【文献】
cMET activation and EGFR-directed therapy resistance in triple-negative breast cancer,Journal of Cancer,2014年10月15日,5 (9),745-753
【文献】
Targeting Met signaling to overcome human cancer cell resistance to radiation,Cancer Research,2013年,Vol. 73, No. 8, Supp. SUPPL. 1.
【文献】
A Selective Small Molecule c-Met Inhibitor, PHA665752, Cooperates with Rapamycin,Clinical Cancer Research,2005年,11,2312-2319
【文献】
Protective autophagy is involved in resistance towards MET inhibitors in human gastric adenocarcinoma cells,Biochemical and Biophysical Research Communications,2013年,431 (2),264-269
【文献】
EMD 1214063 and EMD 1204831 Constitute a New Class of Potent and Highly Selective c-Met Inhibitors,Clinical Cancer Research,2013年,19 (11),2941-2951
【文献】
Identification of brain penetrant p70S6K/Akt inhibitor MSC2363318A,Molecular Cancer Therapeutics,2013年,Vol. 12, No. 11, Supp. SUPPL. 1
【文献】
The novel kinase inhibitor EMD1214063 is effective against neuroblastoma,Investigational New Drugs,2014年10月,32 (5),815-824
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリル塩酸塩水和物と4−[(S)−2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミノ]−キナゾリン−8−カルボン酸アミドとを含有する、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)の群から選択されるがんの処置の使用のための請求項1に記載する医薬組成物。
がんの処置のための医薬の製造のための3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリルまたはその薬学的に許容し得る塩および/もしくは溶媒和物の使用であって、ここで、該医薬が、4−[(S)−2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミノ]−キナゾリン−8−カルボン酸アミドとの組み合わせにおいて用いられる、前記使用。
がんの処置のための医薬の製造のための3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリル塩酸塩水和物の請求項3に記載の使用であって、ここで、該医薬が、4−[(S)−2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミノ]−キナゾリン−8−カルボン酸アミドとの組み合わせにおいて用いられる、前記使用。
結腸直腸、肺、乳房、腎臓および神経膠芽腫の群から選択されるがんの処置のための医薬の製造のための3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリル塩酸塩水和物の請求項3または4に記載の使用であって、ここで、該医薬が、4−[(S)−2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミノ]−キナゾリン−8−カルボン酸アミドとの組み合わせにおいて用いられる、前記使用。
小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)の群から選択されるがんの処置のための医薬の製造のための3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリル塩酸塩水和物の請求項3〜5のいずれか一項に記載の使用であって、ここで、該医薬が、4−[(S)−2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミノ]−キナゾリン−8−カルボン酸アミドとの組み合わせにおいて用いられる、前記使用。
3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリルまたはその薬学的に許容し得る塩および/もしくは溶媒和物
あるいは
3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリル塩酸塩水和物
が、週あたり250mg〜12500mgの量において患者に投与される、請求項3〜6のいずれか一項に記載の使用。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、4−[(S)−2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミノ]−キナゾリン−8−カルボン酸アミドと組み合わせての、3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリルまたはその薬学的に許容し得る塩および/もしくは溶媒和物の医薬組成物に関する。
【0008】
また、本発明は、4−[(S)−2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミノ]−キナゾリン−8−カルボン酸アミドと組み合わせの、3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリル塩酸塩水和物の医薬組成物に関する。
【0009】
また、本発明は、頭、首、目、口、喉、食道、気管支、喉頭、咽頭、胸部、骨、肺、結腸、直腸、胃、前立腺、膀胱、子宮、子宮頸部、乳房、卵巣、精巣または他の生殖臓器、皮膚、甲状腺、血液、リンパ節、腎臓、肝臓、膵臓、脳、中枢神経系のがん、固形腫瘍および血液由来の腫瘍の群から選択される疾患の処置のための使用のために、4−[(S)−2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミノ]−キナゾリン−8−カルボン酸アミドと組み合わせての、3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリルまたはその薬学的に許容し得る塩および/もしくは溶媒和物の医薬組成物に関する。
【0010】
さらに、本発明は、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)から選択されるがんの処置のための、3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル] −ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリル塩酸塩水和物の4−[(S)−2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミノ]−キナゾリン−8−カルボン酸アミドと組み合わせての使用に関する。
【0011】
さらに、本発明は、がんの処置のための使用のための3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリルまたはその薬学的に許容される塩および/もしくは溶媒和物に関し、当該医薬は、4−[(S)−2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミノ]−キナゾリン−8−カルボン酸アミドとの組み合わせで使用される。
【0012】
また、本発明は、がんの処置のための医薬の製造のための3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリルまたはその薬学的に許容される塩および/もしくは溶媒和物の使用に関し、ここで、該医薬は、4−[(S)−2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミノ]−キナゾリン−8−カルボン酸アミドと組み合わせて使用される。
【0013】
さらに、本発明は、がんの処置のための医薬の製造のための3−(1−{3−[5−(1−メチルメチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリル塩酸塩水和物の使用に関し、該医薬は、4−[(S)−2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミノ]−キナゾリン−8−カルボン酸アミドとの組み合わせで使用される。
【0014】
さらに、本発明は、結腸直腸、肺、乳房、腎臓、および神経膠芽細胞腫から選択されるがんの処置のための医薬の製造のための3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリル塩酸塩水和物の使用に関し、該医薬は、4−[(S)−2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミノ]−キナゾリン−8−カルボン酸アミドとの組み合わせで使用される。
【0015】
さらに、本発明は、肺がんの処置のための医薬の製造のための3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリル塩酸塩水和物の使用に関し、該医薬は、4−[(S)−2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミノ]−キナゾリン−8−カルボン酸アミドと組み合わせて使用される。
【0016】
また、本発明は、小細胞肺がん(SCLC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、頭頸部の扁平上皮細胞がん(SCCHN)の群から選択されるがんの処置のための医薬の製造のための3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリルの塩酸塩水和物の使用に関し、ここで、該医薬は、4−[(S)−2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミノ]−キナゾリン−8−カルボン酸アミドと組み合わせて使用される。
【0017】
また、本発明は上述の使用に関し、ここで、3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリルまたはその薬学的に許容し得る塩および/もしくは溶媒和物あるいは、3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリル塩酸塩水和物が、週あたり250mg〜12500mgの量において、好ましくは、週あたり800mg〜8000mgの量において、特に好ましくは、週あたり500mg〜2000mgの量において患者に投与される。
【0018】
本発明によれば、治療的に活性な組成物は、3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリルまたはその薬学的に許容し得る塩および/もしくは溶媒和物、ならびに4−[(S)−2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミノ]−キナゾリン−8−カルボン酸アミドを含むパッケージを、単一のパッケージ中または別個の容器中において含む、医薬キットの手段によって提供されてもよい。
【0019】
これらの組み合わせを用いた治療は、任意に、放射線を用いたさらなる処置を含んでもよい。本発明は、さらに、放射線療法の前の、3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリルまたはその薬学的に許容し得る塩および/もしくは溶媒和物の投与開始を含む新規治療形態に関する。
【0020】
放射線療法の前の、3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリルまたはその薬学的に許容し得る塩および/もしくは溶媒和物の投与開始を含む、この新規治療形態において、3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリルまたはその薬学的に許容し得る塩および/もしくは溶媒和物が、4−[(S)−2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミノ]−キナゾリン−8−カルボン酸アミドの投与前および/または投与中、好ましくは、少なくとも処置計画の重要な部分の間に投与されることが好ましい特徴である。この状況において、本発明によれば、放射線または放射線療法は、好ましくは、がん併用治療剤として理解されなければならない。
【0021】
本発明はまた、これらの化合物の光学活性体(立体異性体)、エナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマーならびに水和物および溶媒和物に関する。
本発明はまた、塩酸塩の一水和物または二水和物などの化合物の塩の溶媒和物に関する。
【0022】
化合物の溶媒和物という用語は、それらの相互引力により形成する化合物への不活性溶媒分子の付加を意味するものと解釈される。溶媒和物は、一水和物または二水和物またはアルコラートなどである。
【0023】
「有効量」という表現は、例えば研究者または医師によって探求されるかまたは所望される、組織、系、動物またはヒトにおいて生物学的または医学的応答を引き起こす医薬または医薬活性成分の量を表す。
さらに、「治療的有効量」という表現は、この量を受けていない対応する対象と比較して、以下の結果:疾患、症候群、状態、愁訴、障害または副作用の改善された処置、治癒、予防または排除または、疾患、愁訴もしくは障害の進行の低減、を有する量を表す。
「治療的有効量」という表現はまた、正常な生理学的機能を増大させるのに有効である量を包含する。
【0024】
薬学的塩および他の形態
本発明の前述の化合物を、これらの最終的な非塩形態で用いることができる。一方、本発明はまた、これらの化合物を、当該分野において知られている手順により、種々の有機および無機酸類および塩基類から誘導し得る、これらの薬学的に許容し得る塩の形態で用いることを包含する。本発明の化合物の薬学的に許容し得る塩形態は、大部分、慣用的な方法により調製される。化合物がカルボキシル基を含む場合には、この好適な塩の1種を、該化合物を好適な塩基と反応させて対応する塩基付加塩を得ることにより、生成することができる。このような塩基は、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムを含むアルカリ金属水酸化物;水酸化バリウムおよび水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;アルカリ金属アルコキシド類、例えばカリウムエトキシドおよびナトリウムプロポキシド;ならびにピペリジン、ジエタノールアミンおよびN−メチルグルタミンなどの種々の有機塩基である。本発明の該化合物のアルミニウム塩も同様に含有される。
【0025】
本発明のある化合物の場合において、これらの化合物を、薬学的に許容し得る有機および無機酸類、例えば塩化水素、臭化水素またはヨウ化水素などのハロゲン化水素、硫酸塩、硝酸塩またはリン酸塩および類似物などの他の鉱酸およびこれらの対応する塩、ならびにエタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩などのアルキルおよびモノアリールスルホン酸塩類、ならびに酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコルビン酸塩および類似物などの他の有機酸およびこれらの対応する塩で処理することにより、酸付加塩を生成することができる。
【0026】
したがって、該化合物の薬学的に許容し得る酸付加塩には、以下のものが含まれる:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルギニン酸塩(arginate)、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、重亜硫酸塩、臭化物、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、カプリル酸塩、塩化物、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、リン酸二水素塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、ガラクタル酸塩(ムチン酸から)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミコハク酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル安息香酸塩、リン酸一水素塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、フタル酸塩、しかしこれは、制限を表すものではない。
【0027】
さらに、本発明の化合物の塩基性塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)、マンガン(II)、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛塩が含まれるが、これは制限を表すことを意図しない。前述の塩の中で、好ましいのは、アンモニウム;アルカリ金属塩ナトリウムおよびカリウム、ならびにアルカリ土類金属塩カルシウムおよびマグネシウムである。薬学的に許容し得る有機無毒性塩基から誘導される、化合物の塩には、第一級、第二級および第三級アミン類、天然に存在する置換アミン類をも含む置換アミン類、環状アミン類、ならびに塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、クロロプロカイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン(ベンザチン)、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン(hydrabamine)、イソプロピルアミン、リドカイン、リシン、メグルミン、N−メチル−D−グルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(トロメタミン)の塩が含まれるが、これは制限を表すことを意図しない。
【0028】
塩基性窒素含有基を含有する本発明の化合物を、(C
1〜C
4)アルキルハロゲン化物などの剤、例えば塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、イソプロピルおよびtert−ブチル;ジ(C
1〜C
4)アルキル硫酸塩、例えば硫酸ジメチル、ジエチルおよびジアミル;(C
10〜C
18)アルキルハロゲン化物、例えば塩化、臭化およびヨウ化デシル、ドデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル;ならびにアリール(C
1〜C
4)アルキルハロゲン化物、例えば塩化ベンジルおよび臭化フェネチルを用いて四級化することができる。本発明の水溶性および油溶性の化合物の両方を、かかる塩を用いて調製することができる。
【0029】
好ましい前述の薬学的塩には、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ベシル酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、ヘミコハク酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、イセチオン酸塩、マンデル酸塩、メグルミン、硝酸塩、オレイン酸塩、ホスホン酸塩、ピバリン酸塩、リン酸ナトリウム、ステアリン酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、チオリンゴ酸塩、トシル酸塩およびトロメタミンが含まれるが、これは制限を表すことを意図しない。
【0030】
特に好ましいのは、塩酸塩、二塩酸塩、臭化水素酸塩、マレイン酸塩、メシル酸塩、リン酸塩、硫酸塩およびコハク酸塩である。
【0031】
塩基性化合物の酸付加塩を、遊離塩基形態を十分な量の所望の酸と接触させ、慣用的な方法で塩の生成を生じることにより、調製する。塩形態を塩基と接触させ、慣用の方法で遊離塩基を単離することにより、遊離塩基を再生することができる。遊離塩基形態は、ある観点において、極性溶媒への溶解性などのいくつかの物理的特性の点で、それらの対応する塩形態と異なるが、本発明の目的のためには、塩は、他の点ではそれらのそれぞれの遊離塩基形態に相当する。
【0032】
述べたように、該化合物の薬学的に許容し得る塩基付加塩を、アルカリ金属およびアルカリ土類金属または有機アミン類などの金属またはアミン類を用いて生成する。好ましい金属は、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムである。好ましい有機アミン類は、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−D−グルカミンおよびプロカインである。
【0033】
本発明の酸性化合物の塩基付加塩を、遊離酸形態を十分な量の所望の塩基と接触させ、慣用的な方法で塩の生成を生じることにより、調製する。塩形態を酸と接触させ、慣用的な方法で遊離酸を単離することにより、遊離酸を再生することができる。遊離酸形態は、ある観点において、極性溶媒への溶解性などのいくつかの物理的特性の点で、それらの対応する塩形態と異なるが、本発明の目的のためには、塩は、他の点ではそれらのそれぞれの遊離酸形態に相当する。
【0034】
本発明の化合物が、このタイプの薬学的に許容し得る塩を生成することができる1つよりも多い基を含有する場合には、本発明は、多重塩(multiple salt)をも包含する。典型的な多重塩形態には、例えば、重酒石酸塩、二酢酸塩、二フマル酸塩、ジメグルミン、二リン酸塩、二ナトリウムおよび三塩酸塩が含まれるが、これは制限を表すことを意図しない。
【0035】
上記で述べたことに関して、本文脈における表現「薬学的に許容し得る塩」は、化合物をこの塩の1種の形態で含む活性成分を意味するものと解釈されることが明らかであり、特に、この塩形態が、活性成分に対して、前に用いられた活性成分の遊離形態または活性成分のすべての他の塩形態と比較して改善された薬物動態学的特性を付与する場合には、このように解釈されることが明らかである。活性成分の薬学的に許容し得る塩形態はまた、前には有していなかった所望の薬物動態学的特性を活性成分に初めて提供することができ、さらに、この活性成分の薬力学へ、身体における治療的有効性に関して、正の影響を有することができる。
【0036】
本発明はさらに、少なくとも1種の化合物および/または、これらの薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、互変異性体および立体異性体、あるいはすべての比率でのこれらの混合物、ならびに任意に賦形剤および/または補助剤を含む医薬に関する。
【0037】
医薬処方物を、投与単位あたり所定量の活性成分を含む投与単位の形態で、投与することができる。かかる単位は、処置される状態、投与の方法、ならびに患者の年齢、体重および状態に依存して、例えば0.5mg〜1g、好ましくは1mg〜700mg、特に好ましくは5mg〜100mgの本発明の化合物を含むことができ、または医薬処方物を、投与単位あたり所定量の活性成分を含む投与単位の形態で投与することができる。好ましい投与単位処方物は、前に示したように、一日用量もしくは部分的用量を含むもの、または活性成分のこの対応するフラクションである。さらに、このタイプの医薬処方物を、薬学分野において一般的に知られている方法を用いて製造することができる。
【0038】
医薬処方物を、如何なる所望の好適な方法による、例えば経口(口腔内もしくは舌下を含む)、直腸内、鼻腔内、局所的(口腔内、舌下もしくは経皮的を含む)、膣内または非経口(皮下、筋肉内、静脈内もしくは皮内を含む)方法による投与のために適合させることができる。かかる処方物を、薬学分野において知られているすべての方法を用いて、例えば活性成分を賦形剤(1種もしくは2種以上)または補助剤(1種もしくは2種以上)と組み合わせることにより、製造することができる。
【0039】
経口投与のために適合された医薬処方物を、例えばカプセルもしくは錠剤;散剤もしくは顆粒;水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液;食用発泡体もしくは発泡体食品;または水中油型液体エマルジョンもしくは油中水型液体エマルジョンなどの、別個の単位として投与することができる。
【0040】
したがって、例えば、錠剤またはカプセルの形態での経口投与の場合において、活性成分要素を、経口的な、無毒性の、かつ薬学的に許容し得る不活性賦形剤、例えばエタノール、グリセロール、水などと組み合わせることができる。散剤を、化合物を好適な微細な大きさに粉砕し、これを同様にして粉砕した薬学的賦形剤、例えば食用炭水化物など、例えばデンプンまたはマンニトールなどと混合することにより、調製する。風味剤、保存剤、分散剤および色素が、同様に存在してもよい。
【0041】
カプセルを、上記のように散剤混合物を調製し、成形したゼラチン殻をこれで充填することにより、製造する。流動促進剤および潤滑剤、例えば固体形態での高度に分散性のケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたはポリエチレングリコールなどを、充填操作の前に散剤混合物に加えることができる。崩壊剤または可溶化剤、例えば寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムなどを、同様に加えて、カプセルを服用した後の医薬の有効性を改善することができる。
【0042】
さらに、所望により、または所要に応じて、好適な結合剤、潤滑剤および崩壊剤ならびに染料を、同様に混合物中に包含させることができる。好適な結合剤には、デンプン、ゼラチン、天然糖類、例えばグルコースまたはベータ−ラクトース、トウモロコシから作られた甘味剤、天然および合成ゴム、例えばアカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ろうおよび類似物が含まれる。これらの投与形態において用いられる潤滑剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよび類似物が含まれる。崩壊剤には、制限されずに、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴムおよび類似物が含まれる。錠剤を、例えば散剤混合物を調製し、混合物を顆粒化または乾燥圧縮し、潤滑剤および崩壊剤を加え、混合物全体を圧縮して錠剤を得ることにより、処方する。
【0043】
散剤混合物を、好適な方法で粉砕した化合物を上記のように希釈剤または塩基と、および随意に結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチンまたはポリビニルピロリドン、溶解遅延剤、例えばパラフィン、吸収促進剤、例えば第四級塩および/または吸収剤、例えばベントナイト、カオリンまたはリン酸二カルシウムと混合することにより、調製する。散剤混合物を、これを結合剤、例えばシロップ、デンプンペースト、アラビアゴム粘液またはセルロースの溶液またはポリマー材料で湿潤させ、これをふるいを通して押圧することにより、顆粒化することができる。顆粒化の代替として、散剤混合物を、打錠機に通し、不均一な形状の塊を得、これを崩壊させて、顆粒を形成することができる。顆粒を、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油を加えることにより潤滑化し、錠剤流延型への粘着を防止することができる。次に、潤滑化した混合物を圧縮して、錠剤を得る。本発明の化合物をまた、自由流動の不活性賦形剤と混ぜ合わせ、次に直接圧縮して、顆粒化または乾燥圧縮工程を行わずに錠剤を得ることができる。セラック密封層、糖またはポリマー材料の層およびろうの光沢層からなる透明な、または不透明な保護層が、存在してもよい。色素を、これらのコーティングに加えて、異なる投与単位間を区別することができるようにすることができる。
【0044】
経口液体、例えば溶液、シロップおよびエリキシル剤などを、所定量が予め特定された量の該化合物を含むように、投与単位の形態で調製することができる。シロップを、該化合物を水性溶液に好適な風味剤と共に溶解することにより調製することができ、一方エリキシル剤を、無毒性アルコール性ビヒクルを用いて調製する。懸濁液を、該化合物を無毒性ビヒクル中に分散させることにより、処方することができる。可溶化剤および乳化剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール類およびポリオキシエチレンソルビトールエーテル類など、保存剤、風味添加剤、例えばペパーミント油もしくは天然甘味剤もしくはサッカリンなど、または他の人工甘味料および類似物を、同様に加えることができる。
【0045】
経口投与用の投与単位処方物を、所望により、マイクロカプセル中にカプセル封入することができる。処方物をまた、放出が延長されるかまたは遅延されるような方法で、例えばポリマー、ろうおよび類似物中の粒子状材料をコーティングするかまたは包埋することなどにより、調製することができる。
【0046】
該化合物およびこれらの塩、溶媒和物、互変異性体および立体異性体をまた、リポソーム送達系、例えば小さい単層の小胞、大きい単層の小胞、および多層の小胞などの形態で、投与することができる。リポソームを、種々のリン脂質、例えばコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリン類などから形成することができる。
【0047】
該化合物およびこれらの塩、溶媒和物、互変異性体および立体異性体をまた、化合物分子が結合した個別の担体としてモノクロナール抗体を用いて送達することができる。該化合物をまた、標的化された医薬担体としての可溶性ポリマーに結合させることができる。かかるポリマーは、パルミトイルラジカルにより置換されたポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパラタミドフェノール(polyhydroxyethylaspartamidophenol)またはポリエチレンオキシドポリリジンを包含してもよい。該化合物をさらに、医薬の制御された放出を達成するのに適する生分解性ポリマーの群、例えばポリ乳酸、ポリ−イプシロン−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル類、ポリアセタール類、ポリジヒドロキシピラン類、ポリシアノアクリレート類、およびヒドロゲルの架橋ブロックコポリマーまたは両親媒性のブロックコポリマーに結合させてもよい。
【0048】
経皮的投与用に適合された医薬処方物を、レシピエントの表皮との長期間の、密接な接触のための独立した硬膏剤として投与することができる。したがって、例えば、活性成分を、Pharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)に一般的に記載されているように、イオン泳動により硬膏剤から送達することができる。
【0049】
局所的投与用に適合された医薬化合物を、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、散剤、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアゾールまたは油として処方することができる。
【0050】
目または他の外部組織、例えば口および皮膚の処置のために、処方物を、好ましくは、局所的軟膏またはクリームとして適用する。軟膏を施与するための処方物の場合において、活性成分を、パラフィン系または水混和性クリームベースのいずれかと共に用いることができる。あるいはまた、活性成分を処方して、水中油型クリームベースまたは油中水型ベースを有するクリームを得ることができる。
【0051】
目への局所的適用のために適合された医薬処方物には、点眼剤が含まれ、ここで、活性成分を、好適な担体、特に水性溶媒中に溶解するかまたは懸濁させる。
【0052】
口における局所的適用のために適合された医薬処方物は、薬用キャンデー、トローチおよび洗口剤を包含する。
【0053】
直腸内投与のために適合された医薬処方物を、坐剤または浣腸剤の形態で投与することができる。
【0054】
担体物質が固体である鼻腔内投与のために適合された医薬処方物は、例えば20〜500ミクロンの範囲内の粒子の大きさを有する粗粉を含み、これを、嗅ぎタバコを服用する方法で、即ち鼻に近接して保持した散剤を含有する容器からの鼻の経路を介しての迅速な吸入により、投与する。担体物質としての液体を有する鼻腔内スプレーまたは点鼻剤としての投与に適する処方物は、水または油に溶解した活性成分溶液を包含する。
【0055】
吸入による投与のために適合された医薬処方物は、微細な粒子状ダストまたはミストを包含し、これは、エアゾール、噴霧器または吸入器を有する種々のタイプの加圧ディスペンサーにより発生することができる。
【0056】
膣内投与のために適合された医薬処方物を、膣坐薬、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡体またはスプレー処方物として投与することができる。
【0057】
非経口投与のために適合された医薬処方物には、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤および溶質を含む水性および非水性の無菌注射溶液であって、これにより処方物が処置されるべきレシピエントの血液と等張になるもの;ならびに水性および非水性の無菌懸濁液であって、懸濁媒体および増粘剤を含み得るもの、が含まれる。処方物を、単一用量または複数用量の容器、例えば密封したアンプルおよびバイアルにおいて投与することができ、使用の直前に無菌の担体液体、例えば注射用水、を添加することしか必要としないようにフリーズドライした(freeze-dried)(凍結乾燥(lyophilised))状態において貯蔵することができる。処方により調製される注射溶液および懸濁液を、無菌の散剤、顆粒および錠剤から調製することができる。
【0058】
言うまでもなく、上記で特定的に述べた構成成分に加えて、処方物はまた、処方物の特定のタイプに関して当該分野において普通である他の薬剤を含んでもよいので、例えば、経口投与に適する処方物は、風味剤を含んでいてもよい。
【0059】
化合物の治療的有効量は、例えば、動物の年齢および体重、処置が必要である正確な状態およびその重篤度、処方物の性質および投与方法を含む数々の要因に依存し、最終的には、処置する医師または獣医師により決定される。しかし、本発明の化合物の有効量は、一般的に、1日あたり0.1〜100mg/レシピエント(哺乳類)の体重1kgの範囲内、特に典型的には1日あたり1〜10mg/体重1kgの範囲内である。したがって、体重が70kgである成体の哺乳類についての1日あたりの実際の量は、通常70〜700mgであり、ここで、この量を、1日あたり単一の用量として、または通常1日あたり一連の部分用量(例えば2回分、3回分、4回分、5回分または6回分)において投与し、したがって合計の日用量が同一であるようにすることができる。これらの塩、溶媒和物、互変異性体および立体異性体の有効量を、本発明の化合物自体の有効量の比として決定することができる。同様の用量が上述の他の状態の処置に適すると、推測することができる。
【0060】
このタイプの組み合わせ処置は、処置の個別成分の同時、連続的または別個の調剤を活用して達成することができる。このタイプの組み合わせ製品は、本発明による化合物を用いる。
本明細書で定義した抗がん処置は、単独療法として適用してもよく、または、本発明の組成物に加えて、従来の外科手術または放射線療法を伴ってもよい。
【0061】
本明細書で用いられる「処置」は、疾患または障害を発症する危険性のある対象において、障害または疾患に関連する症状の全体的または部分的な軽減、または減速、またはこれらの症状のさらなる進行または悪化の停止、または疾患もしくは障害の予防もしくは予防法を意味する。
【0062】
化合物に関連する用語「有効量」は、本明細書において開示されるがんなどの疾患を発症する危険性のある対象において、障害または疾患に関連する症状の、全体的または部分的に軽減、または減速、またはこれらの症状のさらなる進行または悪化の停止、または疾患もしくは障害の予防もしくは予防法を提供することができる量を意味することができる。
【0063】
用語「治療的に有効」または「治療的有効量」は、哺乳動物における疾患または障害を処置するのに有効な薬物の量を指す。がんの場合、薬物の治療的有効量は、がん細胞の数を減少させ得、腫瘍サイズを小さくし得、末梢臓器へのがん細胞浸潤を阻害し(すなわち、ある程度の減速および好ましくは停止させ)得、腫瘍転移を阻害し(ある程度の減速および好ましくは停止させ)得、腫瘍増殖をある程度阻害し得、および/または1または2以上のがんに関連する症状をある程度緩和し得る。薬物が現存するがん細胞の増殖を妨げ得るおよび/または死滅させ得る程度に、それは細胞増殖抑制性および/または細胞傷害性であり得る。がん治療のために、有効性は、例えば、疾患が進行するまでの時間(TTP)を評価することおよび/または応答速度(RR)を決定することにより測定することができる。
【0064】
好ましくは、化合物は、週に1回、好ましくは点滴として静脈内に投与する。好ましくは、初期用量は体表面積m
2当たり100〜1000mgであり、特に好ましくは、体表面積m
2当たり200〜600mgの間である。その後の用量は、体表面積m
2当たり50〜600mgであり、特に好ましくは、体表面積m
2当たり100〜400mgの間である。
【0065】
使用
本化合物は、免疫調節およびストレス応答キナーゼ誘導性疾患の処置において、哺乳動物、特にヒトのための医薬活性成分として好適である。これらの疾患は、限定されないが、固形腫瘍がん、リンパ系または血液系のがんを含む腫瘍性悪性腫瘍、腫瘍細胞の増殖、固形腫瘍の成長を促進する病理学的血管新生(または血管形成)、神経変性疾患(アルツハイマー病、脱髄、主要な障害、多発性硬化症および類似物)、関節炎、乾癬、狼瘡、または他の自己免疫疾患のような免疫関連障害ならびに慢性感染症を含む。
【0066】
本発明は、がんの予防または処置のための医薬の調製のための化合物および/またはそれらの生理学的に許容される塩および溶媒和物の使用を包含する。処置に好ましいがんは、脳癌、尿生殖路癌、リンパ系の癌、胃癌、喉頭癌および肺癌の群に由来する。がんの好ましい形態のさらなる群は、単球性白血病、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓がん、神経膠芽腫、黒色腫および乳癌である。がんの好ましい形態のさらなる群は、限定されないが、子宮頸がん、神経芽細胞腫、精巣がん、マクログロブリン血症および肉腫を含む。
【0067】
本発明は、具体的には、腫瘍性悪性腫瘍(固形腫瘍がん、リンパ系または血液系のがんおよび類似物)、神経変性疾患、関節炎、乾癬、狼瘡、多発性硬化症または他の自己免疫疾患のような免疫関連疾患ならびに慢性感染症の処置のために使用するための化合物およびその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、互変異性体および立体異性体ならびにすべての比率でのそれらの混合物に関する。
【0068】
特別に好適なものは、疾患が腫瘍性悪性腫瘍である疾患の処置のための使用である。
【0069】
腫瘍性悪性腫瘍は、好ましくは、肺、扁平上皮、膀胱、胃、腎臓、頭頸部、食道、頸部、甲状腺、腸、肝臓、脳、前立腺、尿生殖路、リンパ系、胃および/または喉頭の腫瘍の群から選択される。
【0070】
腫瘍性悪性腫瘍は、さらに好ましくは、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、神経膠芽腫、結腸癌および乳癌の群から選択される。
【0071】
好適なものは、さらに、血液および免疫系の腫瘍性悪性腫瘍の処置のための使用であり、好ましくは、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病および/または慢性リンパ性白血病の群から選択される腫瘍の処置のための使用である。
【0072】
化合物が処置または予防に有用である代表的ながんは、限定されないが、頭、首、目、口、喉、食道、気管支、喉頭、咽頭、胸部、骨、肺、結腸、直腸、胃、前立腺、膀胱、子宮、子宮頸部、乳房、卵巣、精巣、または他の生殖器、皮膚、甲状腺、血液、リンパ節、腎臓、肝臓、膵臓、脳、中枢神経系のがん、固形腫瘍および血液由来の腫瘍を含む。
【0073】
さらに、本発明は、具体的には、がんの処置および/または予防のために使用するための化合物に関し、ここで処置されるべきがんは固形腫瘍または血液および免疫系の腫瘍である。
【0074】
さらに、本発明は、具体的には、がんの処置および/または予防のために使用するための化合物に関し、ここで腫瘍は急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病および/または慢性リンパ性白血病の群に由来する。
【0075】
さらに、本発明は、具体的には、がんの処置および/または予防のために使用するための化合物に関し、ここで固形腫瘍は、上皮、膀胱、胃、腎臓、頭頸部、食道、頸部、甲状腺、腸、肝臓、脳、前立腺、尿生殖路、リンパ系、胃、喉頭、軟骨肉腫およびユーイング肉腫を含む骨、胎児組織腫瘍を含む生殖細胞および/または肺の腫瘍の群に由来し、単球性白血病、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓がん、神経膠芽腫、神経線維腫、血管肉腫、乳癌および/または悪性黒色腫の群に由来する。
【0076】
開示された化合物は、抗がん剤を含む他の既知の治療剤と組み合わせて投与することができる。本明細書で使用される場合、用語「抗がん剤」は、がんを有する患者にがんを処置する目的で投与される任意の剤に関する。
【0077】
3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリル塩酸塩水和物を4−[(S)−2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミノ]−キナゾリン−8−カルボン酸アミドと組み合わせて、最も活性な単剤の抗がん活性が強化される実証。併用療法のこの強化された活性は、ヒト異種移植モデルおよび患者由来腫瘍モデルにおいて実証され得る。異種移植モデルは、処置に関連する副作用を増加させることなく、単独療法と比較して改善された有効性を示す。単剤療法と比較して動物の有意な体重減少または死亡の欠如によって示されるように、毒性の増加なしに、併用群における強化された有効性が観察された。
【0078】
3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリル塩酸塩水和物および4−[(S)−2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミノ]−キナゾリン−8−カルボン酸アミドのヒトU87−MG異種移植片モデルにおける組合せ:
【0079】
背景:ヒトU87−MGグリオ芽細胞腫モデルは、活性化されたc−Met経路を有する自己分泌HGF/c−Met発現腫瘍モデルである。このモデルは、PI3Kシグナル伝達の負の調節因子であるPTENの変異を有する。
【0080】
方法:メスCD−1ヌードマウス(6−8週齢)にヒトU87−MG腫瘍細胞を皮下注射し、腫瘍が樹立した後に処置群へ分けた(1群に8匹)。夫々の群に、3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリル塩酸塩水和物(100mg/kg)または4−[(S)−2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミノ]−キナゾリン−8−カルボン酸アミド(30mg/kg)を単剤療法で、または併用群の腫瘍が進行するか、または65日間の処置期間まで毎日経口投与する。ビヒクル群の終了日である12日目に、腫瘍体積の中央値(TV)を%で算出した。統計的分析は、双方向RM ANOVAを用いて行った。試験の終了時に、腫瘍の進行が処置されるまでの時間の中央値が算出された。腫瘍進行は、73%を超える腫瘍体積変化として定義される。
【0081】
結果:3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリル塩酸塩水和物は、強い抗がん活性を示し、腫瘍退縮(TV変化−71%、p<0.0001)を生じた。65日までの長期処置で、腫瘍は抵抗性になり、進行した(中央値58日)。4−[(S)−2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミノ]−キナゾリン−8−カルボン酸アミドは、単剤として腫瘍の停滞を引き起こし(TV変化51%、p<0.0001)、腫瘍進行までの中央値は14日となった。両方の薬剤の組み合わせは、最良の単剤の3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリル塩酸塩水和物と比較して、12日目に(TVの中央値の変化−83%)、統計的に重要な強化を示さなかったが、腫瘍が3−(1−{3−[5ピリダジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリル塩酸塩水和物に対して抵抗性になるのを65日間まで連続的に処置して防いだ。併用処置は単独療法と比較して強化された副作用を導かなかった。
【0082】
3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリル塩酸塩水和物および4−[(S)−2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミノ]−キナゾリン−8−カルボン酸アミドのヒトNCI−H441肺異種移植モデルにおける組合せ:
【0083】
背景:ヒトNCI−H441肺モデルは、活性化されたc−Met経路を伴うc−Met過剰発現腫瘍モデルである。このモデルはkras突然変異を有する。文献データは、S6Kのリン酸化がこの腫瘍モデルに存在することを示している。
【0084】
方法:雌CD−1ヌードマウス(6〜8週齢)をヒトNCI−H441腫瘍細胞で皮下注射し、腫瘍が樹立した後、処置群(1群あたり8匹の動物)に分けた。各群に、3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリル塩酸塩水和物(100mg/kg)または4−[(S)−2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミノ]−キナゾリン−8−カルボン酸アミド(30mg/kg)を、単独療法で、または腫瘍が進行するまで、または78日間の処置期間まで毎日投与する。ビヒクル群の終了日である21日目に、腫瘍体積の中央値の変化(%)を算出した。統計的分析は、双方向RM ANOVAで行った。検討の終了時に、腫瘍の進行が処置されるまでの時間の中央値が算出された。腫瘍進行は、73%を超える腫瘍体積変化として定義される。
【0085】
結果:3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリル塩酸塩水和物は強い抗腫瘍活性を示し、腫瘍の停滞をもたらした(TV変化−1%、p<0.0001)。78日までの長期処置で、腫瘍は抵抗性になり、進行した(中央値67日)。4−[(S)−2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミノ]−キナゾリン−8−カルボン酸アミドで処置した腫瘍は、138%の中央値TV変化および腫瘍進行まで14日の中央値時間で進行した。両方の薬剤の組み合わせは、最良の単剤3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリル塩酸塩水和物と比較して、21日目で統計的に重要な強化された抗腫瘍活性(TVの中央値は−16%)を示さなかったが、3−(1−{3−[5(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリル塩酸塩水和物に対して、78日間まで連続的に処置して、抵抗性になるのが防止された。併用処置は単独療法と比較して強化された副作用を導かなかった。
【0086】
3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリル塩酸塩水和物および4−[(S)−2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミノ]−キナゾリン−8−カルボン酸アミドのヒトHGF依存性のH596肺異種移植モデルにおける組み合わせ:
【0087】
背景:ヒトH596肺モデルは、HGFリガンド結合後にc−Met活性化を延長させるc−Metの膜貫通(JM)ドメイン突然変異であるc−Met発現パラクリンHGF/c−Met腫瘍モデルである。このモデルは、c−Met経路を伴い、発現する。このモデルはPI3KCA突然変異(文献データ)を有する。
【0088】
方法:雌のヒト化HGF SCIDマウス(8−10週齢)は、ヒトH596腫瘍細胞を皮下注射し、腫瘍が樹立した後に、処置群(1群あたり8匹の動物)に分けた。各群は、3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリル塩酸塩水和物(100mg/kg)または4−[(S)−2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミノ]−キナゾリン−8−カルボン酸アミド(30mg/kg、12日目から20mg/kg)単独でまたは組み合わせて腫瘍が進行するまで、または66日間の処置期間まで毎日、経口投与した。ビヒクル群の全ての動物が依然として存在する日である14日目に、%における中央値の腫瘍体積変化を計算した。統計的分析は、双方向RM ANOVAで行った。検討の終了時に、腫瘍の進行が治療されるまでの時間の中央値を算出した。腫瘍進行は、73%を超える腫瘍体積変化として定義される。
【0089】
結果:3−(1−{3−[5−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメトキシ)−ピリミジン−2−イル]−ベンジル}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル)−ベンゾニトリル塩酸塩水和物および4−[(S)−2−アゼチジン−1−イル−1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−エチルアミノ]−キナゾリン−8−カルボン酸アミドの両単剤は、腫瘍成長を阻害し、14日目に腫瘍が停滞し、TVの中央値がそれぞれ35%(p<0.05)および36%(ns)に変化した。両方の薬剤を組み合わせることにより統計的に有意な抗腫瘍活性が強化され、最高の単独療法と比較してTVの中央値が−50%(p<0.0001)の腫瘍退縮がもたらされた。単剤療法の長期処置では、腫瘍が進行し、両方の単独療法群について24日間の腫瘍進行までの時間中央値が得られた。併用療法は、66日間の中央値で腫瘍が進行するまで強い遅延を示した。併用処置は単独療法と比較して強化された副作用を導かなかった。