(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
定着部材と加圧部材との間に形成されるニップ部に未定着トナー像を担持した記録媒体を搬送して、前記未定着トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段を備えた画像形成装置の制御方法であって、
前記定着手段の前記ニップ部での定着圧を制御する処理と、
前記記録媒体の種類が前記定着手段の脱圧が必要な厚紙である場合に定着圧を脱圧調整し、前記脱圧調整された定着圧及び前記記録媒体の坪量に基づいて、形成する画像の画像濃度を調整する処理と、を行うことを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置として、電子写真方式を利用した画像形成装置が種々考案されており公知技術となっている。その画像形成プロセスは、像担持体である感光体の表面に静電潜像を形成し、感光体上の静電潜像を現像剤であるトナー等によって現像して可視像化し、現像された画像を転写装置により記録媒体(用紙ともいう)に転写して画像を担持させ、圧力および熱等を用いる定着装置によって記録媒体上の未定着トナー像を定着する過程により成立している。
【0003】
定着装置としては、様々な方式のものが提案されており、例えば、定着ローラ(定着部材)と、定着ローラに圧接する加圧ローラとを備え、加圧ローラと定着ローラとの圧接によって形成された定着ニップ部(ニップ部ともいう)により、未定着トナー像を担持した記録媒体を挟持搬送しつつ加熱し、定着させるローラ定着方式が知られている。
【0004】
また、例えば、加圧ローラに対向配置される定着ローラと、定着ローラと加熱ローラとの間に張架される無端状の定着ベルト(定着部材)とを備え、加圧ローラと定着ベルトとの圧接によって形成された定着ニップ部にて、定着ベルトを介して加熱ローラの熱を記録媒体に与えることで、未定着トナー像を記録媒体に加圧し、定着させるベルト定着方式が知られている。
【0005】
ところで、画像形成装置において、厚紙や封筒等の紙厚が厚い用紙等を印刷する際、定着装置において、過度の定着圧(ニップ部での定着圧、加圧レベルともいう)がかかり、シワやカール、また、定着不良の一態様であるホットオフセットが発生してしまうことがある。ホットオフセットは、トナーが過加熱され、トナーの凝集力が定着ローラおよび用紙との接着力を下回った場合に、トナー層が分断して起こる現象である。
【0006】
従来、紙厚が厚い用紙などを印刷する際には、定着装置の定着圧を手動で弱めるなどして、印刷を開始していたが、業務効率の低下や、解除し忘れによりシワや定着不良が発生してしまっていた。
【0007】
これに対し、定着装置の定着圧を可変制御する技術が知られている。例えば、特許文献1には、原稿画像の画像濃度を検出するセンサを備え、センサの出力信号に基づいて、定着装置の定着圧を調整する電子写真装置が開示されている。また、特許文献2には、定着圧を可変制御する定着装置において、画像情報に基づいて、脱圧前の圧接維持時間を調整する画像形成装置が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る構成を
図1から
図11に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
本実施形態に係る画像形成装置(画像形成装置1)は、定着部材(定着ローラ21)と加圧部材(加圧ローラ22)との間に形成されるニップ部に未定着トナー像(トナー像T)を担持した記録媒体(記録媒体P)を搬送して、未定着トナー像を記録媒体に定着する定着手段(定着装置20)と、定着手段のニップ部での定着圧を制御する定着圧制御手段(制御部30、加圧脱圧手段60)と、定着手段の定着圧に応じて、形成する画像の画像濃度を調整する濃度調整手段(制御部30)と、を備えるものである。なお、括弧内は実施形態での符号、適用例を示す。
【0015】
(画像形成装置)
本発明に係る画像形成装置の一実施形態について
図1を参照して説明する。
図1は画像形成装置の一実施形態であるモノクロ電子写真装置を示す概略構成図である。
【0016】
画像形成装置1は、装置内の中央近傍にプロセスカートリッジ2を配置しており、プロセスカートリッジ2内部の感光体3の上に配置された感光体3に潜像を形成するための露光装置4を配置している。
【0017】
プロセスカートリッジ2の下側には、転写ローラ5が設置され、転写ローラ5に高電位を印加することによって感光体3と転写ローラ5に電位差を設けて感光体3表面に形成された未定着トナー像(以下、トナー像ともいう)を記録媒体に転写する。
【0018】
装置下部には、記録媒体を積載、収容する給紙トレイ6が配置されており、給紙装置7にて給紙された記録媒体は転写ローラ5と感光体3との間を通り、定着装置20へ導かれて記録媒体にトナー像を熱定着させる。そして、排紙ローラ8により画像形成装置1の上面の排紙トレイ9に排紙させる。
【0019】
(画像形成動作)
次に、
図2および
図3を参照して、画像形成動作について説明する。
図2は画像形成装置1の要部概略図、
図3は
図2の上方斜視概略図である。
【0020】
プロセスカートリッジ2の感光体3は、駆動手段によって図中の反時計方向に回転駆動され、感光体3の表面が帯電ローラ10によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された感光体3の表面には、露光装置4からのレーザー光が照射され、これによって感光体3表面に所望の静電潜像が形成される。このように形成された静電潜像に現像ローラ12から黒トナー13が付与され、トナー像として可視化される。
【0021】
また、転写ローラ5が図中時計回りに走行駆動され、記録媒体Pが転写ローラ5を通過する際に感光体3からトナー像Tが転写される。トナー像Tを転写した後の感光体3表面に付着する残留トナーは、クリーニングブレード15によって感光体3の表面から除去され次の画像形成に備える。
【0022】
このとき、記録媒体Pは、給紙トレイ6から給送され、レジストローラ対14によって、感光体3上に担持されたトナー像とのタイミングを取って転写位置に向けて送出される。転写ローラ5には感光体3の表面のトナー像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加され、これによって感光体3の表面のトナー像が記録媒体Pに転写される。トナー像Tを転写された記録媒体Pは、搬送部材11等により定着装置20へ案内されて、定着装置20を通過するとき、熱と圧力によってトナー像Tが定着される。定着装置20を通過した記録媒体Pは、排紙ローラ8により装置本体の上面に構成された排紙トレイ9に排出される。
【0023】
記録媒体Pの両面に画像を形成する場合は、片面にトナー像Tを定着した記録媒体Pを、排紙ローラ8を逆転させることにより記録媒体Pをスイッチバックさせて反転部16に送り込み、記録媒体Pの表裏を反転させて記録媒体Pをレジストローラ対14へと再給紙する。再給紙された記録媒体Pの裏面に感光体3からトナー像が転写され、その裏面画像を定着装置20で定着し、排紙トレイ9に排出することで、両面プリントが完成する。
【0024】
なお、本実施形態では、画像形成装置1がモノクロ電子写真方式の画像形成装置である場合を例にしたが、カラー電子写真方式の画像形成装置であってもよいのは勿論である。
【0025】
(定着装置)
次に、画像形成装置1が備える定着装置20の構成について説明する。
図4は、定着装置20の一例を示す概略構成図である。定着装置20は、トナー像を加熱、溶融する定着部材(定着ローラ21)と、該定着部材の外周面と当接し、定着部材との間にニップ部を形成する加圧部材(加圧ローラ22)と、を備えた定着装置20である。
【0026】
定着ローラ21は、
図4中の矢印方向に回転する薄肉の円筒体であって、その円筒体の内部には熱源としてのヒータ25が固設されている。また、定着ローラ21は、円筒状の芯金部上に、弾性層、離型層(表層)をこの順に積層させた多層構造体であって、加圧ローラ22と当接してニップ部を形成する。
【0027】
定着ローラ21の最内側の芯金部は、例えば、SUS304等の鉄系材料で形成されている。定着ローラ21の芯金部の内側には、ヒータ25が設けられる。ヒータ25としては、例えば、ハロゲンヒータ等を用いることができる。また、電磁誘導過熱手段を用いて、定着ローラ21の外周側から定着ローラ21を加熱する構成であっても良い。本実施形態では、定着ローラ21の内側にハロゲンヒータを設けており、ハロゲンヒータは、定着ローラ21の軸方向に亘る棒状のヒータであって、その両端部が定着装置20の側板に固定されている。
【0028】
定着ローラ21は、画像形成装置1が備える電源装置により出力制御されたヒータ25によって加熱され、その表面から記録媒体P上のトナー像Tに熱が加えられる。なお、ヒータ25の出力制御は、定着ローラ21の表面温度を検出可能に設けられる温度検出手段(サーミスタ、サーモパイルなど)による検出結果に基づいて行われる。また、このようなヒータ25の出力制御によって、定着ローラ21の温度(定着温度)を所望の温度に制御することができる。
【0029】
定着ローラ21の弾性層としては、例えば、フッ素ゴム、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム等の弾性材料が用いられる。特に、弾性層としてシリコーンゴムを用いる場合には、耐膨潤性を向上させるために、弾性層上にフッ素層をコーティングすることが好ましい。また、定着ローラ21の芯金上に弾性層を設けることで、ニップ部を通過した後の記録媒体Pの分離性が向上するとともに、カラー画像を形成するときの出力画像の光沢性が向上する。
【0030】
また、定着ローラ21の離型層としては、例えば、PFA(4フッ化エチレンバーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、PES(ポリエーテルサルファイド)等を用いることができる。定着ローラ21の表層に離型層を設けることにより、トナー像Tに対する離型性(剥離性)が担保されることになる。
【0031】
加圧ローラ22は、芯金部、弾性層、離型層から成り、例えば、定着ローラ21と同様に構成されるものであればよい。なお、加圧ローラ22は、加圧手段によって定着ローラ21に圧接され、加圧ローラ22と定着ローラ21との間に、ニップ部が形成される。
【0032】
定着ローラ21と加圧ローラ22とのニップ部の入口側には、記録媒体Pの搬送を案内するガイド板23が配設されている。ガイド板23は、例えば、定着装置20の側板に固設されていれば良い。また、定着ローラ21の外周面に対向する位置であって、ニップ部の出口側近傍には、分離板24が配設されている。分離板24は、定着工程後の記録媒体Pが定着ローラ21の回転に沿って定着ローラ21に巻き付いてしまう不具合を抑止する。
【0033】
図4において図示する制御部30(制御手段、コントローラ)は、画像形成装置1の制御部であって、例えば、演算部としてのCPU、記憶部としてのROMやRAM、入出力部としてのI/Oインターフェース等を包含するマイクロコンピュータから構成される。
【0034】
また、制御部30は、定着装置20の制御部として機能し、定着装置20の各ローラの駆動制御、各温度センサの検出結果に基づく各ヒータの制御等、定着装置20の各部を制御する。定着装置20の制御部と画像形成装置1の制御部は別に構成されるものであってもよい。
【0035】
また、制御部30は、後述する加圧脱圧手段60を制御する。加圧脱圧手段60および制御部30は、定着圧制御手段として機能する。
【0036】
また、制御部30は、後述するように、定着装置20の定着圧や、定着圧および記録媒体Pの種類、坪量などに応じて、形成する画像の画像濃度を調整する画像処理を実行する濃度調整手段として機能する。
【0037】
なお、本実施形態では、ローラ定着方式の定着装置を例に説明したが、本発明の構成を適用可能な定着装置20は、これに限られるものではなく、ベルト定着方式等の他の構成の定着装置であってもよいのは勿論である。
【0038】
(加圧脱圧手段)
定着装置20は、厚紙や封筒等の紙厚が厚い用紙を印刷する際、シワやカール、ホットオフセットなどの過度の定着熱による不具合を防止するため、定着圧を可変制御(加圧レベルを調整)する加圧脱圧手段を備えている。
【0039】
図5は、定着装置20の加圧脱圧手段60の一例を示す構成図である。定着装置20に設けられた加圧脱圧手段60は、支持軸63aを中心に回転して加圧ローラ22のローラ軸22jに接離可能な加圧アーム63と、加圧アーム63の一方の端部と定着装置20の側板にその両端が固定されたスプリングバネである弾性部材54と、アクチュエータの駆動力により回転して加圧アーム63の他方の端部を押圧する接離カム65と、接離カム65とともに回転する円盤状のエンコーダであるフィラー64と、フィラー64の回転位置を検出するフォトセンサ66と、から構成されている。
【0040】
なお、弾性部材54の弾性力fは、加圧アーム63が支持軸63aを中心に加圧ローラ22のローラ軸22jから離れる方向に回転するように(図中点線の矢印方向(7)に回転するように)、加圧アーム63の一方の端部に作用しており、接離カム65の押圧力は、加圧アーム63がその回転方向とは反対方向に弾性部材54の弾性力に抗して回転するように(図中実線の矢印方向(3)に回転するように)、加圧アーム63の他方の端部に作用する。
【0041】
また、接離カム65のカム位相により加圧アーム63への押圧の程度が変化し、ニップ部Nの加圧、脱圧状態の切替を行うことができる。
【0042】
ここで、加圧脱圧手段60により、加圧ローラ22を定着ローラ21側へ移動させて圧接すること(加圧動作、加圧レベルを上げる)、及び定着ローラ21から引き離す方向に移動させて離脱すること(脱圧動作、加圧レベルを下げる)は、以下のようにして行われる。
図5を参照して説明する。
【0043】
(加圧動作)
まず、アクチュエータに電力が供給されて、アクチュエータが駆動し、この駆動力が接離カム65の駆動軸に伝えられ、該駆動軸が回転することにより接離カム65が図中実線の矢印方向(1)に一定の回転角だけ回転されると、該接離カム65が加圧アーム63の端部を特定方向(図中右方向)に押圧する(図中実線の矢印方向(2))。このときの接離カム65の押圧力は、弾性部材54の弾性力fよりも大きな抗する力である。
【0044】
加圧アーム63の端部が押されると、加圧アーム63は支持軸63aを中心軸として回転する(図中実線の矢印方向(3)(反時計回り(CCW)方向))。すると、加圧アーム63のアーム部分が加圧ローラ22のローラ軸22jに当接し、定着ローラ21方向に押すように作用する(図中実線の矢印方向(4))。その結果、加圧ローラ22が定着ローラ21に当接し、一定の圧力で圧接する状態となりニップ部Nを形成する(図中実線の矢印方向(5))。
【0045】
このように、定着装置20が駆動し、定着動作が行われるときには加圧脱圧手段60により加圧ローラ22の定着ローラ21への押し当てが一定の圧力で行われる。また、この加圧状態は、アクチュエータに電力が供給されている限り保持される。
【0046】
(脱圧動作)
まず、アクチュエータからの駆動力により接離カム65を前記加圧状態のときの角度位置から元に戻すように図中点線の矢印方向(6)に一定の回転角だけ回転させると、該接離カム65が加圧アーム63の端部を押圧することが解除される。同時に、加圧アーム63の端部が図中点線の矢印方向(8)(図中左方向)に移動可能となる。
【0047】
接離カム65による加圧アーム63の押圧が解除されると、弾性部材54の弾性力fにより加圧アーム63は支持軸63aを中心軸として回転する(図中点線の矢印方向(7)(時計回り(CW)方向))。すると、加圧アーム63のアーム部分が加圧ローラ22のローラ軸22jを押圧することが解除され、定着ローラ21とは反対方向に離間するように移動する(図中点線の矢印方向(9))。その結果、加圧ローラ22が定着ローラ21を押圧することが解除され、定着ローラ21から離間する方向に移動してニップ部Nが解消される(図中点線の矢印方向(10))。
【0048】
このように、画像形成装置1がオフスリープ状態となるときなどにはその前に加圧脱圧手段60により加圧ローラ22の定着ローラ21への押し当てが解除される(完全な脱圧状態)。
【0049】
ここで、フィラー64の回転位置をフォトセンサ66で読み取ることにより、接離カム65の位相(カム位相)を検出しニップ部の加圧レベルと脱圧状態を検出することができる。これにより、フォトセンサ66で読み取られる接離カム65の位相位置に基づいて、カム装置を駆動するアクチュエータを加圧状態と完全な脱圧状態の切替、並びに加圧状態として異なる加圧レベルとなる所望の位置に停止させることが可能である。例えば、接離カム65の回転角によって、完全な脱圧状態と加圧状態の切替ができ、また、加圧状態における加圧レベルも複数の加圧状態に調整することが可能である。
【0050】
通紙の際に紙厚、紙種ごとに必要な定着圧(ニップ圧)が異なるため、複数の加圧レベルを有するものである。
【0051】
定着装置20は、定着圧を検出する定着圧検出手段を備えている。定着圧検出手段は、例えば、上記フォトセンサ66による読み取り結果に基づいて定着圧を算定するものである。また、例えば、定着ローラの回転駆動トルク検出することに基づいて、定着圧を検出するようにしてもよいし、参考文献(特開2003−50518号公報)に開示されるような歪みゲージを用いて検出するようにすることもできる。
【0052】
また、加圧脱圧手段60は、複数の加圧レベルを調整可能に構成されるものであればよく、
図5に示した構成に限られるものではない。加圧脱圧手段60として、他の新規または公知の構成を適用することができる。
【0053】
(定着圧変更時の制御)
制御部30の記憶部には、
図6〜
図8に示すような、制御テーブルが記憶されている。
図6は、記録媒体Pの紙種(薄紙、普通紙、厚紙、封筒)と、定着圧[N/mm
2]に応じた現像出力バイアスを示す現像出力バイアステーブルの例である。また、
図7は、記録媒体Pの紙種と、定着圧に応じた画像ドット間引き率[%]を示すドット間引き率テーブルの例である。また、
図8は、記録媒体Pの坪量[g/m
2]と、定着圧に応じた画像ドット間引き率[%]を示すドット間引き率テーブルの例である。
【0054】
画像形成装置1は、印刷ジョブに含まれる記録媒体Pの情報(紙種、坪量など)や設定された記録媒体Pの情報と、定着圧と、に基づいて、
図6〜
図8を参照して、これに応じた画像濃度(現像出力バイアスや画像ドット間引き率など)を設定し、設定した条件下で印刷を実行する。なお、本実施形態では、記録媒体Pの情報と、定着圧と、に基づいて、画像濃度を調整する例を説明するが、少なくとも定着圧に基づいて、画像濃度を調整するものであればよい。
【0055】
画像濃度の調整では、例えば、現像出力バイアスの絶対値を小さくすることや、ベタ画像やハーフトーン画像に関わらず画像ドットを間引くことで、薄い画像濃度での印刷が可能となる。
【0056】
脱圧量が大きい(定着圧が小さい)場合は、定着装置20の定着性が低下しているため、脱圧しない場合と同じ画像濃度で印刷を実行した場合、コールドオフセットが発生するおそれがある。そこで、本実施形態のように、画像濃度を薄くすることで、コールドオフセットを防止することが可能となる。また、イールドレートも向上させることができる。
【0057】
一方、脱圧量が小さい(定着圧が大きい)場合、定着装置20の定着性は向上するが定着圧が大きすぎると、ホットオフセットが発生するおそれがある。そこで、本実施形態では、定着圧過多の条件下では、画像濃度を薄くしてホットオフセットを防止する。
【0058】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置によれば、定着装置20で定着圧を可変制御をする場合に、画像濃度を薄くする等の画像処理を施すことにより記録媒体P上のトナー量を減量させ、脱圧することでのホットオフセットの回避と、トナーを減量させることでのコールドオフセットの回避と、を両立させて、ホットオフセットおよびコールドオフセットのどちらの定着不良についても抑制することができる。
【0059】
なお、上記の各テーブルは、画像形成装置1の機種や定着装置20の構成等、に応じて、予め最適な値を有するテーブルを設定するものであればよい。また、画像濃度の調整は、現像出力バイアスや画像ドット間引き率の調整によることに限らず、これらの組み合わせや、これらに合わせて、または、これらに替えて、他の条件(露光量など)を調整するようにしてもよい。
【0060】
[第2の実施形態]
以下、本発明に係る画像形成装置の他の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同様の点についての説明は適宜省略する。
【0061】
画像形成装置1は、さらに、感光体3上のトナー付着量を検出するトナー付着量検出手段を備えることが好ましい。上記第1の実施形態で説明した制御に加えて、トナー付着量検出手段による検出結果を考慮した制御とすることで、さらに精度良く所望の画像濃度(付着量)に制御することが可能となる。
【0062】
感光体3上のトナー付着量検出手段としては、例えば、透過型フォトセンサ等の光学検出センサを用いることができる。
【0063】
トナー付着量検出手段の検出結果に応じ、例えば、感光体3上のトナー付着量が多い場合は、現像出力バイアスを+側にオフセットさせることで、過度な量のトナーを現像させないようにすることができる。なお、現像出力バイアスの絶対値が大きいほど、感光体上へのトナー現像量は多い。
【0064】
第2の実施形態によれば、さらに、記録媒体Pに転写される前のトナー付着量(感光体上のトナー付着量)も考慮することで、脱圧によって調整する作像条件を最適化することができ、例えば、極端に薄すぎる、濃すぎる等の濃度不具合を解消することができる。
【0065】
[第3の実施形態]
画像形成装置1は、さらに、記録媒体Pのスキューを検出するスキュー検出手段を備えることが好ましい。
【0066】
スキュー検出手段としては、例えば、記録媒体Pの搬送経路において、記録媒体Pの幅方向の一端側に設置されて、記録媒体Pに対して、光を照射する第1照射部と、記録媒体Pの幅方向の他端側に設置されて、記録媒体Pに対して、光を照射する第2照射部と、第1,第2照射部からの光を受光する受光部と、を備え、第1照射部から受光した光量と第2照射部から受光した光量との比較に基づいて、スキュー量を検出する構成を適用することができる。また、他の新規または公知の構成を適用することができる。
【0067】
図9は、記録媒体Pが普通紙である場合において、スキュー検出手段で検出したスキュー量に応じた定着圧の調整例を示すグラフである。記録媒体Pのスキュー量が大きい場合、定着条件によっては定着シワが発生することがあるが、スキュー検出手段の検出結果に応じて、
図9に示すように、スキュー量に応じて定着圧を調整し、スキュー量が大きい場合でも定着圧を脱圧することで定着シワを防止することが可能である。
【0068】
第3の実施形態によれば、さらに、スキュー量に応じて定着圧を調整することで、スキュー発生時の定着不良を抑えることができる。
【0069】
[第4の実施形態]
また、画像形成装置1において、記録媒体Pのスキューが大きい場合、搬送が不安定になり、搬送リブ等に接触することで、記録媒体Pの先端部のダメージや用紙詰り(ジャム)などが発生するおそれがある。
【0070】
そこで、定着装置20は、記録媒体Pのスキューを矯正するスキュー矯正手段(定着圧変動手段)を備えることが好ましい。
【0071】
スキュー矯正手段は、例えば、定着装置20の長手方向の両端側に独立した接離カムを用いることで、定着装置20の長手方向の定着圧に偏差をつけることを可能とするものである。なお、定着装置20の長手方向の定着圧に偏差をつけることが可能であれば、その構成は、特に限られるものではない。
【0072】
定着圧が高い側は、搬送力が大きくなるため、例えば、
図10(A)に示すように、スキューが発生している方向に定着圧の偏差をつけることで、定着装置20によって記録媒体Pのスキューを矯正することができる。なお、
図10(B)に示すように、用紙搬送方向に対して右側にスキューした場合をスキュー量+としている。
【0073】
第4の実施形態によれば、さらに、定着装置20においてスキューを矯正し、定着装置20の通紙後の記録媒体Pの搬送性を安定させて、耳折れ等の用紙ダメージを防ぐことができる。
【0074】
[第5の実施形態]
図11は、第1〜第4の実施形態で説明した各処理を実行した場合の制御例を示すフローチャートである。
【0075】
画像形成装置1において印刷が開始されると(S101)、先ず、用紙情報等に基づいて、定着装置20の脱圧(加圧レベルを弱める)が必要な厚紙であるかどうかを判断する(S102)。厚紙である場合(S102:Yes)、加圧脱圧手段60の制御により、厚紙に適した加圧レベルに脱圧する(S103)。
【0076】
次いで、定着圧検出手段は定着圧を検出する(S104)。次いで、濃度調整手段は、検出した定着圧、および用紙情報(種類、坪量等)をキーとして、制御テーブル(
図6〜
図8)を参照し、画像濃度(現像出力バイアス、画像ドット間引き率等)を調整する(S105)。
【0077】
また、スキュー検出手段にてスキューが発生していることを検出された場合(S106:Yes)は、定着圧を調整、または、スキュー矯正手段により長手方向の定着圧偏差を調整してこれを矯正する(S107)。以上の処理を適宜実行して印刷完了となる(S108)。
【0078】
尚、上述の実施形態は本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。