(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリビニルアセタール樹脂、アイオノマー樹脂およびエチレン酢酸ビニル共重合体系樹脂からなる群より選ばれる1種以上の樹脂、及び熱可塑性エラストマーを含有するA層を有する合わせガラス用中間膜であって、
A層に前記熱可塑性エラストマーが分散しており、
熱可塑性エラストマーの屈折率が1.490以上であり、
前記樹脂と熱可塑性エラストマーの屈折率の差が0.003以上であり、
厚さ3mmのフロートガラス2枚の間に、該合わせガラス用中間膜を配置して合わせガラスとした場合に、ヘイズが10%以上となり、全光線透過率が80%以上となる、合わせガラス用中間膜。
熱可塑性エラストマーについてJIS K7244−10に準じて周波数1Hzの条件で複素せん断粘度試験を行うことで測定されるtanδが最大となるピークの温度が−50〜25℃である、請求項1〜3のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
B層が、ポリビニルアセタール樹脂、アイオノマー系樹脂およびエチレン酢酸ビニル共重合体系樹脂からなる群より選ばれる1種以上の樹脂を含有する、請求項6または7に記載の合わせガラス用中間膜。
熱可塑性エラストマーを含有する層と、ポリビニルアセタール樹脂、アイオノマー樹脂、およびエチレン酢酸ビニル共重合体からなる群より選ばれる樹脂を含有する層とをそれぞれ少なくとも一層ずつ有する積層中間膜を溶融混錬してA層を製造する工程を含む、請求項1〜14のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0016】
[A層]
本発明は、ポリビニルアセタール樹脂、アイオノマー樹脂およびエチレン酢酸ビニル共重合体系樹脂からなる群より選ばれる1種以上の樹脂と、熱可塑性エラストマーとを含有するA層を有する合わせガラス用中間膜に関する。
【0017】
A層にポリビニルアセタール樹脂、アイオノマー樹脂およびエチレン酢酸ビニル共重合体系樹脂からなる群より選ばれる1種以上の樹脂を含有させることにより、合わせガラス用中間膜の耐候性や強度を向上させたり、合わせガラス用中間膜とガラスとの接着性を向上させたりすることができる。また、合わせガラス用中間膜として実用化したときに、破損してもガラスが飛散しにくい安全ガラスとすることができる。
【0018】
(ポリビニルアセタール樹脂)
ポリビニルアセタール樹脂のビニルアセテート単位の含有量は、30モル%以下であることが好ましい。ビニルアセテート単位の含有量が30モル%を超えると、ポリビニルアセタール樹脂の製造時にブロッキングを起こしやすくなるため、製造しにくくなることがある。ビニルアセテート単位の含有量は、20モル%以下であることがより好ましく、5モル%以下であることがさらに好ましい。
【0019】
ポリビニルアセタール樹脂のビニルアルコール単位の平均含有量は、15モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることがより好ましく、25モル%以上であることがさらに好ましい。ビニルアルコール単位の平均含有量が15モル%未満であると、ポリビニルアセタール樹脂の製造コストが高くなったり、得られる中間膜の破断強度が低下したり、A層とガラスとの接着性が低下したりする傾向にある。
【0020】
ポリビニルアセタール樹脂のビニルアルコール単位の平均含有量は、40モル%以下であることが好ましく、35モル%以下であることがより好ましく、30モル%以下であることがさらに好ましい。ビニルアルコール単位の平均含有量が40モル%を超えると、A層に可塑剤を含有させた場合に、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が低下してブリードアウトなどの問題が生じたり、A層の吸湿性が高くなって、A層が白化したり、A層がガラスから剥離したりしやすくなる傾向にある。
【0021】
ポリビニルアセタール樹脂は、通常、ビニルアセタール単位、ビニルアルコール単位およびビニルアセテート単位から構成されており、これらの各単位量は、例えば、JIS K 6728「ポリビニルブチラール試験方法」や核磁気共鳴法(NMR)によって測定することができる。
【0022】
ポリビニルアセタール樹脂が、ビニルアセタール単位以外の構成単位を含む場合は、ビニルアルコールの単位量とビニルアセテートの単位量を測定し、これらの両単位量をビニルアセタール単位以外の構成単位を含まない場合のビニルアセタール単位量から差し引くことで、ビニルアセタール単位以外の単位量を算出することができる。
【0023】
ポリビニルアセタール樹脂は、従来公知の方法により製造することができ、代表的には、ポリビニルアルコールにアルデヒド類を用いてアセタール化することにより製造することができる。具体的には、ポリビニルアルコールを温水に溶解し、得られた水溶液を所定の温度、例えば、0℃以上、好ましくは5℃以上、90℃以下、好ましくは20℃以下に保持しておいて、所要の酸触媒およびアルデヒド類を加え、撹拌しながらアセタール化反応を進行させ、次いで、反応温度を40〜80℃に上げて熟成して、反応を完結させ、その後、中和、水洗および乾燥を行って、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得る方法等が挙げられる。
【0024】
ポリビニルアセタール樹脂の原料となるポリビニルアルコールの粘度平均重合度は、ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して可塑剤量が25質量部未満の場合には500以上であることが好ましく、900以上であることがより好ましく、可塑剤量が25質量部以上の場合には1000以上であることがより好ましく、1500以上であることがさらに好ましい。ポリビニルアルコールの粘度平均重合度が低すぎると、耐貫通性、耐クリープ物性、特に85℃、85%RHのような高温高湿条件下での耐クリープ物性が低下することがある。また、ポリビニルアルコールの粘度平均重合度は、ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して可塑剤量が25質量部以上の場合には5000以下であることが好ましく、3000以下であることがより好ましく、2500以下であることがさらに好ましく、2300以下であることが特に好ましく、2000以下であることが最も好ましく、可塑剤量が25質量部未満の場合には、2000以下が好ましく、1800以下がより好ましく、1500以下がさらに好ましい。ポリビニルアルコールの粘度平均重合度が高すぎると樹脂膜の成形が難しくなることがある。
【0025】
なお、JIS K 6728では、ポリビニルアセタール樹脂の粘度平均重合度は、原料となるポリビニルアルコールの粘度平均重合度と一致するため、上記したポリビニルアルコールの好ましい粘度平均重合度はポリビニルアセタール樹脂の好ましい粘度平均重合度と一致する。
【0026】
得られるポリビニルアセタール樹脂のビニルアセテート単位は30モル%以下に設定することが好ましいため、ケン化度が70モル%以上のポリビニルアルコールを使用することが好ましい。ポリビニルアルコールのケン化度が70モル%未満となると、樹脂の耐熱性が低下することがあり、またアルデヒド類との反応性も低下することがある。ケン化度は、より好ましくは80モル%以上のものであり、さらに好ましくは95モル%以上のものである。
【0027】
ポリビニルアルコールの粘度平均重合度およびケン化度は、例えば、JIS K 6726「ポリビニルアルコール試験方法」に基づいて測定することができる。
【0028】
ポリビニルアルコールのアセタール化に用いるアルデヒド類は、炭素数1以上で、炭素数12以下のアルデヒドが好ましい。アルデヒドの炭素数が12を超えるとアセタール化の反応性が低下し、しかも反応中にポリビニルアセタール樹脂のブロックが発生しやすくなり、ポリビニルアセタール樹脂の合成に困難を伴い易くなる。
【0029】
アルデヒド類の種類は、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘプチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド等の脂肪族、芳香族、脂環式アルデヒドが挙げられる。これらのうちでも炭素数2以上で、炭素数6以下の脂肪族アルデヒドが好ましく、中でもブチルアルデヒドが特に好ましい。また、上記アルデヒド類は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。更に、多官能アルデヒド類やその他の官能基を有するアルデヒド類などを全アルデヒド類の20質量%以下の範囲で少量併用してもよい。
【0030】
ポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂が最も好ましいが、ポリビニルブチラール樹脂としては、ビニルエステルと他の単量体との共重合体をケン化して得られるポリビニルアルコール系重合体を、ブチルアルデヒドを用いてブチラール化した変性ポリビニルブチラール樹脂を用いることができる。ここで、該他の単量体とは、例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレン等のα−オレフィン;アクリル酸およびその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド;N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N−メチロールメタクリルアミドおよびその誘導体等のメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;塩化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン類;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸およびその塩、そのエステルまたはその無水物;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニル等が挙げられる。その他、原料となるポリビニルアルコール系重合体またはポリアセタール樹脂に対してグラフト反応やその他の変性反応を用いて変性されたものを用いることができる。
【0031】
(アイオノマー樹脂)
アイオノマー樹脂の種類は、例えば、エチレン由来の構成単位、およびα,β−不飽和カルボン酸に由来の構成単位を有し、α,β−不飽和カルボン酸の少なくとも一部が金属イオンによって中和された樹脂が挙げられる。金属イオンとしては、例えば、ナトリウムイオンやマグネシウムイオンが挙げられる。ベースポリマーとなるエチレン・α,β−不飽和カルボン酸共重合体において、α,β−不飽和カルボン酸の構成単位の含有割合は、2質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。また、α,β−不飽和カルボン酸の構成単位の含有割合は、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。本発明においては、入手のしやすさの点から、エチレン・アクリル酸共重合体のアイオノマー樹脂、およびエチレン・メタクリル酸共重合体のアイオノマー樹脂が好ましい。エチレン系アイオノマーの例としては、エチレン・アクリル酸共重合体のナトリウムアイオノマーまたはマグネシウムアイオノマー、エチレン・メタクリル酸共重合体のナトリウムアイオノマーまたはマグネシウムアイオノマーを、特に好ましい例として挙げることができる。
【0032】
アイオノマー樹脂を構成するα、β―不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸などが挙げられるが、アクリル酸またはメタクリル酸が特に好ましい。
【0033】
(エチレン酢酸ビニル共重合体系樹脂)
エチレン酢酸ビニル共重合体系樹脂において、エチレン部分、酢酸ビニル部分の合計に対する酢酸ビニル部分の割合は、50モル%未満であることが好ましく、30モル%未満であることがより好ましく、20モル%未満であることがさらに好ましく、15モル%未満であることが好ましい。エチレン部分、酢酸ビニル部分の合計に対する酢酸ビニル部分の割合が50モル%未満であると、合わせガラス用中間膜に必要な力学強度と柔軟性が好適に発現される傾向にある。
【0034】
(熱可塑性エラストマー)
本発明の合わせガラス用中間膜におけるA層において、ポリビニルアセタール樹脂、アイオノマー樹脂およびエチレン酢酸ビニル共重合体系樹脂からなる群より選ばれる1種以上の樹脂(以下、ポリビニルアセタール樹脂等と総称することがある。)の連続相中に、熱可塑性エラストマーを分散させることにより、高い全光線透過率と良好な光拡散性を両立させることができ、耐衝撃性、ならびに破断伸度、破断強度、および破断エネルギーを向上させたりすることができる。特に、A層における可塑剤の含有量が少ない場合には、合わせガラスの耐貫通性が向上するようになる。
【0035】
熱可塑性エラストマーは、加熱すると軟化して可塑性を示し、冷却すると固化してゴム弾性を示す高分子化合物であり、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブダジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、ハードセグメントとソフトセグメントを有するブロック共重合体を使用することがより好ましい。
【0036】
ハードセグメントとソフトセグメントを有するブロック共重合体の種類は、例えば、スチレン/ジエン系エラストマー(ソフトセグメント;ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエンとイソプレンの共重合体などのポリジエン、またはその水素添加(以下、「水添」と略称することがある)体など/ハードセグメント;ポリスチレンなど)、アクリル系エラストマー(ソフトセグメント;ポリアクリレートなど/ハードセグメント;ポリメタクリレートなど)、ポリプロピレン/ポリエチレン系エラストマー(ソフトセグメント;エチレンプロピレンゴム/ハードセグメント;ポリプロピレン)、ポリ塩化ビニル系エラストマー(ソフトセグメント;ポリ塩化ビニル/ハードセグメント;ポリ塩化ビニル)、ポリウレタン系エラストマー(ソフトセグメント;ポリエーテル、ポリエステル/ハードセグメント;ポリウレタン)、ポリエステル系エラストマー(ソフトセグメント;ポリエーテル/ハードセグメント;ポリエステル)、ポリアミド系エラストマー(ソフトセグメント;ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールもしくはポリエステル系、ポリエーテル系/ハードセグメント;ポリアミド<ナイロン樹脂>)、ポリブタジエン系エラストマー(ソフトセグメント;非晶性ブチルゴム/ハードセグメント;シンジオタクチック1、2−ポリブタジエン樹脂)などが挙げられる。なお、上記熱可塑性エラストマーは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
上記熱可塑性エラストマーの中でも、ポリビニルアセタール樹脂等と適度な親和性を有するスチレン/ジエン系エラストマーまたはアクリル系エラストマーが好ましく、スチレン/ジエン系エラストマーとしてはポリスチレンブロックおよびポリジエン系ブロックを有するもの、アクリル系エラストマーとしてはポリメタクリレートブロックおよびポリアクリレートブロックを有するものが特に好ましい。
【0038】
熱可塑性エラストマーとして、スチレン/ジエン系エラストマー、すなわち、芳香族ビニル重合体ブロックと、ビニル重合体ブロックまたは共役ジエン重合体ブロックとの共重合体、例えば、芳香族ビニル重合体ブロックおよび脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロックを有するブロック共重合体(以下、単に「ブロック共重合体」と略称することがある)を用いる場合、これらの重合体ブロックの結合形態は特に制限されず、直鎖状、分岐状、放射状、またはこれらの2つ以上が組み合わさった結合形態のいずれであってもよいが、直鎖状の結合形態であることが好ましい。
【0039】
直鎖状の結合形態の例としては、芳香族ビニル重合体ブロックをaで、脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロックをbで表したとき、a−bで表されるジブロック共重合体、a−b−aまたはb−а−bで表されるトリブロック共重合体、a−b−a−bで表されるテトラブロック共重合体、a−b−a−b−aまたはb−a−b−a−bで表されるペンタブロック共重合体、(а−b)nX型共重合体(Xはカップリング残基を表し、nは2以上の整数を表す)、およびこれらの混合物が挙げられる。これらの中でも、ジブロック共重合体またはトリブロック共重合体が好ましく、トリブロック共重合体としては、a−b−aで表されるトリブロック共重合体であることがより好ましい。
【0040】
ブロック共重合体における芳香族ビニル単量体単位および脂肪族不飽和炭化水素単量体単位の合計量は、全単量体単位に対して80質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、98質量%以上であることがさらに好ましい。なお、前記ブロック共重合体中の脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロックは、一部またはすべてが水素添加されたものでもよい。
【0041】
ブロック共重合体における芳香族ビニル単量体単位の含有量は、ブロック共重合体の全単量体単位に対して30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、22質量%以下であることがさらに好ましい。芳香族ビニル単量体単位の含有量は、5質量%以上であることがより好ましく、8質量%以上であることがさらに好ましく、12質量%以上であることが特に好ましい。ブロック共重合体における芳香族ビニル単量体単位の含有量が5質量%未満になると、取扱い性が困難となる傾向にある。ブロック共重合体における芳香族ビニル単量体単位の含有量が30質量%を超えると、耐衝撃性が低下する傾向にある。
【0042】
芳香族ビニル重合体ブロック中には、本発明の効果を損なわない範囲で芳香族ビニル単量体以外の単量体が共重合されていてもよい。芳香族ビニル重合体ブロック中の芳香族ビニル単量体単位の割合は、芳香族ビニル重合体ブロック中の全単量体単位に対して、80質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、98質量%以上であることがさらに好ましい。
【0043】
芳香族ビニル重合体ブロックを構成する芳香族ビニル単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレンなどのアルキルスチレン;2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレンなどのアリールスチレン;ハロゲン化スチレン;アルコキシスチレン;ビニル安息香酸エステルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0044】
ブロック共重合体における脂肪族不飽和炭化水素単量体単位の含有量は、ブロック共重合体の全単量体単位に対して60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。脂肪族不飽和炭化水素単量体単位の含有量は、ブロック共重合体の全単量体単位に対して95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、88質量%以下であることがさらに好ましい。ブロック共重合体における脂肪族不飽和炭化水素単量体単位の含有量が60質量%未満になると、熱可塑性エラストマーとしての特性が発揮されにくくなる傾向にある。ブロック共重合体における脂肪族不飽和炭化水素単量体単位の含有量が95質量%を超えると、取扱い性が低下する傾向にある。ブロック共重合体における脂肪族不飽和炭化水素単量体単位の含有量は、ブロック共重合体を合成する際の各単量体の仕込み比、ブロック共重合体の
1H−NMR等の測定結果から求めることができる。
【0045】
脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック中には、本発明の効果を損なわない範囲で脂肪族不飽和炭化水素単量体以外の単量体が共重合されていてもよい。脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック中の脂肪族不飽和炭化水素単量体単位の割合は、脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロック中の全単量単位に対して、80質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、98質量%以上であることがさらに好ましい。
【0046】
脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロックを構成する脂肪族不飽和炭化水素単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、4−フェニルー1−ブテン、6−フェニルー1−ヘキセン、3−メチルー1−ブテン、4−メチルー1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン、ヘキサフルオロプロペン、テトラフルオロエチレン、2−フルオロプロペン、フルオロエチレン、1,1−ジフルオロエチレン、3−フルオロプロペン、トリフルオロエチレン、3,4−ジクロロ−1−ブテン、ブタジエン、イソプレン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、アセチレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0047】
脂肪族不飽和炭化水素単量体は、入手容易性や取り扱い性の観点から、炭素数2以上の脂肪族不飽和炭化水素が好ましく、炭素数4以上の脂肪族炭化水素がより好ましい。炭素数12以下の脂肪族不飽和炭化水素が好ましく、炭素数8以下の脂肪族炭化水素がより好ましい。また、脂肪族不飽和炭化水素単量体は、入手容易性や取り扱い性、合成のしやすさの観点から、共役ジエンが好ましい。中でも、ブタジエンまたはイソプレンを用いることが好ましく、ブタジエンおよびイソプレンを併用することがより好ましい。
【0048】
熱安定性および光安定性を向上させる観点から、脂肪族不飽和炭化水素重合体ブロックの構成単位として共役ジエンを用いる場合は、その一部または全部が水添された水添物であることが好ましい。その際の水添率は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。ここで、水添率とは、水素添加反応前後のブロック共重合体のヨウ素価を測定して得られる値である。
【0049】
ブロック共重合体の重量平均分子量は、その力学特性、成形加工性の観点から、30,000以上であることが好ましく、50,000以上であることがより好ましく、400,000以下であることが好ましく、300,000以下であることがより好ましい。ブロック共重合体の重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は、1.0以上であることが好ましく、2.0以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましい。ここで、重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によって求めたポリスチレン換算の重量平均分子量であり、数平均分子量とは、GPC測定によって求めたポリスチレン換算の数平均分子量である。
【0050】
ブロック共重合体の製造方法は、例えばアニオン重合法、カチオン重合法、ラジカル重合法などにより製造することができる。例えばアニオン重合の場合、具体的には、
(i)アルキルリチウム化合物を開始剤として用い、芳香族ビニル単量体、共役ジエン単量体、次いで芳香族ビニル単量体を逐次重合させる方法;
(ii)アルキルリチウム化合物を開始剤として用い、芳香族ビニル単量体、共役ジエン単量体を逐次重合させ、次いでカップリング剤を加えてカップリングする方法;
(iii)ジリチウム化合物を開始剤として用い、共役ジエン単量体、次いで芳香族ビニル単量体を逐次重合させる方法などが挙げられる。
【0051】
脂肪族不飽和炭化水素単量体として共役ジエンを用いる場合、アニオン重合の際に有機ルイス塩基を添加することによって、熱可塑性エラストマーの1,2−結合量および3,4−結合量を増やすことができ、該有機ルイス塩基の添加量によって、熱可塑性エラストマーの1,2−結合量および3,4−結合量を容易に制御することができる。
【0052】
該有機ルイス塩基としては、例えば、酢酸エチルなどのエステル;トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、N−メチルモルホリンなどのアミン;ピリジンなどの含窒素複素環式芳香族化合物;ジメチルアセトアミドなどのアミド;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンなどのエーテル;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトンなどが挙げられる。
【0053】
未水添のポリスチレン系エラストマーを水素添加反応に付す場合、水素添加触媒に対して不活性な溶媒に得られた未水添のポリスチレン系エラストマーを溶解させるか、または、未水添のポリスチレン系エラストマーを反応液から単離せずにそのまま用い、水素添加触媒の存在下、水素と反応させることにより行うことができる。
【0054】
水素添加触媒としては、例えばラネーニッケル;Pt、Pd、Ru、Rh、Niなどの金属をカーボン、アルミナ、珪藻土などの単体に担持させた不均一系触媒;遷移金属化合物とアルキルアルミニウム化合物、アルキルリチウム化合物などとの組み合わせからなるチーグラー系触媒;メタロセン系触媒などが挙げられる。水素添加反応は、通常、水素圧力0.1MPa以上、20MPa以下で、反応温度20℃以上、250℃以下で、反応時間0.1時間以上、100時間以下の条件で行なうことができる。
【0055】
熱可塑性エラストマーのガラス転移温度は、−50℃以上であることが好ましく、−35℃以上であることがより好ましく、−20℃以上であることがさらに好ましい。熱可塑性エラストマーのガラス転移温度が−50℃未満であると、リサイクル前の積層遮音膜の室温付近における遮音性が低下する傾向にある。
【0056】
熱可塑性エラストマーのガラス転移温度は、10℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましく、−5℃以下であることがさらに好ましく、−10℃以下であることが特に好ましい。熱可塑性エラストマーのガラス転移温度が10℃を超えると、リサイクル前の積層遮音膜の室温付近における遮音性や、A層の耐衝撃性が低下する傾向にある。熱可塑性エラストマーのガラス転移温度が10℃以下である場合であって、特に、A層における可塑剤の含有量が少ない場合には、合わせガラスの耐貫通性が向上する。
【0057】
熱可塑性エラストマーのガラス転移温度を−50℃以上10℃以下とするための方法としては、熱可塑性エラストマーの種類を適宜選択する方法などが挙げられる。なお、ガラス転移温度の測定には、DSC(10℃/minで昇温)を用いることができる。
【0058】
A層におけるポリビニルアセタール樹脂等100質量部に対する熱可塑性エラストマーの含有量は、1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることがさらに好ましく、10質量部以上であることが特に好ましい。A層におけるポリビニルアセタール樹脂等100質量部に対する熱可塑性エラストマーの含有量が、1質量部未満であると、十分な光拡散性が得られない傾向にある。一方、優れた全光線透過率を得る観点から、ポリビニルアセタール樹脂等100質量部に対する熱可塑性エラストマーの含有量は、100質量部未満であることが好ましく、80質量部未満であることがより好ましく、60質量部未満であることがさらに好ましい。
【0059】
ところで、粘弾性体に正弦波形のひずみを印加したときの応力の応答は、複素弾性率として定義される。このとき、印加するひずみの正弦波と応答として得られる応力の正弦波の間には、位相のずれが生じ、この位相差はδで表される。また、複素弾性率は、複素数を用いた等式で表され、複素弾性率の実部は貯蔵弾性率、虚部は損失弾性率と呼ばれる。特に、せん断モードで粘弾性体の動的粘弾性特性を測定する場合は、それぞれを、複素せん断弾性率、せん断貯蔵弾性率、せん断損失弾性率と呼ぶ。損失弾性率を貯蔵弾性率で除したものは、損失正接と呼ばれ、tanδで表される。
【0060】
熱可塑性エラストマーは、JIS K7244−10に準じて周波数1Hzの条件で複素せん断粘度試験を行うことで測定されるtanδが最大となるピークを、−50℃以上で有することが好ましく、−25℃以上で有することがより好ましく、−20℃以上で有することがさらに好ましい。上記条件下でtanδピーク温度が−50℃未満であると、室温付近におけるリサイクル前の遮音膜の遮音性が低下する傾向にある。
【0061】
リサイクル原料となる積層遮音膜に使用される熱可塑性エラストマーについてJIS K7244−10に準じて周波数1Hzの条件で複素せん断粘度試験を行うことで測定されるtanδが最大となるピークの温度は、25℃以下であることが好ましく、10℃以下であることがより好ましく、0℃以下であることがさらに好ましく、−5℃以下であることが特に好ましい。上記tanδのピーク温度が25℃を超えると、室温付近におけるリサイクル前の遮音膜の遮音性が低下する傾向にある。具体的には、上記tanδは後述する実施例に記載の方法により測定される。
【0062】
熱可塑性エラストマーについてJIS K7244−10に準じて周波数1Hzの条件で複素せん断粘度試験を行うことで測定されるtanδが最大となるピークの温度を、−50℃以上25℃以下とするための方法としては、熱可塑性エラストマーの種類を適宜選択する方法などが挙げられる。
【0063】
熱可塑性エラストマーは、JIS K 7244−10に準じて周波数1Hzの条件で複素せん断粘度試験を行うことで測定される少なくとも一つのtanδのピークの高さは、0.2以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、0.75以上がさらに好ましく、0.8以上であることが特に好ましい。上記条件下のtanδのピークの高さが0.2未満であると、リサイクル前の積層遮音膜の遮音性が低くなる傾向にある。
【0064】
A層におけるポリビニルアセタール樹脂等100質量部に対する熱可塑性エラストマーの含有量は100質量部未満であることが好ましく、60質量部未満であることがより好ましく、40質量部未満であることがさらに好ましく、20質量部未満であることが特に好ましい。A層におけるポリビニルアセタール樹脂等100質量部に対する熱可塑性エラストマーの含有量が100質量部以上であると、A層のガラスへの接着力が低下する傾向にある。
【0065】
熱可塑性エラストマーの屈折率は1.490以上であることが好ましく、1.495以上であることがより好ましく、1.500以上であることがさらに好ましい。熱可塑性エラストマーの屈折率が1.490未満であると、A層のヘイズが低下する傾向にある。
【0066】
熱可塑性エラストマーの屈折率は、2.000以下であることが好ましく、1.800以下であることがより好ましく、1.600以下であることがさらに好ましい。熱可塑性エラストマーの屈折率が2.000を超えると、A層の全光線透過率が低下する傾向にある。
【0067】
ポリビニルアセタール樹脂等と熱可塑性エラストマーとの屈折率の差は、0.003以上であることが好ましく、0.005以上であることがより好ましく、0.01以上であることがさらに好ましい。ポリビニルアセタール樹脂と熱可塑性エラストマーとの屈折率の差が0.003未満であると、A層のヘイズが低下する傾向にある。
【0068】
ポリビニルアセタール樹脂等と熱可塑性エラストマーとの屈折率の差は、1.000以下であることが好ましく、0.500以下であることがより好ましく、0.200以下であることがさらに好ましい。ポリビニルアセタール樹脂等と熱可塑性エラストマーとの屈折率の差が1.000を超えると、透光性が低下する傾向にある。
【0069】
(可塑剤)
A層には、可塑剤を含有させることができる。可塑剤としては、例えば、一価カルボン酸エステル系、多価カルボン酸エステル系などのカルボン酸エステル系可塑剤;リン酸エステル系可塑剤、有機亜リン酸エステル系可塑剤などのほか、カルボン酸ポリエステル系、炭酸ポリエステル系、また、ポリアルキレングリコール系などの高分子可塑剤や、ひまし油などのヒドロキシカルボン酸と多価アルコールのエステル化合物;ヒドロキシカルボン酸と一価アルコールのエステル化合物などのヒドロキシカルボン酸エステル系可塑剤も使用することができる。
【0070】
一価カルボン酸エステル系可塑剤としては、ブタン酸、イソブタン酸、へキサン酸、2−エチルブタン酸、へプタン酸、オクチル酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリル酸などの一価カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールとの縮合反応により得られる化合物であり、具体的な化合物を例示すると、トリエチレングリコールジ2−ジエチルブタノエート、トリエチレングリコールジヘプタノエート、トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジオクタノエート、テトラエチレングリコールジ2−エチルブタノエート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコールジオクタノエート、ジエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート、PEG#400ジ2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエート、グリセリンまたはジグリセリンの2−エチルヘキサン酸との完全または部分エステル化物などが挙げられる。ここでPEG#400とは、平均分子量が350〜450であるポリエチレングリコールを表す。
【0071】
多価カルボン酸エステル系可塑剤としては、アジピン酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメット酸などの多価カルボン酸と、メタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、2−エチルブタノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール、ブトキシエタノール、ブトキシエトキシエタノール、ベンジルアルコールなどの炭素数1〜12のアルコールとの縮合反応により得られる化合物が挙げられる。具体的な化合物を例示すると、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルブチル、アジピン酸ジヘプチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジ2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ(ブトキシエチル)、アジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)、アジピン酸モノ(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジヘキシル、セバシン酸ジ2−エチルブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジ(2−エチルブチル)、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ベンジルブチル、フタル酸ジドデシルなどが挙げられる。
【0072】
リン酸系可塑剤、または、亜リン酸系可塑剤としては、リン酸または亜リン酸と、メタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、2−エチルブタノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール、ブトキシエタノール、ブトキシエトキシエタノール、またはベンジルアルコールなどの炭素数1〜12のアルコールとの縮合反応により得られる化合物が挙げられる。具体的な化合物を例示すると、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリ(2−エチルヘキシル)、リン酸トリ(ブトキシエチル)、亜リン酸トリ(2−エチルヘキシル)などが挙げられる。
【0073】
カルボン酸ポリエステル系可塑剤としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの多価カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−ノナンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、1,10−デカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンなどの多価アルコールを交互共重合して得られるカルボン酸ポリエステルや、脂肪族ヒドロキシカルボン酸;グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、6−ヒドロキシへキサン酸、8−ヒドロキシへキサン酸、10−ヒドロキシデカン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、芳香環を有するヒドロキシカルボン酸;4−ヒドロキシ安息香酸、4−(2−ヒドロキシエチル)安息香酸などのヒドロキシカルボン酸の重合体(ヒドロキシカルボン酸ポリエステル)、脂肪族ラクトン化合物;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、δ−ヘキサノラクトン、ε−カプロラクトン、ラクチドなど、芳香環を有するラクトン化合物;フタリドなどのラクトン化合物を開環重合して得られるカルボン酸ポリエステルでも良い。これらカルボン酸ポリエステルの末端構造は特に限定されず、水酸基やカルボキシル基でも良いし、また、末端水酸基や末端カルボキシル基を1価カルボン酸あるいは1価アルコールと反応させてエステル結合としたものでも良い。
【0074】
炭酸ポリエステル系可塑剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−ノナンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、1,10−デカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンなどの多価アルコールと、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルなどの炭酸エステルをエステル交換反応により交互共重合して得られる炭酸ポリエステルが挙げられる。これら炭酸ポリエステル化合物の末端構造は炭酸エステル基、または水酸基などであるとよい。
【0075】
ポリアルキレングリコール系可塑剤としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、オキセタンなどのアルキレンオキシドを、一価アルコール、多価アルコール、一価カルボン酸および多価カルボン酸を開始剤として開環重合させて得られる重合体が挙げられる。
【0076】
ヒドロキシカルボン酸エステル系可塑剤としては、ヒドロキシカルボン酸の1価アルコールエステル;リシノール酸メチル、リシノール酸エチル、リシノール酸ブチル、6−ヒドロキシヘキサン酸メチル、6−ヒドロキシヘキサン酸エチル、6−ヒドロキシヘキサン酸ブチル、ヒドロキシカルボン酸の多価アルコールエステル;エチレングリコールジ(6−ヒドロキシヘキサン酸)エステル、ジエチレングリコールジ(6−ヒドロキシヘキサン酸)エステル、トリエチレングリコールジ(6−ヒドロキシヘキサン酸)エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(6−ヒドロキシヘキサン酸)エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(2−ヒドロキシ酪酸)エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(3−ヒドロキシ酪酸)エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(4−ヒドロキシ酪酸)エステル、トリエチレングリコールジ(2−ヒドロキシ酪酸)エステル、グリセリントリ(リシノール酸)エステル、L−酒石酸ジ(1−(2−エチルヘキシル))、ひまし油の他、ヒドロキシカルボン酸の多価アルコールエステルのk個のヒドロキシカルボン酸由来の基を、水酸基を含まないカルボン酸由来の基または水素原子に置き換えた化合物も使用可能であり、これらヒドロキシカルボン酸エステルは従来公知の方法で得られるものを使用することができる。
【0077】
本発明において、これら可塑剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0078】
可塑剤がA層に含有される場合、可塑剤とポリビニルアセタール樹脂等との相溶性、他の層への低移行性、非移行性を高める観点からは、融点が30℃以下であり、水酸基価が15mgKOH/g以上、450mgKOH/g以下であるエステル系可塑剤またはエーテル系可塑剤、または、非結晶性であり、水酸基価が15mgKOH/g以上、450mgKOH/g以下であるエステル系可塑剤またはエーテル系可塑剤を使用することが好ましい。ここで非結晶性とは、−20℃以上の温度において融点が観測されないことを指す。前記水酸基価は、15mgKOH/g以上であることが好ましく、30mgKOH/g以上であることがより好ましく、45mgKOH/g以上であることが最適である。また、前記水酸基価が450mgKOH/g以下であることが好ましく、360mgKOH/g以下であることがより好ましく、280mgKOH/g以下であることが最適である。前記エステル系可塑剤としては、上記規定を満たすポリエステル(前述したカルボン酸ポリエステル系可塑剤、炭酸ポリエステル系可塑剤など)や、ヒドロキシカルボン酸エステル化合物(前述したヒドロキシカルボン酸エステル系可塑剤など)が挙げられ、エーテル系可塑剤としては、前記規定を満たすポリエーテル化合物(前述したポリアルキレングリコール系可塑剤など)が挙げられる。
【0079】
可塑剤の含有量は、ポリビニルアセタール樹脂等100質量部に対して50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましく、30質量部以下であることがさらに好ましい。可塑剤の含有量が、ポリビニルアセタール樹脂等100質量部に対して50質量部を超えると、A層のせん断貯蔵弾性率が低くなる傾向にある。また、2種以上の可塑剤を併用してもよい。
【0080】
本発明の合わせガラス用中間膜を遮音性や耐貫通性を特に求められる用途に適用する場合おいては、可塑剤の含有量は、ポリビニルアセタール樹脂(A)100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、4質量部以上であることがより好ましく、6質量部以上であることがさらに好ましく、10質量部以上であることが特に好ましい。
【0081】
本発明の合わせガラス用中間膜を高い接着力や剛性を求められる用途に適用する場合おいては、可塑剤の含有量は、10質量部以下であることが好ましく、6質量部以下であることがより好ましく、0質量部(すなわち、可塑剤を含まない)であることが特に好ましい。
【0082】
可塑剤としては、水酸基を有する化合物を用いることができるが、A層中に用いられる可塑剤の全量に対する水酸基を有する化合物の含有量の割合は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。水酸基を有する化合物は、ポリビニルアセタール樹脂等と高い相溶性を有し、他の樹脂層への移行性が低いため、水酸基を有する化合物を好適に用いることができる。
【0083】
(官能基含有ポリオレフィン系重合体)
官能基含有ポリオレフィン系重合体は、ポリオレフィン系重合体にカルボキシル基、ボロン酸基、シラノール基、エポキシ基およびイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基を付与したものである。官能基含有ポリオレフィン系重合体をさらに含有させることで、樹脂組成物を成形して得られるフィルムのガラスとの接着性を向上させることができる。また、官能基含有ポリオレフィン系重合体が、ポリビニルアセタール樹脂等と熱可塑性エラストマーの相溶化剤として働くため、熱可塑性エラストマーの分散性を向上させることができる。
【0084】
官能基含有ポリオレフィン系重合体が有する官能基である、カルボキシル基、ボロン酸基、シラノール基、エポキシ基又はイソシアネート基は、ポリビニルアセタール樹脂等の中の水酸基との反応性の高さの点から好ましい。該官能基含有ポリオレフィン系重合体の製造方法に特に制限はないが、例えば、オレフィンと、前記官能基を有する単量体を、公知の方法でランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合、またはグラフト反応することによって得られる。これらの中でも、ランダム共重合、グラフト共重合、グラフト反応が好ましく、グラフト反応により得られるグラフト反応体がより好ましい。なお、ここで、グラフト反応体とは、無水マレイン酸変性のように、ポリマー鎖への後反応により官能基が導入されたものをいう。
【0085】
官能基含有ポリオレフィン系重合体に用いられるオレフィンとしては、プロピレンが好ましい。プロピレンと共に、プロピレン以外のα−オレフィンと、前記官能基を有する単量体とを共重合させたものであってもよい。該α−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、シクロヘキセンなどが挙げられる。該α−オレフィンは、公知の方法で、前記官能基を有する単量体とを共重合することができ、ランダム共重合、ブロック共重合またはグラフト共重合などの方法が挙げられる。これらプロピレン以外のα−オレフィンを由来とする構造単位が含まれる場合における、これらプロピレン以外のα−オレフィンを由来とする構造単位の全構造単位に対する割合は、0モル%を超えることが好ましく、45モル%以下であることが好ましく、35モル%以下であることがより好ましく、25モル%以下であることがさらに好ましい。
【0086】
前記官能基を有する単量体としては、例えば、酢酸ビニル、塩化ビニル、酸化エチレン、酸化プロピレン、アクリルアミド、不飽和カルボン酸またはそのエステルもしくは無水物が挙げられる。中でも、不飽和カルボン酸またはそのエステルもしくは無水物が好ましい。不飽和カルボン酸またはそのエステルもしくは無水物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ハイミック酸、無水ハイミック酸などが挙げられる。中でも、マレイン酸、無水マレイン酸がより好ましい。これらの単量体は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
【0087】
官能基含有ポリオレフィン系重合体としては、ポリビニルアセタール樹脂等と熱可塑性エラストマーとの界面の接着性の観点から、前記官能基としてカルボキシル基を含有するポリプロピレン、つまり、カルボン酸変性ポリプロピレン系樹脂が好ましく、マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂、無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂がより好ましい。
【0088】
官能基含有ポリオレフィン系重合体には、オレフィン以外の共重合可能な単量体が共重合されていてもよい。該オレフィンと共重合可能な単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸イソヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸イソヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0089】
官能基含有ポリオレフィン系重合体の全構造単位に対する、前記官能基の割合としては、1μeq/g以上であることが好ましく、2μeq/g以上であることがより好ましく、3μeq/g以上であることが最適である。官能基含有ポリオレフィン系重合体の全構造単位に対する、前記官能基の割合は、1500μeq/g以下であることが好ましく、700μeq/g以下であることがより好ましく、500μeq/g以下であることが最適である。前記官能基の割合が1μeq/gより小さくなると、ポリオレフィン系樹脂の分散粒子径が大きくなって、A層の濁りが激しくなる傾向にあり、1500μeq/gより大きくなると、合わせガラス用中間膜をリサイクルした場合にゲル化しやすくなる傾向にある。
【0090】
官能基含有ポリオレフィン系重合体の含有量と熱可塑性エラストマーの含有量との質量比率(熱可塑性エラストマー/官能基含有ポリオレフィン系重合体)は、得られるフィルムの柔軟性向上の観点から、1/99以上であることが好ましく、50/50以上であることがより好ましく、80/20以上であることがさらに好ましく、80/20以上であることが特に好ましい。一方、得られるフィルムの全光透過率を向上させる観点から、99.9/0.1以下が好ましく、99.6/0.4以下がさらに好ましい。
【0091】
なお、官能基含有ポリオレフィン系重合体として、前記熱可塑性エラストマーに、カルボキシル基、ボロン酸基、シラノール基、エポキシ基およびイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基を付与したもの(以下、官能基含有熱可塑性エラストマーと称することがある)を用いてもよい。この場合、本発明を構成する熱可塑性エラストマーとして官能基含有熱可塑性エラストマーのみを用いることも好適な態様のひとつである。官能基含有熱可塑性エラストマーのみを用いる際の好適な量は、前述した熱可塑性エラストマーと同様である。官能基含有熱可塑性エラストマーと官能基を含有しない熱可塑性エラストマーを併用する場合には、その合計量が熱可塑性エラストマーの好適な量の範囲内であることが好ましい。
【0092】
(その他の添加成分)
その他の成分として、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、接着性調整剤、顔料、染料、機能性無機化合物、遮熱材料(例えば、赤外線吸収能を有する、無機遮熱性微粒子または有機遮熱性材料)等が、必要に応じて添加されていてもよい。
【0093】
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤などが挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤が好ましく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。
【0094】
フェノール系酸化防止剤の例としては、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレートなどのアクリレート系化合物、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、オクタデシル−3−(3,5−)ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、またはトリエチレングリコールビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)などのアルキル置換フェノール系化合物、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチルチオ−1,3,5−トリアジン、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチルチオ−1,3,5−トリアジン、6−(4−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチルチオ−1,3,5−トリアジン、または2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン基含有フェノール系化合物などが挙げられる。
【0095】
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、または10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレンなどのモノホスファイト系化合物、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)4,4’−イソプロピリデン−ビス(ジフェニルモノアルキル(C12〜C15)ホスファイト)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、またはテトラキス(2,4−ジ−tブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスファイトなどのジホスファイト系化合物などが挙げられる。これらの中でもモノホスファイト系化合物が好ましい。
【0096】
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどが挙げられる。
【0097】
これらの酸化防止剤は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。酸化防止剤の配合量は、ポリビニルアセタール樹脂等100質量部に対して0.001質量部以上であることが好ましく、0.01質量部以上であることがより好ましい。また、酸化防止剤の配合量は、ポリビニルアセタール樹脂等100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることがより好ましい。酸化防止剤の量が0.001質量部より少ないと充分な効果が発揮されにくくなることがあり、また5質量部より多くしても格段の効果は望めない。
【0098】
また、紫外線吸収剤としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールまたは2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、または4−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)−1−(2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどのヒンダードアミン系紫外線吸収剤、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、またはヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート系紫外線吸収剤、マロン酸エステル化合物またはシュウ酸アニリド化合物などが挙げられる。
【0099】
上記マロン酸エステル系紫外線吸収剤としては、2−(p−メトキシベンジリデン)マロン酸ジメチル、テトラエチル−2,2−(1,4−フェニレンジメチリデン)ビスマロネート、2−(p−メトキシベンジリデン)−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル4−ピペリジニル)マロネートなどが挙げられる。
【0100】
上記マロン酸エステル系紫外線吸収剤の市販品としては、Hostavin B−CAP、Hostavin PR−25、Hostavin PR−31(いずれもクラリアント社製)が挙げられる。
【0101】
上記シュウ酸アニリド系紫外線遮蔽剤としては、N−(2−エチルフェニル)−N’−(2−エトキシ−5−t−ブチルフェニル)シュウ酸ジアミド、N−(2−エチルフェニル)−N’−(2−エトキシ−フェニル)シュウ酸ジアミド、2−エチル−2’−エトキシ−オキシアニリド(クラリアント社製「SanduvorVSU」)などの窒素原子上に置換されたアリール基などを有するシュウ酸ジアミド類などが挙げられる。
【0102】
上記紫外線吸収剤の添加量は、ポリビニルアセタール樹脂等に対して質量基準で10ppm以上であることが好ましく、100ppm以上であることがより好ましい。また、紫外線吸収剤の添加量は、ポリビニルアセタール樹脂等に対して質量基準で50,000ppm以下であることが好ましく、10,000ppm以下であることがより好ましい。紫外線吸収剤の添加量が10ppmより少ないと充分な効果が発揮されにくくなることがあり、また、紫外線吸収剤の添加量を50,000ppmより多くしても格段の効果は望めない。これら紫外線吸収剤は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0103】
光安定剤としてはヒンダードアミン系のもの、例えば、株式会社ADEKA製「アデカスタブLA−57(商品名)」が挙げられる。
【0104】
また必要に応じて、得られるA層のガラス等への接着性を制御することも可能である。接着性を制御する方法としては、通常、合わせガラスの接着性調整剤として使用される添加剤を添加する方法、接着性を調整するための各種添加剤を添加する方法等が挙げられる。このような方法によって、接着性調整剤および/または接着性を調整するための各種添加剤を含む合わせガラス用中間膜が得られる。
【0105】
接着性調整剤としては、例えば、国際公開第03/033583号に開示されているものを使用することができ、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が好ましく使用され、例えば、カリウム、ナトリウム、マグネシウム等の塩が挙げられる。上記塩としてはオクタン酸、ヘキサン酸、酪酸、酢酸、蟻酸等のカルボン酸等の有機酸;塩酸、硝酸等の無機酸の塩などが挙げられる。
【0106】
接着性調整剤の最適な添加量は、使用する添加剤により異なるが、得られるA層のガラスへの接着力が、パンメル試験(Pummel test;国際公開第03/033583号等に記載)において、一般には2以上、10以下になるように調整することが好ましく、特に高い耐貫通性を必要とする場合は2以上、6以下になるように調整することがより好ましく、高いガラス飛散防止性を必要とする場合は7以上、10以下になるように調整することがより好ましい。高いガラス飛散防止性が求められる場合は、接着性調整剤を添加しないことも有用な方法である。
【0107】
A層において、遮熱材料として、例えば、無機遮熱性微粒子を含有させると、A層に遮熱機能を付与することができる。遮熱性微粒子としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、一般式M
mWO
n(Mは金属元素を表し、mは0.01以上、1.0以下、nは2.2以上、3.0以下である)で表される金属元素複合酸化タングステン、アンチモン酸亜鉛(ZnSb
2O
5)、六ホウ化ランタンなどが挙げられる。中でも、ITOやATO、金属元素複合酸化タングステンが好ましく、金属元素複合酸化タングステンがより好ましい。前記金属元素複合酸化タングステン中のMで表される金属元素としては、例えばCs、Tl、Rb、Na、Kなどが挙げられ、特にCsが好ましい。遮熱性の観点から上記mは、0.2以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましく、また、0.5以下であることが好ましく、0.4以下であることがより好ましい。
【0108】
A層において、遮熱材料として、その他の化合物を使用することもできる。例えばフタロシアニン、ナフタロシアニン、アントラシアニン骨格を有する化合物、その他の有機遮熱材料などが挙げられる。
【0109】
遮熱性微粒子の含有量は、A層に用いた樹脂全体に対して0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましい。また、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。遮熱性微粒子の含有量が5質量%より多くなると、全光線透過率に影響がでることがある。遮熱性微粒子の平均粒子径は、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましい。なお、ここでいう遮熱性微粒子の平均粒子径は、レーザー回折装置で測定されるものをいう。
【0110】
A層が単層膜である場合のA層の膜厚は、350μm以上であることが好ましく、700μm以上であることがより好ましい。また、A層が単層膜である場合のA層の膜厚は、1600μm以下であることが好ましく、820μm以下であることがより好ましい。A層の膜厚が350μm未満になると、強度が不十分となり、A層の膜厚が1600μmを超えると、衝突時の衝撃吸収性が低下する(体へのダメージが増加する)傾向にある。また、A層が積層中間膜である場合の中間膜中のA層の膜厚の合計値は、50μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましく、200μm以上であることがさらに好ましい。また、A層の膜厚の合計値は、700μm以下であることが好ましく、600μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることがさらに好ましい。A層の膜厚の合計値が50μm未満になると、光拡散性が不十分となる傾向にあり、A層の膜厚の合計値が700μmを超えると、B層の機能(例えば遮音性など)が低下する傾向にある。
【0111】
[B層]
本発明の合わせガラス用中間膜は、A層のみからなる合わせガラス用中間膜の単層膜とするだけでなく、A層の少なくとも片面にA層とは異なるB層を有する構成としてもよいし、A層の両面にB層を有する構成としてもよい。
【0112】
B層に含有される樹脂の種類は、B層がガラスに直接接触する場合には、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、アイオノマー樹脂およびエチレン酢酸ビニル共重合体系樹脂からなる群より選ばれる1種以上の樹脂などが挙げられる。また、B層をガラスと接しない部分に使用する場合には、例えば遮音性能を有する熱可塑性エラストマーや可塑化ポリビニルブチラール樹脂、強度の高いアイオノマー樹脂、機能(例えば遮熱機能など)が付与されていても良いPET樹脂などが挙げられる。中でも、PVBと熱可塑性エラストマーを含む積層遮音膜からトリムリサイクルしたものをA層とし、2枚のA層の間にB層として元の積層遮音膜と同様の熱可塑性エラストマー層を用いることが好ましい。
【0113】
B層の膜厚は、特に制限されないが、20μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましい。また、B層の膜厚は、500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることがさらに好ましい。B層の膜厚が20μm未満になると、B層の持つ機能を発揮することが難しくなる傾向にあり、B層の膜厚が500μmを超えると、A層の光拡散能力が低くなり、またトリムリサイクルの観点からはリサイクルされるトリム(A層を構成する成分)の量が少なくなり、リサイクル性が低下する傾向にある。
【0114】
B層の厚さの合計に対するA層の厚さの合計の比(A層の厚さの合計/B層の厚さの合計)は、1/1以下であることが好ましく、1/2以下であることがより好ましく、1/3以下であることがさらに好ましい。また、B層の厚さの合計に対するA層の厚さの合計の比は、1/30以上であることが好ましく、1/15以上であることがより好ましく、1/5以上であることがさらに好ましい。上記厚さの合計の比が1/30より小さいと、B層の機能(例えば遮音機能など)が発現されにくくなる傾向にある。一方、上記厚さの合計の比が1/1より大きいと、相対的にA層の割合が低下し、A層の光拡散能力が低くなり、またトリムリサイクルの観点からはリサイクルされるトリム(A層を構成する成分)の量が少なくなり、リサイクル性が低下する傾向にある。
【0115】
[C層]
本発明の合わせガラス用中間膜は、リサイクルした2つのA層の間に、A層とは異なるC層を有することが好ましい。C層の膜厚は、B層と同様のものとすることができる。C層に含まれる樹脂成分は、合わせガラス用中間膜の半透明性や遮音性等を担保する観点から、熱可塑性エラストマーであることが好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、上述した種類と同様のものや、上述した物性と同等の物性を有するもの等を用いることができる。
【0116】
[合わせガラス用中間膜]
本発明の合わせガラス用中間膜は、上述のように、A層のみからなる単層膜とするだけでなく、A層/B層という2層構成としてもよい。また、
図1に示すように、A層1がB層2aおよびB層2bによって挟まれた積層構成でもよいし、
図2に示すように、B層2がA層1aおよびA層1bによって挟まれた積層構成でもよいし、
図3に示すようにC層3がA層1aおよびA層1bによって挟まれた積層構成としてもよい。合わせガラス用中間膜における積層構成は目的によって決められるが、nを1以上の整数とした場合に、A層/(B層/A層)nやB層/(A層/B層)nという積層構成の他、A層/(B層/A層)n/B層、B層/(A層/B層)n/A層という積層構成であってもよい。
【0117】
また、A層、B層、C層以外の層(D層とする)を1層以上含んでいてもよい。また、D層中の成分は、同一であっても異なっていてもよい。これはA層、B層またはC層中の成分についても同様である。
【0118】
なお、D層としては公知の樹脂からなる層が使用可能であり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエステルのうちポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、環状ポリオレフィン、ポリフェニレンスルファイド、ポリテトラフロロエチレン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリイミドなどを用いることができる。また、D層にも、必要に応じ、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、顔料、染料、遮熱材料(例えば、赤外線吸収能を有する、無機遮熱性微粒子または有機遮熱性材料)、機能性無機化合物などの添加剤を添加してよい。
【0119】
また、本発明の合わせガラス用中間膜は表面にメルトフラクチャー、エンボスなど、従来公知の方法で凹凸構造を形成することが好ましい。メルトフラクチャー、エンボスの形状は特に限定されず、従来公知のものを採用することができる。
【0120】
また、合わせガラス用中間膜の膜厚の合計は、100μm以上であることが好ましく、200μm以上であることがより好ましい。また、合わせガラス用中間膜の膜厚の合計は、10,000μm以下であることが好ましく、2,000μm以下であることがより好ましい。合わせガラス用中間膜の膜厚が薄すぎると、合わせガラスを作製する際にうまくラミネートできないことがある。合わせガラス用中間膜の膜厚が厚すぎると、ヘイズが高くなりすぎて透光性が低下したり、コスト高に繋がったりすることがある。
【0121】
[合わせガラス用中間膜の製造方法]
合わせガラス用中間膜の製造方法は特に限定されるものではなく、各層を構成し得る樹脂組成物を均一に混練した後、押出し法、カレンダー法、プレス法、キャスティング法、インフレーション法等、公知の製膜方法によりA層を作製してもよいし、これに加え、B層、C層またはD層を作製して、これらを積層させてもよいし、A層、B層、C層およびその他必要な層を共押出法により成形してもよい。
【0122】
公知の製膜方法の中でも特に押出機を用いて各層を製造する方法が好適に採用される。押出し時の樹脂温度は150℃以上であることが好ましく、170℃以上であることがより好ましい。また、押出し時の樹脂温度は250℃以下であることが好ましく、230℃以下であることがより好ましい。樹脂温度が高くなりすぎると、用いる樹脂が分解を起こし、樹脂の劣化が懸念される。逆に温度が低すぎると、押出機からの吐出が安定せず、機械的トラブルの要因になる。揮発性物質を効率的に除去するためには、押出機のベント口から減圧により、揮発性物質を除去することが好ましい。
【0123】
また、熱可塑性エラストマーをA層中に均一に分散させるための方法としては、二軸押出機を用いて混練性を高めたり、分散剤等を添加する方法などが挙げられる。
【0124】
[合わせガラス]
本発明の合わせガラス用中間膜を用いて合わせガラスを作製することにより、遮音性を担保して、室内の静粛性が低下するのを防ぐとともに、合わせガラスを透過する太陽光を拡散させることで部屋全体を明るくできる合わせガラスを提供することができる。本発明の合わせガラス用中間膜は、建築用ガラスなどに好適に用いることができる。
【0125】
本発明の合わせガラスには、通常、ガラスを2枚使用する。本発明の合わせガラスを構成するガラスの厚さは100mm以下であることが好ましい。また、本発明の合わせガラス用中間膜は、ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対する可塑剤量を少なくすることで、曲げ強度に優れたものにすることができ、厚さ2.8mm以下の薄板ガラスを用いて合わせガラスを作製しても、合わせガラスの強度を損なうことなく、合わせガラスの軽量化を実現することができる。ガラスの厚さは、軽量化の観点からは、少なくとも一枚が2.8mm以下であることが好ましく、2.5mm以下であることがより好ましく、2.0mm以下であることがさらに好ましく、1.8mm以下であることが特に好ましい。特に、一方のガラスの厚さを1.8mm以上、他方のガラスの厚さを1.8mm以下、各ガラスの厚さの差を0.2mm以上とすることにより、曲げ強度を損なうことなく、薄膜化と軽量化を実現した合わせガラスを作製することができる。上記各ガラスの厚さの差は、0.5mm以上が好ましい。
【0126】
本発明の合わせガラス用中間膜について、厚さ3mmのフロートガラス2枚の間に配置して合わせガラスとした場合のヘイズは、10%以上であり、15%以上であることが好ましく、25%以上であることがより好ましく、35%以上であることがさらに好ましい。上記合わせガラスのヘイズが10%未満であると、合わせガラスの散光性が低下する。
【0127】
本発明の合わせガラス用中間膜を上記合わせガラスとした場合のヘイズを10%以上とするための方法としては、ポリビニルアセタール樹脂等100質量部に対して1質量部以上100質量部未満の熱可塑性エラストマーを分散させる方法、熱可塑性エラストマーの屈折率を1.490〜2.000とする方法などが挙げられる。
【0128】
本発明の合わせガラス用中間膜について、厚さ3mmのフロートガラス2枚の間に配置して合わせガラスとした場合の全光線透過率は、80%以上であり、85%以上であることが好ましく、86%以上であることがより好ましく、88%以上であることがさらに好ましい。上記合わせガラスの全光線透過率が80%未満であると、合わせガラスの透光性が低下する。
【0129】
「可視光を吸収する光吸収剤(顔料や染料、可視光領域に吸収を有するその他の紫外線吸収剤または近赤外線吸収剤など)、および/または可視光を反射する光反射剤(無機粒子等)や光反射層(多層の特定波長反射膜)など」を含む中間膜の場合、本発明で規定する全光線透過率は、これらの「光吸収剤、光反射剤、光反射層」を含まない組成の中間膜における全光線透過率を表す。
【0130】
本発明の合わせガラス用中間膜を上記合わせガラスとした場合の全光線透過率を80%以上とするための方法としては、屈折率が1.400以上、好ましくは1.440以上、より好ましくは1.490以上であり、2.000以下、好ましくは1.600以下、より好ましくは1.520以下の熱可塑性エラストマーを、ポリビニルアセタール樹脂等100質量部に対して、1質量部以上100質量部未満分散させる方法、可塑剤を含有させる場合は熱可塑性樹脂に浸透しにくい可塑剤を使用、好ましくは水酸基を有する可塑剤を使用する方法などが挙げられる。
【0131】
本発明の合わせガラス用中間膜は、遮熱材料を含む場合、3mm厚のフロートガラス2枚で合わせガラスとしたときの日射熱取得率(Tts;JIS R 3106)が65%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましく、55%以下であることが特に好ましい。
【0132】
[合わせガラスの製造方法]
本発明の合わせガラスは、従来から公知の方法で製造することが可能であり、例えば、真空ラミネータ装置を用いる方法、真空バッグを用いる方法、真空リングを用いる方法、ニップロールを用いる方法等が挙げられる。また、仮圧着後に、オートクレーブ工程に投入する方法も付加的に行なうことができる。
【0133】
真空ラミネータ装置を用いる場合、例えば、太陽電池の製造に用いられる公知の装置を使用し、1×10
−6MPa以上、3×10
−2MPa以下の減圧下、100℃以上、200℃以下で、特に130℃以上、170℃以下の温度でラミネートされる。真空バッグまたは真空リングを用いる方法は、例えば、欧州特許第1235683号明細書に記載されており、例えば約2×10
−2MPaの圧力下、130℃以上、145℃以下でラミネートされる。
【0134】
合わせガラスの作製方法については、ニップロールを用いる場合、例えば、ポリビニルアセタール樹脂の流動開始温度以下の温度で1回目の仮圧着をした後、さらに流動開始温度に近い条件で仮圧着する方法が挙げられる。具体的には、例えば、赤外線ヒーターなどで30℃以上、100℃以下に加熱した後、ロールで脱気し、さらに50℃以上、150℃以下に加熱した後ロールで圧着して接着または仮接着させる方法が挙げられる。
【0135】
また、本発明の合わせガラス用中間膜の構成を合わせガラス内部に有するように、A層の片面または両面に、B層を塗布したガラスを合わせて積層し、合わせガラスとしてもよい。
【0136】
仮圧着後に付加的に行われるオートクレーブ工程は、ガラスの厚さや構成にもよるが、例えば、1MPa以上、15MPa以下の圧力下、130℃以上、155℃以下の温度で0.5時間以上、2時間以下で実施される。
【0137】
合わせガラスを作製する際に使用するガラスは特に限定されず、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、熱線吸収板ガラスなどの無機ガラスのほか、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネートなどの従来公知の有機ガラス等が使用でき、これらは無色、有色、あるいは透明、非透明のいずれであってもよい。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0138】
[トリムまたはオフスペック品のリサイクル]
本発明の合わせガラス用中間膜は、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、アイオノマー樹脂およびエチレン酢酸ビニル共重合体系樹脂からなる群より選ばれる1種以上の樹脂を含有する層と熱可塑性エラストマーを含有する層を有する合わせガラス用中間膜のトリムやオフスペック品を溶融混錬することによっても製造できる。リサイクルによって製造された合わせガラス用中間膜の厚さは、300〜1600μmとすることが好ましい。
【0139】
リサイクルする合わせガラス用中間膜の構成としては、例えば、外層として、ビニルアルコール単位の含有量が15モル%以上40モル%以下であるポリビニルアセタール樹脂を含む組成物からなるポリビニルアセタール樹脂層(可塑剤を含んでいても良い)を有し、内層として、熱可塑性エラストマーを含有する組成物からなる熱可塑性エラストマー層を有するものなどが挙げられる。
【0140】
リサイクルにより得られる合わせガラス用中間膜は、熱可塑性エラストマーがポリスチレン系エラストマーである場合は、散光性の観点から、熱可塑性エラストマーの全単量体単位に対して、スチレン単位の含有量が10質量%以上であることが好ましい。また、この場合、熱可塑性エラストマーを含有する組成物には、リサイクルして得られる合わせガラス用中間膜についてのガラスとの接着性の観点から、官能基含有ポリオレフィン系重合体が含まれていることが好ましい。
【0141】
ポリビニルアセタール樹脂等を含有する層と熱可塑性エラストマーを含有する層を有する合わせガラス用中間膜のトリムやオフスペック品をリサイクルする場合は、リサイクルの対象となる合わせガラス用中間膜のみを用いて溶融混練し、合わせガラス用中間膜を成形するだけでなく、例えば、追加のポリビニルアセタール樹脂等や、熱可塑性エラストマーを添加して溶融混練し、合わせガラス用中間膜を成形することもできる。
【0142】
リサイクルの対象となる合わせガラス用中間膜に、新品のポリビニルアセタール樹脂等を追加で添加する場合は、リサイクルの対象となる樹脂組成物(Q)に対する追加のポリビニルアセタール樹脂(P)の質量比P/Qが1/99以上となるように、ポリビニルアセタール樹脂等を添加することが好ましく、20/80以上となるようにポリビニルアセタール樹脂等を添加することがより好ましい。質量比P/Qが99/1以下となるように、ポリビニルアセタール樹脂等を添加することが好ましく、95/5以下となるようにポリビニルアセタール樹脂等を添加することがより好ましい。リサイクルの対象となる樹脂組成物の質量比が99/1よりも大きくなると、リサイクル効率が悪くなり、樹脂組成物の質量比が1/99よりも小さくなると、リサイクルを繰り返すうちに樹脂が劣化し、品質問題を起こす原因となる傾向にある。
【0143】
リサイクルの対象となる合わせガラス用中間膜に、追加のポリビニルアセタール樹脂等を添加する場合は、リサイクル後の樹脂組成物中のポリビニルアセタール樹脂等の全量100質量部に対して、可塑剤の含有量が100質量部以下となるように、可塑剤を追加で添加することが好ましい。リサイクル後の可塑剤の含有量は、リサイクル後の樹脂組成物中のポリビニルアセタール樹脂等の全量100質量部に対して、80質量部以下であることが好ましく、60質量部以下であることがより好ましく、40質量部以下であることがさらに好ましく、30質量部以下であることが特に好ましい。また、可塑剤を追加で添加する場合、リサイクル後の可塑剤の含有量は、リサイクル後の樹脂組成物中のポリビニルアセタール樹脂等の全量100質量部に対して1質量部以上であることが好ましく、4質量部以下であることがより好ましく、5質量部以下であることがさらに好ましく、10質量部以下であることが特に好ましい。
【0144】
リサイクルの対象となる合わせガラス用中間膜に、新品の熱可塑性エラストマーを追加で添加する場合は、追加する熱可塑性エラストマー(R)と、リサイクルの対象となる樹脂組成物(Q)の質量比R/Qが1/99以上となるように、熱可塑性エラストマーを添加することが好ましく、20/80以上となるように熱可塑性エラストマーを添加することがより好ましい。また、質量比R/Qが99/1以下となるように、熱可塑性エラストマーを添加することが好ましく、95/5以下となるように熱可塑性エラストマーを添加することがより好ましい。樹脂組成物の質量比が99/1よりも大きくなると、リサイクル効率が悪くなり、樹脂組成物の質量比が1/99よりも小さくなると、リサイクルで得られる物品の色相が低下する場合がある。
【0145】
上で述べたような合わせガラス用中間膜をリサイクルして得られる樹脂組成物は、合わせガラス用中間膜に成形して厚さ3mmのフロートガラス2枚の間に配置したときのヘイズが10%以上であることが好ましく、25%以上であることがより好ましく、35%以上であることがさらに好ましい。このときの合わせガラス用中間膜の厚さは、0.76±0.03mmを基準とする。
【0146】
また、上で述べたような合わせガラス用中間膜をリサイクルして得られる樹脂組成物は、合わせガラス用中間膜に成形して厚さ3mmのフロートガラス2枚の間に配置したときの全光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。このときの合わせガラス用中間膜の厚さは、0.76±0.03mmを基準とする。
【0147】
ここで、「可視光を吸収する光吸収剤(顔料や染料、可視光領域に吸収を有するその他の紫外線吸収剤または近赤外線吸収剤など)、および/または可視光を反射する光反射剤(無機粒子等)や光反射層(多層の特定波長反射膜)など」を含む中間膜の場合、本発明で規定する全光線透過率は、これらの「光吸収剤、光反射剤、光反射層」を含まない組成の中間膜における全光線透過率を表す。
【0148】
上で述べたような合わせガラス用中間膜をリサイクルして得られる中間膜は、自動車用ガラス、自動車用サンルーフ、画像投影可能なスクリーンガラス、建築用の窓、壁、屋根、サンルーム、防音壁、バルコニー、手すり、壁等の部材として、または会議室等の仕切りガラス部材などに好適に用いることができる。
【実施例】
【0149】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0150】
[評価方法]
1.物性評価(熱可塑性エラストマーのtanδのピーク温度)
JIS K7244−10に基づいて、平行平板振動レオメータとして、円板の直径が8mmであるゆがみ制御型動的粘弾性装置(レオミックス社製、ARES)を用いた。実施例・比較例・参考例で用いた熱可塑性エラストマーからなる単層シート(厚さ0.76mm)を円板形状の試験シートとして用い、上記試験シートで2枚の平板間の隙間を完全に充填した。なお、試験シートには、温度20℃、湿度60%RHで24時間以上保管したものを用いた。歪み量1.0%で、上記試験シートに1Hzの周波数で振動を与え、測定温度を−40〜100℃まで1℃/minの定速で昇温した。せん断損失弾性率およびせん断貯蔵弾性率の測定値に変化がなくなるまで、上記試験シートと円板の温度を保持した。このようにして、熱可塑性エラストマーについて、tanδのピーク温度を測定した。
【0151】
2.物性評価(合わせガラスの全光線透過率およびヘイズの測定)
市販のフロートガラス(縦50mm×横50mm×厚さ3mm)2枚に実施例・比較例・参考例で得られた合わせガラス用中間膜を挟み、真空バック法(条件:室温で15分減圧脱気後、120℃に昇温して20分保持した後、冷却)によって、合わせガラスを作製した。スガ試験機株式会社製のヘイズメーターにより、作製した合わせガラスの全光線透過率およびヘイズを測定した。
【0152】
3.物性評価(引張り破断エネルギーの評価)
また、実施例3〜5および比較例2〜4の合わせガラス用中間膜に用いたA層については、引張り破断エネルギーについて評価を行った。A層を厚さ100μmに熱プレスにより成形し、幅10mm、長さ8cmにカットして試験片を得て、試験片を引張り試験機に、チャック間距離40mmで取り付け、引張り速度100mm/分で測定し、破断までに要したエネルギー(単位:J)を単位断面積(単位:cm
2)当たりのエネルギーで評価した。
【0153】
[実施例・比較例・参考例で使用した材料]
(ポリビニルアセタール樹脂)
以下の実施例、比較例および参考例において用いたポリビニルアセタール樹脂(ポリビニルブチラール樹脂)を表1に示す。これらのポリビニルブチラール樹脂(PVB)としては、目的とする粘度平均重合度と同じ粘度平均重合度(JIS K 6726「ポリビニルアルコール試験方法」に基づいて測定した粘度平均重合度)を有するポリビニルアルコールを塩酸触媒下にn−ブチルアルデヒドでアセタール化したものを用いた。
【0154】
【表1】
【0155】
(アイオノマー樹脂)
IO−1:アイオノマー(デュポン社製、SentryGlas(R) Interlayer)を混練したものを用いた。
【0156】
(熱可塑性エラストマー)
以下の実施例、比較例および参考例において用いた熱可塑性エラストマーを表2に示す。
【0157】
【表2】
【0158】
(官能基含有ポリオレフィン系重合体)
・無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三洋化成工業株式会社製、ユーメックス1010;以下「MAN−PP」と略称する場合がある)
【0159】
(可塑剤)
・ポリエステルポリオール(3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール;水酸基2つ当たりの数平均分子量が500;株式会社クラレ製;以下、P−510と略称する場合がある)
・トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエート(以下、3G8と略称する場合がある)
【0160】
(実施例1)
100質量部のPVB−1に対して、49.1質量部のエラストマー1、2.46質量部のMAN−PP、および18.1質量部のP−510を配合して分散させた組成物を、ラボプラストミルで混練し、熱プレスにより厚さ0.76mmに成形してA層とし、A層からなる合わせガラス用中間膜を作製した。A層の構成および各種物性評価の結果を表3に示す。
【0161】
(実施例2)
エラストマー1を用いることに代えて、エラストマー2(表2に記載)を用いた以外は、実施例1と同様の方法でA層からなる合わせガラス用中間膜を作製した。A層の構成および各種物性評価の結果を表3に示す。
【0162】
(実施例3)
A層のPVBとして、PVB−1の代わりにPVB−2を用い、エラストマー1の配合量を7.0質量部とし、MAN−PPの配合量を0.35質量部とし、P−510を用いなかった以外は、実施例1と同様の方法でA層からなる合わせガラス用中間膜を作製した。A層の構成および各種物性評価の結果を表3に示す。
【0163】
(実施例4)
A層において、PVB−1を用いる代わりにPVB−3を用い、エラストマー1を49.1質量部用いる代わりに、エラストマー2を2.0質量部用い、MAN−PPの配合量を0.05質量部とし、P−510を用いなかった以外は、実施例1と同様の方法でA層からなる合わせガラス用中間膜を作製した。A層の構成および各種物性評価の結果を表3に示す。
【0164】
(実施例5)
A層において、エラストマー2の配合量を7.0質量部とし、MAN−PPの配合量を0.35質量部とした以外は、実施例4と同様の方法でA層からなる合わせガラス用中間膜を作製した。A層の構成および各種物性評価の結果を表3に示す。
【0165】
(実施例6)
100質量部のIO−1に対して、7.0質量部のエラストマー1を含有する組成物を、ラボプラストミルで混練し、熱プレスにより厚さ0.76mmに成形してA層とし、A層からなる合わせガラス用中間膜を作製した。A層の構成および各種物性評価の結果を表3に示す。
【0166】
(実施例7)
エラストマー1の代わりにエラストマー2を用いた以外は実施例6と同様にしてA層からなる合わせガラス用中間膜を作製した。A層の構成および各種物性評価の結果を表3に示す。
【0167】
【表3】
【0168】
(比較例1)
エラストマー2に代えてエラストマー1を用い、可塑剤として18.1質量部のP−510を用いた以外は、実施例5と同様の方法でA層からなる合わせガラス用中間膜を作製した。A層の構成および各種物性評価の結果を表4に示す。
【0169】
(比較例2)
エラストマー2を7.0質量部用いることに代えてエラストマー1を15.1質量部用い、MAN−PPの配合量を0.75質量部とした以外は、実施例5と同様の方法でA層からなる合わせガラス用中間膜を作製した。A層の構成および各種物性評価の結果を表4に示す。
【0170】
(比較例3)
A層において、エラストマー2およびMAN−PPを用いずに、0.05質量部の酸化チタン(平均粒子径1μm)を用いた以外は、実施例4と同様の方法でA層からなる合わせガラス用中間膜を作製した。A層の構成および各種物性評価の結果を表4に示す。
【0171】
(比較例4)
A層において、酸化チタンの配合量を0.1質量部とした以外は、比較例3と同様の方法でA層からなる合わせガラス用中間膜を作製した。A層の構成および各種物性評価の結果を表4に示す。
【0172】
(比較例5)
A層において、可塑剤として18.1質量部の3G8を用いた以外は、比較例3と同様の方法でA層からなる合わせガラス用中間膜を作製した。A層の構成および各種物性評価の結果を表4に示す。
【0173】
【表4】
【0174】
(参考例1)
第一の押出機に、100質量部のPVB−3に対して、クラレポリオールP−510を18.1質量部添加し、第二の押出機に、100質量部のエラストマー1に対して、MAN−PPを5質量部添加し、これらを共押出し製膜することにより、厚さ0.35mmのPVBを含有する層を外層とし、厚さ0.05mmのエラストマーを含有する層を内層とする3層構成の合わせガラス用中間膜を得た。これを用い、実施例1と同様に光学特性(合わせガラスの全光線透過率およびヘイズ)を評価した。評価結果を表5に示す。
【0175】
(参考例2)
エラストマー1に代えて、エラストマー2を用いた以外は参考例1と同様にして3層構成の合わせガラス用中間膜を得た。これを用い、実施例1と同様に光学特性を評価した。評価結果を表5に示す。
【0176】
(実施例8)(リサイクルにより得たA層)
参考例1で得た3層構成の積層中間膜を細かく切断し、ラボプラストミルで溶融混錬した後、熱プレスにより厚さ0.76mmのA層を得た。これを用い、実施例1と同様に光学特性を評価した。評価結果を表6に示す。
【0177】
(比較例6)(リサイクルにより得たA層)
参考例2で得た3層構成の積層中間膜を用いた以外は、実施例7と同様にして光学特性を評価した。評価結果を表6に示す。
【0178】
(実施例9)(リサイクルにより得たA層を外層とする3層積層中間膜)
厚さを0.35mmとした以外は実施例8と同様にしてA層を得た。また、100質量部のエラストマー2に対してMAN−PPを5部添加してラボプラストミルにて溶融混錬した組成物を熱プレスにより厚さ0.1mmのC層を得た。次にA層/C層/A層の順に重ね、熱プレスにより圧着し、厚さ0.8mmの3層構成の積層中間膜を得た。これを用い、実施例1と同様に光学特性を評価した。評価結果を表6に示す。
【0179】
(実施例10)(リサイクルにより得たA層を内層とする3層積層中間膜)
厚さを0.35mmとした以外は実施例8と同様にしてA層を得た。また、100質量部のPVB−1に対して18.1質量部のP−510を添加してラボプラストミルで溶融混錬し、熱プレスして厚さ0.2mmのB層を得た。次にB層/A層/B層の順に重ね、熱プレスにより圧着し、厚さ0.75mmの3層構成の積層中間膜を得た。これを用い、実施例1と同様に光学特性を評価した。評価結果を表6に示す。
【0180】
【表5】
【0181】
【表6】