特許第6794798号(P6794798)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6794798布地を加熱する装置、布地を保持するトレイ、布地に画像を付与する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794798
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】布地を加熱する装置、布地を保持するトレイ、布地に画像を付与する方法
(51)【国際特許分類】
   D06C 7/00 20060101AFI20201119BHJP
   D06B 11/00 20060101ALI20201119BHJP
   D06C 23/00 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   D06C7/00 Z
   D06B11/00 A
   D06C23/00
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-229296(P2016-229296)
(22)【出願日】2016年11月25日
(65)【公開番号】特開2018-84013(P2018-84013A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【弁護士】
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】出原 良
(72)【発明者】
【氏名】小幡 雄三
(72)【発明者】
【氏名】松本 和悦
(72)【発明者】
【氏名】見満 継頼
【審査官】 斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−066093(JP,A)
【文献】 特開2010−017971(JP,A)
【文献】 特開2007−031888(JP,A)
【文献】 特開2017−014670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 1/00 − 35/38
D06B 1/00 − 23/30
D06C 3/00 − 29/00
D06G 1/00 − 5/00
D06H 1/00 − 7/24
D06J 1/00 − 1/12
D06P 1/00 − 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体内に、
布地を保持するトレイを着脱自在に装着する受け部材と、
前記布地を加熱する加熱手段と、を備え、
前記受け部材に装着する前記トレイは、前記布地を保持したままで、前記布地に印刷する装置に対しても使用可能であり、
前記加熱手段は、
前記トレイに保持される前記布地に対向可能な平面部材と、
前記平面部材を加熱する発熱部材と、
前記発熱部材による前記平面部材側と反対側への熱の拡散を断熱する断熱部材と、を有する
ことを特徴とする布地を加熱する装置。
【請求項2】
前記平面部材は、前記トレイの前記布地を保持する面よりも大きい面を有している
ことを特徴とする請求項1に記載の布地を加熱する装置。
【請求項3】
前記平面部材は、前記断熱部材で保持され、前記断熱部材が前記装置本体に保持されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の布地を加熱する装置。
【請求項4】
前記平面部材は、面内方向に沿う方向に移動可能に配置されている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の布地を加熱する装置。
【請求項5】
布地を保持し、請求項1ないし4のいずれかに記載の布地を加熱する装置及び前記布地に印刷する装置のいずれにも装着可能である
ことを特徴とする布地を保持するトレイ。
【請求項6】
前記布地を備えている
ことを特徴とする請求項5に記載の布地を保持するトレイ。
【請求項7】
画像が付与される布地をトレイに保持する工程と、
前記トレイを、前記画像を印刷する装置に装着して、前記布地に印刷する印刷工程と、
前記印刷工程完了後、前記トレイを、前記印刷する装置から取り出し、前記請求項1に記載の布地を加熱する装置に装着して、前記布地を加熱する後工程と、を行う
ことを特徴とする布地に画像を付与する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は布地を加熱する装置、布地を保持するトレイ、布地に画像を付与する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被捺染媒体に前処理剤を塗布する前処理剤塗布部と、前処理剤が塗布された被捺染媒体を加熱しながら圧縮するプレス部と、プレス部により加熱されながら圧縮された被捺染媒体に印刷液を吐出する印刷液吐出部と、印刷液が吐出された被捺染媒体を加熱するヒーターとを備える捺染装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−183331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、布地に画像を付与する装置に対して、特許文献1に開示されているような1つの装置に、前処理剤塗布部と、プレス部と、印刷液吐出部と、ヒータとを備える構成では、必要な温度や加熱時間の上昇に伴い、より厳重な冷却、断熱などの構成が必要になるなどして、装置が大型化するという課題がある。
【0005】
そこで、布地に画像を印刷する装置(以下「印刷装置」という。)と、画像を定着させる装置(以下「定着装置」ともいう。)として使用する加熱装置とは、別の装置として設置されることが多い。そのため、布地を印刷装置にセットして印刷を行い、印刷された布地を取り外して、別の加熱装置に、印刷された布地をセットし直さなければならず、作業性が悪いという課題がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、布地に画像を付与するときの作業性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係る布地を加熱する装置は、
装置本体内に、
布地を保持するトレイを着脱自在に装着する受け部材と、
前記布地を加熱する加熱手段と、を備え、
前記受け部材に装着する前記トレイは、前記布地を保持したままで、前記布地に印刷する装置に対しても使用可能であり、
前記加熱手段は、
前記トレイに保持される前記布地に対向可能な平面部材と、
前記平面部材を加熱する発熱部材と、
前記発熱部材による前記平面部材側と反対側への熱の拡散を断熱する断熱部材と、を有する
構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、布地に画像を付与するときの作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る布地を加熱する装置(加熱装置)の外観斜視説明図である。
図2】同加熱装置の模式的説明図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る加熱装置の模式的説明図である。
図4】本発明の第3実施形態に係る加熱装置の模式的説明図である。
図5】同加熱装置の要部断面斜視説明図である。
図6】本発明に係る加熱装置で使用するトレイを使用可能な印刷装置の一例の外観斜視説明図である。
図7】同じく機構部の全体構成を説明する斜視説明図である。
図8】同じく図7と異なる方向から見た斜視説明図である。
図9】トレイであるカセットの一例の斜視説明図である。
図10】同じくカセットの外周カバーを開いた状態の斜視説明図である。
図11】同じくカセットの短手方向に沿う断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る布地を加熱する装置(以下、「加熱装置」という。)について図1及び図2を参照して説明する。図1は同加熱装置の外観斜視説明図、図2は同加熱装置の模式的説明図である。
【0011】
この加熱装置500は、装置本体501内に、画像が付与される布地400を保持するトレイであるカセット200を着脱自在に装着(単なる載置を含む意味である。)する受け部材503と、布地400を加熱する加熱手段504とを備えている。
【0012】
トレイであるカセット200は、布地400を保持したままで、布地400に画像を印刷する装置(印刷装置)に対しても使用可能である。
【0013】
加熱手段504は、カセット200に保持されている布地400に対向可能な平面部材541と、平面部材541を加熱する発熱部材であるヒータ542と、ヒータ542による平面部材541と反対側への熱を断熱する断熱部材543とを備えている。
【0014】
平面部材541の対向面は装置本体501内にセットされたカセット200に保持された布地400の露出した面に略平行に位置するよう構成されている。ここで、平面部材541は、装置本体501の筐体501aに保持部505によって保持されている。このとき加熱手段504は、カセット200がセットされた状態で、布地400に非接触で加熱する構成としているが、布地400に接触して加熱する構成とすることもできる。
【0015】
平面部材541は、例えばアルミなどの熱伝導性に優れた材料で形成し、ヒータ542による発熱で面温度がほぼ均一になるように加熱されることが好ましい。つまり、ヒータ542の加熱位置にかかわらず、面内でほぼ同じ温度に加熱されることが好ましい。
【0016】
ヒータ542は、平面部材541に接触して加熱する手段でも、赤外線ヒータのように平面部材541に非接触で加熱する手段でもよい。
【0017】
断熱部材543は、ヒータ542の上方に配置されており、ヒータ542で発生した熱が拡散することを防ぐとともに、ヒータ542で発生する熱が上方に拡散することを抑制することで平面部材541の温度上昇(加熱)の効率を向上する。また、ヒータ542で発生した熱が装置本体501の筐体501aに伝わることを抑制している。この場合、断熱部材543と筐体501aとの間に空隙506を設けるとより熱伝導を抑制できる。
【0018】
このように構成したので、印刷された布地400を保持するカセット200を加熱装置500内の受け部材503にセットし、扉502を閉じた状態で、加熱手段504のヒータ542に給電して発熱させることで、平面部材541が加熱される。
【0019】
平面部材541が加熱されることで、平面部材541に対向するカセット200の布地400が加熱される。
【0020】
このとき、平面部材541は面状発熱体となって布地400全体をほぼ均一な温度で加熱するので、布地400全体をムラなく加熱することができる。また、布地400に平面部材541を接触させることで加熱する構成の場合でも、布地400が直接ヒータ542に接触することがないので、コゲや変形、加熱ムラを低減することができる。
【0021】
また、断熱部材543はヒータ542の熱が上方に逃げることを抑制しているので、平面部材541が効率的に加熱されるとともに、装置本体501の筐体501aの温度上昇を抑制することができる。
【0022】
ここで、平面部材541は布地400よりも大きな面を有することで、カセット200のセット位置誤差に対するマージンを確保することができるとともに、平面部材541の周辺部近傍で発生する放熱による表面温度低下の影響が布地400に影響しないようにすることができる。
【0023】
次に、本発明の第2実施形態に係る加熱装置について図3を参照して説明する。図3は同加熱装置の模式的説明図である。
【0024】
加熱手段504は、断熱部材543で平面部材541を保持し、断熱部材543を装置本体501の筐体501aに保持している。断熱部材543は、ヒータ542による平面部材541と反対側への熱及びヒータ542の側方への熱を断熱する。
【0025】
つまり、前記第1実施形態のように、平面部材541を筐体501aに保持している場合、昇温した平面部材541から筐体501aに熱が伝導し、平面部材541の温度上昇が遅延することで定着にようする時間が長くなることがある。
【0026】
これに対し、本実施形態では、加熱部材から筐体への熱伝導経路はなくなる。よってより効率よく安全に加熱を行うことが可能となると同時に加熱部材5202で発生した熱が平面部材541にのみ伝達されるので、より高い効率で加熱することができる。
【0027】
次に、本発明の第3実施形態に係る加熱装置について図4及び図5を参照して説明する。図4は同加熱装置の模式的説明図、図5は同加熱装置の要部断面斜視説明図である。
【0028】
本実施形態では、装置本体501の筐体501aに固定した保持構造体507によって加熱手段504を保持している。保持構造体507は、平面部材541の面内方向に移動可能に加熱手段504を保持している。
【0029】
例えば図4に示すように、加熱手段504の平面部材541の両側部に設けた立ち上がり部508に、平面部材541の面内方向に沿うガイド穴510を形成し、保持構造体507にガイド穴510を通してガイドピン511を取り付けている。また、保持構造体507は、平面部材541の立ち上がり部508との間に隙間512を設けている。
【0030】
これにより、平面部材541はガイドピン511に軸方向に移動可能であるとともに、ガイド穴510の長手方向にも移動可能となり、面内方向に移動することができる。なお、高さ方向ではガイド穴510とガイドピン511によって移動が規制される。
【0031】
このように構成したので、平面部材541が温度上昇したときに平面部材541が変形することを防止できる。
【0032】
つまり、平面部材541として熱伝導率に優れた材料を使用することが好ましく、例えばアルミ材を使用する。アルミ材は線膨張係数が約2.3E−5であり、長さ300mm(A4用紙の長辺)の平面部材541の温度が、200度温度が上昇したとすると、およそ1.4mm長さが伸びることになる。
【0033】
ここで、平面部材541を鉄材の保持構造体507で固定していた場合には、5mm程度変形する。平面部材541を保持構造体507と同じ材料で形成して線膨張係数の差を無くしたとしても、ヒータ542によって加熱されている平面部材541の方の温度上昇が高くなるので、線膨張差による変形はなくならない。
【0034】
そこで、平面部材541を面内方向に沿う方向に移動可能に保持することで、平面部材541の変形を抑制でき、平面部材541の布地400との接触面平面度を精度良く保つことができる。
【0035】
次に、本発明に係る加熱装置で使用するトレイを使用可能な印刷装置の一例について図6ないし図8を参照して説明する。図6は同印刷装置の外観斜視説明図、図7は、同印刷装置の機構部の全体構成を説明する斜視説明図、図8は同じく図7と異なる方向から見た斜視説明図である。
【0036】
印刷装置1は、装置本体100内に、布地400を保持するトレイである前述したカセット200を着脱可能に保持して進退移動する受け部材であるステージ111と、ステージ111で保持されたカセット200に保持されている布地400に印刷する印刷手段112とを備えている。
【0037】
ここで、布地400としては、ハンカチ、タオルなどの一枚の布地で形成されるものだけではなく、Tシャツ、トレーナーなどの衣服として加工された布地、トートバック等の製品の一部となっている布地にも用いることができる。
【0038】
ステージ111は、装置本体100に対して矢印Y方向(送り方向)に移動可能に保持された搬送構造体113上に設けられている。ここでは、装置本体100の底部筐体部114に矢印Y方向に沿って搬送ガイド部材115が配置され、搬送構造体113のスライダ部116が搬送ガイド部材115によって移動可能に保持されている。また、ステージ111は、搬送構造体113にロッド117で昇降可能に配置され、印刷手段112のヘッド122との間のギャップを調整可能とする。
【0039】
印刷手段112は、ステージ111に対して矢印X方向(主走査方向)に移動するキャリッジ121と、キャリッジ121に搭載されたヘッド122とを備えている。キャリッジ121は、矢印X方向に沿って配置されたガイド部材123で移動可能に保持され、駆動モータ124によってタイミングベルト125などの走査機構部を介して矢印X方向に往復移動される。ヘッド122は液体吐出ヘッドを用いて、インクを布地表面に吐出して画像の形成を行っているが、これに限るものではない。
【0040】
この印刷装置1においては、カセット200のプラテン300に布地400をセットした状態で、装置本体100内のステージ111にカセット200を装着して保持する。そして、ステージ111の矢印Y方向への移動とヘッド122の矢印X方向への往復移動を繰り返すことで、布地400に所要の画像を印刷する。
【0041】
次に、トレイであるカセットの一例について図9ないし図11も参照して説明する。図9は同カセットの斜視説明図、図10は同じくカセットの外周カバーを開いた状態の斜視説明図、図11は同じくカセットの短手方向に沿う断面説明図である。
【0042】
カセット200は、トレイベース部材であるカセットベース201と、布地400の印刷が施される部分を平坦な状態で保持する布地保持部材であるプラテン部材300とを有している。
【0043】
プラテン部材300は、プラテン構造体302と、布地400を平坦な状態で保持する面を構成する断熱部材301とで構成されている。断熱部材301は、加熱装置500による加熱に対して耐熱性を有する。
【0044】
そして、カセットベース201には、外周カバー部材であるプラテン外周カバー202がヒンジ203で矢印方向に開閉可能に設けられている。プラテン外周カバー202は、プラテン部材300に対応する部分に開口部202aを有し、プラテン部材300の外周部分のフランジ部300aとの間で布地400を押さえる。
【0045】
プラテン部材300はカセットベース201に対して支持部311で支持して、プラテン部材300とカセットベース201との間には布地400の余剰部分400aを収容できる収容空間312を形成している。余剰部分400aは、例えばTシャツの前面に印刷を行う場合においては、両袖や襟口、すそ等が該当する。
【0046】
ここで、プラテン部材300はカセットベース201から着脱可能であり交換可能に形成されている。これによりプラテン部材300を複数用意し、印刷動作中に別のプラテン部材300に衣類を巻き付けておくことができ、印刷、定着終了後にプラテン部材300を交換するだけで速やかに次の布地の印刷を開始することができる。
【0047】
このカセット200に布地400をセットするときには、図10に示すように、プラテン外周カバー202を開いて、プラテン部材300上に布地400をセット(保持)する。このとき、布地400の余分な部分(余剰部分)400aを図11に示すように、収容空間312内に収容した状態で、図9に示すように、プラテン外周カバー202を閉じる。
【0048】
そして、布地400に画像を付与するときには、前述した図5に示すように、布地400をセットしたカセット200を印刷装置1の装置本体100のステージ111上に装着する(セットする)。
【0049】
このように、カセット200は装置本体100から全体を取り出した状態にして印刷対象である布地400をプラテン部材300上にセットすることができるので、プラテン部材300への布地400のセット作業が容易になる。
【0050】
このようなカセット200は印刷装置1で印刷が完了した後、布地400を保持したまま、前述した加熱装置500の受け部材503にセットし、画像が印刷された布地400を加熱することができる。
【0051】
このように、画像が付与される布地400をトレイ(カセット200)に保持する工程と、カセット200を印刷装置1に装着して布地400に印刷する印刷工程と、印刷工程完了後、カセット200を印刷装置1から取り出し、布地400を保持したままカセット200を加熱装置500に装着して、布地400を加熱する後工程とを行って、布地400に画像を付与する。
【0052】
なお、本発明における「トレイ」とは、印刷装置と加熱装置ないし定着装置とに着脱できる構成を備えていれば形状等は上記実施形態のカセットのような箱状の形態に限られるものではない。具体的には、印刷装置と定着装置とに挿入可能に形成された一枚の板状のプラテン部材であってもよい。
【0053】
また、より作業性を向上するために、このようなトレイに対し、印刷時に作業者が毎回布地(Tシャツ等)をトレイにセットする工程をなくすために、布地(Tシャツ等)をセット済みのトレイを利用することもできる。この場合、使用後のトレイは回収され、再び布地がセットされた状態で供給される。
【0054】
さらに、同様の効果を奏するために、トレイに着脱可能に形成されたプラテン部材に布地(Tシャツ等)をセットした布地セット済みのプラテン部材を利用することもできる。使用する場合は、この布地セット済みのプラテン部材をそのままトレイに装着し、印刷、定着が完了したあとに、トレイからプラテン部材を取り外し、次の布地セット済みのプラテン部材をトレイに装着し、印刷、定着が行われる。この場合、使用後のプラテン部材は回収され、再び布地がセットされた状態で供給される。
【0055】
このようにすることで、作業者が毎回布地(Tシャツ等)をセットする必要がなく、複数枚の連続処理が容易になり、複数枚の連続処理を自動化することも可能となる。
【0056】
また、上記実施形態では、布地がTシャツなどである場合について説明しているが、例えば布地を含めて、加熱対象を媒体(メディア)とする場合にも本発明を同様に適用することができる。この場合には、前記実施形態における「布地」が媒体となる。
【符号の説明】
【0057】
1 印刷装置
100 印刷装置の装置本体
111 ステージ(受け部材)
122 ヘッド
200 カセット(トレイ)
300 プラテン
400 布地
500 加熱装置
501 装置本体
503 受け部材
504 加熱手段
507 保持構造体
541 平面部材
542 ヒータ(発熱手段)
543 断熱部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11