(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6791982
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】フレーム構造が改善したバッテリーモジュール及びこのためのフレームアセンブリー
(51)【国際特許分類】
H01M 2/10 20060101AFI20201116BHJP
【FI】
H01M2/10 E
H01M2/10 Y
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-556778(P2018-556778)
(86)(22)【出願日】2017年8月11日
(65)【公表番号】特表2019-502250(P2019-502250A)
(43)【公表日】2019年1月24日
(86)【国際出願番号】KR2017008759
(87)【国際公開番号】WO2018030846
(87)【国際公開日】20180215
【審査請求日】2018年7月18日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0103079
(32)【優先日】2016年8月12日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジェ−ウク・リュ
(72)【発明者】
【氏名】ダル−モ・カン
(72)【発明者】
【氏名】ジ−ス・ユン
【審査官】
浅野 裕之
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−536980(JP,A)
【文献】
特開2013−222563(JP,A)
【文献】
特開2014−199813(JP,A)
【文献】
特開2011−151006(JP,A)
【文献】
特開2016−091871(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0178369(US,A1)
【文献】
中国実用新案第203398193(CN,U)
【文献】
中国特許出願公開第101304080(CN,A)
【文献】
実開昭57−197677(JP,U)
【文献】
実開昭51−041663(JP,U)
【文献】
特開2012−054236(JP,A)
【文献】
中国実用新案第203557070(CN,U)
【文献】
中国実用新案第204441373(CN,U)
【文献】
韓国公開特許第10−2013−0056530(KR,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2013−0035461(KR,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2011−0133256(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つ以上のセルと、
前記セルの下端面を支持する下部プレート、前記下部プレートのいずれか一方の両側縁端から垂直に延び、前記セルの最外側に隣接するように配置される一対のサイドプレート、及び前記サイドプレートの上端といずれか一方の両側縁端が結合し、前記セルの上部を覆う上部プレートを備えたフレームアセンブリーと、
を含み、
前記一対のサイドプレートは前記下部プレートと共に断面が「コ」字形状となっており、
前記下部プレートの他方の両側縁端には、第1ガイドプレートが前記下部プレートから所定の高さだけ垂直上方に延びており、
前記上部プレートの他方の両側縁端には、第2ガイドプレートが前記上部プレートから所定の高さだけ垂直下方に延びており、
前記第1ガイドプレート及び前記第2ガイドプレートは互に離間していることを特徴とするバッテリーモジュール。
【請求項2】
前記上部プレートは、縁端部が前記サイドプレートの上端に溶接されていることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
前記第1ガイドプレートは、前記下部プレートから折り曲げられて一体で形成されることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
前記第2ガイドプレートは、前記上部プレートから折り曲げられて一体で形成されることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
前記サイドプレートは、前記下部プレートから折り曲げられて一体で形成されることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
バッテリーモジュールの外郭で少なくとも一つ以上のセルを支持するフレームアセンブリーであって、
セルの下端面を支持する下部プレートと、
前記下部プレートのいずれか一方の両側縁端から垂直に延び、前記セルの最外側に隣接するように配置される一対のサイドプレートと、
前記セルの上部を覆うように配置され、前記サイドプレートの上端にいずれか一方の両側縁端が結合した上部プレートと、
を含み、
前記一対のサイドプレートは前記下部プレートと共に断面が「コ」字形状となっており、
前記下部プレートの他方の両側縁端には、第1ガイドプレートが前記下部プレートから所定の高さだけ垂直上方に延びており、
前記上部プレートの他方の両側縁端には、第2ガイドプレートが前記上部プレートから所定の高さだけ垂直下方に延びており、
前記第1ガイドプレート及び前記第2ガイドプレートは互に離間していることを特徴とするバッテリーモジュールのフレームアセンブリー。
【請求項7】
前記上部プレートは、縁端部が前記サイドプレートの上端に溶接されていることを特徴とする請求項6に記載のバッテリーモジュールのフレームアセンブリー。
【請求項8】
前記第1ガイドプレートは、前記下部プレートから折り曲げられて一体で形成されることを特徴とする請求項6に記載のバッテリーモジュールのフレームアセンブリー。
【請求項9】
前記第2ガイドプレートは、前記上部プレートから折り曲げられて一体で形成されることを特徴とする請求項6に記載のバッテリーモジュールのフレームアセンブリー。
【請求項10】
前記サイドプレートは、前記下部プレートから折り曲げられて一体で形成されることを特徴とする請求項6に記載のバッテリーモジュールのフレームアセンブリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーモジュールに関し、より詳しくは、外郭のフレームによってセルが支持される構造を有するバッテリーモジュール及びこのためフレームアセンブリーに関する。
【0002】
本出願は、2016年8月12日出願の韓国特許出願第10−2016−0103079号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
通常、バッテリーモジュールは、複数のセルが直列及び/または並列接続によって集合した構造から形成される。このようなバッテリーモジュールは、通常、複数のセルが一方向に配列されて積層されたセルアセンブリーと、セルアセンブリーを囲むプレートを有するフレームと、を備える。
【0004】
従来のバッテリーモジュールは、
図1に示したように、押出やダイキャスト工法によって一体型に形成されるフレーム10によってセルアセンブリー20が囲まれた構造として製作されていた。
【0005】
しかし、このような押出やダイキャスト工法は、工程費用が高くてバッテリーモジュールの単価を上昇させる主要原因となり、強制的にバッテリーモジュールの膨張を抑制するため、セルの寿命に悪影響を及ぼし得る恐れがある。
【0006】
代案として、韓国公開特許第2015−0031861号公報には、セルアセンブリーの側面にサイドプレートが隣接して配置されるバッテリーモジュールが開示されている。韓国公開特許第2015−0031861号公報は、一方向に並べられた複数のバッテリーセルと、前記バッテリーセルの側面に隣接して配置されるサイドプレートと、を含み、前記サイドプレートは、前記バッテリーセルの方向へ突出して前記バッテリーセルを加圧する加圧領域を備え、加圧領域がバッテリーセルにテンションを提供してバッテリーセルの動きを防止することで、安全性が向上したバッテリーモジュールを開示している。
【0007】
韓国公開特許第2012−0051237号公報は、パウチ型二次電池が少なくとも二つ以上が積層して並んで配置され、電極タブ付き面が同一に配置され、前記パウチ型二次電池の各々が垂直または水平に摺動して装着され、前記パウチ型二次電池の電極タブ付き面を含む外周面と結合し、上、下、側面分離型の組立式構造から形成されたバッテリーモジュールケースを開示している。
【0008】
前記のような技術が提示されているにもかかわらず、従来はスウェリングによるエンドプレートの膨張をある程度許容しながらもバッテリーモジュールを安定的に支持し、素材や工程面から費用を節減することができる技術的手段が提示されておらず、これに対する対策が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、メタルシートなどの素材からなるプレートが組み立てられてフレームが形成された構造を有するバッテリーモジュール及びこのためフレームアセンブリーを提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、溶接加工によってフレームが形成される構造を有するバッテリーモジュール及びこのためフレームアセンブリーを提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を達成するため、本発明は、少なくとも一つ以上のセルと、前記セルの下端面を支持する下部プレート、前記下部プレートのいずれか両側縁端から垂直に延び、前記セルの最外側に隣接するように配置されるサイドプレート、及び前記サイドプレートの上端に結合し、前記セルの上部を覆う上部プレートを備えたフレームアセンブリーと、を含むバッテリーモジュールが提供される。
【0012】
前記上部プレートは、縁端部が前記サイドプレートの上端に溶接されることで結合することが望ましい。
【0013】
本発明によるバッテリーモジュールは、前記下部プレートの他の両側縁端から垂直に延び、セルの離脱を防止する第1ガイドプレートをさらに含み得る。
【0014】
前記第1ガイドプレートは、前記下部プレートから折り曲げられて一体で形成され得る。
【0015】
本発明によるバッテリーモジュールは、前記上部プレートの縁端から垂直に延び、セルの離脱を防止する第2ガイドプレートをさらに含み得る。
【0016】
前記第2ガイドプレートは、前記上部プレートから折り曲げられて一体で形成され得る。
【0017】
前記サイドプレートは、前記下部プレートから折り曲げられて一体で形成され得る。
【0018】
本発明の他面によれば、バッテリーモジュールの外郭で少なくとも一つ以上のセルを支持するフレームアセンブリーであって、セルの下端面を支持する下部プレートと、前記下部プレートのいずれか両側縁端から垂直に延び、前記セルの最外側に接するように配置されるサイドプレートと、前記セルの上部を覆うように配置され、前記サイドプレートの上端に両側縁端が結合した上部プレートと、を含むことを特徴とするバッテリーモジュールのフレームアセンブリーが提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、バッテリーモジュールのフレームアセンブリーがメタルシートのようなプレート素材から製作されるため軽量化が可能であり、溶接加工によって組み立てられることで工程費用が節減される。
【0020】
また、セルの過充電などによってバッテリーモジュールにスウェリングが発生したとき、サイドプレートの膨張程度を適正水準に許容することが可能であるため、セルの寿命に悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【0021】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】従来技術によるバッテリーモジュールの外観を示した斜視図である。
【
図2】本発明の望ましい実施例によるバッテリーモジュールの構成を示した分解斜視図である。
【
図4】本発明の他の実施例によるバッテリーモジュールの構成を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図2は、本発明の望ましい実施例によるバッテリーモジュールの構成を示した分解斜視図である。
【0024】
図2を参照すれば、本発明の望ましい実施例によるバッテリーモジュールは、複数個のセル100と、複数個のセル100を囲むように配置され、下部プレート111、サイドプレート113及び上部プレート114を備えるフレームアセンブリー110と、を含む。
【0025】
各々のセル100は、薄板状の胴体を有するものであって、望ましくは、パウチ型二次電池によって構成される。複数のセル100は、一方向に配列され、実質的に積層構造をなす。
【0026】
フレームアセンブリー110は、複数個のセル単位としてセル100を収容して支持及び保護する構造物であって、セル100の下部に位置する下部プレート111と、セル100の最外側に隣接するように配置されるサイドプレート113と、セル100の上部に位置する上部プレート114と、を備える。フレームアセンブリー110を成す各々のプレート111、113、114は、数ミリメートル程度の薄い厚さを有する、例えば、アルミニウム板材のようなメタルシート(またはメタルプレート)によって形成される。
【0027】
下部プレート111は、複数個のセル100の下端面を一括的に支持できるベース面を備える。
【0028】
サイドプレート113は、下部プレート111のいずれか両側縁端から垂直上方へ延びてセル100の最外側に隣接するように配置される。即ち、サイドプレート113は、一対が備えられ、その間隔は複数個のセル100を収容可能な程度に設定される。サイドプレート113は、下部プレート111から折り曲げられ、断面が「コ」字形状になるように一体で形成することが望ましい。
【0029】
下部プレート111の他の両側縁端には、フレームアセンブリー110に収容されたセル100が前後方向、即ち、セル100の配列方向に垂直な方向へ離脱することを防止するための第1ガイドプレート112が数センチメートルの高さだけ垂直上方へ延びている。第1ガイドプレート112は、下部プレート111から折り曲げられて一体で形成することが望ましい。
【0030】
上部プレート114は、サイドプレート113の上端に結合し、複数個のセル100の上部を一括的に覆う。上部プレート114は、その両側縁端の部分が各々サイドプレート113の上端に溶接(Welding)されることが望ましい。これによって、サイドプレート113と上部プレート114とが接触するエッジ部分には、溶接部(
図3のW参照)が形成される。ここで、溶接法としては、レーザー溶接、超音波溶接、スポット溶接などを採用することができる。
【0031】
図3には、溶接によってサイドプレート113の上端に上部プレート114が組み立てられた状態が示されている。
図3に示されたように、複数個のセル100単位として備えられるフレームアセンブリー110を備えたバッテリーモジュールは、複数個のセル100がフレームアセンブリー110内に配置された状態で前記上部プレート114の縁端部が前記サイドプレート113の上端に溶接されることで製作される。
【0032】
上部プレート114の幅は、一対のサイドプレート113の内部面の間隔と実質的に一致するか、または、一対のサイドプレート113の外部面の間隔と実質的に一致することが望ましい。
【0033】
上部プレート114において、サイドプレート113と接触しない両側縁端には、フレームアセンブリー110に収容されたセル100が、前後方向、即ち、セル100の配列方向に垂直な方向へ離脱することを防止するための第2 ガイドプレート115が数センチメートルの高さだけ垂直下方へ延びている。第2ガイドプレート115は、上部プレート114から折り曲げられて一体で形成することが望ましい。
【0034】
本発明の他の実施例によれば、
図4に示したように、単一セルの単位としてフレームアセンブリー110が結合した構造を有するバッテリーモジュールが提供される。この場合、バッテリーモジュールは、単一に配置されるセル100と、単一セル100に対応するように備えられてセル100を囲むように配置され、下部プレート111、サイドプレート113及び上部プレート114を備えるフレームアセンブリー110と、を含む。
【0035】
フレームアセンブリー110は、単一セル100に各々対応するように備えられることから、内部に一つのセル100のみを収容するように構成されるため、スリムな形状として提供できる。フレームアセンブリー110を成す下部プレート111、サイドプレート113及び上部プレート114の具体的な構成及び結合関係は、前述の実施例と同一であるので、その詳細な説明は略する。
【0036】
図5に示したように、セル単位として備えられるフレームアセンブリー110を備えるバッテリーモジュールは、単一セル100がフレームアセンブリー110内に配置された状態で、前記上部プレート114のエッジ部分が前記サイドプレート113の上端に溶接されて製作される。これによって、サイドプレート113と上部プレート114とが接触するエッジ部分には溶接部Wが形成される。
【0037】
前記のような構成を有する本発明の望ましい実施例によるバッテリーモジュールは、単一セル100または複数個のセル100単位でフレームアセンブリー110が結合した形態として提供される。
【0038】
フレームアセンブリー110は、アルミニウム板材のようなメタルシート(またはメタルプレート)によって形成された下部プレート111、サイドプレート113及び上部プレート114が有機的に結合してなるため、軽量化が可能である。
【0039】
フレームアセンブリー110の製作過程において、下部プレート111とサイドプレート113とは、曲げ加工によって一体で形成され、サイドプレート113の上端に、上部プレート114がレーザー溶接や超音波溶接のような溶接加工によって結合する。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明を適用する場合、既存の押出やダイキャスト工法によって製造されるフレームに比べて軽量化が可能となり、組立工程費用が節減可能なバッテリーモジュールを具現することができる。
【符号の説明】
【0041】
10 フレーム
20 セルアセンブリー
100 単一セル、セル
110 フレームアセンブリー
111 下部プレート
112 第1ガイドプレート
113 サイドプレート
114 上部プレート
115 第2ガイドプレート