【課題を解決するための手段】
【0013】
本目的は、請求項1に記載のデバイスによって解決される。本発明によれば、デバイスはモニタリングデバイスを含み、用量設定中および用量投薬中に、ハウジングに対するおよび/またはモニタリングデバイスに対する構成部材の動きの検出をモニタリングデバイスによって可能にする。好ましくは、デバイスの少なくとも1つの構成部材は透けている、すなわち透明または半透明であり、部材内の透明領域、二重ラベリング(overlabeled)領域、ドア、または部材内の孔を含み、構成部材の動きの光検出を可能にする。光検出の代替案として、検出方法は、動きの検出の接触方法または音声方法を含むことができる。
【0014】
言い換えると、注射器機構、たとえば薬物送達デバイスのボタンに取り付け可能な電子デバイスが設けられる。電子モニタリングデバイスは、機構の内部部材を確認/検出して、機構の状態、たとえば、ダイヤル設定用量のサイズ、および機構が静止しているか、用量をダイヤル設定しているか、用量を投薬しているかについての情報を読み取り、場合により表示する。薬物送達デバイスの内部部材の確認/検出は、1つまたはそれ以上の透けている構成部材または少なくともその透けている部分によって可能である。たとえば、構成部材は、完全に透明であっても、透明窓を含んでも、アパーチャを含んでもよく、かつ/あるいは1つまたはそれ以上の構成部材の光検出を可能にする別の適切な方法で修正してもよい。好ましくは、モニタリングデバイスはドウェルタイマであり、このドウェルタイマは注射の完了時を判定し、ドウェル時間の完了まで時間を数え、フィードバックをユーザに与える。
【0015】
本発明の実施形態によれば、薬剤のいくつかのユーザ可変用量を選択し投薬するための薬物送達デバイスは、ハウジングと、たとえば光検出器を有するモニタリングデバイスと、データプロセッサおよび少なくとも1つの出力部材と、用量設定中および/または用量投薬中にモニタリングデバイスに対して動く少なくとも1つの構成部材とを含み、データプロセッサは、光学センサが少なくとも1つの構成部材の動きの終了を検出した後の所定の期間に、少なくとも1つの出力部材を介して光学、触覚および/または可聴フィードバックを薬物送達デバイスのユーザに出力するのに適したドウェルタイマとして構成される。たとえば、モニタリングデバイスは、投薬中にモニタリングデバイスに対して回転するがダイヤル設定中には回転しない少なくとも1つの部材、たとえば用量設定部材を検出することができる。あるいは、モニタリングデバイスは、少なくとも2つの部材、たとえば用量設定部材およびドライバを検出することができ、用量設定中の相対運動は用量投薬中の相対運動とは異なる。モニタリングデバイスが光検出を使用する場合、部材のうちの1つまたはそれ以上が孔を備えてもよく、かつ/または完全にもしくは部分的に透明または半透明であってよい。モニタリングデバイスをハウジングに解放可能に取り付けてもよい。
【0016】
モニタリングデバイスは、ダイヤル設定用量のサイズを表示することができ、注射器がダイヤル設定しているか、それとも投薬しているかを示すことができ、投薬中に残りの用量のサイズを示すことができる。また、モニタリングデバイスは、投薬された用量のサイズおよび時間の履歴を記憶することができ、その履歴をスクリーンに表示するか、または外部デバイスへのデータのダウンロードを可能にすることができる。
【0017】
本発明の別の独立態様は、デバイスの動作、動きおよび/または状態の光学モニタリングを可能にするように構成された薬物送達デバイスのプラスチック構成部材の透明性である。これは、ドウェルタイマ、すなわちフィードバック信号によりドウェル時間の終了を示す電子構成部材を含むデバイスに特に有用である。
【0018】
ドウェルタイマは、ハウジングに対するおよび/もしくはモニタリングデバイス自体に対する内部部材の動き、特に回転をモニタリングすることによって、薬物送達デバイスが静止しているか、すなわち用量が設定されておらず、外力がボタンまたはトリガに加えられていない状態または状況にあるか、用量をダイヤル設定しているか、すなわち設定用量を増加もしくは減少させているか、または用量を投薬しているかどうかを検出する。これを行うために、ダイヤル設定(用量設定)中および注射(用量投薬)中に互いに異なる挙動を有する2つの部材を確認する必要がある。
【0019】
一般に、モニタリングデバイスは、様々な構成部材の動きを検出しモニタリングすることができる。たとえば、モニタリングデバイスにより確認される少なくとも2つの別個の構成部材は、親ねじ、ドライバ、用量設定部材(数字スリーブ)、ボタンまたはトリガ、ダイヤルグリップ、ばね、ゲージ要素および/またはクラッチを含むことができる。モニタリングデバイスは、回転および直線変位を含む異なる種類の動きを検出することができる。本発明の実施形態において、少なくとも2つの別個の構成部材は、用量設定中および用量投薬中にハウジングに対して回転可能な用量設定部材、ならびに用量設定中にハウジングに回転方向に拘束され、用量投薬中に用量設定部材と共に回転可能なドライバである。言い換えると、ドウェルタイマは、用量設定部材、たとえば数字スリーブの回転、ならびにドライバ、たとえば用量設定部材内に少なくとも部分的に位置する駆動スリーブの回転をモニタリングする。これら2つの構成部材はいずれも静止時には不動である。ダイヤル設定中、用量設定部材は、ハウジングに対して、たとえばモニタリングデバイスを取り付け可能なボタンと共に回転するが、ドライバは不動のままである。投薬中、用量設定部材とドライバとはハウジングに対して共に回転し、モニタリングデバイスを有するボタンを、投薬中に不動のハウジングに回転方向に拘束することができる。
【0020】
本発明の他の実施形態において、モニタリングデバイスまたはドウェルタイマは、モニタリングデバイス、たとえばハウジングおよび/またはクラッチ板に対して回転する他の部材をモニタリングすることができる。あるいは、ドウェルタイマをハウジングに固定することにより、ハウジングに対して回転または変位する部材、たとえばボタン、ダイヤルグリップ、ドライバ、親ねじ、数字スリーブ、ゲージ要素および/またはクラッチ板をモニタリングすることができる。さらなる代替案として、ドウェルタイマは、投薬中にモニタリングデバイスに対して回転するが、ダイヤル設定中には回転しない単一の構成部材、たとえば用量設定部材のみをモニタリングしてもよい。これにより、ダイヤル設定用量の読み取りは不可能になるが、送達される任意の用量の測定が可能になる。
【0021】
透けている構成部材は、親ねじ、ドライバ、用量設定部材、ボタン、ダイヤルグリップ、ばね、ゲージ要素および/またはクラッチを含むことができる。本発明の実施形態において、透けている構成部材は、用量設定部材とドライバとの間に置かれるボタンおよび/またはクラッチ板である。たとえば、クラッチ板を用量設定部材に恒久的に回転方向に拘束することができる。さらに、ボタンまたはトリガは、用量設定中にハウジングに対して回転可能である(用量設定部材に回転方向に拘束される)が、用量投薬中に用量設定部材から回転方向にデカップリングされながら不動のハウジングに回転方向に拘束される。
【0022】
構成部材の動きをモニタリングするには、構成部材が、その部材が動くか動かないかを検出できるようにする形状または構成を有する必要がある。たとえば、構成部材の1つまたはそれ以上は、好ましくはモニタリングデバイスの方を向いた、切欠き部分または歯付き部分などの非円形回転インジケータ部分を有することができる。これにより、モニタリングデバイスによる確認時に、それぞれの構成部材の動きの間の色、暗さ、コントラストおよび/または反射率の変化をもたらすことができる。加えてまたは代替案として、構成部材の1つまたはそれ以上は、さらなる構成部材の相補パターンに干渉する非対称の表面色などの、光学的に検出可能な、たとえば非対称の表面コーディングを有してもよい。
【0023】
少なくとも1つの透けている構成部材は、可視光に対して透明または半透明であってよい。代替案として、少なくとも1つの透けている構成部材は可視光に対して不透明であるが不可視光に対して透明または半透明であってもよい。たとえば、ユーザに対して通常の不透明な外観を有するハウジングおよび/またはボタンをデバイスに設けるが、ハウジングおよび/またはボタンによって収容または遮蔽された部材の動きの検出を可能にすることが望ましい。一例は、ハウジングまたはボタンが赤外光に対してのみ透明であることである。レーザ光線のスペクトルについて互いに異なる透過および吸収係数を有する構成部材が、不透明な外観についてのスペクトル選択透明性(spectral selective transparency)に関して言及する特許文献2に記載されている。
【0024】
特に、薬物送達デバイスが使い捨てデバイスである場合、モニタリングデバイスを、ハウジングおよび/またはボタンもしくはトリガなどの薬物送達デバイスの少なくとも1つのさらなる構成部材に解放可能に取り付けることができる。たとえば、モニタリングデバイスは、モニタリングデバイスをボタンにカチッと留めるもしくはクリップ留めするためのフックまたは偏向可能なアームを含むことができる。代替案として、モニタリングデバイスをデバイスに恒久的に取り付けてもよい。
【0025】
モニタリングデバイスは、光検出器、データプロセッサ、ならびに光学、触覚(たとえば振動)および/または可聴フィードバックを薬物送達デバイスのユーザに与えるための少なくとも1つの出力部材を含む電子デバイスであってよい。このフィードバックの他に、またはフィードバックの代わりに、モニタリングデバイスは、ダイヤル設定用量のサイズを表示することができ、薬物送達デバイスがダイヤル設定しているか、それとも投薬しているかを示すことができ、かつ/または投薬中に残りの用量のサイズを示すことができる。さらに、モニタリングデバイスは、投薬された用量のサイズおよび/または時間の履歴を記憶することができ、その履歴をスクリーンに表示する、かつ/または外部デバイスへのデータのダウンロードを可能にすることができる。
【0026】
本発明の実施形態において、モニタリングデバイスは、以下の運動の1つまたはそれ以上、すなわち:
a)用量設定中および/または用量投薬中におけるモニタリングデバイスに対するおよび/またはハウジングに対する用量設定部材の回転、
b)用量設定中および/または用量投薬中におけるモニタリングデバイスに対するおよび/またはハウジングに対するドライバの回転、
c)用量設定中および/または用量投薬中におけるドライバに対する用量設定部材の回転、
d)用量設定部材および/またはドライバの静止位置への戻り、
e)用量設定中および/または用量投薬中におけるモニタリングデバイスに対するおよび/またはハウジングに対するボタンの回転、
f)用量設定中および/または用量投薬中におけるモニタリングデバイスに対するおよび/またはハウジングに対する親ねじ、クラッチ(もしくはクラッチ板)および/またはダイヤルグリップの回転をモニタリングするように構成される。
【0027】
好ましくは、データプロセッサは、前記運動のうちの少なくとも1つの終了を検出した後の所定の期間に、少なくとも1つの出力部材を介して光学、触覚および/または可聴フィードバックを薬物送達デバイスのユーザに出力するのに適したドウェルタイマとして構成される。加えてまたは代替案として、モニタリングデバイスを、用量投薬開始閾値を超えるボタンの圧力を検出するように構成してもよい。
【0028】
さらに、モニタリングデバイスを、用量投薬終了時、用量投薬中止もしくは阻止状態、および/または用量投薬が過剰用量もしくは過少用量のダイヤル設定で開始したときに、ユーザにフィードバック信号を与えるように構成してもよい。
【0029】
薬物送達デバイスは、ばね駆動デバイスであってよい。好ましい実施形態において、駆動ばねを予め緊張させてもよく、かつ/または用量設定中に緊張させて(チャージして)もよい。駆動ばねを一端でハウジング部材および/または追加のハウジング部材に取り付け、他端で、用量設定部材、たとえば数字スリーブに連結された構成部材に取り付けてもよい。薬物送達デバイスを組み立てたとき、ねじりばねが予め巻かれ、機構がゼロ単位にダイヤル設定されているときにねじりばねがトルクを機構に加えるようにしてもよい。
【0030】
用量投薬に必要な力またはトルクを発生させるねじりばねなどの弾性駆動部材を設けることにより、ユーザが用量投薬のために加える力を減らす。これは、器用でないユーザにとって特に有用である。加えて、弾性部材を設けることにより、必要な投薬ストロークの結果である公知の手動デバイスのダイヤル伸長を省くことができる。これは、弾性部材の解放には小さいトリガストロークしか必要ないからである。
【0031】
ねじりばねを、少なくとも2つの異なるピッチを有する螺旋ワイヤから形成してもよい。好ましくは、両端が「閉」コイルから形成され、すなわちピッチがワイヤ直径に等しく、各コイルが隣接するコイルに接触し、一方、中心部分が「開」コイルを有し、すなわちコイルが互いに接触しない。
【0032】
ばねに開コイルと閉コイルとの両方があることは、以下の利点を有する。すなわち:用量が設定されると、通常、ねじりばねがチャージされる。すべてのコイルが閉であれば、ばねを巻くことによって巻きごとに1つのワイヤ直径分だけばねの長さが増加するため、ばねのフック端は、たとえば数字スリーブおよびハウジング上のアンカ点と位置合わせされなくなる。開コイルにより、ばねを圧縮して、ばねの全長を増加させることなくワイヤのさらなる巻きを収容することができる。さらに、開コイルにより、組立て中にばねを圧縮することができる。たとえば、ばねは、デバイス内で使用可能な空間よりも長く製造される。その後、組立て中にばねを圧縮することにより、フック端の軸方向位置が、ハウジングおよび数字スリーブ上のアンカ点とより適切に位置合わせされることを確実にする。加えて、コイルの大部分が閉である場合、これらのコイルの長さはワイヤ直径のみによって決まるため、ばねを特定の長さに製造することがより容易である。少なくとも1つの開コイルを含むことにより、ばねを組立て中に圧縮することができるため、数字スリーブをハウジングに対して軸方向に一貫した方向へ付勢して、幾何学的公差の影響を少なくする。各端部に閉コイルを加えることにより、ばねは、製造と組立てとの間に一緒に収納されるときに互いにもつれにくくなる。端部の閉コイルは、ハウジングと数字スリーブとの好ましい接触のための平坦面を提供する。
【0033】
好ましい実施形態によれば、ボタンは用量設定位置と用量投薬位置との間で軸方向に変位可能であり、ボタンはその用量設定位置でハウジングに対して回転可能であり、その用量投薬位置でハウジングに回転方向にロックされる。ボタンとクラッチ板のクリッカアームとのラチェット機能によって、投薬クリッカを設けてもよい。したがって、クリッカフィードバック信号は、用量設定(または用量修正)中には生成されず、(固定)ボタンと(回転)クラッチ要素との相対回転が行われる用量投薬中にのみ生成される。用量投薬中にボタンをハウジングに回転方向に拘束することは、ユーザの指とボタンとの相対回転による摩擦がないというさらなる利点を有する。さらに、これにより、投薬中の意図しない設定用量の操作を防ぐ。
【0034】
ボタンがその用量投薬位置で数字スリーブに対して回転可能であり、その用量設定位置で数字スリーブに回転方向にロックされる場合、ボタンと数字スリーブに拘束されたクラッチ要素との相対回転が、用量投薬中には行われるが、用量設定中には行われない。これにより、用量設定中および用量投薬中に異なるフィードバック信号を生成することができる。
【0035】
本発明の好ましい実施形態において、クラッチ要素は、クラッチばねにより軸方向に付勢されてボタンに当接し、ボタンがその用量投薬位置に変位されるときにクラッチ要素を軸方向に変位させ、クラッチ要素がボタンをその用量設定位置に軸方向に変位させるようになっている。したがって、外力がボタンに及ぼされなければ、クラッチばねはボタンをその用量設定位置に保持する。好ましくは、駆動スリーブは、ボタンおよびクラッチ要素と共に、用量設定位置と用量投薬位置との間で軸方向に可動である。
【0036】
駆動スリーブは、クラッチ要素を介してボタンに連結され、ボタンを作動させたとき、駆動スリーブとクラッチ要素とが、駆動スリーブがハウジングに回転方向にロックされる近位位置から駆動スリーブがハウジングから回転方向にロック解除される遠位位置へ、クラッチばねの付勢に対抗して並進運動し、ボタンを解放したとき、クラッチばねが駆動スリーブ、クラッチ要素、およびボタンを近位位置へ並進運動させるようになっていてもよい。
【0037】
クラッチばねは、クラッチ要素のクラッチ機能と駆動スリーブとを付勢して係合させてもよい。好ましくは、クラッチ機能は、駆動スリーブとクラッチ要素とを連結およびデカップリングするのに適した解放可能なラチェットクラッチを共に形成する。たとえば、クラッチ機能は、係合すると回転方向に拘束され、係合解除されると互いに対して自由に回転することができる。対応するクラッチ機能の係合解除状態は、クラッチ機能が互いに接触するが、互いに緩めることができる、すなわち対応するクラッチ機能がスリップする(slip)状況を含んでもよい。さらに、このラチェットクラッチインターフェースを、たとえば噛み合うラチェット歯を駆動スリーブおよびクラッチ要素に設けることにより、駆動スリーブと数字スリーブとの相対回転が比較的小さい力またはトルクを一方向に、好ましくは用量設定方向に必要とし、非常に大きい力またはトルクを反対方向、好ましくは用量修正方向に必要とするように設計してもよい。たとえば、用量設定方向では、浅いランプによりトルクを小さくするが、ばねを巻くことによってトルクを大きくし、用量修正方向では、急なランプによりトルクを大きくするが、ばねを巻き出すことによりトルクを小さくする。したがって、用量修正および用量ダイヤル設定のためのトルクは等しくてもよいが、一方が他方より大きくてもよい。代替案として、ラチェット機能を、駆動スリーブと数字スリーブとの一方向、通常は用量設定方向のみへの相対回転を可能にし、駆動スリーブと数字スリーブとの反対方向のみへの相対回転を完全に防ぐように設計してもよい。
【0038】
好ましい実施形態において、数字スリーブと駆動スリーブとは、駆動スリーブがその第1の軸方向位置にあるときに互いに対して回転することができ、駆動スリーブがその第2の軸方向位置にあるときに回転方向に拘束される。薬物送達デバイスでは、第1の軸方向位置が用量設定位置であってよく、第2の軸方向位置が用量投薬位置であってよい。
【0039】
投薬クリッカに加えて、用量設定中および/または用量修正中にフィードバック信号を提供してもよい。好ましくは、用量設定中および/または用量修正中にクラッチ要素が駆動スリーブに対して相対回転したとき、歯によって駆動スリーブおよびクラッチ要素に形成されたラチェットクラッチが、可聴および/または触覚フィードバック信号を生成する。このフィードバック信号は投薬クリッカ信号とは異なっていてよい。
【0040】
クラッチ機能は、駆動スリーブが近位位置にあるときに、少なくとも1つの回転方向へのクラッチばねの付勢に対抗してクラッチ機能を緩めることのできる解放可能係合にあってよく、クラッチ機能は、駆動スリーブが遠位位置にあるときに回転方向に拘束される。たとえば、クラッチ機能は、一連の歯、好ましくは鋸歯を各々含んでよく、これらの歯は、互いに強く押され過ぎなければ互いの上をスリップすることができる。言い換えると、駆動スリーブおよび/またはクラッチ要素がクラッチばねの力に対抗して軸方向に並進運動できるようにすることにより、クラッチばねの付勢に対抗してクラッチ機能を緩めることができる。これにより、連続する係合解除とそれに続く次の戻り止め位置への再係合とによって、駆動スリーブおよび/またはクラッチ要素の振動軸方向運動が生じ得る。この再係合によって可聴クリックを発生させることができ、必要なトルク入力の変更によって触覚フィードバックを与えることができる。
【0041】
加えて、クラッチ機能は、好ましくは、たとえば用量修正のためにラチェットを緩めることを可能にするランプ角を有する歯を含む。言い換えると、クラッチ機能と対応するクラッチ機能とが回転固定されない状態または状況にクラッチ配置があるときに、駆動スリーブとクラッチ要素との相対回転が両方向に可能になる。
【0042】
好ましくは、クラッチ機能は、駆動スリーブと各用量単位に対応するクラッチ要素との間に戻り止め位置を提供し、時計方向および反時計方向の相対回転中に異なるランプ歯角に係合する。これは、デバイスが、クラッチ機能を介してクラッチ要素および駆動スリーブからハウジングへ反作用する力またはトルクを有する駆動ばねをさらに含む場合に特に有用である。駆動ばねを、直接または間接的にクラッチ要素に連結してもよい。
【0043】
さらなるフィードバック信号を、用量投薬終了の標示として提供してもよい。好ましくは、薬物送達デバイスは、数字スリーブのクリッカアーム、駆動スリーブのランプ、およびさらなる要素、たとえばゲージ要素のカムを有するクリッカ配置をさらに含み、数字スリーブとゲージ要素とが相対回転したとき、クリッカアームがカムにより弾性偏向可能であり、カムと係合解除したとき弛緩可能であることにより、可聴および/または触覚フィードバック信号を生成する。駆動スリーブが第1の軸方向位置にあるときに、ランプは、好ましくは、クリッカアームと相互作用しないため、クリッカアームがカムに接触することを防ぎ、駆動スリーブが第2の軸方向位置にあるときに、ランプはクリッカアームを偏向させて、クリッカアームがカムに接触するようになっている。数字スリーブとゲージ要素とはねじ係合してもよい。したがって、数字スリーブが相対回転したとき、ゲージ要素は軸方向に変位する。これにより、カムとクリッカアームとの相対軸方向位置に応じて、カムとクリッカアームとの係合および係合解除が可能になる。
【0044】
用量投薬終了時に生成されるフィードバック信号に関し、本発明の重要な態様は、クリッカ配置が第1の回転可能要素と第2の回転不能要素とを含み、第1の要素および第2の要素の一方が弾性変形可能なクリッカアームを含み、第1の要素および第2の要素の他方がカムを含むことである。第1の要素と第2の要素とが相対回転したとき、クリッカアームはカムにより弾性偏向され、カムと係合解除したとき弛緩することにより、可聴および/または触覚フィードバック信号を生成する。本発明は、ランプを有する第3の軸方向に可動の要素をさらに設け、このランプが少なくとも第3の要素の画成位置でクリッカアームと相互作用するというアイデアを含む。より詳細には、ランプはクリッカアームと相互作用しないことにより、第3の要素が第1の軸方向位置にあるときにクリッカアームがカムに接触することを防ぐ。しかしながら、第3の要素が第2の軸方向位置にあるときには、ランプがクリッカアームを偏向させて、クリッカアームがカムに接触するようになっている。言い換えると、クリッカ配置を起動して、第3の要素をその第2の位置にすることによりフィードバック信号を生成することができ、クリッカ配置を停止状態にして、第3の要素をその第1の位置にすることにより信号の生成を防ぐことができる。これにより、薬物送達デバイスで使用されるときに、規定のモードにおいて、通常は用量投薬中にのみ、フィードバック信号を生成することができる。クリッカ配置により生成されるフィードバック信号は、好ましくは、薬物送達デバイスにおいて生成可能な他の信号、たとえば用量設定中、用量修正中および/または用量投薬中に生成される視覚標示ならびに/または可聴および/もしくは触覚フィードバック信号とは異なる。用量修正は、薬剤を投薬することなく、既に設定された用量を減らすことであると理解される。
【0045】
本発明によれば、好ましくはトリガまたは作動ボタンが非押下げ「静止」状況にある場合に、第3の要素がその第1の軸方向位置にあるとき、すなわち、薬物送達デバイス内で使用されるときに、カムがクリッカアームに接触しないことが好ましい。したがって、収納中またはダイヤル設定中、クリッカアームは偏向されず、クリープ変形を受けない。加えて、クリッカ配置はダイヤル設定中または用量修正中に摩擦損失を生じさせないため、小さいダイヤル設定力またはトルクのみを必要とするユーザフレンドリなデバイスをもたらす。
【0046】
ダイヤル設定(用量設定)中、第2の要素は、たとえば近位方向へ並進運動することができるため、カムはクリッカアームと軸方向に位置合わせされなくなる。好ましくは、第3の要素が遠位方向へ並進運動する用量送達開始時に、第3の要素のランプがクリッカアームを、たとえば半径方向外方へ押す。用量送達中、第2の要素は並進運動して遠位方向へ戻ることができ、用量送達終了に向けて、クリッカアームはカムに接触する。この位置においてのみ、フィードバック信号の生成が可能になる。小さい用量の場合、カムとクリッカアームとが用量投薬開始時に接触してもよい。用量送達後、トリガまたはボタンは通常解放され、クリッカ配置がその「静止」位置に戻る。
【0047】
好ましくは、クリッカアームを含む要素は、クリッカアームが半径方向内方および外方へ偏向可能な管状要素である。ランプを含む第3の要素は、好ましくは、クリッカアームを含む要素の半径方向内方に配置されて、ランプがクリッカアームを半径方向外方へ押すことができるようになっている。カムを含む要素は、クリッカアームを含む要素の半径方向外方に配置されて、カムがクリッカアームを半径方向内方へ押すことができるようになっている。
【0048】
本発明のクリッカ配置のいずれかにより、可聴および/または触覚フィードバック信号を生成する様々な方法がある。たとえば、可聴および/または触覚フィードバック信号を、クリッカアームと歯またはカムとの係合解除により生成してもよい。言い換えると、たとえば、予め張力がかかったクリッカアームが歯またはカムの縁部から外れることによって、信号が生じる。代替案として、クリッカアームの第2の部分と歯またはカムとが係合解除した後にクリッカアームの第1の部分が歯またはカムに接触することにより、可聴および/または触覚フィードバック信号を生成してもよい。たとえば、クリッカアームの第1の部分、たとえばアームの突出先端が歯またはカムと係合解除した後、またはこれに接触しなくなった後に、クリッカアームの第2の部分、たとえばレバー部分が歯またはカムに当たってもよい。カムを含む実施形態において、カムを有する要素が、クリッカアームの第2の部分がカムと係合解除した後にクリッカアームの第2の部分、たとえば先端を受けるための凹部をさらに含むと好ましい。
【0049】
クラッチ要素は対応するクラッチ機能を含み、板またはディスクの形を有してもよい。代替案として、クラッチ要素はスリーブの形を有してもよい。クラッチ要素は、スリーブとボタンとの間に軸方向に置かれて、ボタンの第1の方向、好ましくは遠位方向への軸方向運動が、クラッチ要素を介してスリーブに伝わり、反対方向、好ましくは近位方向への軸方向運動が、クラッチ要素を介してボタンに伝わるようになっている。代替案として、クラッチ要素はボタンの一体部材であってもよい。好ましい実施形態において、クラッチ要素は、薬物送達デバイスのさらなる構成部材、たとえば数字スリーブおよび/または用量設定部材に恒久的または解放可能に連結される。クラッチ要素は、スリーブとのインターフェースおよびボタンとのインターフェースに加えて、たとえばクリッカ機能および/または少なくとも1つのさらなるインターフェースを有する多機能要素であってもよい。
【0050】
ボタンは、好ましくは、スリーブおよびクラッチ要素から近位に位置するユーザ操作可能な要素である。薬物送達デバイスで使用されるときに、ボタンはデバイスの近位端から延びてよく、好ましくは、用量設定中にその軸方向位置を変化させない。ボタンは、好ましくは、ユーザ操作可能な用量設定部材に連結され、数字スリーブ部材および/または不動ハウジング部材に解放可能に連結される。代替実施形態において、ボタンは用量設定配置の一部であってよく、または用量設定部材であってもよい。ボタンは、上記の機能に加えてクリッカ機能を有する多機能要素である。
【0051】
不動ハウジング部材は、軸方向に可動のスリーブ、クラッチ要素、およびボタンの相対運動の固定基盤(fixed basis)である。不動ハウジング部材は、多部材ハウジングの一部であってもよく、または薬物送達デバイスの唯一のハウジング部材であってもよい。好ましい実施形態において、不動ハウジング部材は、クラッチばねの軸方向支持部または支承部と、スリーブに解放可能に係合する手段とを含む。好ましくは、ハウジング部材は、1つまたはそれ以上の歯、たとえば歯のリングを含み、この歯のリングは、ハウジング部材に対するスリーブの相対軸方向位置に応じて、スリーブの1つまたはそれ以上の対応する歯、好ましくは同じく歯のリングに係合する。言い換えると、係合手段または歯が、ハウジング部材に対するスリーブの第1の位置、たとえば近位位置で噛み合って連動し、係合解除することにより、ハウジング部材に対するスリーブの第2の位置、たとえば遠位位置における相対回転を可能にする。ハウジング部材は、上記の機能に加えて、たとえばクリッカ機能および/またはピストンロッドとのインターフェースを有する多機能要素であってもよい。
【0052】
軸方向に可動の駆動スリーブは管状要素であり、好ましくはその遠位端に、ハウジング部材と解放可能に係合するためのインターフェースを有し、好ましくはその近位端に、クラッチ要素、すなわちクラッチ機能と解放可能に係合するためのインターフェースを有する。好ましくは、駆動スリーブは、不動ハウジング部材とねじ係合するピストンロッドに回転方向に拘束される。言い換えると、ハウジング部材に対する駆動スリーブの回転により、ピストンロッドの回転、およびしたがって、ハウジング部材に対するピストンロッドの軸方向変位が生じる。これを用量投薬中に薬物送達デバイスで使用して、カートリッジ内でピストンを前進させて医薬品をカートリッジから排出することができる。駆動スリーブは、上記の機能に加えて、たとえばクリッカ機能および/またはクリッカのための起動インターフェースを有する多機能要素であってもよい。
【0053】
薬物送達デバイスにおいて、用量を設定するように動作可能な少なくとも1つの用量設定部材を設けてもよく、ボタンを作動させることより設定用量を投薬する。好ましくは、少なくとも1つの用量設定部材の動作により、駆動ばねを緊張させ、ボタンを作動させることにより駆動ばねを弛緩させて、クラッチ要素、駆動スリーブ、およびピストンロッドをハウジング部材に対して回転させ、ピストンロッドをハウジング部材に対して遠位方向に前進させる。
【0054】
薬物送達デバイスは、第1のアパーチャを有するハウジング、ハウジング内に位置し、用量設定中および用量投薬中にハウジングに対して回転可能な数字スリーブ、ならびに、ハウジングと数字スリーブとの間に置かれたゲージ要素とを含んでよい。好ましくは、ゲージ要素は第2のアパーチャを有し、この第2のアパーチャは、数字スリーブの少なくとも一部が第1および第2のアパーチャを通して見えるように、ハウジングの第1のアパーチャに対して位置する。ゲージ要素は、ハウジング内で軸方向に案内され、数字スリーブとねじ係合して、数字スリーブの回転によりゲージ要素の軸方向変位を生じさせるようにしてもよい。
【0055】
したがって、ゲージ要素の位置を使用して、実際に設定および/または投薬された用量を特定することができる。ゲージ部材の異なる色のセクションによって、ディスプレイ上の数字、記号などを読むことなく、設定および/または投薬された用量の特定を容易にしてもよい。ゲージ要素が数字スリーブとねじ係合すると、数字スリーブの回転により、数字スリーブおよびハウジングに対するゲージ要素の軸方向変位が生じる。ゲージ要素は、デバイスの長手方向に延びるシールドまたはストリップの形を有してもよい。代替案として、ゲージ要素はスリーブであってよい。本発明の実施形態において、数字スリーブは、一連の数字または記号で印付けられ、ゲージ要素はアパーチャまたは窓を含む。数字スリーブがゲージ要素の半径方向内方に位置すると、これにより、数字スリーブ上の数字または記号の少なくとも1つがアパーチャまたは窓を通して見えるようになる。言い換えると、ゲージ要素を使用して数字スリーブの一部を遮蔽し、または覆い、数字スリーブの限られた部分のみが見えるようにすることができる。この機能は、ゲージ要素自体に加えて、実際に設定および/または投薬された用量を特定し、または示すのに適したものであってよい。
【0056】
好ましい実施形態において、用量設定中、数字スリーブは、ハウジング内でハウジングに対して回転運動しか受けないように適用される。言い換えると、数字スリーブは用量設定中に並進運動を行わない。これにより、数字スリーブをハウジングから巻き出す必要、またはハウジング内の数字スリーブを覆うためにハウジングを長くする必要がなくなる。
【0057】
デバイスが可変のユーザ選択可能な薬剤の用量を投薬するのに適していると好ましい。デバイスは、使い捨てデバイス、すなわち、空のカートリッジを交換することに備えていないデバイスであってよい。
【0058】
好ましい実施形態によれば、薬物送達デバイスは、最大設定可能用量および最小設定可能用量を定義するリミッタ機構を含む。通常、最小設定可能用量はゼロ(0IUのインスリン製剤)であり、リミッタが、用量投薬終了時にデバイスを停止させるようになっている。最大設定可能用量、たとえば60、80または120IUのインスリン製剤を限定して、過剰摂取の危険を減らし、非常に大きい用量の投薬に必要な追加のばねトルクを避け、かつ異なる用量サイズを必要とする広範囲の患者に適したものとすることができる。好ましくは、最小用量および最大用量の限界がハードストップ機能により提供される。リミッタ機構は、最小用量(ゼロ)位置において当接する数字スリーブの第1の回転止め具およびゲージ要素の第1の対向止め具と、最大用量位置において当接する数字スリーブの第2の回転止め具およびゲージ要素の第2の対向止め具とを含んでよい。用量設定中および用量投薬中に数字スリーブがゲージ要素に対して回転するため、これら2つの部材は確実で頑強なリミッタ機構を形成するのに適している。
【0059】
薬物送達デバイスは、カートリッジ内に残った液体の量を超える用量の設定を防ぐための最終用量保護機構をさらに含んでもよい。これは、用量送達の開始前にどのくらいの量が送達されるかをユーザが知ることができるという利点を有する。また、これにより、小径のカートリッジの首部に栓が入って不十分な用量となり得ることなく、用量送達が制御された方法で確実に停止する。好ましい実施形態において、この最終用量保護機構は、カートリッジが最大用量(たとえば120IU)未満の用量を含むときのみ、カートリッジ内に残っている薬剤を検出する。たとえば、最終用量保護機構は、駆動部材と用量設定中および用量投薬中に回転する部材との間に置かれたナット部材を含む。用量設定中および用量投薬中に回転する部材は、数字スリーブまたは数字スリーブに回転方向に拘束されたダイヤルスリーブであってよい。好ましい実施形態において、数字スリーブおよび/またはダイヤルスリーブは、用量設定中および用量投薬中に回転するが、駆動部材は用量投薬中にのみ、数字スリーブおよび/またはダイヤルスリーブと共に回転する。したがって、本実施形態において、ナット部材は用量設定中にのみ軸方向に動き、用量投薬中にはこれらの部材に対して不動のままとなる。好ましくは、ナット部材は駆動部材にねじ留めされ、数字スリーブおよび/またはダイヤルスリーブにスプライン連結される。代替案として、ナット部材を数字スリーブおよび/またはダイヤルスリーブにねじ留めし、駆動部材にスプライン連結してもよい。ナット部材は、フルナットまたはその一部、たとえばハーフナットであってもよい。
【0060】
本発明のさらなる態様は、軸方向に可動の駆動スリーブにいくつかのインターフェースを設けることである。好ましくは、駆動スリーブは、駆動スリーブと親ねじとを恒久的に回転方向に拘束する第1のインターフェースを有する。第2のインターフェースを駆動スリーブとハウジング(またはハウジング部材)との間に設けて、駆動スリーブの軸方向位置に応じて駆動スリーブとハウジングとを回転方向に拘束してもよい。第3のインターフェースを駆動スリーブと数字スリーブ(または用量設定部材)との間に設けて、駆動スリーブの軸方向位置に応じて駆動スリーブと数字スリーブとを回転方向に拘束してもよい。第4のインターフェースを駆動スリーブとクラッチ要素との間に設けて、駆動スリーブの軸方向位置および/またはクラッチばねの付勢に応じて駆動スリーブとクラッチ要素とを回転方向に拘束してもよい。第5のインターフェースを駆動スリーブと数字スリーブまたはゲージ要素との間に設けて、駆動スリーブが回転したとき、好ましくは用量投薬終了時にのみ、駆動スリーブの軸方向位置に応じてフィードバック信号を生成してもよい。
【0061】
さらに、薬物送達デバイスは、作動ボタンと駆動スリーブとが第1の用量設定位置にあるときに作動ボタンを数字スリーブに回転方向に連結し、作動ボタンと駆動スリーブとが第2の用量投薬位置にあるときに作動ボタンを数字スリーブからデカップリングする第2のクラッチを含んでもよい。好ましい実施形態において、ハウジングとボタンとの間の解放可能なインターフェースが、たとえばハウジングと係合するスプラインにより設けられて、投薬中にボタンおよびしたがって用量セレクタの回転を防ぐ。
【0062】
好ましくは、ピストンロッド(親ねじ)は、可動の(駆動)スリーブの回転ごとに一定変位だけ前進する。他の実施形態において、変位の割合が変化してもよい。たとえば、ピストンロッドは、1回転ごとに大きい変位で前進して、第1の量の薬剤をカートリッジから投薬し、その後、1回転ごとにより小さい変位で前進して、カートリッジの残りを投薬してもよい。これは、機構の所与の変位について、カートリッジから投薬される第1の用量の体積が他の用量よりも小さいことが多いという事実を補償することができるため有利である。ハウジングおよびピストンロッドのねじ山のピッチが等しい場合、ピストンロッドは、可動スリーブの回転ごとに一定量だけ前進する。しかしながら、代替実施形態において、ピストンロッドのねじ山の第1の巻きが大きいピッチを有し、他の巻きが小さいピッチを有する場合、第1の回転中、ピストンロッドの変位はピストンロッドのねじ山の第1の巻きの大きいピッチに応じて決まるため、ピストンロッドの1回転当たりの変位量は大きくなる。次の回転については、ピストンロッドの変位はピストンロッドのねじ山のより小さいピッチに応じて決まるため、ピストンロッドの変位量はより小さくなる。さらなる実施形態において、ハウジングのねじ山がピストンロッドよりも大きいピッチを有する場合、第1の回転中、ピストンロッドの変位はハウジングのねじ山のピッチに応じて決まるため、ピストンロッドの1回転当たりの変位量は大きくなる。次の回転については、ピストンロッドの変位はピストンロッドのねじ山のピッチに応じて決まるため、ピストンロッドの変位量はより小さくなる。
【0063】
ハウジングのアパーチャおよび/またはゲージ要素のアパーチャは、単純な開口部であってよい。しかしながら、少なくとも1つのアパーチャを窓もしくはレンズにより閉じて、汚れの侵入を防ぎ、かつ/または、たとえば数字スリーブの数字を、たとえば拡大することによりさらに読みやすくできると好ましい。
【0064】
本発明の好ましい実施形態によれば、数字スリーブは、遠位端でハウジングにクリップ留めされる。これにより、ゲージ位置の幾何学的公差が低減する。言い換えると、数字スリーブは、好ましくは、ハウジングに対して軸方向に固定されるが、ハウジングに対して回転することができる。
【0065】
好ましくは、駆動スリーブを数字スリーブ内にクリップ留めして、次の組立工程中に保持する。代替実施形態において、駆動スリーブを代わりにハウジングにクリップ留めして、次の組立工程中に保持する。両実施形態において、ボタンが押されると、駆動スリーブはその組立位置を越えて自由に動く。クリップにより、分解方向への動きを防ぐが、たとえば投薬のためのさらなる動きは防がない。
【0066】
ゲージのレンズおよび窓を、「ツインショット(twin−shot)」成形技術を用いてハウジングに組み込んでもよい。たとえば、レンズおよび窓は半透明材料の「第1のショット」中に成形され、ハウジングの外カバーは不透明材料の「第2のショット」中に成形される。
【0067】
ゲージ要素にねじ付部分が1つしかない場合、これにより、この部材の長さが短くなる。
【0068】
好ましくは、クラッチ板および駆動スリーブの歯の幾何形状は、ダイヤル設定トルクが小さくなるように選択される。さらに、クラッチ板はボタンのクリッカ歯に干渉する投薬クリッカを含んでもよい。
【0069】
薬物送達デバイスは、薬剤を含むカートリッジを含んでもよい。本明細書で使用する用語「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0070】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0071】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0072】
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0073】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0074】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0075】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0076】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0077】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0078】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0079】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0080】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(CH)と可変領域(VH)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0081】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0082】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0083】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0084】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0085】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0086】
以下で、添付図面を参照しながら、本発明の非限定的な例示的実施形態について説明する。