特許第6792530号(P6792530)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792530
(24)【登録日】2020年11月10日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】通信システム及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/44 20060101AFI20201116BHJP
【FI】
   H04L12/44 200
   H04L12/44 B
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-163707(P2017-163707)
(22)【出願日】2017年8月28日
(65)【公開番号】特開2019-41335(P2019-41335A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2019年7月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】899000079
【氏名又は名称】学校法人慶應義塾
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉野 學
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 謙一
(72)【発明者】
【氏名】村山 大輔
(72)【発明者】
【氏名】久保 亮吾
【審査官】 宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/178375(WO,A1)
【文献】 特開2014−241478(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0080208(US,A1)
【文献】 特開2010−068067(JP,A)
【文献】 特開2003−078561(JP,A)
【文献】 特開2003−087282(JP,A)
【文献】 吉原 修 Osamu YOSHIHARA,GE−PONに適した動的帯域割当アルゴリズム Dynamic Bandwidth Allocation Algorithm for GE-PON,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.102 No.20 IEICE Technical Report,日本,社団法人電子情報通信学会 The Institute of Electronics,Information and Communication Engineers,2002年 4月12日,第102巻,1-4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L12/28,12/44−12/46
H04B10/00−10/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加入者線終端装置と、前記加入者線終端装置からのトラフィックに帯域を割当する加入者線端局装置とを備える通信システムであって、
前記加入者線端局装置は、
前記加入者線終端装置のトラフィックの許容遅延のクラス毎の帯域から前記帯域を割当し、クラス毎の帯域を融通する、
通信システム。
【請求項2】
前記加入者線端局装置は、定められた許容遅延に応じた間隔よりも短い間隔で割当される帯域を、短い間隔ではいくつかのトラフィックに集中して割当し、当該定められた許容遅延に応じた間隔では短い間隔での割当の積算が妥当となるように割当する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記加入者線端局装置は、定められた許容遅延に応じた間隔よりも短い間隔で割当される帯域を、前記許容遅延に応じて、当をスキップする、請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記加入者線端局装置は、前記許容遅延により定まる送信時刻までの残り時間に応じて前記帯域を割当する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
加入者線終端装置と、前記加入者線終端装置からのトラフィックに帯域を割当する加入者線端局装置とを備える通信システムが実行する通信方法であって、
前記加入者線端局装置は、
前記加入者線終端装置のトラフィックの許容遅延のクラス毎の帯域から前記帯域を割当し、クラス毎の帯域を融通る、
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
受動光ネットワーク(PON: Passive Optical Network)等の通信システムでは、OLT(Optical Line Terminal:加入者線端局装置)とONU(Optical Network Unit:加入者線終端装置)とが、光分配網(ODN: Optical Distribution Network)を介して、ポイントツーポイント又はポイントツーマルチポイントで通信する。以下、ONUからOLTに向かう方向を「上り」という。以下、OLTからONUに向かう方向を「下り」という。
【0003】
PONでは、OLTは下り光信号に識別子を付与する。識別子は、例えば、ONU−ID、Alloc−ID(Allocation Identifier)、LLID(Logical Link ID)である。ONUは、取得対象の識別子が付与された下り光信号を、ODNを介してOLTから取得する。ONUは、取得対象以外の識別子が付与されている下り光信号を、必要に応じて破棄する。ONUは、ODNを介して、上り光信号をOLTに送信する。
【0004】
時分割多重(TDM: Time division multiplexing)を用いるPONのOLTは、複数のONUから送信された上り光信号がほぼ同時にOLTに到着した場合には、上り光信号を正しく復号することができない。OLTは、複数のONUから送信された上り光信号がほぼ同時にはOLTに到着しないように、上り光信号をONUが送信するタイミングを動的帯域割当(DBA: Dynamic Bandwidth Assignment)の手順に従ってスケジューリングする。
【0005】
PON等の通信システムは、ONUがOLTに送信許可を申告するための信号であるREPORT信号等の申告と、OLTがONUに上り光信号の送信許可を与えるための信号であるGATE信号等の送信許可とを用いる。ONUが上りデータを無線端末から取得した後に、ONUが送信許可をOLTから取得した場合、ONU及びOLTの間の上り光信号の伝送には、1往復分以上の伝送遅延が発生し得る。
【0006】
更に、OLTが上り光信号の送信許可をONUに与える周期に応じて、伝送遅延が発生し得る。例えば、上り光信号の送信許可をOLTがONUに一定周期で与える場合、ONUは、送信許可の申告後に上りデータがONUに到着した際には、次の周期の送信タイミングでONUが上り光信号をOLTに送信する。このため、上り光信号の伝送には、送信許可の送信周期の1周期分の伝送遅延が発生し得る。また、例えば、OLTが上り光信号の送信許可をONUに可変周期で与える場合、上り光信号の伝送には、可変周期の最大時間の伝送遅延が発生し得る。
【0007】
OLTは、送信許可の送信周期を短くすれば、伝送遅延の最大時間を許容遅延以下に短縮することができる。しかしながら、送信許可の送信周期が短くなるほど、帯域の利用効率は低下する。例えば、送信許可の送信周期が短くなるほど、ONU又は識別子毎のバーストギャップ、バーストオーバーヘッド、フレームオーバーヘッドが上り伝送時間に占める比率が増大し、帯域の利用効率は低下する。また、送信許可の送信周期が短くなるほど、上りデータが上り伝送時間に占める比率は減少し、帯域の利用効率は低下する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「技術基礎講座 GE−PON技術 第3回 DBA機能」,NTT技術ジャーナル,17(10),pp.67―70,2005年10月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の通信システムでは、上り光信号の送信許可をOLTがONUに与える最大の周期(送信許可の最大の送信周期)は、上り光信号に定められた伝送遅延の全クラスで同一である。このため、伝送遅延の全クラスで伝送遅延が許容遅延以下となるように、OLTは、伝送遅延の各クラスの最小の許容遅延を満たすことができる短周期で、上り光信号の送信許可をONUに与えている。このため、許容遅延が最小でないクラスでも遅延が必要以上に短くなるので、従来の通信システムでは、上りの帯域の利用効率が低下してしまう。このように、従来の通信システムは、伝送遅延を許容遅延以下とした場合には、帯域の利用効率を向上させることができない、という問題があった。
【0010】
上記事情に鑑み、本発明は、伝送遅延を許容遅延以下とした上で、帯域の利用効率を向上させることが可能である通信システム及び通信方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、加入者線終端装置と、前記加入者線終端装置からの上り光信号に送信許可により帯域を割当する加入者線端局装置とを備える通信システムであって、前記加入者線端局装置は、前記加入者線終端装置のトラフィックの許容遅延に応じて前記帯域を割当し、前記許容遅延の異なるトラフィック間で前記帯域を融通する割当部と、融通された前記帯域に応じて前記上り光信号の送信許可をトラフィック毎に前記加入者線終端装置に与える通信部とを備える通信システムである。
【0012】
本発明の一態様は、上記の通信システムであって、前記割当部は、許容遅延が異なる上り光信号の送信を割当する時間領域を確保した上で、上り光信号の送信を、上り光信号に定められた許容遅延毎に割当する。
【0013】
本発明の一態様は、上記の通信システムであって、前記割当部は、定められた許容遅延に応じた間隔よりも短い間隔で割当される上り光信号を、短い間隔ではいくつかの上り光信号に集中して割当し、当該定められた許容遅延に応じた間隔では短い間隔での割当の積算が妥当となるように割当する。
【0014】
本発明の一態様は、上記の通信システムであって、前記割当部は、定められた許容遅延に応じた間隔よりも短い間隔で割当される上り光信号を、許容遅延に応じて、送信の割当をスキップして割当する。
【0015】
本発明の一態様は、上記の通信システムであって、前記割当部は、前記許容遅延により定まる送信時刻までの残り時間に応じて前記帯域を割当する。
【0016】
本発明の一態様は、加入者線終端装置と、前記加入者線終端装置からの上り光信号に送信許可により帯域を割当する加入者線端局装置とを備える通信システムが実行する通信方法であって、前記加入者線端局装置は、前記加入者線終端装置のトラフィックの許容遅延に応じて前記帯域を割当し、前記許容遅延の異なるトラフィック間で前記帯域を融通し、融通された前記帯域に応じて前記上り光信号の送信許可をトラフィック毎に前記加入者線終端装置に与える、通信方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、伝送遅延を許容遅延以下とした上で、帯域の利用効率を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態における、通信システムの構成の例を示す図である。
図2】第1実施形態における、割当領域での上り光信号の配置の例を示す図である。
図3】第2実施形態における、割当領域での上り光信号の配置の例を示す図である。
図4】第3実施形態における、割当領域での上り光信号の配置の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、通信システム1の構成の例を示す図である。通信システム1は、受動光ネットワーク等の通信システムである。通信システム1は、ONU2−1〜2−N(Nは1以上の整数)と、ODN3と、OLT4とを備える。通信システム1は、FTTB(Fiber to the building)等における通信装置の一部として、ONU2を備えてもよい。
【0020】
ONU2は、加入者線終端装置である。ONU2は、ユーザデータを含む上りデータを、端末等(不図示)から取得する。ONU2は、上りデータに基づいて上り光信号を生成する。上りデータには、許容遅延が定められている。許容遅延は、ONU2毎に異なっていてもよいし、フロー毎に異なっていてもよいし、クラスに分類されていてもよい。ONU2は、申告をOLT4に送信する。
【0021】
ONU2は、送信許可をOLT4から取得する。ONU2は、送信許可を用いてOLT4から与えられた送信許可に応じて、上り光信号をOLT4に送信する。ONU2は、下り光信号をOLT4から取得する。ONU2は、下り光信号に基づいて下りデータを生成する。ONU2は、下りデータを端末等(不図示)に送信する。
【0022】
ODN3は、光ファイバ30と、光スプリッタ31とを備える。光ファイバ30は、上り光信号をOLT4に伝送する。光ファイバ30は、下り光信号をONU2−1〜ONU2−Nに伝送する。光スプリッタ31は、光ファイバ30を合流する。光スプリッタ31は、上り光信号をOLT4に伝送する。光スプリッタ31は、光ファイバ30を分岐する。光スプリッタ31は、下り光信号をONU2−1〜ONU2−Nに伝送する。
【0023】
OLT4は、加入者線端局装置である。OLT4は、通信部40と、割当部41とを備える。通信部40は、ODN3を介して、申告等である上り光信号を取得する。通信部40は、ユーザデータを含む上り光信号に基づいて、上りデータを生成する。通信部40は、上りデータを外部装置に送信する。通信部40は、ODN3を介して、下り光信号を送信する。例えば、通信部40は、送信許可として、送信許可等である下り光信号を送信する。
【0024】
割当部41は、上り光信号の送信を、上り光信号に定められた許容遅延毎に決定する。すなわち、割当部41は、上り光信号に定められた許容遅延毎に、送信を割当する。割当部41は、上り光信号の送信を、上り光信号に定められた許容遅延のクラス毎に決定してもよい。すなわち、割当部41は、上り光信号に定められた許容遅延のクラス毎に、上り光信号に送信を割当してもよい。送信の割当では、許容遅延が異なる上り光信号の送信を割当する時間領域を確保した上で、上り光信号の送信を、上り光信号に定められた許容遅延毎に割当する。
【0025】
第1実施形態では、割当部41は、送信許可に関して、以下の(1−1)の処理を実行する。
【0026】
(1−1)割当部41は、許容される遅延毎の所定周期でONU2に送信許可を与える。所定周期はクラス毎に設定してもよい。
割当部41は、割当を算出して送信を許可する周期を、上りデータに定められた許容遅延毎に決定する。これによって、割当部41は、上りデータに定められた許容遅延毎に、上りデータに定められた許容遅延を満たすことができる。
【0027】
割当部41は、許容遅延に関する情報を上りデータ等から抽出或いはコントローラ等からの設定を受け取ることによって、許容遅延毎に周期を変更してもよい。送信の割当する周期を割当部41が許容遅延毎に決定する例は、IEEE準拠のPONにおける割当処理や、割当の演算をまとめて実行する処理に適している。
【0028】
割当部41は、上り光信号が互いに衝突しないように、送信の割当を算出して送信を許可する処理の周期毎に、上り光信号の割当領域を割当する。割当部41は、許容遅延が大きい上り光信号の送信を、長周期の時間間隔で配置する。割当部41は、許容遅延が異なる上り光信号の送信を割当する時間領域を確保した上で、上り光信号の送信を、上り光信号に定められた許容遅延毎に割当する。ここでは、許容遅延が小さい上り光信号(以下「短周期クラス信号」と称す)の送信を割当する時間領域(以下「短周期割当用領域」と称す)を確保した上で、許容遅延が大きい上り光信号(以下「長周期クラス信号」と称す)に送信を割当する例で示す。許容遅延を満たせれば逆でもよい。割当部41は、許容遅延が短い短周期クラス信号を、短周期の時間間隔でリソースに確保された短周期割当用領域に割当する。
【0029】
各周期に確保する時間領域同士の時間間隔は、許容遅延を満たすことが可能な時間間隔に定める。許容遅延を満たすことが可能な時間間隔とは、例えば、申告による申告待ちから、割当演算、送信許可、送信時間待ち、送信許可の送信の時刻までの時間が、例えば、許容遅延の2分の1や3分の1の時間となる時間間隔である。
【0030】
許容遅延のクラス毎の時間領域は、例えば、当該クラスの全トラフィックの最大帯域に相当する時間幅である。当該クラスの全トラフィックの最大の時間幅は、例えば、最大帯域に相当する時間幅の総和、最大帯域に相当する時間幅の総和にFEC(Forward Error Correction)とオーバヘッドの減少分とを加えた時間幅、当該クラスのアクティブ・トラフィックの最大帯域に相当する時間幅、当該クラスの全トラフィック又はアクティブ・トラフィックの割当帯域の履歴の比率と他のクラスの全トラフィック又はアクティブ・トラフィックの割当帯域の履歴の比率とが公平となる時間である。
【0031】
公平となるとは、例えば、処理を実行する周期同士の間で優先関係がない場合、クラス毎の全トラフィック又はアクティブ・トラフィックの保証帯域の総和の比率と、割当又は使用の履歴の一定期間の平均や指数平均等の統計処理した値の比率とが近いことである。
【0032】
公平となるとは、例えば、処理を実行する周期同士の間で優先関係がない場合、クラスに属する各トラフィックの保証帯域の比率と、割当又は使用の履歴の一定期間の平均や指数平均等の統計処理した値の比率とが近いことでもよい。
【0033】
公平となるとは、例えば、処理を実行する周期同士の間で優先関係がない場合、伝送遅延のクラス毎の全トラフィック又はアクティブ・トラフィックの数の比率と、割当又は使用の履歴の一定期間の平均や指数平均等の統計処理した値の比率とが近いことでもよい。
【0034】
最大の割当領域又は割当の比率の上限は、不要なオーバヘッド等を削減する観点から、例えば、重み値又は周期の値を乗じた最大の時間幅に相当する時間を上限としてもよい。割当部41は、全トラフィック若しくはアクティブ・トラフィックの重み値又は周期の値を乗じた保証帯域の設定値に相当する時間の比で、周期に対応する時間を分割することで、各周期の最大割当を決定してもよい。
【0035】
例えば、短周期と長周期との2種類の周期で、送信許可する例を示す。周期は許容遅延に応じた数であってもよい。割当部41は、短周期の許容遅延を満たすことができる周期毎に、短周期割当用領域をその最大の割当領域の時間幅に応じて確保する。割当部41は、短周期割当用領域以外の時間領域で、長周期クラス信号の送信を許可する。
【0036】
長周期クラス信号が非輻輳であり短周期クラス信号が輻輳である場合、短周期割当用領域は、長周期クラス信号が未使用である時間領域に確保されることが望ましい。それを容易にするために、割当部41は、短周期の送信時間として確保されている各短周期割当用領域に接するように、短周期割当用領域に対して後詰又は前詰で、長周期クラス信号に送信許可するのが望ましい。前詰とは、その周期の時間領域において時刻が早い方向に配置することである。後詰とは、その周期の時間領域において時刻が遅い方向に配置することである。なお、割当部41は、遅延時間の偏りによる揺らぎを平均化するために、周期内に割当時間(帯域)を後詰又は前詰で確保した後に、各送信周期内でONU2の上り光信号の送信の順番をランダムに並び替えてもよい。
【0037】
長周期クラス信号が輻輳であり、短周期クラス信号が非輻輳である場合、時間的に後からでは長周期クラス信号に送信を許可できないので、割当部41は、短周期クラス信号の送信を短周期用領域において可能な限り許可してから、時間的に後の割当の周期で長周期クラス信号の送信時間を増大することが望ましい。
【0038】
すなわち、周期間の公平性の観点から、割当部41は、割当領域の利用の比率と割当領域を利用している識別子の数とに基づいて、確保される割当領域の時間を変更するのが望ましい。
【0039】
例えば、割当部41は、短周期クラス信号のために確保されている短周期割当用領域について、短周期クラス信号が長周期クラス信号に比べて輻輳しているようであれば、短周期割当用領域を増大する。割当部41は、短周期クラス信号のために確保されている短周期割当用領域について、短周期クラス信号が長周期クラス信号に比べて輻輳していないようであれば、短周期割当用領域を縮小すればよい。
【0040】
例えば、OLT4は、割当の欠損を計数するDificitカウンタ(欠損カウンタ)を識別子毎又は周期毎に更に備えてもよい。割当部41は、Dificitカウンタのカウンタ値が所定値を超過又は下回った場合に、各周期の送信時間の領域を増減してもよい。割当部41は、Dificitカウンタのカウンタ値が所定値を下回る又は超過した場合、割当領域を減増してもよい。割当部41は、Dificitカウンタのカウンタ値が所定値を下回る又は超過した場合、割当領域を初期状態に戻してもよい。
【0041】
通信システム1の運用ポリシーによっては、低遅延の伝送を要求される短周期クラス信号は、長周期クラス信号に比べて高い優先度であることも考えられる。すなわち、運用ポリシーによっては、短周期クラス信号は、長周期クラス信号に比べて高い優先度であることも考えられる。この運用ポリシーで運用される場合であって、短周期及び長周期の両者が輻輳である場合、割当部41は、全ての短周期クラス信号を割当した残りの時間領域(帯域)を、長周期クラス信号に割当する。割当部41は、送信されなかった長周期クラス信号を、次の周期で優先的に割当してもよい。
【0042】
運用ポリシーによっては、割当部41は、所定の遅延特性が劣化した場合、低遅延の伝送が要求される短周期クラス信号を廃棄する場合がある。すなわち、運用ポリシーによっては、割当部41は、所定の遅延特性が劣化した場合、短周期クラス信号の割当を増加しない又は少なくとも取止する場合がある。
【0043】
例えば、インタラクションが前提となる電話やストリーム等のトラフィックで、ポリサー等によって吸収可能な遅延変動や遅延量に上限がある場合や、伝送遅延が許容遅延以上となった短周期クラス信号をONU2が廃棄する場合である。
【0044】
これらの場合、割当部41は、要求される遅延変動量や許容遅延を満たせない短周期クラス信号のトラフィック分(データ量)のために短周期割当用領域を増加させなくてもよい。なお、割当部41は、不公平な割当が所定値又は比率を超過した場合、割当領域の数又は時間を増減してもよい。割当部41は、割当領域の数又は時間等の値を、所定時間毎に見直してもよい。割当部41が増減した後の割当領域の設定値は、例えば、全トラフィック又はアクティブ・トラフィックの保証帯域を保証するための設定値でもよい。
【0045】
図2は、割当領域での上り光信号の配置(割当部41による配置動作)の例を示す図である。割当部41は、図2の上段から下段に向かう順に、割当処理及び送信許可処理する。周期10は、長周期クラス信号100の割当周期である。周期11は、短周期クラス信号200の割当周期である。図2では、周期11と周期10との比は、1:3.5である。ここで、短周期クラス信号は周期11の各開始時刻から前詰で、長周期クラス信号は周期11の開始する時刻の直前から後詰で送信許可をするとしている。縮小領域12は、長周期クラス信号100のデータ量が縮小したこと等により短周期クラス信号が利用可能となった時間領域余剰帯域である。拡張領域13は、長周期クラス信号100のデータ量が拡張したこと等により短周期割当用領域を削減して、長周期クラス信号で用いる時間領域である。
【0046】
短周期クラス信号200には、許容遅延の短いクラスが割当されている。すなわち、短周期クラス信号200には、小さな所定の許容遅延が定められている。長周期クラス信号100には、短周期クラス信号よりも大きな許容遅延のクラスが割当される。すなわち、長周期クラス信号100には、短周期クラス信号よりも大きな所定の許容遅延が定められている又は許容遅延が定められていない。短周期割当用領域110は、短周期クラス信号200の割当のために長周期クラス信号に割当せずに確保している時間領域である。
【0047】
図2における上から1段目は、周期10−1中の長周期クラス信号のみを割当した状況である。周期10−1の割当では、割当部41は、各周期10の短周期割当用領域110を避けて、上述の仕方で周期10中に分散して長周期クラス信号100を割当する。割当部41は、長周期クラス信号100−1〜100−4を、周期10−1と重畳する周期11−1〜11−4に含まれる短周期割当用領域110−1〜110−4を避けて割当する。
【0048】
図2における上から2段目は、周期10−1中の長周期クラス信号割当後に周期11−1〜11−3間で割当した状況である。周期10−1の割当では、割当部41は、短周期クラス信号200−1〜200−3を、周期11−1〜11−3中の短周期割当用領域110−1〜110−3に割当する。割当部41は、各周期11において、長周期クラス信号を後詰に短周期クラス信号を前詰で割当している。例えば、割当部41は、周期11−1において、長周期クラス信号100−1に対して前詰(図2では、長周期クラス信号100−1の左側への配置)で、短周期クラス信号200−1を割当している。割当部41は、周期11−1〜11−3中の短周期割当用領域に、短周期クラス信号200−1〜200−3を割当する。
【0049】
図2における上から3段目は、周期10−2中の長周期クラス信号と短周期クラス信号を周期11−6まで割当した状況である。周期10−2の割当では、割当部41は、長周期クラス信号100に対する要求等によって、長周期クラス信号100の割当領域又は割当数を減少させる。例えば、割当部41は、申告や割当や使用の履歴やそれらからの予測値等によって、長周期クラス信号100の割当を減少させる。
【0050】
図2における上から3段目では、周期10−1の割当が終了しているため、長周期クラス信号100−5〜100−8は、周期10−2において時間方向に均等な間隔で、後詰で割当されている。なお、周期11−4の短周期割当用領域110−4は、周期10−1と重畳する時間領域にて確保され、周期10−2と重畳する時間領域では確保されない。割当部41は、周期10−2において、長周期クラス信号で使用しない余剰帯域を短周期割当用領域に追加している。3段目は周期10−2において長周期クラス信号の申告、割当や使用の履歴やそれらからの予測値で、長周期クラス信号の割当が減少している例である。
【0051】
ここで、周期10−2に含まれる周期11−4〜11−7の内、前の周期10−1で短周期クラス信号の割当が終了している周期11−4以外の周期11−5〜11−7にて、均等な間隔で後詰な割当の例を示している。(周期11−4で周期10−2に含まれる部分の長周期クラス信号への割当の幅は狭くなっていないが、残りの長周期クラス信号100−5、100−6、100−7の幅は均等に狭くなり、短周期割当用領域が太くなっている)。しかし、長周期の中で均等に割当せずに、長周期の中で短周期の領域を空けた状態で、前詰又は後詰となるように割当してもよいし、不均等な間隔で割当してもよい。
【0052】
周期10−2の割当にて示したように、均等に余剰帯域を空ける場合は、短周期割当用領域の増加分の割当の揺らぎが少ない効果があり、長周期である周期10の周期内で短い周期11の領域毎に前詰又は後詰にすると短周期クラス信号及び長周期クラス信号の割当領域を変える回数が軽減する効果がある。
【0053】
図2における上から4段目は、周期10−3中の長周期クラス信号と短周期クラス信号を周期11−9まで割当した状況である。周期10−3の割当では上から3段目とは逆に、長周期クラス信号100の割当領域が拡大している。図2では、長周期クラス信号100のデータ量が減少した周期である周期10−2の直後の周期10−3で、長周期クラス信号100のデータ量が増加している。なお、輻輳状態又は非輻輳状態が継続しているのであれば、割当の減少状態又は増加状態は継続してもよい。
【0054】
割当部41は、長周期クラス信号100−9〜100−12を、周期10−3の中の周期11の各始点を基準に前詰又は後詰で割当する。割当部41は、長周期クラス信号を、周期10−3の中で短周期信号用領域から長周期クラス信号用の領域とした拡張領域13−1に割当する。
【0055】
公平性の観点から、割当部41は、公平性が観測できる程度の時間において、Dificitカウンタや割当や使用の履歴の比率が公平な値に近似するように、長周期クラス信号100及び短周期クラス信号200に送信可能な時間(帯域)に割当する。以下において、割当部41は、公平性の観点に基づいて割当処理を同様に実行してもよい。
【0056】
ONU2は、長周期クラス信号100及び短周期クラス信号200のトラフィックに関する申告を、周期毎又は複数周期毎に実行してもよい。ONU2は、申告を、割当処理等を実行する周期よりも短い周期で実行してもよい。各周期に属するトラフィックに関する申告をONU2が周期毎又は複数周期毎に実行する場合、割当部41は、周期毎の申告に要する帯域を軽減することができる。
【0057】
以上のように、第1実施形態の通信システム1は、ONU2−1〜2−Nと、OLT4とを備える。OLT4は、通信部40と、割当部41とを備える。割当部41は、ONU2のトラフィックの許容遅延に応じて帯域を割当する。割当部41は、許容遅延の異なるトラフィック間で帯域を融通する。通信部40は、融通された帯域に応じて、融通された分を追加して、上り光信号の送信許可をトラフィック毎にONU2に与える。割当部41は、許容遅延が異なる上り光信号の送信を割当する時間領域を確保した上で、上り光信号の送信を、上り光信号に定められた許容遅延毎に割当する。これによって、第1実施形態の通信システム1は、伝送遅延を許容遅延以下とした上で、帯域の利用効率を向上させることが可能である。
【0058】
(第2実施形態)
第2実施形態では、短い周期でOLT4が送信許可をONU2に与える点が、第1実施形態と相違する。第2実施形態では、第1実施形態との相違点について説明する。
【0059】
第2実施形態では、割当部41は、割当処理及び送信許可処理に関して、以下の(1−2)の処理を実行する。
【0060】
(1−2)割当部41は、所定周期よりも短い周期でONU2に送信許可を与える。ここで、割当部41は、許容遅延が異なる上り光信号の送信に割当される時間領域を、相互に融通する。割当部41は、定められた許容遅延に応じた間隔よりも短い間隔で割当される上り信号を、短い間隔ではいくつかの上り光信号に集中して割当する。割当部41は、当該定められた許容遅延に応じた間隔では短い間隔での割当の積算が妥当となるように、上り信号を割当する。
【0061】
例えば、割当部41は、短周期クラス信号200の送信周期よりも短い周期で、割当処理又は送信許可処理を実行する。割当部41は、長周期クラス信号を、長周期クラス信号の許容遅延に応じた周期内で公平となるように割当する。即ち、割当部41は、複数の短い周期毎に長周期クラス信号間で公平となるように細分化して割当する代わりに、長周期クラス信号に応じた周期で積算した後に妥当な割当、例えば長周期クラス信号の間で公平となるように、短い周期毎では、少ない数のトラフィックの上り光信号に片寄せして割当する。例えば、短周期クラス信号200の送信周期が1ミリ秒の周期である場合、割当部41は、ITU−T準拠のPONのように125マイクロ秒の周期で、割当処理又は送信許可処理を実行してもよい。割当部41は、処理を実行する周期同士の間の割当帯域の公平性の観点に基づいて、第1実施形態とは異なる方法で割当が公平となるように、割当処理又は送信許可処理毎に割当領域を定めてもよい。なお、割当部41は、処理を実行する周期同士の間の割当帯域の公平性の観点に基づいて、第1実施形態と同様の方法で割当が公平となるように、割当処理又は送信許可処理毎に割当領域を定めてもよい。
【0062】
図3は、割当領域での上り光信号の配置の例を示す図である。割当部41は、図3の上段から下段に向かう順に、割当処理及び送信許可処理を実行する。図3における上から1段目は、周期11−1中の長周期クラス信号と短周期クラス信号を割当した状況である。
【0063】
このように、割当部41は、周期11毎に長周期クラス信号100及び短周期クラス信号200を割当する。図3における、上記(1−2)の処理に関する他の点については、図2における上記(1−1)の処理と同様である。図3における上から2段目は、周期11−3までの長周期クラス信号と短周期クラス信号を割当した状況である。
【0064】
図3における上から3段目は、周期11−6までの長周期クラス信号と短周期クラス信号を割当した状況である。周期11−6までの割当では、割当部41は、周期11−4〜11−6で、申告や割当や使用の履歴やそれらからの予測値等によって、長周期クラス信号100の割当を減少させる。ここで、周期11−4の割当前に減少を予測したため、周期11−4〜11−7にて、均等な間隔で後詰な割当の例を示している。しかし、長周期の中で均等に割当せずに、長周期の中で、前詰又は後詰となるように割当してもよいし、不均等な間隔で割当してもよい。均等に余剰帯域を空ける場合は、短周期の増加分の割当の揺らぎが少ない効果があり、長周期の周期内で前詰又は後詰にすると短周期及び長周期の割当領域を変える回数が軽減する効果があるし、即時に長周期と短周期の間で帯域を割振可能である。
【0065】
図3における上から4段目では上から3段目とは逆に、長周期クラス信号100の割当領域が拡大している。図3では、長周期クラス信号100の割当が減少している周期である周期10−2の直後の周期10−3で、長周期クラス信号100の割当が増加している。なお、輻輳状態又は非輻輳状態が継続しているのであれば、減少状態又は増加状態は継続してもよい。
【0066】
ONU2は、長周期クラス信号100及び短周期クラス信号200のトラフィックに関する申告を、周期毎又は複数周期毎に実行してもよい。ONU2は、申告を、割当処理等を実行する周期よりも短い周期で実行してもよい。申告を短周期クラス信号と共に行えば、短周期と長周期の間での帯域の割振や融通の更新が早くなる効果がある。各周期に属するトラフィックに関する申告をONU2が周期毎又は複数周期毎に実行する場合、割当部41は、周期毎の申告に要する帯域を軽減することができる。
【0067】
以上のように、第2実施形態の通信システム1は、ONU2−1〜2−Nと、OLT4とを備える。OLT4は、通信部40と、割当部41とを備える。割当部41は、長周期クラス信号に対しても、短周期クラス信号の短い周期でONU2に送信許可を与える。すなわち、割当部41は、許容遅延の長いトラフィックに予め定められた周期よりも短い周期で、許容遅延の長いトラフィックに送信許可を与える。割当部41は、定められた許容遅延に応じた間隔よりも短い間隔で割当される上り光信号を、短い間隔ではいくつかの上り光信号に集中して割当する。割当部41は、当該定められた許容遅延に応じた間隔では短い間隔での割当の積算が妥当となるように、上り光信号に帯域を割当する。例えば、割当部41は、長周期クラス信号を短周期クラス信号と同じ周期11毎に送信許可を与える。これによって、第2実施形態の通信システム1は、伝送遅延を許容遅延以下とした上で、帯域の利用効率を向上させることが可能である。
【0068】
(第3実施形態)
第3実施形態では、割当部41が送信許可処理を実行しない周期が存在する点が、第1実施形態及び第2実施形態と相違する。第3実施形態では、第1実施形態及び第2実施形態との相違点について説明する。
【0069】
第3実施形態では、割当部41は、割当処理及び送信許可処理に関して、以下の(2)の処理を実行する。
【0070】
(2)割当部41は、定められた許容遅延に応じた間隔よりも短い間隔で割当される上り光信号を、許容遅延に応じて、送信の割当をスキップして割当する。例えば、割当部41は、短周期の整数倍或いは仮分数と真分数を含む分数倍の時間長の周期で、伝送遅延のクラス毎にONU2の上り光信号に送信許可を与える。なお、割当部41は、許容遅延が異なる上り光信号の送信の割当する時間領域を、相互に融通するのが望ましい。
割当部41は、許容遅延に応じて、割当部41が送信許可処理を実行しない周期を設ける。例えば、割当部41は、許容遅延が短周期(基準時間)の1倍の時間である上り光信号には、毎周期で送信許可処理を実行する。例えば、割当部41は、許容遅延が短周期(基準時間)の2倍の時間である上り光信号には、2回に1回の周期で送信許可処理を実行する。例えば、割当部41は、許容遅延が短周期(基準時間)の10倍の時間である上り光信号には、10回に1回の周期で送信許可処理を実行する。
【0071】
割当部41は、Dificitカウンタのカウンタ値等に応じて、上り光信号に送信許可を与えてもよい。例えば、割当部41は、欠損が多い上り光信号に優先的に送信許可を与えてもよい。割当部41は、周期同士の間で上り光信号の割当が公平となるようにしてもよい。割当部41は、割当部41が処理を実行しない周期同士の間隔に応じた比(周期を飛ばす比)を予め定めることによって、上り光信号の割当が公平となるようにしてもよい。割当部41が処理を実行しない周期同士の間隔に応じた比は、例えば、割当部41が処理を実行しない周期が10回に1回の割合であれば10倍であり、割当部41が処理を実行しない周期が10回に3回の割合であれば(10/3)倍である。割当部41は、割当部41が処理を実行しない周期同士の間隔に応じた比に基づく頻度で、割当処理及び送信許可処理を実行する。
【0072】
割当部41が処理を実行しない周期同士の間隔に応じた比の上限は、不要なオーバヘッド等を削減する観点から、例えば、重み値又は周期の値を乗じた最大の割当領域の設定値に相当する時間を上限としてもよい。割当部41は、全トラフィック若しくはアクティブ・トラフィックの重み値又は周期の値を乗じた保証帯域の設定値に相当する時間の比で、周期に対応する時間を分割することで、割当部41が処理を実行しない周期同士の間隔に応じた比を決定してもよい。
【0073】
割当部41は、割当部41が処理を実行しない周期同士の間隔に応じた比を、割当処理又は送信許可処理を実行する毎に更新してもよい。割当部41は、割当部41が処理を実行しない周期同士の間隔に応じた比を、割当処理又は送信許可処理を複数回実行する毎に、比の平均値等の統計処理の結果に基づいて更新してもよい。
【0074】
なお、割当部41は、長周期クラス信号100に割当する対象がない場合、短周期クラス信号200の割当処理及び送信許可処理を前倒しで実行してもよい。また、割当部41は、長周期クラス信号100を送信するONU2がない場合、短周期クラス信号200の割当処理及び送信許可処理を前倒しして実行してもよい。
【0075】
割当部41は、短周期クラス信号200の割当処理及び送信許可処理を前倒しして実行することによって処理の実行周期が短くなる場合には、前倒し量に応じて、割当部41が処理を実行しない周期同士の間隔に応じた比が公平となるようにする。例えば、割当部41は、10回に1回の周期で実行していた送信許可処理を9回に1回の周期で実行する場合には、処理を実行しない周期同士の間隔に応じた比が公平となるように、割当部41が処理を実行しない周期同士の間隔に応じた比(10倍)を9倍に修正する。
【0076】
図4は、割当領域での上り光信号の配置の例を示す図である。割当部41は、図4の上段から下段に向かう順に、割当処理及び送信許可処理を実行する。周期14は、1倍周期クラス信号300に対応する周期である。したがって、周期14は、1倍周期クラス信号300の割当処理及び送信許可処理の周期である。周期15は、2倍周期クラス信号400に対応する周期である。したがって、周期15は、2倍周期クラス信号400の割当処理及び送信許可処理の周期である。周期16は、3倍周期クラス信号500に対応する周期である。したがって、周期16は、3倍周期クラス信号500の割当処理及び送信許可処理の周期である。図4では、周期14と周期15と周期16との時間長との比は、1:2:3である。
【0077】
図4における上から1段目は、周期14−1までの1倍周期クラス信号と2倍周期クラス信号と3倍周期クラス信号を割当した状況である。周期11−4の割当では、割当部41は、1倍周期クラス信号300−1と2倍周期クラス信号400−1と3倍周期クラス信号500とを、周期14−1に割当する。このように、割当部41は、1倍周期クラス信号300−1と2倍周期クラス信号400−1と3倍周期クラス信号500とのうち少なくとも一つを1倍周期割当領域の周期14に割当してから、次の1倍周期クラス信号300−1と2倍周期クラス信号400−1と3倍周期クラス信号500とのうち少なくとも一つを次の1倍周期割当領域の周期14に割当する。
【0078】
なお、図4では、上記(2)の処理に関する他の点については、図2における上記(1−2)の処理と同様である。図4では、上記(2)の処理に関する他の点については、図3における上記(1−1)の処理と同様でもよい。
【0079】
図4における上から2段目は、周期14−4までの1倍周期クラス信号と2倍周期クラスと3倍周期クラス信号を割当した状況である。周期14−4までの割当では、割当部41は、2倍周期割当領域15−1の1倍周期クラス信号300−2を、周期14−2に割当する。割当部41は、2倍周期クラス信号400の割当処理と3倍周期クラス信号500の割当処理とに関しては、周期14−2では飛ばす。例えば、割当部41は、周期14−3では、1倍周期クラス信号300−3と、2倍周期クラス信号400−2を、割当する。周期14−4では、1倍周期クラス信号300−4と、3倍周期クラス信号500−2とを、割当する。
【0080】
割当部41は、上り光信号に関する要求が低遅延に関する要求のみで遅延変動に関する要求がない場合に、上り光信号が輻輳していない場合には、周期14−22〜周期14−4において、2倍周期クラス信号400及び3倍周期クラス信号500のうち少なくとも一方の割当処理を実行してもよい。
【0081】
割当部41は、上り光信号に関する要求が低遅延に関する要求のみで遅延変動に関する要求がない場合に、2倍周期クラス信号400及び3倍周期クラス信号500の割当が公平でない場合には、周期14−2〜14−4において、2倍周期クラス信号400及び3倍周期クラス信号500のうち少なくとも一方の割当処理を実行してもよい。
【0082】
割当部41は、オーバヘッド等を減らして帯域の効率を向上させる観点から、同一送り元の1倍周期クラス信号300を隣接する周期間において互いに接するように割当してもよい。割当部41は、オーバヘッド等を減らして効率を向上する観点から、同一送り元の2倍周期クラス信号400を隣接する周期間において互いに接するように割当してもよい。割当部41は、オーバヘッド等を減らして効率を向上する観点から、同一送り元の3倍周期クラス信号500を隣接する周期間において互いに接するように割当してもよい。
【0083】
以上のように、第3実施形態の通信システム1は、ONU2−1〜2−Nと、OLT4とを備える。OLT4は、通信部40と、割当部41とを備える。割当部41は、短周期の整数倍又は分数倍の時間長の周期で、伝送遅延のクラス毎にONU2の上り光信号に送信許可を与える。割当部41は、上り光信号に定められた伝送遅延のクラスに割当された許容遅延に応じて、割当部41が送信許可処理を実行しない周期を設けてもよい。すなわち、割当部41は、送信許可をONU2に与えない周期を設ける。割当部41は、定められた許容遅延に応じた間隔よりも短い間隔で割当される上り光信号を、許容遅延に応じて、送信の割当をスキップして割当する。例えば、割当部41は、許容遅延が短周期(基準時間)の1倍の時間である上り光信号には、毎周期で送信許可処理を実行する。これによって、第3実施形態の通信システム1は、伝送遅延を許容遅延以下とした上で、帯域の利用効率を向上させることが可能である。
【0084】
(第4実施形態)
第4実施形態では、許容遅延により定まる周期の先頭時刻(送信時刻)までの残り時間(以下「許容遅延に応じた残時間」という。)に基づいて割当部41が割当処理を実行する点が、第1実施形態と相違する。第4実施形態では、第1実施形態から第3実施形態までとの相違点について説明する。
【0085】
第4実施形態では、割当部41は、割当処理及び送信許可処理に関して、以下の(3)の処理を実行する。
【0086】
(3)割当部41は、上り光信号に定められた許容遅延に応じた残時間に基づくタイミングで、ONU2の上り光信号に送信許可を与える。
割当部41は、時間をカウントダウンすることによって、上り光信号に定められた許容遅延に応じた残時間を上り光信号毎に定める。割当部41は、時間をカウントダウンすることによって、ONU2に定められた許容遅延に応じた残時間をONU2毎に定めてもよい。
【0087】
割当部41は、時間をカウントダウンした結果、許容遅延に応じた残時間により定まる時刻になったと割当部41が判定した場合、割当処理及び送信許可処理を実行する。例えば、割当部41は、許容遅延に応じた残時間が零値となったと割当部41が判定したタイミングで、割当処理及び送信許可処理を実行する。許容遅延に応じた残時間により定まる時刻は、割当処理及び送信許可処理を実行する周期の先頭時刻以前の時刻である。割当処理及び送信許可処理を実行する周期は、例えば、短周期割当用領域の周期11、1倍周期割当領域の周期14である。割当処理及び送信許可処理を実行する周期の先頭時刻は、例えば、短周期クラス信号200や1倍周期クラス信号300のバースト間ギャップが考慮された時刻でもよい。
【0088】
なお、許容遅延に応じた残時間が割当処理及び送信許可処理の周期の整数倍である場合、割当部41は、第3実施形態の(2)の処理を実行してもよい。
【0089】
以上のように、第4実施形態の通信システム1は、ONU2−1〜2−Nと、OLT4とを備える。OLT4は、通信部40と、割当部41とを備える。割当部41は、許容遅延に応じた残時間に応じて帯域を割当する。これによって、第4実施形態の通信システム1は、伝送遅延を許容遅延以下とした上で、帯域の利用効率を向上させることが可能である。
【0090】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、加入者線端局装置、加入者線終端装置、通信システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0092】
1…通信システム、2…ONU、3…ODN、4…OLT、10…周期、11…周期、12…縮小領域、13…拡張領域、14…周期、30…光ファイバ、31…光スプリッタ、40…通信部、41…割当部、100…長周期クラス信号、110…短周期割当用領域、200…短周期クラス信号、300…1倍周期クラス信号、400…2倍周期クラス信号、500…3倍周期クラス信号
図1
図2
図3
図4