(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、図面を参照して、本実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
本実施の形態では、本発明を車載カメラで撮像された映像信号を表示部に表示する映像表示システムに適用した場合について説明する。また、本実施の形態では、具体的一例として、車輌がバックする場合(より具体的にはバックギアが入った場合)にバックカメラからの映像を高速にディスプレイに表示して車輌の運転者に対して表示する機能を有する映像表示システムについて説明する。
【0016】
図1には、本実施の形態の映像表示システムが搭載された車輌における映像表示システムへの各種信号の入力に関する一例の概要を説明するためのブロック図を示す。
【0017】
車輌90には、バックカメラ72、フロントカメラ74、及びその他カメラ76が備えられている。なお、車輌90に備えられているカメラは特に限定されず任意であり、少なくとも車輌90の後方を撮像することができるカメラが備えられていればよい。例えば、車載カメラは、アラウンドビューモニタであってもよい。なお、以下では、バックカメラ72、フロントカメラ74、及びその他カメラ76を総称する場合は、「車載カメラ」と総称する。
【0018】
バックカメラ72、フロントカメラ74、及びその他カメラ76の起動は任意であり、車輌90の起動に応じて起動してもよいし、ユーザ(運転者)からの指示に応じて起動してもよい。なお、本実施の形態では、上述のように車輌がバックする場合にバックカメラからの映像を高速に表示する機能を有しているため、バックカメラ72は、車輌90の起動と共に、またはバックギヤ70と連動して起動することが好ましい。
【0019】
選択部80は、バックカメラ72、フロントカメラ74、及びその他カメラ76から出力された映像信号から予め定められた条件に応じて選択した映像信号を映像表示システム10に出力する機能を有する。本実施の形態の車輌90では、選択部80はバックギヤ70と連動している。選択部80は、バックギヤ70が入った場合は、バックカメラ72の映像信号を選択して映像表示システム10に出力する。
【0020】
イネーブル信号生成部82は、映像表示システム10の半導体装置12における経路(信号選択)を制御するためのイネーブル信号を生成して出力する機能を有する。本実施の形態の車輌90では、イネーブル信号生成部82はバックギヤ70と連動している。イネーブル信号生成部82は、バックギヤが入った場合は、バックカメラ72から入力された映像信号を選択してディスプレイに出力させるためのイネーブル信号(タイプA:詳細後述)を映像表示システム10に出力する。
【0021】
また、映像表示システム10には、ユーザが有する携帯端末78からデータ信号がHDMI(登録商標)(High−Definition Multimedia Interface:図示省略)を介して入力される。なお、携帯端末78から出力されるデータ信号は映像信号である場合も含むが、車載カメラから出力された映像信号と区別するため本実施の形態では「データ信号」と称する。
【0022】
携帯端末78としては、例えば、スマートフォンやタブレット等が挙げられる。なお、携帯端末78に限らず、カーナビ、DVDプレーヤ、通信装置、及びネットワーク機器等であってもよい。本実施の形態では、携帯端末78の具体的一例としてスマートフォン(以下、「スマホ」という)を用いた場合について説明する。
【0023】
次に、本実施の形態の映像表示システム10の構成について説明する。
図2には、本実施の形態の映像表示システム10の概略構成の一例を示す。本実施の形態の映像表示システム10は、半導体装置12、メインプロセッサ14、及びディスプレイ16を備える。ディスプレイ16は、表示部の一例である。
【0024】
本実施の形態のメインプロセッサ14は、SoC(System−on−a−Chip)として構成されており、予め定められた画像処理を行う機能を有している。予め定められた画像処理としては、例えば、入力された映像信号やデータ信号に対して、メニュー画面や地図情報、文字等を合成する画像処理等が挙げられる。また、本実施の形態のメインプロセッサ14は、ディスプレイ16に応じたスケーリングを行う機能を有している。そのため、メインプロセッサ14から出力されるデジタルのデータ信号は、ディスプレイ16のサイズにスケーリングされている。メインプロセッサ14からは画像処理が行われたデジタルのデータ信号及びデータクロックが半導体装置12に出力される。
【0025】
半導体装置12は、ビデオデコーダ20、セレクタ23、スケーリング部24、周波数拡散機能付PLL(以下、SSCPLLという)26、セレクタ28、メモリ30、SSCPLL32、セレクタ34、画像調整部36、描画機能部38、ディスプレイI/F40、入力部42、入力部44、入力部46、入力部48、出力部50、出力部52、及び出力部54を備える。SSCPLL26が第1処理部の一例であり、SSCPLL32が第2処理部の一例であり、セレクタ34が選択部の一例であり、入力部44が第1入力部の一例であり、レジスタ46が第2入力部の一例であり、入力部42が第3入力部の一例であり、出力部50が第1出力部の一例であり、出力部54が第2出力部の一例である。
【0026】
入力部48には、イネーブル信号が入力される。入力されるイネーブル信号は、セレクタ23、セレクタ28、セレクタ34、及び描画機能部38に出力され、各部の動作を制御する制御信号として機能する。イネーブル信号は、セレクタ23において映像信号及びデータ信号のいずれを選択するかを制御する。
【0027】
また、イネーブル信号は、セレクタ28においてSSCPLL26から出力されたクロック及びSSCPLL32から出力されたクロックのいずれを選択するかを制御する。また、イネーブル信号は、セレクタ34においてスケーリング部24から出力された信号及びメモリ30から出力されたデジタル信号のいずれを選択するかを制御する。言い換えると、セレクタ28及びセレクタ34は、メインプロセッサ14から入力された信号、及びメインプロセッサ14を経由しない(直接入力された)信号のいずれかを選択して出力する。
【0028】
各部での制御に応じて、本実施の形態のイネーブル信号には、以下の4つの種類(タイプ)がある。
【0029】
タイプAは、セレクタ23が映像信号を選択し、セレクタ28が直接入力されたクロックを選択する場合である。
【0030】
タイプBは、セレクタ23が映像信号を選択し、セレクタ28がメインプロセッサ14から入力されたクロックを選択する場合である。
【0031】
タイプCは、セレクタ23がデータ信号を選択し、セレクタ28が直接入力されたクロックを選択する場合である。
【0032】
タイプDは、セレクタ23がデータ信号を選択し、セレクタ28がメインプロセッサ14から入力されたクロックを選択する場合である。
【0033】
入力部44には、車載カメラから出力された映像信号が入力される。入力部44に入力された映像信号は、ビデオデコーダ20に出力される。ビデオデコーダ20は、映像信号をデジタルデータ変換するデコード機能を有している。ビデオデコーダ20からは、デコードされた映像信号及びデコーダクロックがセレクタ23に出力される。
【0034】
入力部46には、携帯端末78(スマホ)から出力されたデータ信号及びデータクロックが入力される。入力部46に入力されたデータ信号は、セレクタ23に出力される。
【0035】
セレクタ23は、イネーブル信号に応じて、信号を選択してスケーリング部24及びSSCPLL26に出力する機能を有している。本実施の形態では、具体的一例としてセレクタ23、セレクタ28、及びセレクタ34としてマルチプレクサを用いている。
【0036】
セレクタ23は、具体的には、イネーブル信号が上記タイプA及びタイプBの場合は、ビデオデコーダ20から出力された映像信号を選択してスケーリング部24及び出力部50に出力する。また、セレクタ23は、ビデオデコーダ20から出力されたデコーダクロックを選択してSSCPLL26に出力する。一方、イネーブル信号が上記タイプC及びタイプDの場は、セレクタ23は、スマホから入力されたデータ信号を選択してスケーリング部24及び出力部50に出力する。また、セレクタ23は、スマホから入力されたデータクロックを選択してSSCPLL26に出力する。
【0037】
SSCPLL26は、ビデオデコーダ20から出力されたデコーダクロックやスマホから入力されたデータクロックからディスプレイに出力するディスプレイクロックを生成する機能を有する。また、本実施の形態のSSCPLL26は、ビデオデコーダ20から出力されたデコーダクロックやスマホから入力されたデータクロックの周波数に微少変調をかけることにより、出力するクロックのスペクトラムを拡散して、EMIのピーク値を低減する機能を有する。SSCPLL26で周波数拡散され生成されたディスプレイクロックは、セレクタ28に出力される。
【0038】
SSCPLL26は、入力される各種信号の各々の周波数に対応した値を格納するレジスタを備えており、入力された各種信号に応じたレジスタを選択し、当該レジスタに格納されている値を用いて周波数拡散処理を行う。レジスタの選択方法は、限定されるものではなく、任意であり、例えば、イネーブル信号に応じて選択するようにしてもよいし、セレクタ23に連動して選択するようにしてもよい。SSCPLL26は、ハードウエア資源として構成してもよいし、ソフトウエア的に構成してもよい。
【0039】
スケーリング部24は、ディスプレイ16のサイズに合わせてスケーリング(表示領域の広さに合わせた拡大及び縮小)を行う機能を有している。スケーリング部24でスケーリングされた映像信号またはデータ信号は、セレクタ34及び出力部50に出力される。
【0040】
出力部50からは、セレクタ23から出力された信号、またはスケーリング部24から出力された信号のいずれかが出力される。いずれが出力されるかは、例えばメインプロセッサ14の機能に応じて予め定めておいてもよいし、外部から入力される制御信号に応じて選択された信号であってもよい。本実施の形態ではメインプロセッサ14がスケーリング機能を備えているため、出力部50からは、セレクタ23から出力されたスケーリング前の信号(映像信号またはデータ信号)が出力される。なお、メインプロセッサ14がスケーリング機能を備えていない場合は、スケーリング部24から出力された信号(映像信号またはデータ信号)が出力部50から出力されるようにするとよい。出力部50から出力された信号(映像信号またはデータ信号)は、半導体装置12の外部を経由してメインプロセッサ14に入力される。
【0041】
入力部42には、メインプロセッサ14からデータ信号及びクロックが入力される。入力部42に入力されたデータ信号は、メモリ30に出力される。また、入力部42に入力されたクロックは、SSCPLL32に出力される。
【0042】
本実施の形態の半導体装置12では、メインプロセッサ14から入力されたクロックをそのままディスプレイクロックとして用いず、SSCPLL32により生成したディスプレイクロックに乗り換える。クロックの乗せ換えにより生じる周波数の差分を吸収するために、メモリ30は、メインプロセッサ14から入力されたデータを格納する機能を有している。メモリ30から出力されたデータ信号は、セレクタ34に出力される。
【0043】
SSCPLL32は、上記SSCPLL26と同様であり、メインプロセッサ14から入力されたクロックの周波数に対して周波数拡散処理を行うことにより、EMIを低減する機能を有している。SSCPLL32から出力したディプレイクロックは、セレクタ28に出力される。
【0044】
セレクタ28は、上述したように、イネーブル信号に応じて、SSCPLL26から出力されたディスプレイクロック及びSSCPLL32から出力されたディスプレイクロックのいずれかを選択して画像調整部36及び出力部54に出力する機能を有している。セレクタ28から出力されたディスプレイクロックは、出力部54を介してディスプレイ16に出力される。
【0045】
セレクタ34は、上述したように、イネーブル信号に応じて、スケーリング部24から出力された映像信号またはデータ信号、及びメモリ30から出力されたデータ信号のいずれかを出力信号として選択して画像調整部36に出力する機能を有している。
【0046】
画像調整部36は、出力信号に基づいてディスプレイ16に表示される画像の明るさや色合い等の画質の調整を行う機能を有している。
【0047】
描画機能部38は、出力信号に基づいてディスプレイ16に表示される画像に対して予め定められた描画処理を、イネーブル信号に応じて行う機能を有している。本実施の形態の描画機能部38は、具体的には、車輌90にバックギヤが入った場合はバックカメラ72から直接入力された映像信号に基づく出力信号に対して描画処理を行い、その他の場合では、出力信号に対して描画処理を行わない。そのため、イネーブル信号がタイプAの場合は、画像調整部36から入力された出力信号を描画処理後、出力する。一方、イネーブル信号がタイプB〜Dの場合は、画像調整部36から入力された出力信号をそのまま出力する。
【0048】
バックカメラ72から直接入力された映像信号に基づく画像、すなわちバックカメラ72で撮像された映像をそのままディスプレイ16に表示した場合、ユーザ(運転者)が車輌90の位置や状態を認識しづらい場合がある。そのため、本実施の形態では、バックカメラ72から直接入力された映像信号に基づく画像をディスプレイ16に表示する場合は、ガイドラインや注意を喚起するための文字を映像と共に表示させる。そのため、描画機能部38では、ガイドラインや注意を喚起するための文字の付加等の描画処理を行う。描画機能部38で行われる描画処理は、メインプロセッサ14で行われる画像処理よりも簡易的な処理である。そのため、描画機能部38は、ソフトウエア的に構成してもよいし、ハードウエア資源で構成する場合は、CPU等を要しない簡易的な構成でよい。
【0049】
次に本実施の形態の映像表示システム10の動作について説明する。上述したように、本実施の形態の映像表示システム10の半導体装置12は、イネーブル信号に応じて動作する。すなわち、半導体装置12では、イネーブル信号に応じて各種信号が流れる経路が定まる。
【0050】
まず、車輌90において、イネーブル信号が映像表示システム10の半導体装置12に入力される流れについて説明する。
図3には、イネーブル信号が映像表示システム10の半導体装置12に入力される流れの一例を表す流れ図を示す。
図3に示した動作は、例えば、車輌90が起動した場合に開始される。
【0051】
バックギヤ70が起動した場合(ステップS100でY)は、バックギヤ70の起動に連動してイネーブル信号生成部82でタイプAのイネーブル信号が生成され、生成されたイネーブル信号が半導体装置12に入力される(ステップS102)。
【0052】
一方、バックギヤ70が起動していない場合(ステップS100でN)は、予め定められた条件に応じてイネーブル信号生成部82でタイプB〜タイプDのイネーブル信号のいずれかが生成され、生成されたイネーブル信号が半導体装置12に入力される(ステップS104)。
【0053】
なお、本実施の形態では、バックギヤ70が起動した場合のみタイプAのイネーブル信号が半導体装置12に入力されるようにしているが、その他の場合にもタイプAのイネーブル信号が半導体装置12に入力されるようにしてもよい。例えば、入力された映像信号やデータ信号をより高速にディスプレイ16に表示させる場合や、メインプロセッサ14での画像処理を行わずに映像信号やデータ信号をディスプレイ16に表示させる場合等は、タイプAのイネーブル信号が半導体装置12に入力されるようにするとよい。
【0054】
イネーブル信号の生成、及び生成されたイネーブル信号の映像表示システム10の半導体装置12への入力は繰り返され(ステップS106でN)、例えば、車輌90の起動が停止する等、予め定められた条件が満たされると終了する(ステップS106でY)。
【0055】
次に、映像表示システム10において、入力された映像信号及びデータ信号を出力信号としてディスプレイ16に出力する動作の流れについて説明する。
図4には、入力された映像信号及びデータ信号を出力信号としてディスプレイ16に出力する動作の流れの一例を表す流れ図を示す。
図4に示した動作は、例えば、映像表示システム10または半導体装置12が起動した場合に開始される。映像表示システム10(半導体装置12)の起動は、車輌90の起動と連動していてもよいし、カーナビ等からのユーザの指示に応じて起動するようにしてもよい。なお、本実施の形態の半導体装置12では、バックギヤ70が入った場合に、より高速にバックカメラ72の映像をディスプレイ16に表示させるため、車輌90の起動またはバックカメラ72の起動と連動することが好ましく、少なくともバックギヤ70と連動して起動することが好ましい。
【0056】
映像表示システム10に入力部44を介して入力された映像信号は、ビデオデコーダ20によりデコードされ、デコードされた映像信号及びデコーダクロックがセレクタ23に入力される。また、入力部44を介して入力されたデータ信号及びデータクロックは、セレクタ23に入力される。
【0057】
入力部48にイネーブル信号が入力されると、セレクタ23は、イネーブル信号のタイプに応じて映像信号及びデコーダクロック、またはデータ信号及びデータクロックのいずれかを選択してスケーリング部24及びSSCPLL26に出力する(ステップS200)。
【0058】
本実施の形態の映像表示システム10では、セレクタ23からは、イネーブル信号のタイプにかかわらず、選択した影像信号またはデータ信号をスケーリング部24及び出力部50の両方に出力される。イネーブル信号がタイプA及びタイプCの場合は、スケーリング部24に出力された映像信号またはデータ信号が出力信号となる。イネーブル信号がタイプB及びタイプDの場合は、出力部50に出力された映像信号またはデータ信号が出力信号となる。それぞれの場合について、信号が流れる経路を図示した図面を参照して詳細に説明する。
【0059】
図5には、イネーブル信号がタイプA(バックカメラ72から直接入力された映像信号をディスプレイ16に出力する場合)の場合の信号経路を示した説明図を示す。イネーブル信号がタイプAの場合は、スケーリング部24に出力された映像信号に応じた出力信号、及びSSCPLL26に出力されたデコーダクロックがディスプレイ16に出力される。
【0060】
スケーリング部24は、入力された映像信号をディスプレイ16のサイズに応じてスケーリングして出力信号を生成し、出力信号をセレクタ34に出力する(ステップ(S202)。また、SSCPLL26は、入力されたデコーダクロックに、周波数に対応する周波数拡散処理を行った後、セレクタ28に出力する(ステップS202)。
【0061】
セレクタ28では、SSCPLL26から出力されたクロックをディスプレイクロックとして選択し(ステップS210)、選択したディスプレイクロックを、画像調整部36及び出力部54を介してディスプレイ16に出力する。また、セレクタ34では、スケーリング部24から出力された映像信号を出力信号として選択して画像調整部36に出力する(ステップS210)。
【0062】
画像調整部36では、入力された出力信号(映像信号)に画像調整処理を行い、描画機能部38に出力する(ステップS212)。
【0063】
描画機能部38では、イネーブル信号がタイプAであるため(ステップS214でY)、描画処理を行い(ステップS216)、描画処理を行った出力信号(映像信号)をディスプレイI/F40及び出力部52を介してディスプレイ16に出力する(ステップS218)。
【0064】
このようにタイプAの場合は、ディスプレイ16には、バックカメラ72の映像信号が出力信号として出力部52を介して入力される。また、ディスプレイ16には、SSCPLL26により周波数拡散処理されたディスプレイクロックが出力部54を介して入力される。
【0065】
なお、イネーブル信号がタイプCの場合は、スマホから入力部46を介して入力されたデータ信号及びデータクロックがセレクタ23で選択され、描画機能部38で描画処理を行わない(ステップS214でN、ステップS218に進む)点で、タイプAの場合と異なっている。タイプCの場合のその他の信号経路はタイプAと同様である。ディスプレイ16には、スマホのデータ信号が出力信号として出力部52を介して入力される。また、ディスプレイ16には、SSCPLL26により周波数拡散処理されたディスプレイクロックが出力部54を介して入力される。
【0066】
一方、イネーブル信号がタイプB及びタイプDの場合は、出力部50に出力されたデータ信号がメインプロセッサ14に入力される。
【0067】
図6には、イネーブル信号がタイプB(いずれかの車載カメラから入力された映像信号をメインプロセッサ14で画像処理を施した後、ディスプレイ16に出力する場合)の信号経路を示した説明図を示す。
【0068】
出力部50からは、セレクタ23で選択された信号がメインプロセッサ14に出力される(ステップS204)。タイプBの場合は、映像信号がメインプロセッサ14に出力される。メインプロセッサ14は、入力された映像信号に予め定められた画像処理を行うと共にスケーリングを行ってデータ信号を生成する。メインプロセッサ14で生成されたデータ信号及びクロックが入力部42を介して半導体装置12に入力される(ステップS206)。この際、半導体装置12に入力されるクロックは、周波数拡散されていない状態にある。
【0069】
メモリ30には、データ信号が入力され、格納される。SSCPLL32には、クロックが入力され、周波数拡散処理が行われる(ステップS208)。メモリ30からはデータ信号がセレクタ34に出力され、SSCPLL32からはディスプレイクロックがセレクタ28に出力される。
【0070】
セレクタ28では、SSCPLL32から出力されたクロックをディスプレイクロックとして選択し(ステップS210)、選択したディスプレイクロックを、画像調整部36及び出力部54を介してディスプレイ16に出力する。また、セレクタ34では、メモリ30から出力された信号(映像信号)を出力信号として選択して画像調整部36に出力する(ステップS210)。
【0071】
画像調整部36では、入力された出力信号(映像信号)に画像調整処理を行い、描画機能部38に出力する(ステップS212)。
【0072】
イネーブル信号がタイプBの場合は、タイプAの場合と異なり、描画機能部38で描画処理を行わない(ステップS214でN、ステップS218に進む)。半導体装置12では、描画機能部38に入力された信号(映像信号)をそのままディスプレイI/F40及び出力部52を介してディスプレイ16に出力する(ステップS218)。
【0073】
このようにタイプBの場合は、ディスプレイ16には、メインプロセッサ14から入力された信号(映像信号)が出力信号として出力部52を介して入力される。また、ディスプレイ16には、SSCPLL32により周波数拡散処理されたディスプレイクロックが出力部54を介して入力される。
【0074】
なお、イネーブル信号がタイプDの場合は、スマホから入力部46を介して入力されたデータ信号及びデータクロックがセレクタ23で選択される点で、タイプBの場合と異なっている。タイプDの場合のその他の信号経路はタイプBと同様である。ディスプレイ16には、メインプロセッサ14から入力された信号(データ信号)が出力信号として出力部52を介して入力される。また、ディスプレイ16には、SSCPLL32により周波数拡散処理されたディスプレイクロックが出力部54を介して入力される。
【0075】
入力された映像信号及びデータ信号に基づいた画像をディスプレイ16に表示させるための上記処理動作は繰り返され(ステップS220でN)、例えば、車輌90の起動が停止した場合等、予め定められた条件が満たされると終了する(ステップS220でY)。
【0076】
以上説明したように本実施の形態の映像表示システム10では、メモリ30及びSSCPLL32を備えている。半導体装置12には、車載カメラから入力部44を介して映像信号が入力され、スマホ等の携帯端末78から入力部46を介してデータ信号及びデータクロックが入力される。また、半導体装置12には、メインプロセッサ14から入力部42を介してデータ信号及びクロックが入力される。半導体装置12は、入力部44を介して入力された映像信号及びデコーダクロックに応じた出力信号、または入力部46を介して入力されたデータ信号及びデータクロックに応じた出力信号を、メインプロセッサ14を経由せずディスプレイ16に出力する場合、SSCPLL26により周波数拡散処理が行われたディスプレイクロックを出力部54を介してディスプレイ16に出力する。一方、半導体装置12は、入力部42を介してメインプロセッサ14から入力されたデータ信号及びクロックに応じた出力信号をディスプレイ16に出力する場合、SSCPLL32により周波数拡散処理が行われたディスプレイクロックを出力部54を介してディスプレイ16に出力する。
【0077】
図7に示した従来の映像表示システム100の半導体装置112では、メインプロセッサ14から入力されたデータ信号は、そのままセレクタ34を介して画像調整部36に入力され、画像調整部36により画像調整された出力信号をディスプレイ16に出力していた。また、メインプロセッサ14から入力されたクロックはそのままセレクタ28及び出力部54を介してディスプレイクロックとしてディスプレイ16に出力されていた。すなわち、従来の半導体装置112では、周波数拡散処理が行われないディスプレイクロックがディスプレイ16に出力されていた。そのため、メインプロセッサ14から入力されたデータ信号及びクロックをディスプレイ16に出力する場合は、EMIが低減されないという問題が生じていた。
【0078】
一方、上述のように本実施の形態の映像表示システム10の半導体装置12では、入力部42、入力部44、及び入力部46のいずれから入力された信号(映像信号またはデータ信号)であるかにかかわらず、周波数拡散処理が行われたディスプレイクロックをディスプレイ16に出力する。従って、本実施の形態の映像表示システム10では、入力信号の種類によらずEMIを低減することができる。また、本実施の形態の映像表示システム10では、周波数が異なる入力信号に対して適切にEMIを低減することができる。
【0079】
また、本実施の形態の映像表示システム10では、バックカメラ72から直接入力された映像信号をディスプレイ16に出力する場合(イネーブル信号がタイプAの場合)は、メインプロセッサ14を介さずに直接入力された映像信号により生成された出力信号をディスプレイ16に出力している。また、この場合は、描画機能部38で出力信号に描画処理を行い、その他の場合は、描画機能部38で描画処理を行わない。従って、本実施の形態の映像表示システム10では、バックカメラ72で撮影された映像をディスプレイ16に表示させる場合は、高速で影像の表示が行えると共に、撮影そのままの影像ではなくガイドライン等の情報をユーザ(運転者)に表示することができる。
【0080】
なお、上記実施の形態では、映像表示システム10の外部で生成されたイネーブル信号が半導体装置12に入力される場合について説明したが、イネーブル信号は、映像表示システム10の外部に限らず、内部で生成してもよい。例えば、メインプロセッサ14の動作に応じて、メインプロセッサ14または映像表示システム10内部のその他の生成部で生成され、入力部48を介して半導体装置12に入力されるようにしてもよい。
【0081】
また、上記実施の形態では、セレクタ34がスケーリング部24から入力された映像信号を選択した場合に描画機能部38で描画処理を行っているがこれに限らず、例えば、セレクタ34がスケーリング部24から入力されたデータ信号もメインプロセッサ14による画像処理が行われないため、当該データ信号に対しても描画機能部38で描画処理を行ってもよい。なお、少なくとも、セレクタ34がスケーリング部24から入力された映像信号を選択した場合は描画機能部38で描画処理を行うことが好ましい。
【0082】
また、上記実施の形態では、メインプロセッサ14を経由せずに直接入力されたバックカメラ72からの映像信号をディスプレイ16に出力する場合として、バックギヤ70が起動した場合について説明したが、これに限定されない。例えば、車輌90の起動やバックカメラ72の起動に連動してもよいし、ユーザから指示された場合であってもよい。
【0083】
また、半導体装置12に入力される映像信号及びデータ信号の種類や数等は上記実施の形態に限らず、任意である。また同様に、これらの信号が入力される入力部の数等も上記実施の形態に限らず、任意である。
【0084】
また、上記実施の形態では、映像表示システム10を車載カメラの映像を表示する映像表示システムに適用する場合について説明したが、これに限らず、例えば、汎用セキュリティシステムにおけるドアホンに適用してもよい。
【0085】
また、その他の上記各実施の形態で説明した映像表示システム10、半導体装置12、車輌90の構成、動作等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることはいうまでもない。