【実施例】
【0068】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0069】
(製造例1)
−ポリマーエマルジョン型のシアン顔料−
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6)4.0g、及びメルカプトエタノール0.4gを混合し、65℃に昇温した。
次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6)36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。
滴下終了後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。
65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。
反応終了後、フラスコ内にメチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50質量%のポリマー溶液800gを調製した。
次に、得られたポリマー溶液を46g、C.I.ピグメントブルー15:3(大日精化工業株式会社製)を33g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及びイオン交換水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。
得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータを用いてメチルエチルケトン、及び水を留去した後、グリセリンを加えて、顔料10.9質量%、樹脂7.5質量%(固形分濃度18.4質量%)、及びグリセリン9.1質量%含有する製造例1のポリマーエマルジョン型のシアン顔料を作製した。
【0070】
(製造例2)
−ポリウレタン樹脂エマルジョンの調製−
攪拌機、及びジャケットを備えたオートクレーブ反応装置に、数平均分子量(Mn)500の非晶性ポリカーボネートジオール(デュラノールT5651、旭化成ケミカルズ株式会社製)500g、ジメチロールプロピオン酸45.8g、イソホロンジイソシアネート(IPDI)358g、トリエチルアミン29.4g、及びアセトン650gを、窒素を導入しながら仕込んだ。その後、80℃に加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、プレポリマーを製造した。
系を40℃に戻した後、温度を40℃に保った。系中に存在するNCO%を確認した後、水をゆっくり加え、30分間加熱攪拌した後、伸長剤(イソホロンジアミン(IPDA))を加え、3〜6時間加熱攪拌した。最後に、有機溶剤を除去することで、固形分濃度31.0質量%の製造例2のポリウレタン樹脂エマルジョンを得た。
【0071】
(製造例3)
−アクリルシリコーン樹脂エマルジョンの調製−
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた300mLのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、アクアロンHS−10(不飽和炭素を持つ反応性乳化剤、第一工業製薬株式会社製、成分100質量%)2.3g、及びイオン交換水70gを加え混合し、70℃に昇温した。
昇温後、反応開始剤であるペルオキソ二硫酸アンモニウム0.14gを加え、5分間後にメタクリル酸メチル26g、メタクリル酸2エチルヘキシル60g、ビニルトリエトキシシラン6.9g、アクアロンHS−10(不飽和炭素を持つ反応性乳化剤、第一工業製薬株式会社製、成分100質量%)1.4g、及びイオン交換水50gを混合し、3時間かけて滴下を行った。
その後、80℃で2時間加熱熟成を行った後、常温(25℃)まで冷却し、アンモニア水でpHを7〜8に調整し、固形分濃度40質量%の製造例3のアクリルシリコーン樹脂エマルジョン240gを作製した。
【0072】
(実施例1)
−インクの作製−
下記処方のインクを調製し、pHを調整した後、平均孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、インクを作製した。
<インク処方>
・製造例1のポリマーエマルジョン型のシアン顔料:22.91質量%
・製造例2のポリウレタン樹脂エマルジョン:14.80質量%
・有機溶剤としてのジエチレングリコールモノメチルエーテル:15.0質量%
・有機溶剤としてのプロピレングリコール:14.0質量%
・有機溶剤としての3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド:5.0質量%
・有機溶剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール:2.0質量%
・シリコーン界面活性剤(L−7002、東レ・ダウコーニング株式会社製):1.0質量%
・フッ素界面活性剤(メガファックF−444、DIC株式会社製):1.0質量%
・防腐防カビ剤(プロキセルLV、アベシア社製):0.05質量%
・pH調整剤(トリエタノールアミン):0.3質量%
・純水:残量
・合計:100質量%
【0073】
(実施例2)
−インクの作製−
下記処方のインクを調製し、pHを調整した後、平均孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、インクを作製した。
<インク処方>
・製造例1のポリマーエマルジョン型のシアン顔料:22.91質量%
・製造例2のポリウレタン樹脂エマルジョン:14.80質量%
・有機溶剤としてのジエチレングリコールモノメチルエーテル:15.0質量%
・有機溶剤としてのプロピレングリコール:14.0質量%
・有機溶剤としての3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド:5.0質量%
・有機溶剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール:2.0質量%
・シリコーン界面活性剤(L−7602、東レ・ダウコーニング株式会社製):1.5質量%
・フッ素界面活性剤(メガファックF−444、DIC株式会社製):1.0質量%
・防腐防カビ剤(プロキセルLV、アベシア社製):0.05質量%
・pH調整剤(トリエタノールアミン):0.3質量%
・純水:残量
・合計:100質量%
【0074】
(実施例3)
−インクの作製−
下記処方のインクを調製し、pHを調整した後、平均孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、インクを作製した。
<インク処方>
・製造例1のポリマーエマルジョン型のシアン顔料:22.91質量%
・製造例2のポリウレタン樹脂エマルジョン:14.80質量%
・有機溶剤としてのジエチレングリコールモノメチルエーテル:15.0質量%
・有機溶剤としてのプロピレングリコール:14.0質量%
・有機溶剤としての3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド:5.0質量%
・有機溶剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール:2.0質量%
・シリコーン界面活性剤(L−7002、東レ・ダウコーニング株式会社製):0.5質量%
・フッ素界面活性剤(メガファックF−444、DIC株式会社製):1.0質量%
・防腐防カビ剤(プロキセルLV、アベシア社製):0.05質量%
・pH調整剤(トリエタノールアミン):0.3質量%
・純水:残量
・合計:100質量%
【0075】
(実施例4)
−インクの作製−
下記処方のインクを調製し、pHを調整した後、平均孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、インクを作製した。
<インク処方>
・製造例1のポリマーエマルジョン型のシアン顔料:22.91質量%
・製造例2のポリウレタン樹脂エマルジョン:14.80質量%
・有機溶剤としてのジエチレングリコールモノメチルエーテル:15.0質量%
・有機溶剤としてのプロピレングリコール:14.0質量%
・有機溶剤としての3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド:5.0質量%
・有機溶剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール:2.0質量%
・シリコーン界面活性剤(FZ−2104、東レ・ダウコーニング株式会社製):1.0質量%
・フッ素界面活性剤(メガファックF−444、DIC株式会社製):1.5質量%
・防腐防カビ剤(プロキセルLV、アベシア社製):0.05質量%
・pH調整剤(トリエタノールアミン):0.3質量%
・純水:残量
・合計:100質量%
【0076】
(実施例5)
−インクの作製−
下記処方のインクを調製し、pHを調整した後、平均孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、インクを作製した。
<インク処方>
・製造例1のポリマーエマルジョン型のシアン顔料:22.91質量%
・製造例2のポリウレタン樹脂エマルジョン:14.80質量%
・有機溶剤としてのジエチレングリコールモノメチルエーテル:15.0質量%
・有機溶剤としてのプロピレングリコール:14.0質量%
・有機溶剤としての3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド:5.0質量%
・有機溶剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール:2.0質量%
・シリコーン界面活性剤(FZ−2104、東レ・ダウコーニング株式会社製):1.0質量%
・フッ素界面活性剤(ユニダインDSN−403N、ダイキン工業株式会社製):1.0質量%
・防腐防カビ剤(プロキセルLV、アベシア社製):0.05質量%
・pH調整剤(トリエタノールアミン):0.3質量%
・純水:残量
・合計:100質量%
【0077】
(実施例6)
−インクの作製−
下記処方のインクを調製し、pHを調整した後、平均孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、インクを作製した。
<インク処方>
・製造例1のポリマーエマルジョン型のシアン顔料:22.91質量%
・製造例3のアクリルシリコーン樹脂エマルジョン:14.80質量%
・有機溶剤としてのジエチレングリコールモノメチルエーテル:15.0質量%
・有機溶剤としてのプロピレングリコール:14.0質量%
・有機溶剤としての3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド:5.0質量%
・有機溶剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール:2.0質量%
・シリコーン界面活性剤(FZ−2104、東レ・ダウコーニング株式会社製):1.0質量%
・フッ素界面活性剤(メガファックF−444、DIC株式会社製):1.0質量%
・防腐防カビ剤(プロキセルLV、アベシア社製):0.05質量%
・pH調整剤(トリエタノールアミン):0.3質量%
・純水:残量
・合計:100質量%
【0078】
(実施例7)
−インクの作製−
下記処方のインクを調製し、pHを調整した後、平均孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、インクを作製した。
<インク処方>
・製造例1のポリマーエマルジョン型のシアン顔料:22.91質量%
・製造例2のポリウレタン樹脂エマルジョン:14.80質量%
・有機溶剤としてのジエチレングリコールモノメチルエーテル:15.0質量%
・有機溶剤としてのプロピレングリコール:14.0質量%
・有機溶剤としての3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド:5.0質量%
・有機溶剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール:2.0質量%
・シリコーン界面活性剤(FZ−2104、東レ・ダウコーニング株式会社製):1.0質量%
・フッ素界面活性剤(サーフロンS−242、AGCセイミケミカル株式会社製):1.0質量%
・防腐防カビ剤(プロキセルLV、アベシア社製):0.05質量%
・pH調整剤(トリエタノールアミン):0.3質量%
・純水:残量
・合計:100質量%
【0079】
(実施例8)
−インクの作製−
下記処方のインクを調製し、pHを調整した後、平均孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、インクを作製した。
<インク処方>
・製造例1のポリマーエマルジョン型のシアン顔料:22.91質量%
・製造例2のポリウレタン樹脂エマルジョン:14.80質量%
・有機溶剤としてのジエチレングリコールモノメチルエーテル:15.0質量%
・有機溶剤としてのプロピレングリコール:14.0質量%
・有機溶剤としての3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド:5.0質量%
・有機溶剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール:2.0質量%
・シリコーン界面活性剤(L−7002、東レ・ダウコーニング株式会社製):1.0質量%
・フッ素界面活性剤(メガファックF−444、DIC株式会社製):0.5質量%
・防腐防カビ剤(プロキセルLV、アベシア社製):0.05質量%
・pH調整剤(トリエタノールアミン):0.3質量%
・純水:残量
・合計:100質量%
【0080】
(実施例9)
−インクの作製−
下記処方のインクを調製し、pHを調整した後、平均孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、インクを作製した。
<インク処方>
・製造例1のポリマーエマルジョン型のシアン顔料:22.91質量%
・製造例2のポリウレタン樹脂エマルジョン:14.80質量%
・有機溶剤としてのジエチレングリコールモノメチルエーテル:15.0質量%
・有機溶剤としてのプロピレングリコール:14.0質量%
・有機溶剤としての3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド:5.0質量%
・有機溶剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール:2.0質量%
・シリコーン界面活性剤(FZ−2104、東レ・ダウコーニング株式会社製):0.3質量%
・フッ素界面活性剤(メガファックF−444、DIC株式会社製):1.0質量%
・防腐防カビ剤(プロキセルLV、アベシア社製):0.05質量%
・pH調整剤(トリエタノールアミン):0.3質量%
・純水:残量
・合計:100質量%
【0081】
(実施例10)
−インクの作製−
下記処方のインクを調製し、pHを調整した後、平均孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、インクを作製した。
<インク処方>
・製造例1のポリマーエマルジョン型のシアン顔料:22.91質量%
・製造例2のポリウレタン樹脂エマルジョン:14.80質量%
・有機溶剤としてのジエチレングリコールモノメチルエーテル:15.0質量%
・有機溶剤としてのプロピレングリコール:14.0質量%
・有機溶剤としての3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド:5.0質量%
・有機溶剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール:2.0質量%
・シリコーン系界面活性剤(FZ−2104、東レ・ダウコーニング株式会社製):2.5質量%
・フッ素界面活性剤(メガファックF−444、DIC株式会社製):1.0質量%
・防腐防カビ剤(プロキセルLV、アベシア社製):0.05質量%
・pH調整剤(トリエタノールアミン):0.3質量%
・純水:残量
・合計:100質量%
【0082】
(実施例11)
−インクの作製−
下記処方のインクを調製し、pHを調整した後、平均孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、インクを作製した。
<インク処方>
・製造例1のポリマーエマルジョン型のシアン顔料:22.91質量%
・製造例2のポリウレタン樹脂エマルジョン:14.80質量%
・有機溶剤としてのジエチレングリコールモノメチルエーテル:15.0質量%
・有機溶剤としてのプロピレングリコール:14.0質量%
・有機溶剤としての3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド:5.0質量%
・有機溶剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール:2.0質量%
・シリコーン界面活性剤(FZ−2104、東レ・ダウコーニング株式会社製):0.3質量%
・フッ素界面活性剤(メガファックF−444、DIC株式会社製):0.5質量%
・防腐防カビ剤(プロキセルLV、アベシア社製):0.05質量%
・pH調整剤(トリエタノールアミン):0.3質量%
・純水:残量
・合計:100質量%
【0083】
(比較例1)
−インクの作製−
下記処方のインクを調製し、pHを調整した後、平均孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、インクを作製した。
<インク処方>
・製造例1のポリマーエマルジョン型のシアン顔料:22.91質量%
・製造例2のポリウレタン樹脂エマルジョン:14.80質量%
・有機溶剤としてのジエチレングリコールモノメチルエーテル:15.0質量%
・有機溶剤としてのプロピレングリコール:14.0質量%
・有機溶剤としての3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド:5.0質量%
・有機溶剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール:2.0質量%
・シリコーン界面活性剤(FZ−2104、東レ・ダウコーニング株式会社製):1.5質量%
・防腐防カビ剤(プロキセルLV、アベシア社製):0.05質量%
・pH調整剤(トリエタノールアミン):0.3質量%
・純水:残量
・合計:100質量%
【0084】
(比較例2)
−インクの作製−
下記処方のインクを調製し、pHを調整した後、平均孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、インクを作製した。
<インク処方>
<インク処方>
・製造例1のポリマーエマルジョン型のシアン顔料:22.91質量%
・製造例2のポリウレタン樹脂エマルジョン:14.80質量%
・有機溶剤としてのジエチレングリコールモノメチルエーテル:15.0質量%
・有機溶剤としてのプロピレングリコール:14.0質量%
・有機溶剤としての3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド:5.0質量%
・有機溶剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール:2.0質量%
・フッ素界面活性剤(ユニダインDSN−403N、ダイキン工業株式会社製):1.0質量%
・防腐防カビ剤(プロキセルLV、アベシア社製):0.05質量%
・pH調整剤(トリエタノールアミン):0.3質量%
・純水:残量
・合計:100質量%
【0085】
(比較例3)
−インクの作製−
下記処方のインクを調製し、pHを調整した後、平均孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、インクを作製した。
<インク処方>
・製造例1のポリマーエマルジョン型のシアン顔料:22.91質量%
・製造例2のポリウレタン樹脂エマルジョン:14.80質量%
・有機溶剤としての1,3−ブタンジオール:15.0質量%
・有機溶剤としてのプロピレングリコール:14.0質量%
・有機溶剤としての3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド:5.0質量%
・有機溶剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール:2.0質量%
・シリコーン界面活性剤(L−7002、東レ・ダウコーニング株式会社製):1.0質量%
・フッ素界面活性剤(メガファックF−444、DIC株式会社製):1.0質量%
・防腐防カビ剤(プロキセルLV、アベシア社製):0.05質量%
・pH調整剤(トリエタノールアミン):0.3質量%
・純水:残量
・合計:100質量%
【0086】
次に、作製した各インクについて、以下のようにして、インクの保存安定性、耐擦性、及び耐ビーディング性を評価した。結果を表1から表4に示した。
【0087】
<インクの保存安定性>
各インクをインク収容容器に充填して、70℃で2週間保存し、保存前の粘度に対する保存後の粘度の変化率を下記数式から求め、下記の基準で評価した。
【数1】
前記粘度の測定には、粘度計(RE500L、東機産業株式会社製)を使用し、サンプルの粘度に合わせて50回転もしくは100回転に調整して、25℃で測定した。
[評価基準]
◎:粘度の変化率が±5%以下
○:粘度の変化率が±5%を超え±30%以下
×:粘度の変化率が±30%を超える(ゲル化して評価不能)
【0088】
<耐擦性>
23℃、50%RHに調整された環境下で、記録媒体(ルミアートグロス 90gsm、STORA ENSO社製)に、インクジェットプリンタ(IPSiO GXe−5500、株式会社リコー製)を用いて、インク付着量0.75mg/cm
2のベタ画像を形成した。
次いで、温度100±2℃、湿度50±15%RHで1分間乾燥させ、CM−1型クロックメータに両面テープで取り付けた定量ろ紙(No.5A、アドバンテック東洋株式会社製)を印字部位に当てるように10往復させた後、綿布に付着したインクの反射濃度をX−Rite939(X−Rite社製)で測定し、定量ろ紙の地肌色を差し引いて、汚れ部の反射濃度を下記評価基準により判定した。
[評価基準]
◎:0.1未満
○:0.1以上0.2未満
×:0.2以上
【0089】
なお、前記記録媒体であるルミアートグロス 90gsm、STORA ENSO社製は、表裏両面に、主に変性澱粉、スチレン−ブタジエン共重合体、及び炭酸カルシウムを含む、厚み約10μm〜15μmの塗工層を有しており、以下のようにして測定した、25℃での接触時間100msにおける純水の転移量は、2.2mL/m
2、接触時間400msにおける純水の転移量は、4.0mL/m
2であった。
−純水の転移量の測定−
動的走査吸液計(型式:KS350D、協和精工株式会社製)を用いて、25℃で純水の吸収曲線を測定した。動的走査吸液計は、極めて短時間における吸液量を正確に測定できる装置であり、吸収曲線は転移量(mL/m
2)と接触時間の平方根√(ms)でプロットして一定の傾きを持つ直線とし、内挿により一定時間後の転移量の値を測定した。
【0090】
<耐ビーディング性の評価>
23℃、50%RHに調整された環境下で、記録媒体(ルミアートグロス 90gsm、STORA ENSO社製)に、インクジェットプリンタ(IPSiO GXe−5500、株式会社リコー製)を用いて、インク付着量0.75mg/cm
2のベタ画像を形成し、ベタ画像のビーディングの程度を目視で観察し、下記基準により評価した。インクの吐出量は均しくなるようにピエゾ素子の駆動電圧を変動させ、記録媒体に同じ付着量のインクが付くように設定を行った。印字モードは、プリンタ添付のドライバで「光沢紙−きれい」モードを「色補正なし」と改変したモードを使用した。
[評価基準]
◎:ビーディングの発生なく均一な印刷である
○:所々にビーディングの発生が認められる
×:甚だしいビーディングの発生が認められる
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】
【0094】
【表4】
【0095】
ここで、表1〜表4の略号の詳細な内容については、以下のとおりである。なお、表1〜表4中のポリウレタン樹脂エマルジョン及びアクリルシリコーン樹脂エマルジョンの含有量は、エマルジョンとしての含有量である。
・L−7002:シリコーン界面活性剤、東レ・ダウコーニング株式会社製、HLB=8
・L−7602:シリコーン界面活性剤、東レ・ダウコーニング株式会社製、HLB=11
・FZ−2104:シリコーン界面活性剤、ダウコーニング株式会社製、HLB=10
・F−444:フッ素界面活性剤、メガファックF−444、DIC株式会社製、HLB=8
・DSN−403N:フッ素界面活性剤、ユニダインDSN−403N、ダイキン工業株式会社製、HLB=10
・S−242:フッ素界面活性剤、サーフロンS−242、AGCセイミケミカル株式会社製、HLB=12
・プロキセルLV:防腐防かび剤、アベシア社製
ここで、前記フッ素界面活性剤及び前記シリコーン界面活性剤のHLBは、以下に示される式を用いてGriffin法により求めた値である。
HLB =20×(界面活性剤の親水部の式量/界面活性剤の分子量)
【0096】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 界面活性剤、有機溶剤、及び樹脂を含有するインクであって、
前記界面活性剤としてシリコーン界面活性剤及びフッ素界面活性剤を含み、
前記有機溶剤としてグリコールエーテル化合物を含むことを特徴とするインクである。
<2> 前記シリコーン界面活性剤の含有量Aと前記フッ素界面活性剤の含有量Bとの質量比率(A/B)が、0.3以上2.5以下である前記<1>に記載のインクである。
<3> 前記シリコーン界面活性剤の含有量Aと前記フッ素界面活性剤の含有量Bとの質量比率(A/B)が、0.5以上2.0以下である前記<2>に記載のインクである。
<4> 前記シリコーン界面活性剤の含有量が、0.5質量%以上2.0質量%以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載のインクである。
<5> 前記フッ素界面活性剤の含有量が、1.0質量%以上2.0質量%以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載のインクである。
<6> 前記フッ素界面活性剤のHLBが、6以上14以下である前記<5>に記載のインクである。
<7> 前記フッ素界面活性剤のHLBが、6以上11以下である前記<6>に記載のインクである。
<8> 前記シリコーン界面活性剤のHLBが、6以上14以下である前記<1>から<7>のいずれかに記載のインクである。
<9> 前記シリコーン界面活性剤のHLBが、8以上12以下である前記<8>に記載のインクである。
<10> 前記グリコールエーテル化合物が、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノエチルエーテルから選択される少なくとも1種である前記<1>から<9>のいずれかに記載のインクである。
<11> 前記グリコールエーテル化合物が、ジエチレングリコールモノメチルエーテルである前記<10>に記載のインクである。
<12> 前記樹脂が、ポリウレタン樹脂及びアクリルシリコーン樹脂の少なくともいずれかである前記<1>から<11>のいずれかに記載のインクである。
<13> 更に、水及び色材を含有する前記<1>から<12>のいずれかに記載のインクである。
<14> 色材が、顔料である前記<13>に記載のインクである。
<15> 前記<1>から<14>のいずれかに記載のインクを収容したインク収容部を有することを特徴とするインク収容容器である。
<16> インクを記録ヘッドのノズルから吐出させ、記録媒体に付与して記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクが、前記<1>から<14>のいずれかに記載のインクであることを特徴とするインクジェット記録方法である。
<17> 前記記録媒体が、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有してなり、25℃における、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録媒体への転移量が2mL/m
2以上35mL/m
2以下であり、かつ接触時間400msにおける純水の前記記録媒体への転移量が3mL/m
2以上40mL/m
2以下である前記<16>に記載のインクジェット記録方法である。
<18> 前記<15>に記載のインク収容容器と、インクの液滴を吐出させるための記録ヘッドと、を有することを特徴とするインクジェット記録装置である。
<19> 記録媒体と、前記記録媒体上に前記<1>から<14>のいずれかに記載のインクを用いて形成された画像と、を有してなることを特徴とする記録物である。
<20> 前記記録媒体が、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層とを有してなり、25℃における、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録媒体への転移量が2mL/m
2以上35mL/m
2以下であり、かつ接触時間400msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が3mL/m
2以上40mL/m
2以下である前記<19>に記載の記録物である。
【0097】
前記<1>から<14>のいずれかに記載のインク、前記<15>に記載のインク収容容器、前記<16>から<17>のいずれかに記載のインクジェット記録方法、前記<18>に記載のインクジェット記録装置、及び前記<19>から<20>のいずれかに記載の記録物によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。