(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回転保持部のチャックを回転させた状態で、前記第2のアームに設けられたガスノズルが前記チャックの上方を通過するように前記第2のアームを移動しつつ前記ガスノズルから乾燥ガスを前記チャックに供給する第5の工程をさらに含む、請求項8〜11のいずれか一項に記載の方法。
前記カップ内に位置する下側ノズルから洗浄液を吐出させて前記回転保持部よりも外方において前記第1又は第2のアームに洗浄液を供給すると共に、前記ガスノズルから乾燥ガスを吐出させて、前記下側ノズルから吐出された洗浄液が前記第1又は第2のアームに供給される位置よりも前記回転保持部側において乾燥ガスの気流を形成する第6の工程をさらに含む、請求項12又は13に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、一般的にノズルバスは小型なので、ノズルバス内にノズルから処理液を吐出すると、ノズルバスの壁面に衝突した処理液がノズルに跳ね返って、跳ね返った処理液がノズルの吐出口近傍に付着する懸念があった。この場合、ノズルの吐出口近傍に付着した処理液が基板の処理時に基板に落下して、処理された基板に欠陥が生ずる可能性が考えられる。
【0007】
また、基板処理装置は複数の処理モジュールを備えることが一般的である。この場合、処理ユニットは基板保持機構のみならずノズルバスを含むので、処理ユニットのサイズが大型化する傾向にある。そのため、基板の処理量を高めるために基板処理装置に多数の処理ユニットを搭載した場合、基板処理装置も大型化し、コストの増加に繋がる懸念があった。
【0008】
そこで、本開示は、ノズルの吐出口への液跳ねを抑制しつつ処理ユニットの小型化を図ることが可能な基板処理装置、ダミーディスペンス方法及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]本開示の一つの観点に係る基板処理装置は、基板を保持しつつ回転させる回転保持部と、基板の表面に上側ノズルから液体を供給するように構成された第1の供給部と、回転保持部によって保持される基板の周囲を取り囲むと共に第1の供給部から供給される液体を受けるカップと、制御部とを備える。カップは、回転保持部によって保持されつつ回転される基板から振り切られた液体の飛散を防止する外周壁を有する。制御部は、上側ノズルから処理液を傾斜面にダミーディスペンスさせる処理を実行する。
【0010】
本開示の一つの観点に係る基板処理装置では、制御部は、第1の供給部を制御して、上側ノズルから液体を傾斜面にダミーディスペンスさせている。カップ内の空間は従来のノズルバスと比較して広いので、上側ノズルから液体を吐出しても、カップ内から跳ね返った液体が上側ノズルに届き難い。そのため、上側ノズルへの液跳ねを抑制することが可能となる。従って、処理された基板に欠陥が生じ難くなる。また、本開示の一つの観点に係る基板処理装置では、上側ノズルからカップ内にダミーディスペンスされる。そのため、ダミーディスペンスのためのノズルバスが不要となる。従って、処理ユニットの小型化を図ることが可能となる。
【0011】
[2]上記第1項の装置において、制御部は、第1の供給部を制御して、カップの上端よりも下方か又は回転保持部のチャックの基板支持面よりも下方に上側ノズルの吐出口が位置した状態で、上側ノズルから液体をダミーディスペンスさせる処理を実行してもよい。この場合、上側ノズルから吐出された液体がカップ内の物体に衝突する勢いが弱まる。そのため、液体がミスト状に変化し難いので、当該ミストの周囲への飛散を抑制することが可能となる。特に、上側ノズルの吐出口が回転保持部のチャックの基板支持面よりも下方に位置していると、発生したミストがチャックの基板支持面に付着し難くなる。そのため、当該ミストによる基板の汚染を抑制することが可能となる。
【0012】
[3]上記第1項又は第2項の装置において、カップの外周面には、上方において上側ノズルが待機可能な液受部が設けられていてもよい。この場合、上側ノズルがカップ内に液体を吐出しない待機状態において、上側ノズルが液受部の上方の待機位置で待機する。そのため、待機状態の上側ノズルから液体が滴っても、滴下した液体が液受部で受け止められるので、液体によるカップの外部の汚染を抑制することが可能となる。また、液受部の一部がカップの外周面で構成されているので、液受部自体を小型化できる。そのため、処理ユニットのさらなる小型化を図ることが可能となる。
【0013】
[4]上記第1項〜第3項のいずれか一項の装置は、カップ内を排気するように構成された排気部をさらに備え、第1の供給部は、基板の表面に対して処理液を供給する処理液ノズルと、基板の表面に対して洗浄液を供給する洗浄液ノズルと、処理液ノズルが設けられた第1のアームを移動させる第1の駆動部と、洗浄液ノズルが設けられた第2のアームを移動させる第2の駆動部とを有し、制御部は、第1の供給部及び排気部を制御して、排気部によりカップ内を排気しつつ、第1の駆動部により第1のアームを移動させることで、処理液ノズルを内側領域に位置させる第1の処理と、第2の駆動部により第2のアームを移動させることで、洗浄液ノズルを内側領域に位置させる第2の処理と、第1及び第2の処理の後に、処理液ノズル及び洗浄液ノズルからそれぞれ処理液及び洗浄液をダミーディスペンスさせる第3の処理とを実行してもよい。この場合、処理液ノズル及び洗浄液ノズルからのダミーディスペンスが、カップ内を排気した状態で行われる。そのため、処理液ノズル及び洗浄液ノズルからそれぞれ吐出された処理液及び洗浄液がカップ内の物体に衝突し、これらがミスト状に変化した場合でも、当該ミストがカップ内から排気される。従って、ミストが周囲に拡がらないので、処理液ノズル又は洗浄液ノズルに対するミストの付着を抑制することが可能となる。その結果、ノズルの表面においてミストが凝集して液滴となり、当該液滴が基板の処理時に基板に落下することが抑制されるので、処理された基板に欠陥が生じ難くなる。
【0014】
[5]上記第4項の装置において、制御部は、第1の処理において、第1の駆動部により第1のアームを移動させることで、処理液ノズルを前記内側領域のうち所定の第1の領域に位置させ、第2の処理において、第2の駆動部により前記第2のアームを移動させることで、洗浄液ノズルを内側領域のうち第1の領域とは回転保持部を間において反対側の第2の領域に位置させてもよい。この場合、処理液ノズル及び洗浄液ノズルからのダミーディスペンスの際に、処理液ノズルと洗浄液ノズルとが回転保持部を間において向かい合うように位置する。そのため、跳ね返った液が相互に付着し難くなる。従って、両ノズルに対する液跳ねを抑制しつつ両ノズルから同時にダミーディスペンスすることが可能となる。その結果、ダミーディスペンスの処理時間が短縮化されるので、スループットの向上を図ることが可能となる。
【0015】
[6]上記第5項の装置において、第1の領域は、内側領域のうち回転保持部よりも処理液ノズル及び洗浄液ノズルがカップ外で待機する待機位置寄りの領域であり、第2の領域は、内側領域のうち回転保持部よりも待機位置とは離れた側の領域であってもよい。この場合、処理液ノズルからダミーディスペンスされるにあたり、処理液ノズルが回転保持部を超えない。そのため、処理液ノズルの移動中に処理液ノズルから処理液が滴っても、回転保持部に処理液が付着し難くなる。従って、処理液による回転保持部の汚染を抑制することが可能となる。
【0016】
[7]上記第4項〜第6項のいずれか一項の装置において、第1の供給部は、基板の表面に乾燥ガスを供給すると共に第2のアームに設けられたガスノズルを有し、制御部は、回転保持部及び第1の供給部を制御して、回転保持部のチャックを回転させた状態で、ガスノズルがチャックの上方を通過するように第2のアームを第2の駆動部により移動させつつガスノズルから乾燥ガスをチャックに供給させる第4の処理を実行してもよい。この場合、回転中のチャックにガスノズルから乾燥ガスが供給されるので、チャックに付着しているパーティクル等の異物が除去される。そのため、チャックによる基板の吸着力が維持される。このように、人手によらずガスノズルにより機械的にチャックのクリーニングが完了するので、クリーニング処理の自動化及び短時間化することが可能となる。
【0017】
[8]上記第7項の装置において、制御部は、第4の処理において、チャックを回転させた状態で、ガスノズル及び洗浄液ノズルが共にチャックの中央部から周縁部に向けて移動するように第2のアームを第2の駆動部により移動させつつ、ガスノズル及び洗浄液ノズルがチャックの中央部の上方を通過する際には、ガスノズルから乾燥ガスをチャックの中央部に供給させるが、洗浄液ノズルからは洗浄液を供給させないことと、ガスノズル及び洗浄液ノズルがチャックの中央部と周縁部との間である中間領域の上方を通過する際には、ガスノズル及び洗浄液ノズルからそれぞれ乾燥ガス及び洗浄液をチャックの中間領域に供給させることと、ガスノズル及び洗浄液ノズルがチャックの周縁部の上方を通過する際には、ガスノズルから乾燥ガスをチャックの周縁部に供給させるが、洗浄液ノズルからは洗浄液を供給させないこととを実行してもよい。この場合、乾燥ガスのみならず洗浄液をチャックに供給しているので、チャックをより清浄化することが可能となる。また、洗浄液がチャックの中央部に供給されていないので、チャックの中央部に位置する吸引孔に洗浄液が入り込み難くなる。そのため、チャックによる基板の吸着能力の低下を抑制することが可能となる。さらに、チャックの周縁部には、ガスノズルから乾燥ガスが供給される一方で洗浄液ノズルから洗浄液が供給されないので、遠心力によってチャックの周縁部に拡がった洗浄液が乾燥ガスによって吹き飛ばされる。そのため、チャックに洗浄液が残存することが抑制される。従って、チャックを洗浄液及び乾燥ガスによってクリーニングしつつ、チャックの洗浄液による汚染を抑制することが可能となる。
【0018】
[9]上記第4項〜第8項のいずれか一項の装置は、カップ内に位置する下側ノズルから基板の裏面に対して洗浄液を供給するように構成された第2の供給部をさらに備え、制御部は、第1及び第2の供給部を制御して、下側ノズルから洗浄液を第1又は第2のアームに供給する第5の処理を実行してもよい。この場合、処理液ノズルから吐出された処理液がカップ内の物体に衝突して跳ね返り、第1又は第2のアームの下面に付着したとしても、下側ノズルから第1又は第2のアームに供給される洗浄液によって第1又は第2のアームから処理液が除去される。そのため、基板の処理時に第1又は第2のアームから処理液が基板に落下することが抑制できる。従って、処理された基板に欠陥がいっそう生じ難くなる。
【0019】
[10]上記第7項又は第8項の装置は、カップ内に位置する下側ノズルから基板の裏面に対して洗浄液を供給するように構成された第2の供給部をさらに備え、制御部は、第1及び第2の供給部を制御して、下側ノズルから洗浄液を吐出させて回転保持部よりも外方において第1又は第2のアームに洗浄液を供給すると共に、ガスノズルから乾燥ガスを吐出させて、下側ノズルから吐出された洗浄液が第1又は第2のアームに供給される位置よりも回転保持部側において乾燥ガスの気流を形成する第6の処理を実行してもよい。この場合、ガスノズルからの乾燥ガスの気流は、連続的に又は所定のタイミングで、下側ノズルから吐出された洗浄液が第1又は第2のアームに供給される位置よりも回転保持部側に形成される。そのため、下側ノズルから吐出された洗浄液が第1又は第2のアームに衝突して跳ね返ったりミスト状になったりしても、跳ね返った洗浄液又はミスト状の洗浄液が回転保持部側に流れることが乾燥ガスによって抑制される。従って、洗浄液又はそのミストがチャックの基板支持面に付着し難くなる。その結果、洗浄液又はそのミストによる基板の汚染を抑制することが可能となる。
【0020】
[11]本開示の他の観点に係るダミーディスペンス方法は、回転保持部に保持されると共にカップに周囲を取り囲まれた基板の表面に液体を供給する上側ノズルにおけるダミーディスペンスする方法である。カップは、回転保持部によって保持されつつ回転される基板から振り切られた液体の飛散を防止する外周壁を有する。本開示の他の観点に係るダミーディスペンス方法は、上側ノズルから液体を外周壁と回転保持部との間の内側領域にダミーディスペンスする工程を含む。この場合、上記第1項の装置と同様の作用効果を奏する。
【0021】
[12]上記第11項の方法において、上記工程では、カップの上端よりも下方か又は回転保持部のチャックの基板支持面よりも下方に上側ノズルの吐出口が位置した状態で、上側ノズルから処理液をダミーディスペンスしてもよい。この場合、上記第2項の装置と同様の作用効果を奏する。
【0022】
[13]上記第11項又は第12項の方法において、ダミーディスペンスが行われていないときに、カップの外周面に設けられた液受部の上方で上側ノズルを待機させてもよい。この場合、上記第3項の装置と同様の作用効果を奏する。
【0023】
[14]上記第11項〜第13項のいずれか一項の方法は、本開示の他の観点に係るダミーディスペンス方法は、基板の表面に対して処理液を供給する処理液ノズルが設けられた第1のアームを移動して、処理液ノズルを内側領域に位置させる第1の工程と、基板の表面に対して洗浄液を供給する洗浄液ノズルが設けられた第2のアームを移動して、待機位置にある洗浄液ノズルを傾斜面の上方に位置させる第2の工程と、第1及び第2の工程の後に、処理液ノズル及び洗浄液ノズルからそれぞれ処理液及び洗浄液をダミーディスペンスする第3の工程とを含み、カップ内を排気しつつ第1〜第3の工程を実施してもよい。この場合、上記第4項の装置と同様の作用効果を奏する。
【0024】
[15]上記第14項の方法において、第1の工程では、処理液ノズルを内側領域のうち所定の第1の領域に位置させ、第2の工程では、洗浄液ノズルを内側領域のうち第1の領域とは回転保持部を間において反対側の第2の領域に位置させてもよい。この場合、上記第5項の装置と同様の作用効果を奏する。
【0025】
[16]上記第15項の方法において、第1の領域は、内側領域のうち回転保持部よりも処理液ノズル及び洗浄液ノズルがカップ外で待機する待機位置寄りの領域であり、第2の領域は、内側領域のうち回転保持部よりも待機位置とは離れた側の領域であってもよい。この場合、上記第6項の装置と同様の作用効果を奏する。
【0026】
[17]上記第14項〜第16項のいずれか一項の方法は、回転保持部のチャックを回転させた状態で、第2のアームに設けられたガスノズルがチャックの上方を通過するように第2のアームを移動しつつガスノズルから乾燥ガスをチャックに供給する第4の工程をさらに含んでもよい。この場合、上記第7項の装置と同様の作用効果を奏する。
【0027】
[18]上記第17項の方法において、第4の工程では、チャックを回転させた状態で、ガスノズル及び洗浄液ノズルが共にチャックの中央部から周縁部に向けて移動するように第2のアームを移動しつつ、ガスノズル及び洗浄液ノズルがチャックの中央部の上方を通過する際には、ガスノズルから乾燥ガスをチャックの中央部に供給するが、洗浄液ノズルからは洗浄液を供給しないことと、ガスノズル及び洗浄液ノズルがチャックの中央部と周縁部との間である中間領域の上方を通過する際には、ガスノズル及び洗浄液ノズルからそれぞれ乾燥ガス及び洗浄液をチャックの中間領域に供給することと、ガスノズル及び洗浄液ノズルがチャックの周縁部の上方を通過する際には、ガスノズルから乾燥ガスをチャックの周縁部に供給するが、洗浄液ノズルからは洗浄液を供給しないこととを含んでもよい。この場合、上記第8項の装置と同様の作用効果を奏する。
【0028】
[19]上記第14項〜第18項のいずれか一項の方法は、カップ内に位置する下側ノズルから洗浄液を第1又は第2のアームに供給する第5の工程をさらに含んでもよい。この場合、上記第9項の装置と同様の作用効果を奏する。
【0029】
[20]上記第17項又は第18項の方法は、カップ内に位置する下側ノズルから洗浄液を吐出させて回転保持部よりも外方において第1又は第2のアームに洗浄液を供給すると共に、ガスノズルから乾燥ガスを吐出させて、下側ノズルから吐出された洗浄液が第1又は第2のアームに供給される位置よりも回転保持部側において乾燥ガスの気流を形成する第6の工程をさらに含んでもよい。この場合、上記第10項の装置と同様の作用効果を奏する。
【0030】
[21]本開示の他の観点に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、上記第11項〜第20項のいずれか一項のダミーディスペンス方法を基板処理装置に実行させるためのプログラムを記録している。本開示の他の観点に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体では、上記のダミーディスペンス方法と同様に、ノズルの吐出口への液跳ねを抑制しつつ処理ユニットの小型化を図ることが可能となる。本明細書において、コンピュータ読み取り可能な記録媒体には、一時的でない有形の媒体(non-transitory computer recordingmedium)(例えば、各種の主記憶装置又は補助記憶装置)や、伝播信号(transitory computer recording medium)(例えば、ネットワークを介して提供可能なデータ信号)が含まれる。
【0031】
[22]本開示の他の観点に係る基板処理装置は、基板を保持しつつ回転させる回転保持部と、基板の表面に対して上方から液体を供給するように構成された上側ノズルと、記基板の表面に対して上方から乾燥ガスを供給するガスノズルと、基板の裏面に対して下方から洗浄液を供給するように構成された下側ノズルと、制御部とを備える。制御部は、各ノズルの動作を制御して、下側ノズルから洗浄液を吐出させて、回転保持部よりも外方において上側ノズルを保持するアーム又はガスノズルを保持するアームに洗浄液を供給すると共に、ガスノズルから乾燥ガスを吐出させて、下側ノズルから吐出された洗浄液が上側ノズルを保持するアーム又はガスノズルを保持するアームに供給される位置よりも回転保持部側において乾燥ガスの気流を形成する処理を実行する。この場合、上記第10項の装置と同様の作用効果を奏する。
【0032】
[23]本開示の他の観点に係るアーム洗浄方法は、回転保持部に保持された基板の表面に対して上方から液体を供給するように構成された上側ノズルを保持するアーム又は回転保持部に保持された基板の表面に対して上方から乾燥ガスを供給するガスノズルを保持するアームに対して、回転保持部に保持された基板の裏面に対して下方から洗浄液を供給するように構成された下側ノズルから洗浄液を供給することにより、上側ノズルを保持するアーム又はガスノズルを保持するアームを洗浄する工程を含む。上側ノズルを保持するアーム又はガスノズルを保持するアームを洗浄する工程では、下側ノズルから洗浄液を吐出させて、回転保持部よりも外方において上側ノズルを保持するアーム又はガスノズルを保持するアームに洗浄液を供給すると共に、ガスノズルから乾燥ガスを吐出させて、下側ノズルから吐出された洗浄液が上側ノズルを保持するアーム又はガスノズルを保持するアームに供給される位置よりも回転保持部側において乾燥ガスの気流を形成する。この場合、上記第22項の装置と同様の作用効果を奏する。
【0033】
[24]本開示の他の観点に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、上記第23項のダミーディスペンス方法を基板処理装置に実行させるためのプログラムを記録している。この場合、上記第23項の方法と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0034】
本開示に係る基板処理装置、ダミーディスペンス方法及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、ノズルの吐出口への液跳ねを抑制しつつ処理ユニットの小型化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に説明される本開示に係る実施形態は本発明を説明するための例示であるので、本発明は以下の内容に限定されるべきではない。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0037】
[基板処理システム]
図1に示されるように、基板処理システム1(基板処理装置)は、塗布現像装置2(基板処理装置)と、コントローラ10(制御部)とを備える。基板処理システム1には、露光装置3が併設されている。露光装置3は、基板処理システム1のコントローラ10と通信可能なコントローラ(図示せず)を備える。露光装置3は、塗布現像装置2との間でウエハW(基板)を授受して、ウエハWの表面Wa(
図4等参照)に形成された感光性レジスト膜の露光処理(パターン露光)を行うように構成されている。具体的には、液浸露光等の方法により感光性レジスト膜(感光性被膜)の露光対象部分に選択的にエネルギー線を照射する。エネルギー線としては、例えばArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、g線、i線、又は極端紫外線(EUV:Extreme Ultraviolet)が挙げられる。
【0038】
塗布現像装置2は、露光装置3による露光処理の前に、感光性レジスト膜を含む種々の塗布膜Cf(
図4参照)をウエハWの表面Waに形成する処理を行う。塗布現像装置2は、露光装置3による感光性レジスト膜の露光処理後に、当該感光性レジスト膜の現像処理を行う。
【0039】
ウエハWは、円板状を呈してもよいし、多角形など円形以外の板状を呈していてもよい。ウエハWは、一部が切り欠かれた切り欠き部を有していてもよい。切り欠き部は、例えば、ノッチ(U字形、V字形等の溝)であってもよいし、直線状に延びる直線部(いわゆる、オリエンテーション・フラット)であってもよい。ウエハWは、例えば、半導体基板、ガラス基板、マスク基板、FPD(Flat Panel Display)基板その他の各種基板であってもよい。ウエハWの直径は、例えば200mm〜450mm程度であってもよい。
【0040】
図1〜
図3に示されるように、塗布現像装置2は、キャリアブロック4と、処理ブロック5と、インターフェースブロック6とを備える。キャリアブロック4、処理ブロック5及びインターフェースブロック6は、水平方向に並んでいる。
【0041】
キャリアブロック4は、
図1及び
図3に示されるように、キャリアステーション12と、搬入搬出部13とを有する。キャリアステーション12は複数のキャリア11を支持する。キャリア11は、少なくとも一つのウエハWを密封状態で収容する。キャリア11の側面11aには、ウエハWを出し入れするための開閉扉(図示せず)が設けられている。キャリア11は、側面11aが搬入搬出部13側に面するように、キャリアステーション12上に着脱自在に設置される。
【0042】
搬入搬出部13は、キャリアステーション12及び処理ブロック5の間に位置している。搬入搬出部13は、複数の開閉扉13aを有する。キャリアステーション12上にキャリア11が載置される際には、キャリア11の開閉扉が開閉扉13aに面した状態とされる。開閉扉13a及び側面11aの開閉扉を同時に開放することで、キャリア11内と搬入搬出部13内とが連通する。搬入搬出部13は、受け渡しアームA1を内蔵している。受け渡しアームA1は、キャリア11からウエハWを取り出して処理ブロック5に渡し、処理ブロック5からウエハWを受け取ってキャリア11内に戻す。
【0043】
処理ブロック5は、
図1及び
図2に示されるように、単位処理ブロック14〜17を有する。単位処理ブロック14〜17は、床面側から単位処理ブロック17、単位処理ブロック14、単位処理ブロック15、単位処理ブロック16の順に並んでいる。単位処理ブロック14〜17は、
図3に示されるように、液処理ユニットU1(基板処理装置)と、熱処理ユニットU2とを有する。
【0044】
液処理ユニットU1は、各種の処理液又はガスをウエハWの表面Wa又は裏面Wb(
図4参照)に供給するように構成されている。熱処理ユニットU2は、例えば熱板によりウエハWを加熱し、加熱後のウエハWを例えば冷却板により冷却して熱処理を行うように構成されている。
【0045】
単位処理ブロック14は、ウエハWの表面Wa上に下層膜を形成するように構成された下層膜形成ブロック(BCTブロック)である。単位処理ブロック14は、各ユニットU1,U2にウエハWを搬送する搬送アームA2を内蔵している(
図2参照)。単位処理ブロック14の液処理ユニットU1は、下層膜形成用の塗布液(処理液)をウエハWの表面Waに塗布して塗布膜を形成する。単位処理ブロック14の熱処理ユニットU2は、下層膜の形成に伴う各種熱処理を行う。熱処理の具体例としては、塗布膜を硬化させて下層膜とするための加熱処理が挙げられる。下層膜としては、例えば、反射防止(SiARC)膜が挙げられる。
【0046】
単位処理ブロック15は、下層膜上に中間膜を形成するように構成された中間膜(ハードマスク)形成ブロック(HMCTブロック)である。単位処理ブロック15は、各ユニットU1,U2にウエハWを搬送する搬送アームA3を内蔵している(
図2参照)。単位処理ブロック15の液処理ユニットU1は、中間膜形成用の塗布液(処理液)を下層膜上に塗布して塗布膜を形成する。単位処理ブロック15の熱処理ユニットU2は、中間膜の形成に伴う各種熱処理を行う。熱処理の具体例としては、塗布膜を硬化させて中間膜とするための加熱処理が挙げられる。中間膜としては、例えば、SOC(Spin On Carbon)膜、アモルファスカーボン膜が挙げられる。
【0047】
単位処理ブロック16は、熱硬化性を有するレジスト膜を中間膜上に形成するように構成されたレジスト膜形成ブロック(COTブロック)である。単位処理ブロック16は、各ユニットU1,U2にウエハWを搬送する搬送アームA4を内蔵している(
図2参照)。単位処理ブロック16の液処理ユニットU1は、レジスト膜形成用の塗布液(処理液)を中間膜上に塗布して塗布膜を形成する。単位処理ブロック16の熱処理ユニットU2は、レジスト膜の形成に伴う各種熱処理を行う。熱処理の具体例としては、塗布膜を硬化させてレジスト膜とするための加熱処理(PAB:Pre Applied Bake)が挙げられる。なお、レジスト膜としては、感光性レジスト膜及び非感光性レジスト膜が含まれる。
【0048】
単位処理ブロック17は、露光されたレジスト膜の現像処理を行うように構成された現像処理ブロック(DEVブロック)である。単位処理ブロック17は、各ユニットU1,U2にウエハWを搬送する搬送アームA5と、これらのユニットを経ずにウエハWを搬送する直接搬送アームA6とを内蔵している(
図2参照)。単位処理ブロック17の液処理ユニットU1は、露光後のレジスト膜に現像液(処理液)を供給してレジスト膜を現像する。単位処理ブロック17の液処理ユニットU1は、現像後のレジスト膜に洗浄液(リンス液)を供給して、レジスト膜の溶解成分を現像液と共に洗い流す。洗浄液としては、例えば純水(DIW:deionized water)が挙げられる。これにより、レジスト膜が部分的に除去され、レジストパターンが形成される。単位処理ブロック16の熱処理ユニットU2は、現像処理に伴う各種熱処理を行う。熱処理の具体例としては、現像処理前の加熱処理(PEB:Post Exposure Bake)、現像処理後の加熱処理(PB:Post Bake)等が挙げられる。
【0049】
処理ブロック5内におけるキャリアブロック4側には、
図2及び
図3に示されるように、棚ユニットU10が設けられている。棚ユニットU10は、床面から単位処理ブロック15にわたって設けられており、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。棚ユニットU10の近傍には昇降アームA7が設けられている。昇降アームA7は、棚ユニットU10のセル同士の間でウエハWを昇降させる。
【0050】
処理ブロック5内におけるインターフェースブロック6側には、棚ユニットU11が設けられている。棚ユニットU11は床面から単位処理ブロック17の上部にわたって設けられており、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。
【0051】
インターフェースブロック6は、受け渡しアームA8を内蔵しており、露光装置3に接続される。受け渡しアームA8は、棚ユニットU11のウエハWを取り出して露光装置3に渡し、露光装置3からウエハWを受け取って棚ユニットU11に戻すように構成されている。
【0052】
コントローラ10は、基板処理システム1を部分的又は全体的に制御する。コントローラ10は、露光装置3のコントローラとの間で信号の送受信が可能であり、各コントローラの連携により基板処理システム1及び露光装置3が制御される。コントローラ10の詳細については後述する。
【0053】
[液処理ユニットの構成]
続いて、
図4及び
図5を参照して、液処理ユニットU1についてさらに詳しく説明する。ここでは、一例として、単位処理ブロック17内の液処理ユニットU1について説明する。液処理ユニットU1は、
図4に示されるように、回転保持部20と、カップ30と、処理液供給部40(第1の供給部)と、気液供給部50(第1の供給部)と、洗浄液供給部60(第2の供給部)と、排気部70と、ブロアBとを備える。
【0054】
回転保持部20は、回転部21と、シャフト22と、保持部23(チャック)とを有する。回転部21は、コントローラ10からの動作信号に基づいて動作し、シャフト22を回転させる。回転部21は、例えば電動モータ等の動力源である。保持部23は、シャフト22の先端部に設けられている。保持部23上にはウエハWが配置される。保持部23は、例えば吸着等によりウエハWを略水平に保持するように構成された吸着チャックである。すなわち、回転保持部20は、ウエハWの姿勢が略水平の状態で、ウエハWの表面Waに対して垂直な軸(回転軸)周りでウエハWを回転させる。本実施形態では、回転軸は、円形状を呈するウエハWの中心を通っているので、中心軸でもある。本実施形態では、
図4に示されるように、回転保持部20は、上方から見て時計回りにウエハWを所定の回転数で回転させる。ウエハWの回転数は、例えば、10rpm〜2000rpm程度であってもよい。
【0055】
カップ30は、回転保持部20の周囲に設けられている。カップ30は、ウエハWの処理のためにウエハWに供給された液体と、ダミーディスペンスによりカップ30内に吐出された液体とを受け止める集液容器として機能する。カップ30は、例えば、ポリプロピレン(PP:polypropylene)、ポリ塩化ビニル(PVC: polyvinyl chloride)、ポリフェニレンサルファイド(PPS:Poly Phenylene Sulfide)樹脂等で形成されていてもよい。カップ30は、底壁31と、外周壁32と、内周壁33と、仕切壁34と、排液管35と、排気管36と、斜壁37(内壁部)と、仕切壁38とを有する。
【0056】
底壁31は、回転保持部20を取り囲む円環状を呈している。外周壁32は、回転保持部20に保持されたウエハW及び内周壁33を取り囲む円筒状を呈している。外周壁32は、底壁31の外周縁から鉛直上方に向けて延びている。外周壁32は、回転保持部20に保持されたウエハWの周縁よりも外側に位置する。そのため、外周壁32は、回転保持部20によって保持されつつ回転されるウエハWから振り切られた液体の飛散を防止する機能を有する。外周壁32の上端32a側の部分は、上方に向かうにつれて内側(回転保持部20側)に傾斜した傾斜壁32bである。
【0057】
外周壁32の外周面には、当該外周面から外側に張り出す液受部39が設けられている。液受部39は、外周壁32の外周面と共に液体を受け止める集液容器として機能する。液受部39の下端側で且つ外周壁32の外周面には、カップ30の内外を連通する貫通孔32cが設けられている。液受部39が受け止めた液体は、貫通孔32cを通じてカップ30内に流入する。
【0058】
内周壁33は、回転保持部20を取り囲む円筒状を呈している。内周壁33は、底壁31の内周縁から鉛直上方に向けて延びている。内周壁33は、回転保持部20に保持されたウエハWの周縁よりも内側に位置する。内周壁33の上端部には、仕切壁38により閉塞されている。仕切壁38の中央部には貫通孔が設けられており、当該貫通孔内にシャフト22が挿通されている。
【0059】
仕切壁34は、円筒状を呈している。仕切壁34は、底壁31のうち外周壁32と内周壁33との間から鉛直上方に向けて延びている。すなわち、仕切壁34は、内周壁33を囲んでいる。
【0060】
排液管35は、底壁31のうち外周壁32と仕切壁34との間に形成された液体排出孔31aと接続されている。排気管36は、底壁31のうち仕切壁34と内周壁33との間の部分に形成された気体排出孔31bと接続されている。
【0061】
斜壁37は、仕切壁34よりも外側に張り出すように、内周壁33の上端部に取り付けられている。斜壁37は、上方に向けて突出する傘状(山型状)を呈している。すなわち、斜壁37は、回転保持部20の回転軸の径方向において外方に向かうにつれて下方に傾斜する傾斜面Sを含んでいる。傾斜面Sは、回転保持部20に保持されたウエハWのうち周縁部と対向している。そのため、ウエハWから外側に振り切られて落下した液体は、傾斜面Sを流れて外周壁32と仕切壁34との間に導かれ、液体排出孔31a及び排液管35を通じて排出される。
【0062】
処理液供給部40は、ウエハWの表面Waに処理液L1を供給するように構成されている。処理液L1は、例えば現像液であってもよい。処理液供給部40は、液源41と、ポンプ42と、バルブ43と、アーム44(第1のアーム)と、配管45と、駆動機構46(第1の駆動部)と、ノズルN1(処理液ノズル、上側ノズル)とを有する。
【0063】
液源41は、処理液L1の供給源として機能する。ポンプ42は、コントローラ10からの動作信号に基づいて動作し、液源41から処理液L1を吸引し、配管45及びバルブ43を介してノズルN1に送り出す。バルブ43は、コントローラ10からの動作信号に基づいて動作し、バルブ43の前後において配管45を開放及び閉塞させる。
【0064】
アーム44には、ノズルN1及び駆動機構46が設けられている。
図5に示されるように、アーム44には、吐出流量、吐出方向等が互いに異なる複数のノズルN1が設けられていてもよい。配管45は、上流側から順に、液源41、ポンプ42、バルブ43及びノズルN1を接続している。駆動機構46は、コントローラ10からの動作信号に基づいて動作し、アーム44を水平方向及び上下方向に移動させる。駆動機構46は、例えばエンコーダ付きのサーボモータであり、アーム44の移動速度及び移動位置を制御してもよい。
【0065】
ノズルN1は、吐出口がウエハWの表面Wa又は液受部39に向かうように、ウエハWの上方と液受部39の上方との間を駆動機構46によって移動可能である。ノズルN1は、ポンプ42から送り出された処理液L1を下方に向けて吐出可能である。
【0066】
気液供給部50は、ウエハWの表面Waに洗浄液L2及び乾燥ガスGを供給するように構成されている。洗浄液L2は、例えば純水であってもよい。乾燥ガスGは、各種の不活性ガスであってもよく、例えば窒素ガス(N
2ガス)であってもよい。気液供給部50は、液源51Aと、ガス源51Bと、ポンプ52A,52Bと、バルブ53A,53Bと、アーム54(第2のアーム)と、配管55A,55Bと、駆動機構56(第2の駆動部)と、ノズルN2(上側ノズル)とを有する。
【0067】
液源51Aは、洗浄液L2の供給源として機能する。ガス源51Bは、乾燥ガスGの供給源として機能する。ポンプ52Aは、コントローラ10からの動作信号に基づいて動作し、液源51Aから洗浄液L2を吸引し、配管55A及びバルブ53Aを介してノズルN2に送り出す。ポンプ52Bは、コントローラ10からの動作信号に基づいて動作し、ガス源51Bから乾燥ガスGを吸引し、配管55B及びバルブ53Bを介してノズルN2に送り出す。バルブ53Aは、コントローラ10からの動作信号に基づいて動作し、バルブ53Aの前後において配管55Aを開放及び閉塞させる。バルブ53Bは、コントローラ10からの動作信号に基づいて動作し、バルブ53Bの前後において配管55Bを開放及び閉塞させる。
【0068】
アーム54には、ノズルN2及び駆動機構56が取り付けられている。
図5に示されるように、アーム54には、洗浄液L2が吐出される複数のノズルN2a(洗浄液ノズル)と、乾燥ガスGが吐出されるノズルN2b(ガスノズル)とが設けられていてもよい。複数のノズルN2aは、吐出流量、吐出方向等が互いに異なっていてもよい。
【0069】
配管55Aは、上流側から順に、液源51A、ポンプ52A、バルブ53A及びノズルN2aを接続している。配管55Bは、上流側から順に、ガス源51B、ポンプ52B、バルブ53B及びノズルN2bを接続している。駆動機構56は、コントローラ10からの動作信号に基づいて動作し、アーム54を水平方向及び上下方向に移動させる。駆動機構56は、例えばエンコーダ付きのサーボモータであり、アーム54の移動速度及び移動位置を制御してもよい。
【0070】
ノズルN2a,N2bは、吐出口がウエハWの表面Wa又は液受部39に向かうように、ウエハWの上方と液受部39の上方との間を駆動機構56によって移動可能である。ノズルN2aは、ポンプ52Aから送り出された洗浄液L2を下方に向けて吐出可能である。ノズルN2bは、ポンプ52Bから送り出された乾燥ガスGを下方に向けて吐出可能である。
【0071】
洗浄液供給部60は、ウエハWの裏面Wbに洗浄液L3を供給するように構成されている。洗浄液L3は、例えば純水であってもよい。洗浄液供給部60は、液源61と、ポンプ62と、バルブ63と、配管65と、ノズルN3(洗浄液ノズル、下側ノズル)とを有する。
【0072】
液源61は、洗浄液L3の供給源として機能する。ポンプ62は、コントローラ10からの動作信号に基づいて動作し、液源61から洗浄液L3を吸引し、配管65及びバルブ63を介してノズルN3に送り出す。バルブ63は、コントローラ10からの動作信号に基づいて動作し、バルブ63の前後において配管65を開放及び閉塞させる。
【0073】
配管65は、上流側から順に、液源61、ポンプ62、バルブ63及びノズルN3を接続している。ノズルN3は、吐出口がウエハWの裏面Wbのうち周縁部に向かうように配置されている。ノズルN3は、ポンプ62から送り出された洗浄液L3を斜め上方に向けて吐出可能である。
【0074】
排気部70は、液処理ユニットU1内又はカップ30内を排気するように構成されている。排気部70は、吸気口71と、ポンプ72と、バルブ73A,73Bと、配管75A〜75Cとを有する。吸気口71は、液処理ユニットU1内に位置しており、液処理ユニットU1内の気体の吸引が行われる。
【0075】
ポンプ72は、コントローラ10からの動作信号に基づいて動作し、配管75Cを通じて気体の吸引を行う。バルブ73Aは、コントローラ10からの動作信号に基づいて動作し、バルブ73Aの前後において配管75Aを開放及び閉塞させる。バルブ73Bは、コントローラ10からの動作信号に基づいて動作し、バルブ73Bの前後において配管75Bを開放及び閉塞させる。
【0076】
配管75Aは、吸気口71に接続されている。配管75Bは、カップ30の排気管36に接続されている。配管75Cは、配管75A,75Bと接続されており、液処理ユニットU1外まで延びている。そのため、バルブ73Aが開放状態で且つバルブ73Bが閉鎖状態のときにポンプ72が動作すると、液処理ユニットU1内の排気が行われる。具体的には、液処理ユニットU1内の気体が吸気口71から吸引され、配管75A,75Cを通じて液処理ユニットU1外に排出される。一方、バルブ73Aが閉鎖状態で且つバルブ73Bが開放状態のときにポンプ72が動作すると、カップ30内の排気が行われる。具体的には、カップ30の気体が斜壁37と仕切壁34との間から排気管36内に流入して、配管75B,75Cを通じて液処理ユニットU1外に排出される。
【0077】
ブロアBは、液処理ユニットU1内の上方に配置されている。ブロアBは、コントローラ10からの動作信号に基づいて動作し、カップ30に向けてダウンフローを形成する。
【0078】
[コントローラの構成]
コントローラ10は、
図6に示されるように、機能モジュールとして、読取部M1と、記憶部M2と、処理部M3と、指示部M4とを有する。これらの機能モジュールは、コントローラ10の機能を便宜上複数のモジュールに区切ったものに過ぎず、コントローラ10を構成するハードウェアがこのようなモジュールに分かれていることを必ずしも意味するものではない。各機能モジュールは、プログラムの実行により実現されるものに限られず、専用の電気回路(例えば論理回路)、又は、これを集積した集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)により実現されるものであってもよい。
【0079】
読取部M1は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体RMからプログラムを読み取る。記録媒体RMは、基板処理システム1の各部を動作させるためのプログラムを記録している。記録媒体RMとしては、例えば、半導体メモリ、光記録ディスク、磁気記録ディスク、光磁気記録ディスクであってもよい。
【0080】
記憶部M2は、種々のデータを記憶する。記憶部M2は、例えば、読取部M1において記録媒体RMから読み出したプログラム、ウエハWを処理する際の各種データ(いわゆる処理レシピ)、外部入力装置(図示せず)を介してオペレータから入力された設定データ等を記憶する。
【0081】
処理部M3は、各種データを処理する。処理部M3は、例えば、記憶部M2に記憶されている各種データに基づいて、液処理ユニットU1(例えば、回転保持部20、ポンプ42,52A,52B,62,72、バルブ43,53A,53B,63,73A,73B、駆動機構46,56、ブロアB等)及び熱処理ユニットU2を動作させるための動作信号を生成する。
【0082】
指示部M4は、処理部M3において生成された動作信号を各種装置に送信する。
【0083】
コントローラ10のハードウェアは、例えば一つ又は複数の制御用のコンピュータにより構成される。コントローラ10は、ハードウェア上の構成として、例えば
図7に示される回路10Aを有する。回路10Aは、電気回路要素(circuitry)で構成されていてもよい。回路10Aは、具体的には、プロセッサ10Bと、メモリ10C(記憶部)と、ストレージ10D(記憶部)と、ドライバ10Eと、入出力ポート10Fとを有する。プロセッサ10Bは、メモリ10C及びストレージ10Dの少なくとも一方と協働してプログラムを実行し、入出力ポート10Fを介した信号の入出力を実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。メモリ10C及びストレージ10Dは、記憶部M2として機能する。ドライバ10Eは、基板処理システム1の各種装置をそれぞれ駆動する回路である。入出力ポート10Fは、ドライバ10Eと基板処理システム1の各種装置(例えば、回転保持部20、ポンプ42,52A,52B,62,72、バルブ43,53A,53B,63,73A,73B、駆動機構46,56、ブロアB等)との間で、信号の入出力を行う。
【0084】
本実施形態では、基板処理システム1は、一つのコントローラ10を備えているが、複数のコントローラ10で構成されるコントローラ群(制御部)を備えていてもよい。基板処理システム1がコントローラ群を備えている場合には、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのコントローラ10によって実現されていてもよいし、2個以上のコントローラ10の組み合わせによって実現されていてもよい。コントローラ10が複数のコンピュータ(回路10A)で構成されている場合には、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのコンピュータ(回路10A)によって実現されていてもよいし、2つ以上のコンピュータ(回路10A)の組み合わせによって実現されていてもよい。コントローラ10は、複数のプロセッサ10Bを有していてもよい。この場合、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのプロセッサ10Bによって実現されていてもよいし、2つ以上のプロセッサ10Bの組み合わせによって実現されていてもよい。
【0085】
[ダミーディスペンス方法]
続いて、
図4、
図5、
図8及び
図9を参照して、ノズルN1,N2からダミーディスペンスする方法を説明する。ダミーディスペンス処理の初期状態では、回転保持部20にウエハWが保持されておらず、ノズルN1,N2は液受部39の上方で待機している(
図9参照)。すなわち、液受部39の上方は、ノズルN1,N2から液体又はガスの吐出が行われていない場合にノズルN1,N2が待機する待機位置として機能する。
【0086】
続いて、初期状態から、コントローラ10は、ブロアB、バルブ73B及びポンプ72を制御して、ブロアBを動作させると共にカップ30内の排気を行う(
図8のステップS10参照)。これにより、液処理ユニットU1内にダウンブロー(下降流)が生じ、液処理ユニットU1内の気体がカップ30内及び排気管36を通じて液処理ユニットU1外に排出される状態が継続される。
【0087】
続いて、コントローラ10は、駆動機構46を制御して、ノズルN1を待機位置から外周壁32と回転保持部20との間の内側領域R(
図4参照)に移動させる(第1の処理;第1の工程;
図8のステップS11参照)。本実施形態では、ノズルN1は、傾斜面Sの上方に移動される。具体的には、ノズルN1は、
図5に示されるように、傾斜面Sのうち回転保持部20よりも待機位置側(液受部39側)の領域R1(
図5の右上がり斜線で示される領域;第1の領域)上に位置する。
【0088】
続いて、コントローラ10は、駆動機構56を制御して、ノズルN2を待機位置から外周壁32と回転保持部20との間の内側領域R(
図4参照)に移動させる(第2の処理;第2の工程;
図8のステップS12参照)。本実施形態では、ノズルN2は、傾斜面Sの上方に移動される。具体的には、ノズルN2は、
図5に示されるように、傾斜面Sのうち回転保持部20よりも待機位置(液受部39)とは離れた側の領域R2(
図5の右下がり斜線で示される領域;第2の領域)上に位置する。
【0089】
続いて、コントローラ10は、ポンプ42及びバルブ43を制御して、ノズルN1から処理液L1を傾斜面Sの領域R1に吐出させる(第3の処理;第3の工程;
図8のステップS13参照)。これにより、ノズルN1においてダミーディスペンス処理が行われる。なお、アーム44に複数のノズルN1が設けられている場合、各ノズルN1から同種の又は異種の処理液L1を同時に吐出させてもよいし、各ノズルN1から同種の又は異種の処理液L1を異なるタイミングで吐出させてもよい。
【0090】
続いて、コントローラ10は、ポンプ52A,52B及びバルブ53A,53Bを制御して、ノズルN2から洗浄液L2及び乾燥ガスGを傾斜面Sの領域R2に吐出させる(第3の処理;第3の工程;
図8のステップS14参照)。これにより、ノズルN2においてダミーディスペンス処理が行われる。なお、アーム54に複数のノズルN2aが設けられている場合、各ノズルN2aから同種の又は異種の洗浄液L2を同時に吐出させてもよいし、各ノズルN2aから同種の又は異種の洗浄液L2を異なるタイミングで吐出させてもよい。また、ノズルN2a,N2bから、洗浄液L2及び乾燥ガスGを同時に吐出させてもよいし、洗浄液L2及び乾燥ガスGを異なるタイミングで吐出させてもよい。
【0091】
続いて、コントローラ10は、駆動機構46を制御して、ノズルN1を傾斜面S(領域R1)の上方から待機位置に移動させる(
図8のステップS15参照)。同様に、コントローラ10は、駆動機構56を制御して、ノズルN2を傾斜面S(領域R2)の上方から待機位置に移動させる(
図8のステップS16参照)。
【0092】
その後、コントローラ10は、バルブ73A,73Bを制御して、バルブ73Aを開放させ且つバルブ73Bを閉鎖させる(
図8のステップS17参照)。これにより、吸気口71から液処理ユニットU1内の気体を排気させる。以上により、ノズルN1,N2におけるダミーディスペンス処理が完了する。
【0093】
[作用]
以上のような本実施形態では、コントローラ10は、処理液供給部40を制御して、ノズルN1から処理液L1を内側領域Rにダミーディスペンスさせている。カップ30内の空間は従来のノズルバスと比較して広いので、カップ30内に位置する斜壁37の傾斜面Sに対してノズルN1から処理液L1を吐出しても、カップ30内から跳ね返った処理液L1が上側ノズルに届き難い。従って、処理されたウエハWに欠陥が生じ難くなる。また、本実施形態では、ノズルN1からカップ30内にダミーディスペンスされる。そのため、ダミーディスペンスのためのノズルバスが不要となる。従って、液処理ユニットU1の小型化を図ることが可能となる。
【0094】
本実施形態では、外周壁32と回転保持部20との間で且つカップ30内に位置する斜壁37を有し、コントローラ10は、処理液供給部40を制御して、ノズルN1から処理液L1を斜壁37にダミーディスペンスさせている。そのため、ノズルN1から処理液L1が確実にカップ30内に吐出される。従って、ノズルN1への液跳ねをより抑制することが可能となる。
【0095】
本実施形態では、コントローラ10は、処理液供給部40を制御して、ノズルN1から処理液L1を内側領域Rのうち特に傾斜面Sにダミーディスペンスさせている。そのため、傾斜面Sから跳ね返った処理液L1がノズルN1に向かい難い。従って、ノズルN1への液跳ねをいっそう抑制することが可能となる。
【0096】
本実施形態では、カップ30の外周面に液受部39が設けられており、液受部39の上方においてノズルN1,N2が待機可能である。そのため、ノズルN1,N2がカップ30内に処理液L1又は洗浄液L2を吐出しない待機状態において、ノズルN1,N2が液受部39の上方の待機位置で待機する。従って、待機状態のノズルN1,N2から処理液L1又は洗浄液L2が滴っても、滴下した液体が液受部39によって受け止められるので、処理液L1又は洗浄液L2によるカップ30の外部の汚染を抑制することが可能となる。また、液受部39の一部がカップ30の外周面で構成されているので、液受部39自体を小型化できる。そのため、液処理ユニットU1のさらなる小型化を図ることが可能となる。
【0097】
本実施形態では、ノズルN1,N2からのダミーディスペンスが、カップ30内を排気した状態で行われる。そのため、ノズルN1,N2からそれぞれ吐出された処理液L1及び洗浄液L2がカップ30内の物体に衝突し、これらがミスト状に変化した場合でも、当該ミストがカップ30内から排気される。従って、ミストが周囲に拡がらないので、ノズルN1,N2に対するミストの付着を抑制することが可能となる。その結果、ノズルN1,N2の表面においてミストが凝集して液滴となり、当該液滴がウエハWの処理時にウエハWに落下することが抑制されるので、処理されたウエハWに欠陥が生じ難くなる。
【0098】
本実施形態では、ノズルN1,N2からのダミーディスペンスの際に、ノズルN1とノズルN2とが回転保持部20を間において向かい合うように位置する。そのため、跳ね返った液が相互に付着し難くなる。従って、両ノズルN1,N2に対する液跳ねを抑制しつつ両ノズルN1,N2から同時にダミーディスペンスすることが可能となる。そのため、ダミーディスペンスの処理時間が短縮化されるので、スループットの向上を図ることが可能となる。
【0099】
本実施形態では、ノズルN1からの処理液L1のダミーディスペンスが傾斜面Sのうち領域R1に対して行われる。そのため、ノズルN1におけるダミーディスペンス処理に際して、ノズルN1が回転保持部20を超えない。従って、ノズルN1の移動中にノズルN1から処理液L1が滴っても、回転保持部20(保持部23)に処理液L1が付着し難くなる。その結果、処理液L1による回転保持部20(保持部23)の汚染を抑制することが可能となる。
【0100】
[他の実施形態]
以上、本開示に係る実施形態について詳細に説明したが、本発明の要旨の範囲内で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。
【0101】
(変形例1)
例えば、ノズルN2から吐出される乾燥ガスGを利用して回転保持部20の保持部23をクリーニングしてもよい。この変形例1について、
図10及び
図11を参照して具体的に説明する。まず、上述のステップS10と同様に、初期状態においてカップ30内の排気を行う(
図10のステップS20参照)。
【0102】
続いて、コントローラ10は、駆動機構56を制御して、ノズルN2の吐出口が保持部23の中央部の上方に位置するようにノズルN2を移動させる(
図10のステップS21及び
図11参照)。続いて、コントローラ10は、回転保持部20を制御して、保持部23を回転部21により回転させる(
図10のステップS22及び
図11参照)。
【0103】
続いて、保持部23が回転している状態で、コントローラ10は、ポンプ52B及びバルブ53Bを制御して、ノズルN2bから乾燥ガスGを保持部23の中央部に供給させる(第4の処理;第4の工程;
図10のステップS23及び
図11参照)。また、コントローラ10は、駆動機構56を制御して、回転保持部20の中心軸の径方向において外方(保持部23の周縁側)に向けてノズルN2を移動させる(同参照)。
【0104】
ノズルN2が保持部23の周縁に到達すると、コントローラ10は、ポンプ52B及びバルブ53Bを制御して、ノズルN2bからの乾燥ガスGの吐出を停止させる(
図10のステップS24参照)。また、コントローラ10は、回転保持部20を制御して、保持部23の回転を停止させる(同参照)。
【0105】
続いて、上述のステップS16,S17と同様に、ノズルN2を待機位置に移動させると共に(
図10のステップS25参照)、液処理ユニットU1内の気体を排気させる(
図10のステップS26参照)。
【0106】
以上に述べた変形例1によれば、回転中の保持部23にノズルN2bから乾燥ガスGが供給される。そのため、保持部23に付着しているパーティクル等の異物が除去される。特に、保持部23の中央部においては、保持部23が回転しても異物に遠心力が作用し難いので、乾燥ガスGの保持部23への吹き付けにより異物が効果的に除去される。従って、保持部23によるウエハWの吸着力が維持される。このように、人手によらずノズルN2bにより機械的に保持部23のクリーニングが完了するので、クリーニング処理の自動化及び短時間化することが可能となる。
【0107】
(変形例2)
例えば、ノズルN2から吐出される乾燥ガスG及び洗浄液L2を利用して回転保持部20の保持部23をクリーニングしてもよい。この形態について、
図12及び
図13を参照して具体的に説明する。まず、上述のステップS20〜S22と同様の処理を行う。具体的には、初期状態においてカップ30内の排気を行う(
図12のステップS30参照)。次に、ノズルN2の吐出口が保持部23の中央部の上方に位置するようにノズルN2を移動させる(
図12のステップS31及び
図13(a)参照)。次に、保持部23を回転させる(
図12のステップS32及び
図13(a)参照)。
【0108】
続いて、保持部23が回転している状態で、コントローラ10は、ポンプ52B及びバルブ53Bを制御して、ノズルN2bから乾燥ガスGを保持部23の中央部に供給させる(第4の処理;第4の工程;
図12のステップS33及び
図13(a)参照)。また、コントローラ10は、駆動機構56を制御して、回転保持部20の中心軸の径方向において外方(保持部23の周縁側)に向けてノズルN2を移動させる(同参照)。このとき、ノズルN2は、回転保持部20の中心軸と、当該中心軸から所定距離だけ離れた第1の地点との間の第1の区間を移動する。第1の地点は、保持部23によってウエハWを吸着するために保持部23の中央部に設けられている吸引孔(図示せず)よりも外側であってもよい。すなわち、第1の地点は、例えば、吸引孔から5mm程度外方の地点であってもよく、中心軸から15mm程度の地点であってもよい。
【0109】
ノズルN2が第1の地点に到達すると、ノズルN2bから乾燥ガスGが吐出されたままの状態で、コントローラ10は、ポンプ52A及びバルブ53Aを制御して、ノズルN2aから洗浄液L2を保持部の中間領域(中央部と周縁部との間)に供給させる(第4の処理;第4の工程;
図12のステップS34及び
図13(b)参照)。このとき、ノズルN2は、第1の地点と、回転保持部20の中心軸から第2の地点よりもさらに離れた第2の地点との間の第2の区間を移動する。第2の地点は、保持部23の周縁部よりも内側に位置する。第2の地点は、例えば、保持部23の周縁から10mm程度内方の地点であってもよく、中心軸から55mm程度の地点であってもよい。
【0110】
ノズルN2が第2の地点に到達すると、ノズルN2bから乾燥ガスGが吐出されたままの状態で、コントローラ10は、ポンプ52A及びバルブ53Aを制御して、ノズルN2aからの洗浄液L2の吐出を停止させる(第4の処理;第4の工程;
図12のステップS35及び
図13(c)参照)。このとき、ノズルN2は、第2の地点と保持部23の周縁との間の第3の区間を移動する。
【0111】
続いて、上述のステップS24〜S26と同様に、ノズルN2bからの乾燥ガスGの吐出を停止させると共に保持部23の回転を停止させ(
図12のステップS36参照)、ノズルN2を待機位置に移動させた後(
図12のステップS37参照)、液処理ユニットU1内の気体を排気させる(
図12のステップS38参照)。
【0112】
以上に述べた変形例2によれば、変形例1と同様の作用効果を奏する。また、変形例2によれば、乾燥ガスGのみならず洗浄液L2を保持部23に供給しているので、保持部23をより清浄化することが可能となる。また、洗浄液L2が保持部23の中央部に供給されていないので、保持部23の中央部に位置する吸引孔に洗浄液L2が入り込み難くなる。そのため、保持部23によるウエハWの吸着能力の低下を抑制することが可能となる。さらに、保持部23の周縁部には、ノズルN2bから乾燥ガスGが供給される一方でノズルN2aから洗浄液L2が供給されないので、遠心力によって保持部23の周縁部に拡がった洗浄液L2が乾燥ガスGによって吹き飛ばされる。そのため、保持部23に洗浄液L2が残存することが抑制される。従って、保持部23を洗浄液L2及び乾燥ガスGによってクリーニングしつつ、保持部23の洗浄液L2による汚染を抑制することが可能となる。なお、ノズルN2bがノズルN2aよりもアーム54の進行方向において後方に位置していると、ノズルN2bから吐出される乾燥ガスGがノズルN2aから吐出される洗浄液L2を常に外方に向けて吹き飛ばすので、保持部23の表面に洗浄液L2が残り難くなる。
【0113】
(変形例3)
例えば、
図14に示されるように、ウエハWの裏面Wbに洗浄液L3を供給するノズルN3を利用して、アーム44,54のクリーニングを行ってもよい(第5の処理;第5の工程)。すなわち、まず、コントローラ10は、ポンプ62及びバルブ63を制御して、ノズルN3から洗浄液L3を吐出させる。この状態で、コントローラ10は、駆動機構46又は駆動機構56をさらに制御して、アーム44,54の下面がノズルN3から吐出されている洗浄液L3に当たるようにアーム44,54を移動させる。この場合、ノズルN1から吐出された処理液L1が傾斜面Sに衝突して跳ね返り、アーム44,54の下面に付着したとしても、ノズルN3からアーム44,54に供給される洗浄液L3によってアーム44,54から処理液L1が除去される。そのため、ウエハWの処理時にアーム44,54から処理液L1がウエハWに落下することが抑制できる。従って、処理されたウエハWに欠陥がいっそう生じ難くなる。なお、アーム44,54の下面が傾斜していてもよい。この場合、アーム44,54の下面から洗浄液L3が流れやすくなり、アーム44,54に洗浄液L3が残存し難くなる。
【0114】
図14に示されるように、ノズルN3から吐出される洗浄液L3によってアーム44,54の下面を洗浄する際に、ノズルN2から乾燥ガスGを吐出してもよい(第6の処理;第6の工程)。具体的には、ノズルN2から吐出される乾燥ガスGによって回転保持部20(保持部23)の外方において気流カーテンを形成した状態で、回転保持部20(保持部23)よりも外方においてノズルN3からの洗浄液L3でアーム44,54の下面を洗浄する際に、ノズルN2から乾燥ガスGを吐出させて、洗浄液L3がアーム44,54に供給される位置よりも回転保持部20側において乾燥ガスGの気流を形成してもよい。この場合、ノズルN2からの乾燥ガスGの気流は、連続的に又は所定のタイミングで、洗浄液L3がアーム44,54に供給される位置よりも回転保持部20(保持部23)側に形成される。そのため、ノズルN3から吐出された洗浄液L3がアーム44,54に衝突して跳ね返ったりミスト状になったりしても、跳ね返った洗浄液L3又はミスト状の洗浄液L3が回転保持部20側に流れることが乾燥ガスGによって抑制される。従って、洗浄液L3又はそのミストが保持部23の基板支持面に付着し難くなる。その結果、洗浄液L3又はそのミストによるウエハWの汚染を抑制することが可能となる。
【0115】
変形例3におけるアーム44,54のクリーニング処理にあたり、ノズルN3から吐出される洗浄液L3は、回転保持部20の回転軸の径方向において回転保持部20よりも外方で、アーム44,54に供給されていればよく、ノズルN3自体の位置は特に限定されず、任意の位置にノズルN3を配置しうる。また、変形例3におけるアーム44,54のクリーニング処理にあたり、ノズルN2からの乾燥ガスGの気流は、洗浄液L3がアーム44,54に供給される位置よりも回転保持部20(保持部23)側に形成されていればよく、ノズルN2自体の位置は特に限定されず、任意の位置にノズルN2を配置しうる。
【0116】
変形例3におけるアーム44,54のクリーニング処理は、ダミーディスペンス処理の前後又は途中で行われてもよいし、ダミーディスペンス処理と関連せずに独立して行われてもよい。
【0117】
(変形例4)
ダミーディスペンスの際に、ノズルN1,N2の吐出口は、カップ30の内方に位置していてもよいし、カップ30の外方に位置していてもよい。すなわち、ダミーディスペンスの際に、傾斜面SからのノズルN1,N2の吐出口の高さは、上端32aよりも低くてもよいし、上端32aよりも高くてもよい。ノズルN1,N2の吐出口がカップ30の内方に位置していると、ノズルN1,N2から吐出された液体がカップ30内の物体に衝突する勢いが弱まる。そのため、液体がミスト状に変化し難いので、当該ミストの周囲への飛散を抑制することが可能となる。また、ノズルN1,N2から吐出された液体が傾斜面Sで跳ね返っても、跳ね返り液がカップ30の外方に飛散し難くなる。特に、ノズルN1,N2の吐出口が回転保持部20の保持部23の基板支持面よりも下方に位置していると、発生したミストが保持部23の基板支持面に付着し難くなる。そのため、当該ミストによるウエハWの汚染を抑制することが可能となる。一方、ノズルN1,N2の吐出口がカップ30の外方に位置していると、ノズルN1,N2から吐出された液体が傾斜面Sで跳ね返っても、跳ね返り液がノズルN1,N2に付着し難くなる。
【0118】
(変形例5)
傾斜面Sのうち少なくとも領域R1,R2に対して、液体の接触角が小さくなる表面処理が施されていてもよい。この場合、これらの領域R1,R2における液体の接触角が小さいと、ダミーディスペンスの際にノズルN1,N2からの液体が領域R1,R2に衝突した場合に、液跳ねが生じ難くなる。当該表面処理としては、例えば、ブラスト処理が挙げられる。あるいは、当該表面処理に代えて、傾斜面Sのうち少なくとも領域R1,R2に、ディンプル加工が施されていてもよいし、回転保持部20の中心軸の径方向に延びる複数の溝が形成されていてもよい。
【0119】
(変形例6)
斜壁37は、上記実施形態のように他の壁31〜34と別体であってもよいし、カップ30を構成するいずれかの壁31〜34と一体化されていてもよい。
【0120】
(変形例7)
ノズルN1,N2からのダミーディスペンスは、カップ30内であって回転保持部20と外周壁32との間に位置していれば、斜壁37以外の部材に対して行われてもよい。
【0121】
(変形例8)
ノズルN1によるダミーディスペンスの位置が領域R2であり、ノズルN2によるダミーディスペンスの位置が領域R1であってもよい。あるいは、ノズルN1,N2によるダミーディスペンスの位置は、領域R1,R2に限られず、内側領域Rであればよい。