(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スフェロイドが培養面近傍に細胞が凝集したスフェロイドであり、前記照射位置としての前記培養面からの距離が異なる複数のスフェロイド断面画像を取得する、請求項1に記載の細胞解析方法。
【背景技術】
【0002】
再生医療とは、怪我や病気で損傷した組織に幹細胞から作製した細胞や組織を移植することにより本来の機能を回復する医療であり、近年注目されている。この再生医療では、ばらばらの細胞の浮遊液を注射する治療法よりも生体模倣3次元組織を移植する方法の方が患部への生着率が高く治癒効果が高いことが知られており、表皮や軟骨再生向けの細胞シートが製品化されている。また複数の細胞から成る球状の細胞の集塊であるスフェロイドも3次元組織の形態のひとつとして注目されており、軟骨スフェロイドなどの実用化に向けた研究が進められている。
【0003】
スフェロイドは培養過程において中心部の細胞に培地の栄養や酸素が行き届きにくいため、主に中心部から壊死などの細胞死が起きることが知られている。ここで細胞死とはネクローシス(壊死)やアポトーシス(自然死)を指す。ネクローシスでは細胞は膨張して細胞質が変化し細胞膜が破裂する。アポトーシスでは細胞は縮小して免疫細胞に貧食される。ただし、このときスフェロイド外形の変化は起こらない。また、内部で細胞死を起こしているスフェロイドは生細胞の数が少なく、また死細胞から好ましくない物質が放出される可能性もあるため、移植に適していないと考えられる。
【0004】
このようなスフェロイド内部の細胞死領域の有無はスフェロイドの品質に大きな影響を与えると考えられる。しかしながら、これまでスフェロイドは主に創薬向けに使用されており、スフェロイド内部の細胞死は深刻な問題ではなかった。またスフェロイドの評価手法として、生細胞数計測には色素を用いて生細胞の酵素活性を測定する侵襲的な手法が用いられてきた。創薬向けのスフェロイドの場合には、侵襲的な方法でも特に問題はなかった。一方、移植向けのスフェロイドを培養しながら継時的に計測し移植タイミングを決めるためには、それらの品質評価項目に対応したスフェロイドの非侵襲評価技術が必要となる。現状ではスフェロイドの評価は位相差顕微鏡による観察あるいは組織染色などにより検証されている。位相差顕微鏡による細胞観察は非侵襲的であるが、位相差顕微鏡はスフェロイドの3次元形状の計測やスフェロイド内部で起きる細胞死を評価することはできない。また細胞死は組織染色により評価可能であるが、スフェロイドを固定・包埋する侵襲的な手法であり、培養中に評価することや、結果を判断するまでに時間を要する上、移植用のスフェロイドそのものを評価できず、評価したスフェロイドは移植に用いることができない。
【0005】
そのため、スフェロイド内部の細胞死を非侵襲評価可能な技術開発が必須となる。これらの課題を解決するスフェロイドの3次元形状の計測および内部の細胞死の非侵襲的計測技術の確立は、移植用スフェロイドの細胞状態を直接的に評価可能にすることにより、移植用再生組織の品質向上に貢献するといえる。
【0006】
これまでにいくつかの文献において非侵襲的な細胞評価手法が報告されている。例えば特許文献1では、反射光を用いて肌内部の3次元像を撮像しメラニン色素の場所を相対的に輝度の明るい部分で特定する方法について記載されている。また特許文献2では、光干渉断層計を用いて細胞シートの3次元像を撮像し細胞の欠損箇所や細胞シートの厚さを輝度で判断する方法について記載されている。特許文献3では、反射光を用いて細胞シートの3次元像を撮像し、撮像される細胞シート内部の核の分布から細胞シートの重層化や分化の度合いを判別する方法について記載されている。特許文献4では、顕微鏡を用いて単層培養の細胞を撮像し生細胞と壊死した細胞を判別する方法について記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のいずれの特許文献においても生体組織または細胞における特定部位を検出する目的で反射光による3次元測定や顕微鏡観察など非侵襲的手段が用いられている。しかしながら、先行技術文献で対象としている生体組織または細胞はその表面が平面であり、スフェロイドのような球形に近い形状ではない。反射光測定の際、測定対象からの信号光は測定対象を進む中で散乱などの影響を受け強度が減衰するが、測定対象の表面がフラットな場合には、表面に水平な断層画像の解析に際して同一平面画像内での輝度の比較に補正は必要ない。しかし、スフェロイドのような球形に近い組織の内部に存在する細胞死を反射光で検出する場合、同一平面画像内であってもスフェロイド表面から測定地点まで光が進んだ距離は測定地点ごとに異なるため輝度を単純に比較できず、補正のない従来法では細胞死が判断できない。そのため、本発明においては、スフェロイド内部の細胞死を解析することが課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、スフェロイドの光学的イメージングを実施し、得られた画像の輝度をスフェロイドの3次元形状および/または光照射位置から測定位置までの距離に基づいて補正することにより、スフェロイド内部の細胞状態を非侵襲的にかつ定量的に解析することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、スフェロイド内部の細胞状態を非侵襲的に解析する方法および装置として、反射光による3次元測定は有効と考えられる。細胞死が起きている領域では細胞質の変化や細胞膜の破壊により正常な生細胞よりも反射光が弱まるため、反射光イメージングで取得した画像の輝度を解析することにより輝度がある一定以下の領域を細胞死と判定できると考えられる。
【0011】
具体的には、一態様において、本発明は、スフェロイドの内部の細胞状態を解析する細胞解析方法であって、
スフェロイドに光を照射する工程、
光照射位置からの距離が異なる複数のスフェロイド断面画像を取得する工程、
前記画像の輝度を信号強度減衰を考慮して補正する工程
を含むことを特徴とする細胞解析方法を提供する。
【0012】
別の態様において、本発明は、スフェロイドの内部の細胞状態を解析する細胞解析装置であって、
光源と、培養面上の細胞に前記光源からの光を照射する集光光学系と、前記細胞からの光を検出する検出光学系と、
前記検出光学系から取得した情報に基づく画像を解析する解析部と
を備え、
前記解析部は、
前記培養面からの垂直方向の距離が異なる複数の断面画像を取得する画像取得部と、
前記複数の断面画像の輝度を計測する輝度計測部と、
前記輝度を信号強度減衰を考慮して補正し、スフェロイド内部の細胞状態を解析する状態解析部と
を有することを特徴とする細胞解析装置を提供する。
【0013】
また別の態様において、本発明は、スフェロイドを培養する培養部と、前記スフェロイドの内部の細胞状態を光を用いて解析する解析部と、前記スフェロイドの培養および解析を制御する制御部とを有する細胞培養装置であって、
(1)前記解析部は、
光源と、培養面上の細胞に前記光源からの光を照射する集光光学系と、前記細胞からの光を検出する検出光学系と、
前記検出光学系から取得した情報に基づく画像を解析する画像解析部と
を備え、
前記画像解析部は、
前記培養面からの垂直方向の距離が異なる複数の断面画像を取得する画像取得部と、
前記複数の断面画像の輝度を計測する輝度計測部と、
前記輝度に基づいて、スフェロイド内部の細胞状態を解析する状態解析部と
を有し、
(2)前記制御部は、細胞溶液の供給、培地の供給、培地の廃棄、細胞の培養、光の照射、光の検出、画像の取得、輝度の計測、および細胞状態の解析のうちの少なくとも1つを制御する、
細胞培養装置を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、スフェロイドの内部の細胞状態を解析するための方法および装置と、それに基づきスフェロイドを培養するための細胞培養装置が提供される。本発明に係る方法および装置は、スフェロイドを培養する際に非侵襲的にかつ定量的に内部の細胞状態(すなわち細胞死の有無)を解析することができ、スフェロイド、特に移植などの再生医療に使用するためのスフェロイドの製造に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
【0017】
また、図面等において示す各構成の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0018】
本発明は、スフェロイド内部の細胞状態を解析する方法および装置に関する。スフェロイドとは、細胞が集合して凝集化した3次元状の細胞集合体を指す。本発明では、限定されるものではないが、幹細胞、軟骨細胞、肝細胞、角膜細胞、表皮細胞、心筋細胞、神経細胞、並びにそれらの前駆細胞などから構成されるスフェロイドを使用することができる。また、細胞の由来も特に限定されるものではなく、例えば動物、好ましくは哺乳動物の細胞であり、具体的には霊長類(ヒト、サル、チンパンジー、ゴリラなど)、実験動物(マウス、ラットなど)、家畜動物(ウシ、ブタ、ウサギなど)、ペット動物(イヌ、ネコなど)に由来する細胞とすることができる。
【0019】
図2にスフェロイドが作製されて崩壊するまでの段階を示す。
図2は培養面201を図の奥行方向としたとき、横から細胞の構造を観察したイメージである。ここでは一例として幹細胞を使用した。スフェロイドは以下の段階を経て3次元組織となる。
(S201):細胞が播種される。このとき、単離された幹細胞202が培地中に浮遊している状態である。
(S202):幹細胞202が凝集し、その一部が培養面201に接着する。平面培養の場合には底面が平らで細胞接着性の高い培養器材を用いるが、スフェロイド培養では図のように丸底の培養器材を用いたり、培養面に微細な凹凸を施したり、培養面の表面処理で細胞接着性を低下させたりすることにより、細胞を凝集させる。
(S203):凝集した細胞が増殖しスフェロイドとなる。適切なスフェロイドに培養された時点で培養容器から取り出して患部へ移植する。
(S204):スフェロイドは培養過程において中心部の細胞に培地の栄養や酸素が行き届きにくいため、主に中心部から壊死などの細胞死が起きることが知られている。ここで細胞死とはネクローシス(壊死)やアポトーシス(自然死)を指す。ネクローシスでは細胞は膨張して細胞質が変化し細胞膜が破裂する。アポトーシスでは細胞は縮小して免疫細胞に貧食される。ただし、このときスフェロイド外形の変化は起こらない。また、内部で細胞死を起こしているスフェロイドは生細胞の数が少なく、また死細胞から好ましくない物質が放出される可能性もある。
(S205):最終的には細胞同士がばらばらになりスフェロイドは崩壊する。
【0020】
スフェロイドの品質を保証するためには、培養中および移植前にスフェロイドの内部の細胞状態、すなわち細胞死(ネクローシスやアポトーシス)の有無を解析することが必要である。好ましくは、培養面近傍のスフェロイド(培養面近傍に細胞が凝集したスフェロイド)について解析を行う。
【0021】
本発明では、高分解能を特徴とする光学機器を用いてスフェロイドの光学的イメージングを実施し、得られた画像を解析することによりスフェロイド内部の細胞状態(すなわち細胞死の有無)を解析する。スフェロイドの3次元構造を細胞レベルの分解能で反射光イメージングし、複数の断面画像からスフェロイドの3次元形状と3次元形状を踏まえサンプル内を光が進んだ距離に応じて各地点における輝度を補正した断層画像とを計測することにより、スフェロイド内部の細胞状態を解析する。細胞死が起きている領域では細胞質の変化や細胞膜の破壊により正常な生細胞よりも反射光が弱まるため、反射光イメージングで取得した画像の輝度を解析することにより輝度がある一定以下の領域を細胞死と判定できる。反射光測定の際、測定対象からの信号光は測定対象を進む中で散乱などの影響を受け強度が減衰する。スフェロイドのような球形に近い組織の内部に存在する細胞死を反射光で検出する場合、同一平面画像内であってもスフェロイド表面から測定地点まで光が進んだ距離は測定地点ごとに異なるため輝度を単純に比較できないため、上記補正を実施する。
【0022】
本発明の一態様は、スフェロイドを培養する際のスフェロイド内部の細胞状態を解析する方法である。この方法では、まず培養中または培養終了時のスフェロイドに光を照射する工程を行う。光の照射には、光源と、スフェロイドの細胞に該光源からの光を照射する集光光学系と、該細胞からの光を検出する検出光学系と、該検出光学系からの光を検出する検出器とを用いる。例えば、光源、集光光学系および検出光学系は、3次元に高分解能を有する光学機器であればよく、好ましくは非侵襲的(非破壊かつ非染色)な光学機器である。具体的には、例えばOCT(Optical Coherence Tomography:光干渉断層計)、反射型共焦点顕微鏡、多光子励起顕微鏡などとして構成される。
【0023】
光学系としてOCTを使用する場合、光源の光を信号光と参照光に分岐し、信号光を細胞に照射し、細胞から反射した信号光を参照光と合波することにより生成された合成光を検出する原理である。OCTでは、信号光は細胞の様々な深さから重なり合って反射されるが、参照光と干渉される成分は特定の深さ位置からの信号光成分に限定されるため、光学顕微鏡とは異なりZ分解能の高い測定が可能になる。
【0024】
10ミクロン以下程度の高い空間分解能を有するOCTの場合、取得した画像からスフェロイド内部の細胞単位の明暗がイメージング可能である。細胞死が起きている領域では輝度が正常な細胞部分と比べ低くなることから、その有無や体積を解析することができる。この情報によりスフェロイドの培養過程が順調か、移植できるか否か判定できる。また、この細胞状態の解析方法は、既存の画像処理技術により自動化可能である。自動細胞培養装置に組み込み、自動細胞培養装置内の培養容器で培養されたスフェロイドをOCTで測定することも可能である。
【0025】
前記検出器からの信号に基づいて、光照射位置からの距離(例えば培養面からの垂直方向の距離)が異なる複数のスフェロイド断面画像を取得する。そして複数の断面画像からスフェロイドの3次元形状と3次元形状を踏まえて輝度を補正した断層画像とを計測し、各地点における補正後の輝度情報を取得する。すなわち、断層画像における輝度は、スフェロイドの3次元形状および/または光照射位置から測定位置までの距離による影響を受け、3次元形状における細胞の重なり度合が大きいほど、そして光照射位置からの距離が遠いほど、輝度は低くなり、信号強度が減衰する。そのため、本発明では、そのような信号強度減衰を考慮して輝度の補正を行うことで、スフェロイドに特有の問題点を解消することができる。信号強度減衰は、使用する細胞の種類、使用する光学系装置、サンプル組成などに応じて異なるため、あらかじめ学習させておいたスフェロイド内部の特定の細胞状態と関連する信号強度減衰のデータから、輝度を補正することができる。このような補正は、解析部において自動的に行ってもよいし、あるいは実施者が手作業で行ってもよい。
【0026】
輝度を解析する際、スフェロイド断面画像において複数ピクセルごとに格子状に画像を分割して、各ピースごとの平均輝度を求めることが好ましい。断面画像では、ピクセルごとに、ノイズや局所的な細胞内での屈折率差などに起因する輝度のむらがあり、複数ピクセルごとに格子状に画像を分割してピース単位で輝度の平均値を求めることにより、より正確なかつ定量的な画像評価が可能となる。
【0027】
スフェロイド内部において細胞死が起きている部位では細胞質の変化や細胞膜の破壊により正常な生細胞よりも反射光が弱まる。そのため、反射光イメージングで取得した画像の輝度を解析することにより輝度がある一定の値より低い場合には、その部位に細胞死状態の細胞が存在すると推測することができる。一方、輝度が一定の値より高い場合には、その部位に細胞死状態の細胞は存在しないと推測することができる。また、輝度の値から細胞死状態の細胞がどの程度存在するかを定量的に解析することも可能である。細胞状態に関連する輝度の値は、使用する細胞の種類、使用する光学系装置、サンプル組成などに応じて異なるため、あらかじめ学習させておいたスフェロイド内部の特定の細胞状態、すなわち細胞死の有無の輝度データから、スフェロイド内部の細胞状態を解析することができる。
【0028】
また本発明の一実施形態では、上述した工程を行った後、スフェロイドの外形形状または体積に変化がない場合には、再び、スフェロイドに光を照射し、スフェロイドの第2の断面画像を取得する工程をさらに行ってもよい。その際、上述した工程による輝度の測定時のスフェロイドの位置と、第2の断面画像におけるスフェロイドの位置を合わせる補正を行うことが好ましい。得られた第2の画像の輝度を、上述した工程により得られた同一または同等の位置の輝度と比較することで、スフェロイド内部の細胞状態を経時的に解析またはモニターすることが可能となる。この場合には、上述したような信号強度減衰を考慮する必要なく、より簡便に解析を行うことができる。
【0029】
また本発明の別の態様は、スフェロイドの内部の細胞状態を非侵襲的に光学的に解析する細胞解析装置である。この装置は、光源と、培養面上の細胞に前記光源からの光を照射する集光光学系と、前記細胞からの光を検出する検出光学系と、前記検出光学系から取得した情報に基づく画像を解析する解析部とを備える。光源、集光光学系および検出光学系は、上述したような3次元に高分解能を有する光学機器、好ましくは非侵襲的(非破壊かつ非染色)な光学機器である。好ましい実施形態において、光源、集光光学系および検出光学系は、光干渉断層計(OCT)として構成される。
【0030】
また解析部は、前記培養面からの垂直方向の距離が異なる複数の断面画像を取得する画像取得部と、前記複数の断面画像の輝度を計測する輝度計測部と、前記輝度を信号強度減衰を考慮して補正し、スフェロイド内部の細胞状態を解析する状態解析部とを有するものである。解析部は、スフェロイドの3次元形状と3次元形状を踏まえた輝度を補正した断層画像の輝度とから、スフェロイド内部の細胞状態(例えば細胞死の有無)を解析するように構成することができる。解析部は、スフェロイドの外形形状を測定する測定部をさらに有していてもよく、これによりスフェロイドの外形形状および/または体積を測定し、信号強度減衰を考慮した輝度の補正や、スフェロイド内部の細胞状態の解析を補助することができる。
【0031】
また、本発明の細胞解析装置は、出力装置を備えていてもよいし、あるいは外部の出力装置と接続されていてもよい。出力装置は、当技術分野で公知の任意の出力装置とすることができ、例えば画像および/またはデータ表示装置、警報装置、プリンターなどが挙げられる。この場合、解析部は、補正前後の各画像および補正後の画像のうち細胞死と判定された部分を示した画像およびスフェロイドの体積と細胞死部分の体積比を表示装置に表示するように構成してもよい。また、解析データに基づいて警報装置から警報を発するか、解析データに基づいた信号を細胞培養装置または他の外部の装置に出力するかの少なくとも1つを行うように構成してもよい。
【0032】
本発明の細胞解析装置は、スフェロイドの内部の特定の細胞状態と関連する信号強度減衰データおよび/または輝度データを記憶する記憶部をさらに備えることが好ましい。上述したように、信号強度減衰および特定の細胞状態と関連する輝度の値は、使用する細胞の種類、使用する光学系装置、サンプル組成などに応じて異なるため、スフェロイド内部の特定の細胞状態と関連する信号強度減衰のデータを記憶部に記憶させておくことにより、記憶されたデータとの比較により輝度を迅速かつ簡便に補正することができる。また、スフェロイド内部の特定の細胞状態、すなわち細胞死の有無の輝度データを記憶部に記憶させておくことにより、記憶されたデータとの比較によりスフェロイド内部の細胞状態を迅速かつ簡便に解析することができる。
【0033】
本発明のまた別の態様は、スフェロイドを培養するための細胞培養装置であり、(1)スフェロイドを培養する培養部と、(2)前記スフェロイドの内部の細胞状態を光を用いて解析する解析部と、(3)前記スフェロイドの培養および解析を制御する制御部とを有する。
【0034】
細胞培養装置の培養部は、細胞を培養してスフェロイドを形成可能なものであれば特に限定されるものではなく、当業者であれば目的の細胞の種類、スフェロイドの使用目的に応じて適当な培養部を構成することができる。一実施形態において、培養部は、恒温室と、前記恒温室内に配置されスフェロイドを培養する培養容器と、前記培養容器に結合され細胞溶液を供給する細胞ボトルと、前記培養容器に結合され培地を供給する培地ボトルと、前記培養容器に結合され培養容器から廃棄される培地を格納する廃液ボトルとを備えるものとすることができる。
【0035】
細胞培養装置の解析部は、光源と、培養面上の細胞に前記光源からの光を照射する集光光学系と、前記細胞からの光を検出する検出光学系と、前記検出光学系から取得した情報に基づく画像を解析する画像解析部とを備える。この画像解析部は、前記培養面からの垂直方向の距離が異なる複数の断面画像を取得する画像取得部と、前記複数の断面画像の輝度を計測する輝度計測部と、前記輝度に基づいて、スフェロイド内部の細胞状態を解析する状態解析部とを有するものである。画像解析部は、検出光学系からの信号に基づいて、培養面からの垂直方向の距離が異なる複数の断面画像を取得する機能と、複数の断面画像からスフェロイドの3次元形状と3次元形状を踏まえた輝度を補正した断層画像とを計測し、画像の輝度に基づいて、スフェロイド内部の細胞状態を解析する機能と、を有している。具体的には、状態解析部は、断面画像における輝度を信号強度減衰を考慮して補正し、スフェロイド内部の細胞状態を解析する。
【0036】
細胞培養装置の制御部は、細胞溶液の供給、培地の供給、培地の廃棄、細胞の培養、光の照射、光の検出、画像の取得、輝度の計測、および細胞状態の解析のうちの少なくとも1つを制御する。例えば、制御部は、前記状態解析部からの出力に基づいて、前記培養部におけるスフェロイドの培養を制御するように構成される。制御部は、当技術分野で公知の任意の制御手段を使用することができ、例えばコンピュータとすることができる。
【0037】
本発明の細胞培養装置はさらに、出力装置を備えていてもよく、出力装置は、測定した情報を表示するか、測定した情報に基づいて警報を発するか、外部の装置に出力するか、あるいは、制御部または入力部にフィードバックを行うか、の少なくとも1つを行うことができる。ここで、警報とは、異常を知らせるものと正常を知らせるものの両方を含む。
上記で説明した機能は、ハードウエアで構成してもよいし、ソフトウエアで構成してもよい。
【0038】
さらに本発明の他の態様は、スフェロイドを培養する細胞培養装置(細胞培養部)からデータを受け取り、細胞培養装置で培養されたスフェロイド内部の細胞状態を解析する細胞状態解析装置である。細胞培養装置と細胞状態解析装置は一体化されていてもよいし、またはネットワークで接続されて地理的に離れた位置に配置されてもよい。
【0039】
この態様において、細胞培養装置は、光源と、培養面上の細胞に光源からの光を照射する集光光学系と、細胞からの光を検出する検出光学系と、検出光学系からの光を検出する検出器と、出力装置を備える。細胞状態解析装置が備える処理装置は、細胞培養装置の出力装置から送られてくる検出器からの信号に基づいて、培養面に対して垂直方向の距離が異なる複数の断面画像を取得する機能と、複数の断面画像からスフェロイドの3次元形状と3次元形状を踏まえた輝度を補正した断層画像とを計測し、画像の輝度に基づいて、スフェロイド内部の細胞状態(例えば細胞死の有無)を解析する機能と、を有する。上記で測定された情報は、表示装置に表示することができる。また、データとして記憶装置に蓄積することができる。また、データとしてネットワークを介して外部の装置に送信することができる。あるいは、測定された情報に基づいて、細胞培養装置の少なくとも一部を制御するように構成することもできる。
【0040】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0041】
本実施例では、自動細胞培養装置中におけるスフェロイドの非侵襲3次元計測とスフェロイド内部の細胞状態の解析を例に説明する。
【0042】
図3はOCT(光干渉断層計)を組み込んだ自動細胞培養装置の一例を示す。
図3の自動細胞培養装置301は細胞培養をする恒温室302を有する。恒温室内には撮像部303が設置されている。恒温室の外部には解析部304、記憶部305を含むコンピュータ306と出力装置307が設置されている。出力装置307は、例えばオペレータに各種の情報を表示する画像表示装置、音声で警報を発する警報装置、プリンターなどがある。また、ネットワークなどを介して、外部の記憶装置や情報端末にデータを送信することもできる。あるいは、種々のインターフェースを介して、制御部308に指示を送ることもできる。自動細胞培養装置の制御は制御部308で実施する。細胞培養は恒温室302内部に複数設置された培養容器314において実施される。必要となる細胞溶液の供給は培地流路312を通って細胞ボトル309から供給される。培地の供給は、培地流路312を通って培地ボトル310から培養容器314に対して実施される。培養に使用された不要な培地は廃液流路313を通って廃液ボトル311へ廃棄される。
【0043】
スフェロイドの品質評価は、培養容器の外部からスフェロイドを撮像する撮像部303を用いた測定により実施可能である。本実施例では、撮像部303にOCT(光干渉断層計)を用いる。非侵襲3次元計測を行う部分の全体構成は、スフェロイドを撮像する撮像部303と、撮像した画像を解析してスフェロイド内部の細胞の状態を解析する解析部304と、事前に解析に必要な情報を記憶させておく記憶部305と、解析結果を表示する出力装置(ここでは画像モニターを想定した)307を有する。
図3の自動細胞培養装置はアミノ酸分析装置を含むアミノ酸分析ユニット(図示せず)を備えてもよい。培地交換時に廃液となる古い培地は培養容器314から廃液流路313を通って廃液ボトル311へ廃棄されるが、培養上清の一部は廃液流路313から分岐された培養上清分析行き流路(図示せず)を通ってアミノ酸分析ユニットへ運ばれ上清中のアミノ酸濃度を分析することができる。
【0044】
細胞状態は解析部304にて解析され、培養終了タイミングの決定や培養組織の品質評価として自動細胞培養装置の制御部308へフィードバックされる。あるいは、細胞状態は出力装置307に表示され、オペレータが細胞状態を判定し、培養終了タイミングの決定や培養組織の品質評価を行う。また、オペレータは、必要に応じて自動細胞培養装置の制御部308やコンピュータ306を操作するために、入力部(図示せず)に入力を行う。入力部は、ネットワークを介して遠隔地からの指示を入力できる構成としてもよい。本実施例では、解析部304の実現方法として、汎用のコンピュータ306上で動作するソフトウエアとして構成したが、ハードウエアで構成することも可能である。
【0045】
なお、
図3の実施例では、コンピュータ306、制御部308等は、自動細胞培養装置301に近接して配置、あるいは一体化した例を示している。しかし、コンピュータ306、制御部308等の位置はこれに制限されるものではない。有線または無線のネットワークが発達した現在では、これらを出力装置307を介してネットワークで接続し、遠隔地に配置することも本発明の開示範囲である。
【0046】
さらなる本発明の特徴を、以下に具体例を挙げて説明する。なお、実施例においては、撮像部303としてOCTを用いている。
【0047】
図4に撮像部303であるOCT(光干渉断層計)の基本構成例を示す。OCTは、光源401、ビームスプリッター402、対物レンズ403、参照光ミラー404、検出器405から構成される。光源401からの光を信号光407と参照光408に分岐し、信号光407を前記細胞406に照射する。細胞から反射した信号光を参照光と合波することにより生成された干渉光409を、検出器405で検出する。これにより細胞の構造が可視化される。
図4では干渉光を1つ生成しているが、互いに位相が異なる3つ以上の干渉光を生成する干渉光学系を備える構成としてもよい。
【0048】
図1にOCTによるスフェロイドの測定およびスフェロイド内部の細胞状態の解析フロー概略図を示す。
図5にスフェロイドの測定イメージを示す。
図5の左側はスフェロイドの斜視図のイメージである。ここで図示するようにxyz軸を定義する。
図5の右側はOCTから得られる異なるz位置における、xy像のイメージである。
図6に
図1(S106)と関連するスフェロイドの3次元形状と光が進んだ距離の関係のイメージ図を示す。
図7にスフェロイド内部の細胞死の有無とOCT像のイメージ図を示す。
図8に
図1(S105)および(S107)と関連する補正前後のOCT像のイメージ図を示す。
【0049】
図1の測定および解析フローを中心に説明する。まず、恒温室302内部に設置されたOCT撮像部303において、スフェロイドのXZ断層像を撮像する(S101)。XYZの方向は
図5に示す通り、XY平面が培養面に平行な面であり、Z軸は培養面に垂直な軸である。XZ断層像により、スフェロイドのZ厚さ(Z=0からN)が判明するため、これをXY像取得範囲とする(S102)。次に、同XY視野においてZ=0からNまでXY像を連続撮影する(S103からS104)。このときZ=0からNまでの撮像間隔は細かい方が高精度な解析が可能であるが、任意に設定可能である。好ましい一例としては、想定される細胞のZ方向の大きさよりも、小さな間隔を設定する。取得した各XY画像にはスフェロイドの生細胞が明るく撮像され、スフェロイドの一部に細胞死の領域があればそこが暗く撮像される。ただしスフェロイドが球形に近い形状であり表面下部の細胞が必ずしも培養底面に接着していないため、同一Z位置におけるXY像内においても各地点の輝度を補正なしに比較はできない。例えば
図6に示したように同じスフェロイドAのZ=Mにおける測定であっても、スフェロイド中心部では端と比べスフェロイド内部を光が進んだ距離が大きいため、信号光が減衰し、見かけ上の輝度が小さくなってしまう。また
図6に示したようにスフェロイドの形状がBのように球形から外れている場合には、スフェロイドの端部においても中心部のようにスフェロイド内部を光が進む距離が大きく、見かけ上の輝度が小さくなる場合もある。そのため、後述する補正によって初めて
図7に示すようなスフェロイド内部の細胞死の判別が可能になる。
【0050】
実際のXY像はピクセルごとに細かくみると比較的狭い領域内でも輝度のむらがあるため、複数ピクセルごとに格子状に画像を分割してピースごとの平均輝度を求める(
図1の(S105)、
図8の(S801)-(S802))。またすべてのXY像を用いてスフェロイドの外周(エッジ)を検出する(
図1の(S105))。次に各ピースにおける光がスフェロイド内部を進んだ距離(スフェロイド下側の外周からのZ距離)をXY像もしくはXZ像から計算する(S106,
図6)。続いてあらかじめ記憶部305に記憶させておいた教師データのひとつである、スフェロイド内における光の減衰の相関データを用い、光の減衰分を補正した輝度をピースごとに算出する(S107, S803)。ここで用いる教師データはスフェロイドを構成する細胞の組成によっても変化すると考えられるため、測定対象となりうる細胞ごとに予め測定しておくことが好ましい。さらに、補正後の各ピースの輝度とあらかじめ記憶部305に記憶させておいた教師データのひとつである、細胞死と補正後の輝度の相関データと比較して各ピースが細胞死を起こしているか判定する。輝度が閾値以下であれば細胞死、それ以外は正常な生細胞と判断する。ここで用いる教師データは、反射光による輝度測定と細胞死の相関を組織染色など他の細胞死を判断できる手法と組み合わせて予め測定し決定しておくことが好ましい。最終的な解析結果であるスフェロイドの3次元形状や大きさ、およびスフェロイド内部の細胞死の有無や細胞死領域の体積などは出力装置307としての表示部で表示される。結果をリアルタイムに表示すれば、細胞の状況をモニタできる。また、外部の装置にネットワークを介して送信することにより、遠隔操作も可能となる。あるいは、解析結果が特定の条件を満たす場合、音または映像等により警報を発することもできる。
【0051】
以上のように、本発明の実施例では、スフェロイドの3次元形状と3次元形状を踏まえてサンプル内を光が進んだ距離に応じて各地点における輝度を補正した断層画像とを解析することにより、スフェロイド内部の細胞死部分を判別することができる。また、スフェロイドの3次元形状や体積、またスフェロイド内部の細胞死領域の有無やその体積を表示装置に表示し、あるいは記憶装置に記憶することで、オペレータにスフェロイドの細胞状態に関する情報を知らせることができる。
【0052】
本発明の実施例に説明した自動細胞培養装置では、細胞の3次元的な情報を非侵襲で取得し、これを基に、自動的に警告または指示を、装置あるいはオペレータにフィードバックをすることが可能となる。
【0053】
本実施例中、ソフトウエアで構成した機能と同等の機能は、ハードウエアでも実現できる。そのような態様も本発明の範囲に含まれる。
【実施例2】
【0054】
本実施例では、自動細胞培養装置中におけるスフェロイドの非侵襲3次元計測とスフェロイド内部の細胞状態の解析の別の例を説明する。
【0055】
装置構成の例は実施例1と同様であり、例えば
図3および4に示すような構成を備えた装置とすることができる。
【0056】
図9にOCT(光干渉断層計)によるスフェロイドの測定およびスフェロイド内部の細胞状態の解析フロー概略図を示す。
図5にスフェロイドの測定イメージを示す。
図5の左側はスフェロイドの斜視図のイメージである。ここで図示するようにxyz軸を定義する。右側はOCTから得られる異なるz位置における、xy像のイメージである。
図8に
図9(S105)に関連するOCT像のイメージ図を示す。
【0057】
図9の測定および解析フローを中心に説明する。まず、恒温室302内部に設置されたOCT撮像部303において、スフェロイドのXZ断層像を撮像する(S101)。XYZの方向は
図5に示す通り、XY平面が培養面に平行な面であり、Z軸は培養面に垂直な軸である。XZ断層像により、スフェロイドのZ厚さ(Z=0からN)が判明するため、これをXY像取得範囲とする(S102)。次に、同XY視野においてZ=0からNまでXY像を連続撮影する(S103からS104)。このときZ=0からNまでの撮像間隔は細かい方が高精度な解析が可能であるが、任意に設定可能である。好ましい一例としては、想定される細胞のZ方向の大きさよりも、小さな間隔を設定する。取得した各XY画像にはスフェロイドの生細胞が明るく撮像され、スフェロイドの一部に細胞死の領域があればそこが暗く撮像される。実際のXY像はピクセルごとに細かくみると比較的狭い領域内でも輝度のむらがあるため、複数ピクセルごとに格子状に画像を分割してピースごとの平均輝度を求める(
図9の(S105)、
図8の(S801)-(S802))。またすべてのXY像を用いてスフェロイドの外周(エッジ)を検出する(
図9の(S105))。スフェロイドがある程度の大きさ以上に増殖した場合などには、スフェロイドの大きさが大きく変化することはなく、前回測定時のデータとの比較によりスフェロイド内部の壊死が進行したかどうかを評価することができる。このような場合には、実施例1に示したような細胞内を光が進んだ距離によりOCT像を補正する方法を必ずしも必要としない。そのため、スフェロイドの3次元形状から体積を算出し(S901)その体積に前回測定時と比べ変化がない場合には、下記方法によりスフェロイドの壊死状態を判定することができる。スフェロイドは培養容器内で大きく移動することは少ないが、輝度を同位置同士で正確に比較するためには、スフェロイドの3Dイメージを用いて前回測定時とスフェロイドの位置を合わせる補正を実施する(S902)。そこでスフェロイドの同位置の輝度を前回測定と比較し、継時的に輝度が下がった場合には壊死が進行したと判定する(S903)。
【0058】
最終的な解析結果であるスフェロイドの3次元形状や大きさ、およびスフェロイド内部の細胞死の有無や細胞死領域の体積などは出力装置307としての表示部で表示される。結果をリアルタイムに表示すれば、細胞の状況をモニタできる。また、外部の装置にネットワークを介して送信することにより、遠隔操作も可能となる。あるいは、解析結果が特定の条件を満たす場合、音または映像等により警報を発することもできる。
【0059】
以上のように、本発明の実施例では、スフェロイドの測定結果を以前に得た同一スフェロイドの測定結果と比較して相対的に輝度を比較することにより、スフェロイド内部の細胞死部分を判別することができる。また、スフェロイドの3次元形状や体積、またスフェロイド内部の細胞死領域の有無やその体積を表示装置に表示し、あるいは記憶装置に記憶することで、オペレータにスフェロイドの細胞状態に関する情報を知らせることができる。
【0060】
本発明の実施例に説明した自動細胞培養装置では、細胞の3次元的な情報を非侵襲で取得し、これを基に、自動的に警告または指示を、装置あるいはオペレータにフィードバックをすることが可能となる。
【0061】
本実施例中、ソフトウエアで構成した機能と同等の機能は、ハードウエアでも実現できる。そのような態様も本発明の範囲に含まれる。
【0062】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることが可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。