(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表面電位測定部で測定された表面電位が適正範囲から外れたときにアラームを出力するアラーム出力部を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の処理液供給装置。
前記電圧印加部は、負電圧印加用の負電源部と、正電圧印加用の正電源部と、前記測定値が目標値よりも正側に外れているときには前記負電源部を前記第2の電極に接続し、前記測定値が目標値よりも負側に外れているときには前記正電源部を前記第2の電極に接続する電圧切替え用の切替え部と、を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の処理液供給装置。
前記電圧印加部は、前記目標値がゼロ電位以外の時には、前記第2の電極が前記負電源部または正電源部に対して接続された状態と切り離された状態とが交互に繰り返されるように構成されていることを特徴とする請求項4または5に記載の処理液供給装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明における第1の実施形態に係る処理液供給装置を示したものである。処理液供給装置は、ノズル11、12、13から基板例えば半導体ウエハ(以下「ウエハ」という)Wに対して処理液例えば現像液を供給するものであり、ノズル11、12、13に処理液を供給するための処理液供給路2を備えている。処理液供給路2は絶縁性の流路部材により形成され、その上流端には図示しない処理液供給源が接続される。流路部材は、例えばPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素樹脂製の配管により構成される。
図1は処理液供給路2における処理液供給源の下流側を示しており、バルブやポンプなどの供給機器と、この例では処理液及び流路部材の帯電量の制御に関する機器とを備えている。
【0013】
先ずバルブやポンプなどの供給機器について説明すると、処理液供給路2には、上流側から順に、第1バルブV1、レギュレータ31、ポンプユニット32が設けられている。第1バルブV1は、処理液供給源側から処理液供給装置に処理液を供給するためのバルブであり、第1バルブV1の上流側にはベント用のバルブV2を備えた分岐路20が接続されている。レギュレータ31は、その上流側の処理液供給路2を通流する処理液の圧力を減圧調整する機器である。
【0014】
例えばレギュレータ31は、例えばダイヤフラムと、ダイヤフラムと連動するバルブと、を備えており、バルブの開度により圧力損失を調整する。ポンプユニット32は、処理液をノズル11、12、13に吐出するものであり、例えばダイヤフラムポンプからなるポンプ321と、処理液をポンプ321に供給するための供給用バルブV3と、ポンプ321から下流側に処理液を排出するための排出用バルブV4と、を備えている。またポンプ321には、ドレイン用のバルブV5を備えたドレイン路322が接続されている。
【0015】
この例における処理液供給路2は、排出用バルブV4の下流側にて3本に分岐しており、分岐された各処理液供給路を第1の流路21、第2の流路22、第3の流路23と呼ぶことにする。第1の流路21、第2の流路22、第3の流路23の下流端には、夫々ノズル11、12、13が設けられている。これらノズル11、12、13は液処理モジュール100に搬送されたウエハに同じ種類の処理液を供給するものである。現像処理用の液処理モジュール100は、例えばウエハWを鉛直軸まわりに回転自在に保持するための基板保持部110を備えている。
【0016】
第1の流路21、第2の流路22、第3の流路23には、夫々上流側から順にフィルタ33、流量検出部34、ディスペンスバルブ(液吐出用バルブ)V6が設けられている。ディスペンスバルブV6は、予め設定された液量の処理液を吐出する機能を備えた機器である。フィルタ33は、処理液中に含まれるパーティクルを除去するためのものであり、ベント用のバルブV7を備えたベント路331を備えている。この例においては、各バルブV1〜V7は、例えばエアオペレートバルブより構成される。
図1中35は圧力検出部である。
【0017】
処理液供給路2に設けられる処理液の帯電量制御に関する機器の説明に先立ち、
図2〜
図4を用いて処理液の帯電状態についての知見を記載しておく。処理液供給路2を形成する絶縁性の流路部材はマイナスへ帯電しやすく、処理液はプラスに帯電しやすい。このため処理液供給路2内に処理液を通流させると、流路部材と処理液との摩擦により静電気が発生し、処理液供給路2において圧力や流速が大きい領域では、摩擦力が大きくなり、帯電量が増大する。
【0018】
図2は、処理液供給路2におけるレギュレータ31の上流側直近位置(RegIN)と下流側直近位置(RegOUT)の表面電位値と時間との関係を示す特性図であり、表面電位値は後述する表面電位の測定部を設けて取得したものである。
図2(a)は圧力損失が大きい場合、
図2(b)は圧力損失が小さい場合であり、図中点線にてRegIN、実線にてRegOUTのデータを夫々プロットしている。この
図2からノズル11、12、13から処理液を吐出させると、処理液が処理液供給路2内を通流するため、処理液供給路2の表面電位が変化し、圧力損失が大きい場合は小さい場合に比べてその変化量が大きいことが分かる。
【0019】
図3は、処理液供給路2におけるRegIN及びRegOUT位置の表面電位変化と配管内の平均流速との関係を示す特性図であり、
図3(a)はRegIN、
図3(b)はRegOUTのデータである。平均流速はレギュレータ31の開度により調整しており、開度が大きい程、流速が大きく、圧力損失が小さくなる。表面電位変化とは、表面電位の測定値と初期値(処理液を吐出させる前で液が動いていないとき)の差分である。この結果、RegINでは、圧力損失が大きい程、表面電位変化のマイナス値が大きく、RegOUTでは、圧力損失が大きい程、表面電位変化のプラス値が大きくなることが分かる。
【0020】
図4は、第1バルブV1の上流側に設けられたポンプにより流速を調整したときの、処理液供給路2におけるRegIN及びRegOUT位置の表面電位変化と配管内の平均流速との関係を示す特性図である。
図4(a)はRegIN、
図4(b)はRegOUTのデータであって、レギュレータ31を設けた場合を△、設けない場合を◇により夫々プロットしている。レギュレータ31の開度は固定され、レギュレータ31を設けた場合は圧力損失が大きく、設けない場合は圧力損失がほとんどない状態になる。この結果、RegINでは、平均流速が大きい(ポンプの押し出し力が大きい)程、表面電位変化のマイナス値が大きくなり、さらに圧力損失が大きい場合には表面電位変化が大きくなることが認められる。一方RegOUTでは、圧力損失が大きい場合には、平均流速が大きい程、表面電位変化のプラス値が大きくなるが、圧力損失がほとんどない場合には、平均流速が大きい程、表面電位変化のマイナス値が大きくなることが確認された。
【0021】
図2〜
図4によると、圧力損失が大きい場合には、処理液の通流により、RegINでは表面電位がマイナス側に変化し、RegOUTではプラス側に変化している。この理由については、圧力損失が大きい場合には、液圧の高い処理液の通流及びレギュレータ31内での大きな圧力変化により、処理液はプラスに、流路部材はマイナスに夫々大きく帯電する。そしてRegIN位置では、処理液は下流側へ移動していくため、流路部材側のマイナスの帯電状態が大きく寄与し、RegOUT位置では、処理液及び流路部材の帯電量は小さいものの、プラスに大きく帯電した処理液が測定点に送られてくるため、処理液側のプラスの帯電状態が大きく寄与することに起因すると推察される。
【0022】
以上のことから、処理液供給路2内の圧力損失の大小、流速の大小などにより処理液及び流路部材の各帯電量が異なってくることが分かる。処理液供給路2内において圧力損失が大きいときや、流速が大きい場合には、処理液と流路部材との摩擦力が大きくなるため、帯電量が増大する。このため本発明の実施形態では、後述のように、大きな圧力損失が発生する部位において、流路部材を接地するようにし、またノズルからウエハWに吐出される処理液の帯電量を抑えるためにノズルの直近位置において、処理液及び流路部材の各帯電量の和を監視し、更に帯電量を制御するように構成している。帯電量の監視については、処理液の帯電量を監視すれば足りるが、後述のように、処理液の通流空間の密閉性を確保するために帯電量の監視を行うために用いられる電極が流路部材と密着する構成を採用していることから、本実施形態では処理液及び流路部材の各帯電量の和が監視されることになる。
【0023】
続いて処理液供給路2に設けられる処理液の帯電量の低減、測定あるいは制御に関する機器について説明を戻すと、第1バルブV1の上流側には、上流側から順に第1の接地部41と第1の測定部51が設けられ、第1バルブV1とレギュレータ31の間、及びレギュレータ31と供給用バルブV3との間には、夫々第2の接地部42及び第3の接地部43が設けられている。また第1の流路21、第2の流路22、第3の流路23には夫々、フィルタ33と流量検出部34との間に第2の測定部52が設けられると共に、ディスペンスバルブV6とノズル11、12、13との間には、上流側から順に帯電量制御部61と第3の測定部53とが夫々設けられている。なお第1の流路21、第2の流路22、第3の流路23には、供給機器及び帯電量制御に関する機器が同様に設けられているので、符号を共通化している。
【0024】
先ず第1〜第3の測定部51〜53について説明する。これら第1〜第3の測定部51〜53は同様に構成されており、その一例について、第3の測定部53を例にして
図5及び
図6に示す。第1〜第3の測定部51〜53は、電極ユニット7を備えている。この電極ユニット7は、電極棒71と接液領域形成部材72とにより構成される。第3の測定部53の電極棒71は第1の電極をなすものであって、例えば断面形状が円形の棒状体であり、その上端は例えば円形の平面状に形成されている。
【0025】
この電極棒71の接液部分は、例えばステンレスなどの金属の表面に、メタルコンタミネーションの発生を抑えるために導電性材料をコーティングすることにより構成され、導電性材料は、処理液が金属領域に浸透しないように厚膜例えば300μmの厚さで形成されている。導電性材料としては、ECシリーズ(日本フッソ工業社製)などの導電性または静電気拡散性(≦10
9Ω)のフッ素樹脂、AC140S(日清紡ケミカル社製)、AC140(日清紡ケミカル社製)などのガラス状カーボン、炭化ケイ素(SiC)などを用いることができる。
【0026】
接液領域形成部材72は、例えば処理液供給路2に着脱自在に設けられ、電極棒71を保持すると共に、電極棒71と処理液との接液領域を形成するものであり、例えば処理液供給路2を形成する流路部材と同じ絶縁性の材料により構成される。例えば接液領域形成部材72は、処理液供給路2に沿って形成され、処理液が通流する通流部721と、通流部721と例えば一体に構成され、電極棒71を保持する保持部722と、を備えている。保持部722は通流部721の長さ方向の略中央部から通流部721に対して略鉛直に形成され、上端には電極棒71の挿入口723を備えている。保持部722は例えばその内面が電極棒71の外面と互いに接触し、電極棒71が保持部722に挿入されたときに、例えば電極棒71の先端部が通流部721を通流する処理液と接触するように構成される。電極棒71は、例えばネジ式の継ぎ手部711により保持部722に接続され、こうして電極棒71は、処理液供給路2の処理液及び流路部材に接触するように設けられる。
【0027】
このような接液領域形成部材72は、例えばネジ式の継ぎ手部731、732により処理液供給路2に接続され、流路部材の一部として機能する。また電極棒(第1の電極)71は、第1の流路21、第2の流路22、第3の流路23の夫々において、ノズル11、12、13の吐出口の近傍、例えば吐出口から処理液供給路2に沿って例えば100mm〜3000mmの位置に設けられている。継手部711、731、732は、例えば処理液供給路2と同じ材質の絶縁性のフッ素樹脂により構成される。
【0028】
電極ユニット7の電極棒71の上面には、
図5(a)の平面図及び
図5(b)の縦断面図に示すように、例えば円板状の導電板74が設けられている。導電板74は第1の電極の一部を成すものであって、例えばその中心部が電極棒71の横断面の中心部と揃うように構成され、その上面には例えば円筒形状の支持体75を介して遮蔽用導電体76が設けられている。支持体75は例えばPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などの絶縁部材よりなり、導電板74及び遮蔽用導電体76は例えばSUS316Lなどのステンレス鋼材により構成される。
【0029】
遮蔽用導電体76は、電極棒71の側方の周囲を空間を介して覆うように例えば円筒体形状に構成され、その上端は内側に屈曲し、上方から見たときに、その中央部が例えば円形に開口するリング形状の上面部761として形成されている。上面部761の裏面側は、支持体75の上端に接続されており、上面部761の中央の開口部762は支持体75よりも内側に形成されている。遮蔽用導電体76は外部の電場を遮蔽するために接地され、開口部762は例えば導電板74と同心円状に形成されている。
【0030】
第1〜第3の測定部51〜53は、
図6に示すように、第1の電極(電極棒71)の表面電位、この例では導電板74の表面電位を測定する表面電位測定部77を備えている。この表面電位測定部77は、遮蔽用導電体76の上面部761の直近例えば上面部761よりも例えば10mm上方側に設けられ、測定端が遮蔽用導電体76により囲まれた開口部(導電板74の上方の開口部)に臨むように位置している。既述のように、処理液供給路2に処理液を通流させると、処理液はプラス、流路部材はマイナスに帯電し、これらに接触する第1の電極(電極棒71)を介して、これらの電荷による電気力線が第1の電極、導電板74及び遮蔽用導電体76とにより囲まれた領域内にて収束する。導電板74及び遮蔽用導電体76により囲まれた領域は外部の電場が遮られるので内部の電位は等しくなる。この電位は、第1の電極の一部である導電板74の表面電位に対応する。
【0031】
表面電位測定部77は測定電極を備えており、この測定電極は、測定対象の被測定物との間の静電容量に対応した電圧を誘起し、測定電極を周期的に振動させることで交流変調した信号を取り出し、この信号から表面電位を把握する。表面電位測定部77としては、例えばオムロン社のZJ−SDなどの表面電位計を用いることができる。
【0032】
こうして導電板74に対向して表面電位測定部77を設けることにより、処理液及び流路部材の帯電量が、第1の電極の表面電位(導電板74の表面電位)として測定される。既述のように本実施形態では、電極棒71が流路部材の一部をなす接液領域形成部材72に密接していることから、上記の表面電位は処理液の帯電状態と流路部材の帯電状態とを合成した帯電状態に対応するものであり、その測定値は後述する制御部200に出力される。また遮蔽用導電体76を用いなくともよい。
【0033】
第1の測定部51は、処理液供給源側から処理液供給装置に供給される処理液の帯電状態を把握するために第1バルブV1の上流側に設けられており、第2の測定部52はフィルタ33の目詰まりや気泡の発生の有無を把握するために、フィルタ33の下流側に設けられている。また第3の測定部53は、ノズル11〜13に供給される処理液の帯電状態を把握するために、ノズル11〜13の上流側直近に設けられている。
【0034】
続いて帯電量制御部61の一例について
図7を参照して説明する。この例の帯電量制御部61は、第1〜第3の表面電位測定部51〜53と同様に、電極ユニット7、導電板74、支持体75及び遮蔽用導電体76を備えており、電極ユニット7の電極棒71が第2の電極に相当する。電極棒(第2の電極)71は、第1の流路21、第2の流路22、第3の流路23の夫々において、例えば第3の測定部53の電極棒(第1の電極)71から処理液供給路2に沿って上流側10mm〜5000mmの位置に設けられている。
【0035】
電極棒(第2の電極)71は、補助切替え部62を介して電圧印加部63に接続されている。補助切替え部62は、電極棒71の接続先を電圧印加部63と接地部との間で切り替えるためのものである。また電圧印加部63は、第3の測定部53の表面電位測定部77にて得られた表面電位の測定値に基づいて、電極棒71に電圧を印加して処理液及び流路部材の帯電量を制御するものである。この例の電圧印加部63は、
図7に示すように、正電圧印加用の正電源部631と、負電圧印加用の負電源部632と、これら正電源部631と、負電源部632とを切替えて接続する電圧切替え用の切替え部633と、を備えている。なお、この例では、第2の電極である電極棒71についても流路部材と密接する構造を採用していることから、処理液だけでなく流路部材の帯電量も制御することになる。
【0036】
さらに電圧印加部63は、電極棒71を、正電源部631又は負電源部632に対して接続された状態または切り離された状態に設定するための切替え部634を備えている。各切替え部は、例えば2つのリレースイッチが並列に接続され、リレー部の通電により一方がオン、他方がオフになり、これによりスイッチ接点が切り替わるリレー回路として構成することができる。なお帯電制御部61は遮蔽用導電体76を設けない構成としてもよい。
【0037】
続いて第1〜第3の接地部41〜43について説明する。これら第1〜第3の接地部41〜43は同様に構成されており、その一例について、第1の接地部41を例にして
図8に示す。第1〜第3の接地部41〜43は、第1〜第3の表面電位測定部51〜53と同様に構成された電極ユニット7を備えており、その電極棒71が第3の電極に相当する。この電極棒(第3の電極)71は、接地用の切替え部44により、接地状態と接地から開放された状態に切り替えて接続するように構成されている。
【0038】
図9に示すように、処理液供給装置及び液処理モジュール100を備えた液処理装置にはコンピュータからなる制御部200が設けられ、この制御部200は図示しないプログラム格納部を有している。プログラム格納部には、後述の作用で説明する帯電量の制御及び、液処理モジュール100における液処理が行われるように命令が組まれた、例えばソフトウェアからなるプログラムが格納される。このプログラムが制御部200に読み出されることで、制御部200は液処理装置の各部に制御信号を出力する。それによって、バルブV1〜V7の開閉やポンプユニット32の駆動、電極棒71の接地や電極棒71への電圧印加、ノズル11〜13の移動、基板保持部110の駆動などの各動作が制御され、後述する帯電量の制御及び液処理が行われるようになっている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスクまたはメモリーカードなどの記憶媒体に収納された状態でプログラム格納部に格納される。
【0039】
帯電量の制御に関して説明を続けると、
図9に示すように、制御部200は、第1〜第3の測定部51〜53の表面電位測定部77にて検出された表面電位を同時に表示する表示部201を備えている。例えば表示部201は、表面電位に対応したアナログ出力値がモニターされるように構成されている。さらに制御部200は、例えば第1〜第3の測定部51〜53にて検出された表面電位の測定値毎に、この測定値が適正範囲であるかを判定し、測定された表面電位が適正範囲から外れたときにアラームを出力する機能を備えている。アラーム出力は、例えばアラーム音発生部、アラームランプなどのアラーム出力部202により行われる。表面電位の適正範囲は、例えば処理レシピ毎に、第1〜第3の測定部51〜53の夫々について設定される。
【0040】
また制御部200は、処理レシピに応じて帯電量制御部61の補助切替え部62、電圧切替え用の切替え部633及び切替え部634の制御を行うように構成されている。具体的には、電圧切替え用の切替え部633は、第3の測定部53にて得られた表面電位の測定値と目標値とを比較して、測定値が目標値よりも正側に外れているときには負電源部632に接続し、測定値が目標値よりも負側に外れているときには正電源部631に接続するように制御される。さらに表面電位の目標値がゼロ電位のとき及び処理液の吐出を停止しているとき(処理液供給路2に処理液が流れていないとき)には、接続先が接地部に切り替わるように補助切替え部62が制御される。
【0041】
さらにまた表面電位の目標値がゼロ電位以外のときには、正電源部631または負電源部632に対して接続された状態と切り離された状態とが交互に繰り返されるように、例えばPWM(パルス幅変調)方式あるいはPID方式で切替え部634が制御される。
【0042】
ノズルからウエハWに対して処理液を供給する処理液供給プロセスは複数のステップを備えており、表面電位の目標値は、前記複数のステップの各々に応じて、予めレシピにて設定される。また切替え部634により正電源部631又は負電源部632に対して断続的に接続される周期は、予めレシピ毎に設定されている。これら目標値及び周期は、予め最適化を図る実験を実施することにより設定され、周期は吐出時の処理液の流速に応じて最適化されている。こうして表面電位の目標値がゼロ電位のときは、電極棒(第2の電極)71が接地側に接続され、目標値がゼロ電位以外のときは、電極棒(第2の電極)71が電圧印加部63に周期的に接続されると共に、表面電位の測定値に基づいて目標値に応じて正電源部631側あるいは負電源部632側に接続先が切り替わるように制御される。
【0043】
さらに第1〜第3の接地部41〜43では、処理レシピに応じて、第1〜第3の接地部41〜43が設けられた領域に処理液が流れているときに電極棒(第3の電極)71を接地し、前記領域に処理液が流れていないときには電極棒71を接地から開放された状態とするように接地用の切替え部44が制御される。反対に第1〜第3の接地部41〜43が設けられた領域に処理液が流れているときに電極棒(第3の電極)71を接地から開放された状態とし、前記領域に処理液が流れていないときには電極棒71を接地するように接地用の切替え部44を制御してもよい。
【0044】
続いて本実施形態の作用について説明する。処理液供給路2には、第1バルブV1を開くことにより、処理液供給源側から処理液が予め設定された圧力で供給される。先ず第1バルブV1、供給用バルブV3を開き、ポンプユニット32を作動させて、ポンプ321内に一定量の処理液を貯める。次いでバルブV5を開き、処理液をドレイン路322を介して排出しながら、ポンプ321内の処理液の泡抜きを行う。続いてバルブV5を閉じ、排出用バルブV4を開いて、ポンプユニット32を作動させる。処理液はフィルタ33を介して通流していき、例えばディスペンスバルブV6の上流側の処理液供給路2が処理液により満たされる。
【0045】
次いでノズル11〜13から処理液を吐出するときには、ポンプユニット32を作動させた状態で、ディスペンスバルブV6を所定時間開く。これにより各液処理モジュール100では、ノズル11〜13からウエハWに対して所定時間処理液の吐出が行われ、液処理が実行される。ノズル11〜13から処理液を吐出しているときにも、第1バルブV1、供給用バルブV3、排出用バルブV4は開かれており、処理液供給路2に処理液供給源側から処理液が供給される状態である。ノズル11〜13から処理液の吐出を停止するときには、ディスペンスバルブV6を閉じる。
【0046】
第1のバルブV1を開いて処理液供給源から処理液が供給されると、第1〜第3の測定部51〜53にて測定された表面電位が制御部200に出力されて表示部201に表示され、例えば表面電位(帯電量)に異常があるか否かが監視される。そして例えば表面電位が適正範囲から外れているときにはアラーム出力部202にてアラーム出力が行われ、作業者に帯電量の異常を報知する。
【0047】
例えば第1の測定部51は第1のバルブV1の上流側に設けられているので、処理液供給源側から表面電位の適正範囲を越える処理液が供給される場合には、アラームが出力される。また第2の測定部52は、フィルタ33と流量検出部34との間に設けられているので、例えばレギュレータ31、ポンプユニット32、フィルタ33の通過によって、処理液の帯電量が適正範囲を越えて大きくなる場合には、アラームが出力される。さらに第3の測定部53は、ノズル11、12、13の近傍に設けられているので、後述する帯電量の制御を行ってもウエハWに供給する処理液の帯電量が適正範囲を越えている場合には、アラームが出力される。
【0048】
続いて帯電量の制御について、処理液である現像液をウエハWに供給して現像処理を行う場合を例にして説明する。
図10には、現像処理を行う液処理モジュール100を模式的に示している。液処理モジュール100には、例えば現像液の供給を行うための2種類のノズルが設けられており、一方は下方に吐出口を備えた直管状のノズルであり、他方は例えば20mm程度のスリット状の吐出口を備えた矩形状のノズルである。これらノズルは例えば共通の移動機構(図示せず)により、一体となってウエハWの直径方向に移動自在に構成され、例えば直管状のノズルが上述のノズル11、12、13に相当する。ここでは直管状のノズルを補助ノズル11、矩形状のノズルを主ノズル14と便宜上呼ぶこととして説明を続ける。補助ノズル11、主ノズル14に対しては、夫々別系統の処理液供給装置により処理液である現像液が供給されるように構成されている。
【0049】
先ずウエハWを回転させた状態で、
図10には示されていないノズルからウエハWの略中央にプリウェット用の液体例えば純水を供給する。このステップでは、補助ノズル11及び主ノズル14の夫々の処理液供給路2では、現像液が各ノズルから吐出していない状態である。このため各処理液供給路2では、例えば第1〜第3の接地部41〜43の電極棒(第3の電極)71は接地から開放された状態とし、帯電量制御部61の電極棒(第2の電極)71は接地された状態に設定する。
【0050】
次いで
図10(a)に示すように、補助ノズル11の処理液供給路2では、表面電位の目標値をマイナスの電位(−E1V)に設定し、ウエハWを回転数R1で回転させた状態で、補助ノズル11からウエハWの略中央に現像液を供給する。このステップでは、現像液を吐出させているので、例えば第1〜第3の接地部41〜43では、
図8に示す切替え部44により電極棒(第3の電極)71を接地された状態にする。
【0051】
また表面電位の目標値がマイナスであることから、帯電量制御部61では、まず補助切替え部62により電極棒(第2の電極)71の接続先を電圧印加部63側に切り替えると共に、電圧印加用の切替え部633を負電源部632側に切替える。そして切替え部634により、周期的に接続された状態と切り離された状態とを繰り返した状態において第3の測定部53にて得た表面電位の測定値と目標値とを比較する。測定値が目標値よりも負側に外れていれば、電圧印加用の切替え部633を正電源部631側に切替え、測定値が目標値よりも正側に外れていれば、電圧印加用の切替え部633を負電源部632側に切替える。
【0052】
この場合、表面電位の測定値と目標値との差分に応じて切替え部634のオン、オフにおけるデューティー比(オン時間とオフ時間との合計に対するオン時間の比率)を調整する。例えば表面電位の負の目標値よりも測定値が低い(絶対値が大きい)場合において、表面電位の測定値と目標値との差分が大きくなるほどデューティー比を大きくして電極棒71に供給する例えば正電荷量を増大させ、表面電位の測定値と目標値との差分が小さくなるほどデューティー比を小さくして電極棒71に供給する例えば正電荷量を減少させる。また測定値が目標値に一致しているときには、デューティー比をゼロにした状態、すなわち切替え部634を切り離された状態を維持する。こうして表面電位の測定値が目標値に近づこうとする制御動作が行われる。なお目標値は、例えば目標とする電圧値に対して許容範囲を持たせた電圧範囲であってもよい。
またこのようなPWM制御に限らず、PID制御などの手法で正電荷または負電荷を電極棒71に供給するようにしてもよい。
【0053】
続いてウエハWの回転数をR2に上昇させて、この回転数R2に応じた表面電位の目標値(−E2V)を設定し、補助ノズル11からウエハWの略中央に現像液を供給する。回転数が大きくなると、ウエハW表面における現像液の摩擦力が大きくなって現像液の帯電量が変化するため、回転数に応じて表面電位の目標値が設定される。実際には回転数は段階的に上昇するため、その回転数毎に表面電位の目標値が設定される。
【0054】
次に補助ノズル11からの現像液の吐出を停止して、補助ノズル11及び主ノズル14をウエハWの周縁部側に移動させる。この後
図10(b)、(c)に示すように、ウエハWを回転させた状態で、主ノズル14を例えばウエハWの直径に沿って周縁部から中央部に移動させながら、現像液を吐出させる。表面電位の目標値は周縁部側ではプラスの電位(+E3V)、中央部ではゼロ電位(0V)に夫々設定され、ウエハW上の位置に応じて表面電位の目標値が+E3Vから0Vまで段階的に低下するように設定される。この場合も、目標値がゼロ電位ではないときには、既述のように、表面電位の測定値に基づいて、目標値に応じて電極棒(第2の電極71)に正電圧又は負電圧を印加する。また目標値をゼロ電位に設定したときには、補助切替え部62により電極棒(第2の電極)71の接続先を接地部に切り替える。
【0055】
次いで主ノズル14からの現像液の吐出を停止して、補助ノズル11及び主ノズル14をウエハWの周縁部側に退避させる。続いてウエハWを回転させた状態で、ウエハWにリンス液である例えば純水を供給して洗浄を行った後、ウエハWを回転させた状態で、ウエハWに窒素ガスを供給して乾燥させ、ウエハWの回転を停止する。以上のステップにおいて、補助ノズル11及び主ノズル14では、処理液の吐出を停止しているときは、夫々の処理液供給路2において、第1〜第3の接地部41〜43の電極棒(第3の電極)71は接地から開放され、帯電量制御部61の電極棒(第2の電極)71は接地された状態に夫々設定する。
【0056】
上述の実施形態によれば、絶縁性の流路部材により形成された処理液供給路2を介して処理液をウエハWに供給するにあたり、処理液及び流路部材の各々の帯電量の和に対応する電荷量を導電体の表面電位として測定している。このため処理液供給路2内の処理液及び流路部材の帯電状態を把握することができるので、表面電位が大き過ぎる場合や表面電位が急減に増大した場合にはアラーム出力部202より所定のアラームを出力するなど、適切な対応をとることができる。
【0057】
また処理液供給路2に処理液が通流している状態で表面電位を測定し、表示することによって、通流により変化する処理液の帯電状態をリアルタイムで把握することができる。処理液供給路2を構成するフッ素樹脂は応力が加わった状態で有機溶剤と接触するとクラックが生じやすい。一方、ネガ型レジストの適用が増え、現像液として体積抵抗率が大きい酢酸ブチルが用いられる傾向にあるが、体積抵抗率が高いと、流路部材との摩擦による静電気が急激に増大し、蓄積する。このためレギュレータ31などの圧力損失が大きい機器では、微小クラック部分へ静電気電荷が集中し、フッ素樹脂が破壊される事象も発生している。
【0058】
また処理液を滞留させずに循環させる手法が主流になりつつあり、処理液に電荷が蓄積し、帯電量の増加が懸念される。このようなことから、処理液供給路2において、処理液の表面電位を把握することは有効である。また処理液供給源から複数の処理液供給装置に処理液を供給する場合には、各処理液供給装置毎に第1バルブV1の上流側に第1の測定部51が設けられる。このため処理液供給装置間における処理液の帯電量のばらつきの有無も把握できる。
【0059】
さらにまた第2の測定部52を設けるにより、フィルタ33の目詰まりや気泡の混入などの異常を検知することができる。
図11は、処理液供給路2におけるフィルタ33の上流側直近位置(FilIN)及び下流側直近位置(FilOUT)の表面電位と時間との関係を示す特性図である。
図11(a)は正常時、
図11(b)は気泡が数十個混入した異常時のデータを夫々示し、図中点線にてFilIN、実線にてFilOUTのデータを夫々プロットしている。この図に示すように、ノズル11、12、13から処理液を開始すると、表面電位が大きく変化するが、フィルタ33に気泡が混入すると、FilIN、FilOUT共に、表面電位に小さなピークが発生することが分かる。このようにフィルタ33近傍の表面電位を把握することにより、フィルタ33の異常を検知することができる。
【0060】
さらに本発明では第3の測定部53の表面電位の測定値に基づいて、電極棒(第2の電極)71に電圧を印加しているので、電極棒71を介して処理液及び流路部材の帯電量を制御することができる。これにより帯電量や流速が大き過ぎて接地だけでは十分に除電できない場合に、確実に除電を行うことができる。また帯電量が大きくなり過ぎることが原因となる、流路部材の静電破壊によるリークや発火などの事故の発生を抑制できる上、流量検出部34など計測機器の精度の低下を抑えることができる。また表面電位の測定値と目標値とに基づいて、電極棒(第2の電極)71に正電圧又は負電圧を印加しているので、適切な制御を容易に行うことができ、速やかに表面電位を目標値に近付けることができる。さらに帯電量制御部61に補助切替え部62や切替え部634を設けることにより、電極棒(第2の電極)71を接地したり、断続的に電圧印加部63に接続することができ、表面電位の目標値に合わせた精度の高い制御を容易に行うことができる。
【0061】
このように処理液の帯電量の制御を行うことができることから、液処理時におけるウエハWの面内の電位分布を改善することができる。絶縁性の処理液は流動帯電によって常にプラスに帯電しており、ウエハWを回転させた状態で処理液を供給すると、ウエハW上の薄膜は、中心部が極端にマイナスに帯電し、外周へ行くほどゼロ電位に近い電位分布を有する。このようにウエハW面内において電位がばらつくと、例えばウエハ上の配線パターンの寸法を検査機(SEM:走査型電子顕微鏡)で測定する際に、像がぼやけて測定ができなくなったり、デバイス特性のばらつきなどが発生したり、リンス残渣が部分的に残りやすくなる。また処理液が帯電していると、ノズル11〜13から吐出した処理液を介して電流が流れるため、処理液の滴下位置近傍で薄膜が剥がれ、回路の静電破壊、吐出軌道の曲がり、吐出液の跳ねなどが発生するおそれがあるが、処理液の帯電量を制御することにより、これらの事象の発生が抑えられる。
【0062】
また第3の測定部53の電極棒(第1の電極)71及び帯電量制御部61の電極棒(第2の電極)71は、ノズル11〜13の吐出口から大きな圧損部を介さず5000mm以内の位置に設けられているので、帯電量を目標値に近付けた状態で処理液をノズル11〜13から吐出させることができ、良好なプロセス性能を確保することができる。さらに複数のノズル11〜13を設ける場合であっても、各ノズル11〜13から吐出される処理液の帯電量を揃えることができる。さらにまた帯電量制御部61の下流側に第3の測定部53を設けてノズル11〜13の吐出口の直前の表面電位を測定しているので、仮に帯電量制御部61において帯電量を制御しても表面電位が適正範囲から外れるなどの帯電量の異常を把握することができる。
【0063】
さらに第1〜第3の接地部41〜43を設けて接地することにより、処理液供給装置のさまざまな圧損部において、処理液種や通流条件などで帯電量が大きくなる場合があるとしても、流体機器が保護される。また接地用の切替え部44を設けているので、処理液が処理液供給路2を通流するときだけ、若しくは処理液が処理液供給路2を通流しないときだけ接地する制御が可能となり、必要なときだけ効率的に除電を行うことができる。
【0064】
また第1〜第3の接地部41〜43、第1〜第3の測定部51〜53、帯電量制御部61は共通の電極ユニット7を備え、処理液と流路部材に接触する電極をなす電極棒71は同様に構成されている。そしてこの電極棒71を介して接地、表面電位の測定、電圧印加による帯電量の制御を行っているので、帯電量制御のための設計や製造が容易となる。また電極ユニット7は流路部材に対して着脱自在に設けられているので、接地部や測定部、帯電制御部を任意の場所に容易に設置することができる。また電極棒71は、金属に導電性材料をコーティングすることにより形成されているため、メタルコンタミネーションの発生を抑えながら、処理液及び流路部材の接地による除電や、表面電位の測定や帯電量の制御を行うことができる。
【0065】
以上において、処理液供給装置では、装置の立ち上げ時やメンテナンス時、処理液の交換時などに、例えば第1の電極を処理液及び流路部材に接触するように設けて表面電位を測定して表示し、処理液及び流路部材の帯電状態を把握するようにしてもよい。これにより処理液及び流路部材の接地や、電圧印加による帯電量制御の必要な個所を把握することができる。
【0066】
また処理液は現像液には限られない。例えば本発明者は洗浄時のリンス液(純水)の帯電量とウエハW上の残渣数には相関関係があることを把握しており、リンス液の除電にも有効であることを確認している。リンス処理時の帯電量の制御の一例について示すと、例えばリンス液である純水は、ウエハWに現像液を供給する前のプリウェットにも用いられるが、このプリウェット処理では表面電位の目標値をゼロ電位に設定する。次いで現像液供給後の洗浄処理では、表面電位の目標値を−E4Vに設定し、ウエハWを回転させた状態でリンス液をウエハWの略中心に供給する。この後、リンス液と乾燥用の窒素ガスとをウエハWに供給するが、このときには表面電位の目標値をゼロ電位に設定する。処理液がリンス液である場合においても、処理液供給路2に処理液が通流していない(ノズルから処理液が吐出していない)とき、処理液供給路2に処理液が通流しているとき、目標値がゼロ電位のとき、ゼロ電位以外のときの制御は、上述の例と同様である。
【0067】
以上においては、第1〜第3の電極の構成は上述の実施形態に限らず、処理液と接触する構成であればよく、表面電位測定部では、第1の電極よりなる導電体の表面電位を測定するものであればよい。また電圧印加部63は必ずしも切替え部634を備える必要はなく、第2の電極を補助切替え部62を介して電圧印加部63に接続するようにしてもよい。この場合には、表面電位の測定値と目標値とを比較するときや、測定値が目標値と一致したときには、補助切替え部62により電圧印加部63を切り離した状態に設定する。また第3の電極をなす電極棒71は、接地用の切替え部44を設けずに、直接接地状態に接続するようにしてもよい。さらに表面電位を表示する表示部は、第1〜第3の測定部51〜53の近傍に設けられていてもよいし、第1の電極、第2の電極及び第3の電極の少なくとも一つが、導電性のフッ素樹脂によりコーティングされていればよい。
【0068】
さらに第1の測定部51及び第2の測定部52に対応する帯電量制御部61を夫々設け、第1の測定部51及び第2の測定部52の夫々の表面電位の測定値に基づいて、対応する第2の電極をなす電極棒71に電圧を印加して帯電量を制御してもよい。さらにまた帯電制御部61に表面電位測定部77を設ける構成としてもよい。この場合には、第1の電極は第2の電極を兼用し、第1の電極の電位に対応する導電体の表面電位を測定し、第1の電極に電圧を印加して帯電量を制御することになる。
【0069】
さらにまた上述の処理液供給路2では、表面電位の測定を行う測定部と、表面電位を表示する表示部と、電極棒を接地状態に接続する接地部と、電極棒に電圧印加を行って帯電量の制御を行う帯電量制御部と、を備えているが、少なくとも測定部を備える構成であればよい。従って測定部、表示部及び接地部のみを備える構成であってもよいし、測定部、表示部及び帯電量制御部のみを備える構成であってもよい。さらにまた表面電位の測定を行う測定部、接地部、帯電量制御部の設置個所及び個数は上述の例には限らない。上述に説明した塗布、現像装置に限定されず、例えば洗浄装置などの他の液処理装置、エッチング装置、成膜装置、基板貼り合わせ装置、露光装置、検査装置などに用いてもよい。また半導体製造工程とは、半導体ウエハに半導体装置を形成するための工程に限らず、ガラス基板にトランジスタを形成して液晶パネルを製造するための工程であってもよい。