(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記信号処理部は、第1の波長空間位相測定信号を提供するように、前記検出器信号の第1のセットを処理するように構成され、前記第2の周期的パターン部による信号成分は抑制され、また、第2の波長空間位相測定信号を提供するように、前記検出器信号の第2のセットを処理するように構成され、前記第1の周期的パターン部による信号成分は抑制される、請求項1に記載の電子式アブソリュート型エンコーダ。
前記スケールは、前記測定軸方向と平行に位置合わせされる円柱軸を有する円筒形であり、前記第1の周期的パターン部は、前記スケールに沿って配置されるノッチ又は溝として形成され、前記第2の周期的パターン部は、前記スケールに沿って配置されるノッチ又は溝として形成され、
前記検知要素は、前記スケールを取り囲むループを含む、請求項1に記載の電子式アブソリュート型エンコーダ。
前記第1及び第2の周期的パターン部は、前記スケールに沿った第1及び第2のトラックにそれぞれ形成されるノッチを含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の電子式アブソリュート型エンコーダ。
前記スケールは、前記測定軸方向に沿って延在する第1の平坦基板を含み、前記第1の周期的パターン部及び前記第2の周期的パターン部は、前記スケールの前記測定軸方向に沿って形成され、
前記検知要素は、それぞれ、前記第1の平坦基板との間に間隙を有して、前記第1の平坦基板の付近に配置される第2の平坦基板上に形成されるほぼ平面状のループ巻線を含み、各検知要素は、前記測定軸方向よりも前記測定軸方向を横断する方向に沿って長く、各検知要素は、前記測定軸方向を横断する前記方向に沿って前記第1及び第2の周期的パターン部を跨ぐ、請求項1から9のいずれか1項に記載の電子式アブソリュート型エンコーダ。
前記第1の周期的パターン部及び前記第2の周期的パターン部は、前記測定軸方向に沿って、別々のトラックに形成される、請求項13に記載の電子式アブソリュート型エンコーダ。
前記第1の周期的パターン部及び前記第2の周期的パターン部は、前記測定軸方向に沿って、単一のトラックに重ね合わされて形成される、請求項13に記載の電子式アブソリュート型エンコーダ。
前記第1の周期的パターン部及び前記第2の周期的パターン部の、前記測定軸方向に沿って、単一のトラックに重ね合わされる場合に形成されるパターンは、前記測定軸方向に沿って延在するパターンの中央線に対し左右対称であるパターンである、請求項15に記載の電子式アブソリュート型エンコーダ。
前記検出器の前記検知要素は、電磁巻線を含み、前記電磁巻線は、前記信号変調スケールパターンに沿った位置の関数として、前記電磁巻線によって検知されるインダクタンスの変化に対応する検出器信号を提供するように構成される、請求項1から16のいずれか1項に記載の電子式アブソリュート型エンコーダ。
前記検出器及び前記スケールは、変化する磁場を発生させることによって動作する渦電流トランスデューサとして構成される、請求項17に記載の電子式アブソリュート型エンコーダ。
前記第2の波長検知要素のセットの前記第1のフィルタリングサブセットは、前記測定軸方向に沿って、前記第1の波長検知要素のセットの前記第1のフィルタリングサブセットと、前記第1の波長検知要素のセットの前記第2のフィルタリングサブセットとの間に配置される、請求項1から18のいずれか1項に記載の電子式アブソリュート型エンコーダ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、電子式アブソリュート型エンコーダ100の第1の実施形態の模式図である。電子式アブソリュート型エンコーダ100は、測定軸方向MAに沿って延在するスケール110と、検出器120と、検出器120によって提供される検出器信号に基づき、スケール110に沿った検出器120の絶対位置を決定する信号処理部130とを含む。スケール110は、スケール110に沿った位置の関数として、空間波長λ
1を有する第1の周期的パターン部111と、スケール110に沿った位置の関数として、空間波長λ
2を有する第2の周期的パターン部112とを含む信号変調スケールパターンを含む。スケール110は、測定軸方向と平行に位置合わせされる円柱軸を有する円筒形を有し、第1の周期的パターン部111が、片側に配置されるノッチ又は溝として形成され、第2の周期的パターン部112が、もう片側に配置されるノッチ又は溝として形成されている。スケール110は、アルミニウム又はスチールといった材料から形成されてよい。検出器120は、測定軸方向MAに沿って配置される検知要素を含む。検知要素は、スケールを取り囲むループを含む。検知要素は、信号変調スケールパターンに対応する検出器信号の第1のセットを提供するように構成される第1の波長検知要素のセット121と、信号変調スケールパターンに対する第2の波長検知要素のセット122とを含む。第1の波長検知要素のセット121は、それぞれ第1及び第2のパターン部111及び112を跨ぐ第1の波長検知要素の第1のフィルタリングサブセット123と、それぞれ第1及び第2のパターン部111及び112を跨ぐ第1の波長検知要素の第2のフィルタリングサブセット123’とを含む。第1の波長検知要素のセット121の第1及び第2のフィルタリングサブセット123及び123’は、第1のフィルタリングサブセット123の各検知要素が、空間波長λ
2について180度の整数倍の空間位相差で、測定軸方向MAに沿って、当該各検知要素から離間されている第2のフィルタリングサブセット123’における検知要素と相補的対を形成するように配置される。各波長検知要素は、簡単にするために、破線としてマークされる。第2の波長検知要素のセット122は、それぞれ第1及び第2のパターン部111及び112を跨ぐ第2の波長検知要素の第1のフィルタリングサブセット124と、それぞれ第1及び第2のパターン部111及び112を跨ぐ第2の波長検知要素の第2のフィルタリングサブセット124’とを含む。第2の波長検知要素のセットの第1及び第2のフィルタリングサブセット124及び124’は、第1のフィルタリングサブセット124の各検知要素が、空間波長λ
1について180°の整数倍の空間位相差で、測定軸方向MAに沿って、当該各検知要素から離間されている第2のフィルタリングサブセット124’における検知要素と相補的対を形成するように配置される。様々な実施形態において、検出器の検知要素は、電磁巻線を含む。電磁巻線は、信号変調スケールパターンに沿った位置の関数として、当該電磁巻線によって検知されるインダクタンス(インピーダンスとして測定される)の変化に対応する検出器信号を提供するように構成される。
【0010】
検出器120及びスケール110は、一実施態様では、変化する磁場を発生させることによって動作する渦電流トランスデューサとして構成される。幾つかの実施形態では、各波長検知要素に変化する電流を提供することによって提供される変化する磁場は、スケール110において、渦電流として知られている循環する電流をもたらし、これは、第1の周期的パターン部111及び第2の周期的パターン部112に沿ったスケール110の材料の厚さに応じて変化する。検出器120の波長検知要素の実効インダクタンスは、各渦電流によって影響され、これに対応して、スケール110のアブソリュート信号範囲に沿って検出器120の各位置を一意に示すように、アブソリュート信号範囲に沿って変化する信号特性を有する絶対位置検出器信号を提供する。或いは、本明細書に開示される原理に従って構成される電子式アブソリュート型エンコーダは、検出器120の検知要素と同様に配置される送信及び受信巻線を含む特許文献1に開示される構造と同様のトランスタイプの構造を使用してもよい。
【0011】
測定軸方向MAに沿った位置xの関数として、単一の波長検知素子によって提供される信号は、基本信号、第2高調波及び一定オフセットの和としてモデリングできる:
【数1】
【0012】
L
1及びL
2項は、それぞれ、各自の位相オフセットθ
1及びθ
2を有する第1の波長λ
1及び第2の波長λ
2の基本信号である。L
3及びL
4項は、それぞれ、各自の位相オフセットθ
3及びθ
4を有する第1の波長λ
1及び第2の波長λ
2の第2高調波である。β項は、一定オフセットである。
【0013】
当然ながら、スケール110は、電子式インジケータゲージのシャフト上に組み立てられるのに適した円筒形である。しかし、例えば
図7に示されるように、同様の構造体を平面配置で使用してもよい。
【0014】
本明細書に開示される原理に従って構成される幾つかの実施形態では、信号処理部130は、第2の周期的パターン部112による信号成分(例えば式1のL
2及びL
4項)を抑制して、第1の波長空間位相測定信号を提供するように、検出器信号の第1のセットを処理し、また、第1の周期的パターン部111による信号成分(例えば式1のL
1及びL
3項)を抑制して、第2の波長空間位相測定信号を提供するように、検出器信号の第2のセットを処理するように構成される。幾つかの実施形態では、信号処理部130は、第1の波長空間位相測定信号を処理し、空間波長λ
1に対する第1の波長検知要素のセット121の空間位相測定値を決定し、また、第2の波長空間位相測定信号を処理し、空間波長λ
2に対する第2の波長検知要素のセット122の空間位相測定値を決定するように構成されてよい。
【0015】
図2Aは、電子式アブソリュート型エンコーダ100に使用されうる検出器220の第1の波長検知要素のセット221の摸式図であり、さらなる詳細を示す。第1の波長検知要素のセット221は、第1の波長検知要素の第1のフィルタリングサブセット223と、第1の波長検知要素の第2のフィルタリングサブセット223’とを含む。
図2Aに示されるように、第1の波長検知要素の第1のフィルタリングサブセット223は、測定軸方向MAに沿って位相位置A1、B1、C1及びD1をサンプリングするように構成される検知要素を含む。より具体的には、位相信号A1、B1、C1及びD1は、第1の波長λ
1の0、90、180及び270度の相対位相位置に対応する。第1の波長検知要素の第2のフィルタリングサブセット223’は、測定軸方向MAに沿って位相A1’、B1’、C1’及びD1’をサンプリングするように構成される検知要素を含む。より具体的には、位相信号A1’、B1’、C1’及びD1’は、第1の波長λ
1の0、90、180及び270度の相対位相位置に対応する。第1の波長検知要素の第1のフィルタリングサブセット223は、当該第1のフィルタリングサブセット223の各検知要素が、第2の空間波長λ
2について180度の整数倍の空間位相差で、測定軸方向MAに沿って、当該各検知要素から離間されている第2のフィルタリングサブセット223’における検知要素と相補的対を形成するように配置される。より具体的には、A1とA1’とは、測定軸方向MAに沿って距離K
A1*(0.5
*λ
2)で離間されている相補的対であり、B1とB1’とは、測定軸方向MAに沿って距離K
B1*(0.5
*λ
2)で離間されている相補的対であり、C1とC1’とは、測定軸方向MAに沿って距離K
C1*(0.5
*λ
2)で離間されている相補的対であり、D1とD1’とは、測定軸方向MAに沿って距離K
D1*(0.5
*λ
2)で離間されている相補的対である。値K
A1、K
B1、K
C1及びK
D1は、整数である。
図2Aに示される実施形態では、値K
A1、K
B1、K
C1及びK
D1はすべて2であるが、当然ながら、この値は例示であり、限定ではない。更に、値K
A1、K
B1、K
C1及びK
D1は同じ値である必要はない。
【0016】
第1の波長位相φ
1に対応する信号を提供するために、各相補的対の信号は、信号処理部130において、電子的又は数学的に加算されうる。これは、次式:
【数2】
によって与えられる直交信号
、
、
及び
を提供する。
【0017】
式2乃至式5中、K
A1、K
B1、K
C1及びK
D1が偶数値の場合、差が使用され、奇数値の場合、和が使用されてよい。直交信号
、
、
及び
は、次に、次式:
【数3】
によって、第1の波長位相φ
1を決定するように使用されうる。
【0018】
第2の空間波長λ
2について180度の整数倍の空間位相差で、相補的対を離間することで、各直交信号
、
、
及び
を決定することは、空間波長λ
2に対応するコモンモード値を取り去ることを理解すべきである。より具体的には、K
A1、K
B1、K
C1及びK
D1が偶数値の場合、各相補的対によって提供される信号は、それぞれ、第2の波長λ
2に関し同位相を有し、K
A1、K
B1、K
C1及びK
D1が奇数値の場合、各相補的対によって提供される信号は、それぞれ、第2の波長λ
2に関し逆位相を有する。
【0019】
図2Bは、電子式アブソリュート型エンコーダ100に使用されうる検出器220の第2の波長検知要素のセット222の摸式図であり、さらなる詳細を示す。第2の波長検知要素のセット222は、第2の波長検知要素の第1のフィルタリングサブセット224と、第2の波長検知要素の第2のフィルタリングサブセット224’とを含む。
図2Bに示されるように、第2の波長検知要素の第1のフィルタリングサブセット224は、測定軸方向MAに沿って位相位置A2、B2、C2及びD2をサンプリングするように構成される検知要素を含む。より具体的には、位相信号A2、B2、C2及びD2は、第2の波長λ
2の0、90、180及び270度の相対位相位置に対応する。第2の波長検知要素の第2のフィルタリングサブセット224’は、測定軸方向に沿って位相A2’、B2’、C2’及びD2’をサンプリングするように構成される検知要素を含む。より具体的には、位相信号A2’、B2’、C2’及びD2’は、第2の波長λ
2の0、90、180及び270度の相対位相位置に対応する。第2の波長検知要素の第1のフィルタリングサブセット224は、当該第1のフィルタリングサブセット224の各検知要素が、第1の空間波長λ
1について180度の整数倍の位相差で、測定軸方向に沿って、当該各検知要素から離間されている第2のフィルタリングサブセット224’における検知要素と相補的対を形成するように配置される。より具体的には、A2とA2’とは、測定軸方向MAに沿って距離K
A2*(0.5
*λ
1)で離間されている相補的対であり、B2とB2’とは、測定軸方向MAに沿って距離K
B2*(0.5
*λ
1)で離間されている相補的対であり、C2とC2’とは、測定軸方向MAに沿って距離K
C2*(0.5
*λ
1)で離間されている相補的対であり、D2とD2’とは、測定軸方向MAに沿って距離K
D2*(0.5
*λ
1)で離間されている相補的対である。値K
A2、K
B2、K
C2及びK
D2は、整数である。
図2Bに示される実施形態では、値K
A2、K
B2、K
C2及びK
D2はすべて2であるが、当然ながら、この値は例示であり、限定ではない。更に、値K
A2、K
B2、K
C2及びK
D2は同じ値である必要はない。
【0020】
第2の波長位相φ
2に対応する信号を提供するために、各相補的対の信号は、信号処理部130において、電子的又は数学的に加算されうる。これは、次式:
【数4】
によって与えられる直交信号
、
、
及び
を提供する。
【0021】
式7乃至式10中、K
A2、K
B2、K
C2及びK
D2が偶数値の場合、差が使用され、奇数値の場合、和が使用されてよい。直交信号直交信号
、
、
及び
は、次に、次式:
【数5】
によって、第2の波長位相φ
2を決定するように使用されうる。
【0022】
空間波長λ
2について180度の整数倍の位相差で、相補的対を離間することで、各直交信号直交信号
、
、
及び
を決定することは、第1の空間波長λ
1に対応するコモンモード値を取り去ることを認識すべきである。より具体的には、K
A2、K
B2、K
C2及びK
D2が偶数値の場合、各相補的対によって提供される信号は、それぞれ、第1の波長λ
1に関し同位相を有し、K
A2、K
B2、K
C2及びK
D2が奇数値の場合、各相補的対によって提供される信号は、それぞれ、第1の波長λ
1に関し逆位相を有する。
【0023】
第1の周期的パターン部111及び第2の周期的パターン部112の波長検知要素によって提供されるアナログ信号間の空間位相差は、波長λ
1及びλ
2の積に比例し、また、それらの差の絶対値に反比例する距離に亘り、360度で変化する。この距離は、電子式アブソリュート型エンコーダ100のほぼ絶対測定範囲である合成波長λ
synと呼ばれる場合もある。より具体的には、合成波長λ
synの値は、次式:
【数6】
によって与えられうる。
【0024】
第1の周期的パターン部111及び第2の周期的パターン部112からの各信号間の位相差は、既知の合成波長λ
synと共に使用されて、絶対位置を決定することができる。
【0025】
幾つかの実施形態では、典型的な第1の波長λ
1は、2mmであってよく、典型的な第2の波長λ
2は、2.308mmであってよく、これは、15mmである合成波長λ
synを提供する。
【0026】
本明細書に開示される原理に従って構成される幾つかの実施形態では、第1の波長検知要素のセットは、空間波長λ
1について360/N度の空間位相差で離間されるN個の空間位相に対応する検出器信号を提供するように構成されてよい。第2の波長検知要素のセットは、空間波長λ
2について360/N度の空間位相差で離間されるN個の一意の空間位相に対応するN個の検出器信号からなる第2のセットを含む検出器信号を提供するように構成されてよい。例えば
図2A及び
図2Bに示される実施形態では、第1の波長検知要素のセット221は、空間波長λ
1について90度の空間位相差で離間される4つの空間位相に対応する4つの検出器信号からなる第1のセットを含む検出器信号を提供するように構成され、第2の波長検知要素のセット222は、空間波長λ
2について90度の空間位相差で離間される4つの一意の空間位相に対応する4つの検出器信号からなる第2のセットを含む検出器信号を提供するように構成される。ここでは、N=4である。
図6A及び
図6Bには、変形例である「3位相」システムが示され、ここでは、N=3である。
【0027】
幾つかの実施形態では、第1の波長検知要素の第1のサブセットの検知要素は、距離λ
1/Nで離間され、第2の波長検知要素の第1のサブセットの検知要素は、距離λ
2/Nで離間されていてよい。例えば
図2A及び
図Bに示される実施形態では、第1の波長検知要素の第1のサブセットは、λ
1/4で離間される検知要素を含み、第2の波長検知要素の第1のサブセットは、λ
2/4で離間される検知要素を含む。3位相エンコーダを使用する他の実施形態では、第1の波長検知要素の第1のサブセットは、λ
1/3で離間される検知要素を含み、第2の波長検知要素の第1のサブセットは、λ
2/3で離間される検知要素を含む。当然ながら、当該他の実施形態では、検知要素が、λ
1/4又はλ
2/4よりも広い巻線を含んでいてもよい。この場合、より広い間隔が必要でありうる。例えば本願の出願人による米国特許出願第14/871,386号(2015年9月30日出願)は、スケールと、スケールの空間波長の4分の3で離される空間位相検知要素を含む検出器とを含む4位相エンコーダについて開示している。
【0028】
図3Aは、電子式アブソリュート型エンコーダ100と同様である電子式アブソリュート型エンコーダ300Aに使用されうる検出器320Aの摸式図である。より具体的には、検出器320Aは、第1の波長検知要素のセット321Aと、第2の波長検知要素のセット322Aとの直列配置である。第1の波長検知要素のセット321Aは、第1の波長検知要素の第1のフィルタリングサブセット323Aと、第1の波長検知要素の第2のフィルタリングサブセット323A’とを含む。第2の波長検知要素のセット322Aは、第2の波長検知要素の第1のフィルタリングサブセット324Aと、第2の波長検知要素の第2のフィルタリングサブセット324A’とを含む。
【0029】
図3Bは、電子式アブソリュート型エンコーダ100と同様である電子式アブソリュート型エンコーダ300Bに使用されうる検出器320Bの摸式図である。より具体的には、検出器320Bは、第1の波長検知要素のセット321Bと、第2の波長検知要素のセット322Bとの交互配置である。第1の波長検知要素のセット321Bは、第1の波長検知要素の第1のフィルタリングサブセット323Bと、第1の波長検知要素の第2のフィルタリングサブセット323B’とを含む。第2の波長検知要素のセット322Bは、第2の波長検知要素の第1のフィルタリングサブセット324Bと、第2の波長検知要素の第2のフィルタリングサブセット324B’とを含む。第2の波長検知要素の第1のフィルタリングサブセット324Bは、測定軸方向MAに沿って、第1の波長検知要素の第1のフィルタリングサブセット323Bと第1の波長検知要素の第2のフィルタリングサブセット323B’との間に配置される。
【0030】
検出器320Bは、K
A1、K
B1、K
C1、K
D1、K
A2、K
B2、K
C2及びK
D2の値が大きい実施形態においてより好ましい。より具体的には、このような状況は、第1の波長検知要素のセット321Bが、第1の波長検知要素の第1のフィルタリングサブセット323Bと第1の波長検知要素の第2のフィルタリングサブセット323B’との間に広い間隔を有し、第2の波長検知要素のセット322Bが、第2の波長検知要素の第1のフィルタリングサブセット324Bと第2の波長検知要素のセットの第2のフィルタリングサブセット324B’との間に広い間隔を有する実施形態において生じる。このような場合、交互配置によって、よりコンパクトな検出器320Bを提供することができる。
【0031】
図4は、電子式アブソリュート型エンコーダ100といった4位相電子式アブソリュート型エンコーダ内のスケールに沿って空間波長に対する第1の波長λ
1を検出するように構成される検出器のフィルタ係数を示すチャート400である。より具体的には、フィルタ係数は、第1の波長検知要素のセット221といった第1の波長検知要素のセットにおける相補的対の検知要素間のスケールの様々な空間波長の空間フィルタリングを表す伝達関数として理解されてよい。
図4に示されるように、第2の空間波長λ
2ついて、フィルタ係数はゼロである。即ち、より具体的には、空間波長λ
2は、式6によって表される直交関係にある第1の波長位相φ
1の決定に寄与しないように、完全に減衰される。第1の空間波長λ
1において、フィルタ係数は、約1.25である。第1の空間波長λ
1及び第2の空間波長λ
2の両方の第2高調波(即ち、λ
1/2及びλ
2/2)ついて、フィルタ係数はゼロである。即ち、より具体的には、第1の周期的パターン部111及び第2の周期的パターン部112の両方の第2高調波は、完全に減衰される。
【0032】
図5は、4位相電子式アブソリュート型エンコーダ内のスケールの第1の周期的パターン部及び第2の周期的パターン部の波長の様々な組み合わせ、および、偶数整数値kによって表される検知要素の相補的対の間の分離の様々な度合いについてのフィルタ係数及び合成空間波長λ
synを示すチャート500である。フィルタ係数は、第1の波長検知要素のセット221といった第1の波長検知要素のセットに関連する。値kは、K
A1、K
B1、K
C1及びK
D1と同様であると理解されてよい。当然ながら、λ
1におけるフィルタ係数は、kの値と、λ
2/λ
1の比とに依存する。これらの値の様々な組み合わせが、λ
1について、より優れたフィルタ係数を与える一方で、依然として、波長λ
2、λ
2/2及びλ
1/2を完全に減衰させる。比λ
2/λ
1の所与の値について、より高い値のkが、より高いフィルタ係数を与える。例えば比λ
2/λ
1=1.1を有するスケールについて、k=2の値が、1.24のフィルタ係数を与える。同じ比λ
2/λ
1について、k=2の値をk=4に増加すると、2.35のフィルタ係数が与えられる。
【0033】
所与のk値について、比λ
2/λ
1の値が高いほど、フィルタ係数はより高くなる。しかし、λ
2/λ
1の値が低いほど、比λ
syn/λ
1によって表現されるように、絶対範囲はより大きくなる。例えば、比λ
2/λ
1の値が1.1であり、k値が2である場合、フィルタ係数は、1.24であり、比λ
syn/λ
1は、10である。比λ
2/λ
1の値が1.05であり、k値が2である場合、フィルタ係数は、0.63であり、比λ
syn/λ
1は、21である。
【0034】
図6Aは、電子式アブソリュート型エンコーダ600に使用されうる検出器620の第1の波長検知要素のセット621の摸式図である。電子式アブソリュート型エンコーダ600は、3位相エンコーダである。第1の波長検知要素のセット621は、それぞれ第1及び第2の周期的パターン部111及び112を跨ぐ第1の波長検知要素の第1のフィルタリングサブセット623と、それぞれ第1及び第2の周期的パターン部111及び112を跨ぐ第1の波長検知要素の第2のフィルタリングサブセット623’とを含む。
図6Aに示されるように、第1の波長検知要素の第1のフィルタリングサブセット623は、測定軸方向に沿って位相信号A
1、B
1及びC
1をサンプリングするように構成される検知要素を含む。より具体的には、位相信号A
1、B
1及びC
1は、第1の波長λ
1の0、120及び240度に対応する。第1の波長検知要素の第2のフィルタリングサブセット623’は、測定軸方向に沿って位相信号A
1’、B
1’及びC
1’をサンプリングするように構成される検知要素を含む。より具体的には、位相信号A
1’、B
1’及びC
1’は、第1の波長λ
1の0、120及び240度に対応する。第1の波長検知要素の第1のフィルタリングサブセット623と第1の波長検知要素の第2のフィルタリングサブセット623’とは、距離λ
1/3で離間される検知要素を含む。位相信号A
1、B
1、C
1、A
1’、B
1’及びC
1’は、次の関係:
【数7】
に従って、3つの組み合わせ位相信号α
1、β
1及びγ
1を提供するように組み合わされてよい。
【0035】
これらの3つの組み合わせ位相信号は、次の関係:
【数8】
に従って、3つのスター結線での信号S
αβ1、S
βγ1及びS
γα1を提供するように使用されてよい。
【0036】
位相φ
1は、例えば米国特許第6,005,387号に開示されているスター結線法に従って決定されてよい。位相φ
1は、次の関係:
【数9】
によって与えられる。
【0037】
図6Bは、電子式アブソリュート型エンコーダ600に使用されうる検出器620の第2の波長検知要素のセット622の摸式図である。第2の波長検知要素のセット622は、それぞれ第1及び第2の周期的パターン部111及び112を跨ぐ第2の波長検知要素の第1のフィルタリングサブセット624と、それぞれ第1及び第2の周期的パターン部111及び112を跨ぐ第2の波長検知要素の第2のフィルタリングサブセット624’とを含む。
図6Bに示されるように、第2の波長検知要素の第1のフィルタリングサブセット624は、測定軸方向に沿って位相信号A
2、B
2及びC
2をサンプリングするように構成される検知要素を含む。より具体的には、位相信号A
2、B
2及びC
2は、第2の波長λ
2の0、120及び240度に対応する。第2の波長検知要素の第2のフィルタリングサブセット624’は、測定軸方向に沿って位相信号A
2’、B
2’及びC
2’を、この特定の順序でサンプリングするように構成される検知要素を含む。より具体的には、位相信号A
2’、B
2’及びC
2’は、第2の波長λ
2の0、120及び240度に対応する。第2の波長検知要素の第1のフィルタリングサブセット624と第2の波長検知要素の第2のフィルタリングサブセット624’とは、距離λ
2/3で離間される検知要素を含む。位相信号A
2、B
2、C
2、A
2’、B
2’及びC
2’は、次の関係:
【数10】
に従って、3つの組み合わせ位相信号α
2、β
2及びγ
2を提供するように組み合わされてよい。
【0038】
これらの3つの組み合わせ位相信号は、次の関係:
【数11】
に従って、3つのスター結線での信号S
αβ2、S
βγ2及びS
γα2を提供するように使用されてよい。
【0039】
位相φ
2は、式11と同じ方法に従って決定されてよい。位相φ
2は、次の関係:
【数12】
によって与えられる。
【0040】
図7は、電子式アブソリュート型エンコーダ700の第2の実施形態に使用されうるスケール710の構造を示す摸式図である。スケール710は、スケールに沿った位置の関数として、空間波長λ
1を有する第1の周期的パターン部711と、スケールに沿った位置の関数として、空間波長λ
2を有する第2の周期的パターン部712とを含む信号変調スケールパターンを含む。第1の周期的パターン部711及び第2の周期的パターン部712は共に、それらの基本パターンを示すために、別々に示されている。スケール710は、第1の周期的パターン部711及び第2の周期的パターン部712が同じ領域にあり、両方のパターンと共に示される。スケール710は、測定軸方向に沿って延在する第1の平坦基板を含み、第1の周期的パターン部711及び第2の周期的パターン部712は、スケール710の測定軸方向MAに沿って形成される。各検知要素は、第1の平坦基板との間に間隙を有して当該第1の平坦基板の付近に配置される第2の平坦基板上に形成されるほぼ平面状のループ巻線を含む。各検知要素は、測定軸方向MAに沿って比較的短く、また、測定軸方向MAを横断する方向に沿って比較的長い。すなわち、各検知要素は、測定軸方向MAよりも測定軸方向MAを横断する方向に沿って長く構成される。各検知要素は、測定軸方向MAを横断する方向に沿って第1及び第2の周期的パターン部711及び712を跨ぐ。第1の周期的パターン部711及び第2の周期的パターン部712は、第1の材料からなる基板上に組み付けられる又は基板内に埋め込まれる第2の材料から形成される。第2の材料は、第1の材料とは異なる磁性を有する。幾つかの実施形態では、第1の周期的パターン部711及び第2の周期的パターン部712は、基板上の異なる層に形成されてもよい。幾つかの実施形態では、スケール710は、第1の周期的パターン部711及び第2の周期的パターン部712が銅線として提供されるPCB基板を含んでもよい。第1の周期的パターン部711及び第2の周期的パターン部712は、測定軸方向に沿って単一のトラックに重ね合わされて形成される。当然ながら、代替実施形態では、第1の周期的パターン部及び第2の周期的パターン部は、測定軸方向MAに沿って別々のトラックとして形成されてもよい。この場合、検出器の検知要素は、別々のトラックの両方を跨ぐ。
【0041】
図8は、電子式アブソリュート型エンコーダ800の第3の実施形態に使用されうるスケール810及び検出器820を示す摸式図である。スケール810は、スケールに沿った位置の関数として、空間波長λ
1を有する第1の周期的パターン部811と、スケールに沿った位置の関数として、空間波長λ
2を有する第2の周期的パターン部812とを含む信号変調スケールパターンを含む。より具体的には、信号変調スケールパターンの幅は、空間波長λ
1及びλ
2の2つの正弦曲線の重ね合わせに応じて変化する。
【0042】
検出器820は、検出器620と同様である3位相システムを含み、第1の波長検知要素のセット821と、第2の波長検知要素のセット822とが交互に配置されている。第1の波長検知要素のセット821は、第1の波長検知要素の第1のフィルタリングサブセット823と、第1の波長検知要素の第2のフィルタリングサブセット823’とを含む。第2の波長検知要素のセット822は、第2の波長検知要素の第1のフィルタリングサブセット824と、第2の波長検知要素の第2のフィルタリングサブセット824’とを含む。検出器820の交互配置は、検出器320Bの交互配置と同様であり、潜在的な空間制約問題を解決するコンパクトな検出器構造を提供する。
【0043】
測定軸方向MAに沿って単一のトラックに重ね合わされる第1の周期的パターン部811及び第2の周期的パターン部812によって形成されるパターンは、測定軸方向MAに沿って延在するパターンの中央線に対し左右対称であるパターンである。
【0044】
上記された様々な実施形態は、更なる実施形態を提供するように、組み合わされてもよい。本明細書において参照されたすべての米国特許及び米国特許出願は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。様々な特許及び出願の概念を使用して更に別の実施態様を提供するように、必要に応じて、実施態様の態様が変更されてもよい。
【0045】
上記詳細な説明に照らせば、これらの及び他の変更を実施形態に行うことができる。一般に、次の請求項において使用される用語は、請求項を、本明細書及び請求項に開示される特定の実施形態に限定すると解釈されるべきではなく、むしろ、当該請求項の等価物の全範囲内のあらゆる可能な実施形態を含むと解釈されるべきである。