(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
計測対象物の表面へと向けて光照射部から計測光が出射すると共に前記計測対象物の表面へと照射された前記計測光が一対の受光部で撮影され、前記一対の受光部で撮影された前記計測光から前記計測対象物の表面の形状が認識され、
また、前記計測対象物の表面を構成する部材の肉厚が実測され、
さらに、前記計測対象物の表面を構成する前記部材の設計寸法に基づいて当該部材の表面の形状及び裏面の形状が特定され、
そして、前記計測対象物の表面を構成する前記部材の前記肉厚が実測された位置に於いて前記撮影によって認識された前記計測対象物の前記表面の形状から前記実測された前記計測対象物の表面を構成する前記部材の前記肉厚の分だけ離れた位置に前記設計寸法に基づいて特定された前記計測対象物の表面を構成する前記部材の前記裏面の位置を合わせた状態で、前記撮影によって認識された前記計測対象物の前記表面の形状と前記設計寸法に基づいて特定された前記計測対象物の表面を構成する前記部材の前記表面の形状とが比較される
ことを特徴とする三次元形状の計測方法。
複数の位置認識用ターゲットとこれら複数の位置認識用ターゲットが取り付けられると共に前記位置認識用ターゲット同士の間に空隙が形成されているターゲット支持体とを有する位置標定具が計測対象物の表面へと取り付けられて設置され、前記計測対象物の表面へと向けて光照射部から計測光が出射すると共に前記位置標定具の前記位置認識用ターゲットと前記計測対象物の表面へと照射された前記計測光とが一対の受光部で撮影され、前記一対の受光部で撮影された前記計測光から前記計測対象物の表面の形状が認識され、
また、前記計測対象物の表面を構成する部材の肉厚が実測され、
さらに、前記計測対象物の表面を構成する前記部材の設計寸法に基づいて当該部材の表面の形状及び裏面の形状が特定され、
そして、前記計測対象物の表面を構成する前記部材の前記肉厚が実測された位置に於いて前記撮影によって認識された前記計測対象物の前記表面の形状から前記実測された前記計測対象物の表面を構成する前記部材の前記肉厚の分だけ離れた位置に前記設計寸法に基づいて特定された前記計測対象物の表面を構成する前記部材の前記裏面の位置を合わせた状態で、前記撮影によって認識された前記計測対象物の前記表面の形状と前記設計寸法に基づいて特定された前記計測対象物の表面を構成する前記部材の前記表面の形状とが比較される
ことを特徴とする三次元形状の計測方法。
錐体状の位置基準打痕が前記計測対象物の表面に形成された上で当該位置基準打痕が範囲に含められた前記撮影及び前記計測対象物の表面の形状の前記認識が複数時点で行われ、
前記位置基準打痕の前記計測対象物の表面に於ける開口部の形状の変化に基づいて当該位置基準打痕の形成箇所に於ける減肉量が特定され、
当該減肉量の分だけずらした状態で前記複数時点の前記計測対象物の前記表面の形状が比較される
ことを特徴とする請求項1または2記載の三次元形状の計測方法。
計測対象物の表面へとマーカが取り付けられ、前記計測対象物の表面へと向けて光照射部から計測光が出射すると共に前記マーカへと照射された前記計測光とが一対の受光部で撮影され、前記一対の受光部で撮影された前記計測光から前記マーカの位置が認識され、
また、前記計測対象物の表面から前記マーカが取り外されると共に前記マーカの位置に於いて前記計測対象物の表面を構成する部材の肉厚が実測され、
さらに、前記計測対象物の表面から前記マーカが取り外された状態で前記計測対象物の表面へと向けて前記光照射部から計測光が出射すると共に前記計測対象物の表面へと照射された前記計測光が前記一対の受光部で撮影され、前記一対の受光部で撮影された前記計測光から前記計測対象物の表面の形状が認識され、
また、前記計測対象物の表面を構成する前記部材の設計寸法に基づいて当該部材の表面の形状及び裏面の形状が特定され、
そして、前記撮影によって認識された前記マーカの位置に於いて前記撮影によって認識された前記計測対象物の前記表面の形状から前記実測された前記計測対象物の表面を構成する前記部材の前記肉厚の分だけ離れた位置に前記設計寸法に基づいて特定された前記計測対象物の表面を構成する前記部材の前記裏面の位置を合わせた状態で、前記撮影によって認識された前記計測対象物の前記表面の形状と前記設計寸法に基づいて特定された前記計測対象物の表面を構成する前記部材の前記表面の形状とが比較される
ことを特徴とする三次元形状の計測方法。
複数の位置認識用ターゲットとこれら複数の位置認識用ターゲットが取り付けられると共に前記位置認識用ターゲット同士の間に空隙が形成されているターゲット支持体とを有する位置標定具が計測対象物の表面へと取り付けられて設置され、さらに、前記計測対象物の表面へとマーカが取り付けられ、前記計測対象物の表面へと向けて光照射部から計測光が出射すると共に前記位置標定具の前記位置認識用ターゲットと前記マーカへと照射された前記計測光とが一対の受光部で撮影され、前記一対の受光部で撮影された前記計測光から前記マーカの位置が認識され、
また、前記計測対象物の表面から前記マーカが取り外されると共に前記マーカの位置に於いて前記計測対象物の表面を構成する部材の肉厚が実測され、
さらに、前記計測対象物の表面に対して前記位置標定具が設置されている一方で前記計測対象物の表面から前記マーカが取り外された状態で前記計測対象物の表面へと向けて前記光照射部から計測光が出射すると共に前記位置標定具の前記位置認識用ターゲットと前記計測対象物の表面へと照射された前記計測光とが前記一対の受光部で撮影され、前記一対の受光部で撮影された前記計測光から前記計測対象物の表面の形状が認識され、
また、前記計測対象物の表面を構成する前記部材の設計寸法に基づいて当該部材の表面の形状及び裏面の形状が特定され、
そして、前記撮影によって認識された前記マーカの位置に於いて前記撮影によって認識された前記計測対象物の前記表面の形状から前記実測された前記計測対象物の表面を構成する前記部材の前記肉厚の分だけ離れた位置に前記設計寸法に基づいて特定された前記計測対象物の表面を構成する前記部材の前記裏面の位置を合わせた状態で、前記撮影によって認識された前記計測対象物の前記表面の形状と前記設計寸法に基づいて特定された前記計測対象物の表面を構成する前記部材の前記表面の形状とが比較される
ことを特徴とする三次元形状の計測方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の三次元形状の計測技術では、対象物の表面の形状を計測することはできても表面とは反対側の形状や内部の形状を計測することはできないので、表面形状を形成・構成する部材の肉厚を把握することはできない。
【0005】
従来の三次元形状の計測技術は、また、スキャンエリア毎の点群データを合成する際の基準点になる複数の計測用ターゲットを計測を行うたびに対象物へと取り付けると共に計測が終了したら対象物から取り外すことが必要とされ、計測用ターゲットの取り付け及び取り外しに多大な手間と時間とを要し計測作業を効率的に迅速に行うことができないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、計測対象物の表面形状の把握に加えて計測対象物の表面を構成する部材の肉厚を把握することができる三次元形状の計測方法を提供することを目的とする。本発明は、また、三次元形状の計測に用いられるターゲットの設置及び除去の手間を低減させて計測作業を迅速に行うことができる三次元形状の計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため、本発明の三次元形状の計測方法は、計測対象物の表面へと向けて光照射部から計測光が出射すると共に計測対象物の表面へと照射された計測光が一対の受光部で撮影され、一対の受光部で撮影された計測光から計測対象物の表面の形状が認識され、また、計測対象物の表面を構成する部材の肉厚が実測され、さらに、計測対象物の表面を構成する部材の設計寸法に基づいて当該部材の表面の形状及び裏面の形状が特定され、そして、計測対象物の表面を構成する部材の肉厚が実測された位置に於いて撮影によって認識された計測対象物の表面の形状から実測された計測対象物の表面を構成する部材の肉厚の分だけ離れた位置に設計寸法に基づいて特定された計測対象物の表面を構成する部材の裏面の位置を合わせた状態で、撮影によって認識された計測対象物の表面の形状と設計寸法に基づいて特定された計測対象物の表面を構成する部材の表面の形状とが比較されるようにしている。
【0008】
したがって、この三次元形状の計測方法によると、計測対象物の表面を構成する部材の肉厚を実測すると共に設計寸法に基づいて部材の表面及び裏面の形状を特定した上で裏面の位置を合わせた状態で撮影によって認識された計測対象物の表面の形状と設計寸法に基づいて特定された計測対象物の表面の形状とが比較されるようにしているので、計測対象物の表面形状の把握に加えて計測対象物の表面を構成する部材の減肉量の分布や肉厚の分布が把握される。
【0009】
また、本発明の三次元形状の計測方法は、複数の位置認識用ターゲットとこれら複数の位置認識用ターゲットが取り付けられると共に位置認識用ターゲット同士の間に空隙が形成されているターゲット支持体とを有する位置標定具が計測対象物の表面へと取り付けられて設置され、計測対象物の表面へと向けて光照射部から計測光が出射すると共に位置標定具の位置認識用ターゲットと計測対象物の表面へと照射された計測光とが一対の受光部で撮影され、一対の受光部で撮影された計測光から計測対象物の表面の形状が認識され、また、計測対象物の表面を構成する部材の肉厚が実測され、さらに、計測対象物の表面を構成する部材の設計寸法に基づいて当該部材の表面の形状及び裏面の形状が特定され、そして、計測対象物の表面を構成する部材の肉厚が実測された位置に於いて撮影によって認識された計測対象物の表面の形状から実測された計測対象物の表面を構成する部材の肉厚の分だけ離れた位置に設計寸法に基づいて特定された計測対象物の表面を構成する部材の裏面の位置を合わせた状態で、撮影によって認識された計測対象物の表面の形状と設計寸法に基づいて特定された計測対象物の表面を構成する部材の表面の形状とが比較されるようにしても良い。
【0010】
この三次元形状の計測方法によると、計測対象物の表面を構成する部材の肉厚を実測すると共に設計寸法に基づいて部材の表面及び裏面の形状を特定した上で裏面の位置を合わせた状態で撮影によって認識された計測対象物の表面の形状と設計寸法に基づいて特定された計測対象物の表面の形状とが比較されるようにしているので、計測対象物の表面形状の把握に加えて計測対象物の表面を構成する部材の減肉量の分布や肉厚の分布が把握される。
【0011】
この三次元形状の計測方法によると、また、複数の位置認識用ターゲットがターゲット支持体に取り付けられている位置標定具が計測対象物の表面へと取り付けられて撮影が行われるようにしているので、三次元形状の計測に用いられるターゲットを個々に取り付けたり取り外したりする手間をかけることなく短時間で計測作業が行われる。
【0012】
また、本発明の三次元形状の計測方法は、錐体状の位置基準打痕が計測対象物の表面に形成された上で当該位置基準打痕が範囲に含められた撮影及び計測対象物の表面の形状の認識が複数時点で行われ、位置基準打痕の計測対象物の表面に於ける開口部の形状の変化に基づいて当該位置基準打痕の形成箇所に於ける減肉量が特定され、当該減肉量の分だけずらした状態で複数時点の計測対象物の表面の形状が比較されるようにしても良い。この場合には、複数時点の表面の形状の差分として計測対象物の表面に於ける減肉量の分布が把握されるので、計測対象物の表面形状の把握に加えて計測対象物の表面を構成する部材の減肉量の分布が把握される。
【0013】
また、本発明の三次元形状の計測方法は、計測対象物の表面へとマーカが取り付けられ、計測対象物の表面へと向けて光照射部から計測光が出射すると共にマーカへと照射された計測光とが一対の受光部で撮影され、一対の受光部で撮影された計測光からマーカの位置が認識され、また、計測対象物の表面からマーカが取り外されると共にマーカの位置に於いて計測対象物の表面を構成する部材の肉厚が実測され、さらに、計測対象物の表面からマーカが取り外された状態で計測対象物の表面へと向けて光照射部から計測光が出射すると共に計測対象物の表面へと照射された計測光が一対の受光部で撮影され、一対の受光部で撮影された計測光から計測対象物の表面の形状が認識され、また、計測対象物の表面を構成する部材の設計寸法に基づいて当該部材の表面の形状及び裏面の形状が特定され、そして、撮影によって認識されたマーカの位置に於いて撮影によって認識された計測対象物の表面の形状から実測された計測対象物の表面を構成する部材の肉厚の分だけ離れた位置に設計寸法に基づいて特定された計測対象物の表面を構成する部材の裏面の位置を合わせた状態で、撮影によって認識された計測対象物の表面の形状と設計寸法に基づいて特定された計測対象物の表面を構成する部材の表面の形状とが比較されるようにしても良い。
【0014】
この三次元形状の計測方法によると、撮影によって認識されたマーカの位置に於いて計測対象物の表面を構成する部材の肉厚を実測すると共に設計寸法に基づいて前記部材の表面及び裏面の形状を特定した上でマーカの位置に於いて裏面の位置を合わせた状態で撮影によって認識された計測対象物の表面の形状と設計寸法に基づいて特定された計測対象物の表面の形状とが比較されるようにしているので、計測対象物の表面形状の把握に加え、計測対象物の表面を構成する部材の減肉量の分布や肉厚の分布が、撮影によって認識されたマーカの位置を基準とすることによって一層正確に把握される。
【0015】
また、本発明の三次元形状の計測方法は、複数の位置認識用ターゲットとこれら複数の位置認識用ターゲットが取り付けられると共に位置認識用ターゲット同士の間に空隙が形成されているターゲット支持体とを有する位置標定具が計測対象物の表面へと取り付けられて設置され、さらに、計測対象物の表面へとマーカが取り付けられ、計測対象物の表面へと向けて光照射部から計測光が出射すると共に位置標定具の位置認識用ターゲットとマーカへと照射された計測光とが一対の受光部で撮影され、一対の受光部で撮影された計測光からマーカの位置が認識され、また、計測対象物の表面からマーカが取り外されると共にマーカの位置に於いて計測対象物の表面を構成する部材の肉厚が実測され、さらに、計測対象物の表面に対して位置標定具が設置されている一方で計測対象物の表面からマーカが取り外された状態で計測対象物の表面へと向けて光照射部から計測光が出射すると共に位置標定具の位置認識用ターゲットと計測対象物の表面へと照射された計測光とが一対の受光部で撮影され、一対の受光部で撮影された計測光から計測対象物の表面の形状が認識され、また、計測対象物の表面を構成する部材の設計寸法に基づいて当該部材の表面の形状及び裏面の形状が特定され、そして、撮影によって認識されたマーカの位置に於いて撮影によって認識された計測対象物の表面の形状から実測された計測対象物の表面を構成する部材の肉厚の分だけ離れた位置に設計寸法に基づいて特定された計測対象物の表面を構成する部材の裏面の位置を合わせた状態で、撮影によって認識された計測対象物の表面の形状と設計寸法に基づいて特定された計測対象物の表面を構成する部材の表面の形状とが比較されるようにしても良い。
【0016】
この三次元形状の計測方法によると、撮影によって認識されたマーカの位置に於いて計測対象物の表面を構成する部材の肉厚を実測すると共に設計寸法に基づいて前記部材の表面及び裏面の形状を特定した上でマーカの位置に於いて裏面の位置を合わせた状態で撮影によって認識された計測対象物の表面の形状と設計寸法に基づいて特定された計測対象物の表面の形状とが比較されるようにしているので、計測対象物の表面形状の把握に加え、計測対象物の表面を構成する部材の減肉量の分布や肉厚の分布が、撮影によって認識されたマーカの位置を基準とすることによって一層正確に把握される。
【0017】
この三次元形状の計測方法によると、また、複数の位置認識用ターゲットがターゲット支持体に取り付けられている位置標定具が計測対象物の表面へと取り付けられて撮影が行われるようにしているので、三次元形状の計測に用いられるターゲットを個々に取り付けたり取り外したりする手間をかけることなく短時間で計測作業が行われる。
【0018】
また、本発明の三次元形状の計測方法は、錐体状の位置基準打痕が計測対象物の表面に形成された上で、計測対象物の表面に対して位置標定具が設置されている一方で計測対象物の表面からマーカが取り外された状態で、位置基準打痕が範囲に含められた撮影及び計測対象物の表面の形状の認識が複数時点で行われ、位置基準打痕の計測対象物の表面に於ける開口部の形状の変化に基づいて当該位置基準打痕の形成箇所に於ける減肉量が特定され、当該減肉量の分だけずらした状態で複数時点の計測対象物の表面の形状が比較されるようにしても良い。この場合には、複数時点の表面の形状の差分として計測対象物の表面に於ける減肉量の分布が把握されるので、計測対象物の表面形状の把握に加えて計測対象物の表面を構成する部材の減肉量の分布が把握される。
【0019】
また、本発明の三次元形状の計測方法は、ターゲット支持体が計測対象物の表面から離された状態で設置されるようにしても良い。この場合には、光照射部から出射する計測光がターゲット支持体の位置認識用ターゲット同士の間に形成されている空隙を通過してターゲット支持体や位置認識用ターゲットの後ろ側の計測対象物の表面へと斜めに入り込んで撮影が行われるので、計測の対象とされている表面の全体にわたって欠落の無い表面位置データ(即ち、点群データ)が取得される。
【発明の効果】
【0020】
本発明の三次元形状の計測方法によれば、計測対象物の表面形状の把握に加えて計測対象物の表面を構成する部材の減肉量の分布や肉厚の分布を把握することができるので、三次元形状の計測手法としての有用性を向上させることが可能になる。
【0021】
本発明の三次元形状の計測方法は、位置標定具が利用されて撮影が行われるようにした場合には、三次元形状の計測に用いられるターゲットを個々に取り付けたり取り外したりする手間をかけることなく短時間で計測作業を行うことができ、計測作業を迅速に行うことが可能になる。
【0022】
本発明の三次元形状の計測方法は、撮影によって認識されるマーカを利用するようにした場合には、計測対象物の表面形状の把握に加え、計測対象物の表面を構成する部材の減肉量の分布や肉厚の分布を、撮影によって認識されたマーカの位置を基準とすることによって一層正確に把握することができるので、三次元形状の計測手法としての有用性を向上させると共に信頼性を向上させることが可能になる。
【0023】
本発明の三次元形状の計測方法は、錐体状の位置基準打痕の形状の変化に基づいて減肉量が特定されるようにした場合には、計測対象物の表面形状の把握に加えて計測対象物の表面を構成する部材の減肉量の分布を把握することができるので、三次元形状の計測手法としての有用性を向上させることが可能になる。
【0024】
本発明の三次元形状の計測方法は、ターゲット支持体が計測対象物の表面から離された状態で設置されるようにした場合には、計測の対象とされている表面の全体にわたって欠落の無い表面位置データ(即ち、点群データ)を取得することができるので、表面形状の計測手法としての正確性と有用性とを向上させることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0027】
図1乃至
図7に、本発明に係る三次元形状の計測方法の実施形態の一例を示す。本実施形態の三次元形状の計測方法は、複数の位置認識用ターゲット2とこれら複数の位置認識用ターゲット2が取り付けられると共に位置認識用ターゲット2同士の間に空隙5が形成されているターゲット支持体3とを有する位置標定具1が計測対象物の表面へと取り付けられて設置され(S1−1)、さらに、計測対象物の表面へとマーカが取り付けられ(S1−4)、計測対象物の表面へと向けて光照射部から計測光が出射すると共に位置標定具1の位置認識用ターゲット2とマーカへと照射された計測光とが一対の受光部で撮影され(S1−5)、一対の受光部で撮影された計測光からマーカの位置が認識され(S1−6)、また、計測対象物の表面からマーカが取り外されると共にマーカの位置に於いて計測対象物の表面を構成する部材の肉厚が実測され(S1−7)、さらに、計測対象物の表面に対して位置標定具1が設置されている一方で計測対象物の表面からマーカが取り外された状態で計測対象物の表面へと向けて光照射部から計測光が出射すると共に位置標定具1の位置認識用ターゲット2と計測対象物の表面へと照射された計測光とが一対の受光部で撮影され(S1−8)、一対の受光部で撮影された計測光から計測対象物の表面の形状が認識され(S1−9,S1−10)、また、計測対象物の表面を構成する部材の設計寸法に基づいて当該部材の表面の形状及び裏面の形状が特定され(S1−11)、そして、撮影によって認識されたマーカの位置に於いて撮影によって認識された計測対象物の表面の形状から実測された計測対象物の表面を構成する部材の肉厚の分だけ離れた位置に設計寸法に基づいて特定された計測対象物の表面を構成する部材の裏面の位置を合わせた状態で、撮影によって認識された計測対象物の表面の形状と設計寸法に基づいて特定された計測対象物の表面を構成する部材の表面の形状とが比較される(S1−12)ようにしている。
【0028】
ここで、本発明が用いられて三次元形状の計測が行われる計測の対象(「計測対象物」という)は、特定のものに限定されるものではなく、例えば、建物等の建築構造物,プラント等の機械構造物,車両等の製品,配管等の構成部材や部品などが挙げられる。
【0029】
《計測手段》
計測手段は、例えば三角測量法を測定原理とし、計測対象物へと向けてレーザ等の計測光を照射すると共に当該計測光が計測対象物の表面で反射した反射光を検出することによって得られるデータを用いて三次元形状を計測する(言い換えると、計測対象物の表面の三次元形状に関するデータを取得する)非接触式の計測器である。
【0030】
三角測量法は、計測対象物へと向けて照射されたレーザ等の光が反射してレンズを通してCCD(Charge Coupled Device の略;電荷結合素子)などに結像されるときの結像位置の情報を基に点群データ(即ち、対象物表面の座標データ)を取得する手法であり、結像位置は対象物までの距離によって異なることを利用して結像位置から対象物までの距離を幾何学的に算出する手法である(例えば、吉澤徹「最新光三次元計測」,朝倉書店,2006年)。
【0031】
計測手段は、光照射部と、相互に離間して配設される一対の受光部とを有し、前記一対の受光部がステレオカメラを構築するように構成される。光照射部及び一対の受光部は、例えば、相互に離間して配設される一対の受光部の間に光照射部が配置され、一方の受光部,光照射部,及び他方の受光部の順に一列に並んで配置されることが考えられる。
【0032】
光照射部は、例えば半導体レーザなどの光源を有し、計測光としてラインレーザなどを出射する。
【0033】
一対の受光部は、各々が例えばCCDなどの受光素子を有し、撮影を行うことによって同一の被写体に対する(言い換えると、同一の被写体の像を含む)ステレオ画像(「ステレオペア画像」とも呼ばれる)を取得する。
【0034】
計測手段は、移動しながら動画撮影を行い、計測対象物の表面を複数の方向から撮影した動画を構成する各齣としての複数枚の静止画であって各々が同一の被写体に対する(言い換えると、同一の被写体の像を含む)ステレオ画像になっている画像データを取得する。なお、複数の方向から撮影した画像データが取得されるのであれば、必ずしも動画撮影が行われる必要は無く、静止画の撮影が複数回行われるようにしたり、静止画の連続撮影(「連写」とも呼ばれる)が行われるようにしたりしても良い。
【0035】
計測手段としては、例えば、計測対象物における、計測の対象とされている表面(「計測表面」と呼ぶ)の全体に対して手で持って動かしながら計測に用いられる光を照射させることができる態様の機器(具体的には例えば、「ハンディスキャナ」,「ハンディ3Dスキャナ」,或いは「ハンディ型3Dスキャナ」などと呼ばれるタイプの機器)が用いられる。
【0036】
《位置標定具》
位置標定具1は、複数の位置認識用ターゲット2と、これら位置認識用ターゲット2が取り付けられるターゲット支持体3と、当該ターゲット支持体3を計測対象物の表面へと取り付けるための取付具4とを有するものとして構成され、可搬型で移動可能な器具として形成される。
【0037】
位置認識用ターゲット2は、光を反射する部分(「反射部」と呼ぶ)を備え、計測対象物と計測手段(延いては、一対の受光部それぞれの受光素子における受光位置/結像位置)との相対的な位置関係を常時特定するために用いられるものであり、計測手段を動かしながら撮影/計測が行われることによって取得される計測データを計測対象物の表面形状に関する一つの点群データとして合成する際の基準点として機能するものである。
【0038】
位置認識用ターゲット2は、特定の形状や大きさに限定されるものではないものの、不必要に大きいと計測対象物の表面を撮影/計測する際に障害物となるので、位置認識用ターゲット2として必要とされる機能を発揮し得る範囲で小さい方が好ましい。
【0039】
位置認識用ターゲット2は、各位置認識用ターゲット2を相互に区別し個別に識別して特定するためのID情報(即ち、位置認識用ターゲット2それぞれに固有の情報)として、位置認識用ターゲット2それぞれに固有の光の反射パターンを有する。
【0040】
光の反射パターンは、具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、反射部の形状,個数,大きさなどが異なることによって相互に区別され得るものとして構成されるようにしたり、複数の反射部の配置・配列の仕方が異なることによって相互に区別され得るものとして構成されるようしたりする。
【0041】
なお、位置認識用ターゲット2のID情報としての仕様(言い換えると、仕掛け)は、光の反射パターンに限定されるものではなく、撮像された画像内で(特に、光学的に)認識・検出されて複数の位置認識用ターゲット2を相互に区別し個別に識別して特定するための識別子として機能し得る適当な仕様(仕掛け)が適宜選択され得る。具体的には例えば、反射光の波長が位置認識用ターゲット2のID情報として利用されるようにしても良い。
【0042】
位置標定具1に取り付けられている位置認識用ターゲット2それぞれのID情報としての例えば光の反射パターンや反射光の波長は、後述する画像処理・画像認識において利用可能な態様で予め記録・登録される。
【0043】
位置認識用ターゲット2は、ターゲット支持体3が計測対象物の表面に取り付けられた状態において反射部を備える面が前記計測対象物とは反対側に向くように、そして計測対象物の表面へと向けて計測手段から出射される光を反射し得るように、ターゲット支持体3へと取り付けられる。
【0044】
ターゲット支持体3へと取り付けられた状態での、隣り合う位置認識用ターゲット2同士の間隔の寸法は、特定の値に限定されるものではなく、例えば計測に用いられる計測手段の仕様や計測作業の態様が考慮されるなどした上で、計測の間中常に複数の位置認識用ターゲット2の像が同時に撮像範囲(言い換えると、撮像される各画像の範囲)に含まれるように調節される。
【0045】
なお、隣り合う位置認識用ターゲット2同士の間隔は、全ての間隔において寸法が同一である必要は無く、上記のようにして調節されて設定された値を最大の寸法としつつ不揃いであっても構わない。付け加えると、位置認識用ターゲット2は、特定の極りに従って規則正しく配列される必要は無く、最大の寸法を超えない限りにおいて無作為であって構わない。
【0046】
ターゲット支持体3は、計測対象物の表面の、計測表面に対応する位置(言い換えると、計測表面と重なる位置)に取り付けられ、計測が行われる間中、計測対象物の計測表面に対して位置認識用ターゲット2を位置固定して保持する働きをする。
【0047】
ターゲット支持体3は、特定の形状や大きさに限定されるものではなく、例えば計測対象物の表面、特に計測表面の形状や大きさなどが考慮されるなどした上で、適当な形状や大きさに形成される。
【0048】
ターゲット支持体3は、具体的には例えば、あくまで例として挙げると、縦横の辺の長さが10 cm 〜20 m 程度の範囲に設定された矩形(例として
図1を参照)や、直径が10 cm 〜20 m 程度の範囲に設定された円形(例として
図2を参照)に形成され得る。
【0049】
ターゲット支持体3は、例えば計測対象物の表面の形状に合わせる(言い換えると、沿わせる)ことが考慮されるなどして、平面的な形態として形成されるようにしても良く、或いは、曲面的/立体的な形態として形成されるようにしても良い。
【0050】
具体的には例えば、ターゲット支持体3は、計測対象物の周囲全体を取り囲む形態に形成されるようにしても良く(例として
図3を参照)、また、計測対象物の側面をL字で囲む形態に形成されるようにしても良い(例として
図4を参照)。
【0051】
ターゲット支持体3は、位置認識用ターゲット2を位置固定して保持しつつ、撮影/計測を行うために計測手段から出射される光が計測対象物の計測表面へと照射され得るように、位置認識用ターゲット2同士の間に空隙5が設けられて形成される。
【0052】
ターゲット支持体3の空隙5は、例えば、ターゲット支持体3が格子状や網状に構成されることによって形成されたり(例として
図1を参照)、相互に直径が異なる複数の環状の部材が同心円状に配置された上で一本若しくは複数本の棒状部材によって前記複数の環状の部材が相互に固定されることによってターゲット支持体3が構成されることによって形成されたり(例として
図2を参照)する。
【0053】
ターゲット支持体3の材質は、特定の種類に限定されるものではなく、位置認識用ターゲット2を固定して保持することができる程度の強度を有するものであることが考慮されるなどした上で、適当なものが適宜選択される。
【0054】
ターゲット支持体3は、計測対象物の表面に取り付けられた状態で、撮影/計測が行われる間中その形状を維持し得るものとして構成される。したがって、ターゲット支持体3自体が剛体として形成されるようにしても良く、或いは、ターゲット支持体3が可撓性を備えるものとして形成された上でターゲット支持体3が取付具4によって計測対象物の表面へと取り付けられた状態でその取り付け状態の形状が維持されるようにしても良い。
【0055】
ターゲット支持体3は、具体的には例えば、金属,木,樹脂,テグスなどによって形成され得る。
【0056】
ターゲット支持体3の態様、延いては位置標定具1の態様に関連し、ターゲット支持体3を含む位置標定具1は、計測対象物の表面へと取り付けられる際の形態のまま運搬が行われるようにしても良く、或いは、折り畳まれたり巻き取られたりして運搬が行われるようにしても良い。
【0057】
ターゲット支持体3は、計測対象物の表面へと、取付具4を介して取り付けられる(言い換えると、据え付けられる,付着させられる,設置される)。
【0058】
取付具4は、例えば計測対象物の計測表面部分の部材の材料(言い換えると、材質)とターゲット支持体3の材料(材質)とが勘案されて計測表面部分の部材に対してターゲット支持体3を着脱可能に固定し得ることが考慮されるなどした上で、適当な材質で適当な態様に形成される。
【0059】
取付具4として、具体的には例えば、計測対象物とターゲット支持体3とがどちらも磁性を有する材質である場合には、磁石が用いられるようにしても良い。取付具4として、或いは、両面テープや吸盤が用いられるようにしても良い。
【0060】
なお、計測表面の全体にわたって欠落の無い表面位置データ(即ち、点群データ)が取得されるようにするため、ターゲット支持体3の大きさと共に取付具4の配設位置が、計測表面の外側に取付具4が配置されるように調節されることが好ましい。
【0061】
計測表面の全体にわたって欠落の無い表面位置データ(即ち、点群データ)が取得されるようにするため、言い換えると、計測表面の外側に取付具4が配置されるようにするため、取付具4は、ターゲット支持体3の端部に配設されるようにし、ターゲット支持体3の端部よりも内側に入り込んだ位置には配設されないようにすることが好ましい。
【0062】
位置標定具1が計測対象物の表面へと取り付けられて設置された状態で撮影/計測が行われると、計測手段と計測表面との間に本来的な計測対象ではない位置標定具1(特に、位置認識用ターゲット2やターゲット支持体3)が存在することになり、計測手段から計測対象物の表面へと向けて照射される光が位置標定具1で反射して計測結果に位置標定具1の像が含まれることになる。
【0063】
このとき、位置認識用ターゲット2やターゲット支持体3が計測対象物の計測表面に密着したり近接したりするように取り付けられると、計測手段からみて位置認識用ターゲット2やターゲット支持体3の後ろ側(特に、真後ろ)の部分は計測することができず計測表面に関する表面位置データ(即ち、点群データ)を取得することができない。
【0064】
そこで、位置認識用ターゲット2が取り付けられているターゲット支持体3が計測対象物の表面から離された状態で設置されるようにすることにより、計測表面の全体にわたって欠落の無い表面位置データ(即ち、点群データ)を取得することができるようにする。
【0065】
具体的には例えば、取付具4が所望の寸法及び形状を有するものとして形成されることにより、計測対象物の表面から離された状態でターゲット支持体3が設置されるようにし、当該ターゲット支持体3と共に位置認識用ターゲット2が計測対象物の表面から離された状態で固定されるようにすることができる。
【0066】
また、ターゲット支持体3が立体的な形態を有するものとして形成されることにより、計測対象物の計測表面と重なる範囲では、計測対象物の表面から離された状態でターゲット支持体3が位置するようにし、当該ターゲット支持体3と共に位置認識用ターゲット2が計測対象物の表面から離された状態で固定されるようにすることができる。
【0067】
計測対象物の表面(特に、計測表面)とターゲット支持体3及び位置認識用ターゲット2との間の間隔は、特定の寸法に限定されるものではなく、例えば計測に用いられる計測手段の仕様(特に、光照射部及び一対の受光部の仕様・性能)が考慮されるなどした上で、計測手段から出射される光がターゲット支持体3の位置認識用ターゲット2同士の間に形成されている空隙5を通過してターゲット支持体3や位置認識用ターゲット2の後ろ側の計測表面へと斜めに入り込んで撮影/計測が行われ得るように、適当な寸法に適宜設定される。計測対象物の表面(特に、計測表面)とターゲット支持体3との間の間隔は、具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、0.1〜20 cm 程度の範囲で設定され得る。
【0068】
また、上述したように位置標定具1が計測対象物の表面へと設置された状態で撮影/計測が行われると計測結果に位置標定具1の像が含まれることになるものの、計測対象物の表面から離された状態でターゲット支持体3及び位置認識用ターゲット2が設置されるようにすることにより、計測対象物の表面から所定の距離だけ離れている表面位置データ(即ち、点群データ)は位置標定具1に該当するものであるとして所定の基準に従って機械的に取り除くことができ、表面形状データの作成の処理を効率的に行うことができるようになる。
【0069】
《肉厚計測》
計測対象物へと向けて計測光を照射すると共に当該計測光が計測対象物の表面で反射した反射光を検出する計測手段を用いた計測によって得られる情報は計測対象物の表面形状に関する情報であり、計測対象物の表面形状を形成・構成している部材の肉厚に関する情報を取得することはできない。
【0070】
しかしながら、計測対象物の表面が例えば腐食や摩耗などによって減肉が進行するような環境に曝されている場合には、計測対象物の表面における減肉の程度の分布を含む減肉の実態(或いは、肉厚の分布)を正確に把握することが必要とされる場合がある。
【0071】
以下に、上述の計測手段及び位置標定具が用いられて行われる、本発明に係る、部材の肉厚/減肉量の分布を求める三次元形状の計測方法の手順を説明する(
図5を参照)。
【0072】
まず、位置標定具1が、計測対象物の表面の、計測表面に対応する位置に取り付けられて設置される(S1−1)。
【0073】
なお、一連の撮影作業として行う際に、計測対象物の表面に対し、位置標定具1が一つのみ設置されるようにしても良く、或いは、位置標定具1が複数設置されるようにしても良い。
【0074】
続いて、位置標定具1が計測対象物の表面へと取り付けられて設置された状態で、位置認識用ターゲット2が計測手段の一対の受光部(即ち、ステレオカメラ)によって撮像される(S1−2)。
【0075】
S1−2の処理では、計測手段の光照射部からラインレーザなどの形状計測に用いられる計測光が出射される必要は無く、一方で、各位置認識用ターゲット2の反射部が鮮明に反射して各位置認識用ターゲット2からの反射光が計測手段の受光部によって適切に受光されるように照明光(具体的には例えば、LED光)が出射されるようにしても良い。
【0076】
計測手段による位置認識用ターゲット2の撮影・撮像により、各位置認識用ターゲット2の像を被写体として含み、且つ、各画像に含まれている位置認識用ターゲット2を基準点として重ね合わせて(言い換えると、連ねて,繋げて)合成することができるステレオ画像(ステレオペア画像)の一群が取得される。
【0077】
そして、取得されたステレオ画像のデータが用いられて、例えば画像処理・画像認識技術によって(特に、光学的に処理されて)位置認識用ターゲット2のID情報が利用されつつ各画像内に含まれている各位置認識用ターゲット2の像が抽出され個別に識別されて特定されると共に、各位置認識用ターゲット2の三次元位置座標が特定される、言い換えると、計測対象物の計測表面に対応する空間に、個別に識別されている各位置認識用ターゲット2が基準として用いられる三次元座標系が定義される(尚、原点は任意に定められる)(S1−3)。ここでの三次元位置座標は、平面位置(x,y)と高さ(z)とからなる直交座標系における位置座標であり、例えば(x,y,z)のように表現される。
【0078】
なお、ステレオ画像(ステレオペア画像)を用いて三次元位置座標を算定する手法は、特定の計算方法に限定されるものではなく、従来若しくは新規の計算方法の中から適当なものが適宜選択される。具体的は例えば、三角測量法を測定原理として空間演算が行われて各位置認識用ターゲット2の三次元位置座標が計算されるようにしても良い。本発明の説明における他の処理で行われる空間演算でも、具体的には例えば三角測量法を測定原理とする演算が行われて三次元の位置情報が計算される。
【0079】
次に、後述するS1−7の処理において肉厚が実測される箇所に、肉厚実測箇所を示すためのマーカ(「肉厚実測マーカ」と呼ぶ)が取り付けられる(S1−4)。
【0080】
肉厚実測マーカは、撮像された画像内において例えば光学的に抽出され把握され易いものであれば良く、例えば位置認識用ターゲット2と同様のもの(但し、位置標定具1に取り付けられている位置認識用ターゲット2とは別個に更に取り付けられるもの)であっても良い。
【0081】
肉厚実測マーカは、計測対象物の計測表面に対応させて位置標定具1が設置された状態で、計測手段によって明瞭に撮像され得るように、つまり位置標定具1の後ろ側になって隠れない位置に、計測対象物の計測表面へと貼付などされることによって直接取り付けられる。
【0082】
肉厚実測マーカの個数(即ち、後述するS1−7の処理において肉厚が実測される箇所数)は、特定の個数に限定されるものではなく、一個でも良く、肉厚/減肉量の分布を精度良く求めるためには複数個であることが好ましい。
【0083】
そして、位置標定具1が計測対象物の表面へと取り付けられて設置されていると共に肉厚実測マーカが計測対象物の計測表面へと取り付けられた状態で、計測手段により、肉厚実測マーカとその周辺を対象として、光照射部からレーザ光(例えば、ラインレーザ)などの計測光が出射されると共に、照射された前記計測光(の反射光)と位置認識用ターゲット2とが同時に一対の受光部(即ち、ステレオカメラ)で撮像される(S1−5)。
【0084】
S1−3の処理で特定された各位置認識用ターゲット2の三次元位置座標の情報と、肉厚実測マーカとその周辺を対象とする計測表面上の計測光及び位置認識用ターゲット2の撮影によって取得されたステレオ画像とが用いられて、空間演算が行われて肉厚実測マーカの三次元位置座標が取得される(S1−6)。
【0085】
次に、肉厚実測マーカの取り付け位置に於ける肉厚の実測が行われる(S1−7)。
【0086】
肉厚は、後述するS1−12の処理において計測結果の表面形状データにおける裏面の位置を特定する際の基準(言い換えると、計測結果の表面形状データと参照形状データとを重ね合わせる際の基準)として用いられるものである。
【0087】
ここで、計測対象物における、計測表面とは反対側の形状を構成する面(言い換えると、計測表面と対向する面)であって計測表面からみて内側の面(即ち、計測手段による撮影/計測では認識され得ない面)のことを「裏面」と呼ぶ。
【0088】
肉厚が実測される箇所数(即ち、S1−4の処理において取り付けられる肉厚実測マーカの個数)は、特定の箇所数に限定されるものではなく、一箇所でも良く、肉厚/減肉量の分布を精度良く求めるためには複数箇所であることが好ましい。
【0089】
肉厚の実測では、肉厚実測マーカが取り付けられている箇所毎に、肉厚実測マーカが取り外されて当該肉厚実測マーカが取り付けられていた位置に於ける肉厚が実測される。
【0090】
肉厚を実測する際に用いられる機器や手法は、特定の機器や手法に限定されるものではなく、例えば実測作業の実施可能性や計測精度などが考慮されるなどした上で、接触式若しくは非接触式の計測機器・手法の中から適当なものが適宜選択される。肉厚の実測は、具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、超音波厚さ計が用いられて行われるようにしても良い。
【0091】
次に、肉厚実測マーカは取り外されて位置標定具1のみが計測対象物の表面へと取り付けられて設置された状態で、計測手段により、光照射部から計測対象物の計測表面へと向けてレーザ光(例えば、ラインレーザ)などの計測光が出射されると共に、計測表面へと照射された前記計測光(の反射光)と位置認識用ターゲット2とが同時に一対の受光部(即ち、ステレオカメラ)で撮像される(S1−8)。
【0092】
S1−3の処理で特定された各位置認識用ターゲット2の三次元位置座標の情報と、計測表面上の計測光及び位置認識用ターゲット2の撮影によって取得されたステレオ画像とが用いられて、空間演算が行われて計測対象物の計測表面の三次元形状が認識される(具体的には、表面形状に関する三次元の点群データが取得される)(S1−9)。
【0093】
次に、取得された点群データが面形式のデータへと変換され、計測対象物の計測表面の三次元形状に相当するメッシュデータが作成される(S1−10)。
【0094】
なお、点群データを面形式のデータへと変換する手法は、特定の変換方法に限定されるものではなく、従来若しくは新規の変換方法の中から適当なものが適宜選択される。具体的は例えば、ドロネー三角形分割を演算原理として変換処理が行われて点群データが面形式のデータへと変換されるようにしても良い。
【0095】
このS1−10の処理で作成されるメッシュデータのことを「計測結果の表面形状データ」と呼ぶ。
【0096】
次に、参照形状データの作成が行われる(S1−11)。
【0097】
具体的には、計測対象物の計測表面を構成・形成している部材の、設計寸法に基づいて、三次元形状データ(具体的には例えば、CADサーフェースデータ、つまり、パラメトリック曲面で構成され厚さを有しない三次元形状データなど)が作成される。
【0098】
設計寸法に基づく三次元形状データは、計測対象物を構成する部材の供用開始時における形状を表し、腐食や摩耗などによる減肉が生じていない元々の形状を表す。この点において、設計寸法に基づく三次元形状データは、腐食や摩耗などによる減肉の程度を検査・評価する際の基準となるものである。ここでの説明では、設計寸法に基づく三次元形状データのことを「参照形状データ」と呼ぶ。
【0099】
次に、S1−10の処理で作成された計測対象物に関する計測結果の表面形状データとS1−11の処理で作成された参照形状データとの比較が行われる(S1−12)。
【0100】
すなわち、計測結果の表面形状データと参照形状データとが重ね合わされて、表面形状データと参照形状データとの差違が計算される。
【0101】
ここで、計測結果の表面形状データは計測対象物の表面の形状に関する情報のみから構成され、参照形状データは計測対象物の表面の形状に関する情報と裏面の形状に関する情報とを有するものとして構成される。
【0102】
したがって、(裏面では腐食等による減肉が生じることがなく形状が変化しないと仮定される場合には、)計測結果の表面形状データについて裏面の位置が特定されれば、当該裏面の位置と参照形状データにおける裏面の位置とを合致させることにより、肉厚方向における対比が可能であるように計測結果の表面形状データと参照形状データとを正しい位置関係で重ね合わせることができ、計測結果の表面形状データにおける表面形状と参照形状データにおける表面形状との差違(即ち、計測対象物の表面を構成する部材の表面に於ける減肉の分布。また、計測対象物の表面を構成する部材の肉厚の分布)を計算することができる。
【0103】
そこで、S1−7の処理において実測された肉厚実測マーカの取り付け位置に於ける実際の肉厚が利用されて、計測結果の表面形状データにおける表面の位置から、実測された肉厚の分だけ厚さ方向に離れた位置(言い換えると、ずれた位置)に参照形状データにおける裏面の位置を合わせることにより、計測結果の表面形状データと参照形状データとが正しい位置関係で重ね合わせられる。
【0104】
ここで、肉厚が実測された位置は肉厚実測マーカの取り付け位置であり、当該位置はS1−6の処理において位置座標が取得されている。したがって、S1−6の処理において取得された位置座標に於いて、計測結果の表面形状データにおける表面の位置から、実測された肉厚の分だけ厚さ方向に離れた位置(言い換えると、ずれた位置)に参照形状データにおける裏面の位置を合わせるようにすることにより、二つの形状データの重ね合わせが正確に行われるようになる。
【0105】
裏面の位置が一致させられた状態で、計測結果の表面形状データにおける表面形状と参照形状データにおける表面形状との差分が算定される。これによって算定される差分は、計測対象物の(言い換えると、計測対象物の表面を構成する部材の)表面に於ける腐食や摩耗などによる減肉量の分布である。
【0106】
また、裏面の位置が一致させられた状態での、計測結果の表面形状データにおける表面形状と参照形状データにおける裏面形状との差分は、計測対象物(言い換えると、計測対象物の表面を構成する部材)の肉厚の分布である。
【0107】
《位置基準打痕》
計測対象物の表面の所定の範囲(言い換えると、同一の範囲,同一の箇所)について複数時点で計測を行うとき、前後の計測の合間に位置標定具1を一旦取り外す必要がある場合は、特定の箇所が時系列でどのように変化したかを分析するためには時点が異なる計測データ同士を正確に位置合わせした上で比較することが必要とされる。
【0108】
このため、位置合わせをする際の基準点として利用するため、
図6に示すように、凹部として最深の一点(言い換えると、頂点;
図6において符号11)を有すると共に当該最深の頂点11から計測対象物の表面9へと連なる傾斜面12を有する形状の、すなわち開口部13及び傾斜面12と最深の頂点11とを有する形状(「錐体状」と呼ぶ)の打痕(「位置基準打痕10」と呼ぶ)が形成される。
【0109】
位置基準打痕10は、特定の寸法に限定されるものではなく、例えば計測に用いられる計測手段の測定精度や複数の表面形状データにおける位置合わせ(言い換えると、複数の表面形状データの位置を合わせた上での重ね合わせ)の処理における便宜が考慮されるなどした上で、適当な寸法に適宜設定される。位置基準打痕10は、具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、最小寸法及び最大寸法が1〜10 mm 程度の範囲に設定されて形成され得る。
【0110】
位置基準打痕10は、計測対象物の所定の計測表面に対応させて位置標定具1が取り付けられて設置されて行われる撮影/計測において、その像が撮像範囲/計測範囲に含まれるようにする。
【0111】
そして、位置標定具1が一旦取り外された上で所定の期間が経過して上記所定の計測表面についての計測があらためて行われる際には、上記所定の計測表面に対応させて位置標定具1があらためて取り付けられて設置されて撮影/計測が行われる。
【0112】
この際、位置標定具1は、上記所定の計測表面を対象として既に行われた計測の際に位置標定具1が取り付けられた位置と同じ位置に取り付けられる必要は無く、更に言えば既に行われた計測の際に用いられた位置標定具1と同一の位置標定具1である必要は無いものの、上記所定の計測表面に対応づけられている位置基準打痕10の像が撮像範囲/計測範囲に含まれるように取り付けられて設置される。
【0113】
計測対象物の表面9に錐体状の位置基準打痕10が形成されると共に当該位置基準打痕10が表面形状と一緒に撮影/計測されて撮像された画像内で認識・検出されることにより、錐体状の凹部における最深の頂点11が位置の基準として用いられて、例えば時点が異なる計測結果の表面形状データ同士の位置合わせが正確に行われて表面形状データ同士の比較が適切に行われるようになる。
【0114】
計測対象物の表面9に錐体状の位置基準打痕10が形成されると共に当該位置基準打痕10が表面形状と一緒に撮影/計測されて撮像された画像内で認識・検出されることにより、さらに、当該位置基準打痕10の形成箇所に於ける計測対象物の表面9の腐食や摩耗などによる減肉の状況が把握され得るようになる。
【0115】
具体的には、例えば位置基準打痕10が形成される際に用いられた器具の形状や実際に形成された位置基準打痕10の計測結果などに基づいて、位置基準打痕10の、計測対象物の表面9に於ける開口部13の(言い換えると、平面視における,開口面視における)所定箇所の寸法Lや面積Sと計測対象物の表面9から位置基準打痕10の最深の頂点11までの寸法Dとの間の関係が特定される。
【0116】
そして、計測された位置基準打痕10'の、計測対象物の表面9に於ける開口部13'の所定箇所の寸法Lmや面積Smに対応する計測対象物の表面9から位置基準打痕10'の最深の頂点11までの寸法Dmが算定されることにより、寸法Dと寸法Dmとの差分dが計測対象物の表面9における腐食や摩耗などによる減肉量として求められる。
【0117】
図6に示す例では所定箇所の寸法L,Lmとして開口部13,13'の四角形の辺の長さが用いられるようにしているが、上記所定箇所の寸法として他の箇所の寸法が用いられるようにしても良い。上記所定箇所の寸法として、具体的には例えば、対角線の長さが用いられるようにしても良く、或いは、各角から最深の頂点11までの寸法が用いられるようにしても良い。
【0118】
また、
図6に示す例では開口部13,13'の形状が四角形であるようにしているが、開口部の形状は他の形状であっても良い。開口部の形状は、具体的には例えば、三角形や五角以上の多角形でも良く(即ち、位置基準打痕が三角錐や多角錐の形状に相当する凹部として形成される)、或いは、円形でも良い(即ち、位置基準打痕が円錐の形状に相当する凹部として形成される)。なお、開口部の形状が、種々の多角形である場合には上記所定箇所の寸法として辺の長さや各角から最深の頂点までの寸法が用いられるようにしたり、円形である場合には上記所定箇所の寸法として直径が用いられるようにしたりすることが考えられる。
【0119】
計測対象物の表面9に形成される位置基準打痕10の個数は、特定の個数に限定されるものではなく、計測対象物の所定の計測表面を対象として位置標定具1が設置されて行われる撮影/計測作業によって取得される、取得時点が異なる複数の表面形状データの位置合わせをするのに適当な個数に適宜設定される。
【0120】
具体的には例えば、計測対象物の表面9上に経年によっては変化せず且つ画像内で抽出・把握し易い特徴的な部分がある場合には、位置基準打痕10が一個形成された上で、当該位置基準打痕10の位置が一致させられると共に当該位置基準打痕10の位置を回転中心として前記特徴的な部分が重ね合わせられて複数の表面形状データの位置合わせが行われるようにしても良い。あるいは、位置基準打痕10が複数個形成された上で、これら複数の位置基準打痕10の位置がそれぞれ一致させられて複数の表面形状データの位置合わせが行われるようにしても良い。
【0121】
《位置基準打痕を利用した肉厚計測》
或る計測表面について計測結果の表面形状データと参照形状データとを初めて重ね合わせる際には、計測結果の表面形状データについて裏面の位置を特定するために肉厚の実測が必要とされる。
【0122】
一方で、上記或る計測表面についての、計測結果の表面形状データと参照形状データとの二回目以降の重ね合わせの際には、上述の錐体状の位置基準打痕10が形成されると共にその形状が計測されることにより、肉厚の実測は不要になる。
【0123】
すなわち、計測対象物の表面9に位置基準打痕10(例としての
図6を参照;尚、計測対象物の表面9から最深の頂点11までの寸法はDである)が形成されると共に、計測対象物の表面形状の撮影/計測の際に位置基準打痕10'の形状が撮影/計測される。
【0124】
そして、当該位置基準打痕10'の、計測対象物の表面9に於ける開口部13'の(言い換えると、平面視における,開口面視における)所定箇所の寸法Lmや面積Smに基づいて計測対象物の表面9から位置基準打痕10'の最深の頂点11までの寸法Dmが算定され、当初の寸法Dと各計測時点における前記寸法Dmとの差分dや各計測時点における前記寸法Dm同士の差分が計測対象物の表面9における腐食や摩耗などによる減肉量として求められる。
【0125】
これにより、時点の異なる計測結果の表面形状データを位置基準打痕10の形成位置に於いて相対的にどれだけずらせば良いかが特定されるので、計測結果の表面形状データ同士が正しい位置関係で重ね合わせられる。
【0126】
つまり、位置基準打痕10は、錐体状の凹部として形成されることにより、特に最深の頂点11が利用されて平面視(言い換えると、開口面視)における位置決めの基準として機能すると共に、開口部13に纏わる寸法Lや面積Sと最深の頂点11までの寸法Dとの間の関係が利用されて深さ方向(即ち、開口面と垂直の方向,肉厚方向)における位置決めの基準として機能する。
【0127】
位置基準打痕10を利用して肉厚/減肉量の分布を求める場合には(
図7を参照)、計測表面に対応させて計測対象物の表面9に位置基準打痕10が形成され、上述のS1−1乃至S1−7と同様の処理が行われる(S2−1乃至S2−7;尚、
図7のフロー中の「初めての計測?」において「Yes」へと進む)。
【0128】
そして、計測対象物の計測表面へと照射された計測光(の反射光)と位置認識用ターゲット2とが同時に撮像される処理(上述のS1−8と同様の処理;S2−8)において撮像範囲に位置基準打痕10が含められるにようにした上で、計測表面に加えて位置基準打痕10の形状を含む計測対象物の表面9の三次元形状が認識されて点群データが取得される(上述のS1−9と同様の処理;S2−9)と共に計測表面に加えて位置基準打痕10の形状を含む計測対象物の表面9の三次元形状に相当するメッシュデータが作成される(上述のS1−10と同様の処理;S2−10)。
【0129】
そして、或る計測表面について計測結果の表面形状データと参照形状データとを初めて重ね合わせる場合には(尚、
図7のフロー中の「初めての計測?」において「Yes」へと進む)、上述のS1−11及びS1−12と同様の処理が行われる(S2−11及びS2−12)。
【0130】
続いて、上記或る計測表面についての、計測結果の表面形状データと参照形状データとの二回目以降の重ね合わせの際には、上述のS2−1乃至S2−3と同様の処理が行われた上で、(
図7のフロー中の「初めての計測?」において「No」へと進み、)上述のS2−4乃至S2−7の処理が行われること無く、上述のS2−8乃至S2−10と同様の処理が行われる(但し、位置基準打痕10を含む範囲や内容で処理が行われる)。
【0131】
そして、(
図7のフロー中の「初めての計測?」において「No」へと進み、)位置基準打痕10の、計測対象物の表面9に於ける開口部13の形状(具体的には、寸法Lや面積S)の変化に基づいて当該位置基準打痕10の形成箇所に於ける減肉量が特定される(S2−13)。
【0132】
具体的には、位置基準打痕10について特定された、計測対象物の表面9に於ける開口部13の(言い換えると、平面視における,開口面視における)所定箇所の寸法Lや面積Sと計測対象物の表面9から位置基準打痕10の最深の頂点11までの寸法Dとの間の関係が用いられて、計測された位置基準打痕10'の、計測対象物の表面9に於ける開口部13'の(言い換えると、平面視における,開口面視における)所定箇所の寸法Lmや面積Smに対応する計測対象物の表面9から位置基準打痕10'の最深の頂点11までの寸法Dmが算定され、当初の寸法Dと各計測時点における寸法Dmとの差分dや各計測時点における前記寸法Dm同士の差分(即ち、減肉量)が求められる。
【0133】
そして、時点の古い計測結果の表面形状データに対して時点の新しい計測結果の表面形状データを、位置基準打痕の形成位置に於いて前記減肉量の分だけ厚さ方向にずらした状態が、時点の古い計測結果の表面形状データに対する時点の新しい計測結果の表面形状データの位置である。
【0134】
また、S2−12の処理において、時点の古い計測結果の表面形状データに対する参照形状データの位置も把握されている。
【0135】
したがって、時点の新しい計測結果の表面形状データと参照形状データとが正しい位置関係で重ね合わせられ、この状態で、時点の新しい計測結果の表面形状データにおける表面形状と参照形状データにおける表面形状との差分が算定されて計測対象物の表面9における減肉量の分布が把握されたり、時点の新しい計測結果の表面形状データにおける表面形状と参照形状データにおける裏面形状との差分が算定されて計測対象物(言い換えると、計測対象物の表面9を構成する部材)の肉厚の分布が把握されたりする(S2−14)。
【0136】
以上のように構成された三次元形状の計測方法によれば、三次元形状の計測に用いられる位置認識用ターゲット2を個々に取り付けたり取り外したりする手間をかけることなく短時間で計測作業を行うことができる。このため、計測作業を迅速に行うことが可能になる。
【0137】
なお、上述の実施形態は本発明を実施する際の好適な形態の一例ではあるものの本発明の実施の形態が上述のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において本発明は種々変形実施可能である。
【0138】
例えば、上述の実施形態では位置認識用ターゲット2が撮像される処理(S1−2,S2−2)及び各位置認識用ターゲット2の三次元位置座標が特定される処理(S1−3,S2−3)が独立した処理として行われるようにしているが、これらの処理が独立した処理として行われることは本発明において必須の構成ではない。例えば、計測手段として各位置認識用ターゲット2の三次元位置座標の取得と肉厚実測マーカの三次元位置座標の取得や計測対象物の計測表面の三次元形状の認識とを同時に行うものが用いられる場合には、位置認識用ターゲット2の撮像や各位置認識用ターゲット2の三次元位置座標の特定が独立した処理である必要は無く、上述の実施形態におけるS1−2及びS1−3の処理並びにS2−2及びS2−3の処理が独立した処理として行われなくても良い。つまり、上述のS1−2及びS1−3の処理がS1−5及びS1−6の処理やS1−8及びS1−9の処理と同時/一緒に行われるようにしたり、上述のS2−2及びS2−3の処理がS2−5及びS2−6の処理やS2−8及びS2−9の処理と同時/一緒に行われるようにしたりしても良い。
【0139】
また、上述の実施形態では位置認識用ターゲット2のそれぞれがID情報を有するようにしているが、位置認識用ターゲット2がID情報を有することは本発明において必須の構成ではない。具体的には例えば、計測手段が撮像した各位置認識用ターゲット2を追跡しつつ相互の位置関係によって位置認識用ターゲット2のそれぞれを相互に区別して個別に識別する機能を備えている場合には、位置認識用ターゲット2のそれぞれがID情報を有していなくても良い。
【0140】
さらに言えば、上述の実施形態では複数の位置認識用ターゲット2とターゲット支持体3とを有する位置標定具1が利用されるようにしているが、位置認識用ターゲット2やターゲット支持体3(延いては、位置標定具1)が利用されることは本発明において必須の構成ではない(即ち、上述のS1−1,S1−2,及びS1−3の処理並びにS2−1,S2−2,及びS2−3の処理は本発明において必須の処理ではない)。例えば、計測対象物との相互の位置関係が固定されて計測を行って形状を認識する計測手段や、任意/所定の原点座標を有する三次元直交座標系を計測手段自体が適宜設定して計測を行うと共に形状を認識する計測手段が用いられる場合には、位置認識用ターゲット2が利用されること無く計測対象物の表面の形状が認識され得る。
【0141】
また、上述の実施形態では肉厚実測箇所を示すためのマーカ(即ち、肉厚実測マーカ)が利用されるようにしているが、肉厚実測マーカが利用されることは本発明において必須の構成ではない(即ち、上述のS1−4,S1−5,及びS1−6の処理並びにS2−4,S2−5,及びS2−6の処理は本発明において必須の処理ではない)。例えば、計測対象部の計測表面における或る一点若しくは複数点に於いて計測表面を構成する部材の肉厚が実測され、当該肉厚が実測された位置座標に於いて、計測結果の表面形状データにおける表面の位置から、実測された肉厚の分だけ厚さ方向に離れた位置(言い換えると、ずれた位置)に参照形状データにおける裏面の位置を合わせることにより、二つの形状データの重ね合わせが行われるようにしても良い。なお、この場合には、例えば、計測対象物の表面上の、画像内で抽出・把握し易い特徴的な箇所に於いて肉厚が実測されて当該特徴的な箇所の位置座標が特定されるようにすることが考えられる。