特許第6789989号(P6789989)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許67899893−メチルシクロペンタデカン−1,5−ジオンを製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6789989
(24)【登録日】2020年11月6日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】3−メチルシクロペンタデカン−1,5−ジオンを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 45/27 20060101AFI20201116BHJP
   C07C 49/385 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   C07C45/27
   C07C49/385 A
【請求項の数】12
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-562770(P2017-562770)
(86)(22)【出願日】2016年6月2日
(65)【公表番号】特表2018-516271(P2018-516271A)
(43)【公表日】2018年6月21日
(86)【国際出願番号】EP2016062434
(87)【国際公開番号】WO2016193330
(87)【国際公開日】20161208
【審査請求日】2019年5月30日
(31)【優先権主張番号】15170490.5
(32)【優先日】2015年6月3日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブル ローク,ミリアム
(72)【発明者】
【氏名】ルーデンナウアー,ステファン
【審査官】 神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第102786398(CN,A)
【文献】 特公昭51−024498(JP,B1)
【文献】 特開2016−124867(JP,A)
【文献】 Helvetica Chimica Acta,2009年,Vol.92, NO.9,pp.1782-1799
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化剤を用いて14-メチルビシクロ[10.3.0]ペンタデセン[1(12)]を酸化することを含む、3-メチルシクロペンタデカン-1,5-ジオンを製造するための方法であって、酸化が、水の存在下で、ギ酸と唯一の酸化剤としてのH2O2の混合物を使用して実施され、H2O2の量が、14-メチルビシクロ[10.3.0]ペンタデセン[1(12)]1モル当たり少なくとも1.1モルである、方法。
【請求項2】
H2O2の量が、14-メチルビシクロ[10.3.0]ペンタデセン[1(12)]1モル当たり1.4〜4.0モルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
H2O2の量が、14-メチルビシクロ[10.3.0]ペンタデセン[1(12)]1モル当たり1.5〜3.5モルである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
H2O2が、14-メチルビシクロ[10.3.0]ペンタデセン[1(12)]とギ酸の混合物に添加される、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
添加されるH2O2の総量が、少なくとも2時間の期間にわたって添加される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
方法において使用されるH2O2の総量の70%未満が、酸化の開始時に存在する、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
H2O2の総量の少なくとも50%が、酸化反応が起こっている間に反応混合物に添加される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
化合物14-メチルビシクロ[10.3.0]ペンタデセン[1(12)]の酸化が、-20〜100℃の温度で実施される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
反応混合物中の水の濃度が、3〜25重量%である、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
H2O2が、水溶液として使用される、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
H2O2水溶液中のH2O2の濃度が、25〜50重量%である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
14-メチルビシクロ[10.3.0]ペンタデセン[1(12)]とギ酸の重量比が、1:20〜1:2の範囲内である、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化剤を用いる式(II)の14-メチルビシクロ[10.3.0]ペンタデセン[1(12)]の酸化によって、3-メチルシクロペンタデカン-1,5-ジオン(I)を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
【化1】
3-メチルシクロペンタデカン-1,5-ジオンは、興味深い嗅覚的特性(olfactory property)を有する式(I)の大環状ジケトンである。3-メチルシクロペンタデカン-1,5-ジオンは、他の大環状じゃ香香料、例えばムスコンに対する前駆体としての役割を果たすこともできる。
【0003】
CH519454は、一重項酸素を用いるビシクロ[10.3.0]ペンタデセン[1(12)]のオゾン分解又はビシクロ[10.3.0]ペンタデセン[1(12)]の光酸化と、その後の得られたヒドロペルオキシドの酸性転移によるシクロペンタデカン-1,5-ジオンの製造について記載している。CH519454は、ビシクロ[10.3.0]ペンタデセン[1(12)]と過マンガン酸カリウムの反応についても記載している。オゾン分解及び光酸化は、大規模で取り扱うのが困難であり、過マンガン酸カリウムを用いる酸化によって得られた反応混合物の後処理は困難であり、廃棄物を生じる。
【0004】
CH513791は、濃縮ギ酸中で準化学量論量の55%H2O2水溶液を用いるビシクロ[10.3.0]ペンタデセン[1(12)]の酸化と、その後、中間体と水酸化カリウムを反応させてビシクロ[10.3.0]ペンタデカン-1,12-ジオールを得て、次いでこれを氷酢酸中でPb3O4を用いる処理によって切断することを含む、シクロペンタデカン-1,5-ジオンの製造について記載している。この方法は煩雑であり、毒性化学物質の使用を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】CH519454
【特許文献2】CH513791
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、式(I)の3-メチルシクロペンタデカン-1,5-ジオンを効率的に製造するための方法を提供することである。この方法は、取り扱いやすく、式(I)の化合物の良好な収率をもたらすべきである。さらに、毒性の又は高価な試薬の使用を回避するべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、14-メチルビシクロ[10.3.0]ペンタデセン[1(12)]の酸化が、水の存在下で、ギ酸と唯一の酸化剤としてのH2O2の混合物を使用して実施され、H2O2の量が、14-メチルビシクロ[10.3.0]ペンタデセン[1(12)] 1モル当たり少なくとも1.1モルである場合、式(II)の14-メチルビシクロ[10.3.0]ペンタデカン[1(12)]が、式(I)の3-メチルシクロペンタデセン-1,5-ジオンに効率的に変換されうることが見出された。驚くべきことに、CH513791に記載されている条件下、ギ酸中で、14-メチルビシクロ[10.3.0]ペンタデセン[1(12)](II)を準化学量論量のH2O2と反応させる場合には、微量の3-メチルシクロペンタデカン-1,5-ジオン(I)しか形成されない。さらに、形成されたと主張される3-メチルビシクロ[10.3.0]ペンタデカン-1,12-ジオールは見つけることができなかった。
【0008】
したがって、本発明は、酸化剤を用いる式(II)の14-メチルビシクロ[10.3.0]ペンタデセン[1(12)]の酸化を含む、式(I)の3-メチルシクロペンタデカン-1,5-ジオンを製造するための方法であって、酸化が、水の存在下で、ギ酸と唯一の酸化剤としてのH2O2の混合物を使用して実施され、H2O2の量が、式(II)の化合物1モル当たり少なくとも1.1モルである方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この方法は、先行技術に対していくつかの利点を有する。本明細書に記載されている方法により、水の存在下で、H2O2とギ酸の混合物を使用することによる式(II)の化合物の酸化は、少なくとも中程度の収率と選択率を伴って式(I)の化合物を直接的に形成させる。CH513791に記載されている方法とは対照的に、後続の反応ステップは必要ない。CH519454に記載されている方法とは対照的に、H2O2は、オゾン又は一重項酸素に比べて非常に扱いやすいため、この方法は大規模で容易に実施することができる。さらに、H2O2及びギ酸は安価であり、したがって、過マンガン酸カリウム又はPb3O4などの高価な又は毒性のオキシダントは必要ない。
【0010】
理論に拘束されないが、H2O2とギ酸の混合物中で形成されるペルオキソギ酸は、式(II)の化合物と反応して主にエポキシドを形成し、エポキシドは、この反応条件下で、過酸化水素又はペルオキソギ酸によってさらに攻撃され、式(I)の化合物を切断する付加物を形成する。
【0011】
式(II)の化合物1モル当たり最小量が少なくとも1.1モル、頻繁には1.2モル、特に少なくとも1.4モル、とりわけ少なくとも1.5モルのH2O2が、式(II)の化合物の良好な変換を実現するために必要とされることが見出された。上限量のH2O2はそれほど重大ではないが、H2O2の量は、通常、式(II)の化合物1モル当たり5.0モル、特に4.0モル、とりわけ3.5モルを超えない。H2O2の量は、式(II)の化合物1モル当たり1.2〜5.0モル、特に1.4〜4.0モル、とりわけ1.5〜3.3モルであることが多い。
【0012】
反応は、主として、有機化学の標準的手順に従って実施することができる。
【0013】
反応のために使用されるH2O2の少なくとも一部、例えば少なくとも30%、特に少なくとも50%若しくは少なくとも70%又は反応のために使用されるH2O2の総量が、式(II)の化合物とギ酸の混合物に添加される場合に有利であることが分かった。混合物は、H2O2を添加する前に水を含有してもよい。しかしながら、H2O2の添加、例えばH2O2水溶液の添加によって水が導入されてもよい。特に、式(II)の化合物及びギ酸及び場合により水は、反応槽に投入され、反応のために使用されるH2O2の一部、例えば少なくとも30%、特に少なくとも50%若しくは少なくとも70%又は反応のために使用されるH2O2の総量が、このようにして得られた、場合により水を含有する式(II)の化合物とギ酸の混合物に添加される。
【0014】
酸化剤として使用されるH2O2の総量の70%未満、特に最大50%、とりわけ最大30%が、酸化の開始時に存在する場合に有利であることが分かった。結果として、反応のために使用されるH2O2の少なくとも30%、特に少なくとも50%若しくは少なくとも70%又は反応のために使用されるH2O2の総量が、反応条件下で、式(II)の化合物とギ酸の混合物に添加される。
【0015】
式(II)の化合物とギ酸の混合物に添加されるH2O2の一部分は、1つ以上の部分で又は一定の若しくは変化する添加速度で連続して添加することができる。H2O2が、少なくとも2時間、特に少なくとも3時間、例えば2〜24時間、とりわけ3〜18時間にわたって添加される場合に有利であることが分かった。
【0016】
好ましくは、H2O2は、H2O2水溶液中のH2O2の濃度が、特に20〜50重量%、より特別には25〜40重量%である水溶液として使用される。
【0017】
本発明によれば、式(II)の化合物の式(I)の化合物への酸化は、ギ酸の存在下で実施される。特に、式(II)の化合物とギ酸の重量比は、最大1:1、特に最大1:1.5又は最大1:2、とりわけ1:20〜1:2の範囲内である。
【0018】
本発明によれば、式(II)の化合物の式(I)の化合物への酸化は、水の存在下で実施される。水の量は、H2O2水溶液を使用することによって若しくはギ酸水溶液を使用することによって又はその両方を使用することによってのいずれかで、反応混合物に添加してもよい。当然のことながら、水は別々に添加されてもよい。好ましくは、反応混合物中の水の濃度は、3〜25重量%である。
【0019】
式(II)の化合物の式(I)の化合物への酸化を達成するために必要とされる温度は、様々であってよい。式(II)の化合物の式(I)の化合物への酸化は、-20〜100℃、特に0〜80℃、とりわけ10〜60℃の温度で実施される。
【0020】
反応圧力は、あまり重要ではない。特に、反応は、大気との加圧平衡を有する無圧槽において実施される。
【0021】
本発明の方法は、連続的又はバッチ式のいずれかで行われるように設計することができる。バッチ式の酸化は、この目的のために従来より使用される反応装置(場合により計量機器を備える)、例えば撹拌反応器中で行うことができる。本発明による方法は、例えば、逆混合されてもされなくてもよい、管式反応器中で又は少なくとも2つの撹拌反応器のカスケードで連続して行うこともできる。
【0022】
反応混合物は、例えば抽出処理のための水性後処理、揮発性物質の除去などを含む従来の後処理に供することができる。通常、すべての過剰な過酸化水素は、適切な還元剤、例えばチオ硫酸水溶液、亜硫酸水溶液、重亜硫酸水溶液、アスコルビン酸水溶液、又はトリフェニルホスフィン水溶液の添加によって、反応混合物の後処理の前又は間に破壊される。
【0023】
得られた粗生成物は、蒸留又はクロマトグラフィー又は組み合わせた手段を含む、従来の精製手段に供してもよい。式(I)の化合物の精製のための適切な蒸留機器として、例えば蒸留カラム、例えば場合によりバブルキャップトレイ、シーブプレート、シーブトレイ、パッケージ若しくは充填剤を備えたトレイカラム、又は回転バンドカラム、例えば薄膜蒸発器、流下膜式蒸発器、強制循環形蒸発器、サムベイ(Sambay)蒸発器など、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0024】
出発材料として使用される14-メチルビシクロ[10.3.0]ペンタデセン[1(12)]は、例えばDE2916418から公知であり、若しくは市販されており、又は14-メチルビシクロ[10.3.0]ペンタデセン[1(12)]は、DE2916418に記載されている方法と類似の方法によって製造することができる。
【実施例】
【0025】
I)ガスクロマトグラフィー分析:
GCシステム及び分離方法:
GCシステム:Agilent 7890 Series A;
GCカラム:DB-WAX(30m(長さ)、0.32mm(ID)、0.25μm(フィルム));
インジェクター(230℃)、検出器(280℃)及び流量1.5mL。
温度プログラム:3℃/分で80℃〜250℃、250℃で15分間。
II)製造例:
【0026】
[比較例1]
(CH513791による)
2.5g(0.01モル)の14-メチルビシクロ[10.3.0]ペンタデセン[1(12)]を22℃で30mLの濃縮ギ酸(90%)に溶解させた。混合物を40℃まで加熱した。この温度で、0.55gの50%(w/w)H2O2水溶液(8ミリモル、0.8等量)を滴下添加した。添加が完了した後に、反応混合物を40℃で6時間撹拌した。次いで、反応混合物を22℃まで冷却し、終夜静置させた。次いで、15mLの10%(w/w)Na2SO3水溶液をゆっくり添加し、反応混合物を22℃で1時間撹拌した。次いで、反応混合物を減圧下で蒸発させ、15mLのエタノールを残留物に添加し、続いて40mLの10%(w/w)KOH水溶液を添加した。混合物を4時間22℃で撹拌し、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機相を水で洗浄し、溶媒をロータリーエバポレーター中で蒸発させ、82%(GC面積)の14-メチルビシクロ[10.3.0]ペンタデセン[1(12)]及び3%(GC面積%)の3-メチルシクロペンタデカン-1,5-ジオンを含有する2gの粗生成物を得た。
【0027】
[比較例2]
(35%のH2O2を用いる以外はCH513791による)
2.5g(0.01モル)の14-メチルビシクロ[10.3.0]ペンタデセン[1(12)]を22℃で30mLの濃縮ギ酸(90%)に溶解させた。混合物を40℃まで加熱した。この温度で、0.8gの35%(w/w)H2O2水溶液(0.8等量)を滴下添加した。添加が完了した後に、反応混合物を40℃で6時間撹拌した。次いで、反応混合物を22℃まで冷却し、終夜静置させた。次いで、15mLの10%(w/w)Na2SO3水溶液をゆっくり添加し、反応混合物を22℃で1時間撹拌した。次いで、反応混合物を減圧下で蒸発させ、15mLのエタノールを残留物に添加し、続いて40mLの10%(w/w)KOH水溶液を添加した。混合物を4時間22℃で撹拌し、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機相を水で洗浄し、溶媒をロータリーエバポレーター中で蒸発させ、76%(GC面積)の14-メチルビシクロ[10.3.0]ペンタデセン[1(12)]及び8%(GC面積%)の3-メチルシクロペンタデカン-1,5-ジオンを含有する2gの粗生成物を得た。
【0028】
[実施例1]
(3.2等量のH2O2)
2.5g(0.01モル)の14-メチルビシクロ[10.3.0]ペンタデセン[1(12)]を22℃で30mLの濃縮ギ酸(90%)に溶解させた。混合物を40℃まで加熱した。この温度で、3.1gの35%(w/w)H2O2水溶液(32ミリモル、3.2等量)を滴下添加した。添加が完了した後に、反応混合物を40℃で3時間撹拌した。次いで、反応混合物を22℃まで冷却し、30mLの10%(w/w)Na2SO3水溶液をゆっくり添加した。次いで、反応混合物をジクロロメタンで抽出した。有機相を回収し、過酸化水素に対する陰性試験の後に、有機溶媒をロータリーエバポレーター中で蒸発させた。得られた油状物を酢酸エチルに再度溶解させ、溶液を10%(w/w)KOH水溶液で洗浄し、水で洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させ、43%(GC面積%)の3-メチルシクロペンタデカン-1,5-ジオンを含有する2.1gの粗生成物を得た(14-メチルビシクロ[10.3.0]ペンタデセン[1(12)]に対して36%の収率を表す)。
【0029】
[実施例2]
(3.2等量のH2O2、大規模)
70g(0.317モル)の14-メチルビシクロ[10.3.0]ペンタデセン[1(12)]を22℃で300mLの濃縮ギ酸(90%)に溶解させた。混合物を40℃まで加熱した。この温度で、115mLの30%(w/w)H2O2水溶液(1.014ミリモル、3.2等量)を滴下添加した。添加が完了した後に、反応混合物を40℃で3時間撹拌した。次いで、反応混合物を22℃まで冷却し、300mLの20%(w/w)Na2SO3水溶液をゆっくり添加した。次いで、反応混合物をジクロロメタンで抽出した。有機相を回収し、過酸化水素に対する陰性試験の後に、有機溶媒をロータリーエバポレーター中で蒸発させた。得られた油状物を酢酸エチルに再度溶解させ、溶液を10%(w/w)KOH水溶液で洗浄し、水で洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させ、23%(GC重量%)の3-メチルシクロペンタデカン-1,5-ジオンを含有する80.1gの粗生成物を得た(14-メチルビシクロ[10.3.0]ペンタデセン[1(12)]に対して25%の収率を表す)。
【0030】
[実施例3]
(H2O2投入)
5g(0.02モル)の14-メチルビシクロ[10.3.0]ペンタデセン[1(12)]を22℃で30mLの濃縮ギ酸(90%)に溶解させた。混合物を40℃まで加熱した。この温度で、1.8gの30%(w/w)H2O2水溶液(0.016ミリモル、0.8等量)を滴下添加した。添加が完了した後に、反応混合物を40℃で3時間撹拌した。次いで、試料を採取し、実施例1に対して記載されているような後処理の後に、試料をGCで分析した。次いで、さらに1.8gの30%(w/w)H2O2水溶液を添加し、混合物をさらに3時間40℃で撹拌した。この手順を2回繰り返した。3時間の各反応期間の後に、試料を採取して、後処理後にGCで分析した。次いで、反応混合物を22℃まで冷却し、30mLの10%(w/w)Na2SO3水溶液をゆっくり添加した。次いで、反応混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和NaHCO3水溶液及び水で洗浄した。有機抽出物を回収し、Na2SO4で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。1.6等量のH2O2(2 x 0.8等量)を添加した後に反応を停止することによって、3-メチルシクロペンタデカン-1,5-ジオンに対する77%の最大選択率を得ることができた。
【0031】
【表1】