(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示の一実施形態について具体的に説明するが、本開示はこれに限定されるものでない。以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は特に明示した場合及び原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。このことは、数値及び範囲についても同様であり、本開示を不当に制限するものではないと解釈すべきである。
【0023】
なお、本明細書において、「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構造に加え、一部に形成されている形状の構造も包含される。本明細書において、「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。以下で例示する材料は、特に断らない限り、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。「EO変性」とは、(ポリ)オキシエチレン基を有する化合物であることを意味し、「PO変性」とは、(ポリ)オキシプロピレン基を有する化合物であることを意味する。ここで、「(ポリ)オキシエチレン基」とは、オキシエチレン基、及び、2以上のエチレン基がエーテル結合で連結したポリオキシエチレン基の少なくとも1種を意味する。「(ポリ)オキシプロピレン基」とは、オキシプロピレン基、及び、2以上のプロピレン基がエーテル結合で連結したポリオキシプロピレン基の少なくとも1種を意味する。「シロキサン結合」との語は、ケイ素原子と酸素原子との結合、すなわち「Si−O結合」を示す。
【0024】
[感光性樹脂組成物]
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(A)成分:一般式(1)で表される構造単位を有するアルカリ可溶性樹脂と、(B)成分:光感応性酸発生剤と、(C)成分:芳香環、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種を有し、かつ、メチロール基又はアルコキシアルキル基を有する化合物と、(D)成分:アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、グリシジルオキシ基及び水酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を2つ以上有する脂肪族化合物と、を含有する。なお、本明細書において、これらの成分は、単に(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分等と称することがある。
【0025】
なお、アルカリ性水溶液による現像が可能な感光性樹脂組成物は、一般的に、親水性基を有する樹脂を含有している。感光性樹脂組成物の硬化膜が吸湿すると、絶縁信頼性及び基材との密着性が低下し、多層プリント配線板の信頼性が低下する懸念がある。本実施形態の感光性樹脂組成物を用いることで、吸水率が低減できる傾向がある。
【0026】
本実施形態の感光性樹脂組成物を用いることで、弾性率を充分に低減し、ウェハ等の基材に発生し得る反りを低減できる。
【0027】
本実施形態の感光性樹脂組成物が解像性に優れる理由について、本発明者らは以下のとおりと考えている。未露光部では(A)成分の現像液に対する溶解性が(C)成分の添加により向上する。次に、露光部では(B)成分から発生した酸の触媒効果により、(C)成分中のメチロール基同士若しくはアルコキシアルキル基同士、又は、(C)成分中のメチロール基若しくはアルコキシアルキル基と(A)成分とが、脱アルコールを伴って反応することによって現像液に対する組成物の溶解性が大幅に低下する。これによって、現像したときに、未露光部及び露光部の現像液に対する溶解性の顕著な差が生じ、充分な解像性が得られる。
【0028】
本実施形態の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、(E)成分:ベンゾフェノン化合物、(F)成分:溶剤、(G)成分:シロキサン結合を有する化合物、(H)成分:増感剤等を含有することができる。
【0029】
<(A)成分>
(A)成分は、下記一般式(1)で表される構造単位を有するアルカリ可溶性樹脂である。
【0031】
一般式(1)において、R
1は水素原子又はメチル基を示し、R
2は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を示し、aは0〜3の整数を示し、bは1〜3の整数を示す。
【0032】
本明細書において、「アルカリ可溶性樹脂」とは、アルカリ水溶液に溶解する樹脂を意味する。一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂がアルカリ水溶液に可溶か否かは、例えば、以下の方法によって判断できる。一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂と任意の溶剤からなる樹脂溶液、又は、一般式(1)で表される構造単位を有する樹脂、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を含有する樹脂溶液を、シリコンウェハ等の基板上にスピン塗布して厚さ5μm程度の樹脂膜を形成する。得られた樹脂膜をアルカリ水溶液に、20〜25℃において浸漬する。このとき、樹脂膜の厚さが減少した場合には、当該樹脂はアルカリ可溶性樹脂であると判断される。なお、上記アルカリ水溶液として、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、金属水酸化物水溶液又は有機アミン水溶液のいずれを用いることができる。
【0033】
一般式(1)において、R
2で表される炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基及びデシル基が挙げられる。これらのアルキル基は直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。また、炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。炭素数1〜10のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基、ヘプトキシ基、オクトキシ基、ノノキシ基及びデコキシ基が挙げられる。これらのアルコキシ基は直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
【0034】
(A)成分を得る方法に特に制限はない。(A)成分は、例えば、一般式(1)で表される構造単位を与えるモノマを重合させることで得ることができる。
【0035】
一般式(1)で表される構造単位を与えるモノマとしては、例えば、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシスチレン、p−イソプロペニルフェノール、m−イソプロペニルフェノール及びo−イソプロペニルフェノールが挙げられる。これらのモノマは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0036】
一般式(1)で表される構造単位を与えるモノマとしては、上述したモノマの水酸基がt−ブチル基、アセチル基等で保護されたモノマであってもよい。このような水酸基が保護されたモノマを重合して得られた重合体を、公知の方法(すなわち、酸触媒下で脱保護してヒドロキシスチレン系構造単位に変換すること等)で脱保護することにより(A)成分を得てもよい。
【0037】
(A)成分は、一般式(1)で表される構造単位を与えるモノマのみからなる重合体又は共重合体であってもよく、一般式(1)で表され構造単位を与えるモノマとそれ以外のモノマとの共重合体であってもよい。(A)成分が共重合体である場合、該共重合体中の一般式(1)で表される構造単位の割合は、アルカリ現像液に対する溶解性の観点から、(A)成分100モル%に対し、10〜100モル%が好ましく、20〜97モル%がより好ましく、30〜95モル%が更に好ましく、50〜95モル%が特に好ましい。
【0038】
(A)成分は、下記一般式(2)で表される構造単位を更に有するアルカリ可溶性樹脂であってもよい。
【0040】
一般式(2)において、R
3は水素原子又はメチル基を示し、R
4は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を示し、cは0〜3の整数を示す。
【0041】
R
4で表わされる炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数1〜10のアルコキシ基としては、それぞれ一般式(1)のR
2と同様のものが例示できる。
【0042】
(A)成分が一般式(2)で表される構造単位を有する場合、(A)成分は、一般式(1)で表される構造単位を与えるモノマと共に、一般式(2)で表される構造単位を与えるモノマとを用いることで得られる。一般式(2)で表される構造単位を与えるモノマとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン及びp−メトキシスチレン等の芳香族ビニル化合物が挙げられる。これらのモノマはそれぞれ1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0043】
(A)成分が一般式(2)で表される構造単位を有するアルカリ可溶性樹脂である場合、一般式(2)で表される構造単位の割合は、アルカリ現像液に対する溶解性の観点の観点から、(A)成分100モル%に対し、1〜90モル%が好ましく、3〜80モル%がより好ましく、5〜70モル%が更に好ましく、5〜50モル%が特に好ましい。
【0044】
また、(A)成分は、下記一般式(3)で表される構造単位を更に有するアルカリ可溶性樹脂であってもよい。
【0046】
一般式(3)中、R
5は水素原子又はメチル基を示し、R
6は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を示す。
【0047】
(A)成分が一般式(3)で表される構造単位を有する場合、(A)成分は、一般式(1)で表される構造単位を与えるモノマと共に、一般式(3)で表される構造単位を与えるモノマを用いることで得られる。
【0048】
一般式(3)で表される構造単位を与えるモノマとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ヒドロキシメチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ヒドロキシペンチル、アクリル酸ヒドロキシヘキシル、アクリル酸ヒドロキシヘプチル、アクリル酸ヒドロキシオクチル、アクリル酸ヒドロキシノニル及びアクリル酸ヒドロキシデシル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ヒドロキシメチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシペンチル、メタクリル酸ヒドロキシヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシヘプチル、メタクリル酸ヒドロキシオクチル、メタクリル酸ヒドロキシノニル及びメタクリル酸ヒドロキシデシル等のメタクリル酸エステルが挙げられる。これらのモノマはそれぞれ1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0049】
(A)成分が一般式(3)で示される構造単位を有する場合、一般式(3)で示される構造単位の割合は、アルカリ現像液に対する溶解性の観点から、(A)成分100モル%に対し、1〜90モル%が好ましく、3〜80モル%がより好ましく、5〜70モル%が更に好ましく、5〜50モル%が特に好ましい。
【0050】
(A)成分は、アルカリ現像液に対する溶解性の観点から、一般式(1)で表される構造単位と一般式(2)で表される構造単位とを有するアルカリ可溶性樹脂、一般式(1)で表される構造単位と一般式(3)で表される構造単位とを有するアルカリ可溶性樹脂、一般式(1)で表される構造単位と一般式(2)で表される構造単位と一般式(3)で表される構造単位とを有するアルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。(A)成分は、本発明の効果をより高める観点から、一般式(1)で表される構造単位と一般式(2)で表される構造単位とを有するアルカリ可溶性樹脂であることがより好ましい。
【0051】
また、(A)成分は、一般式(1)で表される構造単位を有しないアルカリ可溶性樹脂と混合して使用してもよい。一般式(1)で表される構造単位を有しないアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、ノボラック樹脂、フェノール−キシリレングリコール縮合樹脂、クレゾール−キシリレングリコール縮合樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン縮合樹脂等が挙げられる。これらの樹脂を1種単独で又は2種以上を組み合わせて、一般式(1)で表される構造単位を有するアルカリ可溶性樹脂と混合して使用することができる。
【0052】
ノボラック樹脂は、例えば、フェノール類とアルデヒド類とを触媒の存在下で縮合させることにより得られる。
【0053】
上記フェノール類としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、α−ナフトール、β−ナフトール等が挙げられる。
【0054】
上記アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
【0055】
上記ノボラック樹脂の具体例としては、フェノール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、フェノール−クレゾール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、フェノール−ナフトール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂等が挙げられる。
【0056】
(A)成分の重量平均分子量は、得られる硬化膜の解像性、現像性、熱衝撃性、耐熱性等に更に優れる観点で、100000以下が好ましく、1000〜80000がより好ましく、2000〜50000が更に好ましく、2000〜20000が特に好ましく、3000〜15000が極めて好ましい。
【0057】
なお、本実施形態において、各成分の重量平均分子量(Mw)は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により下記の条件で測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
使用機器:日立L−6000型〔株式会社日立製作所製〕
カラム:ゲルパックGL−R420+ゲルパックGL−R430+ゲルパックGL−R440〔日立化成株式会社 商品名、計3本〕
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流量:1.75ml/min.
検出器:L−3300RI〔株式会社日立製作所製〕
【0058】
(A)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の全量(ただし、感光性樹脂組成物が(F)成分を含有する場合は、(F)成分を除く)を基準として、10〜90質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましく、40〜60質量%が更に好ましい。(A)成分の割合が上記範囲であると、得られる感光性樹脂組成物を用いて形成される感光層のアルカリ水溶液による現像性がより優れる傾向がある。
【0059】
<(B)成分>
(B)成分である光感応性酸発生剤は、活性光線等の照射によって酸を発生する化合物である。該(B)成分から発生する酸の触媒効果により、(C)成分中のメチロール基同士若しくはアルコキシアルキル基同士、又は、(C)成分中のメチロール基若しくはアルコキシアルキル基と(A)成分とが脱アルコールを伴って反応することによって現像液に対する組成物の溶解性が大幅に低下し、ネガ型のパターンを形成することができる。
【0060】
(B)成分は活性光線等の照射によって酸を発生する化合物であれば特に限定されない。(B)成分としては、例えば、オニウム塩化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物、スルホン化合物、スルホン酸化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物等が挙げられる。中でも、入手の容易さという観点で、(B)成分は、オニウム塩化合物又はスルホンイミド化合物を含むことが好ましい。特に、感光性樹脂組成物が(F)成分を含有する場合、(F)成分に対する溶解性の観点で、(B)成分は、オニウム塩化合物を含むことが好ましい。以下、その具体例を示す。
【0061】
スルホンイミド化合物の具体例としては、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)−1,8−ナフタルイミド及びN−(10−カンファースルホニルオキシ)−1,8−ナフタルイミドが挙げられる。これらは、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0062】
オニウム塩化合物としては、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等が挙げられる。好ましいオニウム塩化合物の具体例としては、ジフェニルヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム ノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム p−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウム テトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウム トリス[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタニド等のジアリールヨードニウム塩;トリアリールスルホニウム塩などが挙げられる。中でも、感度及び熱的安定性を更に向上させる観点から、スルホニウム塩が好ましく、熱的安定性を更に向上させる観点から、トリアリールスルホニウム塩がより好ましい。これらは、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0063】
(B)成分のトリアリールスルホニウム塩としては、例えば、下記一般式(b1)で表される化合物、下記一般式(b2)で表される化合物、下記一般式(b3)で表される化合物、及び、下記一般式(b4)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のカチオンと、テトラフェニルボレート骨格、炭素数1〜20のアルキルスルホネート骨格、フェニルスルホネート骨格、10−カンファースルホネート骨格、炭素数1〜20のトリスアルキルスルホニルメタニド骨格、テトラフルオロボレート骨格、ヘキサフルオロアンチモネート骨格及びヘキサフルオロホスフェート骨格からなる群より選ばれる少なくとも1種の骨格を有するアニオンと、を有するスルホニウム塩が挙げられる。
【0068】
一般式(b1)〜(b4)のフェニル基の水素原子は、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルカルボニル基、及び、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよく、置換基が複数の場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0069】
テトラフェニルボレート骨格のフェニル基の水素原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルカルボニル基、及び、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよく、置換基が複数の場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0070】
アルキルスルホネート骨格の水素原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、及び、アルコキシカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよく、置換基が複数の場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0071】
フェニルスルホネート骨格のフェニル基の水素原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルカルボニル基、及び、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよく、置換基が複数の場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0072】
トリスアルキルスルホニルメタニド骨格の水素原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、及び、アルコキシカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよく、置換基が複数の場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0073】
ヘキサフルオロホスフェート骨格のフッ素原子は、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、及び、炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよく、置換基が複数の場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0074】
(B)成分として用いられるスルホニウム塩は、感度及び解像性に更に優れる観点から、カチオンとして、[4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル]−4−ビフェニリルフェニルスルホニウム、(2−メチル)フェニル[4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル]4−ビフェニリルスルホニウム、[4−(4−ビフェニリルチオ)−3−メチルフェニル]4−ビフェニリルフェニルスルホニウム、(2−エトキシ)フェニル[4−(4−ビフェニリルチオ)−3−エトキシフェニル]4−ビフェニリルスルホニウム、及び、トリス[4−(4−アセチルフェニルスルファニル)フェニル]スルホニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を有する化合物であることが好ましい。
【0075】
(B)成分として用いられるスルホニウム塩は、アニオンとして、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘキサフルオロアンチモネート、トリス[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタニド、10−カンファースルホネート、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート及びテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートからなる群より選ばれる少なくとも1種を有する化合物であることが好ましい。
【0076】
スルホニウム塩の具体例としては、(2−エトキシ)フェニル[4−(4−ビフェニリルチオ)−3−エトキシフェニル]4−ビフェニリルスルホニウム ノナフルオロブタンスルホネート、[4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル]−4−ビフェニリルフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス[4−(4−アセチルフェニルスルファニル)フェニル]スルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。スルホニウム塩は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0077】
(B)成分は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0078】
(B)成分の含有量は、本実施形態の感光性樹脂組成物の感度、解像性、パターン形状等をより向上させる観点で、(A)成分100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、0.3〜10質量部がより好ましく、1〜10質量部が更に好ましく、3〜10質量部が特に好ましい。なお、本明細書において、(A)成分100質量部とは、(A)成分の固形分100質量部であることを意味する。
【0079】
<(C)成分>
(C)成分は、芳香環、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種を有し、かつ、メチロール基又はアルコキシアルキル基を有する化合物である。ここで、芳香環とは、芳香族性を有する炭化水素基(例えば、炭素原子数が6〜10の炭化水素基)を意味し、例えば、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。複素環とは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等を少なくとも1つ有する環状基(例えば、炭素原子数が3〜10の環状基)を意味し、例えば、ピリジン環、イミダゾール環、ピロリジノン環、オキサゾリジノン環、イミダゾリジノン環及びピリミジノン環が挙げられる。また、脂環とは、芳香族性を有しない環状炭化水素基(例えば、炭素原子数が3〜10の環状炭化水素基)を意味し、例えば、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環及びシクロヘキサン環が挙げられる。アルコキシアルキル基とは、アルキル基が酸素原子を介してアルキル基に結合した基を意味する。また、2つのアルキル基は互いに異なってもよく、例えば、炭素原子数が1〜10であるアルキル基であってもよい。
【0080】
感光性樹脂組成物が(C)成分を含有することにより、露光及び露光後加熱処理して硬化する際に、(C)成分中のメチロール基同士若しくはアルコキシアルキル基同士、又は、(C)成分中のメチロール基若しくはアルコキシアルキル基と(A)成分とが脱アルコールを伴って反応することによって現像液に対する組成物の溶解性が大幅に低下し、ネガ型のパターンを形成することができる。また、樹脂パターン形成後の感光層を加熱して硬化する際に、(C)成分が(A)成分と反応して橋架け構造を形成し、樹脂パターンの脆弱化及び溶融を防ぐことができる。また、具体的には、フェノール性水酸基を有する化合物(ただし、(A)成分は包含されない)、又は、ヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物を好ましいものとして用いることができる。(C)成分は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0081】
上記フェノール性水酸基を有する化合物としては、従来公知のものを用いることができるが、未露光部の溶解促進効果と、感光性樹脂膜の硬化時の溶融を防止する効果とのバランスに優れることから、下記一般式(4)で表される化合物が好ましい。
【0083】
一般式(4)中、Zは、単結合又は2価の有機基を示し、R
81及びR
82は、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を示し、R
83及びR
84は、それぞれ独立に1価の有機基を示し、a及びbは、それぞれ独立に1〜3の整数を示し、c及びdは、それぞれ独立に0〜3の整数を示す。ここで、1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素原子数が1〜10であるアルキル基;ビニル基等の炭素原子数が2〜10であるアルケニル基;フェニル基等の炭素原子数が6〜30であるアリール基;これら炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子等のハロゲン原子で置換した基が挙げられる。
【0084】
一般式(4)で表される化合物は、下記一般式(5)で表される化合物であることが好ましい。一般式(5)中、X
1は単結合又は2価の有機基を示し、Rはアルキル基(例えば、炭素原子数が1〜10のアルキル基)を示す。
【0086】
また、上記フェノール性水酸基を有する化合物として、下記一般式(6)で表される化合物を使用してもよい。一般式(6)中、Rはアルキル基(例えば、炭素原子数が1〜10のアルキル基)を示す。
【0088】
一般式(4)において、Zが単結合である化合物は、ビフェノール(ジヒドロキシビフェニル)誘導体である。
【0089】
また、Zで示される2価の有機基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素原子数が1〜10であるアルキレン基;エチリデン基等の炭素原子数が2〜10であるアルキリデン基;フェニレン基等の炭素原子数が6〜30であるアリーレン基;これら炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子等のハロゲン原子で置換した基;スルホニル基;カルボニル基;エーテル結合;スルフィド結合;アミド結合などが挙げられる。これらの中で、Zで示される2価の有機基としては、下記一般式(7)で表される基であることが好ましい。
【0091】
一般式(7)中、Xは、単結合、アルキレン基(例えば、炭素原子数が1〜10のアルキレン基)、アルキリデン基(例えば炭素原子数が2〜10のアルキリデン基)、それらの水素原子の一部又は全部をハロゲン原子で置換した基、スルホニル基、カルボニル基、エーテル結合、スルフィド結合又はアミド結合を示す。R
9は、水素原子、水酸基、アルキル基又はハロアルキル基を示し、eは、1〜10の整数を示す。複数のR
9は互いに同一でも異なっていてもよい。ここで、ハロアルキル基とは、ハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。
【0092】
ヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物は、具体的には、下記一般式(8)で表される化合物又は下記一般式(9)で表される化合物を含むことが好ましい。一般式(8)及び(9)中、Rはアルキル基(例えば、炭素原子数が1〜10のアルキル基)を示す。
【0095】
上記ヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物としては、(ポリ)(N−ヒドロキシメチル)メラミン、(ポリ)(N−ヒドロキシメチル)グリコールウリル、(ポリ)(N−ヒドロキシメチル)ベンゾグアナミン、(ポリ)(N−ヒドロキシメチル)尿素等のメチロール基の全部又は一部をアルキルエーテル化した含窒素化合物などが挙げられる。ここで、アルキルエーテルのアルキル基としては、メチル基、エチル基、ブチル基又はこれらを混合したものが挙げられ、一部自己縮合してなるオリゴマー成分を含有していてもよい。具体的には、ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン、ヘキサキス(ブトキシメチル)メラミン、テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル、テトラキス(メトキシメチル)尿素等が挙げられる。
【0096】
(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、5〜80質量部が好ましく、10〜70質量部がより好ましく、15〜55質量部が更に好ましく、20〜40質量部が特に好ましい。(C)成分の含有量が5質量部以上であると、耐薬品性と耐熱性がより良好になる傾向があり、80質量部以下であると、解像性が更に良好になる傾向がある。
【0097】
<(D)成分>
(D)成分は、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、グリシジルオキシ基、オキセタニルアルキルエーテル基、ビニルエーテル基及び水酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を2つ以上有する脂肪族化合物である。(D)成分は、上記官能基を3つ以上有する脂肪族化合物を含むことが好ましい。上記官能基数の上限は、特に制限はないが、例えば、12個である。
【0098】
基材上に感光性樹脂組成物層を形成する場合の作業性の観点で、感光性樹脂組成物には基材に対する張り付き性(タック性)に優れることも求められる場合がある。充分なタック性を有していない感光性樹脂組成物を用いる場合、現像処理によって露光部の感光性樹脂組成物層が除去され易く、基材とレジストパターンとの密着性が悪化する傾向がある。感光性樹脂組成物層が、(D)成分を含有することで、感光性樹脂組成物と基材との粘着性、すなわちタック性を向上させる傾向がある。さらに、感光性樹脂組成物が(D)成分を含有することにより、塗膜に柔軟性を付与でき、また、アルカリ水溶液で現像する際の未露光部の溶解速度を増加させることができる。タック性、アルカリ水溶液に対する溶解性の観点から分子量はバランスを考慮して、重量平均分子量で92〜2000が好ましく、106〜1500がより好ましく、134〜1300が更に好ましい。
【0099】
(D)成分の具体例としては、下記一般式(10)〜(16)で表される化合物が挙げられる。なお、「脂肪族化合物」とは、主骨格が脂肪族骨格であり、芳香環又は複素環を含まないものをいう。
【0107】
一般式(10)〜(13)中、R
1、R
5、R
16及びR
19は、それぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基、水酸基又は一般式(14)で表される基を示し、R
21はアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、グリシジルオキシ基又は水酸基を示し、R
2、R
3、R
4、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
17、R
18及びR
20は、それぞれ独立にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、グリシジルオキシ基、オキセタニルアルキルエーテル基、ビニルエーテル基、水酸基、一般式(15)で表される基又は一般式(16)で表される基を示し、R
22及びR
23はそれぞれ独立にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、グリシジルオキシ基、オキセタニルアルキルエーテル基、ビニルエーテル基又は水酸基を示し、n及びmはそれぞれ独立に1〜10の整数である。オキセタニルアルキルエーテル基中のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられるが、メチル基が好ましい。
【0108】
(D)成分としては、具体的には、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、グリシジルオキシ基、オキセタニルアルキルエーテル基又はビニルエーテル基を有する化合物が好ましく、2つ以上のグリシジルオキシ基又は2つ以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物がより好ましく、3つ以上のグリシジルオキシ基又は3つ以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物が更に好ましい。(D)成分は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0109】
(D)成分としては、アクリロイルオキシ基を有する化合物、メタクリロイルオキシ基を有する化合物、グリシジルオキシ基を有する化合物、オキセタニルアルキルエーテルを有する化合物及び水酸基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。(D)成分の官能基としては、グリシジルオキシ基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、グリシジルオキシ基又はアクリロイルオキシ基がより好ましく、アクリロイルオキシ基が更に好ましい。また、現像性を向上させる観点から、(D)成分は、2つ以上のグリシジルオキシ基を有する脂肪族化合物であることが好ましく、3つ以上のグリシジルオキシ基を有する脂肪族化合物であることがより好ましく、3つ以上のグリシジルオキシ基を有する重量平均分子量が1000以下の脂肪族化合物であることがより好ましい。
【0110】
アクリロイルオキシ基を有する化合物としては、例えば、EO変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、PO変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、EO変性ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、PO変性ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、PO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、EO変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、PO変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパンアクリレート、PO変性トリメチロールプロパンアクリレート、トリメチロールプロパンアクリレート、EO変性グリセリントリアクリレート、PO変性グリセリントリアクリレート、グリセリントリアクリレート等が挙げられる。これらのアクリロイルオキシ基を有する化合物は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0111】
メタクリロイルオキシ基を有する化合物としては、例えば、EO変性ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、PO変性ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、EO変性ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、PO変性ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、PO変性ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、EO変性ペンタエリスリトールトリメタクリレート、PO変性ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、EO変性トリメチロールプロパンメタクリレート、PO変性トリメチロールプロパンメタクリレート、トリメチロールプロパンメタクリレート、EO変性グリセリントリメタクリレート、PO変性グリセリントリメタクリレート、グリセリントリメタクリレート等が挙げられる。これらのメタクリロイルオキシ基を有する化合物は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0112】
グリシジルオキシ基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、グリセロールプロポキシレートトリグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルが挙げられる。
【0113】
特に、ジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテルが好ましい。これらのグリシジルオキシ基を有する化合物は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0114】
グリシジルオキシ基を有する化合物は、例えば、エポライト40E、エポライト100E、エポライト70P、エポライト200P、エポライト1500NP、エポライト1600、エポライト80MF、エポライト100MF(以上、共栄社化学株式会社製、商品名)、アルキル型エポキシ樹脂ZX−1542(新日鉄住金化学株式会社製、商品名)、デナコールEX−212L、デナコールEX−214L、デナコールEX−216L、デナコールEX−321L及びデナコールEX−850L(以上、ナガセケムテック株式会社製、商品名、「デナコール」は登録商標)として商業的に入手可能である。
【0115】
オキセタニルアルキルエーテルを有する化合物としては、例えば、3−アルキル−3−オキセタニルアルキルエーテル基を有する化合物が挙げられ、3−エチル−3−オキセタニルアルキルエーテル基を有する化合物が好ましい。このようなオキセタン化合物としては、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールエタントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、グリセロールポリ(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、グリセリントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。これらのオキセタニルアルキルエーテルを有する化合物は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0116】
水酸基を有する化合物としては、ジペンタエリスリトール、ペンタエリスリトール、グリセリン等の多価アルコールが挙げられる。これらの水酸基を有する化合物は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0117】
(D)成分の中でも、感度及び解像性に更に優れる点で、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル及びトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0118】
(D)成分は、アルキル型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製、商品名ZX−1542)、アルキル型アクリル樹脂(日本化薬株式会社製、商品名PET−30)等として商業的に入手できる。
【0119】
(D)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、1〜70質量部が好ましく、10〜70質量部がより好ましく、20〜70質量部が更に好ましく、25〜65質量部が特に好ましく、30〜50質量部が極めて好ましい。(D)成分の含有量が1質量部以上では、塗膜に柔軟性を更に付与できると共に、アルカリ水溶液で現像する際の未露光部の溶解速度が更に増加し易く、70質量部以下では、感光性樹脂組成物を所望の支持体上に成膜し易い傾向がある。
【0120】
<(E)成分>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(E)成分として、ベンゾフェノン化合物を含有してもよい。感光性樹脂組成物が(E)成分を含有することにより、感光性樹脂組成物の解像性をより向上させることができ、微細なレジストパターンが形成可能な露光量の裕度を向上することができ、生産性がより向上できる。ベンゾフェノン化合物としては、ベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジブチルアミノ)ベンゾフェノン、4−エチルアミノベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラエトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラブトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジエトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジブトキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジブトキシベンゾフェノン、4,4’−ジフェニルベンゾフェノン等が挙げられる。
【0121】
(E)成分の中でも、解像性に更に優れる点で、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基及びフェニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を1つ以上有するベンゾフェノン化合物が好ましく、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基及びフェニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を2つ以上有するベンゾフェノン化合物がより好ましく、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン及び2,2’,4,4’−テトラエトキシベンゾフェノンが特に好ましい。(E)成分は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0122】
(E)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.001〜10質量部が好ましく、0.01〜1質量部がより好ましく、0.01〜0.8質量部が更に好ましく、0.05〜0.1質量部が特に好ましい。(E)成分の含有量がこのような範囲内であると、感光性樹脂組成物の解像性をより向上させることができ、微細なレジストパターンが形成可能な露光量の裕度(許容範囲)をより向上することができ、生産性がより向上する。
【0123】
感光性樹脂組成物が(E)成分を含有することにより、解像性が更に向上し、例えば、微細なレジストパターン(すなわち、ビア開口径(直径)が10μm以下の微細なレジストパターンを形成することが容易となる。そして、例えば、ビア開口径(直径)が10μm以下の微細なレジストパターンを形成する場合、露光量を適切に調整する必要があるが、感光性樹脂組成物が(E)成分を含有することにより、微細なレジストパターンが形成できる露光量の幅が広くなり、すなわち、露光量の裕度を向上させることができる。よって、量産品等を製造する場合であっても、微細なレジストパターンを形成するために、露光量を細かく調整する必要がなく、生産性が更に向上する。
【0124】
<(F)成分>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(F)成分として、溶剤を更に含有することもできる。感光性樹脂組成物が(F)成分を含有することにより、感光性樹脂組成物の取り扱い性がより向上し、粘度及び保存安定性をより調節し易くなる。(F)成分は、有機溶剤であることが好ましい。有機溶剤は、上記性能を発揮できるものであれば特に制限はないが、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル;プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ;ブチルカルビトール等のカルビトール;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸イソプロピル等の乳酸エステル;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソブチル等の脂肪族カルボン酸エステル;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等のエステル;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド;γ−ブチロラクトン等のラクトンなどが挙げられる。(F)成分は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0125】
(F)成分の含有量は、(F)成分を除く感光性樹脂組成物の全量100質量部に対して、30〜200質量部が好ましく、60〜120質量部がより好ましい。
【0126】
<(G)成分>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(G)成分として、シロキサン結合を有する化合物((A)〜(F)成分に該当する化合物を除く)を含有してもよい。(G)成分としては、シロキサン結合を有していれば特に限定されないが、例えば、シロキサン結合を有する無機フィラー、シロキサン結合を有するシラン化合物及びアルコキシオリゴマーが挙げられる。(G)成分は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0127】
シロキサン結合を有する無機フィラーは、溶融球状シリカ、溶融粉砕シリカ、煙霧状シリカ、ゾルゲルシリカ等のシリカであることが好ましい。また、シロキサン結合を有する無機フィラーは、無機フィラーをシラン化合物で処理して得られる無機フィラーであってもよい。シラン化合物で処理される無機フィラーの中で、シリカ以外の無機フィラーとしては、例えば、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、及び、タルク、マイカ等の鉱産物由来の無機フィラーが挙げられる。
【0128】
シロキサン結合を有するシラン化合物としては、例えば、アルキルシラン、アルコキシシラン、ビニルシラン、エポキシシラン、アミノシラン、アクリルシラン、メタクリルシラン、メルカプトシラン、スルフィドシラン、イソシアネートシラン、サルファーシラン、スチリルシラン、アルキルクロロシラン等が挙げられる。
【0129】
上記シラン化合物としては、下記一般式(17)で表される化合物が好ましい。
(R
101O)
4−f−Si−(R
102)
f …(17)
一般式(17)中、R
101は、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数が1〜10であるアルキル基を示し、R
102は、1価の有機基を示し、fは、0〜3の整数を示す。fが0、1又は2の場合、複数のR
101は互いに同一でも異なっていてもよい。fが2又は3の場合、複数のR
102は互いに同一でも異なっていてもよい。R
101は、解像性に更に優れる観点で、炭素数が1〜5のアルキル基が好ましく、炭素数が1又は2のアルキル基がより好ましい。無機フィラーの分散性を向上させるためにシラン化合物で処理する場合、無機フィラーの分散性を更に向上させる観点で、fは0、1又は2が好ましく、0又は1がより好ましい。
【0130】
シラン化合物の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−ドデシルメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0131】
(G)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、1.8〜420質量部が好ましく、1.8〜270質量部がより好ましい。
【0132】
<(H)成分>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(H)成分として、増感剤を更に含有していてもよい。感光性樹脂組成物が(H)成分を含有することにより、感光性樹脂組成物の感度を更に向上させることができる。増感剤としては、9,10−ジブトキシアントラセン等が挙げられる。(E)成分は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0133】
(H)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.01〜1.5質量部が好ましく、0.05〜0.5質量部がより好ましい。
【0134】
<その他の成分>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、(A)成分に加えて、分子量が1000未満であるフェノール性低分子化合物(以下、「フェノール化合物(a)」という)を含有していてもよい。フェノール化合物(a)としては、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,3−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,4−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、4,6−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル]エタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等が挙げられる。これらのフェノール化合物(a)の含有量は、(A)成分100質量部に対して、例えば、0〜40質量部(特に0〜30質量部)の範囲である。
【0135】
また、本実施形態の感光性樹脂組成物は、上述の成分以外のその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、着色剤、密着助剤、レベリング剤等が挙げられる。
【0136】
[感光性エレメント]
次に、本実施形態の感光性エレメントについて説明する。
【0137】
本実施形態の感光性エレメントは、支持体と、該支持体上に設けられた感光層とを備え、該感光層は上述の感光性樹脂組成物を含む。本実施形態の感光性エレメントは、該感光層上に、該感光層を被覆する保護層を更に備えていてもよい。
【0138】
上記支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンなどの耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムを用いることができる。上記支持体(重合体フィルム)の厚さは、5〜25μmが好ましい。なお、上記重合体フィルムは、1つを支持体として、他の1つを保護層として感光層の両面に積層して使用してもよい。
【0139】
上記保護層としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンなどの耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムを用いることができる。
【0140】
上記感光層は、上記感光性樹脂組成物を支持体又は保護層上に塗布することにより形成することができる。塗布方法としては、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法等が挙げられる。上記感光層の厚さは、用途により異なるが、該感光層を乾燥した後において1〜100μmが好ましく、3〜60μmがより好ましく、5〜40μmが更に好ましい。また、絶縁信頼性及びチップを実装する場合の生産性の観点で、上記感光層の厚さは、層の厚さ方向の配線間の絶縁性を向上させる観点で、20μmを超えていることが好ましいが、20μm以下であってもよい。
【0141】
[レジストパターンの形成方法]
次に、本実施形態のレジストパターンの形成方法を説明する。第1実施形態のレジストパターンの形成方法は、上記感光性樹脂組成物を基材(例えば基板)上に塗布し、上記感光性樹脂組成物を乾燥して感光層を形成する工程と、上記感光層を所定のパターンに露光し、露光後加熱処理(露光後ベーク)を行う工程と、上記加熱処理(露光後ベーク)後の上記感光層を現像し、得られた樹脂パターンを加熱処理する工程と、を含む。第2実施形態のレジストパターンの形成方法は、上記感光性エレメントの上記感光層を基材(例えば基板)上に配置する工程と、上記感光層を所定のパターンに露光し、露光後加熱処理(露光後ベーク)を行う工程と、上記加熱処理(露光後ベーク)後の上記感光層を現像し、得られた樹脂パターンを加熱処理する工程と、を含む。
【0142】
本実施形態のレジストパターンの形成方法では、例えば、まず、レジストを形成すべき基材(樹脂付き銅箔、銅張積層板、金属スパッタ膜を付けたシリコンウェハ、銅めっき膜を付けたシリコンウェハ、アルミナ基板等)上に、上述の感光性樹脂組成物を含む感光層を形成する。該感光層の形成方法としては、上記感光性樹脂組成物を基材に塗布(例えば塗工)し、乾燥して溶剤等を揮発させて塗膜(感光層)を形成する方法、上述の感光性エレメントにおける感光層を基材上に転写する方法等が挙げられる。
【0143】
上記感光性樹脂組成物を基材に塗布する方法としては、例えば、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法等の塗布方法を用いることができる。また、塗膜の厚さは、塗布手段、感光性樹脂組成物の固形分濃度及び粘度を調節することにより、適宜制御することができる。
【0144】
次に、所定のマスクパターンを介して、上記感光層を所定のパターンに露光する。露光に用いられる活性光線としては、g線ステッパーの光線;低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、i線ステッパー等の紫外線;電子線;レーザ光線などが挙げられ、露光量としては、使用する光源及び塗膜の厚さ等によって適宜選定されるが、例えば、高圧水銀灯からの紫外線照射の場合、塗膜の厚さが5〜50μmでは、100〜3000mJ/cm
2程度であってもよい。
【0145】
さらに、露光後に加熱処理(露光後ベーク)を行う。露光後ベークを行うことにより、発生した酸による(A)成分と(C)成分の硬化反応を促進させることができる。露光後ベークの条件は感光性樹脂組成物の含有量、塗膜の厚さ等によって異なるが、例えば、50〜150℃で1〜60分間加熱することが好ましく、60〜100℃で1〜15分間加熱することがより好ましい。
【0146】
次いで、露光及び/又は露光後ベークを行った塗膜をアルカリ性現像液により現像して、硬化部以外(未露光部)の領域を溶解及び除去することにより所望のレジストパターンを得る。この場合の現像方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、浸漬現像法、パドル現像法等が挙げられる。現像条件としては、例えば、スプレー現像法では20〜40℃で10〜300秒間である。
【0147】
上記アルカリ性現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等のアルカリ性化合物を濃度が1〜10質量%になるように水に溶解したアルカリ性水溶液、アンモニア水等のアルカリ性水溶液などが挙げられる。上記アルカリ性現像液には、例えば、メタノール、エタノール等の水溶性の有機溶剤、界面活性剤などを適量添加することもできる。なお、該アルカリ性現像液で現像した後は、水で洗浄し、乾燥する。該アルカリ性現像液は、解像性に更に優れる点で、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液が好ましい。
【0148】
さらに、絶縁膜特性を発現させるために加熱処理を行うことにより、感光性樹脂組成物の硬化膜(レジストパターン)を得る。上記感光性樹脂組成物の硬化条件は特に制限されるものではないが、硬化物の用途に応じて、例えば、50〜250℃で30分〜10時間加熱し、感光性樹脂組成物を硬化させることができる。
【0149】
また、硬化を充分に進行させるため、又は、得られた樹脂パターン形状の変形を防止するために2段階で加熱することもできる。例えば、第1段階で、50〜120℃で5分〜2時間加熱し、更に第2段階で、80〜200℃で10分〜10時間加熱して硬化させることもできる。上述の硬化条件であれば、加熱設備としては、特に制限はなく、一般的なオーブン、赤外線炉等を使用することができる。
【0150】
[半導体装置]
本実施形態に係る半導体装置は、本実施形態に係る感光性樹脂組成物の硬化物を備えている。本実施形態の感光性樹脂組成物の硬化物は、例えば、半導体素子の表面保護膜及び/又は層間絶縁膜、あるいは、多層プリント配線板におけるソルダーレジスト及び/又は層間絶縁膜として好適に用いることができる。
【0151】
図1は、本実施形態の感光性樹脂組成物の硬化物をソルダーレジスト及び/又は層間絶縁膜として含む多層プリント配線板の製造方法を示す図である。
図1(f)に示す多層プリント配線板100Aは表面及び内部に配線パターンを有する。多層プリント配線板100Aは、銅張積層体、層間絶縁膜、金属箔等を積層するとともにエッチング法又はセミアディティブ法によって配線パターンを適宜形成することによって得られる。以下、多層プリント配線板100Aの製造方法を
図1に基づいて簡単に説明する。
【0152】
まず、表面に配線パターン102を有する銅張積層体101の両面に層間絶縁膜103を形成する(
図1(a)参照)。層間絶縁膜103は、スクリーン印刷機又はロールコータを用いて感光性樹脂組成物を印刷することにより形成してもよいし、上述の感光性エレメントを予め準備し、ラミネータを用いて、該感光性エレメントにおける感光層をプリント配線板の表面に貼り付けて形成することもできる。
【0153】
次いで、外部と電気的に接続することが必要な箇所に、YAGレーザ又は炭酸ガスレーザを用いて開口部104を形成する(
図1(b)参照)。開口部104周辺のスミア(残渣)はデスミア処理により除去する。
【0154】
次いで、無電解めっき法によりシード層105を形成する(
図1(c)参照)。上記シード層105上に感光性樹脂組成物を含む感光層を形成し、所定の箇所を露光、現像処理して配線パターン106を形成する(
図1(d)参照)。
【0155】
次いで、電解めっき法により配線パターン107を形成し、はく離液により感光性樹脂組成物の硬化物を除去した後、上記シード層105をエッチングにより除去する(
図1(e)参照)。
【0156】
以上の操作を繰り返し行い、最表面に上述の感光性樹脂組成物の硬化物を含むソルダーレジスト108を形成することで多層プリント配線板100Aを作製することができる(
図1(f)参照)。なお、層間絶縁膜103及び/又はソルダーレジスト108は、上述したレジストパターンの形成方法を用いて形成することができる。また、感光層を形成する工程と、加熱処理する工程と、を備える方法を用いて形成することができる。このようにして得られた多層プリント配線板100Aは、対応する箇所に半導体素子が実装され、電気的な接続を確保することができる。
【実施例】
【0157】
以下、実施例により本開示の目的及び利点を詳細に説明するが、本開示はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0158】
<実施例1〜7及び比較例1〜4の感光性樹脂組成物の調製>
樹脂成分(A−1)〜(A−5)と、光感応性酸発生剤(B−1)と、アルコキシアルキル化合物(C−1)と、アクリロイルオキシ基を有する化合物(D−1)と、ベンゾフェノン化合物(E−1)と、溶剤(F−1)と、シロキサン結合を有する化合物(G−1)とを、表1に示した配合量(単位:質量部)にて配合し、感光性樹脂組成物を得た。
【0159】
なお、表1の各成分の略称は下記のとおりである。
A−1:下記式で表される構造単位を有するフェノール樹脂CST:p−ヒドロキシスチレン−スチレン共重合体(丸善石油化学株式会社製、商品名:マルカリンカー CST−70、Mw10000)
【化22】
A−2:CST:p−ヒドロキシスチレン−スチレン共重合体(丸善石油化学株式会社製、商品名:マルカリンカー CST−85、Mw10000)
A−3:CMM:p−ヒドロキシスチレン−メチルメタクリル酸共重合体(丸善石油化学株式会社製、商品名:マルカリンカー CMM−70、Mw10000)
A−4:ノボラック樹脂(旭有機材工業株式会社製、商品名:TR4080G、Mw5000)
A−5:ノボラック樹脂(旭有機材工業株式会社製、商品名:TR4020G、Mw15000)
B−1:トリアリールスルホニウム塩(サンアプロ株式会社製、商品名:CPI−310B)
C−1:1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル(株式会社三和ケミカル製、商品名:MX−270)
D−1:ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名:PET−30)
E−1:4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(保土谷化学工業株式会社製、商品名:EAB)
F−1:メチルエチルケトン(和光純薬工業株式会社製、商品名:2−ブタノン)
G−1:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−403)
【0160】
上記感光性樹脂組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:ピューレックスA53、「ピューレックス」は登録商標)(支持体)上に、感光性樹脂組成物の厚さが均一になるように塗布し、90℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥した。乾燥後、ポリエチレンフィルム(タマポリ株式会社製、商品名:NF−15)(保護層)で被覆して、感光層の厚さが10μmである感光性エレメントを得た。
【0161】
<解像性及び感度の評価>
直径6インチの銅めっき膜を付けたシリコンウェハ(アドバンスマテリアルズテクノロジー株式会社製、商品名:6インチCuメッキ15000Åウェハ)上に、上記感光性エレメントの保護層を剥がした後、該感光性エレメントをラミネートし、積層体を得た。ラミネート工程は、真空加圧式ラミネータを用いて、60℃のヒータ(上側)、60℃のヒータ(下側)、20秒の真空引き時間、20秒の加圧時間、0.4MPaの圧着圧力で行った。次いで、上記積層体の支持体を剥がし、i線ステッパー(キヤノン株式会社製、商品名:FPA−3000iW)を用いてi線(365nm)で、マスクを介して、感光層に対して縮小投影露光を行った。マスクとしては、ビア直径1〜30μmまで1μm刻みでビア開口部(未露光部)を有するネガパターンを用いた。また、露光量は、100〜2000mJ/cm
2の範囲で、100mJ/cm
2ずつ変化させながら縮小投影露光を行った。
【0162】
露光された感光層を65℃で1分間、次いで75℃で8分間加熱した(露光後ベーク)。次いで、現像液として2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(多摩化学工業株式会社製、商品名:TMAH2.38%)、現像機(滝沢産業株式会社製、商品名:AD−1200)を用いて、該感光層に最短現像時間(未露光部が除去される最短時間)の4倍に相当する時間スプレーし(ポンプ吐出圧[現像液]:0.16MPa)、未露光部を除去した。次いで、リンス液として精製水(和光純薬工業株式会社製、商品名:精製水)を30秒間スプレーし(ポンプ吐出圧[リンス液]:0.12〜0.14MPa)、現像液を洗い流し、乾燥させることで、レジストパターンを形成した。金属顕微鏡を用いて倍率1000倍に拡大して、形成されたレジストパターンを観察した。ビア開口部(未露光部)がきれいに除去され、且つ絶縁樹脂部(露光部)に膜減り、膜荒れを生じることなく形成されたパターンのうち、最も小さいビア開口部の直径を解像度とするとともに、そのときの露光量を感度として評価した。
【0163】
<吸水率の評価>
厚さ1mmのガラス板上に、上記感光性エレメントの保護層を剥がした後、該感光性エレメントをラミネートし、積層体を得た。ラミネート工程は、真空加圧式ラミネータを用いて、60℃のヒータ(上側)、60℃のヒータ(下側)、20秒の真空引き時間、20秒の加圧時間、0.4MPaの圧着圧力で行った。上記積層体の支持体を剥がし、プロキシミティー露光機(ウシオ電機株式会社製、商品名:UX−1000SM)を用いて露光量1000mJ/cm
2で露光を行い、65℃で1分間、次いで75℃で8分間加熱して(露光後ベーク)、露光後の感光層を硬化させた。その後、感光層を更に180℃で60分間加熱硬化させ、感光性樹脂組成物の硬化膜を得た。得られた硬化膜をガラス板とともに23℃において精製水に24時間浸漬し、浸漬前後における重量を測定し、下記式(a)により吸水率を求めた。
吸水率(%)=(浸漬後の硬化膜の重量−浸漬前の硬化膜の重量)/(浸漬前の硬化膜の重量)×100 …(a)
【0164】
<弾性率の評価>
上記感光性樹脂組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:ピューレックスA53)(支持体)上に厚さが均一になるように塗布し、90℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥して、乾燥後の厚さが40μmである感光層を形成した。次いで、支持体を剥離して、高圧水銀灯を有する露光機(株式会社オーク製作所製、商品名:EXM−1201)を用いて、照射エネルギー量が1000mJ/cm
2となるように感光層を露光した。露光された感光層をホットプレート上にて65℃で2分間、次いで95℃で8分間加熱し、熱風対流式乾燥機にて180℃で60分間加熱処理をし、硬化膜を得た。卓上形精密万能試験機(株式会社島津製作所製、商品名:オートグラフAGS−H100N)を用いて、引っ張り速度5mm/分、測定温度20℃〜25℃、荷重3〜5Nの条件における硬化膜のひずみ変化(弾性率)を測定した。なお、試料として使用した硬化膜の幅は10mm、厚さは9〜11μmであり、チャック間幅は20mmとした。
【0165】
<ウェハ応力の評価>
6インチのシリコンウェハ上に、上記感光性エレメントの保護層を剥がした後、該感光性エレメントをラミネートし、積層体を得た。ラミネート工程は、真空加圧式ラミネータを用いて、60℃のヒータ(上側)、60℃のヒータ(下側)、20秒の真空引き時間、20秒の加圧時間、0.4MPaの圧着圧力で行った。上記積層体の支持体を剥がし、プロキシミティー露光機(ウシオ電機株式会社製、商品名:UX−1000SM)を用いて露光量1000mJ/cm
2で露光を行い、65℃で1分間、次いで75℃で8分間加熱して(露光後ベーク)、露光後の感光層を硬化させた。その後、感光層を更に180℃で60分間加熱硬化させ、感光性樹脂組成物の硬化膜を得た。薄膜ストレス測定装置(テンコール社製)を用いて、得られた硬化膜のウェハ応力を測定した。
【0166】
評価結果を表1に示す。なお、比較例3及び4は、レジストパターンを形成することができず、解像度、吸水率及び弾性率の評価を行わなかった。
【0167】
【表1】
【0168】
表1から明らかなように、解像度はアルカリ可溶性樹脂の種類によらず同等であった。一方、実施例1〜7は、比較例1及び2と比べて吸水率が1.0%未満と低かった。さらに、実施例1〜7は、比較例1及び2に比べて低い弾性率を示し、ウェハ応力は22MPa以下と良好な値であった。