(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コレクター(15)によって集光されるEUV放射線(14)を照明光として案内するための少なくとも1つのファセットミラー(17,18)を有する結像光学ユニット(9)によって結像することができる物体視野(5)を照明するための請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のコレクター(15)、
を含むことを特徴とする照明光学ユニット(4)。
前記ファセットミラー(17)の全体反射面(53)の外側輪郭(55)が、該ファセットミラー(17)の場所での前記コレクター(15)の照明遠視野(17a)の外側強度領域(56)と少なくとも同じサイズのものであることを特徴とする請求項9に記載の照明光学ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、マイクロリソグラフィのための投影露光装置1を子午断面図に略示している。投影露光装置1の照明系2は、放射線源又は光源3に加えて、物体平面6の物体視野5の露光のための照明光学ユニット4を有する。ここで、物体視野5に配置され、レチクルホルダ8(抜粋としてしか例示していない)によって保持されるレチクル7が露光される。投影光学ユニット9は、物体視野5を像平面11の像視野10に結像するように機能する。レチクル7上の構造は、像平面11の像視野10の領域に配置されたウェーハ12の感光層上に結像され、このウェーハは、ウェーハホルダ13(同じく概略的にしか例示していない)によって保持される。
【0020】
放射線源3は、5nmと30nmの間の範囲の放出使用放射線を有するEUV放射線源である。この放射線源は、プラズマ光源、特にLPP光源(レーザ生成プラズマ)とすることができる。EUV放射線源は、例えば、GDPP光源(ガス放電生成プラズマ)とすることができる。放射線源3から射出するEUV放射線14は、コレクター15によって集光される。以下では、EUV放射線14を照明光又は結像光とも表している。コレクター15を
図2により詳細に例示しており、この図に対しては、後に説明する。EUV放射線14は、コレクター15の下流で中間焦点面16を通って伝播し、その後に、視野ファセットミラー17上に入射する。視野ファセットミラー17は、物体平面6に対して光学的に共役な照明光学ユニット4の平面17aに配置される。この平面17a内には、コレクター15によって形成されるEUV放射線14の照明遠視野が存在する。
【0021】
EUV放射線14は、視野ファセットミラー17の下流で瞳ファセットミラー18によって反射される。瞳ファセットミラー18は、照明光学ユニット4の瞳平面に配置され、この瞳平面は、投影光学ユニット9の瞳平面に対して光学的に共役である。瞳ファセットミラー18と、ビーム経路の順番に名付けたミラー20、21、及び22を有する伝達光学ユニット19の形態にある結像光学アセンブリとを用いて、後により詳細に説明する視野ファセットミラー17の視野ファセットが物体視野5に結像される。伝達光学ユニット19の最後のミラー22は、かすめ入射に対するミラー(「かすめ入射ミラー」)である。瞳ファセットミラー18及び伝達光学ユニット19は、照明光14を物体視野5内に伝達するための連続光学ユニットを形成する。伝達光学ユニット19は、特に瞳ファセットミラー18が投影光学ユニット9の入射瞳に配置される場合は割愛することができる。
【0022】
位置関係の説明を容易にするために、
図1は、物体平面6と像平面11の間の投影露光装置1の構成要素の位置関係を説明するための直交xyz座標系を広域座標系として描写している。
図1では、x軸は、作図面と垂直にその中に入り込むように延びている。y軸は、
図1の右に向けて延びている。z軸は
図1の下方に、すなわち、物体平面6及び像平面11と垂直に延びている。
【0023】
レチクルホルダ8とウェーハホルダ13は、両方共に、投影露光中にレチクル7とウェーハ12が変位方向、すなわち、y方向に一方で物体視野5により、他方で像視野10によって走査されるように制御される方式で変位可能である。以下では、変位方向yを走査方向とも表している。
【0024】
下記では、
図2を参照してコレクター15をより詳細に説明する。コレクター15は、EUV放射線14、すなわち、無方向で放出するEUV放射線源3からの放出光を中間焦点面16内の主焦点、すなわち、中間フォーカス23aに伝達し、その後に、照明遠視野17aを生成するように機能する。
【0025】
コレクター15は、EUV放射線14が内壁上に入射する集光ミラー23の形態にある法線入射ミラーコレクターサブユニットを有する。集光ミラー23が、EUV放射線源からのEUV放射線14を直接中間フォーカス23aに伝達する場合に、EUV放射線源3は、集光ミラー23に隣接するその第1の焦点に位置するということができる。中間焦点面16内の中間フォーカス23aは、集光ミラー23から遠い方のその第2の焦点に位置する。
【0026】
集光ミラー23は、2つの焦点が乗るコレクター15の回転対称中心軸24の交点の領域内に貫通開口部25を有する。回転対称軸24をコレクター15の光軸とも表している。貫通開口部25を通して、プラズマ発生ポンプレーザ(例示していない)からのレーザ放射線を結合することができる。
【0027】
法線ミラーコレクターサブユニット23上へのEUV放射線14の個々の光線26の入射角又は反射角αは、約8°と約25°の間の範囲にある。この入射角αは、通例により、法線ミラーコレクターサブユニットのそれぞれの反射区画に対する法線に対する角度として示すものである。α<35°の入射角という条件が満たされることに起因して、法線ミラーコレクターサブユニット23の集光ミラーは、法線入射に対するミラーである。
【0028】
第1のミラー23は、内側に向けて貫通開口部25の境界を定める中心集光ミラー区画27と、この中心集光ミラー区画を取り囲む外側集光ミラー区画28とに再分割される。2つの集光ミラー区画27、28は、遷移領域29内で互いの中に継ぎ目なく融合する。集光ミラー23上への個々の光線26の入射角αは、遷移領域29内で突然変化する。遷移領域29の近くでは、中心集光ミラー区画27上への入射角αは約18°であり、外側集光ミラー区画28への遷移領域29の近くで約8°の値まで再度減少する。
【0029】
更に、コレクター15は、ほぼ切頭円錐の横面の形態に具現化されたかすめ入射に対するミラーを含むかすめ入射ミラーコレクターサブユニット30を有する。切頭円錐状ミラー30は、放射線源3に対面する小さめの貫通開口部31から中間焦点面16に対面するより大きい貫通開口部32に向けて開いている。切頭円錐状ミラー30の内壁33は、外側集光ミラー区画28からのEUV放射線14を中間焦点面16内の中間フォーカスに向けて反射する。外側集光ミラー区画28から切頭円錐状ミラー30に向けて反射された個々の光線26は、光軸24と交差する。
【0030】
内壁33上へのEUV放射線14の入射角は、貫通開口部31の周りで最も大きく、約75°である。他方の貫通開口部32に向けて、切頭円錐状ミラー30の内壁33上へのEUV放射線14の個々の光線26の入射角は、約65°の値まで連続的に減少する。切頭円錐ミラー30の内壁33上への入射角αに対して条件α≧65°が満たされるので、切頭円錐状ミラー30は、かすめ入射に対するミラーである。
【0031】
中心集光ミラー区画27は、放射線源3からのEUV放射線14を中間焦点面16内の中間フォーカスに直接反射し、この直接反射EUV放射線は、切頭円錐状ミラー30の両方の貫通開口部31、32を通過する。
【0032】
放射線源3とかすめミラーコレクターサブユニット30の間の光軸24の領域には、放射線源3からの放射線及び/又は粒子が切頭円錐状ミラー30に直接到達するのを防止する保護絞り34が配置される。保護絞り34は、能動冷却方式で具現化することができる。
【0033】
図10は、半径r、すなわち、光軸24までの距離へのEUV放射線14の強度Iの依存性を略示している。最初の小さい半径値r
0までは、貫通開口部25又は保護絞り34によるEUV放射線14の中心遮蔽に起因して強度はゼロである。半径r
0とr
1の間の範囲では、強度I(r)は、半径r
0における最大値I
maxから半径r
1に対する値C・I
maxまでほぼ放物状に減少する。r
0とr
1の間の範囲のI(r)のプロファイルは、中心集光ミラー区画27におけるEUV放射線の反射率への依存性と、局所結像スケールの変化、すなわち、前側焦点距離と後部焦点距離の比/前側光路と後側光路の比の変化とによって決定される。この依存性には、中心集光ミラー区画27の内壁の対応する高反射コーティングを用いて影響を及ぼすことができる。0.6と0.8の間の範囲にあるとすることができる定数Cの値には、例えば、コレクタービーム経路の対応する構成によって影響を及ぼすことができる。
【0034】
半径r
1とr
3の間の強度I(r)の更に別のプロファイルは、値C・I
maxにおいて実質的に一定である。この一定のプロファイルは、入射角により、従って、第1に外側集光ミラー区画28の内壁、第2に切頭円錐状ミラー30の内壁33の反射面の成形によって決定される。第1に切頭円錐状ミラー30の内壁33上に、第2に外側集光ミラー区画28の内壁上に高反射コーティングが設けられる。照明遠視野17aの外側強度領域は、半径r=r
3の場所に位置する。
【0035】
コレクターサブユニット23、30の配置は、異なるコレクタービーム経路を通して半径r
0とr
1の間の法線ミラー強度分布I
N(
図10に実線で示す)と、半径r
1とr
3の間の実質的に一定のかすめミラー強度分布I
G(
図10に破線及び一点鎖線で示す)とから構成される遠視野17aにわたるEUV放射線14の全体強度分布I(r)がもたらされるようなものである。法線ミラー強度分布I
Nは、法線ミラーコレクターサブユニット23での反射によって生成される。かすめミラー強度分布I
Gは、これに加えてかすめミラーコレクターサブユニット30での反射によって生成される。その結果、第1に集光ミラー23おける反射率、第2に切頭円錐状ミラー30での反射率に適切に最適化された局所結像スケールが、r
1とr
3の間の半径範囲に実質的に一定の強度C・I
maxを生成する。
【0036】
半径r
1とr
3の間では、すなわち、全遠視野17aのうちでその40%よりも大きい区画内では、強度分布I(r)は、遠視野のうちの半径r
1とr
3の間のこの区画内の平均強度C・I
maxから20%よりも小さくしかずれない。図示の理想的な例では、偏差は0でさえある。コレクター15の実施形態に基づいて、平均強度からの20%よりも小さい偏差が実現される遠視野17aの区画は、全遠視野17aの45%よりも大きくすることができ、50%よりも大きくすることができ、55%よりも大きくすることができ、60%よりも大きくすることができ、65%よりも大きくすることができ、70%よりも大きくすることができ、更に、75%よりも大きくすることができる。コレクター15の実施形態に基づいて、この区画にわたる全体強度分布I(r)の平均強度C・I
maxからの偏差は、15%よりも小さくすることができ、10%よりも小さくすることができ、更に、5%よりも小さくすることができる。
【0037】
法線ミラー強度分布I
Nは、半径r
1においてかすめミラー強度分布I
G内に連続的に融合する。この遷移領域内の境界ビーム経路を
図2の34aに破線形式に示している。
【0038】
2回目の反射の追加により、同じ作動距離と同じ最大コレクター半径とを同時に有する連続回転楕円体27(
図2に参照番号なしの細線に示す)の単独使用と比較して、中間フォーカスにおけるより小さい開口数及びより高い伝達率が得られる。ここで、2つのサブユニット23、30の形態は、得られる遠視野が、この場合の中間フォーカスを廃棄する必要なく、一定の強度密度を伴って照明されるように最適化される。層の反射率は、この最適化の中に予め考慮される。追加の反射にも関わらず、均一な照明及び高い伝達率が得られる。
【0039】
均一な遠視野照明は、照明チャネルが全て事実上同じ輝度を有するという効果を有する。従って、視野ファセットミラー17の視野ファセットと瞳ファセットミラー18の瞳ファセットとによって形成される照明チャネルを混合することによって物体視野5内で互いの上に重ね合わされている照明チャネルの強度混合を実施する必要はもはやない。ファセットミラーに対する傾斜角の要件及び入射角の負担は軽減することができる。軽減された傾斜角要件に起因して、ファセットミラーをミラー担体に熱的に十分に関連付けることができる。更に、それ程強くない混合は、第1に瞳ファセットミラー18の瞳ファセット上への放射線源3の結像中の結像スケール、第2に物体視野5内への視野ファセットミラー17の視野ファセットの結像中の結像スケールが有意には変化しないという効果を有する。従って、物体視野5と照明瞳の両方を高い精度で充満/成形することができる。軽減された傾斜角要件に起因して、物体視野5上への重ね合わせ結像中に視野ファセット像の互いに対する望ましくない回転を回避することができる。ファセットミラーにおけるマイクロミラーの使用により、特に矩形物体視野5を低い反射損失しか伴わずに生成することができる。
【0040】
上述の強度分布の方式で全体強度分布I(r)を得るようにサブユニット23、30の配置及び成形を設計するために、以下の手順が使用される。
【0041】
次式の微分形式のエネルギ保存則が適用可能である。
【数1】
【0042】
上式(1)の左辺にあるものは、回転対称放出特性Q(θ)を有する点光源によって微分立体角要素内に放出されるエネルギに光源から目標領域までの経路上のこの光ビームの伝達率Tを乗じたものである。ここで、伝達率Tは、ミラーの反射率を含み、適切な場合はガス吸光の得られる損失を更に含む。このエネルギは、式(1)の右辺に示す関連の目標領域、すなわち、照明遠視野17a内のエネルギに等しくなければならず、照明遠視野17aは、望ましい強度密度又は強度分布I(r)で照明されることが更に意図される。ここで、φは、照明遠視野17a内の方位角である。式(1)の右辺の符号は、望ましい配置の境界条件に依存して選択される。例えば、dθ>0である時にdr<0である実際に全く適切な場合が存在する。
【0043】
すなわち、エネルギ保存則は、求める座標変換r(θ)を表す微分方程式を直接に生じる。
【数2】
【0044】
この変換r(θ)を厳密にもたらす光学系を決定することが必要である。最も簡単な場合に、個々の区域は、この目的に十分である。この区域が適切にパラメータ化される場合に、第2の微分方程式がもたらされ、それと共に、次いで2つの非線形常微分方程式の連立系がもたらされる。実際問題において注目される1つの事例は、更に中間フォーカス23aを要求する場合である。中間フォーカス23aは、少なくとも2つの反射だけを用いて必要に応じて遠視野強度と合わせてもたらすことができる。この場合における例を用いて、ここで更に別の手順を以下に説明する。ここで、
図10Aに示すように、法線ミラーコレクターサブユニット23の場所にあるS1とかすめミラーコレクターサブユニット30の場所にあるS2という2つのミラーは、第1のミラーS1とプラズマの間の距離a
1と、第2のミラーS2のz座標z
2とを用いてパラメータ化される。a1に関する微分方程式を導出するために、ミラーS1が等ポテンシャル面ψ(ρ
2=x
2+y
2+z
2)を表す関数ψ(θ,ρ)から始める。θ及びρは、
図10Aの作図面内の極座標である。ここで、a
1に関する微分方程式をψの偏微分を用いて定式化することができる。
【数3】
(3)
【0045】
S1は、ψの等ポテンシャル面であるので、このミラーに対する局所法線
は、ψの勾配と平行でなければならない。
【数4】
【0046】
この式(4)では、γは比例定数である。
【0047】
以上により、ここで関数ψの偏微分を排除することができ、それによって第1のミラー面に対して求める条件式がもたらされる。
【数5】
【0048】
この例では第2のミラーと目標領域の間に中間フォーカス23aが要求されるので、z
2とrの間に単純な幾何学関係がもたらされる。
【数6】
【0049】
この場合に、dは、光源と中間フォーカス23aの間の距離である。r
S2は、ミラーS2のz座標である。Lは、遠視野17aと光源3の間の距離である。
【0050】
この関係から、ここで連鎖法則を用いてz
2の全微分を計算することができる。
【数7】
(7)
【0051】
次いで、少しの変換により、z
2に関する第3の微分方程式がもたらされる。
【数8】
【0052】
この場合に、mは、ミラーS2の面の勾配である。
【0053】
式(2)、(5)、及び(8)を使用することにより、3つの非線形連立常微分方程式の系が陽形式で存在することになり、これらの微分方程式は、初期値問題として標準の方法で容易に解くことができる。面S1に対する法線
に対してそれにも関わらず明示的には示されていないこれらの表現式は、反射の法則から簡単な方式でもたらされる。伝達率の評価に必要とされる入射角α
1及びα
2も同じく直接得られる。
【0054】
図3は、コレクター15の更に別の実施形態を示している。上述した図を参照して上述したものに対応する構成要素は同じ参照番号を伴い、これらに対して再度詳細に解説することはしない。
【0055】
図3に記載の実施形態において、一方で法線ミラーコレクターサブユニット23の集光ミラー区画27及び28と、他方でかすめミラーコレクターサブユニットの切頭円錐状ミラー30とは、各場合に放射線源3によって放出されるEUV放射線14の大きい立体角を網羅する。関わっているミラー面上への個々の光線26の入射角の大きい変化が相応に生じる。外側集光ミラー区画28の外縁の領域内の最大入射角αは約28°である。貫通開口部32の領域内の切頭円錐状ミラー30の内壁33上への最小入射角αは約55°である。従って、一方で法線入射に対して、他方でかすめ入射に対して上述の条件は、
図3に記載のコレクター15の実施形態の場合にも満たされる。
【0056】
図3に記載の実施形態において、遠視野17aは、
図10に関して説明したものと質的に同じく出現する。C、r
1、及びr
3に関する絶対値のみが相応にシフトする。
【0057】
図4を参照してコレクター15の更に別の実施形態を以下に説明する。上述した図を参照して上述したものに対応する構成要素は同じ参照番号を伴い、これらに対して再度詳細に解説することはしない。
【0058】
図4に記載のコレクター15のかすめミラーコレクターサブユニット35は、切頭円錐状ミラー30に加えて2つのかすめミラー区画36、37も含む。放射線源3と中間焦点面16内の中間フォーカスとの間には、2つのかすめミラー区画36、37の入力側中間フォーカス38が位置する。この中間フォーカス38は、鮮明には定められない。中間フォーカス38は、空間的に放射線源3と切頭円錐状ミラー30の先行貫通開口部31との間に位置する。かすめミラー区画36は、空間的に法線ミラーコレクターサブユニット23の外側集光ミラー区画28とかすめミラー区画37の間に配置され、先行貫通開口部31の領域内で切頭円錐状ミラー30を取り囲む。更に別のかすめミラー区画37は、第1のかすめミラー区画36に直接に隣接して配置され、2つの貫通開口部31と32の間の区画内で切頭円錐状ミラー30を取り囲む。
【0059】
切頭円錐状ミラー30及び法線ミラーコレクターサブユニット23は、その配置に関して、
図2に記載のコネクタ15に関して上述した構成要素に対応する。1つの相違点は、
図2に記載の実施形態の場合の外側集光ミラー区画28が、
図4に記載の集光ミラー23の場合に、今度は中心集光ミラー区画27と、
図4に記載の実施形態の場合の更に別の外側集光ミラー区画39との間に配置された中間集光ミラー区画を構成する点である。
【0060】
外側集光ミラー区画39は、この場合に、法線ミラーコレクターサブユニット23の中間集光ミラー区画28内に更に別の遷移領域40を通して融合する。遷移領域40においても、遷移領域29に関して上述したように、法線ミラーコレクターサブユニット23上への入射角において急激な変化が発生する。
【0061】
外側集光ミラー区画39では、法線ミラーコレクターサブユニット23によって捕捉されるEUV放射線源3からの放出光の立体角は再度増大し、
図4ではこれを個々の光線26の一点鎖線のビーム経路によって例示している。このビーム経路に沿って、EUV放射線14は、最初にかすめミラーコレクターサブユニット35の外側かすめミラー区画36において、次いで、更に別のかすめミラー区画37で反射され、そこから中間焦点面16内の中間フォーカスに向けて反射される。かすめミラー36、37における個々の光線26の入射角は、ここでもまた65°よりも大きい。
【0062】
図4に記載のコレクター15によって照明遠視野17a内に生成されるEUV放射線14の強度分布は、
図10を参照して上述した分布に質的に対応する。遠視野17aは、この場合に、3つの異なるコレクタービーム経路によって生成される。半径r
0とr
1の間では、遠視野17aは、中心集光ミラー区画27での反射によって生成される。半径r
1とr
2の間では、遠視野17aは、切頭円錐状ミラー30での反射によって生成される。半径r
2とr
3の間では、遠視野17aは、かすめミラー区画36及び37でのかすめ反射によって生成される。かすめミラー区画36及び37の場合のように、2つの連続するミラー上へのかすめ反射による光線偏向の分布は、これらのミラー上で大きい入射角をもたらす。ここで、反射率の積は、同じ全偏向角を有する個々の反射のものよりも大きい。
【0063】
図4に記載の実施形態の場合に、法線ミラー強度分布I
Nを生成するコレクタービーム経路におけるEUV放射線の反射回数は、かすめミラー強度分布を生成するコレクタービーム経路におけるEUV放射線の反射回数とは異なる。この反射面数Nは、法線ミラー強度分布に対するコレクタービーム経路の場合はN=1であり、かすめミラー強度分布I
Gに対するコレクタービーム経路の場合はN=2(
図10に破線で示すr
1からr
2までの半径範囲)、又はN=3(
図10に一点鎖線で示すr
2とr
3の間の半径範囲)である。
【0064】
かすめミラーコレクターサブユニット35のミラーは、互いに内外に位置するので、この配置を入れ子ミラー配置とも表している。
【0065】
図5を参照してコレクター15の更に別の実施形態を以下に説明する。上述した図を参照して上述したものに対応する構成要素は同じ参照番号を伴い、これらに対して再度詳細に解説することはしない。
【0066】
基本構造に関して、
図5に記載のコレクター15は、
図4に記載のものに対応する。この基本構造に加えて、
図5に記載のコレクター15の場合のかすめミラーコレクターサブユニット41は、2つの更に別のかすめミラー区画42、43を有する。これらの区画42、43の入力側焦点は、放射線源3と一致する。これらの区画42、43の出力側焦点の方は、中間焦点面16内の中間フォーカスと一致する。
【0067】
かすめミラー区画42は、かすめミラー区画36の入射側貫通開口部の領域内でかすめミラー区画36を取り囲む。更に別のかすめミラー区画43は、かすめミラー区画37を取り囲む。EUV放射線14は、かすめミラー区画42、43を通して放射線源3から中間焦点面16内の中間フォーカスに向けて直接に、すなわち、法線ミラーコレクターサブユニット23での反射を介さずに案内される。このようにして案内されるEUV放射線14のビーム経路は、放射線源3からかすめミラー区画42に直接延び、そこからかすめミラー区画43へ、更にそこから中間焦点面16内の中間フォーカスに延びている。
【0068】
かすめミラー区画36、37、42、及び43の場合に、EUV放射線14は、各場合に内壁上に入射する。かすめミラー区画42、43におけるEUV放射線の入射角は、ここでもまた各場合に65°よりも大きい。
【0069】
かすめミラー区画42、43を使用すると、追加の第4のコレクタービーム経路により、遠視野17a内のより大きい半径の場所に更に別の遠視野区画が生成される。生成される遠視野は、ここでもまた、
図10を参照して上述した半径方向強度分布に質的に対応する。かすめミラー区画42、43を使用すると、範囲r>r
3内に強度I=C・I
maxを有する遠視野の続き部分を生成することができる。
【0070】
図6を参照してコレクター15の更に別の実施形態を以下に説明する。上述した図を参照して上述したものに対応する構成要素は同じ参照番号を伴い、これらに対して再度詳細に解説することはしない。
【0071】
図6に記載のコレクターミラー15の場合に、法線ミラーコレクターサブユニット44は、
図2に記載の実施形態に対応する集光ミラー23に加えて更に別の集光ミラー区画45も有する。集光ミラー区画45上への入射角は、約α=35°の範囲にある。従って、上記に指定した法線入射に対する条件は、この場合にも満たされる。
【0072】
集光ミラー区画45は、その主開口部46の背後で集光ミラー23に続き、この場合に、この主開口部46の領域内では集光ミラー区画45の直径は集光ミラー23のものよりも大きく、従って、集光ミラー区画45は、集光ミラー23とは別個の構成要素を構成する。集光ミラー区画45は、放射線源3から射出するEUV放射線14のより広い立体角度範囲を捕捉する。個々の光線26の関連のビーム経路を
図6に一点鎖線形式で例示している。
【0073】
図6に記載のコレクター15のかすめミラーコレクターサブユニット47は、切頭円錐状ミラー30に加えて更に別のかすめミラー区画48も含む。かすめミラー区画48は、切頭円錐状ミラー30を取り囲む。EUV放射線14は、光軸24に関して外側からかすめミラー48上に入射する。集光ミラー区画45上に直接入射するEUV放射線14の個々の光線26は、集光ミラー区画45からかすめミラー区画48に向けて反射され、かすめミラー区画48は、EUV放射線を更に中間焦点面16内の中間フォーカスに向けてかすめ方式で伝達する。
【0074】
図6に記載のコレクター15によって生成される照明遠視野17aの場合に、
図2に記載のコレクター15の遠視野に加えて、範囲r>r
2(
図10を参照されたい)内に強度Iの遠視野成分がもたらされ、この遠視野成分は、この場合に、C・I
maxの値を有することができる。従って、
図6に記載のコレクター15の照明遠視野は、ここでもまた
図10に関して上述したものに質的に対応する。
【0075】
この過程内で焦点距離又は中間フォーカスにおける開口を変更することなしに、コレクターミラーの作動距離を増大させることも可能である。これを
図7に記載のコレクター15を参照して以下に説明する。上述した図を参照して上述したものに対応する構成要素は同じ参照番号を伴い、これらに対して再度詳細に解説することはしない。
【0076】
図7に記載のコレクター15の法線ミラーコレクターサブユニット49の場合に、放射線源3と貫通開口部25の領域内の集光ミラー49との間の作動距離Aは、
図7に比較目的で描写する
図2に記載のコレクター15の対応する作動距離A’と比較して有意に大きい。他の点では、
図7に記載の実施形態は、
図2に記載のものに質的に対応する。
【0077】
作動距離Aを増大させることにより、単位面積当たりのミラー上への汚染物の衝突が相応に低減されるので、ミラーの寿命を延長させることができる。中間フォーカスにおける開口が、増大する作動距離Aの場合に一定に保たれるように、強度密度は、他の点では
図10に記載のものに質的に対応するそのプロファイルをr
1とr
2の間の範囲においてC
2>C
1が成り立つ値C
1・I
maxと値C
2・I
maxの間で一定の勾配で増大させることができる。次いで、半径r
2から始めて、強度I(r)を照明遠視野17aの縁部に至るまでC
2・I
maxにおいて前と同じく一定にすることができる。
【0078】
これに代えて、強度分布I(r)をレチクル7の照明が可能な限り均一になるように調整することができる。同じく内部に2つの反射を与える入れ子コレクターが使用される場合に、一定の遠視野照明及び中間フォーカスにおける有意に小さい開口数の場合であっても、大きい作動距離を得ることができる。
図8を参照してこれを以下に説明する。上述した図を参照して上述したものに対応する構成要素は同じ参照番号を伴い、これらに対して再度詳細に解説することはしない。
【0079】
図7に記載の実施形態とは対照的に、
図8に記載のコレクター15は、切頭円錐状ミラー30に加えて更に別の切頭円錐状ミラー51を有するかすめミラーコレクターサブユニット50を有する。この更に別の切頭円錐状ミラー51は、切頭円錐状ミラー30の出口側貫通開口部32の領域に配置される。EUV放射線は、切頭円錐状ミラー51の内壁52から反射される。EUV放射線のビーム経路は、ここでもまた放射線源3から発せられ、次いで、法線ミラーコレクターサブユニット23の中心集光ミラー区画27で反射され、そこから切頭円錐状ミラー51の内壁52でかすめ方式で反射される。それによってここでもまた、質的に
図7に記載のコレクター15に関してかつ
図10に関して上述したような強度分布を照明遠視野17aに達成することが可能である。特に、コレクターのこの実施形態は、光源モジュールの遠視野を全体の使用範囲にわたって一定に保つことに成功する。
【0080】
かすめミラーコレクターサブユニットのミラーに対する高反射コーティングとしてルテニウムコーティングを使用することができる。入射角が70°よりも小さい場合に、ミラーは、2つの異なる層タイプを用いて被覆することができる。
【0081】
特に、集光ミラー23の異なるミラー領域、例えば、ミラー区画27及び28にそれぞれ存在する入射角に対してEUV放射線14の可能な最も高い反射を与えるために、これらの領域を異なる層タイプを用いて又は変化する層厚を有する層タイプを用いて被覆することができる。異なる層タイプの例は、WO 2012/126867 A1によって示されている。
【0082】
コレクターが入れ子方式で具現化される場合に、例えば、r
0とr
3の間の半径範囲(
図10を参照されたい)内の異なるコレクタービーム経路間の遷移において発生する遠視野17a内のギャップは、入れ子ミラー、例えば、
図4に記載の実施形態におけるミラー30、
図5に記載の実施形態におけるミラー30及び37、又は
図6に記載の実施形態におけるミラー30の中間焦点面16内の中間フォーカスに対面する端部領域が面取り形式で延びるか、又は光が中間焦点面16内の中間フォーカスにおいて若干ぼかされることによって回避することができる。
【0083】
コレクターの異なる部分の間、例えば、遷移領域29又は40内の遷移が継ぎ目のない形式で可能ではない場合に、伝達率の代償として得られる角度スペクトル内にギャップが残される可能性がある。しかし、この場合に、ミラーは、光源モジュール、すなわち、放射線源3の出力における角度分布、特に照明系の第1のファセットの照明がギャップを持たないように成形される。
【0084】
図10及び
図10Aに関して上述したものと類似の方式で、関わっているミラーサブユニットの配置及び設計を予め定めるための類似の微分方程式系を
図3から
図8に関して上述したコレクターの幾何学形状に対して導出することができる。この関連で、いくつかの例を以下に同じく概説する。
【0085】
これまで望ましい強度I(r)だけを重視してきた。しかし、光源が非常に異方的に(Q(θ)内に大量の構造がある)放出を行うか、又は伝達率が立体角にわたって有意に変化する場合に、プラズマから中間フォーカスへの結像スケールの有意な変化が引き起こされる。しかし、一般的に、中間フォーカスは小さいファセット上に結像される。この目的のためには、放出角に依存しない中間フォーカスにプラズマ像を生成することが有利である。この生成は、上述の手法を用いてT(θ)及びQ(θ)を一定に設定し、I(r)を中間フォーカスにおける角度の余弦に比例するように選択することによって達成される。プラズマを円形にせず、従って、結像スケールをI(r)の適切な選択によって目標を定めた方式で変化させることも考えられる。
【0086】
複数の入れ子コレクターシェルを有する変形では、有限厚のミラーは、目標領域内に影が発生することを確実にする。遷移領域内で中間フォーカスの位置を若干変更することによって(d=d
0+Δd(θ))、これらの影をぼかすことができる。
【0087】
本方法は、2つよりも多い反射に拡張することができる。しかし、この場合に、解を一意的なものにするために、追加の境界条件(すなわち、更に別の微分方程式)が必要である。これらの境界条件は、例えば、追加の中間フォーカス、又は
図4及び
図5の場合のように入射角に関する境界条件(各場合に光円錐の外側の一点鎖線又は破線の部分)とすることができる。入射角に関する境界条件は、これらの例では各々かすめ方式で入射を受ける2つのミラー上で同一であるように設計される。それによってこのミラー組合せの伝達率が増大する。
【0088】
図9は、照明遠視野17aが入射する視野ファセットミラー17の平面図を示している。視野ファセットミラー17の全体反射面53は、複数のファセットモジュール54に再分割される。ファセットモジュール54は、更にファセットミラー又は個々のミラーに再分割することができる。これに代えて、各ファセットモジュール54は、単一ファセットミラーを構成することができる。視野ファセットミラー17の全体反射面53の外側輪郭55は、遠視野の外側強度領域56を完全に包含する。言い換えれば、外側輪郭55は、常に外側強度領域56と少なくとも同じサイズのものである。従って、ファセットモジュール54の配置は、コレクター15によって照明される照明遠視野17aを完全に網羅する。
【0089】
遠視野17aの外側強度領域56は、全体反射面53の外側輪郭55に内接する全円を構成する。
【0090】
外側強度領域56は、遠視野17aの中心(r=0)から最も遠くに離れ、遠視野17a内の最大強度I
maxの少なくとも5%が到達する遠視野17aの強度分布I(r)の領域である。
図9及び
図10に記載の概略図では、この外側強度領域56は、半径値r
3の場所に位置する。
【0091】
図9は、これに加えて、第1のファセットミラー17の全体反射面53を張る局所直交xy座標系を描写している。この局所座標系のy方向は、
図1の座標系のy方向と平行に延びている。
【0092】
全体反射面53の中心57を通る中心x軸に関して小さいy距離の範囲に、遠視野17aは、その構成に依存する方式で、内部にいかなるファセットモジュール54も配置されないギャップ58を有する。
【0093】
図9に記載のファセットミラー17は、照明光学ユニット4又は照明系2内で上述のコレクター変形のうちの1つと共に使用することができる。
【0094】
図11を参照して
図1に記載の照明系2内の照明光学ユニット4の更に別の実施形態を以下に説明する。上述したものに対応する構成要素は同じ参照番号を伴い、これらに対して再度詳細に解説することはしない。
【0095】
図11では、コレクター15を概略的にしか示していない。コレクター15は、上述の実施形態のうちの1つを含むことができる。
図11に記載の照明光学ユニット4の場合に、瞳ファセットミラー18は、物体視野5の下流に配置された投影光学ユニット9の入射瞳内にちょうど収まる。従って、
図1に関して説明した伝達光学ユニットを割愛することができる。物体視野5は、0.162という開口数で照明される。
【0096】
図11に記載の照明光学ユニット4の場合に、中間焦点面16内の中間フォーカスは、瞳ファセットミラー18と空間的に直ぐ隣に位置する。その結果、相応に空間的に小型の非常に幅狭に折り返された照明系2がもたらされる。説明した実施形態のコレクター15は、z方向に有利に小さい広がりのみを有するので、この場合に特に適切である。
【0097】
説明した様々なコレクター実施形態におけるEUV放射線14に対するそれぞれのビーム経路内の各ミラー上には、特にブラッグ反射を用いて異なる波長領域を抑制するのに適切な回折格子を装着することができる。ここで、追加の中間フォーカスは有用であるが、絶対に必要というわけではない。
【0098】
異なる格子周期を有するそのような回折格子59、60を
図8のミラー30、51上に非常に概略的に示している。
【0099】
対応する回折格子59、60を
図4に記載の実施形態のミラー36、37上にも示している。
【0100】
上述のコレクター変形のうちの1つを有する投影露光装置1の使用中に、レチクル7と、照明光14に対して感光性を有するコーティングを担持するウェーハ12とが与えられ、次いで、投影露光装置1を用いて、レチクル7のうちの少なくとも1つの区画がウェーハ12上に投影される。最後に、ウェーハ12上に照明光ビーム14によって露光された感光層が現像される。このようにして微細又はナノ構造化構成要素、例えば、半導体チップが生成される。