特許第6790144号(P6790144)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケーエルエー−テンカー コーポレイションの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6790144
(24)【登録日】2020年11月6日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】193nmのレーザー検査システム
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/37 20060101AFI20201116BHJP
   G02F 1/39 20060101ALI20201116BHJP
   H01S 3/10 20060101ALI20201116BHJP
   H01S 3/00 20060101ALI20201116BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   G02F1/37
   G02F1/39
   H01S3/10 Z
   H01S3/00 A
   G01N21/956 A
【請求項の数】20
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2019-19890(P2019-19890)
(22)【出願日】2019年2月6日
(62)【分割の表示】特願2015-555299(P2015-555299)の分割
【原出願日】2014年1月24日
(65)【公開番号】特開2019-95801(P2019-95801A)
(43)【公開日】2019年6月20日
【審査請求日】2019年2月6日
(31)【優先権主張番号】61/756,209
(32)【優先日】2013年1月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/158,615
(32)【優先日】2014年1月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュワーン ユン−ホ アレックス
(72)【発明者】
【氏名】アームストロング ジェイ ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ドリビンスキー ウラジミール
(72)【発明者】
【氏名】デン ユジュン
(72)【発明者】
【氏名】フィールデン ジョン
【審査官】 佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05742626(US,A)
【文献】 特開2007−086108(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/158927(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0011872(US,A1)
【文献】 特開平07−170009(JP,A)
【文献】 国際公開第99/014631(WO,A1)
【文献】 特開2001−051312(JP,A)
【文献】 特開2000−171843(JP,A)
【文献】 特開平11−121854(JP,A)
【文献】 特開2000−223408(JP,A)
【文献】 特表2007−524832(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/173943(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00−1/125
G02F 1/21−7/00
H01S 3/00−3/30
G01N 21/956
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査システムであって、
約193.4nmの出力波長を生成するためのレーザーを備え、前記レーザーが、
基本波レーザーと、
前記基本波レーザーに結合されて、ダウンコンバートされた信号を生成する光パラメトリック発生器と、
前記光パラメトリック発生器、または前記基本波レーザーに結合されて、第4高調波を生成する第4高調波発生器と、
前記光パラメトリック発生器及び前記第4高調波発生器に結合されて、前記第4高調波と前記ダウンコンバートされた信号の周波数の2倍との合計に等しい周波数のレーザー出力を生成する周波数混合モジュールと、を備え、
前記周波数混合モジュールが、一方の非線形結晶がタイプIの周波数合計を行い、他方の非線形結晶がタイプIIの周波数合計を行うように構成された2つの非線形結晶を備え、
前記検査システムが、検出器と光学素子とを更に含み、前記光学素子が、前記検出器を使用して反射及び透過の画像を同時に収集するように構成され
前記周波数混合モジュールが、水素アニール処理された非線形結晶を含む、
検査システム。
【請求項2】
前記検査システムが、暗視野検査システムである、請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
照射のコヒーレンスを減少させるための少なくとも1つの音響光学変調器、または電気光学変調器をさらに備える、請求項1に記載の検査システム。
【請求項4】
パルス繰返し率を増加させるためのパルスレート乗算器をさらに備える、請求項1に記載の検査システム。
【請求項5】
前記光学素子が、同じ検出器を使用して反射及び透過の画像を同時に収集するように構成された、請求項1に記載の検査システム。
【請求項6】
検査されているターゲット上に照射されたラインを形成するための構成要素をさらに備える、請求項1に記載の検査システム。
【請求項7】
ターゲット上に複数の同時に照射されたスポットを形成するための構成要素をさらに備える、請求項1に記載の検査システム。
【請求項8】
前記基本波レーザーが、約1064.3nm、約1053nm、約1047nm、または約1030nmの基本波長を生成する、請求項1に記載の検査システム。
【請求項9】
約193.4nmの出力波長を生成するためのレーザーであって、
基本波レーザーと、
前記基本波レーザーに結合されて、第2高調波を生成する第1の周波数増倍モジュールと、
前記第1の周波数増倍モジュールに結合されて、第4高調波を生成する第2の周波数増倍モジュールと、
前記第1の周波数増倍モジュール及び前記基本波レーザーのうちの1つに結合されて、ダウンコンバートされた信号を生成する光パラメトリック発生器と、
前記光パラメトリック発生器及び前記第2の周波数増倍モジュールに結合されて、前記第4高調波と前記ダウンコンバートされた信号の周波数の2倍との合計に等しい周波数のレーザー出力を生成する周波数混合モジュールと、を備え、
前記周波数混合モジュールが、2つの非線形結晶、タイプIの変換によって前記第4高調波と前記ダウンコンバートされた信号の周波数との合計に等しい周波数を生成するように構成された第1の非線形結晶と、タイプII変換によって前記第4高調波と前記ダウンコンバートされた信号の前記周波数の2倍との合計に等しい前記周波数を生成するように構成された第2の非線形結晶と、を備え
前記周波数混合モジュールが、水素アニール処理された非線形結晶を含む、
レーザー。
【請求項10】
波長が約193.4nmの光を生成するための方法であって、
約1064nmの基本波長を生成することと、
前記基本波長の第1の部分から第2高調波波長を生成することと、
前記基本波長の第2の部分と、前記第2高調波波長の生成からの未消費の基本波長と、のうちの1つから約1416nmのダウンコンバートされた信号波長を生成することと、
前記第2高調波波長を使用して第4高調波波長を生成することと、
前記第4高調波波長と前記ダウンコンバートされた信号波長を混合し、前記第4高調波波長に前記ダウンコンバートされた信号波長の周波数の2倍を加えたものに等しい周波数に対応する出力波長を生成することと、を含み、前記混合することが、タイプIの周波数合計及びタイプIIの周波数合計を含み、
前記混合することが、水素アニール処理された非線形結晶を用いる、
方法。
【請求項11】
前記基本波レーザーが、約1064.3nm、約1053nm、約1047nm、または約1030nmの基本波長を生成する、請求項9に記載のレーザー。
【請求項12】
前記光パラメトリック発生器が、周期的にポーリングされる非線形の光学的結晶を備える、請求項11に記載のレーザー。
【請求項13】
前記周期的にポーリングされる非線形の光学的結晶が、ニオブ酸リチウム、酸化マグネシウムドープニオブ酸リチウム、化学量論的タンタル酸リチウム、酸化マグネシウムドープ化学量論的タンタル酸リチウム、及びチタン酸リン酸カリウム(KTP)のうちの1つである、請求項12に記載のレーザー。
【請求項14】
前記ダウンコンバートされた信号が、約1380nm〜1612nmの信号波長を有する、請求項11に記載のレーザー。
【請求項15】
前記ダウンコンバートされた信号が、約1416nmの信号波長を有する、請求項14に記載のレーザー。
【請求項16】
前記レーザーが、連続波レーザー、Qスイッチ型レーザー、モードロック型レーザー、または準連続波レーザーのうちの1つである、請求項11に記載のレーザー。
【請求項17】
前記光パラメトリック発生器が、光パラメトリック増幅器、または光パラメトリック発振器を備える、請求項11に記載のレーザー。
【請求項18】
前記基本波レーザーが、レーザーダイオード、またはファイバーレーザーを備える、請求項11に記載のレーザー。
【請求項19】
前記基本波レーザーが、セシウムリチウムボレート(CLBO)結晶を含む、請求項11に記載のレーザー。
【請求項20】
前記周波数混合モジュールが、セシウムリチウムボレート(CLBO)結晶、ベータバリウムボレート(BBO)結晶、またはリチウムトリボレート(LBO)結晶を含む、請求項11に記載のレーザー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権出願
本出願は、2013年1月24日に出願された米国仮特許出願第61/756,209号に優先権を主張し、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
関連出願
本出願は、Chuangらによって2013年3月12日に出願された米国特許出願第13/797,939号、名称「193nmレーザーを使用する固定レーザー及び検査システム」に関連し、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、レーザーに関し、具体的には、193nm近傍の放射線を生成し、フォトマスク、レチクル、及び/またはウェハの検査での使用に適する固体またはファイバーレーザーに関する。このレーザーは、パルス型(Qスイッチ型またはモードロック型)、またはCW(連続波)であり得る。
【背景技術】
【0004】
193nmの光を生成するためのエキシマレーザーは、当該分野で公知である。残念ながら、このようなレーザーは、それらの低いレーザーパルス繰返し率と、高い所有コストをもたらすそれらのレーザー媒体中の有毒で腐食性のガスの使用と、の理由から、検査用途に十分に適しているものではない。
【0005】
193nm近傍の光を生成する固体及びファイバーレーザーもまた、公知である。例示のレーザーは、2つの異なる基本波長または基本波の第8高調波を使用し、それらのいずれも、高価であるまたは大量生産されない、レーザーまたは材料を必要とする。さらに、それらのレーザーのほとんどは、非常に低いパワー出力を有し、数MHz以下のレーザーパルス繰返し率に制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−054547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、レーザー、好ましくは193nm近傍の放射を生成し、フォトマスク、レチクル、及び/またはウェハの検査での使用に適する固体またはファイバーレーザー、の必要性が生じる。とりわけ、そのような高速の検査は、多くの場合、複数のMHz(例えば、いくつかの場合では、50MHz以上)の最小のレーザーパルスの繰返し率を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
約193.4nmの出力波長を生成するためのレーザーを説明する。このレーザーは、基本波レーザー、光パラメトリック発生器、第4高調波発生器、及び周波数混合モジュールを備える。光パラメトリック発生器は、基本波レーザーに結合され、ダウンコンバートされた信号を生成することができる。第4高調波発生器は、光パラメトリック発生器に結合され、第4高調波を生成することができる。周波数混合モジュールは、光パラメトリック発生器及び第4高調波発生器に結合され、第4高調波とダウンコンバートされた信号の周波数の2倍との合計に等しい周波数のレーザー出力を生成することができる。とりわけ、周波数混合モジュールは、2つの非線形結晶を備える。一実施形態では、第1の非線形結晶は、タイプIIの変換によって、第4高調波とダウンコンバートされた信号の周波数との合計に等しい周波数を生成するように構成され、第2の非線形結晶は、タイプIの変換によって、第4高調波とダウンコンバートされた信号の周波数の2倍との合計に等しい周波数を生成するように構成される。
【0009】
約193.4nmの出力波長を生成するための別のレーザーを説明する。このレーザーは、基本波レーザー、第1及び第2の周波数増倍モジュール、光パラメトリック発生器、及び周波数混合モジュールを備える。第1の周波数増倍モジュールは、基本波レーザーに結合され、第2高調波を生成することができる。第2の周波数増倍モジュールは、第1の周波数増倍モジュールに結合され、第4高調波を生成することができる。光パラメトリック発生器は、第1の周波数増倍モジュールまたは基本波レーザーに結合され、ダウンコンバートされた信号を生成することができる。周波数混合モジュールは、光パラメトリック発生器及び第2の周波数増倍モジュールに結合され、第4高調波とダウンコンバートされた信号の周波数の2倍との合計に等しい周波数のレーザー出力を生成することができる。とりわけ、周波数混合モジュールは、2つの非線形結晶を備える。一実施形態では、第1の非線形結晶は、タイプIの変換によって、第4高調波とダウンコンバートされた信号の周波数との合計に等しい周波数を生成するように構成され、第2の線形結晶は、タイプIIの変換によって、第4高調波とダウンコンバートされた信号の2倍との合計の周波数に等しい周波数を生成するように構成される。
【0010】
約193.4nmの出力波長を生成するためのさらに別のレーザーを説明する。このレーザーは、基本波レーザー、周波数増倍モジュール、周波数合成器、光パラメトリック発生器、及び周波数混合モジュールを備える。周波数増倍モジュールは、基本波レーザーに結合され、第2高調波を生成することができる。周波数合成器は、周波数増倍モジュールに結合され、第3高調波を生成することができる。光パラメトリック発生器は、周波数増倍モジュールまたは周波数合成器に結合され、ダウンコンバートされた信号を生成することができる。周波数混合モジュールは、光パラメトリック発生器及び周波数合成器に結合され、第3高調波とダウンコンバートされた信号の周波数の2倍との合計に等しい周波数のレーザー出力を生成することができる。
【0011】
それらの193.4nmのレーザーは、容易に入手可能であり、かつ比較的高価でない構成要素を使用して構築することができる。例えば、様々な記載された実施形態で使用される基本波レーザーは、約1064.3nm、約1053nm、約1047nm、または約1030nmの基本波周波数を生成することができる。それらの基本波レーザーは、様々なパワーと繰返し率との組合せで、リーズナブルな価格で容易に入手可能である。基本波レーザーは、レーザーダイオードまたはファイバーレーザーを含むことができる。
【0012】
光パラメトリック発生器は、光パラメトリック増幅器(OPA)として、または光パラメトリック発振器(OPO)として、実現され、周期的にポーリングされる非線形の光学的結晶を備えることができる。例示の周期的にポーリングされる非線形結晶は、ニオブ酸リチウム(LN)、酸化マグネシウムドープニオブ酸リチウム(Mg:LN)、化学量論的タンタル酸リチウム(SLT)、酸化マグネシウムドープ化学量論的タンタル酸リチウム(Mg:SLT)、またはチタン酸リン酸カリウム(KTP)から形成することができる。
【0013】
光パラメトリック発生器によって生成されるダウンコンバートされた信号は、約1380nm〜1612nm、1416nm、818nm〜918nm、及び846nm〜856nmのうちの1つの信号波長を有する。
【0014】
周波数混合モジュールは、セシウムリチウムボレート(CLBO)結晶、ベータバリウムボレート(BBO)結晶、またはリチウムトリボレート(LBO)結晶を含むことができる。一例示の混合技術では、約266nmの波長の第4高調波が、約1416nm(赤外光)のダウンコンバートされた信号と混合されて、約224nmの波長が生成される。約224nmの光は、次に、ダウンコンバートされた信号と再結合されて、約193nmの波長が生成される。それらの2つの周波数混合段は、193nmレーザーの全体的な高効率及び安定性に寄与する。いくつかの好ましい実施形態では、それらの2つの周波数混合段は、100℃付近の温度にあるCLBO結晶を備えることができ、それらの2つの変換を高効率(例えば、非線形係数が約0.5〜1pmV−1であり得る)及び小さいウォークオフ角度で行うことができる。一実施形態では、CLBOにおけるタイプIIの混合は、約193nmの波長を生成するために、CLBOにおけるタイプIの混合が続く、約224nmの波長を生成する変換段で使用することができる。別の実施形態では、CLBOにおけるタイプIの混合は、約193nmの波長を生成するために、CLBOにおけるタイプIIの混合が続く、約224nmの波長を生成する変換段で使用することができる。いくつかの実施形態では、それらの2つの周波数混合段のうちの1つまたは両方は、BBO(ベータバリウムボレート)またはLBO(リチウムトリボレート)などのCLBO以外の非線形の光学的結晶を使用して行うことができる。
【0015】
本明細書に記載された約193.4nmの出力波長を生成するための改善されたレーザーは、連続波レーザー、Qスイッチ型レーザー、モードロック型レーザー、または準連続波レーザーであることができる。第8高調波レーザーと比較すると、それらの改善されたレーザーは、かなり安価であり、かつ長寿命であり、より良好な所有コストを有する。さらに、低い繰返し率のレーザーと比較すると、それらの改善されたレーザーは、関連する検査システムの照射光学素子をかなり単純化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】例示の改善された193nmのレーザーのブロック図を示す。
図1B】例示の改善された193nmのレーザーのブロック図を示す。
図1C】例示の改善された193nmのレーザーのブロック図を示す。
図1D図1A及び1Bに示された改善された193nmのレーザーについての例示の波長範囲の表を示す。
図1E図1Cに示された改善された193nmのレーザーについての例示の波長範囲の表を示す。
図2】第4高調波発生器の一実施形態を示す。
図3】周波数混合器モジュールの一実施形態を示す。
図4A】改善された193nmのレーザーで使用することができる周波数混合器の実施形態を示す。
図4B】改善された193nmのレーザーで使用することができる周波数混合器の実施形態を示す。
図5】シードレーザーが、安定化された狭帯域シードレーザー光を生成することができる例示の増幅器モジュールを示す。
図6】周波数ωのダウンコンバートされた信号を生成するように構成された例示のOPO/OPAを示す。
図7】1つのセンサに関する画像または信号の2つのチャネルを同時に検出するレチクル、フォトマスク、またはウェハ検査システムを示す。
図8】複数の対物レンズ及び上述の改善された193nmのレーザーのうちの1つを備える例示の検査システムを示す。
図9】反射屈折イメージングシステムへの直角入射レーザー暗視野照明の追加を示す。
図10A】表面の領域を検査するための照明システム及び収集システムを備える表面検査装置を示す。
図10B】表面検査装置のための収集システムの例示のアレイを示す。
図11】表面の異常を検査するために使用することができる表面検査システムを示す。
図12】直角及び斜めの照明ビームの両方を使用して異常検出を実現するために構成された検査システムを示す。
図13】検査または計測システムで上述の改善された193nmのレーザーと共に使用される例示のパルス乗算器を示す。
図14】検査または計測システムで上述の改善された193nmのレーザーと共に使用される可干渉性低減サブシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1Aは、例示の改善された193nmのレーザー100Aのブロック図を示す。レーザー100Aでは、周波数ωで動作する基本波レーザー102は、基本波光128(業界では、「基本波」と呼ばれる)を生成することができる。一実施形態では、周波数ω(基本波)は、1064nm近傍の赤外線に対応することができる。本明細書で、波長が無条件で使用されるとき、そのような波長は、光の真空波長を指すことに留意されたい。例示の基本波レーザー102は、Nd:YAG(ネオジムドープイットリウムアルミニウムガーネット)のレーザー媒体、もしくはNdドープイットリウムオルトバナデートのレーザー媒体、またはイッテルビウムドープファイバレーザによって、実現することができる。適切な基本波レーザーは、Coherent Inc.(80MHz及び120MHzの繰返し率を備えたPaladinファミリー内のモデルを含む)、Newport Corporation(Explorerファミリー内のモデルを含む)、及び他の製造業者からパルス型(Qスイッチ型またはモードロック型)またはCW(連続波)として市販されている。そのような基本波レーザーのレーザーパワーレベルは、数ミリワットから数十ワット以上の範囲であり得る。
【0018】
レーザー100Aでは、基本波128は、光パラメトリック発生器、例えば光パラメトリック発振器または光パラメトリック増幅器(OPO/OPA)116の方に向けられる。OPO/OPA116は、基本波光128の一部を周波数ωのダウンコンバートされた信号129にダウンコンバートすることができる。いくつかの好ましい実施形態では、ωに対応する波長は、約1416nm(例えば、約1330nm〜約1612nmの範囲内、約1378nm〜1461nmの範囲内、または約1413nm〜約1417nmの範囲内)である。
【0019】
いくつかの実施形態では、基本波128の一部のみが、ダウンコンバージョンプロセスで消費される。そのような実施形態では、基本波光128の未消費の部分、すなわち、未消費の基本波130は、第4高調波発生モジュール103に向けられる。モジュール103(以下でさらに詳細に説明される)は、典型的には、未消費の基本波(ω)から第4高調波(4ω)を生成するための複数の周波数変換段を備える。この第4高調波(4ω)は、周波数混合モジュール118で、ダウンコンバートされた信号129と合成され、4ωと2ωとの合計に実質的に等しい周波数を有するレーザー出力140を作成することができる。いくつかの実施形態では、レーザー出力140の出力波長は、193.368nmに実質的に等しい。他の実施形態では、出力波長は、約190nm〜200nmの間、または約192nm〜195nmの間、である。
【0020】
図1Bは、代替の改善された193nmのレーザー100Bのブロック図を示す。この実施形態では、基本波(ω)(上述のレーザーのいずれかによって生成される)は、第1の周波数増倍モジュール110に向けられ、第2高調波(2ω)を生成する。第1の周波数増倍モジュール110によって出力される未消費の基本波は、OPO/OPA116に向けることができ、それは、今度はダウンコンバートされた信号ωを生成する。上記のように、ダウンコンバートされた信号ωの波長は、約1416nm(例えば、約1330nm〜約1612nmの範囲内、約1380nm〜1416nmの範囲内、または約1413nm〜約1417nmの範囲内)である。
【0021】
第1の周波数増倍モジュール110によって生成された第2高調波(2ω)は、第2の周波数増倍モジュール112に向けられ、第4高調波(4ω)を生成する。周波数混合モジュール103は、第4高調波(4ω)とダウンコンバートされた信号(ω)とを合成し、4ωと2ωとの合計にほぼ等しい周波数を有するレーザー出力140を作成することができる。上記のように、いくつかの実施形態では、この出力波長は、193.368nmにほぼ等しい。他の実施形態では、出力波長は、約190nm〜200nmの間、または約192nm〜195nmの間、である。
【0022】
さらに別の実施形態では、基本波レーザー102によって出力される基本波(ω)は、2つの部分に分割することができる。1つの部分は、第1の周波数増倍モジュール110に向けられ、他の部分は、OPO/OPA116に向けられる(矢印109によって示される)。このように、この実施形態では、第1の周波数増倍モジュール110によって出力される未消費の基本波ωは、OPO/OPA116に向けられない。第2の周波数増倍モジュール112及びOPO/OPA116は、図1Bに示されるように、共に依然として周波数混合モジュール103に結合されている。この変更された実施形態では、前述の改善された193nmのレーザー100Bのものと実質的に同様な波長が使用され、生成される。
【0023】
図1Dは、図1A及び1Bに示された改善された193nmのレーザーについての例示の波長範囲(nm単位)の表を示す。各基本波レーザータイプについて、例示の短波長基本波及び例示の長波長基本波が、所望の出力波長(表に示された例示では、193.4nm)に必要な高調波及びダウンコンバートされた信号に対応する波長と共に、示されている。基本波レーザーの正確な波長は、レーザー媒体の正確な組成、レーザー媒体の動作温度、及び光共振器を含む多くの要因に依存する。所与のレーザー媒体の同じレーザーラインを使用する2つのレーザーは、前述の及び他の要因により、1nmまたは数nmの数十分の一だけ異なる波長で動作することができる。該当分野の当業者は、表に記載されているものに近い任意の基本波波長から所望の出力波長を生成するために、ダウンコンバートされた信号に適切な波長を選択する方法を理解するであろう。同様に、所望の出力波長が193.4nmから数nmだけ異なる場合、この所望の出力波長もまた、ダウンコンバートされた信号の波長の適切な調整によって達成することができる。
【0024】
図1Cは、改善された193nmのレーザー100Cの別の代替の実施形態を示す。この実施形態では、基本波レーザー102によって出力される基本波ωは、周波数増倍モジュール110に向けられ、第2高調波2ωを生成する。基本波ωは、上述のレーザーのいずれかによって生成することができる。周波数増倍モジュール110で消費されない基本波ωの一部及び第2高調波2ωは、次に、第3高調波3ωを生成する周波数合成器133に向けられる。
【0025】
周波数合成器133によって消費されない第2高調波2ωは、次にOPO/OPA136に向けられ、周波数ωを有するダウンコンバートされた信号132を生成する。1つの変更された実施形態(矢印140によって示される)では、第2高調波2ωの一部が周波数増倍モジュール110の出力から直接に取り出され、OPO/OPA136に向けられる(すなわち、周波数合成器133の出力から未消費の第2高調波を取り出す代わりに)。いくつかの実施形態では、ダウンコンバートされた信号132は、約850nmである(例えば、約818nm〜約918nmの範囲内、または約836nm〜867nmの範囲内、または約846nm〜約856nmの範囲内)。ωのために選択される正確な波長は、基本波レーザーの正確な波長及び所望の出力波長に依存することに留意されたい。同じタイプの異なる基本波レーザーは、異なるレーザー媒体の温度、レーザー媒体の組成のばらつき、及びレーザー共振器の設計の他の小さい差により、ナノメートルの数十分の一だけ波長が異なることがあり得る。いくつかの実施例では、改善された193nmのレーザーを使用し、193nmの数nm以内の出力波長、例えば192nm〜195nmの間、または190nm〜200nmの間、の出力波長、が可能である。
【0026】
周波数混合モジュール138は、第3高調波3ωとダウンコンバートされた信号132(ω)とを組み合わせ、3ωと2ωとの合計に実質的に等しい周波数に対応する波長のレーザー出力150を作成することができる。いくつかの実施形態では、この出力波長は、193.368nmに実質的に等しい。他の実施形態では、この出力波長は、約190nm〜200nmの間、または約192nm〜195nmの間、である。いくつかの実施形態では、周波数混合モジュール138は、3ωとωとを混合して約250nmの波長のそれら2つの周波数の合計を作成するための(ωが約1064nmの波長に対応するとき)CLBO結晶を含むことができる。いくつかの実施形態では、周波数混合モジュール138は、3ω+ωの合計とωとを混合してレーザー出力150(1つの好ましい実施形態では、約193.4nmの波長に対応する)を作成するためのBBO、KBBF(カリウムベリリウムフルオロボレート)、またはKBO(5ホウ酸カリウム4水和物)結晶をさらに含むことができる。図1Eは、図1Cに示される改善された193nmのレーザーのための例示の波長範囲(nm単位)の表を示す。図1Eは、図1A及び1Bの改善された193nmのレーザーのための図1Dに示されるものと類似の情報を示す。図1Dのための上記の詳細な説明を参照されたい。
【0027】
図2は、第4高調波発生器200の好ましい実施形態を示す。周波数ωの基本波201は、第1の周波数増倍モジュール202によって、第2高調波(2ω)202Aに変換される。第2高調波202Aは、第2の周波数増倍モジュール203によって、第4高調波(4ω)203Aに変換される。第1の周波数増倍モジュール202及び第2の周波数増倍モジュール203内で使用されない未消費の基本波202B及び未消費の第2高調波203Bは、それぞれ、それらのモジュールによって別々に出力することができる。
【0028】
第4高調波発生器200の1つの好ましい実施形態では、第2高調波発生モジュール202は、周波数変換のためのLBO結晶を含むことができる。他の実施形態では、第2高調波発生モジュール202は、周波数変換のためのCLBO、BBO、または他の非線形結晶を含むことができる。第4高調波発生器200の1つの好ましい実施形態では、第4の高調波発生モジュール203は、周波数変換のためのCLBO結晶を含むことができる。他の実施形態では、第4高調波発生モジュール203は、周波数変換のためのBBOまたは他の非線形結晶を含むことができる。
【0029】
図3は、周波数混合器モジュール300の好ましい実施形態を示す。周波数混合器モジュール300では、第1の周波数混合器302が、第4高調波(4ω)301A及びダウンコンバートされた信号(ω)301Bを受け取り、4ωとωとの合計に等しい周波数の合計周波数303Aを生成する。合計周波数303A及びωの周波数の未消費の信号303Bは、4ω+2ωの周波数のレーザー出力305を生成する第2の周波数混合器304に向けられる。いくつかの実施形態では、第1の周波数混合器302は、未消費の第4高調波303Cを第2の周波数混合器304から離れるように向ける。他の実施形態では、未消費の第4高調波303Cは、それらの実施形態では、第2の周波数混合器304の偏光特性がレーザー出力305の生成に影響をほとんどまたは全く与えないように向けられるので、第2の周波数混合器304に送ることができる。
【0030】
好ましい実施形態では、合計周波数303Aは、約224nmの波長に等価である周波数である。いくつかの実施形態では、合計周波数303Aは、223.95nmの波長に対応する周波数に実質的に等しい。他の実施形態では、合計周波数303Aは、約221nm〜約229nmの範囲内の波長に対応する周波数である。さらに他の実施形態では、合計周波数303Aは、約222nm〜約226nmの範囲内の波長に対応する周波数である。好ましい実施形態では、周波数混合器302は、周波数変換のためのCLBO結晶を含む。好ましい実施形態では、周波数混合器304は、周波数変換のためのCLBO結晶を含む。
【0031】
周波数混合モジュール138(図1C)は、その入力が、第4高調波(4ω)及び信号周波数(ω)の代わりに第3高調波(3ω)及び信号周波数(ω)であることを除いて、周波数混合モジュール300について図3で示されたものと同様な様式で実現することができる。周波数混合器302及び304で使用されるいくつかの適切な結晶は、上述されている。具体的には、周波数混合モジュール300を周波数混合モジュール138のために使用するとき、CLBOは、それが位相整合しないので、193.4nm近傍の波長を生成するために周波数混合器304で使用することができないことに留意されたい。上述のように、この場合、BBO、または別の非線形結晶を周波数混合器304で使用しなければならない。
【0032】
図1A、1B、1C、2、及び3に示された実施形態のいずれかでは、必要に応じて基本波または他の波長を向けるためにミラーを使用することができる。例えば、プリズム、ビームスプリッタ、ビームコンバイナ、及びダイクロイックコーティングされたミラーは、必要に応じて、ビームを分離し、また合成するために使用することができる。ミラー及びビームスプリッタの様々な組合せは、任意の適切なシーケンスで、異なる周波数発生器及び混合器間で様々な波長を分離し、またルーティングするために使用することができる。周波数変換結晶及びプリズムの面は、反射防止コーティングを使用せずに、入射波長の反射を最小限にする、または制御するために、ブリュースター角度にほぼまたは実質的に等しい角度で切断することができる。この切断は、UV放射線が入射する表面には特に有利であり、なぜなら、反射防止コーティングは、そのような表面で使用されている場合、UVに曝されると劣化することもあり、したがってレーザーの信頼性が低下することもあるからである。波長板または他の光学的要素は、必要に応じて波長のいずれかの偏光特性を回転して、偏光特性を次の周波数変換または周波数混合段の適切な結晶軸に整合させるために使用することができる。
【0033】
図1A、1B、及び1Cは、基本波周波数の4倍(図1Cでは、基本波周波数の3倍)に信号周波数の2倍を加えたものに実質的に等しい周波数を生成するための様々な改善されたレーザーを示し、信号周波数は、基本波からのダウンコンバージョンによって作成される(図1Cでは、第2高調波からのダウンコンバージョン)。基本波周波数の4倍に信号周波数の2倍を加えたもの、または基本波周波数の3倍に信号周波数の2倍を加えたものを生成するための上述のものと同様の他のレーザーの実施形態は、可能であり、本発明の範囲内である。
【0034】
上述の図は、構成要素の実際の物理的レイアウトを表すことを意図しない。上述の図は、プロセスに関連する主な光学的モジュールを示しているが、全ての光学的要素を示していない。該当分野の当業者は、上述の図及びそれに関連する記述から改善されたレーザーを構築する方法を理解するであろう。必要に応じて、より多くのまたはより少ないミラーまたはプリズムを使用して、光を向けることができることを理解されたい。必要に応じて、レンズ及び/または曲面ミラーを使用し、ビームウェストを非線形結晶の内部または近傍の実質的に円形または楕円形の断面の焦点に、集束させることができる。必要に応じて、プリズム、格子、または回折光学的要素を使用し、各周波数変換器または混合器モジュールの出力の異なる波長を操縦する、または分離することができる。必要に応じて、プリズム、コーティングされたミラー、または他の要素を使用し、周波数変換器及び混合器への入力の異なる波長を合成することができる。ビームスプリッタ、またはコーティングされたミラーを必要に応じて使用し、1つの波長を2つのビームに分割することができる。フィルターを使用し、任意の段の出力の不必要な波長を阻止することができる。必要に応じて、波長板を使用し、偏光特性を回転させることができる。必要に応じて、他の光学的要素を使用することができる。2012年5月17日に出願され、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第13/293,485号、名称「高損傷閾値周波数変換システム」は、UV波長を生成する周波数変換段での使用に特に適する様々な光学的要素を記載する。いくつかの場合では、未消費の光が、次の段で光が必要とされていない場合でも、1つの周波数変換段から次の段に通過することを可能にすることは、許容され得る。これは、パワー密度が損傷の原因とならないほど十分に低い場合、かつ所望の周波数変換プロセスにほとんど干渉しない場合(例えば、結晶角度で位相整合しない理由で、または光の偏光特性により)、許容され得る。適切な技術分野の当業者は、改善されたレーザーの実現形態で可能である様々なトレードオフ及び代替物を理解するであろう。
【0035】
好ましい実施形態では、第2高調波を生成する第1の周波数増倍モジュール110(図1B)は、約149℃の温度で実質的に非臨界位相整合して約532nmの光を生成するリチウムトリボレート(LBO)結晶を含むことができる。別の実施形態では、第4高調波を生成する第2の周波数増倍モジュール112(図1B)及び周波数混合器302及び304(図3)は、セシウムリチウムボレート(CLBO)、ベータバリウムボレート(BBO)、LBO、または他の非線形結晶で、臨界位相整合を使用することができる。好ましい実施形態では、第2の周波数混合器304は、約100℃の温度において、高いDeff(約0.5〜1pm/V)及び低ウォークオフ角(約35mrad未満)で、臨界位相整合されるCLBO結晶を含む。この温度は、CLBO結晶による水の吸収を最小限にするので、使用するために便利な温度である。しかしながら、入射光に対する結晶の角度を適切に調整することにより、より高い及びより低い温度を使用することができる。いくつかの実施形態では、第2の周波数混合器304は、CLBOと比較して、より大きいウォークオフ角(約100mrad)及びより大きいDeff(約1〜2pm/V)を有するBBOを含む。好ましい実施形態では、周波数混合器302は、約100℃の温度において、高いDeff(約0.8pm/V)及び低ウォークオフ角(約40mrad未満)で、臨界位相整合されるCLBO結晶を含む。その場合、第2の周波数混合器304は、CLBOと比較して、より大きいウォークオフ角(約96mrad)及びより大きいDeff(約1〜2pm/V)を有するBBOを含むことができる。
【0036】
周波数増倍モジュール112及び周波数混合器302及び304は、Dribinskiらによって、2012年3月5日に出願された同時係属中の米国特許出願第13/412,564号、名称「高品質の安定した出力ビームを有するレーザー、及び長寿命の高変換効率非線形結晶」で開示された方法及びシステムのいくつか、または全てを有利に使用することができる。米国特許出願第13/412,564号は、2011年7月22日に出願された米国特許仮出願第61/510,633号、名称「高品質の安定した出力ビームを有するモードロック型UVレーザー、長寿命の高変換効率非線形結晶、及びモードロック型レーザーを使用するウェハ検査システム」の優先権を主張する。これらの特許出願の両方は、参照により本明細書に完全に記載されているかのように組み込まれる。
【0037】
高調波生成段(周波数増倍モジュール110及び112によって行われるものなど)及び周波数混合段(周波数混合器302及び304によって行われるものなど)のいずれも、J.Joseph Armstrongによって、2009年7月2日に公開された、PCT国際公開特許出願WO2009/082460、名称「光学的結晶の環境を制御するためのエンクロージャ」に記載されたもののような1つ以上の保護環境を備えることができる。このPCT公開は、参照により本明細書に完全に記載されているかのように組み込まれる。単一の保護環境は、複数の段または単一の段を囲むことができることに留意されたい。
【0038】
高調波発生器(例えば、周波数増倍モジュール110及び112)のいずれも、水素アニール処理された非線形結晶を有利に使用することができることにさらに留意されたい。このような結晶は、Chuangらによって、2011年10月7日に出願された米国特許仮出願第61/544,425号、及びChuangらによって、2012年6月1日に出願された同時係属中の米国特許出願第13/488,635号に記載されているように処理することができる。これらの出願は、参照により本明細書に記載されているかのように組み込まれる。水素アニール処理された結晶は、周波数増倍器112及び203と、周波数混合器302及び304と、を含む深UV波長を伴うそれらの段で、特に有用であり得る。
【0039】
図4A及び4Bは、上述の改善されたレーザーで使用することができる周波数混合器のいくつかの好ましい実施形態を示す。図4Aは、タイプIIの混合が最初の周波数混合段で使用され、タイプIの混合が最終の周波数混合段で使用される周波数混合器400Aの一実施形態を示す。典型的には、3波混合は、複屈折結晶材料(すなわち、屈折率が通過する光の偏光特性及び方向に依存する)で行われ、フィールドの偏光特性及び結晶の配向は、位相整合条件が達成されるように選択される。典型的には、複屈折結晶は、3つの軸を有し、そのうちの1つまたは2つが他のもの(複数可)と異なる屈折率を有する。例えば、一軸性結晶は、単一の異常軸(e)と、2つの通常軸(o)を有する。2つの入力周波数が同じ偏光特性(通常、結晶のo軸に平行)を有する場合、位相整合は「タイプIの位相整合」と呼ばれ、それらの偏光特性が垂直の場合、それは「タイプIIの位相整合」と呼ばれる。しかしながら、どの周波数が結晶軸に対してどんな偏光特性を有しているかをさらに指定する他の慣例が存在する。
【0040】
最初の周波数混合段は、CLBOなどの非線形結晶402を含む。第4高調波及び信号波長は、方向410にほぼ同一線上で結晶402に入り、この結晶の内部または近傍でビームウェストに集束される(ビームウェストは図示せず)。信号波長は、矢印420によって示される方向にその電界ベクトルで偏光される。第4高調波は、信号波長に対して実質的に垂直に偏光される。非線形結晶402の異常軸(e)は、矢印425によって示されるように、方向420に対して実質的に平行に向けられる。非線形結晶402の通常軸は、方向420に実質的に垂直に向けられる。結晶402のo軸は、位相整合を達成するために、結晶内の光の伝播方向に対してある角度で回転される。1416nm近傍の信号波長及び266nm近傍の第4高調波波長を使用する約100℃の温度におけるCLBO内のタイプIIの整合の場合には、この角度は約58.9°であり、同じ波長を使用する約100℃におけるBBOの場合には、この角度は約45.7°である。適切な分野の当業者は、位相整合を達成するために、温度及び角度の異なる組合せを選択する方法を理解する。
【0041】
いくつかの実施形態では、結晶402の入力表面442は、第4高調波(すなわち、方向410)に対してほぼブリュースター角度となるように切断される。この角度は、入力表面442上に一切の反射防止コーティングを必要とせずに、第4高調波の波長の反射を最小限にする。いくつかの実施形態では、入力表面442は、第4高調波及び/または信号波長の反射される光を減少させる反射防止コーティングを有することができる。結晶402の出力表面452は、コーティングされてもコーティングされなくてもよい。コーティングしないことの利点は、コーティングは、強いUV放射線に曝されたときに、短い寿命を有することができることである。
【0042】
結晶402からの出力光412は、光学素子403によって、非線形結晶404を含む最終の周波数混合段に向けられる。3つの波長、すなわち、信号波長、第4高調波の波長、及び信号と第4高調波との合計の波長、が結晶402を出射する。小さいウォークオフ角により、これらの3つの角度は、正確にではないが、ほぼ同一直線上で移動する。光学素子403は、レンズ、ミラー、プリズム、ビームスプリッタ、及び/または他の光学的要素を備えることができる。光学素子403は、結晶404の内部、または近傍で、ビームウェストを再集束させることができる。いくつかの実施形態では、光学素子403は、波長が結晶404に入るとき、より同一直線上になるように、ウォークオフをおおよそ補償することができる。いくつかの実施形態では、光学素子403は、いずれの未消費の第4高調波を分離することができる。光学素子403の他の実施形態は、偏光特性方向421に対して垂直に偏光され、それにより、結晶404内で位相整合されないので、未消費の第4高調波を分離しないこともあり得る。偏光特性方向421は、信号波長、及び信号と第4高調波波長との合計の波長、の両方の電場の方向である。偏光特性方向421は、入力信号波長の偏光特性方向420に対して実質的に平行である。いくつかの実施形態では、光学素子403は、異なる波長のパルスを異なる時間の量だけ相対的に遅延させ、その結果、それらは、結晶404内部で実質的に同時に到着する。他の実施形態では、パルスが十分に長く、その結果、波長依存遅延を光学素子403内に組み込まないで、パルスが結晶404内部で重畳する。いくつかの実施形態では、光学素子403を省略することができる。全ての波長のレイリー範囲が十分に長く、さらにウォークオフがビーム直径に対して十分に小さく、かつパルス長さが十分に長くて両方の結晶内部で異なる波長が実質的重畳するという条件で、効率的混合が、再集束させることなく、結晶402及び403の両方で起こる場合、光学素子403を省略することができる。光学素子403は、コーティングされてもコーティングされなくてもよい。
【0043】
結晶404は、信号と第4高調波との合計に対応する波長に対してほぼブリュースター角度で向けられた入力表面444を有することができる。このような実施形態では、表面444は、コーティングしないことが可能であり、これは、高強度のUV放射線による損傷に対する感受性が減少する利点を有する。他の実施形態では、表面444は、反射防止コーティングを有することができる。いくつかの実施形態では、表面444は、出力光412に対して実質的に垂直であり得る。結晶404は、そのo軸を含む面が偏光特性方向421を含む面及び結晶402から来る出力光412の方向に対して実質的に平行であるように、向けられる。結晶404のe軸は、偏光特性方向421に対して実質的に垂直である。結晶404の1つのo軸は、位相整合を達成するように、出力光412の方向に対してある角度に回転される。約1416nm及び224nmの波長を使用する約100℃におけるCLBO内でのタイプIの整合の場合、この角度は約65.4°である。同様の波長で約100℃におけるBBOの場合、この角度は約50.0°である。いくつかの実施形態では、出力表面454は、出力波長の透過を最大限にするためにレーザーの出力波長に対しておおよそブリュースター角度で向けられる。前述の実施形態では、出力波長の偏光特性方向は、偏光特性方向421に対して垂直である。
【0044】
好ましい実施形態は、光学素子405を使用し、所望の出力波長、すなわちレーザー出力450を他の不必要な波長451から分離することができる。光学素子405は、ビームスプリッタ、プリズム、格子、または他の光学的要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、結晶404の出力表面454のウォークオフと角度との組合せは、光学素子405を必要とせずに、レーザー出力450を他の波長から十分に分離することを達成することができる。
【0045】
図4Bは、タイプIの混合が最初の周波数混合段で使用され、タイプIIの混合が最終の周波数混合段で使用される周波数混合器400Bの代替の実施形態を示す。最初の周波数混合段は、CLBOなどの非線形結晶402’を含む。第4高調波(4ω)及び信号(ω)波長は、方向410’に沿ってほぼ同一直線上で結晶402’に入り、結晶402’の内部または近傍のビームウェストに集束される(ビームウェストは図示せず)。この実施形態では、信号波長及び第4高調波の両方が、矢印420’によって示される方向で互いに実質的に平行であるそれらの電場ベクトルで偏光される。結晶402’のo軸を含む面は、方向420’を含む面と、結晶402’内の光の伝播の方向と、に対して平行である。結晶402’のe軸は、図4Bのページの面に対して垂直である。結晶402’のo軸は、位相整合を達成するように、結晶402’内の光の伝播の方向に対してある角度で回転される。1416nm近傍の信号波長及び266nm近傍の第4高調波波長を使用する約100℃の温度におけるCLBO内のタイプIの整合の場合、この角度は約53.5°である。同様な波長で約100℃におけるBBOの場合、この角度は約42.4°である。適切な分野の当業者は、位相整合を達成するために、温度及び角度の異なる組合せを選択する方法を理解する。
【0046】
いくつかの実施形態では、結晶402’の入力表面442’は、第4高調波波長のための方向410’に対しておおよそブリュースター角度であるように切断される。この角度は、入力表面422’上に一切の反射防止コーティングを必要とせずに、第4高調波波長の反射を最小限にする。いくつかの実施形態では、入力表面442’は、第4高調波及び/または信号波長の反射される光を減少させるための反射防止コーティングを有することができる。結晶402’の出力表面452’は、コーティングされてもよく、コーティングされなくともよい。コーティングしないことの利点は、コーティングは、強いUV放射線に曝されると短い寿命を有することができることである。
【0047】
結晶402’からの出力光412’は、光学素子403’によって、非線形結晶404’を含む最終の周波数混合段に向けられる。光学素子403’は、図4Aを参照して上述した光学素子403と同じ機能を行う。光学素子403’は、光学素子403について説明したものと同様な要素で実現することができる。周波数混合器400Bのいくつかの実施形態は、光学素子403’を省略することができる。
【0048】
方向421’は、信号及び任意の未消費の第4高調波の両方の電場の方向である。方向421’は、信号波長の方向420’に対して実質的に平行である。信号と第4高調波との合計に対応する波長の光は、方向421’に対して垂直に偏光される。
【0049】
周波数混合器400Bでは、結晶404’は、信号と第4高調波との合計に対応する波長に対しておおよそブリュースター角度で向けられた入力表面444’を有することができる。そのような実施形態では、表面444’は、コーティングしないことが可能であり、これは、高強度のUV放射線による損傷に対する感受性が減少する利点を有する。他の実施形態では、表面444’は、反射防止コーティングを有することができる。いくつかの実施形態では、表面444’は、光412に対して実質的に垂直であり得る。結晶404’は、そのo軸を含む面が方向421’に対して実質的に垂直であり、そのe軸が方向421’に対して実質的に平行であるように、向けられる。結晶404’のo軸は、位相整合を達成するように、結晶404’の内部の光の伝播の方向に対してある角度だけ回転される。約1416nm及び224nmの波長を使用する約100℃におけるCLBO内のタイプIIの整合の場合、この角度は約72.7°であり、同様の波長で約100℃におけるBBOの場合、この角度は約53.1°である。いくつかの実施形態では、結晶404’の出力表面454’は、出力波長の透過を最大限にするために、レーザーの出力波長に対しておおよそブリュースター角度で向けられる。周波数混合器400Bでは、レーザー出力450’の偏光特性方向は、方向421’に対して垂直である。
【0050】
周波数混合器400Bのいくつかの好ましい実施形態は、光学素子405’を使用し、レーザー出力450’を他の不必要な波長451’から分離する。光学素子405’は、ビームスプリッタ、プリズム、格子、または他の光学的要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、結晶404’の出力表面454’のウォークオフ及び角度の組合せは、光学素子405’を必要とせずに、レーザー出力450’を不必要な波長451’から十分に分離することを達成することができる。
【0051】
周波数混合器400A及び400Bの好ましい実施形態では、入力される第4高調波のかなりの部分、またはほとんど全てが、信号波長でのハイパワーの使用により、結晶402/402’内で消費される。いくつかの好ましい実施形態は、信号に十分にハイパワーのレベルを使用し、その結果、結晶402/402’内で作成される合計に信号周波数を加えたもののかなりの部分、またはほとんど全てが、結晶404/404’内で消費される。
【0052】
CLBO結晶が、最終の2つの混合段で使用されるとき(すなわち、周波数混合気400Aの402及び404、または周波数混合器400Bの402’及び404’)、タイプIIの混合に続いてタイプIの混合を使用する図4Aの実施形態は、最初の混合段について非線形係数が同様であるのに対して、最終の混合について約2倍の非線形係数(約0.5pm/Vと比較して約1pm/V)を有するという利点を有する。
【0053】
BBO結晶は、最初及び最終の段の両方で使用されるとき、タイプIの変換が、両方の混合段についてタイプIIの約2倍程度以上より効率的であるので、図4A図4Bの実施形態の間の効率の差は、小さい。
【0054】
いくつかの実施形態では、約1064nmの基本波波長で十分なパワーを生成するために、1つ以上の増幅器を使用して基本波のパワーを増加させることができる。2つ以上の増幅器が使用される場合、好ましくは、1つのシードレーザーが全ての増幅器にシーディングし、それらが全て同じ波長を出力し、レーザーパルスが同期されるように、使用されるべきである。図5は、シードレーザー503が、所望の基本波波長(例えば、約1064nm)の安定化された狭帯域シードレーザー光504を生成することができる例示の増幅器モジュール500を示す。いくつかの実施形態では、シードレーザー503は、NdドープYAGレーザー、Ndドープイットリウムオルトバナデートレーザー、ファイバーレーザー、または安定化ダイオードレーザーのうちの1つである。シード光504は、光をより高いパワーレベルに増幅する第1の増幅器507に進む。いくつかの実施形態では、第1の増幅器507は、NdドープYAGまたはNdドープイットリウムオルトバナデートを含む。一実施形態では、増幅器ポンプ505は、第1の増幅器507をポンピングすることができるレーザーを備える。いくつかの実施形態では、このポンピングは、約808nmの波長で、または約888nmの波長で、動作する1つ以上のダイオードレーザーを使用して行うことができる。他の実施形態では、第1の増幅器507は、Ybドープファイバー増幅器を含むことができる。
【0055】
図5はまた、増幅器モジュール500のいくつかの実施形態で使用することができる例示の追加の構成要素を示す。OPO/OPA116、周波数増倍モジュール110、及び周波数合成器133(図1A、1B、1C)は、193.4nm近傍の波長が必要される出力パワーに依存する基本波レーザー波長を入力として受け取るので、必要とされる帯域幅、安定性、及びビーム品質で単一の増幅器によって便利に生成することができるさらなる基本波レーザー波長が必要とされ得る。実際には、光増幅器のパワー出力を増加させることにより、帯域幅の増加、熱レンズまたは他の影響によるビーム品質の劣化、安定性の低下、及び/または寿命の短縮をもたらす可能性がある。
【0056】
したがって、増幅器モジュール500のいくつかの実施形態では、第1の増幅器507及び追加の第2の増幅器517を使用し、異なる周波数変換段に向けられる2つの基本波レーザー出力128及び528をそれぞれ生成することができる。第2の増幅器517は、第1の増幅器507と実質的の同一であり得る。一実施形態では、増幅器ポンプ515は、第2の増幅器517をポンピングすることができるレーザーを備える。増幅器ポンプ515は、増幅器ポンプ505と実質的に同一であり得る。とりわけ、出力128及び528が同じ波長であり、かつ同期することを保証するために、同じシードレーザー503を使用して両方のレーザーにシーディングすることができる。ビームスプリッタ511及びミラー512は、シード光504を分割し、その一部を第2の増幅器517に向けることができる。
【0057】
図6は、周波数ωのダウンコンバートされた信号を生成するように構成された例示のOPO/OPA600を示す。この実施形態では、ビーム合成器611は、基本波波長の入力レーザー光600(基本波周波数ωに対応する波長)とシードレーザー603によって生成されたダウンコンバートされた信号周波数ωに対応する波長のシードレーザー光604とを合成する。
【0058】
ビーム合成器611は、第1の波長を効率的に反射し、一方第2の波長を透過するダイクロイックコーティングを備えることができる(例えば、ビーム合成器611は、示されるように基本波を反射し、シードレーザー光を透過することができ、示されていないが、その逆も可能である)。ビーム合成器後、第1及び第2の波長は、周期的にポーリングされるニオブ酸リチウム、酸化マグネシウムドープニオブ酸リチウム、KTP、または他の適切な非線形結晶材料を含むことができる非線形変換器607を介して、実質的に同一直線上で移動する。
【0059】
いくつかの好ましい実施形態では、ダイオードレーザーまたは低出力ファイバーレーザーなどのシードレーザー603は、約1416nm(約1330nm〜約1612nmの範囲内、または約1378nm〜1461nmの範囲内、または約1413nm〜約1417nmの範囲内など)の波長を有するシードレーザー光604を生成し、それは、次に所望の周波数ωのダウンコンバージョンプロセスをシーディングするために使用される。シードレーザー603は、約1mW、数mW、または数十mWのパワーのみを必要とする。いくつかの好ましい実施形態では、シードレーザー603は、例えば格子を使用することと、温度を安定化することと、によって安定化される。シードレーザー603は、望ましくは偏光した光を生成するべきであり、それは、次に基本波、すなわち入力レーザー光602の偏光特性に対して実質的に垂直に偏光された非線形変換器607に導入される。いくつかの実施形態では、非線形結晶は、自然放出に基づくレーザー/増幅器を作成するために、非線形変換器607の共振空洞内に収容することができる。
【0060】
この実施形態では、ビームスプリッタ621(または、他の実施形態ではプリズム)は、波長ωのダウンコンバートされた信号129を未消費の基本波623から分離することができる。他の実施形態(図示せず)では、未消費の基本波623は、入力レーザー光602の次に到来するレーザーパルスに整合するように時間遅延を伴って非線形変換器607の入力に戻し、再循環することができる。OPO/OPA136(図1C)は、入力レーザー光602が、基本波(ω)ではなく、第2高調波(2ω)であることを除いて、図6に示されたものと同様な構成で実現することができる。
【0061】
準CWレーザーは、約50MHzで動作するモードロック型レーザーなど高繰返し率レーザー、または基本波レーザー102のためのより高い繰返し率を使用して、構築することができる。真のCWレーザーは、基本波レーザー102のためのCWレーザーを使用して構築することができる。CWレーザーは、十分なパワー密度を構築して効率的な周波数変換を得るために、周波数変換段の1つ以上が共振空洞内に収容されることを必要とすることができる。
【0062】
一実施形態では、1030nm近傍の基本波波長は、約1064nmの基本波の代わりに使用することができる。このような波長は、YbドープYAG結晶またはYbドープファイバーの利得媒体を使用するレーザーによって生成することができる。1030nmの基本波波長を用いると、約1552.8nmのOPO信号の波長は、193.368nm近傍の最終の出力波長を生成する。上記と実質的に同様な周波数変換方式を使用し、第2高調波(515nm近傍)、第4高調波(257.5nm近傍)、信号(ω)と第4高調波との合計(220.9nm近傍)を生成することができる。BBOまたはCLBOは、UV周波数変換及び混合段に使用することができる。他の非線形結晶もまた、周波数変換または混合段の一部に好適であり得る。
【0063】
さらに別の実施形態では、1047nm近傍または1053nm近傍の基本波波長は、約1064nmの基本波の代わりに使用される。1047nm近傍または1053nm近傍で動作するレーザーは、例えばNd:YLF(ネオジムドープイットリウムフッ化リチウム)に基づくことができる。適切な信号波長は、所望のレーザー出力波長を達成するように選択することができる。例えば、約1480nmの波長を有する信号周波数ωは、1047nm近傍の基本波から193.4nm近傍の4ω+2ωのレーザー出力を生成することができる。あるいは、約1457nmの波長に対応する信号周波数は、1053nm近傍の基本波と共に使用し、同様のレーザー出力を生成することができる。
【0064】
さらに別の実施形態では、1030nm、1047nm、または1053nm近傍の基本波レーザー波長は、3ω+2ωを使用して約193.4nmの出力波長を生成することができ、ωは、それぞれ約885nm、867nm、または861nmである。
【0065】
改善された193nmのレーザーは、例えば第8高調波生成(概してより多くの周波数変換段を必要とする)よりも複雑でなく、かつより効率的であり、また2つの異なる基本波波長を合成するものよりもかなり複雑でない。したがって、上述の改善された193nmのレーザーは、フォトマスク、レチクル、またはウェハ検査時に、多くのシステム利点を提供することができる。
【0066】
この改善された193nmのレーザーは、2013年3月12日にChuangらによって出願された米国特許出願第13/797,939号(P3913)のレーザーと比較していくつかの利点を有する。第1の利点は、改善された193nmのレーザーの最終の周波数変換段が、所与の基本波パワーからより高い出力パワーを、またはより低いパワーの基本波から同じ出力パワーを、生成する点でより効率的であるということである。第2の利点は、1.4μmまたは1.5μm近傍で動作する光学的構成要素及びテスト機器は、波長が2.1μm近傍のものよりも容易に入手可能であるということである。第3の利点は、1.4μmまたは1.5μm近傍の信号波長の場合、アイドラと比較してかなり多くのエネルギーが信号に入り、これにより、出力パワーへの基本波パワーのより効率的な変換が得られる(パワーのほぼ等量が信号及びアイドラに行くことになる2.1μm近傍の信号波長と比較すると)ということである。第4の利点は、1.4μm近傍または1.5μm近傍の信号波長は、いずれの水または−OHの吸収ピークに近接しないので、結晶のいずれかの内部の、または光路の内部の、少量の水分をより大幅に許容できることをもたらすということである。第6の利点は、最終の周波数混合段(例えば、周波数混合モジュール103、図1A)は、3つの入力波長(すなわち、第4高調波、基本波、及び信号)の代わりに2つのみの入力波長(すなわち、第4高調波、及び信号)を使用するということである。同じ利点の多くが、第3高調波を波長が約800nm〜900nmの間の信号波長に合成する改善された193nmのレーザー(図1C)に適用されることに留意されたい。
【0067】
波長が1064nm、1053nm、1047nm、及び1030nm近傍で動作する基本波レーザーは、モードロック型、Qスイッチ型、準CW、及びCWレーザーを含めて、異なるパワーレベル及び繰返し率の範囲で容易に入手可能である。改善された193nmのレーザーは、1MHzより高い繰返し率で動作することができ、これは、高速の検査用途にとって重要である。50MHzより高い繰返し率で動作するモードロック型または準CW基本波レーザーの使用は、同じパワーのより低い繰返し率のレーザーと比較すると、高速の画像収集が可能となり、各パルスのピークパワーを減少させる(それにより、光学素子及び検査対象の物品に対する損傷が少なくなる)ので、半導体ウェハ、フォトマスク、及びレチクルの高速検査には特に有用である。上述の実施形態は、193.3nmのレーザー出力を生成するために様々な基本波波長を使用することを記述しているが、193.3nmの数ナノメートルの以内の他の波長は、信号波長の適切な選択を使用して生成することができる。そのようなレーザー及びそのようなレーザーを利用するシステムは、本発明の範囲内である。
【0068】
図7〜14は、上述の改善された193nmのレーザーのうちの1つを備えることができるシステムを示す。これらのシステムは、フォトマスク、レチクル、またはウェハの検査及び計測用途で使用することができる。
【0069】
図7は、1つのセンサ770上の画像または信号の2つのチャネルと同時に検出するレチクル、フォトマスク、またはウェハの検査システム700を示す。照明源709は、本明細書に記載されたような改善された193nmのレーザーを組み込む。光源は、パルス乗算器及び/または可干渉性低減スキームをさらに備える。2つのチャネルは、検査対象730が透明(例えば、レチクルまたはフォトマスク)のとき、反射された及び透過された強度を含むことができる、または入射角度、偏光特性状態、波長範囲、またはそれらのいくつかの組合せなどの2つの異なる照明モードを含むことができる。
【0070】
図7に示されるように、照明中継光学素子715及び720は、照明源709から検査対象730へ照明を中継する。検査対象730は、検査対象となるレチクル、フォトマスク、半導体ウェハ、または他の物品であり得る。画像中継光学素子740、755、及び760は、検査対象730によって反射された、及び/または透過された光をセンサ770に中継する。2つのチャネルで検出される信号または画像に対応するデータは、データ780として示され、処理のためにコンピュータ(図示せず)に送信される。
【0071】
レチクルまたはフォトマスクからの透過された及び反射された光を計測するように構成することができるレチクルまたはフォトマスクの検査システムの実施形態の他の詳細は、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第7,352,457号及び同第7,528,943号に記載されている。改善された193nmのレーザーを組み込むことができるレチクル及びフォトマスクの検査システムについてのその他の詳細は、参照によってその両方が本明細書に組み込まれる米国特許第7,528,943号と同第5,563,702号によって提供される。
【0072】
図8は、複数の対象と、上述の改善された193nmのレーザーのうちの1つと、を備える例示の検査システム800を示す。システム800では、レーザー源801からの照明は、照明サブシステムの複数のセクションに送られる。照明サブシステムの第1のセクションは、要素802a〜806aを備える。レンズ802aは、レーザー源801からの光を集束させる。レンズ802aからの光は、次にミラー803aで反射される。ミラー803aは、照明の目的のためにこの位置に置かれるが、他の位置に配置することもできる。ミラー803aからの光は、次に照明瞳面805aを形成するレンズ804aによって収集される。検査モードの要件に依存して、光を変調させるための開口部、フィルター、または他のデバイスを、瞳面805a内に置くことができる。瞳面805aからの光は、次にレンズ806aを通過し、照明フィールド面807を形成する。
【0073】
照明サブシステムの第2のセクションは、要素802b〜806bを備える。レンズ802bは、レーザー源801からの光を集束させる。レンズ802bからの光は、次にミラー803bで反射される。ミラー803bからの光は、照明瞳面805bを形成するレンズ804bによって収集される。検査モードの要件に依存して、光を変調するための開口部、フィルター、または他のデバイスを瞳面805bに置くことができる。瞳面805bからの光は、次にレンズ806bを通過し、照明フィールド面807を形成する。第2のセクションからの光は、次に、照明フィールド面807における照明フィールド光エネルギーが組み合わせられた照明セクションからなるように、ミラーまたは反射表面によって方向が変えられる。
【0074】
フィールド面光は、次に、ビームスプリッタ810で反射される前に、レンズ809によって収集される。レンズ806a及び809は、対物瞳面811に第1の照明瞳面805aの画像を形成する。同様に、レンズ806b及び809は、対物瞳面811に第2の照明瞳面805bの画像を形成する。対物レンズ812(または、あるいは813)は、瞳光を受け取り、サンプル814に照明フィールド807の画像を形成する。対物レンズ812または対物レンズ813は、サンプル814の近くに配置することができる。サンプル814は、サンプルを所望の位置に配置するステージ(図示なし)で移動することができる。サンプル814から反射された、及び散乱された光は、高NAの反射屈折対物レンズ812または対物レンズ813によって収集される。対物瞳面811に反射された光瞳を形成後、光エネルギーは、イメージングサブシステム内に内部フィールド816を形成する前に、ビームスプリッタ810及びレンズ815を通過する。この内部イメージングフィールドは、サンプル814及びそれに対応する照明フィールド807の画像である。このフィールドは、照明フィールドに対応する複数のフィールドに空間的に分離される。これらのフィールドの各々は、分離したイメージングモードをサポートすることができる。例えば、1つのイメージングモードは、明視野イメージングモードであり得るが、別のものは、暗視野イメージングモードであり得る。
【0075】
これらのフィールドの1つは、ミラー817を使用して方向を変えることができる。方向を変えられた光は、次に、別のイメージング瞳819bを形成する前に、レンズ818bを通過する。このイメージング瞳は、瞳811及びそれに対応する照明瞳805bの画像である。検査モードの要件に依存して、光を変調するための開口部、フィルター、または他のデバイスは、瞳面819bに置くことができる。瞳面819bからの光は、次にレンズ820bを通過し、センサ821b上に画像を形成する。同様な方式で、ミラーまたは反射表面817によって通過する光は、レンズ818aによって収集され、イメージング瞳819aを形成する。イメージング瞳819aからの光は、次に、検出器821a上に画像を形成するために、レンズ820aによって収集される。検出器821a上に結像された光は、センサ821b上に結合された光と異なるイメージングモードに使用することができる。
【0076】
システム800で用いられる照明システムは、レーザー源801、収集光学素子802〜804、瞳面805の近くに置かれるビーム成形構成要素、及び中継光学素子806及び809からなる。内部フィールド面807は、レンズ806と809との間に位置する。1つの好ましい構成では、レーザー源801は、上述の改善された193nmのレーザーのうちの1つを備えることができる。
【0077】
レーザー源801に関して、透過の2つの点または角度を有する単一の均一なブロックとして示されているが、実際にはこれは、照明の2つのチャネル、例えば、要素802a〜806aを通過する第1の周波数(例えば、193nm近傍の深UV波長)のレーザー光エネルギーなどの光エネルギーの第1のチャネルと、要素802b〜806bを通過する第2の周波数(例えば、同じレーザーからの第4高調波などの異なる高調波、または異なるレーザーからの光)のレーザー光エネルギーなどの光エネルギーの第2のチャネルとを提供することができるレーザー源を表す。
【0078】
レーザー源801からの光エネルギーは、90度離されて放出されるように示され、要素802a〜806a及び802b〜806aは、90度の角度で向けられるが、実際には、光は、必ずしも2次元ではなく、様々な向きで放出することができ、構成要素は、示されているものと異なるように向けることができる。図8は、したがって、用いられた構成要素の単なる表現であり、示された角度または距離は、縮尺されたものでも、設計のために具体的に必要とされるものでもない。
【0079】
瞳面805a/805bの近くに置かれた要素は、開口部成形の概念を使用して現在のシステムに用いることができる。この設計を使用し、均一な照明または近似的に均一な照明、ならびに個々の点照明、リング照明、4重極照明、または他の所望のパターンを、実現することができる。
【0080】
対物レンズのための様々な実施形態は、一般的なイメージングサブシステム内で用いることができる。単一の固定された対物レンズを使用することができる。単一の対物レンズは、全ての所望のイメージング及び検査モードをサポートすることができる。このような設計は、イメージングシステムが比較的大きなフィールドサイズ及び比較的高い開口数をサポートする場合、達成可能である。開口数は、瞳面805a、805b、819a、及び819bに置かれる内部開口部を使用することにより、所望の値まで縮小することができる。
【0081】
複数の対物レンズはまた、図8に示されるように使用することができる。例えば、2つの対物レンズ812及び813が示されているが、任意の数が可能である。そのような設計における各対物レンズは、レーザー源801によって生成される各波長に対して最適化することができる。これらの対物レンズ812及び813は、固定された位置を持つことができるか、サンプル814に近接する位置に移動することができるか、のいずれかである。複数の対物レンズをサンプルの近接に移動するために、標準的な顕微鏡に共通であるように、回転式タレットを使用することができる。サンプルの近接に対物レンズを移動するための他の設計は、限定するものではないが、ステージ上で横方向に対物レンズを平行移動させることと、ゴニオメータを使用して円弧上で対物レンズを平行移動させることと、を含めて、利用可能である。さらに、固定された対物レンズとタレット上の複数の対物レンズの任意の組合せを、本システムに従って達成することができる。
【0082】
この構成の最大開口数は、0.97に近付くまたはそれを超えることができるが、ある場合においてはより小さくてもよい。この高NAの反射屈折イメージングシステムで可能である広範囲の照明及び収集角度は、その大きなフィールドサイズと組み合わせられて、システムが複数の検査モードを同時にサポートすることを可能にする。前の段落から理解できるように、複数のイメージングモードは、照明デバイスと関連する単一の光学的システムまたは機械を使用して実現することができる。照明及び収集について開示された高NAは、同じ光学的システムを使用してイメージングモードの実行形態を可能にし、したがって、異なるタイプの欠陥またはサンプルについてのイメージングの最適化を可能にする。
【0083】
イメージングサブシステムはまた、中間画像形成光学素子815を備える。画像形成光学素子815の目的は、サンプル814の内部画像816を形成することである。この内部画像816では、検査モードの1つに対応する光の方向を変えるように、ミラー817を置くことができる。イメージングモードのための光が空間的に分離しているので、この位置で光の方向を変えることが可能である。画像形成光学素子818(818a及び818b)及び820(820a及び820b)は、可変焦点ズーム、集束光学素子を備えた複数の無限焦点チューブレンズ、または複数画像形成マグチューブを含めて、いくつかの異なる形態で実現することができる。2009年7月16日に公開され、参照によって本明細書に組み込まれる米国公開出願第2009/0180176号は、システム800に関するさらなる詳細を記載している。
【0084】
図9は、反射屈折イメージングシステム900に直角入射レーザー暗視野照明の追加を示す。暗視野照明は、レーザー901と、照明ビームサイズ及び検査対象の表面上のプロファイルを制御するための適合化光学素子902と、機械的ハウジング904内の開口及び窓903と、光軸に沿うレーザーをサンプル908の表面への直角入射に方向を変えるプリズム905と、を備える。プリズム905はまた、サンプル908の表面特徴からの鏡面反射と、対物レンズ906の光学的表面からの反射と、を画像面909への光路に沿って向ける。対物レンズ906のためのレンズは、反射屈折対物レンズ、集束レンズ群、及びズームチューブレンズセクションの一般的な形態で設けることができる。好ましい実施形態では、レーザー901は、上述の改善された193nmのレーザーのうちの1つによって実行することができる。2007年1月4日に公開された公開米国特許出願第2007/0002465号は、参照により本明細書に組み込まれ、システム900をさらに詳細に記載する。
【0085】
図10Aは、表面1011の領域を検査するための照明システム1001と収集システム1010を備える表面検査装置1000を示す。図10Aに示されるように、レーザーシステム1020は、レンズ1003を介して光ビーム1002を向ける。好ましい実施形態では、レーザーシステム1020は、上述の改善された193nmのレーザーのうちの1つと、アニール処理された結晶と、結晶のアニール処理された状態を、湿気また他の環境的汚染物質から保護することによって、標準的な動作の間維持するためのハウジングと、を備える。第1のビーム成形光学素子は、レーザーからビームを受け取り、そのビームを結晶内の、またはその近接のビームウェストの楕円形の断面に集束させるように構成することができる。
【0086】
レンズ1003は、その主要面がサンプル表面1011に対して実質的に平行であり、その結果、照明ライン1005がレンズ1003の焦点面内の表面1011上に形成されるように、向けられる。さらに、光ビーム1002及び集束されたビーム1004は、表面1011への非直交入射角度に向けられる。具体的には、光ビーム1002及び集束されたビーム1004は、表面1011への直角方向から約1度〜約85度の間の角度に向けることができる。このように、照明ライン1005は、実質的に、集束されたビーム1004の面内にある。
【0087】
収集システム1010は、照明ライン1005から散乱された光を収集するためのレンズ1012と、レンズ1012から出る光を光感知検出器のアレイを備える電荷結合デバイス(CCD)1014などのデバイス上に集束させるためのレンズ1013と、を備える。一実施形態では、CCD1014は、検出器の線形なアレイを備えることができる。そのような場合では、CCD1014内の検出器の線形なアレイは、照明ライン1015に対して平行に向けることができる。一実施形態では、複数の収集システムを備えることができ、収集システムの各々は、方向が異なる同様な構成要素を備えることができる。
【0088】
例えば、図10Bは、表面検査装置のための収集システム1031、1032、及び1033の例示のアレイを示す(その照明システムは、例えば、簡略化のために示されていないが、照明システム1001のものと同様である)。収集システム1031内の第1の光学素子は、サンプル1011の表面から第1の方向に散乱された光を収集する。収集システム1032内の第2の光学素子は、サンプル1011の表面から第2の方向に散乱された光を収集する。収集システム1033内の第3の光学素子は、サンプル1011の表面から第3の方向に散乱された光を収集する。第1、第2、及び第3のパスは、サンプル1011の表面への異なる入射角度にあることに留意されたい。サンプル1011を支持するプラットホーム1035は、光学素子とサンプル1011との間の相対的運動を生じさせるために使用することができ、その結果、サンプル1011の表面全体を走査することができる。2009年4月28に発行された米国特許第7,525,649号は、参照により本明細書に組み込まれ、表面検査装置1000及び他の複数の収集システムをさらに詳細に記載する。
【0089】
図11は、表面1101上の異常を検査するために使用することができる表面検査システム1100を示す。この実施形態では、表面1101は、上述の改善された193nmのレーザーのうちの1つを備えるレーザーシステム1130の実質的に静止した照明デバイス部分によって照明することができる。レーザーシステム1130の出力は、偏光光学素子1121、ビーム拡張器及び開口1122、及びビーム拡張し、集束させるためのビーム形成光学素子1123を連続して通過することができる。
【0090】
集束されたレーザービーム1102は、次に、ビームフォールディング構成要素1103及びビーム偏向器1104によって反射され、表面を照明するために表面1101の方にビーム1105を向ける。好ましい実施形態では、ビーム1105は、表面1101に対して直角または垂直であるが、他の実施形態では、ビーム1105は、表面1101に対して斜めの角度であってもよい。
【0091】
一実施形態では、ビーム1105は、表面1101に対して実質的に垂直または直角であり、ビーム偏向器1104は、表面1101からのビームの鏡面反射をビーム転向構成要素1103の方に反射し、したがって、鏡面反射が検出器に到達することを防ぐシールドとして機能する。鏡面反射の方向は、サンプルの表面1101に対して直角であるラインSRに沿う。ビーム1105が表面1101に対して直角である一実施形態では、このラインSRは、照明ビーム1105の方向と一致し、この共通の基準ラインまたは方向は、本明細書では検査システム1100の軸と呼ばれる。ビーム1105が表面1101に対して斜めの角度である場合、鏡面反射SRの方向は、ビーム1105の到来方向と一致しない、このような例では、表面法線の方向を示すラインSRは、検査システム1100の収集部分の主軸と呼ばれる。
【0092】
小さい粒子によって散乱された光は、ミラー1106によって収集され、開口1107及び検出器1108の方に向けられる。大きい粒子によって散乱された光は、レンズ1109によって収集され、開口1110及び検出器1111の方に向けられる。いくつかの大きい粒子は、検出器1107へ収集されて向けられる光を散乱することもあり、同様に、いくつかの小さい粒子は、検出器1111へ収集されて向けられる光を散乱することもあるが、そのような光は、それぞれの検出器が検出するように設計された散乱された光の強度と比較すると比較的低い強度である。一実施形態では、検出器1111は、光感知要素のアレイを備えることができ、光感知要素のアレイの各光感知要素は、照明ラインの拡大された画像の対応する部分を検出するように構成される。一実施形態では、検査システムは、パターン化されていないウェハ上の欠陥の検出での使用に適するように構成することができる。Marxらによって2001年8月7日に発行された米国特許第6,271,916号は、参照により本明細書に組み込まれるが、検査システム1100をさらに詳細に記載する。
【0093】
図12は、直角及び斜めの照明ビームの両方を使用して異常検出を実現するように構成された検査システム1200を示す。この構成では、レーザーシステム1230は、上述の改善された193nmのレーザーのうちの1つを備え、レーザービーム1201を提供することができる。レンズ1202は、空間的フィルター1203を介してビーム1201を集束させ、レンズ1204は、そのビームを平行化し、偏光ビームスプリッタ1205に搬送する。ビームスプリッタ1205は、第1の偏光成分を直角照明チャネルに、かつ第2の偏光成分を斜めの照明チャネルに、通過させ、第1及び第2の成分は直交する。直角照明チャネル1206では、第1の偏光成分は、光学素子1207によって集束され、ミラー1208によってサンプル1209の表面の方に反射される。サンプル1209によって散乱された放射線は、放物面ミラー1210によって、検出器または光電子増倍管1211へ収集されて集束される。
【0094】
斜めの照明チャネル1212では、第2の偏光成分は、ビームスプリッタ1205によって、そのようなビームを、半波長板1214を介して反射するミラー1213に反射され、光学素子1215によってサンプル1209に集束される。斜めのチャネル1212内の斜めの照明ビームから発生してサンプル1209によって散乱された放射線は、放物面ミラー1210によって収集され、光電子増倍管1211に集束される。検出器または光電子増倍管1211は、ピンホールの入口を有する。そのピンホール及び照明されたスポット(直角及び斜めの照明チャネルから表面1209上に)は、好ましくは放物面ミラー1210の焦点にある。
【0095】
放物面ミラー1210は、サンプル1209からの散乱された放射線を平行化ビーム1216に平行化する。平行化ビーム1216は、次に対物レンズ1217によって、分析器1218を介して光電子増倍管1211に集束される。放物面形状以外の形状を有する湾曲した鏡面もまた、使用することができること留意されたい。機器1220は、スポットがサンプル1209の表面全体を走査するように、ビームとサンプル1209との間の相対的運動を提供することができる。Vaez−Iravaniらによって2001年3月13日に発行された米国特許第6,201,601号は、参照により本明細書に組み込まれ、検査システム1200をさらに詳細に記載する。
【0096】
図13は、検査または計測システムで、上述の改善された193nmのレーザーと共に使用される例示のパルス乗算器1300を示す。パルス乗算器1300は、改善された193nmのレーザー1310からの各入力パルス1301からパルス列を生成するように構成される。入力パルス1301は、入力パルス1301の偏光特性によって、偏光ビームスプリッタ1302に衝突し、その光の全てをレンズ1306に透過する。したがって、透過される偏光特性は、入力パルス1301の入力偏光特性に対して平行である。レンズ1306は、入力パルス1301を半波長板1305に集束させて向ける。概して、波長板は、光波の垂直偏光特性成分間で位相をシフトさせることができる。例えば、直線偏光を受け取る半波長板は、2つの波、光軸に対して平行である1つの波と、光軸に対して垂直であるもう1つの波と、を生成することができる。半波長板1305では、平行な波は、垂直な波よりも若干遅く伝播することができる。半波長板1305は、出射する光について、一方の波が他方の波に対して半波長だけ(180度)だけ正確に遅延されるように製造される。
【0097】
したがって、半波長板1305は、各入力パルス1301からパルス列を生成することができる。パルス列の正規化された振幅は、cos2θ(θは半波長板1305の角度である)、sin2θ、sin2θcos2θ、sin2θcos2θ、sin2θcos2θ、sin2θcos2θ、sin2θcos2θ、などである。とりわけ、レーザーパルスからのパルス列の総計のエネルギーは、実質的に半波長板1305を通過して保存することができる。
【0098】
半波長板1305によって生成される奇数項からのエネルギーの合計は、
(cos2θ)+(sin2θcos2θ)+(sin2θcos2θ)+(sin2θcos2θ)+(sin2θcos2θ)2+(sin2θcos2θ)+...
=cos2θ+sin2θ(cos2θ+cos2θ+cos102θ+...)
=2cos2θ/(1+cos2θ)、に等しい。
【0099】
対照的に、半波長板1305によって生成される偶数項からのエネルギーの合計は、
(sin2θ)+(sin2θcos2θ)+(sin2θcos2θ)+(sin2θcos2θ)+(sin2θcos2θ)+(sin2θcos102θ)+...
=sin2θ(1+cos2θ+cos2θ+cos122θ+...)
=sin2θ/(1+cos2θ)、に等しい。
【0100】
パルス乗算器1300の一態様によれば、半波長板1305の角度θは、奇数項の合計が偶数項の合計に等しいことを提供するように、決定することができる(以下に示されるように)。
2cos2θ=sin2θ
cos2θ=1/3
sin2θ=2/3
θ=27.4度
【0101】
半波長板1305を出射する光は、ミラー1304及び1303によって反射され、偏光ビームスプリッタ1302に戻る。したがって、偏光ビームスプリッタ1302、レンズ1306、半波長板1305、及びミラー1304及び1303は、リング空洞構成を形成する。リング空洞を通過後に偏光ビームスプリッタ1302に衝突する光は、半波長板1305によって生成される2つの偏光特性を有する。したがって、偏光ビームスプリッタ1302は、矢印1309によって示されるように、一部の光を透過し、他の光を反射する。具体的には、偏光ビームスプリッタ1302は、入力パルス1301と同じ偏光特性を有するミラー1303からの光と透過する。この透過された光は、出力パルス1307としてパルス乗算器1300を出射する。反射された光は、入力パルス1301のものに対して垂直の偏光特性を有し、リング空洞内に再導入される(簡略化のため、パルスは示されない)。
【0102】
とりわけ、これらの再導入されたパルスは、上述の方式でリング内を通過することができ、半波長板1305によってさらに部分的偏光特性の切換え後、偏光ビームスプリッタ1302によって光が分割される。したがって、概して、上述のリング空洞は、一部の光を出射させ、残りの光(いくらかの最小限の損失を伴う)がリングの周回を継続することを可能にするように構成される。リングの各通過時(追加の入力パルスの導入をせずに)、総計の光のエネルギーは、出力パルス1307としてリングを出射する光により、減少する。
【0103】
周期的に、新規の入力パルス1301がレーザー1310によってパルス除算器1300に提供される。一実施形態では、レーザーは、約125MHzの繰返し率で約0.1ナノ秒(ns)のレーザーパルスを生成することができる。リングのサイズ、したがってリングの時間遅延は、矢印1308によって示される軸に沿ってミラー1304を移動させることにより、調整することができることに留意されたい。
【0104】
リング空洞の長さは、増倍率で除算したパルス間隔から直接に計算される公称の長さよりも僅かに大きい、または僅かに小さい、ことがある。これは、偏光ビームスプリッタと正確に同じ時間に到着しないパルスをもたらし、出力パルスを僅かに広げる。例えば、入力パルスの繰返し率が125MHzのとき、空洞遅延は、2による周波数増倍の場合、公称で4nsになるであろう。一実施形態では、多重に反射されるパルスが、到来するパルスとして全く同時に到着しないように、4.05nsに対応する空洞長さを使用することができる。さらに、125MHzの入力パルス繰返し率の場合の4.05nsの空洞長さはまた、有利にパルスを広げ、かつパルス高さを減少させる。異なる入力パルス率を有する他のパルス乗算器は、異なる空洞遅延を有することができる。
【0105】
とりわけ、連携して働く偏光ビームスプリッタ1302及び半波長板1305は、リング内部を通過する各周回毎に減少する偶数及び奇数のパルスを生成する。これらの偶数及び奇数のパルスは、エネルギーエンベローブを提供するものとして特徴付けることができ、エネルギーエンベローブは、偶数のパルス列(すなわち、複数の偶数のパルス)または奇数のパルス列(すなわち、複数の奇数のパルス)からなる。パルス乗算器1300の一態様によれば、これらのエネルギーエンベローブは、実質的に等しい。
【0106】
パルス増倍のさらなる詳細は、2012年6月1日に出願され、参照によって本明細書に組み込まれる同時係属中の米国特許出願第13/487,075号、名称「レーザーパルス乗算器を使用する半導体検査及び計測システム」に見出すことができる。上記のパルス乗算器は、改善された193nmのレーザーと共に使用することができる一例示に過ぎないことに留意されたい。この改善されたレーザーと他のパルス乗算器を合成することは、本発明の範囲内である。例えば、本明細書に記載の改善された193nmのレーザーはまた、Chuangらによって2012年12月11日に出願され、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願第13/711,593号、名称「レーザーパルス乗算器を使用する半導体検査及び計測システム」に記載されているレーザーパルス乗算器のいずれかと共に使用することができる。
【0107】
図14は、本発明の実施形態に従って、検査または計測システムへの組み込みに好適であるパルス化レーザーと連携して使用されるパルス成形または可干渉性低減デバイスの態様を示す。光源1410は、本明細書に記載の改善された193nmのレーザーを備える。光源1410は、一連のパルスを含む光ビーム1412を生成する。この実施形態の一態様は、必要とされる10分の1ピコ秒の時間間隔(10分の1ピコ秒の時間間隔は、スペクトル幅の数nmに等価である)で変えることができる光ビーム1412の実質的に迅速な時間的変調を行い、その時間的変調を空間的変調に変換するために、レーザーの有限のスペクトル範囲を利用することである。
【0108】
分散要素及び電気光学変調器の使用は、スペックル低減及び/またはパルス成形のために提供する。例えば、照明サブシステムは、光の可干渉性パルスのパス内に配置された分散要素を備える。図14に示されるように、分散素子は、光の可干渉性パルスの断面に対して角度θで配設された面1414に配置することができる。図14に示されるように、光のパルスは、角度θ’及び断面寸法x’で分散要素を出射する。一実施形態では、分散要素はプリズムである。別の実施形態では、分散要素は回折格子である。分散要素は、光パルス内の光分布の空間的及び時間的特性を混合することにより、光のパルスの可干渉性を低減するように構成される。具体的には、プリズムまたは回折格子などの分散要素は、光のパルス内の光分布の空間的及び時間的特性の間を部分的に混合することを提供する。分散要素は、照明サブシステム及び計測または検査システムの光学的特性に依存して変わることができる任意の適切なプリズムまたは回折格子を備えることができる。
【0109】
照明サブシステムは、分散要素を出射する光のパルスのパス内に配置された電気光学変調器をさらに備える。例えば、図14に示されるように、照明サブシステムは、分散要素を出射する光のパルスのパス内に配置された電気光学変調器1416を備えることができる。電気光学変調器1416は、光のパルス内の光分布を時間的に変調することにより、光のパルスの可干渉性を低減するように構成される。具体的には、電気光学変調器1416は、光分布の任意の時間的変調を提供する。したがって、分散要素及び電気光学変調器1416は、光源によって生成された光パルスに併用効果を有する。具体的には、分散要素と電気光学変調器1416の併用は、任意の時間的変調を作成し、その時間的変調を出力ビーム1418の任意の空間的変調に変換する。
【0110】
一実施形態では、電気光学変調器1416は、10分の1ピコ秒の時間間隔の光のパルス内の光分布の時間的変調を変えるように構成される。別の実施形態では、電気光学変調器1416は、各期間で約10個の非周期的サンプルを提供し、それにより約10−13秒の非干渉性の時間を提供するように構成される。
【0111】
パルス成形、可干渉性、及びスペックル低減装置及び方法のさらなる詳細は、2011年11月17日に公開された同時係属中の米国公開特許出願第2011/0279819号と、2011年9月22日に公開された米国公開特許出願第2011/0228263号と、に開示されている。これらの出願の両方は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0112】
本明細書に記載の構造及び方法の様々な実施形態は、単に本発明の原理の実例であり、本発明の範囲を記載の特定の実施形態に限定することを意図しない。例えば、CLBO、LBO、またはBBOもしくは周期的にポーリングされる材料以外の非線形結晶は、周波数変換及び混合段のいくつかで使用することができる。
【0113】
一実施形態におけるレーザーは、基本波レーザーと、基本波レーザーに結合されて、第2高調波を生成する第1の周波数増倍モジュールと、第1の周波数増倍モジュールに結合されて、第4高調波を生成する第2の周波数増倍モジュールと、第1の周波数増倍モジュール及び基本波レーザーのうちの1つに結合されて、ダウンコンバートされた信号を生成する光パラメトリック発生器と、光パラメトリック発生器及び第2の周波数増倍モジュールに結合されて、第4高調波とダウンコンバートされた信号の周波数の2倍との合計に等しい周波数のレーザー出力を生成する周波数混合モジュールと、を備え、周波数混合モジュールが、2つの非線形結晶、タイプIの変換によって第4高調波とダウンコンバートされた信号の周波数との合計に等しい周波数を生成するように構成された第1の非線形結晶と、タイプII変換によって第4高調波とダウンコンバートされた信号の周波数の2倍との合計に等しい周波数を生成するように構成された第2の非線形結晶と、を備えてもよい。
【0114】
一実施形態におけるレーザーは、基本波レーザーと、基本波レーザーに結合されて、第2高調波を生成する周波数増倍モジュールと、周波数増倍モジュールに結合されて、第3高調波を生成する周波数合成器と、周波数増倍モジュール及び周波数合成器のうちの1つに結合されて、ダウンコンバートされた信号を生成する光パラメトリック発生器と、光パラメトリック発生器及び周波数合成器に結合されて、第3高調波とダウンコンバートされた信号の周波数の2倍との合計に等しい周波数のレーザー出力を生成する周波数混合モジュールと、を備えてもよい。
【0115】
一実施形態における光生成方法は、約1064nmの基本波長を生成することと、基本波長の第1の部分から第2高調波波長を生成することと、基本波長の第2の部分と、第2高調波波長の生成からの未消費の基本波長と、のうちの1つから約1416nmのダウンコンバートされた信号波長を生成することと、第2高調波波長を使用して第4高調波波長を生成することと、第4高調波波長とダウンコンバートされた信号波長を混合し、第4高調波波長にダウンコンバートされた信号波長の周波数の2倍を加えたものに等しい周波数に対応する出力波長を生成することと、を含み、上記した混合することが、タイプIの周波数合計及びタイプIIの周波数合計を含んでもよい。
【0116】
一実施形態における光生成方法は、約1064nmの基本波長を生成することと、基本波長の一部から第2高調波波長を生成することと、未消費の基本高調波波長及び第2高調波波長の第1の部分から第3高調波波長を生成することと、第2高調波波長の第2の部分及び未消費の第2高調波波長のうちの1つから約800nm〜950nmの間のダウンコンバートされた信号波長を生成することと、第3高調波波長とダウンコンバートされた信号波長とを混合し、第3高調波波長にダウンコンバートされた信号波長の周波数の2倍を加えたものに等しい周波数に対応する出力波長を生成することと、を含んでもよい。
【0117】
一実施形態における検査システムは、約193.4nmの出力波長を生成するためのレーザーを備え、レーザーが、基本波レーザーと、基本波レーザーに結合されて、第2高調波を生成する第2高調波発生器と、基本波レーザー及び第2高調波発生器に結合されて、第3高調波を生成する周波数合成器と、第2高調波発生器に結合されて、ダウンコンバートされた信号を生成する光パラメトリック発生器と、光パラメトリック発生器及び周波数合成器に結合されて、第3高調波とダウンコンバートされた信号の周波数の2倍との合計に等しい周波数のレーザー出力を生成する周波数混合モジュールと、を備えてもよい。
【0118】
一実施形態における検査システムは、約193.4nmの出力波長を生成するためのレーザーを備え、レーザーが、基本波レーザーと、基本波レーザーに結合されて、ダウンコンバートされた信号を生成する光パラメトリック発生器と、光パラメトリック発生器、または基本波レーザーに結合されて、第4高調波を生成する第4高調波発生器と、光パラメトリック発生器及び第4高調波発生器に結合されて、第4高調波とダウンコンバートされた信号の周波数の2倍との合計に等しい周波数のレーザー出力を生成する周波数混合モジュールと、を備え、周波数混合モジュールが、一方の非線形結晶がタイプIの周波数合計を行い、他方の非線形結晶がタイプIIの周波数合計を行うように構成された2つの非線形結晶を備え、検査システムが、検出器と光学素子とを更に含み、光学素子が、検出器を使用して反射及び透過の画像を同時に収集するように構成されてもよい。
【0119】
上記した検査システムは、暗視野検査システムであってもよい。また、上記した検査システムは、照射のコヒーレンスを減少させるための少なくとも1つの音響光学変調器、または電気光学変調器をさらに備えてもよい。また、上記した検査システムは、パルス繰返し率を増加させるためのパルスレート乗算器をさらに備えてもよい。また、上記した検査システムは、同じ検出器を使用して反射及び透過の画像を同時に収集するための構成要素をさらに備えてもよい。また、上記した検査システムは、検査されているターゲット上に照射されたラインを形成するための構成要素をさらに備えてもよい。また、上記した検査システムは、ターゲット上に複数の同時に照射されたスポットを形成するための構成要素をさらに備えてもよい。また、上記した検査システムの基本波レーザーが、約1064.3nm、約1053nm、約1047nm、または約1030nmの基本波長を生成してもよい。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14