(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電子部品と基板とが複数のバンプを介して接触した状態で、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の緩衝シートを介して加熱用部材により前記電子部品を加熱することによって、前記電子部品と前記基板とを前記バンプを介して接合する加熱工程を有する、電子部品装置の製造方法。
前記電子部品における前記基板と対向する面及び前記基板における前記電子部品と対向する面からなる群より選択される少なくとも一方に、アンダーフィル材を付与する付与工程を更に有する、請求項6に記載の電子部品装置の製造方法。
前記加熱工程において、前記基板の温度が25℃〜200℃であり、前記電子部品の温度が230℃〜300℃である、請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載の電子部品装置の製造方法。
電子部品装置における前記電子部品と前記基板との平均距離が50μm以下であり、前記バンプ間の平均距離が200μm以下である、請求項6〜請求項9のいずれか1項に記載の電子部品装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
【0021】
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の含有率又は含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本明細書において組成物中の各成分の粒径は、組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本明細書において「層」との語には、当該層が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本明細書において「平均厚み」、「平均距離」、及び「平均幅」とは、任意に選択した3点での測定値の算術平均値を意味する。
本明細書において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
【0022】
<緩衝シート>
本実施形態の緩衝シートは、2つの支持体と、2つの支持体の間に位置する熱硬化性の組成物層と、を有し、加熱用部材により電子部品を加熱して電子部品を基板に実装する際に、加熱用部材と電子部品との間に介在される。
【0023】
加熱用部材により電子部品を加熱して電子部品を基板に実装する際に、加熱用部材と電子部品との間に、本実施形態の緩衝シートを介在させることで、電子部品と基板との位置ずれを抑制し、且つ、複数の電子部品装置を一括して製造することが可能となる。この理由は、例えば、以下のように考えることができる。
加熱用部材と電子部品との間に緩衝シートを介在させることで、緩衝シートが硬化する結果、加熱用部材及び電子部品の熱膨張が抑えられ、熱膨張差に起因する位置ずれが抑制されると考えられる。また、例えば、複数の電子部品装置を一括して製造する際に、加熱用部材との接触状態が電子部品間でばらついていたとしても、加熱用部材と電子部品との間に生じ得る間隙を緩衝シートによって埋めることができる。そして、その状態で緩衝シートが硬化する結果、荷重の不均一さが低減され、位置ずれが抑制されると考えられる。
【0024】
更に、本実施形態の緩衝シートは、2つの支持体の間に熱硬化性の組成物層が設けられており、加熱用部材及び電子部品と熱硬化性の組成物層とが接着することなく、電子部品を基板に実装することができる。更に、ヘッド及び電子部品と熱硬化性シートが接着しないため、ヘッド及び電子部品に熱硬化性シートの一部が付着することが抑制される。
【0025】
本実施形態の緩衝シートは、2つの支持体の間に位置する熱硬化性の組成物層を有する。熱硬化性の組成物層は、例えば、熱硬化性化合物を含有する緩衝シート用組成物を2つの支持体の少なくとも一方に塗布することによって形成される。
【0026】
緩衝シートは、例えば、緩衝シート用組成物を2つの支持体の少なくとも一方に塗布して熱硬化性の組成物層を少なくとも一方の支持体に形成した後、2つの支持体の間に熱硬化性の組成物層が位置するように支持体及び熱硬化性の組成物を積層し、ホットロール等を用いてラミネートすることで得られる。
【0027】
[熱硬化性の組成物層]
熱硬化性の組成物層は、2つの支持体の間に設けられた層であり、例えば、熱硬化性化合物を含有する前述の緩衝シート用組成物を2つの支持体の少なくとも一方に塗布し、シート状に成形することによって形成される。
【0028】
熱硬化性の組成物層は、後述の重合開始剤を用いて形成された層であってもよく、好ましくは重合開始剤及び熱硬化性化合物である(メタ)アクリレート化合物を用いて形成された層であってもよい。
【0029】
熱硬化性の組成物層は、後述の硬化剤を用いて形成された層であってもよく、好ましくは、硬化剤及び熱硬化性化合物であるエポキシ樹脂を用いて形成された層であってもよい。
【0030】
熱硬化性の組成物層の平均厚みは、電子部品と基板との面方向での位置ずれを抑制する観点から、例えば、10μmであることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることが更に好ましく、100μm以上であることが特に好ましい。また、熱硬化性の組成物層の平均厚みは、成膜性の観点から、例えば、300μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましい。
【0031】
[支持体]
支持体は、熱硬化性の組成物層の両面側に位置する。支持体としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルムなどの有機樹脂フィルム;離型紙;及び銅箔、アルミニウム箔等の金属箔が挙げられる。支持体としては、耐熱性の観点から、ポリイミドフィルム、及び銅箔、アルミニウム箔等の金属箔が好ましい。
【0032】
支持体としては、接合後に染み出すアンダーフィル材のフィレット部との離型性を良好にする観点から、接合する際にチップと接する支持体の面に離型層を有する支持体を用いてもよい。離型層の形成に使用される離型剤としては、アルキド樹脂、メラミン樹脂、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂等の非シリコーン系離型剤、シリコーン系離型剤、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体)、ETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)、ECTFE(エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等のフッ素樹脂系離型剤などが挙げられる。
【0033】
離型剤の市販品としては、例えば、リンテック(株)製の「X」(シリコーン含有アルキド樹脂系離型剤;490mN/20mm)、「SK−1」(シリコーン含有アルキド樹脂系離型剤;1250mN/20mm)、「AL−5」(非シリコーン・アルキド樹脂系離型剤;1480mN/20mm)、「6050」(非シリコーン・アルキド樹脂系離型剤;2400mN/20mm)、「6051」(非シリコーン・アルキド樹脂系離型剤;2800mN/20mm)、及び「6052」(非シリコーン・アルキド樹脂系離型剤;4000mN/20mm)が挙げられる(括弧内の数値は初期の密着強度の値である)。また、離型剤の市販品としては、例えば、リンテック(株)製の「AL−7」(非シリコーン・アルキド樹脂系離型剤;重剥離型)、及び藤森工業(株)製の「NSP−4」(非シリコーン・アルキド樹脂系離型剤;重剥離型)が挙げられる。更に、離型剤の市販品としては、例えば、日立化成(株)製のテスファインシリーズ(テスファイン303、テスファイン305、テスファイン314、テスファイン319、及びTA31−209E)が挙げられる。
【0034】
支持体を含めた緩衝シートの平均厚みは、例えば、50μm〜400μmであることが好ましい。熱硬化性の組成物層又は緩衝シートの厚みは、マイクロメーター等を用いて測定することができる。
【0035】
以下、緩衝シート用組成物に含有される各成分について詳細に説明する。
【0036】
緩衝シート用組成物は、熱硬化性化合物とともに、重合開始剤、硬化剤、熱可塑性樹脂、無機充填材、硬化促進剤等の他の成分を更に含有していてもよい。
【0037】
(熱硬化性化合物)
緩衝シート用組成物は、熱硬化性化合物の少なくとも1種を含有する。熱硬化性化合物としては、例えば、(メタ)アクリレート化合物、エポキシ樹脂、ビスマレイミド化合物、シアネート化合物、及びフェノール化合物が挙げられる。中でも、緩衝シート用組成物の粘度及び緩衝シート用組成物の硬化物の熱膨張率の観点から、(メタ)アクリレート化合物、エポキシ樹脂、ビスマレイミド化合物、及びフェノール化合物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、(メタ)アクリレート化合物、エポキシ樹脂、及びビスマレイミド化合物からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、硬化速度の観点から、(メタ)アクリレート化合物及びエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましい。これらの熱硬化性化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0038】
緩衝シート用組成物が熱硬化性化合物として(メタ)アクリレート化合物を含有する場合、(メタ)アクリレート化合物としては特に制限されず、通常用いられる(メタ)アクリレート化合物から適宜選択することができる。(メタ)アクリレート化合物は単官能(メタ)アクリレート化合物であっても、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物であってもよい。(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、エリスリトール型ポリ(メタ)アクリレート化合物、グリシジルエーテル型(メタ)アクリレート化合物、ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート化合物、シクロデカン型ジ(メタ)アクリレート化合物、メチロール型(メタ)アクリレート化合物、グリコール型ジ(メタ)アクリレート、ジオキサン型ジ(メタ)アクリレート化合物、ビスフェノールF型(メタ)アクリレート化合物、ジメチロール型(メタ)アクリレート化合物、イソシアヌル酸型ジ(メタ)アクリレート化合物、及びトリメチロール型トリ(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。中でも、トリメチロール型トリ(メタ)アクリレート化合物、イソシアヌル酸型ジ(メタ)アクリレート化合物、ビスフェノールF型(メタ)アクリレート化合物、シクロデカン型ジ(メタ)アクリレート化合物、及びグリシジルエーテル型(メタ)アクリレート化合物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。これらの(メタ)アクリレート化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0039】
緩衝シート用組成物が熱硬化性化合物としてエポキシ樹脂を含有する場合、エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であれば特に制限されず、電子部品用エポキシ樹脂組成物に一般的に使用されているエポキシ樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂は固体であっても液体であってもよく、固体のエポキシ樹脂と液体のエポキシ樹脂とを併用してもよい。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、ナフタレンジオール、水添ビスフェノールA等とエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を代表とする、フェノール化合物とアルデヒド化合物とを縮合又は共重合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したノボラック型エポキシ樹脂;フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;p−アミノフェノール、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のアミン化合物とエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;及び脂環族エポキシ樹脂が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。緩衝シート用組成物の粘度を低くする観点からは液状のエポキシ樹脂が好ましく、反応性及び耐熱性の観点からは、ビスフェノール型エポキシ樹脂及びグリシジルアミン型エポキシ樹脂が好ましい。
【0040】
緩衝シート用組成物における熱硬化性化合物の含有率は特に制限されない。充分な硬化性を得る観点からは、緩衝シート用組成物の総量中の熱硬化性化合物の含有率は、例えば、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。緩衝シート用組成物の流動性の観点からは、緩衝シート用組成物の総量中の熱硬化性化合物の含有率は、例えば、99質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましい。
【0041】
(重合開始剤)
緩衝シート用組成物が熱硬化性化合物として(メタ)アクリレート化合物を含有する場合、緩衝シート用組成物は、重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤及び光重合開始剤が挙げられる。
【0042】
緩衝シート用組成物が重合開始剤として熱重合開始剤を含有する場合、熱重合開始剤としては特に制限されず、例えば、ラジカル重合開始剤が挙げられる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類(パーオキシエステル類)、及びパーオキシカーボネート類が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
ケトンパーオキサイド類の具体例としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、及びメチルシクロヘキサノンパーオキサイドが挙げられる。
【0044】
ハイドロパーオキサイド類の具体例としては、例えば、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、及びジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドが挙げられる。
【0045】
ジアシルパーオキサイド類の具体例としては、例えば、ジイソブチリルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノールパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、m−トルイルベンゾイルパーオキサイド、及びコハク酸パーオキサイドが挙げられる。
【0046】
ジアルキルパーオキサイド類の具体例としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、及び2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3が挙げられる。
【0047】
パーオキシケタール類の具体例としては、例えば、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、及び4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ペンタン酸ブチルが挙げられる。
【0048】
アルキルパーエステル類(パーオキシエステル類)の具体例としては、例えば、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート、t−アミルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキシトリメチルアジペート、2,5−ジメチル−2,5−ジ−2−エチルヘキサノイルパーオキシヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、及び2,5−ジメチル−2,5−ジ−ベンゾイルパーオキシヘキサンが挙げられる。
【0049】
パーオキシカーボネート類の具体例としては、例えば、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ−4−t−ブチルシクロヘキシルパーオキシカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルオキシジカーボネート、t−アミルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、及び1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボキシロキシ)ヘキサンが挙げられる。
【0050】
これらのラジカル重合開始剤の中でも、硬化性の観点から、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等のシクロヘキサン型の過酸化物が好ましい。
【0051】
緩衝シート用組成物が熱重合開始剤を含有する場合、熱重合開始剤の含有量は、(メタ)アクリレート化合物の合計100質量部に対して、例えば、0.01質量部〜10質量部であることが好ましく、0.1質量部〜5質量部であることがより好ましい。
【0052】
緩衝シート用組成物が重合開始剤として光重合開始剤を含有する場合、光重合開始剤としては特に制限されず、例えば、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤及び光アニオン重合開始剤が挙げられる。これらの光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、必要に応じて増感剤を併用してもよい。
【0053】
光ラジカル開始剤としては、特に限定されず、分子内にアルキルフェノン構造を有する化合物、分子内にオキシムエステル構造を有する化合物、及び分子内にリン元素を有する化合物が挙げられる。
【0054】
分子内にアルキルフェノン構造を有する化合物の具体例としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル-プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、及び2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノンが挙げられる。
分子内にアルキルフェノン構造を有する化合物の市販品としては、例えば、IRGACURE 651、IRGACURE 184、IRGACURE 1173、IRGACURE 2959、IRGACURE 127、IRGACURE 907、IRGACURE 369E、及びIRGACURE 379EG(いずれもBASF社製、「IRGACURE」は登録商標)が挙げられる。
【0055】
分子内にオキシムエステル構造を有する化合物の具体例としては、例えば、1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、及びエタノン1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−(2−(1,3−ジオキソ−2−ジメチル−シクロペンチ−5−イル)エトキシ)−ベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)が挙げられる。
分子内にオキシムエステル構造を有する化合物の市販品としては、例えば、IRGACURE OXE01、IRGACURE OXE02(いずれもBASF社製)、及びN−1919((株)ADEKA製)が挙げられる。
【0056】
構造中にリン元素を含有する化合物の具体例としては、例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド及び2,4,6−トリメトキシベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドが挙げられる。
構造中にリン元素を含有する化合物の市販品としては、例えば、IRGACURE 819、IRGACURE TPO及びLUCIRIN TPO(いずれもBASF社製、「LUCIRIN」は登録商標)が挙げられる。
【0057】
光カチオン重合開始剤の市販品としては、例えば、IRGACURE250、IRGACURE270、及びIRGACURE290(いずれもBASF社製)、CPI100P、CPI101A、CPI−200K、及びCPI210S(いずれもサンアプロ(株)製)、並びにアデカオプトマーSP300、及びアデカオプトマーSP150((株)ADEKA製)が挙げられる。
【0058】
光アニオン重合開始剤の市販品としては、例えば、A2502、B5085、N0528、N1052及びO0396(いずれも東京化成工業(株)製)が挙げられる。
【0059】
緩衝シート用組成物が光重合開始剤を含有する場合、光重合開始剤の含有量は、(メタ)アクリレート化合物の合計100質量部に対して、例えば、0.01質量部〜3質量部であることが好ましく、0.1質量部〜0.5質量部であることがより好ましい。光重合開始剤の含有量が0.01質量部以上であることにより、光照射による反応率の低下を抑制させ、シート形成を容易にする傾向があり、また、光重合開始剤の含有量が3質量部以下であることにより、光照射による反応率が増大しすぎず、熱硬化時に反応性が阻害されることを抑制できる傾向にある。
【0060】
(硬化剤)
緩衝シート用組成物が熱硬化性化合物としてエポキシ樹脂を含有する場合、緩衝シート用組成物は、硬化剤を含有することが好ましい。硬化剤としては特に制限されず、通常用いられる硬化剤から選択することができる。硬化剤は固体であっても液体であってもよく、固体の硬化剤と液体の硬化剤とを併用してもよい。短時間での硬化の観点からは、酸無水物の少なくとも1種を硬化剤として用いることが好ましい。
【0061】
エポキシ樹脂のエポキシ基の当量数と、エポキシ基と反応する硬化剤の官能基の当量数との比は特に制限されない。各成分の未反応分を少なくする観点からは、例えば、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して、硬化剤の官能基を0.1当量〜2.0当量とすることが好ましく、0.5当量〜1.25当量とすることがより好ましく、0.8当量〜1.2当量とすることが更に好ましい。
【0062】
(熱可塑性樹脂)
緩衝シート用組成物は、熱可塑性樹脂の少なくとも1種を含有していてもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ブタジエン樹脂、イミド樹脂、及びアミド樹脂が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0063】
熱可塑性樹脂は、例えば、重合性単量体をラジカル重合することにより製造することができる。重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸エステル;ジアセトン(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチレン又はスチレン誘導体;ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエーテル;マレイン酸;マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル等のマレイン酸モノエステル;フマル酸;ケイ皮酸;イタコン酸;及びクロトン酸が挙げられる。これらの重合性単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、本明細書において「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、「(メタ)アクリルアミド」とは、アクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。
【0064】
熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、成膜性及び流動性の観点から、例えば、5000〜1000000であることが好ましく、20000〜500000であることがより好ましい。
【0065】
なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定され、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により換算された値である。GPCの条件を以下に示す。
ポンプ:L−6000型((株)日立製作所製、商品名)
カラム:Gelpack GL−R420+Gelpack GL−R430+Gelpack GL−R440(計3本)(日立化成(株)製、商品名)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
測定温度:40℃
流速:2.05mL/分
検出器:L−3300型RI((株)日立製作所製、商品名)
【0066】
緩衝シート用組成物が熱可塑性樹脂を含有する場合、熱可塑性樹脂の含有率は、例えば、緩衝シート用組成物の総量中に1質量%〜70質量%であることが好ましく、5質量%〜50質量%であることがより好ましい。熱可塑性樹脂の含有率が1質量%以上であると、成膜性が向上する傾向にある。熱可塑性樹脂の含有率が70質量%以下であると、硬化性が向上し、電子部品と基板との接合性が向上する傾向にある。
【0067】
(無機充填材)
緩衝シート用組成物は、無機充填材の少なくとも1種を含有していてもよい。無機充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ粒子;炭酸カルシウム、クレー、アルミナ等の粒子;窒化珪素、炭化珪素、窒化ホウ素、珪酸カルシウム、チタン酸カリウム、窒化アルミニウム、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア等の粒子;これらの粒子を球形化したビーズ;及びガラス繊維が挙げられる。これらの無機充填材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0068】
無機充填材の体積平均粒径は、例えば、0.01μm〜20μmの範囲が好ましく、0.3μm〜10μmの範囲がより好ましい。無機充填材の体積平均粒径が0.01μm以上であると、無機充填材の添加量により、緩衝シート用組成物の粘度調整が容易になる傾向がある。無機充填材の体積平均粒径が10μm以下であると、緩衝シートの凹凸追従性を損なうことなく、硬化性を調整し、硬化物の弾性率を制御することができる傾向にある。
【0069】
なお、本明細書において「体積平均粒径」とは、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて小径側から体積累積分布曲線を描いた場合に、累積50%となる粒子径(D50)を意味する。
【0070】
緩衝シート用組成物が無機充填材を含有する場合、無機充填材の含有率は、例えば、緩衝シート用組成物の総量中に5質量%〜70質量%であることが好ましく、20質量%〜60質量%であることがより好ましい。無機充填材の含有率が5質量%以上であると、熱膨張係数の低減効果が大きくなる傾向にあり、且つ、耐湿信頼性が向上する傾向にある。無機充填材の含有率が70質量%以下であると、無機充填材の添加による、緩衝シートの成形性の低下、粉落ち等の影響を抑えることができる傾向にある。
【0071】
緩衝シート用組成物が無機充填材を含有する場合、無機充填材の含有率は、緩衝シート用組成物の総量中に1体積%〜70体積%であることが好ましく、5体積%〜20体積%であることがより好ましい。
【0072】
緩衝シート用組成物中における無機充填材の体積基準の含有率は、以下のようにして測定される。まず、25℃における緩衝シート用組成物の質量(Wc)を測定し、その緩衝シート用組成物を空気中400℃で2時間、次いで700℃で3時間熱処理し、樹脂分を燃焼して除去した後、25℃における残存した無機充填材の質量(Wf)を測定する。次いで、電子比重計又は比重瓶を用いて、25℃における無機充填材の比重(df)を求める。次いで、同様の方法で25℃における緩衝シート用組成物の比重(dc)を測定する。次いで、緩衝シート用組成物の体積(Vc)及び残存した無機充填材の体積(Vf)を求め、(式1)に示すように残存した無機充填材の体積を緩衝シート用組成物の体積で除すことで、無機充填材の体積比率(Vr)として求める。
【0073】
(式1)
Vc=Wc/dc
Vf=Wf/df
Vr=Vf/Vc
【0074】
Vc:緩衝シート用組成物の体積(cm
3)
Wc:緩衝シート用組成物の質量(g)
dc:緩衝シート用組成物の密度(g/cm
3)
Vf:無機充填材の体積(cm
3)
Wf:無機充填材の質量(g)
df:無機充填材の密度(g/cm
3)
Vr:無機充填材の体積比率
【0075】
(硬化促進剤)
緩衝シート用組成物は、硬化促進剤の少なくとも1種を含有していてもよい。硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、及びグアニジン系硬化促進剤が挙げられ、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、及びイミダゾール系硬化促進剤が好ましい。これらの硬化促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0076】
緩衝シート用組成物が硬化促進剤を含有する場合、硬化促進剤の含有率は、例えば、エポキシ樹脂及び硬化剤の不揮発成分の合計を100質量%としたとき、0.05質量%〜3質量%であることが好ましい。
【0077】
(溶剤)
緩衝シート用組成物は、溶剤の少なくとも1種を含有していてもよい。溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、キシレン、トルエン、アセトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチルエトキシプロピオネート、N,N−ジメチルホルムアミド、及びN,N−ジメチルアセトアミドが挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0078】
緩衝シート用組成物が溶剤を含有する場合、溶剤の含有率は特に制限されない。例えば、緩衝シートを作製する設備に合わせてその含有率を調整することが好ましい。
【0079】
(その他の成分)
緩衝シート用組成物は、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、重合禁止剤、カップリング剤、着色剤、界面活性剤、及びイオントラップ剤が挙げられる。
【0080】
緩衝シート用組成物をシート状に成形する際には、作業性の観点から、緩衝シート用組成物の成分を前述の溶剤中で混合してワニスの形態としてもよい。また、得られたワニスを支持体上に塗工し、乾燥して熱硬化性の組成物層を形成してもよい。支持体上に塗工したワニスの乾燥は、ワニスに含まれる溶剤の少なくとも一部を除去できれば特に制限されず、通常用いられる乾燥方法から適宜選択することができる。また、乾燥方法の他、UVを照射させることによる光反応により、熱硬化性の組成物層を形成してもよい。
支持体上へのワニスの塗工は、公知の方法により実施することができる。具体的には、コンマコート、ダイコート、リップコート、グラビアコート等の方法が挙げられる。
【0081】
<電子部品装置の製造方法>
本実施形態の電子部品装置の製造方法は、電子部品と基板とが複数のバンプを介して接触した状態で、緩衝シートを介して加熱用部材により電子部品を加熱することによって、電子部品と基板とをバンプを介して接合する加熱工程を有する。
なお、本明細書において「接合」とは、電子部品と基板とがバンプを介して電気的に接続することを意味する。
【0082】
先付与型のアンダーフィル材を用いる場合、本実施形態の製造方法は、電子部品における基板と対向する面及び基板における電子部品と対向する面からなる群より選択される少なくとも一方に、アンダーフィル材を付与する付与工程を更に有することが好ましい。また、先付与型のアンダーフィル材を用いる場合、本実施形態の製造方法は、電子部品と基板とがバンプを介して対向した状態で加圧して、電子部品と基板との間隙にアンダーフィル材を充填し、且つ、電子部品と基板とをバンプを介して接触させる加圧工程を更に有することがより好ましい。
【0083】
ここで、先付与型のアンダーフィル材を用いて電子部品装置を製造する従来の製造方法は、例えば、以下のとおりである。まず、電子部品と基板との間にアンダーフィル材を付与し、電子部品と基板とがバンプを介して対向した状態で加圧して、電子部品と基板との間隙にアンダーフィル材を充填し、且つ、電子部品と基板とをバンプを介して接触させる。次いで、加熱用部材により電子部品を加熱することによって、電子部品と基板とをバンプを介して接合し、且つ、アンダーフィル材を硬化させる。
このような従来の製造方法では、複数の電子部品装置を一括して製造する場合、加熱用部材との接触状態が電子部品間でばらつき、実装時の荷重が不均一になる結果、電子部品装置の接続不良が多く発生し、歩留まりが低下することがある。また、荷重の不均一さが電子部品装置の接続不良を発生させるほどではない場合であっても、不充分な接続形状は電子部品装置の信頼性低下の一因となる。
【0084】
この点、本実施形態の製造方法によれば、複数の電子部品装置を一括して製造する場合であっても、歩留まりを向上させることができる。この理由は、以下のように考えることができる。
本実施形態の製造方法では、加熱時に電子部品と加熱用部材との間に緩衝シートを介在させている。電子部品と加熱用部材との間に緩衝シートが介在することにより、電子部品と加熱用部材との接触状態のばらつきが低減し、荷重の不均一さが緩和される結果、歩留まりが向上すると考えられる。
【0085】
以下、先付与型のアンダーフィル材を用いる場合における本実施形態の製造方法について、詳細に説明する。
【0086】
(付与工程)
付与工程では、電子部品における基板と対向する面及び基板における電子部品と対向する面からなる群より選択される少なくとも一方に、アンダーフィル材を付与する。付与工程の具体的な方法は特に制限されず、基板のみにアンダーフィル材を付与しても、電子部品のみにアンダーフィル材を付与しても、両方にアンダーフィル材を付与してもよい。生産性の観点から、電子部品のみにアンダーフィル材を付与する方法が好ましい。
【0087】
基板の種類は特に制限されず、例えば、FR4、FR5等の繊維基材を含む有機基板、繊維基材を含まないビルドアップ型の有機基板、ポリイミド、ポリエステル等の有機フィルム、及びアルミナ、ガラス、シリコン等の無機材料を含む基材に、接続用の電極を含む導体配線が形成された配線板を挙げることができる。基板には、セミアディティブ法、サブトラクティブ法等の手法により、回路、基板電極等が形成されていてもよい。
また、基板の他の例としては、シリコンウェハーを挙げることができる。シリコンウェハーは、表面に接続用の電極を含む導体配線が形成されたものであってもよい。また、シリコンウェハーは、貫通電極(シリコン貫通電極;TSV(Through Silicon Via))が形成されたものであってもよい。
【0088】
電子部品の種類は特に制限されず、樹脂等によってパッケージングされていないダイ(チップ)そのもの、樹脂等によってパッケージングされているCSP、BGA(Ball Grid Array)等と呼ばれている半導体パッケージなどを挙げることができる。
【0089】
バンプの材質は特に制限されず、はんだ等の通常使用される材質から選択することができる。バンプは、金属ポストとはんだとの組み合わせであってもよい。環境問題及び安全性の観点から、バンプには、Cu又はAuのほか、Ag−Cu系はんだ、Sn−Cu系はんだ、Sn−Bi系はんだ等の無鉛はんだを使用してもよい。バンプは、電子部品側に形成されていても、基板側に形成されていてもよい。
なお、バンプを無鉛はんだから形成する場合、無鉛はんだの濡れ不良に起因してバンプ周辺に微細な隙間が生じやすい。しかし、本実施形態の製造方法によれば、無鉛はんだをバンプに使用した場合にも、位置ずれの発生を効果的に抑制することができる。
【0090】
アンダーフィル材としては、従来使用されているアンダーフィル材を使用することができる。例えば、特開2013−151642号公報、特開2013−219285号公報、特開2015−032637号公報、特開2015−032638号公報、特開2015−083633号公報、及び特開2015−083634号公報に記載されているアンダーフィル材を使用することができる。
【0091】
アンダーフィル材の形状は特に制限されず、フィルム状であっても、液状であってもよい。加圧工程における電子部品と基板との面方向での位置ずれを抑制する観点から、アンダーフィル材の形状は、フィルム状であることが好ましい。また今後、隣接する接続部同士のピッチはより狭くなることが想定されるため、接続信頼性の観点からアンダーフィル材としては導電性粒子を含まないことが好ましい。
【0092】
アンダーフィル材を電子部品又は基板の上に付与する方法は特に制限されない。
アンダーフィル材が液状の場合、付与方法としては、例えば、スクリーン印刷法、及びエアーディスペンサー、ジェットディスペンサー、オーガータイプディスペンサー等のディスペンサーを用いる方法が挙げられる。
アンダーフィル材がフィルム状の場合、付与方法としては、ダイアフラム方式のラミネータ、ロール方式のラミネータ等を用いる方法が挙げられる。
【0093】
アンダーフィル材を電子部品又は基板に付与する際の形状は特に制限されない。
液状のアンダーフィル材を基板の上に付与する場合は、例えば、電子部品の搭載位置の全体に付与する方法、電子部品の搭載位置に対応する四角形の対角線に沿った2本の線からなるクロス形状に付与する方法、クロス形状に更にクロス形状を45°ずらして重ねた米字形状に付与する方法、及び電子部品の搭載位置の中心に一点で付与する方法が挙げられる。信頼性の観点からアンダーフィル材のクリーピング等を抑制するためには、クロス形状又は米字形状で付与することが好ましい。基板に基板電極が設けられている場合は、基板電極が設けられた箇所を含む電子部品の搭載位置にアンダーフィル材を付与することが好ましい。
フィルム状のアンダーフィル材を電子部品又は基板の上に付与する場合は、電子部品における基板と対向する面の全体、又は電子部品の搭載位置の全体に付与することが望ましい。
【0094】
アンダーフィル材を基板又は電子部品の上に付与する際の温度は、アンダーフィル材の性質等に応じて選択することができる。フィルム状のアンダーフィル材をダイアフラム方式のラミネータにより電子部品に付与する場合には、アンダーフィル材及び電子部品表面の温度を、例えば、それぞれ50℃〜100℃とすることが好ましく、ラミネート時のボイド巻き込みを抑制する観点からは、それぞれ70℃〜90℃とすることがより好ましく、それぞれ80℃付近とすることが更に好ましい。
【0095】
(加圧工程)
加圧工程では、電子部品と基板とがバンプを介して対向した状態で加圧して、電子部品と基板との間隙にアンダーフィル材を充填し、且つ、電子部品と基板とをバンプを介して接触させる。
【0096】
加圧工程におけるアンダーフィル材の温度(以下、「充填温度」ともいう。)は、アンダーフィル材の硬化温度未満であることが好ましい。例えば、アンダーフィル材の充填温度は、200℃未満であることが好ましい。アンダーフィル材の充填温度を200℃未満とすることで、加圧によりアンダーフィル材を電子部品と基板との間隙に充填する際に、アンダーフィル材の増粘が抑えられ、アンダーフィル材の流動性が充分なものとなり、接続が確保されやすく、且つ、ボイドの発生を避けることができる傾向にある。
アンダーフィル材の充填温度の下限は特に制限されない。樹脂の低粘度化の観点からは、アンダーフィル材の充填温度は、例えば、30℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることが更に好ましい。
【0097】
アンダーフィル材の充填温度を調節する具体的な方法は特に制限されない。例えば、電子部品及び基板の少なくとも一方の温度を充填温度に調節してアンダーフィル材に接触させる方法を挙げることができる。
【0098】
加圧工程において付与される圧力の大きさは、一般的なフリップチップの実装工程と同様に、バンプの数又は高さのばらつき、加圧によるバンプ又はバンプを受ける基板上の配線の変形量等を考慮して設定することができる。具体的には、例えば、バンプ1個あたりが受ける荷重が1g〜10g程度になるように設定することが好ましい。また、例えば、1チップあたりに掛かる荷重が10N〜100N程度になるように設定することが好ましい。
【0099】
(加熱工程)
加熱工程では、電子部品と基板とがバンプを介して接触した状態で、緩衝シートを介して加熱用部材により電子部品を加熱することによって、電子部品と基板とをバンプを介して接合する。この加熱工程において、アンダーフィル材が硬化する。この加熱工程において、緩衝シートも硬化する。
【0100】
加熱工程は、電子部品と基板とのバンプを介した接続を確保する観点から、バンプの融点以上の温度で行われることが好ましい。すなわち、バンプと基板上の配線等との金属接合が形成される温度で行われることが好ましい。例えば、バンプがはんだバンプである場合、加熱工程は、230℃以上の温度で行われることが好ましい。アンダーフィル材の耐熱性の観点からは、加熱工程は、例えば、320℃以下の温度で行われることが好ましく、300℃以下の温度で行われることがより好ましい。はんだ接合は、導電性粒子を用いた接続手法等に比べ高温を必要とする一方、高い接続信頼性を有しているため、接続部の増加や、隣接する接続部とのピッチが狭くなった場合にも対応可能な接続方法である。そこで、このような高温実装を実現するため緩衝シートとしては、200℃以上の高温実装可能な耐熱性を有する緩衝シートであることが好ましい。
【0101】
加熱工程における基板の温度及び電子部品の温度は、例えば、それぞれ25℃〜200℃及び230℃〜300℃の範囲内であることが好ましい。
【0102】
加熱工程における電子部品及び基板の数は特に制限されない。生産効率の観点からは、それぞれ複数の電子部品及び基板を一括して加熱することが好ましい。複数の電子部品及び基板を一括して加熱する場合、電子部品ごとに緩衝シートを配置しても、1枚の緩衝シートを複数の電子部品に架け渡してもよく、1枚の緩衝シートを複数の電子部品に架け渡すことが好ましい。一括して加熱する電子部品及び基板の数は、例えば、それぞれ2個以上であることが好ましく、それぞれ3個以上であることがより好ましく、それぞれ5個以上であることが更に好ましい。本実施形態の製造方法による効果は、一括して加熱する電子部品及び基板の数が多いほど顕著である。
【0103】
加熱工程は、生産効率の観点からは、短時間で行われることが好ましい。具体的には、例えば、昇温速度が5℃/秒以上であることが好ましく、10℃/秒以上であることがより好ましく、15℃/秒以上であることが更に好ましい。加熱時間は、バンプを構成する材料の種類により異なるが、生産効率の観点からは、短時間であるほど好ましい。バンプがはんだバンプである場合、加熱時間は、例えば、30秒以下であることが好ましく、20秒以下であることがより好ましく、10秒以下であることが更に好ましい。Cu−Cu又はCu−Auの金属接合の場合は、加熱時間は、例えば、30秒以下であることが好ましい。
【0104】
加熱工程において電子部品と基板との位置ずれを抑制する観点から、緩衝シートの硬化速度は、アンダーフィル材の硬化速度よりも速いことが好ましい。緩衝シートの硬化速度をアンダーフィル材の硬化速度よりも速くすることで、加熱時における熱膨張がより抑えられ、位置ずれを抑制しやすくなる傾向にある。
【0105】
以下、図面を参照しながら本実施形態の製造方法の一例について説明する。以下の製造方法においては、電子部品における基板と対向する面にアンダーフィル材を付与し、緩衝シートを電子部品の上部に被覆し、電子部品と基板とを接合する態様について説明する。バンプは電子部品側に設けられており、当該バンプを介して電子部品と基板とが接合される。また、加熱工程では、それぞれ3個の電子部品及び基板を一括して加熱する。但し、本発明はこれらの態様に限定されるものではない。
【0106】
まず、
図1Aに示すように、半導体チップ(電子部品)1のはんだバンプ2の設けられた側(基板5の接続パッド4と対向する側)の面に、アンダーフィル材3を付与する(付与工程)。
【0107】
次いで、
図1Bに示すように、半導体チップ1と基板5とをはんだバンプ2を介して対向させる。そして、半導体チップ1の上から加圧用部材6で加圧して、半導体チップ1と基板5との間隙にアンダーフィル材3を充填し、且つ、半導体チップ1と基板5の接続パッド4とをはんだバンプ2を介して接触させる(加圧工程)。
【0108】
次いで、
図1Cに示すように、半導体チップ1と基板5の接続パッド4とがはんだバンプ2を介して接触している状態で、緩衝シート7を介して半導体チップ1に加熱用部材8を押し付け、半導体チップ1と基板5の接続パッド4とをはんだバンプ2を介して接合し、且つ、アンダーフィル材3を硬化させる(加熱工程)。
以上の工程を経ることで、電子部品装置が製造される。
【0109】
<電子部品装置>
本実施形態の電子部品装置は、基板と、アンダーフィル材の硬化物と、電子部品とがこの順に配置され、基板と電子部品とがバンプを介して接合しており、且つ、アンダーフィル材の硬化物が基板と電子部品との間隙を充填している。本実施形態の電子部品装置は、前述した本実施形態の製造方法により製造される。本実施形態の電子部品装置は、電子部品と基板との接続性が良好であり、信頼性に優れる。
【0110】
本実施形態の製造方法の効果は、電子部品と基板との間の距離及びバンプ間の距離が小さい電子部品装置を製造する場合に特に顕著である。具体的には、本実施形態の電子部品装置における電子部品と基板との間の平均距離は、例えば、50μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることが更に好ましい。また、本実施形態の電子部品装置におけるバンプ間の平均距離は、例えば、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることが更に好ましく、80μm以下であることが特に好ましい。
【0111】
本実施形態において、基板は配線パターン及びレジストパターンによる凹凸部を有していてもよい。基板が配線パターン及びレジストパターンを有する場合は、例えば、配線パターンの平均幅が50μm〜300μmであり、レジスト開口部の平均幅が50μm〜150μmであり、レジストの平均厚みが10μm〜20μmであることが好ましい。
本実施形態の製造方法によれば、上記のような凹凸部を有する基板を使用した場合であっても、電子部品と基板との位置ずれを抑制することができる。
【実施例】
【0112】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0113】
[合成例1]
まず、熱可塑性樹脂を以下のように合成した。
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロート、及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、質量比6:4であるメチルセロソルブ及びトルエンの配合物(メチルセロソルブ:トルエン=6:4(質量比))400gを加え、窒素ガスを吹き込みながら撹拌して、80℃まで加熱した。一方、重合性単量体としてメタクリル酸125g、メタクリル酸メチル25g、メタクリル酸ベンジル125g、及びスチレン225gと、アゾビスイソブチロニトリル1.5gとを混合した溶液aを準備した。80℃に加熱された質量比6:4であるメチルセロソルブ及びトルエンの上記配合物に溶液aを4時間かけて滴下した後、80℃で撹拌しながら2時間保温した。更に、質量比6:4であるメチルセロソルブ及びトルエンの配合物(メチルセロソルブ:トルエン=6:4(質量比))100gにアゾビスイソブチロニトリル1.2gを溶解した溶液を、10分間かけてフラスコ内に滴下した。滴下後の溶液を撹拌しながら80℃で3時間保温した後、30分間かけて90℃に加温した。90℃で2時間保温した後、冷却して、熱可塑性樹脂を得た。熱可塑性樹脂の不揮発分(固形分)は46.2質量%であり、重量平均分子量は45000であった。
【0114】
[合成例2]
撹拌機を備えたフラスコに、熱硬化性化合物としてトリメチロールプロパントリアクリレート(日立化成(株)製、商品名「TMPT21」)98。32gを加え、更に光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(BASF社製、商品名「IRGACURE 1173」)0.15gを加え、更に熱重合開始剤として1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(日油(株)製、商品名「パーヘキサC」)1.5gを加え、撹拌して緩衝シート用組成物Aを得た。
【0115】
[合成例3]
合成例2で得られた緩衝シート用組成物Aに対して、無機充填材としてシリカ粒子(電気化学工業(株)製、商品名「FB−5SDCH」、体積平均粒径:5.0μm)を20g添加した後に撹拌し緩衝シート用組成物Bを得た。
【0116】
[実施例1及び2]
<緩衝シートの作製>
撹拌機を備えたフラスコに、合成例1で得られた熱可塑性樹脂58gと、熱硬化性化合物としてトリメチロールプロパントリアクリレート(日立化成(株)製、商品名「TMPT21」)42gとを加え、更に熱重合開始剤として1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(日油(株)製、商品名「パーヘキサC」)2gを加え、撹拌して緩衝シート用組成物であるワニスを得た。
【0117】
得られたワニスをポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製、商品名「カプトン100H」、平均厚み:25μm)のベルト面側に塗工した後、60℃の乾燥機で10分間乾燥することにより、組成物層の平均厚みが70μm又は100μmであるシートを得た。得られたシートの組成物層側に、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製、商品名「カプトン100H」、平均厚み:25μm)をベルト面が組成物層側となるように重ね、ホットロールラミネーターを用いて60℃、0.5MPa、1.0m/分の条件で積層し、熱硬化性の組成物層を有する緩衝シートA(組成物層の平均厚み:70μm)及び緩衝シートA’(組成物層の平均厚み:100μm)を得た。
【0118】
<電子部品装置の製造>
電子部品装置の材料として、アルミニウム配線を有する7.3mm×7.3mm×0.1mmのシリコンチップ((株)ウォルツ製、商品名「WALTS−TEG CC80−0101JY−MODEL 1」、バンプ:Sn−Ag−Cu系、バンプ間隔:80μm)を電子部品として、及び回路が形成された18mm×18mm×0.4mmの基板((株)ウォルツ製、商品名「WALTS−KIT CC80−0102JY−MODEL 1」、ソルダーレジスト:PSR4000−AUS703、基材:E679FGS)を基板として、それぞれ用意した。
【0119】
フィルム状のアンダーフィル材(日立化成(株)製、エポキシ系NCF(Non-conductive Film))を、ダイアフラム方式の真空ラミネータ(ニチゴー・モートン(株)製、商品名「V130」)を用いて、温度が80℃となるように調節した電子部品にラミネートした(付与工程)。
次いで、充填温度が80℃となるように温度を調節したシリコンチップのバンプを有する面を基板側に向け、バンプが基板と接触するように、シリコンチップの上から120Nの荷重で加圧用部材により加圧した(加圧工程)。この際、シリコンチップ上に付与されたアンダーフィル材が加圧により流動して基板とシリコンチップとの間隙を充填した。このようにして、電子部品実装基板を製造した。
【0120】
上記で得られた電子部品実装基板5個を、10cm角の四角形の四隅及び中心に位置するように、シリコンチップ側を上面として載置した。5個のシリコンチップの上に、1枚の緩衝シートA又は緩衝シートA’を重ね、あらかじめ160℃に熱した加熱用部材を600Nの荷重で接触させ、その後10秒間で加熱用部材を260℃に加熱し、260℃到達後に15秒間維持することで、シリコンチップと基板とを接合した(加熱工程)。このようにして、電子部品装置5個を一括して製造した。
【0121】
[実施例3]
合成例2で得られた緩衝シート用組成物Aを、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製、商品名「カプトン100H」、平均厚み:25μm)のベルト面側に塗工し、UV露光機を用いて200mJ照射し、組成物層の平均厚みが100μmであるシートを得た。得られたシートの組成物層側に、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製、商品名「カプトン100H」、平均厚み:25μm)をベルト面が組成物層側となるように重ね、ホットロールラミネーターを用いて60℃、0.5MPa、1.0m/分の条件で積層し、緩衝シートB(組成物層の平均厚み:100μm)を得た。
【0122】
<電子部品装置の製造>
緩衝シートAの代わりに緩衝シートBを用い、且つ加熱用部材の傾きを表1に示すように調整したこと以外は実施例1と同様にして、電子部品装置5個を一括して製造した。
【0123】
[実施例4]
合成例3で得られた緩衝シート用組成物Bを用いて実施例3と同様の手法により、緩衝シートC(組成物層の平均厚み:100μm)を得た。
【0124】
<電子部品装置の製造>
緩衝シートAの代わりに緩衝シートCを用い、且つ加熱用部材の傾きを表1に示すように調整したこと以外は実施例1と同様にして、電子部品装置5個を一括して製造した。
【0125】
[参考例1]
実施例1にて得られたワニスから支持体を有さず、組成物層の平均厚みが100μmである、組成物層からなる緩衝シートA’’を得た。そして、加熱工程において、緩衝シートA’’を用い、且つ加熱用部材の傾きを表1に示すように調整したこと以外は実施例1と同様にして、電子部品実装基板及び電子部品装置を製造した。
【0126】
[比較例1及び2]
加熱工程において、緩衝シートを用いず、且つ加熱用部材の傾きを表1に示すように調整したこと以外は実施例1と同様にして、電子部品実装基板及び電子部品装置を製造した。
【0127】
[比較例3]
加熱工程において、緩衝シートとしてアルミニウムシート(平均厚み:45μm)を用い、且つ加熱用部材の傾きを表1に示すように調整したこと以外は実施例1と同様にして、電子部品実装基板及び電子部品装置を製造した。
【0128】
上記で得られた電子部品装置について、以下のようにして、剥離の観察、接続性の確認、シリコンチップと基板との位置ずれの確認及び樹脂付着の確認を行った。評価結果を表1に示す。
【0129】
<剥離の観察>
剥離の観察は、加熱工程を行った後の電子部品装置について、電子部品装置の内部を超音波観察装置(インサイト(株)製、商品名「INSIGHT−300」)を用いて観察することで行い、下記の評価基準に従って評価した。
−評価基準−
A:加熱後にすべての電子部品で剥離が観察されなかった。
B:仮加熱後に一部の電子部品で剥離が観察された。
【0130】
<接続性の確認>
接続性の確認は、加熱工程を行った後の電子部品装置について、導通をテスター(カイセ(株)製、商品名「SK−6500」)で確認することで行い、下記の評価基準に従って評価した。
−評価基準−
A:加熱後にすべての電子部品で導通が取れている。
B:加熱後に一部の電子部品で導通が取れない。
【0131】
<シリコンチップと基板との位置ずれの確認>
位置ずれの確認は、加熱工程を行った後の電子部品装置について、シリコンチップのはんだバンプと基板の接続パッド部分との位置ずれをX線観察装置(ノードソン・アドバンスト・テクノロジー(株)製、商品名「XD−7600NT100−CT)で確認することで行い、下記の評価基準に従って評価した。なお、位置ずれは5箇所を測定し、その算術平均値を求めた。
−評価基準−
A:加熱後のシリコンチップと基板の接続パッド部分との位置ずれの平均が7μm未満である。
B:加熱後のシリコンチップと基板の接続パッド部分との位置ずれの平均が7μm以上、10μm未満である。
C:加熱後のシリコンチップと基板の接続パッド部分との位置ずれの平均が10μm以上である。
【0132】
<樹脂付着の確認>
組成物層を構成する樹脂の付着に関して目視にて確認し以下の評価基準に従って評価した。
A:加熱用部材及びシリコンチップに対して樹脂付着なし
B:加熱用部材及びシリコンチップに対して樹脂付着あり
【0133】
【表1】
【0134】
表1に示すように、緩衝シートA、A’、B又はCを用いることで、電子部品と基板との位置ずれを抑制し、且つ、複数の電子部品装置を一括して製造することができる。更に、緩衝シートA、A’、B又はCを用いることで、加熱用部材及びシリコンチップへ組成物層を構成する樹脂が付着することなく複数の電子部品装置を一括して製造することができる。また、緩衝シートA、A’、B又はCを用いて得られる電子部品装置は、剥離の発生が少なく、接続性及び信頼性に優れる。