(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、多数の電極を有する被接続部材同士を接続するための接着テープが用いられている。このような接着テープとして、例えば、異方導電テープ、導電テープがある。異方導電テープは、例えば、プリント配線基板、LCD(液晶ディスプレイ)用ガラス基板、フレキシブルプリント基板等の基板にIC、LSIといった半導体素子等を接続した場合、相対する接続部材の電極同士を導通状態とさせ、隣接する電極同士の絶縁状態を保持させることができる。また導電テープは、例えば、太陽電池セルにはんだ付き銅線を接続する際、相対する電極同士を導通させることができる。
【0003】
異方導電フィルムは、熱硬化性樹脂を含有する接着剤成分と、必要により配合される導電性粒子とを含み、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等の支持体(セパレータ)上に、フィルム状に形成され、テープ状にスリットされてから芯材に同一円心状に巻き付けてリール形状の細幅長尺テープ(巻重体)として製品化されていることが多い(例えば、特許文献1参照)。従来、異方導電フィルムとしては、高接着性でかつ高信頼性を示すエポキシ樹脂を用いた熱硬化性樹脂が用いられてきた(例えば、特許文献2参照)。また、アクリレート誘導体やメタアクリレート誘導体とラジカル重合開始剤である過酸化物を併用した、ラジカル硬化型接着剤が注目されている。ラジカル硬化は、反応活性種であるラジカルが反応性に富むため、短時間硬化が可能である(例えば、特許文献3参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、液晶ディスプレイに代表されるフラットパネルディスプレイの高精細化に伴い、低温接続可能な異方導電フィルムが要求されている。特に、液晶駆動用ICドライバをフラットパネルディスプレイに直接実装するCOG(Chip on Glass)実装では、被熱膨張係数の差に起因する圧着後の被着体の収縮量が大きく異なるため、反りが発生するとともに、表示品質の低下が問題となる。
【0006】
従来の異方導電フィルムとしては、潜在性硬化剤とエポキシ樹脂を用いた熱硬化、アクリレート誘導体やメタアクリレート誘導体とラジカル重合開始剤である過酸化物を併用した熱硬化が行われているが、更なる低温接続を達成するために、紫外線照射によって活性化する潜在性硬化剤及びモノマを含有した異方導電フィルムは、加熱圧着時に比較的低温での接続が可能となっており、検討が進められている。
【0007】
ところで、紫外線照射によって活性化する潜在性硬化剤を含有した異方導電フィルムは、蛍光灯から発せられる微量な紫外線によってもモノマの重合開始成分が発生し、可視光下での保存安定性が悪化するため、紫外線を遮断した環境において取り扱う必要がある問題が生じる。
【0008】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、異方導電フィルム用リールが紫外線を吸収することで、紫外線を遮光した環境以外においても、リールの巻芯に巻きつけられた異方導電フィルムの保存安定性が向上する異方導電フィルム用リール及び異方導電フィルム巻を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題の解決のため、本発明に係る異方導電フィルム用リールは、巻芯と、前記巻芯の両側に互いに対向するように設けられた一対の側板と、を備え、前記一対の側板が、紫外線吸収剤を含有する。この異方導電フィルム用リールを用いることにより、紫外線照射によって活性化する潜在性硬化剤及びモノマを含有する異方導電フィルムを使用する場合にも、紫外線に対する保存安定性を向上することができる。
【0010】
紫外線吸収剤は、トリアジン骨格、ベンゾトリアゾール骨格、或いはベンゾフェノン骨格を有する化合物を用いることができる。これにより、紫外線の遮光とリールの退色を両立することができる。
【0011】
また、本発明は、異方導電フィルム用リールの巻芯に巻きつけられた異方導電フィルムを備える異方導電フィルム巻であって、前記異方導電フィルムは、テープ状の基材及びその一方面上に設けられた接着剤層を有し、少なくとも紫外線照射によって活性化する潜在性硬化剤及びモノマを含有する異方導電フィルム巻を提供する。これによって、紫外線に対する保存安定性が良好な、紫外線照射によって活性化する潜在性硬化剤及びモノマを含有する異方導電フィルム巻を得ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、紫外線を遮光した環境以外においても、リールの巻芯に巻きつけられた異方導電フィルムの保存安定性が向上する異方導電フィルム用リール及び異方導電フィルム巻を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る異方導電フィルム用リールの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
【0015】
図1は、本発明に係る異方導電フィルム用リールの一実施形態を示す斜視図である。また、
図2は、本発明に係る異方導電フィルム用リールの側板の内側面を示す正面図である。
【0016】
図1,2に示すように、本実施形態における異方導電フィルム用リール1は、異方導電フィルム5が巻き付けられる筒状の巻芯2と、巻芯2の両端部において巻芯2を挟むように互いに対向して設けられた一対の側板3,3とを備えている。異方導電フィルム用リール1は、一対の側板3,3の協同によって、異方導電フィルム5の巻き崩れを防止するものであり、異方導電フィルム5を製造・供給・保存する際に用いられる。本実施形態における異方導電フィルム巻10は、異方導電フィルム用リール1と、異方導電フィルム用リール1の巻芯2に巻き付けられた異方導電フィルム5と、を備えている。
【0017】
巻芯2は、異方導電フィルム5を巻き付ける部分であり、巻芯2の軸方向の長さは、異方導電フィルム5の幅よりもわずかに長くなるように、異方導電フィルム5の幅に応じて適宜設定されている。また、巻芯2の中央部には、巻付装置又は繰出装置(不図示)の回転軸が挿入される軸穴4が設けられている。軸穴4は、例えば、断面円形状をなしており、巻付装置又は繰出装置の回転軸を軸穴4に差し込んだ状態で回転軸を駆動した場合に、空回りすることなく異方導電フィルム用リール1が回転するようになっている。巻芯2は、例えば、プラスチックからなり、異方導電フィルム5の幅と同様の厚さの円筒状をなしている。
【0018】
図3は、
図1におけるIII−III線に沿った断面図である。
図1〜3に示すように、側板3は、例えば、プラスチックからなり、円板状をなしている。巻芯2を介して隔てられた側板3,3間の距離W1は、異方導電フィルム5の幅よりもわずかに広くなるように、異方導電フィルム5の幅に応じて適宜設定されている。なお、側板3,3間の距離W1は、側板3の周縁側3b側ほど広がる傾向にあるので、ここでいう側板3,3間の距離W1は、巻芯付近での測定値で定義している。通常、側板3,3間の距離W1は、異方導電フィルム5の幅に対して105%〜120%、より好ましくは107〜115%の幅で設定される。
【0019】
側板3の厚さW2は、0.5mm〜5.0mm、好ましくは0.9mm〜3.0mm、より好ましくは1.0mm〜2.0mm程度となっている。また、側板3の径は、異方導電フィルム5が巻芯2に巻き付けられた際に側板3,3の周縁側3bから出ないように、巻き付ける異方導電フィルム5の長さや異方導電フィルム5が巻芯2に巻き付けられた巻重体の直径に応じて適宜設定される。本実施形態では、一対の側板3,3は、厚さW2及び径がそれぞれ同等となっている。また、一対の側板3,3の中央部分には、
図1に示すように、それぞれ同径の断面円形の開口部30,30が設けられている。また、巻芯2は、側板3の内側面3aにおいて、側板3,3の開口部30,30を囲むように固定されている。
【0020】
このような異方導電フィルム用リール1は、射出成形等によって巻芯2及び一対の側板3,3を一体的に成形してもよく、巻芯2及び一対の側板3,3を別々に成形し、これらを嵌合・接着することによって形成してもよい。巻芯2と側板3とを別体とした場合、巻き付ける異方導電フィルム5の長さに適した直径の側板3を適宜採用したり、異方導電フィルム5の幅に適した長さの巻芯2を適宜採用したりすることができるという利点がある。
【0021】
巻芯2に巻き付けられる異方導電フィルム5は、例えば、フィルム状の基材6及びその一方面上に設けられた接着剤層8を有する異方導電フィルム5が細幅に切断されたものである。異方導電フィルム5は、例えば、相対する電極同士の導通状態を保ち、かつ隣接する電極同士の絶縁を保つように、電気的接続と機械的固着とを行う接続材料として使用される。異方導電フィルム5の長さは、通常は50m〜1000m程度であり、200m〜1000mが好ましく、300m〜700mがより好ましい。異方導電フィルム5の幅は、0.5mm〜10mm、好ましくは0.5mm〜3.0mm、より好ましくは0.5mm〜2.0mm程度となっている。異方導電フィルム5の厚さは、5μm〜100μm、好ましくは10μm〜50μm、より好ましくは10μm〜30μm程度となっている。なお、本実施形態では、基材6の厚さは、異方導電フィルム5の厚さと同程度となっている。また、本実施形態では、異方導電フィルム5の長さが300m以上となっている。
【0022】
異方導電フィルム5は、巻芯2に巻き取る最初の部分(巻き始めの部分)が巻芯2に固定されている。この固定方法としては、周知の方法を使用できるが、例えば、粘着テープ、粘着剤により固定することができる。また、巻芯2に留め具や切り込み部を設けて固定することもできる。この中でも作業性の観点から粘着テープ又は粘着剤を使用して固定することが好ましい。
【0023】
基材6は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、合成ゴム系、液晶ポリマー等からなる各種プラスチックテープ、又は、銅、アルミニウム等の金属箔を使用することが可能である。もっとも、基材6を構成する材質はこれらに限定されるものではない。また、基材6として、接着剤層8との当接面等に離型処理が施されたものを使用してもよい。基材6の一方面上に設けられた接着剤層8上に、更に接着剤層8を保護するためのカバーフィルムが積層されたものを使用しても構わない。
【0024】
接着剤層8は、少なくとも紫外線照射によって活性化する潜在性硬化剤及びモノマを含有し、必要により含有される導電粒子とを含んでなる接着剤組成物からなることが好ましい。接続後の耐熱性や耐湿性に優れていることから、架橋性材料の使用が好ましい。エポキシ樹脂を主成分として含有するエポキシ系接着剤は、接続作業性が良く、分子構造上接着性に優れている等の特徴から好ましい。また、アクリレートモノマを主成分として含有するアクリル系接着剤は、速硬化性が高く、短時間硬化性に優れる。
【0025】
紫外線照射によって活性化する潜在性硬化剤は、紫外線照射によって酸、又はラジカルが発生するものが用いられ、接着剤層8に含有するモノマの種類によって適宜選ばれ、例えば、エポキシ樹脂系接着剤では酸を、アクリル系接着剤ではラジカルが発生する硬化剤が好適に用いられる。
【0026】
導電粒子としては、例えば、Au、Ag、Pt、Ni、Cu、W、Sb、Sn、はんだ等の金属やカーボンの粒子が挙げられる。また、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック等を核とし、この核を上記の金属やカーボンで被覆した被覆粒子を使用してもよい。導電粒子の平均粒径は、分散性、導電性の観点から1μm〜30μmであることが好ましい。なお、導電粒子を絶縁層で被覆してなる絶縁被覆粒子を使用してもよく、隣接する電極同士の絶縁性を向上させる観点から導電粒子と絶縁性粒子とを併用してもよい。
【0027】
導電粒子の配合割合は、接着剤層に含まれる接着剤成分100体積部に対して、0.1〜30体積部であることが好ましく、0.1〜10体積部であることがより好ましい。この配合割合が0.1体積部以上であると対向する電極間の接続抵抗を低減することができ、30体積部以下であると隣接する電極間の絶縁性が充分である。
【0028】
続いて、上述した巻芯2及び側板3の材質について説明する。
【0029】
上述した巻芯2及び、側板3の材質としては、プラスチック樹脂組成物からなることが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、環状ポリオレフィン、ポリアセタール等の汎用プラスチックやエンジニアリングプラスチックなどから適宜選択することができるがこれらに限ったものではない。これら材質は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
室温での形状維持及び、成形性の観点から、ポリエステル、ポリエステルテレフタレート、ポリプロピレン、アクリル樹脂等が好適に用いられる。
【0030】
続いて、側板3に含有される紫外線吸収剤について説明する。
【0031】
紫外線吸収剤は、紫外線を吸収する能力を有する化合物である。紫外線吸収剤は、主に光エネルギーを熱エネルギーに変換する機能を有すると言われる化合物である。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、ベンゾエート類、サリシレート類、シアノアクリレート類、蓚酸アニリド類、マロン酸エステル類、ホルムアミジン類、アクリロニトリル類等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ベンゾトリアゾール類、又は波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値ε
maxが1200dm
3・mol
-1cm
-1以下である紫外線吸収剤が好ましい。
【0032】
ベンゾトリアゾール類としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(株式会社ADEKA製;商品名:アデカスタブLA−29(「アデカスタブ」は、登録商標。))、2,2´−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](株式会社ADEKA製;商品名:アデカスタブLA−31)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−パラクレゾール(株式会社ADEKA製;商品名:アデカスタブLA−32)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(BASF社製;商品名:TINUVIN234(「TINUVIN」は、登録商標。))、2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ターシャリーブチル−4−メチルフェノール(株式会社ADEKA製;商品名:アデカスタブLA−36)等が挙げられるがこれらに限ったものではない。
【0033】
トリアジン類としては、2−[4,6−ジ(2,4−キシリル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−オクチルオキシフェノール(BASF社製;商品名:TINUVIN411L)、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン/2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(BASF社製;商品名:TINUVIN400)、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノール(BASF社製;商品名:TINUVIN1577)、[2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(2−(2−エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ)フェノール(株式会社ADEKA製;商品名:アデカスタブLA−46)、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(株式会社ADEKA製;商品名:アデカスタブLA−F70)等が挙げられるがこれらに限ったものではない。
【0034】
ベンゾフェノン類としては、[2−ヒドロキシ−4−(オクチルオキシ)フェニル](フェニル)メタノン(株式会社ADEKA製;商品名:アデカスタブ1413)、[2−ヒドロキシ−4−(メトキシ)フェニル](フェニル)メタノン(ケミプロ化成株式会社製;商品名:KEMISORB11(「KEMISORB」は、登録商標。))、(2,4−ジヒドロキシフェニル)(フェニル)メタノン(ケミプロ化成株式会社製;商品名:KEMISORB10)等が挙げられるがこれに限ったものではない。
これら紫外線吸収剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
紫外線吸収剤の配合量は、巻芯2及び側板3の材質として用いられるプラスチック樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.5〜3質量部である。紫外線吸収剤を含有させる方法としては、紫外線吸収剤を予めプラスチック樹脂組成物に配合してペレット化しておき、これを溶融押出等によって成形する方法、溶融押出成形時に直接、紫外線吸収剤を添加する方法、成形後の異方導電フィルム用リールに紫外線吸収剤を塗布する方法などが挙げられ、いずれの方法も使用できる。
なお、紫外線吸収剤は側板だけに含有されていてもよいし、巻芯及び側板に含有されていてもよい。
【0036】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではない。
【0037】
また、異方導電フィルム用リール1は、
図2に示したように一対の側板3,3が巻芯2を挟むように互いに対向して設けられたものに限られない。例えば、巻芯2が一対の側板3,3の外側へ突出するように設けられていても構わない。また更に、一対の側板3,3は、厚さW2及び径がそれぞれ同等でなくても構わない。
【0038】
また、上述した異方導電フィルム用リール1においては、接着剤層8が接着剤成分と、必要により含有される導電粒子を含んでいた異方導電フィルム5を巻き付けていたが、異方導電フィルム5の構成はこれに限られない。接着剤層8が接着剤成分からなり導電粒子を含まなくても構わない。また、接着剤層8に、導電粒子を異方導電テープよりも多く配合させ、異方性を有さない導電テープとしてもよい。上記以外の巻芯2に捲き付けられるテープとしては、ダイボンドフィルム、銀フィルム、半導体ウエハ加工用の接着フィルム等各種の電子材料用の接着フィルムを適用することができる。
【実施例】
【0039】
以下、本発明の好適な実施例について更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0040】
[参考例1]
硬化性成分として、脂環式エポキシ樹脂であるCEL2021P(株式会社ダイセル製、商品名):25質量部及びビスフェノールA型エポキシ樹脂であるYL980(三菱化学株式会社製、商品名):25質量部と、光カチオン重合開始剤であるイルガキュア250(BASF社製、商品名(「イルガキュア」は、登録商標)):3質量部とを用いた。バインダとして、フェノキシ樹脂YP−70(新日鉄住金化学株式会社製、商品名):50質量部を用いた。また、ポリスチレンを核とする粒子の表面に厚さ0.2μmのニッケル層を設け、このニッケル層の外側に厚さ0.02μmの金属層を設けることにより、平均粒径3μm、比重2.5の導電粒子を作製し、40質量部を用いた。各成分を配合し、厚さ40μmのPETフィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃、5分の熱風乾燥によって厚さが20μmの異方導電フィルムAを得た。
【0041】
[参考例2]
硬化性成分として、ラジカル重合性化合物であるUA5500(根上工業株式会社製、商品名):25質量部及びM313(新中村化学工業株式会社製、商品名):25質量部と、光ラジカル重合開始剤であるイルガキュアOXE02(BASF社製、商品名):3質量部とを用いた。バインダとして、フェノキシ樹脂YP−70(新日鉄住金化学株式会社製、商品名):50質量部を用いた。また、ポリスチレンを核とする粒子の表面に厚さ0.2μmのニッケル層を設け、このニッケル層の外側に厚さ0.02μmの金属層を設けることにより、平均粒径3μm、比重2.5の導電粒子を作製し、40質量部を用いた。各成分を配合し、厚さ40μmのPETフィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃、5分の熱風乾燥によって厚さが20μmの異方導電フィルムBを得た。
【0042】
[実施例1〜6及び比較例1,2]
表1に示す紫外線吸収剤を、リールを構成する樹脂100質量部に対して3質量部配合した条件で異方導電フィルム用リール及び異方導電フィルム巻を作製した後、異方導電フィルム巻を蛍光灯下にて24時間横置きした場合における、異方導電フィルムの保存安定性を評価した。保存安定性は、異方導電フィルムの赤外吸収スペクトルを測定し、エポキシの転化率を測定することにより評価した。なお、異方導電フィルムとしては、上記で作製した異方導電フィルムA及び異方導電フィルムBを用いた。評価結果を表1に示す。
【0043】
表1に示すように、紫外線吸収剤を配合しない比較例1及び2に示す異方導電フィルム用リールに巻きつけられた異方導電フィルム巻は、24時間後にモノマがそれぞれ30%及び32%エポキシ転化したが、紫外線吸収剤を配合した実施例1〜6に示す異方導電フィルム用リールに巻きつけられた異方導電フィルム巻は、24時間後もエポキシ転化率が5%以下であり良好な保存安定性を示した。
【0044】
【表1】