特許第6790332号(P6790332)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6790332
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】電気制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20190101AFI20201116BHJP
   B60L 58/18 20190101ALI20201116BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20201116BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20201116BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   B60L3/00 S
   B60L58/18
   H01M10/48 P
   H01M10/44 P
   H02J7/00 P
   H02J7/00 Y
   H02J7/00 S
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-551961(P2019-551961)
(86)(22)【出願日】2018年10月31日
(65)【公表番号】特表2020-516216(P2020-516216A)
(43)【公表日】2020年5月28日
(86)【国際出願番号】KR2018013131
(87)【国際公開番号】WO2019098575
(87)【国際公開日】20190523
【審査請求日】2019年9月26日
(31)【優先権主張番号】15/814,665
(32)【優先日】2017年11月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ゴド、エドヴィン
【審査官】 笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−171285(JP,A)
【文献】 特開2014−046697(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/054349(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 3/00
B60L 58/18
H01M 10/44
H01M 10/48
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気制御システムであって、
第1バッテリーセルの電圧をモニターする第1スレーブICと、
第2バッテリーセルの電圧をモニターする第2スレーブICと、
相互動作可能に通信する第1マイクロコントローラ及び第2マイクロコントローラと、
前記第1スレーブIC及び第2スレーブICと前記第1マイクロコントローラとが相互動作可能に通信する通信ICと、
前記第1マイクロコントローラ及び前記第2マイクロコントローラと、第1コンタクタ及び第2コンタクタに作動可能に接続するコンタクタ制御システムと、を含み、
前記第1スレーブICは、前記通信ICによって受信され、前記第1バッテリーセルが過電圧状態を有することを示す第1メッセージを生成し、
前記通信ICは、前記第1メッセージに応じて、前記通信ICと前記第2マイクロコントローラとの間に接続したフォルトラインを、過電圧状態が検出されたことを示す第1ロジッグレベルに設定し、
前記第2マイクロコントローラは、前記第1ロジッグレベルを有する前記フォルトラインに応じて、前記過電圧状態が検出されたことを示す第2メッセージを前記第1マイクロコントローラに伝送し、
前記第1マイクロコントローラは、前記第2メッセージの受信に応じて、前記第1マイクロコントローラが前記第1コンタクタ及び前記第2コンタクタのそれぞれを開放動作状態に設定することを示す第3メッセージを、通信バス送受信機ICを介して車両制御機に伝送し、
前記第1マイクロコントローラは、前記第2メッセージの受信に応じて、前記第1コンタクタ及び前記第2コンタクタのそれぞれを前記開放動作状態に設定するように前記コンタクタ制御システムに命令するように構成された、電気制御システム。
【請求項2】
前記第1マイクロコントローラは、前記第2メッセージの受信に応じて、前記第2マイクロコントローラが前記コンタクタ制御システムに前記第1コンタクタ及び前記第2コンタクタのそれぞれを前記開放動作状態に設定するように命令する第4メッセージを前記第2マイクロコントローラに伝送する、請求項1に記載の電気制御システム。
【請求項3】
前記第2マイクロコントローラは、前記第2マイクロコントローラが第2メッセージを送信した後、予め決められた第1時間内に前記第1マイクロコントローラから前記第4メッセージを受信できない場合、前記車両制御機が前記第2マイクロコントローラ及び前記第1マイクロコントローラからメッセージを受信しないように前記通信バス送受信機ICの動作を非活性化する、請求項2に記載の電気制御システム。
【請求項4】
前記車両制御機は、前記車両制御機が予め決められた第2時間内に前記第2マイクロコントローラ及び前記第1マイクロコントローラからメッセージを受信できない場合、前記第2マイクロコントローラが前記第1コンタクタ及び前記第2コンタクタのそれぞれを前記開放動作状態に設定するように決定する、請求項3に記載の電気制御システム。
【請求項5】
前記第2マイクロコントローラは、前記第2マイクロコントローラが第2メッセージを送信した後、予め決められた第1時間内に前記第1マイクロコントローラから第4メッセージを受信できない場合、前記第1コンタクタ及び前記第2コンタクタのそれぞれを前記開放動作状態に設定するように前記コンタクタ制御システムに命令する、請求項1に記載の電気制御システム。
【請求項6】
前記第1マイクロコントローラは、前記第1コンタクタ及び前記第2コンタクタの、第1コンタクタコイル及び第2コンタクタコイルを、それぞれ非活性化することで前記第1コンタクタ及び前記第2コンタクタのそれぞれを開放動作状態に設定するように前記コンタクタ制御システムに命令する、請求項1から5のいずれか一項に記載の電気制御システム。
【請求項7】
前記第1コンタクタ及び前記第2コンタクタは、車両のパワートレインに電気的に接続する、請求項1から6のいずれか一項に記載の電気制御システム。
【請求項8】
前記第1マイクロコントローラと前記第2マイクロコントローラとの間に動作可能に接続した他の通信バスをさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の電気制御システム。
【請求項9】
前記第1スレーブICは、前記第1バッテリーセルの測定された電圧レベルを示す測定された電圧値をさらに含むように前記第1メッセージを生成し、
前記通信ICは、前記測定された電圧値をさらに含む前記第1メッセージを前記第1マイクロコントローラに伝送する、請求項1から8のいずれか一項に記載の電気制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気制御システムに関する。
【0002】
本出願は、2017年11月16日出願の米国出願第15/814,665号に基づく優先権を主張し、上記出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
電気制御システムは、バッテリーセルの電圧を測定し、バッテリーセルの充放電状態に応じてバッテリーセルの電圧を制御する装置であって、通常、車両に備えられる電気制御システムは、充放電経路を開閉するように構成された少なくとも一つのコンタクタを備え得る。
【0004】
このような、電気制御システムに備えられたコンタクタは、バッテリーセルの過電圧状態などの故障状態が検出されれば、バッテリーセルへの電流の流入を遮断するために開放される。
【0005】
従来には、一つのマイクロコントローラを用いてバッテリーセルの故障状態の検出を行うことから、故障状態の検出が正確でないという問題点があった。
【0006】
それにもかかわらず、現在までバッテリーセルの故障状態の検出を複数のマイクロコントローラを用いて行う技術についての研究が充分でない実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の発明者は、車両の少なくとも一つのバッテリーセルが過電圧状態を有するとき、車両のパワートレインに接続したコンタクタを開放するための予備マイクロコントローラを含む、改善した車両用の電気制御システムに対する必要性を認識した。
【0008】
本発明の他の目的及び長所は、下記する説明によって理解でき、本発明の実施例によってより明らかに分かるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を達成するための本発明に多様な実施例は、以下の態様である。
【0010】
本発明の一実施例による電気制御システムが提供される。電気制御システムは、第1バッテリーセルの電圧をモニターする第1スレーブICを含む。
【0011】
また、電気制御システムは、第2バッテリーセルの電圧をモニターする第2スレーブICを含む。
【0012】
また、電気制御システムは、相互動作可能に通信する第1マイクロコントローラ及び第2マイクロコントローラを含む。
【0013】
また、電気制御システムは、第1及び第2スレーブICと第1マイクロコントローラとが相互動作可能に通信する通信ICを含む。
【0014】
また、電気制御システムは、第1マイクロコントローラ及び第2マイクロコントローラと、第1コンタクタ及び第2コンタクタに作動可能に接続したコンタクタ制御システムを含む。
【0015】
第1スレーブICは、通信ICによって受信され、第1バッテリーセルが過電圧状態を有することを示す第1メッセージを生成する。
【0016】
通信ICは、第1メッセージに応じて、通信ICと第2マイクロコントローラとの間に接続したフォルトラインを、過電圧状態が検出されたことを示す第1ロジッグレベルに設定する。
【0017】
第2マイクロコントローラは、第1ロジッグレベルを有するフォルトラインに応じて、過電圧状態が検出されたことを示す第2メッセージを第1マイクロコントローラに伝送する。
【0018】
第1マイクロコントローラは、第2メッセージの受信に応じて、第1マイクロコントローラが第1及び第2コンタクタそれぞれを開放動作状態に設定することを示す第3メッセージを、通信バス送受信機ICを介して車両制御機に伝送する。
【0019】
第1マイクロコントローラは、第2メッセージの受信に応じて、第1及び第2コンタクタそれぞれを開放動作状態に設定するようにコンタクタ制御システムに命令する。
【0020】
また、第1マイクロコントローラは、第2メッセージの受信に応じて、第2マイクロコントローラがコンタクタ制御システムに第1及び第2コンタクタそれぞれを開放動作状態に設定するように命令する第4メッセージを第2マイクロコントローラに伝送する。
【0021】
また、第2マイクロコントローラは、第2マイクロコントローラが第2メッセージを送信した後、予め決められた第1時間内に第1マイクロコントローラから第4メッセージを受信できない場合、車両制御機が第2マイクロコントローラ及び第1マイクロコントローラからメッセージを受信しないように通信バス送受信機ICの動作を非活性化する。
【0022】
また、車両制御機は、車両制御機が予め決められた第2時間内に第2マイクロコントローラ及び第1マイクロコントローラからメッセージを受信できない場合、第2マイクロコントローラが第1及び第2コンタクタそれぞれを開放動作状態に設定すると決定する。
【0023】
また、第2マイクロコントローラは、第2マイクロコントローラが第2メッセージを送信した後、予め決められた第1時間内に第1マイクロコントローラから第4メッセージを受信できない場合、第1及び第2コンタクタそれぞれを開放動作状態に設定するようにコンタクタ制御システムに命令する。
【0024】
また、第1マイクロコントローラは、第1及び第2コンタクタの第1及び第2コンタクタコイルをそれぞれ非活性化することで第1及び第2コンタクタそれぞれを開放動作状態に設定するようにコンタクタ制御システムに命令する。
【0025】
また、第1及び第2コンタクタは、車両のパワートレインに電気的に接続する。
【0026】
また、本発明の一実施例による電気制御システムは、第1マイクロコントローラと第2マイクロコントローラとの間に動作可能に接続した他の通信バスをさらに含む。
【0027】
また、第1スレーブICは、通信ICによって受信され、第1バッテリーセルの測定された電圧レベルを示す、測定された電圧値を有する第4メッセージをさらに生成し、通信ICは、測定された電圧値を有する第4メッセージを第1マイクロコントローラに伝送する。
【発明の効果】
【0028】
本発明の実施例の少なくとも一つによれば、少なくとも一つのバッテリーセルが過電圧状態を有するとき、それぞれコンタクタを開放できる第1マイクロコントローラ及び第2マイクロコントローラを用いて、過電圧状態に対して相互補完的にコンタクタを開放することができる。
【0029】
また、本発明の実施例の少なくとも一つによれば、第1及び第2マイクロコントローラの間でデータを相互交換してバッテリーセルの過電圧状態を効果的に検出することができ、過電圧検出の正確性及び迅速性を向上させることができる。
【0030】
なお、本発明の効果は前述の効果に制限されず、言及していないさらに他の効果は、請求範囲の記載から当業者にとって明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【0032】
図1】本発明の一実施例による電気制御システムを有する車両を概略的に示す図である。
図2図1の電気制御システムを用いる車両において、コンタクタを制御する方法を示すフローチャートである。
図3図1の電気制御システムを用いる車両において、コンタクタを制御する方法を示すフローチャートである。
図4図1の電気制御システムを用いる車両において、コンタクタを制御する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0034】
したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0035】
また、本発明に関連する公知の機能または構成についての具体的な説明が、本発明の要旨をぼやかすと判断される場合、その説明を省略する。
【0036】
なお、明細書の全体にかけて、ある部分が、ある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また、明細書に記載の「マイクロコントローラ」のような用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を示し、これはハードウェアやソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの結合せにより具現され得る。
【0037】
さらに、明細書の全体に亘って、ある部分が他の部分と「連結(接続)」されているとするとき、これは、「直接的に連結(接続)」されている場合のみならず、その中間に他の素子を介して「間接的に連結(接続)」されている場合も含む。
【0038】
図1を参照すれば、本発明の一実施例による車両10が提供される。車両10は、バッテリーセル30、バッテリーセル32、電気制御システム40、コンタクタ42、44、車両制御機46及び車両のパワートレイン48を含む。
【0039】
電気制御システム40の長所は、少なくとも一つのバッテリーセル30、32が過電圧状態を有するとき、コンタクタ42、44をそれぞれ開放できる第1マイクロコントローラ132及び第2マイクロコントローラ134を有することである。
【0040】
理解を助けるために、本明細書において用いられるいくつかの用語を説明する。
【0041】
「ノード」または「電気ノード」という用語は、電気回路の領域または位置を意味する。
【0042】
「信号(signal)」という用語は、電圧、電流及び二進値のいずれか一つを意味する。
【0043】
「IC」という用語は、集積回路を意味する。
【0044】
「ローロジッグレベル(low logic level)」という用語は、二進数0を示す電圧レベルに対応する。
【0045】
「ハイロジックレベル(high logic level)」という用語は、二進数1を示す電圧レベルに対応する。
【0046】
バッテリーセル30は、正極端子70及び負極端子72を含む。本発明の一実施例において、バッテリーセル30は、正極端子70と負極端子72との間に所定の電圧レベルを生成する。正極端子70は、コンタクタ42の一側に電気的に接続する。負極端子72は、バッテリーセル32の正極端子80に電気的に接続する。
【0047】
バッテリーセル32は、正極端子80及び負極端子82を含む。本発明の一実施例において、バッテリーセル32は、正極端子80と負極端子82との間に所定の電圧レベルを生成する。正極端子80は、バッテリーセル30の負極端子72に電気的に接続する。負極端子82は、コンタクタ44の一側及び電気接地に電気的に接続する。本発明の他の実施例において、追加のバッテリーセルは、バッテリーセル30、32と電気的に直列に接続し得る。
【0048】
電気制御システム40は、バッテリーセル30、32の出力電圧をモニターし、コンタクタ42、44の作動を制御するために提供される。電気制御システム40は、スレーブIC120、スレーブIC122、通信IC130、第1マイクロコントローラ132、第2マイクロコントローラ134、通信バス送受信機IC150、コンタクタ制御システム152、通信バス160、162、164、165、166、168、フォルトライン(fault line)190及び制御ライン200、201、202、203、204、205、206、207を含む。
【0049】
スレーブIC120は、バッテリーセル30の電圧をモニターする。スレーブIC120は、バッテリーセル30の正極端子70と負極端子72との間に電気的に接続する。また、スレーブIC120は、通信バス162及び通信バス160に共に動作可能に接続する。スレーブIC120は、通信バス162を用いて通信IC130と通信する。
【0050】
また、スレーブIC120は、通信バス160を用いてスレーブIC122と通信する。スレーブIC120は、バッテリーセル30の出力電圧が過電圧状態(即ち、出力電圧が所望する電圧レベルよりも高い場合)であると判断すれば、バッテリーセル30の測定された電圧レベルを示す電圧値及びバッテリーセル30が過電圧状態にあることを示す過電圧フラグを有するメッセージを生成する。メッセージは、通信バス162を介して通信ICに伝送される。
【0051】
また、スレーブIC120がバッテリーセル32の測定された電圧レベルを示す電圧値及びバッテリーセル32が過電圧状態にあることを示す過電圧フラグを有するメッセージをスレーブIC122から受信すれば、スレーブIC120は、バッテリーセル32の測定された電圧レベルを示す電圧値及びバッテリーセル32が過電圧状態にあることを示す過電圧フラグを有するメッセージを生成し、当該メッセージを、通信バス162を介して通信IC130に送信する。
【0052】
スレーブIC122は、バッテリーセル32の電圧をモニターする。スレーブIC122は、バッテリーセル32の正極端子80及び負極端子82に電気的に接続する。また、スレーブIC122は、通信バス160に動作可能に接続する。
【0053】
スレーブIC122は、バッテリーセル32の出力電圧が過電圧状態(即ち、出力電圧が所望する電圧レベルよりも高い場合)であると判断すれば、バッテリーセル32の測定された電圧レベルを示す電圧値及びバッテリーセル32が過電圧状態にあることを示す過電圧フラグを有するメッセージを生成し、当該メッセージを、通信バス160を介してスレーブIC120に伝送する。
【0054】
通信IC130は、通信バス162、通信バス164及びフォルトライン190に動作可能に接続する。通信IC130は、通信バス162を介してスレーブIC120からメッセージを受信すれば、通信バス164を介して当該メッセージを第1マイクロコントローラ132に伝送する。
【0055】
また、通信IC130は、スレーブIC120からのメッセージがバッテリーセル30またはバッテリーセル32の過電圧状態を示す場合、フォルトライン190を過電圧状態が検出されたことを示すハイロジッグレベルに設定する。そうでなければ、通信IC130は、フォルトライン190をローロジッグレベルに設定する。
【0056】
第1マイクロコントローラ132は、通信バス164、通信バス165及び制御ライン200、201、202、203に動作可能に接続する。第1マイクロコントローラ132は、メモリーデバイス222に動作可能に接続したマイクロプロセッサ220を含む。メモリーデバイス222は、後述する第1マイクロコントローラ132の動作段階を行うためのデータ及びソフトウェア命令を保存する。
【0057】
第1マイクロコントローラ132は、通信バス164を用いて通信IC130と通信する。また、第1マイクロコントローラ132は、通信バス166を用いて第2マイクロコントローラ134と通信する。また、第1マイクロコントローラ132は、通信バス165を用いて通信バス送受信機IC150と通信する。
【0058】
第1マイクロコントローラ132は、コンタクタ制御システム152内の電圧駆動機250、252それぞれに命令し、コンタクタ42内の接触子282を閉鎖動作状態へ転移させるために、コンタクタ42内のコイル280を活性化させる第1及び第2活性化制御信号を制御ライン200、201にそれぞれ生成する。
【0059】
本発明の他の実施例において、第1マイクロコントローラ132は、コンタクタ制御システム152内の電圧駆動機250、252それぞれに命令し、コンタクタ42内の接触子282を開放動作状態へ転移させるために、コンタクタ42内のコイル280を非活性化させる第1及び第2非活性化制御信号を制御ライン200、201にそれぞれ生成し得る。
【0060】
また、第1マイクロコントローラ132は、コンタクタ制御システム152内の電圧駆動機260、262それぞれに命令し、コンタクタ44内の接触子292を閉鎖動作状態へ転移させるために、コンタクタ44内のコイル290を活性化させる第3及び第4活性化制御信号を制御ライン202、203にそれぞれ生成する。
【0061】
本発明の他の実施例において、第1マイクロコントローラ132は、コンタクタ制御システム152内の電圧駆動機260、262それぞれに命令し、コンタクタ44内の接触子292を開放動作状態へ転移させるために、コンタクタ44内のコイル290を非活性化させる第3及び第4非活性化制御信号を制御ライン202、203にそれぞれ生成し得る。
【0062】
第1マイクロコントローラ132は、通信バス165を用いて通信バス送受信機IC150と通信する。また、第1マイクロコントローラ132は、通信バス165、通信バス送受信機IC150及び通信バス168を用いて車両制御機46と通信する。第1マイクロコントローラ132の追加機能は、以下により詳細に説明する。
【0063】
第2マイクロコントローラ134は、通信バス166、フォルトライン190及び制御ライン204、205、206、207、208に動作可能に接続する。第2マイクロコントローラ134は、メモリーデバイス230に動作可能に接続したマイクロプロセッサ228を含む。メモリーデバイス230は、後述する第2マイクロコントローラ134の動作段階を行うためのデータ及びソフトウェア命令を保存する。第2マイクロコントローラ134は、通信バス166を用いて第1マイクロコントローラ132と通信する。
【0064】
また、第2マイクロコントローラ134は、コンタクタ制御システム152内の電圧駆動機250、252それぞれに命令し、コンタクタ42内の接触子282を閉鎖動作状態へ転移させるために、コンタクタ42内のコイル280を活性化させる第5及び第6活性化制御信号を制御ライン204、205の上にそれぞれ生成する。
【0065】
本発明の他の実施例において、第2マイクロコントローラ134は、コンタクタ制御システム152内の電圧駆動機250、252それぞれに命令し、コンタクタ42内の接触子282を開放動作状態へ転移させるために、コンタクタ42内のコイル280を非活性化させる第5及び第6非活性化制御信号を制御ライン204、205にそれぞれ生成し得る。
【0066】
また、第2マイクロコントローラ134は、コンタクタ制御システム152内の電圧駆動機260、262それぞれに命令し、コンタクタ44内の接触子292を閉鎖動作状態へ転移させるために、コンタクタ44内のコイル290を活性化させる第7及び第8活性化制御信号を制御ライン206、207にそれぞれ生成する。
【0067】
本発明の他の実施例において、第2マイクロコントローラ134は、コンタクタ制御システム152内の電圧駆動機260、262それぞれに命令し、コンタクタ44内の接触子292を開放動作状態へ転移させるために、コンタクタ44内のコイル290を非活性化させる第7及び第8非活性化制御信号を制御ライン206、207にそれぞれ生成し得る。
【0068】
また、第2マイクロコントローラ134は、通信バス送受信機IC150の動作を可能にするために、第1ロジッグレベルを有する可能制御信号(enable control signal)を制御ライン208に生成する。また、第2マイクロコントローラ134は、通信バス送受信機IC150の動作を非活性化するために第2ロジッグレベルを有する不能制御信号(disable control signal)を制御ライン208に生成する。第2マイクロコントローラ134の追加機能は、以下により詳しく説明する。
【0069】
通信バス送受信機IC150は、第1マイクロコントローラ132と車両制御機46との通信を容易にするのに用いられる。通信バス送受信機IC150は、通信バス送受信機IC150が第2マイクロコントローラ134から可能制御信号を受信すれば、第1マイクロコントローラ132と車両制御機46との間でメッセージが伝送されるようにする。
【0070】
本発明の他の実施例において、通信バス送受信機IC150は、通信バス送受信機IC150が第2マイクロコントローラ134から不能制御信号を受信すれば、第1マイクロコントローラ132と車両制御機46との間でメッセージを伝送しない。通信バス送受信機IC150は、第1マイクロコントローラ132にさらに動作可能に接続した通信バス165に動作可能に接続する。また、通信バス送受信機IC150は、車両制御機46にさらに動作可能に接続する通信バス168に動作可能に接続する。
【0071】
コンタクタ制御システム152は、コンタクタ42、44の作動を制御するために提供される。コンタクタ制御システム152は、第1マイクロコントローラ132、第2マイクロコントローラ134、コンタクタ42及びコンタクタ44に作動可能に接続する。コンタクタ制御システム152は、電圧駆動機250、252、260、262を含む。また、電圧駆動機250、252は、コンタクタ42のコンタクタコイル280に電気的に接続する。動作中に、電圧駆動機250、252がコンタクタコイル280を活性化すれば、接触子282は閉鎖動作状態へ転移する。
【0072】
本発明の他の実施例において、電圧駆動機250、252がコンタクタコイル280を非活性化すれば、接触子282は開放動作状態へ転移する。電圧駆動機260、262がコンタクタコイル290を活性化すれば、接触子292は、閉鎖動作状態へ転移する。本発明の他の実施例において、電圧駆動機260、262がコンタクタコイル290を非活性すれば、接触子292は開放動作状態へ転移する。
【0073】
コンタクタ42、44は、コンタクタ42、44それぞれが閉鎖動作状態を有するとき、車両のパワートレイン48を活性化するように提供され、コンタクタ42、44それぞれが開放動作状態を有するとき、車両のパワートレイン48を非活性化するように提供され得る。
【0074】
コンタクタ42は、コンタクタコイル280及び接触子282を含む。コンタクタコイル280は、電圧駆動機250、252に電気的に接続する。接触子282は、バッテリーセル30の正極端子と車両のパワートレイン48の第1端部との間に電気的に接続する。
【0075】
コンタクタ44は、コンタクタコイル290及び接触子292を含む。コンタクタコイル290は、電圧駆動機260、262に電気的に接続する。接触子292は、バッテリーセル32の負極端子82と車両のパワートレイン48の第2端部との間に電気的に接続する。
【0076】
フォルトライン190は、通信IC130と第2マイクロコントローラ134との間に電気的に接続する電気ラインである。通信IC130は、第1バッテリーセル30または第2バッテリーセル32で過電圧状態が検出されたとき、フォルトラインを第1ロジッグレベルに転換する。そうでなければ、通信IC130は、フォルトラインを第2ロジッグレベルに設定する。
【0077】
本発明の他の実施例において、車両10は、バッテリーセル30、32と直列に接続した複数の追加バッテリーセルを含み得る。また、電気制御システム40は、複数の追加バッテリーセルの電圧をモニターし、スレーブIC120、122と通信し、また、相互間に通信する複数の追加スレーブICを含み得る。
【0078】
図1図4を参照して、電気制御システム40を用いて、コンタクタ42、44を制御する方法を示したフローチャートを説明する。
【0079】
段階400において、スレーブIC120は、バッテリーセル30の電圧をモニターする。段階400の後、本方法は段階402へ進む。
【0080】
段階402において、スレーブIC122は、バッテリーセル32の電圧をモニターする。段階402の後、本方法は段階404へ進む。
【0081】
段階404において、スレーブIC120は、通信バス162を介して通信IC130に送られる電圧値及び過電圧フラグを有する第1メッセージを生成する。電圧値は、バッテリーセル30の測定された電圧レベルを示す。過電圧フラグは、バッテリーセル30が過電圧状態を有することを示す。段階404の後、本方法は段階406へ進む。
【0082】
段階406において、通信IC130は、第1メッセージ内の過電圧フラグに応じて、通信IC130と第2マイクロコントローラ134との間に接続したフォルトライン190を、過電圧状態が検出されたことを示す第1ロジッグレベルに設定する。段階406の後、本方法は段階408へ進む。
【0083】
段階408において、通信IC130は、電圧値及び過電圧フラグを有する第2メッセージを、通信バス164を介して第1マイクロコントローラ132に伝送する。段階408の後、本方法は段階410へ進む。
【0084】
段階410において、第2マイクロコントローラ134は、第1ロジッグレベルを有するフォルトライン190に応じて、通信バス166を介して第1マイクロコントローラ132に第3メッセージを伝送する。第3メッセージは、過電圧状態が検出されたことを示す。段階410の後、本方法は段階420へ進む。
【0085】
段階420において、第1マイクロコントローラ132は、第3メッセージの受信に応じて、通信バス165を介して第4メッセージを通信バス送受信機IC150に伝送し、通信バス送受信機IC150は、通信バス168を介して第4メッセージを車両制御機46に伝送する。第4メッセージは、第1マイクロコントローラ132がコンタクタ42、44それぞれを開放動作状態に設定することを示す。段階420の後、本方法は段階422へ進む。
【0086】
段階422において、第1マイクロコントローラ132は、第3メッセージの受信に応じて、コンタクタ制御システム152にコンタクタ42を開放動作状態に設定するように命令する第1及び第2非活性化制御信号を生成する。段階422の後、本方法は段階424へ進む。
【0087】
段階424において、第1マイクロコントローラ132は、第3メッセージの受信に応じて、コンタクタ制御システム152にコンタクタ44を開放動作状態に設定するように命令する第3及び第4非活性化制御信号を生成する。段階424の後、本方法は段階426へ進む。
【0088】
段階426において、第1マイクロコントローラ132は、第3メッセージの受信に応じて、第2マイクロコントローラ134がコンタクタ制御システム152にコンタクタ42、44それぞれを開放動作状態に設定するようにさらに命令することを要請する第5メッセージを、第2マイクロコントローラ134に送信する。段階426の後、本方法は段階428へ進む。
【0089】
段階428において、第2マイクロコントローラ134が第3メッセージを送信した後、予め決められた第1時間内に第2マイクロコントローラ134が第1マイクロコントローラ132から第5メッセージを受信しなければ、第2マイクロコントローラ134は、車両制御機46が第1マイクロコントローラ132からメッセージを受信しないように通信バス送受信機IC150の動作を非活性化する。段階428の後、本方法は段階440へ進む。
【0090】
段階440において、第2マイクロコントローラ134が第3メッセージを送信した後、予め決められた第1時間内に第2マイクロコントローラ134が第1マイクロコントローラ132から第5メッセージを受信しなければ、第2マイクロコントローラ134は、コンタクタ制御システム152にコンタクタ42を開放動作状態に設定するように命令する第5及び第6非活性化制御信号を生成する。段階440の後、本方法は段階442へ進む。
【0091】
段階442において、第2マイクロコントローラ134が第3メッセージを送信した後、予め決められた第1時間内に第2マイクロコントローラ134が第1マイクロコントローラ132から第5メッセージを受信しなければ、第2マイクロコントローラ134は、コンタクタ制御システム152にコンタクタ44を開放動作状態に設定するように命令する第7及び第8非活性化制御信号を生成する。段階442の後、本方法は段階444に進む。
【0092】
段階444において、車両制御機46は、車両制御機46が予め決められた第2時間の間、第2マイクロコントローラ134及び第1マイクロコントローラ132からメッセージを受信できないことに応じて、第2マイクロコントローラ134がコンタクタ42、44それぞれを開放動作状態に設定すると決定する。段階444の後、本方法は終了する。
【0093】
本明細書で説明された電気制御システムは、他の制御システムに比べて実質的な利点を提供する。特に、本発明の一実施例による電気制御システムは、少なくとも一つのバッテリーセルが過電圧状態を有するとき、それぞれのコンタクタを開放できる第1マイクロコントローラ及び第2マイクロコントローラを含む。また、本発明の一実施例による電気制御システムは、通信バス送受信機ICの動作を非活性化することでコンタクタが開放動作状態に設定されるということを車両制御機に通知できる。
【0094】
本発明は、制限された実施例によって詳細に説明されたが、本発明はかかる開示の実施例に限定されない。本発明は、今まで説明されていない本発明の思想と範囲に適するあらゆる変形、変化、代替またはこれに相応する変更を含んで変形され得る。加えて、本発明の多様な実施例が説明されたが、本発明の様態は上述の実施例の一部のみを含み得る。したがって、本発明は、前述の説明によって制限されない。
【0095】
以上で説明した本発明の実施例は、必ずしも装置及び方法を通じて具現されることではなく、本発明の実施例の構成に対応する機能を実現するプログラムまたはそのプログラムが記録された記録媒体を通じて具現され得、このような具現は、本発明が属する技術分野における専門家であれば、前述した実施例の記載から容易に具現できるはずである。
図1
図2
図3
図4