh Instruments Ltd.蛍光分光計を使用して記録した。使用した励起源は、450WのXeランプであった。
【0091】
本発明の化合物の合成
例1:Ba
0.63Eu
0.12Al
11O
17.25・F
0.0015の合成
2.486gのBaCO
3
0.422gのEu
2O
3
11.21gのAl
2O
3
0.131gのBaF
2
出発物質を、機械的乳鉢中で10分間混合し、100%のN
2雰囲気中での1350℃での3hの中間の休止ステップを伴って、1550℃で5h、H
2:N
2(5:95)雰囲気中で焼成する。焼成の後、材料を、微細な粉末に粉砕し、水中で洗浄し、乾燥し、50μmナイロンふるいを使用してふるい分けして、粒子サイズ範囲を狭くした。
【0092】
例2:Ba
0.63Eu
0.12Al
10.8Sc
0.2O
17.25・F
0.0015の合成
この合成を、例1に記載したように、以下の出発物質を使用して行う:
2.486gのBaCO
3
0.422gのEu
2O
3
11.012gのAl
2O
3
0.276gのSc
2O
3
0.131gのBaF
2
【0093】
例3:Ba
0.63Eu
0.12Al
10.5Sc
0.5O
17.25・F
0.0015の合成
この合成を、例1に記載したように、以下の出発物質を使用して行う:
2.486gのBaCO
3
0.422gのEu
2O
3
10.706gのAl
2O
3
0.690gのSc
2O
3
0.131gのBaF
2
【0094】
例4:Ba
0.63Eu
0.12Al
10.8Si
0.15O
17.025N
0.15・F
0.0015の合成
この合成を、例1に記載したように、以下の出発物質を使用して行う:
2.486gのBaCO
3
0.422gのEu
2O
3
10.859gのAl
2O
3
0.180gのSiO
2
0.123gのAlN
0.131gのBaF
2
【0095】
上に示した合成プロセスは、単に典型的な合成例である。それは、他の本発明の化合物を生産するための同一の合成手順によって可能である。材料の製造プロセスにおいて種々のガスおよび温度を使用することがまた、可能である。
【0096】
以下の表1における材料を、例1〜4に記載した化合物と同様にして、化学量論量の対応する出発物質を使用し、1450〜1550℃の温度で焼成して生産する。1450℃で製造した試料について、より高い量子効率がより高い合成温度を使用する場合に得られることが、可能である。他に記載しない限り、出発物質を、例1の手順に従って1550℃で焼成した。表1は、さらに試料の分光学的結果(発光波長および量子効率)を示す。
【0098】
元素Ga、In、LaおよびKの少なくとも1つを含む例7、8、15および31において使用した出発物質の組成は、以下のとおりである:
例7:Ba
0.7125Eu
0.0375Al
10.7753Ga
0.225O
17.25・F
0.0015の合成
この合成を、例1に記載したように、以下の出発物質を使用して行う:
3.750gのBaCO
3
0.175gのEu
2O
3
14.165gのAl
2O
3
0.565gのGa
2O
3
0.055gのAlF
3×3H
2O
【0099】
例8:Ba
0.7125Eu
0.0375Al
10.6253In
0.375O
17.25・F
0.0015の合成
この合成を、例1に記載したように、以下の出発物質を使用して行う:
3.750gのBaCO
3
0.175gのEu
2O
3
14.480gのAl
2O
3
1.390gのIn
2O
3
0.055gのAlF
3×3H
2O
【0100】
例15:Ba
0.6525Eu
0.075La
0.0225Al
11O
17.2613・F
0.0015の合成
この合成を、例1に記載したように、以下の出発物質を使用して行う:
3.435gのBaCO
3
0.350gのEu
2O
3
14.990gのAl
2O
3
0.100gのLa
2O
3
0.140gのBaF
2
【0101】
例31:Ba
0.57375Eu
0.12K
0.028125Al
11O
17.25・F
0.0015の合成
この合成を、例1に記載したように、以下の出発物質を使用して行う:
3,020gのBaCO
3
0.565gのEu
2O
3
14.990gのAl
2O
3
0.075gのK
2CO
3×0.5H
2O
0.175gのBaF
2
【0102】
表1に示す蛍光体のフッ素含量を、2つの異なる分析手法で独立して決定し、ここで第1の手法は、半定量的飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)であり、第2の手法は、定量的X線光電子分光法(XPS)である。両方の手法は、当業者に周知である。TOF−SIMSは、試料の表面を焦点を結ばれた一次イオンビームでスパッタリングし、放出された第2のイオンを採集し、分析することにより、固体表面および薄膜の組成を分析するために使用する手法である。
【0103】
これらの二次的イオンの質量/電荷比率を、質量分析計で測定して、1〜2nmの深さへの表面の元素的、同位体的または分子的組成を決定する。様々な材料の中でのイオン化確率における大きな変化により、SIMSは一般に定性的手法であると考えられるが、定量は標準の使用で可能である。XPSは、1000あたりの部の範囲での元素組成、実験式、化学的状態および材料内に存在する元素の電子状態を測定する表面感受性定量的分光学的技術である。XPSスペクトルは、物質をX線のビームで照射し、一方分析するトップの0〜10nmの物質から漏れる電子の運動エネルギーおよび数を同時に測定することにより得られる。
【0104】
TOF−SIMS:
試料の表面を、表面から第2のイオンを放出するパルスイオンビームに露光した。放出された二次的イオンの質量および化学元素を、それらの特定の飛行時間(TOF)から決定した。
機器:IONTOF, TOF-SIMS-300
分析イオン:Bi
x+、25keV
スパッターイオン:Cs
+、1keV
深さプロフィールをまた、測定した。表面の腐食を、エネルギー1keVのセシウムイオンでスパッターすることにより行った。
【0105】
XPS:
試料の表面を、光電子が表面に近い領域に位置するすべての原子から放出されたように定義されたエネルギーを有する単色のX線で照射した。光電子の動的エネルギーを、半球のエネルギーアナライザーによって測定した。かかる運動エネルギーを結合エネルギーに変換することによって、光電子が放出された対応する化学元素を、決定することができる。
【0106】
すべてのXPS測定を、PHI Quantera SXM機器で、以下のパラメーターを使用して行った:
励起:単色Al−Kα放射線(1486.6eV/15kV)
記録角度:45°
通過エネルギー:280eV(概観)/55+140eV(詳細)/140eV(深さプロフィール)
チャンバー圧力:約3・10
−6Pa
測定領域:200μm
スパッターイオン:Ar
腐食割合:1keV(約10nm/min)スパッター面積:1mm×1mm
【0107】
すべての試料を、インジウムキャリアフィルム上に最初に押し、次に試料保持具上にマウントし、XPS装置の超高真空チャンバー中に導入した。最初に、概観スペクトルを、粉末の表面から記録して、存在する元素を決定した。次に、エネルギー的に高い分解されたスペクトルを、検出された元素から記録した。さらに、元素の深さプロフィールを、記録した。
表1中の例について示したF
0.0015のフッ素含量を、前述のTOF−SIMSおよびXPS方法を使用して決定した。
【0108】
表1は、組成の変化が発光ピークの位置に対して比較的強い影響を有することを示す。さらに、効率は、変化する組成に伴って変化する。これは、Al
3+の代わりに種々のSc
3+共同ドープを有する2種の材料についての表中に提示したEu
2+濃度シリーズに類似している。ホスト格子中の増加する2価のユウロピウム含量を有するピーク位置のシフトは、最初に予期された軌跡(赤色にシフトする)に続き、一方より高いドーピングレベルで、予期しない青色シフトがある。さらに、例25および26から明らかなように、合成温度に依存する発光効率に差異がある。
すべての化合物のβ−アルミナ構造を、X線回折によって確認した。XRD結果の例を、
図1〜3に示す。
【0109】
数種の選択された化合物の発光スペクトルを、
図4および5に示す。数種の選択された化合物の励起スペクトルを、
図6に示す。励起スペクトルは、それらのスペクトルの位置に関して本質的に同じのままであるが、相対強度は、種々の組成について変化する。発光スペクトルは、材料の組成を変化させることがピーク最大値位置に影響を及ぼすことを示す。
【0110】
例32:先行技術による試料の本発明の材料との分光学的比較
フッ素を含まない先行技術による比較の試料(Ba
0.63Eu
0.12Al
11O
17.25)を、文献(A.L.N. Stevels, J. of Luminescence 17 (1978), 121-133)に記載されているように製造した。この試料は、青色部の主な寄与で青色および緑色ルミネセンスを示し、一方フッ素を含む本発明の材料(例1によるBa
0.63Eu
0.12Al
11O
17.25・F
0.0015)は、同一の条件下で青色光の小さな寄与のみでほとんど緑色の発光を示す。結果は、フッ素包含によって、所望されないUV励起の下でさえも緑色発光が増強されることを示す。発光スペクトルを、
図7に示す。
【0111】
さらに、ホスト格子中へのフッ素包含は、約QE=40%(文献データA.L.N. Stevels, J. of Luminescence 17 (1978), 121-133に基づいた)の討議された材料における緑色ルミネセンスに対する理論的限界が先行技術による試料について本場合
【数1】
において確認されるという事実により支持される。対照的に、本発明の材料は、すべての場合において410nmの青紫色励起の下で、典型的に80%より高いQEを有する、およびいくつかの構成的変形において
【数2】
を有するはるかに高められた効率を示す。
【0112】
LED例
蛍光体変換LED(pc−LED)の製造および測定のための一般的インストラクション
特定のLED例において述べた蛍光体構成成分のm
p、n(ここで指数nは、特定のLED例と関係する蛍光体ブレンドの蛍光体構成成分の数を示す)の質量を、他の蛍光体構成成分(m
p、nの質量、n>1)と一緒に秤量し、その後混合する(例えばプラネタリー遠心分離ミキサーの使用による)。
【0113】
以前に述べたプロセスによって得られた蛍光体ブレンドに、m
シリコーンの質量の光学的な透明シリコーンを加え、その後、シリコーン蛍光体スラリーの全体の質量の中でc
p(質量による%で)の蛍光体濃度を得るためにプラネタリー遠心分離ミキサーによって均質に混合する。スラリーを、次に青色または近UVまたはUVまたは青紫色発光LEDダイ(LED-die)上に、自動分配装置によって分配し、使用する透明なシリコーンの特性に依存して高い温度の下で硬化させる。
【0114】
以下に述べる例において使用するLEDダイは、それぞれ407nmまたは411nmの波長で可視の青紫色光を発し、350mAの動作電流で駆動される。照明技術関連のパラメーターは、統合球体ISP 250と組み合わせたInstrument Systemsからの分光計、タイプCAS 140 CTによって得られる。pc−LEDの特徴づけを、波長依存スペクトル的出力密度の測定によって行う。pc−LEDからの発光のスペクトルを、次に色座標xおよびy(CIE 1931−2度観察者)、光度計的フラックスΦ
v、相関色温度(CCT)ならびに演色評価数(CRI)の計算のために使用する。
【0115】
例33:本発明による蛍光体を使用するLED
本発明のLEDを、上に記載したように製造する。以下の例において使用する蛍光体を、表2に要約する。pc−LED例から得られた結果を、表3に要約する。
【0118】
容易に明らかなように、両方のLEDによって、色などに関して同一の結果が得られる。これらの結果は、したがってLEDチップの正確な発光色に依存しない。