特許第6791372号(P6791372)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6791372紫外線吸収剤を含む熱収縮性チューブを備えた円筒型電池セル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6791372
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】紫外線吸収剤を含む熱収縮性チューブを備えた円筒型電池セル
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/02 20060101AFI20201116BHJP
【FI】
   H01M2/02 C
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-515620(P2019-515620)
(86)(22)【出願日】2017年12月26日
(65)【公表番号】特表2019-530170(P2019-530170A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(86)【国際出願番号】KR2017015427
(87)【国際公開番号】WO2018124673
(87)【国際公開日】20180705
【審査請求日】2019年4月3日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0178728
(32)【優先日】2016年12月26日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0179154
(32)【優先日】2017年12月26日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジュン−タク
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジェ−ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ファン ボ、クァン−ス
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、サン−ソク
(72)【発明者】
【氏名】リー、ギル−ヨン
【審査官】 藤原 敬士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−167259(JP,A)
【文献】 特開2012−209061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極端子部位を除いた円筒形ケースの外面を熱収縮性チューブが包んでいる円筒型電池セルであって、前記熱収縮性チューブは、
熱収縮性を有するポリエステル系樹脂のチューブ基材と、
前記熱収縮性チューブの引張強度及び使用温度を高めるナイロン系樹脂の補強剤と、
前記熱収縮性チューブに照射された紫外線を吸収して熱エネルギーとして放出することにより、前記ナイロン系樹脂又はポリエステル系樹脂の高分子鎖が酸素と反応して分解反応を引き起こすことを防止する紫外線吸収剤(UV Absorber)とを含み、
前記紫外線吸収剤を前記熱収縮性チューブの総重量を基準に0.1重量%〜5重量%含み、
前記ナイロン系樹脂はナイロン66のみからなり、
前記熱収縮性チューブは、50℃の雰囲気の条件で、光の強度が61.5W/m、光の波長が300nm〜400nmの紫外線に1,000時間露出されてもクラック(crack)が発生しない、円筒型電池セル。
【請求項2】
前記熱収縮性チューブは、色相付与のための顔料をさらに含む、請求項1に記載の円筒型電池セル。
【請求項3】
前記ポリエステル系樹脂はポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)樹脂である、請求項1または2に記載の円筒型電池セル。
【請求項4】
前記ポリエステル系樹脂をチューブの総重量を基準に70重量%〜90重量%含む、請求項3に記載の円筒型電池セル。
【請求項5】
前記熱収縮性チューブの厚さは1μm〜100μmである、請求項1から4のいずれか一項に記載の円筒型電池セル。
【請求項6】
前記紫外線吸収剤はベンゾフェノン系化合物である、請求項1から5のいずれか一項に記載の円筒型電池セル。
【請求項7】
前記ベンゾフェノン系化合物はヒドロキシベンゾフェノン(hydroxy benzophenone)である、請求項6に記載の円筒型電池セル。
【請求項8】
前記ナイロン系樹脂を熱収縮性チューブの総重量を基準に3重量%〜10重量%含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の円筒型電池セル。
【請求項9】
前記顔料を熱収縮性チューブの総重量を基準に10重量%〜20重量%含む、請求項2に記載の円筒型電池セル。
【請求項10】
前記ナイロン系樹脂は、ポリエステル系樹脂にブレンド状態で含まれている、請求項1からのいずれか一項に記載の円筒型電池セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2016年12月26日付の韓国特許出願第2016−0178728号に基礎した優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示された全ての内容はこの明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は紫外線吸収剤を含む熱収縮性チューブを備えた円筒型電池セルに関するものである。
【背景技術】
【0003】
近年、化石燃料の枯渇によるエネルギー源の価格上昇、環境汚染の関心が増幅し、環境に優しい代替エネルギー源に対する要求が未来生活のための必須不可欠な要因となっている。したがって、原子力、太陽光、風力、潮力などの多様な電力生産技術に対する研究が持続されており、このように生産されたエネルギーをより効率的に使うための電力貯蔵装置にも至大な関心が続いている。
【0004】
特に、モバイル機器に対する技術開発と需要が増加するにつれてエネルギー源としての電池の需要が急激に増加しており、最近には電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)などの動力源として二次電池の使用が実現化されており、グリッド(Grid)化による電力補助電源などの用途にも使用領域が拡がっており、それによって多様な要求に応えることができる電池に対する多くの研究が行われている。
【0005】
一般に、二次電池は、電池ケースの形状によって、電極組立体が円筒形又は角形の金属カンに内蔵されている円筒型電池及び角型電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチ形ケースに内蔵されているパウチ型電池に分類される。ここで、電池ケースに内蔵される電極組立体は、陽極、陰極、及び前記陽極と陰極の間に介装された分離膜の構造からなって充放電が可能な発電素子であり、活物質が塗布された長いシート状の陽極と陰極の間に分離膜を挟んで巻き取ったゼリーロール型と、所定の大きさの多数の陽極と陰極を分離膜を挟んでいる状態で順次積層したスタック型に大きく分類される。
【0006】
図1には従来の円筒型電池の垂直断面斜視図が模式的に示されている。
【0007】
図1を参照すると、円筒型二次電池10は、ゼリーロール型(巻取型)電極組立体を円筒形ケース13に収納し、円筒形ケース13内に電解液を注入した後、ケース13の開放上端に電極端子(例えば、陽極端子)が形成されているキャップアセンブリー14を結合することで製作する。
【0008】
このような円筒型二次電池は、外部伝導性物質に対する絶縁機能及び外観保護機能をするために、電気絶縁性のプラスチック素材のフィルムからなったチューブ(tube)を使って電池ケースの外面を被覆した。
【0009】
しかし、従来技術の円筒型二次電池の外皮用チューブは、長期間紫外線(UV)に露出される場合、フィルムでクラックが発生して損傷されるか変色するなど、本来の絶縁機能及び外観保護機能を失う問題があった。
【0010】
さらに、円筒型二次電池の電池ケースの外面にチューブを付け加えた後、高温に露出されるか外部衝撃によってチューブが易しく変形して不良が発生する問題があった。
【0011】
したがって、前述した従来技術の問題点を効果的に解決することができる技術に対する必要性が高い実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は前記のような従来技術の問題点と過去から要請されて来た技術的課題を解決することを目的とする。
【0013】
本出願の発明者らは深度ある研究と多様な実験を繰り返した結果、以下で説明するように、熱収縮性チューブに照射された紫外線を吸収して熱エネルギーとして放出することにより、前記ナイロン系樹脂又はポリエステル系樹脂の高分子鎖が酸素と反応して分解反応を引き起こすことを防止する紫外線吸収剤(UV Absorber)を含む場合、所望の効果を発揮することができることを確認して本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するための本発明による円筒型電池セルは、
電極端子部位を除いた円筒形ケースの外面を熱収縮性チューブが包んでいる円筒型電池セルであって、前記熱収縮性チューブは、
熱収縮性を有するポリエステル系樹脂のチューブ基材と、
熱収縮性チューブに色相を付与する顔料と、
熱収縮性チューブの引張強度及び使用温度を高めるナイロン系樹脂の補強剤と、
熱収縮性チューブに照射された紫外線を吸収して熱エネルギーとして放出することにより、前記ナイロン系樹脂又はポリエステル系樹脂の高分子鎖が酸素と反応して分解反応を引き起こすことを防止する紫外線吸収剤(UV Absorber)と、
を含むことを特徴とする。
【0015】
したがって、本発明による円筒型電池セルは、熱収縮性チューブに照射された紫外線を吸収して熱エネルギーとして放出し、ナイロン系樹脂又はポリエステル系樹脂の高分子鎖が酸素と反応して分解反応を引き起こすことを防止する紫外線吸収剤を含むことにより、熱収縮性チューブが長期間紫外線に露出される場合にもフィルムが損傷されるか変色することがなくて本来の絶縁機能及び外観保護機能をうまく維持することができる。
【0016】
また、本発明による円筒型電池セルは、熱収縮性チューブに熱収縮性チューブの引張強度及び使用温度を高めるナイロン系樹脂の補強剤を使うことにより、チューブが高温に露出されるか外部衝撃によってチューブが易しく変形されることを防止することができる。
【0017】
前記熱収縮性チューブは、色相付与のための顔料をさらに含むことができ、電池セルの容量などの差を色相で区別して表示することができるので、易しく分類及び区別することができる利点がある。
【0018】
一具体例において、前記ポリエステル系樹脂は、例えばポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)樹脂であってもよい。
【0019】
詳細に、前記ポリエステル系樹脂をチューブの総重量を基準に70重量%〜90重量%含むことができ、より詳細に、前記ポリエステル系樹脂を70重量%未満含む場合、本発明が要求する適切な熱収縮率を得にくいため熱収縮チューブの機能を正常に発揮しにくく、反対に90重量%以上含む場合、高温に露出される場合、チューブが過度に変形又は変質しやすい問題がある。
【0020】
一具体例において、前記円筒型二次電池用熱収縮性チューブの厚さは1μm〜100μmであってもよい。
【0021】
一具体例において、前記紫外線吸収剤はベンゾフェノン系化合物であってもよく、具体的に前記ベンゾフェノン系化合物はヒドロキシベンゾフェノン(hydroxy benzophenone)であってもよい。
【0022】
また、前記紫外線吸収剤を熱収縮性チューブの総重量を基準に0.1重量%〜5重量%含むことができ、詳細に0.5重量%〜5重量%含むことができ、より詳細に前記紫外線吸収剤を0.1重量%未満含む場合、紫外線吸収剤のナイロン系樹脂又はポリエステル系樹脂の高分子鎖が酸素と反応して分解反応を引き起こすことを防止する効果を発揮しにくくいため紫外線の照射によるクラック発生を防止しにくく、反対に5重量%を超える場合、高価の紫外線吸収剤が過度に添加され、UV安定化効能に比べて製造コストが過度に高くなる問題がある。
【0023】
一具体例において、前記ナイロン系樹脂はナイロン66であってもよく、前記ナイロン66は、熱変形温度が70℃と比較的高く、耐熱温度は105℃、引張弾性率は2.9×10kg/cm、屈曲弾性率は3.0×10kg/cmである。他のナイロン6、ナイロン6−10及びナイロン6−12に比べて耐熱性が高くて機械的剛性が高い。
【0024】
また、前記ナイロン系樹脂を熱収縮性チューブの総重量を基準に3重量%〜10重量%含むことができる。
【0025】
また、前記ナイロン系樹脂をポリエステル系樹脂にブレンド状態で含むことができる。
一具体例において、前記顔料を熱収縮性チューブの総重量を基準に10重量%〜20重量%含むことができる。
【0026】
一具体例において、本発明による熱収縮性チューブは、50℃の雰囲気の条件で、光の強度が61.5W/m、光の波長が300nm〜400nmの紫外線に1,000時間露出されてもクラック(crack)が発生しない。
【0027】
一具体例において、前記熱収縮性チューブは、照射された紫外線によって前記ナイロン系樹脂又はポリエステル系樹脂の高分子鎖が切断されて生成された自由ラジカルの連鎖反応を抑制する紫外線安定剤(UV Stabilizer)をさらに含むことができ、具体的に、前記紫外線安定剤はベンゾエート系化合物であってもよく、前記ベンゾエート系化合物は、例えばブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(butyl−4−hydroxybenzoate)であってもよい。
【0028】
したがって、本発明による熱収縮性チューブは、紫外線吸収剤によってフィルムでクラックが発生することを防止することができるだけではなく、照射された紫外線によって前記ナイロン系樹脂又はポリエステル系樹脂の高分子鎖が切断されて生成された自由ラジカルの連鎖反応を抑制する紫外線安定剤をさらに含むことにより、より長時間にわたって紫外線によるチューブの変質を防止することができる。
【0029】
一具体例において、前記円筒型電池セルは二次電池であってもよく、前記二次電池はその種類が特に限定されるものではないが、具体的な例として、高いエネルギー密度、放電電圧、出力安全性などの利点を有するリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池などのリチウム二次電池であってもよい。
【0030】
一般に、リチウム二次電池は、陽極、陰極、分離膜、及びリチウム塩含有非水電解液から構成されている。
【0031】
以下では、前記リチウム二次電池のその他の構成について説明する。
【0032】
具体的に、前記陽極は、例えば陽極集電体に陽極活物質粒子から構成された陽極活物質と導電材及びバインダーが混合された陽極合剤を塗布して製造することができ、必要によっては前記陽極合剤に充填剤をさらに添加することができる。
【0033】
前記陽極集電体は、一般的に3〜201μmの厚さに製造され、当該電池の化学的変化を引き起こさないながらも高い導電性を有するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、及びアルミニウム又はステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン又は銀で表面処理したものから選択される1種を使うことができ、詳細にはアルミニウムを使うことができる。集電体はその表面に微細な凹凸を形成して陽極活物質の接着力を高めることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態が可能である。
【0034】
前記陽極活物質は、例えば前記陽極活物質粒子の他に、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)などの層状化合物又は一つ又はそれ以上の遷移金属に置換された化合物;化学式Li1+xMn2−x(ここで、xは0〜0.33)、LiMnO、LiMn、LiMnOなどのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(LiCuO);LiV、LiV、V、Cuなどのバナジウム酸化物;化学式LiNi1−x(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、B又はGa、x=0.01〜0.3)で表現されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2−x(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、Zn又はTa、x=0.01〜0.1)又はLiMnMO(ここで、M=Fe、Co、Ni、Cu又はZn)で表現されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土類金属イオンに置換されたLiMn;ジスルフィド化合物;Fe(MoOなどから構成されることができ、これらにのみ限定されるものではない。
【0035】
前記導電材は、通常に陽極活物質を含めた混合物総重量を基準に0.1〜30重量%添加される。このような導電材は当該電池に化学的変化を引き起こさないながらも導電性を有するものであれば特に制限されるものではない。例えば、天然黒鉛又は人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サマーブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維又は金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウイスキー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などを使うことができる。
【0036】
前記陽極に含まれるバインダーは活物質と導電材などの結合と集電体に対する結合に役立つ成分であり、通常に陽極活物質を含む混合物の総重量を基準に0.1〜30重量%添加される。このようなバインダーの例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合体などを挙げることができる。
【0037】
前記陰極は陰極集電体上に陰極活物質を塗布して乾燥することによって製作され、必要によって、前述したように陽極に含まれる成分を選択的にさらに含むこともできる。
【0038】
前記陰極集電体は一般的に3〜500μmの厚さに作られる。このような陰極集電体は当該電池に化学的変化を引き起こさないながらも導電性を有するものであれば特に制限されるものではない。例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅ステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム−カドミウム合金などを使うことができる。また、陽極集電体と同様に、表面に微細な凹凸を形成して陰極活物質の結合力を強化させることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態を使うことができる。
【0039】
前記陰極活物質としては、例えば、難黒鉛化炭素、黒鉛炭素などの炭素;LiFe(0≦x≦1)、LiWO(0≦x≦1)、SnMe1−xMe'(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me':Al、B、P、Si、周期律表の1族、2族及び3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;ケイ素系合金;スズ系合金;SnO、SnO、PbO、PbO、Pb、Pb、Sb、Sb、Sb、GeO、GeO、Bi、Bi、及びBiなどの金属酸化物;ポリアセンチレンなどの導電性高分子;Li−Co−Ni系材料などを使うことができる。
【0040】
前記分離膜は陽極と陰極の間に介装され、高いイオン透過度と機械的強度を有する絶縁性の薄膜が使われる。分離膜の気孔の直径は一般的に0.01〜10μmであり、厚さは一般的に5〜300μmである。このような分離膜としては、例えば、耐化学性及び疎水性のポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマー;ガラスファイバー又はポリエチレンなどから作られたシート又は不織布などが使われる。電解質としてポリマーなどの固体電解質が使われる場合には、固体電解質が分離膜を兼ねることもできる。
【0041】
前記リチウム塩含有非水系電解液は、非水電解液とリチウム塩からなる。非水電解液としては非水系有機溶媒、有機個体電解質、無機固体電解質などが使われるが、これらにのみ限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】従来技術の円筒型電池を示した垂直断面斜視図である。
図2】本発明の実験例1の実験過程を示した写真である。
図3】本発明の熱収縮性チューブが含んでいる紫外線吸収剤のメカニズムを説明するための模式図である。
図4】実験例2で実施例1の結果を示す写真である。
図5】実験例2で比較例2の結果を示す写真である。
図6】実験例3で実施例1の応力変形曲線(S−S Curve)を示す図である。
図7】実験例3で比較例3の応力変形曲線(S−S Curve)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下では、本発明の実施例を参照して説明するが、これは本発明のより容易な理解のためのもので、本発明の範疇がそれによって限定されるものではない。
【0044】
<実施例1>
組成物の総重量を基準にポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)樹脂80g、紫外線吸収剤であるヒドロキシベンゾフェノン(hydroxy benzophenone)2g、顔料(pigment)8g及びナイロン66 10gを一緒に混和した後、溶融ブレンドして樹脂組成物を製造し、製造された樹脂組成物を冷却装置で急冷硬化することによって上部と下部が開放した円筒形熱収縮性チューブを製造した。
【0045】
<比較例1>
紫外線吸収剤であるヒドロキシベンゾフェノン(hydroxy benzophenone)とナイロン66を使わずに樹脂組成物を製造したことを除き、実施例1と同様に熱収縮性チューブを製造した。
【0046】
<比較例2>
紫外線吸収剤であるヒドロキシベンゾフェノン(hydroxy benzophenone)を使わずに樹脂組成物を製造したことを除き、実施例1と同様に熱収縮性チューブを製造した。
【0047】
<比較例3>
樹脂組成物の製造時、ナイロン66を使わずに製造したことを除き、実施例1と同様に熱収縮性チューブを製造した。
【0048】
<実験例1>
本発明の図2には実験例1の実験過程を示した写真が開示されている。図2と同様に、実施例1及び比較例1〜比較例3で製造された熱収縮性チューブ110のそれぞれを紫外線照射器200のランプから3cm離隔するように配置し、光の強度が61.5W/m、光の波長が300nm〜400nm、温度が50℃の雰囲気の条件で1,000時間露出させた後、チューブの表面にクラックの発生有無を確認した。
【表1】
【0049】
前記表1を参照すると、ナイロンと紫外線吸収剤のいずれも使わなかった比較例1の場合にはクラックが発生したが、実施例1、比較例2及び比較例3の場合には1,000時間の紫外線の照射後にもクラックが発生しなかった。すなわち、比較例2のようにポリエステル系樹脂のチューブ基材素材にナイロン系樹脂が付け加わる場合、ナイロン固有の物性である弾力性によって熱収縮性チューブにクラックが発生することを防止することができる。また、比較例3のようにポリエステル系樹脂のチューブ基材素材に紫外線吸収剤を含む場合には前記紫外線吸収剤がナイロン系樹脂及びポリエステル系樹脂の高分子鎖が分解されることを防止するので、クラックが発生することを防止することができる。
【0050】
また、実施例1のようにポリエステル系樹脂のチューブ基材素材にナイロン系樹脂及び紫外線吸収剤を含む場合には、これらのシナジー効果が発生してクラックの発生を防止する効果が一層高くなる。
【0051】
一方、図3は本発明の熱収縮性チューブが含んでいる紫外線安定剤のメカニズムを説明するための模式図が示されている。図3を参照すると、紫外線照射器200から熱収縮性チューブ110に照射された紫外線によってナイロン系樹脂又はポリエステル系樹脂の高分子鎖が切断されて生成された自由ラジカル120と紫外線安定剤130が反応して自由ラジカル120の連鎖反応を抑制することができる。
【0052】
<実験例2>
前記実施例1で製造された熱収縮性チューブと前記比較例2で製造された熱収縮性チューブを準備し、チューブの表面に黒色文字を印刷した。前記熱収縮性チューブを、光の強度が61.5W/m、光の波長が300nm〜400nmの紫外線照射器に500時間露出させた後、前記黒色文字の色相変化を確認し、その結果を図4及び図5に示した。
【0053】
図4は前記実施例1の熱収縮性チューブの色相変化を示し、図5は前記比較例2の熱収縮性チューブの色相変化を示す。
【0054】
図4及び図5を参照すると、実施例1の場合には紫外線照射前の状態と紫外線照射後の状態に文字の色相変化がほとんど現れていないが、比較例2の場合には文字の色相が黒色から灰色に変色して非常に曇っていることを確認することができる。よって、紫外線吸収剤を含む場合にはチューブの色相変化に影響を及ぼさないが、含んでいない場合には色相変化が著しく現れることが分かる。
【0055】
<実験例3>
前記実施例1による方法で製造された熱収縮性チューブ3個と前記比較例3による方法で製造された熱収縮性チューブ3個を使用し、これらの引張強度及び伸び率を測定するために、万能材料試験機(Universal Test Machine)を用いた。
【0056】
前記絶縁性外装材試験片を試験機に位置させた後、一定の速度で伸ばしながら応力変形曲線(S−S Curve)を測定し、実施例1の結果を図6に示し、比較例3の結果を図7に示した。その具体的な値は表2の通りである。
【表2】
【0057】
前記表2と図6及び図7を参照すると、実施例1の熱収縮性チューブの引張強度及び伸び率は比較例3の熱収縮性チューブと比較して著しく向上した値を示している。したがって、紫外線吸収剤及びナイロンを含む熱収縮性チューブはナイロンを含んでいない熱収縮性チューブより機械的剛性が向上したことが分かる。これは、引張強度が高くて弾力性があるナイロンを含んでいるからと判断される。
【0058】
前記で確認したように、本発明の熱収縮性チューブはチューブ基材素材にナイロン系樹脂及び紫外線吸収剤を含む。前記ナイロン系樹脂又は紫外線吸収剤のいずれか一つを含む熱収縮性チューブはクラックが発生することが抑制される。また、ナイロン系樹脂は含むが紫外線吸収剤を含んでいない場合には引張強度及び伸び率の増加効果を得ることができるが、紫外線の照射によって色相が著しく変化することを確認した。
【0059】
すなわち、本発明はナイロン系樹脂及び紫外線吸収剤の両者を含むことによって得られるシナジー効果を発揮するので、チューブでクラックが発生することを防止することができ、紫外線による変色を防止することができる。
【0060】
以上、本発明の実施例を参照して説明したが、本発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば前記内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用及び変形をなすことが可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0061】
前述したように、本発明による円筒型電池セルは、熱収縮性チューブに照射された紫外線を吸収して熱エネルギーとして放出し、前記ナイロン系樹脂又はポリエステル系樹脂の高分子鎖が酸素と反応して分解反応を引き起こすことを防止する紫外線吸収剤を含む場合、熱収縮性チューブが長期間紫外線に露出される場合にもチューブが損傷されるか変色することがないので、本来の絶縁機能及び外観保護機能をうまく維持する効果がある。
【0062】
また、本発明による円筒型電池セルは、熱収縮性チューブに熱収縮性チューブの引張強度及び使用温度を高めるナイロン系樹脂の補強剤を使うことにより、チューブが高温に露出されるか外部衝撃によってチューブが易しく変形することを防止する効果がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7