(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6793924
(24)【登録日】2020年11月13日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】複数貯水池氾濫解析装置、複数貯水池氾濫解析方法
(51)【国際特許分類】
E03F 1/00 20060101AFI20201119BHJP
G08B 31/00 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
E03F1/00 Z
G08B31/00 B
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-80078(P2017-80078)
(22)【出願日】2017年4月13日
(65)【公開番号】特開2018-178544(P2018-178544A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2019年4月17日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「レジリエントな防災・減災機能の強化」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(73)【特許権者】
【識別番号】300076736
【氏名又は名称】ニタコンサルタント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104949
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100074354
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康弘
(72)【発明者】
【氏名】正田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】堀 俊和
(72)【発明者】
【氏名】吉迫 宏
(72)【発明者】
【氏名】安藝 浩資
(72)【発明者】
【氏名】三好 学
(72)【発明者】
【氏名】長尾 慎一
【審査官】
高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】
特許第5600507(JP,B2)
【文献】
特開2004−197554(JP,A)
【文献】
特開2005−128838(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0143019(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 1/00
G08B 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側に位置する上池と、上池よりも下流側に位置する下池を含む複数の貯水池が連鎖的に決壊する氾濫解析を行うための複数貯水池氾濫解析装置であって、
上池の情報、及び下池の情報を取得するための池情報入力部と、
氾濫解析の対象となる地域の地形データを取得するための地形情報入力部と、
前記池情報入力部から入力された上池情報に基づき、該上池から流出される水の流出量を演算する上池流出量演算部と、
前記上池流出量演算部で演算された流出量の内、前記地形情報入力部で取得された地形データに基づいて、下池に流入される水量を演算するための下池流入量演算部と、
前記下池流入量演算部で演算された下池流入量から、前記池情報入力部から入力された下池情報に基づき、該下池の貯水量を演算する下池貯水量演算部と、
該下池から下流に流出する下池流出量を演算する下池流出量演算部と、
を備えており、
前記下池流出量演算部は、下池流出量を演算するアルゴリズムとして、下池決壊前の演算アルゴリズムと下池決壊後の演算アルゴリズムを有しており、前記下池貯水量演算部で演算された下池の貯水量が、予め与えられたアルゴリズム切り替え条件に至ったとき、下池決壊後の演算アルゴリズムに変更して下池流出量を演算してなる複数貯水池氾濫解析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の複数貯水池氾濫解析装置であって、
前記下池貯水量演算部が、下池の水位を演算する下池水位演算部を含む複数貯水池氾濫解析装置。
【請求項3】
請求項2に記載の複数貯水池氾濫解析装置であって、
前記池情報入力部が、下池が有する放流部深さの情報を取得可能に構成されており、
アルゴリズム切り替え条件を、下池の水位が、前記池情報入力部で取得した放流部深さに至ったタイミングとしてなる複数貯水池氾濫解析装置。
【請求項4】
請求項3に記載の複数貯水池氾濫解析装置であって、さらに、
上池の破堤時からの流出量の時間変化を示すハイドログラフを表示させるための表示部を備えてなる複数貯水池氾濫解析装置。
【請求項5】
請求項4に記載の複数貯水池氾濫解析装置であって、
前記上池流出量演算部が、
前記池情報入力部から入力された上池情報に基づき、該上池が前記複数貯水池氾濫解析装置による解析を開始した解析開始時刻に、決壊すると想定し、
上池流出量を演算するアルゴリズムを、以下の計算式で規定される水量が流出するモデルとしてなる複数貯水池氾濫解析装置。
(上式において、qu(t)は時刻tにおける上池流出量[m3/s];Vuは上池貯水量[×106m3];Huは上池堤高[m];tは時間[sec]である。)
【請求項6】
請求項4又は5に記載の複数貯水池氾濫解析装置であって、
前記下池流出量演算部が、下池流出量を演算するアルゴリズムとして、越流総水頭が放流部の深さより低い水位である場合、下池の放流部から下流に流出すると想定し、下流に放流される流量を
で演算し、
貯水池の初期貯水量を、放流部の下端まで水位があると仮定して
で演算してなる複数貯水池氾濫解析装置。
(Qは流量[m
3/s]、Cは流量係数、Bは水路幅[m]、h
kは越流総水頭[m]、V
maxは総貯水量[m
3])
【請求項7】
請求項6に記載の複数貯水池氾濫解析装置であって、
前記下池貯水量演算部が、越流総水頭が放流部の深さを超えると、貯水池が決壊すると想定して、下池の貯水量を
として演算し、
かつ前記下池流出量演算部が、決壊以降に下池流出量を演算するアルゴリズムとして、下池流出箇所から下流への流出量の時間変化を次式で演算するよう切り替えてなる複数貯水池氾濫解析装置。
(
Aは満水面積[m2]、q
l(t)は時刻tにおける下池流出量[m
3/s]、V
lは下池貯水量[×10
6m
3]、H
lは下池堤高(m)、tは下池決壊した時刻からの時間[sec]、t
lは下池決壊時刻[sec]、q
l_inは下池決壊後に下池に流入した水量[m
3/s])
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の複数貯水池氾濫解析装置であって、さらに、
地表の高低差の情報を有し、上池から流出する不定流を演算する地表面レイヤーに、降雨量を付加するための降雨量設定部を備える複数貯水池氾濫解析装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の複数貯水池氾濫解析装置であって、さらに、
時間によって変動する潮位を演算するための潮位演算部を備える複数貯水池氾濫解析装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の複数貯水池氾濫解析装置であって、さらに、
上池の氾濫解析によって計算される下池に流入する流量を、下池の水位に変換する水位変換部を備える複数貯水池氾濫解析装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の複数貯水池氾濫解析装置であって、
前記池情報入力部が、ため池データベースを入力するよう構成してなる複数貯水池氾濫解析装置。
【請求項12】
上流側に位置する上池と、上池よりも下流側に位置する下池を含む複数の貯水池が連鎖的に決壊する氾濫解析を行うための複数貯水池氾濫解析方法であって、
上池及び下池の情報、並びに氾濫解析の対象となる地域の地形データを取得する工程と、
前記取得された上池情報に基づき、該上池から流出される水の流出量を演算する工程と、
演算された流出量の内、前記取得された地形データに基づいて、下池に流入される水量を演算する工程と、
前記演算された下池流入量から、前記取得された下池情報に基づき、該下池の水位と、該下池から下流に流出する下池流出量を演算する工程と
を含み、
前記下池流出量を演算する工程において、下池流出量を演算するアルゴリズムとして、下池決壊前の演算アルゴリズムと下池決壊後の演算アルゴリズムを有しており、
下池の水位が、
初期水位から、越流総水頭までの間は、下池決壊前の演算アルゴリズムを用い、
下池の情報として取得した放流部深さに至った以降は、下池決壊後の演算アルゴリズムを用いるように下池流出量の演算アルゴリズムを切り替えてなる複数貯水池氾濫解析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数貯水池氾濫解析装置、複数貯水池氾濫解析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の異常気象等に起因すると思われるゲリラ豪雨や地震、津波といった自然災害により、ため池やダムといった貯水池の決壊時の氾濫解析が求められている。例えば、天然ダムの越流決壊による下流域の洪水流量の増減を、地理的および時系列的に数値シミュレーションする洪水流量推定システムが提案されている(特許文献1)。ただ、従来よりダムのような設備は、決壊しないように設計されているとの前提に立ち、決壊時の氾濫解析はあまり注目されてこなかった。
【0003】
しかしながら、2011年3月11日に発生した東日本大震災によって福島県須賀川市の藤沼貯水池が決壊し、多くの被害が発生した。今後も南海トラフ等の地震や豪雨により貯水池が被害を受ける可能性がある。
【0004】
このような背景の中、防災・減災等の観点から、ため池の決壊による氾濫解析にも注目が集まるようになった。特にため池については、江戸時代より以前に存在する古いものが多くあることから、決壊のリスクを考慮する必要がある。
【0005】
上述の通り貯水池の氾濫解析について注目が集まるようになっている。貯水池の決壊は従来あまり想定されていなかった。しかし近年では、1000年に一度、未曾有の大災害といった、想定を越える災害が頻発するようになり、このような決壊を想定した防災を検討する必要性が叫ばれている。
【0006】
また、複数の貯水池が存在する地域においては、これらが連鎖的に決壊することも考えられ、このような連鎖決壊については殆ど検討されておらず、その氾濫解析も取り組まれていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5600507号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「平成25年度豪雨による決壊ため池の氾濫解析検証」農村工学研究所技報第215号pp91−101,2014
【非特許文献2】Costa, J., Floods from Dam Failure, Flood Geomorphology, 436-439 (1988).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような背景に鑑みて、本発明はなされたものであり、その目的の一は、複数の貯水池の連鎖決壊によって生じる氾濫解析を可能とした複数貯水池氾濫解析装置、複数貯水池氾濫解析方法を提供することにある。
【0010】
本発明の第1の形態に係る複数貯水池氾濫解析装置によれば、上流側に位置する上池と、上池よりも下流側に位置する下池を含む複数の貯水池が連鎖的に決壊する氾濫解析を行うための複数貯水池氾濫解析装置であって、上池の情報、及び下池の情報を取得するための池情報入力部と、氾濫解析の対象となる地域の地形データを取得するための地形情報入力部と、前記池情報入力部から入力された上池情報に基づき、該上池から流出される水の流出量を演算する上池流出量演算部と、前記上池流出量演算部で演算された流出量の内、前記地形情報入力部で取得された地形データに基づいて、下池に流入される水量を演算するための下池流入量演算部と、前記下池流入量演算部で演算された下池流入量から、前記池情報入力部から入力された下池情報に基づき、該下池の貯水量を演算する下池貯水量演算部と、該下池から下流に流出する下池流出量を演算する下池流出量演算部とを備えており、前記下池流出量演算部は、下池流出量を演算するアルゴリズムとして、下池決壊前の演算アルゴリズムと下池決壊後の演算アルゴリズムを有しており、前記下池貯水量演算部で演算された下池の貯水量が、予め与えられたアルゴリズム切り替え条件に至ったとき、下池決壊後の演算アルゴリズムに変更して下池流出量を演算することができる。上記構成により、上池と下池の連鎖決壊後の氾濫解析を行うことが可能となる。
【0011】
また、第2の形態に係る複数貯水池氾濫解析装置によれば、上記構成に加えて、前記下池貯水量演算部が、下池の水位を演算する下池水位演算部を含むことができる。
【0012】
さらに、第3の形態に係る複数貯水池氾濫解析装置によれば、上記何れかの構成に加えて、前記池情報入力部が、下池が有する放流部深さの情報を取得可能に構成されており、アルゴリズム切り替え条件を、下池の水位が、前記池情報入力部で取得した放流部深さに至ったタイミングとすることができる。上記構成により、下池水位演算部は、下池の水位が、初期水位から越流総水頭までの間と、前記池情報入力部で取得した放流部深さに至った以降とで、下池流出量の演算アルゴリズムを切り替えることができる。
【0013】
さらにまた、第4の形態に係る複数貯水池氾濫解析装置によれば、上記何れかの構成に加えて、さらに、上池の破堤時からの流出量の時間変化を示すハイドログラフを表示させるための表示部を備えることができる。
【0014】
さらにまた、第5の形態に係る複数貯水池氾濫解析装置によれば、上記何れかの構成に加えて、前記上池流出量演算部が、前記池情報入力部から入力された上池情報に基づき、該上池が前記複数貯水池氾濫解析装置による解析を開始した解析開始時刻に、決壊すると想定し、上池流出量を演算するアルゴリズムを、以下の計算式で規定される水量が流出するモデルとできる。
【0015】
上式において、
qu(t)は時刻tにおける上池流出量[m3/s];Vuは上池貯水量[×106m3];Huは上池堤高[m];tは時間[sec]である。
【0016】
さらにまた、第6の形態に係る複数貯水池氾濫解析装置によれば、上記何れかの構成に加えて、前記下池流出量演算部が、下池流出量を演算するアルゴリズムとして、越流総水頭が放流部の深さより小さな水深である場合、下池の放流部から下流に流出すると想定し、下流に放流される流量を
で演算し、貯水池の初期貯水量を、放流部の下端まで水位があると仮定して
で演算することができる。
(Qは流量[m
3/s]、Cは流量係数、Bは水路幅[m]、h
kは越流総水頭[m]、V
maxは総貯水量[m
3])
【0017】
さらにまた、第7の形態に係る複数貯水池氾濫解析装置によれば、上記何れかの構成に加えて、前記下池貯水量演算部が、越流総水頭が放流部の深さを超えると、貯水池が決壊すると想定して、下池の貯水量を
として演算し、かつ前記下池流出量演算部が、決壊以降に下池流出量を演算するアルゴリズムとして、下池流出箇所から下流への流出量の時間変化を次式で演算するよう切り替えることができる。
(
Aは満水面積[m2]、q
l(t)は時刻tにおける下池流出量[m
3/s]、V
lは下池貯水量[×10
6m
3]、H
lは下池堤高(m)、tは下池決壊した時刻からの時間[sec]、t
lは下池決壊時刻[sec]、q
l_inは下池決壊後に下池に流入した水量[m
3/s])
【0018】
さらにまた、第8の形態に係る複数貯水池氾濫解析装置によれば、上記何れかの構成に加えて、さらに、地表の高低差の情報を有し、上池から流出する不定流を演算する地表面レイヤーに、降雨量を付加するための降雨量設定部を備えることができる。
さらにまた、第
9の形態に係る複数貯水池氾濫解析装置によれば、上記何れかの構成に加えて、さらに、時間によって変動する潮位を演算するための潮位演算部を備えることができる。上記構成により、下流端条件の水位を、潮位に応じて時間変化させることができる。
【0019】
さらにまた、第
10の形態に係る複数貯水池氾濫解析装置によれば、上記何れかの構成に加えて、さらに上池の氾濫解析によって計算される下池に流入する流量を、下池の水位に変換する水位変換部を備えることができる。
【0020】
さらにまた、第
11の形態に係る複数貯水池氾濫解析装置によれば、上記何れかの構成に加えて、前記池情報入力部が、ため池データベースを入力するよう構成できる。上記構成により、各地の貯水池の現地調査を行うことなく、氾濫解析を行うことが可能となる。
【0021】
さらにまた、第
12の形態に係る複数貯水池氾濫解析方法によれば、上流側に位置する上池と、上池よりも下流側に位置する下池を含む複数の貯水池が連鎖的に決壊する氾濫解析を行うための複数貯水池氾濫解析方法であって、上池及び下池の情報、並びに氾濫解析の対象となる地域の地形データを取得する工程と、前記取得された上池情報に基づき、該上池から流出される水の流出量を演算する工程と、演算された流出量の内、前記取得された地形データに基づいて、下池に流入される水量を演算する工程と、前記演算された下池流入量から、前記取得された下池情報に基づき、該下池の水位と、該下池から下流に流出する下池流出量を演算する工程とを含み、前記下池流出量を演算する工程において、下池流出量を演算するアルゴリズムとして、下池決壊前の演算アルゴリズムと下池決壊後の演算アルゴリズムを有しており、下池の水位が、初期水位から、越流総水頭までの間は、下池決壊前の演算アルゴリズムを用い、下池の情報として取得した放流部深さに至った以降は、下池決壊後の演算アルゴリズムを用いるように下池流出量の演算アルゴリズムを切り替えることができる。これにより、上池と下池の連鎖決壊後の氾濫解析を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】本発明の実施形態1に係る複数貯水池氾濫解析装置を示す機能ブロック図である。
【
図3】スタガード・構造格子と未知変数の定義点を示す模式平面図である。
【
図4】水流が盛土などの凹凸を越流する場合を示す模式断面図である。
【
図5】メッシュ間で支配断面が現れる場合を示す模式断面図である。
【
図6】排水路の走行方向と流量の定義点を示す模式平面図である。
【
図7】地表面レイヤーと下池レイヤーを関連付ける様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下のものに特定されない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【0024】
本発明の実施例において使用される複数貯水池氾濫解析装置とこれに接続される操作、制御、表示、その他の処理等のためのコンピュータ、プリンタ、外部記憶装置その他の周辺機器との接続は、例えばIEEE1394、RS−232xやRS−422、RS−423、RS−485、USB等のシリアル接続、パラレル接続、あるいは10BASE−T、100BASE−TX、1000BASE−T等のネットワークを介して電気的、あるいは磁気的、光学的に接続して通信を行う。接続は有線を使った物理的な接続に限られず、IEEE802.1x等の無線LANやBluetooth(登録商標)、その他のNFC等の電波、赤外線、光通信等を利用した無線接続等でもよい。さらにデータの交換や設定の保存等を行うための記録媒体には、メモリカードや磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が利用できる。なお本明細書において複数貯水池氾濫解析装置とは、複数貯水池氾濫解析装置本体のみならず、これにコンピュータ、外部記憶装置等の周辺機器を組み合わせた浸水度リアルタイム予測システムも含む意味で使用する。
(実施形態1)
【0025】
本発明の実施形態1に係る複数貯水池氾濫解析装置は、上流側に位置する上池と、この上池よりも下流側に位置する下池を含む複数の貯水池が連鎖的に決壊する氾濫解析を行うための装置である。なお本明細書において貯水池とは、ダムやファームポンドその他の農業用ため池及び調整池、河川、天然ダム等を含む意味で使用する。また、上池決壊には山腹崩壊からの土砂等の流入を含む意味で使用する。
【0026】
まず、連鎖決壊が生じるプロセスを、
図1A〜
図1Gに基づいて説明する。
図1Aに示すように、傾斜面の上方に上池RS1が、上池RS1の下方に下池RS2が存在する場合を考える。上池RS1、下池RS2共、下流側の壁面で水が溢れないように保持しており、逆にいえば湖面の水位が壁面の高さを超えると水が溢れ出し、いわゆる決壊状態となる。そして上池RS1と下池RS2で連鎖決壊が生じるには、まず上池RS1が決壊し、続いて下池RS2が決壊することが必要となる。なお、以下の例では説明のため上池RS1と下池RS2の連鎖決壊について説明するが、本発明は貯水池に限らず、河川や水路、自然ダム、山腹の土砂崩壊など、上側で溜まっている水などの液状物が、下側でたまっている貯水池等に流入する場合にも適用できる。
【0027】
まず、上池RS1の決壊を考えると、
図1Bに示すように上池RS1から貯水が流れ出して、下流側に流出する。ここではコスタ(Costa)の式を用いて算出されたハイドログラフに従った水量が下流に流出するモデルもしくはアルゴリズムを採用している。なおコスタの式とは、統計的なデータを基に、ダムファクタとするダム高と貯水容量によってピーク流量を算出する回帰式である(非特許文献2参照)。ただ本発明は流量計算の手法をコスタ式に限定するものでなく、他の方法、例えばフローリッヒ式・土地改良事業の費用対効果算定手法・任意ハイドログラフ等も利用できる。
【0028】
次に下池RS2の決壊について考える。
図1Cに示すように、上池RS1の決壊により、上池RS1で貯水されていた水が下池RS2に流入する。ここで、
図1Dに示すように下池RS2が満水でない場合と、
図1Fに示すように満水の場合とに分けて考える。
【0029】
下池RS2が満水でない場合は、
図1Dに示すように上池RS1から流入した水は下池RS2に蓄えられ、時間の経過につれて下池RS2の水位が上昇する。そして下池RS2の水位が、下池RS2の壁面に形成された「放流部」を越えると、
図1Eに示すように放流部から下池RS2の下流側に流下されていく。この流出量は決壊の場合に比べて少量であり、その計算はH−Q式から算出される(詳細は後述)。
【0030】
一方、
図1Fに示すように下池RS2が満水の場合は、下池RS2が決壊し、
図1Gに示すように下池RS2の下流側に多くの水が流出する。この場合の流出量は、コスタ式等が採用される。
(複数貯水池氾濫解析装置100)
【0031】
本発明の実施形態1に係る複数貯水池氾濫解析装置を
図2に示す。この図に示す複数貯水池氾濫解析装置100は、入力部10と、操作部20と、演算部30と、表示部40と、データ記憶部50を備えている。この複数貯水池氾濫解析装置100は、専用のハードウェアで構成する他、複数貯水池氾濫解析プログラムを汎用あるいは専用のコンピュータにインストールして構成できる。
(入力部10)
【0032】
入力部10は、外部からのデータ入力を受け付けるための入力インターフェースであり、例えば外部機器との通信等により、外部のデータベースにアクセスするなどして、必要な情報を取得するデータ取得部として機能する。データ取得部は、インターネットなどの汎用ネットワーク回線、あるいは専用線等を介した特定のネットワークに接続するための通信機能を備えている。この入力部10は、池情報入力部11と、地形情報入力部12を備える。
【0033】
池情報入力部11は、上池の情報、及び下池の情報を取得するための部材である。池情報入力部11は、好ましくはため池データベースを入力する。これにより、各地のため池の現地調査を行うことなく、氾濫解析を行うことが可能となる。
【0034】
地形情報入力部12は、氾濫解析の対象となる地域の地形データを取得するための部材である。
(操作部20)
【0035】
操作部20は、複数貯水池氾濫解析装置に対する種々の操作や設定を行うための部材であり、マウスやキーボード、コンソール等の入力デバイスが利用できる。この操作部20は、破堤位置指定部21と、下池湖面設定部22と、レイヤー関連付け部23と、降雨量設定部24の機能を実現する。
(破堤位置指定部21)
【0036】
破堤位置指定部21は、一箇所以上の下池に対して、下池の破提時に水が流出する破堤位置を指定するための部材である。これにより、破堤位置指定部21を介してユーザが手動で破堤位置を指定したり、あるいは複数貯水池氾濫解析装置が自動で破堤位置を指定することができる。
【0037】
この破堤位置指定部21は、一箇所以上の下池の破堤位置を、この下池が有する放流部の位置に指定することができる。これにより、自動で破堤位置を指定することが可能となる。あるいは、下池の破堤位置が放流部の位置に初期値として指定された状態で、手動で破堤位置を調整可能としてもよい。この場合は、破堤位置を放流部の位置に自動で指定させた上で、必要に応じてユーザが調整することを可能として、下池の状態に応じてより柔軟な設定を行うことが可能となる。
(下池湖面設定部22)
【0038】
下池湖面設定部22は、下池の湖面に該当する領域を指定するための部材である。
(レイヤー関連付け部23)
【0039】
レイヤー関連付け部23は、上池を含む、地表の高低差の情報を有し、上池から流出する不定流を演算する二次元不定流のレイヤーである地表面レイヤーと、下池の満水面積の情報を有する湖面のレイヤーである下池レイヤーとを関連付けるための部材である。このレイヤー関連付け部23は、地表面レイヤーの内、下池湖面設定部22により定義された下池湖面に該当する領域に流入する水量を、下池レイヤーの内で、下池湖面に該当する領域に、流入する水量として与え、下池レイヤーにおいて、下池の貯水量などの情報に基づいて、下池から流出する水量を演算し、この演算された下池からの流出水量を、地表面レイヤーの、予め破堤位置指定部21で指定された下池の破堤位置から流出される水量として与えるように構成できる。
(降雨量設定部24)
【0040】
降雨量設定部24は、地表面レイヤーに、降雨量を付加するための部材である。降雨量設定部24により、二次元不定流解析の地表面レイヤーに降雨に起因した流れを計算することが可能となる。また、この雨量は時間変化させることができる。そのため、上池の破堤に起因する水量だけでなく、降雨に起因する水量も下池に流入する。降雨を考慮した解析と、降雨を考慮しない解析の結果を比較することにより、降雨が貯水池の破堤に与える影響を検討することが可能である。なお、雨量データは例えば入力部10が通信ネットワークを介して取得する。これによって、逐次最新の情報に更新することが容易となる。
【0041】
例えば5mメッシュ(一例として国土交通省国土地理院による基盤地図情報数値標高モデル)や2mメッシュ(一例として一般財団法人日本地図センターによる2mメッシュ標高データ)の詳細な地盤高データが公表、販売されており、このような地盤高データには排水路を地表の起伏として反映されていることがある。
(表示部40)
【0042】
表示部40は、上池や下池を示す地図を表示させたり、ハイドログラフを表示させたり、あるいは必要な設定等を確認するための部材である。この表示部40は、例えばLCDや有機ELディスプレイ、CRT等が利用できる。また表示部にタッチパネルを使用することで、操作部と表示部を一体的に構成することもできる。
【0043】
表示部40は、上池の破堤時からの流出量の時間変化を示すハイドログラフを表示させるためのハイドログラフ表示領域を設けている。ハイドログラフとは、時間と洪水水位または洪水流量との関係を表す図である。
(演算部30)
【0044】
演算部30は、下池貯水量演算部で演算された下池の貯水量が、予め与えられた下池が決壊する条件に至ったとき、下池流出量を下池決壊後の流量に変更する。これによって、下池の決壊後の氾濫解析を行うことができる。
【0045】
この演算部30は、上池流出量演算部31と、下池流入量演算部32と、下池演算部33と、潮位演算部37と、水位変換部38を備える。
【0046】
上池流出量演算部31は、池情報入力部11から入力された上池情報に基づき、この上池から流出される水の流出量を演算する部材である。
【0047】
下池流入量演算部32は、上池流出量演算部31で演算された総流出量の内、地形情報入力部12で取得された地形データに基づいて、下池に流入される水量を演算するための部材である。
(下池演算部33)
【0048】
下池演算部33は、下池流入量演算部32で演算された下池流入量から、池情報入力部11から入力された下池情報に基づき、この下池の貯水量と、この下池から下流に流出する下池流出量を演算するための部材である。下池演算部33は、下池の水深が、初期水浸から越流総水頭までの間と、放流部深さに至った以降で、流量を演算するアルゴリズムを切り替えるよう構成している。
【0049】
この下池演算部33は、下池貯水量演算部34と、下池流出量演算部36の機能を実現する。下池貯水量演算部34は、下池流入量演算部32で演算された下池流入量から、前記池情報入力部11から入力された下池情報に基づき、該下池の貯水量を演算するための部材である。下池流出量演算部36は、この下池から下流に流出する下池流出量を演算するための部材である。
(下池水位演算部35)
【0050】
また下池貯水量演算部34は、下池の水位を演算する下池水位演算部35の機能を実現することもできる。例えばアルゴリズム切り替え条件を、下池の水位が放流部深さに至ったタイミングとする。下池が有する放流部深さの情報は、予め池情報入力部11で取得しておく。これにより、下池の水位が、初期水位から越流総水頭までの間(この間は破堤でない)と、放流部深さに至った以降とで、下池流出量の演算アルゴリズムを切り替えることができる。
(潮位演算部37)
【0051】
潮位演算部37は、時間によって変動する潮位を演算するための部材である。潮位演算部37により、地表面レイヤーの下流端条件の水位を、潮位に応じて時間変化させることができる。また貯水池による氾濫水が海面に流下する箇所では、下流端水位を時間変化を潮位と連動させることにより、満潮時や干潮時における貯水池による浸水状況をシミュレートできる。さらに満潮時や干潮時における解析の結果を比較することにより、潮汐が浸水状況に与える影響を検討することも可能である。
(水位変換部38)
【0052】
水位変換部38は、上池の(下池に流入する)流量を下池の水位に変換するための部材である。
【0053】
なお上池は、前記複数貯水池氾濫解析装置による解析を開始した解析開始時刻に決壊すると想定する。上池流出箇所と設定したメッシュに対し、コスタ式を用いて算定されたハイドログラフに従った水量が流出する。
(解析モデル)
【0054】
以下、本実施形態で用いた解析モデルについて説明する。
(地表面上の氾濫水の流れ)
<基礎式>
【0055】
地表面の氾濫流の基礎式としては、以下のような二次元・非定常浅水流の連続式と運動方程式を用いる。
[連続式]
[数1]
[x方向運動方程式]
[数2]
[y方向運動方程式]
[数3]
【0056】
上式において、tは時間;x,yは水平二次元座標;hは水深;u,vはx,y方向の流速成分;M,Nはx,y方向の流量フラックス(単位幅流量)で、M=uh及びN=vh;Hは水位;r(t)は雨量による供給量;q
CHANは排水路から地表面上に溢れる、流出する、あるいは地表面上から排水路へ流入する水量、gは重力加速度;ρは水の密度;τ
b,x,τ
b,yはx,y方向の地表面摩擦抵抗応力を、それぞれ示している。なおτ
b,x,τ
b,yは次式で表される。
[数4]
[数5]
【0057】
上式において、nは合成等価粗度係数である。
<基礎式の離散化>
【0058】
氾濫流の数値計算では、数1、数2および数3を、空間的にはスタガード・構造格子について陽的に差分化し、時間的にはleap−frog法により、数値解析する。
図3にスタガード・構造格子と未知変数の定義点を示す。この図においてi,jは、それぞれ軸方向の分割番号である。
<特殊な場合の計算法>
【0059】
ここで、特殊な場合の計算方法について検討する。
(盛土等の越流)
【0060】
まず、
図4に示すように盛土などの凹凸を越流する場合を検討する。このように盛土や道路といった帯状の物体が存在する場合には、運動方程式をそのまま適用することはできない。帯状物体の天端高さよりその両側の水位が低い場合には、流量フラックスはゼロとする。そうでない場合には、数6および数7のような本間の越流公式により越流流量フラックスを算出する。
[数6]
[数7]
【0061】
上式においてh
1およびh
2は、それぞれ帯状の物体の天端からの水位で、高い方をh
1、低い方をh
2とする。また、μは流量係数であり、数6ではμ=0.35、数7ではμ=0.91である。
(メッシュ間で支配断面が現れる場合)
【0062】
次に、メッシュ間で支配断面が現れる場合について検討する。
図5の断面図に示すように、隣接するメッシュ間で標高差が大きく、水面が不連続となる場合や、急激な水位上昇が起こった場合は、支配断面が現れる。この場合は流量フラックスの算出に運動方程式は適用せず、段落ち流れとして計算を行う。ここでは数8、数9のように流量フラックスを与える。
[数8]
ただし、
[数9]
[数10]
ただし、
[数11]
h
cxは、地表面流におけるx方向の限界水深、h
cyは、地表面流におけるy方向の限界水深、Eはエネルギー水頭である。
(2)排水路内の水の流れ
【0063】
次に、排水路内の水の流れについて検討する。本実施形態においては、
図6に示すように、排水路の走行方向と流量の定義点を規定している。このように、排水路は座標軸の方向にのみ位置しているものとみなす。また、設定したメッシュの中心(水深の定義点)を通るものとする。
【0064】
排水路の流れの基礎式としては、以下のような連続式と運動方程式を用いる。運動方程式は、二次元浅水流れから移流項を省略したものである。
[連続式]
[数12]
[方向運動方程式]
[数13]
[方向運動方程式]
[数14]
【0065】
上式において、hは水深、qは排水路内の単位幅流量で流向が座標軸の向きに一致する場合には正値、逆の場合には負値をとるものとする。q
GROUNDは排水路から地表面上に溢れる、流出する、あるいは地表面上から排水路へ流入する水量である。Hは水位、τは摩擦抵抗応力を、それぞれ示している。なお添え字で示すx,yは、それぞれx,y方向に走る排水路に対する式であることを示している。また摩擦抵抗項は、次式のように表される。
[数15]
[数16]
【0066】
上式においてRは径深、nはマニングの粗度係数である。また添え字のx,yは、それぞれx,y方向に走る排水路に対する式であることを示している。
(3)貯水池の設定
1)上池
【0067】
上池は、上述の通り前記複数貯水池氾濫解析装置による解析を開始した解析開始時刻に決壊すると想定する。上池流出箇所と設定したメッシュに対し、コスタ式を用いて算定されたハイドログラフに従った水量が流出する。ここでコスタ式を数17に、流出量の時間変化を数18に示す。この数18は、総流出量が貯水量になる、すなわち数19を満たすように設定されている。
[数17]
[数18]
[数19]
【0068】
上式において、q
u(t)は時刻tにおける上池流出
量[m
3/s];V
uは上池貯水量[×10
6m
3];H
uは上池堤高[m];tは時間[sec]である。
(2)下池
(下池への流入)
【0069】
まず、下池湖面を設定する。下池湖面に設定されたメッシュは、常に水深が無い状態となる。そのため、隣接するメッシュから下池湖面と設定されたメッシュに水量が流入する。これが、下池への流入量となる。下池に流入した水量は、
図7に示すように地表面モデルから下池モデル(後述)に移行する。そして、後述する数20、数23に該当する水量が下池モデルから地表面モデルに移行し、地表面を流下する。
(下池の放流部からの流出)
【0070】
下池モデルの概念を
図8に示す。ここでは、貯水池を直方体に見立てモデル化している。また貯水池の下流側の一部には、蓄えられた水の一部を放流するための放流部を設けている。放流部は、貯水池等の洪水吐けや、河川堤防等の越流部であり、例えばコンクリート製の貯水池の一部を切り込み状に形成して、満水に近い状態となったときに放流部を通じて一部の水が安定的に流下できるように構成されている。放流部の形状は、三角堰や四角堰のような多角形状、矩形状の切り込みが利用できる。
図8の例では、矩形状の切り込みを採用している。また本明細書においては、放流部の切り込まれた高さを、放流部の深さと呼ぶ。貯水池の水位が、放流部の深さを超えると、越流すると判定できることができる。越流総水頭が放流部の深さより小さな水深である場合は、放流部から下流に流出すると想定し、数20のH−Q式より下流に放流される。また、貯水池の初期貯水量は、数21とし、放流部の下端まで水位がある設定としている。
[数20]
[数21]
【0071】
上式においてQは流量[m
3/s]、Cは流量係数、Bは水路幅[m]、H
maxは堤高[m]、h
kは越流総水頭[m]、V
maxは総貯水量[m
3]、Aは満水面積[m
2]を、それぞれ示す。
(下池の決壊)
【0072】
越流総水頭が放流部の深さを超えると、貯水池が決壊すると想定し、コスタ式より下流に流出する。ここでコスタ式を数23に、流出量の時間変化を数24に、それぞれ示す。ここで数23は、上池の総流出量が貯水量になるように、すなわち以下の数24を満たすように、設定されている。また、下池決壊後も下池への流入が想定されることから、流出量の時間変化(数23)には、コスタ式に加えて、下池への流入量を、下池流出箇所から流出させる。
[数22]
[数23]
[数24]
[数25]
【0073】
上式において、q
l(t)は時刻tにおける下池流出量[m
3/s]、V
lは下池貯水量[×10
6m
3]、H
lは下池堤高(m)、tは下池決壊した時刻からの時間[sec]、t
lは下池決壊時刻[sec]、q
l_inは下池決壊後に下池に流入した水量[m
3/s]を、それぞれ示している。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の複数貯水池氾濫解析装置及び複数貯水池氾濫解析方法は、複数の貯水池の氾濫解析を行うことができるので、実際の降雨時にリアルタイムで氾濫解析を行ったり、事前に洪水パターンを演算して推測することもでき、過去の氾濫メカニズムの解析や将来の浸水領域の予測、被害予測や避難経路の策定といった防災などに役立てることができる。
【符号の説明】
【0075】
100…複数貯水池氾濫解析装置
10…入力部
11…池情報入力部
12…地形情報入力部
20…操作部
21…破堤位置指定部
22…下池湖面設定部
23…レイヤー関連付け部
24…降雨量設定部
30…演算部
31…上池流出量演算部
32…下池流入量演算部
33…下池演算部
34…下池貯水量演算部
35…下池水位演算部
36…下池流出量演算部
37…潮位演算部
38…水位変換部
40…表示部
50…データ記憶部
RS1…上池
RS2…下池