(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の伸縮性配線の一例を示して説明する。なお、以下の説明において例示される図の寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0012】
本実施形態の伸縮性配線1は、
図1に示すように、チューブ10と、導線12と、かしめ部材14とを備えている。
導線12は、チューブ10の長さ方向の第1端部10aから第2端部10bまで到達するようにチューブ10内に配置されている。伸縮性配線1では、チューブ10の長さ方向の第1端部10a側と第2端部10b側の両端部分のそれぞれで、導線12とチューブ10とがかしめ部材14によりかしめられて固定されている。
【0013】
チューブ10は、伸縮性を有する。すなわち、チューブ10は、長さ方向に荷重をかけて引き伸ばしたときに破断しにくく、前記荷重を取り去って収縮した後の残留変位が少ないチューブである。チューブ10の伸縮性は、チューブ10の材質及び厚さにより調節できる。
【0014】
チューブ10を形成する材料としては、伸縮性を有する絶縁材料を使用でき、例えば、シリコーンゴム、ウレタンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ポリイソブチレン、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム等の各種エラストマーを例示できる。チューブ10を形成する材料としては、耐熱性の点から、シリコーンゴムが好ましい。チューブ10を形成する材料としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0015】
チューブ10の破断点伸度は、25〜300%が好ましく、50〜150%がより好ましい。チューブ10の破断点伸度が前記範囲の下限値以上であれば、伸縮性配線1の伸縮性が向上し、違和感がより小さくなる。チューブ10の破断点伸度が前記範囲の上限値以下であれば、着替えの際の生地の引き延ばし等によって配線に加わるストレスに伴う配線の断裂や短絡を回避できる。
なお、チューブの破断点伸度は、JIS K−7127(1999)に準拠して測定される。
【0016】
チューブ10の内径及び外径は、特に限定されず、チューブ10内に導線12を配置できるように適宜設定すればよい。例えば、チューブ10の内径を0.1〜10mm、外径を0.2〜12mmとすることができる。
【0017】
チューブ10の厚さは、0.1〜1mmが好ましく、0.2〜0.6mmがより好ましい。チューブ10の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、充分な強度が得られやすい。
チューブ10の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、優れた伸縮性が得られやすい。
【0018】
導線12を形成する材料としては、導線に一般的に使用される材料を使用でき、例えば、ステンレス鋼(SUS)、エナメル、金、プラチナ、イリジウムを例示できる。なかでも、導線12を形成する材料としては、錆びにくく、耐熱性に優れ、ウエアに適用した際に丸洗いが可能となる点から、SUSが好ましい。導線12を形成する材料は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
本発明では、シリコーンゴムで形成されたチューブと、SUS糸で形成された導線の組み合わせが特に好ましい。
【0019】
導線12の形態としては、特に限定されず、例えば、単繊維の形態であってもよく、複数の繊維を撚り合わせた撚り糸の形態であってもよい。なかでも、延伸していない状態においてチューブ10内で導線12が螺旋状となって絡まりにくく、より安定して存在でき、伸縮性配線1の伸縮がスムーズになる点から、導線12は撚り糸の形態であることが好ましい。
【0020】
導線12の太さは、適宜設定でき、例えば、0.1〜10mmとすることができる。なお、導線12が複数の線からなる撚り糸の場合その外径を導線12の太さとする。
【0021】
導線12の表面には絶縁コートが施されていてもよい。導線12の表面が絶縁コートされていることで、伸縮に伴うインピーダンス変化が低減される。絶縁コートに使用する絶縁材料としては、公知ものを使用でき、例えば、ポリウレタン、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド、ポイイミド、PVC(ポリ塩化ビニル混合物)、PE(ポリエチレン)フッ素樹脂、TUFRET(タフレット)、ゴムを例示できる。絶縁コートの方法としては、公知の方法を採用できる。
導線12には、シリコーンオイル等の潤滑材、防錆材が塗布されていてもよい。
【0022】
伸縮性配線1においては、チューブ10を延伸していない状態における、導線12の固定部間の長さL1がチューブ10の固定部間の長さL2よりも長くなるように、導線12がチューブ10内に配置されて固定されている。すなわち、チューブ10を延伸していない状態における、導線12のかしめ部材14,14間の長さL1がチューブ10のかしめ部材14,14間の長さL2よりも長くなるように、導線12がチューブ10内に配置されて固定されている。
なお、導線12のかしめ部材14間の長さL1は、
図3に示すように、チューブ10を長さ方向に引っ張って延伸し、導線12を直線状に緊張させた状態における、チューブ10の両端部分にそれぞれ設けられたかしめ部材14とかしめ部材14の距離と一致する。
【0023】
前記した導線12の固定部間の長さL1がチューブ10の固定部間の長さL2よりも長いことで、チューブ10を延伸していない状態においては、チューブ10内において導線12が螺旋状やジグザグ状等のように湾曲や屈曲を有する形状になっている。このように、導線12自体は実質的に伸縮性がなくても、導線12はチューブ10内で湾曲や屈曲により緊張せず、長さ方向の延伸を許容できる余裕を有している。そのため、伸縮性配線1は、
図3に示すように導線12が直線状となるまで引っ張って延伸でき、引っ張りの荷重を解放すると
図1のようにチューブ10の伸縮性により収縮する。
また、伸縮性配線1の伸縮では、導線12が湾曲や屈曲のある形状となったり直線状になったりするだけであるため、例えばエラストマーに導電材を混入させた導線等に比べて、伸縮に伴う導線12のインピーダンス変動が少ない。
【0024】
チューブ10を延伸していない状態におけるチューブ10の固定部間の長さL2に対する導線12の固定部間の長さL1の比L1/L2は、1.1〜5が好ましく、1.2〜2がより好ましい。比L1/L2が前記範囲の下限値以上であれば、優れた伸縮性が得られやすく、違和感がより小さくなる。比L1/L2が前記範囲の上限値以下であれば、伸縮性配線1の製造が容易であり、生産性が高くなる。
【0025】
チューブ10内の導線12の周囲は、空気が存在している状態であってもよく、液体が充填されている状態であってもよいが、伸縮性配線1の製造が容易な点から、空気が存在している状態が好ましい。
チューブ10内の導線12の周囲に充填する液体としては、チューブ10内での導線12の動きを阻害せず、導線12を劣化させないものであればよく、例えば、油性オイル、シリコーンオイル、グリセリン、グリセロール等を例示できる。
【0026】
かしめ部材14は、
図1及び
図2に示すように、雄部材16と雌部材18とを備えている。
雄部材16は、円板状の第1平板部20と、第1平板部20の中央部から立ち上がるように設けられた嵌合凸部22とを備えている。嵌合凸部22は、第1平板部20から立ち上がる幹部22aと、幹部22aの先端に設けられた球状の頭部22bとを備えている。
【0027】
雌部材18は、円板状の第2平板部24と、第2平板部24の中央部上に設けられた突起部26とを備えており、突起部26内には嵌合凹部28が形成されている。嵌合凹部28は、第2平板部24の下面で開口している。雌部材18の嵌合凹部28は、雄部材16の嵌合凸部22の頭部22bが嵌まり込むようになっている。
このように、雄部材16と雌部材18とは、嵌合凸部22と嵌合凹部28とが着脱自在に嵌合するようになっている。
【0028】
チューブ10の長さ方向の両端部分において、雄部材16の第1平板部20と雌部材18の第2平板部24でチューブ10と導線12とが挟持されるように嵌合凸部22と嵌合凹部28とが嵌合されることで、チューブ10と導線12とがかしめられて固定される。
本発明では、チューブの両端部分の固定部においてチューブと導線とを簡便にしっかりと固定できる点から、この例のように、導線とチューブとがかしめ部材によりかしめられて固定されていることが好ましい。また、かしめ部材の雄部材と雌部材を嵌合させた状態で、雄部材の第1平板部と第2平板部によって導線とチューブがかしめられることがより好ましい。
【0029】
また、この例では、雄部材16における嵌合凸部22の幹部22aに貫通孔30が形成されている。チューブ10の第1端部10a側では、導線12のチューブ10から露出した部分が貫通孔30に通され、さらに導線12の貫通孔30を通過した末端側の部分に貫通孔30よりも大きい結び目32が形成された状態で、雄部材16と雌部材18により導線12とチューブ10とがかしめられている。チューブ10の第2端部10b側でも同様に、導線12のチューブ10から露出した部分が貫通孔30に通されて結び目32が形成された状態で、雄部材16と雌部材18により導線12とチューブ10とがかしめられている。
【0030】
このように、本発明では、導線のチューブの端部から露出した部分をかしめ部材の貫通孔に通し、導線の貫通孔を通過した部分に貫通孔よりも大きい結び目を形成した状態で導線とチューブをかしめることが好ましい。
本実施形態のように導線12の末端側を嵌合凸部22の貫通孔30に通して結び目32を形成することで、導線12とチューブ10とを固定する際に導線12が予期せず抜けることを抑制でき、雄部材16と雌部材18の間に導線12を安定して配置できる。そのため、かしめ部材14による導線12とチューブ10の固定をより簡便に行うことができ、歩留まりが向上する。
【0031】
かしめ部材14を形成する材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス(SUS)、真鍮、銅、鉄、銀、金、白金、アルミニウム、錫等の金属を例示できる。かしめ部材14を金属製とすることで、かしめ部材14を他の部材と電気的に接続する雄コネクタとしても使用できる。
かしめ部材14としては、例えば、スナップボタンを採用できる。
【0032】
伸縮性配線1の製造方法としては、以下に示す方法が挙げられる。
図4Aに示すように、チューブ10内に導線12を通し、チューブ10に長さ方向に引っ張る荷重をかけ、チューブ10を伸ばした状態とする。この状態で、
図4Bに示すように、チューブ10の長さ方向の両端部分でそれぞれかしめ部材14により導線12とチューブ10とをかしめて固定する。その後、
図4Cに示すように、チューブ10を引っ張る荷重を解放し、チューブ10を延伸していない元の状態に戻すことで伸縮性配線1が得られる。
【0033】
より具体的には、チューブ10として外径2mm、壁厚約0.2mmのシリコンチューブを用い、導線12として長さ約140cmのSUS(Steel Use Stainless)線を用いた例について説明する。SUS線(SUS304)の太さは12μm、質量0.22g/mである。このSUS線にシリコンチューブを被膜し、シリコンチューブとSUS線との両端を固定し、チューブおよびSUS線の長さが約50%になるように収縮させた。
このようにして得られた伸縮性配線1は、張力をかけない状態で線径2.5mm、長さ60cmであった。この伸縮性配線1に長さ方向に張力をかけ、完全に伸長させたときの長さは136cmであった。この伸縮性配線1が伸長を開始するときの張力(初動感度)は、0.03ニュートン(N)であり、完全に伸長させるのに要する張力(最大伸長時張力)は1.2Nであった。この伸縮性配線1のSUS線の直流抵抗値は30.5Ωであり、伸縮にともなう抵抗値の変化は見られなかった。この伸縮性配線1を完全に伸長させた後、張力を解除すると、線径2.5mm、長さ60cmに戻った。
【0034】
上記の通り、この伸縮性配線1は、小さい張力で伸長させることができる。したがって、この伸縮性配線1は、被験者が衣類とともに装着したときに、ゴム紐のように違和感なく伸長する。この伸縮性配線1は、ウエラブル配線として使用する場合に体の動きとともに伸長したときに、接続された生体電極に張力を及ぼさない。したがって、生体電極が装着された位置からズレることがなく、生体電極から得られる信号の歪が発生しにくい。
この伸縮性配線1の線径は2.5mmであり、従来のケーブルと比較して細い。また、この伸縮性配線1は、チューブとしてシリコンチューブを使用しているため、柔軟であり、肌触りがよい。伸縮性配線1を衣類に装着して、直接皮膚にあたっても違和感を生じにくく、長期間の生体計測に適している。シリコンとSUS線とを用いた伸縮性配線1は、熱に対しても薬品に対しても強く、洗濯機で丸洗いが可能であり、乾燥機やドライヤーで乾燥することもできる。
【0035】
本実施形態の伸縮性配線1のように、チューブ10の第1端部10a側と第2端部10b側において、導線12のチューブ10から露出した部分を貫通孔30に通して結び目32を形成する場合、その作業はチューブ10を延伸した状態で行ってもよく、チューブ10を延伸する前に行ってもよい。
チューブ10及び導線12の製造方法としては、公知の方法を採用できる。
【0036】
以上説明したように、本発明においては、伸縮性を有するチューブ内に導線が配置され、チューブを延伸していない状態の導線の固定部間の長さがチューブの固定部間の長さよりも長くなるように、チューブの両端部分で導線とチューブとが固定されている。これにより、本発明の伸縮性配線は延伸していない状態ではチューブ内で導線が湾曲や屈曲を有する余裕のある形状で存在しているため、優れた伸縮性が得られる。
【0037】
なお、本発明の伸縮性配線は、前記した伸縮性配線1には限定されない。
例えば、本発明の伸縮性配線においてチューブと導線とを固定する態様は、かしめ部材14を用いる態様には限定されない。本発明の伸縮性配線は、かしめ部材14において雄部材16に貫通孔30が形成されていないかしめ部材でチューブと導線とをかしめて固定するものであってもよい。
【0038】
本発明の伸縮性配線は、導線とチューブとが絞り止め金具により絞り止められて固定されているものであってもよい。具体的には、例えば、
図5に例示した伸縮性配線2であってもよい。
伸縮性配線2は、チューブ10と導線12とがかしめ部材14で固定される代わりに絞り止め金具40で固定されている以外は、伸縮性配線1と同様の態様である。
【0039】
絞り止め金具40は、棒状の金具であり、チューブ10の長さ方向の第1端部10a側の部分で、導線12とチューブ10とを絞り止めるように環状に変形されている。このように、伸縮性配線2では、チューブ10の長さ方向の第1端部10a側の部分で、導線12とチューブ10とが絞り止め金具40で絞り止められて固定されている。チューブ10の長さ方向の第2端部10b側の部分でも、導線12とチューブ10とが絞り止め金具40で絞り止められて固定されている。
【0040】
絞り止め金具40を構成する金属としては、例えば、SUS、真鍮、鉄、アルミニウムを例示できる。絞り止め金具40を構成する金属は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
絞り止め金具40の長さ及び太さは、導線12とチューブ10とがしっかりと固定できる範囲であればよく、適宜設定できる。
【0041】
本発明の伸縮性配線は、導線とチューブとがバンド材により縛られて固定されているものであってもよい。具体的には、例えば、
図6に例示した伸縮性配線3であってもよい。
伸縮性配線3は、チューブ10と導線12とがかしめ部材14で固定される代わりにバンド材50で固定されている以外は、伸縮性配線1と同様の態様である。
【0042】
伸縮性配線3では、チューブ10の長さ方向の第1端部10a側の部分で、導線12とチューブ10とが、バンド材50が巻き付けられて縛られることで固定されている。チューブ10の長さ方向の第2端部10b側の部分でも、導線12とチューブ10とが、バンド材50が巻き付けられて縛られることで固定されている。
【0043】
バンド材50の形態としては、導線とチューブとを縛って固定できるものであればよく、例えば、結束バンド、紐を例示できる。バンド材50としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
バンド材50を形成する材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリスチレン、ナイロン、ポリカーボネード、フッ素樹脂、シリコーンゴム、SUSや真鍮、鉄、アルミニウム等の金属を例示できる。
バンド材50の長さ及び太さは、導線12とチューブ10とがしっかりと固定できる範囲であればよく、適宜設定できる。
【0044】
本発明の伸縮性配線は、圧着端子を用いてチューブと導線とを圧着して固定するものであってもよい。圧着端子としては、チューブと導線とを圧着して固定できるものであればよく、配線に通常用いられる公知の圧着端子を採用できる。
【0045】
本発明の伸縮性配線は、
図7に示すように、チューブ10の長さ方向の第1端部10a側と第2端部10b側の部分をそれぞれ導線12とともに結んでチューブ10と導線12とを固定した伸縮性配線4であってもよい。
【0046】
本発明の伸縮性配線は、チューブの長さ方向の両端部分にピン端子を挿し込み、チューブにおけるピン端子を挿し込んだ部分を紐で縛ってチューブと導線とを固定した伸縮性配線であってもよい。ピン端子としては、特に限定されず、配線に通常用いられる公知の圧着端子を採用できる。
【0047】
前述したように、
図2に示された伸縮性配線1のかしめ部材14は、雄コネクタとして使用することができる。以下に説明するように、他の実施形態において、かしめ部材は雌コネクタとして使用することもできる。
すなわち、
図8を参照すると、かしめ部材114は、リング状雄部材116とリング状の雌部材118とを有する。ばね性を有する雌部材118は、雄部材116に形成されたスパイク128に圧着されてリング状雄部材116に固定される。リング状雄部材116は、リング状の平板部124を有する。スパイク128は、平板部124に対してほぼ直角に延びるように形成される。雌部材118は、雄部材116にかしめられることによって、平板部124との間に挟まれたチューブ10の端部10aを平坦部124に圧接する。すなわち、雌部材118は、スパイク128と雌部材116とのばね力によってチューブ10の端部10aを平坦部124に圧接する。これにより、チューブ10と導線12とが雌部材118および平板部124によって固定される。
【0048】
チューブ10から引き出された導線12には結び目32が形成される。この結び目32は、スパイク123よりもリング状雄部材116の中心に配置され、導線12およびチューブ10が雄部材116から外れるのを防いでいる。
【0049】
リング状の雌部材118およびリング状雄部材116は金属製である。従って、上記構成により、導線12は雄部材116を介して雌部材118と電気的に接続される。雌部材118には、中央部に凹み部51が形成される。この凹み部51は
図2に示された雄コネクタの突起部26と係合することによって、
図2に示された雄コネクタと
図8に示された雌コネクタとが電気的に接続される。
【0050】
本発明においては、チューブと導線とを固定する態様として、前記した態様の2つ以上を組み合わせてもよい。
本発明においては、工業的な生産性に優れる点から、前記した態様のなかでも、かしめ部材14のような雄部材と雌部材とを備えるかしめ部材によってチューブと導線とをかしめて固定する態様が好ましい。
【0051】
また、本発明の伸縮性配線においては、チューブの両端部分に加えて、チューブの長さ方向における該両端部分以外の部分でもチューブと導線とを固定してもよい。すなわち、本発明の伸縮性配線におけるチューブと導線とが固定される固定部の数は、2つには限定されず、3つ以上であってもよい。
【0052】
以上説明したように、本発明においては、伸縮性を有するチューブ内に導線が配置され、チューブを延伸していない状態の導線の固定部間の長さがチューブの固定部間の長さよりも長くなるように、チューブの両端部分で導線とチューブとが固定されている。これにより、本発明の伸縮性配線は延伸していない状態ではチューブ内で導線が湾曲や屈曲を有する余裕のある形状で存在しているため、優れた伸縮性が得られる。
【0053】
本発明の伸縮性配線はこのように伸縮性に優れるため、特にウエアラブルな生体信号取得機器に適している。例えば下着等の衣服型の生体信号取得装置に本発明の伸縮性配線を適用することで、着たり脱いだりする際にニット生地の伸縮性を損ないにくく、違和感を低減できる。また、本発明の伸縮性配線を適用した衣服を身につけた状態では、伸縮性配線が収縮状態で衣服の中に通されたゴム紐のような状態となり、生地にフィットした状態で収納されるため、違和感が少ない。
また、本発明の伸縮性配線は、導線がチューブ内に収容されているため、防水性にも優れている。
【0054】
図9は伸縮性配線1を衣服に固定した模式図である。伸縮性配線1の両端はそれぞれトランスミッタ101とセンサ102とを接続している。
ここで衣服は
図9に図示したズボンの他、マフラーや包帯、靴下など、本発明の配線を固定できるものなら種類を問わず、配線の固定法も任意で良い。また、センサ102はウエアラブル電極や脈拍センサ、体温計、加速度計など、必要に応じたセンサを選べば良く、センサの数や種類が複数でも良い。
【0055】
たとえば、脈拍センサを用いる場合、センサ102で計測した脈拍データをトランスミッタ101で外部に転送することができる。なお、配線1は衣服の内外どちらに配しても良いが、内側に配すれば配線が人目に触れることがなく、装着者は配線を意識せずに生体データを取得するスマートウェアとして活用することができる。
トランスミッタ101とセンサ102の固定法、固定位置も任意で良い。たとえば、トランスミッタ101をズボンに固定し、センサ102を靴下に固定するなど、異なる衣服を跨いだ固定でも良い。
【0056】
また、本発明の伸縮性配線では、導線としてSUS糸を用いることで、伸縮性配線を適用したウエアの丸洗いが可能である。またシリコーンゴムで形成されたチューブを用いた伸縮性配線は耐熱性、耐薬品性に優れるため、該伸縮性配線を適用したウエアは耐火難燃、耐薬品ウエアとして過酷な環境にも用いることができる。