(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
給送装置と、搬送される前記シート状部材に対して画像を形成する画像形成部と、画像が形成されたシートを機外に搬出する排出装置とを少なくとも備える画像形成装置であって、請求項6記載の給送装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
給送装置と、搬送される前記シート状部材に表現されている画像を読み取る画像読取部と、画像が読み取られた前記シート状部材を機外に搬出する排出装置とを少なくとも備える画像読取装置であって、請求項6記載の給送装置を備えることを特徴とする画像読取装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本発明の要旨>
本発明は、シート状の媒体を収納し、このシート状媒体を送り出す給送トレイに関するものである。本発明に係る給送トレイは、シート状媒体の収納状態を容易に変更できることを要旨の一つとする。
【0010】
伸縮可能な構成を備える給送トレイは、シート状媒体の給送方向における後方側に配置されるトレイ拡張部において、後端規制部材を保持する構造を備える。これによって、後端規制部材を保持する構造であるレール部を、トレイ本体部とトレイ拡張部において一体化できる。その反面、トレイ拡張部において後端規制部材を保持する部分が大きく出っ張ることにあり給送トレイが大型化する、という従来からの課題について本発明は解決する。
【0011】
また、従来の給送トレイは、小さいサイズのシート状媒体を収納する状態(小トレイ構成)と大きいサイズのシート状媒体を収納する状態(大トレイ構成)を切り替えるたびに、後端規制部材の位置を再設定する必要があった。また、従来の給送トレイは、シート状媒体の固定サイズに合わせた位置に後端規制部材を固定しやすくするロック機構を備える。しかし、トレイ構成を変更するとロック機構を配置できる間隔が狭くなり、正規の位置からずれた位置に合わせてロック機構を使用することになる。即ち、従来の給送トレイでは、小トレイ構成と大トレイ構成における後端規制部材の使い方やロック機構の取り扱いに違いがあり、利用者が混乱しやすかった。
【0012】
本発明に係る給送トレイは、これらの課題を解決しうる構成を備えるものである。即ち、後端規制部を保持するレール部をトレイ本体部に形成することで、給送トレイの大型化を防ぐ。また、本発明に係る給送トレイは、小トレイ構成から大トレイ構成に変更しても、利用者における後端規制部の操作性や取り扱いに違いが生じないように工夫し、利便性を向上させる。さらに、本発明に係る給送トレイは、トレイ拡張部を小さくできる。これによって、部品全体のコストを低減することができる。
【0013】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0014】
本発明に係る実施形態の説明では、本発明に係る給送トレイにおいて収納可能な「シート状部材」を「用紙P」と表記して説明する。ここで「シート状部材」には、紙(用紙)に限られるものではなく、コート紙、ラベル紙、OHPシート、フィルム、布帛など、現像剤やインクを付着させることができる媒体も含む。また、「シート」には、可撓性のものに限らず硬い板状のものや比較的厚みのあるものも含む。
【0015】
また各構成部品の説明にある寸法、材質、形状、その相対配置などは例示であって、特に特定的な記載がない限りこの発明の範囲をそれらに限定する趣旨ではない。
【0016】
<画像形成装置の構成>
本発明に係る給送トレイは、例えば画像形成装置又は画像読取装置が備える給送装置に適用可能なものである。
図1と
図2は、本発明に係る給送装置を搭載する画像形成装置の一実施形態としてのカラーレーザプリンタ200の構成を概略的に示すものである。カラーレーザプリンタ200は、4つのプロセスユニット1K、1Y、1M、1Cを備えている。これらプロセスユニットは、カラー画像の色分解成分に対応するブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の現像剤によって画像を形成する。
【0017】
各プロセスユニット1K、1Y、1M、1Cは、互いに異なる色の未使用トナーを収容したトナーボトル6K、6Y、6M、6Cを有する以外は、同様の構成となっている。そこで本実施形態においては、1つのプロセスユニット1Kの構成に関する説明をし、他のプロセスユニット1Y、1M、1Cに関する説明を省略する。
【0018】
プロセスユニット1Kは、像担持体2K(例えば感光体ドラム)と、ドラムクリーニング装置3Kと、除電装置と、帯電装置4Kと、現像装置5K等を有している。そして、プロセスユニット1Kは、カラーレーザプリンタ200の本体に対して着脱自在に装着され、消耗部品を同時に交換可能となっている。
【0019】
露光器7は、カラーレーザプリンタ200に設置された各プロセスユニット1K、1Y、1M、1Cの上方に配設されている。そして、この露光器7は、画像データに基づいてレーザダイオードからレーザ光を発光するように構成されている。
【0020】
転写装置15は、この実施形態では各プロセスユニット1K、1Y、1M、1Cの下方に配設されている。一次転写ローラ19K、19Y、19M、19Cは、各像担持体2K、2Y、2M、2Cに対向して中間転写ベルト16に当接して配置されている。
【0021】
中間転写ベルト16は、各一次転写ローラ19K、19Y、19M、19C、駆動ローラ18、従動ローラ17に掛け渡された状態で循環走行するようになっている。
【0022】
2次転写ローラ20は、駆動ローラ18に対向し中間転写ベルト16に当接して配置されている。なお、像担持体2K、2Y、2M、2Cが各色の第1の像担持体とすれば、中間転写ベルト16はそれらの像を合成した第2の像担持体である。
【0023】
ベルトクリーニング装置21は、中間転写ベルト16の走行方向において、2次転写ローラ20より下流側に設置されている。また、クリーニングバックアップローラが中間転写ベルト16に対してベルトクリーニング装置21と反対側に設置されている。
【0024】
給送トレイであるトレイ100は、カラーレーザプリンタ200の下方に設置され、シート状部材の一例である用紙Pを多数枚束状で収容可能となっている。トレイ100は、用紙Pの補給等のために、このカラーレーザプリンタ200の本体に着脱可能となっている。給送ローラ47は、カラーレーザプリンタ200に設置された状態のトレイ100の上方に配置され、用紙Pをトレイ100から給送路31に向けて給送するようになっている。
【0025】
タイミングローラ対14は、2次転写ローラ20の直近上流側に配置され、トレイ100から給送された用紙Pを一旦停止させることができる。この一旦停止により用紙Pの先端側に弛みが形成される。
【0026】
弛みが形成された用紙Pは、中間転写ベルト16上に形成されたトナー像が好適に転写されるタイミングに合わせ、2次転写ローラ20と駆動ローラ18との2次転写分離ニップに送り出される。そして、送り出された用紙Pは、2次転写分離ニップで中間転写ベルト16上に形成されたトナー像が所望の転写位置に高精度に転写されるようになっている。
【0027】
転写後搬送路33は、2次転写ローラ20と駆動ローラ18の2次転写分離ニップの上方に配設されている。定着装置34は、転写後搬送路33の上端近傍に設置されている。
【0028】
定着装置34は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ34aと、この定着ローラ34aに対して所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ34bを備えている。定着後搬送路35は、定着装置34の上方に配設され、定着後搬送路35の上端で、排紙路36と反転搬送路41に分岐している。
【0029】
この分岐部に切替部材42が配置され、切替部材42はその揺動軸42aを軸として揺動駆動するようになっている。また排紙路36の開口端近傍には排紙ローラ対37が配設されている。
【0030】
反転搬送路41は、分岐部との他端で給送路31に合流している。反転搬送路41の途中には、反転搬送ローラ対43が配設されている。排紙トレイ44は、カラーレーザプリンタ200の上部に、カラーレーザプリンタ200の内側方向に凹形状を形成して、設置されている。
【0031】
粉体収容器10(例えばトナー収容器)は、転写装置15とトレイ100の間に配置されている。そして、粉体収容器10は、カラーレーザプリンタ200の本体に対して着脱自在に装着されている。
【0032】
本実施形態のカラーレーザプリンタ200は、転写紙搬送の関係により給送ローラ47から2次転写ローラ20までの所定の距離が必要である。この距離に生じたデッドスペースに粉体収容器10を設置し、レーザプリンタ全体の小型化を図っている。
【0033】
転写カバー8は、トレイ100の上部で、給送トレイの引出方向正面に設置されている。そして、この転写カバー8を開くことで、カラーレーザプリンタ200の内部を点検可能にしている。転写カバー8には、手差し給送用の手差し給送ローラや及び手差し給送用の手差し給送トレイが設置されている。
【0034】
なお、本実施形態に係るカラーレーザプリンタ200は、レーザ光源を備える画像形成部を用いて構成される例であるが、本発明に係る画像形成装置の一例であって、これに限定されるものではない。即ち、本発明に係る画像形成装置は複写機、ファクシミリ、プリンタ、印刷機、及びインクジェット記録装置のいずれか一つも相当する者として構成してもよい。
【0035】
また、これらの少なくとも2つ以上の機能・装置を組み合わせた複合機として構成してもよい。また、当該複合機においてスキャナなど画像読取部を備え、シート状部材に表現された画像を読み取って排出する排出装置を備える画像読取装置であってもよい。
【0036】
<画像形成装置の動作>
次に、本実施形態に係るカラーレーザプリンタ200の基本的動作について
図2を参照して説明する。最初に、片面印刷を行う場合について説明する。給送ローラ47は、
図2に示すように、カラーレーザプリンタ200の制御部からの給送信号によって回転する。そして、給送ローラ47は、トレイ100に積載された束状の用紙Pの最上位の用紙のみを分離し、給送路31へ送り出す。
【0037】
給送ローラ47によって送り出された用紙Pは、その先端がタイミングローラ対14の2次転写分離ニップに到達すると、弛みを形成し、その状態で待機する。そして、中間転写ベルト16上に形成されたトナー画像をこの用紙に転写する最適なタイミング(同期)を図ると共に、用紙Pの先端スキューを補正する。
【0038】
手差しによる給送の場合は、手差し給送トレイに積載された束状用紙が、最上位の用紙から一枚ずつ手差し給送ローラによって反転搬送路41の一部を通過して、タイミングローラ対14の2次転写分離ニップまで搬送される。以後の動作はトレイ100からの給送と同様である。
【0039】
ここで、画像形成動作については、1つのプロセスユニット1Kを説明し、他のプロセスユニット1Y、1M、1Cについてのその説明を省略する。まず、帯電装置4Kは、像担持体2Kの表面を高電位に均一に帯電する。
【0040】
そして、露光器7は、画像データに基づいたレーザビームLを像担持体2Kの表面に照射する。そして、レーザビームLが照射された像担持体2Kの表面は、照射された部分の電位が低下して、静電潜像を形成する。
【0041】
そして、現像装置5Kは、トナーボトル6Kから供給された未使用のブラックトナーを静電潜像が形成された像担持体2Kの表面部分に転移させる。そして、トナーが転移した像担持体2Kは、その表面にブラックトナー画像を形成(現像)する。そして、像担持体2K上に形成されたトナー画像を中間転写ベルト16に転写する。
【0042】
ドラムクリーニング装置3Kは、中間転写行程を経た後の像担持体2Kの表面に付着している残留トナーを除去する。除去された残留トナーは、廃トナー搬送手段によって、プロセスユニット1K内にある廃トナー収容部へ送られ回収される。また、除電装置は、ドラムクリーニング装置3Kによって残留トナーが除去された像担持体2Kの残留電荷を除電する。
【0043】
各色のプロセスユニット1Y、1M、1Cにおいても、同様にして像担持体2Y、2M、2C上にトナー画像を形成し、各色トナー画像重なり合うように中間転写ベルト16に転写する。
【0044】
各色トナー画像が重なり合うように転写された中間転写ベルト16は、2次転写ローラ20と駆動ローラ18の2次転写分離ニップまで走行した際に、中間転写ベルト16上のトナー画像をタイミングローラ対14によって送り出された用紙Pに転写する。
【0045】
ここで、用紙Pは、中間転写ベルト16上に重畳転写して形成されたトナー像が好適に転写されるタイミングに合わせ、2次転写分離ニップに送り出される。そして、送り出された用紙Pは、2次転写分離ニップで中間転写ベルト16上に形成されたトナー像が所望の転写位置に高精度に転写される。
【0046】
トナー画像が転写された用紙Pは、転写後搬送路33を通って定着装置34へと搬送される。そして、定着装置34に搬送された用紙Pは、定着ローラ34aと加圧ローラ34bによって挟まれ、加熱・加圧することで未定着トナー画像が定着される。トナー画像が定着された用紙Pは、定着装置34から定着後搬送路35へ送り出される。
【0047】
切替部材42は、定着装置34から用紙Pが送り出されたタイミングでは、
図2の実線で示すように定着後搬送路35の上端近傍を開放している位置にある。そして、定着装置34から送り出された用紙Pは、定着後搬送路35を経由して排紙路36へ送り出される。排紙ローラ対37は、排紙路36へ送り出された用紙Pを挟み込み、回転駆動することで排紙トレイ44に排出することで片面印刷を終了する。
【0048】
次に、両面印刷を行う場合について説明する。片面印刷の場合と同様に、定着装置34は用紙Pを排紙路36へ送り出す。そして、両面印刷を行う場合、排紙ローラ対37は、回転駆動によって用紙Pの一部をカラーレーザプリンタ200外に搬送する。
【0049】
そして、用紙Pの後端が、排紙路36を通過すると、切替部材42は、
図2の点線で示すように揺動軸42aを軸として揺動し、定着後搬送路35の上端を閉鎖する。そして、この定着後搬送路35の上端の閉鎖とほぼ同時に、排紙ローラ対37は、用紙Pをカラーレーザプリンタ200外へ搬送する方向と逆の方向に回転し、反転搬送路41へ送り出す。
【0050】
反転搬送路41へ送り出された用紙Pは、反転搬送ローラ対43を経て、タイミングローラ対14に至る。そして、タイミングローラ対14は、中間転写ベルト16上に形成されたトナー画像を用紙Pのトナー画像未転写面に転写する最適なタイミング(同期)を図り、用紙Pを2次転写分離ニップへ送り出す。
【0051】
そして、2次転写ローラ20と駆動ローラ18は、用紙Pが2次転写分離ニップを通過する際に、用紙Pのトナー画像未転写面にトナー画像を転写する。そして、トナー画像が転写された用紙Pは、転写後搬送路33を通って定着装置34へと搬送される。
【0052】
定着装置34は、定着ローラ34aと加圧ローラ34bによって、搬送された用紙Pを挟み、加熱・加圧することで未定着トナー画像を用紙Pに定着する。そして、トナー画像が定着された用紙Pは、定着装置34から定着後搬送路35へ送り出される。
【0053】
切替部材42は、定着装置34から用紙Pが送り出されたタイミングでは、
図2の実線で示すように定着後搬送路35の上端近傍を開放している位置にある。そして、定着装置34から送り出された用紙Pは、定着搬送路を経由して排紙路36へ送り出される。排紙ローラ対37は、排紙路36へ送り出された用紙Pを挟み、回転駆動し排紙トレイ44に排出することで両面印刷を終了する。
【0054】
また、中間転写ベルト16上のトナー画像を用紙Pに転写した後、中間転写ベルト16上には残留トナーが付着している。そして、ベルトクリーニング装置21は、この残留トナーを中間転写ベルト16から除去する。また、中間転写ベルト16から除去されたトナーは、廃トナー搬送手段によって、粉体収容器10へと搬送され、粉体収容器10内に回収される。
【0055】
以上の構成において用紙Pに画像が形成される。画像が形成された用紙Pは、カラーレーザプリンタ200の外部(機外)に搬出される。
【0056】
次に、トレイ100における用紙Pの給送方式について
図3を用いて説明する。
図3は、トレイ100を速報からみた縦断面図である。
図3に示すように、給送ローラ47は機器本体側に配設されている。また、底板46、受け台49はそれぞれトレイ100に配設されている。
【0057】
給送ローラ47は給送ローラ軸50と、Dカットもしくはピンなどで回転止めされ、軸受を介して機器本体に支持されている。給送ローラ軸50は
図3の紙面と垂直方向(以下、幅方向)に伸びている。この給送ローラ軸50の軸端には、駆動ギヤが取り付けられている。この駆動ギヤは、複数のアイドルギヤまたはクラッチやソレノイドなどの駆動連結部材を介して、モータ等の駆動源に連結されている。当該駆動源から給送ローラ軸50に駆動力が伝達され、給送ローラ47が
図3で反時計回りに回転動作するよう構成されている。
【0058】
前記駆動連結部材の連結時間及び駆動源の停止時間を制御することにより、給送ローラ47が所定のタイミングで間欠動作するように構成されている。給送ローラ47は、用紙Pに所定の搬送力を付与することができるように、その表層部分が高摩擦係数のゴムで構成されている。そして、前記駆動連結部材の連結時間及び駆動源の停止時間を制御することにより、用紙Pを給送する。
【0059】
給送ローラ47の寸法は、例えば直径36mm、幅45mmで構成することができる。当該寸法は、給送装置の対応すべき用紙Pの種類や機器内のスペースに応じて、適正な給送ローラ寸法を選択することができる。
【0060】
トレイ100の底板46は、トレイ100内に設けられた底板回動軸51にて、回動可能に軸支されている。そして底板46は、バネによって常時上方に付勢されている。用紙Pはこの底板46の上に載置され、最上の用紙Pは給送ローラ47と当接している。用紙Pは、前記バネの付勢力と給送ローラ47の摩擦係数とにより搬送力を付与され、
図3の右方向へ搬送可能とされている。
【0061】
底板46の先端部には高摩擦係数のパッド材である底板パッド52が設置されている。最下の用紙Pに一定の負荷を与えるようにしている。これにより、最下の用紙Pと最下から2枚目の用紙Pが重送されることを防ぐことが可能となる。
【0062】
<給送トレイの実施形態>
次に本発明に係る給送トレイの実施形態について説明する。
図4は、本実施形態に係るトレイ100の構造を例示する分解斜視図である。
図5は、トレイ100をいわゆる「大トレイ構成」として設定した状態を示す組立斜視図である。
図4に示すように、トレイ100は、トレイ本体部であるトレイ前部101、トレイ拡張部であるトレイ後部102と、搬送ガイド部であるトレイガイド103と、外装部であるフロントパネル104と、を主要部として備えている。トレイ前部101とトレイ後部102によって、用紙Pの収納空間が形成される。
【0063】
また、トレイ100の一部を構成するトレイ後部102において、保持部材であるエンドフェンスホルダ111が保持されている。エンドフェンスホルダ111は、トレイ後部102に接する2つの端部を軸として回動可能に保持される。エンドフェンスホルダ111の詳細については、後述する。
【0064】
図5は、トレイ100を略最大伸長状態に設定した大トレイ構成を例示している。
図5に示すように、トレイ前部101には、一対のサイドフェンスである右サイドフェンス105と左サイドフェンス106、及び底板46が設けられている。
【0065】
一対のサイドフェンス(右サイドフェンス105と左サイドフェンス106)は、ラックを備えており、このラックに噛み合うピニオンギヤを介して双方が相対方向に移動することにより収納する用紙Pの幅に対応する位置に設定できる。右サイドフェンス105と左サイドフェンス106によって、用紙Pの幅方向端縁の位置を規制することで、用紙Pの斜行などを防ぐことができる。
【0066】
図5に示すように、底板46は、トレイ前部101に形成された支点に嵌合していて、スプリングによって支点と反対側の端部(前方端部)を上昇させることができる。これによって、用紙Pの前方端部を上昇させることができ、トレイ100を備える本体に配置される給送ローラ47に用紙Pを圧接させるようになっている。
【0067】
図4及び
図5に示すように、トレイ後部102は、トレイ前部101に一部が挿嵌されてスライド可能に取付けられることによりトレイ100を伸縮させる部分である。トレイ後部102は、底面外側表面に設けられている外れ防止爪をトレイ前部101の底部に形成された溝に挿嵌させることにより、最大伸長時にトレイ前部101から外れることがないように構成されている。
【0068】
図5においてトレイ後部102には、スライド位置でトレイ後部102を保持するための構成として、ロック部材120がトレイ前部101におけるトレイ後部102側の端部内面に設けられている。ロック部材120は、トレイ後部102に対して進退可能な突起部材が設けられており、トレイ後部102側に突起部材が入り込むことでトレイ後部102をスライド位置で保持することができる。
【0069】
ロック部材120が有する突起部材は、利用者により操作される部材である。ロック部材120の表面には、ロック部材120が有する突起部材の進退位置に対応してこの突起部材の保持位置と保持解除位置とが表示されている。利用者は、ロック部材120が有する突起部材がロック部材120における表示内容を識別することでトレイ後部102の保持状態を確認できるようになっている。これによって、利用者の意志に基づきトレイ後部102をスライドさせる場合以外は不用意にスライドさせるようなことがないように構成されている。
【0070】
ロック部材120における表示部は、トレイ後部102をスライドさせる必要がない場合、いわゆる、固定サイズの場合には、突起部材に代えて目隠し部材を配置することにより覆い隠すことができるようになっている。これにより、トレイ100が固定のサイズを対象としていることを利用者に識別させやすいようにできる。
【0071】
トレイ前部101には、
図4及び
図5に示すように、伸縮方向と直角な方向の中央付近に後端規制部であるエンドフェンス107が配置されている。エンドフェンス107は、用紙Pの幅方向中央において、伸縮方向に対する用紙Pの後端の位置を規制する部材である。エンドフェンス107は、トレイ前部101の内側の底面に形成されたガイド部であるエンドフェンスガイド部110に嵌合している。エンドフェンス107は、エンドフェンスガイド部110によってトレイ100の前後方向においてスライド可能になっている。エンドフェンスガイド部110は、用紙Pの伸縮方向と直角な方向の中央部が長溝部を備え、この長溝内にエンドフェンス107の底面に設けられたピンが挿通されて移動する際の摺動ガイド部として機能するようになっている。
【0072】
<後端規制部の実施形態>
次に、後端規制部であるエンドフェンス107と、エンドフェンス107をトレイ後部102において摺動可能に保持する保持部であるエンドフェンスホルダ111について詳細に説明する。
【0073】
図6は、エンドフェンスホルダ111に保持された状態のエンドフェンス107を示す斜視図である。
図6に示すように、エンドフェンスホルダ111は、エンドフェンス107をスライド移動させるためのレール部132に保持されている。レール部132の中央部分には、溝部131が設けられている。エンドフェンス107のフック部が溝部131にはまり込んでいて、エンドフェンス107が上方に外れない構成になっている。
【0074】
エンドフェンスホルダ111の溝部131は、トレイ前部101に設けられているエンドフェンスガイド部110に連結できる構成になっている。
【0075】
また、エンドフェンスホルダ111は、レール部132の長さ方向に沿ってラッチ部133と定形溝部134を備えている。ラッチ部133は、エンドフェンス107を所定の位置において停止させるための穴であって、エンドフェンス107の幅方向の端部に形成されている突起が、この穴に嵌合するように構成されている。定形溝部134は、用紙Pの定形サイズ(例えば、A4T、B5T、A5Tなど)に相当する位置にエンドフェンス107を停止させるための目印として機能する。
【0076】
図6に示すように、エンドフェンス107は、第1ロック部材150と、第2ロック部材160と、により構成されている。エンドフェンス107は、弾性アーム部162の爪部を定形溝部134に嵌め込むことにより、定位置で停止する。また、本体弾性アーム部152の爪部(ラッチ爪)をラッチ部133に噛み込ませることで、停止する。ラッチ部133のピッチによって、停止するピッチは異なる。例えば、ラッチ部133のピッチは1mm間隔である。
【0077】
<保持部の実施形態>
図7は、本発明に係る保持部の実施形態であるエンドフェンスホルダ111の平面図である。
図7に示すようにエンドフェンスホルダ111は、略多角形の外周形状を有していて、それぞれの角には、横方向に延伸された支点部137が形成されている。エンドフェンスホルダ111の幅方向における中央部分には、溝部131が形成されている。溝部131の両側方には、溝部131の長手方向に沿ってレール部132が形成されている。レール部132は、トレイ前部101に形成されているエンドフェンスガイド部110と連結する構造を備えていて、後述する大トレイ構成において、エンドフェンス107を摺動可能に保持する。したがって、エンドフェンスホルダ111には、エンドフェンス107(
図6参照)を定形サイズに適する位置において停止させる目安としての刻印136が設けられている。
【0078】
図8は、エンドフェンスホルダ111にエンドフェンス107を固定した状態を示す上面図である。
図8に示すように、本実施形態において例示した刻印136は「LG」である。この刻印136に合わせることで、用紙Pのサイズが「LG」の場合に適する位置にエンドフェンス107を停止させることができる。
【0079】
図9は、エンドフェンス107が固定されたエンドフェンスホルダ111を用いて、トレイ100を大トレイ構成にしたときのエンドフェンスホルダ111と、トレイ前部101及びトレイ後部102の状態を示している。
【0080】
図9に示すように、大トレイ構成では、トレイ前部101とトレイ後部102の間に配置されるエンドフェンスホルダ111が、トレイ前部101を後方に延伸させる態様で配置される。この連結態様を第1連結態様とする。
図9に示すように、第1連結態様では、エンドフェンスホルダ111がトレイ前部101の底面に沿った態様で固定される。
【0081】
トレイ前部101の後端部分(
図9においてトレイ前部101の下方の端部)には、エンドフェンスホルダ111を保持するための前方凹部121が形成されている。また、トレイ後部102の前端部分(
図9においてトレイ後部102の上方の端部)には、後方凹部122が形成されている。エンドフェンスホルダ111の前方の支点部137を前方凹部121に押し込んで固定し、後方の支点部137を後方凹部122に押し込んで固定する。このようにエンドフェンスホルダ111をトレイ前部101とトレイ後部102に対して固定することで、トレイ前部101とトレイ後部102がエンドフェンスホルダ111により連結固定される。
【0082】
エンドフェンスホルダ111によって、トレイ前部101とトレイ後部102が連結固定されると、トレイ前部101に形成されているエンドフェンスガイド部110がエンドフェンスホルダ111のレール部132によって、後方に延伸される。これによって、エンドフェンスホルダ111のスライド可能範囲が延長されるので、トレイ後部102の最後部にエンドフェンス107を設定することもできる。即ち、トレイ100を大トレイ構成にするときは、トレイ前部101とトレイ後部102の間に配置するエンドフェンスホルダ111を、トレイ前部101を延伸する対象で固定すればよい。
【0083】
次に、トレイ100を小トレイ構成にするときのエンドフェンスホルダ111、トレイ前部101及びトレイ後部102について説明する。
図10(a)は、小トレイ構成にしたときのエンドフェンスホルダ111の態様を示す平面図である。
図10(b)は、小トレイ構成にしたときのエンドフェンスホルダ111の態様を示す側面図である。
【0084】
図9を用いて説明した大トレイ構成の状態から、
図10に示す小トレイ構成の状態に変更する方法について説明する。まず、
図9に示したように大トレイ構成になっているトレイ100において、エンドフェンスホルダ111の前方の支点部137をトレイ前部101の前方凹部121から取り外す。
【0085】
次に、エンドフェンスホルダ111の後方の支点部137はトレイ後部102の後方凹部122に嵌め込んだままの状態で、この後方の支点部137を回転軸として、エンドフェンスホルダ111の前方の端部(トレイ前部101から取り外した側)を持ち上げる。そのまま、トレイ前部の前方の端部をトレイ後部102側(トレイ後部102の後部壁面)に近づける。この動作によって、エンドフェンスホルダ111は、トレイ後部102の後部壁面に立てかけられたような状態になる。これによって、トレイ前部101とトレイ後部102が分離する。
【0086】
次に、
図10(b)に示すように、エンドフェンスホルダ111に形成されている保持部材凸部126を、トレイ後部102の壁面に形成されているトレイ後凹部125に嵌合させる。即ち、一旦、エンドフェンスホルダ111とトレイ前部101から取り外し、再度、エンドフェンスホルダ111にトレイ前部101を固定する。これによって、エンドフェンスホルダ111がトレイ後部102に固定される。この連結態様を第2連結態様とする。
【0087】
次に、
図10(b)に示すように、エンドフェンスホルダ111が備える保持部材ツバ部124に、トレイ前部101の後端部に形成されているトレイ前引っ掛け部123を嵌め込む。これによって、エンドフェンスホルダ111がトレイ後部102に固定される。また、トレイ後部102に固定されているエンドフェンスホルダ111によってトレイ前部101も固定される。
【0088】
この場合、トレイ前部101とトレイ後部102の前後方向の距離は短くなっているので、トレイ100全体の長さ寸法は短くなる。したがって、小トレイ構成になる。
【0089】
第2連結態様である小トレイ構成から、第1連結態様である大トレイ構成に変更するときは、まず、トレイ後凹部125から保持部材凸部126を外す。続いて、エンドフェンスホルダ111の保持部材ツバ部124をトレイ前引っ掛け部123から外す。これによって、エンドフェンスホルダ111からトレイ前部101が取り外される。
【0090】
このときに、エンドフェンスホルダ111の後方の支点部137はトレイ後部102の後方凹部122に嵌め込んだままでも、トレイ前部101を取り外せるように、あらかじめ、後方凹部122を深く形成しておいてもよい。
【0091】
続いて、エンドフェンスホルダ111を前方に倒して、トレイ前部101に嵌合する。以上のような手順によって、小トレイ構成から大トレイ構成への変更を行うことができる。
【0092】
なお、トレイ構成の変更をするときには、あらかじめエンドフェンス107をトレイ前部101のエンドフェンスガイド部110側にスライドさせておく。これによって、トレイ構成を変更しても、エンドフェンス107の位置を変更する操作は、同じように行うことができるようになる。即ち、利用者における操作性を変えることなく、トレイ100の構成を変更することができる。
【0093】
以上説明したように、本実施形態に係るトレイ100では、大トレイ構成(第1連結態様)と小トレイ構成(第2連結態様)の変更を容易に行うことができる。また、第1連結態様と第2連結態様のいずれにおいても、エンドフェンス107の操作は同じ様に行える。したがって、トレイ100であれば、利用者の利便性を向上させることができる。