(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記対象装置が停止してから再起動後、前記第1判定部によって、前記測定部により測定された前記摩耗度が前記所定の条件を満たすと判定された場合、表示部に前記工具に対して作業を行ったか否かを確認するためのダイアログを表示させる表示制御部を、さらに備え、
前記書込部は、前記ダイアログにおいて、入力部を介して前記工具に対して作業を行ったことを示す操作が入力された場合、前記第1ログを前記記憶部に書き込む請求項1に記載の診断装置。
前記表示制御部は、前記ダイアログにおいて前記入力部を介して前記工具に対して作業を行ったか否かを示す操作が入力された後、コメントを入力するためのコメントダイアログを表示させ、
前記書込部は、前記コメントダイアログにおいて、前記入力部を介して前記コメントが入力された場合、前記記憶部に、前記第1ログと関連付けて該コメントを書き込む請求項2または3に記載の診断装置。
前記表示制御部は、前記第1判定部によって、前記所定の条件として前記摩耗度が所定の閾値以上下がっていると判定された場合、前記ダイアログとして前記工具の調整または交換を行ったか否かを確認するための第3ダイアログを前記表示部に表示させ、
前記書込部は、
前記第3ダイアログにおいて、前記入力部を介して前記工具の調整を行ったことを示す操作が入力された場合、前記工具の調整を行った旨を示す前記第1ログを前記記憶部に書き込み、
前記第3ダイアログにおいて、前記入力部を介して前記工具の交換を行ったことを示す操作が入力された場合、前記工具の交換を行った旨を示す前記第1ログを前記記憶部に書き込む請求項2〜4のいずれか一項に記載の診断装置。
前記対象装置の前記工具の動作の種類ごとに定められた複数のコンテキスト情報のうち現在の該工具の動作に対応するコンテキスト情報を取得する第2取得部を、さらに備え、
前記書込部は、前記第2取得部により取得されたコンテキスト情報が示す前記工具の動作内容の第2ログを、前記第1ログと共に時系列に前記記憶部に書き込む請求項1〜6のいずれか一項に記載の診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照しながら、本発明に係る診断装置、診断システム、診断方法およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。また、以下の実施の形態によって本発明が限定されるものではなく、以下の実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、およびいわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下の実施の形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更および組み合わせを行うことができる。
【0010】
[第1の実施形態]
(診断システムの構成)
図1は、第1の実施形態に係る診断システムの全体構成の一例を示す図である。
図1を参照しながら、本実施形態に係る診断システムの構成について説明する。
【0011】
図1に示すように、診断システムは、加工機200と、診断装置100と、を含む。加工機200は、ドリルまたは砥石等の工具を用いて、加工対象に対して切削、研削または研磨等の加工を行う工作機械である。診断装置100は、加工機200の動作について異常の診断を行う装置である。加工機200は、診断装置100による診断の対象となる対象装置の一例である。
【0012】
加工機200と診断装置100とは、通信可能に接続されている。加工機200と診断装置100とは、どのような接続形態で接続されてもよい。例えば、加工機200と診断装置100とは、専用線、有線LAN(Local Area Network)等の有線ネットワーク、または、無線ネットワーク等により接続される。
【0013】
図1に示すように、センサ57は、加工機200に設置されたドリルまたは砥石等の工具が発する振動または音等の物理量を検知し、検知した物理量の情報を検知情報(センサデータ)として診断装置100へ出力する。センサ57は、例えば、マイク、加速度センサ、またはAE(Acoustic Emission)センサ等で構成される。
【0014】
なお、センサ57の個数は任意であってよい。また、同一の物理量を検知する複数のセンサ57を備えてもよいし、相互に異なる物理量を検知する複数のセンサ57を備えてもよい。
【0015】
(加工機のハードウェア構成)
図2は、第1の実施形態の加工機のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2を参照しながら、本実施形態の加工機200のハードウェア構成について説明する。
【0016】
図2に示すように、加工機200は、CPU(Central Processing Unit)51と、ROM(Read Only Memory)52と、RAM(Random Access Memory)53と、通信I/F(インターフェース)54と、駆動制御回路55と、モータ56と、がバス58で接続された構成となっている。
【0017】
CPU51は、加工機200の全体を制御する。CPU51は、例えば、RAM53をワークエリア(作業領域)としてROM52等に格納されたプログラムを実行することで、加工機200全体の動作を制御し、加工機能を実現する。
【0018】
通信I/F54は、診断装置100等の外部装置と通信するためのインターフェースである。駆動制御回路55は、モータ56の駆動を制御する回路である。モータ56は、ドリル、カッタ、および、テーブル等の加工に用いる工具を駆動する。センサ57は、加工機200の動作に応じて変化する物理量を検知し、検知情報を診断装置100へ出力する。
【0019】
(診断装置のハードウェア構成)
図3は、第1の実施形態に係る診断装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3を参照しながら、本実施形態に係る診断装置100のハードウェア構成について説明する。
【0020】
図3に示すように、診断装置100は、CPU61と、ROM62と、RAM63と、通信I/F64と、入出力I/F65と、入力装置66と、ディスプレイ67と、補助記憶装置68と、がバス69で接続された構成となっている。
【0021】
CPU61は、診断装置100の全体を制御する。CPU61は、例えば、RAM63をワークエリア(作業領域)としてROM62等に格納されたプログラムを実行することで、診断装置100全体の動作を制御し、診断機能を実現する。
【0022】
通信I/F64は、加工機200等の外部装置と通信し、センサ57から検知情報を受信するためのインターフェースである。
【0023】
入出力I/F65は、各種装置(例えば、入力装置66およびディスプレイ67)とバス69とを接続するためのインターフェースである。
【0024】
入力装置66は、文字および数字等の入力、各種指示の選択、ならびにカーソルの移動等の操作を行うためのマウスまたはキーボード等の入力装置である。
【0025】
ディスプレイ67は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字または画像等の各種情報を表示するLCD(Liquid Crystal Display)、プラズマディスプレイ、または有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイ等の表示装置である。
【0026】
補助記憶装置68は、診断装置100の設定情報、加工機200から受信された検知情報、加工機200の加工状態、工具の調整および交換等の記録を示すログ、OS(Operating System)、アプリケーションプログラム、ならびに各種データを記憶するHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、またはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)等の不揮発性の記憶装置である。なお、補助記憶装置68は、診断装置100が備えるものとしているが、これに限定されるものではなく、例えば、診断装置100の外部に設置された記憶装置であってもよく、または、診断装置100とデータ通信可能なサーバ装置が備えた記憶装置であってもよい。
【0027】
(診断システムの機能ブロックの構成および動作)
図4は、第1の実施形態に係る診断システムの機能ブロックの構成の一例を示す図である。
図5は、第1の実施形態においてポップアップ表示をどのタイミングで行うかを説明する図である。
図4および
図5を参照しながら、本実施形態に係る診断システムの機能ブロックの構成および動作について説明する。
【0028】
図4に示すように、本実施形態に係る診断システムは、診断装置100と、加工機200と、を含む。
【0029】
加工機200は、数値制御部201と、通信制御部202と、駆動制御部203と、駆動部204と、検知部211と、を有する。
【0030】
数値制御部201は、駆動部204による加工を数値制御(NC:Numerical Control)により実行する機能部である。例えば、数値制御部201は、駆動部204の動作を制御するための数値制御データを生成して出力する。また、数値制御部201は、コンテキスト情報を通信制御部202に出力する。ここで、コンテキスト情報とは、加工機200の動作の種類ごとに複数定められる情報である。コンテキスト情報は、例えば、駆動部204を識別する情報、駆動部204の動作状態、駆動部204の回転数、駆動部204の回転速度、駆動部204に係る負荷、駆動部204の大きさ、および、駆動部204の使用開始からの累積使用時間等を示す情報である。
【0031】
数値制御部201は、例えば、現在の加工機200の動作を示すコンテキスト情報を、通信制御部202を介して診断装置100に送信する。数値制御部201は、加工対象を加工する際、加工の工程に応じて、駆動する駆動部204の種類、駆動部204の駆動状態(回転数、回転速度等)を変更する。数値制御部201は、動作の種類を変更するごとに、変更した動作の種類に対応するコンテキスト情報、および工具ごとの加工回数の情報を、通信制御部202を介して診断装置100に逐次送信する。数値制御部201は、例えば、
図2に示すCPU51で動作するプログラムによって実現される。
【0032】
通信制御部202は、診断装置100等の外部装置との間の通信を制御する機能部である。例えば、通信制御部202は、現在の動作に対応するコンテキスト情報を診断装置100に送信する。通信制御部202は、例えば、
図2に示す通信I/F54、およびCPU51で動作するプログラムによって実現される。
【0033】
駆動制御部203は、数値制御部201により求められた数値制御データに基づいて、駆動部204を駆動制御する機能部である。駆動制御部203は、例えば、
図2に示す駆動制御回路55によって実現される。
【0034】
駆動部204は、駆動制御部203による駆動制御の対象となる機能部である。駆動部204は、駆動制御部203によって駆動制御されるアクチュエータ、および工具であり、例えば、
図2に示すモータ56、および、モータ56により回転駆動されるドリルまたは砥石等の工具によって実現される。
【0035】
検知部211は、加工機200に設置されたドリルまたは砥石等の工具が発する振動または音等の物理量を検知し、検知した物理量の情報を検知情報(センサデータ)として診断装置100へ出力する機能部である。検知部211は、
図2に示すセンサ57によって実現される。
【0036】
なお、
図4に示す数値制御部201および通信制御部202は、
図2に示すCPU51にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。
【0037】
診断装置100は、通信制御部101と、加工情報取得部102(第2取得部)と、加工回数取得部103(第3取得部)と、測定部104と、ポップアップ表示設定部105と、動作判定部106(第2判定部)と、摩耗判定部107(第1判定部、判定部)と、記憶部108と、入力部109と、表示制御部110と、表示部111と、ログ書込部112(書込部)と、を有する。
【0038】
通信制御部101は、加工機200等の外部装置との間の通信を制御する機能部である。通信制御部101は、例えば、
図3に示す通信I/F64、およびCPU61で動作するプログラムによって実現される。通信制御部101は、第1受信部101aと、第2受信部101b(第1取得部、取得部)と、送信部101cと、を有する。
【0039】
第1受信部101aは、加工機200の数値制御部201から、通信制御部202を介して、コンテキスト情報、および工具ごとの加工回数の情報を受信する機能部である。第2受信部101bは、加工機200に設置された検知部211から検知情報を受信する機能部である。送信部101cは、加工機200等の外部装置に対して各種情報を送信する機能部である。
【0040】
加工情報取得部102は、加工機200から、第1受信部101aにより受信されたコンテキスト情報(加工情報)を取得する機能部である。加工情報取得部102は、例えば、
図3に示すCPU61で動作するプログラムによって実現される。
【0041】
加工回数取得部103は、加工機200から、第1受信部101aにより受信された工具ごとの加工回数を取得する機能部である。加工回数取得部103は、例えば、
図3に示すCPU61で動作するプログラムによって実現される。
【0042】
測定部104は、第2受信部101bにより受信された検知部211の検知情報(センサデータ)に基づいて、加工機200のドリルまたは砥石等の工具の摩耗の度合い(摩耗度)を測定する機能部である。ここで、摩耗度とは、例えば、新品のドリルまたは砥石等の工具の径に対してどれだけの長さが摩耗したかを示す値であるものとする。測定部104は、例えば、
図3に示すCPU61で動作するプログラムによって実現される。
【0043】
ポップアップ表示設定部105は、どのような条件で調整確認ダイアログまたは交換確認ダイアログをポップアップ表示させるかを設定する機能部である。例えば、ポップアップ表示設定部105は、作業者によって入力部109を介して入力される操作に基づいて、ポップアップ表示の条件を設定するものとしてもよい。以下の説明では、ポップアップ表示設定部105は、
図5に示すように、加工機200の加工動作が停止し、工具(
図5における「刃」)を調整(作業の一例)または交換(作業の一例)した後、次に加工動作が開始され、摩耗判定部107により摩耗度が所定の閾値以上下がっている(所定の条件の一例)と判定された場合、調整確認ダイアログをポップアップ表示させ、摩耗度が0となっている(所定の条件の一例)と判定された場合、交換確認ダイアログをポップアップ表示させるという条件を設定しているものとする。なお、ここで、工具の交換とは、工具の交換作業自体だけではなく、それに付随する調整作業等を含む概念であるものとする。また、摩耗度が0となっているとは、厳密に0を示すものではなく、0と見なせる程度の微小値となっていることも包含する概念であるものとする。ポップアップ表示設定部105は、例えば、
図3に示すCPU61で動作するプログラムによって実現される。
【0044】
動作判定部106は、第1受信部101aにより受信されたコンテキスト情報に基づいて、加工機200の動作状態(どの工具がどのような動作をしているか、等)を判定する機能部である。動作判定部106は、例えば、
図3に示すCPU61で動作するプログラムによって実現される。
【0045】
摩耗判定部107は、測定部104により測定される工具の摩耗度がどのくらい下がったかを判定する機能部である。摩耗判定部107は、例えば、
図3に示すCPU61で動作するプログラムによって実現される。
【0046】
記憶部108は、診断装置100による診断機能で必要な各種情報、ならびに、加工機200の加工状態、工具の調整および交換等の記録を示すログ等を記憶する機能部である。記憶部108は、例えば、
図3に示す補助記憶装置68によって実現される。
【0047】
入力部109は、文字および数字等の入力、各種指示の選択、ならびにカーソルの移動等の操作を行うための機能部である。入力部109は、
図3に示す入力装置66によって実現される。
【0048】
表示制御部110は、表示部111の表示動作を制御する機能部である。表示制御部110は、例えば、
図3に示すCPU61で動作するプログラムによって実現される。表示制御部110は、摩耗表示制御部110aと、ポップアップ表示制御部110bと、を有する。
【0049】
摩耗表示制御部110aは、例えば、測定部104によって測定された工具の摩耗度を表示部111に表示させる機能部である。ポップアップ表示制御部110bは、ポップアップ表示設定部105によって設定されたポップアップ表示の条件に従って、調整確認ダイアログまたは交換確認ダイアログを表示部111に表示させる機能部である。
【0050】
表示部111は、表示制御部110による制御に従って各種情報を表示する機能部である。表示部111は、例えば、
図3に示すディスプレイ67によって実現される。
【0051】
ログ書込部112は、第1受信部101aにより受信されたコンテキスト情報、および、調整確認ダイアログまたは交換確認ダイアログを介して入力された内容に従って工具が調整または交換された旨を、ログとして記憶部108に書き込む(記録する)機能部である。ログ書込部112は、例えば、
図3に示すCPU61で動作するプログラムによって実現される。
【0052】
なお、
図4に示す通信制御部101、加工情報取得部102、加工回数取得部103、測定部104、ポップアップ表示設定部105、動作判定部106、摩耗判定部107、表示制御部110、およびログ書込部112は、上述のように
図3に示すCPU61にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。
【0053】
また、
図4に示した加工機200および診断装置100の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図4で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、
図4の1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0054】
(ログ記録処理)
図6は、第1の実施形態のログ記録処理の動作の一例を示すフローチャートである。
図7は、第1の実施形態においてポップアップ表示されるダイアログの一例を示す図である。
図8は、第1の実施形態の工具調整時のログの一例を示す図である。
図9は、第1の実施形態の工具交換時のログの一例を示す図である。
図6〜
図9を参照しながら、本実施形態に係る診断装置100のログ記録処理について説明する。
【0055】
<ステップS11>
加工機200の数値制御部201は、駆動制御部203に対して、駆動部204による加工動作を停止させる。数値制御部201は、駆動部204による加工動作が停止したことを示すコンテキスト情報を、通信制御部202を介して、診断装置100の第1受信部101aに送信する。
【0056】
診断装置100の加工情報取得部102は、第1受信部101aにより受信された、特定の工具による加工動作が停止したことを示すコンテキスト情報を取得する。ログ書込部112は、加工情報取得部102により取得されたコンテキスト情報の内容を、記憶部108に時系列にログとして記録する。例えば、工具「ドリル1」による加工が停止した場合、ログ書込部112は、
図8に示すように、加工が停止した日時と、「ドリル1」による加工が停止した旨とを対応付けて、ログ(第2ログの一例)として記憶部108に記録する。
【0058】
<ステップS12>
作業者は、加工機200による加工動作が停止したことを確認すると、駆動部204の工具の位置を調整、または工具の交換を行う。そして、ステップS13へ移行する。
【0059】
<ステップS13>
作業者は、工具の調整または交換を行った後、加工機200を起動させ、加工動作を再開させる。そして、ステップS14へ移行する。
【0060】
<ステップS14>
検知部211は、加工動作を再開した駆動部204の工具が発する物理量を検知し、検知した物理量の情報を検知情報(センサデータ)として診断装置100の第2受信部101bへ出力する。動作判定部106は、第1受信部101aにより受信されたコンテキスト情報により加工動作が再開されたことを判定する。測定部104は、動作判定部106により加工機200の加工動作が再開されたことが判定された後、第2受信部101bにより受信された検知情報に基づいて、加工機200の工具の摩耗度を測定する。摩耗判定部107は、摩耗度がどの程度変化したか判定する。摩耗度が所定の閾値以上下がった場合(ステップS14:「下がる」)、ステップS15へ移行し、摩耗度が0となっている場合(ステップS14:「0になる」)、ステップS16へ移行し、摩耗度が上がる等の想定外の値を示す場合(ステップS14:「それ以外」)、ステップS17へ移行する。
【0061】
<ステップS15>
摩耗判定部107により摩耗度が所定の閾値以上下がったと判定された場合、ポップアップ表示制御部110bは、工具が調整されたものと推測し、
図7に示すような調整確認ダイアログ501(第1ダイアログの一例)を表示部111にポップアップ表示させる。そして、ステップS18へ移行する。
【0062】
<ステップS16>
摩耗判定部107により摩耗度が0となっていると判定された場合、ポップアップ表示制御部110bは、工具が交換されたものと推測し、
図7に示すような交換確認ダイアログ502(第2ダイアログの一例)を表示部111にポップアップ表示させる。そして、ステップS18へ移行する。
【0063】
<ステップS17>
摩耗判定部107により摩耗度が想定外の値を示す場合、ポップアップ表示制御部110bは、摩耗度が異常である場合の処理として、例えば、摩耗度が異常である旨等を示すダイアログを表示部111にポップアップ表示させる。これによって、ログ記録処理を終了する。
【0064】
なお、摩耗判定部107により摩耗度が想定外の値を示す場合、さらに、ログ書込部112は、摩耗度が異常である旨を示すログを記憶部108に書き込むものとしてもよい。
【0065】
<ステップS18>
作業者は、表示部111に表示されたダイアログ(調整確認ダイアログ501または交換確認ダイアログ502)を確認し、入力部109を介して所望の操作入力を行う。そして、ステップS19へ移行する。
【0066】
<ステップS19>
例えば、
図7に示すように、表示部111に調整確認ダイアログ501が表示されている場合であって、作業者が入力部109を介して「はい」ボタンを押下した場合、ログ書込部112は、
図8に示すように、工具を調整した日時と、調整した旨「☆調整」とを対応付けて、ログ(第1ログ)として記憶部108に記録する。そして、ポップアップ表示制御部110bは、調整確認ダイアログ501を閉じる。なお、「☆」は、工具の調整または交換についてのログであることを示す。
【0067】
一方、表示部111に調整確認ダイアログ501が表示されている場合であって、作業者が入力部109を介して「いいえ」ボタンを押下した場合、ポップアップ表示制御部110bは、表示部111のダイアログの表示を調整確認ダイアログ501から交換確認ダイアログ502に遷移させる。そして、表示部111に交換確認ダイアログ502が表示されている場合であって、作業者が、工具を調整ではなく交換したことにより、入力部109を介して「はい」ボタンを押下した場合、ログ書込部112は、
図9に示すように、工具を交換した日時と、交換した旨「☆交換」とを対応付けて、ログ(第1ログ)として記憶部108に記録する。そして、ポップアップ表示制御部110bは、交換確認ダイアログ502を閉じる。一方、表示部111に交換確認ダイアログ502が表示されている場合であって、作業者が入力部109を介して「いいえ」ボタンを押下した場合、ログ書込部112は、ログを記録せず、ポップアップ表示制御部110bは、交換確認ダイアログ502を閉じる。
【0068】
また、
図7に示すように、表示部111に交換確認ダイアログ502が表示されている場合であって、作業者が入力部109を介して「はい」ボタンを押下した場合、ログ書込部112は、
図9に示すように、工具を交換した日時と、交換した旨「☆交換」とを対応付けて、ログ(第1ログ)として記憶部108に記録する。そして、ポップアップ表示制御部110bは、交換確認ダイアログ502を閉じる。一方、表示部111に交換確認ダイアログ502が表示されている場合であって、作業者が入力部109を介して「いいえ」ボタンを押下した場合、ログ書込部112は、ログを記録せず、ポップアップ表示制御部110bは、交換確認ダイアログ502を閉じる。
【0069】
これによって、ログ記録処理を終了する。
【0070】
なお、上述のステップS19の説明では、調整確認ダイアログ501で「いいえ」ボタンが押下された場合、交換確認ダイアログ502に遷移するものとしているが、これに限定されるものではない。例えば、調整確認ダイアログ501で「いいえ」ボタンが押下された場合、交換確認ダイアログ502に遷移せず、ログの記録を残さないものとしてもよい。または、交換確認ダイアログ502が表示されている状態で「いいえ」ボタンが遷移された場合、調整確認ダイアログ501に遷移するものとしてもよい。
【0071】
以上のステップS11〜S19の流れによって、診断装置100によるログ記録処理が行われる。
【0072】
なお、上述のステップS13〜S16で説明したように、作業者が工具を調整または交換した後、加工機200による加工動作が再開された場合、測定部104により測定された摩耗度の変化に基づいて、調整確認ダイアログ501または交換確認ダイアログ502を表示させているものとしているが、これに限定されるものではない。すなわち、作業者が工具を調整または交換した後、加工機200による加工動作が再開されなくても、測定部104が摩耗度を測定でき、摩耗判定部107がその摩耗度の変化に対して判定を行うことができる構成であれば、加工動作が再開される前に調整確認ダイアログ501または交換確認ダイアログ502を表示させるものとしてもよい。
【0073】
以上のように、加工機200の加工停止後、加工再開時に、測定された摩耗度が所定の条件を満たす場合、工具を調整または交換したかを確認するダイアログをポップアップ表示させ、作業者による簡単な操作入力によって、工具を調整または交換した旨をログとして記録するものとしている。これによって、工具の調整または交換の際、手作業で記録する必要もなく、かつ、確認のためにポップアップ表示されたダイアログに対して簡易操作を行うことにより、工具の調整または交換をした旨のログを容易に記録することができる。
【0074】
(変形例)
上述の第1の実施形態では、加工再開後に測定された摩耗度の変化について判定し、その判定結果に基づいて、調整確認ダイアログをポップアップ表示させるのか、交換確認ダイアログをポップアップ表示させるのかを判断する動作としていた。本変形例では、加工再開後、ポップアップ表示制御部110bは、工具が調整されたのか、交換されたのかの推測はせず、摩耗度が所定の変化をした場合に、作業者に対して工具の調整か交換かを直接判断させるダイアログを表示する動作について説明する。
【0075】
図10は、第1の実施形態の変形例においてポップアップ表示されるダイアログの一例を示す図である。
図10を参照しながら、本変形例において工具の調整または交換により摩耗度が下がった場合にポップアップ表示されるダイアログについて説明する。
【0076】
本変形例では、上述の
図6のステップS14において、摩耗判定部107によって、例えば、摩耗度が所定の閾値以上下がった(所定の条件の一例)と判定された場合、ポップアップ表示制御部110bは、工具が調整または交換されたものと推測し、
図10に示すような調整・交換確認ダイアログ503(第3ダイアログの一例)を表示部111にポップアップ表示させる。
【0077】
そして、上述の
図6に示すステップS18において、作業者は、表示部111に表示された調整・交換確認ダイアログ503を確認し、入力部109を介して所望の操作入力を行う。
【0078】
上述の
図6に示すステップS19において、例えば、
図10に示すように、調整・交換確認ダイアログ503が表示されている場合であって、作業者が入力部109を介して「調整」ボタンを押下した場合、ログ書込部112は、上述の
図8に示すように、工具を調整した日時と、調整した旨「☆調整」とを対応付けて、ログとして記憶部108に記録する。
【0079】
また、表示部111に調整・交換確認ダイアログ503が表示されている場合であって、作業者が入力部109を介して「交換」ボタンを押下した場合、ログ書込部112は、上述の
図9に示すように、工具を交換した日時と、交換した旨「☆交換」とを対応付けて、ログとして記憶部108に記録する。
【0080】
さらに、表示部111に調整・交換確認ダイアログ503が表示されている場合であって、作業者が入力部109を介して「いいえ」ボタンを押下した場合、ログ書込部112は、ログを記録せず、ポップアップ表示制御部110bは、調整・交換確認ダイアログ503を閉じる。
【0081】
以上のように、作業者により、工具の調整または交換が行われた後、加工機200が起動し、加工動作を再開した場合に、摩耗判定部107は、摩耗度が、例えば、所定の閾値以上下がっていると判定した場合は、調整・交換確認ダイアログ503が表示され、調整か交換か直接作業者に確認するものとしている。これによっても、工具の調整または交換の際、手作業で記録する必要もなく、かつ、確認のためにポップアップ表示されたダイアログに対して簡易操作を行うことにより、工具の調整または交換をした旨のログを容易に記録することができる。
【0082】
なお、摩耗判定部107によって、例えば、摩耗度が所定の閾値以上下がったと判定された場合、ポップアップ表示制御部110bは、工具が調整または交換されたものと推測し、調整・交換確認ダイアログ503を表示部111にポップアップ表示させるものとしているが、これに限定されない。例えば、摩耗判定部107によって摩耗度が上がった場合、または、所定の閾値未満であっても下がった場合、ポップアップ表示制御部110bは、調整・交換確認ダイアログ503を表示部111にポップアップ表示させるものとしてもよい。これによって、工具を調整または交換はしたものの、何らかの不具合(例えば、作業の不具合、または、検知部211の不具合等)によって摩耗度に想定される変化がなかった場合においても、工具が調整または交換された旨をログとして記録することができる。
【0083】
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る診断システムについて、第1の実施形態に係る診断システムと相違する点を中心に説明する。第1の実施形態では、加工回数に関わらず、工具の摩耗度を測定し、加工動作の前後で摩耗度に変化があった場合に、調整確認ダイアログまたは交換確認ダイアログを表示するものとしていた。本実施形態では、摩耗度と加工回数との関係を学習する初期学習を行い、摩耗度を所定の段階にランク分けし、加工動作の前後でランクに変化があった場合に、調整確認ダイアログまたは交換確認ダイアログを表示する動作について説明する。なお、診断システムの全体構成、ならびに、加工機および診断装置のハードウェア構成については、第1の実施形態で説明した内容と同様である。
【0084】
(診断システムの機能ブロックの構成および動作)
図11は、第2の実施形態に係る診断システムの機能ブロックの構成の一例を示す図である。
図12は、加工回数と摩耗度との関係の一例を示すグラフである。
図11および
図12を参照しながら、本実施形態に係る診断システムの機能ブロックの構成および動作について説明する。なお、加工機200の機能ブロックの構成および動作は、第1の実施形態で説明した内容と同様である。
【0085】
図11に示すように、診断装置100aは、通信制御部101と、加工情報取得部102(第2取得部)と、加工回数取得部103(第3取得部)と、測定部104と、ポップアップ表示設定部105と、動作判定部106(第2判定部)と、摩耗判定部107(第1判定部、判定部)と、記憶部108と、入力部109と、表示制御部110と、表示部111と、ログ書込部112(書込部)と、摩耗ランク設定部113(第2設定部)と、を有する。なお、通信制御部101、加工情報取得部102、加工回数取得部103、測定部104、動作判定部106、摩耗判定部107、入力部109、ポップアップ表示制御部110b、表示部111、およびログ書込部112の動作は、第1の実施形態で説明した内容と同様である。
【0086】
摩耗ランク設定部113は、加工回数取得部103により取得された加工回数、および、測定部104により測定された工具の摩耗度に基づいて、加工回数と摩耗度との関係を学習する初期学習を行い、摩耗度を所定の段階にランク分けする設定を行う機能部である。加工機200において、駆動部204の工具を新しい種類等に交換した場合、その工具の加工回数と摩耗度との関係は不明である。そこで、工具の交換後、その工具が加工動作の回数の限界と目される回数(以下、「回数上限値」と称する場合がある)まで加工動作を繰り返し、
図12に示すように、加工回数と摩耗度との関係を学習する処理を行うことが望ましい。ここで、回数上限値としては、例えば、当該工具の材質の特性および他の工具の摩耗度との関係等に基づいて求めてもよい。または、工具が加工動作により破損するまでの回数を回数上限値として、初期学習を行うものとしてもよい。ただし、工具の破損に際しては、破損した工具の一部が飛散すること、または、工具を固定している冶具の破損もしくはズレの発生が起きること等を想定して、作業者等に対する安全性が十分に確保されていることが前提となる。
【0087】
摩耗ランク設定部113は、初期学習の結果、例えば、
図12に示すような、加工回数と摩耗度との関係を求め、摩耗度を所定の段階(
図12では「摩耗ランク1」〜「摩耗ランク3」)にランク分けを行う。なお、
図12に示す加工回数と摩耗度との関係を示すグラフは、線形に摩耗度が上昇していることを模式的に示しているが、これに限定されず、工具の物理的な特性および形状等によって、初期学習の結果としてのグラフの形状は異なる。また、
図12では、ランク分けを3段階とし、ランクの幅も等間隔としているが、これに限定されず、ランク分けの数、および、ランクの幅も自由に設定できるものとしてもよい。
【0088】
摩耗ランク設定部113は、例えば、
図3に示すCPU61で動作するプログラムによって実現される。
【0089】
記憶部108は、診断装置100aによる診断機能で必要な各種情報、摩耗ランク設定部113によって行われた初期学習の内容、および設定された摩耗度の所定のランク分けの内容、ならびに、加工機200の加工状態、工具の調整および交換等の記録を示すログ等を記憶する機能部である。記憶部108は、例えば、
図3に示す補助記憶装置68によって実現される。
【0090】
ポップアップ表示設定部105は、どのような条件で調整確認ダイアログまたは交換確認ダイアログをポップアップ表示させるかを設定する機能部である。例えば、ポップアップ表示設定部105は、作業者によって入力部109を介して入力される操作に基づいて、ポップアップ表示の条件を設定するものとしてもよい。例えば、ポップアップ表示設定部105は、加工機200の加工動作が停止し、工具を調整または交換した後、次に加工動作が開始され、摩耗判定部107により摩耗度が低い摩耗ランクに遷移(例えば、「摩耗ランク3」から「摩耗ランク2」に遷移)した場合、調整確認ダイアログをポップアップ表示させ、摩耗度が最も低い摩耗ランクに遷移(例えば、「摩耗ランク3」から「摩耗ランク1」に遷移)した場合、交換確認ダイアログをポップアップ表示させるという条件が設定されてもよい。ポップアップ表示設定部105は、例えば、
図3に示すCPU61で動作するプログラムによって実現される。
【0091】
表示制御部110の摩耗表示制御部110aは、例えば、測定部104によって測定された工具の摩耗度、および、摩耗ランク設定部113により初期学習された加工回数と摩耗度との関係に基づく現在の工具の摩耗ランク等の少なくともいずれかを表示部111に表示させる機能部である。なお、摩耗表示制御部110aは、例えば、加工回数と回数上限値との差が所定値以下となった場合に、注意喚起または工具の交換を催促する旨等を表示部111に表示させてもよい。
【0092】
なお、
図11に示す通信制御部101、加工情報取得部102、加工回数取得部103、測定部104、ポップアップ表示設定部105、動作判定部106、摩耗判定部107、表示制御部110、ログ書込部112、および摩耗ランク設定部113は、上述のように
図3に示すCPU61にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、IC等のハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。
【0093】
また、
図11に示した診断装置100aの各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図11で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、
図11の1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0094】
以上のように、摩耗度と加工回数との関係を学習する初期学習を行い、摩耗度を所定の段階にランク分けし、加工動作の前後での摩耗ランクの変化に基づいて、調整確認ダイアログまたは交換確認ダイアログを表示するものとしている。これによって、現在の摩耗ランクを把握でき、現在の加工回数との関係から次回の工具の調整または交換時期も容易に把握することが可能となる。
【0095】
[第3の実施形態]
第3の実施形態に係る診断システムについて、第1の実施形態に係る診断システムと相違する点を中心に説明する。第1の実施形態では、ポップアップ表示設定部105により設定されたポップアップ表示の条件に従って表示された調整確認ダイアログまたは交換確認ダイアログに基づいて、作業者の手動による操作によって、工具を調整した旨または交換した旨をログに記録するものとしていた。本実施形態では、動作モードとして手動モードか自動モードかを切り替えられるものとし、自動モードでは、ポップアップ表示および作業者による操作入力作業をスキップしてログに記録する動作について説明する。なお、診断システムの全体構成、ならびに、加工機および診断装置のハードウェア構成については、第1の実施形態で説明した内容と同様である。
【0096】
(診断システムの機能ブロックの構成および動作)
図13は、第3の実施形態に係る診断システムの機能ブロックの構成の一例を示す図である。
図13を参照しながら、本実施形態に係る診断システムの機能ブロックの構成および動作について説明する。なお、加工機200の機能ブロックの構成および動作は、第1の実施形態で説明した内容と同様である。
【0097】
図13に示すように、診断装置100bは、通信制御部101と、加工情報取得部102(第2取得部)と、加工回数取得部103(第3取得部)と、測定部104と、ポップアップ表示設定部105と、動作判定部106(第2判定部)と、摩耗判定部107(第1判定部、判定部)と、記憶部108と、入力部109と、表示制御部110と、表示部111と、ログ書込部112(書込部)と、モード設定部114(第1設定部)と、を有する。なお、通信制御部101、加工情報取得部102、加工回数取得部103、測定部104、ポップアップ表示設定部105、動作判定部106、摩耗判定部107、記憶部108、入力部109、摩耗表示制御部110a、および表示部111の動作は、第1の実施形態で説明した内容と同様である。
【0098】
表示制御部110のポップアップ表示制御部110bは、モード設定部114によって動作モードが手動モードに設定されている場合、ポップアップ表示設定部105によって設定されたポップアップ表示の条件に従って、調整確認ダイアログまたは交換確認ダイアログを表示部111に表示させる機能部である。
【0099】
ログ書込部112は、モード設定部114によって動作モードが手動モードに設定されている場合、調整確認ダイアログまたは交換確認ダイアログを介して入力された内容に従って工具が調整または交換された旨を、ログとして記憶部108に書き込む(記録する)機能部である。また、ログ書込部112は、モード設定部114によって動作モードが自動モードに設定されている場合、摩耗判定部107によって判定された工具の摩耗度の変化に応じて、工具が調整または交換されたことを推測し、工具が調整または交換された旨を、ログとして記憶部108に書き込む(記録する)。ログ書込部112は、例えば、
図3に示すCPU61で動作するプログラムによって実現される。
【0100】
モード設定部114は、加工機200の動作モードを手動モードまたは自動モードに設定する機能部である。モード設定部114は、例えば、作業者による入力部109を介した操作に応じて、動作モードを設定する。モード設定部114は、例えば、
図3に示すCPU61で動作するプログラムによって実現される。
【0101】
なお、
図13に示す通信制御部101、加工情報取得部102、加工回数取得部103、測定部104、ポップアップ表示設定部105、動作判定部106、摩耗判定部107、表示制御部110、ログ書込部112、およびモード設定部114は、上述のように
図3に示すCPU61にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、IC等のハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。
【0102】
また、
図13に示した診断装置100bの各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図13で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、
図13の1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0103】
(ログ記録処理)
図14は、第3の実施形態のログ記録処理の動作の一例を示すフローチャートである。
図14を参照しながら、本実施形態に係る診断装置100bのログ記録処理について説明する。
【0104】
<ステップS31〜S34>
ステップS31〜S34の処理は、それぞれ
図6に示したステップS11〜S14の処理と同様である。なお、摩耗度が所定の閾値以上下がった場合(ステップS34:「下がる」)、ステップS35へ移行し、摩耗度が0となっている場合(ステップS34:「0になる」)、ステップS37へ移行し、摩耗度が上がる等の想定外の値を示す場合(ステップS34:「それ以外」)、ステップS40へ移行する。
【0105】
<ステップS35>
モード設定部114によって動作モードが手動モードに設定されている場合(ステップS35:手動)、ステップS36へ移行し、自動モードに設定されている場合(ステップS35:自動)、ステップS41へ移行する。
【0106】
<ステップS36>
摩耗判定部107により摩耗度が所定の閾値以上下がったと判定された場合、ポップアップ表示制御部110bは、工具が調整されたものと推測し、
図7に示すような調整確認ダイアログ501を表示部111にポップアップ表示させる。そして、ステップS39へ移行する。
【0107】
<ステップS37>
モード設定部114によって動作モードが手動モードに設定されている場合(ステップS37:手動)、ステップS38へ移行し、自動モードに設定されている場合(ステップS37:自動)、ステップS41へ移行する。
【0108】
<ステップS38>
摩耗判定部107により摩耗度が0となっていると判定された場合、ポップアップ表示制御部110bは、工具が交換されたものと推測し、
図7に示すような交換確認ダイアログ502を表示部111にポップアップ表示させる。そして、ステップS39へ移行する。
【0109】
<ステップS39、S40>
ステップS39、S40の処理は、それぞれ
図6に示したステップS18、S17の処理と同様である。
【0110】
<ステップS41>
動作モードが手動モードの場合、ログ書込部112およびポップアップ表示制御部110bは、
図6に示したステップS19の処理と同様の処理を行う。
【0111】
一方、動作モードが自動モードの場合、ログ書込部112は、ステップS34で摩耗判定部107により摩耗度が所定の閾値以上下がったと判定された場合、工具が調整されたものと推測し、工具を調整した日時と、調整した旨「☆調整」とを対応付けて、ログとして記憶部108に記録する(
図8参照)。また、ログ書込部112は、ステップS34で摩耗判定部107により摩耗度が0となっていると判定された場合、工具が交換されたものと推測し、工具を交換した日時と、交換した旨「☆交換」とを対応付けて、ログとして記憶部108に記録する(
図9参照)。
【0112】
これによって、ログ記録処理を終了する。
【0113】
以上のステップS31〜S41の流れによって、診断装置100bによるログ記録処理が行われる。
【0114】
以上のように、本実施形態では、動作モードとして手動モードか自動モードかを切り替えられるものとし、自動モードでは、ポップアップ表示および作業者による操作入力作業をスキップしてログに記録するものとしている。これによって、工具の調整または交換の際、手作業で記録する必要もなく、かつ、自動モードではポップアップ表示されたダイアログに対して簡易操作を行うこともなく、工具の調整または交換をした旨のログを容易に記録することができる。
【0115】
[第4の実施形態]
第4の実施形態に係る診断システムについて、第1の実施形態に係る診断システムと相違する点を中心に説明する。第1の実施形態では、加工機200を加工停止して、工具を調整または交換した後、表示されるダイアログに対する簡易な操作により、工具を調整または交換した旨のみをログに記録するものとしていた。ただし、工具の調整または交換のみの記録ではなく、どのような態様で調整を行ったか、または、調整または交換の目的として摩耗度が高くなったこと以外の理由等のコメントをさらに記録しておく方が、加工機200の保全の観点から有用となる場合が多い。本実施形態では、加工機200を加工停止して、工具を調整または交換した場合、工具を調整または交換した旨だけでなく、それに対応して、コメントも追加して記録することができる動作について説明する。なお、診断システムの全体構成、加工機および診断装置のハードウェア構成、ならびに、診断システムの機能ブロックの構成については、第1の実施形態で説明した内容と同様である。
【0116】
(ポップアップ表示の動作)
図15は、第4の実施形態においてポップアップ表示をどのタイミングで行うかを説明する図である。
図15を参照しながら、本実施形態のポップアップ表示の動作の概要を説明する。
【0117】
ポップアップ表示設定部105は、上述のように、どのような条件で調整確認ダイアログまたは交換確認ダイアログをポップアップ表示させるかを設定する。本実施形態では、ポップアップ表示設定部105は、例えば、
図15に示すように、加工機200の加工動作が停止し、工具(
図15における「刃」)を調整または交換した後、次に加工動作が開始され、摩耗判定部107により摩耗度が所定の閾値以上下がっていると判定された場合、調整確認ダイアログをポップアップ表示させ、さらに、それに付随するコメントダイアログを表示させてメモ(コメント)を入力できるようにするという条件を設定しているものとする。また、ポップアップ表示設定部105は、
図15に示すように、摩耗判定部107により摩耗度が0となっていると判定された場合、交換確認ダイアログをポップアップ表示させ、さらに、それに付随するコメントダイアログを表示させてメモ(コメント)を入力できるようにするという条件を設定しているものとする。
【0118】
ポップアップ表示制御部110bは、ポップアップ表示設定部105によって設定されたポップアップ表示の条件に従って、調整確認ダイアログまたは交換確認ダイアログ、およびコメントダイアログを表示部111に表示させる。
【0119】
(ログ記録処理)
図16は、第4の実施形態のログ記録処理の動作の一例を示すフローチャートである。
図17は、第4の実施形態においてポップアップ表示されるダイアログの一例を示す図である。
図18は、第4の実施形態の工具調整時のログの一例を示す図である。
図19は、第4の実施形態の工具交換時のログの一例を示す図である。
図16〜
図19を参照しながら、本実施形態に係る診断装置100のログ記録処理について説明する。
【0120】
<ステップS51〜S54>
ステップS51〜S54の処理は、それぞれ
図6に示したステップS11〜S14の処理と同様である。なお、摩耗度が所定の閾値以上下がった場合(ステップS54:「下がる」)、ステップS55へ移行し、摩耗度が0となっている場合(ステップS54:「0になる」)、ステップS56へ移行し、摩耗度が上がる等の想定外の値を示す場合(ステップS54:「それ以外」)、ステップS57へ移行する。
【0121】
<ステップS55>
摩耗判定部107により摩耗度が所定の閾値以上下がったと判定された場合、ポップアップ表示制御部110bは、工具が調整されたものと推測し、
図17に示すような調整確認ダイアログ501を表示部111にポップアップ表示させる。そして、ステップS58へ移行する。
【0122】
<ステップS56>
摩耗判定部107により摩耗度が0となっていると判定された場合、ポップアップ表示制御部110bは、工具が交換されたものと推測し、
図17に示すような交換確認ダイアログ502を表示部111にポップアップ表示させる。そして、ステップS58へ移行する。
【0123】
<ステップS57>
ステップS57の処理は、
図6に示したステップS17と同様である。
【0124】
<ステップS58>
作業者は、表示部111に表示されたダイアログ(調整確認ダイアログ501または交換確認ダイアログ502)を確認し、入力部109を介して所望の操作入力を行う。そして、ステップS59へ移行する。
【0125】
<ステップS59>
例えば、
図17に示すように、表示部111に調整確認ダイアログ501が表示されている場合であって、作業者が入力部109を介して「はい」ボタンを押下した場合、ログ書込部112は、
図18に示すように、工具を調整した日時と、調整した旨「☆調整」とを対応付けて、ログとして記憶部108に記録する。そして、ポップアップ表示制御部110bは、表示部111のダイアログの表示を調整確認ダイアログ501からコメントダイアログ511に遷移させる。なお、「☆」は、工具の調整または交換についてのログであることを示す。
【0126】
一方、表示部111に調整確認ダイアログ501が表示されている場合であって、作業者が入力部109を介して「いいえ」ボタンを押下した場合、ポップアップ表示制御部110bは、表示部111のダイアログの表示を調整確認ダイアログ501から交換確認ダイアログ502に遷移させる。そして、表示部111に交換確認ダイアログ502が表示されている場合であって、作業者が、工具を調整ではなく交換したことにより、入力部109を介して「はい」ボタンを押下した場合、ログ書込部112は、
図19に示すように、工具を交換した日時と、交換した旨「☆交換」とを対応付けて、ログとして記憶部108に記録する。そして、ポップアップ表示制御部110bは、表示部111のダイアログの表示を交換確認ダイアログ502からコメントダイアログ511に遷移させる。一方、表示部111に交換確認ダイアログ502が表示されている場合であって、作業者が入力部109を介して「いいえ」ボタンを押下した場合、ログ書込部112は、ログを記録せず、ポップアップ表示制御部110bは、表示部111のダイアログの表示を交換確認ダイアログ502からコメントダイアログ512に遷移させる。
【0127】
また、
図17に示すように、表示部111に交換確認ダイアログ502が表示されている場合であって、作業者が入力部109を介して「はい」ボタンを押下した場合、ログ書込部112は、
図19に示すように、工具を交換した日時と、交換した旨「☆交換」とを対応付けて、ログとして記憶部108に記録する。そして、ポップアップ表示制御部110bは、表示部111のダイアログの表示を交換確認ダイアログ502からコメントダイアログ511に遷移させる。一方、表示部111に交換確認ダイアログ502が表示されている場合であって、作業者が入力部109を介して「いいえ」ボタンを押下した場合、ログ書込部112は、ログを記録せず、ポップアップ表示制御部110bは、表示部111のダイアログの表示を交換確認ダイアログ502からコメントダイアログ512に遷移させる。
【0129】
<ステップS60>
図17に示すように、表示部111にコメントダイアログ511またはコメントダイアログ512が表示されている場合、作業者は、入力部109を介して、工具の調整または交換に対するコメントを入力する。そして、ステップS61へ移行する。
【0130】
<ステップS61>
図17に示すように、表示部111にコメントダイアログ511が表示されている場合であって、作業者が入力部109を介して「OK」ボタンを押下した場合、ログ書込部112は、
図18および
図19に示すように、工具を調整または交換した日時、および調整または交換した旨と、入力された調整または交換に関するコメントを対応付けて、ログとして記憶部108に記録する。例えば、
図18の例では、調整の旨に対応付けて、「☆深さを調整して加工再開」というコメントがログとして記録されたことを示す。また、
図19の例では、交換の旨に対応付けて、「☆刃が欠けていたので交換」というコメントがログとして記録されたことを示す。そして、ポップアップ表示制御部110bは、コメントダイアログ511を閉じる。
【0131】
一方、表示部111にコメントダイアログ511が表示されている場合であって、作業者が入力部109を介して「キャンセル」ボタンを押下した場合、ログ書込部112は、コメントのログを記録せず、ポップアップ表示制御部110bは、コメントダイアログ511を閉じる。
【0132】
また、
図17に示すように、表示部111にコメントダイアログ512が表示されている場合であって、作業者が入力部109を介して「OK」ボタンを押下した場合、ログ書込部112は、工具を調整または交換した日時、および調整または交換した旨と、入力された調整または交換の作業以外に関するコメントを対応付けて、ログとして記憶部108に記録する。そして、ポップアップ表示制御部110bは、コメントダイアログ512を閉じる。
【0133】
一方、表示部111にコメントダイアログ512が表示されている場合であって、作業者が入力部109を介して「キャンセル」ボタンを押下した場合、ログ書込部112は、コメントのログを記録せず、ポップアップ表示制御部110bは、コメントダイアログ512を閉じる。
【0134】
これによって、ログ記録処理を終了する。以上のステップS51〜S61の流れによって、診断装置100によるログ記録処理が行われる。
【0135】
以上のように、本実施形態では、加工機200を加工停止して、工具を調整または交換した場合、工具を調整または交換した旨だけでなく、それに対応して、コメントも追加して記録することができるものとしている。これによって、第1の実施形態の効果を奏するのに加え、工具の調整または交換のみの記録ではなく、どのような態様で調整を行ったか、または、調整または交換の目的として摩耗度が高くなったこと以外の理由等のコメントをさらに記録することができるので、加工機200の保全の観点から有用となる。
【0136】
なお、上述の各実施形態および変形例の診断装置で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
【0137】
上述の各実施形態および変形例の診断装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録してコンピュータ・プログラム・プロダクトとして提供するように構成してもよい。
【0138】
さらに、上述の各実施形態および変形例の診断装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上述の各実施形態および変形例の診断装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0139】
上述の各実施形態および変形例の診断装置で実行されるプログラムは、上述した各部を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、各部が主記憶装置上に生成されるようになっている。