特許第6789980号(P6789980)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6789980表面処理された水性ポリマーコーティングを有するコーティング基材ならびにその製造方法およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6789980
(24)【登録日】2020年11月6日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】表面処理された水性ポリマーコーティングを有するコーティング基材ならびにその製造方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/10 20060101AFI20201116BHJP
   B65D 3/22 20060101ALI20201116BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20201116BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20201116BHJP
   D21H 19/20 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   B32B27/10
   B65D3/22 B
   B65D65/40 D
   C09D201/00
   D21H19/20 A
【請求項の数】32
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2017-558961(P2017-558961)
(86)(22)【出願日】2016年5月12日
(65)【公表番号】特表2018-524199(P2018-524199A)
(43)【公表日】2018年8月30日
(86)【国際出願番号】US2016032087
(87)【国際公開番号】WO2016183314
(87)【国際公開日】20161117
【審査請求日】2019年5月13日
(31)【優先権主張番号】62/160,252
(32)【優先日】2015年5月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド アール. コンスタント
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド アール. コーディア
(72)【発明者】
【氏名】シャラド マートゥル
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ヘイズ
【審査官】 増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−500927(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0046284(US,A1)
【文献】 国際公開第2015/020749(WO,A1)
【文献】 特開2012−206438(JP,A)
【文献】 特表2013−541438(JP,A)
【文献】 特表2014−516884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B65D 3/22
B65D 65/40
C09D 201/00
D21H 19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙カップであって、
側部および底部と、
前記紙カップの第1の表面上の第1の水性ポリマーコーティングであって、前記第1の表面は、前記側部の内面または前記底部の内面のうち1つ以上を含む、第1の水性ポリマーコーティングと、
を含み、
前記第1の水性ポリマーコーティングはコロナ処理で表面処理されており、かつ
前記側部の下端が前記第1の水性ポリマーコーティングを含むシールを介して前記底部の側端に結合される、前記紙カップ。
【請求項2】
前記第1の水性ポリマーコーティングが、アクリルコポリマー、スチレン−アクリルコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、ビニルアクリルコポリマー、またはそれらの組み合わせを含む、請求項記載の紙カップ。
【請求項3】
前記第1の表面が前記紙カップの前記底部の内面を含む、請求項1または2に記載の紙カップ。
【請求項4】
前記第1の表面が前記紙カップの前記側部の内面を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の紙カップ。
【請求項5】
前記第1の表面が前記側部の内面と前記底部の内面との両方を含む、請求項1または2に記載の紙カップ。
【請求項6】
前記紙カップの第2の表面上に半結晶性ポリマーを含む第2のコーティングをさらに含み、前記第2の表面は、第1の表面が前記側部の内面である場合に、カップの前記底部の内面を含むか、または前記第2の表面は、第1の表面が前記底部の内面である場合に、カップの前記側部の内面を含み、かつ前記側部の下端が前記第1の水性ポリマーコーティングおよび前記第2のコーティングを含むシールを介して前記底部の側端に結合される、請求項1〜4のいずれかに記載の紙カップ。
【請求項7】
前記半結晶性ポリマーが、低密度ポリエチレン、脂肪族芳香族ポリエステル、ナイロン、またはそれらの組み合わせを含む、請求項6に記載の紙カップ。
【請求項8】
前記半結晶性ポリマーが、低密度ポリエチレンホモポリマーまたは低密度ポリエチレンコポリマーを含む、請求項6または7に記載の紙カップ。
【請求項9】
前記半結晶性ポリマーが極性官能基を有する、請求項6〜8のいずれかに記載の紙カップ。
【請求項10】
前記半結晶性ポリマーが、アクリル酸メチル、メタクリル酸、またはそれらの組み合わせを含むモノマーとエチレンとのコポリマーである低密度ポリエチレンコポリマーを含む、請求項6〜9のいずれかに記載の紙カップ。
【請求項11】
前記第2のコーティングが0.5ミル(1.3×10-2mm)〜2ミル(5×10-2mm)の厚さを有する、請求項6〜10のいずれかに記載の紙カップ。
【請求項12】
前記半結晶性ポリマーが95℃〜105℃の融点温度を有する、請求項6〜11のいずれかに記載の紙カップ。
【請求項13】
前記第2のコーティングが0.65g/cm〜1.1g/cmの密度を有する、請求項6〜12のいずれかに記載の紙カップ。
【請求項14】
前記第1の水性ポリマーコーティングが、処理顔料を形成するために、界面活性剤;疎水変性ポリマー;スチレン−アクリル樹脂エマルション;スチレン−ブタジエンラテックスエマルション;シラン、シロキサン、シロキサン/シリコーン樹脂ブレンド;ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される材料で処理された顔料をさらに含む、請求項6〜13のいずれかに記載の紙カップ。
【請求項15】
前記紙カップの側部が側端に沿ってそれ自体に接着される、請求項6〜14のいずれかに記載の紙カップ。
【請求項16】
初期温度90℃で前記カップをホットコーヒーで実質的に満たした後、30分間、前記紙カップのシールに沿って漏れを示さない、請求項6〜15のいずれかに記載の紙カップ。
【請求項17】
紙カップの製造方法であって、
第1のセルロース系基材から側壁および/または底部を形成すること、前記第1のセルロース系基材の表面の少なくとも一部は、第1の水性ポリマーコーティングでコーティングされ、次いでコロナ処理で表面処理される;
前記側壁を側端に沿ってそれ自体に結合させること;および
前記側壁の下端に沿って前記側壁を、前記底部の側端に沿って前記底部に結合させ、第1の水性ポリマーコーティングを含むシールを形成すること
を含む、前記方法。
【請求項18】
前記第1の水性ポリマーコーティングが、アクリルコポリマー、スチレン−アクリルコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、ビニルアクリルコポリマー、またはそれらの組み合わせを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の水性ポリマーコーティングが、界面活性剤;疎水変性ポリマー;スチレン−アクリル樹脂エマルション;スチレン−ブタジエンラテックスエマルション;シラン、シロキサン、シロキサン/シリコーン樹脂ブレンド;ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される材料で処理された顔料をさらに含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のセルロース系基材から側壁を形成することを含む、請求項17〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記第1のセルロース系基材から底部を形成することを含む、請求項17〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
第2のセルロース系基材を準備することをさらに含み、前記第2のセルロース系基材の少なくとも一部を半結晶性ポリマーでコーティングし、前記第1のセルロース系基材が底部を形成する場合に、前記第2のセルロース系基材が側壁を形成し、前記第1のセルロース系基材が側壁を形成する場合に、前記第2のセルロース系基材が底部を形成する、請求項17〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記半結晶性ポリマーが、低密度ポリエチレン、脂肪族芳香族ポリエステル、ナイロン、またはそれらの組み合わせを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記半結晶性ポリマーが低密度ポリエチレンホモポリマーまたは低密度ポリエチレンコポリマーを含む、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記半結晶性ポリマーが極性官能基を有する、請求項22〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記第2のコーティングを、前記半結晶性ポリマーの融点温度を上回る温度で押出コーティングによって前記第2のセルロース系基材上にコーティングして、コーティングしたセルロース系基材を形成する、請求項22〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記半結晶性ポリマーが95℃よりも高い融点温度を有する、請求項22〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記第2のコーティングを、0.5ミル(1.3×10-2mm)〜2ミル(5×10-2mm)の厚さで前記第2のセルロース系基材上にコーティングする、請求項22〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記第2のコーティングが、0.65g/cm〜1.1g/cmの密度を有する、請求項22〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記第1のセルロース系基材が底部であり、かつ前記第2のセルロース系基材が側壁である、請求項22〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記第1のセルロース系基材が側壁であり、かつ前記第2のセルロース系基材が底部である、請求項22〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記コロナ処理を1〜4ワット/平方フィート/分で行う、請求項17〜31のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年5月12日に出願された米国仮特許出願第62/160,252号明細書(U.S. Provisional Application No. 62/160,252)の利益を主張するものであり、その全体がすべての目的のために本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の分野
本発明は、セルロース系基材のための改善された水性ポリマーコーティング、ならびにその製造方法およびその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
セルロース基材上のポリエチレンフィルムは、良好なバリア性(すなわち、水、油脂、油、および水蒸気に対する耐性)をもたらす。ポリエチレンフィルムは低温で熱可塑性であるため、それ自体にヒートシールし、さらなる接着剤を使用せずに結合させることができる。環境を破壊しない利用可能性に対する関心のため、例えば、水性ポリマーコーティングを代わりに使用することによって、セルロース基材へのコーティングのためのポリエチレンの使用を減らすことに産業上の焦点が当てられている。しかしながら、セルロース系基材では改良された特性を有する水性ポリマーコーティングが望ましい。例えば、満杯時にカップの底部で液体の圧力が大きくなり、その結果、時にはカップの底部が側壁に結合する場所で漏れが生じることがある。難しい形状が結合されている場所でも漏れが生じ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、接着性が改善された水性ポリマーコーティングが求められている。また、重なり合った縁間での接着性が改善されたセルロース基材も求められている。本明細書に開示された組成物および方法は、これらおよび他の必要性に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の概要
例えば、表面処理された水性ポリマーコーティングを有するセルロース系基材を含むコーティング基材が本明細書に開示されている。コーティング基材は、セルロース系基材と、前記セルロース系基材の表面上の水性ポリマーコーティングとを含むことができ、その際、水性ポリマーコーティングは表面処理されている。いくつかの実施形態では、表面処理は高エネルギー放電であり得る。いくつかの例では、水性ポリマーコーティングは、コロナ処理を用いて表面処理され得る。いくつかの実施形態では、セルロース系基材は板紙である。いくつかの実施形態では、水性ポリマーコーティングは、純粋なアクリルコポリマー、スチレン−アクリルコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、ビニルアクリルコポリマー、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、水性ポリマーコーティングは、オリゴマー安定化スチレンアクリルコポリマーラテックス、界面活性剤安定化スチレンアクリルコポリマーラテックス、またはそれらの組み合わせを含む。水性ポリマーコーティングは、2g/m〜30g/m(例えば、10g/m〜25g/m)のコーティング質量を有し得る。いくつかの実施形態では、水性ポリマーコーティングは、処理顔料を形成するために、界面活性剤;疎水性修飾ポリマー;スチレン−アクリル樹脂エマルション;スチレン−ブタジエンラテックスエマルション;シラン、シロキサン、シロキサン/シリコーン樹脂ブレンド、およびそれらの炭素系類似物;ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される材料で処理された顔料をさらに含む。
【0006】
また、本明細書では、例えば、側部および底部と、紙カップの第1の表面上の第1の水性ポリマーコーティングとを含む紙カップであって、前記第1の表面は、前記側部の内面または前記底部の内面のうち1つ以上を含む、当該紙カップが開示されており、その際、前記第1の水性ポリマーコーティングは表面処理されており、かつ前記側部の下端(底縁部)が、前記第1の水性ポリマーコーティングを含むシールを介して、前記底部の側端(側縁部)に結合される。第1の表面は、紙カップの底部の内面もしくは紙カップの側部の内面、またはその両方を含み得る。いくつかの実施形態では、紙カップは、紙カップの第2の表面上に半結晶性ポリマーを含む第2のコーティングを含む。第1の表面が側部の内面である場合に、第2の表面はカップの底部の内面を含み得る。第1の表面が底部の内面である場合に、第2の表面はカップの側部の内面を含み得る。紙カップの側部の下端は、第1の水性ポリマーコーティングと第2のコーティングとを含むシールを介して、底部の側端に結合され得る。紙カップの側部は側端に沿ってそれ自体に接着され得る。いくつかの実施形態では、第1の水性ポリマーコーティングは、高エネルギー放電で表面処理されている。いくつかの例では、第1の水性ポリマーコーティングはコロナ処理されている。
【0007】
いくつかの実施形態では、半結晶性ポリマーは、低密度ポリエチレン、脂肪族芳香族ポリエステル、ナイロン、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの例では、半結晶性ポリマーは、低密度ポリエチレンホモポリマーまたは低密度ポリエチレンコポリマーであっていてよい。半結晶性ポリマーは任意に極性官能基を有し得る。いくつかの実施形態では、低密度ポリエチレンコポリマーは、エチレンと、メチルアクリレート、メタクリル酸、またはそれらの組み合わせを含むモノマーとのコポリマーであっていてよい。第2のコーティングは、0.4ミル(約1.0×10-2mm)〜2ミル(約5×10-2mm)の厚さを有し得る。第2のコーティングは、95℃〜105℃の融点温度を有し得る。第2のコーティングは、0.65g/cm〜1.1g/cmの密度を有し得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、紙カップは、初期温度90℃でカップをホットコーヒーで実質的に満たした後、30分間、紙カップのシールに沿って漏れを示さない。
【0009】
また、本明細書に開示されるコーティング基材および紙カップの製造方法もまた本明細書に開示される。これらの方法は、水性ポリマーコーティングをコロナ処理することを含み得る。いくつかの実施形態では、コロナ処理は、1〜4(例えば、2〜4)ワット/平方フィート/分(W/ft2/min.)で行われる。
1つ以上の実施形態の詳細は、以下の説明に記載されている。他の特徴、対象、および利点は、明細書および特許請求の範囲から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】p=0.5(95%信頼水準)の標準化効果の推定値における、150℃でのヒートシール時のコロナ処理、顔料(粘土)および樹脂の効果を示すパレート図である。
図2】p=0.5(95%信頼水準)の標準化効果の推定値における、200℃でのヒートシール時のコロナ処理、顔料(粘土)および樹脂の効果を示すパレート図である。
図3】p=0.5(95%信頼水準)の標準化効果の推定値における、250℃でのヒートシール時のコロナ処理、顔料(粘土)および樹脂の効果を示すパレート図である。
図4】p=0.5(95%信頼水準)の標準化効果の推定値における、150℃でのヒートシール時のコロナ処理および顔料(粘土)の効果の予測平均を示す図である。
図5】p=0.5(95%信頼水準)の標準化効果の推定値における、200℃でのヒートシール時のコロナ処理および顔料(粘土)の効果の予測平均を示す図である。
図6】p=0.5(95%信頼水準)の標準化効果の推定値における、250℃でのヒートシール時のコロナ処理および顔料(粘土)の効果の予測平均を示す図である。
図7】p=0.5(95%信頼水準)の標準化効果の推定値における、コロナ処理、顔料(粘土)および樹脂が耐ブロッキング性に及ぼす効果を示すパレート図である。
図8】p=0.5(95%信頼水準)の標準化効果の推定値における、顔料と樹脂が耐ブロッキング性に及ぼす効果の予測平均を示す図である。
図9】p=0.5(95%信頼水準)の標準化効果の推定値における、コロナ処理、顔料(粘土)および樹脂が漏れに及ぼす効果を示すパレート図である。
図10】p=0.5(95%信頼水準)の標準化効果の推定値における、顔料と樹脂が漏れに及ぼす効果の予測平均を示す図である。
図11】水性ポリマーコーティングでコーティングした板紙表面の画像である。
図12】水性ポリマーコーティングでコーティングしコロナ処理した板紙表面の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
本発明は、とりわけ、表面処理された水性ポリマーコーティングを有するセルロース系基材を含むコーティング基材に関する。コーティング基材は、セルロース系基材と、前記セルロース系基材の表面上の水性ポリマーコーティングとを含み、その際、前記水性ポリマーコーティングは表面処理されている。いくつかの実施形態では、水性ポリマーコーティングは、高エネルギー放電を用いて表面処理され得る。例えば、第1の水性ポリマーコーティングは、コロナ処理を用いて表面処理され得る。本発明は、コーティング基材を含む紙カップにも関する。紙カップとコーティング基材の製造方法も本明細書に開示される。本発明はまた、いくつかの実施形態において、上記の水性ポリマーコーティングでコーティングされたセルロース系基材を含む紙カップに関する。紙カップはまた、いくつかの実施形態では、半結晶性ポリマーコーティングでコーティングされたセルロース系基材を含み得る。
【0012】
セルロース系基材は、半結晶性ポリマーおよび/または水性ポリマーコーティングでコーティングすることができるあらゆる紙を含み得る。セルロース系基材は、セルロース繊維および/またはポリマー繊維などの追加繊維を含み得る。いくつかの実施形態では、セルロース系基材は、紙、板紙、またはボール紙を含む。セルロース系基材は、再生紙を含み得る。セルロース系基材は、例えば、剥離ライナー、ペーパートレイ、または紙カップとしての使用に適切であり得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、セルロース系基材は、80g/m以上(例えば、90g/m以上、100g/m以上、110g/m以上、120g/m以上、130g/m以上、140g/m以上、150g/m以上、160g/m以上、170g/m以上、180g/m以上、190g/m以上、200g/m以上、210g/m以上、220g/m以上、230g/m以上、240g/m以上、250g/m以上、260g/m以上、270g/m以上、280g/m以上、290g/m以上、300g/m以上、310g/m以上、320g/m以上、330g/m以上、340g/m以上、350g/m以上、360g/m以上、370g/m以上、380g/m以上、390g/m以上、400g/m以上、450g/m以上または500g/m以上)の坪量を有する。いくつかの実施形態では、セルロース系基材は、600g/m以下(例えば、550g/m以下、500g/m以下、450g/m以下、420g/m以下、390g/m以下、380g/m以下、370g/m以下、360g/m以下、350g/m以下、340g/m以下、330g/m以下、320g/m以下、310g/m以下、300g/m以下、290g/m以下、280g/m以下、270g/m以下、260g/m以下、250g/m以下、240g/m以下、230g/m以下、220g/m以下、210g/m以下、200g/m以下、190g/m以下、180g/m以下、170g/m以下、160g/m以下、150g/m以下、140g/m以下、130g/m以下、120g/m以下、110g/m以下、100g/m以下、90g/m以下、80g/m以下、または70g/m以下)の坪量を有し得る。いくつかの実施形態では、セルロース系基材は、80g/m〜600g/m(例えば、90g/m〜550g/m、100g/m〜500g/m、110g/m〜450g/m、または120g/m〜400g/m)の坪量を有する。いくつかの実施形態では、セルロース系基材は、紙カップ(例えば、285g/m〜400g/m)での使用に適した坪量を有する。
【0014】
水性ポリマーコーティングは、セルロース系基材の表面にあり、水性ポリマーコーティングは表面処理されている。水性ポリマーコーティングは、水溶性および/または水分散性であり得る水性ポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、水性ポリマーコーティングは、純粋なアクリルコポリマー、スチレン−アクリルコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、ビニルアクリルコポリマー、またはそれらの組み合わせを含み得る。水性ポリマーコーティングは、いくつかの実施形態では、ポリ酢酸ビニルポリマーまたはエチレンビニルアクリルコポリマーを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、水性ポリマーコーティングは、米国特許出願公開第2011/0046284号公報(その全体は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているようなコーティングである。例えば、水性ポリマーコーティングは、以下の望ましい属性のうち少なくとも1つを有する顔料を含み得る:
・特定の用途に適した許容される形態;
・制御された表面積で、操作された形態学的粒子;
・超微細粒子;
・目的のバリアコーティング用途に合わせた細孔径分布および表面積を有する高度に多孔性の粒子;および
・高表面積の粒子。
【0016】
顔料は熱処理工程を経ることもあり、熱処理の有無にかかわらず、水の反発を容易にし、かつ/または対象種の拡散速度を著しく遅くする材料(高い表面張力または接触角)で処理され得る。顔料は、次に挙げられ得る材料で処理することができるが、これらに限定されない:
・ステアリン酸塩などの界面活性剤;
・ポリエチレンイミン(PEI)などの疎水性修飾ポリマー(疎水性に変性されたポリマー);
・スチレン−アクリル樹脂エマルション化学品;
・スチレン−ブタジエンラテックス化学品;
・シラン、シロキサン、シロキサン/シリコン樹脂ブレンド、およびそれらの炭素系類似体;および
・それらの組み合わせ。
【0017】
いくつかの実施形態では、顔料は、スチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、およびこれらの混合物を含むモノマーから誘導されるスチレンアクリル系コポリマーなどのコポリマーで処理され得る。例えば、スチレンアクリル系コポリマーは、スチレンならびに(メタ)アクリル酸、イタコン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、およびヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのうち少なくとも1つを含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、顔料は、スチレン、ブタジエン、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、イタコン酸および(メタ)アクリル酸などのモノマーから誘導されるスチレン−ブタジエンコポリマーで処理され得る。スチレンブタジエンコポリマーはまた、ジビニルベンゼンなどの1種以上の架橋性モノマー0〜3phm(100モノマーあたりの部)を含み得る。
【0019】
顔料系は、上記の顔料ならびに分散剤、任意の消泡剤および増粘剤のいずれかの組み合わせを含み得る安定なスラリーであり得る。分散剤は、ラテックス、デンプンまたはポリビニルアルコール(PVOH)であり得る。デンプンもしくはタンパク質などの天然増粘補助剤またはSTEROCOLL FS(BASF社製)などの合成ポリマーを使用して、顔料系を増粘/安定化させることができる。バリアコーティング配合物は、顔料系、任意の消泡剤/脱気剤/泡止め剤、架橋剤(例えば、グリオキサールまたはAZC)、および結合剤からなる。結合剤は、スチレンアクリル樹脂エマルション(SA)、スチレンブタジエンラテックス(SBラテックス)、PVOH、デンプン、タンパク質、およびそれらの組み合わせであってよく、またバリア性に寄与し得る。
【0020】
水性ポリマーコーティングは、いくつかの実施形態では、2g/m以上(例えば、3g/m以上、4g/m以上、5g/m以上、6g/m以上、7g/m以上、8g/m以上、9g/m以上、10g/m以上、11g/m以上、12g/m以上、13g/m以上、14g/m以上、15g/m以上、16g/m以上、17g/m以上、18g/m以上、19g/m以上、20g/m以上、21g/m以上、22g/m以上、23g/m以上、24g/m以上、25g/m以上、26g/m以上、27g/m以上、28g/m以上、または29g/m以上)のコーティング質量を有し得る。水性ポリマーコーティングは、いくつかの実施形態では、30g/m以下(例えば、29g/m以下、28g/m以下、27g/m以下、26g/m以下、25g/m以下、24g/m以下、23g/m以下、22g/m以下、21g/m以下、20g/m以下、19g/m以下、18g/m以下、17g/m以下、16g/m以下、15g/m以下、14g/m以下、13g/m以下、12g/m以下、11g/m以下、10g/m以下、9g/m以下、8g/m以下、7g/m以下、6g/m以下、5g/m以下、4g/m以下、または3g/m以下)のコーティング質量を有し得る。水性ポリマーコーティングは、いくつかの実施形態では、2g/m〜30g/m(例えば、5g/m〜28g/m、または10g/m〜25g/m)のコーティング質量を有し得る。コーティング質量は、セルロース系基材1平方メートルあたりのコーティングのグラム単位で報告することができ、適用されるコーティングの量およびコーティングが適用されるセルロース系基材の表面積によって直接計算することができる。水性ポリマーコーティングは、いくつかの実施形態では、コーティングされるセルロース系基材の質量を基準として15質量%未満の量で適用され得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されたセルロース系基材および/または紙カップは、半結晶性ポリマーを含む第2のコーティングをさらに含む。半結晶性ポリマーを含む第2のコーティングは、本明細書では半結晶性ポリマーコーティングとも呼ばれる。半結晶性ポリマーは、いくつかの実施形態では、低密度ポリエチレン(LDPE)、“官能化”低密度ポリエチレンコポリマー、脂肪族芳香族ポリエステル、脂肪族芳香族ポリエステル/ポリ乳酸(PLA)配合ポリマー、脂肪族ポリアミド(ナイロン)、シリコーン(白金触媒シリコーンを含む)、またはそれらの組み合わせを含み得る。半結晶性ポリマーの適切な例としては、エチレンとアクリル酸メチル、メタクリル酸、またはそれらの組み合わせを含むモノマーとのコポリマーが挙げられ得る。いくつかの実施形態では、エチレンコポリマー中のアクリルモノマーは40%以下の量であり得る。例えば、エチレンコポリマー中のアクリルモノマーは、4%〜25%、4%〜20%、6%〜15%、6%〜13%の量で使用され得る。いくつかの実施形態では、半結晶性ポリマーは、堆肥化可能な生分解性ポリマーを含む。
【0022】
第2のコーティングは、いくつかの実施形態では、低密度ポリエチレンホモポリマーまたは低密度ポリエチレンコポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、ポリエチレンコポリマーは、極性官能基を任意に含み得る(すなわち、低密度ポリエチレンコポリマーの極性が低密度ポリエチレンホモポリマーの極性よりも大きくなるように官能性モノマーを含むように改質(変性)され得る)。第2のコーティングは、エチレンモノマーとアクリルモノマーを重合して調製した低密度ポリエチレンコポリマーを含み得る。アクリルモノマーは、メタクリル酸、アクリル酸メチル、またはそれらの組み合わせから選択され得る。これらのコポリマーの調製方法は、当該技術分野において公知であり、それらは例えば、配位重合またはラジカル重合を用いて調製され得る。いくつかの実施形態では、アクリルモノマーは、低密度ポリエチレンコポリマーの3質量%以上(例えば、4質量%以上、5質量%以上、6質量%以上、7質量%以上、8質量%以上、9質量%以上、10質量%以上、11質量%以上、12質量%以上、13質量%以上、14質量%以上、15質量%以上、16質量%以上、17質量%以上、18質量%以上、または19質量%以上)の量で存在する。いくつかの実施形態では、アクリルモノマーは、低密度ポリエチレンコポリマーの20質量%以下(例えば、19質量%以下、18質量%以下、17質量%以下、16質量%以下、15質量%以下、14質量%以下、13質量%以下、12質量%以下、11質量%以下、10質量%以下、9質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、6質量%以下、5質量%以下、または4質量%以下)の量で存在する。いくつかの実施形態では、アクリルモノマーは、低密度ポリエチレンコポリマーの3質量%〜20質量%(例えば、4質量%〜15質量%または5質量%〜10質量%)の量で存在する。
【0023】
いくつかの実施形態では、半結晶性ポリマーは、ASTM D792(2008)によって測定されるように、0.65g/cm以上(例えば、0.7g/cm以上、0.75g/cm以上、0.8g/cm以上、0.85g/cm以上、0.9g/cm以上、0.95g/cm以上、1g/cm以上、1.05g/cm以上、1.1g/cm以上、1.15g/cm以上、1.2g/cm以上、1.25g/cm以上、1.3g/cm以上、1.35g/cm以上、1.4g/cm以上、または1.45g/cm以上)の密度を有する。いくつかの実施形態では、半結晶性ポリマーは、ASTM D792(2008)によって測定されるように、1.5g/cm以下(例えば、約1.45g/cm以下、1.4g/cm以下、1.35g/cm以下、1.3g/cm以下、1.25g/cm以下、1.2g/cm以下、1.15g/cm以下、1.1g/cm以下、1g/cm以下、0.95g/cm以下、0.9g/cm以下、0.85g/cm以下、0.8g/cm以下、0.75g/cm以下、または0.7g/cm以下)の密度を有する。いくつかの実施形態では、半結晶性ポリマーは、ASTM D792(2008)によって測定されるように、0.65g/cm〜1.5g/cm(例えば、0.7g/cm〜1.4g/cmまたは0.75g/cm〜1.25g/cm)の密度を有する。
【0024】
半結晶性ポリマーは、いくつかの実施形態では、ASTM D1238(2010)によって測定されるように、2g/10分以上(例えば、3g/10分以上、4g/10分以上、5g/10分以上、6g/10分以上、7g/10分以上、8g/10分以上、9g/10分以上、10g/10分以上、11g/10分以上、12g/10分以上、または13g/10分以上)のメルトフローレートを有する。半結晶性ポリマーは、いくつかの実施形態では、ASTM D1238(2010)によって測定されるように、14g/10分以下(例えば、13g/10分以下、12g/10分以下、11g/10分以下、10g/10分以下、9g/10分以下、8g/10分以下、7g/10分以下、6g/10分以下、5g/10分以下、4g/10分以上、または3g/10分以上)のメルトフローレートを有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、半結晶性ポリマーは、ASTM D3418(2012−e1)によって測定されるように、70℃以上(例えば、80℃以上、90℃以上、110℃以上、120℃以上、130℃以上、140℃以上、150℃以上、160℃以上、170℃以上、180℃以上、190℃以上、または200℃以上)の融点温度(DSC)を有する。いくつかの実施形態では、半結晶性ポリマーは、ASTM D3418(2012−e1)によって測定されるように、210℃以下(例えば、200℃以下、190℃以下、180℃以下、170℃以下、160℃以下、150℃以下、140℃以下、130℃以下、120℃以下、110℃以下、100℃以下、90℃以下、または80℃以下)の融点温度(DSC)を有する。いくつかの実施形態では、半結晶性ポリマーは、ASTM D3418(2012−e1)によって測定されるように、70℃〜210℃(例えば、80℃〜200℃、90℃〜180℃、または100℃〜150℃)の融点温度(DSC)を有する。いくつかの実施形態では、半結晶性ポリマーは、ASTM D3418(2012−e1)によって測定されるように、1つより多い(例えば2つ)の融点温度ピークを有する。
【0026】
いくつかの実施形態では、半結晶性ポリマーは、ASTM D1525(2009)によって測定されるように、40℃以上(例えば、45℃以上、50℃以上、55℃以上、60℃以上、65℃以上、70℃以上、75℃以上、80℃以上、85℃以上、または90℃以上)のビカット軟化点を有する。いくつかの実施形態では、半結晶性ポリマーは、ASTM D1525(2009)によって測定されるように、40℃〜95℃(例えば、50℃〜90℃、または60℃〜85℃)のビカット軟化点を有する。
【0027】
半結晶性ポリマーコーティングは、いくつかの実施形態では、0.4ミル(約1.0×10-2mm)以上(例えば、0.5ミル(約1.3×10-2mm)以上、0.6ミル(約1.5×10-2mm)以上、0.7ミル(約1.8×10-2mm)以上、0.8ミル(約2.0×10-2mm)以上、0.9ミル(約2.3×10-2mm)以上、1ミル(約2.5×10-2mm)以上、1.1ミル(約2.8×10-2mm)以上、1.2ミル(約3.0×10-2mm)以上、1.3ミル(約3.3×10-2mm)以上、1.4ミル(約3.6×10-2mm)以上、1.5ミル(約3.8×10-2mm)以上、1.6ミル(約4.1×10-2mm)以上、1.7ミル(約4.3×10-2mm)以上、1.8ミル(約4.6×10-2mm)以上、または1.9ミル(約4.8×10-2mm)以上)の厚さを有し得る。半結晶性ポリマーコーティングは、いくつかの実施形態では、2ミル(約5×10-2mm)以下(例えば、1.9ミル以下、1.8ミル以下、1.7ミル以下、1.6ミル以下、1.5ミル以下、1.4ミル以下、1.3ミル以下、1.2ミル以下、1.1ミル以下、1ミル以下、0.9ミル以下、0.8ミル以下、0.7ミル以下、0.6ミル以下、または0.5ミル以下)の厚さを有し得る。半結晶性ポリマーコーティングは、いくつかの実施形態では、0.4ミル(約1.0×10-2mm)〜2ミル(約5×10-2mm)(例えば、0.5ミル〜1.8ミル、0.6ミル〜1.6ミル、または0.75ミル(約1.9×10-2mm)〜1.5ミル)の厚さを有し得る。コーティングの厚さは、コーティングの密度とコーティングされたセルロース系基材の質量に基づいて計算され得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、半結晶性ポリマーコーティングは、いくつかの実施形態では、コーティングされたセルロース系基材の質量を基準として15質量%未満の量で適用され得る。
【0029】
水性ポリマーコーティングおよび/または半結晶性ポリマーコーティングは、いくつかの実施形態では、1つ以上の添加剤をさらに含み得る。1つ以上の添加剤は、いくつかの実施形態では、無機充填剤および/またはコーティング顔料を含み得る。無機充填剤は、一般に、かなりの割合の粒子が2マイクロメートルを超える粒径を有するが、コーティング顔料は、かなりの割合の粒子が2マイクロメートル未満の粒径を有する。いくつかの実施形態では、無機充填剤および/またはコーティング顔料を添加して、滑らかさ、白色度、増加した密度または質量、低下した多孔度、増加した不透明度、平坦性、光沢等の特定の特性を紙に付与することができる。鉱物充填剤および/またはコーティング顔料としては、炭酸カルシウム(沈降または粉砕)、カオリン、粘土、タルク、珪藻土、マイカ、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、バーミキュライト、グラファイト、カーボンブラック、アルミナ、シリカ(粉末または分散液のヒュームドシリカまたは沈降シリカ)、コロイド状シリカ、シリカゲル、酸化チタン、水酸化アルミニウム、三水和アルミニウム、サチンホワイト、および酸化マグネシウムが挙げられ得る。水性ポリマーコーティングおよび/または半結晶性ポリマーコーティングは、いくつかの実施形態では、もっぱら鉱物充填剤またはコーティング顔料を含み得るか、または無機充填剤とコーティング顔料とのブレンド(例えば、質量比90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80、または10:90)を含み得る。
【0030】
水性ポリマーコーティングおよび/または半結晶性ポリマーコーティングは、いくつかの実施形態では、無毒の防食顔料を含み得る。このような防食顔料の例としては、リン酸系防食顔料、例えばリン酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、リン酸チタン、リン酸ケイ素、ならびにそれらのオルトリン酸塩および縮合リン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
水性ポリマーコーティングおよび/または半結晶性ポリマーコーティングは、いくつかの実施形態では、1つ以上の染料および/または着色顔料を含んで、着色もしくはパターン化された紙を製造するか、または紙の色合いを変更することができる。例示的な染料としては、塩基性染料、酸性染料、アニオン性直接染料、およびカチオン性直接染料が挙げられ得る。例示的な着色顔料としては、アニオン系顔料分散液およびカチオン系顔料分散液の形の有機顔料および無機顔料が挙げられる。
【0032】
水性ポリマーコーティングおよび/または半結晶性ポリマーコーティングとしては、いくつかの実施形態では、増粘剤、分散剤、開始剤、安定剤、連鎖移動剤、緩衝剤、塩、防腐剤、難燃剤、湿潤剤、保護コロイド、殺生物剤、腐食防止剤、架橋剤、架橋促進剤、および潤滑剤が挙げられ得る。水性ポリマーコーティングおよび/または半結晶性ポリマーコーティングは、いくつかの実施形態では、解重合を防止するための添加剤(例えば、光開始を防止するための添加剤)を有し得る。
【0033】
本明細書に開示されるセルロース系基材は、1種類以上のコーティング(例えば、2種類のコーティング)を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるセルロース系基材(例えば、本明細書に開示される紙カップ)は、基材上に複数のコーティング層を有することができ、コーティング層は同じコーティングまたは異なるコーティングを含むことができる。いくつかの実施形態では、セルロース系基材は、半結晶性ポリマーコーティングの層上に適用された水性ポリマーコーティングの層を含む。いくつかの実施形態では、セルロース系基材は、水性ポリマーコーティング上に適用された半結晶性ポリマーコーティングの層を含む。いくつかの実施形態では、セルロース系基材は、水性ポリマーコーティングおよび/または半結晶性ポリマーコーティングおよびさらなるコーティングを含む。
【0034】
本発明はまた、水性ポリマーコーティング、半結晶性ポリマーコーティング、またはそれらの組み合わせでコーティングされたセルロース系基材を有する紙カップに関する。紙カップは内面、外面、底部、および側部を有し得る。水性ポリマーコーティングは、紙カップの第1の表面および/または第2の表面上にあり得る。半結晶性ポリマーコーティングは、紙カップの第2の表面上にあり得る。第1の表面は、いくつかの実施形態では、側部の内面または底部の内面のうち1つ以上を含む。第2の表面は、いくつかの実施形態では、側部の内面または底部の内面のうち1つ以上を含む。第2の表面が、紙カップの底部の内面を含み得る場合、第1の表面は側部の内面である。第1の表面が、紙カップの底部の内面を含み得る場合、第2の表面は側部の内面である。いくつかの実施形態では、底部の内面全体がコーティングされている。いくつかの実施形態では、底部の内面の一部のみ(例えば10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、または90%以上)がコーティングされている。いくつかの実施形態では、側部の内面全体がコーティングされている。いくつかの実施形態では、側部の内面の一部のみ(例えば10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、または90%以上)がコーティングされている。
【0035】
水性コーティングは、ミル内で抄紙機を用いてまたは印刷法によってセルロース系基材上にコーティングされ得る。半結晶性ポリマーコーティングは、溶融押出プロセスを使用してセルロース系基材上にコーティングされ得る。いくつかの実施形態では、半結晶性ポリマーコーティングは、185℃以上(例えば190℃以上、200℃以上、210℃以上、220℃以上、230℃以上、240℃以上、250℃以上、260℃以上、270℃以上、280℃以上、290℃以上、300℃以上、または310℃以上)の溶融押出温度でセルロース系基材上にコーティングされ得る。溶融押出温度は、320℃以下(例えば315℃以下、310℃以下、300℃以下、290℃以下、280℃以下、270℃以下、260℃以下、250℃以下、240℃以下、230℃以下、220℃以下、210℃以下、200℃以下、または190℃以下)であり得る。半結晶性ポリマーコーティングの溶融押出温度は、185℃〜325℃の間(例えば215℃〜320℃または235℃〜315℃)であり得る。
【0036】
セルロース基材上の水性ポリマーコーティングは、適切な方法を用いて表面処理されて、接着性の改善のために基材の表面を改質することができる。いくつかの実施形態では、水性ポリマーコーティングは、酸化され、平滑化され(例えば、基材の表面上での繊維の焼成)、またはそれらの組み合わせが行われ、接着性を改善することができる。いくつかの実施形態では、表面処理は、高エネルギー放電、例えば電離放電および/または熱放電を含み得る。本明細書で使用される「高エネルギー放電」とは、物質の表面の分子結合および/またはエネルギーを変化させることができるエネルギー源を指す。いくつかの実施形態では、エネルギー源は、材料の表面上の分子結合を破壊し得る。破壊された結合は、ここで高エネルギー放電環境に存在するフリーラジカルおよび他の粒子に自由にくっつく。いくつかの例では、水性ポリマーコーティングは、コロナ処理、プラズマ放電処理、火炎処理、またはそれらの組み合わせから選択されるプロセスを用いて表面処理(例えば、物理的表面処理または熱処理)され得る。水性ポリマーコーティングの表面処理は、例えばセルロース系基材層(例えばカップストック層)間のヒートシールおよび/または表面接着を改善し得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、水性ポリマーコーティングは、適切な電力でコロナ処理される。水性ポリマーコーティングは、1ワット以上の電力レベルでコロナ処理され得る。いくつかの実施形態では、水性ポリマーコーティングは、1〜4ワット(例えば、2ワット以上、2.5ワット以上、3ワット以上、または3.5ワット以上)/平方フィート/分の電力レベルでコロナ処理される。いくつかの実施形態では、水性ポリマーコーティングは、4ワット以下(例えば、3.5ワット以下、3ワット以下、2.5ワット以下、または2ワット以下)/平方フィート/分でコロナ処理される。いくつかの実施形態では、水性ポリマーコーティングは、2〜4ワット/平方フィート/分でコロナ処理される。セルロース系基材上の水性ポリマーコーティングのコロナ処理までの曝露時間は非常に短くなり得る。例えば、曝露時間は1秒未満であり得る。いくつかの実施形態では、コロナ処理は、動いている紙またはコーティングライン上で稼働する板紙基材ウェブ上で行われ得る。いくつかの実施形態では、水性ポリマーコーティングは、100ft/分以上のライン速度を用いてコーティングライン上でコロナ処理され得る。例えば、水性ポリマーコーティングは、500ft/分〜5000ft/分、例えば500ft/分〜1000ft/分のライン速度を用いてコロナ処理され得る。いくつかの実施形態では、ワット密度、すなわち基材に適用されているエネルギーの量は、以下の式を用いて決定され得る:
【数1】
【0038】
一般的に、ワット密度が高いほど、ダインレベル(表面エネルギーの測定値)が高くなり得る。いくつかの実施形態では、表面エネルギーを高めることで、表面の濡れ性および接着特性を高めることができる。水性ポリマーコーティングを一定のダインレベルにするワット密度が分かると、これを用いて、もしあれば、ライン速度などのパラメータ変更の結果を予測することができる。
【0039】
本明細書に開示される半結晶性ポリマーコーティングは、いくつかの実施形態では、表面処理されている。低密度ポリエチレンホモポリマーまたは低密度ポリエチレンコポリマーの表面活性を高める表面処理、例えばポリマーを酸化させることによる表面処理が使用され得る。例示的な表面処理としては、本明細書に記載されているもの、例えばコロナ放電、プラズマ放電、および火炎処理が挙げられ得る。いくつかの実施形態では、半結晶性ポリマーコーティングは、2〜4(例えば、2、2.5、3、3.5または4)ワット/平方フィート/分でのコロナ処理によって表面処理される。いくつかの実施形態では、半結晶性ポリマーコーティングは、2〜3ワット/平方フィート/分でのコロナ処理によって表面処理される。いくつかの実施形態では、半結晶性ポリマーコーティングは、1秒未満、コロナ処理される。いくつかの実施形態では、半結晶性ポリマーコーティングは、100ft/分以上のライン速度を用いてコーティングライン上でコロナ処理され得る。例えば、半結晶性ポリマーコーティングは、500ft/分〜5000ft/分のライン速度、例えば500ft/分〜1000ft/分を用いてコロナ処理され得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、水性ポリマーコーティングおよび/または半結晶性ポリマーコーティングの表面熱処理、例えばコロナ処理は、表面処理されていないコーティングと比較して紙の耐漏れ性、耐汚染性および/または耐ブロック性に悪影響を及ぼさない。例えば、いくつかの実施形態では、水性ポリマーコーティングおよび/または半結晶性ポリマーコーティングは、コロナ処理の前後で同様のレベルの耐漏れ性、耐汚染性、および/または耐ブロック性を有し得る。
【0041】
コーティングは、セルロース系基材に添加されてコーティング基材を形成することができ、コーティング基材は次に紙カップに形成される。紙カップは、紙カップを形成するための当該技術分野で知られている方法で形成され得る。いくつかの実施形態では、紙カップは、(a)第1の水性ポリマーコーティングを含む第1のコーティングを第1の紙基材の表面の少なくとも一部に適用すること;(b)第2の水性ポリマーコーティングを第2の基材の表面の少なくとも一部に適用すること;(c)第1の紙基材および第2の紙基材のうちの一方から側壁を形成し、前記側壁をそれ自体の側端(側縁部)に沿って結合すること;(d)第1の紙基材および第2の紙基材のうちの一方から底部を形成すること;および(e)前記側壁の下端(底縁部)に沿って前記側壁を、前記底部の側端(側縁部)に沿って前記底部に結合し、紙カップを形成することによって準備され得る。いくつかの実施形態では、紙カップは、(a)第1の水性ポリマーコーティングを含む第1のコーティングを第1の紙基材の表面の少なくとも一部にコーティングして、第1のコーティング紙基材を形成すること;(b)低密度ポリエチレンホモポリマーまたはコポリマーを含む第2のコーティングを、前記低密度ポリエチレンホモポリマーまたはコポリマーの融点温度より高い温度で第2の紙基材の表面の少なくとも一部に適用して、第2のコーティング紙基材を形成すること、その際、前記低密度ポリエチレンホモポリマーまたはコポリマーは、場合により極性官能基を含む;(c)前記第1の紙基材および前記第2の紙基材のうちの1つから側壁を形成し、前記側壁を側縁に沿ってそれ自体に結合すること;(d)前記第1の紙基材および前記第2の紙基材のうちの1つから底部を形成すること;および(e)前記側壁の下端(底縁部)に沿って前記側壁を、前記底部の側端(側縁部)に沿って前記底部に結合し、紙カップを形成することによって準備される。いくつかの実施形態では、側壁は、第1の水性ポリマーコーティングを用いて側端(側縁部)に沿ってそれ自体に結合され得る。例えば、低密度ポリエチレンホモポリマーまたはコポリマーコーティングでコーティングされた底部は、例えば水性ポリマーコーティングでコーティングされた側部(すなわち、側壁)に接触させることができ、紙カップの側部は誘導シール、インパルスシール、圧力シール、またはそれらの組み合わせを使用して連結され得る。他の実施形態では、例えば水性ポリマーコーティングでコーティングされた底部は、例えば水性ポリマーコーティングでコーティングされた側部(すなわち、側壁)に接触させることができ、紙カップの側部は誘導シール、インパルスシール、圧力シール、またはそれらの組み合わせを使用して連結され得る。いくつかの実施形態では、紙の側部は、熱を用いてそれ自体にまたは紙カップの底部に結合され得る。例えば、底部および側部上のコーティングは、第2のコーティングのビカット軟化点を上回って加熱されて、シールを生成し、カップを形成し得る。いくつかの実施形態では、熱を使用することなく、紙の側部をそれ自体にまたは紙カップの底部に結合することができる。カップは耐漏れ性および/または耐汚染性であり得る。
【0042】
第1の基材は、水性ポリマーコーティング分散液(例えば、ビニル芳香族モノマーおよびアクリルモノマーを重合させて調製したコポリマー)を含む第1のコーティングを含み、第2の紙基材は、第2の水性ポリマーコーティング分散液を含み、第1のコーティングと第2の水性ポリマーコーティングを結合させて、第1の基材を第2の基材に接着させることによって、これらの紙基材を第1のコーティングを使用して接着させることができる。いくつかの実施形態では、第1の基材は、水性ポリマーコーティング分散液を含む第1のコーティングを含み、第2の紙基材は、低密度ポリエチレンホモポリマーまたはコポリマーを含み、その際、紙基材は、第1のコーティングと第2のコーティングを結合して、第1の基材を第2の基材に接着させることによって接着される。水性の第1のコーティングは、それ自体にまたは第2のコーティングでコーティングされた表面に接着し得る。例えば、第1のコーティングは、第2の低密度ポリエチレンホモポリマーもしくはコポリマーコーティングまたは第2のコーティングでコーティングされた表面に接着し得る。第1のコーティングは、コーティングされていない表面に接着し得る。
【0043】
本明細書に記載された水性ポリマーコーティングは、セルロース系基材に、さらには半結晶性ポリマーコーティングが使用されるあらゆる用途に使用され得る。例えば、水性ポリマーコーティングとコーティング基材は、紙カップ、例えば、使い捨ての紙カップに使用され得る。カップに代わるものとして、本明細書に記載されたコーティングは、乾燥食品、例えばコーヒー、紅茶、スープパウダー、ソースパウダー用の紙袋の製造用の;液体、例えば、化粧品、洗浄剤、飲料用の;チューブラミネートの;ペーパーキャリアバッグの;アイスクリーム、菓子類(例えば、チョコレートバーおよびミューズリーバー)用の紙ラミネートおよび共押出物の、紙接着テープの;段ボールカップ(例えば、紙カップ)、ヨーグルトポット、スフレカップの;食事トレイの、または肉トレイの;傷ついた段ボール箱(例えば、缶、ドラム)の、外装(例えば、ワインボトル、食品)用の湿潤強度のカートンの;コーティングされた厚紙の果物箱の;ファーストフードプレートの;クランプシェルの;飲料カートンおよび洗剤および洗浄剤などの液体用カートン、凍結食品カートン、氷の包装(例えば、アイスカップ、円錐形アイスクリーム用ウェハの包装材料)の;紙ラベルの;花の鉢や植木鉢のコーティング紙に使用することができる。
【0044】
水性ポリマーコーティングおよび/または半結晶性ポリマーコーティングは、最初のコーティングを含まない用途と比較して、紙に耐漏れ性および/または耐汚染性を付与することができる。水性ポリマーコーティングおよび/または半結晶性ポリマーコーティングは、水性ポリマーコーティングおよび/または半結晶性ポリマーコーティングを含まない用途と比較して、紙に耐漏れ性および/または耐汚染性を付与することができる。いくつかの実施形態では、水性ポリマーコーティングおよび/または半結晶性ポリマーコーティングは、紙コーティング配合物のレオロジーを改善し得る。
【0045】
本明細書に開示されている紙カップは、例えば、コーヒーまたは紅茶のような高温の液体を保持し、耐漏れ性および/または耐汚染性を維持するために使用され得る。水、湿気、油脂、油、酸素等に対するバリアを提供するコーティングは、シールを形成し、製造プロセス中にブロッキングを生じないようにする能力がなければならない。例えば、冷たい液体や熱い液体を入れるカップに使われている板紙の紙は、紙や板紙の表裏面が結合されて高温高圧に曝された時にシールすることができなければならず、また、シール自体は液体または水蒸気に耐性があり、かつそれらの存在下でその完全性を維持しなければならない。例えば、本明細書に開示された紙カップは、ホットコーヒーに30分までの間曝される場合の紙カップの底面からの漏れを低減または無くし得る。例えば、本明細書に開示された紙カップは、ホットコーヒーに30分までの間曝される場合、紙カップの底部周辺の底部界面での汚れを低減または無くし得る。さらに、本明細書の紙カップは、紙カップの底部または側部に切断/成形する前に、紙ロールに巻かれる際に、押出コーティング紙の最小限のブロッキング(すなわち、コーティング表面の他のコーティング表面への接着、またはコーティング表面の非コーティング表面への接着)の傾向を示し得る。ロールのコーティングされた側および/または非コーティング側には、低い程度の接着損傷が望ましい。いくつかの実施形態では、紙ロールは、巻かれていない場合、ロールのコーティング側または非コーティング側に表面損傷を与えることなく層の分離を示す。また、本明細書に開示されたコーティング、コーティング基材、および/または紙カップは、低いシール開始温度、最小限の毛細管現象による漏れ、高温および短い滞留時間での熱シールで改善された二次シール、耐屈曲亀裂性、および高温耐性(水の沸点まで)を示し得る。さらに、すべての成分の完全なFDA認可、ならびに感覚刺激剤を付与しないことが望ましい。
【0046】
コーティングの耐水性は、TAPPI T 441(2001)に記載されているCobb法を用いて試験することができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。この方法は、標準化された条件下で特定の時間に紙、板紙、および段ボール紙に吸収される水の量を決定し、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されたコーティング基材は、この試験方法に記載された耐水性試験に合格するだろう。吸水率は紙または板紙の様々な特性、例えば、これに限定されないが、サイジングや気孔率に左右され得る。
【0047】
ヒートシール性能は、Sencorpモデル12ASL/1シーラーを使用して評価され得る。上部および下部のジョー(かみあい部分)の温度は、例えば315℃に設定され得る。コーティングされたシートは向かい合って置かれ、様々な時間と圧力でシールされ得る。圧力は例えば、20psi(約138kPa)〜30psi(約207kPa)〜40psi(約276kPa)であり得る。シーリングして室温まで冷却した後、2枚の板紙は引き離され、接着のレベルで評価され得る。試料には、以下の尺度に基づいて1〜5の評価を与えることができる:
1−接着性なし
2−接着性があるが、ピッキングまたは繊維引裂はない
3−接着性があり、コーティングの移動またはわずかな繊維引裂がある(表面積の5%未満)
4−いくらかの繊維引裂(5%〜50%)
5−繊維引裂(50%を超える)
【0048】
可能な限り短い時間と低い圧力での最大接着力が望ましく、適切なヒートシールを保証するための評価は5である。
【0049】
ヒートシールは、さらにQualitest HST−H3ヒートシールテスターを使用して定量化され得る。上部および下部のジョー(かみあい部分)の温度は、カップ形成動作をシミュレートするために、例えば250℃以下、200℃以下、または150℃以下に設定され得る。滞留時間は、基材間の「許容される」繊維引裂を達成するために、所与の圧力、例えば40psiで、および力、例えば380n/m以上で調整され得る。
【0050】
半結晶性ポリマーコーティングは低いシール開始温度を有し得る。シール開始温度は、Topwaveシーラーでの条件に注意して、50lb(約23kg)のクラフト紙にコーティングを適用し、1lb/in(4.4N/25.4mm)のヒートシール強度が達成される温度を測定することによって測定され得る。さらに、シール性はASTM F2029(2008)によって測定され、ホットタックシールはASTM F1921(2012)によって測定され得る。耐屈曲亀裂性は、プラスチックフィルムの場合、ASTM F392(2011)によって測定され得る。さらに、コーティング中のピンホールの測定は、確実に紙をコーティングで十分に覆うために重要である。本明細書に開示されたコーティングおよびカップの改善された特性を決定するために、さらなる試験方法および手順も使用され得る。
【0051】
紙カップはまた、コーヒーの保持試験を用いて試験することもでき、その際、紙カップ(例えば、12オンス(約340g)の標準的な紙カップ)は約90℃の初期温度にてコーヒーで実質的に満たされ、かつ少なくとも30分間維持され得る。紙カップは次にサイドシームまたはボトムシームからの漏れを見つけるために視覚的に評価され得る。30分経過後に漏れまたは汚れが見られる場合、紙カップはこのコーヒーの保持試験に失敗し、このコーヒー保持試験に合格する場合、耐漏れ性(及び耐汚染性)があると見なされる。
【実施例】
【0052】
実施例1:水性ポリマーおよび半結晶性ポリマーのコーティングでコーティングしたコロナ処理板紙のヒートシール試験
水性ポリマーコーティング:水性ポリマーコーティングであるResinGは、カオリンクレー系顔料(25部)、オリゴマーで安定化されたスチレンアクリル系コポリマーラテックス(56.25部)、および界面活性剤で安定化されたスチレンアクリル系コポリマーラテックス(18.75部)を含有する。水性ポリマーコーティングであるC2S3は、カオリンクレー系顔料(23.5部)、オリゴマーで安定化されたスチレンアクリル系コポリマーラテックス(46.3部)、および界面活性剤で安定化されたスチレンアクリル系コポリマーラテックス(30.2部)を含有する。水性ポリマーコーティングであるCoat30は、カオリンクレー系顔料(11.75部)、マイカ顔料(11.75部)、オリゴマーで安定化されたスチレンアクリル系コポリマーラテックス(46.3部)、および界面活性剤で安定化されたスチレンアクリル系コポリマーラテックス(30.2部)を含有する。水性ポリマーコーティングであるResin35は、カオリンクレー系顔料(23.5部)、オリゴマーで安定化されたスチレンアクリル系コポリマーラテックス(46.3部)、界面活性剤で安定化されたスチレンアクリル系コポリマーラテックス(30.2部)、および安定化されたワックスエマルション(10部)を含有する。水性ポリマーコーティングであるResin57は、カオリンクレー系顔料(35部)、オリゴマーで安定化されたスチレンアクリル系コポリマーラテックス(39.3部)、および界面活性剤で安定化されたスチレンアクリル系コポリマーラテックス(25.7部)を含有する。
【0053】
半結晶性ポリマーコーティング:ポリエチレン(PE)は市販の低密度ポリエチレン(LDPE)ホモポリマーまたはコポリマーである。押出コーティング用の低密度ポリエチレンホモポリマーは、4〜12g/10分のメルトインデックスと0.915〜0.925g/cmの密度を有し得る。押出コーティング用の低密度ポリエチレンコポリマーとしては、エチレンとアクリル酸メチルとのコポリマー(6〜13%のアクリル酸メチル)またはエチレンとメタクリル酸とのコポリマー(4〜10%のメタクリル酸)が挙げられ得る。ポリエチレンコポリマーは、4〜12g/10分のメルトインデックスと0.920〜0.940g/cmの密度を有し得る。
【0054】
方法:2つのコーティングされた板紙基材間の接着を市販のカップ成形作業においてシミュレートするための高速トラック法を以下に示す。試験される試料1つにつき2枚の3インチ角の板紙試験片をカットした。1枚の板紙試験片を、第1表の第3欄に記載されているような水性ポリマーコーティングでコーティングする。この水性コーティング試験片を、次に、例えば第1表の第4欄に記載されているようにコロナ処理する。第2の板紙試験片を、第1表の第5欄に記載されているような厚さ1ミル(25マイクロメートル)の低密度PE(LDPE)ホモポリマーまたは官能化LDPEコポリマーで押出しコーティングする。次に、コーティング試料を、コーティング側を互いに物理的に接触させて(いくらかの最小の力でそれらを一緒に保持して)水平な「トラック」に載せる。次いでこの試料を、高速で高温送風機に通過させて、高温に曝す。温度は約500°F(約260℃)〜約1050°F(約565.6℃)であり、速度は約100cm/分〜約2390cm/分であり得る。試験片を分離しようとする際に100%の繊維引裂をもたらすために、紙基材への熱伝達を可能にするには、より速い速度のために、より高い温度が求められる。手作業による分離繊維の引裂分析は、次に(周囲温度まで)冷却された試験片で行い、2つの正方形試験片を互いに90°の角度で引き離す。引っ張った試験片(第1表、最後の欄)には、0〜9の尺度に基づいて相対的接着値を割り当てる。その際、0は接着性なし、4は「最小許容」繊維引裂(すなわち、良好な接着性)を示すしきい値であり、かつ9が最良(100%の繊維引裂)である。
【0055】
以下に示す表において、比較例(CE)で使用したポリエチレンホモポリマーおよびコポリマーは、本発明の実施例(E)で使用したものと同様である。
【表1】
EMAとは、エチレンとアクリル酸メチルを含む低密度ポリエチレンコポリマーを指す。EMMAとは、エチレンとメタクリル酸を含む低密度ポリエチレンコポリマーを指す。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0056】
実施例2:水性ポリマーコーティングをコーティングした板紙のQualitestヒートシール試験
板紙試料上のコロナ処理した水性コーティングのヒートシールを調べた。試験される各試料について、2枚の1インチ角の板紙試験片をカットした。両方の板紙試験片を水性ポリマーでコーティングし、それぞれの水性コーティングの成分と量を第6表にまとめる。
【0057】
ヒートシールしたコーティングした板紙の剥離強度と繊維引裂(基材の損傷)を第7表〜第9表にまとめる。図1〜3は、p=0.5の標準化効果の推定値における、それぞれ150℃、200℃、および250℃でのシーリング時のコロナ処理と顔料のパレート図を示す。図4〜6は、ヒートシール変数の予測平均を示す。
【表6】
・各試料の全固形分は配合された通りである。pHは8.5である。
【表7】
・シーリング温度:250℃; 滞留時間:1秒(紙面上100℃)
・1インチ幅の試験片を2インチ/分で剥離試験する。
【表8】
・シーリング温度:200℃; 滞留時間:1秒(紙面上80℃)
・1インチ幅の試験片を2インチ/分で剥離試験する。
【表9】
・シーリング温度:150℃; 滞留時間:1秒(紙面上65℃)
・1インチ幅の試験片を2インチ/分で剥離試験する。
【0058】
耐ブロッキング性:試料にて60psi(約414kPa)、50℃で24時間にわたり耐ブロッキング性を評価した。試料には、以下の尺度に基づいて、1〜5の評価(第10表)を与えた:5=粘着性なし(ブロッキング性なし);4=低粘着性;3=強い粘着性;2=分離時の基材損傷、25%未満の損傷;1=分離時の基材損傷、25%を上回る損傷(最も強いブロッキング性)。図7図8は、p=0.5の標準化効果の推定値における、ヒートシール時のコロナ処理と顔料の、それぞれのパレート図と予測平均を示す。
【表10】
【0059】
漏れ試験:コーティングされた板紙試料を垂直線および水平線で折りたたんだ。赤色の顔料分散液の水溶液を折り目に適用した。溶液を折り目部分に10分間置き、次いで拭き取った。次に、折り目に沿って1インチあたりのドットの数を数えることによって試料を評価し(第11表)、以下の尺度に基づいてスコアをつけた:5=0ドット/インチ;4=1〜5ドット/インチ;3=6〜10ドット/インチ;2=11〜30ドット/インチ;1=30を超えるドット/インチ。図9図10は、p=0.5の標準化効果の推定値における、シーリング時のコロナ処理と顔料のそれぞれのパレート図と予測平均を示す。
【表11】
【0060】
第9表〜第11表に示すように、コロナ処理試料は、剥離強度が大幅に増加するが、ブロッキングや漏れにはあまり影響を与えない。剥離強度の増加は通常、ブロッキングの対応する増加をもたらすので、耐ブロッキング性のかかる変化は予想外であった。
【0061】
分析的調査:処理および未処理の板紙表面の表面を、FT−IR、原子間力顕微鏡(AFM)、およびエネルギー分散型X線分光法(EDS)による走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて分析した。処理した板紙の表面は、コロナ処理した水性ポリマーであった。図11および図12は、それぞれ未処理およびコロナ処理した板紙表面の表面粗さの変化を示すAFM画像である。柔らかい樹脂相を有する未処理の板紙の表面には二相系が見られ、コロナ処理した表面よりも、この表面でより多く液体が溜まると思われる。コロナ処理した板紙の表面には山と谷が見られ、このことはより大きな表面積をもたらし得る粗い表面の一因となり、コロナ処理したコーティング試料間の結合力を高め得る。
【0062】
様々なコロナ処理レベルでコーティングした板紙試料の剥離強度と耐ブロック性の調査:上記のCO2014−0133−1でコーティングした板紙試料(14点SBS板)の剥離強度と耐ブロック性を、様々なコロナ処理レベルで測定した。すべての板紙試料を150℃でヒートシールした。ブロッキング試験を50℃、60psi(約414kPa)で24時間行った。結果を第12表に示す。
【表12】
F−Fは基材の表(front)対表(front)を指す;F(front)−B(back)は基材の表対裏を指す。基材の表側をコロナ処理した。
【0063】
添付の特許請求の範囲の組成物および方法は、本明細書に記載された特定の組成物および方法によって範囲が限定されるものではなく、特許請求の範囲のいくつかの態様の例示として意図されており、かつ機能的に等価なすべての組成物および方法は特許請求の範囲内に入ることが意図されている。本明細書に示され記載されたものに加えて、組成物および方法の様々な改変は、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図されている。さらに、本明細書に開示された特定の代表的な組成物および方法工程のみが具体的に記載されているが、組成物および方法工程の他の組み合わせも、特に記載されていなくても、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図されている。したがって、工程、要素、構成要素、または成分の組み合わせが本明細書以下に明示的に記載されているが、工程、要素、構成要素、および成分の他の組み合わせも、たとえ明示的に記載されていなくても含まれる。本明細書で使用される用語「含む(comprising)」およびその変形は、用語「含む(including)」およびその変形と同義で使用され、オープンな非限定的な用語である。「含む(comprising)」および「含む(including)」という用語は、本明細書では様々な実施形態を記載するために使用されているが、「〜から実質的になる(consisting essentially of)」および「〜からなる(consisting of)」という用語は、本発明のより詳細な実施形態をもたらすために「含む(comprising)」および「含む(including)」の代わりに使用することができ、また開示されている。実施例以外の場合、または特段の記載がない場合、明細書および特許請求の範囲で使用されている成分の量、反応条件などを表すすべての数字は、特許請求の範囲に対する等価物の教義の適用を制限しようとするものではなく、また有効数字の数および通常の四捨五入の手法に照らして解釈されるべきであることが、少なくとも理解されるべきである。
図1
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