(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
窒化珪素セラミックス焼結基板の外縁から内側の位置に前記外縁に沿って形成された辺ブレークラインと、前記辺ブレークラインの周囲に形成された耳部と、を有する窒化珪素セラミックス焼結基板を載せるベースと、
前記ベースに載せた前記窒化珪素セラミックス焼結基板を、前記ベースと前記辺ブレークラインとの間を距離L1に保って位置合わせする位置合わせ機構と、
前記窒化珪素セラミックス焼結基板の主面に荷重を加えて、前記辺ブレークラインとの間を距離L2に保って配置する押え部材と、前記耳部に荷重を加えるパンチ部材とを備え、前記窒化珪素セラミックス焼結基板から窒化珪素セラミックス集合基板と耳部とを分割するパンチ機構と、
前記ベースに対して前記窒化珪素セラミックス焼結基板或いは前記窒化珪素セラミックス集合基板を搬送する搬送機構と、を有し、
前記距離L1は、前記ベースの主面に平行な向きにおいて、前記ベースの側面と前記辺ブレークラインの中心との距離であって、1.0〜5.0mmとし、
前記距離L2は、前記ベースの主面に平行な向きにおいて、前記押え部材の側面と前記辺ブレークラインの中心との距離であって、0〜10.0mmとし、
前記窒化珪素セラミックス焼結基板は厚さを0.2mm〜1.0mmとし、
前記辺ブレークラインは深さを80〜300μmとしたことを特徴とする窒化珪素セラミックス集合基板の製造装置。
前記位置合わせ機構は前記窒化珪素セラミックス焼結基板の外縁に突き当てる治具を有することを特徴とする請求項1に記載の窒化珪素セラミックス集合基板の製造装置。
前記ベースに載せる前記窒化珪素セラミックス焼結基板は、前記辺ブレークラインの交差する角部に前記辺ブレークラインと傾斜する方向に角ブレークラインが形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の窒化珪素セラミックス集合基板の製造装置。
窒化珪素セラミックス焼結基板の外縁から内側の位置に前記外縁に沿って形成された辺ブレークラインと、前記辺ブレークラインの周囲に形成された耳部と、を有する窒化珪素セラミックス焼結基板をベースに載せる配置工程と、
前記ベースに載せた前記窒化珪素セラミックス焼結基板を、前記ベースの主面に平行な向きにおいて、前記ベースの側面と前記辺ブレークラインの中心との間を1.0〜5.0mmの距離L1に保って位置合わせする位置合わせ工程と、
前記窒化珪素セラミックス焼結基板の主面に押え部材で荷重を加えて、前記ベースの主面に平行な向きにおいて、前記押え部材の側面と前記辺ブレークラインの中心との間を0〜10.0mmの距離L2に保って固定し、前記耳部にパンチ部材で荷重を加えて、前記窒化珪素セラミックス焼結基板から窒化珪素セラミックス集合基板と耳部とを分割する分割工程と、
を含み、
前記窒化珪素セラミックス焼結基板は厚さを0.2mm〜1.0mmとし、
前記辺ブレークラインは深さを80〜300μmとしたことを特徴とする窒化珪素セラミックス集合基板の製造方法。
前記位置合わせ工程では、前記窒化珪素セラミックス焼結基板の外縁に治具を突き当てて位置を合せることを特徴とする請求項5に記載の窒化珪素セラミックス集合基板の製造方法。
前記パンチ部材で荷重を加えたときに、前記ベースの主面に平行な向きにおいて、前記パンチ部材が前記耳部に接触する箇所と前記辺ブレークラインの中心との間を1.0〜5.0mmの距離L3に保つことを特徴とする請求項5又は6に記載の窒化珪素セラミックス集合基板の製造方法。
前記ベースに載せる前記窒化珪素セラミックス焼結基板は、前記辺ブレークラインの交差する角部に前記辺ブレークラインと傾斜する方向に角ブレークラインを有していることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の窒化珪素セラミックス集合基板の製造方法。
【背景技術】
【0002】
半導体モジュール、パワーモジュール等に利用される回路基板には、熱伝導性および絶縁性、強度などの点で回路用セラミックス基板が用いられ、この回路用セラミックス基板にCuやAlなどの金属回路板や金属放熱板が接合されて回路基板とされている。回路用セラミックス基板としては、アルミナや窒化アルミニウム材が広く使われてきたが、最近では、より厳しい環境でも使用できるように、高強度で熱伝導性も改善された窒化珪素が使用されるようになってきた。
【0003】
また、回路基板を量産する技術として、前記回路用セラミックス基板が多数切り出せる大きさの1枚のセラミックス集合基板に、活性金属ロウ付け法や直接接合法などによりCu板等の金属板を接合し、エッチング加工等で金属回路板と金属放熱板を形成する。次いで、セラミックス集合基板を所定の大きさに分割して個々の回路基板を得る。
【0004】
個々の回路基板に分割する方法としては、Cu板等の接合前にレーザ加工により、セラミックス集合基板に凹部又は溝を形成しておき、接合後に回路基板付きのセラミックス集合基板を撓ませて、凹部又は溝で分割する方法が採用されている。
【0005】
本発明者らが、焼結したままのセラミックス焼結基板にレーザ加工により分割用のスクライブ孔(非貫通の孔)を形成したものについて、手作業によって、スクライブ孔による分割線で分割することで、セラミックス焼結基板の四辺を除去してセラミックス集合基板を作製したところ、セラミックス集合基板の縁部に亀裂、欠け等が発生し易いことがわかった。回路基板を製造するプロセスでもセラミックス集合基板から縁部を除去して複数の回路基板を得る際に、回路基板の採取歩留まりが低下するという問題があった。また、従来技術の分割装置を用いてセラミックス焼結基板の四辺の除去を検討したところ、亀裂や割れを生じることがわかった。
【0006】
特許文献1(特開平5−8200)はセラミック基板分割装置であり、「基板をのせる基板受けと、基板を固定する基板押えピンと、基板を割るための基板分割爪と、前記基板押えピンを動かす第1のエアシリンダーと、前記基板分割爪を動かす第2のエアシリンダーと、前記基板押えピン及び基板分割爪の位置を保持するガイドとを備えたセラミック基板分割装置」(請求項1参照)が記載されている。
【0007】
特許文献2(特開平9−136319)は基板の分割装置であり、「基板の載置台と、前記基板を前記載置台へ押し付ける押圧手段と、前記基板を分割溝部で折るためのプレス部及び前記基板を前記分割溝部でカットするためのテーパ状のカッター部が一体形成されたカッター刃と、該カッター刃を上下動させる駆動手段とを備えていることを特徴とする基板の分割装置」(請求項1参照)が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術の分割装置では、矩形のセラミックス焼結基板をセラミックス集合基板と耳部に分割する際に、位置合わせのやり直しを要していた。また、セラミックス集合基板の縁部に発生する亀裂や割れの問題を解消できていなかった。中でも、高強度、高熱伝導性を有する窒化珪素セラミックス集合基板を作製する場合は、高強度且つ高靭性のため、亀裂や割れの問題が発生し易かった。
【0010】
特許文献1のセラミック基板分割装置では、
図3で基板受け4の側面を含む面と溝12の幅方向の中心との間隔として0.5mm相当の数値が記載されている。基板受け4の側面と溝12が近すぎるので、基板の位置合わせの余裕度が乏しい。したがって、セラミック基板を分割装置に配置したときに、わずかなズレが有ると、基板受け4と基板押えピン6間に溝12が挟まれてしまうので、位置合わせのやり直しを要する、という問題がある。
【0011】
特許文献2の分割装置では、
図1で載置台40の側面と分割溝61との距離が開示されていない。しかし、
図5中のBが「30mm程度」(段落0005参照)であるため、
図5で押え部材201と分割溝との距離は10mm程度と推定される。このような距離でもって
図1の装置で基板を分割しようとすると、分割溝から基板に向かって亀裂や割れを生じ易い、という問題がある。
【0012】
本発明の目的は、窒化珪素セラミックス焼結基板の位置合わせに高い余裕度を持たせて、窒化珪素セラミックス焼結基板から四辺の耳部を分割して窒化珪素セラミックス集合基板を得る際に亀裂や割れが生じることを抑制することができる、窒化珪素セラミックス集合基板の製造装置及び窒化珪素セラミックス集合基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の窒化珪素セラミックス集合基板の製造装置は、窒化珪素セラミックス焼結基板の外縁から内側の位置に前記外縁に沿って形成された辺ブレークラインと、前記辺ブレークラインの周囲に形成された耳部と、を有する窒化珪素セラミックス焼結基板を載せるベースと、
前記ベースに載せた前記窒化珪素セラミックス焼結基板を、前記ベースと前記辺ブレークラインとの間を距離L1を保って位置合わせする位置合わせ機構と、
前記窒化珪素セラミックス焼結基板の主面に荷重を加えて、前記辺ブレークラインとの間を距離L2を保って配置する押え部材と、前記耳部に荷重を加えるパンチ部材とを備え、前記窒化珪素セラミックス焼結基板から窒化珪素セラミックス集合基板と耳部とを分割するパンチ機構と、
前記ベースに対して前記窒化珪素セラミックス焼結基板或いは前記窒化珪素セラミックス集合基板を搬送する搬送機構と、を有し、
前記距離L1は、前記ベースの主面に平行な向きにおいて、前記ベースの側面と前記辺ブレークラインの中心との距離であって、1.0〜5.0mmとし、
前記距離L2は、前記ベースの主面に平行な向きにおいて、前記押え部材の側面と前記辺ブレークラインの中心との距離であって、0〜10.0mmとしたことを特徴とする。
【0014】
上記の本発明の窒化珪素セラミックス集合基板の製造装置において、前記位置合わせ機構は前記窒化珪素セラミックス焼結基板の外縁に突き当てる治具を有することが好ましい。
【0015】
上記の本発明の窒化珪素セラミックス集合基板の製造装置において、前記パンチ部材は、前記耳部に荷重を加えたときに、前記辺ブレークラインとの間を距離L3に保って配置されており、
前記距離L3は、前記ベースの主面に平行な向きにおいて、前記パンチ部材が前記耳部に接触する箇所と前記辺ブレークラインの中心との距離であって、1.0〜5.0mmとしたことが好ましい。
【0016】
上記の本発明の窒化珪素セラミックス集合基板の製造装置において、前記ベースに載せる前記窒化珪素セラミックス焼結基板は、前記辺ブレークラインの交差する角部に前記辺ブレークラインと傾斜する方向に角ブレークラインが形成されていることが好ましい。
【0017】
本発明の窒化珪素セラミックス集合基板の製造方法は、窒化珪素セラミックス焼結基板の外縁から内側の位置に前記外縁に沿って形成された辺ブレークラインと、前記辺ブレークラインの周囲に形成された耳部と、を有する窒化珪素セラミックス焼結基板をベースに載せる配置工程と、
前記ベースに載せた前記窒化珪素セラミックス焼結基板を、前記ベースの主面に平行な向きにおいて、前記ベースの側面と前記辺ブレークラインの中心との間を1.0〜5.0mmの距離L1に保って位置合わせする位置合わせ工程と、
前記窒化珪素セラミックス焼結基板の主面に押え部材で荷重を加えて、前記ベースの主面に平行な向きにおいて、前記押え部材の側面と前記辺ブレークラインの中心との間を0〜10.0mmの距離L2に保って固定し、前記耳部にパンチ部材で荷重を加えて、前記窒化珪素セラミックス焼結基板から窒化珪素セラミックス集合基板と耳部とを分割する分割工程と、
を含むことを特徴とする。
【0018】
上記の本発明の窒化珪素セラミックス集合基板の製造方法において、前記位置合わせ工程では、前記窒化珪素セラミックス焼結基板の外縁に治具を突き当てて位置を合せることが好ましい。
【0019】
上記の本発明の窒化珪素セラミックス集合基板の製造方法において、前記パンチ部材で荷重を加えたときに、前記ベースの主面に平行な向きにおいて、前記パンチ部材が前記耳部に接触する箇所と前記辺ブレークラインの中心との間を1.0〜5.0mmの距離L3に保つことが好ましい。
【0020】
上記の本発明の窒化珪素セラミックス集合基板の製造方法において、前記ベースに載せる前記窒化珪素セラミックス焼結基板は、前記辺ブレークラインの交差する角部に前記辺ブレークラインと傾斜する方向に角ブレークラインを有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によって、窒化珪素セラミックス焼結基板の位置合わせに高い余裕度を持たせて、生産性の優れた窒化珪素セラミックス集合基板の製造装置となった。また、耳部を除去する際に窒化珪素セラミックス集合基板に亀裂や割れの発生が抑制された製造方法となった。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明者らは、窒化珪素セラミックス焼結基板の位置合わせ、及び、窒化珪素セラミックス焼結基板から窒化珪素セラミックス集合基板と耳部とに分割する際に窒化珪素セラミックス集合基板に発生する不具合(亀裂や割れなど)について、鋭意検討した結果、本発明に係る窒化珪素セラミックス集合基板の製造装置及び製造方法に想到した。
【0024】
本発明では、窒化珪素セラミックス焼結基板を位置合わせして、ベースの側面を含む面と辺ブレークラインの中心との距離L1を1.0〜5.0mmの範囲内とし、且つ、押え部材の側面と辺ブレークラインの中心との距離L2を0〜10.0mmの範囲内とする。
【0025】
距離L1を1.0mm以上とすることで、寸法バラツキのある焼結上がりの窒化珪素セラミックス焼結基板であっても、高い位置合わせ余裕度を持たせることができる。また、距離L1を5.0mm以下とすることで、辺ブレークラインの最深部に効率的に応力を集中させて、辺ブレークラインから窒化珪素セラミックス集合基板に向かう亀裂の発生を抑制することができる。また、辺ブレークラインの内側に位置する窒化珪素セラミックス集合基板に、辺ブレークラインに沿った割れが発生するのを抑制することができる。なお、より好ましくは、距離L1を1.0〜4.0mmとする。
【0026】
距離L2を0mm以上とすることで、パンチ部材を押し込んだ際に生じる基板端部のベースからの浮き上がりを抑制し、辺ブレークラインのベースの側面に対する位置精度の低下を抑制できる。また、距離L2を10.0mm以下することでパンチ部材を押し込んだ際に生じる基板端部のベースからの浮き上がりを抑制するとともに、曲げによる辺ブレークラインに沿った基板割れを抑制できる。なお、距離L1とL2の差は小さい方が望ましく、例えば、(L2−L1)の絶対値を5mm未満とする。
【0027】
本発明では、前記パンチ部材が前記耳部に接触する箇所と辺ブレークラインの中心との距離L3を1.0〜5.0mmの範囲内とするのが更により好ましい。距離L3を1.0mm以上とすると、高い位置合わせ余裕度を持たせることができる。また、距離L3を5.0mm以下とすると、窒化珪素セラミックス集合基板と耳部とに分割する際に、辺ブレークライン以外での耳部の割れを抑制することに寄与する。
【0028】
本発明では、位置合わせを行って、距離L1、L2の余裕度を高く持たせることができる。窒化珪素セラミックス焼結基板の外縁に治具を突き当てる、という簡便な位置合わせが可能となる。また、本発明では、分割を自動で行う製造装置とするのに適している。
【0029】
さらに、本発明では、窒化珪素セラミックス焼結基板に角ブレークラインを形成しておくと、特に窒化珪素セラミックス集合基板の角部で亀裂や割れの発生を抑制することができる。
【0030】
本発明の実施形態を、以下で図面に沿って説明するが、本発明は必ずしもそれらに限定されるものではない。各実施形態に関する説明は、特に断りがなければ他の実施形態にも適用できる。
【0031】
本発明の製造装置又は製造方法に用いる窒化珪素セラミックス焼結基板1を例えば
図1で説明する。
図1に示す窒化珪素セラミックス焼結基板1は、焼結後の窒化珪素セラミックス焼結基板に、例えば炭酸ガスレーザ(CO
2レーザ)やファイバーレーザ等を用いて、窒化珪素セラミックス焼結基板の外縁10から内側の位置に外縁10に沿ってスクライブ孔13a(非貫通の孔)を複数個形成することで、スクライブ孔の中心間を結ぶ分割線によるブレークライン13(以下、辺ブレークラインという)とする(スクライブ孔形成工程)。以下で「スクライブ孔」は基板を貫通していない孔(非貫通の孔)を指す。辺ブレークライン13より外側は、耳部11である。
【0032】
さらに、辺ブレークライン13が交差する角部の各々に辺ブレークライン13と傾斜する方向(例えば45°傾斜する方向)に、L10だけ突出した位置から貫通孔を連続的に形成していくことで、いわば角部を面取りするように、窒化珪素セラミックス焼結基板の厚さ方向に貫通するスリットを形成して角ブレークライン14とする(貫通孔形成工程(より詳細にはスリット形成工程))。ここで、「スリット」は一方の面から他方の面に基板を貫通した細長い切り込みを指す。「貫通孔」は一方の面から他方の面に基板を貫通した孔を指す。前記スリットは、複数個の貫通孔を連結して形成されており、貫通孔の中心間を結ぶ分割線による角ブレークラインを構成している。交差する辺ブレークライン13及び角ブレークライン14に囲まれた部分は三角形状の角部15に相当する(追って耳部を除去する際には、角部15は耳部11に付属した状態で分離される部分となる)。窒化珪素セラミックス焼結基板の主面1aにおいて、四辺の辺ブレークライン13と四隅の角ブレークライン14で囲まれた部分は窒化珪素セラミックス集合基板12に相当する。
【0033】
角ブレークライン14は、耳部11に突出した突出長L10が、貫通孔の形成に用いたレーザのビームスポット直径より大きく、且つ3.5mm未満であることが好ましい。例えば
図1に示すように、角ブレークライン14がスリットで構成される場合、突出長L10がレーザのビームスポット直径より大きいと、窒化珪素セラミックス集合基板と耳部とに分割する際に、スリットに隣接する辺ブレークラインの交差部に発生するバリの発生を抑制することができる。また、窒化珪素セラミックス集合基板と耳部とに分割するときに、角部が面取り部に残ることを防止できる。窒化珪素セラミックス集合基板の辺にバリがあると、その後の銅回路基板形成工程において、辺で位置合わせを行う際に位置ずれを生じる虞があるので、バリの発生を抑制するのが好ましい。また、スリットの突出長L10を3.5mm以上にすると、窒化珪素セラミックス集合基板と耳部とに分割する際に、耳部がスリットの延長線上で分断されやすくなり、除去作業の工数が増え、また加工時間も長くなり、不経済となる為である。
【0034】
次に、本発明の製造装置又は製造方法に用いる位置合わせ機構を
図2で説明する。
図2は、ベース50の上で窒化珪素セラミックス焼結基板1の位置を合わせる為の位置合わせ機構を示しており、リニア駆動装置52に支持されたL字型の治具51と、リニア駆動装置52´に支持されたL字型の治具51´を有する。窒化珪素セラミックス焼結基板1の対角部の各々に、突き当て部としてL字型の治具51,51´を突き当てて位置合わせを行うものである。
【0035】
図2に示すように、ベース50の角部を面取りして面取り面50dとすると(例えばC面取りで2mm)、ベース50の角部の1点が窒化珪素セラミックス焼結基板の面に突き当たって力が集中して亀裂や割れを形成することを抑制できる。また、窒化珪素セラミックス焼結基板1の外縁10とL字型の治具の内側の縁とを密着させるうえで、L字型の治具51,51´の内側の縁同士の間には、それぞれ凹み51a,51a´を有するのが好ましい。
【0036】
次に、
図2に係る位置合わせの順序を
図3(3a)〜(3d)で説明する。
図3(3a)の上面図に示すように、窒化珪素セラミックス焼結基板1を配置する前のベース50に対して距離を置いてL字型の治具51,51´が配置されている。続いて、
図3(3b)に示すように、搬送機構(追って
図7で説明する)を用いて窒化珪素セラミックス焼結基板1をベース50の主面50bの上方まで移動させてから、ベース50の上に載せる(配置工程)。
【0037】
続いて、リニア駆動装置52によってL字型の治具51を矢印の方向に平行移動させて、L字型の治具51の2つの縁51b,51c(内側の隣り合う縁。詳細には2つの側面に相当する)を窒化珪素セラミックス焼結基板1の2つの外縁10(詳細には2つの側面に相当する)に突き当てて押していき、予め設定した位置で、
図3(3c)に示すようにL字型の治具51を停止して固定する(要はロックする)。ロックしたときのL字型の治具51の内側の2つの縁51b,51cが、位置合わせの基準となる。
【0038】
続いて、リニア駆動装置52´によってL字型の治具51´を平行移動させて(矢印が移動方向に相当)、L字型の治具51´の2つの縁51b´,51c´(内側の隣り合う縁。詳細には2つの側面に相当する)を窒化珪素セラミックス焼結基板1の他の2つの外縁10に突き当てて、一定の力で押し続ける(押し続け方式)。その結果、
図3(3d)に示すように、窒化珪素セラミックス焼結基板の対角部にそれぞれL字型の治具51,51´が突き当てられた状態となって位置合わせされて、
図2に相当する状態となる(位置合わせ工程)。このとき、ベースの主面50bに平行な向きにおいて、前記ベースの側面50aと辺ブレークラインの中心との距離L1を1.0〜5.0mmの範囲内とする(L1は追って
図4で説明する)。
【0039】
なお、
図3(d)で述べた“押し続け方式”に代えて、所定の反力を検出したら、L字型の治具51´を停止して固定する(ロックする)という方式にしてもよい。
【0040】
上記の
図3のように1個のL字型の治具(内側の隣り合う縁)を窒化珪素セラミックス焼結基板の隣り合う外縁に突き当てる位置合わせ機構は、2個の治具を用いてそれぞれを別個に隣り合う外縁に突き当てる位置合わせ機構に比べて、構造を簡略化できるので好ましい。
【0041】
次に、
図4(及び
図5)において、上記の位置合わせ機構(
図2及び
図3)を用いる窒化珪素セラミックス集合基板の製造装置を説明する。
図4の製造装置は、ベースピラー50pに支持された板状のベース50を備えており、ヨーク56と、ヨーク支持部56aを介してヨーク56を支持して且つヨーク56を上下にリニア駆動させるピラー装置57を有するパンチ機構を備える。ピラー装置57とベースピラー50pは共通の基準台50g上に設けられている。このヨーク56の底面には、パンチ部材53としてパンチ面53aを有するパンチ板(短辺用の2枚)、パンチ部材54としてパンチ面54aを有するパンチ板(長辺用の2枚)が、枠状に設けられている。また、ヨーク56の底面側には、パンチ部材53,54に囲われた領域で、ロッド55aとバネ55bとシリンダ55cを介して板状の押え部材58が支持されている。板状のベース50の主面50b上には、L字型の治具51,51´で位置合わせされた窒化珪素セラミックス焼結基板1が載せられている。
【0042】
続いて、
図4の製造装置でヨーク56をベース50に向かって下降させると、窒化珪素セラミックス焼結基板1は、押え部材58とベースの主面50bの間に挟まれて、荷重を加えられて固定される。このとき、ベースの主面50bに平行な向きにおいて、押え部材の側面58aと辺ブレークライン13の中心との距離L2を0〜10.0mmの範囲内とする。バネ55bが縮むことを利用して、更にヨーク56を下降させて、耳部11とパンチ面53aが接触したとき、パンチ部材53のパンチ面53aが耳部11と接触する箇所と辺ブレークライン13の中心との距離L3を1.0〜5.0mmの範囲内とする。なお、
図4(及び
図5)では、わかり易くする為に、窒化珪素セラミックス焼結基板1の厚さを大きく強調して図示している。
【0043】
距離L3は、パンチ部材が面で耳部と接触する場合には、ベースの主面50bに平行な向きにおいて、パンチ部材の面の内側(接触する面で、辺ブレークラインに最も近い側)と辺ブレークラインの中心との距離を表すものとする。但し、パンチ部材が線で耳部と接触する場合には、ベースの主面50bに平行な向きにおいて、パンチ部材の線(線接触する箇所)と辺ブレークラインの中心との距離を表すものとする。
【0044】
続いて、L字型の治具51,51´を元の位置に戻してから(すなわち、窒化珪素セラミックス焼結基板より離してから)、ヨーク56を下降させると、1対のパンチ面53aが荷重を加えつつ1対の耳部11(短い方の耳部)を押し込むことで、辺ブレークライン13と直角な方向に曲げによる引張応力を作用させて、辺ブレークライン13が割れて、1対の耳部11が分離される。更にヨーク56を下降させて、他の1対の耳部11(長い方の耳部)とパンチ面54aが接触したとき、パンチ部材54のパンチ面54aが耳部11と接触する箇所と辺ブレークライン13の中心との距離L3も1.0〜5.0mmの範囲内とする。なお、辺ブレークライン13を有する窒化珪素セラミックス焼結基板1、ベース50(ベースの側面50a)及び押え部材58(押え部材の側面58a)について、距離L1、距離L2及び距離L3の関係の概略を
図6の拡大図に示す。
図6では、辺ブレークライン13は切り込みとして示しており、三角形状の断面の底が最深部13bに相当する。辺ブレークライン13の幅方向はベースの主面50bやL1に平行な向きである。補助線aは辺ブレークライン13の幅方向の中心を通る線に相当する。パンチ部材54に設ける面取り部は、たとえばC1〜C10程度のC面取りとすることが出来る。
【0045】
続いて、ヨーク56を下降させると、1対のパンチ面54aが荷重を加えつつ他の1対の耳部11(長い方の耳部)を押し込むことで、辺ブレークライン13が割れて、窒化珪素セラミックス集合基板12と、他の1対の耳部11とに分割される(分割工程:より詳細には耳部分割工程)。押え部材58とベース50の間には窒化珪素セラミックス集合基板12のみが挟まれた状態となる。下に落ちた耳部11は回収用シュータ(滑り台:図示せず)などを用いて回収する。続いて、ヨーク56を上昇させて押え部材58を窒化珪素セラミックス集合基板12から十分に離す。続いて、搬送機構(追って
図7で説明する)を用いて、ベース50から窒化珪素セラミックス集合基板12を取り出すことができる。短い方の耳部と長い方の耳部を分けて分割する方式を用いると、四辺の耳部を同時に押し込んで分割する方式に比べて、窒化珪素セラミックス集合基板における亀裂や割れの発生を更に抑制できる。前記荷重は、クラック抑制の観点で言うと、例えば600N以下とするのが好ましい。より具体的には30Nや100Nなどが挙げられる。
【0046】
なお、
図6において、耳部の幅が例えば0.5mmと小さい場合には、パンチ部材54の面取り部の幅を大きくして(面取り部をL3の側に広げて)、面取り部の面で耳部11を押し込んで、辺ブレークライン13を割るのがよい。面取り部を設けて、分割時に面取り部が耳部に当たるようにすると、耳部の幅を変えたとしても、耳部の曲げ具合が同じような状態になるので、断面の性状を均一にして、分割を安定して行う上で好ましい。
【0047】
上記の
図4(及び
図5)の製造装置では、少なくともパンチ部材53,54の材質は、プラスチックであるのが好ましい。金属のコンタミが窒化珪素セラミックス集合基板12に付着するおそれがない為である。ベース50や押え部材58の材質もプラスチックであるのが好ましい。パンチ部材の材質に強度の高いプラスチック(特にポリカーボネート)を用いると摩耗し難いのでより好ましい。また、窒化珪素セラミックス集合基板に傷をつけないように、ベース50、押え部材58の材質にはベークライトなどの比較的柔らかい材質を用いても構わない。
【0048】
上記の距離L1の変更は、例えばベース50を寸法の異なるものに変更することで対応できる。上記の距離L2の変更は、例えばベース50や押え部材58を寸法の異なるものに交換することで対応できる。上記の距離L3の変更は、例えばパンチ部材53,54をパンチ面の寸法が異なるものに交換すること、或いはヨーク56におけるパンチ部材53,54の固定位置を変更することで対応できる。
【0049】
次に、上記の
図4(及び
図5)の製造装置に用いる為の、基板を搬送する搬送機構を
図7で説明する。
図7に係る基板を搬送する搬送機構は、搬送用アーム62と、搬送用アーム62の端の下側に設けた支持板61と、支持板61の四隅の下側に設けた4個の吸着盤60を有する。吸着盤60が吸気管(図示せず)によって真空吸引されると、窒化珪素セラミックス焼結基板や窒化珪素セラミックス集合基板を吸着できる。搬送用アーム62は、駆動装置(図示せず)によって
図7の矢印の向きや紙面に垂直な向きに適宜平行移動可能であり、
図4の製造装置で耳部を除去する為に、マガジンに積載された窒化珪素セラミックス焼結基板を取り出して移動させてベース50(
図4のベースに相当)の上に置くことができる。また、耳部を除去した後に、窒化珪素セラミックス集合基板をベース50の上から取り出して、後の工程に送ることができる。ここで、「搬送」はベースへの基板の供給或いはベースからの基板の排出を含む。
図7のベース50、ベースピラー50p及び基準台50gは、
図4(及び
図5)に記載のものと同様であるが、
図4(及び
図5)の他の構成は
図7では図示していない。
【0050】
なお、
図7に係る搬送機構を用いて、窒化珪素セラミックス集合基板12を
図4の製造装置のベースの上から取り出したときに、ベースの主面50bをエアブローするか或いはブラシ等で掃いておくのが好ましい。窒化珪素セラミックス焼結基板の分割で微小欠片や粒子が生じてベースの主面50bに落ちた場合、次の窒化珪素セラミックス焼結基板をベースに載せて分割するときに、傾きや位置ずれを生じるおそれがある為である。
【0051】
次に、
図4に係る製造装置で耳部を除去してなる窒化珪素セラミックス集合基板12を用いて、回路基板を形成する様子を
図8で説明する。
図8(8a)は、窒化珪素セラミックス集合基板12であり、四隅の角部が面取りされた矩形を呈している。銅回路基板形成工程において、この窒化珪素セラミックス集合基板12の一方の面に銅の回路板16を複数個接合し(
図8(8b)参照)、他方の面に銅の放熱板を複数個接合して(図示せず)、回路板及び放熱板を接合した窒化珪素セラミックス集合基板12aを得る。続いて、回路板16を接合した側の窒化珪素セラミックス集合基板12aの面に第2のスクライブ孔による第2のブレークライン18、18’を形成する。続いて、第2のブレークライン18,18’に沿って窒化珪素セラミックス集合基板12を分割することで、回路形成部(回路基板20に相当)と縁部17に分離して、各々の回路基板20を得る。ここで、回路基板20は、
図8(8c)に示すように、銅の回路板16及び銅の放熱板(図示せず)とセラミックス基板部19とを有するものとなる。
【0052】
本発明に関して、窒化珪素セラミックス焼結基板には、例えば
図1に示すように、辺ブレークライン13同士が交差する角部に辺ブレークライン13と傾斜する方向に、いわば角部を面取りするように、角ブレークライン14を形成するのが好ましい。角ブレークラインを形成すると、窒化珪素セラミックス焼結基板1を撓ませて、窒化珪素セラミックス集合基板12と耳部11とに分割する際に、特に窒化珪素セラミックス集合基板の四隅に亀裂や欠けを生じることを抑制できる為である。角ブレークラインを設けない場合、窒化珪素セラミックス集合基板12と耳部11とに分割する際に、角部バリ及び角部欠けの不具合に関して増加することを確認している。
【0053】
さらに、角ブレークラインが辺ブレークラインよりも割り易い状態にあると、窒化珪素セラミックス集合基板の四隅の角部で応力の集中がさらに緩和されるので好ましい。例えば、辺ブレークラインの深さよりも角ブレークラインの深さが大である関係とする。より好ましくは、例えば、辺ブレークラインが厚さ方向で基板を貫通していないが、角ブレークラインが厚さ方向で基板を貫通している、という関係にする。このとき、例えば複数個の貫通孔を連結してなるスリットで角ブレークラインを構成する。スリットが基板を貫通することよって、窒化珪素セラミックス集合基板の四隅の角部で応力の集中が特に緩和されるので、亀裂や割れの抑制に寄与する為である。
【0054】
上記の辺ブレークラインの深さは、例えば窒化珪素セラミックス焼結基板の厚さが0.32mmの場合、好ましくは深さ80〜300μmであり、更に好ましくは深さ100〜250μmである。
【0055】
上記の辺ブレークラインが交差する角部に形成した角ブレークラインは、例えば幅を30〜200μm、例えば長さを2.8〜8.4mmとする。角ブレークラインの幅はより好ましくは20〜150μmであり、更に好ましくは30〜100μmである。角ブレークラインの長さはより好ましくは3.0〜8.0mmであり、更に好ましくは3.5〜7.5mmである。
【0056】
上記の角ブレークラインは、辺ブレークラインに対して例えば30°〜60°傾ける。より具体的には辺ブレークラインに対して例えば45°傾けると、基板の面積を無駄なく有効に使えるので好ましい。
【0057】
上記の窒化珪素セラミックス焼結基板は、サイズを例えば縦横それぞれ100mm以上とする。好ましいサイズは例えば120mm×120mm以上であり、より好ましいサイズは例えば140mm×140mm以上である。さらに、前記サイズは、例えば1辺が250mmの正方形またはこれよりも小さい形状を有していてもよい。上記の窒化珪素セラミックス焼結基板及び窒化珪素セラミックス集合基板は、厚さを例えば0.2mmから1.0mmとする。より具体的には厚さを例えば0.25mmから0.65mmとする。
【0058】
上記の窒化珪素セラミックス焼結基板は、耳部の幅を例えば0.5〜8.0mmとする。耳部の幅を8.0mm以下とするのは、素材の捨てしろを減らす為である。耳部の幅を0.5mm以上とするのは、バリの発生を抑制する為である。耳部の幅は、より具体的には例えば2.0〜6.0mmとし、更に具体的には例えば3.0〜5.0mmとする。
【0059】
上記の窒化珪素セラミックス焼結基板及び窒化珪素セラミックス集合基板は、破壊靱性値を例えば5.0MPa・m
1/2以上とする。より具体的には破壊靱性値を例えば5.0〜7.5MPa・m
1/2とする。
【0060】
図9において、本発明の製造装置又は製造方法に用いる他の位置合わせ機構を説明する。
図9は、
図2のリニア駆動装置52に支持されたL字型の治具51を、リニア駆動装置92に支持された円柱状治具91aと、リニア駆動装置92に支持部材91dを介して支持された円柱状円柱状治具91b及び91cとの組合せに、交換した構成に相当するものである。他の構成は
図2と同様である。窒化珪素セラミックス焼結基板1の右上の対角部にL字型の治具51´を突き当てて、窒化珪素セラミックス焼結基板1の外縁(左側の短辺)に円柱状治具91aを突き当てて、窒化珪素セラミックス焼結基板1の外縁(下方の長辺)に円柱状治具91b及び91cを突き当てることで、位置合わせを行う。窒化珪素セラミックス焼結基板が焼結直後の形状であって、必ずしも正確な長方形でなくても、x方向に駆動する円柱状治具91aと、y方向に駆動する円柱状治具91b及び91cとを別々に作動出来るので、ベース50上における窒化珪素セラミックス焼結基板の突き当ての位置合わせ精度を高めることができる。
【0061】
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に必ずしも限定されない。
【0062】
(実施例)
窒化珪素セラミックスを形成する原料として、主原料に窒化珪素粉末を用い、焼結助剤に2質量%のMgO及び3質量%のY
2O
3を用いて、作製したシート成形体を窒素雰囲気中にて最高温度1850℃、保持時間5時間で焼結して、厚さ0.32mm、縦150mm及び横200mmで矩形の窒化珪素セラミックス焼結基板を作製した。続けて、
図1の基板を得るために、炭酸ガスレーザを用いて、焼結後の窒化珪素セラミックス焼結基板の外縁10から内側の位置に外縁10に沿ってスクライブ孔13aによる辺ブレークライン13を形成した(スクライブ孔形成工程)。スクライブ孔13aは、基板表面において最大径が50μm、深さが150μm、ピッチが100μmであり、スクライブ孔13aによる辺ブレークライン13を四辺の各々に沿って形成した。耳部11の幅は、追って表1に示す値とした。
【0063】
続けて、炭酸ガスレーザ(出力100W)を用いて、レーザのビームスポットの走査を1回として、スクライブ孔13aによる辺ブレークライン13の交差する角部(4箇所)の各々に辺ブレークライン13と45°傾斜する方向に、L10だけ突出した位置から貫通孔を連続的に形成していくことで、角ブレークライン14として、貫通孔が連結してなるスリットを形成して(スリット形成工程)、
図1の窒化珪素セラミックス焼結基板1を得た。
【0064】
なお、詳細な条件は次のとおりとした。
レーザのビームスポットの直径=70μm
加工速度=15mm/s
スリットの突出長L10=0.7mm
スリットの全長=4.2mm
基板表面におけるスリット幅=0.1mm
【0065】
次に、位置合わせ機構(
図2)及び搬送機構(
図7)を設けた製造装置(
図4)を用いて、窒化珪素セラミックス焼結基板1から窒化珪素セラミックス集合基板12と耳部11とに分割した。条件として、パンチ部材が耳部に加える荷重を30Nとして、パンチ部材が耳部を辺ブレークラインで割る際の速度を10mm/sとして、耳部の幅、距離L1、L2及びL3を表1に示すものとした。1つの実施例あたり、500枚の窒化珪素セラミック焼結基板を分割して、窒化珪素セラミックス集合基板12について(a)角部バリ、(b)角部欠け、及び(c)エッジ欠け、割れという不具合の有無を調べて、各々の発生率(%)を求めた(表1参照)。ここで、割れは、窒化珪素セラミックス集合基板の縁部の一部が、辺ブレークラインに沿った曲線状の亀裂が発生することによって、分離することを指している。エッジ欠けは、“割れ”よりも分離体積が小さく、縁部の角(主面と側面の間のエッジ)が、分離することを指している。
【0067】
実施例1〜25は、表1に示すように(a)角部バリ、(b)角部欠け、及び(c)エッジ欠け、割れの不具合が発生せず、位置合わせのやり直しは一切不要であった。即ち、量産に適した良好な結果であった。
【0068】
(比較例)
耳部の幅、距離L1、L2及びL3を表1に記載のようにしたこと以外は、上記の実施例と同様にして、
図1の窒化珪素セラミックス焼結基板から窒化珪素セラミックス集合基板と耳部とに分割した。比較例1〜7では、表1に示すように(a)角部バリ、(b)角部欠け、及び(c)エッジ欠け、割れのうち少なくとも1つの不具合が発生して、量産には適さないものと判断された。これらのうち、比較例1〜3では、窒化珪素セラミックス焼結基板をベース50の上に配置する際に位置ずれを生じた。その結果、割れ等の不具合が多発した。比較例4〜7では、窒化珪素セラミックス集合基板に上記の割れを生じた。なお、比較例においては、L1、L2、L3が近い値であっても、突き当ての精度によってはバリやカケの比率が異なることがある。
【符号の説明】
【0069】
1:窒化珪素セラミックス焼結基板、 1a:窒化珪素セラミックス焼結基板の主面、
10:外縁、 11:耳部、 12:窒化珪素セラミックス集合基板、
12a:回路板及び放熱板を接合した窒化珪素セラミックス集合基板、
13:辺ブレークライン、 13a:スクライブ孔、 13b:最深部、
14:角ブレークライン、 15:三角形状の角部、
16:銅の回路板、 17:縁部、 18,18´:第2のブレークライン、
19:セラミックス基板部、 20:回路基板、
50:ベース、 50a:ベースの側面、 50b:ベースの主面、
50d:面取り面、 50g:基準台、 50p:ベースピラー、
51,51´:L字型の治具、 51a,51a´:凹み、
51b,51b´:縁、 51c,51c´:縁、
52,52´:リニア駆動装置、
53:パンチ部材、 53a:パンチ面、
54:パンチ部材、 54a:パンチ面、
55a:ロッド、 55b:バネ、 55c:シリンダ、
56:ヨーク、 56a:ヨーク支持部、 57:ピラー装置、
58:押え部材、 58a:押え部材の側面、
60:吸着盤、 61:支持板、 62:搬送用アーム、
91a:円柱状治具、 91b,91c:円柱状治具、
91d:支持部材、 92,92´:リニア駆動装置