(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施形態に係る縦型熱処理装置1について、
図1〜
図3を夫々参照しながら説明する。図中11は、装置1の筐体であり、この筐体11内には、基板であるウエハWが収納されるキャリアCを装置に対して搬入、搬出するための搬入搬出領域S1と、キャリアC内のウエハを搬送して後述の反応容器(熱処理炉)内に搬入するためのローディングエリアS2と、が設けられている。搬入搬出領域S1とローディングエリアS2とは隔壁12により仕切られており、搬入搬出領域S1は大気雰囲気とされ、ローディングエリアS2は不活性ガス雰囲気例えば窒素(N2)ガス雰囲気又は清浄乾燥気体(パーティクル及び 有機成分が少なく、露点−60℃以下の空気)雰囲気とされている。
【0013】
搬入搬出領域S1は、第1の領域13と、この第1の領域13に対してローディングエリアS2側に設けられた第2の領域14とからなり、第1の領域13には、キャリアCを載置するための第1の載置台15が設けられている。キャリアCとしては、基板である例えば直径300mmのウエハWが複数枚例えば25枚棚状に配列されて収納され、前面の図示しない取り出し口が蓋体により塞がれた密閉型の搬送容器(FOUP)が用いられる。
【0014】
第2の領域14には第2の載置台16とキャリア保管部17が設けられると共に、キャリアCを第1の載置台15、第2の載置台16並びにキャリア保管部17の間で搬送するキャリア搬送機構18が設けられている。図中21は、キャリアCとローディングエリアS2とを連通する開口部であり、22は当該開口部21の扉、23はキャリアCの蓋体を開閉する蓋開閉機構である。
【0015】
ローディングエリアS2の上方には、下端が炉口として開口する縦型の熱処理炉である反応容器24が設けられている。反応容器24の下方にはシャッタ241が設けられ、通常はこのシャッタ241は炉口から退避しており、熱処理後に炉口を塞いで炉内からローディングエリアS2への熱輻射を防ぐ役割を有する。さらに、ローディングエリアS2における反応容器24以外の領域には、例えば反応容器24の開口部近傍の高さ位置に天井部242が形成されている。
【0016】
ローディングエリアS2における反応容器24の下方側には、多数枚のウエハWを棚状に所定の配列間隔に配列保持する基板保持具であるウエハボート3が設けられている。このウエハボート3は、例えば天板31と底板32との間に例えば4本(
図2、
図3では3本のみ図示)の支柱33を備えており、この支柱33に形成された図示しない溝部にウエハWの周縁部が保持されて、例えば100枚のウエハWを所定の間隔で上下に配列して保持できるように構成されている。底板32の下部には支持部34が設けられている。なお、
図2等では、反応容器24及びウエハボート3の長さ寸法は、実際よりも短く描いている。
【0017】
一方、反応容器24の下方側には、ボートエレベータ35が設けられている。ボートエレベータ35は昇降自在に構成され、その上には、反応容器24の蓋体243と、ステージ36とが、この順序で設けられており、このステージ36の上にウエハボート3が支持部34を介して搭載される。ボートエレベータ35は、
図3に示すように、上下方向に伸びるガイドレール351に沿って移動機構352により昇降自在に構成され、こうしてウエハボート3は、ロード位置とアンロード位置との間で昇降される。ロード位置とは、ウエハボート3が反応容器24内に搬入され、反応容器24の開口部を蓋体243が覆う位置であり、アンロード位置とは、ウエハボート3が反応容器24の下方側に搬出される位置(
図1、
図3に示す位置)である。
【0018】
ローディングエリアS2には、ウエハボート3に対してウエハWの受け渡しを行うための基板搬送機構であるウエハ搬送機構4が設けられている。このウエハ搬送機構4によりアンロード位置にあるウエハボート3から熱処理後のウエハWが取り出されて、第2の載置台16上のキャリアC内に収納される。ウエハ搬送機構4は、ウエハWを保持する複数枚例えば5枚のフォーク41と、これらフォーク41を保持する保持機構42と、保持機構42を進退自在に支持する搬送基体43と、を備えている。この搬送基体43は、駆動機構44により鉛直軸回りに回動自在、及び上下方向に伸びるガイドレール45に沿って昇降自在に構成されると共に、左右方向に伸びるガイドレール46に沿って左右方向に移動自在に構成されている。
図1及び
図2等には、ウエハ搬送機構4を簡略的に描いている。
【0019】
ローディングエリアS2には、反応容器24から搬出されたウエハボート3に保持されているウエハWの反りを検出するための反り検出部5が、アンロード位置にあるウエハボート3の外側であって、ウエハボート3の昇降を妨げない位置に設けられている。反り検出部5は例えば透過型光センサーよりなり、
図1、
図3及び
図4に示すように、ウエハボート3を挟んで対向するように設けられた発光部51と受光部52と、を備えている。この例の反り検出部5は、ウエハボート3に搭載された全てのウエハWに対して、ウエハW毎に設けられ、ウエハボートに例えば100枚のウエハWが搭載されている場合には、100個の発光部51及び受光部52がウエハボート3の長さ方向に沿って上下に配列されている。
【0020】
発光部51及び受光部52は、例えばアンロード位置にあるウエハボート3に搭載された検査対象のウエハWに対して、例えばその直径近傍のウエハW表面の直上に水平な光軸を形成するように配置されている。
図5に、上に凸に反りがあるウエハW11、W12と、反りがないウエハW13、W14と、を示す。この図に示すように、光軸Lは上下方向に幅があり、反りがないウエハW13、W14は光軸Lを遮断しないため、受光部52における受光量が大きい。一方、反りがあるウエハW11、W12は光軸Lを遮断するため、受光部42における受光量が小さくなり、例えば反りが大きいウエハW11は、反りの小さいウエハW12に比べて光軸Lの遮断量が多くなるため受光量が減少する。
【0021】
同様に
図6に、下に凸に反りがあるウエハW21、W22と、反りがないウエハW23、W24と、を示す。このように下に凸に反りがあるウエハW21、W22においても、反りが大きいウエハW21は、反りの小さいウエハW22に比べて光軸Lの遮断量が多くなるため、受光部52における受光量が減少する。このため、受光部52における受光量に基づいて、ウエハWの反りの有無や、反りの大きさを把握することができる。受光部52における検出結果は後述する制御部100に出力される。
【0022】
さらに、ローディングエリアS2には、アンロード位置にあるウエハボート3に保持されているウエハWに冷却ガスを吹き付けるように構成された冷却ガス吹付機構6が設けられると共に、この冷却ガス吹付機構6と対向するように吸気機構7が設置されている。冷却ガス吹付機構6及び吸気機構7は、例えばローディングエリアS2において、ウエハボート3の昇降及び、反り検出部5によるウエハWの反りの検出を妨げない位置に設けられる。この例では、吸気機構7は、ボートエレベータ35のガイドレール351側に設置され、この吸気機構7とアンロード位置にあるウエハボート3を挟んで対向するように冷却ガス吹付機構6が設置されている。
【0023】
冷却ガス吹付機構6は、
図4に示すように、ウエハボート3に沿って複数段に分割され、例えばウエハボート3の長さ方向に沿って上下方向に配列された、複数例えば3本のガス供給管61〜63を備えている。ここでは、上側から順に第1のガス供給管61、第2のガス供給管62、第3のガス供給管63とする。これら第1、第2、第3のガス供給管61、62、63における、夫々のウエハボート3に臨む領域には、例えばその長さ方向に沿って、多数のガス吐出口611、621、631が所定間隔を開けて夫々形成されている。
【0024】
第1のガス供給管61は、アンロード位置にあるウエハボート3の上部領域例えば上から1枚目のウエハから30枚目のウエハ辺りを目掛けて冷却ガスを吹き付けるように配置される。また、第3のガス供給管63は、アンロード位置にあるウエハボート3の下部領域例えば下から1枚目のウエハから30枚目のウエハ辺りを目掛けて冷却ガスを吹き付け、第2のガス供給管62は、ウエハボート3の中央領域のウエハを目掛けて冷却ガスを吹き付けるように夫々配置される。この例では、上下方向に第1〜第3のガス供給管61〜63を並べて描いているが、1本のガス供給管の内部を複数段に分割するようにしてもよい。
【0025】
第1〜第3のガス供給管61〜63は、夫々開閉バルブ及びマスフローコントローラ等を含む流量調整部612、622、632を備えたガス供給路613、623、633、共通のガス供給路641を介して、冷却ガスである不活性ガス例えば窒素(N2)ガスの供給源64に接続されている。これにより、第1〜第3のガス供給管61〜63は、互いに独立して冷却ガスの流量が調整でき、夫々のガス供給管61〜63から所定流量の冷却ガスがウエハボート3のウエハWに向けて吹き付けられる。
【0026】
供給源64からの冷却ガスの供給量は同じであるが、流量調整部612、622、632により、第1〜第3のガス供給管61〜63への冷却ガスの分配量が調整される。このため、例えばウエハボート3の上部側を重点的に冷却したいときには、第1のガス供給管61への冷却ガスの分配量を第2及び第3のガス供給管62、63よりも多くするように、流量調整部612、622、632を制御する。
【0027】
また、吸気機構7は、例えば冷却ガス吹付機構6の第1〜第3のガス供給管61〜63に対応するように、ウエハボート3の長さ方向に沿って上下方向に配列された吸気ダクト71〜73を備えている。ここでは、上側から順に第1の吸気ダクト71、第2の吸気ダクト72、第3の吸気ダクト73とする。これら第1、第2、第3の吸気ダクト71、72、73における、夫々のウエハボート3に臨む領域には、例えば細長い吸気口711、721、731が夫々形成されている。この例では、上下方向に第1〜第3の吸気ダクト71〜73を並べて描いているが、1本の吸気ダクトの内部を複数に分割するようにしてもよい。
【0028】
第1〜第3の吸気ダクト71〜73は、夫々開閉バルブ712、722、732を備えた吸気路713、723、733、共通の吸気路741を介して吸気機構74に接続されている。これにより、第1〜第3の吸気ダクト71〜73の夫々は独立して吸気できるように構成される。第1〜第3のガス供給管61〜63の流量調整部612、622、632、第1〜第3の吸気ダクト71〜73の開閉バルブ712、722、732は、後述する制御部100により駆動制御される。
【0029】
続いて、縦型熱処理装置1に設けられる制御部100について説明する。制御部100は、例えばコンピュータからなり、プログラム、メモリ、CPUからなるデータ処理部を備えていて、プログラムには制御部100から縦型熱処理装置1の各部に制御信号を送り、後述の搬送順序を進行させるように命令(各ステップ)が組み込まれている。また、コンピュータの画面は、例えば後述する検査結果を表示する表示部として構成される。このプログラムは、コンピュータ記憶媒体例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)等の記憶部に格納されて制御部100にインストールされる。
【0030】
また、プログラムには、反り検出部5を用いてウエハWの反りの有無を検出するためのプログラムや、この検出結果に基づいて、ウエハ搬送機構4や、冷却ガス吹付機構6の流量調整部612、622、632、吸気機構7の開閉バルブ712、722、732に制御信号を出力するプログラムが含まれている。反りの有無を検出するプログラムは、例えば受光部52における受光量の閾値を予め設定しておき、受光量の検出値が閾値よりも大きい場合には反りがないと判定し、閾値以下の場合には反りがあると判定するように構成されている。
【0031】
こうして、制御部100は、例えば反り検出部5により、予め設定されたタイミングで全てのウエハWの反りを検出し、この検出結果に基づいて、反りがないと判定されたウエハWを、ウエハ搬送機構4によりウエハボート3から取り出すための制御信号を出力するように構成されている。また、反りがあると判定されたウエハWが含まれる領域に対応する冷却ガスの流量を、反りがないと判断されたウエハWが含まれる領域に対応する冷却ガスの流量よりも多くするように制御信号を出力するように構成されている。
【0032】
このような縦型熱処理装置の作用について、
図7のフローチャートを参照しながら説明する。図示しない自動搬送ロボットにより第1の載置台15に載置されたキャリアCは、キャリア搬送機構18により第2の載置台16に搬送され、蓋開閉機構23によりキャリアCから蓋体が取り外される。そして、ウエハ搬送機構4は、キャリアC内のウエハWを順次取り出してウエハボート3に受け渡し(ステップS1)、所定枚数のウエハWが搭載されると、ウエハボート3はボートエレベータ35の上昇により反応容器24内のロード位置に搬入される(ステップS2)。
【0033】
そして、ウエハボート3に搭載されたウエハWに対して例えば400〜1000℃の温度で、熱処理例えばCVD、アニール処理、酸化処理などが行われる(ステップS3)。熱処理が終了すると(ステップS4)、ボートエレベータ35が下降して、熱処理後のウエハボート3が反応容器24から搬出(アンロード)される(ステップS5)。
【0034】
ウエハボート3の搬出を開始する(ステップS5)と、例えば冷却ガス吹付機構6からウエハボート3へ向けて冷却ガスの吹き付けを開始する(ステップS6)。例えば
図8に示すように、ウエハボート3のアンロード位置に対応して、先ず第1の冷却ガス供給管61から冷却ガスの吹き付けと、第1の吸気ダクト71からの吸気を開始する。次いで、ウエハボート3の位置が下降すると、第2の冷却ガス供給管62からの冷却ガスの吹き付けと、第2の吸気ダクト72からの吸気を開始し(
図9参照)、ウエハボート3の位置がさらに下降すると、第3の冷却ガス供給管63からの冷却ガスの吹き付けと、第3の吸気ダクト73からの吸気を開始する(
図10参照)。こうして、ウエハボート3をアンロード位置に搬出した後所定時間、第1〜第3の吸気ダクト71〜73から吸気しながら、冷却ガスを第1〜第3のガス供給管61〜63から例えば同じ流量でウエハボート3に対して吹き付ける。
【0035】
冷却ガス吹付機構6からウエハボート3に向けて吹き付けられた冷却ガスは、冷却ガス吹付機構6とウエハボート3を介して対向するように設けられた吸気ダクト7に向けて、ウエハボート3に搭載されたウエハWの表面と接触しながら横方向に通流していく。熱処理されたウエハWは、熱影響により反った状態となるが、冷却ガスの吹き付けにより冷却され、ウエハWの温度が低下するに連れてウエハWの反りの程度が小さくなり、反りがない状態に落ち着いていく。ウエハボート3では、反応容器24に近い上部領域は、熱源に近く、また最も遅く反応容器24から搬出されるため、ウエハボート3がアンロード位置に下降したときには、他の領域のウエハWに比べて反りの程度が大きい傾向にある。このように反りが大きいウエハWにおいても、ウエハ温度の低下に伴い、次第に反りが改善される。
【0036】
そして、ウエハボート3がアンロード位置まで下降してから、例えば所定時間経過後、予め設定されたタイミングで反り検出部5によりウエハボート3の全てのウエハWについて反りの有無を検出する(ステップS7)。この検出は、既述のように、発光部51から発光した光を受光部52にて受光し、この受光部52の検出結果(受光量)に基づいて、制御部100にて受光量が閾値を超えるか否かを判定することにより行う。そして、例えばウエハボート3に搭載されたウエハWの配置と、反りの有無と、を対応付けたデータを作成し、このデータに基づいて、制御信号をウエハ搬送機構4と、冷却ガス吹付機構6に出力する。
【0037】
つまり、ウエハ搬送機構4に、反りがないと判定されたウエハWをウエハボート3から取り出して、例えばキャリアC内に収納するように制御信号を出力する。(ステップS8)ここで、ウエハ搬送機構4は既述のように5枚のフォーク41を備えており、ウエハWは5枚毎にウエハボート3から取り出される。従って、例えばウエハ搬送機構4がアクセスする5枚のウエハWの全てに反りがないと判定されたときに、ウエハボート3からのウエハWの取り出しが行われる。
【0038】
また、冷却ガス吹付機構6に、反りがあると判定されたウエハWが含まれる領域に対しては、反りがないと判定されたウエハWが含まれる領域に対応する冷却ガスの流量よりも多い流量で冷却ガスを吹き付けるように、制御信号を出力する(ステップS9)。例えばウエハボート3の上部領域、中央領域、下部領域の夫々において、反りのあるウエハWの枚数を把握し、最も反りのあるウエハWが多い例えば上部領域を「反りがあると判定されたウエハWが含まれる領域」とし、他の領域を「反りがないと判定されたウエハWが含まれる領域」とする。そして、例えば上部領域に冷却ガスを多く吹き付けるように、流量調整部612、622、632が制御される。
【0039】
また、例えばウエハボート3の上部領域、中央領域、下部領域の夫々において、最も反りのあるウエハWが多い例えば上部領域を「反りがあると判定されたウエハWが含まれる領域」とし、最も反りのあるウエハWが少ない例えば下部領域を「反りがないと判定されたウエハWが含まれる領域」とする。そして、例えば上部領域に冷却ガスが最も多く、下部領域に冷却ガスが最も少なく吹き付けるように、流量調整部612、622、632を制御してもよい。
【0040】
さらに、例えば第1〜第3の冷却ガス供給管61〜63の冷却ガスの分配量について、同じ流量で分配するときと、夫々異なる流量で分配するときと、いずれか一つの分配量を多くするときと、いずれか一つの分配量を少なくするときの夫々について設定しておく。そして、ウエハボート3の上部領域、中央領域、下部領域に存在する反りのあるウエハWの枚数に応じて、適宜分配量を選択し、冷却ガスの流量を調整するようにしてもよい。
【0041】
さらにまた、例えば予めウエハボート3の上部領域、中央領域、下部領域に存在する反りのあるウエハWの枚数と、流量調整部612、622、632の制御値と、を対応付けておき、この対応に基づいて制御するようにしてもよい。このとき、例えば反りがないと判定されたウエハWが含まれる領域には、冷却ガスの吹き付けを停止するようにしてもよい。これにより、反りが大きいウエハWが含まれる領域に対しては、局所的に多くの冷却ガスが吹き付けられるので、当該領域のウエハWが速やかに冷却され、短時間で反りの程度が小さくなる。
【0042】
例えば反り検出部5による受光量の検出は予め設定されたタイミング例えば15秒毎に行って、ウエハWの反りの有無を判定する。そして、反りのないウエハWはウエハ搬送機構4によりウエハボート3から取り出され、反りがあるウエハWを含む領域には、冷却ガスの供給流量を多くする。こうして、全てのウエハWについて、反りがないと判定されたウエハWから順に、ウエハボート3より取り出しが行われる。例えば冷却ガスは、ウエハWの取り出しが終了したタイミングで吹き付けが停止される。また、対応する領域のウエハWについて反りがないと判定されたタイミングで、当該領域に対する冷却ガスの吹き付けを停止するようにしてもよい。
【0043】
この実施の形態によれば、ウエハWをウエハボート3に棚状に保持して反応容器24内に搬入して熱処理を行うにあたり、反応容器24から搬出されたウエハボート3に保持されている熱処理後のウエハWの反りを検出し、反りがないと判定されたウエハWを、ウエハ搬送機構4によりウエハボート3から取り出している。このため、熱処理により発生した反りが収束するタイミングでウエハWの取り出しを開始できるので、取り出し可能なウエハWの待機時間を削減でき、生産性の向上を図ることができる。
【0044】
また、反りのないウエハWから取り出しが行われるため、仮に他のウエハWに反りがあるとしても、この反りのないウエハWの取り出しが行われる間に、他のウエハWについても反りが収束していく。このように、取り出し可能なウエハWから順次ウエハボート3から取り出すことによって、結果的に全てのウエハWを取り出すまでの時間が短縮され、より一層生産性の向上を図ることができる。
【0045】
さらに、反りがないと判定されたウエハWをウエハボート3から取り出すので、ウエハWの反りが起因となる、ウエハ搬送機構4やキャリアCとウエハWとの衝突やウエハWの落下等の事故を防止することができる。これにより、ウエハWやウエハ搬送機構4、キャリアCの損傷を抑制することができ、この点からも生産性の向上を図ることができる。
【0046】
また、ウエハボート3に載置されている全てのウエハWに対して反りを検出しているので、確実に反りがないウエハWの取り出しが実行される。このため、既述のような、ウエハWの反りが起因となる事故の発生が極めて少なくなり、生産性が向上する。さらに、反り検出部5は、発光部51及び受光部52を含む構成なので、構成が容易であり、かつ精度の高い反り検出を行うことができる。
【0047】
さらに、冷却ガス吹付機構6を設け、反りがあると判定されたウエハWが含まれる領域に対応する冷却ガスの流量を多くするように制御している。このため、反りがあるウエハが存在する領域を局所的に冷却することができ、反りの収束を早めることができる。これにより、ウエハボート3に搭載されている全てのウエハWについて、反りが収束するまでの時間が短縮でき、より一層生産性の向上を図ることができる。
【0048】
以上においては、本発明の縦型熱処理装置の運用方法については、上述の例に限られるものではなく、ウエハボート3のアンロード位置への搬出が完了した後に、第1〜第3の冷却ガス供給管61〜63から冷却ガスの吹き付けを開始してもよい。
また、ウエハボート3がアンロード位置に搬出された後、ウエハWの反りの検出を行い、反りがあると判定されたウエハWが含まれる領域に対しては、反りがないと判定されたウエハWが含まれる領域に対応する冷却ガスの流量よりも多い流量で冷却ガスを吹き付けるように、流量調整部を612、622、632を制御する。
【0049】
そして、反り検出部5による反り量の検出を、例えば15秒毎に行って反りの有無を判定し、反りがあるウエハWを含む領域には、選択的に冷却ガスを多く吹き付ける。こうして、全てのウエハWについて反りがないと判定されると、ウエハWへの冷却ガスの吹き付けを停止し、ウエハWの取り出しを開始するようにしてもよい。この場合であっても、ウエハボート3に搭載されたウエハWについて、反りがないと判定されたタイミングでウエハWの取り出しを行うことができるので、生産性の向上を図ることができる。
【0050】
また、最も熱影響が少ないウエハボート3の下部領域への冷却ガスの分配量を多くして、当該領域のウエハWの反りの収束を早め、当該領域のウエハWの取り出しを行うようにしてもよい。そして、下部領域のウエハWの反りがないと判定されると、下部領域への冷却ガスの吹き付けを停止して、ウエハボート3の中央領域や上部領域への冷却ガスの分配量を多くして、ウエハWの反りの収束を早めるようにしてもよい。
【0051】
以上において、反り検出部5は、全てのウエハWに対してウエハW毎に設ける必要はなく、例えば
図11に示すように、ウエハボート3の上部側のウエハWに対応する位置のみに設置するようにしてもよい。そして、例えば制御部100を、一のウエハWの検出結果に基づいて、当該一のウエハWの温度と比較して同程度または低い温度である他のウエハWについては、反り検出部5による反りの検出を行わずに、ウエハボート3からウエハWを取り出す制御信号を出力するように構成する。
【0052】
既述のように、ウエハボート3の上部側は熱影響が一番大きく、この領域のウエハWは、他の領域のウエハWに対してウエハ温度が高く、反りが大きい傾向にある。従って、例えばウエハボート3の上部領域の最下段のウエハWの温度は、当該ウエハWよりも下部側にあるウエハWの温度と比較して高いまたは同程度の温度と推定することができる。こうして、例えば上部領域の最下段のウエハWの検出結果に基づいて、当該ウエハWについて反りがないと判定したときに、下部領域や中央領域のウエハWをウエハボート3から取り出すように、ウエハ搬送機構4に制御信号を出力する。
【0053】
また、ウエハWの反りの検出結果に基づいて、冷却ガス吹付機構6や吸気機構7に制御信号を出力し、例えば上部領域における反りのあるウエハの枚数が設定枚数よりも多い場合には、当該領域への冷却ガスの流量を多くするように制御するようにしてもよい。さらに、制御部100は、反りが収束する時間を予め把握しておき、上部領域におけるウエハWに反りがある場合でも、反りの大きさがある値よりも小さい場合に、他の領域におけるウエハWについて反りがないと判定してもよい。この例においても、ウエハボート3に搭載されたウエハWについて、反りがないと判定されたタイミングでウエハWの取り出しを行うことができるので、生産性の向上を図ることができる。
【0054】
また、反り検出部5は、
図12に示すように、ウエハボート3の中央部のウエハWに対応する位置のみに設置するようにしてもよい。この領域のウエハWは、当該領域よりも上方側の領域のウエハWよりは温度が低くて反りが小さく、当該領域よりも下方側の領域のウエハWよりは温度が高くて反りが大きい傾向にある。ウエハWの反りを検出する領域を一の領域とすると、例えば制御部100を、一の領域における最下段のウエハWに反りがないと判定したときに、下方側の領域のウエハWについても反りがないと判定して、この下方側の領域から順番にウエハWの取り出しを行うように制御する。
【0055】
下方側領域と一の領域のウエハWの取り出し作業を実行する間に、上方側領域のウエハWの反りも収束するが、例えば予め一の領域のウエハWの反りがないと判定された時から上方側領域のウエハWの反りが収束するまでの収束時間を把握しておき、上方側領域のウエハWについては、収束時間経過後に取り出しを行うようにしてもよい。この例においても、ウエハボート3に搭載されたウエハWについて、反りがないと判定されたタイミングでウエハWの取り出しを行うことができるので、生産性の向上を図ることができる。
【0056】
以上に説明したように、「反り検出部から出力される信号に基づいて反りがないと判定されたウエハW」には、一のウエハWについて反り検出部5で反りを検出し、他のウエハWについては反り検出部で反りを検出することなく、一のウエハWの反りの検出結果を代用して反りの判定を行う場合において、当該他のウエハWも含む。また、「反り検出部から出力される信号に基づいて反りがないと判定されたウエハW」には、一のタイミングで反りが検出され、その反りの程度から反りがないと推定される時間経過後のウエハWも含む。
【0057】
続いて、反り検出部の他の例について説明する。
図13〜
図16は、反射型光センサーよりなる反り検出部の例である。
図13に示す反り検出部53は、反射体531と、センサー部532とを備え、
図14に簡略的に示すように、センサー部532には、発光部533及び受光部534が設けられている。反射体531は例えば鏡面ステンレス製の板状体からなり、反射体531とセンサー部532とは、アンロード位置にあるウエハボート3を挟んで互いに対向するように設けられている。
【0058】
図13に示す例では、反り検出部53は、アンロード位置にあるウエハボート3の上部側のウエハWに対応する位置に配置されており、センサー部532はウエハボート3に搭載された検査対象のウエハWの例えば直径近傍の直上に水平な光軸を形成するように配置されている。センサー部532は、例えば検査対象のウエハW毎に設けられ、上下方向に複数個配列されている。
【0059】
この反り検出部53では、例えば
図14に、反りがないウエハW30と反りがあるウエハW31を例にして示すように、ウエハW30に反りがないときには、発光部533から発光された光は反射体531により反射され、受光部534に受光されるため、受光量が大きい。一方、ウエハW31に反りがあるときには、発光された光はウエハW31によって反射されるが、ウエハW31が反っていることから反射光が散乱し、受光部534における受光量が小さくなる。この受光量は、ウエハWの反りが大きい程、光の散乱の程度が多くなるため、減少する。このため、受光部534の検出結果に基づいて、反りの有無及び反りの大きさを把握することができる。例えば制御部100では、予め閾値を設定しておき、受光部534の検出結果が閾値よりも低いときに反りがあると判定し、閾値以上であるときに反りがないと判定して、ウエハ搬送機構4及び冷却ガス吹付機構6、吸気機構7に制御信号を出力する。
【0060】
また、
図15に示す反り検出部54は、反射体を備えない構成であり、発光部542及び受光部543を備えたセンサー部541を、アンロード位置にあるウエハボート3に搭載された検査対象のウエハWの例えば直径近傍の直上に水平な光軸を形成するように配置して構成される。センサー部541は、例えば検査対象のウエハW毎に設けられ、上下方向に複数個配列されている。
【0061】
この反り検出部54では、例えば
図16に示すように、ウエハW30に反りがないときには、発光部542から発光された光は受光部543にて受光されないため、受光量(検出値)が小さい。一方、ウエハW31に反りがあるときには、発光された光はウエハW31によって反射されて、この反射光が受光部543に受光されるため、受光量が大きくなる。ウエハW31の反りにより、反射光は散乱するが、ウエハWの反りが大きい程、光軸を反射する程度が大きくなるため増大する。
【0062】
このため、受光部543の検出結果に基づいて、反りの有無及び反りの大きさを把握することができる。例えば制御部100では、予め閾値を設定しておき、受光部543の検出結果が閾値よりも大きいときに反りがあると判定し、閾値以下であるときに反りがないと判定して、ウエハ搬送機構4及び冷却ガス吹付機構6、吸気機構7に制御信号を出力する。
【0063】
以上の発光部及び受光部を備えた光センサーとしては、フォトセンサーや赤外線センサー、レーザーセンサー等の、光の変化量を利用して反りを検出する種々のセンサーを用いることができる。
【0064】
さらに、反り検出部は超音波の変化量を利用した超音波センサーを含む構成であってもよい。この場合には、例えば超音波の送波部及び受波部を備えたセンサー部を、アンロード位置にあるウエハボート3に搭載された検査対象のウエハWに超音波を送波するように配置する。この超音波センサーでは、ウエハWに反りがあるときには、発信された超音波はウエハWによって反射されて受波部にて受波される。ウエハWの反りが大きい程、センサーに近い位置で反射されるため、この距離を検出することにより、ウエハWの反りの有無及び反りの大きさを把握することができる。
【0065】
さらにまた、反り検出部は電磁波の変化量を利用した電磁波センサーを含む構成であってもよい。この場合には、例えば高周波発振器と受信部を備えたセンサー部を、アンロード位置にあるウエハボート3に搭載された検査対象のウエハWに向けて高周波を発振するように配置する。この電磁波センサーでは、ウエハWに反りがあるときには、高周波発振器にて発生させた電磁波はウエハWによって反射され、受信部にて受信される。この受信した反射波を高周波発振器に送信して周波数の変化に基づいて、ウエハWまでの距離を検出する。ウエハWの反りが大きい程、センサーに近い位置で反射されるため、この距離を検出することにより、ウエハWの反りの有無及び反りの大きさを把握することができる。
【0066】
また、反り検出部は、アンロード位置にあるウエハボート3に対して昇降自在に設けられていてもよい。
図17は、昇降可能な可動体であるウエハ搬送機構4に透過型光センサーよりなる反り検出部55を設ける例である。この例では、ウエハ搬送機構4のフォーク41の保持機構42の上部に透過型光センサーの受光部551を設け、発光部552をアンロード位置にあるウエハボート3を挟んでウエハ搬送機構4と対向する位置に設けている。発光部552は、例えばアンロード位置にあるウエハボート3の上部側に配置されたウエハWに対応する位置に設けられ、検査対象のウエハWの例えば直径近傍の直上に水平な光軸を形成するように配置されている。発光部552は、例えば検査対象のウエハW毎に設けられ、上下方向に複数個配列されている。
【0067】
そして、反りを検出するときには、例えばウエハ搬送機構4を移動させて、受光部551を例えば最下段の発光部552に対応する位置に設定し、発光部552から発光する。そして、当該検査対象のウエハWについて反りの検出を行った後、ウエハ搬送機構4を上方側に移動させて、次のウエハWの発光部552に対応する位置に受光部551が位置するように設定し、同様にウエハWの反りの検出を行う。ウエハ搬送機構4を上下に移動させることにより、夫々のウエハWに対して個別に反りの検出が行われる。ウエハWの反りの検出については、上述の透過型光センサーを用いた反り検出部と同様である。この例においては、ウエハ搬送機構4に設置される受光部551は上下方向に複数個配列するようにしてもよい。また、受光部551と発光部552とを入れ替え、発光部552をウエハ搬送機構4に搭載するようにしてもよい。
【0068】
また、
図18に示すように、ウエハ搬送機構4に反射型光センサーよりなる反り検出部56を設けるようにしてもよい。この例では、ウエハ搬送機構4のフォーク41の保持機構42に発光部と受光部とを備えたセンサー部561を設け、アンロード位置にあるウエハボート3を挟んでウエハ搬送機構4と対向する位置に反射体562を設置している。この例では、反射体562は、アンロード位置にあるウエハボート3の上部側に配置されたウエハWに対応する位置に設けられている。
【0069】
そして、ウエハ搬送機構4を移動させ、検査対象のウエハWの直径近傍の例えば直上に水平な光軸を形成するように、センサー部561を位置させて反りの検出を行う。ウエハWの反りの検出については、上述の反射体を備えた反射型センサーと同様である。また、センサー部561と反射体562とを入れ替え、反射体562をウエハ搬送機構4に搭載するようにしてもよい。この例においても、ウエハ搬送機構4に設置されるセンサー部561は上下方向に複数個配列してもよい。
【0070】
さらに、
図19は、反射体を設けない構成の反射型光センサーよりなる反り検出部57をウエハ搬送機構4に設けた例である。この例では、ウエハ搬送機構4のフォーク41の保持機構42に発光部と受光部とを備えた反り検出部57を設けている。そして、ウエハ搬送機構4を移動させて、検査対象のウエハWの例えば直径近傍の直上に水平な光軸を形成するように、反り検出部57を位置させて反りの検出を行う。ウエハWの反りの検出については、上述の反射体を備えない反射型センサーと同様である。この例においても、ウエハ搬送機構4に設置される反り検出部57は上下方向に複数個配列してもよい。
【0071】
図18及び
図19に示す反射型光センサーよりなる反り検出部を設ける場合には、キャリアC内に収納されたウエハWの反りの検出や、反応容器24に搬入する前のウエハボート3に搭載されたウエハWの反りの検出を行うことができる。また、キャリアCやウエハボート3に搭載されたウエハWについて、例えばウエハWがウエハボート3の溝部から脱離して、ウエハWに傾きが生じるなどの載置状態の異常の検出に利用することもできる。例えば正常に載置され、傾きのないウエハWは、ウエハ表面の直上の水平な光軸は遮断しないが、ウエハWが傾いているときには当該光軸を遮断するため、ウエハWの載置異常を検出できる。例えばメンテナンスや地震が発生したとき等にウエハボート3やキャリアC内のウエハWの状態を確認するためには有効である。
【0072】
ウエハ搬送機構4に反り検出部の一部または全部を設ける場合には、反り検出部の取り付け位置については、上記の位置に限定されず、例えば搬送基体43等に設置するようにしてもよい。以上のように、反り検出部の一部または全部を可動体であるウエハ搬送機構4に設ける場合には、反り検出部の設置スペースを削減することができる。また、ウエハ搬送機構4の他に、上下方向に移動自在に構成された可動体を用意し、この可動体に反り検出部の一部または全部を設けるようにしてもよい。
【0073】
以上において、冷却ガス吹付機構6の段数は、ウエハボート3の長さに合わせて適宜変更可能であり、冷却ガス吹付機構6と吸気機構7とは、必ずしも同じ段数に構成する必要はない。また、冷却ガス吹付機構6から冷却ガスをウエハボート3に搭載されたウエハWに対して吹き付ける際に、冷却ガス吹付機構6を構成する冷却ガス供給管と、吸気機構7を構成する吸気ダクトとは、必ずしも同じ段数を用いる必要はない。例えば、第1の冷却ガス供給管61から冷却ガスを吹き付ける際に、熱の排出を促進させるため、全ての吸気ダクト71〜73を全開にするようにしてもよい。
【0074】
また、
図20に示すように、例えばウエハ搬送機構4に冷却ガス吹付機構8を設けるようにしてもよい。この例では、ウエハ搬送機構4の搬送基体43を支持する駆動機構44に冷却ガス吹付機構8をなす冷却ガス供給管を設け、その先端からウエハボート3に向けて冷却ガスを吹き付けるように構成されている。冷却ガス供給管は流量調整部81を介して冷却ガスの供給源82に接続されている。
【0075】
この例では、ウエハWの反りを検出し、この検出結果に基づいて、ウエハ搬送機構4を移動させて、ウエハWに冷却ガスを吹き付けてウエハWの冷却を行う。このとき、制御部100は、反りがあると判定されたウエハWに対する領域に吹き付ける冷却ガスの流量を、反りがないと判定されたウエハWに対応する領域に吹き付ける冷却ガスの流量を多くするように流量制御部81に制御信号を出力する。ウエハ搬送機構4を移動させることにより、冷却ガスの吹付位置を調整できるため、ウエハボート3に搭載されているウエハWに対して局所的に冷却することが可能となる。
【0076】
冷却ガス吹付機構8は、ウエハ搬送機構4の他の部位に設置するようにしてもよく、上下方向に移動するウエハ搬送機構4とは別個の可動体に設置するようにしてもよい。また、各段毎に独立して冷却ガスの流量を調整できる冷却ガス吹付機構6と、当該昇降可能な冷却ガス吹付機構8とを両方設置するようにしてもよい。さらに、ウエハボート3に対して相対的に昇降可能であればよいため、例えば昇降しない冷却ガス供給機構を設け、ウエハボート3側を昇降させて、冷却ガスの吹付位置を調整するようにしてもよい。
【0077】
上下方向に移動する可動体に冷却ガス吹付機構を設ける場合には、例えばキャリアC内や、ウエハボート3の溝部、ステージ部等に冷却ガスを吹き付けてパージし、パーティクルの除去を行うようにしてもおい。
【0078】
以上において、本発明ではウエハWの反りを検出する検査対象のウエハWは1枚であってもよい。この場合には、制御部100は、反り検出部による一のウエハWの検出結果に基づいて、当該一のウエハWについて反りがないと判定したときに、当該一のウエハWの温度と比較して同程度または低い温度である他のウエハWについては、反り検出部による反りの検出を行わずにウエハボート3から取り出すようにしてもよい。例えば一のウエハWを、ウエハボート3の最上段のウエハに設定すれば、他の領域のウエハWはこの検査対象のウエハWと同程度または低い温度となる。
【0079】
検査対象のウエハWが1枚である場合には、例えば
図21に示す反り検出部9を用いることもできる。この反り検出部9は透過型光センサーよりなり、例えば発光部91を、ガイドレール93に沿って水平方向に移動自在に構成された可動体92に設置し、ウエハWを挟んで発光部91に対向する領域には、複数個の受光部94を水平方向に並べて配列して構成される。この例では、発光部91を受光部94に対応する位置まで移動して発光させて、ウエハW表面直上に水平な光軸Lを形成する。ウエハWに反りがないときには、光軸Lが遮断されないため、受光部94の受光量が多くなる。一方、ウエハWに反りがあるときには、光軸Lが遮断されるため、受光部94の受光量が少なくなる。これにより、受光部94の検出結果に基づいて、ウエハに反りがあるか否かを判定することができる。
【0080】
また、
図22に示す反り検出部95のように、発光部96を、回転機構98により鉛直軸回りに回転自在に構成された可動体97に設置し、ウエハWを挟んで発光部96に対向する領域に複数個の受光部99を水平方向に並べて配列して構成されるものであってもよい。この例では、発光部96を受光部94に対応する位置まで回転させて発光させ、ウエハW表面直上に水平な光軸Lを形成する。ウエハWに反りがないときには、光軸Lが遮断されないため、受光部99の受光量が多くなる。一方、ウエハWに反りがあるときには、光軸Lが遮断されるため、受光部99の受光量が少なくなる。これにより、受光部99の検出結果に基づいて、ウエハに反りがあるか否かを判定することができる。
【0081】
光センサーよりなる反り検出部は、上述のように受光量の閾値と受光量との比較により反りを判定する代わりに、光軸を遮断するか否かにより、受光―非受光のデータを取得して、反りの有無を判定するものであってもよい。反りの判定を行う制御部は、縦型熱処理装置に組み込まれるものであってもよいし、縦型熱処理装置と別個に設けられるものであってもよい。