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特許6792576無線通信システム、無線通信方法及びアクセスポイント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792576
(24)【登録日】2020年11月10日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】無線通信システム、無線通信方法及びアクセスポイント
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/14 20090101AFI20201116BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20201116BHJP
   H04W 72/08 20090101ALI20201116BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20201116BHJP
【FI】
   H04W16/14
   H04W84/12
   H04W72/08
   H04W72/04 132
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-8471(P2018-8471)
(22)【出願日】2018年1月22日
(65)【公開番号】特開2019-129360(P2019-129360A)
(43)【公開日】2019年8月1日
【審査請求日】2019年12月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宗 秀哉
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 健人
(72)【発明者】
【氏名】藤田 隆史
【審査官】 町田 舞
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−223308(JP,A)
【文献】 特開2014−220710(JP,A)
【文献】 特開2010−130280(JP,A)
【文献】 特開2014−120871(JP,A)
【文献】 宗 秀哉,複数無線方式冗長送信を用いた高信頼・低遅延無線アクセスの他システム干渉下における遅延特性評価,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.117 No.130,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2017年 7月12日,第117巻
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯域毎の電波環境を測定する電波監視装置と、
前記電波監視装置の測定結果に基づいてアクセスポイントで使用するチャネルを決定し、決定した前記チャネルの情報を通知する制御装置と、
前記制御装置によって通知された前記チャネルを設定し、設定した前記チャネルを用いて端末装置と通信を行うアクセスポイントと、
を備え
前記電波監視装置は、前記アクセスポイントが使用可能なチャネル候補を順番に又は同時に測定し、前記アクセスポイントと前記アクセスポイント以外の装置が使用する帯域の使用時間の割合を算出し、
前記制御装置は、前記帯域の使用時間の割合に基づいて、チャネルの干渉による影響が小さいチャネルを使用するチャネルに決定する、無線通信システム。
【請求項2】
前記電波監視装置は、帯域毎の電波の使用時間を測定する、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記アクセスポイントは、前記電波監視装置を装置内部に備えて、自装置の周囲の帯域毎の電波の使用時間を測定する、請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記アクセスポイントは、前記制御装置を装置内部に備え、自装置及び他のアクセスポイントで使用するチャネルを決定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項5】
帯域毎の電波環境を測定する電波監視ステップと、
前記電波監視ステップでの測定結果に基づいてアクセスポイントで使用するチャネルを決定し、決定した前記チャネルの情報を通知する制御ステップと、
通知された前記チャネルを設定し、設定した前記チャネルを用いて端末装置と通信を行う通信ステップと、
を有し、
前記電波監視ステップでは、前記アクセスポイントが使用可能なチャネル候補を順番に又は同時に測定し、前記アクセスポイントと前記アクセスポイント以外の装置が使用する帯域の使用時間の割合を算出し、
前記制御ステップでは、前記帯域の使用時間の割合に基づいて、チャネルの干渉による影響が小さいチャネルを使用するチャネルに決定する、無線通信方法。
【請求項6】
帯域毎の電波環境を測定する電波監視と、
前記電波監視部の測定結果に基づいて得られる自装置で使用するチャネルを設定するチャネル設定部と、
設定した前記チャネルを用いて端末装置と通信を行う通信部と、
を備え
前記電波監視部は、自装置が使用可能なチャネル候補を順番に又は同時に測定し、自装置と自装置以外の装置が使用する帯域の使用時間の割合を算出し、
前記チャネル設定部は、前記帯域の使用時間の割合に基づいて、チャネルの干渉による影響が小さいチャネルを使用するチャネルに決定する、アクセスポイント。
【請求項7】
前記電波監視は、帯域毎の電波の使用時間を測定する、請求項に記載のアクセスポイント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、無線通信方法及びアクセスポイントに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IoT(Internet of Things)関連市場は目覚ましい発展を遂げており、センシングや通信技術からアプリケーションに至る広範囲な分野においてその関連技術が活発に検討されている。IoT向けのカテゴリとして多端末接続性の他に、高信頼・低遅延通信が定義されている。高信頼・低遅延とは、高い確率で一定の要求時間内に通信が完了することを意味する。
【0003】
無線LAN(Local Area Network)などで用いられるアンライセンス帯では、一定の基準を満たすことで自由に使用することができるため、各システムの送信機が互いに電波干渉源となり通信の品質を劣化させる。そこで、無線LANでは、干渉を抑えるために、自局がデータを送信する際に、周囲の電波環境を測定し、他局が通信を行っていないタイミングで送信するキャリアセンスを実施する必要がある。キャリアセンスを実施すると他局が通信していないタイミングでしか送信できないため、他局や他システムの数が多い混み合ったチャネルを選択すると伝送遅延が多く発生する。したがって、伝送遅延の発生を抑え、通信品質を向上させるためには、空いているチャネルを選択することが重要となる。
【0004】
無線LANでは、DFS(Dynamic Frequency Selection)などにより、使用チャネルを変更する機能がある。使用チャネルの観測時のレーダ波の検知や通信品質の劣化などを契機に、チャネル切替処理を行う(例えば、非特許文献1参照)。従来の無線通信システムの構成を図15に示す。図15に示すように、無線通信システム1000は、従来AP1100及び従来端末1200を備える。従来では、従来AP1100は、通常時において使用中のチャネルを観測するため、チャネルの切り替え契機発生後に、切替先のチャネルを探索する必要がある。
【0005】
図16は、従来AP1100の機能構成の具体例を示すブロック図である。従来AP1100は、制御部1101、ディジタル信号処理部1102、チャネル制御部1103、RF部1104及びアンテナ1105を備える。
制御部1101は、外部アプリケーションより送信対象データの入力があった場合に、無線通信に必要な処理を実施し、アソシエーション処理、認証処理及び通信接続管理を行う。制御部1101は、アンテナ1105を介して受信された受信データを外部アプリケーションに出力する。
ディジタル信号処理部1102は、送信対象データのベースバンド信号化を行う。
チャネル制御部1103は、自装置が使用するチャネルを決定し、RF部1104に設定する。
RF部1104は、送信対象データをチャネル制御部1103により設定される周波数帯へアップコンバートし、アンテナ1105を介して送信対象データを送信する。RF部1104は、アンテナ1105を介して受信する受信信号に対しダウンコンバートを行う。
【0006】
図17は、従来端末1200の機能構成の具体例を示すブロック図である。従来端末1200は、制御部1201、ディジタル信号処理部1202、チャネル制御部1203、RF部1204及びアンテナ1205を備える。
制御部1201は、外部アプリケーションより送信対象データの入力があった場合に、無線通信に必要な処理を実施し、アソシエーション処理、認証処理及び通信接続管理を行う。制御部1201は、アンテナ1205を介して受信された受信データを外部アプリケーションに出力する。
ディジタル信号処理部1202は、送信対象データのベースバンド信号化を行う。
チャネル制御部1203は、自装置が使用するチャネルを決定し、RF部1204に設定する。
RF部1204は、送信対象データをチャネル制御部1203により設定される周波数帯へアップコンバートし、アンテナ1205を介して送信対象データの送信を行う。RF部1204は、アンテナ1205を介して受信する受信信号に対しダウンコンバートを行う。
【0007】
図18は、従来AP1100及び従来端末1200による使用チャネルの決定処理の流れを示すフローチャートである。なお、ここでは、従来AP1100を例に説明する。
従来AP1100のチャネル制御部1103は、周囲の全てのチャネルの電波環境を測定する(ステップS1001)。従来AP1100のチャネル制御部1103は、測定結果に基づいて使用チャネルを決定する(ステップS1002)。具体的には、チャネル制御部1103は、他システムが利用している使用時間率が小さいチャネルや、他システムからの干渉信号の電力が小さいチャネルなどを選択する。
【0008】
チャネル制御部1103は、選択したチャネルをRF部1104に設定する(ステップS1003)。その後、チャネル制御部1103は、再度電波環境の測定を行い(ステップS1004)、測定結果に基づいてチャネルの切替が必要であるか否かを判定する(ステップS1005)。チャネルの切替が必要であるか否かの判定は、例えば上記の他システムの干渉時間率や電力を測定の他に、自システムのパケット誤り率の低下や、5GHz帯の場合にはレーダ波を検知などによりチャネルの切替が必要であるか否かが判定される。
【0009】
チャネルの切替が必要である場合(ステップS1005−YES)、従来AP1100はステップS1001以降の処理を実行する。
一方、チャネルの切替が必要ではない場合(ステップS1005−NO)、従来AP1100はステップS1004以降の処理を実行する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】“レーダー波の検出及び送信停止制御について”、総務省 情報通信審議会 情報通信技術分科会、情報通信審議会諮問第2014号5GHz帯の無線アクセスシステムの技術的条件、平成15年10月29日、参考資料2 p.68-72
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記のように、従来AP1100及び従来端末1200は、送受信用と観測用のアンテナが同一なため、使用チャネルのみを観測しチャネル切り替えの判断を行う。従来では、通常時において使用中のチャネルを観測するため、チャネル切替契機発生後に、切替先のチャネルを探索する必要がある。そのため、探索に要する時間が必要となり、電波環境の測定からチャネルの切り替えまでに時間差が生じるためリアルタイムにチャネル切替処理を行うことができない。
【0012】
また、従来の使用チャネルの決定方法は、電波環境の測定結果より、レーダで使用されていないチャネルや、通信品質の高いチャネルなどの規範により決定される。通信品質の高いチャネルは、RSSI(Received Signal Strength Indicator)が高いチャネルを使用することが一般的であるが、他局や他システムの数を表す指標ではないため、チャネルの混雑状況まで確認することができないという問題もあった。
【0013】
上記事情に鑑み、本発明は、リアルタイムにチャネルの状態を把握し、チャネル切替処理を行うことができる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様は、帯域毎の電波環境を測定する電波監視装置と、前記測定結果に基づいてアクセスポイントで使用するチャネルを決定し、決定した前記チャネルの情報を通知する制御装置と、前記制御装置によって通知された前記チャネルを設定し、設定した前記チャネルを用いて端末装置と通信を行うアクセスポイントと、を備える無線通信システムである。
【0015】
本発明の一態様は、上記の無線通信システムであって、前記電波監視装置は、帯域毎の電波の使用時間を測定する。
【0016】
本発明の一態様は、上記の無線通信システムであって、前記アクセスポイントは、前記電波監視装置を装置内部に備えて、自装置の周囲の帯域毎の電波の使用時間を測定する。
【0017】
本発明の一態様は、上記の無線通信システムであって、前記アクセスポイントは、前記制御装置を装置内部に備え、自装置及び他のアクセスポイントで使用するチャネルを決定する。
【0018】
本発明の一態様は、上記の無線通信システムであって、前記電波監視装置は、前記アクセスポイントが使用可能なチャネル候補を順番に又は同時に測定し、前記アクセスポイントと前記アクセスポイント以外の装置が使用する帯域の使用時間の割合を算出し、前記制御装置は、前記帯域の使用時間の割合に基づいて、チャネルの干渉による影響が小さいチャネルを使用するチャネルに決定する。
【0019】
本発明の一態様は、帯域毎の電波環境を測定するステップと、前記測定結果に基づいてアクセスポイントで使用するチャネルを決定し、決定した前記チャネルの情報を通知するステップと、通知された前記チャネルを設定し、設定した前記チャネルを用いて端末装置と通信を行うステップと、を有する無線通信方法である。
【0020】
本発明の一態様は、帯域毎の電波環境を測定する電波監視装置と、前記測定結果に基づいて得られる自装置で使用するチャネルを設定するチャネル設定部と、設定した前記チャネルを用いて端末装置と通信を行う通信部と、を備えるアクセスポイントである。
【0021】
本発明の一態様は、上記のアクセスポイントであって、前記電波監視装置は、帯域毎の電波の使用時間を測定する。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、リアルタイムにチャネルの状態を把握し、チャネル切替処理を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1の実施形態における無線通信システムのシステム構成を表す構成図である。
図2】第1の実施形態における高信頼APの機能構成の具体例を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態における高信頼端末の機能構成の具体例を示すブロック図である。
図4】第1の実施形態におけるコントローラの機能構成の具体例を示すブロック図である。
図5】コントローラによるチャネル及びバンド数の決定処理の流れを示すフローチャートである。
図6】従来法と本発明の技術との違いを説明するための図である。
図7】従来法と本発明の技術との違いを説明するための図である。
図8】第2の実施形態における無線通信システムのシステム構成を表す構成図である。
図9】第2の実施形態における高信頼APの機能構成の具体例を示すブロック図である。
図10】第2の実施形態における高信頼端末の機能構成の具体例を示すブロック図である。
図11】第2の実施形態における電波監視装置の機能構成の具体例を示すブロック図である。
図12】第2の実施形態におけるAPの機能構成の具体例を示すブロック図である。
図13】第3の実施形態における無線通信システムのシステム構成を表す構成図である。
図14】第3の実施形態における高信頼APの機能構成の具体例を示すブロック図である。
図15】従来の無線通信システムの構成を示す図である。
図16】従来APの機能構成の具体例を示すブロック図である。
図17】従来端末の機能構成の具体例を示すブロック図である。
図18】従来AP及び従来端末による使用チャネルの決定処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における無線通信システム100のシステム構成を表す構成図である。無線通信システム100は、高信頼AP10、高信頼端末20及びコントローラ30を備える。高信頼AP10は、コントローラ30と有線又は無線により通信可能に接続されている。高信頼AP10と高信頼端末20とは、無線により通信可能に接続されている。また、図1では、無線通信システム100が備えるコントローラ30のコントロール外として他システム200が無線通信システム100の周囲にある環境を想定している。
【0025】
高信頼AP10は、高信頼・低遅延のアクセスポイントである。高信頼AP10は、複数のアンテナを備え、複数チャネル(例えば、同時に最大2バンド)を用いた通信が可能である。高信頼AP10は、電波監視機能を有する。ここで、電波監視機能とは、帯域毎の電波環境の測定・解析を行う機能である。より具体的には、電波監視機能とは、帯域毎の電波の使用時間の測定・解析を行う機能である。高信頼AP10は、電波監視機能を用いて得られた監視結果をコントローラ30に出力する。監視結果は、例えば装置が使用可能なチャネルの時間率である。時間率は、チャネルが使用されている時間の割合を表す。高信頼AP10は、コントローラ30により決定されたチャネルを使用して高信頼端末20との間で通信を行う。高信頼AP10は、コントローラ30により決定されたチャネルの情報を含むチャネル設定情報を高信頼端末20に送信する。
【0026】
高信頼端末20は、高信頼・低遅延の通信端末である。高信頼端末20は、複数のアンテナを備え、複数チャネル(例えば、同時に最大2バンド)を用いた通信が可能である。高信頼端末20は、電波監視機能を有する。高信頼端末20は、電波監視機能を用いて得られた監視結果を高信頼AP10に送信する。なお、高信頼端末20で取得したそれぞれの時間率の情報は、データを送受信するアクセスリンクを用いて高信頼AP10に送信し、高信頼AP10からコントローラ30に通知される。高信頼端末20は、高信頼AP10から送信されたチャネル設定情報に含まれるチャネルを使用して高信頼AP10との間で通信を行う。
【0027】
コントローラ30は、高信頼AP10から監視結果を取得し、取得した監視結果に基づいて、高信頼AP10が使用するチャネル及びバンド数を決定する。コントローラ30は、決定したチャネル及びバンド数の情報を高信頼AP10に通知する。
【0028】
図2は、高信頼AP10の機能構成の具体例を示すブロック図である。高信頼AP10は、無線機制御部11、チャネル設定部12、複数の無線機13−1〜13−N(Nは2以上の整数)及び電波監視装置14を備える。
【0029】
無線機制御部11は、外部アプリケーションより送信対象データの入力があった場合に、N個分送信対象データを複製し、複製した送信対象データを各々の無線機13−1〜13−Nに入力する。また、無線機制御部11は、無線機13−1〜13−Nによってデータが受信されると、各無線機13−1〜13−Nの中から最も早く届いた受信データを最先着とし、受信データを外部アプリケーションに出力する。なお、無線機制御部11は、それ以外の受信データを破棄する。
【0030】
チャネル設定部12は、コントローラ30から通知されるチャネル設定情報で示されるチャネル及びバンド数を無線機13−1〜13−Nそれぞれに設定する。
無線機13−1〜13−Nは、入力された送信対象データを変調して高信頼端末20に送信する。また、無線機13−1〜13−Nは、受信した受信データを復調して無線機制御部11に出力する。
【0031】
無線機13−1は、無線制御部131−1、ディジタル信号処理部132−1、RF部133−1及びアンテナ134−1を備える。なお、無線機13−2〜13−Nも、無線機13−1と同様の構成を備えるため無線機13−1を例に説明する。
【0032】
無線制御部131−1は、無線機制御部11より送信対象データの入力があった場合に、無線通信に必要な処理を実施し、アソシエーション処理、認証処理及び通信接続管理を行う。
ディジタル信号処理部132−1は、送信対象データのベースバンド信号化を行う。
RF部133−1は、送信対象データをチャネル設定部12により設定される周波数帯へアップコンバートし、アンテナ134−1を介して送信対象データを送信する。RF部133−1は、アンテナ134−1を介して受信する受信信号に対しダウンコンバートを行う。
【0033】
電波監視装置14は、電波監視機能を有する。電波監視装置14は、アンテナ141、RF部142及び時間率算出部143を備える。アンテナ141は、電波監視用に用いられるアンテナであり、自装置の周辺の電波を受信する。アンテナ141は、受信した電波を電気信号に変換してRF部142に出力する。RF部142は、アンテナ141から出力された電気信号をベースバンド信号に復調して時間率算出部143に出力する。時間率算出部143は、自装置が使用可能なチャネル候補を順番に又は同時に測定し、自システムと自システム以外が使用する帯域の時間率を算出する。
【0034】
自システムの時間率は、自システムがパケットの送受信のために電波を送信している時間の単位時間あたりの割合である。例えば、時間率算出部143は、パケットのヘッダの情報に基づいて受信データが自システム宛てのパケットであると判別し、パケット長や数をカウントすることにより時間率を求める。また、時間率算出部143は、自システム以外の時間率を、自システム宛て以外のパケットのパケット長や数のカウントと、それ以外の電波が占める時間をカウントすることによって合算して算出する。時間率算出部143は、算出した時間率をコントローラ30に出力する。
【0035】
図3は、高信頼端末20の機能構成の具体例を示すブロック図である。高信頼端末20は、無線機制御部21、チャネル設定部22、複数の無線機23−1〜23−N及び電波監視装置24を備える。
無線機制御部21は、外部アプリケーションより送信対象データの入力があった場合に、N個分送信対象データを複製し、複製した送信対象データを各々の無線機23−1〜23−Nに入力する。また、無線機制御部21は、無線機23−1〜23−Nによってデータが受信されると、各無線機23−1〜23−Nの中から最も早く届いた受信データを最先着とし、受信データを外部アプリケーションに出力する。なお、無線機制御部21は、それ以外の受信データを破棄する。
【0036】
チャネル設定部22は、高信頼AP10よりいずれかの無線機23−1〜23−Nを介してインバンドでチャネル設定情報を受け取り、チャネル設定情報で示されるチャネル及びバンド数を無線機23−1〜23−Nそれぞれに設定する。
無線機23−1〜23−Nは、入力された送信対象データを変調して高信頼AP10に送信する。また、無線機23−1〜23−Nは、受信した受信データを復調して無線機制御部21に出力する。
無線機23−1は、無線制御部231−1、ディジタル信号処理部232−1、RF部233−1及びアンテナ234−1を備える。なお、無線機23−2〜23−Nも、無線機23−1と同様の構成を備えるため無線機23−1を例に説明する。
【0037】
無線制御部231−1は、無線機制御部21より送信対象データの入力があった場合に、無線通信に必要な処理を実施し、アソシエーション処理、認証処理及び通信接続管理を行う。
ディジタル信号処理部232−1は、送信対象データのベースバンド信号化を行う。
RF部233−1は、送信対象データをチャネル設定部22により設定される周波数帯へアップコンバートし、アンテナ234−1を介して送信対象データを送信する。RF部233−1は、アンテナ234−1を介して受信する受信信号に対しダウンコンバートを行う。
【0038】
電波監視装置24は、電波監視機能を有する。電波監視装置24は、アンテナ241、RF部242及び時間率算出部243を備える。アンテナ241は、電波監視用に用いられるアンテナであり、自装置の周辺の電波を受信する。アンテナ141は、受信した電波を電気信号に変換してRF部242に出力する。RF部242は、アンテナ241から出力された電気信号をベースバンド信号に復調して時間率算出部243に出力する。時間率算出部243は、自装置が使用可能なチャネル候補を順番に又は同時に測定し、自システムと自システム以外が使用する帯域の時間率を算出する。なお、時間率の算出方法は、電波監視装置14が行う方法と同等であるため、説明を省略する。
【0039】
図4は、コントローラ30の機能構成の具体例を示すブロック図である。コントローラ30は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、制御プログラムを実行する。制御プログラムの実行によって、コントローラ30は、取得部31、干渉時間率算出部32、評価部33、チャネル決定部34、通知部35を備える装置として機能する。なお、コントローラ30の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。また、制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、制御プログラムは、電気通信回線を介して送受信されてもよい。
【0040】
取得部31は、高信頼AP10から監視結果を取得する。取得部31は、取得した監視結果を干渉時間率算出部32に出力する。
干渉時間率算出部32は、取得部31によって取得された監視結果に含まれる全てのチャネルの電波環境の時間率に基づいて、それぞれのチャネルにおける干渉時間率を算出する。干渉時間率とは、チャネルの干渉が生じている時間の割合を表す。
【0041】
評価部33は、算出された干渉時間率に基づいて、所定の評価関数を用いて信頼性の評価を行う。信頼性とは、高信頼AP10があるチャネルを使用した際に、所望の遅延時間内にパケットを正常に受信することができる確率を意味する。 チャネル決定部34は、評価部33の評価結果に基づいて、高信頼AP10の各無線機10−1〜10−Nの使用チャネルを決定する。チャネル決定部34が、使用チャネルを決定することによってバンド数も決定される。
通知部35は、チャネル決定部34によって決定された使用チャネル及びバンド数の情報を含むチャネル設定情報を生成し、生成したチャネル設定情報を高信頼AP10に通知する。
【0042】
図5は、コントローラ30によるチャネル及びバンド数の決定処理の流れを示すフローチャートである。なお、図5では、Rを所望の信頼性としたときのRを満たす使用チャネルの選択アルゴリズムについて説明する。nを同時に使用するバンド数(同時使用する無線機13の数)とし、nmaxを同時に使用可能なバンド数の最大値(無線機13の数)とする。
干渉時間率算出部32は、取得部31によって取得された監視結果に含まれる全てのチャネルの電波環境の時間率に基づいて、それぞれの干渉時間率を算出する(ステップS101)。Iob(i)を第iチャネルにおける観測された干渉時間率とする。また、使用可能チャネルの集合からn個のチャネルの選択した部分集合をチャネルセットσ、部分集合σのチャネルの干渉時間率を要素として持つn次元の干渉時間率ベクトルをIob(σn)とする。例えば、使用可能チャネルの集合を(1,2,…,13)とし、n=2とすると、σの一例は(1,2)となる。σの組み合わせは13個のチャネルから2つ選択する組み合わせとなるため、全部で13となる。
【0043】
評価部33は、多重数をn=1とし(ステップS102)、高信頼AP10が使用可能チャネルの中から1つチャネルを選択する(ステップS103)。評価部33は、下記式1の評価関数を用いて信頼性の評価を行う。
【0044】
【数1】
【0045】
式1において、右辺第一項は、n個使用時における所望の信頼性を満たすことができる干渉量の最大値を表す。右辺第二項は、信頼性に影響を与える使用チャネル毎の干渉量を表す。つまり、評価関数が閾値fth(>0)を超える場合、選択したチャネルセットσを用いることで所望の信頼性を満たすことができる。ここで、Imax(n,R)は、n個のチャネル全ての干渉時間率が同一の場合、n個における所望の信頼性Rを満たすことができる最大の干渉時間率を表す。
【0046】
評価部33は、式1の評価関数の条件を満たすか否かを判定する(ステップS104)。式1の評価関数の条件を満たさない場合(ステップS104−NO)、評価部33はチャネルセットσが全通り選択されたか否かを判定する(ステップS105)。全通り選択されていない場合(ステップS105−NO)、コントローラ30はステップS103以降の処理を実行する。
一方、全通り選択された場合(ステップS105−YES)、評価部33はバンド数nを1つ増加する(ステップS106)。その後、評価部33は、バンド数nがnmax以上であるか否かを判定する(ステップS107)。
【0047】
バンド数nがnmax以下である場合(ステップS107−NO)、コントローラ30はステップS103以降の処理を繰り返し実行する。
一方、バンド数nがnmax以上である場合(ステップS107−YES)、評価部33はどの使用可能なチャネルを選択しても所望の信頼性を満たすことができないと判定する。そして、評価部33は、通知部35に現在の電波環境では所望の信頼性を満たすことができない旨を高信頼AP10に通知させる。通知部35は、評価部33からの指示に従って、現在の電波環境では所望の信頼性を満たすことができない旨を高信頼AP10に通知する(ステップS108)。その後、コントローラ30は一定時間待機する(ステップS109)。そして、コントローラ30は、一定時間待機後、ステップS101以降の処理を実行する。
【0048】
また、ステップS104の処理において、式1の評価関数の条件を満たす場合(ステップS104−YES)、評価部33はその旨をチャネル決定部34に通知する。チャネル決定部34は、式1の評価関数の条件を満たすチャネルセットσを高信頼AP10の各無線機13−1〜13−Nの使用チャネルとして決定する。その後、チャネル決定部34は、決定したチャネルセットσの情報をチャネル設定情報として通知部35に通知させる。通知部35は、チャネル設定情報を高信頼AP10に通知する(ステップS110)。その後、コントローラ30は一定時間待機する(ステップS111)。
【0049】
そして、コントローラ30は、一定時間待機後、干渉時間率算出部32は、取得部31によって取得された監視結果に含まれる全てのチャネルの電波環境の時間率に基づいて、それぞれの干渉時間率を算出する(ステップS112)。評価部33は、上記式1の評価関数を用いて信頼性の評価を行う。評価部33は、式1の評価関数の条件を満たすか否かを判定する(ステップS113)。式1の評価関数の条件を満たさない場合(ステップS113−NO)、コントローラ30はステップS103以降の処理を実行する。
一方、式1の評価関数の条件を満たす場合(ステップS113−YES)、コントローラ30はステップS111以降の処理を実行する。
【0050】
図6及び図7は、従来法と本発明の技術との違いを説明するための図である。
図6において、縦軸は干渉時間率を表し、横軸は時間を表す。また、図7において、縦軸は信頼性を表し、横軸は時間を表す。
64バイトの制御パケットを送信する例により、実施例1の信頼性特性を示す。伝送遅延時間をパケットの入力から正常受信できるまでの時間とし、伝送遅延時間が1ms以内のパケット誤り率を信頼性と定義する。なお、物理層における処理遅延時間は伝送遅延時間に考慮しない。自システムの収容端末数を10台とし、自システムの端末はすべて高信頼端末とした。MAC層のパラメータは表1に示すパラメータを用いた。所望の信頼性Rを、R=99%とした。
【0051】
使用する帯域は2.4GHz/5GHz帯とし、それぞれ3チャネル(Ch1〜3)/4(Ch4〜7)チャネルの合計7チャネルの候補が存在するとした。本発明における技術はそれぞれの帯域から1チャネルずつ選択し、最大2バンドを使用して同時に送受信する。従来法は、チャネル候補の中から一つ選択し使用する。図に他システムの時間率の時間変化を示す。図6のような他システムの時間率の変動がある場合における、本発明における技術と従来法の信頼性の時間変化を図7に示す。単一バンドを使用する従来法と較べて、2バンドを同時使用する本発明における技術は信頼性が99%を下回りそうになる場合にチャネルの切替処理が起こるため、99%を下回ることなく通信を実現することができる。
【0052】
以上のように構成された無線通信システム100によれば、高信頼AP10及び高信頼端末20が帯域毎に電波使用時間の測定・解析を行う電波監視装置を備えて電波の状況を監視することにより、空いているチャネルを把握する。そして、コントローラ30が、チャネルの状況に応じて使用するチャネルやバンド数を決定することにより所望の信頼性を満たすことが可能となる。その結果、リアルタイムでチャネルの状態を把握し、チャネル切替処理へ反映させるとともに、他システムが帯域を使用する時間率を用いて、使用するチャネルを決定することが可能になる。
【0053】
<変形例>
コントローラ30は、高信頼AP10が複数台備えられている場合には、図5の処理を高信頼AP10の台数分実行することによって高信頼AP10それぞれのチャネル及びバンド数を決定する。
本実施形態では、高信頼AP10及び高信頼端末20の両方が電波監視機能を有する、すなわち電波監視装置を備える構成を示したが、いずれか一方が電波監視装置を備えるように構成されてもよい。具体的には、高信頼AP10が電波監視装置を備えて、高信頼端末20が電波監視装置を備えていなくてもよいし、高信頼AP10が電波監視装置を備えていなくて、高信頼端末20が電波監視装置を備えていてもよい。高信頼AP10が電波監視装置を備えていない場合、以下の処理が行われる。高信頼端末20は、監視結果を高信頼AP10に送信する。高信頼AP10は、高信頼端末20から送信された監視結果をコントローラ30に出力する。コントローラ30は、高信頼端末20で得られた監視結果を用いて高信頼AP10のチャネル及びバンド数を決定する。
【0054】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、無線通信システムが独立した電波監視装置を備え、コントローラが各高信頼APのチャネル及びバンド数を決定する。
図8は、第2の実施形態における無線通信システム100aのシステム構成を表す構成図である。無線通信システム100aは、高信頼AP10a、高信頼端末20a、コントローラ30a、高信頼AP40、高信頼端末50、電波監視装置60、AP70及び従来端末80を備える。高信頼AP10a、高信頼AP40、電波監視装置60及びAP70は、コントローラ30aと有線又は無線により通信可能に接続されている。高信頼AP10aと高信頼端末20a及び高信頼端末50とは、無線により通信可能に接続されている。高信頼AP40と高信頼端末20a及び高信頼端末50とは、無線により通信可能に接続されている。AP70と従来端末80とは、無線により通信可能に接続されている。
【0055】
高信頼AP10aは、高信頼AP10と同様の処理を行う。高信頼AP10aが、高信頼AP10と異なる点は、コントローラ30aにより決定されたチャネル及びバンド数を使用して高信頼端末20及び高信頼端末50との間で通信を行う点、コントローラ30aにより決定されたチャネル及びバンド数の情報を含むチャネル設定情報を高信頼端末20及び高信頼端末50に送信する点である。
【0056】
高信頼端末20aは、高信頼端末20と同様の処理を行う。高信頼端末20aが、高信頼端末20と異なる点は、高信頼AP10a又は高信頼AP40から送信されたチャネル設定情報に含まれるチャネル及びバンド数を使用して高信頼AP10a又は高信頼AP40との間で通信を行う点である。
【0057】
コントローラ30aは、高信頼AP10、電波監視装置60及びAP70から監視結果を取得し、取得した監視結果に基づいて、高信頼AP10、高信頼AP40及びAP70が使用するチャネル及びバンド数を決定する。コントローラ30aは、決定したチャネル及びバンド数の情報を含むチャネル設定情報を高信頼AP10、高信頼AP40及びAP70に通知する。
【0058】
高信頼AP40は、高信頼・低遅延のアクセスポイントである。高信頼AP40は、複数のアンテナを備え、複数チャネル(例えば、同時に最大2バンド)を用いた通信が可能である。高信頼AP40は、コントローラ30aにより決定されたチャネルを使用して高信頼端末20及び高信頼端末50との間で通信を行う。高信頼AP40は、コントローラ30aにより決定されたチャネルの情報を含むチャネル設定情報を高信頼端末20及び高信頼端末50に送信する。
【0059】
高信頼端末50は、高信頼・低遅延の通信端末である。高信頼端末50は、複数のアンテナを備え、複数チャネル(例えば、同時に最大2バンド)を用いた通信が可能である。高信頼端末50は、高信頼AP10又は高信頼AP40から送信されたチャネル設定情報に含まれるチャネルを使用して高信頼AP10又は高信頼AP40との間で通信を行う。
【0060】
電波監視装置60は、帯域毎の電波環境の測定・解析を行う。より具体的には、電波監視装置60は、帯域毎の電波の使用時間の測定・解析を行う。電波監視装置60は、例えば電波監視機能を有していない高信頼APの近辺に設置され、高信頼APの周辺の帯域毎の電波の使用時間の測定・解析を行う。なお、電波監視装置60の設置場所は、特に限定される必要はなく、その他の場所(例えば、電波監視機能を有する高信頼APの近辺や高信頼端末の近辺等)に設置されてもよい。電波監視装置60は、監視結果をコントローラ30aに出力する。
【0061】
AP70は、従来端末80との間で通信を行うアクセスポイントである。AP70は、1つのアンテナを備える。AP70は、コントローラ30aにより決定されたチャネルを使用して従来端末80との間で通信を行う。AP70は、コントローラ30aにより決定されたチャネルの情報を含むチャネル設定情報を従来端末80に送信する。
【0062】
従来端末80は、AP70との間で通信を行う通信端末である。従来端末80は、1つのアンテナを備える。従来端末80は、AP70から送信されたチャネル設定情報に含まれるチャネルを使用してAP70との間で通信を行う。
【0063】
以下、各装置の具体的な構成について説明する。なお、高信頼AP10a、高信頼端末20a及びコントローラ30aは、高信頼AP10、高信頼端末20及びコントローラ30と同様の構成を備えるため説明を省略する。
【0064】
図9は、高信頼AP40の機能構成の具体例を示すブロック図である。高信頼AP40は、無線機制御部41、チャネル設定部42及び複数の無線機43−1〜43−Nを備える。
無線機制御部41は、外部アプリケーションより送信対象データの入力があった場合に、N個分送信対象データを複製し、複製した送信対象データを各々の無線機43−1〜43−Nに入力する。また、無線機制御部41は、無線機43−1〜43−Nによってデータが受信されると、各無線機43−1〜43−Nの中から最も早く届いた受信データを最先着とし、受信データを外部アプリケーションに出力する。なお、無線機制御部41は、それ以外の受信データを破棄する。
【0065】
チャネル設定部42は、コントローラ30aから通知されるチャネル設定情報で示されるチャネル及びバンド数を無線機43−1〜43−Nそれぞれに設定する。
無線機43−1〜43−Nは、入力された送信対象データを変調して高信頼端末20a及び高信頼端末50に送信する。また、無線機43−1〜43−Nは、受信した受信データを復調して無線機制御部41に出力する。
【0066】
無線機43−1は、無線制御部431−1、ディジタル信号処理部432−1、RF部433−1及びアンテナ434−1を備える。なお、無線機43−2〜43−Nも、無線機43−1と同様の構成を備えるため無線機43−1を例に説明する。
【0067】
無線制御部431−1は、無線機制御部41より送信対象データの入力があった場合に、無線通信に必要な処理を実施し、アソシエーション処理、認証処理及び通信接続管理を行う。
ディジタル信号処理部432−1は、送信対象データのベースバンド信号化を行う。
RF部433−1は、送信対象データをチャネル設定部42により設定される周波数帯へアップコンバートし、アンテナ434−1を介して送信対象データを送信する。RF部433−1は、アンテナ434−1を介して受信する受信信号に対しダウンコンバートを行う。
【0068】
図10は、高信頼端末50の機能構成の具体例を示すブロック図である。高信頼端末50は、無線機制御部51、チャネル設定部52及び複数の無線機53−1〜53−Nを備える。
無線機制御部51は、外部アプリケーションより送信対象データの入力があった場合に、N個分送信対象データを複製し、複製した送信対象データを各々の無線機53−1〜53−Nに入力する。また、無線機制御部51は、無線機53−1〜53−Nによってデータが受信されると、各無線機53−1〜53−Nの中から最も早く届いた受信データを最先着とし、受信データを外部アプリケーションに出力する。なお、無線機制御部51は、それ以外の受信データを破棄する。
【0069】
チャネル設定部52は、高信頼AP10a又は高信頼AP40よりいずれかの無線機23−1〜23−Nを介してインバンドでチャネル設定情報を受け取り、チャネル設定情報で示されるチャネル及びバンド数を無線機53−1〜53−Nそれぞれに設定する。
無線機53−1〜53−Nは、入力された送信対象データを変調して高信頼AP10a及び高信頼AP40に送信する。また、無線機53−1〜53−Nは、受信した受信データを復調して無線機制御部51に出力する。
【0070】
無線機53−1は、無線制御部531−1、ディジタル信号処理部532−1、RF部533−1及びアンテナ534−1を備える。なお、無線機53−2〜23−Nも、無線機53−1と同様の構成を備えるため無線機53−1を例に説明する。
【0071】
無線制御部531−1は、無線機制御部51より送信対象データの入力があった場合に、無線通信に必要な処理を実施し、アソシエーション処理、認証処理及び通信接続管理を行う。
ディジタル信号処理部532−1は、送信対象データのベースバンド信号化を行う。
【0072】
RF部533−1は、送信対象データをチャネル設定部52により設定される周波数帯へアップコンバートし、アンテナ534−1を介して送信対象データを送信する。RF部533−1は、アンテナ534−1を介して受信する受信信号に対しダウンコンバートを行う。
【0073】
図11は、電波監視装置60の機能構成の具体例を示すブロック図である。電波監視装置60は、アンテナ61、RF部62及び時間率算出部63を備える。
アンテナ61は、電波監視用に用いられるアンテナであり、自装置の周辺の電波を受信する。アンテナ61は、受信した電波を電気信号に変換してRF部62に出力する。RF部62は、アンテナ61から出力された電気信号をベースバンド信号に復調して時間率算出部63に出力する。時間率算出部63は、自装置が使用可能なチャネル候補を順番に又は同時に測定し、自システムと自システム以外が使用する帯域の時間率を算出する。なお、時間率の算出方法は、電波監視装置14が行う方法と同等であるため、説明を省略する。
【0074】
図12は、AP70の機能構成の具体例を示すブロック図である。AP70は、無線機71及びチャネル設定部72を備える。
無線機71は、入力された送信対象データを変調して従来端末80に送信する。また、無線機71は、受信した受信データを復調して外部アプリケーションに出力する。
無線機71は、無線制御部711、ディジタル信号処理部712、RF部713及びアンテナ714を備える。
【0075】
無線制御部711は、外部アプリケーションより送信対象データの入力があった場合に、無線通信に必要な処理を実施し、アソシエーション処理、認証処理及び通信接続管理を行う。
ディジタル信号処理部712は、送信対象データのベースバンド信号化を行う。
RF部713は、送信対象データをチャネル設定部72により設定される周波数帯へアップコンバートし、アンテナ714を介して送信対象データを送信する。RF部713は、アンテナ714を介して受信する受信信号に対しダウンコンバートを行う。
【0076】
以上のように構成された無線通信システム100aによれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、独立した電波監視装置60を無線通信システム100a内に備えることによって、電波監視機能を有していない高信頼AP40が無線通信システム100a内にある場合であっても、高信頼AP40が使用するチャネル及びバンド数を決定することができる。その結果、リアルタイムでチャネルの状態を把握し、チャネル切替処理へ反映させるとともに、他システムが帯域を使用する時間率を用いて、使用するチャネルを決定することが可能になる。
【0077】
<変形例>
コントローラ30aは、高信頼AP10a、高信頼AP40及びAP70のいずれかが複数台備えられている場合には、図5の処理を高信頼AP10a、高信頼AP40及びAP70の台数分実行することによって各APのチャネル及びバンド数を決定する。
無線通信システム100aが備える各装置(高信頼AP10a、高信頼端末20a、コントローラ30a、高信頼AP40、高信頼端末50、電波監視装置60、AP70及び従来端末80)の台数は、図8に示す台数に限定される必要はない。例えば、無線通信システム100aは、AP70及び従来端末80を備えなくてもよいし、各装置のいずれか又は全てが複数台備えられていてもよい。
【0078】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、1つの高信頼APが、使用チャネル及びバンド数を決定するコントローラの機能を備え、他の高信頼APのチャネル及びバンド数を決定する。
図13は、第3の実施形態における無線通信システム100bのシステム構成を表す構成図である。無線通信システム100bは、高信頼AP10b、高信頼端末20a、高信頼AP40b、高信頼端末50及び電波監視装置60bを備える。高信頼AP10b、高信頼AP40b及び電波監視装置60bは、有線又は無線により通信可能に接続されている。高信頼AP10bと高信頼端末20a及び高信頼端末50とは、無線により通信可能に接続されている。高信頼AP40bと高信頼端末20a及び高信頼端末50とは、無線により通信可能に接続されている。
【0079】
高信頼AP10bは、高信頼AP10aと同様の処理を行う。また、高信頼AP10bは、図1に示したコントローラ30又は図8に示したコントローラ30aの機能を有し、高信頼AP10b及び高信頼AP40bのチャネル及びバンド数を決定する。
【0080】
高信頼AP40bは、高信頼・低遅延のアクセスポイントである。高信頼AP40bは、高信頼AP40aと同様の処理を行う。高信頼AP40bが、高信頼AP40と異なる点は、高信頼AP10bにより決定されたチャネルを使用して高信頼端末20a及び高信頼端末50との間で通信を行う点である。
【0081】
以下、各装置の具体的な構成について説明する。なお、高信頼端末20a、高信頼AP40b、高信頼端末50及び電波監視装置60bは、第2の実施形態における同名の機能部と同様の構成を備えるため説明を省略する。
【0082】
図14は、高信頼AP10bの機能構成の具体例を示すブロック図である。高信頼AP10bは、無線機制御部11、チャネル設定部12b、複数の無線機13−1〜13−N、電波監視装置14b及びコントローラ機能部15を備える。
高信頼AP10bは、チャネル設定部12及び電波監視装置14に代えてチャネル設定部12b及び電波監視装置14bを備える点、コントローラ機能部15を新たに備える点で高信頼AP10と構成が異なる。その他の構成については、高信頼AP10と同様である。そのため、チャネル設定部12b、電波監視装置14b及びコントローラ機能部15について説明する。
【0083】
コントローラ機能部15は、図4に示すコントローラ30が備える機能部と同様の機能部を備える。そのため、各機能部の説明は省略する。
電波監視装置14bは、RF部142及び時間率算出部143bを備える。時間率算出部143bは、時間率算出部143と同様の処理を行う。時間率算出部143bは、算出した時間率の情報をコントローラ機能部15に出力する。
チャネル設定部12bは、コントローラ機能部15から通知されるチャネル設定情報で示されるチャネル及びバンド数を無線機13−1〜13−Nそれぞれに設定する。
【0084】
以上のように構成された無線通信システム100bによれば、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、無線通信システム100bは、使用チャネル及びバンド数を決定するコントローラの機能を1つの高信頼APが備えている。これにより、別途独立したコントローラを備えなくてもよいため、システムを簡略化することができる。
【0085】
<変形例>
本実施形態では、電波監視機能を有する高信頼AP10bが、使用チャネル及びバンド数を決定するコントローラの機能を備える構成を示したが、使用チャネル及びバンド数を決定するコントローラの機能は電波監視機能を有していない高信頼AP40bに備えられてもよい。このように構成される場合、高信頼AP10b及び電波監視装置60bは、監視結果を高信頼AP40bに送信する。
無線通信システム100bは、第2の実施形態と同様に、AP70及び従来端末80を備えてもよい。
【0086】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0087】
10、10a、10b…高信頼AP(アクセスポイント), 20、20a…高信頼端末, 30、30a…コントローラ(制御装置), 31…取得部, 32…干渉時間率算出部, 33…評価部, 34…チャネル決定部, 35…通知部, 40、40b…高信頼AP, 50…高信頼端末, 60、60b…電波監視装置, 70…AP, 80…従来端末, 11…無線機制御部, 12、12b…チャネル設定部, 13−1〜13−N…無線機, 14b…電波監視装置, 15…コントローラ機能部, 21…無線機制御部, 22…チャネル設定部, 23−1〜23−N…無線機, 24…電波監視装置, 41…無線機制御部, 42…チャネル設定部, 43−1〜43−N…無線機, 51…無線機制御部, 52…チャネル設定部, 53−1〜53−N…無線機, 60…電波監視装置, 61…アンテナ, 62…RF部, 63…時間率算出部, 70…AP, 71…無線機, 72…チャネル設定部, 131−1〜131−N…無線制御部, 132−1〜132−N…ディジタル信号処理部, 133−1〜133−N…RF部, 134−1〜134−N…アンテナ, 141…アンテナ, 142…RF部, 143、143b…時間率算出部, 231−1〜231−N…無線制御部, 232−1〜232−N…ディジタル信号処理部, 233−1〜233−N…RF部, 234−1〜234−N…アンテナ, 241…アンテナ, 242…RF部, 243…時間率算出部, 431−1〜431−N…無線制御部, 432−1〜432−N…ディジタル信号処理部, 433−1〜433−N…RF部, 434−1〜434−N…アンテナ, 531−1〜531−N…無線制御部, 532−1〜532−N…ディジタル信号処理部, 533−1〜533−N…RF部, 534−1〜534−N…アンテナ, 711…無線制御部, 712…ディジタル信号処理部, 713…RF部, 714…アンテナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18