(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記装置制御部は、前記ユーザが前記キャリパ操作有効領域にタッチした場合に、前記キャリパ操作制御部を制御して、前記キャリパ操作有効領域の代わりに、前記タッチ位置を中心とし且つ前記キャリパ操作有効領域よりも小さいタッチ確認表示領域を前記表示画面に表示させる請求項1〜3のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
前記装置制御部は、前記ユーザが前記キャリパ操作有効領域にタッチした場合に、前記キャリパ操作制御部を制御して、前記表示画面に表示されている前記キャリパ操作有効領域を徐々に縮小して前記タッチ確認表示領域の表示に切り替える請求項4または5に記載の超音波診断装置。
前記装置制御部は、前記ユーザが前記タッチパネル上におけるタッチ操作を解除した場合に、前記キャリパ操作制御部を制御して、前記表示画面に表示されている前記タッチ確認表示領域を徐々に拡大して前記キャリパ操作有効領域の表示に切り替える請求項4〜6のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
前記装置制御部は、前記ユーザが前記キャリパ操作有効領域にタッチした場合に、前記キャリパ生成部を制御して前記表示画面に表示されている前記キャリパの表示色を変更させる、または、前記キャリパを点滅表示させる請求項1〜7のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
前記キャリパ操作制御部は、前記キャリパ操作有効領域内における前記タッチ位置の推奨候補を表す推奨ポイントを前記キャリパ操作有効領域に重畳して前記表示画面に表示する請求項1〜8のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1に、本発明の実施の形態1に係る超音波診断装置1の構成を示す。
図1に示すように、超音波診断装置1は、振動子アレイ2を備えており、振動子アレイ2に、それぞれ送信部3および受信部4が接続されている。受信部4には、AD(Analog Digital:アナログデジタル)変換部5、画像生成部6、表示制御部7およびタッチパネル8が順次接続されている。また、表示制御部7に、キャリパ生成部9およびキャリパ操作制御部10がそれぞれ接続されており、キャリパ生成部9は、キャリパ操作制御部10に接続されている。
さらに、送信部3、受信部4、画像生成部6、表示制御部7、タッチパネル8、キャリパ生成部9およびキャリパ操作制御部10に、装置制御部11が接続され、装置制御部11に、格納部12が接続されている。装置制御部11と格納部12とは、互いに、双方向に情報を受け渡し可能に接続されている。
【0016】
また、振動子アレイ2、送信部3および受信部4により、超音波プローブ21が構成されており、AD変換部5、画像生成部6、表示制御部7、キャリパ生成部9、キャリパ操作制御部10および装置制御部11によりプロセッサ22が構成されている。
【0017】
図1に示す超音波プローブ21の振動子アレイ2は、1次元または2次元に配列された複数の素子(超音波振動子)を有している。これらの素子は、それぞれ送信部3から供給される駆動信号に従って超音波を送信し、且つ被検体からの反射波を受信して受信信号を出力する。各素子は、例えば、PZT(Lead Zirconate Titanate:チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電セラミック、PVDF(Poly Vinylidene Di Fluoride:ポリフッ化ビニリデン)に代表される高分子圧電素子およびPMN−PT(Lead Magnesium Niobate-Lead Titanate:マグネシウムニオブ酸鉛−チタン酸鉛固溶体)に代表される圧電単結晶等からなる圧電体の両端に電極を形成した振動子を用いて構成される。
【0018】
超音波プローブ21の送信部3は、例えば、複数のパルス発生器を含んでおり、装置制御部11からの制御信号に応じて選択された送信遅延パターンに基づいて、振動子アレイ2の複数の素子から送信される超音波が超音波ビームを形成するようにそれぞれの駆動信号を、遅延量を調節して複数の素子に供給する。このように、振動子アレイ2の素子の電極にパルス状または連続波状の電圧が印加されると、圧電体が伸縮し、それぞれの振動子からパルス状または連続波状の超音波が発生して、それらの超音波の合成波から、超音波ビームが形成される。
【0019】
送信された超音波ビームは、例えば、被検体の部位等の対象において反射され、超音波プローブ21の振動子アレイ2に向かって伝搬する。このように振動子アレイ2に向かって伝搬する超音波は、振動子アレイ2を構成するそれぞれの素子により受信される。この際に、振動子アレイ2を構成するそれぞれの振動子は、伝搬する超音波を受信することにより伸縮して電気信号を発生させ、それらの電気信号は、超音波の受信信号として、それぞれの振動子から受信部4に出力される。図示しないが、受信部4は、それぞれの振動子から入力された超音波の受信信号を増幅するための増幅部を有しており、ここで増幅された信号がプロセッサ22のAD変換部5においてデジタル化された素子データに変換されると、画像生成部6に出力される。
【0020】
プロセッサ22の画像生成部6は、
図2に示すように、信号処理部13、DSC(Digital Scan Converter:デジタルスキャンコンバータ)14および画像処理部15が直列接続された構成を有している。信号処理部13は、装置制御部11からの制御信号に応じて選択された受信遅延パターンに基づき、設定された音速に従う各素子データにそれぞれの遅延を与えて加算(整相加算)を施す、受信フォーカス処理を行う。この受信フォーカス処理により、超音波エコーの焦点が絞り込まれた音線信号が生成される。また、信号処理部13は、生成された音線信号に対して、超音波が反射した位置の深度に応じて伝搬距離に起因する減衰の補正を施した後、包絡線検波処理を施して、被検体内の組織に関する断層画像情報であるBモード画像信号を生成する。このように生成されたBモード画像信号は、DSC14に出力される。
【0021】
DSC14は、Bモード画像信号を通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号にラスター変換する。画像処理部15は、DSC14において得られた画像データに対して、明るさ補正、階調補正、シャープネス補正および色補正等の各種の必要な画像処理を施した後、Bモード画像信号を表示制御部7に出力する。以下では、このBモード画像信号を超音波画像と呼ぶ。
【0022】
プロセッサ22のキャリパ生成部9は、キャリパを生成し且つ生成したキャリパを超音波画像に重畳するように、表示制御部7を介して後述するタッチパネル8の表示画面に表示する。ここで、キャリパとは、タッチパネル8の表示画面上の位置を指定するためのカーソルである。キャリパの形状は、十字形および円形等、タッチパネル8の表示画面における位置を指定できれば特に限定されない。
図4には、例として十字形のキャリパCが示される。
【0023】
図1に示すように、プロセッサ22のキャリパ操作制御部10は、後述するタッチパネル8の表示画面に表示されたキャリパに対応してキャリパを囲み、且つ、表示画面内においてキャリパを移動操作するためのキャリパ操作有効領域を、表示制御部7を介してタッチパネル8の表示画面に表示する。このキャリパ操作有効領域は、キャリパから一定の距離を隔てて配置される。例えば、
図4に、キャリパCを中心として囲み、キャリパとの距離すなわち半径Lを有する円形のキャリパ操作有効領域Mが示される。また、キャリパ操作制御部10は、キャリパ操作有効領域上におけるユーザのタッチ位置を中心とし且つキャリパ操作有効領域よりも小さいタッチ確認表示領域をタッチパネル8の表示画面に表示する。例えば、
図5に、ユーザの指Fによるタッチ位置に配置された円形のタッチ確認表示領域Nが示される。
【0024】
プロセッサ22の装置制御部11は、タッチパネル8を介したユーザのタッチ操作に基づいて、超音波診断装置1の各部の制御を行う。特に、装置制御部11は、タッチパネル8を介したユーザのタッチ操作に応じて、キャリパ操作制御部10を制御し、キャリパ操作有効領域およびタッチ確認表示領域をタッチパネル8の表示画面に表示させる。装置制御部11によるキャリパ操作有効領域およびタッチ確認表示領域の表示制御については、後に詳細に説明する。
【0025】
プロセッサ22の表示制御部7は、画像生成部6により生成された超音波画像とキャリパ生成部9により生成されたキャリパと、キャリパ操作有効領域およびタッチ確認表示領域を合成した合成画像を生成し、生成した合成画像をタッチパネル8の表示画面に表示させる。
【0026】
超音波診断装置1のタッチパネル8は、表示画面を有し、合成画像を表示し、且つ、ユーザがタッチ操作を行う。表示画面は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)等のディスプレイ装置により構成される。
【0027】
超音波診断装置1の格納部12は、超音波診断装置1の動作プログラム等を格納し、HDD(Hard Disc Drive:ハードディスクドライブ)、SSD(Solid State Drive:ソリッドステートドライブ)、FD(Flexible Disc:フレキシブルディスク)、MOディスク(Magneto-Optical disc:光磁気ディスク)、MT(Magnetic Tape:磁気テープ)、RAM(Random Access Memory:ランダムアクセスメモリ)、CD(Compact Disc:コンパクトディスク)、DVD(Digital Versatile Disc:デジタルバーサタイルディスク)、SDカード(Secure Digital card:セキュアデジタルカード)、USBメモリ(Universal Serial Bus memory:ユニバーサルシリアルバスメモリ)等の記録メディア、またはサーバ等を用いることができる。
【0028】
なお、AD変換部5、画像生成部6、表示制御部7、キャリパ生成部9、キャリパ操作制御部10および装置制御部11は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、および、CPUに各種の処理を行わせるための制御プログラムから構成されるが、それらを、デジタル回路を用いて構成しても良い。また、これらのAD変換部5、画像生成部6、表示制御部7、キャリパ生成部9、キャリパ操作制御部10および装置制御部11を部分的にあるいは全体的に1つのCPUに統合させて構成することもできる。CPUが制御プログラムを実行することにより、当該CPUが画像生成部6、表示制御部7、キャリパ生成部9、キャリパ操作制御部10および装置制御部11として機能する。
【0029】
次に、
図3に示すフローチャートおよび
図4〜
図7を用いて、本発明の実施の形態1の超音波診断装置1においてキャリパの操作をする際の動作について詳細に説明する。
まず、ステップS1において、キャリパ生成部9は、
図4に示すように、タッチパネル8の表示画面に表示された超音波画像Sに重畳してキャリパCを表示する。
続くステップS2において、装置制御部11は、キャリパ操作制御部10を制御して、ステップS1において表示されたキャリパCを囲むように半径Lを有する円形のキャリパ操作有効領域Mをタッチパネル8の表示画面に表示する。
【0030】
ステップS3では、装置制御部11は、表示されたキャリパ操作有効領域Mすなわち半径Lの円の円周上にユーザがタッチしたか否かを判定する。装置制御部11は、キャリパ操作有効領域Mにユーザがタッチするまで待機し、キャリパ操作有効領域Mにユーザがタッチしていると装置制御部11が判定した場合に、ステップS4に進む。なお、以下では説明のため、ユーザは、
図4に示すタッチ位置Pにタッチするとするが、キャリパ操作有効領域M上の任意の箇所をタッチ位置Pとしてタッチすることもできる。
【0031】
ステップS4において、装置制御部11は、キャリパ操作制御部10を制御して、
図5に示すように、キャリパ操作有効領域Mの表示を中断し、キャリパ操作有効領域Mの代わりに、キャリパ操作有効領域Mよりも小さいタッチ確認表示領域Nをタッチ位置Pに表示させる。
図5において、タッチ確認表示領域Nは、一部がユーザの指Fに隠れており、指Fの先端からわずかに露出するように表示されている。
続くステップS5において、装置制御部11は、ユーザの指Fの位置すなわちタッチ位置Pが移動しているか否かを判定する。装置制御部11は、タッチ位置Pが移動するまで待機し、タッチ位置Pが移動していると判定した場合に、ステップS6に進む。
【0032】
ステップS6において、装置制御部11は、
図6に示すように、キャリパ生成部9を制御してキャリパCをタッチ位置Pの移動に追従させて移動させ、且つ、キャリパ操作制御部10を制御してタッチ確認表示領域Nをタッチ位置Pの移動に追従させて移動させる。この際に、キャリパCは、タッチ位置Pおよびタッチ確認表示領域Nと一定の距離Lを保ったまま、タッチ位置Pおよびタッチ確認表示領域Nの移動方向および移動距離と同一の方向および距離を移動する。
【0033】
続くステップS7において、装置制御部11は、ユーザによるタッチ操作が解除されたか否か、すなわち、ユーザの指Fがタッチ位置Pから離れたか否かを判定する。装置制御部11は、ユーザによるタッチ操作が解除されていないと判定した場合には、ステップS5に戻り、タッチ位置Pが移動しているか否かを判定し、タッチ位置Pが移動している場合に、キャリパCおよびタッチ確認表示領域Nをタッチ位置Pに追従して移動させる。このように、ユーザの指Fがタッチ位置Pにタッチしている間は、タッチ位置Pにタッチ確認表示領域Nが表示され続ける。ステップS7において、ユーザによるタッチ操作が解除されたと装置制御部11が判断した場合に、ステップS8に進む。
【0034】
ステップS8において、装置制御部11は、キャリパ操作制御部10を制御して、
図7に示すように、移動されたキャリパCの位置に対応してキャリパ操作有効領域Mの表示を復帰させ、且つ、タッチ確認表示領域Nの表示を消去する。この結果、キャリパCとキャリパ操作有効領域Mのみが超音波画像Sに重畳して表示される。
【0035】
以上のように、本発明の超音波診断装置1によれば、ユーザがタッチパネル8の表示画面に表示されたキャリパ操作有効領域Mにタッチするとキャリパ操作有効領域Mの表示が中断され、ユーザがキャリパ操作有効領域Mにタッチしたままタッチ位置Pを移動させるとキャリパCの位置がタッチ位置Pの移動に追従して移動されるため、超音波画像Sにおいてユーザが視認したい部分がユーザの指等に隠れずにキャリパCを操作することができ、タッチ操作の操作性を向上させることができる。
また、ユーザがキャリパ操作有効領域Mにタッチしている間は、タッチ位置Pにおいてキャリパ操作有効領域Mよりも小さいタッチ確認表示領域Nが表示されるため、ユーザがキャリパCを操作していることを視覚的に確認することができる。
【0036】
なお、キャリパ操作有効領域Mとして、円形の領域を例示しているが、キャリパを囲むように配置されていれば、その形状は特に限定されない。例えば、キャリパ操作有効領域Mとして、三角形および四角形等の多角形の領域、任意の閉曲線からなる領域、および、閉曲線上に配列された複数の点の集合からなる領域を設定することができる。特に、キャリパ操作有効領域Mが複数の点の集合、例えば、キャリパCを囲む閉曲線上に配列された8つの点から構成されている場合には、それぞれの点のみをキャリパ操作有効領域Mとして設定することができ、また、それぞれの点を通る円等の表示されない閉曲線を実際のキャリパ操作有効領域Mとして設定することもできる。
【0037】
また、キャリパ操作有効領域Mの大きさは、ユーザにより予め設定されることができる。このように、ユーザがキャリパ操作有効領域Mの大きさを設定できることにより、ユーザは、ユーザの好みおよび超音波画像Sに合わせたキャリパCの操作をすることができるため、タッチ操作の操作性を向上させることができる。
【0038】
また、キャリパ操作有効領域Mの大きさは、超音波画像Sが撮像された際の深度に応じて変化させることができる。一般に、超音波画像Sが撮像された際の深度が深いほど、超音波画像S全体の大きさに対して、超音波画像S中の組織の大きさが小さく写る。そのため、キャリパ操作有効領域Mの大きさを、超音波画像Sの深度に応じて変化させる場合には、深度が深いほど小さく表示し、深度が浅いほど大きく表示することが好ましい。また、一般に、超音波画像Sを撮像する際の深度は、超音波プローブの種類に応じて異なることがある。例えば、リニア型の超音波プローブは、コンベックス型およびラジアル型の超音波プローブよりも、超音波画像Sを撮像する際の深度が浅い。そのため、超音波画像Sを撮像した超音波プローブの種類に応じてキャリパ操作有効領域Mの大きさを変化させてもよい。
【0039】
また、タッチ確認表示領域Nの大きさは、ユーザにより予め設定されることができる。例えば、タッチ操作を行う際に、ユーザの指が使用される場合とスタイラスペンが使用される場合とがある。
一般に、スタイラスペンの先端は、指の先端よりも細いことが多いため、タッチ操作においてユーザの指およびスタイラスペンの一方を使用することが決まっている場合には、タッチ確認表示領域Nは、一部がユーザの指またはスタイラスペンの先端に隠れ、ユーザの指またはスタイラスペンの先端からわずかに露出するような大きさに設定されることができる。これにより、ユーザがタッチ位置Pを移動させてキャリパCを操作していることを視覚的に確認しやすくすることができる。
【0040】
また、ユーザがキャリパ操作有効領域M上のタッチ位置Pをタッチする際にユーザの指またはスタイラスペンのいずれを使用する場合であっても、タッチ確認表示領域Nの大きさは、予め一定の大きさに設定されていてもよい。
また、タッチ確認表示領域Nの大きさは、使用するユーザの指またはスタイラスペンの先端がタッチパネル8に接触する部分の面積よりも小さく設定されていてもよい。この場合に、タッチ確認表示領域Nは、使用するユーザの指またはスタイラスペンに隠れて、ユーザに視認されなくなるが、実質的に超音波画像Sを隠さないようにすることができる。
【0041】
また、実施の形態1では、ユーザがキャリパ操作有効領域Mに対するタッチ操作を解除した際に、タッチ確認表示領域Nの表示が消去され、且つ、キャリパ操作有効領域Mの表示が復帰されるが、ユーザのタッチ操作が解除されてから一定時間が経過した際に、タッチ確認表示領域Nの表示が消去され、キャリパ操作有効領域Mの表示が復帰されることもできる。特に、タッチ確認表示領域Nの大きさが、ユーザの指およびスタイラスペン等の太さよりも小さく設定されている場合に、ユーザが、タッチ操作を解除することにより、指およびスタイラスペン等に隠れていたタッチ確認表示領域Nとキャリパ操作有効領域Mとの位置関係を視認することができる。
【0042】
また、キャリパ操作有効領域Mがユーザによりタッチされている間に、キャリパCを強調表示することができる。キャリパCの強調表示として、例えば、キャリパCの色を変更すること、キャリパCを点滅表示すること等を採用することができる。これにより、キャリパCが操作状態であることをユーザに視認させることができる。
【0043】
また、図示しないが、キャリパCを配置した超音波画像Sを外部メモリ等に保存した場合に、キャリパCまたはキャリパCの座標情報のみを超音波画像Sに関連付けて保存し、キャリパ操作有効領域Mは保存しないことが好ましい。
ここで、例えば、超音波画像Sを保存するための操作として、タッチパネル8の表示画面に超音波画像Sおよび図示しない保存ボタンを表示しておき、ユーザが保存ボタンをタッチすることにより超音波画像Sを図示しない外部メモリ等に保存することができる。この際に、超音波画像Sに重畳してキャリパCおよびキャリパ操作有効領域Mが表示されている場合には、例えば、ユーザが保存ボタンをタッチすることによりキャリパ操作有効領域Mが消去され、且つ、表示されている超音波画像SおよびキャリパCのみが保存されることができる。この場合に、例えば、超音波画像SおよびキャリパCの保存が完了することをトリガとして、キャリパ操作有効領域Mの表示を復帰させることができる。
【0044】
また、例えば、ユーザが定められた時間の間にキャリパ操作有効領域Mまたはキャリパ操作有効領域M上のタッチ位置Pを2回タッチする等、予め決められた操作を行った場合に、キャリパ操作有効領域Mの表示が消去され、キャリパ操作有効領域Mが表示されていない状態においてユーザにより保存ボタンがタッチされることにより、表示されている超音波画像SおよびキャリパCのみが図示しない外部メモリ等に保存されることができる。この場合に、例えば、ユーザによりキャリパCがタッチされることをトリガとして、キャリパ操作有効領域Mの表示を復帰させることができる。
このように、キャリパCを配置した超音波画像Sを外部メモリ等に保存した場合に、キャリパ操作有効領域Mを保存しないことにより、キャリパCの操作が必要な超音波画像Sに対してのみキャリパ操作有効領域Mをタッチパネル8の表示画面に表示することができる。
【0045】
実施の形態2
実施の形態1では、ユーザがキャリパ操作有効領域Mをタッチするとキャリパ操作有効領域Mの表示が中断され、且つタッチ確認表示領域Nが表示されるが、この際に、キャリパ操作有効領域Mの表示は、瞬時に消去されるのではなく、徐々にタッチ確認表示領域Nの表示に切り替わるように設定されることもできる。例えば、
図8に示すように、ユーザがキャリパ操作有効領域Mをタッチすると、キャリパ操作有効領域Mは、タッチ位置Pに向かう方向A1に沿って徐々に縮小し、タッチ確認表示領域Nの表示に切り替わる。
ここで、図示しないが、実施の形態2の超音波診断装置は、
図1に示す実施の形態1の超音波診断装置1と同一の構成を有しており、キャリパ操作有効領域Mおよびタッチ確認表示領域Nの表示動作は、
図1に示す装置制御部11が、キャリパ操作制御部10を制御することによりなされる。
【0046】
同様に、ユーザがタッチパネル8上におけるタッチ操作を解除した際に、タッチ確認表示領域Nの表示は、瞬時に消去されるのではなく、徐々にキャリパ操作有効領域Mの表示に切り替わるように設定されることができる。例えば、
図9に示すように、ユーザがキャリパ操作有効領域Mのタッチ操作を解除すると、タッチ確認表示領域Nは、キャリパCに向かう方向A2に沿って徐々に拡大し、キャリパ操作有効領域Mの表示に切り替わる。このような表示動作は、装置制御部11が、キャリパ操作制御部10を制御することによりなされる。
【0047】
以上のように、キャリパ操作有効領域Mの表示とタッチ確認表示領域Nの表示とが徐々に切り替わるように表示されることにより、対応するキャリパが操作状態に変化したこと、および、対応するキャリパが操作状態から解除されたことをユーザに視認されやすくし、タッチ操作の操作性を向上させることができる。
【0048】
実施の形態3
実施の形態1では、タッチ確認表示領域Nとして、一部がユーザの指Fに隠れており、指Fの先端からわずかに露出するように表示されている実施の形態を例示しているが、タッチ確認表示領域Nは、これに限定されない。
【0049】
図10に示すように、実施の形態3におけるタッチ確認表示領域N1は、キャリパCの中心とタッチ位置Pとを結ぶ線分であり、ユーザがキャリパ操作有効領域M上のタッチ位置Pにタッチすることによりタッチパネル8の表示画面に表示される。このタッチ確認表示領域N1は、実施の形態1におけるタッチ確認表示領域Nと同様に、
図11に示すように、ユーザが指Fを移動させることによりタッチ位置Pを移動させると、タッチ位置Pに追従して移動する。
ここで、図示しないが、実施の形態3の超音波診断装置は、
図1に示す実施の形態1の超音波診断装置1と同一の構造を有しており、キャリパ操作有効領域Mおよびタッチ確認表示領域N1の表示動作は、
図1に示す装置制御部11が、キャリパ操作制御部10を制御することによりなされる。
【0050】
このように、タッチ確認表示領域N1を、キャリパCの中心とタッチ位置Pとを結ぶ線分として表示することにより、ユーザがキャリパCを操作していることを視覚的に確認しやすくすることができ、タッチ操作の操作性を向上させることができる。
【0051】
なお、ユーザがキャリパ操作有効領域Mをタッチした場合に、実施の形態1と同様に、キャリパ操作有効領域Mの表示が瞬時に中断され、且つ、タッチ確認表示領域N1が瞬時に表示されることができるが、実施の形態2と同様に、キャリパ操作有効領域Mの表示が徐々にタッチ確認表示領域N1の表示に切り替わるように設定されることもできる。
この場合に、例えば
図12に示すように、ユーザがキャリパ操作有効領域M上のタッチ位置Pをタッチすると、キャリパ操作有効領域Mの表示が徐々に縮小されて線分状のタッチ確認表示領域N1の表示に切り替わる。また、ユーザが指Fを離してタッチ操作を解除すると、例えば
図13に示すように、タッチ確認表示領域N1の表示が楕円等の閉曲線形状に変化し、且つ、その輪郭線が徐々に拡大されてキャリパ操作有効領域Mの表示に切り替わる。
【0052】
また、実施の形態3における線分状のタッチ確認表示領域N1は、超音波画像Sがユーザに視認されにくくなることを防止するために、透けて表示されている実線、および、実線ではない点線および破線等であることが好ましい。
【0053】
実施の形態4
本開示では、ユーザは、キャリパ操作有効領域M上の任意の箇所をタッチすることにより、キャリパCを操作することができるが、この際に、キャリパ操作有効領域M上のタッチ位置の推奨候補をタッチパネル8の表示画面において示すことができる。
例えば、
図14に示すように、キャリパCが超音波画像Sの端部近傍に位置し、キャリパ操作有効領域Mの一部のみが表示されている場合に、表示されているキャリパ操作有効領域Mに重畳して、タッチ位置の推奨候補を表す推奨ポイントRを表示することができる。
また、例えば、キャリパ操作有効領域Mが全て表示されている場合も、キャリパ操作有効領域M上の任意の箇所に重畳して、タッチ位置の推奨候補を表す推奨ポイントRを表示することができる。
【0054】
ここで、図示しないが、実施の形態4の超音波診断装置は、
図1に示す実施の形態1の超音波診断装置1と同一の構成を有しており、推奨ポイントRをタッチパネル8の表示画面に表示させることは、キャリパ操作制御部10によりなされる。
また、実施の形態4において、ユーザは、キャリパ操作有効領域M上であれば、推奨ポイントR以外の任意の箇所をタッチして、キャリパCを操作することができる。
【0055】
以上のように、キャリパ操作有効領域M上の推奨ポイントRをタッチパネル8の表示画面に表示させることにより、キャリパ操作有効領域Mを用いたキャリパCの操作に慣れていないユーザであっても、キャリパCの操作を簡単に行うことができる。
【0056】
なお、
図14に示す例では、キャリパCは、超音波画像S上に表示されているが、超音波画像Sの外側に表示されることもできる。例えば、
図15に示すように、キャリパCは、表示画面の表示領域D内であれば、超音波画像Sの外側に表示されることができる。この際に、キャリパ操作有効領域Mの表示は超音波画像S上に限られず、表示領域D内であれば、超音波画像Sの外側にキャリパ操作有効領域Mが表示されてもよい。
図15に示す例では、キャリパCが表示領域Dの端部近傍に表示されているため、キャリパ操作有効領域Mは、一部が欠けた円弧形状を有している。このように、キャリパCが超音波画像Sの外側に表示され、キャリパ操作有効領域Mの少なくとも一部が超音波画像Sの外側に表示されている場合であっても、キャリパ操作有効領域M上の任意の箇所に推奨ポイントRを表示することができる。
【0057】
ここで、表示領域Dとは、タッチパネル8の表示画面全体に亘る領域でもよく、表示画面内に定められた一定の領域でもよい。また、超音波画像Sが図示しない外部メモリ等に保存される際に、表示領域D全体が保存されるように設定されることができる。
【0058】
実施の形態5
実施の形態1〜4では、タッチパネル8の表示画面に1つのキャリパCを表示する例を示しているが、複数のキャリパが同時に表示されていてもよい。
例えば、超音波画像上の2点間の距離を計測する場合に、超音波画像に重畳して2つのキャリパを表示することができる。この場合に、例えば、
図16に示すように、表示された2つのキャリパのうち一方のキャリパC1のみを操作可能なキャリパとし、このキャリパC1のみに対応したキャリパ操作有効領域M1をタッチパネル8の表示画面に表示させることができる。キャリパC1の操作が終了し、キャリパC2の操作を行う際には、キャリパC1に対応したキャリパ操作有効領域M1の表示が消去されてキャリパC1の操作ができない状態になり、且つ、キャリパC2に対応する図示しないキャリパ操作有効領域が表示されてキャリパC2が操作可能になる。
【0059】
また、例えば、
図17に示すように、表示された2つのキャリパC1およびC2がいずれも操作可能な状態として表示されることもできる。この場合には、一方のキャリパC1に対応するキャリパ操作有効領域M1と、他方のキャリパC2に対応するキャリパ操作有効領域M2が表示されることができる。
【0060】
以上のように、タッチパネル8の表示画面に複数のキャリパが表示されている場合であっても、本発明を適用することができる。
【0061】
なお、操作可能な状態の複数のキャリパ操作有効領域がタッチパネル8の表示画面に表示されている場合に、キャリパ操作制御部10は、キャリパ操作有効領域の色、透明度、線の種類および線の太さ等が、それぞれ、異なるように、複数のキャリパ操作有効領域を表示することができる。この際に、それぞれのキャリパ操作有効領域と対応するキャリパとの色、透明度、線の種類および線の太さ等を合わせて表示してもよい。これにより、複数のキャリパに対応するキャリパ操作有効領域がタッチパネル8の表示画面に表示されていても、それぞれのキャリパおよびキャリパ操作有効領域がユーザに視認されやすくすることができる。
【0062】
また、操作可能な状態の複数のキャリパ操作有効領域がタッチパネル8の表示画面に表示されている場合に、ユーザにより操作されていないキャリパおよび対応するキャリパ操作有効領域の透明度のみを大きくすることができる。これにより、ユーザに操作されているキャリパのみを強調してタッチパネル8の表示画面に表示することができる。
【0063】
また、タッチパネル8の表示画面に複数のキャリパが表示されている場合に、キャリパ操作有効領域に対するユーザのタッチ操作が解除されたときに、キャリパ操作有効領域の表示が瞬時に復帰するか、一定時間が経過した際に復帰するかをそれぞれのキャリパ毎に設定することができる。例えば、2点間の距離を計測するために、タッチパネル8の表示画面に2つのキャリパが表示された場合に、始点となるキャリパに対応するキャリパ操作有効領域に対し、ユーザのタッチ操作が解除された際にキャリパ操作有効領域の表示が瞬時に復帰し、終点となるキャリパに対応するキャリパ操作有効領域に対し、ユーザのタッチ操作が解除されて一定時間が経過した際にキャリパ操作有効領域の表示が復帰するように設定することができる。
【0064】
また、例えば、キャリパ操作有効領域に対するユーザのタッチ操作が解除された際に、キャリパ操作有効領域の表示がタッチ確認表示領域の表示に瞬時に復帰するか、または、一定時間が経過した際に復帰するかをキャリパの用途に応じて設定することもできる。例えば、2点間の距離を計測するためにタッチパネル8の表示画面に始点および終点の2つのキャリパが表示されている場合には、ユーザが始点のキャリパおよび終点のキャリパを交互に細かく操作しながら計測値を微調整することが多い。そのため、ユーザがキャリパの操作を円滑に行うことができるように、それぞれのキャリパに対応するキャリパ操作有効領域の表示が、ユーザによるタッチ操作の解除により瞬時に復帰するように設定されることができる。
【0065】
また、例えば、超音波画像に含まれる組織の面積および周長を計測するために、円形および楕円形等の閉曲線からなる計測線をタッチパネル8の表示画面に表示し、計測線の周上に複数のキャリパを表示し、これらの複数のキャリパの位置を移動することにより計測線の大きさおよび形状を変化させることがある。この場合には、ユーザが超音波画像中の組織の形状と、それぞれのキャリパの位置と、計測線の内側の面積および計測線の周長等の計測値とを比較しながらキャリパを操作することが多い。そのため、ユーザが超音波画像中の組織とキャリパとの位置関係等を視認しやすいように、それぞれのキャリパに対応するキャリパ操作有効領域の表示が、ユーザによるタッチ操作の解除から一定時間が経過した際に復帰するように設定されることができる。
なお、以上のような、キャリパ毎のキャリパ操作有効領域の表示方法は、予め設定されていてもよく、タッチパネル8を介してユーザにより設定されることもできる。
【0066】
上記記載から、以下の付記項1に記載の超音波診断装置を把握することができる。
[付記項1]
取得した超音波画像を表示する表示画面を有し且つユーザにより入力操作を行うためのタッチパネルと、
キャリパを生成し且つ超音波画像に重畳して表示画面にキャリパを表示するキャリパ生成プロセッサと、
表示画面に表示されたキャリパに対応してキャリパを囲み且つ表示画面内においてキャリパを移動操作するためのキャリパ操作有効領域を表示画面に表示するキャリパ操作制御プロセッサと、
ユーザがタッチパネル上において表示画面に表示されたキャリパ操作有効領域にタッチすると、キャリパ操作制御プロセッサを制御してキャリパ操作有効領域の表示を中断し、ユーザがキャリパ操作有効領域にタッチしたままタッチパネル上においてタッチ位置を移動させると、キャリパ生成プロセッサを制御して表示画面に表示されているキャリパの位置をタッチ位置の移動に追従させて移動し、ユーザがタッチパネル上におけるタッチ操作を解除すると、キャリパ操作制御プロセッサを制御して移動したキャリパの位置に対応してキャリパを囲むキャリパ操作有効領域の表示を復帰させる装置制御プロセッサと
を備えた超音波診断装置。